JP4163055B2

JP4163055B2 - Stainless steel wire for heat-resistant springs and heat-resistant spring products using the same

Info

Publication number: JP4163055B2
Application number: JP2003179987A
Authority: JP
Inventors: 直行川畑; 好則谷本; 正治市川
Original assignee: Nippon Seisen Co Ltd; Chuo Hatsujo KK; Hitachi Metals Ltd
Current assignee: Nippon Seisen Co Ltd; Chuo Hatsujo KK; Proterial Ltd
Priority date: 2003-06-24
Filing date: 2003-06-24
Publication date: 2008-10-08
Anticipated expiration: 2023-06-24
Also published as: JP2005015826A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱ばね、特に自動車、航空機、発電設備等のエンジン系、排気系等のような高温環境下で使用されるばねを形成するために、特に高温での強度と耐へたり性とを改善した耐熱ばね用ステンレス鋼線及びそれを用いてなる耐熱ばね製品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
自動車エンジンで発生する排ガスを浄化して環境を維持し、またエンジン回転に伴なう騒音を低減し、しかも自動車のレスポンス性を向上し、高出力化のためにマフラーが用いられている。
【０００３】
このマフラーとして最近では例えば図５に示すように、１〜３個（図５の例では２個）の壁により小室ａ１，ａ２、ａ３に区切りかつ小室ａ１で開口する排気管ｂを架け渡して金属製容器ｃで被包したものであって、流入管ｄから流入した排ガスが、小径の細穴から小室ａ２内に流入する際に容積が膨張する容積増幅作用によって、騒音低下等の前記機能を発揮させる。この排ガスは小室ａ２で開口する側管ｅをへて小室ａ１を通り前記排気管ｂをへて排出される。また前記流入管ｄと排気管ｂとに並べてその間には、小室ａ１，ａ３とで開口しかつ小室ａ３端に、エンジンの回転状況、排気の量などに応じて小室ａ３の内圧が大となるとき内圧に応じて徐々に開放するダンパーｆが付設された戻り管ｇを設けている。なおダンパｆは排ガスの流入圧力が大となることによりばねｈに抗して開放され、これにより図５に破線で示す戻り管ｇを通る排ガス通路を生じて排ガス量を増加させる。
【０００４】
ところで、近年の自動車性能の飛躍的な向上に伴なって排ガス温度も高温化しそのため、マフラー、付属用部品等、特に前記ばね製品については、高温環境中でも予め設定されたばね特性を維持すべく、耐熱性、耐酸化性などとともに、ばね製品としての弾性、熱による耐へたり性を高めた製品が不可欠となっている。
【０００５】
従来、このような高温状態で使用されるばね用材料として、従来、ＳＵＳ３０４、ＳＵＳ３１６，ＳＵＳ６３１，ＳＵＳ６３１Ｊ１などに代表されるオーステナイト系ステンレス鋼線が用いられ、又ＪＩＳ−Ｇ４３１１の「耐熱鋼棒」、例えば高ＮｉとしたＳＵＨ６６０などが耐熱材として、ときにばね用途で用いられている。
【０００６】
しかし、これらステンレス鋼の耐熱温度はせいぜい４００〜５００℃程度に留まり、更に高い温度では例えばσ相を形成して高温酸化、熱腐食を発生させ、また高温時には弾性が低下し、繰返し使用に伴なってへたり性が大きくなるなど、寿命面においても満足できないものであり、使用範囲も前記温度以下程度で制約されている。
【０００７】
こうした要請に応えるべく、例えば１８Ｃｒ−３Ｍｏ−５ＮｂにＴｉ，Ａｌ等を添加したＮｉ基合金のＩｎｃｏｎｅｌ７１８材（Ｉｎｃｏｎｅｌは登録商標）が提案されている。このものは、Ｃ≦０．１，Ｃｒ：１８．０〜２１．０、Ｃｏ：１２．０〜１５．０、Ｍｏ：３．５〜５．０、Ｔｉ：２．０〜４．０％と、Ａｌ：１．０〜３．０を含み残部実質的にＮｉからなるＮｉ基合金である（特許文献１）。
【０００８】
また、Ｃ：０．０２〜０．３０％，Ｓｉ：０．０２〜３．５％，Ｍｎ：０．０２〜２．５％，Ｎｉ：１０〜５０％，Ｃｒ：１２〜２５％，Ｔｉ：１．０〜５．０％，Ａｌ：０．００２〜１．０％を含有し、かつＮｂ：０．１〜３．０％，Ｂ：０．００１〜０．０１％，Ｍｏ：０．１〜４．０％の1 種以上を含有して、Ｔｉ＋Ａｌ＋Ｎｂが３．０〜７．０％とする耐熱ステンレス鋼線が、耐へたり性を向上するものとして提案されている（特許文献２）。
【０００９】
特許文献１特開２０００−１０９９５５号公報
特許文献２特願平１１−１６１５７４号公報
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば前者のＩｎｃｏｎｅｌ７１８材は、特許文献１に記載のごとくＮｉ基合金製のばね用材料であり、耐熱特性自体は前記ＳＵＨ６６０材に比して優れているものの、Ｎｉを５０％以上含み、さらに１２〜１５％のＣｏも含むなど高価であって、しかも溶解、熱間圧延での製造歩留まりが良好とはいえず、生産性も良好とはいえず普及には至っていない。
【００１１】
さらに特許文献２の提案によるものは、粒界に析出するη相と、基地であるγ相結晶内に析出するγ’相との重量比を０．０１〜３０％としている。ところでこのη相と熱へたり性との関係を調べた結果、η相が存在すると高温強度が急激に低下して、熱へたり性は大きくなりやすい傾向にあることが判明した。また、Ｔｉ、Ａｌ，Ｎｂなどの第三元素において、例えばＴｉ／Ａｌの比を５以上と大きくしたものでは７００℃のような高温環境に長時間晒すと、疑安定な前記γ’が有害なη相に変態し、その結果高温強度を低下させることも判明した。
【００１２】
したがってこのような材料では、自動車用のマフラーなどの長期に亘って高温に晒され、しかもコストダウンが必須の用途には採用しがたい。
【００１３】
本発明は、Ｆｅ基のオーステナイト系ステンレス鋼線中の各成分の調整による基地強化とγ’相による析出強化を図りながらη層の生成を抑えるとともに、大して高価格とすることなくばね製品としての加工性と高温環境中でのばねへたり性とを改善し得る耐熱ばね用のステンレス鋼線とそれを用いた耐熱ばね製品の提供を目的としている。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本件請求項１に係る発明は、質量％で、Ｃ≦０．２０％以下、Ｓｉ≦１．０％、Ｍｎ≦２．０％、Ｎｉ：２５〜３０％、Ｃｒ：１０〜１６％、Ｍｏ：０．１〜１．０％、Ａｌ：１．０を越え２．０％以下、Ｔｉ：２．５〜３．５％、Ｎｂ：０．１〜０．７％を含み、又は前記組成に加えて、０．０２％以内のＢ，Ｍｇ，Ｃａのいずれか１種以上、及び／又は０．２％以内のＺｒを添加させ、しかも残部を不可避不純物及びＦｅとし、
かつＴｉ／Ａｌ＝１．８〜３．２、及び１．８Ａｌ＋Ｔｉ＋０．５Ｎｂ＝４．８〜６．２に調整したステンレス鋼からなり、
しかも溶体化熱処理と該溶体化熱処理後の冷間加工とによって、引張強さが９００〜１３００ＭＰａ、０．２％耐力と前記引張強さとの比（耐力／引張強さ×１００）が８０〜９２％であることを含む特性を有することにより高温耐熱へたり性を向上したことを特徴とする耐熱ばね用ステンレス鋼線である。
【００１５】
