JP4163447B2 - スキャナ保持装置および走査型プローブ顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、STM(Scanning Tunneling Microscope、走査型トンネル顕微鏡)、AFM(Atomic Force Microscope、原子間力顕微鏡)、UHV(Ultra High Vacuum)−STM(超高真空走査型トンネル顕微鏡)、UHV(Ultra High Vacuum)−AFM(超高真空原子間力顕微鏡)等の走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)に関し、特に、スキャナを粗動させた時のスキャナ支持部材の傾斜に基づくスキャナ先端の変位量を減少させ且つスキャナ支持部材の振動に基づくスキャナ先端の振幅を減少させるスキャナ保持装置及び走査型プローブ顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16は従来のX、Yスライダを備えたSPM(走査型プローブ顕微鏡)のスキャナ部分の説明図であり、図16Aは部分断面図、図16Bは図16AのXVIB−XVIBから見た図である。
図17は従来の平面スライダを備えたSPMのスキャナ部分の説明図であり、図17Aは部分断面図、図17Bは図17AのXVIIBから見た図である。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、右左方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0003】
従来のSPM(Scanning Probe Microscope、走査型プローブ顕微鏡)のスキャナ保持装置において試料検査時の粗動を行う機構として、X、Yスライダによるもの(図16に示す粗動機構)と、平面スライダによるもの(図17に示す粗動機構)が知られている。
【0004】
(図16に示す粗動機構)
図16において、Xスライドベース01が図示しないSPM本体に固定支持されている。前記Xスライドベース01のY軸方向両端部にはX軸に平行な一対のXスライドレール02が固定支持され、Xスライドベース01の中央部にはXスライダ引張バネ03の一端が固定支持されている。前記Xスライダ引張バネ03の他端はXスライダ04に固定支持されており、Xスライダ引張バネ03はXスライダをXスライドベース01側に引張っている。したがって、前記Xスライダ04はXスライドレール02に当接して位置決めされ、且つ、Xスライドレール02上をX軸方向にスライド移動可能に支持されている。
前記符号01〜04によって示された部材によってXスライダユニットSUxが構成されている。
【0005】
前記Xスライダ04の下面には、Xスライダ04と一体的に移動するYスライドベース06が固着されている。前記Yスライドベース06のX軸方向両端部にはY軸に平行な一対のYスライドレール07が固定支持されている。前記Yスライドベース06の中央部にはYスライダ引張バネ08の一端が固定支持されている。前記Yスライダ引張バネ08の他端はYスライダ09に固定支持され、Yスライダ引張バネ08はYスライダ09をYスライドベース06側に引張っている。したがって、前記Yスライダ09はYスライドレール07と当接して位置決めされ、且つ、Yスライドレール07上をY軸方向にスライド移動可能に支持されている。
前記符号06〜09により示された部材によってYスライダユニットSUyが構成されている。前記XスライダユニットSUxおよびYスライダユニットSUyによってスキャナ支持部材SUが構成されている。
【0006】
前記Yスライダ09の下面にはスキャナ固定台010が固着されており、前記スキャナ固定台010には円筒状の圧電体と複数の電極とによって構成されたスキャナ011が固定支持されている。前記スキャナ011はX方向微動用のXスキャナ011a、Y方向微動用のYスキャナ011b、Z方向微動用のZスキャナ011cとを有する。前記スキャナ011の下面にはプローブホルダ012が固定支持され、プローブホルダ012には試料W表面に略接触して検査を行うプローブ013が設けられている。
【0007】
図16に示すX、Yスライダ04、09を備えた従来のSPMでは、図示しない粗動部材によってX、Yスライダ04,09をX,Y,Z方向に移動(粗動)させてプローブ013を検査開始位置に移動させる。そして、前記スキャナ011をX,Y,Z軸方向に微動させながら、プローブ013の先端部により試料Wの表面を走査し、試料W表面の検査を行う。
【0008】
(図17に示す粗動機構)
図17において、円板状のスライドベース01′が図示しないSPM本体に固定支持されている。前記スライドベース01′は外周側の薄板部01a′と内周側の厚板部01b′とを有する。前記薄板部01a′には3つのスライダ引張りバネ016の一端が固定支持されている。前記スライダ引張りバネ016の他端にはXY平面内で移動する平面スライダ017が固定支持されており、前記平面スライダ017の前記厚板部01b′と対向する面には、3つのスライドボール018が埋め込まれている。前記平面スライダ017は、スライダ引張りバネ016によってスライドベース01′側に引張られているので、前記スライドボール018は厚板部01b′に押し付けられながら当接する。したがって、前記平面スライダ017はスライドベース01′に対して、位置決めされ且つスライド移動可能に支持されている。前記平面スライダ017の下面には、スキャナ固定台010が固着されており、前記スキャナ固定台010には、圧電体と電極とによって構成されたX、Y、Zスキャナ011a〜011cを有するスキャナ011が固定されている。そして、前記スキャナ011の下面にはプローブホルダ012を介してプローブ013が支持されている。
前記符号01′,016〜018により示された部材によって、平面スライドユニット(スキャナ支持部材)SUhが構成されている。
【0009】
図17に示す平面スライダ017を備えた従来のSPMでは、図示しない粗動部材によって、平面スライダ017をX、Y、Z方向に粗動させ、プローブ013の先端を走査開始位置に移動させる。そして、前記スキャナ011をX,Y,Z軸方向に微動させながら、プローブ013の先端部により試料の表面を走査し、試料Wの検査を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図18は従来のスライダを有するSPMの粗動時の作用を示す図で、図18Aは図16のSPMのYスライドユニットとスキャナ部分の説明図、図18Bは粗動時の作用説明図、図18Cは前記図18A、図18Bに示すスキャナ固定台の傾斜角θとプローブ先端の変位δdとの角度関係の説明図である。
前記図16及び図17に示した従来の粗動機構を備えたSPMでは、スライダ(04,09;017)を使用してスキャナ固定台010を移動させている。工学的には完全にフラットな(平滑な)面はありえないので、スライダ(04,09;017)とスライドレール(02,07;018)との接触面であるスライド面には必ず凹凸が存在する。
【0011】
図18において、YスライドユニットSUyのYスライダ09がスライド移動した時、Yスライドレール07やYスライダ09の表面の凹凸によってガタやズレが生じ、プローブ013の先端は設定された中心線からずれて傾斜する(図18B参照)。このようなスライダ(04,09;017)を使用する粗動機構を採用する以上は、粗動時(スライド時)に、スライド面の凹凸等によるガタやズレが必ず生じ、スキャナ011は傾斜する。この結果、プローブ013の先端は目標位置(図18A、図18B、図18Cにおいて破線で示された位置)からずれてしまう。
【0012】
この傾斜やスキャナ固定台の振動(後述)によるプローブ013先端の目標位置からのズレ(変位)をδd(図18C参照)、スキャナ固定台010傾斜角度をθとし、Yスライドレール07とプローブ013の先端との距離をL(図18A、図18C参照)と置くと、これらの関係は、近似的に次式(1)により表される。
δd=L・sinθ …………………………………… (1)
前記式(1)からスキャナ011やプローブ013の長さが長くなるとLが大きくなり、ズレδdも大きくなることが分かる。なお、これらの関係はYスライドユニットSUyだけでなく、XスライドユニットSUxや平面スライドユニットSUhにおいても同様に成立する。
【0013】
前記ガタやズレの程度はレール(02,07;018)の精度や平行度、スライド面の平滑度、固定台010を含めた各部材の設計精度、各部材の組み方によっても変化する。しかし、どんなに精度や平滑度を高めたとしても、スライド移動する構造である以上必ずガタやズレが存在し、スキャナ固定台010は傾斜してしまう。前記スキャナ固定台010が傾斜すると、プローブ013先端の位置は目標位置からずれる。プローブ013の先端が目標位置からずれた状態では、プローブ013と試料(走査対象物)との距離が変化し、走査開始位置もずれるため、走査(微動)を行っても、結果に誤差が発生したり目的の走査範囲を走査できない。
