JP4108051B2 - 電気コネクタ用プリント回路ボード - Google Patents

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関連出願
本出願は、1997年2月7日に出願された、高速高密度電気コネクタという名称の米国特許出願08/797537号の部分継続出願によるものである。
発明の背景
本発明は、電気コネクタに関し、より詳細には、マザーボートとドータボードあるいは他の電気部品との間に異なる信号の信号経路を与えるモジュラー型電気コネクタのプリント回路ボードに関する。
電気システムの異なる部分を連結するために特殊な電気コネクタが用いられる。典型的には、このような電気コネクタは一連のドータボードとマザーボードとの間で多数の電気信号を結合する。マザーボードとドータボードとは直角をなして連結されている。電気コネクタは典型的にはモジュラー型である。例えば、平坦な平面状金属リードフレームはいくつかの信号経路を含み、その各々が金属リードフレームの平面内でほぼ直角に屈曲している。信号経路は接地経路を与え信号の間の分離を行う平面状の接地プレートを含む絶縁性ハウジングに組み込まれている。このモジュールはさらに他の同様なモジュールと組み合せられて電気システムにおける部分間に多数の信号を結合させられるコネクタを形成する。
典型的には、コネクタはマザーボードあるいはバックプレイン等のプリント回路ボードに取付けられる。プリント回路ボードの導体経路は信号がコネクタ間に流れて電気システムを通過するようにコネクタの信号ピンに連結される。コネクタはまたプリント回路ボードを相互に連結し、またプリント回路ボードにケーブルを接続するための他の形態で用いられる。
電気システムは機能的により複雑になってきている。同じ空間内における回路の数を増大させることによって、高い振動数で動作する。システムはより多くのデータを取り扱いこの電気信号を電気的に伝送することができる電気コネクタを必要とする。信号の振動数がより高くなると、コネクタにより反射、クロストーク及び電磁放射のような形での電気的ノイズ発生の可能性がより高くなる。それゆえ、電気コネクタは異なる信号経路間のクロストークを制御し各信号経路のインピーダンス特性を制御するように設計される。典型的なモジュールにおける信号反射を減少させるために、信号経路のインピーダンス特性は一般的に、この経路の信号導体と対応する接地導体との間の間隔と、信号導体の断面の寸法及び信号導体と接地導体との間に配置された絶縁材料の有効誘電率とによって決定される。
種々の信号経路が相互により間隔をおいて一般的には接地プレートであるシールドプレートにより接近して配置することによって異なる信号経路の間のクロストークが制御される。かくして異なる信号経路は接地導体経路との電磁結合がより強く、相互の電磁結合がより弱くなる傾向にある。与えられたクロストークのレベルにおいて、接地導体への十分な電磁結合が維持される時に、信号経路が相互により接近して配置できる。
シールドの初期の使用例が1974年2月15日の富士通株式会社による日本国特開昭49−6543号に開示されている。米国特許第4632476号及び第4806107号(いずれもエイティーティー・ベル・ラボラトリーズに権利譲渡されている)は列状の信号コンタクトの間にシールドが用いられたコネクタの形態を開示している。これらの特許はシールドがドータボードとバックプレインとの両方をを通じて信号コンタクトに平行になっているコネクタを開示している。米国特許第5429520号、第5429521号、第5433617号及び第5433618号(いずれもフラマトム・コネクタズ・インターナショナルに権利譲渡されている)は同様な形態について開示している。
他のモジュラー型コネクタシステムが米国特許第5066236号、第5496183号(いずれもエイエムピー・インコーポレーテッドに権利譲渡されている)に開示されており、これらの特許には接地プレートに平行な1枚の平板に配置された1列の信号コンタクト及び信号経路を有する電気モジュールについて説明されている。これに対し、ここでの参照に付す米国特許第5795191号はそれぞれ異なる接地プレートに連結された2枚の平行な平板に配置された電気信号経路を有する電気モジュールを開示している。
前述の電気コネクタは主として単一端信号に対して設計されたものと考えられる。単一端信号は共通の接地された基準の導体の組に対する電圧が信号となるようにして1本の信号伝導経路上で伝送される。このために、単一端信号経路は共通の基準導体にある共通モードのノイズを非常に受け易い。本発明者はこのことが単一端信号を増加した数のより周波数が高い信号信号経路を有するシステムに用いるのに大きな制限を加えるものと考えた。
