JP4146831B2 - VoIPサービスシステム、呼制御サーバ、および呼制御方法 - Google Patents

VoIPサービスシステム、呼制御サーバ、および呼制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、IP(Internet Protocol)網を使った音声通信技術に関し、特に音声通信サービス(VoIPサービス:Voice over Internet Protocol)において高品質な音声通信を提供するための呼制御技術に関する。
IP網での音声通信であるVoIPサービスは、システム構築および運用の両面において従来のPSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)より低廉であることから多くの注目を集めている。
IP網での音声通信では、送信側で音声データを小容量のデジタルデータからなる音声パケットに分割して送信し、受信側で音声に復号する方式がとられる。これにより、音声とデータとを区別することなく共存させて同一のIP網で送受信することを可能としている。
音声通信では、リアルタイム性が要求されることから、音声パケットのパケットロスや遅延を生じないこと、すなわち低遅延で到着時間のゆらぎが少ないことが重要である。この問題を解決する方法として、網のルータ装置におけるルーティング処理で音声パケットか否かを判別し、音声パケットを優先的に処理する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術では、通話品質を保証し管理するためにポリシィテーブルを設け、パケット内容をクラス分けし、低遅延でゆらぎが少ないことが要求される音声パケットをRTP(Real Time Transport Protocol:QoS制御)に対応するバッファに格納している。これにより、音声パケットはデータなどのパケットより優先して転送される。
しかし、上記技術によれば、IP網の節(ノード)に分散配置されたルータで、ルータ自体の機能である通信帯域制御、優先制御、廃棄制御などに基づいて、音声パケットの転送制御を個別に行うため、一部のルータに呼が集中(輻輳)した場合には必要な通信帯域を確保できなくなり、パケットロス、遅延、ゆらぎなどの発生が避けられないという問題があった。
また、通信チャネルが設定されても、音声パケットが流れ始めたとたん通信帯域不足による通話の途切れや無音を生じたり、さらには通話中の音声パケットの流れに影響を与え、その通話の途切れや無音などを生じさせるという問題があった。
従来、このような呼が集中したルータにおいて必要な通信帯域を確保できないためにパケットロス等を生じる問題を解決するための技術が提案されている(例えば、特許文献2など参照)。
この従来技術では、新たなパケットの発生により輻輳が生じる場合、既に転送が行われているパケットの転送状態を維持するため、新たなパケットを低い優先度に変更したり、それによって新たなパケットを切断する処理を行う。この結果、通話中の音声パケットは所望の品質に維持できる。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
特開2001−16254号公報(第9頁、図3) 特開2003−179636号公報(第18頁、図1)
しかしながら、このような従来技術では、音声パケットが通過するルータで優先転送処理が行われるため、一部のルータに呼が集中した場合に新規に接続された呼の品質が低下する問題があった。
一方、法人ユーザでは、本社や各支店等へのアクセス回線を結ぶプライベートIP網やプライベートIP網とインターネット等の外部IP網を接続するWAN(Wide Area Network:広域通信網)回線など、複雑な網構成が用いられる。
このような網においては、外部IP網と接続する回線のすべてを一支社のみで占有して、本社や他の支社の通話やデータ交換が不可能となる事態により、法人ユーザの業務が妨げられるという問題が発生する可能性がある。したがって、従来技術では、このような事態に対処できないという問題があった。
