JP4130548B2 - 往復動式圧縮機のガス圧縮装置 - Google Patents

往復動式圧縮機のガス圧縮装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、往復動式圧縮機のガス圧縮装置に係るもので、詳しくは、圧縮される冷媒ガスの圧縮量を調節するためにピストンの行程距離(ストローク)の制御を可能にし、無効容積を最小化し得る往復動式圧縮機のガス圧縮装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、圧縮機は、流体を圧縮する機器であって、往復動式圧縮機は、直線往復駆動力を発生させるモータに直接連結されたピストンがシリンダーの内部で直線往復運動しながら冷媒ガスを圧縮する。
【0003】
従来の往復動式圧縮機は、図4に示したように、密閉容器10と、該密閉容器10の内部に装着されて、直線往復駆動力を発生する往復動式モータ20と、該モータ20の両方側を夫々支持する後方フレーム30及び中間フレーム40と、該中間フレーム40の先方側に結合された前方フレーム50と、前記往復動式モータ20の軸線方向に沿って前記前方フレーム50に装着されたシリンダー60と、該シリンダー60の内部に挿入されて前記往復動式モータ20と連結されることで前記往復動式モータ20の直線往復駆動力によって直線往復運動を行うピストン70と、前記シリンダー60及びピストン70に結合されて、前記ピストン70の往復運動により発生する圧力差によって前記シリンダー60の内部へガスを吸入して吐出させるバルブ組立体80と、前記往復動式モータ20及びピストン70の直線往復運動を弾性支持する共振スプリングユニット90と、を包含して構成されている。
【0004】
又、上記往復動式モータ20は、リング状に形成されて、後方フレーム30及び中間フレーム40に後合されるリング状のアウター固定子21と、該アウター固定子21の内部に所定間隔を置いて挿入されて、上記後方フレーム30に係合されるインナー固定子22と、前記アウター固定子21の内部に巻回された巻線コイル23と、前記アウター固定子21とインナー固定子22との間に夫々所定間隔を置いて直線往復運動可能に挿入された可動子Aと、を包含して構成されている。
【0005】
又、上記可動子Aは、中空リング状に形成された磁石ホルダー24と、該磁石ホルダー24の外周面に円周方向に沿って所定間隔を置いて結合される複数個の永久磁石25と、を包含して構成されて、上記ピストン70に係合されている。
【0006】
且つ、上記共振スプリングユニット90は、前記前方フレーム50と中間フレーム40との間に位置するように屈曲形成されて、一方側が上記ピストン70又は可動子Aの一方側面に係合される支持台91と、前記前方フレーム50と支持台91との間に挿入された前方スプリング92と、前記支持台91と中間フレーム40との間に挿入された後方スプリング93と、を包含して構成されている。
【0007】
又、上記バルブ組立体80は、上記シリンダー60の圧縮空間Pを覆蓋する吐出カバー81と、該吐出カバー81の内部に挿入されて、前記シリンダー60の圧縮空間Pを開閉する吐出バルブ82と、該吐出バルブ82を弾性支持するバルブスプリング83と、前記ピストン70の先方端部に結合されて、該ピストン70の内部に形成された冷媒吸入流路Fを開閉する吸入バルブ84と、を包含して構成されている。
【0008】
且つ、上記吐出カバー81の一方側には、高温高圧に圧縮されたガスが外部に排出されるように案内する吐出管2が結合され、冷媒ガスを上記密閉容器10の内部に流入する吸入管1が上記後方フレーム30側において前記密閉容器10に結合されている。
【0009】
以下、このように構成された従来の往復動式圧縮機のガス圧縮装置の動作に関して説明する。
【0010】
先ず、上記往復動式モータ20に電源が印加されて巻線コイル23に電流が流れると、前記アウター固定子21及びインナー固定子22に形成される磁束(Flux)と永久磁石25との相互作用によって、前記永久磁石25が装着された可動子Aが直線往復運動を行う。
【0011】
