発明の実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置について、図に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図である。
図1に示されるように、液晶表示装置は、液晶表示パネル100と、マイクロレンズアレイ基板200と、光源ユニット300とを備えている。本発明の実施の形態にかかる液晶表示装置は、例えば、携帯電話機、携帯端末、携帯型ゲーム機、カーナビゲーションシステムのディスプレイ等に搭載される。本発明は、半透過型、透過型液晶表示装置のどちらにも用いることが可能である。半透過型液晶表示装置において、本発明のバックライトユニットは、特に有効である。半透過型液晶表示装置は、外光が強い場所では外光を反射して利用するため、外光を反射させる機能を有する。したがって、透過型と比較してバックライトの透過率が低くなってしまう。本発明は、透過領域にマイクロレンズでバックライト光を集光できるため、光利用効率低下を防ぐことができる。よって、反射領域を広げることも可能であり、屋外での外光利用時の視認性をも同時に高めることができる。
また、マイクロレンズアレイ基板200および光源ユニット300によりバックライトユニットが構成される。液晶表示パネル100は、内面に透明電極106などが形成された2枚の透明基板101、102の内面が相対向して配置され、この2枚の透明基板101、102の内面間に液晶層103が挟持されて構成されている。
まず、液晶表示パネル100の構成について、図に基づいて、詳細に説明する。図1に示されるように、透明基板101、102の間には、液晶層103の高さ(セルギャップ)を制御するためのスペーサ110が散布されている。透明基板101、102は、当該透明基板101、102の外周縁に沿って塗布されるシール材111により貼り合わされている。透明基板101、102の外面上には、偏光板109a、109bがそれぞれ取り付けられている。
透明基板101は矩形状の薄板により形成されている。透明基板101の材料にはガラスやポリカーボネートやアクリル樹脂などが用いられる。透明基板101の内面には、カラーフィルタ層104、透明電極106および配向膜107が順次積層されて形成されている。また、カラーフィルタ層104の各画素間には、遮光膜としてのブラックマトリックス105が形成されている。各画素は、ブラックマトリクス105、TFT素子や各種配線等の非透過領域を除く領域に、バックライト光を透過する透過領域を備えている。なお、透明基板101上に、これらカラーフィルタ層104、透明電極106および配向膜107などが形成されて、素子基板を構成する。
透明基板102は矩形状の薄板により形成されている。透明基板102の材料にはガラスやポリカーボネートやアクリル樹脂などが用いられる。透明基板102の内面には、TFT素子108、透明電極106および配向膜107が順次積層されて形成されている。なお、透明基板102上に、これらTFT素子108、透明電極106および配向膜107などが形成されて、素子基板を構成する。透明電極106の材料には、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)が用いられる。配向膜107の材料には、例えば、ポリイミド薄膜が用いられる。
次に、マイクロレンズアレイ基板200および光源ユニット300の構成について、図に基づいて、詳細に説明する。図1に示されるように、マイクロレンズアレイ基板200が液晶表示パネル100の背面側に設けられている。また、マイクロレンズアレイ基板200の一側面に光源ユニット300が設けられている。
図2は、本発明の実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ基板および光源ユニットの構成を示す模式図であって、図2(a)は模式前面図、図2(b)は図2(a)のP−P切断線における模式断面図、図2(c)は図2(a)のQ−Q切断線における模式断面図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ基板および光源ユニットの構成を示す模式図であって、図3(a)は模式背面図、図3(b)は図3(a)のR−R切断線における模式断面図、図3(c)は図3(a)のS−S切断線における模式断面図である。図2(a)および図3(a)では、便宜上、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の各頂点をA〜Dとした。
なお、図2および図3に示されるように、マイクロレンズアレイ202のマイクロレンズ202aの延在方向(長手方向)およびプリズム部205の溝205aの延在方向(長手方向)は、互いに略直交する関係にある。
図1、図2および図3に示されるように、マイクロレンズアレイ基板200は、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201と、複数のマイクロレンズ202aからなるマイクロレンズアレイ202と、リム203と、低屈折率層204と、複数の溝205aを有するプリズム部205と、反射部206とを備えている。