さらに、従来の高周波数高密度のコネクタは取付けられたプリント配線ボード(PWB)における複数のパターン及び大きさの孔を必要とすることが多く、それによりPWBのコネクタのフットプリント部分に通されるプリント回路の信号の幅及び数が制限される。
本発明者は、主としてプリント回路バックプレインの場合に、コネクタのフットプリントにおける特定のパターン、列あるいは行をなす孔の間に各信号層上で多数のトレースを種々の方向に通すことができるのが非常に望ましいと考えた。また、より高い周波数のバックプレインに用いる際に、特に経路の長さ長いが場合に、導線損失を減少させるためにより幅の広いトレースをルーティングする可能性が適用されると考えた。
また、差分信号のコネクタを設計することによってより良好にクロストークの制御がなされることがわかった。差分信号は「差分経路」という1対の差分対経路によって表される信号である。導線経路の間の電圧差が信号となる。
差分対は電話の配線やある種の高速プリント回路ボードのような用途において知られている。一般的に、差分の2本の導線経路は相互に接近して通るように配置されている。他の何らか電気的のノイズが差分対経路に電磁的に結合すると、その差分対の各導線経路に及ぼす作用は同様である。差分対の信号は2本の導線経路における電圧差として処理されるので、差分における両方の導線経路に結合する共通のノイズ電圧はその信号に影響を与えない。これにより差分対が単一目的信号経路と比較してよりクロストークノイズを受け易くなる。本発明者は差分対を伝送するのに好適な電気コネクタを発明した。
さらに、差分対の2本の導線経路に関しては対称的でバランスのとれた電気的特性を有するようにするのがよい。電流コネクタは異なる長さの信号経路を有するので(図2及び3に示されるように)、各経路の電気的遅延が等しくなく、これによりスキューが生じて差分信号特性が低下する。バランスのとれた経路を有する差分信号コネクタとするのが非常に望ましい。
さらに、既存のモジュラー型コネクタ部品と互換性のある差分信号コネクタモジュールとす
るのが望ましいであろう。また、多数の幅の広いトレースを支持する回路ボードの孔のパターンを備え伝送性が改善されたコネクタとするのが望ましいであろう。
発明の概略
本発明の1つの面は、電気部品の間の複数の差分信号を伝送するための電気コネクタモジュールである。このモジュールは第1の信号経路及び第2の信号経路を有する複数対の信号導線を有する。各々の信号経路はその各端部におけるコンタクト部分と、コンタクト部分の間に延びる中間部分とを有する。各対の信号経路に関して、中間部分の間の第1の間隔はその対の信号導線と他の対の信号導線との間の第2の間隔より小さい。
本発明の他の面は、末端が縁部に沿った対向する側部を有する、電気部品の間に差分信号を伝送するための電気コネクタモジュールである。このモジュールは差分信号に結合するように最適化された1対の信号導線を含む。信号導線はモジュール内に配置されている。各々の導線はモジュールの縁部に沿って横方向に間隔をおいたコンタクト部分を有している。対をなす導線の表面部分はモジュールの側部を通りぬける方向に実質的に重なるようにしてコンタクト部分からモジュールを通りぬける。
本発明の各実施例は1つまたはそれより多くの以下の利点を有する。各々の差分信号経路のインピーダンスはマッチングがとられている。対をなす差分信号導線の各々の信号経路は電気的長さが等しい。対をなす差分信号経路は互いにより近接した間隔にされる。各対の差分信号導線の他の対の差分信号導線からの間隔によりコネクタ内のクロストークが減少する。対をなす差分信号導線が接地プレートに結合して他の対の差分信号導線がクロストークを生ずることなく信号経路により近接して配置されるようになる。各対の差分信号導線の間にシールドプレートの一部が延びるようにできる。各対の差分信号導線内のノイズが減少する。信号トレースのルーティングが効果的になる。接地コンタクト部分が信号導線のコンタクト部分の間に延びて信号トレースがルーティング経路を通る直接的経路として延びるようにできる。ルーティング経路は幅が広く直線状にすることができる。
好ましい実施例の説明
図1を参照すると、電気システム10はバックプレイン14をドータボード16に接続するモジュラー型コネクタ12を含む。コネクタ12は差分信号または非差分信号のいずれか、あるいは両方の型の信号である1組の信号を接続できる複数のコネクタモジュールを含む。
