JP4153779B2 - コンクリート構造物の損傷検知方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物に大きな外力が作用してひび割れ等の損傷が発生した場合に圧力流体を損傷箇所から浸透させ圧力流体の物性値の変化から損傷の検知を行うコンクリート構造物の損傷検知方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、構造物に外力が作用した場合に、損傷を生じたか否かを検知するための方法としては、破壊試験(破壊検査)と、非破壊試験(非破壊検査)とがある。破壊試験(破壊検査)は、実際の材料を用いて作製した供試体に荷重を加えて破壊し、供試体における損傷の箇所やその状況等を観察又は計測し、実際の構造物の場合に当てはめて判定する方法であり、直接的な方法ということができる。
【0003】
一方、非破壊試験(非破壊検査)は、構造物や供試体等を破壊せず、何らかの物理量を利用して構造物等の内部の状況を推定しようとする方法であり、破壊試験に比べると間接的な方法といえる。非破壊試験において利用する物理量としては、振動、超音波、放射線、磁気、材料破壊時に内部で発生する音(AE:Acoustic Emission)などがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−105665号公報(第6−7頁、図1−3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法においては、以下に述べるような各種の問題点があった。
【0006】
破壊試験(破壊検査)の場合は、構造物ごとに供試体作製とその破壊試験を行うとすると、そのための時間、供試体作製の手間、費用がかかり、効率的ではない、という問題がある。また、破壊は、作製された供試体の形状、あるいはその寸法の影響が大きく、供試体の形状等が異なると、破壊時の挙動も異なってくる。このため、実際の構造物の場合に当てはめる場合には、破壊試験結果に人間の判断や考察等を加えることになる。このことから、実際の構造物の損傷の状況等を精度よく判定することは困難で、かつ熟練を要する、という問題もあった。
【0007】
また、非破壊試験(非破壊検査)の場合は、構造物の内部で何らかの破壊が発生した事実、あるいは構造物の内部に何らかの損傷が存在する事実までは、検出できること多いが、その損傷の具体的な箇所、損傷の形状や寸法の明確な把握は困難であることが多い、という問題があった。
【0008】
また、場所打ちコンクリート杭のような地下構造物は、地中に構築されるため、地震等の外力により地下構造物の内部で何らかの破壊が発生、又は何らかの損傷が存在する事実は、人間の目視による直接的な確認が非常に困難である。このため、構造物の検査は容易ではない、という問題があった。このような地下構造物の検査については、行った例はあるが、この場合には、場所打ちコンクリート杭等の地下構造物の周囲の掘り返し作業等が伴うため、多大な費用等がかかる、という問題もあった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、実施方法が容易で、かつ構造物の損傷の箇所等の検知が可能なコンクリート構造物の損傷検知方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、第1の発明に係るコンクリート構造物の損傷検知方法は、コンクリート構造物のコンクリート硬化後に外部から前記コンクリート構造物の内部の損傷検出箇所まで到達する盲孔状の検出孔を形成し、前記検出孔の先端付近の部分である損傷検知空間の後端まで流体導管を挿入し、前記損傷検知空間には、前記圧力流体が浸透可能な多孔性を有し前記コンクリート構造物のコンクリート強度よりも低い強度でかつ脆性を有する第1嵌挿部材が嵌挿され、前記流体導管の他端に圧力流体を供給する圧力流体供給手段を接続し、前記流体導管又は前記液体容器には前記圧力流体の物性値を測定する流体測定手段を設置し、前記損傷検知空間の付近の前記コンクリート構造物に所定値を越える外力が付加された場合には、前記損傷検知空間のコンクリート内壁にひび割れが発生し、前記圧力流体供給手段から供給される圧力流体が前記流体導管と前記検出孔を経て前記ひび割れから前記コンクリート構造物の内部を経て外部へ浸透することに伴う前記圧力流体の物性値の変化が前記流体測定手段により検出され、前記損傷検知空間に所定外力値を越える外力が作用した旨を検知することを特徴とする。
第2の発明に係るコンクリート構造物の損傷検知方法は、コンクリート構造物のコンクリート硬化後に外部から前記コンクリート構造物の内部の損傷検出箇所まで到達する盲孔状の検出孔を形成し、前記検出孔の先端付近の部分である損傷検知空間の後端まで流体導管を挿入し、前記損傷検知空間には、前記圧力流体が浸透可能な多孔性を有し前記コンクリート構造物のコンクリート強度よりも低い強度でかつ可撓性を有する第2嵌挿部材が嵌挿され、前記流体導管の他端に圧力流体を供給する圧力流体供給手段を接続し、前記流体導管又は前記圧力流体供給手段には前記圧力流体の物性値を測定する流体測定手段を設置し、前記損傷検知空間の付近の前記コンクリート構造物に所定値を越える外力が付加された場合には、前記損傷検知空間のコンクリート内壁にひび割れが発生し、前記圧力流体供給手段から供給される圧力流体が前記流体導管と前記検出孔を経て前記ひび割れから前記コンクリート構造物の内部を経て外部へ浸透することに伴う前記圧力流体の物性値の変化が前記流体測定手段により検出され、前記損傷検知空間に所定外力値を越える外力が作用した旨を検知されることを特徴とする。