本件請求項２に係る発明は、横断面におけるＪＩＳ−Ｇ０５５１の結晶粒度番号の平均値が、３〜７であること、請求項３に係る発明は、表面に０．２〜５μｍ厚さのＮｉメッキによって被覆したことを含むこと、請求項４に係る発明は、６００℃×１００Ｈｒの加熱におけるη相生成量が、横断面面積比で１０％以下であることを含むことを夫々特徴としている。
【００１６】
又請求項５に係る発明は、前記溶体化処理が、下記式（１）により算出した温度（℃）で行い、かつ前記冷間加工は加工率３０〜５０％の冷間伸線加工であることを特徴とする。
【００１７】
温度（℃）＝｛４８０／（Ｔｉ／Ａｌ）＋（９２０〜９８０）｝… （１）
【００１８】
さらに請求項６に係る発明は、請求項１〜５のいづれかに記載の耐熱ばね用ステンレス鋼線によってコイル巻されたばねからなる耐熱ばね製品であり、請求項７に係る発明は、前記ばねが、コイル巻中心径（Ｄ）とこれを構成する前記耐熱ばね用ステンレス鋼線の線径（ｄ）との比（Ｄ／ｄ）が、３〜２０倍のねじり用ばねであること、請求項８に係る発明は、前記ばねがコイル巻中心径（Ｄ）とこれを構成する前記ステンレス鋼線の線径（ｄ）との比（Ｄ／ｄ）が、３〜１５倍の圧縮コイル用ばねであること、請求項９に係る発明は、前記ばねが、排気管内の排ガス経路切替用として用いられるものであることを特徴としている。
【００１９】
【発明の実施の形態】
本発明に係る耐熱ばね用ステンレス鋼線は、その組成として、質量％で、Ｃ≦０．２０％以下、Ｓｉ≦１．０％、Ｍｎ≦２．０％、Ｎｉ：２５〜３０％、Ｃｒ：１０〜１６％、Ｍｏ：０．１〜１．０％、Ａｌ：１．０を越え２．０％以下、Ｔｉ：２．５〜３．５％、Ｎｂ：０．１〜０．７％を含み、又は前記組成に加えて、０．０２％以内のＢ，Ｍｇ，Ｃａのいずれか１種以上、及び／又は０．２％以内のＺｒを添加させ、しかも残部を不可避不純物及びＦｅとしたステンレス鋼である。
【００２０】
「不可避不純物」として、金属組成において避け得ない不可避不純物の存在を認めている。前記組成に加えて、０．０２％以内のＢ，Ｍｇ，Ｃａのいずれか１種以上の添加、及び／又は０．２％以内のＺｒの添加させることは、前記Ｂ、Ｚｒの添加は粒界強化作用による高温での強度を高め、他方、前記ＣａやＭｇは熱間加工時の延性を改善するとともに、高温引張りを向上することで有効である。
【００２１】
さらに、耐熱ばね用ステンレス鋼線においては、Ｔｉ／Ａｌ＝１．８〜３．２とし、かつ１．８Ａｌ＋Ｔｉ＋０．５Ｎｂ＝４．８〜６．２に調整している。通常、これらＡｌ，Ｔｉ及びＮｂの添加は、その後の時効処理などによって母材中のＮｉと化合した金属間化合物γ’相（Ｎｉ３（Ａｌ，Ｔｉ，Ｎｂ））を析出させ、高温強度を高めることができるが、一方ではγ’はより安定なη相に変化しやすく、それに伴なって高温強度を低下させる要因ともなっている。
【００２２】
したがって、特に使用温度が６００〜８００℃での高温特性を長時間にわたって安定維持させる為には前記γ’をより安定な状態で存在させる必要があり、前者関係式（Ｔｉ／Ａｌ）でη相の生成を抑えながらも、後者関係式（１．８Ａｌ＋Ｔｉ＋０．５Ｎｂ）によって高温引張り強度を維持させることが好ましいとの結論に至り、両者の最適範囲として、各々１．８〜３．２と、４．８〜６．２とした。
【００２３】
すなわち、前記成分のステンレス鋼において、前者Ｔｉ／Ａｌの関係が３．２を越えるものでは、η相の生成が比較的低い温度で起こり、一方、１．８を下回るように小さくすると各成分同士のバランスを損ねて、加工性低下などの問題の原因となり、より好ましくは２．０〜３．０とする。
【００２４】
また、後者の１．８Ａｌ＋Ｔｉ＋０．５Ｎｂについても、４．８未満では高温引張り強度が満足できず、逆に６．２を越える程大きいと熱間加工性が低下することとなってコストアップの要因となり、より好ましくは５．２〜５．８とする。
【００２５】
こうして調整されたステンレス鋼は、溶体化熱処理と冷間加工、例えば冷間伸線加工によって所定線径に加工し、この冷間加工によって引張強さ９００〜１３００ＭＰａの半硬質状態でありながらも、０．２％耐力と引張強さとの耐力比（０．２％耐力／引張強さ×１００）を８０〜９２％とする。
【００２６】
すなわち、一般的なばね用ステンレス鋼線を規定している例えばＪＩＳ−Ｇ４３１４では、引張強さとして約１６００〜２２００ＭＰａの高強度にすることとし、高強度化によってばね弾性を向上させている。しかし、高温環境に晒されることを前提とする金属材料では、熱によって材料強度が低下（軟化）しやすい傾向を有するが、この時の強度低下率、即ち熱へたり率は、１３００ＭＰａを越える程高くした引張強さでは低下率が大きくなり、一方、当初強度が９００ＭＰａ未満のものではばね材料として弾性を欠き好ましくないことから、ばね用鋼線として十分な弾性を発揮する引張強さとして９００〜１３００ＭＰａ（好ましくは、１０００〜１２００ＭＰａ）の範囲に設定している。
【００２７】
しかも、このような比較的低い引張り強度を補足する必要から、前記耐力比を高くすることによって、結果的にばねとしての必要な弾性効果を発揮させる。このため、前記耐力比の範囲を８０〜９３％としている。即ち、前記耐力比が８０％未満のものでは弾性特性が十分とは言えず所定のばね応力が発揮できず、また９３％を越える程大きくしたものでは、使用環境温度に伴なう熱へたり率が大きくなって、寿命低下の原因となる。
【００２８】
この耐力比を、一般的なばね用ステンレス鋼線、例えばＳＵＳ３０４ステンレス鋼線と比較すると、ＳＵＳ３０４鋼線を仮に本発明の引張強度と同等程度の引張強さとなるように加工した場合の耐力比は６０〜７０％程度と低く、また、これを更に加工した硬質仕上げのものでも約８０％よりも小に留まるものであったことから、本発明の前記組成、特性の高強度ステンレス鋼線の弾性特性が優れていることが解る。このように、本発明の耐熱ばね用ステンレス鋼線は、比較的低い強度でありながらもＳＵＳ３０４の硬質線材よりも高い耐力比を有しており弾性特性に優れているものと言える。耐力比でより好ましくは８３〜９３、さらには８５〜９３である。
【００２９】
こうした機械的特性とする為には、前記組成の調整とともに該鋼線の横断面における結晶粒度の大きさの平均値を３〜７の粗大結晶にするのがよい。この結晶粒度の大きさ表示については、ＪＩＳ−Ｇ０５５１に規定の計測方法、基準に基づき、例えば粒度番号３とは結晶粒の断面積が０．０１５６mm²、また同粒度番号７では０．０００９８mm²に相当する大きさとされている。なおその測定においては、鋼線の横断面を顕微鏡観察によって任意に選択した１０点以上の結晶粒について測定した値を換算し、その平均値で示すこととする。
【００３０】
このような粗大結晶粒度は、例えばオーステナイト系ステンレス鋼では通常の熱処理状態で得られるものと同程度のものであって、仮にこれを前記強度が得られる程度の伸線加工をしたものでは、その加工に伴って長手方向に伸びた長形の結晶粒に変化し、横断面方向での結晶粒大きさも微細化するにも拘わらず、本発明では、実質的に熱処理状態と同程度の前記範囲を有するものである。
【００３１】
一方、前記η相（Ｎｉ３Ｔｉ：ＨＣＰ構造）については、例えば図４に示すように、樹枝状に粒界に生成する組織であって、加熱温度の上昇に伴なって結晶中の疑安定なγ’（Ｎｉ３（Ａｌ，Ｔｉ，Ｎｂ））が変化することにより生ずる。このη相が析出すると高温での強度が急激に低下し、耐熱へたり性が低下して寿命が短くなることから、本発明では、少なくとも６００℃×１００Ｈｒでのη相の析出量が、横断面面積比で１０％以下、好ましくは５％以下にすることが好ましい。その為に、予め調整されたステンレス鋼材料を選定し、かつ所定の引張強さ及び耐力比になる条件での溶体化熱処理、冷間加工を施す。
