JP4166444B2 - 漏話補償機能を有する通信コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、漏話を減少する又は補償する、通信コネクタの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
コネクタを介して伝搬される信号経路間の漏話を抑制又は補償する通信コネクタの構造が、多いに望まれている。ここに定めるように、漏話は、第1の経路、例えば、通信コネクタ内のペアのターミナル・コンタクト配線上で伝送又は伝搬した信号が、第二の信号経路、例えば、同じコネクタ内の別のペアのターミナル・コンタクト配線に、電磁気的に部分的に結合する時に生じる。伝搬した信号は、第2の経路上で“漏話”として検出され、そのような漏話は、第2の経路上で送られる既存の信号を劣化させることになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、標準タイプのRJ−45通信コネクタは、4つの異なる信号経路を定める、4つのペアのコンタクト配線を一般的に含んでいる。従来のRJ−45プラグとジャック・コネクタでは、全ての4つのペアの配線が、コネクタの長手方向の全体にわたって互いにほぼ並列に延長している。従って、漏話は、異なるペアのコンタクト配線間で、特に、組み合わせプラグとジャックの組合わせにおいて生じると思われる。漏話の振幅は、結合した信号の周波数又はデータ・レートが上昇するにつれて上昇する。
【0004】
通信コネクタの漏話特性の等級設定に適した基準近端漏話又は“NEXT”に関している。NEXTの等級設定は組み合わせプラグとジャックの組合せに対して普通は実施され、プラグ・コネクタの入力ターミナルが基準面として用いられている。非シールド・ツイスト・ペア(UTP)の銅線を用いる通信リンクは、100MHz又は業界基準“カテゴリ5”特性だけではなく、250MHzにおいて少なくとも46dBの漏話損失を要求する提案された“カテゴリ6“にも適合するようなデータ・レートを維持することが、今期待されている。
【0005】
漏話補償回路は、通信ジャックのターミナル・コンタクト配線が接続するプリント基板の層の上部又は内部に位置している。本出願と本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,997,358号(199912月7日)を参照。‘358特許の全ての関連部分が、引例によって包含されている。
【0006】
米国特許第5,547,405号(1996年8月20日)は、ハウジング内に組み込まれている、第1と第2の信号を搬送するペアの延長し横に離間されたコンタクトを有する漏話抑制コネクタに関している。1つのペアの1つのコンタクトの中間部分は、付随するコンタクト間に容量性的な結合を呈するように、重なり部分の間に誘電体を具備して、他方のペアの別のコンタクトの中間部分を全体的に形成している。
【0007】
1999年10月20日に提出され、本出願と本発明の譲受人に譲渡された、米国特許出願No.09/421,569は、容量性漏話補償機能を有する通信コネクタ・アセンブリに関している。コネクタ・アセンブリは、コンタクト配線の自由端部分とベース部分との間を接続するコンタクト部分を具備した自由端部分を有する、多くのターミナル・コンタクト配線を特徴にしている。少なくとも第1と第2のペアのコンタクト配線では、それらの自由端部分が先端部分を形作るように延長している。第1のペアのコンタクト配線の先端部分の1つと、第2のペアのコンタクト配線の先端部分の1つは、容量性漏話補償を呈するために、互いに容量性的に結合をするように、寸法形状が設定され構成されている。
【0008】
漏話補償が組み合わせプラグとジャック・コネクタとの間の電気接触のポイント以外の場所で実施されると、既存の漏話信号と補償する漏話信号との間の最終的な移相シフトが、信号が互いを完全に相殺することを防止できる。すなわち、容量性漏話補償は、コネクタの比較的短い長さのコンタクト配線上で適用できるので望ましいが、このような補償を実施するポイントは、不快な漏話、例えば、組み合わせプラグのソースのできる限り近くに位置すべきである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、通信コネクタは、組み合わせコネクタを受容する開口を有するコネクタ・ハウジング含んでいる。