従来、遅延プロファイル作成用の既知信号を付加した信号を用いて無線通信を行う通信装置として、次に示すものがある。以下、スペクトル拡散通信方式として、CDMA(Code Division Multiple Access)方式を用いた場合を例にとり説明する。
CDMA方式の通信における基地局は、複数チャネルの信号が同一周波数帯域に同一時間に多重された信号を伝送路を介して受信する。この基地局は、各チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて逆拡散処理を行うことにより、受信信号から各チャネル(各移動局)より送信された信号を取り出すことができる。
ところが、各チャネルの信号を送信する各移動局と上記基地局との距離が大きい場合には、各チャネルの信号が上記基地局に到達するまでに遅延(以下「伝搬遅延」という。)が生ずることになり、さらに、各移動局と上記基地局との距離がそれぞれ異なる場合には、各チャネル毎の伝搬遅延にもばらつきが生ずることになる。
このため、上記基地局においては、各チャネル毎に伝搬遅延を検出し、検出した伝搬遅延を考慮したタイミングにより、逆拡散処理を行う必要がある。そこで、従来、各移動局においては、既知のベーシックコードを用いて作成されたミッドアンブル部を付加した信号を送信し、基地局においては、各移動局により送信された信号が多重された受信信号と、上記既知のベーシックコードとを用いて相関値算出処理を行うことにより、各チャネル(各移動局)毎の伝搬遅延を検出する。以下、従来のCDMA通信システムにおけるミッドアンブル部を利用した伝播遅延の検出方法について説明する。
まず、各移動局(各チャネル)により送信される信号について、図15および図16を参照して説明する。図15は、従来のCDMA通信システムにおけるミッドアンブルパターンの作成手順を示す模式図である。図16は、従来のCDMA通信システムにおける各移動局の送信タイミングを示す模式図である。なお、ここでは、基地局装置と無線通信を行う移動局が8つであるものとする。
図15に示すように、各チャネルに用いられるミッドアンブル部のパターン(以下「ミッドアンブルパターン」という。)は、456(=8W)チップ周期で巡回するベーシックコードを用いて、次に示す手順に従って作成される。このベーシックコードは、基地局にとって既知のものであり、相互に異なるW(=57)チップ長のコードを有するA〜Hの8つのブロックを含んでいる。
まず、第1ステップとして、上記ベーシックコードにおいて基準ブロックを設定する。ここでは、基準ブロックを「A」とする。
第2ステップとして、上記基準ブロックを各チャネル毎に{W×(n−1)}だけ図中左方向にずらす。ただし、W=57チップであり、nはチャネル数である。ずらす位相としては、チャネル1、チャネル2、チャネル3およびチャネル8の場合には、それぞれ、0、W、2Wおよび7Wとなる。これにより、各チャネルの基準ブロックは、チャネル1、チャネル2、チャネル3およびチャネル8の場合には、それぞれ、「A」、「B」、「C」および「H」となる。
第3ステップとして、各チャネル毎に、上記ベーシックコードにおいて、第2ステップで位相をずらした基準ブロックの先端部から513チップを抽出する。これにより、全体として513チップ長のミッドアンブルパターンが各チャネル毎に作成される。さらに、513チップ長の各ミッドアンブルパターンにおいて、先端ブロックの先端1チップまたは末端1チップを除去する。これにより、全体として512チップ長のミッドアンブルパターンが各チャネル毎に作成される。図15において、各チャネル毎に作成された512チップ長のミッドアンブルパターンにおいて、先端ブロックは末端ブロックの1チップを除去したものである。例えば、チャネル1の場合には、先端ブロック「A’」は、末端ブロック「A」から1チップ除去したものである。
次いで、図16に示すように、各移動局は、以上のような手順により作成された各チャネルのミッドアンブルパターンを付加した伝送信号を基地局装置に対して送信する。すなわち、各移動局は、各移動局毎のミッドアンブルパターンがデータ部1とデータ部2との間のミッドアンブル部に付加された伝送信号を、他の移動局と同一のタイミングにより送信する。
一方、基地局においては、各移動局から送信された伝送信号が同一周波数帯域に多重された信号を受信する。基地局における受信信号と上記既知のベーシックコードとを用いた相関値算出処理について、図17および図18を参照して説明する。図17は、従来のCDMA通信システムにおける基地局が各チャネル毎の伝送信号を受信する状況を概念的に示す模式図である。図18は、従来のCDMA通信システムにおける基地局での相関値算出処理により得られた遅延プロファイルの一例を示す模式図である。
上述したように、各移動局と基地局とは距離を隔てて位置しているだけでなく、各移動局と基地局との距離はそれぞれ異なるので、図17に示すように、各移動局により伝送された信号が基地局に到着するまでには伝搬遅延が生じ、さらに、この伝搬遅延には各移動局により伝送された信号毎にばらつきが生じている。すなわち、移動局1、移動局2、移動局3および移動局8のそれぞれから伝送された信号が基地局に到着するまでに生じた遅延時間は、それぞれ伝搬遅延1、伝搬遅延2、伝搬遅延3および伝搬遅延8となっている。基地局が受信する信号は、図17に示す伝搬遅延が生じた各移動局からの伝送信号が多重されたものとなる。
基地局は、このような受信信号から各移動局の伝送信号を取り出すために、相関値算出処理を行う。以下、基地局における相関値算出処理について説明する。まず、基準時間1703から受信された512チップの受信信号のうち、末端部1702から456チップだけ抽出する。ここで、基準時間とは、各移動局により伝送された信号における各ミッドアンブル部の先端部(例えば、チャネル1の場合には、先端部1701)が、伝搬遅延がない場合に基地局により受信される時間である。