【0011】
上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、
前記圧力流体供給手段は、前記損傷検知空間よりも鉛直方向に高い位置に設置された液体容器であり、
かつ、前記圧力流体は、前記液体容器の鉛直方向位置と前記損傷検知空間の鉛直方向位置との高度差による圧力が付与された液体である。
【0012】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、前記流体測定手段は、前記圧力流体の物性値として、前記液体の液面位置又は流動する液体の流速若しくは前記液体の圧力を測定する。
【0013】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、
前記圧力流体供給手段は、気体を圧縮する気体圧縮機であり、
かつ、前記圧力流体は、前記気体圧縮機により圧縮され圧力が付与された気体である。
【0014】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、
前記圧力流体供給手段は、気体圧縮機により圧縮された気体を封入した圧力気体容器と、前記圧力気体容器内の気体を前記圧力流体導管へ送出し又は停止する開閉弁機構を有し、
かつ、前記圧力流体は、前記気体圧縮機により圧縮され圧力が付与された気体である。
【0015】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、前記流体測定手段は、前記圧力流体の物性値として、前記気体の圧力を測定する。
【0016】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、前記検出孔は、硬化後の前記コンクリート構造物の外部から前記コンクリート構造物の内部へ削孔を行うことにより形成される。
【0017】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、前記検出孔は、前記コンクリート構造物のコンクリート打設時に型枠が設置され前記コンクリートの硬化後に前記型枠をてっ去することにより形成される。
【0018】
また、上記のコンクリート構造物の損傷検知方法において、好ましくは、前記流体導管の外周面と前記検出孔の内壁の間は、前記圧力流体が漏出しないように保持される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法を説明する図である。また、図2は、図1に示す点検用ボックスの詳細な構成と作用を説明する図である。また、図3は、本発明の第1実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法の原理を説明する図である。
【0023】
図1に示すように、このコンクリート杭損傷検知方法においては、鉄道線路などを支持する高架橋200のフーチング202を支持する場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に形成された検出孔204を利用している。ここに、場所打ちコンクリート杭203は、特許請求の範囲におけるコンクリート構造物に相当している。
【0024】
検出孔204は、場所打ちコンクリート杭203のコンクリート硬化後に形成された円形断面の盲孔状の孔である。この検出孔204は、場所打ちコンクリート杭203の内部の損傷検出箇所まで到達している。
【0025】
また、検出孔204の先端(図1における下端)付近の部分は、損傷検知空間を構成している。この損傷検知空間の後端(図1における上端)には、ホース12の下端12aが挿入されている。ホース12は、ゴム材料、プラスチック材料、金属材料等からなる管状部材であり、特許請求の範囲における流体導管に相当している。
【0026】
ホース12は、フーチング202を貫通し、地盤Gの内部を通って地表から外部に出て、点検用ボックス11に接続している。図1に示すように、点検用ボックス11は、検出孔204の損傷検知空間よりも鉛直方向に高い位置に設置されている。
【0027】
図2(A)に示すように、点検用ボックス11は、中空箱状に構成され、ホース12の上端12bが収容されている。また、ホース12の上端12bには、異物等が入らないように、着脱可能なキャップ14が嵌められている。また、点検用ボックス11には、蝶番により開閉可能に構成された開閉扉13が設けられている。
【0028】
上記のように構成された点検用ボックス11において、場所打ちコンクリート杭203の損傷検知空間に損傷が発生しているか否かを検知するためには、ホース12の上端12bのキャップ14を取り外す。次に、透明材料からなる液体容器15の中に液体20を入れ、図2(B)に示すように、液体容器15の口をホース12の上端12bに接続する。