マイクロレンズアレイ形成用透明基板201は、矩形状の薄板により形成されている。また、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の材料にはガラスが用いられる。
マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の熱膨張係数は、周囲使用環境温度による液晶画素とマイクロレンズアレイのずれを防止するため、液晶表示パネルに用いられているガラス基板の膨張係数に近い基板であることが望ましく、10×10−7(/℃)以上100×10−7(/℃)以下程度のガラス基板であることが望ましい。
図1、図2および図3に示されるように、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の前面には、マイクロレンズアレイ202とリム203とが形成されている。なお、図1に示されるように、マイクロレンズアレイ基板200は、リム203を介して、液晶表示パネル100の背面に取り付けられている。後述の通り、マイクロレンズアレイ202とリム203は、感光性樹脂(レジスト)をマイクロレンズアレイ形成用透明基板201上に成膜し、露光・現像を行うことにより形成される。
マイクロレンズアレイ202は、複数の蒲鉾形状のマイクロレンズ202aを有する。マイクロレンズ202aは、シリンドリカルレンズであって、円筒状のレンズ形状を有し、主として1方向にのみ曲率を有する。但し、本発明でいうシリンドリカルレンズは、一方向への曲率が主体的であることを意味し、その他の方向への曲率が全くないことを意味するものではない、図2および図3に示されるように、複数の長尺形状のマイクロレンズ202aは、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201のうち、光源ユニット300が配置されている側の辺BCに対して略垂直方向に沿って、相互に平行に連続して並設されて形成されている。ここで、マイクロレンズ202aの幅は、液晶表示パネル100の画素に対応して、数mm以下に設定されている。
図2および図3に示されるように、外枠部としてのリム203は、マイクロレンズアレイ202の外周縁に沿って、突出して枠状に形成されている。図1、図2および図3に示されるように、リム203はマイクロレンズアレイ202の凸部頂点と同一またはそれより高く形成されている。このリム203は、液晶表示パネル100の背面にマイクロレンズアレイ基板200を取り付けるために設けられている。
複数の溝205aを有するプリズム部205が、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の背面上に設けられている。複数の溝205aは、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201のうち、光源ユニット300が配置されている辺BCに対して略平行方向に沿って、相互に平行に連続して並設されて形成されている。すなわち、複数の溝205aの延在方向(長手方向)が複数のマイクロレンズ202aの延在方向(長手方向)に略直交している。
プリズム部205は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate(以下、PETと称する))などの透明基材上に、予めプリズム状に複数の溝205aが施された透明な光硬化性樹脂をロール転写して硬化した後、透明基板201に貼り合わせたり、あるいは透明基板201に光反応性樹脂を直接塗布した後、グレイマスクを用いたフォトリソグラフィー法などにより複数の溝205aを形成することにより作製される。このようにすることにより、簡単にプリズム部205を作製できる。
なお、例えばポリカーボネート(Polycarbonate)などの透明基材にスタンパを用いてナノインプリンティングによりプリズム部205を形成してもよい。また、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の背面上に直接2P法によりプリズム部205を形成してもよい。なお、プリズム部205の屈折率は、マイクロレンズアレイ形成用基板201の屈折率と等しいか、あるいはそれよりも大きくなるように、設定されている。
図1、図2および図3に示されるように、反射部206がプリズム部205の表面上の複数の溝205aに沿って形成されている。反射部206は、金、銀、アルミニウムや、アルミニウム合金などの材料により、蒸着などにより形成される。なお、反射部206を金、銀、アルミニウムや、アルミニウム合金などによりシート状に形成し、このシート状の反射部206をプリズム部205の溝205aが形成されている面に対向して配設してもよい。すなわち、反射部206に反射膜を形成せずに、マイクロレンズアレイ基板200とは別に反射板を設けるようにしてもよい。
ここで、プリズム部205および反射部206の具体例を示す。図4および図5は、プリズム部および反射部の一例を示す図である。図4および図5に示されるように、プリズム部205は、PETシート2051と、このPETシート2051上に塗布された光硬化樹脂2052と、この光硬化樹脂2052に形成された複数の溝205aとから構成されている。PETシート2051および光硬化樹脂2052には、約1.6の屈折率の材料を用いた。