次に、抽出された456チップ長の受信信号と上記既知の巡回するベーシックコードとの相関値を算出する。すなわち、図18に示す巡回するベーシックコードを基準として、上記456チップ長の受信信号の位相を1チップずつずらしながら上記ベーシックコードに掛け合わせ、それぞれの位相における相関値を算出する。
このような相関値算出処理により、図18に示すような各チャネルの遅延プロファイルが得られる。上記のような相関値算出時に、上記456チップ長の受信信号に含まれたいずれかの移動局からのミッドアンブルパターンと、上記既知のベーシックコードとが、一致した時点で、相関値は最大となり、ある一定の大きさを有するパスが現れる。
よって、図18におけるパス1801、パス1802、パス1803およびパス1804のそれぞれの大きさが最大となっている時点というのは、上記456チップ長の受信信号に含まれた移動局1、移動局2、移動局3および移動局8からのそれぞれのミッドアンブルパターンが、図18における巡回するベーシックコードと一致した時点に相当する。
ここで、各移動局の伝搬遅延がない場合においては、各移動局に対応するパスが最大となる時点は既知なものである。したがって、実際に各移動局より伝送された信号が基地局に到達するまでに生じた伝搬遅延は、伝搬遅延がない場合における各移動局に対応するパスの大きさが最大となる時点を参照することにより検出される。例えば、移動局1、移動局2、移動局3および移動局8のそれぞれに対応する伝搬遅延は、それぞれ図18に示す伝搬遅延1、伝搬遅延2、伝搬遅延3および伝搬遅延8として、チップ単位で検出される。図18に示す伝搬遅延1、伝搬遅延2、伝搬遅延3および伝搬遅延8は、それぞれ図17に示した伝搬遅延1、伝搬遅延2、伝搬遅延3および伝搬遅延8が遅延プロファイル上で表現されたものである。
また、各移動局の伝搬遅延と遅延分散との合計がWチップ長より小さい場合には、遅延プロファイル上においてある一定の大きさを有するパスが現れる区間は、各移動局毎に決まっている。すなわち、上記の場合には、移動局1〜移動局8に対応するパスは、図18に示した遅延プロファイルにおけるそれぞれ1〜8のWチップ区間(遅延プロファイル幅)に現れる。
上記のようにして検出された各移動局毎の伝搬遅延を考慮したタイミングで、データ部を用いた逆拡散処理を行うことにより、各移動局毎にデータ部の干渉除去復調を行うことが可能となる。
さらに、基地局は、上記のようにして検出された各移動局毎の伝搬遅延を用いて、タイムアライメント制御を行うことができる。すなわち、基地局は、検出した各移動局毎の伝搬遅延に基づいて各移動局毎に送信タイミングを設定し、設定した送信タイミングを各移動局に報知し、各移動局は、基地局により報知された送信タイミングに従って基地局に対する送信を行う。このようなタイムアライメント制御により、基地局は、各移動局間の受信タイミングのばらつきを制御することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における送信機の構成を示すブロック図である。図1において、拡散部101は、本送信機の送信用チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて送信データに対して拡散処理を行う。時多重部102は、ミッドアンブルパターンと拡散処理後の送信データとをフレームに多重することにより送信信号を生成する。なお、ミッドアンブルパターンとは、本送信機が送信した信号を受信する通信相手側において、遅延プロファイルを作成するために用いられる既知信号である。時多重部102に入力されるミッドアンブルパターンは、各チャネル(各送信機)固有に割り当てられたものであり、所定のパターンに従って変化するものである。このミッドアンブルパターンの詳細については後述する。
フレームフォーマットとしては、図16に示したように、主に、データ部1、ミッドアンブル部およびデータ部2を含むものが用いられる。ミッドアンブル部は、遅延プロファイル作成用の既知信号が挿入される部分である。なお、本実施の形態においては、遅延プロファイル作成用の既知信号を図16に示すフレームフォーマットにおけるミッドアンブル部に挿入する場合について説明するが、本発明は、これに限定されず、遅延プロファイル作成用の既知信号をフレームフォーマットにおけるいかなる部分に挿入した場合についても適用可能なものである。
無線部103は、時多重部102により作成された送信信号に対して周波数変換等の所定の送信処理を行い、上記処理後の送信信号をアンテナ104を介して送信する。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における受信機の構成を示すブロック図である。図2において、受信部202は、アンテナ201を介して受信した信号(受信信号)に対して周波数変換等の所定の受信処理を行い、上記処理後の受信信号を分離部203と記憶部207とに送る。なお、この受信信号は、複数の送信機により送信された信号が同一周波数帯域に多重された信号である。また、上記複数の送信機は、それぞれ図1に示した構成を有するものであり、それぞれ異なるチャネルを用いて図2に示す受信機に対して信号を送信する。
記憶部207は、上記処理後の受信信号を記憶し、後述する相関部208〜相関部210に出力する。分離部203は、上記処理後の受信信号の中から、基準時間から受信された512チップ分の信号を分離する。
相関部204は、分離された512チップ分の受信信号と各チャネル毎に割り当てられた巡回するベーシックコードとを用いた相関値算出処理を行った後、算出された相関値を用いて遅延プロファイルを作成する。さらに、相関部204は、作成した遅延プロファイルに関する情報を記憶部205に送る。なお、相関部204が記憶部205に送る遅延プロファイルに関する情報とは、例えば、相関値算出処理により得られた相関値(I成分およびQ成分)や各パスの大きさ(電力値)等である。記憶部205は、相関部204からの遅延プロファイルに関する情報を記憶する。