【００３２】
また前記η相は、例えば１０％シュウ酸溶液中での電解エッチングや、王水など強酸溶液中に浸して腐食させ、顕微鏡による通像解析、あるいはＴＥＭ（ＴｒａｓｍｉｓｓｉｏｎＥｌｅｃｔｒｏｎＭｉｃｒｏｓｃｏｐｅ）などでの残器分析によって確認できる。
【００３３】
このような特性を持つ本発明のステンレス鋼線を得るには、前記調整された組成のステンレス鋼を所定線径になるまで伸線加工と熱処理をくり返し、さらに最終の溶体化熱処理を、温度（℃）＝｛４８０／（Ｔｉ／Ａｌ）＋９５０｝で、具体的には｛４８０／（Ｔｉ／Ａｌ）｝＋（９２０〜９８０）｝の許容範囲の温度条件で行って結晶粒を粗大にした上で冷間伸線するのがよく、さらに好ましくは鋼線の表面に０．２〜５μｍ程度のＮｉメッキが残留するように皮膜処理し、伸線加工、その後のばね成形加工での潤滑性を高める。また、前記伸線加工としては例えば３０〜５０％程度の比較的低い加工率で行なわれる。
【００３４】
高強度ステンレス鋼線は、単に冷間加工した前記鋼線を所定長さにカットし、コイリング加工などばね成形したままのもの、あるいはその後に、例えば温度６００〜７５０℃×３０ｍｉｎ．〜２４Ｈｒ．程度の条件でエージング処理を施し、より強度向上を図ることも好ましい。
【００３５】
なお高強度ステンレス鋼線の組成において、Ｃは、鋼線中のＣｒやＮと結合して炭窒化物を形成し高温強度を高めることで有効であるが、多量に含有すると耐食性を低下させる原因となる。この為、その上限を０．２０％とし、好ましくは０．０２〜０．０８％としている。
【００３６】
Ｓｉは、溶解時の脱酸剤として用いられ、固溶することで耐熱特性を高めることとなるが、過度の添加は高温強度を低下させることとなる為、１．０％以下、好ましくは０．５％以下とする。
【００３７】
またＭｎについても前記Ｓｉと同様に脱酸剤として用いられ、母材ステンレス鋼のγ相の相安定元素として有効であるが、２．０％を越える程の添加は高温環境での組織安定性、耐酸化性に弊害をもたらす。
【００３８】
Ｎｉは、安定したオーステナイト相をもたらし高温強度を高めることとなるが、２５％以下では耐熱性が得られにくく、また３０％を越える程の添加は価格上昇の原因となることから２５〜３０％、好ましくは２６〜２８％とする。
【００３９】
Ｃｒは、鋼線に耐食性と耐酸化性を付与する上で必須の元素であり、耐熱ばねとして高温環境での使用に耐える為には少なくとも１０％は必要であり、一方、１６％を越える程多量に含有すると組織的不安定となって、クリープ破断強度や延性の低下をもたらすことから１０〜１６％とし、好ましくは１２．５〜１４．５％とする。
【００４０】
Ｍｏは、オーステナイト相内に固溶し、高温強度を高めるとともに耐へたり性を向上する有効な元素であり、６００℃以上の高温環境で所定の耐へたり性をもたせる為には少なくとも０．１以上の添加が必要である。しかし、１．０％以上を添加すると伸線加工性やコイリング加工性を低下させ、また組織的不安定による耐食性への影響が懸念されることから０．１〜１．０％、より好ましくは０．２〜０．６％とする。
【００４１】
Ａｌは、鋼中に金属間化合物Ｎｉ３（Ａｌ，Ｔｉ）γ’相を析出させ、析出硬化による分散強化現象によって材料の強度や耐力を高めることから少なくとも１．０％を越える添加が必要であるが、２．０％を越えると熱間加工性が低下し、また介在物発生による耐食性低下などの原因となることから１．０％を越えて２．０％とし、好ましくは１．２〜１．４％とする。
【００４２】
Ｔｉは、前記ＡｌやＮｂとともにＮｉに結合してγ’相を生じさせ高温強度を高めることとなるが、多量に添加するとη相の析出を促進し耐熱特性を低下させることとなることから、本発明では、２．５〜３．５％とした。
【００４３】
Ｎｂも前記ＡｌやＴｉなどと同様にγ’相による高温強度を高める上で必要で、少なくとも０．１％以上の添加とするが、ＮｂはＦｅに固溶しにくく、０．７％以下とした。
【００４４】
高強度ステンレス鋼線を用いて、例えばコイリング加工されることによりコイル巻きされたコイルばねからなる耐熱ばね製品を形成する。前記コイルばねからなる耐熱ばね製品は、コイルばねの利点として、用いるステンレス鋼線の全体に亙ってほぼ均等に圧力が加わることから、局部変形を防ぐことができ、また該ばねにおけるコイル中心径（Ｄ）と用いるステンレス鋼線の線径（ｄ）との比率（Ｄ／ｄ）を適宜調整することで、最適なばね発生力や弾性特性を得ることができる利点がある。
【００４５】
バネの形状や寸法については、これを用いる用途などから適宜設定できるものであり、例えばばねの軸方向に沿って応力を作用させるようにコイル巻した圧縮コイルばねや、密着巻きしてなる引張コイルばね等の他、例えば図６のようにばねの両端部の線材を突出させ、この突出部同士に周方向の応力が付加するようにしたねじりコイルばねとしても形成できる。又トーションバーとして用いることもでき、高強度ステンレス鋼線を平坦処理することにより板ばね状とするなど、種々なばね製品とすることもできる。
【００４６】
またばねの形成寸法についても何等限定するものではないが、例えばその用途が図５に例示したマフラー内ダンパー開閉用のばねｈとして用いるものでは、０．３〜３mmのステンレス鋼線により、２０mm以下の径に巻回したものが用いられ、特に前記ねじりコイルばねとしては、前記ばね比率（Ｄ／ｄ）を３〜２０とし、一方圧縮ばねにあっては３〜１５とすることによりステンレス鋼線自体にかかる付加応力が比較的小さく疲労特性が安定する。特に、前記Ｄ／ｄ比率を必要以上に大きくしたものでは十分なはね発生力が得られにくく、又３を下回るものでは、成形加工が困難となる。
【００４７】
こうして成形されたばねは、そのまま使用してもよいが、そのバネ特性をさらに向上させる為に低温熱処理を施すことが好ましい。この低温熱処理は、例えば温度５５０〜７５０℃、さらには６００〜７００℃×１０分〜５時間の条件で行うのが好ましく、雰囲気は大気中でも無酸化雰囲気中であってもよい。この場合、該バネに一定の応力が付加できるようにした状態で低温熱処理することによって、ばね特性を向上させることもできる。
【００４８】
こうして製造された例えば図６のばねｈは、排気管内の排ガス切替用として例えば図５に示すようなマフラー内の戻り管ｇの小室ａ１に位置する端部のダンパーｆをねじり力により押圧し、エンジン回転数の上昇に伴って送られる排気ガスが一次側の小室ａ３内に充満し、その室内圧力が前記ばねｆの弾性以上に達した時に該バネｈによって押圧封鎖されていた前記ダンパーｆが圧力に応じて開放し、新たな破線で示す流路を形成する。
【００４９】
したがって、ガスの充満圧力と前記ばねｈの弾性特性との関係付けが適正となるように予め調整することにより、マフラーの性能は常に安定したものとなり、しかも、前記ねじりコイルバネは設置スペースが小さく、また取付け容易でしかも大きな発生力を得ることができる。
【００５０】
【実施例】
以下、前記ステンレス鋼線及びそれによる耐熱ばねについて以下のテストを行った。
【００５１】
まず、高周波真空誘導炉で溶製し熱間圧延を施して線径５．５ｍｍとした表１に示す化学組成の本発明に係る実施例材（試料Ａ１〜Ａ４）、並びに比較例材として、Ｉｎｃｏｎｅｌ７１８合金と、ＳＵＨ６６０、及び本願発明の組成とはＭｏ，Ａｌ量が異なる線材（試料Ｂ１〜Ｂ３）を選定した。これら各線材に各々冷間伸線加工と熱処理を繰り返しながら細径化して、最終加工率（３０〜６５％）を考慮した２種類の中間素線径にした後、これを温度１１５０℃で連続熱処理を行ない、得られた軟質素線を出発材料とした。
【００５２】
【表１】

