DVD−RWのように記録可能なディスクにおいては、普通の状態ではDVDビデオの著作権保護に関する情報が記録されてしまうディスクの所定の領域(著作権保護に関する情報領域)に、エンボスプリピットで著作権保護情報に関する情報を記録して、後から著作権保護情報がオーバーライトできないように加工しておく。これによって、高密度型ディスク記録装置でDVDビデオのコンテンツを著作権保護情報に対応していないコンテンツをDVD−RWに記録し、これをDVDビデオ再生装置で再生した場合には、コンテンツに対応した著作権保護情報が読み出せないのでDVDビデオのコンテンツは再生できない。この結果、コピー禁止のDVDビデオの著作権保護を図ることができる。
記録型光ディスクには、記録用レーザーの光量を特定する条件、ディスクの種類、製造メーカー名などの既記録情報、または記録可能な案内溝の特定位置が探し出せるようなアドレス情報、さらにディスクの回転数制御に用いる周波数情報がそれぞれ特定位置に予め記録されている。
そして、この記録型光ディスクには購入してからすぐに使用(記録)開始できる工夫がされている。これは次の(1)〜(3)のように、前記した既記録情報、アドレス情報がディスクの特定位置に記録されていることにより行うことができる。即ち、
(1)前記した既記録情報はディスク原盤のカッティング時にエンボスピットとして記録しておき、このディスク原盤で作成した金属母型を使用してディスク基板を成形することにより、前記した記録型光ディスクのディスク基板の特定位置(ディスクのリードイン領域など)に記録する。また、前記した既記録情報をディスク原盤のカッティング時に記録しない場合には、前記した記録型光ディスクが生産された後の出荷時に、前記した既記録情報を記録する記録器を用いて、ピットやマークとして前記した特定位置に追記録される。
(2)一方、前記したアドレス情報は、案内溝の特定部分の幅を広くして、その部分にLPPとして記録される。
(3)さらに、前記した周波数情報は、案内溝を半径方向に微少に揺らしたウォブルの周波数として記録される。
さて、前記した既記録情報、アドレス情報、周波数情報、案内溝をディスク基板の特定位置に記録することは、具体的には次のようにして行われる。
まず、平滑に研磨されたガラス盤上に案内溝の深さに相当する厚さに光感光レジストを均一に塗布する。前記した記録型光ディスクがDVD−RWディスクであれば、光感光レジストはガラス盤上に約30nm程度の厚さに均一に塗布される。
次に、こうして光感光レジストが均一に塗布されたガラス盤(レジスト盤)は、カッティング装置に運ばれる。カッティング装置には、光源から出射するカッティング用レーザービームを断続光にしたり、あるいは半径方向に(左右に)微小揺らせるレーザービーム制御装置が搭載されている。レジスト盤はカッティング装置の所定位置に装着された後、断続光あるいは半径方向に微小振動したカッティング用レーザービームをレジスト盤上に照射することにより、前記した既記録情報、アドレス情報、周波数情報がそれぞれの特定位置に記録される。
ここで、カッティング用レーザービームを2本用い、そのうちの1本のカッティング用レーザービームを連続光として案内溝を形成し、もう1本を断続させてLPPを形成させる。また、前記した既記録情報は、案内溝を形成するカッティング用レーザービームを断続光にすることにより、ピットとして、特定位置(リードイン領域など)に記録される。
こうしてレジスト盤のカッティングの後、レジスト盤は現像され、形状変化として形状情報(前記した既記録情報、アドレス情報、周波数情報、案内溝)が析出する。そして現像されたレジスト盤上に導電性薄膜を被覆し、電気メッキを用いてこのレジスト盤上の前記した形状情報がメッキ盤上に転写される。このメッキ盤を所望の大きさに加工して金属母型となし、この金属母型を装着した射出成形機を用いて、プラスチック基板上に形状変化として前記した形状情報が転写されることにより、前記した記録型光ディスクのディスク基板が得られる。
さて、ディスク基板上の、前記した形状変化が転写されているところは情報面と呼ばれ、この情報面上に記録をするための機能膜が成膜され、その後の種々の後加工を通り記録型光ディスクが作成される。ところで、前記した金属母型を用いて射出成形して得たディスク基板は、ディスク基板全体に亘り案内溝とピットとが同じ深さを持っている。
前述したように、記録型光ディスクの案内溝は、記録時のトラッキング案内に必要な深さで作成されているために、再生時に記録された記録マークからの信号を最大限に取り出そうとすると、記録溝のランドとの深さ差から生じる反射光の位相差による反射率低下が問題となる。繰り返し書換えが可能なDVD−RAMディスクで採用されているようなランドグルーブ記録では、ランド(案内溝間)、グルーブ(案内溝)間のトラック間クロストーク低減のため、許される範囲で案内溝は深くされているが、一般的に案内溝の深さは、案内溝からの案内信号が最も効率よく取り出される深さ(再生波長の1/8波長)に比べ、浅く作成されているのが一般的である。そしてプッシュプル方式により案内溝へのトラッキング動作が行われている。
一方、再生専用ディスクであるDVD−ROMディスクは、できるだけ大きな再生信号が得られるように、ピットの深さはレーザー光による回折が効率よく行われる深さ付近に設定されている(再生波長の1/4波長付近)。このため、トラッキング動作はピット列に対するプッシュプル方式ではトラッキングに必要な信号が充分得られないので、位相差方式でトラッキングが行われる。
このように、記録型光ディスクであるDVD−RAMディスクでは効率良く記録再生動作ができるような案内溝の深さが設定されており、また再生専用ディスクであるDVD−ROMディスクでは再生に都合が良いピットの深さが設定されている。
さて、深さが異なる案内溝とピットとを一枚の記録型光ディスクのディスク基板上に設ける手法としては、次の2つの方法(1)(2)が考えられる。
(1)まず一つ目の方法としては、図7に示すように、前記レジスト盤をカッテングする際に、ピット及び案内溝を形成するためのカッティング用レーザービーム(便宜的にレーザーAと記すこともある)の出力を変化させて、一方の出力でピットの再生に都合の良い深さを形成し、他方の出力で案内溝の記録に都合の良い浅めの溝とを形成する方法である。しかしこのカッティング方法では、浅い方の案内溝の底面はレジスト下層のガラス原盤まで届かないため、案内溝の底面はガラス原盤ではなくレーザーAの出力分布により決定されてしまう。このため、案内溝の底面の形状は平坦とはならずロート状となる。実際にはレーザーAの出力分布はビーム中心を最大として不均一となるため案内溝の底面の均質性が取りにくく、記録再生の信号特性の大幅な劣化が生じる。
図7、図8中、および以下の説明で「LPP」はランドに形成された「ランドプリピット」を示し、また、便宜的にレーザーBをランドプリピット形成用のレーザー光出力として記す。
(2)次に二つ目の方法としては、図8に示すように前記レジスト盤をカッテングする際に、ピット及び案内溝を形成するためのカッティング用レーザービーム(レーザーA)と、ランドプリピットを形成するためのもう一つのカッティング用レーザービーム(レーザーB)を用いる方法である。一定出力のレーザーAを用いて同じ深さのピット及び案内溝を形成する(ピット及び案内溝の各底面はレジスト下層のガラス原盤まで届く)。またレーザーBを用いて案内溝の両端に隣接するレジストを任意の高さまで露光して、案内溝の相対的深さを調整する方法である。この方法であれば案内溝の底面はガラス原盤の表面となるため、案内溝の底面の形状は平坦となるから、従来の案内溝だけで形成されたディスクと同様の記録再生信号特性を得ることができる。