【0014】
また、外部から伝達される音や振動等の外的な要因によってスキャナ固定台010が振動すると、前記式(1)より、スキャナ固定台010の振幅が増幅されて、スキャナ011に支持されるプローブ013の先端は大きな振幅δdで振動する。前記プローブ013の先端の振幅が大きくなると、試料Wの表面のSPM像の精度が低下してしまい、試料Wの検査を本来の精度で行うことができない。
【0015】
図16、図17に示すように、従来の粗動機構を備えたSPMのスキャナ011は圧電体を用いて構成されている。この圧電体によるスキャナ011はその長さが長いほど同じ電圧に対する走査の範囲が広くなる。このため、広い範囲のSPM像(検査結果)を得るには長いスキャナ011を必要とする。また、圧電体はその温度が低下するほど同じ電圧に対する変形量が小さくなるので、スキャナ011を低温で使用すると走査範囲は狭くなる。したがって、スキャナ011を低温SPMで使用する場合、必要な走査範囲を得るために、スキャナ011は長くしなければならない。ところが、前記式(1)から、スキャナ011の長さLを長くすると、プローブ013先端の傾斜の変位や振動の振幅δdは増幅されるため、得られるSPM像の精度が低下してしまう。
【0016】
さらに、低温SPMでは液体ヘリウム等の冷媒を使用するため、冷媒の沸騰による振動によって、スキャナ固定台010が振動し、振動の振幅がプローブ013の先端部で増幅されることがある。したがって、スキャナ011で広範囲の走査を行う場合や、スキャナ011を低温SPMで使用する場合では、発生した振動がSPM像に与える影響は大きくなり、高い精度が要求されるSPM像の精度低下を引き起こしてしまう。
【0017】
本発明は前述の事情に鑑み、下記(O01),(O02)の記載内容を技術的課題とする。
(O01)スライドレールのガタやズレによるスキャナ固定台の傾斜や、外的な要因によるスキャナ固定台の振動がスキャナ先端で増幅することを抑えること。
(O02)スキャナ先端の振動を抑えることによって、精度の高いSPM像を得ることのできるSPM(走査型プローブ顕微鏡)を提供すること。
【0018】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0019】
(本発明)
前記課題を解決するために、本発明のスキャナ保持装置は下記の構成要件(A01),(A02)を備えたことを特徴とする。
(A01)基端部が支持され且つプローブ(54)または試料(W)を保持する先端部が自由端として構成された圧電体により構成され、前記基端部及び先端部の両端部を結ぶZ軸方向に伸縮可能、且つ前記Z軸に垂直で且つ互いに垂直なX軸およびY軸方向に前記先端部が移動可能なスキャナ(52)、
(A02)前記スキャナ(52)の基端部を支持するスライダ(47;64,69)と、前記スライダ(47;64,69)をスライド可能に支持するスライドベース(36;61,66)とを有するスキャナ支持部材(SU,SU′)であって、前記スライダ(47;64,69)が前記スライドベース(36;61,66)に接触してスライド移動するZ軸方向に垂直なスライド面(36d;64d,69d)と、前記プローブ(54)先端または試料(W)表面とがZ軸方向に対して略同じ位置に配置された前記スキャナ支持部材(SU,SU′)。
【0020】
(本発明の作用)
前記構成要件を備えた本発明のスキャナ保持装置では、スキャナ(52)はZ軸方向に伸縮可能且つZ軸に垂直で且つ互いに垂直なX軸およびY軸方向に先端部が移動可能な圧電体によって構成されているので、前記スキャナ(52)先端部に保持されたプローブ(54)または試料(W)が、前記X,Y,Z軸方向に移動(微動)できる。そして、前記スライダ(47;64,69)が前記スライドベース(36;61,66)に接触してスライド移動するZ軸方向に垂直なスライド面(36d;64d,69d)と、前記プローブ(54)先端または試料(W)表面とが、Z軸方向に対して略同じ位置に配置されている。
【0021】
したがって、前記スライダ(47;64,69)がスライド移動(粗動)したときにスライド面(36d;64d,69d)のガタやズレ等によって、スライダ(47;64,69)が傾斜しても、プローブ(54)先端または試料(W)表面がスライド面(36d;64d,69d)とZ方向に対して略同じ位置に配置されているので、前記プローブ(54)先端または試料(W)表面の変位はほとんどない。即ち、本発明のスキャナ保持装置は、スライダ(47;64,69)が傾斜したときのプローブ(54)先端または試料(W)表面の変位量を抑えることができる。
【0022】
また、外的な要因によって前記スライドベース(36;61,66)が振動した場合でも、スライド面(36d;64d,69d)とプローブ(54)先端または試料(W)表面とがZ軸方向に対して略同じ位置に配置されているので、スライダ(47;64,69)やスキャナ(52)の基端部の振動がプローブ(54)先端または試料(W)表面で増幅することを防止できる。
【0023】
また、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、前記構成要件(A01),(A02)を備えたスキャナ保持装置(SD,SD′)を備えたことを特徴とする。
前記構成要件を備えたスキャナ保持装置(SD,SD′)を備えた本発明の走査型プローブ顕微鏡では、前記スライド面(36d;64d,69d)における傾斜や外的要因による振動によって、スライダ(47;64,69)に支持されたプローブ(54)先端または試料(W)表面の変位(傾斜)や振動はほとんど生じず、変位量や振幅が増幅されない。したがって、本発明の走査型プローブ顕微鏡は、プローブ(54)先端と試料(W)表面とを略接触させて、プローブ(54)先端または試料(W)表面を走査することによって得られるSPM像が劣化せず、精度の高いSPM像が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に図面を参照しながら、本発明の実施例の試料ホルダ支持装置を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
(実施例1)
図1は本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施例1の説明図で、図1Aは走査型プローブ顕微鏡のSTMセルが試料交換位置にある状態を示す図、図1BはSTMセルが試料観察位置にある状態を示す図である。
図1において、実施例1の走査型プローブ顕微鏡としての低温UHV(Ultra High Vacuum)−STM(Scanning Tunneling Microscope)、即ち、低温超高真空走査型トンネル顕微鏡SPMは、除震部材1を介して支持されたクライオスタット2を有している。前記クライオスタット2の内部には、UHVインナチャンバ3が形成されている。前記インナチャンバ3は、試料検査時、クライオスタット2内の液体ヘリウム等の冷媒によって冷却され、図示しない真空ポンプによって高真空状態に保持される。前記インナチャンバ3の底部の試料観察位置P1にはSTMセル支持装置4が配置されている。前記STMセル支持装置4は、STMセルSをクライオスタット2内部に固定支持するための装置である。
【0026】
前記インナチャンバ3の上方には試料交換チャンバ6が設けられており、前記試料交換チャンバ6の左右(Y軸方向)両側面には試料交換口6a、6bが形成されている。前記試料交換チャンバ6内に設定された試料交換位置P2において、図示しないSTMセル交換装置によって、試料交換口6a、6bを通じてSTMセルSが交換される。
【0027】
前記試料交換チャンバ6の上側面には、上方に伸びる円筒状の搬送ロッド収容部7が設けられている。前記搬送ロッド収容部7の内部には、STMセル搬送部材としてのMGL搬送ロッド8がスライド移動可能且つ回転可能に支持されている。前記MGL搬送ロッド8の上端部には、複数のロッド磁石9が固着されている。また、前記MGL搬送ロッド8の下端部には、水平方向に伸びるSTMセル着脱保持ピン8a(図3A,図3D参照)が設けられている。前記搬送ロッド収容部7の外側面には、MGL搬送部材11がスライド移動可能且つ回転可能に支持されている。前記MGL搬送部材11は、前記ロッド磁石9と同数の搬送磁石12を有しており、前記搬送磁石12とロッド磁石9との間には引張り合う磁力が発生している。即ち、前記MGL搬送部材11を上下移動や回転移動させることにより、前記MGL搬送ロッド8を上下移動や回転移動させることができる。