【００５３】
次に、この軟質素線をスルファミン酸ニッケル浴によるメッキ法によって、表面にＮｉ層を形成し、これを潤滑剤として加工率４０％，６０％での連続伸線加工（冷間伸線）を行い、目標仕上線径各々２．４ｍｍのステンレス鋼線を得た。得られた各鋼線の機械的特性を表２に示す。
【００５４】
【表２】

【００５５】
この結果に見られるように、実施例材の試料Ａ１〜Ａ４は、いずれの加工率のものも引張強さ９００〜１３００Ｎ／mm²で比較例材よりも若干低いものの、０．２％耐力値が大きくまた耐力／引張強さ×１００で示される耐力比についても比較鋼線よりも優れ改善されていた。
【００５６】
また、実施例材の結晶組織を観察した結果、４０％加工品では４〜６、また６０％加工品でも６〜７の横断面結晶粒度を有するものであり、比較例材よりも大きい結晶組織を有するものであった。その要因としては、前記成分調整とともに冷間加工前の熱処理を十分に行ったことによるものと推測される。
【００５７】
又その縦断面での結晶組織について観察したところ、前記伸線加工によってその長手方向に沿って若干引き伸ばされた程度のオーステナイト組織が確認され、この結晶組織について任意に抽出された各結晶粒の長さ寸法（Ｌ）と幅寸法（ｄ）との比、すなわちＬ／ｄ×１００の結晶アスペクト比の平均値を求めたところ、１．５〜８倍程度であった。
【００５８】
そこでこれらステンレス鋼線のばね特性を評価する為、次の試験を行った。
【００５９】
（試験１）時効処理温度に伴なう引張強さと耐力の増減特性
前記冷間加工したステンレス鋼線は通常、ばね形状に成形した後、ばね強度を高める為に、通常、時効処理が施されることから、評価項目として時効処理温度に伴なう引張強さ、耐力の変化を調査した。試験は、各試料について６００〜８００℃まで５０℃毎に処理し調べたものであって、加熱時間は４Ｈｒとした。
【００６０】
図１に見られるように、実施例材Ａ１は試験温度６００〜７５０℃の範囲でほぼ安定しているのに対し、例えば比較例材Ｂ１のＳＵＨ６６０は温度６５０℃で最大を示しながらもそれ以降急激に低下している。このことから、本発明の高強度ステンレス鋼線は時効処理温度に伴なう引張強さと耐力の増減特性において優れている。
【００６１】
（試験２）鋼線の高温引張特性
図２は、試験１の時効条件（６００℃〜８００℃）で処理した実施例材Ａ１を実際の使用状態を想定した特性試験として、環境温度６００℃に加熱された状態で引張強さがどのように変化するかを比較したものであり、比較試料として、前記比較例材Ｂ１を選択した。
【００６２】
これら結果から明らかなように、実施例材Ａ１はいずれの温度においても引張強さの低下率が小さく、特に加工率４０％の７００℃では１２％と優れている。他方、比較例材Ｂ１は、加工率による差はあまり見られず、また温度７００℃のもので低下率１５％を示したが、それ以外の温度はいずれも１８％を越え、熱影響を受け易いものであることが分かる。
【００６３】
（試験３）ばねの熱へたり試験
図３は、環境温度雰囲気中におけるばねとしての熱へたり特性を調べたものであり、ばねは前記実施例材Ａ２と比較例材Ｂ１，Ｂ３の３種類の鋼線について、外径１９ｍｍ、有効巻数４．６、ばね長さ４０ｍｍのコイルばねを試作した。これを６００Ｎ／mm²の圧縮荷重を付加して１００Ｈｒ放置した後、荷重を外した時のばね長さと、当初のばね長さとの比率で示したものであって、数値が大きいもの程、大きく変化したことを示している。
【００６４】
この結果に見られるように、比較例材Ｂ１は周囲温度の上昇に伴なってへたり率が放物線的に増加しているが、実施例材Ａ１ではへたり率の上昇は少なく、比較例材Ｂ３のＩｎｃｏｎｅｌ７１８と同等の特性を発揮した。このことから、本発明の高強度ステンレス鋼線は組成的に、比較例材Ｂ３に比して安価であるに拘わらず、へたりの少ない寿命向上できるばね製品を提供できる。
【００６５】
（試験４）顕微鏡組織調査
前記試験３で用いたばねについて、環境温度に伴なうη相の生成量の変化を、６００℃と７００℃で１００Ｈｒ処理したものを王水でエッチングした顕微鏡組織を画像解析し、面積比を求めた。
【００６６】
実施例材Ａ１のばねは、６００℃×１００Ｈｒでは面積比２．３％と非常に少なく、また７００℃でも８．２％であり、前記優れた耐熱へたり性の発揮に寄与していると推定できる。比較例材Ｂ１のばねは、６００℃で６．８％、７００℃では１４．２％の析出が確認された。
【００６７】
（試験５）
次に、ねじりばね（トーションばね）としての特性を評価するために、試験３で用いた実施例材Ａ１と比較例材Ｂ３の線径２．４mmの鋼線を用いて同ばねを製作した。
【００６８】
ばねは、図５のマフラーダンパー開閉用として用いる場合、例えばコイル内径９．５mm、巻数１４．７、自由角度２５４度とした図６に示すように密着成形したトーションコイルばねｈであり、７３０℃×４Ｈｒの時効処理をしている。この各ばねを応力負荷装置にセットし所定の締付け応力を加えた状態における環境温度と放置時間の違いによるトルク減少率の変化を見た。その結果を図７及び図８に示している。
【００６９】
図７は、締付け応力５９６Ｎ／mm²を負荷したまま試験温度６００℃の環境中に所定時間放置した時のトルク減少率の変化を見たものであり、５０Ｈｒ経過後いずれのばねも緩やかに上昇しているが、実施例材Ａ１のばねの減少率が小さく優れていることが分かる。
【００７０】
また図８は、同様の応力で締め付けたまま試験温度５００〜６５０℃に変化させ、１００Ｈｒ放置したものであり、図７の場合と同様に実施例材Ａ１のばねがすぐれた結果となった。特に温度が高い程優位性が認められ、更にこうしたトーションばねにおける最適な時効処理温度を残留剪断歪から検証したところ、７００〜７５０℃（好ましくは７１０〜７４０℃）とするのが最も優れた結果となった。
【００７１】
これら結果から明らかなように、本発明の耐熱ステンレス鋼線は、ｉｎｃｏｎｅ１７１８と同等以上の耐熱性を備えながらもコスト性、加工性に優れ、特にねじりばねとしたときのばね特性が優れていることが判明した。
【００７２】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の耐熱ばね用ステンレス鋼線は、Ｍｏ，Ａｌ，Ｔｉ，Ｎｂを含むとともに、１．８Ａｌ＋Ｔｉ＋０．５ＮｂとＴｉ／Ａｌとを各々所定範囲に調整した組成のステンレス鋼に、熱処理と所定の冷間加工を施こし、１０００〜１３５０ＭＰａの引張強さと８０〜９３％の耐力比を有することから、引張強さに比してより大きな弾性をもたせることとなり、６００℃以上の高温環境温度においても優れた熱へたり性を発揮することができる。
【００７３】
また耐熱ばね用ステンレス鋼線はｉｎｃｏｎｅｌ７１８のように高価なＮｉ、Ｃｒ、Ｍｏ、Ｎｂの分量を抑え、また溶解歩留りや比較的少ない加工率での冷間加工による製造歩留まりが向上して妥当な範囲のコスト低下も可能となる。
【００７４】
したがって、このステンレス鋼によって形成したばね製品は、優れた耐熱性と必要な弾性特性を備えたコイルばねにすることができ、これを排気ガスの経路切替用として、例えばマフラー内のダンパー開閉器に付設することで安定したマフラー性能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の鋼線の時効処理温度に伴なう引張強さの特性比較図である。
【図２】環境温度６００℃での引張強さの低下率の変化を示す図である。
【図３】試験温度に伴なう熱へたり率の変化を示す図である。
【図４】η相を示す鋼線の横断面写真（２００倍）の一例である。
【図５】（Ａ）はマフラーの構造を示す斜視図、（Ｂ）はダンバーを例示する斜視図である。
【図６】ばね試験に用いたねじりばねを例示する斜視図である。
【図７】図６のねじりばねにおける試験時間とトルク減少率の変化を示す図である。
【図８】図６のねじりばねにおける加熱温度とトルク減少率の変化を示す図である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
In order to form a heat-resistant spring, particularly a spring used in a high-temperature environment such as an engine system, an exhaust system, etc. of an automobile, an aircraft, a power generation facility, etc. The present invention relates to a stainless steel wire for heat-resistant springs and a heat-resistant spring product using the same.
[0002]
[Prior art]
Purifies the exhaust gas generated by automobile engines to maintain the environment, and the noise associated with engine rotationTheA muffler is used to reduce the vehicle's responsiveness and improve output.
[0003]
As this muffler, for example, as shown in FIG. 5, recently, an exhaust pipe b that is divided into small chambers a1, a2, and a3 and opened in the small chamber a1 is spanned by 1 to 3 walls (two in the example of FIG. 5). The above-mentioned functions such as noise reduction by the volume amplification function that expands when the exhaust gas flowing in from the inflow pipe d flows into the small chamber a2 from the small-diameter narrow hole is encapsulated in the metal container c. To demonstrate. The exhaust gas is discharged through the side pipe e opened in the small chamber a2 and through the small chamber a1 through the exhaust pipe b. Further, the internal pressure of the small chamber a3 becomes large depending on the rotational state of the engine, the amount of exhaust gas, etc. at the end of the small chamber a3 and between the inflow pipe d and the exhaust pipe b. A return pipe g provided with a damper f that gradually opens according to the internal pressure is provided. The damper f is opened against the spring h when the inflow pressure of the exhaust gas becomes large, thereby generating an exhaust gas passage through the return pipe g indicated by a broken line in FIG. 5 to increase the amount of exhaust gas.
[0004]
By the way, the exhaust gas temperature has also become higher with the dramatic improvement of automobile performance in recent years. Therefore, the muffler, accessory parts, etc., especially the spring products, are heat resistant in order to maintain the preset spring characteristics even in a high temperature environment. Products that have improved elasticity and heat resistance as well as elasticity and heat resistance as spring products are indispensable.
[0005]
Conventionally, as a spring material used in such a high temperature state, conventionally, an austenitic stainless steel wire typified by SUS304, SUS316, SUS631, SUS631J1, etc. is used, and “heat-resistant steel rod” of JIS-G4311, For example, high-Ni SUH660 is sometimes used as a heat-resistant material for springs.
[0006]
However, the heat-resistant temperature of these stainless steels remains at most about 400 to 500 ° C., and at higher temperatures, for example, a σ phase is formed to cause high-temperature oxidation and thermal corrosion. In other words, it is unsatisfactory in terms of life, for example, the sagability is increased, and the range of use is limited to about the above temperature or less.
[0007]
In order to meet such a demand, for example, an Inconel 718 material (Inconel is a registered trademark) of Ni-based alloy in which Ti, Al or the like is added to 18Cr-3Mo-5Nb has been proposed. This is C ≦ 0.1, Cr: 18.0 to 21.0, Co: 12.0 to 15.0, Mo: 3.5 to 5.0, Ti: 2.0 to 4.0% And Al: 1.0-3.0, the balance being a Ni-based alloy substantially consisting of Ni (Patent Document 1).
[0008]
Further, C: 0.02 to 0.30%, Si: 0.02 to 3.5%, Mn: 0.02 to 2.5%, Ni: 10 to 50%, Cr: 12 to 25%, Ti : 1.0 to 5.0%, Al: 0.002 to 1.0%, and Nb: 0.1 to 3.0%, B: 0.001 to 0.01%, Mo: 0 A heat-resistant stainless steel wire containing 0.1 to 4.0% of one or more and Ti + Al + Nb of 3.0 to 7.0% has been proposed as improving sag resistance (Patent Documents) 2).
[0009]
Patent Document 1 JP 2000-109955 A
Patent Document 2 Japanese Patent Application No. 11-161574
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
However, for example, the former Inconel 718 material is a spring material made of a Ni-based alloy as described in Patent Document 1, and the heat resistance itself is superior to that of the SUH660 material, but contains 50% or more of Ni, Furthermore, it is expensive because it contains 12 to 15% Co. Moreover, it cannot be said that the production yield in melting and hot rolling is good, and the productivity is not good, so that it has not spread.
[0011]
Further, according to the proposal of Patent Document 2, the weight ratio between the η phase precipitated at the grain boundary and the γ ′ phase precipitated in the base γ phase crystal is 0.01 to 30%. By the way, as a result of investigating the relationship between this η phase and heat sagability, it was found that when η phase is present, the high-temperature strength rapidly decreases and the heat sagability tends to increase. Further, in the case of a third element such as Ti, Al, Nb, etc., when the ratio of Ti / Al is increased to 5 or more, for example, when exposed to a high temperature environment such as 700 ° C. for a long time, the above-mentioned stable γ ′ is harmful. It has also been found that it transforms into the η phase, resulting in a decrease in high temperature strength.
[0012]
Therefore, it is difficult to use such a material for an application that is exposed to a high temperature for a long period of time, such as an automobile muffler, and that requires cost reduction.
[0013]
The present invention suppresses the formation of the η layer while improving the base strengthening by adjusting each component in the Fe-based austenitic stainless steel wire and the precipitation strengthening by the γ ′ phase, and as a spring product without greatly increasing the price. The purpose of the present invention is to provide a stainless steel wire for a heat-resistant spring capable of improving workability and spring sagability in a high-temperature environment, and a heat-resistant spring product using the same.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
