JP4141044B2 - Engine starter - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン始動装置に関し、特に、始動時に負荷トルクの影響を小さくして始動性を向上させるのに好適なエンジン始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
環境への配慮や省エネルギの観点から、特にアイドリング時の排気ガスや燃料消費を抑えるために、車両を停止させるとエンジンが自動停止し、停止状態からスロットルグリップが操作されて発進が指示されると、エンジンを自動的に再始動して車両を発進させるエンジン停止始動制御装置が知られている(特開昭63−75323号公報)。
【0003】
一方、始動時の負荷トルクの影響を小さくするため、一旦、負荷トルクの減少方向へスタータモータ(セルモータ)を回転させた後、正規のエンジン回転方向(正転方向)にセルモータを回転させるようにしたエンジン始動装置が知られている(特開平7−71350号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セルモータの回転方向を制御して始動性を高める上記エンジン始動装置では、クランク軸を一旦逆転させてから正転させるので、通常の始動方法と違って、逆転の分だけ始動までに時間が余分にかかる。特に、車両が停止したときにエンジンを自動停止させる上記エンジン停止始動制御装置では、スロットルグリップの操作に応答して迅速にエンジンが始動して車両が発進することが望ましい。しかしながら、従来の始動装置ではこの要望に十分に応えられない。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、始動時の負荷トルクの影響をなくすると共に、発進までの時間を短縮することができるエンジン始動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、エンジン始動操作時に、クランク角度位置が正転領域にある場合にはスタータモータを正転させる一方、クランク角度位置が逆転領域にある場合は、クランク角度位置が前記正転領域に入るまでスタータモータを逆転させた後正転させるようにしたエンジン始動装置において、車両停止時にエンジンを停止させ、運転者による発進操作に応答してエンジンを始動させるエンジン停止始動制御手段と、前記車両停止時に、クランク角度位置が前記逆転領域にある場合は、前記発進操作が行われる前にクランク角度位置を前記正転領域に変化させるスタータモータ制御手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0007】
この第1の特徴によれば、車両停止に伴うエンジン停止時にクランク角度位置が逆転領域にある場合は、発進操作に先立ってクランク角度位置を変更して正転領域に移動させておくことができる。これにより、発進操作に即座に応答してスタータモータを正転させてエンジンを始動させることができる。
【0008】
また、本発明は、カムシャフト位置を検出するカムセンサを具備し、前記カムセンサの出力信号に基づいて前記正転領域および前記逆転領域を検出する点に第2の特徴がある。この第2の特徴によれば、カムシャフトの位置によって、クランク角度位置が正転領域にあるか逆転領域にあるかを容易に認識することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態であるエンジン始動装置を搭載した自動二輪車の全体側面図である。同図において、車体前部2と車体後部3とは低いフロア部4を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレームは、概ねダウンチューブ6とメインパイプ7とから構成される。燃料タンクおよびラゲッジボックス(共に図示せず)はメインパイプ7により支持され、その上方にシート8が配置されている。シート8はその下部に設けられるラゲッジボックスの蓋を兼ねることができ、ラゲッジボックスの開閉のため、その前部FRに設けられた図示しないヒンジ機構により回動可能に支持されている。
【0010】
一方、車体前部2ではダウンチューブ6にステアリングヘッド5が設けられ、このステアリングヘッド5によってフロントフォーク12Aが軸支されている。フロントフォーク12Aから上方に延びた部分にはハンドル11Aが取付けられる一方、下方に延びた部分の先端には前輪13Aが軸支されている。ハンドル11Aの上部は計器板を兼ねたハンドルカバー33で覆われている。
【0011】
メインパイプ7の途中にはリンク部材(ハンガ)37が回動自在に軸支され、このハンガ37によりスイングユニット17がメインパイプ7に対して揺動自在に連結支持されている。スイングユニット17には、その前部に単気筒の4サイクルエンジン200が搭載されている。エンジン200から後方にかけてベルト式無段変速機35が構成され、この無段変速機35には後述する遠心クラッチ機構を介して減速機構38が連結されている。そして減速機構38には後輪21が軸支されている。減速機構38の上端とメインパイプ7の上部屈曲部との間にはリヤクッション22が介装されている。スイングユニット17の前部には、エンジン200のシリンダヘッド32から延出した吸気管23が接続され、さらに吸気管23には気化器24および同気化器24に連結されたエアクリーナ25が配設されている。
【0012】
ベルト式無段変速機35の伝動ケースカバー36から突出したキックシャフト27にキックアーム28の基端が固着され、キックアーム28の先端にキックペダル29が設けられている。スイングユニットケース31の下部に設けられた枢軸18にはメインスタンド26が枢着されており、駐車に際してはこのメインスタンド26を立てる(鎖線で図示)。
【0013】
図3は、前記自動二輪車の計器盤回りの平面図であり、ハンドルカバー33の計器盤192内には、スピードメータ193と共にスタンバイインジケータ256およびバッテリインジケータ276が設けられている。スタンバイインジケータ256は、後に詳述するように、エンジンの停止始動制御中におけるエンジン停止時に点滅し、スロットルを開ければ直ちにエンジンが始動されて発進し得る状態にあることを運転者に警告する。バッテリインジケータ276は、バッテリ電圧が低下すると点灯してバッテリの充電不足を運転者に警告する。
【0014】
ハンドルカバー33には、アイドリングを許可または制限するためのアイドルスイッチ253およびスタータモータ(セルモータ)を起動するためのスタータスイッチ258が設けられている。ハンドル11の右端部には、スロットルグリップ194およびブレーキレバー195が設けられている。なお、左右のスロットルグリップの付根部分等には、従来の二輪車と同様にホーンスイッチやウインカスイッチを備えているが、ここでは図示を省略する。
【0015】
次に、シート8を開閉するためのヒンジ部とそのヒンジ部近傍に配設された着座スイッチの構成を説明する。図4はシート8の開閉のためのヒンジ部の構造を示す模式図である。同図において、ラゲッジボックス9の蓋を兼ねているシート8は、該ラゲッジボックス9に対して矢印Aの方向に開閉自在に設けられている。シート8を開閉可能にするため、ラゲッジボックス9にはヒンジ軸102およびヒンジ軸102を中心に揺動自在なリンク部材100が設けられている。一方、リンク部材100の他端つまりヒンジ軸102と結合されている側とは反対側の端部はシート8のフレーム8aに設けられた第2のヒンジ軸110に対して回動自在に結合されている。したがって、シート8はヒンジ軸102を中心に矢印Aの方向に揺動できるとともに、第2のヒンジ軸110を中心に矢印Bの方向にも揺動可能である。
【0016】
リンク部材100と前記フレーム8aとの間にはスプリング103が介装されていて、シート8を第2のヒンジ軸110を中心として図中時計方向に付勢している。さらに、リンク部材100と前記フレーム8aとの間には着座スイッチ156が設けら、運転者が着座してフレーム8aが第2のヒンジ軸110を中心に図中反時計方向に所定量回動したときにオン動作して着座状態を検出する。
【0017】
続いて、前記エンジン200について詳細に説明する。図5はエンジンのクランクシャフトに連結される始動兼発電装置の断面図であり、図2におけるA−A位置で断面図である。図5において、前記メインパイプ7に保持されるハンガ37を備えたスイングユニットケース31には主軸受10,11で回転自在に支持されたクランクシャフト12が設けられていて、このクランクシャフト12にはクランクピン13を介してコンロッド14が連結されている。クランク室9から張出したクランクシャフト12の一端部には始動兼発電装置のインナロータ15が設けられている。
【0018】
インナロータ15はロータボス16およびロータボス16の外周面に嵌着された永久磁石19を有する。永久磁石19は、例えばネオジウム鉄ボロン系であり、クランクシャフト12を中心として等角度間隔で6か所に設けられている。ロータボス16はその中心部でクランクシャフト12の先端テーパ部に嵌合している。ロータボス16の一端(クランクシャフト12とは反対側の端)にはフランジ部材39が配置され、ロータボス16はこのフランジ部材39とともにボルト20でクランクシャフト12に固定されている。
【0019】
ロータボス16には、前記フランジ部材39側に突出した小径円筒部40が形成されており、円筒部40の外周には、この円筒部40に対して摺動自在にブラシホルダ41が設けられている。ブラシホルダ41は圧縮コイルばね42で前記フランジ部材39方向に付勢されている。ブラシホルダ41には圧縮コイルばね43で付勢されたブラシ44が設けられている。ロータボス16にはクランクシャフト12の中心軸と平行に延びた連結ピン45が貫通しており、その一端は前記ブラシホルダ41に固結されているとともに、他端はガバナ(詳細は後述)のプレート46に連結されている。
【0020】
インナロータ15の外周に配設されたアウタステータ47のステータコア48はボルト49によってスイングユニットケース31に固定されている。このステータコア49のヨーク49aには、発電コイル50と始動コイル51とが巻回されていて、ステータコア49から延出した円筒部49bは前記ブラシホルダ41を覆っている。円筒部49bの端部には整流子ホルダ52が連結されており、この整流子ホルダ52には前記ブラシ44と摺動するように整流子片53が固定されている。すなわち、前記圧縮コイルばね43で付勢されているブラシ44と対向する位置に整流子片53が配置されている。
【0021】
なお、図5では1個のブラシ44しか示されていないが、この1個だけでなく、インナロータ15の回転方向に必要数設けられているのはもちろんである。ブラシおよび整流子片の個数や形状の一例は、本出願人による先願(特開平9−215292号)の明細書に記載されている。また、後述のガバナによってブラシホルダ41がクランクシャフト12側に偏倚させられたとき、ブラシ44が整流子片53から離れるように、ブラシ44のストロークは所定量に制限されている。ストローク制限のためにブラシホルダ41とブラシ44との間には図示しない係止手段が設けられる。
