JP4115591B2 - 溶融スラグの品質管理方法および装置 - Google Patents

溶融スラグの品質管理方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、灰分または灰分を含む物質から生成される溶融スラグ、特に都市ごみ・汚泥・カーシュレッダーダストなど廃棄物由来の灰分の溶融スラグや、溶鉱炉スラグなどの品質管理方法および装置に関する。特に、溶融スラグの埋立てあるいは有効利用時における化学的安定性の管理に関する。
【0002】
【従来の技術】
我が国では、廃棄物の焼却灰を溶融スラグ化処理することにより、埋立て地の延命化を図ったり、他製品への有効再利用を進める動きが、現在活発になっている。溶融スラグは元の灰に比べ、はるかに減容化されて埋立て上有利になると共に、ダイオキシンなどの有害有機物をほとんど含有せず、また有害重金属が非常に安定に固定化され溶出し難くなるという長所を持つ。また、同様の理由により、溶鉱炉から排出される溶融スラグの建材・道路の路盤材などへの有効利用も進められている。
【0003】
溶融スラグ化の際の品質管理として、灰分を溶融する加熱温度と高温粘性については従来多くの研究がなされており、さらに溶流する温度をできるだけ低下させるためスラグの成分調整が試みられてきた。これは、所要エネルギーを削減し、また運転しやすくすると共に、溶融炉の内壁の熱的損傷をできるだけ抑えることが主たる目的である。たとえば、溶鉱炉においては一般に石灰石(CaCO3)が添加され、高温時のスラグ粘性を低下させて排出させやすくしていることは、周知の通りである。また、たとえば特開平7−155728号公報には、廃棄物の焼却灰の溶融スラグ化に際し、CaO、Al23、SiO2の3成分組成を調整し、なるべく低い温度(1400℃)において40ポアズ以下まで粘性を下げ、溶流性を高める手法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生成されるスラグの化学的安定性と組成との関係については、必ずしも十分な検討がなされていない。これまでは専ら、先の溶融炉の例や特開平7−155728号公報に示されるように、高温時のスラグ粘性を下げてより低温で溶流し易くさせるために、組成の調整がなされてきたと言える。この目的に対しては、CaOなどアルカリ土類金属化合物やアルカリ金属化合物などの添加により、スラグの珪酸ネットワークの3次元架橋結合を切断する手法が一般的によく用いられる。
【0005】
しかし一方で、この手法は、埋立てや有効利用の条件下におけるスラグ骨格の化学的安定性を低下させ易い。化学的安定性の低いスラグからは、有害重金属類も溶出し易くなる。したがって、むやみに溶流温度を低下させるために石灰石を多量に加えるなどのことは品質管理上からは好ましくない。しかしながら現在まで、溶融スラグの化学的安定性を管理する明確な基準は示されておらず、またその管理法も提案されていない。本願発明者は、溶融スラグの化学的安定性と組成との関係、および化学的安定性の制御方法について研究を進めた。
【0006】
本発明の目的は、溶融スラグの化学的安定性を高めて有害重金属類が該スラグから溶出しにくくできる溶融スラグの品質管理方法および装置を提供することにある。また、溶融スラグの組成を迅速に測定し、それからスラグの化学的安定性を評価、さらには制御する手法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
先ず本願発明の根拠として、溶融スラグの骨格となっているアルミノ珪酸ネットワークの化学的安定性、および含有される有害重金属の溶出性と、溶出環境の水素イオン濃度、並びにスラグの組成との関係について説明する。
スラグが最終処分される場合、埋立て地中の環境において有害重金属類の溶出性を最も左右する因子の一つに水素イオン濃度(酸性度)またはpH(pHは水素イオンのモル濃度の逆数の常用対数)がある。また、スラグの有効利用上も、使用される環境の水素イオン濃度における溶出性を把握する必要がある。本願発明者の研究の成果から、酸性度が変化する水中における溶融スラグからの含有元素の溶出性とスラグ組成との間には、以下のような関係がある事が判った。
【0008】
図3は、図2の廃棄物処理装置によって都市ごみを低温乾留および燃焼・溶融させて得られた水砕溶融スラグ試料を溶出水中で撹拌し、重金属溶出量を溶出水のpHに対してプロットした結果の一例である(図2の装置の運転については実施の形態の実施例2で説明する)。ここでは、特に鉛(Pb)の結果を示した。下向き矢印のついたデータのプロット点は検出下限界以下であることを示す。一般に、都市ごみ灰分から得られるスラグにおいては、有害重金属類の中でも鉛の溶出量が環境上、最も問題となるケースが多い。なお、溶出試験に際しては、試料全量を粒径300μm未満にあらかじめ粉砕し、純水を1リットル/100g−スラグとなるように加え、そのpHが所定の値に保たれるように所定濃度の硝酸または水酸化ナトリウム水溶液を添加しながら、6時間撹拌した。
【0009】