【0028】
したがって、前記MGL搬送ロッド8は、その下端の着脱保持ピン8aによって保持したSTMセルSを試料交換位置P2(図1A参照)と前記試料観察位置P1(図1B参照)との間で搬送することができる。また、前記STMセルSが試料観察位置P1に搬送された状態で、MGL搬送部材11を回転させ、MGL搬送ロッド8を回転させることにより、STMセルSをSTMセル支持装置4に装着することができる。
前記搬送ロッド収容部7、MGL搬送ロッド8、ロッド磁石9、搬送磁石11及びMGL搬送部材12等によって、STMセル着脱装置としてのマグネティックローダ(Magnetic Loader)MGLが構成されている。
【0029】
図2は実施例1の走査型プローブ顕微鏡のSTMセルの説明図で、図2Aは正面図、図2Bは前記図2Aの矢印IIBから見た図、図2Cは前記図2AのIIC−IIC線から見た図、図2Dは前記図2AのIID−IID線断面図、図2Eは前記図2Dに示す着脱用レバーの斜視図、図2Fは前記図2Dに示すレバー支持部材の斜視図である。
図3はSTMセル支持装置へのSTMセルの装着方法の説明図で、図3AはSTMセルをSTMセル支持装置に搬送した状態を示す図、図3BはSTMセルをSTMセル着脱用ロッドでSTMセル支持装置に押圧した状態を示す図、図3CはSTMセル着脱用ロッドを回転させてSTMセルをSTMセル支持装置に装着した状態を示す図、図3DはSTMセル着脱用ロッドを上方に離脱させた状態を示す図、図3Eは前記図3AのIIIE−IIIE線から見た図、図3Fは前記図3AのIIIF−IIIF線断面図、図3Gは前記図3CのIIIG−IIIG線から見た図、図3Hは前記図3DのIIIH−IIIH線断面図、である。
【0030】
図2、図3において、前記STMセル支持装置4は、円筒状のケース16(図3参照)と、ケース16の上端に固定された支持装置側端子プレート17と、支持装置側端子プレート17の上面に設けた円筒部材18と、その上面に設けた上端プレート19とを有している。図3において、前記ケース16は円筒状内周面を有するSTMセル収容部16aと、前記STMセル収容部16aの左右(Y軸方向)両側に形成された粗動部材挿入溝16b、16b(図3E、図3G参照)と、後部(−X側部分)に形成されたX粗動部材挿入溝16c(図3E〜図3H参照)とを有している。
【0031】
前記支持装置側端子プレート17は前記STMセル収容部16aよりやや小径の円形孔17aを有しており、その上面の右前部(+X+Y部)及び左後部(−X−Y部)の両側部分にはそれぞれ複数の電気接続端子17b(図3A参照)が設けられている。前記円筒部材18の内周面18aは前記円形孔17aよりも大径であり、前記電気接続端子17bの上方には空間が形成されている。
【0032】
前記上端プレート19は長円孔19aを有しており、長円孔19aの長径は前記円筒部材18の内周面18aと同径(図3E、図3G参照)で、前記電気接続端子17bの上方が外部に開口するように(上端プレート19の上方から電気接続端子17bが見えるように)形成されている。前記上端プレート19の長円孔19aの短径方向の両側部分の下面には、前記円筒部材18の内周面18aよりも内方に突出するSTMセル係止部19bが設けられている。そして、前記上端プレート19には、前記粗動部材挿入溝16b、16bに対応して、粗動部材挿入溝19c、19cが形成されている。したがって、上方(+Z方向)から前記粗動部材挿入溝19c、19c及び粗動部材挿入溝16b、16bを通って、Y軸粗動ロッドRy(後述、図1、図4〜図7参照)及びZ軸粗動ロッドRz(後述、図1、図4〜図7参照)がケース16の内部に挿入できる。
【0033】
(STMセル)
図2、図3において、実施例1のSTMセルSは、円筒状のスキャナ収容ケースCと、その上端に設けた平面図で長円形のセル側端子プレート22と、前記セル側端子プレート22の上面に設けたレバー支持部材23と、前記レバー支持部材23に回転可能に支持された着脱用レバー24(被係止部材、図2E参照)とを有している。
前記長円形のセル側端子プレート22の長手方向両端部の下面にそれぞれ複数の導電性部材を介して電気接続端子22aが設けられている。図3A、図3Bにおいて、セル側端子プレート22は前記STMセル支持装置4の上端プレート19の長円孔19aおよび円筒部材18を上側から下側に通過して、支持装置側端子プレート17上面に支持される。そのとき、支持装置側端子プレート17上面の電気接続端子17bと保持部材側端子プレート22の電気接続端子22aとが接続されるようになっている。また、前記保持部材側端子プレート22の後部には、前記X粗動部材挿入溝16cに対応して、後述のX軸粗動ロッドRxを挿入させるための貫通孔22b(図3E、図3G参照)が形成されている。
【0034】
図2において、前記レバー支持部材23は、着脱用レバー24を鉛直軸回りに90°の範囲で回転可能に支持する下側部分23a(図2F参照)と、下側部分23aに支持された前記着脱用レバー24の上方への抜け止めのために前記下側部分23aの上面に固定された円板状の上側部分23b(図2A、図2B参照)とを有している。そして、前記上側部分23bの中央部にはピン貫通長孔23cが形成されている。
前記着脱用レバー24は図2Eに示すように、中央円形部24aとその両側に突出する突出部24b,24bとを有している。前記中央円形部24aにはピン挿入口24cが形成されており、前記突出部24b,24bには傾斜面24d,24dが形成されている。
【0035】
次に、図1、図3を参照しながら前記STMセルSのSTMセル支持装置4への装着の方法を説明する。前記試料交換位置P2(図1参照)において、前記MGL搬送ロッド8のSTMセル着脱保持ピン8aをレバー支持部材23のピン貫通長孔23c及び着脱用レバー24のピン挿入口24cに挿入し、着脱用レバー24を90°回転させる。この時、前記ピン貫通長孔23cとピン挿入口24cとは、図3Eに示すような互いに交差した状態となる。このとき、前記STMセル着脱保持ピン8aが前記レバー支持部材23の上側部分23bの下面に当接するので、前記MGL搬送ロッド8によってSTMセルSが保持される(図1Aの状態)。この状態で、前記MGL搬送ロッド8を操作して、STMセルSを前記試料観察位置P1に搬送する(図1B、図3Aの状態)。そして、前記STMセルSのセル側端子プレート22を前記STMセル支持装置4の支持装置側端子プレート17に載せた状態(図3Aの状態)で、前記MGL搬送ロッド8を下方に押圧する(図3Bの状態)。その後、MGL搬送ロッド8を90°回転させると、前記着脱用レバー24の突出部24b,24bの各傾斜面24dがSTMセル係止部19b下面に当接し、STMセルSが下方に押圧される(図3Cの状態)。このとき、支持装置側端子プレート17上面の電気接続端子17bと保持部材側端子プレート22の電気接続端子22aとがしっかりと接続される。そして、このとき、前記前記ピン貫通長孔23cとピン挿入口24cとが連通した状態(図3G参照)になるので、前記MGL搬送ロッド8をピン貫通孔23c及びピン挿入口24cから上方(Z方向)に離脱させることができる(図3D参照)。なお、STMセルSをSTMセル支持装置4から取り外す時は、逆の手順を行うことで、取り外すことができる。
【0036】
図4は実施例1のSTMセルの要部断面図である。
図5は図4のV−V線断面図であり、図5AはV−V線断面のギアを省略した図、図5BはV−V線断面のギアを記載した図である。
図6は実施例1のSTMセルのスキャナ保持装置の要部説明図であり、図6Aは断面図、図6Bは図6AのVIB方向から見た図、図6Cは図6BのVIC方向から見た図である。
【0037】
図4において、前記スキャナ収容ケースCは、下端側(−Z端側)の試料ホルダ保持壁C1と、前記試料ホルダ保持壁C1の上部に嵌合するスキャナ保持装置支持壁C2と、前記スキャナ保持壁C2の上部に嵌合する上壁C3とを有する。前記試料ホルダ保持壁C1は、円錘状の外形を有し、その内部には試料ホルダ26が着脱可能に保持するホルダ装着溝(図示せず)が形成されている。
前記試料ホルダ26は、試料Wを保持するホルダ本体26aと、前記ホルダ保持壁C1のホルダ装着溝(図示せず)と係合するホルダ装着部材26bと、試料ホルダ26を着脱・搬送する時にホルダ搬送部材(図示せず)に保持される被保持部材26cとを有する。前記試料ホルダ26は、STMセルSがインナチャンバ3の内部に搬送される前に、ホルダ保持壁C1に装着される。なお、前記ホルダ保持壁C1に試料ホルダ26を着脱する機構やホルダ搬送部材は従来公知であり、例えば、特開2001−272324号公報や、特開平9−153338号公報等に記載されているので詳細な説明は省略する。