次いで、上記可動子Aの直線往復駆動力が上記ピストン70に伝達されて、前記ピストン70がシリンダー内部の圧縮空間Pで直線往復運動を行うと、上記バルブ組立体80が動作しながらガスがシリンダー内部の圧縮空間Pに吸入及び圧縮されて吐出される一連の行程が反復される。
【0012】
又、前記スプリングユニット90は、上記往復動式モータ20の直線往復運動力を弾性エネルギーに貯蔵して放出すると共に共振運動を誘発させる。
【0013】
一方、上記往復動式圧縮機は、図5に示したように、初期組立時に、上記シリンダー60の内部に位置するピストン70の先方端が、前記ピストン70の最大上死点(Hmax)と最大下死点(Lmax)との中央に置かれるように、初期位置aが設定された状態に組立られて、前記二つの点の間の距離が最大行程距離(Smax)になっている。
【0014】
そして、通常、電源の電圧を制御することによって、最大上死点(Hmax)と最大下死点(Lmax)との間の中央の初期位置aを基準にして任意上死点H1と任意下死点L1間の任意行程距離S1で運動されながら冷媒ガスを圧縮する。
【0015】
即ち、上記シリンダー60内部の圧縮空間Pで圧縮されて吐出される冷媒ガス量を相対的に多くしようとする場合には、図6に示したように、上記最大行程距離(Smax)よりは小さいが、可能な限り、上記ピストン70の行程距離S2を大きくすることで、圧縮される冷媒ガスの量を多くさせることができる。
【0016】
且つ、圧縮されて吐出される冷媒ガス量を相対的に少なくしようとする場合には、図7に示したように、上記ピストン70の行程距離S3を小さくすることで、圧縮される冷媒ガスの量を少なくさせることができる。
【0017】
この時、上記ピストン70は、最大上死点(Hmax)と最大下死点(Lmax)との中央の初期位置aを基準として運動するので、ピストン70の行程距離を大きくさせる場合には、ピストンの上死点70と吐出バルブ82との底面間の距離であるトップ-クリアランス(top-clearance)が短くなるし、前記ピストン70の行程距離を短くする場合には、ピストンの上死点70と吐出バルブ82との底面間の距離のトップ-クリアランスが長くなる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、このような従来の往復動式圧縮機においては、電圧の制御によりピストンの行程距離を制御することで、圧縮される冷媒ガスの圧縮量を調節するために、所望の量だけガスの圧縮は可能であるという長所はあるが、前記ピストンは、恒常的に最大上死点と最大下死点との中間の初期位置を基準に設定された行程距離を運動するために、前記トップ-クリアランスが大きくなって、その大きくなったトップ-クリアランスにより無効容積が増加して圧縮機の圧縮効率が低下するという不都合な点があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたもので、圧縮される冷媒ガスの圧縮量を調節のためのピストン行程距離の制御を可能にし、無効容積を最小化し得る往復動式圧縮機のガス圧縮装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明に係る往復動式圧縮機は、直線往復駆動力を発生できるように、アウター固定子と、インナー固定子と、前記アウター固定子に結合する巻線コイルと、前記アウター固定子と前記インナー固定子との間に設置される可動子とを備える往復動式モータと、前記往復動式モータと所定の間隔を置いて位置する圧縮用シリンダーと、前記圧縮用シリンダーと所定の間隔を置いて位置し、前記インナー固定子の内側に前記圧縮用シリンダーと別途の部材として設置される位置調節用シリンダーと、前記圧縮用シリンダー及び位置調節用シリンダーに挿入されると共に前記往復動式モータに係合されて、前記往復動式モータの駆動力の伝達を受けて前記圧縮用シリンダー及び位置調節用シリンダーの内部で直線往復運動を行う初期位置可変型ピストンと、該初期位置可変型ピストンの共振運動を誘発させる共振スプリングと、前記圧縮用シリンダーの先方端に覆蓋されて、前記圧縮用シリンダーで