【0029】
この場合、透明材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの透明プラスチック材料、ガラスなどが用いられる。液体20としては、水のほか、アルコール等の他の液体を用いてもよい。また、液体20の液面20aを視認しやすくするために、液体20に着色料等を混合又は溶解させて着色してもよい。
【0030】
上記のような構成により、液体容器15は、検出孔204の損傷検知空間よりも鉛直方向に高い位置に設置されるため、液体容器15からホース12を経て検出孔204の損傷検知空間に到達した液体20には、液体容器15の鉛直方向位置と損傷検知空間の鉛直方向位置との高度差による圧力が付与される。これは、液体が水の場合には、静水圧となる圧力である。
【0031】
ここに、検出孔204の損傷検知空間よりも鉛直方向に高い位置に設置された液体容器15は、特許請求の範囲における圧力流体供給手段に相当している。また、液体容器15の鉛直方向位置と損傷検知空間の鉛直方向位置との高度差による圧力が付与された液体20は、特許請求の範囲における圧力流体に相当している。
【0032】
上記のような構成により、図3(A)に示すように、検出孔204の内部空間(損傷検出空間)には、圧力(静水圧)が付与された液体20が充満し、液体20は、検出孔204の内壁であるコンクリート面に接触している。
【0033】
この場合、液体20は、コンクリートの内部にわずかながら浸透する。単位時間当たりにコンクリート内に浸透して流れる量をQ(cm3/秒)とし、動水勾配をiとし、流れに直角な断面積をA(cm2)としたとき、下記の式(1)が成立する。
Q=k×i×A ………(1)
【0034】
また、上式(1)における動水勾配をiは、下式(2)で求められる値である。ここに、hは、液体容器15の鉛直方向位置と損傷検知空間の鉛直方向位置との高度差を示しており、Lは、液体20が浸透する距離を示している。
i=h/L ………(2)
【0035】
上式(1)における係数k(cm/秒)は、液体20が水の場合は、透水係数と呼ばれる値である。コンクリートの場合は、通常、kの値は、10-9〜10-8(cm/秒)程度となり、非常に小さい。したがって、液体20の流れは非常に遅く、図2(B)における液面20aの降下する速度は、ほとんど零であり、観測者には視認されない。
【0036】
ここで、場所打ちコンクリート杭203に所定値を越える外力、例えば大きな地震力が付加された場合には、図3(B)に示すように、検出孔204の損傷検知空間のコンクリート内壁にひび割れ205や206が発生する。このようなひび割れ205、206が発生すると、圧力(静水圧)が付与された液体20は、ホース12から検出孔204を経て、図3(B)において矢印でしめすように、ひび割れ205、206から場所打ちコンクリート杭203の内部を経て外部へ浸透していく。
【0037】
このように、ひび割れ205、206が発生したとき(図3(B)の状態)の液体20の浸透量は、ひび割れ発生前(図3(A)の状態)よりも格段に大きくなる。このため、液体20の流れは大きくなり、図2(B)における液面20aの降下する速度も、大きくなって、観測者によって容易に視認される。あるいは、ある時間経過後に図2(B)における液面20aの位置を計測すれば、それらの差を検出することができる。これにより、観測者は、場所打ちコンクリート杭203の検出孔204内の損傷検知空間に所定外力値を越える外力が作用した旨を検知することができる。
【0038】
上記において、液面20aの位置、液体20の流速は、特許請求の範囲における圧力流体の物性値に相当している。液体20の流速は、視認するだけでなく、液体容器15又はホース12などに流速計を設置し、液体20の流速を定量的に計測するようにしてもよい。また、液体20が流れれば、液体20の圧力(静水圧)は低下するから、液体容器15又はホース12などに圧力計(水の場合には水圧計)を設置し、液体20の圧力を定量的に計測するようにしてもよい。この場合には、液体20の圧力は、特許請求の範囲における圧力流体の物性値に相当している。また、上記した透明な液体容器15、流速計、圧力計は、特許請求の範囲における圧力流体の物性値を測定する流体測定手段に相当している。
【0039】
なお、図3(A)及び図3(B)における符号16の部分は、液体20が漏出しないように、接着剤によってホース下端12aを検出孔204の上部内壁に接着させたり、パッキング又はシーリングを詰める等の、漏出防止構造となっており、圧力流体である液体20が漏出しないように保持されている。あるいは、ホース下端12aの外側に雄ネジを形成しておき、検出孔204の上部内壁に雌ネジを形成しておくことにより、両者を螺合させるようにしてもよい。
【0040】
図4は、本発明の第1実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法の実施の手順を説明する図である。図に示すように、まず、地盤G中に杭孔を削孔し、次いで流動体状のコンクリートを打設して場所打ちコンクリート杭203を形成する(図4(A))。