例えば、以下のように組立てられれば、電気コネクタモジュール18はマザーボード14及びドータボード16のようなシステム10の間の1対の差分電気信号を伝送できる。各々のコネクタモジュール18は平行に配置された対向する側部20、22を有する。側部20、22はそれぞれ末端がコネクタモジュール18の縁部24に沿っている。(図示のように、縁部24は平面状部分28である。しかしながら他の形状も可能である。)1組の連結ピン28が縁部24から出ている。モジュール18間にシールド(図示せず)を配置してもよい。
好ましい実施例において、各々のモジュール18の開口19は等間隔になっていることがわかるであろう。同様に、コンタクト端縁28が等間隔になっている。
図2を参照すると、金属リードフレーム50はコネクタモジュール18において用いられる8本の非差分信号経路52a−52hを形成している。金属リードフレーム50は電気コネクタモジュール18の組立ての前及び組立て時に信号経路52a−52hを支持するキャリアストリップ56を含むように薄い平板状のからスタンピングにより形成される。信号経路52a−52hが電気コネクタモジュール18に完全に取り付けられた時に、
支持部分56が信号経路52a−52hから外されて、各々の信号経路52a−52hが他の経路52a−52hから外される。1997年2月7日に出願された「高速度高密度電気コネクタ」という名称の米国特許出願08/797540号は金属リードフレーム50を備えた電気コネクタを開示している。テラディン・インコーポレーテッドに権利譲渡されている米国特許出願08/797540号をここでの参照に付す。
図3を参照すると、モジュール18に用いられる同様な金属リードフレーム100が8本の信号経路102a−102hを形成している。しかしながら、経路102a−102hは4個の差分信号導線の対104a−104dに分けられる。金属リードフレーム100は電気コネクタモジュール18の組立て前及び組立て時に信号経路102a−102hを支持する薄い金属の平板状部材でスタンピングされる。信号経路102a−102hが電気コネクタモジュール18に完全に取付けられた時に、支持部分106が信号経路102a−102hから外され、各々の信号経路102a−102hが電気コネクタモジュール18内の他の信号経路102a−102hから外される。
各々の信号経路102a−102hは1対のコンタクトピン112、114とコンタクト部分の間の中間部分116とを含む。コンタクト部分112、114はモジュール18をシステム10の電気部品に接続する接続ピンである。コンタクト部分112は2つの平行な部材として示されている。これらの部材は従来のように折り重ねられてボックスコンタクトを形成するようにできる。ボックスコンタクトはバックプレインからのピン21のリセプタクルとして作用する。しかしながら、多くの形状の分離可能なコンタクト領域が知られているが、本発明には重要でない。
本発明において、信号経路102a−102hのコンタクト部分112金属リードフレーム100の縁部118に沿って横方向に等しい間隔をおいている。好ましい実施例において、間隔は0.76mm(0.030インチ)である。典型的には、システム10の一部として取付けられた時に、横方向の間隔が垂直方向になる。コンタクト部分112,114は両方ともモジュール18のハウジング32から出ている。モジュール18の外部構造は特に差分信号を伝送するように設計されてはいない他のモジュールと同じである。それゆえ、モジュール18は他のモジュールと交換可能であり、コネクタ12はコネクタ18が差分信号及び非差分信号の両方を伝送できるようにする異なる型のモジュールとして形成することができる。
各々の信号経路102a−102hの中間部分116は一平面120内に、典型的には垂直平面内に配置される。それゆえ、導線の対104a−104dにおける各々の中間部分116の表面部分が実質的に垂直平面内で重なる。