以上述べた問題は、通話に必要な通信帯域を確保する技術がないこと、および、ルータ等によるノードでのみの制御、いわば一重の制御(管理)しかなく、VoIPサービスを大きな枠組みにおいて管理する仕組みが欠如していることに起因する。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、音声通信で用いるチャネルについて通信帯域が保証されておらず、任意の数だけチャネルを設定可能なIP網を用いたVoIPサービスにおいて、音声通信の通信帯域を確実に確保でき、音声通信の途中での通話品質の劣化に起因する途切れや遅延のない高品質の音声通信を実現できるVoIPサービスシステム、呼制御サーバ、および呼制御方法を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかるVoIPサービスシステムは、IP網を介して音声パケットの送受信を行う複数の端末について、呼制御サーバでこれら端末の呼制御を行うことにより、IP網上に設定された通信チャネルを介した端末での音声通信を実現するVoIPサービスシステムであって、端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理する呼制御サーバを備えるものである。
この際、呼制御サーバで、端末に関する呼接続要求に応じて当該端末が属するチャネル管理単位について通信チャネルの使用可否を判断し、当該チャネル管理単位で使用可能な通信チャネルがない場合、端末への呼接続を行わないようにしてもよい。
また、チャネル管理単位については、複数の端末とIP網とを接続するアクセス回線に対応して設けてもよく、あるいはIP網と他のIP網とを接続するWAN回線に対応して設けてもよい。
また、チャネル管理単位として、他のチャネル管理単位を構成要素に含む階層チャネル管理単位を用いてもよい。
この場合、呼制御サーバで、端末に関する呼接続要求に応じて当該端末が属するチャネル管理単位およびすべての階層チャネル管理単位について通信チャネルの使用可否を判断し、これらチャネル管理単位およびすべての階層チャネル管理単位のいずれかで使用可能な通信チャネルがない場合、端末への呼接続を行わないようにしてもよい。
また、本発明にかかる呼制御サーバは、IP網を介して音声パケットの送受信を行う複数の端末について、これら端末の呼制御を行うことにより、IP網上に設定された通信チャネルを介した端末での音声通信を実現する呼制御サーバであって、端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理する通信チャネル管理手段を備えるものである。
また、本発明にかかる呼制御方法は、IP網を介して音声パケットの送受信を行う複数の端末について、呼制御サーバでIP網上に設定された通信チャネルを介した端末での音声通信を実現する呼制御方法であって、端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理するステップを備えるものである。
本発明によれば、VoIPサーバにより、端末に関するIP網での接続形態などに基づきそれぞれの端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数が管理されるため、音声通信で用いるチャネルについて通信帯域が保証されておらず、任意の数だけチャネルを設定可能なIP網を用いたVoIPサービスにおいて、音声通信の通信帯域を確実に確保でき、音声通信の途中での通話品質の劣化に起因する途切れや遅延のない高品質の音声通信を実現できる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[VoIPサービスシステム]
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかるVoIPサービスシステムについて説明する。図1は本発明の一実施の形態にかかるVoIPサービスシステムの構成を示すブロック図である。
このVoIPサービスシステムには、VoIPサービスを利用する端末11,12,21,22、アクセス回線10,20、プライベートIP網30、WAN回線40、外部IP網50、およびVoIPサーバ(呼制御サーバ:Call Agent)60が設けられている。
通常、VoIPサービスシステムで使用されるIP網では、ユーザ環境によって使用可能な通信帯域幅は様々である。任意の音声通信に必要な通信帯域幅も端末間でネゴシエーションする音声コーデックの種類と通信チャネル数により逐次決定される。また、IP網では通信回線の物理的な性能と無関係に端末の数(アドレス)や通信チャネル数を設定できる。したがって、パケットロスや遅延のない音声通信を実現する通信チャネル数は通信回線ごとに定める必要がある。なお、本発明において、チャネルとはIP網上に設定された音声通信に必要な通信路(通信帯域幅または伝送能力)のことをいい、1通信チャネルとはパケットロスや遅延なく1音声通信が実現できる通信路をいう。
本発明はこれらの特性に鑑みてなされたものであり、その要点は、アクセス回線、WAN回線等のネットワーク構成要素での通信帯域幅を基に音声通信に使用できる通信チャネル数(最大同時接続チャネル数)を設定して、使用可能チャネル数を管理することにより、音声通信の通信帯域を確実に確保することにある。