  The invention according to claim 1 is mass%, C ≦ 0.20% or less, Si ≦ 1.0%, Mn ≦ 2.0%, Ni: 25-30%, Cr: 10-16%, Mo : 0.1-1.0%, Al: more than 1.0 and 2.0% or less, Ti: 2.5-3.5%, Nb: 0.1-0.7%In addition to or in addition to the above composition, any one or more of B, Mg, Ca within 0.02% and / or Zr within 0.2% is added, and the balance is inevitable impurities and Fe,
  And made of stainless steel adjusted to Ti / Al = 1.8 to 3.2 and 1.8Al + Ti + 0.5Nb = 4.8 to 6.2,
  Moreover, due to the solution heat treatment and the cold working after the solution heat treatment, the tensile strength is 900 to 1300 MPa, and the ratio of 0.2% proof stress to the tensile strength (proof strength / tensile strength × 100) is 80 to 92. It is a stainless steel wire for heat-resistant springs that has improved high-temperature heat-resistant sagability due to having characteristics including%.
[0015]
The invention of claim 2 is,sideThe average value of the grain size number of JIS-G0551 in the cross section is 3 to 7, and the invention according to claim 3 includes that the surface is coated with Ni plating having a thickness of 0.2 to 5 μm, The invention according to item 4 is characterized in that the η phase generation amount in heating at 600 ° C. × 100 Hr includes that the cross-sectional area ratio is 10% or less.
[0016]
In the invention according to claim 5, the solution treatment is performed at a temperature (° C.) calculated by the following formula (1), and the cold working is cold drawing with a working rate of 30 to 50%. It is characterized by that.
[0017]
Temperature (° C.) = {480 / (Ti / Al) +(920-980)} ... (1)
[0018]
The invention according to claim 6 is a heat-resistant spring product comprising a spring coiled by the stainless steel wire for heat-resistant spring according to any one of claims 1 to 5, and the invention according to claim 7 is characterized in that the spring is The ratio (D / d) between the coil winding center diameter (D) and the wire diameter (d) of the stainless steel wire for heat-resistant spring constituting the coil winding diameter is 3 to 20 times torsion spring. In the invention according to the present invention, the ratio (D / d) between the coil winding center diameter (D) and the wire diameter (d) of the stainless steel wire constituting the spring is 3 to 15 times.For compression coilThe invention according to claim 9 that is a spring is characterized in that the spring is used for switching an exhaust gas path in an exhaust pipe.
[0019]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
  The stainless steel wire for heat-resistant springs according to the present invention has a composition of mass%, C ≦ 0.20% or less, Si ≦ 1.0%, Mn ≦ 2.0%, Ni: 25-30%, Cr : 10-16%, Mo: 0.1-1.0%, Al: more than 1.0 and 2.0% or less, Ti: 2.5-3.5%, Nb: 0.1-0.7 %In addition to or in addition to the above composition, any one or more of B, Mg, and Ca within 0.02% and / or Zr within 0.2% is added, and the balance is inevitable impurities and Fe Stainless steel.
[0020]
  "`` Inevitable impurities '' admitted the presence of inevitable impurities in the metal composition. In addition to the above composition, addition of at least one of B, Mg and Ca within 0.02% and / or addition of Zr within 0.2%That isThe addition of B and Zr increases the strength at high temperature due to the grain boundary strengthening action, while Ca and Mg are effective in improving ductility during hot working and improving high-temperature tension.The
[0021]
Furthermore, in the stainless steel wire for heat-resistant springs, Ti / Al = 1.8 to 3.2 and 1.8Al + Ti + 0.5Nb = 4.8 to 6.2. Usually, the addition of these Al, Ti and Nb precipitates an intermetallic compound γ ′ phase (Ni3 (Al, Ti, Nb)) combined with Ni in the base material by subsequent aging treatment, etc., and increases the high temperature strength. However, on the other hand, γ ′ is likely to change to a more stable η phase, which is accompanied by a decrease in high-temperature strength.
[0022]
Therefore, in order to stably maintain the high temperature characteristics at a working temperature of 600 to 800 ° C. over a long period of time, it is necessary to make γ ′ exist in a more stable state, and the η phase is expressed by the former relational expression (Ti / Al). It is concluded that it is preferable to maintain the high-temperature tensile strength by the latter relational expression (1.8Al + Ti + 0.5Nb) while suppressing the generation of bismuth, and the optimum ranges of both are 1.8 to 3.2 and 4 respectively. .8 to 6.2.
[0023]
That is, in the stainless steel of the above component, when the former Ti / Al relationship exceeds 3.2, the formation of η phase occurs at a relatively low temperature. This causes a problem such as deterioration of workability and more preferably 2.0 to 3.0.
[0024]
Further, the latter 1.8Al + Ti + 0.5Nb also cannot satisfy the high-temperature tensile strength if it is less than 4.8, and conversely if it exceeds 6.2, the hot workability deteriorates, causing a cost increase. And more preferably 5.2 to 5.8.
[0025]
The stainless steel thus adjusted is processed into a predetermined wire diameter by solution heat treatment and cold working, for example, cold drawing, and even though it is in a semi-rigid state with a tensile strength of 900 to 1300 MPa by this cold working, The yield strength ratio between the 0.2% yield strength and the tensile strength (0.2% yield strength / tensile strength × 100) is 80 to 92%.
[0026]
That is, for example, in JIS-G4314 that defines a general stainless steel wire for springs, the tensile strength is increased to about 1600 to 2200 MPa, and the spring elasticity is improved by increasing the strength. However, a metal material premised on being exposed to a high temperature environment has a tendency that the strength of the material is easily lowered (softened) by heat, but the strength reduction rate at this time, that is, the heat sag rate exceeds 1300 MPa. The higher the tensile strength, the greater the decrease rate, while the initial strength is 900 MPa.Less thanSince the spring material lacks elasticity and is not preferable, the tensile strength that exhibits sufficient elasticity as a spring steel wire is set in the range of 900 to 1300 MPa (preferably 1000 to 1200 MPa).
[0027]
Moreover, since it is necessary to supplement such a relatively low tensile strength, the necessary elastic effect as a spring is exhibited as a result by increasing the yield ratio. For this reason, the range of the yield strength ratio is 80 to 93%. That is, if the yield ratio is less than 80%, the elastic characteristics are not sufficient and the predetermined spring stress cannot be exerted. If the yield ratio is greater than 93%, the heat build-up due to the ambient temperature increases. The rate increases and causes a reduction in life.
[0028]
When this yield strength ratio is compared with a general stainless steel wire for springs, such as a SUS304 stainless steel wire, the yield strength ratio when the SUS304 steel wire is processed to have a tensile strength equivalent to the tensile strength of the present invention is The hardness of the high strength stainless steel wire having the above composition and characteristics of the present invention is low because it is as low as about 60 to 70%, and even a hard finish obtained by further processing it is less than about 80%. It can be seen that the characteristics are excellent. Thus, it can be said that the stainless steel wire for heat-resistant springs of the present invention has a higher yield strength ratio than the hard wire of SUS304 and is excellent in elastic characteristics while having a relatively low strength. The yield strength ratio is more preferably 83 to 93, and even more preferably 85 to 93.
[0029]
In order to obtain such mechanical characteristics, it is preferable to adjust the composition and make the average value of the crystal grain size in the cross section of the steel wire 3 to 7 coarse crystals. Regarding the display of the crystal grain size, based on the measurement method and standard specified in JIS-G0551, for example, the grain size number 3 is 0.0156 mm in the cross-sectional area of the crystal grain.²In the same grain size number 7, 0.00098mm²The size is equivalent to. In the measurement, the values measured for 10 or more crystal grains arbitrarily selected by microscopic observation of the cross section of the steel wire are converted and indicated by the average value.
[0030]
Such coarse crystal grain size is, for example, about the same as that obtained in a normal heat treatment state in austenitic stainless steel, and if this is drawn to such an extent that the above strength is obtained, In the present invention, the above range is substantially the same as the heat treatment state despite the fact that the crystal grains change in the longitudinal direction along with the processing and change in size in the cross-sectional direction. It is what has.
[0031]