しかしこの二つ目の方法では、ピット列から案内溝、案内溝からピット列に切り替わる境目の部分を再生していると、2つのピット列間にあるレジストの高さと、ピット列と案内溝間(又は案内溝とピット列間)にある、レジストの高さとが異なるため、ピット列−ピット列から案内溝、案内溝からピット列−ピット列に切り替わる部分のピット信号およびランドプリピット信号の欠損や振幅の違いや、プッシュプル方式等のトラッキング信号振幅の違いやオフセットの発生等の乱れが生じる。
このように、1枚の記録型光ディスクの中に、再生に都合がよい深さのピット列と、記録再生に都合がよい深さの案内溝とが共に存在する場合、案内溝の記録再生特性を十分なものとするには、案内溝の底面にガラス原盤の表面がくるようにしてその底面を平坦にするよう設計することが望ましい。そして、ピット列から案内溝、案内溝からピット列に切り替わる部分を再生していると、その切り替わり部分でピット信号の欠落や再生のプッシュプル方式のトラッキングが乱れる記録装置が存在することが分かった。この原因は、記録装置が案内溝からピット列となる切り替わりの部分で、ピット列の信号が隣接する案内溝のレジスト厚み調節による影響を受け正しく信号を取り出せなくなり、ピット列と案内溝が隣接するピット列全ての信号情報が欠落することであった。このようにトラッキングが乱れる記録装置は、ピット列から案内溝、案内溝からピット列となる切り替わりの部分で、トラッキング制御信号が異常値となりトラッキングが外れ、数10トラック以上も再生トラック位置が移動してしまい、希望する場所からの記録再生は不可能になるものも存在した。
このように、一枚の記録型光ディスクであって、案内溝における記録再生で十分な再生信号が得られ、かつ書換えができない情報をピット列で記録できるようにするためには、案内溝の溝深さとピット列のピット深さとがそれぞれ最適な深さである必要があり、かつ案内溝の底面とピットの底面とが共にガラス原盤の表面にあって平坦であって、共に記録再生特性に優れ、さらにピットと案内溝の切り替わり部分におけるピット信号の欠落があっても記録再生の対応が可能であり、何らかの方式のトラッキング信号の乱れが無いディスクが求められていた。
そこで、本発明は、特にディスク基板上に形成した案内溝、ピット列の底面位置が同一平面上で共に平坦であり、かつピット列から案内溝又は案内溝からピット列に変化する切り替え部分に底面から案内溝の側面までの高さと、底面からピット列の側面までの高さとの間で高さが変化するピット列からなる中間領域を設け、この中間領域をディファレンシャルプッシュプル方式のトラッキング方式または位相差方式で再生することによって、再生専用のピット列から良好な再生情報と、記録再生用の案内溝から良好な再生情報を共に得ることができると共に、未記録領域でも常時最適なトラッキング特性を得ることができ、記録済領域でも常時最適なトラッキング特性を得ることができる。再生専用のピット列の著作権保護情報を安定して再生し、この情報に基づいてコンテンツを記録できる情報記録媒体を提供することを目的とする。
以下、本発明の情報記録媒体について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の情報記録媒体の第1実施例を説明するための拡大断面図、図2は本発明の情報記録媒体に記録するデータをECCブロック化することを説明するための図、図3はECCブロック化したデータをセクター単位で本発明の情報記録媒体の所定の領域に記録することを説明するための図、図4は本発明の情報記録媒体の一実施例であるDVD−RWにおける1セクターの物理フォーマットを示す図、図5は本発明の情報記録媒体のリードイン領域とデータ領域を示す図、図6は本発明の情報記録媒体の第2実施例を説明するための拡大断面図、図7は情報記録媒体におけるカッテイング状態の一例を説明するための図、図8は情報記録媒体におけるカッテイング状態の他の例を説明するための図である。
以下の説明においては、本発明の情報記録媒体の実施形態として、DVD−RWを用い、このDVD−RWに対して情報を記録することを主に説明するが、他の記録可能なCD−RW、DVD+RW等や次世代DVD等の高密度型光ディスクについても本発明を適用できることは言うまでもない。
本発明の実施形態をA.「記録フォーマットの実施の形態」、B.「ディスクの実施の形態」の順序で説明する。
A.「記録フォーマットの実施の形態」
まず、「記録フォーマットの実施の形態」について説明する。
始めに、DVD−RWに記録情報を記録する際の一般的な物理フォーマット及び当該記録情報(リードイン情報)における誤り訂正処理について、図2〜図4を用いて説明する。
本実施例のDVD−RWにおける誤り訂正処理及び当該誤り訂正処理における誤り訂正単位としてのECCブロックについて、図2を用いて説明する。
一般に、DVD−RWに記録される記録情報は、図2(A)に示すデータセクター20を複数個含む物理構造を成して構成されている。そして、一のデータセクター20中には、その先頭から、データセクター20の開始位置を示すID情報21と、当該ID情報21の誤りを訂正するためのID情報誤り訂正コード(IED)22と、予備データ(例えばCPM)23と、記録すべき主たるデータを格納するデータ領域24と、データ領域24におけるエラーを検出するためのエラー検出コード(EDC)25とにより構成され、このデータセクター20が複数連続することにより記録すべき記録情報が構成されている。
次に、このデータセクター20を用いてECCブロックを構成する際の処理を、図2(B)を用いて説明する。データセクター20を用いてECCブロックを構成する際には、図2(B)に示すように、始めに、一のデータセクター20を横に172バイト毎に分割し、分割した夫々のデータ(これを、以下、データブロック33という。)を垂直方向に並べる。このとき、垂直方向には12行のデータブロック33が並ぶこととなる。
そして、垂直方向に並べた横の夫々のデータブロック33に対して10バイトのECC内符号(PI(Parity In )符号)31を当該データブロック33の最後に付加して一の訂正ブロック34を構成する。この段階では、ECC内符号31が付加された訂正ブロック34が垂直方向に12行並んでいることとなる。その後、この処理を16のデータセクター20分だけ繰返す。これにより、192行の訂正ブロック34が得られる。
次に、上記の192行の訂正ブロック34が垂直方向に並べられた状態で、今度は、当該192行の訂正ブロック34を1バイト毎に最初から垂直方向に分割し、分割した夫々のデータに対して16個のECC外符号(PO(Parity Out)符号)32を付加する。なお、当該ECC外符号32は、上記訂正ブロック34のうち、ECC内符号31の部分に対しても付加される。
以上の処理により、16のデータセクター20を含む一のECCブロック30が図2(B)に示すように形成される。このとき、一のECCブロック30内に含まれる情報の総量は、
(172+10)バイト×(192+16)行=37856バイト
であり、この内、実際のデータ領域24内に記録されるデータは、
2048バイト×16=32768バイト
となる。