【0038】
前記スキャナ保持壁C2は、下部の薄肉円筒部27と、上部の厚肉円筒部28と、上端部のZ軸粗動部材支持部29とを有している。図5において、前記薄肉円筒部27の上端部の後方(−X軸側)には、X軸粗動部材貫通長孔27a(図5参照)が形成され、左方(−Y軸側)にはY軸粗動部材貫通長孔27b(図4、図5参照)が形成されている。前記Z軸粗動部材支持部29は、上端側に形成された円筒状の周面を有する大径孔H1と、前記大径孔H1の下方に形成され且つ前記大径孔H1より小径の中径孔H2と、前記中径孔H2の下方に形成され且つ中径孔H2より小径の小径孔H3とを有しており、前記小径孔H3は前記厚肉円筒部28内部に連通している。また、前記Z軸粗動部材支持部29の右側(+Y側)には、大径孔H1に連通する伝達ギア支持部29d(図5A参照)が形成されている。
そして、前記スキャナ収容ケースCの上壁C3の中央部には、前記Z軸粗動部材支持部29の中径孔H2と同径の上側中径孔H2′(図4参照)が形成されている。
【0039】
図4、図5において、前記Z軸粗動部材支持部29の大径孔H1、中径孔H2及び上壁C3の上側中径孔H2′によって囲まれる空間内部にはZ軸粗動ギア32が配置されている。前記Z軸粗動ギア32は、前記大径孔H1に収容されるギア部32aと、前記中径孔H2及び上側中径孔H2′内に収容されるコア部32bとを有し、前記コア部32bの中心部にはネジ溝が形成された貫通孔32cが形成されている。前記コア部32bは中径孔H2及び上側中径孔H2′にベアリングを介して回転可能に支持されている。
【0040】
前記伝達ギア支持部29dには、軸G0a(図4参照)中心に回転可能に支持された伝達ギアG0が配置されており、前記伝達ギアG0は、前記ギア部32aと噛合っている。前記伝達ギアG0の右部はスキャナ収容ケースCの外部に突出して配置されており、突出した部分にはZ軸粗動ロッドRzの下端部に固着されたギアRz1(図4参照)が噛合っている。前記Z軸粗動ロッドRzはクライオスタット2内で、回転可能且つスライド移動可能に支持されている。前記Z軸粗動ロッドRzの上端部の外側にはベローズB1(図1A参照)が配置され、Z軸粗動ロッドRzの上端はベローズB1上端に固定されたプレートを気密に貫通している。前記Z軸粗動ロッドRzを回転させることによって、前記伝達ギアG0及びZ軸粗動ギア32を回転させることができる。
前記Z軸粗動ギア32、伝達ギアG0及びZ軸粗動ロッドRz等によってZ軸粗動装置SSzが構成されている。
【0041】
図4において、前記スキャナ保持装置支持壁C2の薄肉円筒部27及び厚肉円筒部28の内部にはスキャナ保持装置SDが配置されている。前記スキャナ保持装置SDは、前記小径孔H3を貫通して上方に伸びる被保持部34と、前記厚肉円筒部28の内径と略同じ外径を有する円筒状のスライドベース36とを有している。前記被保持部34の外周面にはネジ溝34aが形成されており、このネジ溝34aがZ軸粗動ギア32の貫通孔32cのネジ溝に噛合っている。前記スライドベース36は、前記被保持部34と一体に形成されており、ベース頂壁36aと、前記ベース頂壁36aの下方に接続する円筒状のベース筒壁36bとを有している。前記ベース頂壁36aの下面には3つのベース側バネ支持孔36c(図6B参照)が形成されている。また、前記スライドベース36のベース筒壁36bの外周面には図示しない回り止め溝が形成されており、前記厚肉円筒部28内壁に形成された図示しない回り止めピンと回り止め溝が係合することによって、前記スライドベース36は回転不能に保持されている。したがって、前記Z軸粗動ロッドRzを回転させることによって、前記Z軸粗動ギア32は回転するが、スライドベース36は回転不能なので、スライドベース36は上下方向(Z軸方向)に移動(Z軸粗動)する。
前記ベース筒壁36bの下端部には、中心角120°毎(計3ヶ所)に半径方向にスライド溝(スライド面)36d(図6B、図6C参照)が形成されている。
【0042】
次に、X軸粗動装置及びY軸粗動装置の構成の説明を行うが、両装置は同様の構成をしているので、Y軸粗動装置についてのみ説明を行いX軸粗動装置についての詳細な説明は省略する。
前記ベース筒壁36bの上下方向(Z軸方向)中央部の左側(−Y側)には断面四角形状のY軸調節部材装着孔38(図4参照)が形成され、右側(+Y側)には断面円形のY軸押圧部材装着孔39が形成されている。前記Y軸調節部材装着孔38は、外側の小径孔部38a(図4参照)と内側の大径孔部38bとを有している。前記押圧部材装着孔39は、外側の大径孔部39aと内側の小径孔部39bとを有し、前記大径孔部39aの外端部にメスネジ39cが形成されている。
【0043】
図4において、前記Y軸調節部材装着孔38には、Y軸調節部材41が装着されている。前記Y軸調節部材41は、Y軸調節部材装着孔38の外側の小径孔部に嵌合する角柱状外部41aと、大径孔部38bに嵌合する角柱状内部41bとが一体に形成されている。そして、前記角柱状外部41aの外端部には外方に行くに従って下方に傾斜する当接傾斜面41cが形成されている。前記Y軸調節部材41の角柱状内部41bの内端面は球面状に形成されている。また、前記Y軸調節部材41の外端部は前記Y軸粗動部材貫通長孔27bを貫通して、スキャナ収容ケースCの外方に突出している。そして、外方に突出した当接傾斜面41cには、インナチャンバ3内に上下方向にスライド移動可能に支持されたY軸粗動ロッドRy(図1、図4参照)の下端部が当接する。前記Y軸粗動ロッドRyの上端部の外側には、前記Z軸粗動ロッドRzと同様に、ベローズB2(図1参照)が配置され、Y軸粗動ロッドRyの上端はベローズB2上端に固定されたプレートを気密に貫通している。
【0044】
図4において、前記Y軸押圧部材装着孔39には、Y軸押圧部材42が装着されている。前記Y軸押圧部材42は、前記Y軸押圧部材装着孔39(図4参照)の外側の大径孔部39aのメスネジ39cと螺合する装着ネジ42aと、前記装着ネジ42aに一端が支持される押圧バネ42bと、前記押圧バネ42bの他端によって内側に押圧される円筒状のキャップ42cとからなっている。前記キャップ42cは、Y軸押圧部材装着孔39の小径孔部39bに嵌合する内端側の球面状押圧部42c1と、大径孔部39aに嵌合する外端側のストッパ部42c2とを有する。
前記Y軸調節部材41、Y軸押圧部材42及びY軸粗動ロッドRy等によってY軸粗動装置SSyが構成されている。
【0045】
X軸粗動装置SSxは、前記Y軸粗動装置SSyと同様に、前記ベース筒壁36bの後側(−X側)に形成された断面四角形状のX軸調節部材装着孔(図示せず)に装着されたX軸調節部材43(図5参照)と、ベース筒壁36bの前側(+X側)に形成された断面円形のX軸押圧部材装着孔(図示せず)に装着されたX軸押圧部材44(図6B参照)と、前記X軸調節部材43の当接傾斜面43c(図5参照)に当接するX軸粗動ロッドRx等によって構成されている。
前記X軸粗動ロッドRxは、前記セル側端子プレート22に形成された前記貫通孔22b(図3E、図3G参照)及びX粗動部材挿入溝16cを通ってX軸調節部材43の当接傾斜面43c(図5参照)に当接している。
【0046】
図4において、前記スライドベース36の内部には円筒状の平面スライダ47が配置されている。前記平面スライダ47は、スライダ頂壁47a及びスライダ筒壁47bとを有しており、スライダ頂壁47aの上面中央部にはスライダ側バネ支持孔47cが形成されている。前記スライダ筒壁47bの下端部には、前記スライド溝36dに対応して、3つのスライダ脚部47dが外方に突出して形成されており、前記各スライダ脚部47dの上面側には、球状のスライドボール48が埋め込まれている。
【0047】
前記平面スライダ47は、前記ベース側バネ支持孔36c及びスライダ側バネ支持孔47cに両端が固定支持された引張バネ49によって、上方(スライドベース36側)に付勢されている(引張られている)。これにより、前記スライドボール48の球面がスライド面36dに押圧されながら接触する(圧接される)。したがって、平面スライダ47は上下方向(Z軸方向)に位置決めされ且つ前後左右(XY方向、即ちZ軸に垂直な方向)にスライド移動可能に支持される。そして、前記平面スライダ47の外周面の前後左右には、前記X軸調節部材43、X軸押圧部材44、Y軸調節部材41及びY軸押圧部材42が当接している。したがって、前記X軸粗動ロッドRx及びY軸粗動ロッドRyを上下方向(Z軸方向)に操作・調節すると、前記X軸調節部材43及びY軸調節部材41がそれぞれ前後方向(X軸方向)及び左右方向(Y軸方向)に進退移動するので、前記平面スライダ47をX軸方向及びY軸方向に移動(X軸粗動、Y軸粗動)させることができる。