少なくとも第1と第2のペアのターミナル・コンタクト配線はハウジング内で支えられ、各々ペアのコンタクト配線が異なる信号経路を形成している。ターミナル・コンタクト配線は、ベース部分と自由端と全体的に同一平面の中間のコンタクト部分とを、組み合わせコネクタの該当するターミナルとの電気接触の設定点のために備えている。第1と第2のペアの延長された並列なコンデンサ・プレートは、ターミナル・コンタクト配線の該当する自由端に固定されている。各々ペアのコンデンサ・プレートは、コンタクト配線と組み合わせコネクタとの間の電気接触のポイントにほぼ近いところで容量性漏話補償を呈するように、一方のペアのコンタクト配線の付随するターミナル・コンタクト配線を、他方のペアのコンタクト配線の付随するターミナル・コンタクト配線に容量性的に結合するように、寸法形状が設定され構成されている。各々ペアのコンデンサ・プレートは、ターミナル・コンタクト配線のコンタクト部分の面にほぼ並列な方向に延長している。
【0010】
開示された実施例では、第1と第2のペアの並列コンデンサ・プレートは、ターミナル・コンタクト配線の自由端に対して垂直な方向にも延長し、互いに直交する面で並んでいる。
【0011】
本発明のより良い理解のために、添付の図面と請求項と共に、次に述べる説明を参照すること。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による通信コネクタ10の側面図である。図2は、図1の右側から見たコネクタ10の端面図である。
【0013】
コネクタ10は、図1の左側で、ハウジングの側壁16に組み合わせコネクタ15を受容するための開口14を有するコネクタ・フレーム又はハウジング12を含んでいる。図示する実施例で、組み合わせコネクタは、一般的なRJ−45タイプのプラグである。プラグ15は、例えば、8つのコンタクト・ブレード・ターミナル18を有し、その1つが図1に図示されている。プラグ15のブレード・ターミナル18の各々は、例えば、付随するケーブル22によって運ばれる4つのペアの巻きつけられたリード配線のなかで、該当するケーブル・リード配線20で終端している。
【0014】
通信コネクタ10のコネクタ・ハウジング12の構成は、現状のプリント配線基板ジャックのハウジング、例えば、Lusent Technologies,Incから入手できるタイプ675Cに、制限なしに類似していると思われる。開示された実施例において、8つのターミナル・コンタクト配線24が、ハウジング12に支えられている。ターミナル・コンタクト配線は、ベース部分26、自由端28、及びベース部分26と自由端28との間に伸びるコンタクト部分30とを有する。コンタクト部分30は、全体的に、互いに並列で同一平面にあり、図1に示すように、プラグがコネクタハウジング開口14に受容される時に、プラグ15の該当するブレード・ターミナル18との電気接触のポイント32を確立する。コネクタ・ハウジング12は、図2に示すような多くの(例えば8つの)同じスペースの縦溝33を有する後壁31を含んでいる。ターミナル・コンタクト配線24a〜24hの自由端は、プラグ・ブレード・ターミナル18がターミナル・コンタクト配線のコンタクト部分30を図1と2の下方へ押し込むので、該当する溝33の内部の垂直方向の動きに相応して案内される。
【0015】
ターミナル・コンタクト配線24は、ベリリウム銅や弾性りん青銅などのような銅合金から作られている。各々コンタクト配線24の一般的な断面は、図2のターミナル・コンタクト配線24a,24b,24g、24hの自由端で見受けられるように、約0.015インチ幅で、約0.010インチの高さである。
【0016】
次に、図2を参照すると、異なるペアのターミナル・コンタクト24に番号が付記され、個々の配線が識別されている。番号が付記されたペアの各々が、コネクタ10を介して該当する信号経路を形作っている。
ペアの番号 コンタクト配線
1 24d、 24e
2 24a、 24b
3 24c、 24f
4 24g、 24h
【0017】
ペア1ターミナル・コンタクト配線24dと24eは、ペア3コンタクト配線24cと24fとの間を延長している。延長されたコンデンサ・プレート34dと34eはペア1コンタクト配線の自由端に形成され、延長されたコンデンサ・プレート34cと34fはペア3コンタクト配線の自由端に形成されている。コンデンサ・プレート34c〜34fは、実質的に、ターミナル・コンタクト配線24のコンタクト部分30の面に対して並列であり、コンタクト配線の自由端に対して垂直となる、長手方向に延長している。