【0022】
前記ロータボス16の端部つまりクランクシャフト12との嵌合部側には始動モードと発電モードとを自動的に切換えるガバナ54が設けられている。ガバナ54は前記プレート46と、このプレート46をクランクシャフト12の中心軸方向に偏倚させるためのガバナウェイトとしてのローラ55とを含んでいる。ローラ55は金属製の芯に樹脂カバーを設けたものが好ましいが、樹脂カバーを儲けないもの、または全体が樹脂で形成されているものであってもよい。ロータボス16には前記ローラ55を収容するポケット56が形成されており、このポケット45は図示のようにアウタステータ47側ですぼんだテーパ状断面を成している。
【0023】
前記フランジ部材39にはラジエータファン57が取付けられていて、このラジエータファン57に対向してラジエータ58が設けられている。また、クランクシャフト12上には、インナロータ15および主軸受11間にスプロケット59が固定されていて、このスプロケット59にはクランクシャフト12からカムシャフト(図6参照)を駆動するための動力を得るためのチェーン60が掛けられている。なお、スプロケット59は潤滑オイルを循環させるポンプに動力を伝達するためのギヤ61と一体的に形成されている。ギヤ61は、後述するギヤポンプの駆動軸に固定されたギヤに動力を伝達する。
【0024】
上記構成において、スタータスイッチを押してバッテリ(図示しない)により整流子片53に電圧を印加すると、ブラシ44を通じて始動コイル51に電流が流れ、インナロータ15が回転する。その結果、インナロータ15と結合されているクランクシャフト12が回転させられエンジン200が始動される。エンジン200の回転数が増大すると、ガバナウェイト55は遠心力を受け、ポケット56内でロータボス16の外周方向に移動して図中鎖線で示した位置に至る。
【0025】
ガバナウェイト55が移動すると、プレート46およびプレート46と係合している連結ピン45も鎖線で示したように偏倚する。この連結ピン46の他端はブラシホルダ41と係合しているので、同様にブラシホルダ41も偏倚する。ブラシ44のストロークは上述のように制限されているので、このストロークよりもブラシホルダ41が大きく偏倚すると、ブラシ44と整流子片53との接触は絶たれる。ブラシ44が整流子片53から離れた後は、エンジン駆動でクランクシャフト12が回転し、その結果、発電コイル51によって発電され、バッテリへ電流が供給される。
【0026】
続いて、エンジン200のヘッド周辺の構造を説明する。図6はエンジンのヘッド周辺の側面断面図、図7は同正面断面図、図8は同背面断面図である。シリンダ62内に配置されているピストン63は、ピストンピン64を介してコンロッド14のスモールエンド側に連結されている。シリンダヘッド32には点火プラグ65が螺着されていて、その電極部がピストン63のヘッドとシリンダヘッド32との間に形成された燃焼室に臨んでいる。シリンダ62の周りは水ジャケット66で囲まれている。
【0027】
シリンダヘッド32内の、前記シリンダ62の上方には、軸受67,68によって回転自在に支持されたカムシャフト69が設けられている。カムシャフト69にはアタッチメント70が嵌合しており、このアタッチメント70には、カムスプロケット72とカムセンサ155に関連してカムパルスを発生させるためのリラクタ部72aとがボルト71による共締めで固定されている。カムスプロケット72にはチェーン60が掛けられている。このチェーン60によって、前記スプロケット59(図5参照)の回転つまりクランクシャフト12の回転がカムシャフト69に伝達される。
【0028】
カムシャフト69の上部にはロッカアーム73が設けられていて、このロッカアーム73はカムシャフト69の回転に伴いカムシャフト69のカム形状に応じて揺動する。カムシャフト69のカム形状は、4サイクルエンジンの所定の行程に応じて吸気弁95および排気弁96が開閉されるように決定されている。吸気弁95によって吸気管23が開閉され、排気弁96によって排気管97が開閉される。
【0029】
カムシャフト69には一体的に排気カムおよび吸気カムが形成されているが、これらのカムに隣接し、カムシャフト69に対して逆転方向にのみ係合しているデコンプカム98が設けられている。デコンプカム98はカムシャフト69の逆転時にカムシャフト69の回転に追従して排気カムの外周形状よりも突出した位置に回動する。
【0030】
したがって、カムシャフト69の正転時に排気弁96をわずかにリフトした状態にすることができ、エンジンの圧縮工程での負荷を軽減することができる。これにより、クランク軸を始動されるときのトルクを小さくできるので、4サイクルエンジンのスタータとしては小型のものを使うことができる。その結果、クランク周りをコンパクトにでき、バンク角を大きくできるという利点がある。なお、カムがしばらく正転することにより、デコンプカム98の外形は排気カムの外周形状内に戻る。
【0031】
シリンダヘッド32には水ポンプベース74と水ポンプハウジング75とで囲まれたポンプ室76が形成されている。ポンプ室76内にはインペラ77を有するポンプシャフト78が配置されている。ポンプシャフト78はカムシャフト69の端部に嵌合され、軸受79によって回転自在に保持されている。ポンプシャフト78の駆動力はカムスプロケット72の中心部に係合するピン80によって得られる。
【0032】
ヘッドカバー81には、エアリードバルブ94が設けられている。このエアリードバルブ94は、排気管97に負圧が生じたときにエアを吸入してエミッションを改善する。なお、ポンプ室76の周辺の随所にはシール部材が設けられているが、個々の説明は省略する。
【0033】
続いて、エンジン200の回転を変速して後輪に伝達する自動変速機を説明する。図9,図10はエンジンの自動変速機部分の断面図であり、それぞれ図9が駆動側、図10が従動側である。図9において、クランクシャフト12上の、前記始動兼発電装置のインナロータ15が設けられた側とは反対側の端部にはVベルト82を巻き掛けるためのプーリ83が設けられている。プーリ83はクランクシャフト12に対して回転方向および軸方向の動きが固定された固定プーリ片83aとクランクシャフト12に対して軸方向に摺動自在な可動プーリ片83bとからなる。可動プーリ片83bの背面つまりVベルト82と当接しない面にはホルダプレート84が取付けられている。ホルダプレート84はクランクシャフト12に対して回転方向および軸方向の双方にその動きが規制されていて一体で回転する。ホルダプレート84と可動プーリ片83bとによって囲まれた空所はガバナウェイトとしてのローラ85を収容するポケットを形成している。
【0034】
一方、後輪21に動力をつなぐクラッチ機構は次のように構成されている。図10において、クラッチのメインシャフト125はケース126に嵌合された軸受127およびギヤボックス128に嵌合された軸受129で支持されている。このメインシャフト125には軸受130および131よってプーリ132の固定プーリ片132aが支持されている。メインシャフト125の端部にはナット133によってカップ状のクラッチ板134が固定されている。
【0035】
前記固定プーリ片132aのスリーブ135には、プーリ132の可動プーリ片132bがメインシャフト125の長手方向に摺動自在に設けられている。可動プーリ片132bは、メインシャフト125の周りで一体的に回転できるようにディスク136に係合している。ディスク136と可動プーリ片132bとの間には、両者間の距離を拡張する方向に反発力が作用する圧縮コイルばね137が設けられている。また、ディスク136にはピン138で揺動自在に支持されたシュー139が設けられている。シュー139はディスク136の回転速度が増大したときに遠心力が作用して外周方向に揺動し、クラッチ板134の内周に当接する。なお、ディスク136が所定の回転速度に達したときにシュー139がクラッチ板134に当接するように、ばね140が設けられている。
【0036】
メインシャフト125にはピニオン141が固定されていて、このピニオン141はアイドルシャフト142に固定されたギヤ143に噛合っている。さらに、アイドルシャフト142に固定されたピニオン144は出力シャフト145のギヤ146に噛合っている。後輪21はリム21aとリム21aの周囲に嵌込まれたタイヤ21bとからなり、リム21bが前記出力シャフト145に固定されている。
【0037】
上記構成において、エンジン回転数がアイドリング時のものである場合、ローラ85は図9の実線で示した位置にあり、Vベルト82はプーリ83の最小径部分に巻き掛けられている。プーリ132の可動プーリ片132bは圧縮コイルばね137に付勢された図10の実線の位置に偏倚させられていて、Vベルト82はプーリ132の最大径部分に巻き掛けられている。この状態では、遠心クラッチのメインシャフト125はアイドル回転数で回転させられるため、ディスク136に加わる遠心力は小さいものであり、シュー139はばね140によって内方に引き込まれているのでクラッチ板134に当接しない。つまり、エンジンの回転がメインシャフト125に伝達されず、車輪21は回転されない。
【0038】
その後、エンジン回転数が上昇すると、ディスク136に加わる遠心力は増大し、シュー139はばね140に打ち勝って外方に張出し、クラッチ板134に当接する。その結果、エンジンの回転がメインシャフト125に伝達され、ギヤトレインを介して車輪21に動力が伝わる。
【0039】
一方、エンジン回転数がさらに大きくなるとローラ85が遠心力で外周方向に偏倚する。図9の鎖線で示した位置がその場合のローラ85の位置である。ローラ85が外周方向に偏倚すると、可動プーリ83bは固定プーリ83a側に押しやられるため、Vベルト82はプーリ83の最大径寄りに移動する。そうすると、遠心クラッチ側では、圧縮コイルばね137に打ち勝って可動プーリ片132bが偏倚し、Vベルト82はプーリ132の最小径寄りに移動する。こうして、エンジンの回転数に応じて、クランクシャフト12側のプーリ83および遠心クラッチ側のプーリ132に対するVベルト82の巻き掛け径が変化し、変速作用が果たされる。
【0040】
上述のように、エンジン始動時は始動コイル51に通電してエンジンを付勢することができるが、本実施形態では、足踏み動作によってエンジン200を始動するキック始動装置を併用している。さらに図9を参照してキック始動装置を説明する。前記固定プーリ83aの背面にはキック始動用の従動ドッグギヤ86が固定されている。一方、カバー36側には、ヘリカルギヤ87を有する支持軸88が回転自在に支持されている。支持軸88の端部にはキャップ89が固定されていて、このキャップ89の端面には前記従動ドッグギヤ86と噛合する駆動ドッグギヤ90が形成されている。
【0041】