より具体的には、本実施の形態にかかるVoIPサービスシステムは、VoIPサーバ60が各端末11,12,21,22の呼制御を行う際、これら端末11,12,21,22をそれぞれの接続回線ごとにグループ化し、これらグループからなるチャネル管理単位ごとに使用チャネル数を管理することにより、それぞれの接続回線における通信帯域管理を行うようにしたものである。
以下では、支店A,支店Bに設けられている各端末間を、プライベートIP網30を介して接続することにより、これら端末間における音声通信を実現する場合を例として説明する。
図1において、支店Aと支店BはプライベートIP網30で結ばれ、さらにWAN回線40でインターネットなどの外部IP網50と結ばれている。アクセス回線10とアクセス回線20は、支店Aと支店Bの端末群とプライベートIP網30とを結ぶ広域LAN(Local Area Network)回線である。
支店Aには端末11,12が設けられ、支店Bには端末21,22が設けられている。外部IP網50には、これら端末11,12,21,22の呼制御を行うVoIPサーバ60が設けられている。
VoIPサーバ60では、各端末11,12,21,22をそれぞれの接続回線ごとにグループ化し、これらグループからなるチャネル管理単位で各端末11,12,21,22を管理している。図1の例では、端末11,12は、アクセス回線10に割り当てられたグループAに属し、端末21,22は、アクセス回線20に割り当てられたグループBに属している。また、これらグループA,Bは、WAN回線40に割り当てられたグループXに属している。VoIPサーバ60では、呼制御の際、これら階層的に設けられたグループA,B,Xをそれぞれチャネル管理単位1A,1B,1Xとして、それぞれのチャネル管理単位1A,1B,1Xごとに使用チャネル数を管理している。
一般に、IP網では接続する端末の数を任意に設定することができるため、1つのVoIPサービス契約に対して複数の端末が接続できる。図1の例では、支店Aのチャネル管理単位1AにおけるVoIP回線サービス契約はa−1とa−2であるが、アクセス回線10を介してプライベートIP網30に接続できる音声通信の最大同時接続チャネル数(最大Ch数)は「10」チャネルに設定されている。この「10」というチャネル数はアクセス回線の性能等に基づいて設定されたもので、グループAの端末群からプライベートIP網30へパケットロスや遅延を生じない「10」チャネルの音声通信が同時にできることを示す。
同様に、グループBのチャネル管理単位1Bでは、契約b−1、b−2に対しアクセス回線20を介してプライベートIP網30に接続できる最大同時接続チャネル数は「8」チャネルに設定されている。
さらに、グループXの二重チャネル管理単位1Xでは、プライベートIP網30と外部IP網50とを接続するWAN回線40の最大同時接続チャネル数として「15」チャネルが確保されている。
このように、本実施の形態では、これら端末11,12,21,22を、例えば個々の端末のIP網での接続形態などに基づきグループ化し、これらグループからなるチャネル管理単位ごとに使用チャネル数を管理するようにしたものである。
したがって、各チャネル管理単位の使用チャネル数を適切に選択することにより、アクセス回線10,20、WAN回線40の性能等に基づいてパケットロスや遅延を生じない範囲で音声通信が確保される。
また、広域LAN回線(アクセス回線10,20)とWAN回線40とで二重にチャネル管理を行うことにより、音声通信の品質を確保した上で、特定の支店が全チャネルを占有するという偏った使用状況を防ぐことができる。なお、ここでは二重のチャネル管理を示したが、二重に限定されるものではなく、さらに管理を多層化することができる。
[VoIPサーバ]
次に、図2を参照して、本実施の形態にかかるVoIPサービスシステムで用いられるVoIPサーバ60について詳細に説明する。図2は、本実施の形態にかかるVoIPサービスシステムで用いられるVoIPサーバの構成例を示すブロック図である。
VoIPサーバ60は、全体としてコンピュータを有するサーバ装置からなり、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)61、画面表示部62、操作入力部63、記憶部64、および制御部65が設けられている。
通信I/F部61は、外部IP網50に接続されて、端末11,12,21,22の呼制御に必要な制御パケットなどの各種パケットを送受信する回路部である。
画面表示部62は、LCDやCRTなどの画面表示装置からなり、制御部65からの指示に基づき各種情報を画面表示する。
操作入力部63は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して制御部65へ出力する。