比較・回線推定部206は、記憶部205に記憶された遅延プロファイルに関する情報を用いて、各チャネルについて回線推定を行う。すなわち、比較・回線推定部206は、上記遅延プロファイルに関する情報を用いて、各チャネルについてのパスおよびこのパスの遅延伝搬を検出する。また、比較・回線推定部206は、回線推定結果すなわち伝搬遅延の検出結果を用いて、タイムアライメント制御信号を生成する。このタイムアライメント制御信号については後述する。
相関部208〜相関部210は、比較・回線推定部205による回線推定結果に基づいて、各チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて、記憶部207からの受信信号に対する逆拡散処理を行う。同期検波部211〜同期検波部213は、それぞれ相関部208〜相関部210による逆拡散処理後の信号に対して同期検波処理を行う。合成部214は、同期検波部211〜同期検波部213による同期検波処理後の信号を合成して復調信号を出力する。
なお、図2においては、一例として、各チャネルについて3つのパスを扱う場合について説明するために、相関部および同期検波部が3系統設けられた構成が示されているが、本発明は、相関部および同期検波部の系統数を適宜変更した場合にも適用可能なものである。
次いで、各チャネルに対するミッドアンブルパターン(既知参照符号)の割り当て方法について説明する。まず、各チャネルに割り当てるためのミッドアンブルパターンの作成方法について、図3を参照して説明する。なお、ここでは、一例として総チャネル数が8であるものとして説明する。
図3は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置により用いられるミッドアンブルパターンの作成手順を示す模式図である。図3に示すように、各チャネルに用いられるミッドアンブルパターンは、456チップ(=8W)チップ周期で巡回するベーシックコード(基準符号)を用いて、次に示す手順に従って作成される。このベーシックコードは、図2に示した受信機にとって既知のものであり、相互に異なるW(=57)チップ長のコードを有するA〜Hの8つのブロックを含んでいる。
まず、第1ステップとして、上記ベーシックコードにおいて基準ブロックを設定する。ここでは、基準ブロックを「A」とする。
第2ステップとして、上記基準ブロックを{W×(m−1)}だけ位相(チップ数)を図中左方向にずらす。ただし、W=57チップであり、mは総チャネル数である。なお、基準ブロックをずらす方向は、図中右方向であってもよい。
第3ステップとして、上記ベーシックコードにおいて、第2ステップで位相をずらした各基準ブロックの先端部から513チップを抽出する。これにより、全体として513チップ長のミッドアンブルパターンがm個すなわち総チャネル数分だけ作成される。さらに、513チップ長の各ミッドアンブルパターンにおいて、先端ブロックの先端1チップまたは末端1チップを除去する。これにより、全体として512チップ長のミッドアンブルパターンが総チャネル数分だけ作成される。なお、図3において、512チップ長の各ミッドアンブルパターンにおいて、先端ブロックは末端ブロックの1チップを除去したものである。
図3においては、作成された8つのミッドアンブルパターンのうち、第2ステップで位相をそれぞれ0、W、2Wおよび7Wだけずらすことにより作成されたミッドアンブルパターンが示されている。
また、以後の説明を簡単にするために、第2ステップで位相を0〜7Wだけずらすことにより作成されたミッドアンブルパターンを、それぞれ「位相1のミッドアンブルパターン〜位相8のミッドアンブルパターン」と称する。
次いで、上記のように作成したミッドアンブルパターンの各チャネルへの割り当て方法について、図4および図5を参照して説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における各チャネルに対するミッドアンブルパターンの割り当て方法の第1の例を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における図4に示した割り当て方法の適用の仕方の第1の例を示す図である。
図4を参照するに、割り当てパターンとして、例えば割り当てパターン1および割り当てパターン2の2つの割り当てパターンを用意し、各割り当てパターン毎に、各チャネルに割り当てるミッドアンブルパターンを変化させている。すなわち、割り当てパターン1では、チャネル1(送信機1)〜チャネル8(送信機8)に対して、それぞれ、位相8のミッドアンブルパターン〜位相1のミッドアンブルパターンが割り当てられ、また、割り当てパターン2では、チャネル1(送信機1)〜チャネル8(送信機8)に対して、それぞれ、位相1のミッドアンブルパターン〜位相8のミッドアンブルパターンが割り当てられている。
さらに、図5を参照するに、実際に用いる割り当てパターンとして、上述した割り当てパターン1および割り当てパターン2を単位時間毎に交互に変化させて用いる。すなわち、時刻[T−1]では、割り当てパターン2に従って各チャネルにミッドアンブルパターンを割り当て、時刻[T+0]では、割り当てパターン1に従って各チャネルにミッドアンブルパターンを割り当て、以下、単位時間毎に交互に変化させた割り当てパターンに従って、各チャネルにミッドアンブルパターンを割り当てる。以上が、各チャネルに対するミッドアンブルパターンの割り当て方法である。
次いで、上記構成を有する通信装置の動作について説明する。まず、上記構成を有する通信装置における送信機の動作について、図1に加えてさらに図6および図7を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における送信機の割り当てパターン1適用時の送信タイミングを示す模式図である。図7は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における送信機の割り当てパターン2適用時の送信タイミング適用時の送信タイミングを示す模式図である。