さらに、カバー36にはキックシャフト27が回動自在に支持されていて、このキックシャフト27には、前記ヘリカルギヤ87と噛合されるセクタヘリカルギヤ91が溶接されている。キックシャフト27の端部つまりカバー36から外部へ突出している部分にはスプラインが形成されていて、このスプラインにはキックアーム28(図10参照)に設けられたスプラインが係合される。なお、符号92はフリクションスプリング、符号93は戻しばねである。
【0042】
上記構成において、キックペダル29を踏み込むと、戻しばね93に打ち勝ってキックシャフト27およびセクタヘリカルギヤ91が回動する。ヘリカルギヤ88およびセクタヘリカルギヤ91は、セクタヘリカルギヤ91がキックペダルの踏み込みによって回動した場合にプーリ83側に支持軸87を付勢する推力が生じるように互いのねじれ方向が設定されている。したがって、キックペダル29を踏み込むと支持軸87がプーリ83側に偏倚し、キャップ89の端面に形成された駆動ドッグギヤ90が従動ドッグギヤ86と噛合う。その結果、クランクシャフト12は回転させられ、エンジン200の始動が可能となる。エンジンが始動すると、キックペダル29の踏み込みを弱め、戻しばね93によってセクタヘリカルギヤ91を反転させると、駆動ドッグギヤ90と従動ドッグギヤ86との係合が解除される。
【0043】
次に、図11を参照して潤滑オイルの供給系を説明する。オイル供給部はクランク室9の下部に設けられる。オイルパン147には、オイルを導入するための管路148が形成されていて、矢印D1に従ってトロコイドポンプ149にオイルは吸入される。トロコイドポンプ149に吸入されたオイルは圧力が高められて管路150に排出され、矢印D2,D3に従って管路150を通過し、クランク室内に吐出される。
【0044】
ここで、トロコイドポンプ149のポンプシャフト151にはギヤ152が結合されており、さらに、このギヤ152にはクランクシャフト12に結合されたギヤ61が噛合っている。すなわち、トロコイドポンプ149はクランクシャフト12の回転に従って駆動され、潤滑のためのオイルを循環させている。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、カムシャフト69を駆動させるためのスプロケット59やオイルポンプ用駆動用のギヤ61を、クランクシャフト12を支持する軸受11に隣接してクランクシャフト12上に取付けた。そして、これらスプロケット59やギヤ61に近接した位置、つまり軸受11から遠くない位置に、永久磁石19を含むインナロータ15を配置した。特に、始動と発電とを自動的に切換えるガバナ機構のガバナウェイト55を軸受11にに近接して配置した。
【0046】
次に、クランクパルスを出力するセンサの配置を説明する。図12はクランクパルスを発するセンサ(クランクパルサ)の配置を示すクランクシャフト周りの側面断面図であり、図13は同正面断面図である。これらの図において、クランクケースは前クランクケース99Fおよび後クランクケース99Rからなり、クランクパルサ153は後クランクケース99R側にあって、クランクシャフト12に直交するように設けられている。そして、その検出用端部153aが左クランクウェブ12Lの外周エッジに対向して配置されている。前記左クランクウェブ12Lの外周には凸部つまりリラクタ部154が形成されていて、クランクパルサ153はこのリラクタ部154と磁気的に結合してクランク角の検出信号を出力する。
【0047】
続いて、エンジン停止始動システムについて説明する。このシステムでは、アイドリング制限モードとアイドリング許可モードとを備えている。具体的にいうと、アイドリング制限モードでは車両を停止させるとエンジンが自動停止し、停止状態でアクセルが操作されるとエンジンが自動的に再始動して車両の発進が可能になる(以下、「停止発進モード」ともいう)。また、アイドリング許可モードには2種類あり、その1つでは、エンジン始動時の暖気運転等を目的として、最初のエンジン始動後に一時的にアイドリングを許可する(以下、「始動モード」という)。他の1つでは、運転者の意思(スイッチによる設定)で常にアイドリングを許可する(以下、「アイドルスイッチモード」という)。
【0048】
図14は、エンジン200における始動停止制御システムの全体構成を示したブロック図である。同図において、クランク軸12と同軸に設けられた始動兼発電装置250は、スタータモータ171とACジェネレータ(ACG)172とによって構成され、ACG172による発電電力は、レギュレータ・レクティファイア167を介してバッテリ168に充電される。レギュレータ・レクティファイア167は、始動兼発電装置250の出力電圧を、12Vないし14.5Vに制御する。バッテリ168は、スタータリレー162が導通されるとスタータモータ171へ駆動電流を供給すると共に、メインスイッチ173を介して各種の一般電装品174および主制御装置160等に負荷電流を供給する。
【0049】
主制御装置160には、エンジン回転数Neを検知するNeセンサ251と、エンジン200のアイドリングを手動で許可または制限するためのアイドルスイッチ253と、運転者がシートに着座すると接点を閉じて“H”レベルを出力する着座スイッチ254と、車速を検知する車速センサ255と、停止発進モードで点滅するスタンバイインジケータ256と、スロットル開度θを検知するスロットルセンサ257と、スタータモータ171を駆動してエンジン200を始動するスタータスイッチ258と、ブレーキ操作に応答して“H”レベルを出力するストップスイッチ259と、バッテリ168の電圧が予定値(例えば、10V)以下になると点灯して充電不足を運転者に警告するバッテリインジケータ276とが接続されている。
【0050】
さらに、主制御装置160には、クランク軸12の回転に同期して点火プラグ65を点火させる点火制御装置(イグニッションコイルを含む)161と、スタータモータ171に電力を供給するスタータリレー162の制御端子と、前照灯169に電力を供給する前照灯リレー163の制御端子と、キャブレタ166に装着されたバイスタータ165に電力を供給するバイスタータリレー164の制御端子と、所定条件下で警報音を発生して運転者に注意を促すブザー175とが接続されている。
【0051】
なお、前照灯169への給電制御は前照灯リレー163によるオンまたはオフの切り換え制御に限定されない。たとえば、前照灯リレー163に代えてFET等のスイッチング素子を採用し、給電をオフにする代わりに、スイッチング素子を所定の周期およびデューティー比で断続させて前照灯169への印加電圧を実質的に低下させる、いわゆるチョッピング制御を採用することができる。
【0052】
図15、図16は、主制御装置160の構成を機能的に示したブロック図(その1、その2)であり、図14と同符号は同一または同等部分を表している。また、図17には、後述するスタータリレー制御部400の制御内容、バイスタータ制御部900の制御内容、スタンバイインジケータ制御部600の制御内容、点火制御部700の制御内容、動作切換部300の制御内容、警告ブザー制御部800の制御内容および充電制御部500の制御内容を一覧表示している。
【0053】
図15の動作切換部300は、アイドルスイッチ253の状態および車両の状態等が所定の条件のときに、「始動モード」、「停止発進モード」および「アイドルスイッチモード」のいずれかに切り換える共に、「停止発進モード」を更に、アイドリングを一切禁止する第1の動作パターン(以下、「第1パターン」という)、およびアイドリングを所定条件下で例外的に許可する第2の動作パターン(以下、「第2パターン」という)のいずれかに切り換える。第2パターンは、前照灯169を点灯させた状態でエンジンを長時間停止させる場合のバッテリ上がりを防止する、バッテリ上がり防止モードとして好適である。
【0054】
動作切換部300の動作切換信号出力部301には、アイドルスイッチ253の状態信号が入力される。アイドルスイッチ253の状態信号は、オフ状態(アイドリング制限)では“L”レベル、オン状態(アイドリング許可)では“H”レベルを示す。車速継続判定部303はタイマ303aを備え、車速センサ255において予定速度以上の車速が予定時間以上にわたって検知されると“H”レベルの信号を出力する。
【0055】
動作切換信号出力部301は、アイドルスイッチ253および車速継続判定部303の出力信号、ならびにエンジンの点火オフ状態が所定時間(本実施形態では、3分)以上継続すると“H”レベルとなる点火オフ信号S8021に応答して、主制御装置160の動作モードおよび動作パターンを切換えるための信号S301a、S301b、S301cを出力する。
【0056】
図18は、動作切換信号出力部301による動作モードおよび動作パターンの切り換え条件を模式的に示した図である。動作切換信号出力部301では、前記メインスイッチ173が投入されて主制御装置160がリセットされるか、あるいはアイドルスイッチ253がオフにされる(条件▲1▼が成立)と、動作モード切換部301aにより「始動モード」が起動される。このとき、動作モード切換部301aは“L”レベルの動作モード信号S301aを出力する。
【0057】
さらに、この「始動モード」において予定速度以上の車速が予定時間以上にわたって検知される(条件▲2▼が成立)と、動作モード切換部301aにより、動作モードが「始動モード」から「停止発進モード」へ切り換えられる。このとき、動作モード切換部301aの動作モード信号S301aは“L”レベルから“H”レベルへ遷移する。前記「始動モード」から移行した直後は動作パターン切換部301bにより「第1パターン」が起動され、アイドリングが禁止される。このとき、動作パターン切換部301bの動作パターン信号S301bは“L”レベルとなる。
【0058】
「第1パターン」において、後に詳述する点火オフ継続判定部802(図15)により、点火オフが3分以上継続していると判定される(条件▲3▼が成立)と、動作パターン切換部301bにより、「停止発進モード」における動作パターンが、「第1パターン」から「第2パターン」へ切り換えられる。このとき、動作パターン切換部301bから出力される動作パターン信号S301bは“L”レベルから“H”レベルへ遷移する。
【0059】
さらに、「第2パターン」において前記条件▲2▼が成立すると、動作パターン切換部301bにより動作パターンが「第2パターン」から「第1パターン」へ切換えられる。このとき、動作パターン切換部301bの動作パターン信号S301bは“H”レベルから“L”レベルへ遷移する。
【0060】
本発明者等の調査によれば、信号待ちや交差点内での右折待ちは30秒ないし2分程度であり、この時間を超える停車は信号待ちや右折待ち以外の停車、例えば道路工事による片側通行規制や交通渋滞等である可能性が高い。そこで、本実施形態では、「停止発進モード」で走行中に前照灯を点灯させたまま長時間(本実施形態では、3分以上)の停車すなわちエンジン停止を強いられると、動作パターンを「第1パターン」から「第2パターン」に切り換えてアイドリングが許可されるようにした。したがって、運転者がスタータスイッチ258を投入すればエンジンを再始動することができ、アイドリング状態での停車が可能となるので、前照灯169を長時間点灯させ続けることによるバッテリ上がりを防止できる。