各々の信号経路102a−102hは差分信号導線の対104a−104dにおける第2の信号経路102a−102hに連結されている。例えば、信号経路102a、102bが差分信号導線の対104aを形成し、信号経路102c、102dが差分信号導線の対104bを形成し、信号経路102e、102fが差分信号導線の対104cを形成し、信号経路102g、102hが差分信号導線の対104dを形成する。各対の差分信号導線104a−104dの各々の信号経路102a−102hは差分信号導線の対104a−104dの対応する信号経路102a−102hに連結されている。この連結は、差分信号導線の対104a−104dの間隔108が隣接する差分信号導線の対104a−104dの間隔110に比較して小さいためになされる。信号導線の対104a−104dの中間部分116は差分インピーダンスを維持しながらできるだけ近接するように配置されている。各対104a−104dの1つの中間部分116は他の対104a−104dの中間部分116に向かって屈曲した曲線状部分122、124を有する。曲線状部分122、124の間で、導線の対104a−104dは中間部分116の大部分と一体的な経路となる。
曲線状部分122、124は各対104a−104dの中間部分116の間隔108を減少させ、隣接する対104a−104dの間隔110を増大させ、また対104a−104dの各々の中間部分116の長さを等しくする傾向にある。この形状により差分信号の信号としての一体性が改善され、差分の対104a−104dの間のクロストークが減少し、信号のスキューが低下する。
本発明の範囲で他の実施例がある。例えば、図4を参照すると、金属リードフレーム100は8本でなく6本の信号経路202a−202fを含む。信号経路は3個の対204a−204cをなして配置されている。実質的には、金属リードフレーム200は2本の信号経路102c、102fに相当するものが取り除かれていることのほかは、金属リードフレーム100と同等である。他のトレースは前述のように対をなして配置され、1つの対の信号経路の中間部分の間隔がコンタクト部分の間隔より小さくなるようにしなければならない。信号経路102c、102fによって形成される2つの空間208、210はコンタクト部分214の間にある。
また図5を参照すると、接地プレート220は本体部230、弾性接続タブ224、コンタクト部分226、228を含む。接地プレート220は特に図4の実施例に関連して接地プレート23(図1)の代わりに用いられるものである。
コネクタ12が完全に組立てられコネクタ13に取付けられた時に、接地プレート222が信号経路202a−202fに平行になる。コンタクト部分226、288は信号経路202a−202fのコンタクト部分に揃えられる。コンタクト部分226、228はそれぞれ本体部230に対応して直角をなしており、対応する空間208、210内のコンタクト部分212の間に延びる。
図5Aはシールド部材220を含むバックプレインモジュール13′を示している。信号ピン521の列がある。各々の列は取付けられるコンタクト212に対応して6本の信号ピン521を含む。バックプレインコネクタ13′には空間208及び210(図4)に対応した信号ピンはない。その代わりに空間208及び210に対応するコンタクト部分226及び228がその空間に挿入されている。その結果、各列に信号ピン521に対応する6本のコンタクト端縁と2本の補助的コンタクト端縁226及び228との8本のコンタクト端縁がある。コンタクト端縁の間隔は図5Aの寸法Pで示されるように一様である。
このコンタクト端縁の配置は隣接する列の間隔がDの寸法であることを意味する。間隔Dは隣接する列における信号の対の間隔により指定される。
これに対して、バックプレインコネクタ13(図1)において、信号ピンのコンタクト端縁の列の間隔はシールドプレートのコンタクト端縁が占める。
バックプレインコネクタがバックプレインに取付けられる時に、各コンタクト端縁毎に孔が形成されなければならない。孔の近くではバックプレインに信号トレースを通すことができない。かくして、バックプレインにわたって信号トレースに間隔をおくために、トレースは概略的にコンタクト端縁の列の間の間隔に通る。図5Aの実施例において、間隔Dは信号トレースの幅の広いルーティング経路を表している。かくして、信号トレースはより幅を広くして、それゆえ損失を低下させることができる。トレースはまた信号コンタクト端縁の間の経路における接地孔の周りに蛇行しなくてもよいので、より直線状にすることができる。より直線状のトレースにより反射を生じて望ましくないとされるインピーダンスの不連続性が少なくなる。この特徴は高い周波数の信号を伝送する
システムにおいて特に有用である。あるいは各層により多くのトレースがルーティングされ、それによって層の数が減少し経費が節減されよう。