図1を参照するに、送信データは、拡散部101において、本送信機の送信用チャネルに割り当てられた拡散符号を用いて拡散処理がなされる。拡散処理後の送信データは、時多重部102に送られる。
また、上述したようなミッドアンブルパターンの割り当て方法に従って、本送信機の送信用チャネルに割り当てられたミッドアンブルパターンが、時多重部102に送られる。
時多重部102において、拡散処理後の送信データおよびミッドアンブルパターンがフレームに多重されることにより、送信信号が生成される。すなわち、拡散処理後の送信データは、図6または図7に示すフレームにおけるデータ部(ここでは、データ部1およびデータ部2)に挿入され、ミッドアンブルパターンが上記フレームにおけるミッドアンブル部に挿入されることにより、送信信号が生成される。
具体的には、割り当てパターン1適用時(例えば図5における時刻[T+0]、時刻[T+2]および時刻[T+4]等)には、ミッドアンブル部に挿入される各チャネルのミッドアンブルパターンは、図6に示すようなものとなり、また、割り当てパターン2適用時(例えば図5における時刻[T−1]、時刻[T+1]および時刻[T+3]等)には、ミッドアンブル部に挿入される各チャネルのミッドアンブルパターンは、図7に示すようなものとなる。
時多重部102により生成された送信信号は、無線部103により、周波数変換等の所定の送信処理がなされた後、アンテナ104を介して送信される。
次いで、上記構成を有する通信装置における受信機の動作について、図2を参照して説明する。アンテナ201を介して受信した信号は、受信部202により、周波数変換等の所定の受信処理がなされる。上記処理後の受信信号は、分離部203と記憶部207とに送られる。記憶部207においては、上記処理後の受信信号が記憶される。
分離部203においては、上記処理後の受信信号のうち基準時間から受信された512チップの信号が分離され、さらに、分離された512チップ長の信号のうち末端部から456チップのみが切り取られる。なお、基準時間とは、上述したように、伝搬遅延がない場合に、各送信機(各移動局)により送信された信号における各ミッドアンブル部の先端部が、本受信機により受信される時間に相当する。
相関部204においては、分離部203から送られた456チップ長の信号を用いた相関値算出処理がなされる。すなわち、相関部204においては、上記456チップ長の受信信号と巡回するベーシックコードとの相関値が算出される。さらに、相関部204においては、上述したように算出された相関値を用いて、遅延プロファイルが作成される。なお、作成される遅延プロファイルの詳細については後述する。作成された遅延プロファイルに関する情報は、記憶部205に送られる。
記憶部205においては、相関部204からの遅延プロファイルに関する情報が記憶される。具体的には、相関部204からの遅延プロファイルに関する情報が、単位時間毎に記憶される。ここでの単位時間としては、例えば、単位フレームを受信するのに要する時間を用いることができる。これにより、記憶部205は、図1に示した送信機が単位時間毎に変化させたミッドアンブルパターンに対応した遅延プロファイルに関する情報を記憶することができる。すなわち、例えば、記憶部205は、上記送信機により時刻[T−1]に送信された送信信号を用いて、相関部204が作成した遅延プロファイルに関する情報や、上記送信機により時刻[T+0]に送信された送信信号を用いて、相関部204が作成した遅延プロファイルに関する情報等を記憶することができる。
さらに、記憶部205より比較・回線推定部206に対して、単位時間毎の遅延プロファイルに関する情報が送られる。比較・回線推定部206においては、単位時間毎の遅延プロファイルに関する情報を用いて、回線推定がなされることにより、各チャネルについてのパスおよびこのパスの伝搬遅延が検出される。なお、具体的な回線推定方法については後述する。回線推定結果は、相関部208〜相関部210に出力される。
相関部208〜相関部210においては、比較・回線推定部206による回線推定結果に基づいて、記憶部207から送られた受信信号に対する逆拡散処理が行われる。すなわち、記憶部207から送られた受信信号は、相関部208〜相関部210において、各チャネルについて、比較・回線推定部206により推定されたそれぞれ3つのパスの遅延時間を考慮したタイミングで、受信信号に対する逆拡散処理がなされる。なお、本実施の形態においては、相関部208〜相関部210の3つの相関部により逆拡散を行う場合を例にとり説明しているが、相関部の数に限定はない。
同期検波部211〜同期検波部213においては、それぞれ相関部208〜相関部210により逆拡散処理された信号に対する同期検波処理がなされる。同期検波された信号は、合成部214により合成されることにより、復調信号が得られる。
次いで、上記構成を有する通信装置における送信機内の比較・回線推定部による、回線推定方法について説明する。ここではまず、説明を簡単にするために、伝搬遅延と遅延分散との合計がWチップ長以下であり、かつ、各チャネルからの信号に遅延波が存在しない場合について説明する。
比較・回線推定部206においては、記憶部205により記憶された単位時間毎の遅延プロファイルに関する情報を用いて、各チャネルについての回線推定がなされる。ここで、まず、割り当てパターン1適用時および割り当てパターン2適用時に作成される遅延プロファイルについて、図8を参照して説明する。なお、割り当てパターン1適用時(割り当てパターン2適用時)とは、各送信機が割り当てパターン1(割り当てパターン2)に従って割り当てられたミッドアンブルパターンを挿入した送信信号を送信し、本受信機が上記各送信機により送信された信号を受信する場合に相当する。