記憶部64は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置からなり、制御部65での各種処理に用いる例えばチャネル管理情報64Aなどの各種情報やプログラム64Pを記憶する。チャネル管理情報64Aは、各契約IDやチャネル管理単位IDごとに最大同時接続チャネル数や使用中チャネル数などの管理情報である。これらチャネル管理情報64Aは、画像表示部62および操作入力部63を用いて、あるいは通信I/F部61を介して予め記憶部64に登録される。プログラム64Pは、制御部65での各種処理を実現するプログラムであり、予め記録媒体や通信I/F部61を介して取り込まれ記憶部64に格納される。
制御部65は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部64からプログラム64Pを読み込んで実行することにより、各種機能手段を実現する機能部である。
この機能手段としては、呼制御手段65Aおよびチャネル管理手段65Bがある。
呼制御手段65Aは、端末11,12,21,22からの要求に基づき各種呼制御を行う手段である。チャネル管理手段65Bは、記憶部64のチャネル管理情報64Aを用いてチャネル管理単位ごとに使用しているチャネルを管理し、チャネル使用可否を判断する手段である。
[チャネル管理情報]
次に、図3〜図8を参照して、記憶部64のチャネル管理情報64Aについて詳細に説明する。
VoIPサーバ60は、記憶部64のチャネル管理情報64Aを構成する、図3〜図8の各テーブルに基づき、チャネル管理単位ごとに通信チャネルのチャネル管理を行うことにより、それぞれの通信帯域管理を行う。
図3は、契約単位用管理テーブル70の一例である。この契約単位用管理テーブル70は、各契約のチャネル管理に必要な各種情報を管理するテーブルであり、ここではグループAの契約a−1に対応する内容が例として示されている。
この契約単位用管理テーブル70では、個々の契約を識別するための契約IDごと、図1の例では各アクセス回線に対応して、最大同時接続チャネル数、チャネル管理種別、およびチャネル管理単位IDが管理されている。
最大同時接続チャネル数は、当該契約が同時に利用できる接続チャネル数の最大値であり、契約a−1の場合、最大同時接続チャネル数は「2」チャネルに設定されている。
チャネル管理種別は、当該契約に適用するチャネル管理の方法を示す情報であり、この例では2つのモードが選択できる。チャネル管理種別「0」は契約ID単位でチャネル管理するモードで、契約a−1内の2チャネルのみが管理対象になる。チャネル管理種別「1」はチャネル管理単位ID単位でチャネル管理するモードで、契約a−1と契約a−2をグループとしたグループAすなわちチャネル管理単位1Aでチャネルを管理するモードである。
チャネル管理単位IDは、当該契約が属するチャネル管理単位を示す識別情報である。
図4は、チャネル管理単位用管理テーブル71の一例である。このチャネル管理単位用管理テーブル71は、各チャネル管理単位のチャネル管理に必要な各種情報を管理するテーブルであり、チャネル管理種別が「1」の場合に用いられる。ここではグループAのチャネル管理単位1Aすなわちアクセス回線10に対応する内容が例として示されている。
このチャネル管理単位用管理テーブル71では、個々のチャネル管理単位を識別するためのチャネル管理単位IDごとに、最大同時接続チャネル数、二重チャネル管理有無、および二重チャネル管理単位IDが管理されている。
最大同時接続チャネル数は、当該チャネル管理単位が同時に利用できる接続チャネル数の最大値であり、チャネル管理単位1Aの場合、最大同時接続チャネル数は「10」チャネルに設定されている。
二重チャネル管理有無は、当該チャネル管理単位のさらに上位階層の二重チャネル管理単位(階層チャネル管理単位)でのチャネル管理が存在するか否かを示す情報である。チャネル管理単位1Aの場合には、その上位階層に設けられた二重チャネル管理単位1Xでのチャネル管理が行われることから、二重チャネル管理有無は「1」に設定されている。
二重チャネル管理単位IDは、当該チャネル管理単位の上位階層に設けられたチャネル管理単位すなわち二重チャネル管理単位を示す識別情報である。
図5は、二重チャネル管理単位用管理テーブル72の一例である。この二重チャネル管理単位用管理テーブル72は、上位階層に設けられた二重チャネル管理単位のチャネル管理に必要な各種情報を管理するテーブルであり、ここでは、グループXの二重チャネル管理単位1Xに対応する内容が例として示されている。
この二重チャネル管理単位用管理テーブル72では、個々の二重チャネル管理単位を識別するための二重チャネル管理単位IDごとに、最大同時接続チャネル数が管理されている。