また、図2(B)に示すECCブロック30においては、1バイトのデータを「D#.*」で示している。例えば、「D1.0」は第1行第0列に配置されている1バイトのデータを示しており、「D190.170」は第190行第170列に配置されている1バイトのデータを示している。従って、ECC内符号31は第172列乃至第181列に配置され、ECC外符号32は第192行乃至第207行に配置されることとなる。
更に、一の訂正ブロック34はDVD−RW上には連続して記録される。ここで、図2(B)に示すように、ECCブロック30をECC内符号31とECC外符号32の双方を含むように構成するのは、図2(B)における横(水平)方向に並んでいるデータの訂正をECC内符号31で行い、図2(B)における縦(垂直)方向に並んでいるデータの訂正をECC外符号32で行うためである。すなわち、図2(B)で示すECCブロック30内においては、横(水平)方向と縦(垂直)方向の二重に誤り訂正することが可能となり、従来のCD(Compact Disk)等に用いられている誤り訂正処理に比してより強力に誤り訂正ができるように構成されている。
この点についてより具体的には、例えば、一の訂正ブロック34(上述のように、一行分のECC内符号31を含んで計182バイトのデータを含み、連続してDVD−RW上に記録される。)が5バイトまでであれば、キズ等により破壊されたとしても訂正可能であるが、6バイト以上で1列全てがDVD−RWのキズ等により破壊されたりすると、ECC内符号31では訂正できなくなる。しかし、1列全てがキズ等により破壊されたりするととしても、それを垂直方向から見ると、1列のECC外符号32に対して1バイトのデータ破壊でしかない。従って、夫々の列のECC外符号32を用いて誤り訂正を行えば、たとえ一の訂正ブロック34の全てが破壊されていても、正しく誤り訂正を行って正確に再生することができるのである。ただし、後天的な傷の発生等を考慮すれば、横列(水平)の傷は大きくなると、次の垂直方向の横列(水平)のエラーにもつながるので最小限に留めることはいうまでもない。ちなみに、この縦方向のエラーについては縦8列(イレージャー訂正で16列)あっても訂正可能である。
次に、図2(B)で示すECCブロック30に構成されたデータセクター20が、具体的にDVD−RWにどのように記録されるかについて、図3を用いて説明する。なお、図3において、「D#.*」で示されるデータは、図2(B)内に記述されているデータに対応している。
ECCブロック30をDVD−RWに記録する際には、始めに、図3(A)に示すように、ECCブロック30が訂正ブロック34毎に水平方向に一列に並べられてインターリーブされることにより、16のレコーディングセクター40に分割される。このとき、一のレコーディングセクター40は、2366バイト(37856バイト÷16)の情報を含むこととなり、この中には、データセクター20とECC内符号31又はECC外符号32が混在している。但し、各レコーディングセクター40の先頭には、データセクター20におけるID情報21(図2(A)参照)が配置される。
そして、一のレコーディングセクター40は、図3(B),(C)に示すように、91バイト毎のデータ41に分割され、夫々にシンクHが付加される。その後、この状態のレコーディングセクター40を8−16変調することにより、夫々のデータ41毎に一のシンクフレーム42が形成される。このとき、一のシンクフレーム42は、図3(D)に示すように、シンクH'とデータ43とにより構成されている。また、一のシンクフレーム42内の情報量は、
91バイト×8×(16/8)=1456バイト
となり、このシンクフレーム42が連続した形態でDVD−RWディスクに情報が書き込まれる。このとき、一のレコーディングセクター40は、26のシンクフレーム42を含むこととなる。
これをまとめて図4にて説明する。物理的な16セクターからなるECCブロックの先頭のセクターは図4のように構成されている。つまり、横列はデータ172バイトにPIの10バイトとシンクの4バイトで186バイトからなり、縦列12行にPOの1行を加えた13行からなる。シンクはH0からH25までの2バイトの26個である。
以上説明した物理フォーマットを構成してDVD−RWディスクに情報を記録することにより、当該情報を再生する際に8−16復調及びデインターリーブを行えば(図3参照)、もとのECCブロック30を復元することができ、破壊されるデータブロック量を最小にすることが出来るので、上記のように強力な誤り訂正を行って情報を最も正確に再生することができるのである。リードイン情報領域の中に位置する著作権保護(例えばメディアキーブロック)に関する情報はこのようなECCブロックの一部のデータとして、記録されている。
B.「ディスクの実施の形態」
本発明の情報記録媒体の一例である記録型光ディスクにおける特徴的な中間領域は、第1実施例として図1に、第2の実施例として図6に示すレジスト盤に基づいて作成されたディスク基板を有する記録型光ディスクであり、ピット列PA、PBが形成された再生専用領域(領域P1、P2)と、案内溝1が形成された記録再生領域(領域1)と、再生専用領域(領域P1)と再生専用領域(領域P2)との間または、再生専用領域(領域P1)と記録再生領域(案内溝1)との間に、それぞれ形成された中間領域を有する記録型光ディスクである。
図1に示すように領域P1のピット列PAの底面(ガラス原盤側)と、領域P2のピット列PBの底面(ガラス原盤側)と、領域1の案内溝1の底面(ガラス原盤側)と、中間領域のピット列PMの底面(ガラス原盤側)とが同一平面上にあり、また、図6に示すように領域P1のピット列PAの底面(ガラス原盤側)と、領域1の案内溝1の底面(ガラス原盤側)と、中間領域のピット列PMの底面(ガラス原盤側)とが同一平面上にある。
中間領域のピット列PMの底面に対するピットPMの深さ(光学的深さ)が、例えば、図1に示すように再生専用領域(領域P1)側のランドの深さ(光学的深さ、ピット列PMの底面(ガラス原盤側)に対する領域P1のランドの深さ、図1の深さa)から、再生専用領域(領域P2)のランドの深さ(光学的深さ、ピット列PMの底面(ガラス原盤側)に対する領域P2のランドの深さ、図1の深さb)に減少するように構成され、また、中間領域のピット列PMの底面に対するピットPMの深さ(光学的深さ)が、例えば、図6に示すように再生専用領域(領域P1)側のランドの深さ(光学的深さ、ピット列PMの底面(ガラス原盤側)に対する領域P1のランドの深さ、図6の深さc)から、記録再生領域(案内溝1)のランドの深さ(光学的深さ、ピット列PMの底面(ガラス原盤側)に対する領域1のランドの深さ、図6の深さd)に減少するように構成されている。
ところで、前述したように、記録型光ディスクであっても、案内溝における記録再生にて十分な再生信号が得られ、かつ書換えができない情報をピット列で記録できるディスクは、案内溝の溝深さとピット列のピット深さがそれぞれ最適な深さである必要があり、かつ、案内溝の底面とピットの底面が共にガラス原盤の表面にあり記録再生特性に優れていると共に、ピットと案内溝の切りかわり部分におけるピット信号の欠落及びトラッキング信号の乱れが無いディスクである必要がある。
以下、本発明について、図面に沿って説明する。
図1及び図6は本発明の光ディスク原盤の実施例におけるカッテング状態を説明するための図である。