なお、日本では近年、スラグや焼却灰のような対象についての有害物溶出性の比較評価基準として、埋立て物の溶出性評価の試験法である昭和48年環境庁告示第13号(環告13号)の基準を参考にする場合が多い。これに規定された試験においては、溶出液として純水を用い、pHを制御することなく浸漬撹拌して溶出試験を行う。この試験において、試料/溶出水の量比(1リットル/100g−スラグ)、および溶出時間(6時間)は今回我々が採用した条件と同じであるが、試料の粒径を0.5〜5mmとするように定めている。一方、我々が採用した全量300μm未満という試料粒径は、環告13号の試験法に比べてより小さく、その結果比表面積が大きくなるため、より厳しい加速的溶出条件となっている。参考までに、図3には、環告13号に規定された鉛の溶出の上限基準(0.3mg−Pb/1リットル−溶出水をスラグ重量当たりに換算したもの)と、実際の環告13号による溶出試験結果とを、それぞれスラグ1g当たりのPb溶出量に換算し直して付記した。また、試験したスラグ中の鉛の含有量(この試料では2500mg−Pb/kg−スラグ)も付記してある。
【0010】
図3より、このスラグの例では、溶出液の水素イオン濃度がpH5〜pH12ないし13である範囲、即ち弱酸性〜アルカリ性の広い領域において、鉛の溶出量が環告13号の鉛溶出基準である0.3mg−Pb/1リットル−溶出水(スラグ重量当たりの溶出量に換算すると3mg−Pb/kg−スラグ)を全て下回り、極めて低い溶出レベルにとどまっていることが判る。一方、強酸性側のpH約4以下では、pHの低下と共に鉛の溶出量が急激に増加している。多数のスラグ試料について、含有される主要成分元素や重金属類(スラグ骨格ネットワークの構成元素:Si、Al、およびスラグ中の陽イオン性修飾元素:Ca、Mg、Na、K、Fe、Zn、Cu、Pb、Cdなど)の溶出量のpH依存性を調べたところ、pH2〜5の間のあるpHにおいて、このような溶出挙動の急変が、全元素とも非常に似た形で現れる場合が多いことが判った。即ち、このpH以下では全元素が一緒に溶出するようになり、言い換えれば、スラグの骨格自体が不安定化して崩れ始めることを意味する。一方、スラグ骨格が安定なpH5〜12ないし13の範囲では、図3に示した鉛の他に、Cd、Hg、Asその他、環告13号に規定されている全ての有害重金属類の溶出量がそれぞれの基準値を下回った。
【0011】
本願発明者の研究の結果、酸性域におけるスラグ骨格の不安定化は次のような機構で起こることが判明した。即ち、環境のpHが低下するに従い、最も溶出し易いNaやKなどのアルカリ金属、およびスラグ骨格のアルミノ珪酸ネットワークをイオン架橋していたCaやMgなどのアルカリ土類金属、さらにはネットワークの成分であったAlなどまでが、陽イオンとして急激に溶出することによって前記不安定化が起こる。
【0012】
ここで、今回我々が採用した全量300μm未満という溶融スラグ試料粒径、6時間の溶出時間、およびpH一定制御という条件下における溶出実験結果より、「不安定化上限pH」という指標を導入することにする。この「不安定化上限pH」は、以上の溶出試験条件の下で、環告13号に定められた全ての有害重金属元素の溶出基準量を下回る溶出結果を与える制御pHとする。図3に、参考までに鉛(Pb)に対する不安定化pHの位置を示した。前述のように、鉛(Pb)の溶出性が環境上、有害重金属類の内でも最も問題になる場合が多い。図3に例示したスラグにおいても、図3に示されたPbの不安定化上限pH(このスラグについては4.0)以上のpHに制御して溶出試験を行なった場合、鉛(Pb)を含む全ての有害重金属元素の溶出量が環告13号の溶出基準を下回り、環境上問題を生じなくなる。一方、この不安定化上限pH以下のpHにおいては、スラグの骨格が不安定化し始め、その結果、有害重金属類の溶出量が環告13号の基準を越えるようになる。
【0013】
こうした骨格の不安定化上限pHの値、および不安定化する程度は、これらアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量の合計値によってほぼ決定されることも判った。この含有モル量の合計値が大きい程高いpHで骨格不安定化が始まる。ここで含有モル量とは、スラグ単位重量当たりの含有陽イオン(ここではアルカリ金属およびアルカリ類金属)の合計モル数である。
【0014】
一方、不安定化上限pHよりも高いpH範囲(弱酸性〜アルカリ性)においては、スラグ中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有量そのものが、有害重金属類の溶出性に大きな影響を及ぼすことはほとんどない。このpH域では、適切な溶融方法によって十分に均質なガラス状のスラグを形成させる限り、環境上問題なく有害重金属類の溶出を抑えることが可能である。たとえばPbであれば、我々の行っている一般廃棄物の灰分の溶融スラグ化条件では、Pb含有量が約1%以下ならば、後述するスラグ組成によらずpH5以上pH12ないし13に至るまで、環告13号の溶出基準を常に満たし得ることが判っている。
【0015】