図4では、複数の溝205aは鋭角状に形成されている。図5では、複数の溝205aは、蒲鉾形状の凸部間に形成されている。また、図4および図5に示されるように、反射部206は、プリズム部205の表面の溝205aに沿って、形成されている。なお、反射部206の材料には、金、銀、アルミニウムや、アルミニウム合金などの薄膜が用いられる。このとき、図4および図5に示されるように、反射部206がプリズム部205の表面上の複数の溝205aに沿って形成されているので、光が各溝205aのエッジ部で反射および散乱され、プリズム部205からの出射光が略均一になる。この結果、均一性が高く、視野角が大きい出射光を得ることができる。なお、ハードコート層(不図示)が反射部206上に形成されている。ハードコート層の材料には光硬化性樹脂などを用いられている。このハードコート層は反射部206の保護、酸化防止のために設けられる。なお、プリズム部205は、辺BCに平行して必ずしも連続している必要はなく、間欠的に形成されていてもよい。
図2および図3に示されるように、光源ユニット300は、例えば、光源である発光ダイオード(Light Emitting Diode(以下、LEDと称する))301a、301bおよびライトガイド302から構成されている。光源ユニット300はマイクロレンズアレイ形成用基板201の辺BCにおける側面側に設けられている。光源ユニット300とマクロレンズアレイ基板200とは一定距離だけ離間して配置される。これらの間は空気であってもよく、マイクロレンズアレイ基板200の屈折率よりも低い低屈折率層で充填してもよい。LED301a、301bは、ライドガイド302の両端部(短辺側の端部側面)に配置された点光源である。
ライトガイド302は、例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィンやアクリル樹脂などの透明樹脂より構成される。ライトガイド302においてマイクロレンズアレイ基板200側の側面3021とは反対側の側面3022には、プリズム状の反射溝が形成されている。さらに側面3022には、反射膜を形成するようにしてもよい。側面3021に形成された反射溝は、基本的に、LED301a、301bの光又はLED301a、301bから出射され、側面3021において反射された光を、マイクロレンズアレイ形成用基板201側へ向けて照射するように形成されている。即ち、当該反射溝は、側面3021と側面3022の間で複数回に亘って反射を繰り返させることによって光を入射側から奥へ導く役割は有してない。このため、このライトガイド302の側面3022に形成されたプリズム状の反射溝は、マイクロレンズアレイ基板200の底面に形成され、前面側に光を反射させるプリズム状の反射溝とは異なり、反射された光の指向性を高めることが容易である。
さらに、ライトガイド302の側面3022は、長手方向(マイクロレンズアレイ形成用基板201の辺BCの方向)に曲率を有する曲面が形成されている。より具体的には、ライトガイド302の側面3022は、中央部がライトガイド302の出射方向とは反対側へ凸状に突出した曲面形状を有する。このような曲面形状を有することによって、さらに、両端部から入射した光を指向性を高めて側面3021側のマイクロレンズアレイ基板端面に入射することが可能となる。
ここで、ライトガイド302の曲面のうち、中央部の曲率は両端部の曲率よりも小さい。このようにしたことにより、ライドガイド302の中央部からの出射光の指向性を両端部からの出射光の指向性よりも高く設定できる。本例では、図6に示されるように、中央部からの出射光は半値幅角度が±2度程度、両端部近傍からの出射光は半値幅角度が±8度程度の指向性を有する。
このようにして構成されたライトガイド302は、両端部から入射した光を、出射面である側面3021から、指向性を著しく高めて出射することが可能となる。即ち、ライトガイド302の側面3021から出射された光は、その側面3021からライトガイド302の長手方向に対して垂直に出射する成分が大きい平行光である。好適な実施の形態におけるライトガイド302から出射される光の半値幅角度は、±15度以下であり、さらに好ましくは±10度以下である。本明細書において、「平行光」とは、ライトガイド端面3021から出射される光のピーク強度に対して半減する出射強度を有する角度を半値幅角度と定義し、その半値幅角度が±15度以下の指向性を有する光をいう。
図1、図2および図3に示されるように、中間層としての低屈折層204が、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の前面上であって、マイクロレンズアレイ201およびマイクロレンズアレイ形成用透明基板201の間に形成されている。ここで、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の屈折率が、低屈折層204の屈折率より大きくなるように設定されている。低屈折層204は例えばフッ素系樹脂材料や中空ナノシリカ球をアクリルなどの透明樹脂に分散させた材料などをマイクロレンズアレイ形成用透明基板201の前面上に塗布することにより形成される。ここで、中空ナノシリカ球とは、40nm程度のシリカ(SiO2)の玉であって、内部が空洞になっているものをいう。この中空ナノシリカ球を透明樹脂に分散させることにより、透明樹脂の屈折率を実効的に下げることができる。