On the other hand, the η phase (Ni3Ti: HCP structure) is a structure formed at the grain boundary in a dendritic manner, for example, as shown in FIG. 4, and is a suspicious γ in the crystal as the heating temperature increases. '(Ni3 (Al, Ti, Nb)) is generated by changing. When this η phase is precipitated, the strength at high temperature is drastically decreased, the heat sagability is reduced and the life is shortened. Therefore, in the present invention, the amount of η phase deposited at least at 600 ° C. × 100 Hr is transverse. The surface area ratio is 10% or less, preferably 5% or less. For this purpose, a pre-adjusted stainless steel material is selected, and a solution heat treatment and a cold working are performed under conditions that provide a predetermined tensile strength and yield strength ratio.
[0032]
The η phase is, for example, electrolytic etching in a 10% oxalic acid solution,aqua regiaIt can be confirmed by immersion analysis in a strong acid solution or the like, and image analysis using a microscope, or residual analysis using a TEM (Transmission Electron Microscope).
[0033]
In order to obtain the stainless steel wire of the present invention having such characteristics, the stainless steel having the adjusted composition is repeatedly subjected to wire drawing and heat treatment until a predetermined wire diameter is obtained, and the final solution heat treatment is performed at a temperature ( ° C) = {480 / (Ti / Al) +950}, specifically, the crystal grains were coarsened by performing the temperature conditions within the allowable range of {480 / (Ti / Al)} + (920 to 980)}. It is better to cold-draw at the top, and more preferably, the surface of the steel wire is coated so that Ni plating of about 0.2 to 5 μm remains, and the lubricity in wire drawing and subsequent spring forming To increase. Further, the wire drawing is performed at a relatively low processing rate of about 30 to 50%, for example.
[0034]
The high-strength stainless steel wire is simply a cold-worked steel wire that has been cut into a predetermined length and remains spring-formed, such as coiling, or, for example, at a temperature of 600 to 750 ° C. × 30 min. -24Hr. It is also preferable to perform an aging treatment under such conditions to further improve the strength.
[0035]
In the composition of high-strength stainless steel wire, C is effective by combining with Cr and N in the steel wire to form a carbonitride to increase the high-temperature strength. It becomes. For this reason, the upper limit is made 0.20%, preferably 0.02 to 0.08%.
[0036]
Si is used as a deoxidizing agent at the time of dissolution, and when it is dissolved, the heat resistance is improved. However, excessive addition reduces the high-temperature strength, so 1.0% or less, preferably 0 .5% or less.
[0037]
Mn is also used as a deoxidizer in the same way as Si, and is effective as a phase-stable element for the γ phase of the base stainless steel. However, the addition of more than 2.0% is structural stability in a high-temperature environment. This has a negative effect on oxidation resistance.
[0038]
Ni provides a stable austenite phase and increases the high-temperature strength. However, if it is 25% or less, it is difficult to obtain heat resistance, and addition exceeding 30% causes an increase in price. , Preferably 26 to 28%.
[0039]
Cr is an essential element for imparting corrosion resistance and oxidation resistance to steel wires.As a springIn order to endure use in a high temperature environment, at least 10% is necessary. On the other hand, if it is contained in a large amount exceeding 16%, it becomes structurally unstable and causes a decrease in creep rupture strength and ductility. 16%, preferably 12.5 to 14.5%.
[0040]
Mo is an effective element that dissolves in the austenite phase to increase the high-temperature strength and improve the sag resistance. In order to have a predetermined sag resistance in a high-temperature environment of 600 ° C. or higher, Mo is at least 0. One or more additions are required. However, 1.0% or moreTheIf added, the wire drawing workability and coiling workability are lowered, and the influence on the corrosion resistance due to structural instability is concerned. Therefore, 0.1 to 1.0%, more preferably 0.2 to 0.6%. And
[0041]
Al precipitates the intermetallic compound Ni3 (Al, Ti) γ 'phase in the steel and increases the strength and proof strength of the material by the dispersion strengthening phenomenon due to precipitation hardening, so it is necessary to add more than 1.0%. However, if it exceeds 2.0%, the hot workability is deteriorated and the corrosion resistance is reduced due to inclusions. Therefore, it exceeds 1.0% to 2.0%, preferably 1.2 to 1.4%.
[0042]
Ti binds to Ni together with Al and Nb to form a γ 'phase and increases the high-temperature strength, but if added in a large amount, precipitation of η phase is promoted and heat resistance is reduced. In the present invention, it is 2.5 to 3.5%.
[0043]
Nb is also necessary for increasing the high-temperature strength due to the γ ′ phase as in the case of Al and Ti, and at least 0.1% or more is added, but Nb hardly dissolves in Fe and is 0.7% or less. did.
[0044]
Using a high-strength stainless steel wire, for example, a heat-resistant spring product comprising a coil spring coiled by coiling is formed. The heat-resistant spring product composed of the coil spring has an advantage of the coil spring that pressure is applied almost uniformly over the entire stainless steel wire to be used, so that local deformation can be prevented and the coil center diameter in the spring can be prevented. By appropriately adjusting the ratio (D / d) between (D) and the wire diameter (d) of the stainless steel wire to be used, there is an advantage that optimum spring generation force and elastic characteristics can be obtained.
[0045]
The shape and dimensions of the spring can be set as appropriate depending on the application using the spring. For example, a compression coil spring wound in a coil so that stress is applied along the axial direction of the spring, or a tension coil formed by tight winding In addition to a spring or the like, for example, as shown in FIG. 6, it can be formed as a torsion coil spring in which wire rods at both ends of the spring are protruded and circumferential stress is applied to the protrusions. It can also be used as a torsion bar, and can be made into various spring products such as a flat spring shape by flattening a high-strength stainless steel wire.
[0046]
Further, the formation dimension of the spring is not limited in any way. For example, when the use is used as the spring h for opening and closing the damper in the muffler illustrated in FIG. 5, the stainless steel wire of 0.3 to 3 mm is 20 mm or less. In particular, as the torsion coil spring, the spring ratio (D / d) is set to 3 to 20, while the compression spring is set to 3 to 15 to obtain a stainless steel wire. The applied stress on itself is relatively small and the fatigue characteristics are stabilized. In particular, when the D / d ratio is increased more than necessary, it is difficult to obtain a sufficient splashing force, and when the ratio is less than 3, molding is difficult.
[0047]
The spring formed in this way may be used as it is, but it is preferable to perform a low-temperature heat treatment in order to further improve the spring characteristics. This low-temperature heat treatment is preferably performed, for example, under conditions of a temperature of 550 to 750 ° C., further 600 to 700 ° C. × 10 minutes to 5 hours, and the atmosphere may be in the air or in a non-oxidizing atmosphere. In this case, the spring characteristics can be improved by performing low-temperature heat treatment in a state where a certain stress can be applied to the spring.
[0048]
For example, the spring h of FIG. 6 manufactured in this way presses the damper f at the end located in the small chamber a1 of the return pipe g in the muffler as shown in FIG. The damper f, which is pressed and sealed by the spring h when the exhaust gas sent as the engine speed increases, fills the small chamber a3 on the primary side and the chamber pressure reaches the elasticity of the spring f or higher. It opens according to pressure and forms a flow path indicated by a new broken line.
[0049]
Therefore, by adjusting in advance so that the relationship between the gas filling pressure and the elastic characteristics of the spring h is appropriate, the performance of the muffler is always stable, and the torsion coil spring has a small installation space, Further, it is easy to install and a large generated force can be obtained.
[0050]
【Example】
Hereinafter, the following tests were performed on the stainless steel wire and the heat-resistant spring thereby.
[0051]
First, as an example material (samples A1 to A4) according to the present invention having a chemical composition shown in Table 1 that was melted in a high-frequency vacuum induction furnace and hot-rolled to a wire diameter of 5.5 mm, and a comparative example material, Wire rods (samples B1 to B3) having Mo and Al contents different from those of the Inconel 718 alloy, SUH660, and the composition of the present invention were selected. Each of these wires is reduced in diameter while repeating cold wire drawing and heat treatment to obtain two intermediate wire diameters considering the final processing rate (30 to 65%), and then this is continuously performed at a temperature of 1150 ° C. Heat treatment was performed, and the obtained soft strand was used as a starting material.
[0052]
[Table 1]