図6を参照すると、モジュラー電気コネクタに用いられる1組の従来の信号経路300a−300hは2つの異なる平行な平面320、322上に配置された中間部分302を有している。中間部分の半分はそれぞれの対応する平面上に配置されている。コンタクト部分314は第3の中心の平面に配置されている。中心部分312は別個の平面内にあり、第3の中心の平面に位置合せされている。かくして、完全に組立てられた時に、各々の中間部分302は他の信号経路300a−300hより接地面に近接している。
図7を参照すると、図6の信号経路は1組の差分信号導線304a−304dを与えるようにされている。対304a−304dの各々の導線は1対のコンタクト部分332、334と、コンタクト部分332、334の間に延びる中間部分336、337とを含む。各対の中間部分は336、337は対応する面338、339を有し、この面は他の対応する面338、339に重なっている。面338、339は図6に示されるように電気コネクタモジュール303の側部を通って延びる方向に相互に重なっている。かくして、典型的には垂直方向に重なる面118を有する図3の面104a−104dに対して、対304a−304dは典型的には水平方向に重なる面338、339を有する。(対104a−104dと対304a−304dとの比較は相対的なものであり、面338は水平方向でなく、他の方向に重なるようにしてもよい。)
しかしながら、図6に示された経路300a−300hとは異なり、各対304a−304dの中間部分336は接地プレートあるいは他の対の信号導線304a−304dではなく各対304a−304dの対応する中間部分337により近接している。それゆえ、各対の導線304a−304dが対応する導線対304a−304dに連結されてノイズを減少させる。
差分の信号コンタクト対は図示されない絶縁性ハウジングに保持されるのが好ましい。コンタクトが図7に示されるように配置され、それからコンタクトの中間部分の周りに絶縁性材料がモールドされよう。コンタクト部材の適切な配置を行うために、プラスチックのキャリアストリップが一方の平面内でコンタクト部材の周りにモールドされよう。それから、他方の平面におけるコンタクト部材はキャリアストリップに重ねられよう。それから、サブアセンブリ全体にさらに絶縁性材料がモールドされよう。
図7に示される形状のコンタクト部材の周りに絶縁性ハウジングを形成するための他の方法はハウジングを2つのインターロッキング片としてモールドすることであろう。一方の片は一方の平面内の信号コンタクトを含むであろう。他方の片は他方の平面内の信号コンタクトを含むであろう。それから2つの片は図7のように配置された信号コンタクトを形成するように一体的にスナップ結合されよう。この製造の手法が図7に米国特許第5795191号に示されており、これをここでの参照に付す。しかしながら、この特許は組立体の2つの片に信号コンタクトの中間部分を配置するのが望ましいと考えてはいないので、2つの片が組立てられた時に信号コンタクトが異なる対を形成するように重なるであろう。
図8−9を参照すると、他の信号経路の配置は信号導線の対304′(ここでは1つの対が示されている)を含む。図6の信号経路300a−300hと同様に、対をなす各導線304′はモジュール303′の対応する側326、328に向かって延びる。しかしながら、信号経路300a−300hとは異なって、信号導線304′の対の面318′はそれぞれモジュール303′の側部326、328の側部に垂直な方向の重なる面338′を有するように蛇行している。かくして、図3、4及び7の導線の対と同様に、導線304′の間隔は導線の対304′から他の同様な導線の対までの間隔より小さい。また、図6のコンタクト部分312と同様に、コンタクト部分312′、314′は全て第3の中心の平面内にある。対比すると、図7に示されるコンタクト部分332と図6に示されるコンタクト部分314とは2つの異なる平面内にある。
他の形態において、前述したような差分コネクタモジュールに関してシールドプレートを用いる必要がない。
図10は差分信号コネクタモジュール510の他の実施例を示している。前述したように、信号コンタクトを収容するリードフレームはその中間部分の周りにプラスチック511をモールドすることによってモジュールとして形成される。図10のモジュールにおいて、各対における長いリードの上側のプラスチックに窓512A、512B及び512Cが残されている。これらの窓は各対のリードに伝送される信号の遅延を均等にする作用をなす。導線中を信号が伝搬する速度は導線を取り囲む物質の誘電率に比例することが知られている。空気はプラスチックと異なる誘電率を有するので、長いリードの上側に窓を残しておくことによりそれらのリードにおける信号がより速く進むようになる。その結果、信号が対のうちの長いリード及び短いリードを通過する時間が均等にされる。