図8(a)は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における受信機内の相関部204により割り当てパターン1適用時に作成された遅延プロファイルの一例を示す図であり、図8(b)は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における受信機内の相関部204により割り当てパターン2適用時に作成された遅延プロファイルの一例を示す図である。
図8(a)に示すように、割り当てパターン1適用時に、相関部204により作成された遅延プロファイルにおいては、分離部203からの456チップ長の信号に含まれたいずれかの送信機からのミッドアンブルパターンと、上記既知のベーシックコードとが一致した時点で、相関値は最大となり、ある一定の大きさを有するパスが現れる。
よって、例えば、図8(a)において、パス801a、パス802a、パス803aおよびパス808aのそれぞれの値が最大となっている時点というのは、上記456チップ長の信号に含まれた送信機1、送信機2、送信機3および送信機8からのそれぞれのミッドアンブルパターンが、上記既知のベーシックコードと一致した時点に相当する。
同様に、図8(b)に示すように、割り当てパターン2適用時に、相関部204により作成された遅延プロファイルにおいては、分離部203からの456チップ長の信号に含まれたいずれかの送信機からのミッドアンブルパターンと、上記既知のベーシックコードとが一致した時点で、相関値は最大となり、ある一定の大きさを有するパスが現れる。
よって、例えば、図8(b)において、パス801b、パス802b、パス803bおよびパス808bのそれぞれの値が最大となっている時点というのは、上記456チップ長の信号に含まれた送信機1、送信機2、送信機3および送信機8からのそれぞれのミッドアンブルパターンが、上記既知のベーシックコードと一致した時点に相当する。
また、上述したように、各移動局の伝搬遅延と遅延分散との合計がW(=57)チップ長より小さい場合には、遅延プロファイル上である一定の大きさを有するパスが現れる区間は、各送信機毎に決まっている。すなわち、上記の場合には、送信機1〜送信機8に対応するパスは、図8(a)および図8(b)に示した遅延プロファイルにおけるそれぞれ1〜8のWチップ区間(遅延プロファイル幅)に現れる。
なお、図8(a)における各チャネル(各送信機)のWチップ区間と、図8(b)における各チャネルのWチップ区間との位置関係が逆になっているのは、各送信機に対するミッドアンブルパターンの割り当て方法が、割り当てパターン1と割り当てパターン2とで相違していること、具体的には、各送信機に対する位相1のミッドアンブルパターン〜位相8のミッドアンブルパターンの割り当て順序が、割り当てパターン1と割り当てパターン2とで相違していることに起因する。
さらに、相関部204においては、巡回するベーシックコードを用いて相関値算出処理がなされているので、図8(a)および図8(b)に示した遅延プロファイルは、巡回するものであるといえる。
すなわち、図8(a)における1のWチップ区間の直前には、8のWチップ区間が位置し、この8のWチップ区間の直前には、7のWチップ区間が位置し、以後同様に、6、5、4…のWチップ区間が位置する。また、図8(a)における8のWチップ区間の直後には、1、2、3…のWチップ区間が位置する。逆に、図8(b)における8のWチップ区間の直前には、1のWチップ区間が位置し、この1のWチップ区間の直前には、2のWチップ区間が位置し、以後同様に、3、4、5…のWチップ区間が位置する。また、図8(b)における1のチップ区間の直後には、8、7、6…のWチップ区間が位置する。
比較・回線推定部206においては、上述した2つの遅延プロファイルを用いた回線推定が行われる。ここでは、チャネル1(送信機1)の回線推定を行う場合を例にとり説明する。なお、チャネル1以外のチャネルの回線推定についても、チャネル1と同様の回線推定により行うことができる。
上述した図6および図7におけるチャネル1の伝送信号を参照するに、割り当てパターン1適用時と割り当てパターン2適用時において、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より小さいと仮定すれば、図2に示す受信機は、図6におけるチャネル1のミッドアンブルパターンと図7におけるチャネル1のミッドアンブルパターンとを略同時に受信したとみなすことができる。よって、図8(a)に示した遅延プロファイルにおけるチャネル1のパス801aに対応するI成分およびQ成分は、それぞれ図8(b)に示した遅延プロファイルにおけるチャネル1のパス801bに対応するI成分およびQ成分と略同一となる。すなわち、図8(a)に示した遅延プロファイルにおけるチャネル1のパス801aと図8(b)に示した遅延プロファイルにおけるチャネル1のパス801bとのI成分およびQ成分についての差は、所定の誤差の範囲以下となる。
これにより、図8(a)に示した遅延プロファイルにおけるチャネル1のパスの大きさと、図8(b)に示した遅延プロファイルにおけるチャネル1のパスの大きさは、略同一となり、また、図8(a)に示した遅延プロファイルから検出されるチャネル1の伝搬遅延と、図8(b)に示した遅延プロファイルから検出されるチャネル1の伝搬遅延は、略同一なものとなる。
すなわち、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より小さい場合には、図8(a)および図8(b)に示した各遅延プロファイルにおいて、パス1に対応するI成分およびQ成分は略同一となるので、パス801aの値が最大となる位相とパス801bの値が最大となる位相とは略同一なものとなり、パス801aの大きさとパス801bの大きさとは略同一なものとなる。換言すれば、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より小さい場合には、I成分およびQ成分のそれぞれにおける差が所定の誤差の範囲を上回るパス同士、すなわち、パスの位相および大きさのそれぞれにおける差が所定の誤差の範囲を上回るパス同士は、同一チャネルのパスではないと判断できる。