[0053]
Next, a Ni layer is formed on the surface of this soft wire by a plating method using a nickel sulfamate bath, and this wire is used as a lubricant for continuous wire drawing (cold wire drawing) at a processing rate of 40% and 60%. And a stainless steel wire having a target finished wire diameter of 2.4 mm was obtained. Table 2 shows the mechanical properties of the obtained steel wires.
[0054]
[Table 2]

[0055]
As can be seen from these results, the samples A1 to A4 of the example materials have tensile strengths of 900 to 1300 N / mm regardless of the processing rate.²Although it was slightly lower than the comparative example material, the 0.2% proof stress value was large, and the proof stress ratio indicated by proof stress / tensile strength × 100 was also improved over the comparative steel wire.
[0056]
Moreover, as a result of observing the crystal structure of the example material, the 40% processed product has a cross-sectional grain size of 4 to 6 and the 60% processed product has a cross-sectional crystal grain size of 6 to 7, which is larger than that of the comparative example material. It was what had. This is presumably because the heat treatment before cold working was sufficiently performed together with the component adjustment.
[0057]
Further, when the crystal structure in the longitudinal section was observed, an austenite structure of a degree slightly stretched along the longitudinal direction was confirmed by the wire drawing, and the length of each crystal grain arbitrarily extracted with respect to this crystal structure. When the ratio of the length dimension (L) to the width dimension (d), that is, the average value of the crystal aspect ratio of L / d × 100, was obtained, it was about 1.5 to 8 times.
[0058]
Therefore, the following test was conducted to evaluate the spring characteristics of these stainless steel wires.
[0059]
(Test 1) Increase / decrease characteristics of tensile strength and proof stress with aging temperature
Since the cold-worked stainless steel wire is usually formed into a spring shape, it is usually subjected to an aging treatment in order to increase the spring strength.itemThe changes in tensile strength and proof stress with aging temperature were investigated. The test was performed by examining each sample from 600 to 800 ° C. every 50 ° C., and the heating time was 4 Hr.
[0060]
As seen in FIG. 1, the example material A1 is almost stable in the range of the test temperature of 600 to 750 ° C., whereas the SUH660 of the comparative example material B1 shows the maximum at the temperature of 650 ° C., but thereafter It has dropped rapidly. For this reason, the high-strength stainless steel wire of the present invention is excellent in the increase / decrease characteristics of tensile strength and proof stress accompanying aging treatment temperature.
[0061]
(Test 2) High-temperature tensile properties of steel wires
FIG. 2 shows how the tensile strength of Example Material A1 treated under the aging conditions of Test 1 (600 ° C. to 800 ° C.) was measured at an environmental temperature of 600 ° C. as a characteristic test assuming an actual use state. The comparison material B1 was selected as a comparative sample.
[0062]
As is clear from these results, Example Material A1 has a small decrease in tensile strength at any temperature, and is particularly excellent at 12% at 700 ° C. at a processing rate of 40%. On the other hand, comparative material B1 showed little difference due to the processing rate, and showed a decrease rate of 15% at a temperature of 700 ° C., but all other temperatures exceeded 18% and were affected by heat. It turns out that it is easy.
[0063]
(Test 3) Spring sag test
Figure 3 shows the ambient temperatureInThe heat sag characteristics as a spring in the spring were investigated, and the springs were the above-mentioned Example material A2 and Comparative Example material B1,B3A coil spring having an outer diameter of 19 mm, an effective winding number of 4.6, and a spring length of 40 mm was prototyped for the three types of steel wires. This is 600 N / mm²This is the ratio between the spring length when the load is removed and the initial spring length after being left to stand for 100 hours after adding the compression load. The larger the value, the greater the change. Yes.
[0064]
As seen in this result,Comparative Example Material B1Although the sag rate increased parabolically with the increase in ambient temperature, the increase in the sag rate was small in Example Material A1, and the same characteristics as Inconel 718 of Comparative Example Material B3 were exhibited. From this fact, the high strength stainless steel wire of the present invention can provide a spring product that can improve the life with less sag despite being compositionally cheaper than the comparative material B3.
[0065]
(Test 4) Microscopic investigation
Regarding the spring used in Test 3, the microscopic structure obtained by etching the change in the amount of η phase produced with the ambient temperature at 600 ° C. and 700 ° C. for 100 hours with aqua regia was subjected to image analysis to obtain the area ratio. It was.
[0066]
The spring of Example material A1 has a very small area ratio of 2.3% at 600 ° C. × 100 Hr, and 8.2% even at 700 ° C., which contributes to the display of the excellent heat sag resistance. Can be estimated. In the spring of the comparative material B1, 6.8% precipitation at 600 ° C. and 14.2% precipitation at 700 ° C. were confirmed.
[0067]
(Test 5)
Next, in order to evaluate the characteristics as a torsion spring (torsion spring), the spring was manufactured using the steel wire having a wire diameter of 2.4 mm of Example material A1 and Comparative example material B3 used in Test 3.
[0068]
When used for opening and closing the muffler damper in FIG. 5, the spring is a torsion coil spring h formed by close contact as shown in FIG. 6 having a coil inner diameter of 9.5 mm, a winding number of 14.7, and a free angle of 254 degrees, and is 730 ° C. * 4Hr aging treatment. Each spring was set in a stress load device, and a change in torque reduction rate due to a difference in environmental temperature and standing time was observed in a state where a predetermined tightening stress was applied. The results are shown in FIGS.
[0069]
FIG. 7 shows the tightening stress of 596 N / mm²The change in the torque reduction rate when left for a predetermined time in an environment at a test temperature of 600 ° C. with a load applied. Both springs gradually rose after 50 hours had passed. It can be seen that the reduction rate of the spring is small and excellent.
[0070]
FIG. 8 shows the test temperature changed to 500 to 650 ° C. while being tightened with the same stress and left for 100 hours. The result is that the spring of Example material A1 was excellent as in FIG. In particular, the higher the temperature, the greater the superiority. Further, when the optimum aging treatment temperature in such a torsion spring was verified from the residual shear strain, the most excellent result was 700 to 750 ° C. (preferably 710 to 740 ° C.). It became.
[0071]
As is clear from these results, the heat-resistant stainless steel wire of the present invention has heat resistance equivalent to or higher than that of incone 1 718, and is excellent in cost and workability, and particularly excellent in spring characteristics when used as a torsion spring. It has been found.
[0072]
【The invention's effect】
As described above, the stainless steel wire for heat-resistant springs of the present invention includes Mo, Al, Ti, and Nb, and is made of stainless steel having a composition in which 1.8Al + Ti + 0.5Nb and Ti / Al are adjusted to a predetermined range. The heat treatment and the predetermined cold working are performed, and since it has a tensile strength of 1000 to 1350 MPa and a proof stress ratio of 80 to 93%, it has a greater elasticity than the tensile strength, and is 600 ° C. or higher. Excellent heat settling can be achieved even at high ambient temperatures.
[0073]
Stainless steel wire for heat-resistant springs is reasonable because it suppresses the amount of expensive Ni, Cr, Mo, and Nb, as in inconel 718, and improves the manufacturing yield due to melting yield and cold working at a relatively low processing rate. The cost of the range can be reduced.
[0074]
Therefore, the spring product formed of stainless steel can be a coil spring having excellent heat resistance and necessary elastic characteristics, and this can be used, for example, as a damper switch in a muffler for switching the exhaust gas path. By attaching, it can have a stable muffler performance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a characteristic comparison diagram of tensile strength with aging treatment temperature of a steel wire of the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing a change in the rate of decrease in tensile strength at an environmental temperature of 600 ° C.
FIG. 3 is a diagram showing a change in heat sag rate with test temperature.
FIG. 4 is an example of a cross-sectional photograph (200 ×) of a steel wire showing the η phase.
5A is a perspective view illustrating a structure of a muffler, and FIG. 5B is a perspective view illustrating a damper.
FIG. 6 is a perspective view illustrating a torsion spring used in a spring test.
7 is a diagram showing changes in test time and torque reduction rate in the torsion spring of FIG. 6; FIG.
8 is a graph showing changes in heating temperature and torque reduction rate in the torsion spring of FIG. 6. FIG.