【0061】
一方、メインスイッチがオフからオンに切換えられたときに、アイドルスイッチがオンである(条件▲6▼が成立)と、アイドルスイッチモード起動部301cから出力される動作モード信号S301cは“L”レベルから“H”レベルへ遷移し、「アイドルスイッチモード」が起動される。なお、「停止発進モード」では「第1パターン」および「第2パターン」にかかわらず、アイドルスイッチ253が投入されて条件▲4▼が成立すると「アイドルスイッチモード」が起動される。
【0062】
また、「アイドルスイッチモード」においてアイドルスイッチ253がオフにされる(条件▲5▼が成立)と、動作モード切換部301aから出力される動作モード信号S301aは“L”レベルになって「始動モード」が起動される。
【0063】
図15に戻り、Ne判定部306にはNeセンサ251の出力信号が入力され、エンジン回転数が予定回転数を超えると“H”レベルの信号を前照灯制御部305へ出力する。Ne判定部306は、ひとたびエンジン回転数が予定回転数を超えると、メインスイッチ173が遮断されるまでその出力を“H”レベルに維持する。前照灯制御部305は、前記各動作モード(パターン)信号S301a、S301b、S301C、Ne判定部306の出力信号および走行判定部701の出力信号に基づいて、前照灯リレー163の制御端子に“H”レベルまたは“L”レベルの制御信号を出力する。前照灯リレー163に“H”レベルの信号が入力されると前照灯169が点灯される。
【0064】
なお、前照灯リレー163の代わりにFET等のスイッチング素子を採用する場合、前照灯制御部305は“L”レベルの制御信号を出力する代わりに、所定の周期およびデューティー比のパルス信号を出力して前照灯169への給電をチョッピング制御する。
【0065】
前照灯制御部305は、図17に示したように、「始動モード」以外では常にオン信号を出力する。すなわち、「始動モード」では、Ne判定部306により所定の設定回転数(本実施形態では、1500rpm)以上のエンジン回転数が検知されるか、あるいは走行判定部701により車速が0kmより大きいと判定されたときにオン信号を出力する。
【0066】
なお、前照灯リレー163の代わりにFET等のスイッチング素子を採用する場合、「停止発進モード」の「第1パターン」では、後に詳述する点火制御に応じてスイッチング素子の開閉をチョッピング制御することでバッテリの放電を最小限に抑えることができる。
【0067】
すなわち、車両停止に応答して点火制御が中断(オフ)され、エンジンが自動停止すると、前照灯制御部305は、前照灯169への印加電圧が常時オン時の電圧(例えば、13.1V)から所定の減光時電圧(例えば、8.6V)まで実質的に低下するように、所定の周期およびデューティ比のパルス信号でスイッチング素子をチョッピング制御して前照灯169を減光させる。その後、発進操作に応答して点火制御が再開され、エンジンが再始動されると、前照灯制御部305は直流の“H”レベル信号をスイッチング素子へ出力する。
【0068】
このように、エンジンの自動停止時には前照灯169を消灯することなく、減光させることによってバッテリの放電を抑制できる。したがって、後の発進時には発電機からバッテリへの充電量を減じることができ、その結果、発電機の電気負荷が減少するので発進時の加速性能が向上する。
【0069】
点火制御部700は、前記各動作モード、動作パターン毎に、所定の条件下で点火制御装置161による点火動作を許可または禁止する。走行判定部701は車速センサ255から入力される検知信号に基づいて車両が走行状態にあるか否かを判別し、走行状態にあると“H”レベルの信号を出力する。
【0070】
OR回路702は、走行判定部701の出力信号とスロットルセンサ257の状態信号との論理和を出力する。OR回路704は、前記動作モード信号S301aの反転信号、動作パターン信号S301bおよび動作モード信号S301cの論理和を出力する。OR回路703は、前記各OR回路702、704の出力信号の論理和を点火制御装置161へ出力する。点火制御装置161は、入力信号が“H”レベルであれば所定のタイミング毎に点火動作を実行し、“L”レベルであれば点火動作を中断する。
【0071】
点火制御部700は、図17に示したように、「始動モード」、「停止発進モードの第2パターン」および「アイドルスイッチモード」のいずれかであれば、OR回路704の出力信号が“H”レベルになるので、OR回路703からは常に“H”レベルの信号が出力される。すなわち、「始動モード」、「停止発進モードの第2パターン」または「アイドルスイッチモード」では、点火制御装置161が常に作動する。
【0072】
これに対して、「停止発進モードの第1パターン」では、OR回路704の出力信号が“L”レベルなので、走行判定部701により車両走行中と判定されるか、あるいはスロットルが開かれてOR回路702の出力が“H”レベルになったことを条件に点火動作が実行される。これとは逆に、停車状態であり、かつスロットルが閉じていれば点火動作が中断される。
【0073】
警告ブザー制御部800は、動作モードおよび動作パターン毎に、車両の走行状態や運転者の着座状態に応じて、運転者に種々の注意を促すための警告として、例えばブザー音を発する。非着座継続判定部801には着座スイッチ54の状態信号が入力される。非着座継続判定部801は運転者の非着座時間を計時するタイマ8012を備え、タイマ8012がタイムアウトすると“H”レベルの非着座継続信号S8012を出力する。なお、本実施形態のタイマ8012は、1秒でタイムアウトするように予め設定されている。
【0074】
点火オフ継続判定部802は、エンジンの点火オフ時間を計時するタイマ8021を備え、点火オフ状態が検知されると直ちに、“H”レベルの点火オフ信号S8023を出力すると共にタイマ8021をスタートさせる。タイマ8021がタイムアウトすると、“H”レベルの点火オフ継続信号S8021を出力する。本実施形態では、タイマ8021が3分でタイムアウトするように設定されている。
【0075】
ブザー制御部805は、各動作モード(パターン)信号S301a、S301b、S301C、非着座継続信号S8012、点火オフ継続信号S8021、点火オフ信号S8023、走行判定部701の出力信号およびスロットルセンサ257の出力信号に基づいて、ブザー175のオン/オフを決定し、オンさせる場合は“H”レベルの信号をブザー駆動部814へ出力する。
【0076】
ブザー制御部805は、図17に示したように、動作モードが「始動モード」であればブザー175を常にオフとする。「停止発進モードの第1パターン」では、点火オフ状態での非着座がタイマ8012のタイムアウト時間(本実施形態では1秒)以上継続するか、あるいは点火オフ状態がタイマ8021のタイムアウト時間(本実施形態では3分)以上継続すると、ブザー175をオンにする。「停止発進モードの第2パターン」では、点火されておらず(点火オフ)で、スロットルセンサ257からの入力信号によりスロットル開度が“0”であり、かつ車速センサ55からの入力信号により走行判定部701で車速が0kmと判定されると、ブザー175をオンにする。「アイドルスイッチモード」では、点火オフかつ非着座が1秒以上継続すると、ブザー175をオンにする。ブザー駆動部814は、ブザー制御部805の出力信号が“H”レベルになると、0.2秒間のオンと1.5秒間のオフとを繰り返すブザー駆動信号をブザー175へ出力する。
【0077】
このように、本実施形態のブザー制御では、「停止発進モード」での走行中に、例えば道路工事による片側交通規制等で前照灯を点灯させたまま長時間(本実施形態では、3分以上)の停車(エンジン停止)を強いられると、「停止発進モード」の動作パターンが「第1パターン」から「第2パターン」へ遷移するのと同時に、アイドリングを許可する旨がブザー175により運転者に通知される。したがって、運転者はブザーに応答してスタータスイッチ258を投入するだけで、前照灯169を長時間点灯させ続けることによるバッテリ上がりを防止できる。
【0078】
充電制御部500の加速操作検知部502では、スロットルセンサ257からの入力信号と車速センサ255からの入力信号により、車速が0キロより大きく、かつスロットルが全閉状態から全開状態まで開かれる時間が、例えば0.3秒以内であると、加速操作があったと認識して1ショットの加速操作検知パルスを発生する。
【0079】
発進操作検知部503は、車速が0キロでエンジン回転数が所定の設定回転数(本実施形態では、2500rpm)以下のときにスロットルが“開”であれば、発進操作があったと認識して1ショットの発進操作検知パルスを発生する。充電制限部504は、前記加速検知パルス信号を検出すると6秒タイマ504aをスタートし、当該6秒タイマ504aがタイムアウトするまで、レギュレータレクティファイア167を制御してバッテリ168の充電電圧を常時の14.5Vから12.0Vへ低下させる。
【0080】
上記充電制御によれば、運転者がスロットルを急激に開いて急加速した時や、停止状態からの発進時には充電電圧が低下し、始動兼発電装置250の電気負荷が一時的に低減される。したがって、始動兼発電装置250によりもたらされるエンジンの200の機械的負荷も低減されて加速性能が向上する。また、エンジンの自動停止時にはFET等のスイッチング素子をチョッピング制御して前照灯169を減光し、バッテリの放電を最小限に抑えるようにすれば、始動兼発電装置250の負荷がさらに低減されるので加速性能の更なる向上が可能になる。
【0081】
なお、充電制限部504は、図17に示したように、6秒タイマ504aがタイムアウトするか、エンジン回転数が設定回転数(本実施形態では、7000rpm)を超えるか、あるいはスロットル開度が減少すると、充電制御を停止して充電電圧を常時の14.5Vへ戻す。
【0082】
図16において、スタータリレー制御部400は、前記各動作モードや動作パターンに応じて、所定の条件下でスタータリレー162を起動する。Neセンサ251の検知信号がアイドリング以下判定部401へ供給される。アイドリング以下判定部401は、エンジン回転数が所定のアイドリング回転数(例えば、800rpm)以下であると“H”レベルの信号を出力する。AND回路402は、アイドリング以下判定部401の出力信号と、ストップスイッチ259の状態信号と、スタータスイッチ258の状態信号との論理積を出力する。AND回路404は、アイドリング以下判定部401の出力信号と、スロットルセンサ257の検出信号と、着座スイッチ254の状態信号との論理積を出力する。OR回路408は、前記各AND回路402、404の出力信号の論理和を出力する。
【0083】
OR回路409は、動作モード信号S301cと動作モード信号S301aの反転信号との論理和を出力する。AND回路403は、AND回路402の出力信号とOR回路409の出力信号との論理積を出力する。AND回路405は、前記AND回路404の出力信号と、前記動作モード信号S301aと、前記動作パターン信号S301bの反転信号との論理積を出力する。AND回路407は、前記動作モード信号S301a、動作パターン信号S301bおよびOR回路408の出力信号の論理積を出力する。OR回路406は、前記各AND回路403、405、407の論理和をスタータリレー162へ出力する。