最大同時接続チャネル数は、当該二重チャネル管理単位が同時に利用できる接続チャネル数の最大値であり、二重チャネル管理単位1Xの場合、最大同時接続チャネル数は「15」チャネルに設定されている。
図6〜図8は、各チャネル管理単位で使用中のチャネル数を監視する計数テーブルであり、それぞれ契約単位用計数テーブル73、チャネル管理単位用計数テーブル74、および二重チャネル管理単位用計数テーブル75の一例を示している。
これら計数テーブルは、それぞれ契約IDごと、チャネル管理単位ID(アクセス回線)ごと、および二重チャネル管理単位ID(WAN回線)ごとに、当該管理単位が使用中のチャネル数を示す使用中チャネル数を計数管理するテーブルである。
VoIPサーバ60のチャネル管理手段65Bは、これら図6〜図8のテーブルの使用中チャネル数と図3〜図5のテーブルの最大同時接続チャネル数とを比較することにより、それぞれの管理単位ごとにチャネル管理を行う。したがって、チャネル管理手段65Bで、任意の管理単位において、使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に到達していると判断された場合、呼制御手段65Aで、その管理単位に属する端末からの発信要求および着信要求は接続されないで呼損処理される。
図3〜図8の例では、グループAのチャネル管理単位1Aでは同時に「10」チャネルまで接続可能であり、グループBのチャネル管理単位1Bでは同時に「8」チャネルまで接続可能である。したがって、これらチャネル管理単位1A,1BからプライベートIP網30およびWAN回線40を介して外部IP網50へ接続を要求する呼が発生した場合、グループXの二重チャネル管理単位1Xで使用可能な最大同時接続チャネル数は「15」であるため、一部の呼は接続されず呼損処理されることになる。このことにより、アクセス回線10,20やWAN回線40で確保された音声通信の通信帯域以上の通話は接続されないため、高品質な音声通信が実現できる。
なお、VoIPサーバ60では、グループA内またはグループB内での閉じられた発信および着信の呼接続についても管理しているが、これら接続呼で用いられる音声通信チャネルはアクセス回線10,20やWAN回線40を通過しないため、上記チャネル管理は適用されず、グループAおよびグループB内において処理される。
[VoIPサーバの動作]
次に、図9を参照して、本実施の形態にかかるVoIPサービスシステムの動作として、VoIPサーバ60での呼制御処理について詳細に説明する。図9は、本実施の形態にかかるVoIPサービスシステムで用いられるVoIPサーバ60の呼制御処理を示すフローチャートである。
以下では、本実施の形態にかかるVoIPサービスシステムへの理解を深めるため、本実施の形態を適用しない契約ID単位でのチャネル管理すなわちチャネル管理種別「0」の場合と、本実施の形態を適用したチャネル管理単位でのチャネル管理すなわちチャネル管理種別「1」の場合と比較して説明する。
(1)契約ID単位でのチャネル管理(チャネル管理種別「0」のモード)
まず、契約ID単位でのチャネル管理すなわちチャネル管理種別「0」の場合の呼制御について説明する。なお、このモードでは、契約IDをチャネル管理単位とする契約単位用管理テーブル70および契約単位用計数テーブル73が、予め設定されているものとする。
VoIPサーバ60の制御部65は、通信I/F部61を介して当該管理下にある任意の端末から発信要求を受信した場合、呼制御手段65Aにより、図9の呼制御を開始する。
まず、呼制御手段65Aは、当該発信要求に基づきその要求元である発信元端末の契約IDを取得し、記憶部64のチャネル管理情報64Aのうち、当該契約IDの契約単位用管理テーブル71を参照して、当該契約IDの管理種別を判定する(ステップ100)。このモードでは、図3の当該契約IDに対応する契約単位用管理テーブル71で、そのチャネル管理種別が「0」であり契約単位のチャネル管理であることが確認される(ステップ100:契約単位)。
次に、呼制御手段65Aは、チャネル管理手段65Bで、当該契約IDによるチャネル使用可否を判断する(ステップ102)。例えば、契約a−1の端末が発信元である場合、チャネル管理手段65Bでは、図3の当該契約a−1の契約単位用管理テーブル70の最大同時接続チャネル数と図6の契約単位用計数テーブル73の使用中チャネル数とを比較し、その比較結果を呼制御手段65Aへ返す。
呼制御手段65Aは、この比較結果を受け取り、当該契約IDについて使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達していなければ(ステップ102:YES)、契約単位用計数テーブル73の使用中チャネル数をチャネル管理手段65Bによりインクリメント(+1)して(ステップ103)、所定の呼接続処理を行い(ステップ104)、一連の呼制御処理を終了する。