このような構成にしたことにより、図7を用いて後述するように、マイクロレンズアレイ形成用基板201と低屈折率層204との間の界面における全反射の臨界角θmaxを小さくすることができ、マイクロレンズ202aに対する入射角が大きい光が低屈折層204で反射され、マイクロレンズ202aに対する入射角が大きい光が、マイクロレンズアレイ形成用基板201と低屈折率層204との間の界面を透過するのを抑止できる。この結果、マイクロレンズアレイ基板200の側面側に配置される光源ユニット300の光を当該マイクロレンズアレイ基板200内を効率良く導光させるとともに前面側へ向けて効率よく出射することができる。この結果、液晶表示パネル100の画素内の輝度を高くでき、視野角を大きくすることができる。
仮に、低屈折率層204が形成されていない場合には、マイクロレンズアレイ基板200の出射面には、シリンドリカルレンズ形状を有するマイクロレンズ202aが形成されているため、ライトガイド302から出射された光はマイクロレンズ202aのレンズ面で様々な方向へ反射され、指向性が低下することになる。これに対して、本発明の実施の形態では、入射した平行光は、フラット(平坦)な低屈折率層204において全反射されて全域に亘って導かれるため、平行光の状態を維持した状態で伝播することになり、指向性の低下を抑制できる。このとき、伝播の過程で、入射光は、マイクロレンズアレイ基板200の底面に設けられたプリズム状の反射溝により反射されるが、この反射溝は、入射光の伝播方向に垂直な方向に延在しているため、反射により平行光の状態が乱されることはない。
ここで、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201と低屈折率層204との間の界面における全反射の臨界角θmaxを具体的に算出してみる。図7は、マイクロレンズアレイ基板の光源側の拡大模式図である。θは光源ユニット300の光が低屈折率層204への入射するときの入射角を示している。φは光源ユニット300の光が空気層からマイクロレンズアレイ形成用基板201へ入射する際の屈折角を示している。また、図7内で示す矢印線JKおよび矢印線KLは、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201と低屈折率層204との間の界面で光源ユニット300の光が全反射したときの光路を示している。
図8は、低屈折率層の材料と各種光学特性との関係を示す図である。図7に示されるように、低屈折率層204の材料には、フッ素系透明樹脂、中空ナノシリカ球入り透明樹脂、および二酸化ケイ素の3種類を選定した。スネルの法則に従って全反射条件を検討すると、低屈折率層204の屈折率が小さければ小さいほど、マイクロレンズアレイ形成用透明基板と低屈折率層との間の界面における全反射の臨界角θmaxは小さくなる。
図8に示されるように、屈折率が最も小さいフッ素系透明樹脂を選定した場合、全反射の臨界角θmaxを約63.5°まで小さくすることができることがわかる。このとき、光源ユニット300の光が空気層からマイクロレンズアレイ形成用基板201へ入射する際の屈折角φは約26.5°となる。なお、スネルの法則に従って全反射条件を検討するに際し、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の屈折率を1.52とした。
ここで、屈折角φが大きいほど、マイクロレンズ202aに対する入射角が大きい光が低屈折層204で効率よく反射され、マイクロレンズ202aに対する入射角が大きい光がマイクロレンズアレイ形成用基板201と低屈折率層204との間の界面をそのまま透過するのを効率よく抑止できる。この結果、マイクロレンズ202aに実際に入射する光の入射角を効率よく小さくでき、マイクロレンズアレイ基板200の側面側に配置される光源ユニット300の光を当該マイクロレンズアレイ基板200の前面側へ向けて効率よく出射することができる。
以上のように、マイクロレンズアレイ基板200に、バックライトの導光板としての機能を加えた液晶表示装置を得ることができる。また、従来の液晶表示装置で使用していた導光板や複数の光学シートを無くすことができ、バックライトユニットを薄型化でき、液晶表示装置全体の厚みを薄くできる。また、導光板や複数の光学シートを無くすことにより、部品コストおよび製造コストを低減できる。
例えば、従来、偏光板を含めた液晶表示パネル厚が0.6mm、マイクロレンズアレイ基板厚が約0.3mm、導光板厚が約0.4mm、複数の光学シート厚の合計が約0.25mmであったとき、従来の液晶表示装置全体の厚みは約1.55mmであった。これに対し、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置では、偏光板を含めた液晶表示パネル厚が0.6mm、マイクロレンズアレイ基板厚が約0.4mmであったとき、液晶表示装置全体の厚みは約1.0mmとなった。このように、本発明により、液晶表示装置全体の厚みを約0.55mm薄くすることができた。