圧縮されたガスが吐出される吐出室が形成された吐出カバーと、前記初期位置可変型ピストンの直線往復運動により前記初期位置可変型ピストンの内部に吸入されたガスをガス吸入流路を通して前記圧縮用シリンダーの内部に吸入させると共に前記圧縮用シリンダーで圧縮されたガスを前記吐出カバーの吐出室に吐出させるバルブユニットと、前記吐出カバーに連結されて、圧縮されたガスを外部に吐出する吐出管と、吐出管の中間部に連結されて、前記吐出管を介して外部に吐出されたガスの一部が前記位置調節用シリンダーの内部に流入されるように案内する連結管と、前記連結管の中間部に装着されて、前記吐出室から前記位置調節用シリンダに流入されるガスの流量を調整して前記位置調節用シリンダーの内部圧力を調節する圧力制御手段と、を具備し、前記位置調節用シリンダーは、電圧制御により前記初期位置可変型ピストンの行程距離が変化させられる際に、前記初期位置可変型ピストンの基準位置を移動させてトップ−クリアランスを一定に維持することを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に対し、図面を用いて説明する。
【0022】
本発明に係る往復動式圧縮機は、図1に示したように、所定の内部空間を有する容器10の内部に直線往復駆動力を発生させる往復動式モータ20が装着され、該往復動式モータ20の両方側には、それぞれ、後方フレーム30と中間フレーム40とが結合されている。
【0023】
又、上記往復動式モータ20は、リング状に形成される後方フレーム30及び中間フレーム40に固定されるアウター固定子21と、該アウター固定子21に所定間隔を置いて挿入されるインナー固定子22と、前記アウター固定子21に結合される巻線コイル23と、前記アウター固定子21とインナー固定子22との間に直線往復運動可能に挿合される可動子Aと、を包含して構成されている。
【0024】
又、上記インナー固定子22は、所定厚さ及び幅を有するリング状に形成されて、上記可動子Aは、中空リング状に形成される磁石ホルダー24及び該磁石ホルダー24に所定間隔を置いて装着される複数個の永久磁石25により構成される。
【0025】
そして、上記中間フレーム40に前方フレーム50が結合され、該前方フレーム50に穿孔形成された貫通孔に圧縮用シリンダー100が嵌合され、前記往復動式モータのインナー固定子22に初期位置調節用シリンダー110が挿入され、前記圧縮用シリンダー100及び初期位置調節用シリンダー110のそれぞれに挿入される初期位置可変型ピストン120が前記往復動式モータ20の可動子Aと連結される。
【0026】
一方、上記圧縮用シリンダー100は、所定長さを有するように形成されるシリンダー本体101と、該シリンダー本体101の先方端に所定幅及び高さを有して突設された突出部102とから構成され、上記シリンダー本体101が上記前方フレーム50の貫通孔に挿入されることで上記突出部102が前方フレーム50の先方端に係合される。
【0027】
又、上記初期位置調節用シリンダー110は、一方側が閉鎖された中空円筒状に形成されたシリンダー本体111と、該シリンダー本体111の開口側端にほぼフランジ状に拡大形成され、表面に冷媒ガスが通る複数個のガス通孔112が穿孔形成されて固定子22に装着される結合部113と、前記シリンダー本体111の一方側壁に穿孔形成されて連結管160の先方端が係合される連結孔114と、を包含して構成される。
【0028】
又、上記初期位置調節用シリンダー110は、上記シリンダー本体111が上記インナー固定子22の内方側に位置した状態で結合部113が前記インナー固定子22の側面に固定結合される。
【0029】
又、上記初期位置可変型ピストン120は、両方端が閉鎖された中空円筒体に形成され、それら両方端が上記圧縮用シリンダー100及び初期位置調節用シリンダー110の内部のそれぞれに挿入されるピストン本体121と、該ピストン本体121の外周面に所定の面積を有するようにほぼフランジ状に拡大形成された連結支持部122と、前記ピストン本体121の一方側に穿孔形成された吸入孔123及び該吸入孔123により吸入された冷媒ガスがピストン本体121の内部を通って前記圧縮用シリンダー100の内部へ流入するように前方端に穿孔形成された流出孔124を包含する冷媒ガス吸入流路と、を包含して構成される。