一方、一般廃棄物を埋立てる地中環境のpHは、普通6程度であると言われる。従って、溶融スラグを埋立てる場合、pHとして6程度で骨格が安定に保たれれば、有害重金属類の耐溶出性を含め、スラグの化学的安定性には特に問題が生じない。このため、通常の一般廃棄物から製造されるスラグについては、組成がいかなるものであるにせよ、全く問題なく埋立て処分することが可能である。以下に述べる本発明の適用は、以上の通常の埋立て環境以上に過酷な、より低いpH域(強酸性域)での保存および再生利用上の環境下での化学的安定性を確保したい場合を特に想定している。
【0016】
次に、上記根拠を前提として、前述の課題を解決するために、本願発明は以下のような手段を用いるものであることを説明する。
【0017】
(第1発明)
まず、灰分または灰分を含む物質を加熱溶融後に冷却固化して得られる溶融スラグ中の成分元素の内、アルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計が、前記溶融スラグ中に含まれる重金属の溶出を設定量以下に抑えるべく溶出環境のp H 値とスラグ骨格の安定性との関係に基づいて定めたスラグ単位重量当たり所定の量以下となるように、Siを含有する物質を前記灰分または灰分を含む物質に添加して前記溶融スラグの組成を調整することを特徴とする溶融スラグの品質管理方法を第1発明とする。
【0018】
上述の通り、スラグ骨格の不安定化上限pHの値、および不安定化する程度は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量の合計値によって、ほぼ決定される。骨格が安定なpH領域では、有害重金属の溶出性を含め、スラグの化学的安定性には特に問題が生じない。従って、第1発明によれば、溶融スラグ中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量が所定の量以下になるようにその組成を調整することによって、その所定の量に該当するpH付近以上でのスラグ骨格の不安定化を防ぎ、また不安定化の程度をより小さくし、かつ有害金属類の溶出量を所定の基準以下に抑えることができる。その結果、このpH以上での溶融スラグの化学的安定性および有害重金属類の耐溶出性を確保し、品質を管理できる。これより、このpH以上の環境において、かかるスラグを安全に埋立てまたは保管でき、あるいは有効利用できるようになる。なお、溶融スラグのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量が元々、想定していた所定の量以下であるならば、化学的安定性の面からは特に組成を調整する必要がないのは言うまでもない。
【0019】
なお、本発明の内容には、以下のような別の表現による同一内容も含まれることに注意されたい。
【0020】
まず、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量がスラグ単位重量当たり所定の量以下であるということは、そのモル量と等価なアルカリおよびアルカリ土類金属に属する各元素の重量(たとえばkg単位)それぞれをある量以下にすることと実質同じである、という点である。
【0021】
さらに、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量もしくはそれぞれの重量を所定の量以下にするということは、スラグ中の残りの成分(たとえばSiやAl、O(酸素)など)の合計量をある量以上にする、ということとも実質同一である。これらの表現による内容も、本発明の別表現として本発明に含まれる。
【0022】
(第2発明)
また、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計がスラグ1kg当たり6モル以下となるように、前記溶融スラグの組成を調整することを特徴とする溶融スラグの品質管理方法を第2発明とする。
【0023】
近年、含有成分の溶出に対する想定し得る最も過酷な仮想的埋立て環境のpHとして、pH4が想定されるようになりつつある(これは、酸性雨などによって土壌がそれ以上は酸性化され得ない仮想的限度と見なされている)。このような想定pH4の近傍においては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量の合計が6mol/kg−スラグ以上である時、スラグの不安定化上限pHが4以上となることが判った。これより合計含有モル量が下回れば、こうした仮想的な劣悪環境においてもスラグは化学的に安定であり、有害重金属類の溶出量も環告13号の溶出基準の相当量以下に抑えることができると見なせる。従って、第2発明では溶融スラグ中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有モル量合計が6mol/kg−スラグとなるようにその組成を調整することによって、pH4付近以上でのスラグ骨格の不安定化を防ぎ、その結果、極めて過酷な仮想的埋立て条件においても溶融スラグの化学的安定性と重金属類の耐溶出性を確保し、品質を管理できる。
【0024】
(第3発明)