本発明は、案内溝の溝深さとピット列のピット深さが案内溝のレジストを露光する事により異なった深さに設計すると共に、案内溝及びピット列深さの底面がガラス原盤表面により形成され、ピット列から案内溝、案内溝からピット列に切り替わる部分において、レジスト露光レーザー出力を変化させて、案内溝の高さを変化させる中間領域を設けた記録型光ディスクを提案する。特に図1および図6では中間領域でディファレンシャルプッシュプルと、DPD(ディファレンシャルフェイズディテクト)のトラッキングエラー信号が許容される振幅差やオフセットレベルの範囲の信号を得ることが出来るものである。
これによりピット列と案内溝との切りかわり部分における案内溝と隣接するピット信号が、案内溝レジスト厚み調整によるレジスト露光の影響を大きく受けず、ピット形状の欠落欠損が起きず、ピット記録情報の正確な読みとり、及び記録領域での記録情報の正確な記録が行えることを確認した。
本発明の記録型光ディスクのディスク原盤の作成は、図示しないカッティング装置を用いて、以下のような工程で作成される。
表面を平滑にしたガラス盤を用意し、そのガラス盤表面に最も深い形状を有する(ピット列の深さに応じた)深さに相当する厚さにレジストを塗布する。レーザー光源1から出射した2本のレーザー(ビーム)A,Bのうちのレーザー(ビーム)Aの光路上には、レーザービームを僅かに左右に振るための光偏光器と、レーザービーム強度を変化させる光変調器とが順次設けられている。
図1あるいは図6に示すようにレジスト盤R上でガラス原盤表面に底面がある案内溝1は、レーザー(ビーム)Aを用いて案内溝を記録するのに適したレーザー光強度(PA1)で記録される。このとき案内溝1の底面はガラス原盤の表面まで露光される。案内溝1は所定の周波数で、僅かにウォブルさせる。また、レーザービームBは、案内溝部横(案内溝1と案内溝1との間、ランド)に適切な案内溝深さ形成に必要なレジスト厚さより厚いレジストが存在するので、案内溝1に必要な厚さのレジストが残るようにレーザー光強度(PB1)で記録する。
さらにランドプリピット記録時にランドプリピット形成に必要なレーザー光強度を出力する。
この時、レーザー(ビーム)Bを導出させるビームエキスパンダー9上にピンホールなどを挿入し、レーザー(ビーム)Bは対物レンズ12に導入されるビーム系を小さくし、レジスト盤上に集光するレーザー(ビーム)Bのスポットを大きくするような工夫を盛り込んで、例えば1トラック幅分を露光してしまう工夫を盛り込んでも良い。このときレーザー(ビーム)Bも所定の周波数で、僅かにウォブルさせてもよい。
次に、図1に示すように記録再生領域(領域1)の案内溝1の形成に続き、領域P2のピット領域ピット列PB)における案内溝2が、レーザー(ビーム)Aを用いて案内溝2を記録するのに適したレーザー光強度(PA3)にて露光される。このとき案内溝2の底面は、ガラス原盤表面まで露光するのが望ましいが特に規定される物ではない。また、レーザー(ビーム)Bを用いて案内溝部横(案内溝と案内溝との間。ランド)には案内溝1(領域1)と同じレジスト厚みが残り、順次レジスト厚みが増加する形で、ピット列PB(領域P2)に必要な厚さのレジストが残るようにレーザー光強度(PB3)で、ピット列PB(領域P2)に隣接する案内溝1においてはピット列PB(領域P2)と同じレジスト厚みに至るレーザー光強度にて形成する。さらにランドプリピット記録時にランドプリピット形成に必要なレーザー光強度を出力する。このときレーザー(ビーム)Bも所定の周波数で、僅かにウォブルさせてもよい。
ひき続き、記録型光ディスクであるという識別情報などがピット列PAを有する領域P1に、レーザー(ビーム)Aを用いて、ピットを記録するのに適しかつレジスト厚さ方向全てを露光するのに適したレーザー光強度(PA2)で記録され、ガラス原盤表面まで露光される。このときピット列PAは所定の周波数で僅かにウォブルさせる。ウォブルが必要ない場合もある。
このようにして、記録再生領域(領域1)から再生専用領域(領域P1、P2)更に記録再生領域(領域1)、中間領域を設け、前記した1枚のレジスト盤R上に潜像として、案内溝及びピット及びランドブリピットLPP(アドレス情報)が記録される。
次の現像工程で、この潜像を形状変化として析出させ、金属原盤作成工程に運ばれる。金属原盤作成工程では、前記したレジスト盤R上に、ニッケルなどの導電膜が被覆され、その上にニッケルメッキなどで、ニッケル皮膜が形成される。
その後ニッケルでできた金属原盤はレジスト盤Rより剥離され、剥離された金属原盤は、洗浄され、成型用金型に装着できる大きさに加工される。加工後の金属原盤は母型と呼ばれる。成型用金型に母型を装着し、成形によりプラスチック製ディスク基板が作成される。
その後、ディスク基板上に記録用機能膜(記録層)が成膜され、例えば、その上に保護膜が塗布され、あるいは、ダミー基板と呼ばれる基板が貼り合わされて記録型ディスクが製造される。
第1実施例である図1と第2実施例である図6とはほとんど同様に作成されるが図1では中間領域がピット領域(ピット列PM)として領域P1(ピット列PA)と領域P2(ピット列PB)との間に形成され、図6では中間領域がピット領域(ピット列PM)として領域P1(ピット列PA)と記録可能領域である領域1との間に形成されることが異なる。
この中間領域でのピット列PMの深さ(光学的深さ)は、領域P1の深さ(光学的深さ)と同一か少ない深さ(光学的深さ)であり、正確に規定できない深さ(光学的深さ)となることもある。
つぎに、ディスクのフォーマットの実施の形態について説明する。図5に示したtype(タイプ)1は、図8の比較例を用いて、後述するディスクで右の再生専用のピットP領域のトラックから左の記録可能な溝G(グルーブ)領域に連続的に切り替わっている状態を示している。図8中、「LPP」はランドに形成された「ランドプリピット」を示し、レーザーBはランドプリピット形成用のレーザー光出力である。図1及びまたは図6は、図5でtype(タイプ)2として後述するディスクで右の再生専用のピット領域のトラックから左の記録可能な溝G(グルーブ)領域の間に深さが変化する中間領域であるピットを持つ領域があることを示している。
図5は本発明の実施例におけるディスクのリードイン領域(内周方向)からデータ領域(外周方向)までの構造を示している。この領域は、前記のように、ディスクの製造方法が異なり、比較例で説明するtype(タイプ)1と、本実施例で説明するtype(タイプ)2との2種類がフォーマットとして共存することができるように構成されている。このフォーマットはtype(タイプ)1では信号性能(記録再生特性)はあまり良くないが、製造が比較的容易に可能であり、type(タイプ)2では信号性能(記録再生特性)は好ましいが中間領域での信号の性能に制約が必要になる2つの方式を共存することにより、製造方法に自由度を与えることができる。
type(タイプ)1のリードイン領域は、
(1−1)記録再生可能領域である内周から、ウォブル及び約λ/12程度の深さのグルーブ領域の外周側のサイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つ記録再生可能な記録再生可能領域でありディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られるInitial zone、system reserved zone、buffer zone0、RW−physical format information zone、Reference code zone、buffer zone1、linking loss area、