Claims

% By mass, C ≦ 0.20% or less, Si ≦ 1.0%, Mn ≦ 2.0%, Ni: 25-30%, Cr: 10-16%, Mo: 0.1-1.0% Al: more than 1.0 and not more than 2.0%, Ti: 2.5-3.5%, Nb: 0.1-0.7% included, or in addition to the above composition, within 0.02% Any one of B, Mg, Ca and / or Zr within 0.2% is added, and the balance is inevitable impurities and Fe,
And made of stainless steel adjusted to Ti / Al = 1.8 to 3.2 and 1.8Al + Ti + 0.5Nb = 4.8 to 6.2,
Moreover, due to the solution heat treatment and the cold working after the solution heat treatment, the tensile strength is 900 to 1300 MPa, and the ratio of 0.2% proof stress to the tensile strength (proof strength / tensile strength × 100) is 80 to 92. % Stainless steel wire for heat-resistant springs, which has improved high-temperature heat-resistant sagability by having characteristics including

The stainless steel wire for heat-resistant springs according to claim 1, wherein the average value of the grain size number of JIS-G0551 in the cross section is 3-7.

The stainless steel wire for heat-resistant springs according to claim 1 or 2, comprising covering the surface with Ni plating having a thickness of 0.2 to 5 µm.

Η phase the amount of heating of 600 ° C. × 100 Hr is resistant spring stainless steel wire according to either of claims 1 to 3 containing 10% or less in cross-sectional area ratio.

2. The solution treatment is performed at a temperature (° C.) calculated by the following formula (1), and the cold working is cold drawing at a working rate of 30 to 50%. 4. A stainless steel wire for a heat-resistant spring according to any one of 4 above.
Temperature (° C.) = {480 / (Ti / Al) + (920-980) } (1)

A heat-resistant spring product comprising a spring coiled with the stainless steel wire for a heat-resistant spring according to any one of claims 1 to 5.

The spring is a torsion spring having a ratio (D / d) of a coil winding center diameter (D) to a wire diameter (d) of the stainless steel wire for heat-resistant spring constituting the coil winding center diameter (D). The heat-resistant spring product according to claim 6.

The spring is a compression coil spring having a ratio (D / d) of a coil winding center diameter (D) and a wire diameter (d) of the stainless steel wire constituting the coil winding to 3 to 15 times. The heat-resistant spring product according to claim 6.

The heat-resistant spring product according to claim 7 or 8, wherein the spring is used for switching an exhaust gas path in an exhaust pipe.