さらに、Siを含有する物質を、前記灰分または灰分を含む物質に加えて加熱し共溶融スラグ化することによって、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有量を希釈し、組成を調整することを特徴とする溶融スラグの品質管理方法を第3発明とする。
【0025】
ここでSiを含有する物質とは、SiやSiO2、珪酸塩、その他のSi化合物を含有するものであって、たとえば珪砂などSiを含有する砂や岩石、焼却炉の焼却灰・飛灰、陶磁器・ガラス(カレット)・煉瓦などが挙げられる。また、これらの内の複数を用いる場合も有る。ただし、Siを含有する物質全体として該物質から生じるスラグ分の単位重量当たりのアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計が、元々の溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計より少なくなければ、生じる溶融スラグの化学的安定性を向上させる効果がない。さらに、該物質から生じるスラグ分の単位重量当たりのSi含有量が元々の溶融スラグ中のSi含有量よりも多いことが、スラグの化学的安定性向上のためには好ましい。
【0026】
第3発明では、溶融スラグ化の際に、珪砂などの砂や岩石、焼却炉の焼却灰・飛灰、陶磁器・ガラス(カレット)・煉瓦などのようにSiを含有する物質を加え、共溶融することによって、溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有量を希釈し、前述の強酸性域でのスラグ骨格の不安定化上限pHを下げ、また重金属類の耐溶出性を確保している。共溶融の際、スラグ骨格の不安定化上限pHをどの程度低下させるべきかを判断した上で、たとえば前述の第2発明において示された指標に従い、元の溶融スラグの組成および生成量と、加えるSiを含有する物質中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有量から、該物質の加えるべき量を算出する。この量は、次式(1)で算出される。
【0027】
【数1】
Figure 0004115591
【0028】
ここで、
A:加えるべきSiを含有する物質の量(単位時間当たり。以下、同じ)
B:元の溶融スラグの生成量
A:Siを含有する物質の溶融過程での揮発率((1−fA)はスラグになる比率)
ΣMOLA:Siを含有する物質中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計(単位重量当たり。以下、同じ)
ΣMOLB:元の溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計
ΣMOLpH:設定したい不安定化pHに対応する、組成を制御した後の共溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計である。
【0029】
尚、元の溶融スラグの原料である、灰分または灰分を含む物質の供給量WB'は、次式(2)で表される。ここで、
B:灰分または灰分を含む物質(元の溶融スラグの原料)の溶融過程での揮発率
である。
【0030】
【数2】
Figure 0004115591
【0031】
従って、灰分または灰分を含む物質の供給量に対する、Siを含有する物質の供給量の比率WA/WB’を次式(3)に設定して供給すれば、加熱・共溶融によって生成されるスラグの化学的安定性および重金属類の耐溶出性を、想定していた不安定化上限pH以上のpH範囲において確保することができる。なお、その際、前記Siを含有する物質、および前記灰分または灰分を含む物質の、含有するアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計値、および溶融過程での揮発率は、既知でなければならない。
【0032】
【数3】
Figure 0004115591
【0033】
また、スラグの構造の内、AlとOが形成するアルミン酸架橋結合や、Ca、Mgなどのアルカリ土類金属の陽イオンが珪酸やアルミン酸(またはアルミノ珪酸)との間で形成するイオン性架橋結合は、強酸性域では弱く切れ易い(このため、前述の骨格不安定化を導く)。一方、溶融スラグの骨格の基本はSiとO(酸素)とが形成する3次元架橋珪酸ネットワークであり、そのSiとOの間の共有結合は強酸性域でも切れない。従って、第3発明では、溶融スラグ化の際に、Siを含有する物質、好ましくは元々の溶融スラグよりもスラグ化する成分中にSiを多く含む物質を加えて、Si含有量を増加させることにより、酸性域においてより強固なスラグ骨格を形成させ、また化学的安定性および重金属類の耐溶出性を向上させている。
【0034】
ただし、前述の物質を加え過ぎて、生じる共溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量が極端に少なくなったり、Siの含有量が多くなり過ぎると、高温時のスラグの粘性が上がって溶流温度が高くなり、溶融操作や溶融炉の維持管理が困難になる場合があるので注意を要する。