(1−2)約λ/4程度の深さから成りウォブルはあるがランドプリピットLPPを持たないプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し可能な再生専用領域であり著作権保護に関する情報及びリードイン情報を持つcontrol data zone(Readable emboss without LPP)、
(1−3)約λ/12程度の深さから成りウォブル及びランドプリピットLPPを持つプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録再生信号が読み出し出来ない再生専用領域であるunreadable emboss zone with LPP、
(1−4)ウォブル及びグルーブ領域の外周側サイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つ記録再生可能な記録再生可能領域でありディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られるbuffer zone2、以降に続くユーザーのコンテンツを記録するdata area
の順に外周方向へ分割されている。ここで、各領域の右上に示してあるのがそれぞれの領域の開始アドレスである。type(タイプ)1の記録時の動作は図5の左側にWrite Mode示し、再生時の動作は図5の左側にRead Modeで示してある。recordingは記録動作、readingは再生動作、seekはシーク動作、もしくはトラックを読み飛ばす動作を示し、read gen wclkはウォブル信号及びLPPアドレスを再生して記録クロック信号および記録タイミング信号を生成する動作を示している。
次に、type(タイプ)2のリードイン領域は
(2−1)記録再生可能領域である内周から、ウォブル及び約λ/12程度の深さのグルーブ領域の外周サイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つである記録再生可能な記録再生可能領域でありディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られるInitial zone、system reserved zone、buffer zone0、RW−physical format information zone、Reference code zone、
(2−2)タイプ1またはタイプ2かを判断するコードが記録されているboundary flag zone1(無くても良い)、前記記載の中間領域であるboundary emboss zone1(約λ/12程度の深さから、約λ/4程度の深さになるように形成されたピット領域でありウォブルを持ちディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号もDPDトラッキングエラー信号も得られる)、
(2−3)約λ/4程度の深さから成りウォブルはあるがランドプリピットLPPを持たないプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し可能な再生専用領域であり著作権保護に関する情報及びリードイン情報を持つcontrol data zone(Readable emboss without LPP)、
(2−4)type(タイプ)1またはtype(タイプ)2かを判断するコードが記録されているboundary flag zone2(無くても良い)、前記記載の中間領域とは逆の構造であるboundary emboss zone2(約λ/4程度の深さから、約λ/12程度の深さになるように形成されたピット領域でありウォブル及びLPPが記録されている(LPPは無くても良い)ディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号もDPDトラッキングエラー信号も得られる)、
(2−5)約λ/12程度の深さから成りウォブル及びランドプリピットLPPを持つプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し出来ない再生専用領域であるunreadable emboss zone with LPP、
(2−6)ウォブル及び約λ/12程度の深さのグルーブ領域の外周サイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つである記録再生可能な記録再生可能領域でありプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られるbuffer zone2、ユーザーのコンテンツを記録するdata areaの順に外周方向へ分割されている。ここで、各領域の右上に示してあるのがそれぞれの領域の開始アドレスである。type(タイプ)2の記録時の動作は図5の右側にWrite Mode示し、再生時の動作は図5の右側にRead Modeで示してある。recordingは記録動作、readingは再生動作、seekはシーク動作、もしくはトラックを読み飛ばす動作を示し、read gen wclkはウォブル信号及びLPPアドレスを再生して記録クロック信号および記録タイミング信号を生成する動作を示している。
boundary flag zone1及びboundary flag zone2は、この位置に無くても良いが、boundary zone1及びboundary flag zone2がディスクのtype(タイプ)1またはtype(タイプ)2によって記録再生の方法を変更すべく前記のリードイン情報を持つcontrol data zoneや、記録可能な領域内のLPPのアドレス情報とともに予め埋め込み記録しておくき、記録再生すべきディスクのtype(タイプ)1またはtype(タイプ)2が判定できるようにしておく。
次に、type(タイプ)1とtype(タイプ)2のディスクにおいて、共通にこの領域を再生する場合と、記録する場合を図9を参照しながら説明する。
図9は図5のフォーマットをトラック位置としては表現を簡略化し、記録再生のための物理的な内容を中心に説明するための図である。
図9はトラック番号の1からトラック番号9のそれぞれのトラックの方向に外周方向に向かい図5との対応は、type(タイプ)1のトラック番号1、トラック番号2のそれぞれのトラックが、約λ/12程度の深さのグルーブ領域の外周側のサイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つ記録再生可能な記録再生可能領域でありディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られるInitial zone、system reserved zone、buffer zone0、RW−physical format information zone、Reference code zone、buffer zone1、linking loss area等である。図5及び9のすべての領域においてウォブル信号は配置されている。
トラック番号3、トラック番号4のそれぞれのトラックが、約λ/4程度の深さから成りランドプリピットLPPを持たないプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し可能な再生専用領域のControl data zone(Readable emboss without LPP)である。