前記スライドベース36、平面スライダ47、スライドボール48及び引張バネ49等によって平面スライドユニットSUh(スキャナ支持部材SU)が構成されている。
【0048】
前記平面スライダ47のスライダ頂壁47aの下面には、円筒状のスキャナ固定台51が固着されている。前記スキャナ固定台51の下面には、圧電体と複数の電極とによって構成された円筒状のスキャナ52が固定支持されている。前記スキャナ52は、通電時にX方向及びY方向に微動可能な上部のXYスキャナ52aと、通電時にZ方向に伸縮(Z軸方向の微動)可能な下部のZスキャナ52bとを有している。前記スキャナ52の下端部は固定されておらず自由端として構成されているので、通電によって下端部がX,Y,Z軸方向に微動する。前記スキャナ52の下面には、プローブホルダ53を介して試料表面検査用のプローブ54が設けられている。前記プローブ54の先端の上下方向(Z軸方向)に対する位置は、前記スライド面(スライド溝)36dの上下方向(Z軸方向)の位置とほぼ同じになるように設定されている。
前記平面スライドユニットSUh、スキャナ固定台51、スキャナ52、プローブホルダ53及びプローブ54等によってスキャナ保持装置SDが構成されている。
【0049】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた低温高真空走査型トンネル顕微鏡(低温UHV−STM;実施例1の走査型プローブ顕微鏡)SPMでは、試料ホルダ26が装着されたSTMセルSは、前述したように、前記試料交換位置P2において、STMセルSはMGL搬送ロッド8に保持され、試料観察位置P1に搬送されて、インナチャンバ3底部のセル支持装置4に装着される。
【0050】
前記STMセルSがSTMセル支持装置4に装着された後、前記各粗動ロッドRx〜Rzを操作し、前記X軸粗動ロッドRx及びY軸粗動ロッドRyをそれぞれ、X軸調節部材42の当接傾斜部42c及びY軸調節部材43の当接傾斜部43cに当接させ、Z軸粗動ロッドRzのギアRz1を伝達ギアG0に係合させる。そして、前記X軸粗動ロッドRx及びY軸粗動ロッドRyを上下方向に操作・調節してX軸調節部材43及びY軸調節部材41を、それぞれX軸方向及びY軸方向に沿って進退移動させる。これにより、前記平面スライダ47を前後左右(X軸、Y軸方向)に移動調節し、プローブ54先端の位置を移動(X軸粗動、Y軸粗動)させる。前記X軸粗動及びY軸粗動終了後、Z軸粗動ロッドRzを回転操作して前記伝達ギアG0を回転させる。これにより、スキャナ保持装置SDを上下方向に移動(Z軸粗動)させて、プローブ54先端を試料W表面にアプローチさせる(近接させる)。なお、本実施例では、プローブ54先端の粗動範囲(調節可能範囲)は、X、Y軸方向それぞれ±3mm程度、Z軸方向5mm程度に設定されている。
【0051】
前記X,Y,Z軸粗動によってプローブ54先端が走査開始位置に移動した状態で、前記スキャナ52をX、Y、Z軸方向に微動させながらプローブ54の先端により試料W表面走査する。なお、本実施例では、前記プローブ54の先端の微動範囲(走査可能範囲)は、X、Y軸方向それぞれ±10μm程度、Z軸方向6μm程度に設定されている。前記粗動範囲及び微動範囲は、用途、機能等に応じて変更可能である。
前記スキャナ52で走査可能な範囲の検査終了後、再び前記各粗動ロッドRx,Ry,Rzを操作し、前記プローブ54の先端を次の走査開始位置に移動させ、順次検査を行う。
【0052】
図7は実施例1のスキャナ保持装置の要部拡大図であり、図7Aは通常時の説明図、図7Bは粗動による傾斜時の説明図である。
図7において、前記X軸粗動及びY軸粗動を行う時(図7Aの状態)、平面スライダ47は前記スライドベース36のスライド面(スライド溝)36dと平面スライダ47のスライドボール48との接触面に沿ってスライド移動(粗動)する。このとき、前記スライド面36dやスライドボール48の表面上の微小な凹凸によって、ガタやズレが生じることがある。このガタやズレによって、走査開始位置で平面スライダ47は傾斜または振動(傾斜を繰り返す振動)する場合がある(図7B参照)。しかし、この傾斜の中心(支点)の位置であるスライド溝36d(スライド面)とスライドボール48との接触部分は、前記プローブ54の先端と上下方向に対してほぼ同じ位置に設定されている。したがって、前記支点(傾斜の中心)とプローブ54先端とのZ軸方向の距離L(図18参照)はほぼ0となる。即ち、前記式(1)(δd=L・sinθ)より、傾斜や振動の変位δdもほぼ0となり、プローブ54の先端部はほとんど変位または振動しない(図7B参照)。
したがって、実施例1の走査型プローブ顕微鏡SPMでは、走査開始時にプローブ54の先端が走査開始位置からずれることが防止され、目的の走査範囲の走査が可能となる。また、プローブ54の先端が走査開始位置からずれることによって発生する検査結果(SPM像)の誤差の発生や分析位置のズレの発生を防止できる。
【0053】
また、例えば、前記クライオスタット2内の冷媒として液体ヘリウムを使用した場合、液体ヘリウムの沸騰時の振動によって、スライドベース36や平面スライダ47が共振して振動することがある。この他にも、音の伝達や低温UHV−STMが設置された部屋の振動等に共振して振動することがある。しかし、このような粗動以外の外的な要因による振動の場合でも、振動の支点であるスライド面(スライド溝36d)がプローブ54とほぼ同じ位置に設定されているので、振動がプローブ54先端で増幅されることを防止できる。したがって、外的な要因による振動によってプローブ54が試料W表面を走査した時に得られるSPM像の精度の低下を防止することができる。
【0054】
さらに、インナチャンバ3内において検査を行う低温UHV−SPMの場合では、低温のため圧電体の微動の範囲が狭くなるので、必要な走査範囲(微動範囲)を得るためにスキャナを長くしなければならない。従来は、スキャナの長さが長くなるほど、平面スライダ47の傾斜・振動によるプローブ先端の変位・振幅が増幅されて大きくなっていた。しかし、実施例1のスキャナ保持装置SDでは、スライド面(スライド溝36d)がプローブ54の先端とほぼ同じ位置に設定されているので、スキャナ52が長くなってもプローブ54先端の振動を抑えることができる。
【0055】
また、実施例1の低温UHV−SPMで検査が行われる超高真空状態では、プローブ54や試料Wとその周囲との輻射熱の伝導は、距離に関係なく温度差の4乗に比例する。前記従来のスキャナ保持装置(図16参照)ではスキャナ011、プローブ013及び試料Wが露出しているので、外部の温度の変動によってプローブ013や試料Wの温度の変動が大きくなりやすく、検査結果に悪影響(SPM像の精度低下)を及ぼしていた。
実施例1のスキャナ保持装置SDでは、スキャナ52の全体が、平面スライダ47及びスライドベース36によって2重に覆われている。したがって、平面スライダ47及びスライドベース36を熱伝導性の良い材料で構成した場合、プローブ54や試料Wは、平面スライダ47によって外部からの輻射熱に対して熱的にシールドされる上に、前記平面スライダ47がスライドベース36によってさらに熱的にシールドされる。この結果、前記プローブ54及び試料Wは2重に熱シールドされる。このような2重の熱シールドにより、プローブ54や試料Wの温度の変動が抑えられるので、その温度は安定し、精度の高いSPM像を得ることができる。したがって、実施例1の低温UHV−STMの場合、円筒状の平面スライダ47及びスライドベース36は、傾斜・振動をプローブ54先端で増幅させないだけでなく、プローブ54と外部との間の熱シールドとして作用する。また、実施例1では、前述した2重の熱シールドにより、外部からの試料Wへの熱流入を小さく抑えることができるので、試料を効率的に冷却でき、従来より試料を低温に保持できる。また、この2重の熱シールドにより、効率的に冷却できるので、冷媒の液体ヘリウムの消費量も抑えることができる。
【0056】
この結果、X,Y,Z粗動時のプローブ54先端の傾斜及び振動を防止でき、且つ、スライドベース36及び平面スライダ47による熱シールドによってプローブ54及び試料Wの温度の変動が抑えられるので、実施例1の走査型プローブ顕微鏡(低温UHV−STM)SPMは、精度の高いSPM像を得ることができる。
なお、実施例1では、スライド面としてのスライド溝36dを形成したが、スライド溝36dを形成せず、ベース頂壁36bのリング状の下端面をスライド面とすることも可能である。
【0057】
(実施例2)
図8は実施例2のスキャナ保持装置の分解斜視図である。
図9は実施例2のスキャナ保持装置の要部拡大図であり、図9Aは側面図、図9Bは図9AのIXB方向から見た図である。
図10は実施例2のスキャナ保持装置の要部断面図であり、図10Aは図9BのXA−XA線断面図、図10Bは図10AのXB−XB線断面図である。