【0041】
次に、場所打ちコンクリート杭203のコンクリートの硬化後に、地表から鉛直下方に向けて削孔を行い、検出孔204を形成する(図4(B))。次に、検出孔204の上端付近に、ホース12の下端12aを挿入し、接続する(図4(C))。
【0042】
その後、ホース12を含むようにしてフーチング202のコンクリートを打設し、ホース12の上端を外部へ出すようにする(図4(D))。図示はしていないが、ホース12の上端には、点検用ボックス11を設置する。
【0043】
上記した第1実施形態のコンクリート杭損傷検知方法によれば、以下のような利点がある。
【0044】
a)鉄道の構造物等に大きな外力(例えば地震動等)が付加されて損傷が発生した場合に、損傷した部分の位置等を、容易に検出することができる。
【0045】
b)杭等の地下構造物のように、地盤Gの内部に構築されているため、そのままでは目視が不可能な箇所の損傷についても、支障なく検出することができる。
【0046】
c)構造が簡易であるため、損傷検知に要する費用が非常に低廉である。
【0047】
上記した第1実施形態のコンクリート杭損傷検知方法は、特許請求の範囲におけるコンクリート構造物の損傷検知方法に相当している。
【0048】
また、検出孔204の配置状態を適宜に工夫することにより、より詳細な損傷検知が可能となる。例えば、検出孔204の底の鉛直方向の高さ位置が異なるように複数の位置に検出孔204を配置してもよい。また、杭の断面で見た場合、杭の中心付近とその周囲の異なる位置に検出孔204を配置してもよい。このように検出孔204の位置を工夫することにより、ひび割れの発生位置や方向を推定することも可能である。
【0049】
(2)第2実施形態
本発明は、上記した第1実施形態以外の構成によっても実現可能である。図5は、本発明の第2実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法を説明する図である。
【0050】
図5に示すように、第2実施形態のコンクリート杭損傷検知方法は、上記した第1実施形態の検出孔204の空間(損傷検知空間)の中に、嵌挿部材30が嵌挿されている点が異なっている。他の構成要素については、第1実施形態の場合と同様であるため、その説明は省略する。
【0051】
上記した嵌挿部材30としては、液体20が浸透可能な多孔性を有し、場所打ちコンクリート杭203のコンクリート強度よりも低い強度を有し、かつ脆性を有する材料(以下、「第1材料」という。)が用いられる。このような第1材料としては、多孔質の石材(ポーラス・ストーン)などが用いられる。多孔質の石材としては、市販されている砥石などが使用可能である。
【0052】
上記した第1材料からなる嵌挿部材30を用いれば、場所打ちコンクリート杭203の検出孔204に所定値を越える外力が付加された場合には、検出孔204にひび割れが発生する際、あるいはそれよりも以前の時点で、第1材料にも、ひび割れが発生する。また、第1材料は、透水係数が大きいため、液体に対しては、空間とほぼ同様の挙動を示す。このため、第1実施形態において図3(B)で説明した作用と同様の作用を発揮することができる。
【0053】
上記した第2実施形態のコンクリート杭損傷検知方法によれば、第1実施形態の場合に加え、以下のような利点がある。
【0054】
d)検出孔204の空間内に、あらかじめ嵌挿部材30が嵌挿されているため、何らかの異物が入り込んで損傷検知作用を阻害することがない。
【0055】
上記した第2実施形態のコンクリート杭損傷検知方法は、特許請求の範囲におけるコンクリート構造物の損傷検知方法に相当している。また、第1材料からなる嵌挿部材30は、特許請求の範囲における第1嵌挿部材に相当している。
【0056】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0057】
例えば、圧力流体としては、気体を用いることも可能である。この場合には、圧力流体供給手段としては、例えば、気体を圧縮する気体圧縮機(コンプレッサー)を用いる。この場合、圧力流体は、気体圧縮機により圧縮され圧力が付与された気体となる。
【0058】
圧力流体として気体を用いる場合、圧力流体供給手段は、気体圧縮機によりあらかじめ圧縮された気体を封入した圧力気体容器(ボンベなど)と、圧力気体容器内の気体を圧力流体導管へ送出し又は停止する開閉弁機構を設けて構成してもよい。
【0059】
上記のように、圧力流体として気体を用いる場合には、流体測定手段としては、圧力流体の物性値として、例えば気体の圧力を測定する圧力計などを用いる。また、圧力流体として気体を用いる場合には、上記した漏出防止機構16は、さらに性能の高いものが必要となる。
【0060】
また、上記した第1実施形態では、検出孔204は、硬化後の場所打ちコンクリート杭203の外部から場所打ちコンクリート杭203の内部へ削孔を行うことにより形成されたが、他の方法によって検出孔を形成してもよい。例えば、場所打ちコンクリート杭のコンクリート(流動体状のコンクリート)を打設する前に、検出孔の形状の型枠をあらかじめ設置しておき、コンクリートの硬化後に型枠をてっ去することにより検出孔を形成するようにしてもよい。