【0030】
又、上記初期位置可変型ピストン120は、ピストン本体121の流出孔124が形成された側が上記圧縮用シリンダー100の内部に挿入され、そのピストン本体121の反対側が上記初期位置調節用シリンダー110に挿入され、前記連結支持部122が上記往復動式モータ20の可動子Aに結合される。
【0031】
又、上記初期位置可変型ピストン120の連結支持部122の外周側壁に、前記初期位置可変型ピストン120を支持する複数個の共振スプリング130が夫々挿入される。
【0032】
即ち、上記初期位置可変型ピストン120の連結支持部122の後方側面と上記中間フレーム40との間に複数個の共振スプリング130が挿合され、且つ、前記初期位置可変型ピストン120の連結支持部122の先方側面と前記前方フレーム50との間にも複数個の共振スプリング130が夫々挿入されている。
【0033】
又、上記圧縮用シリンダー100の先方端に、前記圧縮用シリンダー100を覆蓋するように吐出カバー140が結合され、該吐出カバー140は、前記圧縮用シリンダー100で圧縮された冷媒ガスが吐出される吐出室Dを形成する。
【0034】
そして、上記初期位置可変型ピストン120の直線往復運動により該初期位置可変型ピストン120の内部に吸入されたガスを吸入流路を通して上記圧縮用シリンダー100の内部に吸入させると共に前記圧縮用シリンダー100で圧縮されたガスを上記吐出カバー140の吐出室Dに吐出させるバルブユニット150が該吐出カバー140の内部に備えられている。
【0035】
即ち、上記バルブユニット150は、上記圧縮用シリンダー100の内部空間を開閉する吐出バルブ151と、該吐出バルブ151を弾性支持するバルブスプリング152と、上記初期位置可変型ピストン120の端部に結合されて、前記初期位置可変型ピストン120の内部に穿孔形成された流出孔124を開閉する吸入バルブ153と、を包含して形成される。
【0036】
又、上記吐出カバー140の一方側に、上記吐出室Dに吐出された高圧ガスを外部に吐出させるように案内する吐出管2が結合され、前記吐出管2には吐出された冷媒ガスの一部を上記初期位置調節用シリンダー110の内部に流入させるための連結管160が結合されている。
【0037】
且つ、上記連結管160の先方端には、該連結管160を通って上記初期位置調節用シリンダー110内部に流入する冷媒ガスの圧力を調節し得る圧力制御バルブ170が装着され、該上記圧力制御バルブ170は3方向性を有する電子バルブが使用される。
【0038】
参照番号1は、冷媒ガスが流入する吸入管を示している。
【0039】
以下、本発明に係る往復動式圧縮機のガス吸入装置の動作に関して、説明する。
【0040】
先ず、上記往復動式モータ20に電源が印加され、巻線コイル23に電流が流れると、前記巻線コイル23に流れる電流により上記アウター固定子21及びインナー固定子22に形成される磁束(Flux)と永久磁石25との相互作用により前記永久磁石25が装着された可動子Aが直線往復運動を行う。
【0041】
次いで、上記可動子Aの直線往復駆動力が上記初期位置可変型ピストン120に伝達され、該初期位置可変型ピストン120が圧縮用シリンダー100及び初期位置調節用シリンダー110の内部で直線往復運動を行うと、上記バルブユニット150が動作しながら冷媒ガスが圧縮用シリンダー100の内部空間に吸入され、圧縮されて吐出される一連の行程が反復される。
【0042】
この時、冷媒ガスが圧縮用シリンダー100の内部に吸入される過程は、前記圧縮用シリンダー100の内部空間との圧力差により上記吸入管1により吸入された冷媒ガスが後方フレーム30の中央部に貫通形成された貫通孔(未符号)を通過した後、上記初期位置調節用シリンダー110のガス通孔112を通って初期位置可変型ピストン120の吸入孔123に吸入される。
【0043】