各窓512A・・・・512Cの長さは対の長いリードと短いリードとの差の長さに応じたものである。かくして、窓の大きさは各対ごとに異なるであろう。また、1つの対に複数の窓が含まれるようにすることができる。さらに、窓が空気で満たされていることは必要でない。窓は他のプラスチック511とは異なる誘電率を有する材料で形成されよう。例えば、窓の領域において各対の長いコンタクトの部分にわたって低い誘電率を有するプラスチックがモールドされよう。それから、プラスチックハウジング511を形成するようにより高い誘電率を有するプラスチックが上側にモールドされよう。また、「窓」は導電信号コンタクトの面全体にわたる必要はない。「窓」は部分的にプラスチックで充填され、部分的に空気で充填されるようにもでき、これはやはり長い脚部の上側の物質の有効誘電率を低下させる効果を有するであろう。
誘電物質に窓を配置することの1つの欠点は、窓がその下側の領域における信号コンタクトのインピーダンスをも変化させることである。信号導線に沿ったインピーダンスの変化は、不連続点において信号の反射が生ずるので、望ましくないことが多い。この問題に対処するために、信号導線の全長にわたってインピーダンスを一定に保持するように他の調整がなされる。インピーダンスが一定に保持される1つの方法は、信号導線の幅を変化させることによるものである。図10において、信号導線はある領域における幅T1と窓の領域におけるより広い幅T2とで示される。正確な寸法は2つの領域の間の相対的な誘電率に基づいてインピーダンスをマッチングさせるように選定される。窓の領域における信号コンタクトの幅を変える手法は、何のために窓がコネクタに形成されるかにかかわらず有用であり、遅延を均等にするように形成された窓に制限されない。例えば、いくつかの従来のコネクタは全ての信号コンタクトのインピーダンスを増大させるように全ての信号コンタクトのかなりの部分にわたる窓を用いている。
図11A及び11Bは差分信号コネクタの有効性を高めるために用いられる他の実施例を示している。図11Aはコネクタが取付けられるバックプレイン600の部分を示している。バックプレイン600には孔の列602がある。コネクタのコンタクト端縁はコネクタをバックプレインに取付けるようにこれらの孔に挿入されよう。バックプレイン600内には1枚またはそれより多くの接地面層604が含まれる。接地面層は孔において短絡がなされるのを避けて露出した領域606を残すため孔の回りには蒸着されない。しかしながら図11Aに示される従来の形態においては、孔602の間に蒸着される接地面の材料がある。図11Bは差分信号コネクタに用いられるようにしたバックプレインのプリント回路ボードを示している。接地面層604は差分対をなす孔の周りの露出した領域を残すように蒸着されている。このようにして、差分対の2つの孔の間には接地面層がない。したがって、差分対の2つの導電要素の間の共通モードの接続が改善される。
また、ここでは大きさ及びコネクタの個数が与えられることがわかるであろう。これらのコネクタ個数は例示的なもにすぎず、本発明を限定するものと解すべきではない。例えば、6列び8列のコネクタが示されている。しかしながら、いかなる列数のものを用いてもよいであろう。
また、シールドプレートが用いられるものとして説明した。プレート形状でない接地部材も用いられよう。接地部材は導電要素の対の間に配置されよう。さらに、シールドは平面状である必要はない。特に、図3及び図4は差分対の間に空間があるコネクタの形態を示している。差分対の間の絶縁度を高めるために、タブがシールドプレートから切り取られ平面から外れるように屈曲されて対の間により高い絶縁度を与えるようにできるであろう。
また、本発明は締まり嵌めされた直角のピン−ソケットコネクタとして示されていることがわかるであろう。本発明は単に直角での用途に有用であるのではない。堆積型あるいは中二階型コネクタにも用いられよう。また、本発明は締まり嵌めのコネクタに限られない。表面装着型あるいは圧力装着型のコネクタにも用いられよう。さらに、本発明は単にピン−ソケット型のコネクタに限られない。種々のコンタクトの形態が知られており、本発明は他の形態でも用いられよう。