トラック番号5、トラック番号6、トラック番号7のそれぞれのトラックが約λ/12程度の深さから成りランドプリピットLPPを持つプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し出来ない再生専用領域であるunreadable emboss zone with LPPである。
トラック番号8、トラック番号9のそれぞれのトラックがグルーブ領域の外周側サイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られる記録再生可能な情報記録再生可能領域(Data area)である。
次に、type(タイプ)2のトラック番号1のトラックが、リードイン領域は記録再生可能領域である内周から、約λ/12程度の深さのグルーブ領域の外周サイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つである記録再生可能な記録再生可能領域でありディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られるInitial zone、system reserved zone、buffer zone0、RW−physical format information zone、Reference code zone等である。
トラック番号2のトラックが中間領域である。
トラック番号3、トラック番号4のそれぞれのトラックが約λ/4程度の深さから成りランドプリピットLPPを持たないプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し可能な再生専用領域のControl data zone(Readable emboss without LPP)である。
トラック番号5のトラックが中間領域である。
トラック番号6、トラック番号7のそれぞれのトラックが、約λ/12程度の深さから成りランドプリピットLPPを持つプリピットで構成されるDPDトラッキングエラー信号が得られ記録信号が読み出し出来ない再生専用領域のunreadable emboss zone with LPPである。
トラック番号8、トラック番号9のそれぞれのトラックがグルーブ領域の外周側サイドのランド領域にアドレス等の情報を持ったランドプリピットLPPを持つディファレンシャルプッシュプルのトラッキングエラー信号が得られる記録再生可能な領域(Data area)である。
この配置において、記録または再生を行う場合はtype(タイプ)1またはtype(タイプ)2を判定する必要がある。type(タイプ)1またはtype(タイプ)2の検出方法としては、ディスクを挿入し立ち上げ処理をした時点で、前記のリードイン情報を持つcontrol data zoneを再生し、この領域にtype(タイプ)1またはtype(タイプ)2が記録されていればこの値で判定する。これは、記録装置または再生装置でも同様な方法で読み出すことが出来る。また、本実施例のもう一つの例ではboundary flag zone1及びboundary flag zone2にLPPとしてtype(タイプ)1またはtype(タイプ)2が記録されているので、記録時にこの値を読み出すことによって判定する事ができる。この方法は記録装置にて記録を行う場合に適用出来る。このタイプの記録は、記録していないディスクの状態で検出が可能であればそれ以外の方法であってもかまわない。
さて、type(タイプ)1をトラック番号1のトラックから順に記録する場合(図5の左側に示すWrite Mode)、トラック番号1、トラック番号2、トラック番号8、トラック番号9のそれぞれのトラックは記録すべきトラックであり、前記のようにすべての領域のトラックの両側にはウオブルしている周波数信号があり、この周波数信号を検出してディスクを回転する速度信号を帰還して、ディスクを線速度一定の制御を行うと共に記録クロック信号を生成する。
次に、ランドに記録されているLPPを検出し、アドレス信号を生成し、この検出したタイミング信号に基づいて、このトラックの所定のリンキングタイミングで記録(図5の左側に示すWrite Modeにおいてrecording、Initial zone〜Linking loss area)を開始する。そして、トラック番号3のトラックに相当するアドレスになるリンキングタイミングで記録を中止し再生状態(図5の左側に示すWrite Modeにおいてreading)にする。
トラック番号3のトラックは記録領域が再生可能なピットで構成され、LPP信号がないが、再生可能なピットからアドレスを検出して、アドレスに基づいて再生動作を(図5の左側に示すWrite Modeにおいてreading、Control data zone(Readable emboss without LPP))トラック番号4のトラックまで行う。
次にトラック番号5、トラック番号6、トラック番号7のそれぞれのトラックはピットの信号が再生出来ないトラックであるが、この領域にはウオブル信号とLPP信号があるので、このトラックを再生中にウオブル信号とLPPアドレスを再生し、記録クロックと記録タイミングを生成し(図5の左側に示すWrite Modeにおいてreading gen wclk、Unreadable emboss with LPP)、トラック番号8以降のトラック番号のトラックで同様にリンキングタイミングで記録を開始し、以降の記録処理を行う(図5の左側に示すWrite Modeにおいてrecording、buffer zone 2〜Data area)。
ここで、type(タイプ)1ではトラックの両サイドはどのトラックも対称でありトラック番号2とトラック番号3とのそれぞれのトラック、及びトラック番号4とトラック番号5とのそれぞれのトラック、及びトラック番号7とトラック番号8とのそれぞれのトラックの境界のディファレンシャルプッシュプルによるトラッキングエラー信号は振幅の差がある程度で連続的に得ることができる。
このように、ピット領域の境界を連続的に記録することが出来るので、再生時にRF信号を連続的に得ることが出来、再生時の処理(図5の左側に示すRead Mode)は、トラッキングエラーを位相差法(DPD)(尚ディファレンシャルプッシュプルでも良い)として、トラック番号1のトラックからトラック番号9のトラックまで順に再生(図5の左側に示すRead Modeにおいてreading、Initial zone〜Control data zone(Readable emboss without LPP))する。そのとき、トラック番号5、トラック番号6、トラック番号7のそれぞれのトラックは信号が再生できないので読み飛ばして(図5の左側に示すRead Modeにおいてseek、Unreadable emboss with LPP〜buffer zone2)、その後トラック番号8以降のトラック番号のトラックを連続的に再生する(図5の左側に示すRead Modeにおいてreading、Data area)。