そこで、比較・回線推定部206においては、まず、上記2つの遅延プロファイルを、チャネル1のWチップ区間を基準として巡回させる。この結果、図8(a)に示した遅延プロファイルは、図9(a)に示すように巡回される。図8(b)に示した遅延プロファイルは、図9(b)に示すように巡回される。
次に、チャネル1のWチップ区間が一致するように、すなわち、チャネル1に遅延がない場合に希望波(主波)のパスの大きさが最大となる位相(基準位相)901が一致するように、図9(a)および図9(b)に示した巡回後の各遅延プロファイルの位置を調整した上で、各遅延プロファイルを比較する。位置調整後の各遅延プロファイルを図10に示す。
具体的には、図10に示した位置調整後の各遅延プロファイルを比較して、一致するパスが存在する場合、すなわち例えば位相および大きさについての誤差が所定の誤差の範囲以下となるパス同士が存在する場合には、そのパスをチャネル1のパスとする。これにより、チャネル1の伝搬遅延が検出される。なお、上記所定の誤差の範囲は、様々な条件に応じて適宜設定されるものである。
ところで、伝搬遅延と遅延分散との合計がWチップ長より大きい場合には、図8(a)および図8(b)に示した遅延プロファイルにおいて、例えばチャネル1のパスは、チャネル1のWチップ区間ではなく、他のチャネルのWチップ区間に現れる。このため、従来の方法では、チャネル1のパスを検出することが困難であった。
しかし、本実施の形態においては、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より小さい場合には、上述したように、割り当てパターン1適用時および割り当てパターン2適用時に作成された各遅延プロファイルでは、各チャネルに対応するI成分およびQ成分は略同一なものとなる。すなわち、各チャネルのパスの大きさおよび位相差は略同一なものとなる。
さらに、上述したように、各送信機に対する位相1のミッドアンブルパターン〜位相8のミッドアンブルパターンの割り当て順序が、割り当てパターン1と割り当てパターン2とで相違しているので、割り当てパターン1適用時および割り当てパターン2適用時に作成された各遅延プロファイル(例えば図8)から明らかなように、あるチャネルのWチップ区間に隣接するチャネルのWチップ区間は、各遅延プロファイルにおいてそれぞれ逆になっている。
例えば、チャネル3のWチップ区間に着目すれば、図8(a)の遅延プロファイルにおいては、図中右隣にはチャネル4のWチップ区間が位置し、図中左隣にはチャネル2のWチップ区間が位置している。逆に、図8(b)の遅延プロファイルにおいては、図中右隣にはチャネル2のWチップ区間が位置し、図中左隣にはチャネル4のWチップ区間が位置している。
このため、各遅延プロファイルにおいて、あるチャネルのパスの大きさおよび位相と、他のチャネルのパスの大きさおよび位相と、が完全に一致することはほとんどないといえる。換言すれば、各遅延プロファイルにおいて、大きさおよび位相が略一致する各パスは、同一チャネルのパスである可能性が高い。
したがって、伝搬遅延と遅延分散との合計がWチップ長より大きい場合においても、上述したような方法で各チャネルの回線推定を行うことができる。例えば、図11に示すように、チャネル1からの信号の遅延伝搬がWチップ長より大きい場合には、2つの遅延プロファイルにおいて、チャネル1のWチップ区間にチャネル1のパスが現れない。ここで、上述した要因により、上記各遅延プロファイルにおいて、略一致するパス、すなわち、例えば大きさおよび位相についての差が所定の誤差の範囲以下となるパス同士は、同一チャネルのパスとして認識することができる。図11において、パス1101aとパス1101bの大きさおよび位相は略同一であるので、このパス1101a(パス1101b)をチャネル1のパスとして検出する。
以上、本実施の形態にかかる通信装置における受信機が、各チャネルについての希望波のみを受信する場合について説明したが、上記受信機は、希望波(主波)のみならず遅延波をも受信する場合にも対応可能である。この場合における2つの遅延プロファイルの一例を図12に示す。
上述したように、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より小さい場合には、上述したように、割り当てパターン1適用時および割り当てパターン2適用時に作成された各遅延プロファイルでは、各チャネルの遅延波のパスに対応するI成分およびQ成分は略同一なものとなる。すなわち、各チャネルの遅延波のパスの値の大きさおよび位相差も略同一なものとなる。
したがって、上述した回線推定方法によれば、希望波だけでなく遅延波のパスを各チャネルについて検出することができる。すなわち、図12に示すチャネル1のWチップ区間が一致するように位置調整された各遅延プロファイルにおいて、パス1201aとパス1201b、パス1202aとパス1202b、およびパス1203aとパス1203bは、その大きさおよび位相差が略同一である。よって、これらのパスは、チャネル1に対応するパスであることが明らかである。
具体的には、そのパスの大きさより、パス1201a(パス1201b)は、チャネル1の希望波のパスであり、パス1202a(パス1202b)およびパス1203a(パス1203b)は、チャネル1の遅延波であると推定される。パス1204bは、これと大きさおよび位相が同一であるパスが、割り当てパターン1適用時に作成された遅延プロファイル上に存在しないため、チャネル1以外の遅延波であると推定される。