上記初期位置可変型ピストン120の吸入孔123に吸入された冷媒ガスは、次いで、内部を経て前記初期位置可変型ピストン120の先方端に形成された流出孔124及び吸入バルブ153を介して上記圧縮用シリンダー100の内部空間に吸入される。
【0044】
次いで、上記圧縮用シリンダー100で圧縮されて吐出された冷媒ガスは、吐出カバー140の吐出室Dを経て吐出管2を通して外部に吐出され、前記吐出管2に吐出された高圧状態の冷媒ガスの一部が前記連結管160を通って上記初期位置調節用シリンダー110の内部空間に流入される。それにより、前記初期位置調節用シリンダー110の内部空間の圧力を予め設定された圧力状態に維持して上記初期位置可変型ピストン120の初期位置を設定する。この時、上記圧力制御バルブ170は、開放状態とされる。
【0045】
又、上記複数個の共振スプリング130は、上記往復動式モータ20の直線往復運動力を弾性エネルギーに貯蔵して放出すると同時に共振運動を誘発する。
【0046】
一方、上記初期位置可変型ピストン120の最初の初期位置は、上記圧縮用シリンダー100の内部空間に位置する初期位置可変型ピストン120の先方端部を基準にして、前記初期位置可変型ピストン120の基準端部が、前記初期位置可変型ピストン120の上死点と下死点との中間である行程距離の中央に位置する。
【0047】
以後、上記初期位置可変型ピストン120の基準端部の初期位置を調節しようとするときには、任意の基準位置に位置させることができ、電源の電圧を制御することで前記初期位置可変型ピストン120の上死点と下死点との間の行程距離を制御することができる。
【0048】
結局、吐出させようとする冷媒ガスの圧縮量が相対的に多い場合には、上記行程距離を大きくし、少ない場合には行程距離を小さく制御する。
【0049】
併し、上記制御と同時に、上記圧力制御バルブ170により上記連結管160の開放の程度を調節すると、上記圧縮用シリンダー100から吐出されて上記吐出管2に吐出される高圧状態冷媒ガスの一部を連結管160を通って上記初期位置調節用シリンダー110の内部空間に流入させることによって前記初期位置調節用シリンダー110の内部空間圧力を調節し、上記初期位置可変型ピストン120が前記初期位置調節用シリンダー110の内部空間圧力により前記圧縮用シリンダー100側に移動させられるか、又は、前記初期位置調節用シリンダー110側に移動させた状態で往復運動を行う。
【0050】
又、上記初期位置調節用シリンダー110は、内部に充満された冷媒ガスの圧力によって上記初期位置可変型ピストン120の往復運動時のガススプリングの役割も果たす。
【0051】
即ち、上記初期位置可変型ピストン120の初期位置が上記初期位置調節用シリンダー110の内部の圧力状態によって圧縮用シリンダー100側に移動させられた状態において、前記初期位置可変型ピストン120が電圧により制御される行程距離を運動しながら冷媒ガスを吸入圧縮して吐出させる。
【0052】
例えば、図2に示したように、上記初期位置可変型ピストン120の基準端部が最大上死点(Hmax)と最大下死点(Lmax)との間の中央位置aに位置した状態で最大限可能なガス圧縮量よりは小さいが、相対的に圧縮させようとする冷媒ガスの圧縮量を多くしたい場合には、設定された圧縮量に相応する初期位置可変型ピストン120の行程距離S4を有するように電源の電圧を制御すると同時に、上記圧力制御バルブ170の調節によって初期位置調節用シリンダー110の内部空間が設定された圧力状態になるように吐出室Dから吐出された高圧状態冷媒ガスの一部を流入させ、前記初期位置可変型ピストン120の基準端部の位置を圧縮用シリンダー100側に移動させた状態の基準位置a4とし、前記初期位置可変型ピストン120が前記電圧制御に相応する上死点H4と下死点L4との間を運動しながら冷媒ガスを圧縮する。
【0053】