また、近年、液晶表示パネルの薄型化に伴って、液晶表示パネルの剛性が低下し、液晶表示パネルが割れやすくなってきているが、前記実施態様の通り、マイクロレンズアレイ基板200を液晶表示パネル100の背面側に配置することにより、液晶表示装置全体の剛性を高めることができる。また、マイクロレンズアレイ基板200を、リム203を介して、液晶表示パネル100の背面に貼り付けているので、更に液晶表示装置全体の剛性を高めることができる。
図9は、本発明の実施の形態1に係るバックライトユニットの斜視図である。この図を用いて、LED301aから出射された光がマイクロレンズアレイ基板200の出射面から出射するまでの挙動について説明する。
まず、LED301aから出射された光は、ライトガイド302の端部から入射する。ライトガイド302において、入射光は、直接、若しくは、側面3021において反射された後に、プリズム状の反射溝を有する側面3022において反射され、マイクロレンズアレイ基板200側の側面3021から出射する。この出射光は、出射面である側面3021の長手方向に垂直な方向に対して指向性の高い平行光である。
マイクロレンズアレイ基板200の側面から入射した平行光は、低屈折率層204とプリズム部205の間で反射された後にマイクロレンズ202aに入射するか、若しくは、入射直後にプリズム部205において反射された後にすぐにマイクロレンズ202aに入射する。このとき、プリズム部205の反射溝は平行光の進行方向に対して垂直な方向に延在しているから、平行光が当該反射溝で反射されたとしても、平行光の状態は乱されず、高い指向性を維持する。また、低屈折率層204もフラットな界面を有するため、そこで反射したとしても、やはり平行光の状態は乱されず、高い指向性を維持する。
平行光の状態でマイクロレンズ202aに入射された光は、シリンドリカルレンズであるマイクロレンズ202aの長手方向と垂直な方向に、当該平行光の平行面に沿って集光されることになるから、マイクロレンズ202aの長手方向と垂直な方向についてマイクロレンズ202aのレンズ面形状に応じて精度良く集光させることができる。
本発明のバックライトユニットを用いた液晶表示装置の輝度シュミレーションを図15に示す。光源出射角が小さいほど(平行光であるほど)、輝度が上昇することがわかる。
ここで、図10に示されるように、液晶表示パネル上の画素は、長方形を有し、通常は、長方形の長辺同士が接するようにして配置される。例えば、QVGAにおける画素の長辺は150μm、短辺は50μmであり、また、VGAにおける画素の長辺は75μm、短辺は25μmである。そして、これらの画素上の開口部は、長辺方向の方が短辺方向よりも開口率が低いから、長辺方向に精度良く集光させた方が、短辺方向に精度良く集光させるよりも、入射光が開口部を効率良く透過することになり、輝度が向上する。このため、図10に示されるように、精度良く集光可能な、マイクロレンズ202aの長手方向に垂直な方向に画素の長辺方向が配置されるようにしている。なお、入射光は画素の透過領域で集光した後に広がるため、画素の長辺方向への視野角は広い。
他方で、マイクロレンズ202aの長手方向に対しては、指向性は高くないが、この方向は開口率の高い短辺方向と一致するので輝度の低下への影響は少ない。本例では、指向性を低くすることで短辺方向に対する視野角を確保している。
このようにして、LED301aから入射された光は、マイクロレンズ202aを出射し、各画素に入射するので、液晶表示パネルに設けられたTFT素子やブラックマトリクスを精度良く避けることができ、液晶表示パネルの輝度を向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態1に係るマイクロレンズアレイ基板の製造方法について説明する。図11は、本発明の実施1の形態に係るマイクロレンズアレイ基板の製造方法を示す図である。
まず、図11(a)に示されるように、ガラス製のマイクロレンズアレイ形成用透明基板201を用意し、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201の前面上に、例えばフッ素系透明樹脂を塗布することにより、低屈折率層204を形成した。ここで、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201には例えば400μm厚のガラス基板を用いた。
次に、図11(b)に示されるように、このマイクロレンズアレイ形成用透明基板201のうち、低屈折率層204が形成されている面の全域に亘って、感光性樹脂(ネガ型透明レジスト)を塗布し、グレイスケールマスクを用いて、レンズ形成層20を形成した。塗布方法には、スピンコートやスリットコートがある。