一方、当該契約IDについて使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達している場合は(ステップ102:NO)、その呼は接続できないため、所定の呼損処理を行い(ステップ105)、一連の呼制御処理を終了する。
このように、チャネル管理種別「0」のモードでは、契約ID単位でのみチャネル管理を行うため、呼制御処理において、アクセス回線10,20やWAN回線40などでの通信状況についてはチェックされない。したがって、これらアクセス回線10,20やWAN回線40を介した接続呼が増加した場合、輻輳が生じてパケットロスや遅延が発生する恐れがある。
(2)チャネル管理単位ID単位のチャネル管理(チャネル管理種別「1」のモード)
次に、チャネル管理単位ID単位のチャネル管理すなわちチャネル管理種別「1」の場合の呼制御処理について説明する。なお、このモードでは、チャネル管理単位IDここではアクセス回線をチャネル管理単位とする契約単位用管理テーブル71およびチャネル管理単位ID用計数テーブル74が、予め設定されているものとする。
VoIPサーバ60の制御部65は、通信I/F部61を介して当該管理下にある任意の端末から発信要求を受信した場合、呼制御手段65Aにより、図9の呼制御を開始する。
まず、呼制御手段65Aは、当該発信要求に基づきその要求元である発信元端末の契約IDを取得し、記憶部64のチャネル管理情報64Aのうち、当該契約IDの契約単位用管理テーブル71を参照して、当該契約IDの管理種別を判定する(ステップ100)。このモードでは、図3の当該契約IDに対応する契約単位用管理テーブル71で、そのチャネル管理種別が「1」でありチャネル管理単位のチャネル管理であることが確認される(ステップ100:チャネル管理単位)。
次に、呼制御手段65Aは、当該発信要求に含まれる着信先端末に基づき、当該発信呼が同一チャネル管理単位内の閉じた呼か否か、すなわち当該発信呼がアクセス回線20を使用するか否か判定する(ステップ101)。
ここで、着信先端末が発信元端末と同一チャネル管理単位内にあり、当該発信呼がアクセス回線20を使用しない場合(ステップ101:同一チャネル管理単位内)、前述したステップ104へ移行して所定の呼接続処理を行い、一連の呼制御処理を終了する。
一方、着信先端末が発信元端末と同一チャネル管理単位外にあり、当該発信呼がアクセス回線20を使用する場合(ステップ101:同一チャネル管理単位外)、前述したステップ102へ移行して、契約IDに加えてアクセス回線20に対応するチャネル管理単位1Aについてもチャネルの使用可否を判断する。
例えば、契約a−1の端末が発信元である場合、チャネル管理手段65Bは、図3の当該契約a−1の契約単位用管理テーブル70からチャネル管理単位IDを取得し、そのチャネル管理単位IDに対応する図4のチャネル管理単位用管理テーブル71の最大同時接続チャネル数と、図7のチャネル管理単位ID用計数テーブル74の使用中チャネル数とを比較し、その比較結果を呼制御手段65Aへ返す。
呼制御手段65Aは、この比較結果を受け取り、当該契約IDおよび当該チャネル管理単位の両方について使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達しておらず、かつ当該チャネル管理単位について使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達していなければ(ステップ102:YES)、契約単位用計数テーブル73およびチャネル管理単位用計数テーブル74の使用中チャネル数をチャネル管理手段65Bによりそれぞれインクリメント(+1)して(ステップ103)、所定の呼接続処理を行い(ステップ104)、一連の呼制御処理を終了する。
一方、当該契約単位または当該チャネル管理単位のいずれかについて使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達している場合、すなわち使用可能な通信チャネルがない場合(ステップ102:NO)、その呼は接続できないため、所定の呼損処理を行い(ステップ105)、一連の呼制御処理を終了する。
なお、ステップ102において、チャネル管理手段65Bは、チャネル管理単位用管理テーブル71の二重チャネル管理有無を確認し、二重チャネル管理ありに設定されている場合は、当該テーブル71から二重チャネル管理単位IDを取得し、前述したチャネル管理単位1Aと同様にして、図5の二重チャネル管理単位用管理テーブル72の最大同時接続チャネル数と、図8の二重チャネル管理単位ID用計数テーブル75の使用中チャネル数とを比較し、その比較結果を呼制御手段65Aへ返す。