マザーボードとドータボードとの間に1組のモジュラーコネクタが組立てられた本発明によるシステムの斜視図である。 信号経路が等間隔であり差分対として配置されていないモジュラー型電気コネクタの組立てに用いられる従来の信号経路金属リードフレームの概略図である。 信号経路が単一平面内に差分信号導線の対として配置されているモジュラー型コネクタの形成に用いられる単一経路金属リードフレームの概略図である 信号経路が単一平面内に差分信号導線の対として配置されているモジュラー型コネクタの形成に用いられる単一経路金属リードフレームのさらに他の実施例の概略図である。 接地プレートのコンタクト部分が信号経路リードフレームのコンタクト部分の間に伸張可能である図4の信号経路金属リードフレームに用いるように互換性のある接地プレートの斜視図である。5A:図5の接地プレートを備えたピンヘッダーの斜視図である。 信号経路が2つの平行な平面内に配置され、一方の平面内の各々の信号経路が第1の接地面(図示せず)に接続され、他方の平面内の各々の信号経路が第2の接地面(図示せず)に接続されている従来技術による信号経路の配置の斜視図である。 信号経路が2つの平面内に配置されている差分信号導線の対として配置された信号経路の他の実施例の斜視図である。 信号経路が2つの平面内に配置されている差分信号導線の対として配置された信号経路のさらに他の実施例の斜視図である。 図8の信号経路の側面図である。 バランスのとれた電気的特性を有するコネクタモジュールの概略図である。 A:従来技術の回路ボードの信号送出部を示す概略図である。B:改善された回路ボードの信号送出部を示す概略図である。
符号の説明
10 電気システム
12 モジュラー型コネクタ
18 コネクタモジュール
102a−102h 信号導線(信号経路)
104a−104d 信号導線の対
112 コンタクト部分
114 コンタクト部分
116 中間部分
600 バックプレイン
602 孔の列
604 接地面層
606 接地面層が存在しない露出した領域

Claims (11)

  1. コネクタの1対の差分信号コンタクトの端縁部分を受設するためのプリント回路ボードであって、該プリント回路ボードは前記コネクタの差分信号コンタクト対の端縁部分を受容する形状を備えた複数対の孔を有し、さらに、接地面層が存在する領域と、前記複数対の孔について該各対ごとに一対の孔をとり囲んでいる領域であって前記接地面層が存在しない領域と、を有し、これによって前記各対の孔が電気的に互いに隔絶されていること、を特徴とするプリント回路ボード。
  2. 請求項1に記載のプリント回路ボードにおいて、前記接地面層の存在しない前記各対の孔を囲繞する領域が実質的に卵形の形状をなすことを特徴とするプリント回路ボード。
  3. 請求項1に記載のプリント回路ボードにおいて、前記接地面層の存在しない前記各対の孔を囲繞する領域が実質的に矩形状をなすことを特徴とするプリント回路ボード。
  4. 請求項1に記載のプリント回路ボードにおいて、前記複数対の孔について、隣り合った対の孔同士の間の領域が前記接地面層を含むことを特徴とするプリント回路ボード。
  5. 請求項1に記載のプリント回路ボードにおいて、該プリント回路ボードはバックプレインであることを特徴とするプリント回路ボード。
  6. 請求項1に記載のプリント回路ボードにおいて、前記複数対の孔はルーティング経路に沿って整列されていることを特徴とするプリント回路ボード。
  7. コネクタの1対の差分信号コンタクトの端縁部分を受容するためのプリント回路ボードであって、該プリント回路ボードは前記端縁部分を受容する形状を有してなる表面を露出した複数対の孔と、前記複数対の孔について各対ごとに1対の孔をとりんでいる領域であって接地面層を有さず前記各対の孔が電気的に互いに隔絶されている領域と、前記各対の孔をとり囲んでいる隣り合った前記領域同士の間に接地面層を含む領域と、を特徴とするプリント回路ボード。
  8. 請求項7に記載のプリント回路ボードにおいて、前記接地面層の存在しない前記各対の孔を囲繞する領域が実質的に卵形の形状を有してなることを特徴とするプリント回路ボード。
  9. 請求項7に記載のプリント回路ボードにおいて、前記接地面層の存在しない前記各対の孔を囲繞する領域は実質的に矩形状をなしていることを特徴とするプリント回路ボード。
  10. 請求項7に記載のプリント回路ボードにおいて、該プリント回路ボードはバックプレインであることを特徴とするプリント回路ボード。
  11. 請求項7に記載のプリント回路ボードにおいて、前記複数対の孔はルーティング経路に沿って整列されてなることを特徴とするプリント回路ボード。
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