【0061】
また、上記した第2実施形態では、検出孔204(損傷検知空間)には、第1材料からなる嵌挿部材30を嵌挿したが、他の嵌挿部材を嵌挿してもよい。例えば、圧力流体が浸透可能な多孔性を有し、コンクリート構造物のコンクリート強度よりも低い強度を有し、かつ可撓性を有する材料(以下、「第2材料」という。)を用いてもよい。このような第2材料としては、スポンジのような多孔質の可撓性部材、間隙水圧計等に使用されるフィルタ(金属等からなる網状のフィルタ。メッシュの粗さは、0.1ミリメートル以下のもの。)などを用いることができる。
【0062】
上記した第2材料からなる嵌挿部材を用いれば、場所打ちコンクリート杭203の検出孔204に所定値を越える外力が付加された場合には、検出孔204にひび割れが発生する際、あるいはそれよりも以前の時点で、第2材料は変形する。また、第2材料は、透水係数が大きいため、液体に対しては、空間とほぼ同様の挙動を示す。このため、第1実施形態において図3(B)で説明した作用と同様の作用を発揮することができる。この場合、第2材料からなる嵌挿部材は、特許請求の範囲における第2嵌挿部材に相当している。
【0063】
また、検出孔204は、長手方向が鉛直上下方向となる場合に限定されない。検出孔204の長手方向が鉛直上下方向に対して傾斜するように配置されてもよい。
【0064】
また、図1及び図5においては、ホース12がフーチング202を貫通し、地盤を通って点検用ボックス11まで配置された構成について図示されているが、本発明はこれには限定されず、他の構成であってもよい。例えば、ホース12は、フーチング202と柱201の内部を通り点検用ボックス11に達するように配置してもよい。すなわち、ホース12は、構造物のく体の内部を通って点検用ボックス11に達するように配置してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コンクリート構造物のコンクリート硬化後に外部からコンクリート構造物の内部の損傷検出箇所まで到達する盲孔状の検出孔を形成し、検出孔の先端付近の損傷検知空間の後端まで流体導管を挿入し、前記損傷検知空間には、前記圧力流体が浸透可能な多孔性を有し前記コンクリート構造物のコンクリート強度よりも低い強度でかつ、脆性を有する第1嵌挿部材又は可撓性を有する第2嵌挿部材が嵌挿され、流体導管の他端に圧力流体を供給する圧力流体供給手段を接続し、流体導管又は液体容器には圧力流体の物性値を測定する流体測定手段を設置し、損傷検知空間の付近のコンクリート構造物に所定値を越える外力が付加された場合には、損傷検知空間のコンクリート内壁にひび割れが発生し、圧力流体供給手段から供給される圧力流体がひび割れからコンクリート構造物の内部を経て外部へ浸透することに伴う圧力流体の物性値の変化を流体測定手段により検出するように構成したので、コンクリート構造物の損傷検知箇所に所定外力値を越える外力が作用した旨を容易に検知することができる、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法を説明する図である。
【図2】図1に示す点検用ボックスの詳細な構成と作用を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法の原理を説明する図である。
【図4】本発明の第1実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法の実施の手順を説明する図である。
【図5】本発明の第2実施形態であるコンクリート杭損傷検知方法を説明する図である。
【符号の説明】
11 点検用ボックス
12 ホース
12a 下端
12b 上端
13 開閉扉
14 キャップ
15 液体容器
16 漏出防止構造
20 液体
20a 液面
30 嵌挿部材
200 高架橋
201 柱
202 フーチング
203 場所打ちコンクリート杭
204 検出孔
205、206 ひび割れ
G 地盤

Claims (11)

  1. コンクリート構造物のコンクリート硬化後に外部から前記コンクリート構造物の内部の損傷検出箇所まで到達する盲孔状の検出孔を形成し、
    前記検出孔の先端付近の部分である損傷検知空間の後端まで流体導管を挿入し、
    前記損傷検知空間には、前記圧力流体が浸透可能な多孔性を有し前記コンクリート構造物のコンクリート強度よりも低い強度でかつ脆性を有する第1嵌挿部材が嵌挿され、
    前記流体導管の他端に圧力流体を供給する圧力流体供給手段を接続し、
    前記流体導管又は前記圧力流体供給手段には前記圧力流体の物性値を測定する流体測定手段を設置し、
    前記損傷検知空間の付近の前記コンクリート構造物に所定値を越える外力が付加された場合には、前記損傷検知空間のコンクリート内壁にひび割れが発生し、前記圧力流体供給手段から供給される圧力流体が前記流体導管と前記検出孔を経て前記ひび割れから前記コンクリート構造物の内部を経て外部へ浸透することに伴う前記圧力流体の物性値の変化が前記流体測定手段により検出され、前記損傷検知空間に所定外力値を越える外力が作用した旨を検知されることを特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  2. コンクリート構造物のコンクリート硬化後に外部から前記コンクリート構造物の内部の損傷検出箇所まで到達する盲孔状の検出孔を形成し、