なお、この実施例2のスキャナ保持装置の説明において、前記実施例1のスキャナ保持装置の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0058】
実施例2のスキャナ保持装置SD′は、前記実施例1のスキャナ保持装置SDの平面スライダ47に替えてXYスライダを使用した実施例である。
図8〜図10において、角筒状の内壁を有するSTMセル(図示せず)内部に配置された角筒状のスキャナ保持装置SD′は、Xスライドベース61(図8参照)を有している。前記Xスライドベース61は、Xベース頂壁61aと、Xベース頂壁61aの左右(Y軸方向)両端に接続する左端壁(−Y端壁)61b及び右端壁(+Y端壁)61b′とを有する。前記Xベース頂壁61aにはネジ溝34aが形成された被保持部34が一体に形成されている。そして、前記Xスライドベース61の前後両端(+X端及び−X端)のZ軸方向中央部には、一対の板状のX軸調節部材支持部61c(図8、図10A参照)及びX軸押圧部材支持部61d(図9B、図10A参照)が設けられている。
【0059】
図10Aにおいて、前記X軸調節部材支持部61cにはX軸調節部材装着孔38′が形成されており、前記X軸押圧部材支持部61dにはX軸押圧部材装着孔39′が形成されている。前記X軸調節部材装着孔38′及びX軸押圧部材装着孔39′は、それぞれ実施例1のY軸調節部材装着孔38及びY軸押圧部材装着孔39と同様に構成されている。そして、前記X軸調節部材装着孔38′にはX軸調節部材43が前後方向(X軸方向)に進退移動可能に支持されており、前記X軸押圧部材装着孔39′にはX軸押圧部44が進退移動可能に支持されている。図8〜図10において、前記Xスライダ61の左右両端壁(Y端壁及び−Y端壁)61b,61b′の下面(−Z面)には、前後方向(X軸方向)に伸びる一対のXスライドレール62,62が固定支持されている。また、前記右端壁(+Y端壁)61b′には、Y軸調節部材41の角柱状外部41aが貫通するためのXベース長孔61e(図8、図9A参照)が形成されている。そして、前記Xベース頂壁61aの下面(−Z面)中央部には、Xスライダ引張バネ63の一端が支持されている。
【0060】
図10において、前記Xスライドベース61の内部にはXスライダ64が配置されている。前記Xスライダ64はXスライダ頂壁64aと、Xスライダ頂壁64aの左右両端(−Y端及び+Y端)に接続する一対のXスライダ側壁64b,64b′とを有する。前記一対のスライダ側壁64b,64b′のそれぞれの下端部(−Z端部)には、外方に突出するXスライド部64c,64cが形成されている。前記Xスライド部64c,64cには前記一対のXスライドレール62、62に係合する段差が形成されており、上面(+Z面)にはXスライド面64d、64d(図8、図10B参照)が設けられている。
【0061】
前記Xスライダ頂壁64aの上面(+Z面)には、前記Xスライダ引張バネ63の他端が固定支持されており、Xスライダ64が上方(Xスライドベース61側)に引張られている。したがって、前記Xスライド面64dに前記Xスライドレール62が押圧されて接触している(圧接されている)。したがって、前記Xスライド面64dとXスライドレール62との接触により、Xスライダ64は、Z軸方向が位置決めされ、且つ、X軸方向にスライド移動可能に支持されている。そして、図8に示すように、右側(+Y側)のXスライダ側壁64b′には、前記Xスライドベース61の右端壁(+Y端壁)62b′と同様に、Y軸調節部材41の角柱状外部41a(図10B参照)が貫通するXスライダ長孔64e(図8、図10B参照)が形成されている。
前記符号61〜64によって示された部材等によってXスライドユニットSUxが構成されている。
【0062】
図8、図10において、前記Xスライダ頂壁64aの下面(−Z面)にはYスライドベース66が固着されており、Xスライダ64とYスライドベース66は一体的に移動する。前記Yスライドベース66はYベース頂壁66a(図8参照)と、前記Yベース頂壁66aの前後端(+X端及び−X端)に接続する前後一対のYベース側壁66b,66b′とを有する。そして、図10Aに示すように、Yベース前側壁66bには、前記X軸調節部材43が当接し、Yベース後側壁66b′にはX軸押圧部材44が当接している。したがって、X軸粗動ロッドRxを上下方向(Z方向)に出し入れ・調節することによって、前記X軸調節部材43が前後方向(X軸方向)に進退移動し、Yスライドベース66及びXスライダ64をX軸方向に移動(X軸粗動)させることができる。
【0063】
図8、図10において、前記Yスライドベース66の左右両端(−Y軸端及び+Y軸端)のZ軸方向中央部には、Y軸押圧部材支持部66c(図8、図10B参照)及びY軸調節部材支持部66d(図10B参照)が形成されている。そして、前記Y軸押圧部材支持部66cには、Y軸押圧部材装着孔39が形成され、Y軸調節部材支持部66dにはY軸調節部材装着孔38が形成されている。そして、前記Y軸押圧部材装着孔39にはY軸押圧部材42がY軸方向に進退移動可能に支持されており、前記Y軸調節部材支持部66dにはY軸調節部材41がY軸方向に進退移動可能に支持されている。前記Y軸押圧部材装着孔39、Y軸調節部材装着孔38、Y軸押圧部材42及びY軸調節部材41は、それぞれ実施例1のそれと同様に構成されている。前記一対のYベース側壁66b,66b′の下端面(−Z端面)には左右方向(Y軸方向)に伸びるYスライドレール67(図8、図10A参照)が固定支持されている。前記Yスライドレール67の上下方向(Z軸方向)の位置は、前記Xスライドレール62の上下方向の位置とほぼ同じ位置に設定されている。そして、前記Yベース頂壁66aの下面(−Z面)中央部には、Yスライダ引張バネ68(図10参照)の一端が固定支持されている。
【0064】
図8、図10において、前記Yスライドベース66の内部にはYスライダ69が配置されている。前記Yスライダ69はYスライダ頂壁69a(図8参照)と、Yスライダ頂壁69aの前後両端(+X端及び−X端)に連結する一対のYスライダ側壁69b,69b′(図8、図10A参照)とを有する。前記一対のスライダ側壁69b,69b′のそれぞれの下端部(−Z端部)には、外方に突出するYスライド部69c,69c(図8,図10A参照)が形成されている。前記Yスライド部69c,69cには前記一対のYスライドレール67,67に係合する段差が形成されており、Yスライド部69cの上面(+Z面)側のYスライド面69dでYスライドレール67に当接している。前記Yスライダ頂壁69aの上面(+Z面)には前記Yスライダ引張バネ68が固定支持されており、前記Yスライダ引張りバネ68によってYスライダ69が上方(+Z軸方向)に引張られている。したがって、前記Yスライド面69dは前記Yスライドレール67に押圧されながら接触している。これにより、前記Yスライダ69は、上下方向(Z軸方向)が位置決めされ、且つ、Y軸方向にスライド移動可能に支持されている。
【0065】
図8、図10Bにおいて、前記Yスライダ69の左右両端(−Y端及び+Y端)のZ方向中央部には、左右一対の被押圧部69e,69e′が固定支持されている。図10Bに示すように、右側(−Y側)の被押圧部69eには前記Y軸押圧部材42が当接し、左側(+Y側)の被押圧部69e′には前記Y軸調節部材41が当接している。したがって、Y軸粗動ロッドRyを上下方向(Z軸方向)に出し入れ・調節することによって、前記Y軸調節部材41が左右方向(Y軸方向)に移動し、Yスライダ69が左右方向に移動(Y軸粗動)する。
前記符号66〜69によって示された部材等によってYスライドユニットSUyが構成されている。
前記XスライドユニットSUxおよびYスライドユニットSUyによってスキャナ支持部材SU′が構成されている。
【0066】
前記Yスライダ69のYスライダ頂壁69aの内側には、実施例1と同様に、円柱状のスキャナ固定台51、円筒状のスキャナ52、プローブホルダ53及びプローブ54が支持されている。前記スキャナ支持部材SU′、スキャナ固定台51、スキャナ52、プローブホルダ53及びプローブ54等によってスキャナ保持装置SD′が構成されている。
なお、実施例2のスキャナ保持装置SD′では、実施例1のスキャナ保持装置SDと異なり、大きな試料を観察したり、プローブ54のアプローチポイント(プローブ54と試料Wとが近接する位置)を外部から観察できるようにするために、前記プローブ54の先端部分のZ軸方向に対する位置は、前記Xスライド面64d及びYスライド面69dのZ軸方向の位置から若干突出するように設定されている。そして、このプローブ先端の突出に対応して試料Wの位置も下方に移動している。
【0067】
(実施例2の作用)
図11は実施例2のスキャナ保持装置の要部拡大図であり、図11Aは通常時の説明図、図11Bは粗動による傾斜時の説明図である。