【0018】
コンデンサ・プレート34cは、プレート34eと並列して並べられ、誘電体材料をプレート34cと34eとの間に挟んでいる。従って、ペア3コンタクト配線のコンタクト配線24cは、ペア1コンタクト配線のコンタクト配線24eと容量性的に結合している。同様に、コンデンサ・プレート34dは、ペア1コンタクト配線のターミナル・コンタクト配線24dをペア3コンタクト配線のコンタクト配線24fと容量性的に結合するように、誘電体材料をプレート間に挟み、プレート34fと並列して並べられている。
【0019】
コンデンサ・プレートの各々ペアが呈する容量性結合の大きさは、並列プレートの面積と、プレート間の材料の厚みと誘電率との関数になる。1.0ピコ・ファラッドの単位で値が得られるはずである。その結果、容量性漏話補償は、ペア1とペア3のコンタクト配線によって伝搬される信号に対して実施され、組み合わせプラグ15との電気的接触のポイント32のほぼ近くで行われる。
【0020】
各々コンデンサ・プレートは、関連するコンタクト配線の自由端で一体化して形成され、図3に示すコンタクト配線と共に打ち抜き形成される。並列コンデンサ・プレート34cと34e、及び34dと34fの各々のペアは、適切なコーティング処理により、それらの間に誘電体を挟んでカプセル化されている。例えば、プレートは、コーティング液に浸され、紫外線(UV)に露出することによって実質的に硬化される。このようなカプセル化は、所望の静電容量を維持して、プレート間の高電圧破壊を防止する。
【0021】
図1から分かるように、コネクタ接点32とコンデンサ・プレート34の本体との間の距離が、最小である。この構造が、コンデンサ・プレートによる漏話補償が、プラグ/コネクタ境界面において実質的に実施されることを可能にする。従って、漏話補償の効果が、最小伝搬遅延により更に向上することになる。
【0022】
2つ以下のターミナル・コンタクト配線の自由端は、ターミナルの自由端でカプセル化したペアのコンデンサ・プレートにより、互いの動きに相応して結合されるので、ブレード・ターミナル18が図1の垂直位置で互いに僅かに異なっていても、コンタクト配線24の全てが、組み合わせプラグ15のコンタクト・ブレード18と確実に接触している。更に、コンタクト配線ペア1と2、1と4、2と3、3と4との間の漏話補償は、接点32から外部プリント基板40(図1を参照)にかけてターミナル・コンタクト配線の長手方向に沿って他のところでも達成される。何故なら、前述のペア間で生じる任意の漏話も、ペア1と3の間に生じるものよりは、一般的にそれほど重大でないからである。
【0023】
図1から分かるように、コンデンサ・プレート34cと34e、及びプレート34dと34fは、互いに直交する面で並んでいる。この構造が、2つのセットの並列コンデンサ・プレート間における物理的干渉を回避し、2つのペアのプレート間における任意の好ましくない交差結合も回避している。
【0024】
コンタクト配線24のベース部分26は、コネクタ・ハウジング12の下部に水平に形成された該当するチャネルで支えられている。図1を参照。図2に示すように、コンタクト配線のベース部分が、該当するターミナル42を形成している。ターミナル42は、外部回路基板40の該当するパターンに形成されたターミナル開口に対する挿入に相応した“針目“構造になっている。
【0025】
コンデンサ・プレート34とターミナル42とを含んでいるターミナル・コンタクト配線24は、例えば、既存の生産設備を用いて、リード・フレーム・アセンブリの形で製造できる。製造費用が低く抑えられ、製造の歩留まりも、このようなコンタクト配線リード・フレームに対して高く維持されている。更に、外部回路基板40のコストは、更なる漏話補償の任意の段階が基板40上に又はその内部で必要になる場合でも、僅かなので安い。
【0026】
【例】
タイプ657Cジャックは、本開示により、ターミナル・コンタクト配線ペア1と3の自由端に、コンデンサ・プレート34を含むように修正された。図5は、配線ペア1と3に対して測定した近端漏話(NEXT)のグラフである。測定結果は、ペア1と3との間の漏話が、250MHzで、−46.696dBにまで低下したので、TIAカテゴリ6の規定に適合することを示している。前述のように、全体的な特性は、外部回路基板40の上部、又は、その内部の補償の段階を用いることにより更に向上できる。