なお、ここまでは、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より小さい場合、すなわち、割り当てパターン1適用時と割り当てパターン2適用時の伝搬環境が変化しない場合について説明したが、実際には、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きいことが多い。以下、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合における比較・回線推定部206における回線推定方法について説明する。
遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合には、割り当てパターン1適用時および割り当てパターン2適用時に作成された各遅延プロファイルにおいて、あるチャネルのパスに対応するI成分とQ成分とが略同一になる可能性が低く、また、あるチャネルのパスの大きさが略同一になる可能性も低い。
ところが、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合において、あるチャネルの遅延量の時間的な変化は、そのチャネルのパスの大きさやI成分およびQ成分に比べて、遅いものである。そこで、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合には、あるチャネルの遅延量に着目すればよい。
具体的には、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合には、比較・回線推定部206においては、割り当てパターン1適用時および割り当てパターン2適用時に作成された各遅延プロファイルにおいて、遅延量の差が所定の誤差の範囲を下回り、かつ、大きさが所定のしきい値を上回るパス同士を、同一チャネルのパスであると判断し、遅延量の差が所定の誤差を上回るパス同士を、同一チャネルのパスではないと判断することができる。ここで、遅延量とは、例えば、チャネル1についての回線推定時(図9参照)では、基準位相901からの位相のずれとすることができる。
以上のようにして比較・回線推定部206により検出された各チャネルの伝搬遅延(ここでは3つのパスの伝搬遅延)は、図2における相関部208〜相関部210に送られる。これにより、相関部208〜相関部210は、それぞれの伝搬遅延を考慮したタイミングで、記憶部207に記憶された受信信号に対する逆拡散処理を行うことができる。
さらに、比較・回線推定部206は、上述したような回線推定を行うことにより、各チャネルについての伝搬遅延を検出することができる。これにより、比較・回線推定部206は、各送信機に対するタイムアライメント制御を行うためのタイムアライメント制御信号を生成することができる。すなわち、比較・回線推定部206は、各チャネル(各送信機)の伝搬遅延を検出することができるので、遅延プロファイルにおけるWチップ区間にパスが現れるようにするために、どれだけ送信タイミングをずらすのかを、各チャネル毎に設定することができる。これにより、比較・回線推定部206は、各チャネルに対して送信タイミングを指示するためのタイムアライメント制御信号を生成することができる。したがって、本受信機は、各送信機に対する送信タイミング制御を行うことができる。
このように、本実施の形態によれば、巡回するベーシックコードを用いて、相互に異なる複数のミッドアンブルパターンを作成する。さらに、隣接する各単位時間において各送信機(各チャネル)に対して異なるミッドアンブルパターンを割り当てるように、上記複数のミッドアンブルパターンは、単位時間毎に各送信機に割り当てられる。具体的には、隣接する単位時間に受信機により作成される各遅延プロファイルにおいて、あるチャネルのWチップ区間に隣接するWチップ区間が、同一チャネルのWチップ区間とならないという条件がすべてのチャネルについて満足されるように、上記複数のミッドアンブルパターンは、単位時間毎に各送信機に割り当てられる。
一方、受信機は、単位時間毎に遅延プロファイルを作成し、隣接する単位時間に作成された各遅延プロファイルにおいて、パスのI成分・Q成分、パスの大きさおよびパスの遅延量等を比較することにより、伝搬遅延がWチップ長より大きい場合や遅延波が存在する場合においても、各チャネルの回線推定を正確に行うことができる。
これにより、収容チャネル数に影響を与えることなく、各チャネルの伝搬遅延を正確に検出できるので、精度の高い復調信号を取り出すことができるとともに、各送信機に対するタイムアライメント制御を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、一例として、ミッドアンブルパターンの作成および作成したミッドアンブルパターンの割り当てを、上述した方法により行う場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、以下の条件を満たすものであれば、ミッドアンブル作成時において、巡回ベーシックコードの1周期の長さ、第2ステップにおいて基準ブロックをずらす方向やずらすチップ数、および総チャネル数等を適宜変更した場合にも適用可能であり、また、ミッドアンプルパターン割り当て時において、割り当てパターンおよび割り当ての変化パターンを適宜変更した場合にも適用可能である。
すなわち、隣接する単位時間に作成される各遅延プロファイルにおいて、各チャネルのWチップ区間に隣接するWチップ区間が同一チャネルのWチップ区間とならないように、ミッドアンブルパターンを作成し、作成したミッドアンブルパターンを各チャネルに各単位時間毎に割り当てる必要がある。