【0084】
このようなスタータリレー制御によれば、「始動モード」および「アイドルスイッチモード」中はOR回路409の出力信号が“H”レベルなのでAND回路403がイネーブル状態となる。したがって、エンジン回転数がアイドリング以下であり、かつストップスイッチ259がオン状態(ブレーキ操作中)のときにスタータスイッチ258が運転者によりオンされてAND回路402の出力が“H”レベルになると、スタータリレー162が導通してスタータモータ171が起動される。
【0085】
また、「停止発進モードの第1パターン」では、AND回路405がイネーブル状態となる。したがって、エンジン回転数がアイドリング以下であり、着座スイッチ254がオン状態(運転者がシートに着座中)でスロットルが開かれると、AND回路404の出力が“H”レベルとなり、スタータリレー162が導通してスタータモータ171が起動される。
【0086】
さらに、「停止発進モードの第2パターン」では、AND回路407がイネーブル状態となる。したがって、前記各AND回路402、404のいずれかが“H”レベルとなると、スタータリレー162が導通してスタータモータ171が起動される。
【0087】
停止時クランク角制御部1000は、エンジン停止時のカムセンサ155の検出信号、つまりクランク角度位置に応じてスタータリレー162および逆転リレー162aを制御し、後述する所望のクランク角度位置でエンジンを停止させる。カムセンサ155はクランク角度位置が逆転領域にある場合は信号“H”、正転領域にある場合は信号“L”を出力する。カムセンサ155で検出されたクランク角度位置検出信号は停止判定タイマ1001に入力される。停止判定タイマ1001はクランク角度位置が逆転領域にあることを示す信号“H”が予定の時間Txの間維持されたときに判定信号をAND回路1002に入力する。
【0088】
比較部1003にはNeセンサ251の検知信号が入力され、この比較部1003では、クランキングの回転数より大きく、かつアイドル回転数よりも小さく設定された基準回転数Nref とエンジン回転数Neとが比較される。エンジン回転数Neが基準回転数Nref 以上のときにはエンジン状態オンを表す信号“L”を出力する。また、エンジン回転数Neが基準回転数Nref 未満のときにはエンジン状態オフを表す信号“H”を出力する。比較部1003からの信号はAND回路1002に入力される。
【0089】
また、停止判定タイマ1001のタイムアウト信号はさらに逆転許可タイマ1004に入力される。逆転許可タイマ1004は停止判定タイマ1001からのタイムアウト信号に応答して予定の時間Tyが経過するまで、出力信号を“H”に維持する。
【0090】
AND回路1002および逆転許可タイマ1004の出力信号、ならびにカムセンサ155の検出信号はAND回路1005に入力され、AND回路1005はこれらの出力信号の論理和を出力し、この論理和はインバータ1006で反転されて逆転リレー162aに供給される。
【0091】
さらに、逆転許可タイマ1004の出力信号は、AND回路1007に入力される。AND回路1007の他方の入力には、インバータ1008を介してカムセンサ155の検出信号が接続される。AND回路1007の出力はスタータリレー制御部400のOR回路406に入力される。なお、この停止時クランク角制御部1000の動作はさらに後述する。
【0092】
バイスタータ制御部900では、Neセンサ251からの出力信号がNe判定部901に入力される。このNe判定部901は、エンジン回転数が予定値以上であると“H”レベルの信号を出力してバイスタータリレー164を閉じる。このような構成によれば、いずれの動作モードにおいても、エンジン回転数が予定値以上であれば燃料を濃くすることができる。
【0093】
インジケータ制御部600では、Neセンサ251からの出力信号がNe判定部601に入力される。このNe判定部601は、エンジン回転数が予定値以下であると“H”レベルの信号を出力する。AND回路602は、着座スイッチ254の状態信号とNe判定部601の出力信号との論理積を出力する。AND回路603は、AND回路602の出力信号、前記動作モード信号S301aおよび動作パターン信号S301bの反転信号の論理積をスタンバイインジケータ256に出力する。スタンバイインジケータ256は、入力信号が“L”レベルであると消灯し、“H”レベルであると点滅する。
【0094】
すなわち、スタンバイインジケータ256は「停止発進モード」中の停車時に点滅するので、運転者はスタンバイインジケータ256が点滅していれば、エンジンが停止していてもアクセルを開きさえすれば直ちに発進できることを認識することができる。
【0095】
次に、始動時および停止時のスタータモータ171の制御を詳細に説明する。本実施形態のエンジンでは、そのままクランクシャフトを正転させたならば負荷トルクが増大する位置にピストンがある場合に、正転時の負荷トルクが小さい位置まで一旦クランクシャフト逆転させた後、改めてスタータモータを正転方向に駆動してエンジンを始動させる。しかし、上述のように、一旦クランクシャフトを逆転させると発進までに時間がかかるという問題点がある。そのため、車両停止時のクランク角度位置が予め定めた逆転領域にあるときは、車両停止後から、その次の発進操作までの間にクランクシャフトを予定の正転位置まで回転させておく。そうすることによって、一旦停止時の再始動時には、ただちにクランクシャフトを正転させて発進させることができる。
【0096】
図19は、スタータモータ171起動時のクランク位置と乗越トルクつまり上死点を越える時に必要なトルクとの関係を示す図である。同図において、クランク角度が圧縮上死点C/Tの手前450度〜630度までの範囲では乗越トルクは小さい。しかし、圧縮上死点C/Tの手前90度〜450度では乗越トルクは大きく、特に圧縮上死点C/Tの手前180度では乗越トルクが最大となっている。すなわち、おおよそ圧縮上死点C/Tの手前では乗越トルクが大きく、おおよそ排気上死点O/Tの手前では乗越トルクが小さい。
【0097】
そこで、本実施形態では、圧縮上死点C/Tの手前90度から排気上死点O/T手前90度まで、つまりカムセンサの出力が“L”の区間を正転領域とし、排出上死点O/Tの手前90度から圧縮上死点C/T手前90度まで、つまりカムセンサ155の出力が“H”の区間を逆転領域とする。そして、始動動作として図示したように、エンジン停止時にクランク角度位置が正転領域にあるときは、次の始動時にはそのクランク位置からスタータモータ171を回転させてエンジンを始動させる。一方、エンジン停止時にクランク角が逆転領域にあるときは、図示のように、エンジンを停止させた後、スタータモータ171を逆転させて前記正転領域までクランク角度位置を変化させる。こうして、次の始動時には前記正転領域からスタータモータ171を回転させてエンジンを始動させることができるようにしておく。
【0098】
次に、エンジン停止時のスタータモータ171の動作のための構成を説明する。図1は、スタータモータ171の正逆転回路、図20,図21は同タイミングチャートである。図1において、カムセンサ155はカムシャフト69のリラクタ72aに対向して配置されている。図16に関して説明したように、カムセンサ155の検出信号およびNeセンサ251の検出信号は停止時クランク角制御部1000に入力される。また、スタータリレー制御部400にはストップスイッチ259およびスタータスイッチ258のオン・オフ信号が入力される。これら、停止時クランク角制御部1000およびスタータリレー制御部400の出力によってそれぞれ逆転リレー162a(以下、「リレーRyB」という)、およびスタータリレー162(以下、「リレーRyA」という)が制御される。
【0099】
一方、スタータモータ171はリレーRyBの第1の接点Ryb1を介してリレーRyAの接点Ryaに接続されていると共に、リレーRyBの第2の接点Ryb2および抵抗Rを介してリレーRyAの接点Ryaに接続されている。リレーRyAの接点Ryaの他端はバッテリ168のプラス端子に接続され、さらに、バッテリ168のマイナス端子は前記第1の接点Ryb1の常閉(NC)側およびRyb2の常開(NO)側に接続されている。
【0100】
この構成において、リレーRyAがオンで、リレーRyBがオフの場合は、スタータモータ171には矢印RR方向に電流が流れてモータ171は逆転する。一方、リレーRyAがオンで、リレーRyBがオンの場合は、第1および第2の接点Ryb1,Ryb2が図示とは反対側に切換えられ、スタータモータ171には矢印RF方向に電流が流れてモータ171は正転する。リレーRyAがオフのときはスタータモータ171は回転しない。なお、逆転の場合は、抵抗Rを通じて電流が流れるため、正転の場合よりは電流が制限されるので、逆転時は正転時より回転速度が小さくなる。
【0101】
図20,図21において、カムセンサ155からの逆転領域検出信号の立上がりから予定時間Tx(例えば1秒)経過するまで逆転領域検出信号“H”が継続していれば前記停止判定タイマ1001はタイムアウトしてエンジン状態表示信号がオンになる。そして、その時から予定時間Ty(例えば1秒)は前記タイマ1004がオンになって逆転許可信号が出力され、リレーRyAがオンになる。このときクランク角度位置は逆転領域であるため、リレーRyBはオフになっており、スタータモータ171にはマイナスの電圧が印加されてモータ171逆転する。スタータモータ171が回転してクランク角度位置が正転領域になったならばカムセンサ155は正転領域検出信号つまり信号“L”を出力し、その結果、リレーRyAはオフになるとともに、前記AND回路1005の入力の一つが“L”になってリレーRyBはオンになる。つまり正転側に切り替えられる。
【0102】
さらに、本実施形態では、エンジン停止時にスタータモータ171を逆転させる場合、次のような追加の制御を行うことができる。図22は追加の制御の概念を示す図である。同図において、エンジン回転によりクランクパルスPCが出力されており、正転領域に近い位置で逆転領域においてもクランクパルスPCが出力されている。本実施形態では、逆転開始からクランクパルスPCを検出するまでの時間Tpcが予定時間TA(例えば0.1秒)よりも長い場合、この逆転領域内のクランクパルスPCを検出したならば直ちにスタータモータ171を停止させる(図22(b))。一方、逆転開始からクランクパルスPCを検出するまでの時間Tpcが予定時間TAより短い場合は、この逆転領域内のクランクパルスPCを検出した後、さらに時間TBの間スタータモータ171を駆動して停止させる(図22(c))。
【0103】