前記構成を備えたスキャナ保持装置SD′を備えた実施例2の走査型プローブ顕微鏡SPMでは、X,Y軸粗動ロッドRx,Ryによって前記Xスライダ62及びYスライダ69を移動(X軸粗動、Y軸粗動)させる。そして、実施例1と同様にZ軸粗動ロッドRzによって、スキャナ保持装置SD′を上下方向に移動(Z軸粗動)させて、プローブ54の先端を試料Wの検査開始位置(走査開始位置)に移動させる。X,Y,Z軸粗動後、スキャナ52をX、Y、Z軸方向に微動させることにより、プローブ54の先端を試料W表面に沿って走査させて、試料W表面の検査を行う。
【0068】
図11において、前記X、Yスライダ64,69の粗動時に、前記Xスライド面64d及びYスライド面69dの表面の凹凸や、X,Yスライド面64d、69dとX,Yスライドレール62,67との間のガタやズレによってXスライダ64及びYスライダ69が傾斜したり、外的要因によって、X,Yスライダ64,69が振動することがある。実施例2のスキャナ保持装置SD′は、プローブ54の先端の位置が、振動の支点であるXスライド面64dおよびYスライド面69dの位置に対して、Z軸方向に若干突出した位置(L≠0)に設定されているので、プローブ54の先端が若干傾斜・振動する(図11B参照)。しかし、プローブ54の先端とX,Yスライド面64d,69dとのZ軸方向の距離L(即ち、プローブ54の先端の突出量)が、従来の粗動機構に比べ十分0に近いのでプローブ54先端の振動は従来に比べ飛躍的に抑えることができる。
この結果、試料WがYスライダ69の内径よりも大きく、プローブ54の先端をX,Yスライダ64,69の下端よりも突出させなければならない場合でも、従来のSPMよりもプローブ54の先端における振動を抑えることができる。
この突出量は、プローブ54先端の振動に影響し、SPM像に誤差として現れるので、許される誤差の範囲内で突出量は任意に設定可能である。
【0069】
したがって、実施例2のスキャナ保持装置SD′を有する走査型プローブ顕微鏡SPMでは、X,Yスライダ64,69の粗動時のプローブ54先端の傾斜及び外的要因による振動を抑えることができるので、従来に比べ精度の高いSPM像を得ることができる。
【0070】
なお、実施例2のスキャナ保持装置SD′は、Xスライドベース61、Xスライダ64、Yスライドベース66及びYスライダ69によって四方を囲まれている。したがって、スキャナ保持装置SD′によってスキャナ52やプローブ54は2重に囲まれているので、前記Xスライドベース61、Xスライダ64、Yスライドベース66及びYスライダ69を熱伝導性の良い材料で形成すると、XYスライド部材(61,64,66,69)を熱シールドとして利用できる。したがって、実施例2のスキャナ保持部材SD′も、実施例1のスキャナ保持装置SDと同様に、高い熱シールド効果が得られる。
なお、実施例2において、試料ホルダをYスライダ69の中に配置できる場合、実施例1と同様に、プローブ54の先端の位置とスライド面64dの位置がZ軸方向に対してほぼ同じ位置になるように設定することも可能である。
【0071】
(実施例3)
図12は本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施例3の全体説明図である。
図13は実施例3のステージユニットの要部拡大図である。
図14は実施例3のステージユニットの拡大平面図で、図12の矢印XIVから見た図である。
図15は実施例3のスライドベースの位置決め部材の説明図である。
なお、この実施例3のスキャナ保持装置の説明において、前記実施例2のスキャナ保持装置SD′の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0072】
図12において、実施例3の走査型プローブ顕微鏡SPMは、試料室A1を有している。前記試料室A1を形成する外壁71には、+Z側部分に仕切弁72を介して試料交換室A2が接続され、−Z側部分にステージ支持フランジ73が設けられ、+X側に観察窓76が設けられている。
【0073】
前記試料交換室A2の外壁(図示せず)には、試料ホルダ搬送部材77がZ軸方向に進退移動可能に支持されている。前記ホルダ搬送部材77は、前記仕切弁72を通って試料室A1および試料交換室A2間で、試料ホルダ26を搬送する。
図12、図13において、前記試料室A1内に配置された大ベース78は前記ステージ支持フランジ73の内側に支持されている。前記大ベース78上に、4個の防振ユニット79を介して小ベース80が支持されている。大ベース78および小ベース80にはそれぞれ位置決め部材貫通口78aおよび80a(図13参照)が形成されている。
【0074】
(試料ステージ)
図12〜図14に示すように、前記小ベース80の先端部(Z側端部)には、小ベース80と一体に構成された試料ステージ支持部材86が設けられている。試料ステージ支持部材86は、中央部に形成された1個の試料ホルダ貫通孔86a(図13参照)と、その外側に形成された3個のステージ支持孔86bとを有している。前記試料ステージ支持部材86の−Z側には試料ステージTが配置されている。前記試料ステージTは前記ステージ支持孔86bに嵌合するステージ支持脚87及び試料ステージ本体88を有しており、前記試料ステージTは前記試料ステージ支持部材86に固定支持されている。前記ステージ本体88には中央に試料ホルダ装着孔88aが形成されている。
【0075】
(プローブステージ)
前記小ベース80にはZ軸方向に延びるレール(図示せず)によりZスライドベース91(図14参照)が移動可能に支持されている。
前記Zスライドベース91はその−Z側端部が連結レバー92に連結されており、前記連結レバー92はベース移動用ロッド93に連結されている。ベース移動用ロッド93は手動操作部材94によりZ軸方向に移動可能である。
前記Zスライドベース91は、2本の引張バネ96,96(図14参照)により+Z方向に引張られ、且つ、前記Zスライドベース91の前端面に当接する位置決め部材97(図15参照)により位置決めされている。図15において、前記位置決め部材97は、上端部のU字型部分97aとその中央部から下方に延びる直線状ロッド部分97bとを有しており、その直線状ロッド部分97b上端部のヒンジ連結部97cが設けられている。
【0076】
図13、図15において、小ベース80の下面の位置決め部材貫通口80aに対応する位置に一対のヒンジ連結部材98,98が固定されている。前記位置決め部材97は前記一対のヒンジ連結部材98,98によりヒンジ連結された前記ヒンジ連結部97cを揺動中心として、Z軸方向に揺動可能である。
前記位置決め部材97のU字型部分97aの両端部は、前記Zスライドベース91の+Z方向を向いた端面に当接しており、下端部は大ベース78の位置決め部材貫通口78a(図13、図15参照)を貫通してスライドベース位置制御ロッド99の先端部(Z側の端部)に当接している。
前記スライドベース位置制御ロッド99は、前記ステージ支持フランジ73の外側面に支持されたベース位置制御モータユニットMZ(図12参照)によりZ軸方向に移動・調節(Z軸粗動)可能である。なお、前記連結レバー92、ベース移動用ロッド93及び手動操作部材94はZ軸方向に自由に移動できるようになっており、前記ベース位置制御モータユニットMZによってZスライドベース91をZ軸方向に粗動する際、前記連結レバー92等によって妨げられることなくZ軸粗動を行うことができる。
【0077】
図13、図14において、前記Zスライドベース91上に保持装置支持部材100がボルトで固定支持されており、保持装置支持部材100の+Z側端部の連結部100aに角筒状のスキャナ保持装置SD″のXベース頂壁64aが固定支持されている。前記スキャナ保持装置SD″は、以下の3点以外は前記実施例2のスキャナ保持装置SD′と同様に構成されているので、詳細な説明は省略する。
(1)被保持部34を省略した点。
(2)プローブ54の先端をX,Yスライダ64,69のスライド面から外方に突出させた点。
(3)スキャナ52の先端部と基端部とを結ぶZ軸を横方向に配置した点。
【0078】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3のスキャナ保持装置SD″を備えた走査型プローブ顕微鏡SPMでは、試料を保持した試料ホルダ26はホルダ搬送部材77により搬送され、試料室A1に配置された試料ステージTに装着される。試料ホルダ26を試料ステージTに装着した後、前記ベース位置制御モータユニットMZによってスライドベース位置制御ロッド99を調節して、Zスライドベース91をZ軸方向に移動させ、プローブ54の先端と試料Wの表面との間隔を設定された間隔にする(Z軸粗動)。
【0079】