呼制御手段65Aは、この比較結果を受け取り、当該契約ID、当該チャネル管理単位、および当該二重チャネル管理単位のいずれについても使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達していなければ(ステップ102:YES)、契約単位用計数テーブル73、チャネル管理単位用計数テーブル74、および二重チャネル管理単位用計数テーブル75の使用中チャネル数をチャネル管理手段65Bによりそれぞれインクリメント(+1)して(ステップ103)、所定の呼接続処理を行い(ステップ104)、一連の呼制御処理を終了する。
一方、当該契約単位、当該チャネル管理単位、または当該二重チャネル管理単位のいずれかについて使用中チャネル数が最大同時接続チャネル数に達している場合は(ステップ102:NO)、その呼は接続できないため、所定の呼損処理を行い(ステップ105)、一連の呼制御処理を終了する。
このように、本実施の形態では、VoIPサーバにより、例えば端末の接続形態などに基づきそれぞれの端末に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理するようにしたので、音声通信で用いるチャネルについて通信帯域が保証されておらず、任意の数だけチャネルを設定可能なIP網を用いたVoIPサービスにおいて、音声通信の通信帯域を確実に確保でき、音声通信の途中での通話品質の劣化に起因する途切れや遅延のない高品質の音声通信を実現できる。
また、VoIPサーバで、端末に関する呼接続要求に応じて当該端末が属するチャネル管理単位について通信チャネルの使用可否を判断し、当該チャネル管理単位で使用可能な通信チャネルがない場合、通信チャネルの使用を制限し、端末への呼接続を行わないようにしたので、利用できる音声チャネルがない場合には、呼接続前に呼損処理することにより、品質の悪い音声通信が提供されず、音声通信そのものの品質を高めることができる。また、もともと通話の品質が確保できないこと、接続できたとしても他の音声通信の品質に悪影響を与える恐れがあることから、接続されないことが音声通信としての品質が高いといえる。
また、複数の支店や端末が複雑に接続された法人ユーザにおいて、フレキシブルに音声通信のチャネル数を設定することができ、特定の支社等が網を占有することを防止できるとともに、アクセス回線、WAN回線等の通信回線の効率的な利用を実現できる。
また、VoIPサーバはIP網上の音声通信において番号とIPアドレスの変換、通話の接続と遮断などの処理を行うが、この際、端末とVoIPサーバ間でやり取りされる制御データはデータ量が極めて少なく、かつ遅延が問題とならないこと、さらには音声通信はVoIPサーバを経由せず通信帯域を確保した通信チャネルに設定されることなどから、VoIPサーバを外部IP網に設けても問題を全く生じない。
したがって、プロバイダが本発明のチャネル管理および通信帯域管理を外部IP網上からネットワークサービス、すなわちIPセントレックスサービスとして提供することができる。
これにより、ユーザ側にPBX(Private Branch eXchange:構内交換機)を設置して同様な機能を提供する従来の方式と比較して、ユーザ側になんらの設備を設ける必要もなく、ユーザが本発明のVoIPサービスを利用でき、ユーザの設備負担、保守負担、さらにはコスト負担を大幅に削減できる。
また、本実施の形態では、VoIPサーバへの呼接続要求が発信要求である場合を例として説明したが、着信要求の場合も、着信先端末と発信元端末を入れ替えることにより、前述と全く同様に呼制御処理でチャネル管理を行うことができる。なお、ここでの詳細な説明は省略する。
また、本実施の形態では、チャネル管理単位をアクセス回線やWAN回線に対応して設けた場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、ルータやリンクなど、VoIPサービスシステムを構成する任意のネットワーク構成要素に対応して設けることができ、特に、VoIPサービスシステム内において音声通信の通信品質を左右するボトルネックとなるネットワーク構成要素に対応して設けることにより、顕著な効果が得られる。
また、本実施の形態では、音声通信に割り当てられるチャネル数が固定されている場合を例として説明したが、音声通信に割り当てられるチャネル数については、それぞれの通信回線性能や音声通信とデータ通信との使用割合等に応じて設定すればよく、通信状況の変化に応じて、音声通信に割り当てられるチャネル数ダイナミックに設定することも可能である。これによりネットワーク資源を効率よく使用することができる。