【0027】
前述の説明は好ましい実施例について述べているが、種々の変更と修正が、請求項で定める本発明の趣旨と範囲を逸脱せずに実施できることは、当業者には自明のことと思われる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、漏話補償機能を有する通信コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による通信コネクタと組み合わせプラグの側面図である。
【図2】図1の右側から見たコネクタの端面図である。
【図3】本発明による、配線の自由端にコンデンサ・プレートを用いて作られたコネクタ・ターミナル・コンタクト配線の斜視図である。
【図4】本発明による、配線の自由端に並列するコンデンサ・プレートを配置した二つのターミナル・コンタクト配線の斜視図である。
【図5】本発明による、容量性漏話補償結合機能を有する2つのペアのターミナル・コンタクト配線間で測定された近端漏話(NEXT)を表すグラフである。
【符号の説明】
10 コネクタ
12 コネクタ・フレーム又はハウジング
14 開口
15 組み合わせコネクタ
16 側壁
18 ブレード・ターミナル
20 ケーブル配線リード
22 付随するケーブル
26 ベース部分
28 自由端
Claims (9)
- 通信コネクタであって、
組み合わせコネクタを受容する開口を有する、コネクタ・ハウジングと、
前記のハウジング内で支えられる、少なくとも第1と第2のペアのターミナル・コンタクト配線において、各々ペアのコンタクト配線が異なる信号経路を形成し、
前記のターミナル・コンタクト配線が、前記の組み合わせコネクタの該当するターミナルとの電気接触の設定点のために、ベース部分と、自由端と、全体的に同一平面の中間のコンタクト部分とを有する、前記の少なくとも第1と第2のペアのターミナル・コンタクト配線と、
前記のターミナル・コンタクト配線の該当する自由端に固定された、第1と第2のペアの並列の延長されたコンデンサ・プレートにおいて、各々ペアのコンデンサ・プレートは、前記の組み合わせコネクタと前記のコンタクト配線との間の前記の電気接触の設定点のほぼ近くに容量性漏話補償をもたらすように、一方のペアのコンタクト配線の関連するターミナル・コンタクト配線を、他方のペアのコンタクト配線の関連するターミナル・コンタクト配線に容量性的に結合するように、寸法形状が設定され、かつ構成されている、前記の第1と第2のペアの並列の延長されたコンデンサ・プレートとを含み、
前記の各々のペアのコンデンサ・プレートの長さ方向は、前記ターミナル・コンタクト配線の前記コンタクト部分の作る共平面に対して平行である通信コネクタ。 - 前記の各々のペアのコンデンサ・プレートが、前記コンデンサ・プレートが互いに垂直となる面として配置されるように、前記ターミナル・コンタクト配線の前記自由端から延長している請求項1に記載の通信コネクタ。
- 前記の第1と第2のペアの並列なコンデンサ・プレートが、互いに直交する面に並べられている、請求項1に記載の通信コネクタ。
- 各々ペアの並列のコンデンサ・プレートの前記のプレート間に挟まれた誘電体材料を含んでいる、請求項1に記載の通信コネクタ。
- 前記の第1と第2のペアのコンデンサ・プレートが、前記のターミナル・コンタクト配線と一体に形成されている、請求項1に記載の通信コネクタ。
- 前記の第1のペアのターミナル・コンタクト配線が、前記の第2のペアのターミナル・コンタクト配線の間で延長している、請求項1に記載の通信コネクタ。
- 前記コンデンサ・プレートが、関連するターミナル・コンタクト配線と共にスタンプ化される、請求項5に記載の通信コネクタ。
- 前記コネクタハウジングが、組み合わせコネクタが前記ターミナル・コンタクト配線の前記コンタクト部分に嵌合したときに、前記ターミナル・コンタクト配線の前記自由端の垂直の動きをガイドするように多数の等しく隔てられたスロットを有するリア壁を有する、請求項1に記載の通信コネクタ。
- 前記第1及び第2のペアのコンデンサ・プレートは、前記プレート間に誘電体と共にカプセル化される、請求項1に記載の通信コネクタ。
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