ここで、ミッドアンブルパターンの割り当て方法を変更した場合の一例について、図13および図14を参照して説明する。図13は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における各チャネルに対するミッドアンブルパターンの割り当て方法の第2の例を示す図である。図14は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置における図13に示した割り当て方法の適用の仕方の第2の例を示す図である。なお、ミッドアンブルパターンの作成方法については、一例として、上述した方法と同一の方法を適用するものとする。
図13を参照するに、割り当てパターンとして、割り当てパターン2〜割り当てパターン5の4つの割り当てパターンを用意し、チャネル1、チャネル3、チャネル5およびチャネル7を除く各チャネルに割り当てるミッドアンブルパターンを、各割り当てパターン毎に変化させている。
さらに、図14を参照するに、実際に用いる割り当てパターンとして、上述した割り当てパターン2〜割り当てパターン5を単位時間毎に順次変化させている。
図13および図14に示すような割り当て方法を用いれば、受信機により隣接する単位時間に作成される遅延プロファイルでは、各チャネルのWチップ区間に隣接するWチップ区間は、同一チャネルのWチップ区間とならない。すなわち、隣接する単位時間として、図14における時刻[T+1]と時刻[T+2]を例にとれば、時刻[T+1]すなわち割り当てパターン3適用時および時刻[T+2]すなわち割り当てパターン4適用時のそれぞれに作成される各遅延プロファイルでは、例えばチャネル3に隣接するWチップ区間は、割り当てパターン3適用時には、チャネル4(左隣り)およびチャネル6(右隣り)のWチップ区間となるのに対して、割り当てパターン4適用時には、チャネル6(左隣り)およびチャネル8(右隣り)のWチップ区間となる。
隣接する単位時間に作成される各遅延プロファイルにおいて、各チャネルに隣接するWチップ区間が同一チャネルのWチップ区間とならないことは、全チャネルについて常に満足される。
なお、図13および図14に示したミッドアンブルパターンの割り当て方法は一例であり、割り当てパターンの数を適宜増減させたり、割り当てパターンを適用する順序を適宜変更することは可能である。
また、本実施の形態で説明した回線推定による結果は、干渉除去復調処理におけるパス制限に用いることが可能なものである。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1において、同一の割り当てパターン適用時に作成した遅延プロファイルを平均化し、平均化した各遅延プロファイルを用いて各チャネルの伝搬遅延を検出する場合について説明する。
実施の形態1では、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合には、2つの割り当てパターン適用時に作成した各遅延プロファイルを用いて、各チャネルの伝搬遅延を検出する際には、パスのI成分・Q成分およびパスの大きさではなく、パスの遅延量を用いていた。ところが、パスの遅延量だけに基づいて、各チャネルの伝搬遅延を検出する場合には、相互に異なるチャネルのパスの遅延量が偶然一致する可能性がある。
そこで、本実施の形態においては、同一の割り当てパターン適用時に作成した遅延プロファイルを平均化する。以下、本実施の形態にかかる通信装置について、再度図2を参照して説明する。なお、本実施の形態における実施の形態1と同様の構成については、詳しい説明を省略し、本実施の形態における実施の形態1と相違する点のみについて説明する。ここでは、一例として、先に図4および図5を用いて説明したミッドアンブルパターンの割り当て方法に従って、各送信機に対してミッドアンブルパターンが割り当てられているものとする。
図2を参照するに、記憶部205は、前単位時間において割り当てパターン1および割り当てパターン適用時に作成した各遅延プロファイルに関する情報を記憶する。
さらに、記憶部205は、前単位時間における所定の期間について、記憶した遅延プロファイルに関する情報を、割り当てパターン毎に平均化する。例えば、記憶部205は、図5を参照するに、所定の期間を時刻[T−1]〜時刻[T+4]とすると、時刻[T+0]、時刻[T+2]および時刻[T+4]において記憶した遅延プロファイルに関する情報の平均化を行い、また、時刻[T−1]、時刻[T+1]および時刻[T+3]において記憶した遅延プロファイルに関する情報の平均化を行う。記憶部205は、平均化した遅延プロファイルに関する情報を、割り当てパターン毎に比較・回線推定部206に送る。
比較・回線推定部206は、記憶部205から送られた遅延プロファイルに関する情報を用いて、各割り当てパターンに対応する遅延プロファイルを比較して、実施の形態1で説明した方法により、各チャネルの伝搬遅延を検出する。
このように、本実施の形態によれば、同一の割り当てパターン適用時に作成した遅延プロファイルに関する情報を平均化し、平均化した遅延プロファイルに関する情報を用いて各チャネルの伝搬遅延を検出するので、各チャネルの伝搬遅延の検出精度を向上させることができる。特に、遅延プロファイルを作成する周期が、伝搬環境が変化する周期より大きい場合において各チャネルの伝搬遅延を検出する際には、相互に異なるチャネルのパスを同一チャネルのパスとして誤認識する確率を低減することができる。
なお、本実施の形態においては、各チャネルに対するミッドアンブルパターンの割り当て方法として、割り当てパターンを2つ用いた場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、割り当てパターンを3つ以上用いた場合についても適用可能なものである。この場合には、記憶部207は、各割り当てパターン適用時に作成された遅延プロファイルに関する情報を、割り当てパターン毎に記憶して、記憶した遅延プロファイルに関する情報を、割り当てパターン毎に平均化する。さらに、比較・回線推定部206は、各割り当てパターンに対応する遅延プロファイルを比較して、各チャネルの伝搬遅延を検出する。