【0035】
(第4発明)
さらにまた、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量を定量し、定量された前記含有モル量の合計から前記灰分または灰分を含む物質に加えるべき前記Siを含有する物質の量を算出し、その量に基づいて前記Siを含有する物質を加え、加熱して共溶融スラグ化し、さらにこれらの一連の操作を繰返して前記溶融スラグの組成を逐次調整することを特徴とする溶融スラグの品質管理方法を第4発明とする。
【0036】
第4発明では、まず前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量を所定の分析方法によって定量する。この定量は、なるべく短時間に行うことが好ましい。次に、定量された前記含有モル量の合計から、前記溶融スラグの原料である前記灰分または灰分を含む物質に加えるべき前記Siを含有する物質の量を、前記(1)または(3)式により算出して定める。
【0037】
算出された量に基づき、前記灰分または灰分を含む物質と共に前記Siを含有する物質を供給し、加熱・共溶融スラグ化する。さらに、その結果生成する共溶融スラグに対し、以上の一連の操作を逐次繰返す。第4発明によって、溶融スラグの製造期間中、溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計を所定の値以下に保持し、その結果、想定した骨格不安定化上限pH以上のpH域における溶融スラグの化学的安定性、および重金属類の耐溶出性を確保し続ける。
【0038】
(第5発明)
そして、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量を、蛍光X線分析法によって定量することを特徴とする溶融スラグの品質管理方法を第5発明とする。
【0039】
ここで蛍光X線分析法とは、試料に所定エネルギーの励起X線を照射してその試料を構成する各元素の原子の内殻電子を励起放出させ、それが基底常態に戻る際に2次的に発生する各元素の固有X線を分光して、その固有X線のエネルギーまたは波長と強度から元素組成の定性および定量分析を行う手法である。蛍光X線分析法は、固体・液体を問わず、非破壊・非接触で、多くの主要成分元素の組成を一度に迅速かつ容易に求められる手法としてよく知られており、その装置も市販されている。なお、蛍光X線分析装置には波長分散型とエネルギー分散型とがあるが、原子量の小さいNaおよびMgをより高精度に定量できる前者を採用するのが好ましいが、要はNaおよびMgを十分な精度で定量できるなら、どちらを用いても良い。
【0040】
第5発明では、第4発明におけるアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量を、蛍光X線分析法によって、以下のように定量する。
定量に当たり、まず生成した溶融スラグを採取する。採取量はスラグ自体の均質性により増減し、平均的組成のスラグ試料を確実に採取する。採取の際は、スラグを十分に混合するか、いわゆる四分法などを採用するのが、平均化のために好ましい。このスラグ試料を1mm以下、好ましくは100μm以下の粒径に粉砕する。通例、この内10g程度をプレスして錠剤に整形するか、またはX線照射面をマイラー薄膜で形成した小容器中に入れて試料とするが、要は、適切な充填状態のスラグ粉末に対して再現性良く励起X線を照射し、固有X線を検出できればよい。普通、分析時には試料環境を真空にする。
【0041】
定量対象元素は、基本的にO(酸素)を除く全ての主要成分元素とする。溶融スラグ自体の成分にもよるが、一般廃棄物の灰分の溶融スラグや高炉スラグについては一般に、Si、Al、Ca、Mg、Na、K、Fe、P、S、Ti、Zn、Cuなどが対象に入っていれば良い。もし、それ以外に主成分元素が有れば、それも対象に加える。さらに必要なら、蛍光X線分析装置の定量下限界以上含有される限り、スラグ中のPb、Cd、Asなどの重金属の含有量も定量して、その変化を監視することができる。
【0042】
蛍光X線分析では、一般に定量対象元素だけの相対重量の合計を100%として定量結果を表示するため、残りの成分元素の含有量によって定量結果を換算する必要が有る。前述のスラグの主成分元素は、式量的にはすべて酸化物であると考えてほぼ良く、残りの成分元素はほとんど全てO(酸素)である。従って、蛍光X線分析法によって得られた各元素の定量結果に対し、いわゆる元素の標準酸化物換算を行って各元素に対するOの相対量を求めた後、スラグ全体に対する各成分元素の含有量を算出する。さらに、成分元素の内のアルカリ土類金属(Ca、Mgなど)とアルカリ金属(Na、Kなど)の含有量をモル濃度に換算する。
【0043】
なお、蛍光X線分析の定量データは、原子吸光分析法やICP(高周波誘導プラズマ)発光分光法などのより高精度な定量分析法による定量データに基づき、適切な方法によりあらかじめ校正しておくことが好ましい。また、一連の定量分析および含有当量の算出は、あらかじめコンピュータなどでプログラミングし、自動化されていると非常に便利である。
【0044】