また、本実施の形態では、通信チャネルを、2つの階層で二重に管理する例を示したが、階層をさらに増やすことでより複雑な構成のプライベート網へ対応できることは明らかである。
また、前述した例は本発明の一実施例であって、本発明の主旨を逸しない範囲で、システム構成、使用できるチャネル数の設定などのサービス内容、管理テーブルの構成、制御フローなどを変更して実施することができる。
本発明の一実施の形態にかかるVoIPサービスシステムの構成を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態にかかるVoIPサービスシステムで用いられるVoIPサーバの構成を示すブロック図である。 契約単位用管理テーブルの一例である。 チャネル管理単位用管理テーブルの一例である。 二重チャネル管理単位用管理テーブルの一例である。 契約単位用計数テーブルの一例である。 チャネル管理単位用計数テーブルの一例である。 二重チャネル管理単位用計数テーブルの一例である。 本発明の一実施の形態にかかるVoIPサービスシステムで用いられるVoIPサーバでの呼制御処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1A,1B…チャネル管理単位、1X…二重チャネル管理単位、10,20…アクセス回線、11,12,21,22…端末、30…プライベートIP網、40…WAN回線、50…外部IP網、60…VoIPサーバ、61…通信I/F部、62…画面表示部、63…操作入力部、64…記憶部、64A…チャネル管理情報、64P…プログラム、65…制御部、65A…呼制御手段、65B…チャネル管理手段。

Claims (8)

  1. IP網を介して音声パケットの送受信を行う複数の端末について、呼制御サーバでこれら端末の呼制御を行うことにより、前記IP網上に設定された通信チャネルを介した前記端末での音声通信を実現するVoIPサービスシステムであって、
    前記端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理する呼制御サーバを備えることを特徴とするVoIPサービスシステム。
  2. 請求項1に記載のVoIPサービスシステムにおいて、
    前記呼制御サーバは、前記端末に関する呼接続要求に応じて当該端末が属するチャネル管理単位について通信チャネルの使用可否を判断し、当該チャネル管理単位で使用可能な通信チャネルがない場合、前記端末への呼接続を行わないことを特徴とするVoIPサービスシステム。
  3. 請求項1に記載のVoIPサービスシステムにおいて、
    前記チャネル管理単位は、複数の前記端末と前記IP網とを接続するアクセス回線に対応して設けられていることを特徴とするVoIPサービスシステム。
  4. 請求項1に記載のVoIPサービスシステムにおいて、
    前記チャネル管理単位は、前記IP網と他のIP網とを接続するWAN回線に対応して設けられていることを特徴とするVoIPサービスシステム。
  5. 請求項1に記載のVoIPサービスシステムにおいて、
    前記チャネル管理単位として、他のチャネル管理単位を構成要素に含む階層チャネル管理単位を用いることを特徴とするVoIPサービスシステム。
  6. 請求項5に記載のVoIPサービスシステムにおいて、
    前記呼制御サーバは、前記端末に関する呼接続要求に応じて当該端末が属するチャネル管理単位およびすべての階層チャネル管理単位について通信チャネルの使用可否を判断し、これらチャネル管理単位およびすべての階層チャネル管理単位のいずれかで使用可能な通信チャネルがない場合、前記端末への呼接続を行わないことを特徴とするVoIPサービスシステム。
  7. IP網を介して音声パケットの送受信を行う複数の端末について、これら端末の呼制御を行うことにより、前記IP網上に設定された通信チャネルを介した前記端末での音声通信を実現する呼制御サーバであって、
    前記端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理する通信チャネル管理手段を備えることを特徴とする呼制御サーバ。
  8. IP網を介して音声パケットの送受信を行う複数の端末について、呼制御サーバで前記IP網上に設定された通信チャネルを介した前記端末での音声通信を実現する呼制御方法であって、
    前記呼制御サーバにより、前記端末に対して階層的に割り当てられているチャネル管理単位ごとに、当該チャネル管理単位に属する端末で同時に使用可能な通信チャネル数を管理するステップを備えることを特徴とする呼制御方法。
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