逆転時のクランクパルスPCの検出時と正転領域との距離は予め知ることができるし、エンジン回転速度と回転時間とにより、惰性で変化するクランク角も予め知ることができる。したがって、クランクパルスPC検出位置から正転領域に至るまでクランク角が変化する時間をエンジン停止時の惰性により求めることができる。そこで、この惰性を生じるまでの時間を時間TAとして設定することにより、時間TA以上の逆転によりクランク角は正転領域に到達し得る。同様に、逆転の時間がTAに満たないうちにエンジンを停止したのでは、惰性が十分に得られずクランク角が正転領域に至らない。そこで、この場合はさらに時間TBの間逆転を継続してクランク角が正転領域に至るようにした。なお、クランクパルスPCの検出よりも先に正転領域に達したときは直ちにスタータモータ171を停止させる。
【0104】
このような追加の制御により、正転領域に達した時点でエンジンの惰性の大小にかかわらずスタータモータ171を停止させるのと違い、逆転領域により近い正転領域でエンジンの始動を待機できる。その結果、スタータモータ171のオン操作から短時間でエンジンを始動できるので運転者に始動遅れによる違和感を抱かせることがない。
【0105】
続いて、上記制御を図23のフローチャートを参照してさらに説明する。このフローチャートの処理は、メインスイッチ173がオン操作されると実行され、始動制御はスタータスイッチ258がオンで、かつストップスイッチ259がオンになれば開始される。まず、ステップS1では、カムセンサ155の出力によりクランク角度位置が逆転領域か正転領域かが判別される。正転領域であればステップS2〜ステップS6でクランクシャフト12を正転させる。すなわち、ステップS2ではリレーRyBをオンにして正転回路への切換えを行う。ステップS3ではタイマTpをスタートさせる。ステップS4ではリレーRyBの接点保護のための時間t1が経過したか否かを判断する。時間t1が経過したならばステップS5でタイマTpをリセットする。ステップS6ではリレーRyAをオンにする。これによってクランクシャフト12は正転する。
【0106】
一方、クランク角度位置が逆転領域にあればステップS1からステップS7に進み、リレーRyAをオンにする。これによってクランクシャフト12を逆転させる。ステップS8ではカムセンサ155の出力によりクランク角度位置が正転領域になるまで逆転されたか否かを判別する。正転領域まで逆転されたならばステップS9に進み、リレーRyBをオンにして正転を開始する。
【0107】
ステップS10ではスタータスイッチ258がオフか否かが判断され、運転者がスタートスイッチ258を離すと、この判断が肯定となってステップS11に進む。ステップS11ではリレーRyAをオフにし、ステップS12ではタイマTpをスタートさせる。ステップS13ではリレーRyBの接点保護のための時間t1が経過したか否かを判断する。時間t1が経過したならばステップS14でリレーRyBをオフにする。ステップS15ではタイマTpをリセットする。
【0108】
始動制御が終われば、次の制御種類を判別し(ステップS16)、それぞれの制御、つまり点火制御(ステップS17)、充電制御(ステップS18)、前照灯制御(ステップS19)、およびブザー制御(ステップS20)等が繰り返されて車両は走行を続ける。走行中に、予定の条件が成立したならば、始動制御のためにステップS1に進むか、エンジン停止制御(後述)に移行する。
【0109】
次に、エンジン停止制御の処理を説明する。図24のフローチャートにおいて、ステップS21ではカムセンサ155の出力によりクランク角度位置が逆転領域か正転領域かが判別される。正転領域であればステップS22に進み、リレーRyAをオフにする。一方、逆転領域であればステップS23に進み、リレーRyAをオンにする。
【0110】
ステップS22に続いて、ステップS24ではエンジン始動条件が成立したか否か、つまりスタータスイッチ258がオンで、かつストップスイッチ259がオンならばエンジン始動条件が成立する。エンジン始動条件が成立したならばステップS24aに進む。ステップS24aではクランク角度位置が正転領域か逆転領域かを判断し、正転領域ならばステップS25に進み、逆転領域ならばステップS7(図23)に進む。ステップS24aの処理によりエンジン停止後、1回だけ逆転制御を行ってクランクを動かすことにより、常にクランク角度位置を検出していないので、消費電力が少なくてすむ。また、逆転制御後、運転者がキックでクランク角を動かした場合でもこの判別を行って必要に応じて逆転させてから正転始動するのでエンジンの始動も確実となる。ステップS25〜ステップS28はステップS2〜S6と同一の処理であるので説明は省略する。ステップS30ではエンジンが始動されたか否かが判別され、エンジンが始動されたならばステップS11(図23)に進む。
【0111】
また、ステップS21で逆転と判別されてステップS23でリレーRyAをオンにしたならば、ステップS31に進む。ステップS31では逆転開始からクランクパルスつまりクランクセンサ153の検出出力があるまでの時間を検出するためのタイマTcをスタートさせる。ステップS32ではクランクパルスを検出したか否かを判別する。
【0112】
クランクパルスを検出したならばステップS33に進み、タイマTcを停止させる。ステップS34ではタイマTcの値が予め設定した値TAを経過しているか否かを判別する。ステップS34が肯定、つまり逆転開始から予定時間よりも長い時間が経過した後にクランクパルスを検出したのであれば、ステップS35に進み、リレーRyAをオフにする。リレーRyAがオフになれば、スタータモータ171は停止する。モータ171が停止した後、惰性によってクランクシャフト12は回転して停止する。このように逆転開始から予定時間TAが経過した後にクランクパルスを検出してスタータモータ171を停止させた場合は、上述のように、クランク角度位置が正転領域となるようにエンジンが停止する。ステップS36ではタイマTcをリセットする。
【0113】
一方、ステップS33が否定の場合、つまり逆転開始から短時間でクランクパルスを検出した場合は、ステップS37に進んでタイマTcをリセットし、新たにタイマTcをスタートさせる。ステップS38ではタイマTcの値が予め設定した値TBを経過したか否かを判別する。ステップS38が肯定、つまり逆転開始から予定時間TBが時間が経過ならば、ステップS35に進み、リレーRyAをオフにする。リレーRyAがオフになれば、スタータモータ171は停止する。モータ171が停止した後、惰性によってクランクシャフト12は回転して停止する。このように逆転開始から予定時間TAが経過する前にクランクパルスを検出した場合は、最初の逆転による惰性では正転領域に至ることができないので、さらに時間TBだけスタータモータ171を回転させてクランクシャフト12を正転領域に到達させる。
【0114】
なお、ステップS32が否定の場合、つまりクランクパルサの有無を判別してクランクパルスを検出しなかった場合はステップS39に進み、正転領域に達したか否かの判別を行う。そして、この判断が否定ならばステップS32に進む。が、一方、ステップS39が肯定ならば、スタータモータ171を停止させるため、ステップS35にジャンプしてリレーRyAをオフにする。
【0115】
上述の実施形態では、カムシャフト69の位置を検出するカンセンサ155の出力に基づいてクランク角度位置が正転領域にあめか逆転領域にあるかを判別するようにした。しかし、クランク角度位置の検出手段はこれに限定されず、クランクシャフトの回転位置を検出し、これによってクランク角度位置を判別してもよい。
【0116】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1,2の発明によれば、車両停止に伴って停止したエンジンのクランク角度位置が、そのままスタータモータを正転した場合に不適当な領域(逆転領域)にあったときは、その後に続く発進操作に先立ってクランク角度位置を適当な領域(正転領域)に移動させておくことができるので、発進操作によるエンジン始動を速やかに行うことができる。したがって、例えば、交差点等で一時停止したときに、運転者の発進意思に素早く応答することができる。
【0117】
また、長時間の車両停止によってクランク角度位置が変化した場合であっても、そのときのクランク角度位置に応じて、逆転が必要ならば、逆転をした後に正転するという始動手順を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態にかかる始動装置の要部機能ブロック図である。
【図2】 本発明を適用したエンジン始動装置が搭載されるスクータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図3】 スクータ型自動二輪車の計器盤回りの平面図である。
【図4】 着座検出装置の概要を示す模式図である。
【図5】 図2に示したエンジンのA−A線に沿った断面図である。
【図6】 エンジンのシリンダヘッド周辺の側面断面図である。
【図7】 エンジンのシリンダヘッド周辺の正面断面図である。
【図8】 エンジンのシリンダヘッド周辺の背面断面図である。
【図9】 自動変速装置の駆動側断面図である。
【図10】 自動変速装置の従動側断面図である。
【図11】 オイル循環装置を示す断面図である。
【図12】 クランクセンサの配置を示す側面断面図である。
【図13】 クランクセンサの配置を示す正面断面図である。
【図14】 本発明の一実施形態である始動停止制御システムの全体構成を示したブロック図である。
【図15】 主制御装置の機能を示したブロック図(その1)である。
【図16】 主制御装置の機能を示したブロック図(その2)である。
【図17】 主制御装置の主要動作を一覧表として示した図である。
【図18】 動作モードおよび動作パタ−ンの切り換え条件を示した図である。
【図19】 クランク角度位置と乗越トルクとの関係を示した図である。
【図20】 クランク角度位置制御のタイミングチャートである。
【図21】 クランク角度位置制御のタイミングチャートである。
【図22】 クランク角度位置制御の動作説明図である。
【図23】 始動制御のフローチャートである。
【図24】 エンジン停止制御のフローチャートである。
【符号の説明】
2…車体前部、 3…車体後部、 8…シート、 8a…フレーム、 9…ラゲッジボックス、 12…クランクシャフト、 69…カムシャフト、 72a…リラクタ、 162…スタータリレー(リレーRyA)、 162a…逆転リレー(リレーRyB)、 155…カムセンサ、 171…スタータモータ、 254…着座スイッチ、 258…スタータスイッチ、 259…ストップスイッチ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an engine starter, and more particularly, to an engine starter suitable for improving startability by reducing the influence of load torque during start-up.