感光性樹脂は、紫外線硬化性樹脂が好ましい。感光性樹脂として、有機溶媒、アルカリ溶液、水のいずれかで現像できることが好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、少なくとも側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体と光反応性化合物を含むものであることが好ましい。側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアクリル系共重合体は、ポリマーバインダー成分であり、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共重合させて形成したアクリル系共重合体にエチレン性不飽和基を側鎖に付加させることによって製造できる。
不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸およびこれらの酸無水物などである。エチレン性不飽和化合物は、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート等である。側鎖のエチレン不飽和基としてはビニル基、アリル基、アクリル基のようなものがある。
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。感光性樹脂には、ポリマーバインダー成分として前記のアクリル系共重合体以外の感光性ポリマーや非感光性ポリマーを併用することもできる。
感光性ポリマーとしては、光不溶化型のものと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとしては、1分子に不飽和基などを1つ以上有する官能性モノマーやオリゴマーを適当なポリマーバインダーと混合したもの、芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を適当なポリマーバインダーに混合したもの、既存の高分子に感光性の基をペンダントすることにより得られる感光性高分子あるいはそれを改質したもの、ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などのいわゆるジアゾ樹脂などが挙げられる。また光可溶化型のものとして、ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアジド類などを適当なポリマーバインダーと混合したもの、キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸エステルなどが挙げられる。
非感光性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体などが挙げられる。
光反応性化合物としては、公知の光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合を含有するモノマー、オリゴマーを用いることができる。例えば、光反応性化合物には、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレートなどがある。またオリゴマーの代表例としてはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどが挙げられる。
紫外線硬化性樹脂に使用される光重合開始剤には、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンなどの還元剤の組み合わせなどがある。
次に、図11(c)に示されるように、レンズ形成層20を形成した面の反対側に、グレイスケールマスク30を配置して、レンズ形成層20を露光する。ここで、グレイスケールマスク30は、図2および図3に示されたマイクロレンズアレイ202およびリム203の形状に対応して形成されている。マイクロレンズアレイ202の形成領域内において、グレイスケールマスク30側から照射された露光光は、グレイスケールマスク30によって強度変調が加えられる。
詳細には、各マイクロレンズ202aの形成領域のうち、各マイクロレンズ202aの中央部を最大として、両端部に露光強度が減少するように、強度変調が加えられる。グレイスケールマスク30のレンズ形成用領域によって強度変調の加えられた露光光によって、レンズ形成層20は蒲鉾状のレンズ形状に硬化する。
また、このグレイスケールマスク30を用いて、リム203の形成領域内も露光することによって、リム形状に硬化する。このように、複数のマイクロレンズ202aおよびリム203を同一のグレイスケールマスク30を用いて同時に形成することにより、マイクロレンズアレイ202およびリム203をマイクロレンズアレイ形成用透明基板201上に効率よく形成することができる。
次に、図11(d)に示されるように、レンズ形成層20の露光が完了した後、レンズ形成層20を現像することによって未硬化部分を除去する。このとき、マイクロレンズアレイ202およびリム203の形成領域以外の領域では、露光および現像の処理が行われていないので、この領域においてレンズ形成層20は完全に除去される。このようにして、マイクロレンズ202およびリム203をマイクロレンズアレイ形成用透明基板201上に形成する。このとき、例えば蒲鉾形状のマイクロレンズ202の高さは約15μm、リム203の高さは約20μmに形成する。