蛍光X線分析法の採用により、アルカリ土類金属とアルカリ金属元素、および有害重金属元素を含む多数の元素が短時間(約20分程度)で一度に定量分析でき、また複雑な前処理も必要としないため、本発明のスラグの品質管理において大きな効果を奏する。
【0045】
(第6発明)
最後に、灰分または灰分を含む物質を加熱して溶融スラグ化する溶融炉と、該溶融炉から排出される溶融スラグ中の含有元素の含有量を定量する分析計と、前記溶融スラグの組成調整用のSiを含有する物質を前記溶融炉に供給する供給装置と、前記分析計が示す定量結果に基づいて、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属と前記アルカリ金属の含有モル量の合計が、前記溶融スラグ中に含まれる重金属の溶出を設定量以下に抑えるべく溶出環境のp H 値とスラグ骨格の安定性との関係に基づいて定めたスラグ単位重量当たり所定の量以下となるように、前記供給装置における前記組成調整用のSiを含有する物質の供給量を逐次制御する制御装置とを備えたことを特徴とする溶融スラグの品質管理装置を第6発明とする。
【0046】
この第6発明は、これまでに述べた発明に記載された溶融スラグの品質管理方法を具現化する装置である。
まず溶融炉に供給された灰分または灰分を含む物質より、溶融炉で生じた溶融スラグ中の成分元素が分析計において定量され、これよりアルカリ金属とアルカリ土類金属の含有モル量が算出される。分析計の出力したこの含有モル量の出力信号を受けた制御装置は、それに基づき、該含有モル量の合計が所定の値以下となるように、供給装置における組成調整用の物質を溶融炉に供給する量を逐次変化させる。その結果、前記含有モル量の合計が前記所定の値以下に常に保持されるため、その値に該当するpH付近以上のpH域における前記溶融スラグの骨格の不安定化が防止され、また不安定化の程度がより小さくなる。それにより、このpH以上での前記溶融スラグの化学的安定性、および重金属類の耐溶出性が確保され、品質が管理される。
【0047】
ここで、溶融スラグの前記組成調整用の物質としては、第3発明において例示したSiを含有する物質が用いられる。前記分析計としては、第4発明において例示した蛍光X線分析法を実施する蛍光X線分析計を用いるのが有利である。
【0048】
さらに、前記含有モル量の合計が6mol/kg−スラグ以下になるように前記制御装置を設定すれば、最も過酷な仮想的埋立て地中の環境であるpH4程度以上のpH域において、前記溶融スラグの骨格の不安定化が防止され、同時に環告13号の溶出量基準をも満たすように重金属類の耐溶出性を確保できる。
【0049】
【発明の実施の形態】
【0050】
【実施例1】
図1に本発明の実施の形態に係る装置の一例を示す。
まず供給路1を通って溶融炉2に供給された灰分または灰分を含む物質aが、溶融炉2で加熱・溶融され、生じた溶融スラグbが排出路3を通り排出・冷却される。排出・冷却された溶融スラグbの一部は移送路4を通って粉砕機5に入り、そこで粉砕された後、分析計6に至る。粉砕された溶融スラグbの所定量は分析計6に設置されて、その成分元素が分析計6において定量され、これよりアルカリ金属とアルカリ土類金属の含有モル量が算出される。分析計6の出力したこの含有モル量の出力信号cを受けた制御装置7は、該含有モル量の合計が所定の値以下となるように、制御する制御信号eを供給装置8に送る。供給装置8はこの制御信号に従って、溶融スラグbの組成調整用の物質dを溶融炉2に供給する量を逐次変化させる。
【0051】
その結果、前記含有モル量の合計は前記所定の値以下に保持されるため、その値に該当する不安定化上限pH付近以上のpH域における溶融スラグbの骨格の不安定化が防止され、また不安定化の程度がより小さくなる。それにより、このpH以上での溶融スラグbの化学的安定性、および重金属の耐溶出性が確保され、品質が管理される。なお、分析計6は、ここでは波長分散型の蛍光X線分析計を用いている。
【0052】
【実施例2】
図2は本発明の実施の形態に係る装置の別の一例を示し、廃棄物処理装置に上記溶融スラグの品質管理装置を設けたものである。
この廃棄物処理装置において、都市ごみなどの廃棄物50aは、たとえば二軸剪断式などの破砕機で、150mm角以下の大きさにに破砕され、コンベアなどにより投入部50内に投入される。投入部50に投入された廃棄物50aはスクリューフィーダ51を経て熱分解反応器52内に供給される。熱分解反応器52としてはこの例では横型回転式ドラムが用いられ、ドラム内の加熱分解室は図示しないシール機構により、その内部は低酸素雰囲気に保持されている。
【0053】
廃棄物50aは熱分解反応器52内で熱分解されるが、その熱源は、後述する燃焼溶融炉53の後流側に配置された熱交換器である高温空気加熱器10により加熱され加熱空気ラインである熱媒体循環ラインL1を介して供給される加熱空気8g(熱媒体)である。この加熱空気8gにより熱分解反応器52内は300〜600℃に、通常は450℃程度に維持される。
【0054】