前記Z軸粗動後、X,Y軸粗動ロッドRx,Ryによって、前記Xスライダ62及びYスライダ69を移動(X軸粗動、Y軸粗動)させて、プローブ54の先端を試料Wの検査開始位置(走査開始位置)に移動させる。X,Y,Z粗動後、スキャナ52をX、Y、Z軸方向に微動させながらプローブ54の先端により試料Wを走査し、試料W表面の検査を行う。
【0080】
実施例3のスキャナ保持装置SD″は、前記実施例2のスキャナ保持装置SD′と同様に、プローブ54の先端が傾斜や振動の支点であるX,Yスライド面64d,69dのZ軸方向に対して若干突出した位置(L≠0)に設定されているが、プローブ54の先端とX,Yスライド面64d,69dとのZ軸方向の距離Lが、従来の粗動機構に比べ十分0に近いのでプローブ54先端の傾斜や振動の変位を従来に比べ飛躍的に抑えることができる。
この結果、実施例3のような、試料WがYスライダ69の内径よりも大きく、プローブ54の先端をスライド面よりも突出させなければならない場合でも、従来のSPMよりもプローブ54の先端における振動を抑えることができる。
【0081】
したがって、実施例3のスキャナ保持装置SD″を有する走査型プローブ顕微鏡SPMでは、X,Yスライダ64,69の粗動時のプローブ54先端の傾斜や振動の変位量を抑えることができるので、従来に比べ精度の高いSPM像を得ることができる。
なお、実施例3において、試料ホルダ26をYスライダ69の中に配置できる場合、実施例1と同様に、プローブ54の先端の位置とスライド面64dの位置がZ軸方向に対してほぼ同じ位置になるように設定することも可能である。
【0082】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。以下に変更例を例示する。
(H01)前記各実施例において、粗動部材SSx、SSyの各部材の形状、配置位置及び構成は各実施例の構成に限定されず、スライダの位置を調節できる任意の粗動装置を使用可能である。
(H02)前記各実施例において、スキャナ保持装置SD,SD′,SD″のスキャナ52の先端部に試料ホルダ26を装着し、プローブ54を固定して、試料ホルダ26をスキャナ52によって走査させて試料W表面の検査を行うことも可能である。
(H03)前記各実施例において、プローブ54をX,Y粗動させ、試料ホルダ26をZ粗動させる等の構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例1において、スライド面36dとプローブ54の先端とがZ軸方向に対してほぼ同じ位置になるように設定したが、これを実施例2,3と同様にプローブ54の先端がスライド面36dよりも下方に突出するように設定することも可能である。
(H05)前記各実施例において、プローブ54の先端が、スライド面36dよりも上方に位置する(プローブ54先端がスライダ47内部に収容される)ように設定することも可能である。この場合でも、スライド面36dとプローブ54先端とのZ軸方向の距離Lが十分小さいので、実施例2,3で説明した理由と同様の理由によりプローブ54の先端における振動を従来に比べ飛躍的に抑えることができる。
(H06)前記各実施例において、スライダ引張バネによってスライダを位置決め及びスライド移動可能する構成としたが、スライダをスライドベースに押し当てて位置決め及びスライド移動可能とする任意の構成を使用可能である。すなわち、電界や磁力を利用してスライダを引張る構成や外部からスライダをスライドベースに押し付ける構成とすることも可能である。
【0083】
【発明の効果】
前述の本発明のスキャナ保持装置及び走査型プローブ顕微鏡は、下記の効果を奏することができる。
(E01)スライドレールのガタやズレや、外的な振動をスキャナ固定台に伝達しないことにより、プローブ先端の振動を抑えることができる。
(E02)プローブ先端の振動を抑えることによって、精度の高いSPM像を得ることのできるSPM(走査型プローブ顕微鏡)を提供することができる。
(E03)プローブがスキャナ保持装置によって熱シールドされるので、プローブ付近の温度変化を抑えることができ、SPM像の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施例1の説明図で、図1Aは走査型プローブ顕微鏡のSTMセルが試料交換位置にある状態を示す図、図1BはSTMセルが試料観察位置にある状態を示す図である。
【図2】 図2は実施例1の走査型プローブ顕微鏡のSTMセルの説明図で、図2Aは正面図、図2Bは前記図2Aの矢印IIBから見た図、図2Cは前記図2AのIIC−IIC線から見た図、図2Dは前記図2AのIID−IID線断面図、図2Eは前記図2Dに示す着脱用レバーの斜視図、図2Fは前記図2Dに示すレバー支持部材の斜視図である。
【図3】 図3はSTMセル支持装置へのSTMセルの装着方法の説明図で、図3AはSTMセルをSTMセル支持装置に搬送した状態を示す図、図3BはSTMセルをSTMセル着脱用ロッドでSTMセル支持装置に押圧した状態を示す図、図3CはSTMセル着脱用ロッドを回転させてSTMセルをSTMセル支持装置に装着した状態を示す図、図3DはSTMセル着脱用ロッドを上方に離脱させた状態を示す図、図3Eは前記図3AのIIIE−IIIE線から見た図、図3Fは前記図3AのIIIF−IIIF線断面図、図3Gは前記図3CのIIIG−IIIG線から見た図、図3Hは前記図3DのIIIH−IIIH線断面図、である。
【図4】 図4は実施例1のSTMセルの要部断面図である。
【図5】 図5は図4のV−V線断面図であり、図5AはV−V線断面のギアを省略した図、図5BはV−V線断面のギアを記載した図である。
【図6】 図6は実施例1のSTMセルのスキャナ保持装置の要部説明図であり、図6Aは断面図、図6Bは図6AのVIB方向から見た図、図6Cは図6BのVIC方向から見た図である。
【図7】 図7は実施例1のスキャナ保持装置の要部拡大図であり、図7Aは通常時の説明図、図7Bは粗動による傾斜時の説明図である。
【図8】 図8は実施例2のスキャナ保持装置の分解斜視図である。
【図9】 図9は実施例2のスキャナ保持装置の要部拡大図であり、図9Aは側面図、図9Bは図9AのIXB方向から見た図である。
【図10】 図10は実施例2のスキャナ保持装置の要部断面図であり、図10Aは図9BのXA−XA線断面図、図10Bは図10AのXB−XB線断面図である。
【図11】 図11は実施例2のスライドベースの位置決め部材の説明図である。
【図12】 図12は本発明の走査型プローブ顕微鏡の実施例3の全体説明図である。
【図13】 図13は実施例3のステージユニットの要部拡大図である。
【図14】 図14は実施例3のステージユニットの拡大平面図で、図12の矢印XIVから見た図である。
【図15】 図15は実施例3のスライドベースの位置決め部材の説明図である。
【図16】 図16は従来のX、Yスライダを備えたSPM(走査型プローブ顕微鏡)のスキャナ部分の説明図であり、図16Aは部分断面図、図16Bは図16AのXVIB−XVIBから見た図である。
【図17】 図17は従来の平面スライダを備えたSPMのスキャナ部分の説明図であり、図17Aは部分断面図、図17Bは図17AのXVIIBから見た図である。
【図18】 図18は従来のスライダを有するSPMの粗動時の作用を示す図で、図18Aは図16のSPMのYスライドユニットとスキャナ部分の説明図、図18Bは粗動時の作用説明図、図18Cは前記図18A、図18Bに示すスキャナ固定台の傾斜角θとプローブ先端の変位δdとの角度関係の説明図である。
【符号の説明】
SD,SD′…スキャナ保持装置、SU,SU′…スキャナ支持部材、W…試料、36;61,66…スライドベース、36d;64d,69d…スライド面、47;64,69…スライダ、52…スキャナ、54…プローブ。
Claims (2)
- 下記の構成要件(A01),(A02)を備えたことを特徴とするスキャナ保持装置、
(A01)基端部が支持され且つプローブまたは試料を保持する先端部が自由端として構成された圧電体により構成され、前記基端部及び先端部の両端部を結ぶZ軸方向に伸縮可能、且つ前記Z軸に垂直で且つ互いに垂直なX軸およびY軸方向に前記先端部が移動可能なスキャナ、
(A02)前記スキャナの基端部を支持するスライダと、前記スライダをスライド可能に支持するスライドベースとを有するスキャナ支持部材であって、前記スライダが前記スライドベースに接触してスライド移動するZ軸方向に垂直なスライド面と、前記プローブ先端または試料表面とがZ軸方向に対して略同じ位置に配置された前記スキャナ支持部材。 - 請求項1記載のスキャナ保持装置を備えた走査型プローブ顕微鏡。
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