次に、type(タイプ)2をトラック番号1のトラックから順に記録する場合、トラック番号1、トラック番号8、トラック番号9のそれぞれのトラックは記録すべきトラックである。中間領域であるトラック番号2のトラックがtype(タイプ)1では記録可能トラックであるのに対して、type(タイプ)2においてピットのトラックである理由は、トラック番号2のトラックでは、トラックの両サイドのランドの深さが異なり、記録するために必要なウオブル信号とLPP信号が記録してあっても前のトラックのような信号振幅や信号のオフセットレベルでは、信号が得ることが出来ず記録クロックやタイミング信号が正確に得ることが出来ない可能性があるためである。
同様に中間領域であるトラック番号5のトラックもトラックの両サイドのランドの深さが異なり、記録するために必要なウオブル信号とLPP信号が記録してあっても前のトラックのような信号振幅や信号のオフセットレベルでは、正確な信号が得ることが出来ない可能性があり記録クロックやタイミング信号が正確に得ることが出来ないことがあるので、記録クロックやタイミング信号が正確に得るのは、トラック番号6以降のトラック番号のトラックで行っても良い。
順に記録処理(図5の右側に示すWrite Mode)を説明する。トラック番号1のトラックでは、前記のようにトラックの両側にはウオブルしている周波数信号があり、この周波数信号を検出してディスクを回転する速度信号を帰還して、ディスクを線速度一定の制御を行うと共に記録クロック信号を生成する。次に、ランドに記録されているLPPを検出し、アドレス信号を生成し、この検出したタイミング信号に基づいて、このトラックの所定のリンキングタイミングで記録(図5の右側に示すWrite Modeにおけるrecording、Initial zone〜boundary flag zone 1)を開始する。
そして、トラック番号2のトラックに相当するアドレスになるリンキングタイミングで記録を中止し再生状態にする。トラック番号2のトラックは記録領域が再生出来ないまたは再生可能なピットで構成されているため読み飛ばす(図5の右側に示すWrite Modeにおけるrecordingの波線部分、boundary flag zone 2)。トラック番号3のトラックは記録領域が再生可能なピットで構成され、LPP信号がないが、再生可能なピットからアドレスを検出して、アドレスに基づいて再生トラック番号4のトラックまで行う(図5の右側に示すWrite Modeにおけるreading、Control data zone(Readable emboss without LPP)〜boundary flag zone 2)。
次にトラック番号5のトラックはピットの信号が再生できない可能性があり、LPP信号は正確には再生出来ない可能性があるトラックなので読み飛ばす。次にトラック番号5、トラック番号6、トラック番号7のそれぞれのトラックはピットの信号が再生出来ない信号であるが、この領域にはウオブル信号とLPP信号があるので、このトラックを再生中にウオブル信号とLPPアドレスを再生し、記録クロックと記録タイミングを生成し(図5の右側に示すWrite Modeにおけるreading gen wclk、Unreadable emboss with LPP)、トラック番号8以降のトラック番号のトラックで同様にリンキングタイミングで記録を開始し以降の記録処理を行う(図5の右側に示すWrite Modeにおけるrecoding、buffer zone 2〜Data area)。
ここで、type(タイプ)2ではトラックの両サイドが中間領域である2と5のトラックも非対称でありこの境界のトラックでは、プッシュプル方式のトラッキングエラー信号は振幅の差やオフセットを生じてしまい正確に記録または再生が出来ないが、ディファレンシャルプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号は振幅の差がある程度の許容できる範囲で連続的に得ることができる。
このように領域を配置すればピット領域の境界を連続的に記録することが出来るので、再生時にRF信号を連続的に得ることが出来、再生時の処理(図5の右側に示すRead Mode)は、トラッキングエラーを位相差法(DPD)(尚ディファレンシャルプッシュプルでも良い)として、トラック番号1のトラックからトラック番号9のトラックまで順に再生する。この際、type(タイプ)2ではトラック番号2、トラック番号5、トラック番号6、トラック番号7のそれぞれのトラックは信号が再生できないので読み飛ばして(図5の右側に示すRead Modeにおけるseek、Initial zone〜boundary emboss zone 1、boundary flag zone 2〜buffer zone 2)、その後、トラック番号3、トラック番号4、およびトラック番号8以降のトラック番号のそれぞれのトラックを連続的に再生する(図5の右側に示すRead Modeにおけるreading、Control data zone(Readable emboss without LPP)〜boundary flag zone 2、Data area)。
また、仮に、type(タイプ)1とtype(タイプ)2のタイプを検出出来ないでtype(タイプ)1としてしまった場合、または誤ってtype(タイプ)2をtype(タイプ)1と検出した場合も、本案は有効である。つまりその場合、記録の場合に、トラック番号2のトラックに記録装置は記録処理を行おうとするが、トラック番号2のトラック番号では、ウォブル信号は検出できても正確にLPPが検出出来ないことになるので記録は途中で中止される。又は信号処理回路にてLPP信号の補完処理を行いながら記録処理が行われる。仮に、トラック番号2のトラックをすべて記録してしまった場合も、このトラックの再生時には、この領域からトラッキングエラー信号を得ることが出来るので、トラック番号2のトラックから再生信号は読み出せないが問題なく連続的な再生が可能である。トラック番号5のトラックもLPP信号が読み出せない可能性はあるが、次のトラックからは読み出されるので問題なく記録再生を行うことが出来る。
図10は、本発明の第3の実施例である情報記録媒体のリードイン領域とデータ領域とを説明するための図である。図5に示したtype(タイプ)2のbuffer zone1が、図10においてはunreadable emboss with LPP boundary flag 1になっている点が異なる。この場合も全ての領域でウォブル信号が記録されており全ての領域でウォブル信号を得ることができる。このディスクをtype(タイプ)3とする。type(タイプ)3の記録および再生動作に関しては図10の右側にそれぞれWrite ModeおよびRead Modeで示してある。この動作に関しては、unreadble emboss with LPP boundary flag 1を除きtype(タイプ)2と同じであるので、重複する動作の説明は省略するが、type(タイプ)2と異なる動作の説明は以下の通りである
。
unreadable emboss with LPP boundary flag 1の領域は、unreadable emboss with LPP領域と同じで、この領域の中のLPPの中に、boundary flag 1が書き込んである点が異なる。図10では、buffer zone1に記録すべきところを、unreadable emboss領域としているので、その前のreference code zoneで記録を終了し、再生動作に切換えることになる。なお、type(タイプ)1に関しては図5に示したtype(タイプ)1と同じであるのでその説明を省略する。