更に、加熱空気8gにより加熱された廃棄物50aは、熱分解して熱分解ガスG1と、主として不揮発性成分からなる熱分解残留物54とになり、排出装置55に送られて分離される。排出装置55で分離された熱分解ガスG1は、排出装置55の上部から熱分解ガスラインL2を経て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給される。排出装置55から排出された熱分解残留物54は、450℃程度の比較的高温であるため、後述する構造の冷却装置57により不活性雰囲気下で80℃程度に冷却される。
【0055】
その後、冷却された熱分解残留物54は、たとえば磁選式、うず電流式、遠心式または風力選別式などの公知の単独または組み合わされた分離装置58に供給され、ここで細粒の燃焼性成分(可燃性固形成分)58d(灰分を含む)と粗粒の鉄、非鉄、瓦礫などの不燃焼性成分58cとに分離され、不燃焼性成分58cはコンテナ59に回収され再利用される。燃焼性成分58dが本発明における灰分または灰分を含む物質に相当する。
【0056】
更に、燃焼性成分58dは、主として熱分解カーボンから成るが、粉砕機60により、たとえば1mm以下に微粉砕されて粉体カーボンとなり、燃焼性成分ラインL3を経て燃焼溶融炉53のバーナ56に供給され、熱分解ガスラインL2から供給された熱分解ガスG1と送風機61により空気ラインL4から供給された燃焼用空気61eと共に1,300℃程度の高温域で燃焼される。この燃焼溶融炉53が本発明における溶融炉に相当する。
【0057】
上記燃焼で発生した灰分はその燃焼熱により溶融スラグ53fとなって、この燃焼溶融炉53の内壁に付着し、更に、内壁を流下し底部排出口62から水槽63に落下し冷却固化される。燃焼溶融炉53は、カーボンなどの燃焼性成分58dを1300℃程度の高温で燃焼させ、灰分を含む不燃焼分を溶融させて溶融スラグ53fと高温の燃焼排ガスG2とを生成する。燃焼排ガスG2は、秒速2〜3m、温度1000〜1100℃のガス流となって、炉内下流側に設けた高温空気加熱器1の伝熱管体により熱回収される。
【0058】
前記高温空気加熱器10の部分を通過した燃焼排ガスG2は、煙道ガスラインL5を介して廃熱ボイラ64で熱回収され、集塵器65で除塵され、更に排ガス浄化装置66で塩素などの有害成分が除去された後、低温のクリーンな排ガスG3となって誘引送風機67を介して煙突68から大気へ放出される。廃熱ボイラ64で生成した蒸気は、蒸気タービンを有する発電機69で発電に利用される。
【0059】
冷却固化された溶融スラグ53fの一部は移送路4を通って粉砕機5に入り、そこで粉砕された後、分析計6に至る。粉砕された溶融スラグ53fの所定量は分析計6に設置されて、その成分元素が分析計6において定量され、これよりアルカリ金属とアルカリ土類金属の含有モル量が算出される。分析計6の出力したこの含有モル量の出力信号を受けた制御装置7は、該含有モル量の合計が所定の値以下となるように、制御する制御信号を供給装置8に送る。供給装置8はこの制御信号に従って、溶融スラグ53fの組成調整用の物質dの供給量を逐次変化させる。
【0060】
ここで、本発明における溶融スラグ53の組成調整用の物質dの供給の仕方として以下の3通りが挙げられる。
▲1▼熱分解反応器52の投入部50より廃棄物50aと共に熱分解反応器52に供給され、熱分解残渣を経由して灰分を含む細粒の燃焼性成分58d(熱分解カーボン)に混合されて燃焼溶融炉53に供給する。図の8aがこの場合の組成調整用の物質dの供給装置である。
▲2▼燃焼溶融炉53に独立した供給装置8bを設け、そこから供給する。
▲3▼前述の廃熱ボイラ64および集塵器65で排ガス中から除去されたダスト(循環飛灰)の返送供給ラインL7に供給装置8cを設けて、循環飛灰と共に燃焼溶融炉53に供給する。
ただし図2においては、説明の便宜上3つの供給装置8a、8b、8cが全て記載されているが、この実施例では実際には供給装置8aだけが設けられている。 そして排出・水砕された溶融スラグ53fの一部が粉砕機5で300μm以下に粉砕され、蛍光X線分析装置6にセットされた後、真空乾燥を受ける。そのまま真空状態で励起X線を照射され、蛍光X線分析がなされる。定量結果が制御装置7に出力されると共に、分析後のスラグ試料が蛍光X線分析装置6から排出される。制御装置7はその定量結果を受けて、組成調整用の物質dの供給量を変動させる制御信号を供給装置8aに送る。以上の一連の移送・粉砕・分析・制御は、前記制御装置7によって自動運転され、6時間に1回程度実施されるようになっている。
【0061】
この装置において、都市ごみだけを熱分解反応器52に約1t/hrの供給量で投入し、生成された溶融スラグ53fの組成を蛍光X線分析装置6により分析したところ、アルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計は7.2mol/kg−スラグ、またスラグの生成量は41kg/hであった(この時の処理ごみのごみ質は、図3のPb溶出量を求めたスラグを製造した時のごみ質とは異なる)。
【0062】