[0002]
[Prior art]
From the viewpoint of environmental considerations and energy saving, in order to reduce exhaust gas and fuel consumption especially when idling, the engine stops automatically when the vehicle is stopped, and the throttle grip is operated from the stopped state to start the vehicle. An engine stop / start control device that automatically restarts the engine and starts the vehicle is known (Japanese Patent Laid-Open No. 63-75323).
[0003]
On the other hand, in order to reduce the influence of the load torque at the time of starting, once the starter motor (cell motor) is rotated in the direction of decreasing load torque, the cell motor is rotated in the normal engine rotation direction (forward rotation direction). An engine starting device is known (Japanese Patent Laid-Open No. 7-71350).
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
In the above engine starter, which improves the startability by controlling the rotation direction of the cell motor, the crankshaft is reversely rotated once and then forwardly rotated. Therefore, unlike the normal start method, extra time is required until the start. Take it. In particular, in the engine stop start control device that automatically stops the engine when the vehicle stops, it is desirable that the engine start quickly in response to the operation of the throttle grip and the vehicle starts. However, the conventional starter cannot sufficiently meet this demand.
[0005]
An object of the present invention is to solve the above-mentioned problems of the prior art, and to provide an engine starter capable of eliminating the influence of load torque at the start and reducing the time to start.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, according to the present invention, when the crank angle position is in the forward rotation region, the starter motor is rotated forward while the crank angle position is in the reverse rotation region. In an engine starter configured to reversely rotate a starter motor until an angular position enters the forward rotation region, the engine is stopped when the vehicle is stopped, and the engine is started in response to a start operation by a driver. And a start / start control means and a starter motor control means for changing the crank angle position to the forward rotation area before the start operation is performed when the crank angle position is in the reverse rotation area when the vehicle is stopped. The point has the first feature.
[0007]
According to the first feature, when the crank angle position is in the reverse rotation region when the engine is stopped when the vehicle is stopped, the crank angle position can be changed and moved to the normal rotation region prior to the start operation. . As a result, the engine can be started by causing the starter motor to normally rotate in response to the start operation.
[0008]
In addition, the present invention has a second feature in that a cam sensor for detecting a camshaft position is provided, and the forward rotation region and the reverse rotation region are detected based on an output signal of the cam sensor. According to the second feature, it is possible to easily recognize whether the crank angle position is in the normal rotation region or the reverse rotation region, depending on the position of the camshaft.
[0009]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to the drawings. FIG. 2 is an overall side view of a motorcycle equipped with an engine starter according to an embodiment of the present invention. In the figure, a vehicle
[0010]
On the other hand, a
[0011]
A link member (hanger) 37 is pivotally supported in the middle of the main pipe 7, and the swing unit 17 is swingably connected to the main pipe 7 by the
[0012]
The base end of the
[0013]
FIG. 3 is a plan view around the instrument panel of the motorcycle. In the
[0014]
The
[0015]
Next, the structure of the hinge part for opening and closing the
[0016]
A
[0017]
Next, the
[0018]
The
[0019]
The
[0020]
A
[0021]
In FIG. 5, only one brush 44 is shown, but it is needless to say that the necessary number is provided in the rotation direction of the
[0022]
A governor 54 that automatically switches between the start mode and the power generation mode is provided at the end of the
[0023]
A
[0024]
In the above configuration, when a voltage is applied to the commutator piece 53 by a battery (not shown) by pressing the starter switch, a current flows through the starting
[0025]
When the governor weight 55 is moved, the
[0026]
Next, the structure around the head of the
[0027]
A
[0028]
A
[0029]
The
[0030]
Therefore, the
[0031]
A
[0032]
The
[0033]
Next, an automatic transmission that shifts the rotation of the
[0034]
On the other hand, the clutch mechanism for connecting the power to the
[0035]
A
[0036]
A pinion 141 is fixed to the
[0037]
In the above configuration, when the engine speed is that at idling, the
[0038]
Thereafter, when the engine speed increases, the centrifugal force applied to the
[0039]
On the other hand, when the engine speed is further increased, the
[0040]
As described above, when the engine is started, the engine can be energized by energizing the
[0041]
Further, a
[0042]
In the above configuration, when the
[0043]
Next, the lubricating oil supply system will be described with reference to FIG. The oil supply unit is provided in the lower part of the
[0044]
Here, a
[0045]
As described above, in this embodiment, the
[0046]
Next, the arrangement of sensors that output crank pulses will be described. FIG. 12 is a side sectional view around the crankshaft showing the arrangement of a sensor (crank pulser) for generating a crank pulse, and FIG. 13 is a front sectional view of the same. In these drawings, the crankcase includes a front crankcase 99F and a rear crankcase 99R, and the
[0047]
Next, the engine stop / start system will be described. This system has an idling restriction mode and an idling permission mode. Specifically, when the vehicle is stopped in the idling restriction mode, the engine is automatically stopped, and when the accelerator is operated in the stopped state, the engine is automatically restarted and the vehicle can be started (hereinafter, “ Also referred to as “stop start mode”). There are two types of idling permission modes. One of them is to permit idling temporarily after the first engine start for the purpose of warm-up operation at the time of engine start (hereinafter referred to as “start mode”). In the other, idling is always permitted (hereinafter referred to as “idle switch mode”) at the driver's intention (setting by a switch).
[0048]
FIG. 14 is a block diagram showing the overall configuration of the start / stop control system in
[0049]
The
[0050]
Further, the
[0051]
Note that the power feeding control to the
[0052]
FIGS. 15 and 16 are block diagrams (No. 1 and No. 2) functionally showing the configuration of the
[0053]
The
[0054]
A state signal of the
[0055]
The operation switching
[0056]
FIG. 18 is a diagram schematically showing the operation mode and operation pattern switching conditions by the operation switching
[0057]
Furthermore, when a vehicle speed that is higher than or equal to the planned speed is detected for a predetermined time or longer in this “start mode” (condition (2) is satisfied), the operation mode is changed from “start mode” to “stop start mode” by the operation
[0058]
In the “first pattern”, when the ignition-off continuation determination unit 802 (FIG. 15), which will be described in detail later, determines that the ignition-off continues for 3 minutes or longer (condition (3) is satisfied), the operation pattern is switched. The operation pattern in the “stop start mode” is switched from the “first pattern” to the “second pattern” by the
[0059]
Further, when the condition (2) is established in the “second pattern”, the operation
[0060]
According to the investigation by the present inventors, waiting for a signal or waiting for a right turn at an intersection is about 30 seconds to 2 minutes. Stopping over this time is a stop other than waiting for a signal or waiting for a right turn, for example, one-way traffic due to road construction. There is a high possibility that there is a restriction or traffic congestion. Therefore, in this embodiment, when the vehicle is forced to stop for a long time (3 minutes or more in this embodiment), that is, stop the engine while the headlamp is lit while traveling in the “stop start mode”, the operation pattern is changed to “ The idling is permitted by switching from “first pattern” to “second pattern”. Therefore, if the driver turns on the
[0061]
On the other hand, if the idle switch is on (condition (6) is satisfied) when the main switch is switched from off to on, the operation mode signal S 301c output from the idle switch mode activation unit 301c is “L”. Transition from the level to the “H” level, the “idle switch mode” is activated. In the “stop start mode”, the “idle switch mode” is activated when the
[0062]
Further, when the
[0063]
Returning to FIG. 15, the
[0064]
When a switching element such as an FET is used instead of the
[0065]
As shown in FIG. 17, the
[0066]
When a switching element such as an FET is used instead of the
[0067]
That is, when the ignition control is interrupted (turned off) in response to the vehicle stop and the engine is automatically stopped, the
[0068]
In this way, battery discharge can be suppressed by dimming the
[0069]
The
[0070]
The OR
[0071]
As shown in FIG. 17, if the
[0072]
On the other hand, in the “first pattern of the stop / start mode”, the output signal of the
[0073]
The warning
[0074]
Ignition off
[0075]
The
[0076]
As shown in FIG. 17, the
[0077]
As described above, in the buzzer control of the present embodiment, during traveling in the “stop start mode”, the headlamp is kept on for a long time (in this embodiment, for 3 minutes, for example, due to traffic restriction on one side by road construction). When the stop (engine stop) is forced, the operation pattern of “stop start mode” changes from “first pattern” to “second pattern”. Will be notified. Therefore, the driver can prevent the battery from running out by keeping the
[0078]
In the acceleration
[0079]
The start
[0080]
According to the charging control, when the driver suddenly opens the throttle and accelerates rapidly, or when starting from a stopped state, the charging voltage is reduced, and the electric load of the starter /
[0081]
In addition, as shown in FIG. 17, the charging
[0082]
In FIG. 16, the starter
[0083]
The OR
[0084]
According to such starter relay control, since the output signal of the
[0085]
In the “first pattern of the stop / start mode”, the AND circuit 405 is enabled. Therefore, when the engine speed is equal to or lower than idling, the throttle is opened when the
[0086]
Furthermore, in the “second pattern of the stop / start mode”, the AND
[0087]
The stop crank
[0088]
A detection signal of the
[0089]
Further, the timeout signal of the
[0090]
The output signals of the AND
[0091]
Further, the output signal of the reverse
[0092]
In the
[0093]
In the
[0094]
That is, since the
[0095]
Next, the control of the
[0096]
FIG. 19 is a diagram showing the relationship between the crank position when starting the
[0097]
Therefore, in the present embodiment, the exhaust top dead center is defined as the normal rotation region from 90 degrees before the compression top dead center C / T to 90 degrees before the exhaust top dead center O / T, that is, the section where the cam sensor output is “L”. A region from 90 degrees before the point O / T to 90 degrees before the compression top dead center C / T, that is, a section where the output of the
[0098]
Next, a configuration for the operation of the
[0099]
On the other hand, the
[0100]
In this configuration, when the relay RyA is on and the relay RyB is off, a current flows through the
[0101]
20 and 21, the
[0102]
Furthermore, in the present embodiment, when the
[0103]
The distance between the detection of the crank pulse PC during reverse rotation and the normal rotation region can be known in advance, and the crank angle that changes due to inertia can also be known in advance based on the engine speed and the rotation time. Therefore, the time for the crank angle to change from the crank pulse PC detection position to the forward rotation region can be obtained from the inertia when the engine is stopped. Therefore, by setting the time until this inertia occurs as time TA, the crank angle can reach the normal rotation region by reverse rotation over time TA. Similarly, if the engine is stopped before the reverse rotation time is less than TA, sufficient inertia cannot be obtained and the crank angle does not reach the normal rotation region. Therefore, in this case, the reverse rotation is continued for a time TB so that the crank angle reaches the normal rotation region. Note that when the forward rotation region is reached prior to the detection of the crank pulse PC, the
[0104]
Such additional control makes it possible to wait for the engine to start in the normal rotation region closer to the reverse rotation region, unlike when the
[0105]
Next, the above control will be further described with reference to the flowchart of FIG. The process of this flowchart is executed when the
[0106]
On the other hand, if the crank angle position is in the reverse rotation region, the process proceeds from step S1 to step S7, and the relay RyA is turned on. This reverses the
[0107]
In step S10, it is determined whether or not the
[0108]
When the start control is completed, the next control type is determined (step S16), and each control, that is, ignition control (step S17), charge control (step S18), headlamp control (step S19), and buzzer control ( Step S20) etc. are repeated and the vehicle continues to travel. If a predetermined condition is satisfied during traveling, the process proceeds to step S1 for start control, or shifts to engine stop control (described later).