又、このような冷媒ガスの圧縮量より少ない量の冷媒ガスを圧縮する場合には、図3に示したように、前記設定された冷媒ガスの圧縮量に相応するように小さな行程距離S5になるように電源の電圧を制御すると同時に、上記圧力制御バルブ170を調節して、上記初期位置調節用シリンダー110の内部空間の圧力を増加させることにより、上記初期位置可変型ピストン120の基準端部の位置が上記設定された基準位置a4から前記圧縮用シリンダー100側にさらに移動させられた状態の位置a5とされ、電圧制御による行程距離S5で往復運動しながら冷媒ガスを圧縮させる。
【0054】
即ち、吐出させようとする冷媒ガスの圧縮量によって初期位置可変型ピストン120の行程距離を制御するだけでなく、前記初期位置調節用シリンダー110に対する初期位置可変型ピストン120の初期位置も制御し、前記初期位置可変型ピストン120のトップ-クリアランスを恒常的に所定距離に維持する。
【0055】
結局、相対的に圧縮させようとする冷媒ガスの圧縮量を多くするために行程距離を増加させる場合には、上記初期位置調節用シリンダー110の内部空間の圧力を増加させて、最大行程距離と設定された行程距離との差だけ上記初期位置可変型ピストン120の基準位置を前記圧縮用シリンダー100側に移動させ、前記初期位置可変型ピストン120のトップ-クリアランスを一定に維持する。
【0056】
又、相対的に圧縮させようとする冷媒ガスの圧縮量を少なくするために行程距離を減少させる場合にも、上記初期位置調節用シリンダー110の内部空間圧力をより増加させることで、初期位置可変型ピストン120の基準位置を圧縮用シリンダー100側にさらに移動させ、前記初期位置可変型ピストン120のトップ-クリアランスを恒常的に一定に維持する。
【0057】
従って、吐出させようとする圧縮された冷媒ガスの圧縮量のために、上記初期位置可変型ピストン120の初期位置を上記初期位置調節用シリンダー110を利用して変更することにより、前記初期位置調節用ピストン120のトップ-クリアランスは恒常的に一定に維持され、無効容積が減少する。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る往復動式圧縮機のガス圧縮装置においては、モータの電圧制御により初期位置可変型ピストンの行程距離を制御すると同時に、前記初期位置可変型ピストンの行程距離に対する初期位置可変型ピストンの基準位置を制御してガス圧縮量の調節を可能とし、初期位置可変型ピストンのトップ-クリアランスを恒常的に一定に維持することにより、必要な量だけの冷媒ガスの圧縮を行って冷媒ガスの圧縮損失を防止し、圧縮効率を向上すると共に無効容積を最小化して再膨脹損失防止により圧縮機の効率を向上し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る往復動式圧縮機のガス圧縮装置を示した縦断面図である。
【図2】本発明に係る往復動式圧縮機の冷媒ガス圧縮行程時に圧縮される冷媒ガス圧縮量が相対的に多い時において、変更された初期位置a4及びピストンの行程距離S4を概略的に示した断面図である。
【図3】本発明に係る往復動式圧縮機の冷媒ガス圧縮行程時に圧縮される冷媒ガス圧縮量が相対的に少ない時において、変更された初期位置a5及びピストンの行程距離S5を示した断面図である。
【図4】従来の往復動式圧縮機を示した縦断面図である。
【図5】従来の往復動式圧縮機の冷媒ガス圧縮行程時における最大上死点、最大下死点及びピストン行程距離S1を概略的に示した断面図である。
【図6】従来の往復動式圧縮機の冷媒ガス圧縮行程時に圧縮される冷媒ガスの圧縮量が相対的に多い時におけるピストンの行程距離S2を概略的に示した断面図である。
【図7】従来の往復動式圧縮機の冷媒ガス圧縮行程時に圧縮される冷媒ガスの圧縮量が相対的に少ない時におけるピストンの行程距離S3を概略的に示した断面図である。
【符号の説明】
2…吐出管
20…往復動式モータ
100…圧縮用シリンダー
110…位置調節用シリンダー
111…シリンダー本体
112…ガス通孔
113…結合部
114…連結孔
120…初期位置可変型ピストン
121…ピストン本体
122…連結支持部
123…吸入孔
124…流出孔
130…共振スプリング
140…吐出カバー
150…バルブユニット
160…連結管
170…圧力制御バルブ
D…吐出室

Claims (3)