ここでは、この溶融スラグの骨格安定性をpH4以上において確保するために、アルカリ土類金属とアルカリ金属の含有当量の合計が6mol/kg‐スラグとなるように、制御装置7を設定した。制御装置7によって制御された供給装置8aにより、前記した(1)式に従い、都市ごみ約1t/hrと共に熱分解反応器52に珪砂(SiO2、ΣMOLA=O、fA=O)が約8.2kg/hの供給量で投入された。約1時間後、新たに生じた溶融スラグ53fの蛍光X線分析装置6による組成指示値では、アルカリ土類金属とアルカリ金属の含有当量の合計が5.9mol/kg‐スラグとなっており、ほぼ設定した通りの値に自動制御されていた。
【0063】
なお、この制御前の元のスラグについて、前記した方法で含有各元素の溶出量のpH依存性を調べたところ、不安定化上限pHは約4.4であった。一方、制御により珪砂を加えて生じた共溶融スラグでは、不安定化上限pHが約4.0となり、pH4〜12における重金属Pb、Cd、Asの溶出量は、環告13号の基準数値を全て下回った。
【0064】
尚、以上においては、本発明を図示の実施形態について詳述したが、本発明はそれらの実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱せずして種々改変を加え、多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【0065】
【発明の効果】
本発明に係る溶融スラグの品質管理方法または装置によれば、溶融スラグの化学的安定性を高めて有害重金属が該スラグから溶出しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての装置の一例の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態としての別の装置の一例の概略構成図である。
【図3】図2の装置で製造された水砕溶融スラグに対するPb溶出量のpH依存性結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 供給路
2 溶融炉
5 粉砕機
6 分析計
7 制御装置
8 供給装置

Claims (6)

  1. 灰分または灰分を含む物質を加熱溶融後に冷却固化して得られる溶融スラグ中の成分元素の内、アルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計が、前記溶融スラグ中に含まれる重金属の溶出を設定量以下に抑えるべく溶出環境のp H 値とスラグ骨格の安定性との関係に基づいて定めたスラグ単位重量当たり所定の量以下となるように、Siを含有する物質を前記灰分または灰分を含む物質に添加して前記溶融スラグの組成を調整することを特徴とする溶融スラグの品質管理方法。
  2. 前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量の合計がスラグ1kg当たり6モル以下となるように、前記溶融スラグの組成を調整することを特徴とする請求項1に記載の溶融スラグの品質管理方法。
  3. 前記Siを含有する物質として砂、岩石、陶磁器、ガラス、煉瓦の少なくとも1種を、前記灰分または灰分を含む物質に加えて加熱し共溶融スラグ化することによって、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有量を希釈し、組成を調整することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融スラグの品質管理方法。
  4. 前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量を定量し、定量された前記含有モル量の合計から前記灰分または灰分を含む物質に加えるべき前記Siを含有する物質の量を定め、その量に基づいて前記Siを含有する物質を加え、加熱して共溶融スラグ化し、さらにこれらの一連の操作を繰返して前記溶融スラグの組成を逐次調整することを特徴とする請求項3に記載の溶融スラグの品質管理方法。
  5. 前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属とアルカリ金属の含有モル量を、蛍光X線分析法によって定量することを特徴とする請求項4に記載の溶融スラグの品質管理方法。
  6. 灰分または灰分を含む物質を加熱して溶融スラグ化する溶融炉と、該溶融炉から排出される溶融スラグ中の含有元素の含有量を定量する分析計と、前記溶融スラグの組成調整用のSiを含有する物質を前記溶融炉に供給する供給装置と、前記分析計が示す定量結果に基づいて、前記溶融スラグ中のアルカリ土類金属と前記アルカリ金属の含有モル量の合計が、前記溶融スラグ中に含まれる重金属の溶出を設定量以下に抑えるべく溶出環境のp H 値とスラグ骨格の安定性との関係に基づいて定めたスラグ単位重量当たり所定の量以下となるように、前記供給装置における前記組成調整用のSiを含有する物質の供給量を逐次制御する制御装置とを備えたことを特徴とする溶融スラグの品質管理装置。
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