次に、図11(e)に示されるように、マイクロレンズアレイ形成用基板201のうち、マイクロレンズアレイ202が形成されている面の反対側の面上に、プリズム部205および反射部206を形成する。具体的には、表面に反射部206が形成されたプリズム部205を準備し、これをマイクロレンズアレイ形成用基板201のうち、マイクロレンズアレイ202が形成されている面の反対側の面上に貼り付ける。更に、反射部206上にハードコート層(不図示)を形成する。ハードコート層の材料には光硬化性樹脂などを用いる。このハードコート層は反射部206の保護、酸化防止のために設けられる。
なお、プリズム部205は、例えば、PETなどの透明基材上に予めプリズム状に複数の溝205aが施された透明な光硬化性樹脂をロール転写して硬化させた後、透明基板201に貼り合わせて形成されている。また、反射部206は、プリズム部205の表面上に金、銀、アルミニウム、アルミニウム合金などを蒸着することにより形成されている。
以上のように、マイクロレンズアレイ基板200が完成する。
発明の実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置について、図に基づいて説明する。図12は、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置の構成を模式的に示す断面図である。図13は、本発明の実施の形態2に係るマイクロレンズアレイ基板および光源の構成を示す模式図であって、図13(a)は模式前面図、図13(b)は図13(a)のT−T切断線における模式断面図、図13(c)は図2(a)のU−U切断線における模式断面図である。
図14は、本発明の実施の形態2に係るマイクロレンズアレイ基板および光源の構成を示す模式図であって、図14(a)は模式背面図、図14(b)は図14(a)のV−V切断線における模式断面図、図14(c)は図14(a)のW−W切断線における模式断面図である。
本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置では、図1、図2および図3に示されるように、偏光板109a、109bは液晶表示パネル100の透明基板101、102の外面上にそれぞれ取り付けられているのに対し、本発明の実施の形態2に係る液晶表示装置では、図12、図13および図14に示されるように、偏光板109bがマイクロレンズアレイ基板200aの低屈折率層204とマイクロレンズアレイ202との間に設けられている点で相違する。このとき、マイクロレンズアレイ202と偏光板109bの間にはλ/4板112bが設けられている。また、液晶表示パネル100aの偏光板109aと透明基板101との間にも、λ/4板112aが設けられている。
このようにしたことにより、マイクロレンズアレイ202と液晶表示パネル100aの透明基板102の内面との距離を短くすることができ、マイクロレンズ202aの焦点距離を短くすることができる。この結果、液晶表示パネル100aの視野角を更に大きくすることができる。例えば、透明基板102の板厚を0.2mmとした場合、視野角を約±40°程度まで大きくすることができる。
本発明の実施の形態2に係るマイクロレンズアレイ基板200aの製造方法について、説明する。まず、マイクロレンズアレイ形成用基板201上に、低屈折率層204、偏光板109bおよびλ/4板212bを順次積層して形成した後に、レンズ形成層20をλ/4板上に形成する。それ以降は、図8で示された製造方法に準じて、マイクロレンズ202やリム203等を形成する。
以上の説明は、本発明の実施の形態を説明するものであり、本発明が以上の実施の形態に限定されるものではない。また、当業者であれば、以上の実施の形態の各要素を、本発明の範囲において、容易に変更、追加、変換することが可能である。
前記実施態様では、低屈折率層204をマイクロレンズアレイ形成用透明基板201およびマイクロレンズアレイ201の間に形成する説明をしたが、マイクロレンズアレイ形成用透明基板201そのものの屈折率をマイクロレンズアレイ202よりも大きくできれば、低屈折率層204を設ける必要はない。
また、上述の実施態様では、ネガ型フォトレジストを用いたが、感光部分が分解し、溶剤に対する溶解性が向上する、ポジ型フォトレジストを用いてもよい。
また、上述の実施態様では、マイクロレンズアレイおよびリムを同一材料により形成する説明をしたが、マイクロレンズアレイおよびリムを異なる材料により形成してもよい。
上述の実施態様では、マイクロレンズアレイおよびリムを同一のグレイスケールマスクを用いて形成する説明をしたが、別のグレイスケールマスクを用いて形成してもよい。なお、前記実施態様では、リムをマイクロレンズアレイ形成用透明基板上に形成する説明をしたが、リムを単体で作製してもよい。前記実施態様では、マイクロレンズアレイ基板200は、液晶表示パネルに用いる説明をしたが、これに限らず、他の用途にも用いられる。
上述の実施態様では、ライトガイドの両端部にLED301を配置したが、いずれか一方の端部に配置するようにしてもよい。