  1. 直線往復駆動力を発生できるように、アウター固定子(21)と、インナー固定子(22)と、前記アウター固定子(21)に結合する巻線コイル(23)と、前記アウター固定子(21)と前記インナー固定子(22)との間に設置される可動子(A)とを備える往復動式モータ(20)と、
    前記往復動式モータ(20)と所定の間隔を置いて位置する圧縮用シリンダー(100)と、
    前記圧縮用シリンダー(100)と所定の間隔を置いて位置し、前記インナー固定子(22)の内側に前記圧縮用シリンダー(100)と別途の部材として設置される位置調節用シリンダー(110)と、
    前記圧縮用シリンダー(100)及び位置調節用シリンダー(110)に挿入されると共に前記往復動式モータ(20)に係合され、前記往復動式モータ(20)の駆動力の伝達を受けて前記圧縮用シリンダー(100)及び位置調節用シリンダー(110)の内部で直線往復運動を行う初期位置可変型ピストン(120)と、
    前記初期位置可変型ピストン(120)の共振運動を誘発させる共振スプリング(130)と、
    前記圧縮用シリンダー(100)の先方端を覆蓋して、前記圧縮用シリンダー(100)で圧縮されたガスが吐出される吐出室が形成された吐出カバー(140)と、
    前記初期位置可変型ピストン(120)の直線往復運動により前記初期位置可変型ピストン(120)の内部に吸入されたガスをガス吸入流路を通して前記圧縮用シリンダー(100)の内部に吸入させると共に前記圧縮用シリンダー(100)で圧縮されたガスを前記吐出カバー(140)の吐出室に吐出させるバルブユニット(150)と、
    前記吐出カバー (140 )に連結されて、圧縮されたガスを外部に吐出する吐出管 (2 )と、
    前記吐出管 (2) の中間部に連結されて、前記吐出管 (2) を介して外部に吐出されるガスの一部が前記位置調節用シリンダー(110)の内部に流入されるように案内する連結管(160)と、
    前記連結管(160)の中間部に装着されて、前記吐出室から前記位置調節用シリンダー (110) に流入されるガスの流量を調整して前記位置調節用シリンダー(110)の内部圧力を調節する圧力制御手段と、を具備し、
    前記位置調節用シリンダー(110)は、電圧制御により前記初期位置可変型ピストン(120)の行程距離が変化させられる際に、前記初期位置可変型ピストン(120)の基準位置を移動させてトップ−クリアランスを一定に維持することを特徴とする往復動式圧縮機のガス圧縮装置。
  2. 前記位置調節用シリンダー(110)は、
    一方側が閉鎖された中空リング状に形成されたシリンダー本体(111)と、
    前記シリンダー本体(111)の開口側端部にほぼフランジ状に拡大形成され、表面に複数個のガス通孔(112)が穿孔形成されて固定子(22)に装着される結合部(113)と、
    前記シリンダー本体(111)の側壁に穿孔形成されて前記連結管(160)の先方端が係合される連結孔(114)と、を具備することを特徴とする請求項1記載の往復動式圧縮機のガス圧縮装置。
  3. 前記初期位置可変型ピストン(120)は、
    両方端が閉鎖された中空円筒体に形成されて、前記両方端が、それぞれに、前記圧縮用シリンダー(100)及び前記位置調節用シリンダー(110)の内部に挿入されるピストン本体(121)と、
    前記ピストン本体(121)の外周面に所定面積を有するようにほぼフランジ状に拡大形成されて、前記共振スプリング(130)を支持すると共に前記モータ(20)と連結される連結支持部(122)と、
    前記ピストン本体(121)の一方側に穿孔形成された吸入孔(123)及び前記吸入孔(123)に吸入されたガスが前記ピストン本体(121)の内部を通して前記圧縮用シリンダー(100)の内部に流入するように前方端に穿孔形成された流出孔(124)を有するガス吸入流路と、を具備することを特徴とする請求項1記載の往復動式圧縮機のガス圧縮装置。
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