    前記検出孔の先端付近の部分である損傷検知空間の後端まで流体導管を挿入し、
    前記損傷検知空間には、前記圧力流体が浸透可能な多孔性を有し前記コンクリート構造物のコンクリート強度よりも低い強度でかつ可撓性を有する第2嵌挿部材が嵌挿され、
    前記流体導管の他端に圧力流体を供給する圧力流体供給手段を接続し、
    前記流体導管又は前記圧力流体供給手段には前記圧力流体の物性値を測定する流体測定手段を設置し、
    前記損傷検知空間の付近の前記コンクリート構造物に所定値を越える外力が付加された場合には、前記損傷検知空間のコンクリート内壁にひび割れが発生し、前記圧力流体供給手段から供給される圧力流体が前記流体導管と前記検出孔を経て前記ひび割れから前記コンクリート構造物の内部を経て外部へ浸透することに伴う前記圧力流体の物性値の変化が前記流体測定手段により検出され、前記損傷検知空間に所定外力値を越える外力が作用した旨を検知されることを特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  3. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記圧力流体供給手段は、前記損傷検知空間よりも鉛直方向に高い位置に設置された液体容器であり、かつ、前記圧力流体は、前記液体容器の鉛直方向位置と前記損傷検知空間の鉛直方向位置との高度差による圧力が付与された液体であること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  4. 請求項記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記流体測定手段は、前記圧力流体の物性値として、前記液体の液面位置又は流動する液体の流速若しくは前記液体の圧力を測定すること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  5. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記圧力流体供給手段は、気体を圧縮する気体圧縮機であり、
    かつ、前記圧力流体は、前記気体圧縮機により圧縮され圧力が付与された気体であること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  6. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記圧力流体供給手段は、気体圧縮機により圧縮された気体を封入した圧力気体容器と、 前記圧力気体容器内の気体を前記圧力流体導管へ送出し又は停止する開閉弁機構を有し、
    かつ、前記圧力流体は、前記気体圧縮機により圧縮され圧力が付与された気体であること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  7. 請求項に記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記流体測定手段は、前記圧力流体の物性値として、前記気体の圧力を測定すること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  8. 請求項に記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記流体測定手段は、前記圧力流体の物性値として、前記気体の圧力を測定すること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  9. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記検出孔は、硬化後の前記コンクリート構造物の外部から前記コンクリート構造物の内部へ削孔を行うことにより形成されること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  10. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記検出孔は、前記コンクリート構造物のコンクリート打設時に型枠が設置され前記コンクリートの硬化後に前記型枠をてっ去することにより形成されること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
  11. 請求項1又は2記載のコンクリート構造物の損傷検知方法において、
    前記流体導管の外周面と前記検出孔の内壁の間は、前記圧力流体が漏出しないように保持されること
    を特徴とするコンクリート構造物の損傷検知方法。
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