[0109]
Next, engine stop control processing will be described. In the flowchart of FIG. 24, in step S21, it is determined whether the crank angle position is the reverse rotation region or the normal rotation region based on the output of the
[0110]
Subsequent to step S22, in step S24, if the engine start condition is satisfied, that is, if the
[0111]
If it is determined in step S21 that the reverse rotation has occurred and the relay RyA is turned on in step S23, the process proceeds to step S31. In step S31, a timer Tc for detecting the time from the start of reverse rotation until the crank pulse, that is, the detection output of the
[0112]
If the crank pulse is detected, the process proceeds to step S33 and the timer Tc is stopped. In step S34, it is determined whether or not the value of the timer Tc has exceeded a preset value TA. If step S34 is affirmative, that is, if a crank pulse is detected after a time longer than the scheduled time has elapsed since the start of reverse rotation, the routine proceeds to step S35, where the relay RyA is turned off. When relay RyA is turned off,
[0113]
On the other hand, if step S33 is negative, that is, if a crank pulse is detected in a short time from the start of reverse rotation, the routine proceeds to step S37, where the timer Tc is reset and the timer Tc is newly started. In step S38, it is determined whether or not the value of the timer Tc has exceeded a preset value TB. If step S38 is positive, that is, if the estimated time TB has elapsed since the start of reverse rotation, the process proceeds to step S35, and the relay RyA is turned off. When relay RyA is turned off,
[0114]
If step S32 is negative, that is, if the presence or absence of the crank pulser is determined and no crank pulse is detected, the process proceeds to step S39, where it is determined whether or not the forward rotation region has been reached. If this determination is negative, the process proceeds to step S32. On the other hand, if step S39 is affirmative, in order to stop the
[0115]
In the above-described embodiment, it is determined whether the crank angle position is in the forward rotation region or the reverse rotation region based on the output of the
[0116]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the first and second aspects of the invention, the crank angle position of the engine stopped when the vehicle is stopped is in an inappropriate region (reverse rotation region) when the starter motor is rotated forward as it is. In such a case, the crank angle position can be moved to an appropriate region (forward rotation region) prior to the subsequent starting operation, so that the engine can be quickly started by the starting operation. Therefore, for example, when the vehicle is temporarily stopped at an intersection or the like, it is possible to quickly respond to the driver's intention to start.
[0117]
Also, even if the crank angle position changes due to a long-term vehicle stoppage, if the reverse rotation is necessary according to the crank angle position at that time, a starting procedure to perform forward rotation after reverse rotation is ensured. Can do.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a main part functional block diagram of a starter according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an overall side view of a scooter type motorcycle equipped with an engine starter to which the present invention is applied.
FIG. 3 is a plan view around the instrument panel of the scooter type motorcycle.
FIG. 4 is a schematic diagram showing an outline of a seating detection device.
5 is a cross-sectional view taken along line AA of the engine shown in FIG.
FIG. 6 is a side sectional view of the periphery of the cylinder head of the engine.
FIG. 7 is a front sectional view around the cylinder head of the engine.
FIG. 8 is a rear sectional view around the cylinder head of the engine.
FIG. 9 is a drive side sectional view of the automatic transmission.
FIG. 10 is a driven side sectional view of the automatic transmission.
FIG. 11 is a cross-sectional view showing an oil circulation device.
FIG. 12 is a side sectional view showing the arrangement of the crank sensor.
FIG. 13 is a front sectional view showing the arrangement of the crank sensor.
FIG. 14 is a block diagram showing an overall configuration of a start / stop control system according to an embodiment of the present invention.
FIG. 15 is a block diagram (part 1) illustrating functions of the main control device;
FIG. 16 is a block diagram (No. 2) showing functions of the main control device.
FIG. 17 is a diagram showing a main operation of the main control device as a list.
FIG. 18 is a diagram showing operation mode and operation pattern switching conditions;
FIG. 19 is a diagram showing a relationship between a crank angle position and a passing torque.
FIG. 20 is a timing chart of crank angle position control.
FIG. 21 is a timing chart of crank angle position control.
FIG. 22 is an operation explanatory diagram of crank angle position control.
FIG. 23 is a flowchart of start control.
FIG. 24 is a flowchart of engine stop control.
[Explanation of symbols]
2 ... Vehicle body front part, 3 ... Vehicle body rear part, 8 ... Seat, 8a ... Frame, 9 ... Luggage box, 12 ... Crankshaft, 69 ... Camshaft, 72a ... Reluctator, 162 ... Starter relay (relay RyA), 162a ... Reverse rotation Relay (relay RyB), 155 ... Cam sensor, 171 ... Starter motor, 254 ... Seating switch, 258 ... Starter switch, 259 ... Stop switch
Claims (3)
車両停止時にエンジンを停止させ、運転者による発進操作に応答してエンジンを始動させるエンジン停止始動制御手段と、
前記車両停止時に、クランク角度位置が前記逆転領域にある場合は、前記発進操作が行われる前にクランク角度位置を前記正転領域に変化させるスタータモータ制御手段とを具備し、
クランク角度位置が、前記逆転領域のうち逆転方向にある正転領域から所定角度以上離れた領域内にあるときは、前記スタータモータを逆転させた後、クランク角度位置が前記正転領域から所定角度以内になる前にスタータモータを停止させ、慣性により正転領域に至らせることを特徴とするエンジン始動装置。During the engine starting operation, if the crank angle position is in the forward rotation region, the starter motor is rotated forward, while if the crank angle position is in the reverse rotation region, the starter motor is operated until the crank angle position enters the forward rotation region. In the engine starting device that is made to rotate forward after being reversed,
An engine stop start control means for stopping the engine when the vehicle is stopped and starting the engine in response to a start operation by the driver;
A starter motor control means for changing the crank angle position to the forward rotation area before the start operation is performed when the crank angle position is in the reverse rotation area when the vehicle is stopped;
When the crank angle position is in a region that is a predetermined angle or more away from the normal rotation region in the reverse rotation direction in the reverse rotation region, the crank angle position is a predetermined angle from the normal rotation region after the starter motor is reversed. An engine starter characterized in that the starter motor is stopped before reaching within, and the normal rotation region is reached by inertia .
車両停止時にエンジンを停止させ、運転者による発進操作に応答してエンジンを始動させるエンジン停止始動制御手段と、
前記車両停止時に、クランク角度位置が前記逆転領域にある場合は、前記発進操作が行われる前にクランク角度位置を前記正転領域に変化させるスタータモータ制御手段と、
上死点位置近傍の所定クランク角度位置でパルスを発生するクランクパルス出力手段とを具備し、
逆転開始から正転領域に達する前に前記パルスを検出した場合に、
逆転開始から前記パルスを検出するまでの時間が予定時間よりも長い場合は直ちにスタータモータを停止させ、
逆転開始から前記パルスを検出するまでの時間が予定時間よりも短い場合は前記パルス検出後、所定時間経過後にスタータモータを停止させることを特徴とするエンジン始動装置。During the engine starting operation, if the crank angle position is in the forward rotation region, the starter motor is rotated forward, while if the crank angle position is in the reverse rotation region, the starter motor is operated until the crank angle position enters the forward rotation region. In the engine starting device that is made to rotate forward after being reversed,
An engine stop start control means for stopping the engine when the vehicle is stopped and starting the engine in response to a start operation by the driver;
A starter motor control means for changing the crank angle position to the forward rotation area before the start operation is performed when the crank angle position is in the reverse rotation area when the vehicle is stopped;
Crank pulse output means for generating a pulse at a predetermined crank angle position near the top dead center position,
When the pulse is detected before reaching the forward rotation region from the start of reverse rotation,
If the time from the start of reverse rotation to the detection of the pulse is longer than the scheduled time, immediately stop the starter motor,
An engine starter that stops a starter motor after a lapse of a predetermined time after the detection of a pulse when the time from the start of reverse rotation to the detection of the pulse is shorter than a scheduled time .
前記カムセンサの出力信号に基づいて前記正転領域および逆転領域を検出することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン始動装置。 A cam sensor for detecting the camshaft position;
The engine starting device according to claim 1 or 2, wherein the forward rotation region and the reverse rotation region are detected based on an output signal of the cam sensor .
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