図11は、本発明の第4の実施例である情報記録媒体のリードイン領域とデータ領域とを説明するための図である。この場合も全ての領域でウォブル信号が記録されており全ての領域でウォブル信号を得ることができる。図11に示したtype(タイプ)4およびtype(タイプ)5は、図5に示したtype(タイプ)2のboundary emboss zone1とboundary emboss zone2を、図5に示したtype(タイプ)1とtype(タイプ)2とにおいて同じアドレス位置に配置したものである。boundary emboss zone 1とboundary emboss zone 2は、上述したように、図11右側に示した対照表をに示してあるとおりエンボスピットで構成されている領域であり、type(タイプ)4ではウオブル及びLPPは記録されているが、type(タイプ)5ではウオブルは記録されいるがLPPは記録されていなくてもよい。または、LPPは記録されていても精度良く読み出すことが出来ない領域である。また、この領域のエンボスピットはデータが再生できても出来なくてもよい。type(タイプ)4又はtype(タイプ)5であることを示す識別情報をLPP、または読み出し可能なcontrol data zone等の再生専用領域に予め記録しておく。
このようなフォーマットにすることにより、図11の記録動作(Write Mode)及び再生動作(Read Mode)は図11の左側に示したように、記録動作(Write mode)はlinking loss areaまで記録(recording)し、再生モード(reading)に切換え、unreadable emboss with LPP領域からウオブル信号を再生し、記録のためのクロックを生成し、LPPからアドレス信号を生成し記録のタイミングを生成し(reading gen wclk)、次にbuffer zoneから再度記録(recording)を再開する。なお、再生動作は前記の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
このように、type(タイプ)4でもtype(タイプ)5でも全く同様な記録再生方法にて、適用できるので、装置の設計が容易となるメリットを奏する。ただし、前記したように、type(タイプ)4の場合は、トラッキング信号はプッシュプルやディファレンシャルプッシュプルでもほぼ問題ないが、type(タイプ)5の場合は、トラッキング信号はディファレンシャルプッシュプルではほぼ問題ないが、プッシュプルではboundary emboss zone 1とboundary emboss zone 2を連続して通過することが難しいので、type(タイプ)4又はtype(タイプ)5である識別情報をLPPまたは読み出し可能なcontrol data zone等の再生専用領域に予め記録しておくことで、それぞれのディスクにあった対応が可能である。
上述した各実施例で説明したディスクのtype(タイプ)を分類すると、type(タイプ)1とtype(タイプ)4とが同じグループになるので、以下の説明ではこれをtype(タイプ)1をその代表として説明する。また、type(タイプ)2、type(タイプ)3、type(タイプ)5とが同じグループになるので、以下の説明ではこれをtype(タイプ)2をその代表として説明する。 このような構成にすることによって、type(タイプ)1とtype(タイプ)2の2つの異なる製造方法が許容でき、かつ記録及び再生時にはトラッキングエラー信号が連続的に得ることが出来るので、記録及び再生時を中断することなく連続的に行うことが出来、従来発売しているDVD−ROMやDVDビデオ再生装置等に影響することなく、DVD−RWの付加価値を高めるものである。
なお、上記実施例は、再生専用領域と記録領域との間または、再生専用領域と再生専用領域との間に中間領域である1トラックのピット領域からなるboundary emboss zone1とboundary emboss zone2を設けたが、2トラック以上の領域であってもかまわないことは勿論である。図5で分かるようにtype(タイプ)1とtype(タイプ)2の差はごくわずかであり、記録領域と再生専用領域の境界領域であるboundary emboss zone1と第一の再生専用領域と第二の再生専用領域の境界領域であるboundary emboss zone2を、境界領域として、アドレスが正確に検出出来ない場合は記録しなくても良い領域、または、再生信号が正確に読み出せなくてもよい領域というように定義すれば、type(タイプ)1とtype(タイプ)2は共通のフォーマットとする事ができる。ここで用いている名称は一実施例であって、本発明は本実施例における製造方法や訂正フォーマットやディスク構造等に限定されるものではない。
図12は、本発明の第5の実施例である情報記録媒体のリードイン領域とデータ領域とを説明するための図である。この場合も全ての領域でウォブル信号が記録されており全ての領域でウォブル信号を得ることができる。図12に示したtype(タイプ)6およびtype(タイプ)7は、図11に示したtype(タイプ)4のboundary emboss zone1をboundary zone1として、type(タイプ)6では、この領域をウオブル及びLPPは記録されている記録可能なグルーブ領域とし、type(タイプ)7では、この領域をウオブルは記録されていえるがLPPは記録されていないエンボスピット領域とし、boundary emboss zone2を、図11に示したboundary emboss zone1と2と同様なウオブル及びLPPは記録されているエンボスピット領域とし、タイプ7の場合はLPPが記録されいてもLPPが精度良く読めなくてもよい領域である。type(タイプ)6又はtype(タイプ)7であることを示す識別情報をLPP、または読み出し可能なcontrol data zone等の再生専用領域に予め記録しておく。
このように領域を定義すれば、type(タイプ)6とtype(タイプ)7は共通のフォーマットとする事ができる。この時、この領域を記録する場合と再生する場合があるので、この領域にLPPのアドレス信号は無くてもウオブル信号を予め記録しておくと、スピンドルの速度信号を生成でき、LPPのアドレス信号を回路的に補完して記録をすることが可能である。実際には、boundary zone1の記録の場合、タイプ6の場合は表に記載されているように2つのECCブロックの後半のECCブロックをLinking Loss Areaとしてここまで記録を行い、タイプ7の場合は、前半のECCブロックをLinking Loss Areaとしてここまで記録を行う。
またboundary emboss zone2にも同様な理由で、ウオブル信号を予め記録しておくと、記録を行うための記録クロックの連続的な生成や、スピンドルの速度信号を生成できtype(タイプ)6とtype(タイプ)7とで、互換性を維持して記録再生処理が可能である。この場合には中間領域では、プッシュプル信号にオフセットが発生し、ウオブル信号にもDC的にオフセットが発生するが、このオフセット信号はバンドパスフィルターを通過させる等の方法を用いれば、ウオブル信号は欠落なく連続的に得られるか又は短時間のウオブル信号の欠落にすることが出来るので、ウオブル信号の連続性をを回路的に補完することで、この影響を除去する事ができる。このような構成にすることによって、記録再生を行う際により互換性を維持し、2つのディスクの製造方法を可能にし、このようなフォーマットの発展及び普及に寄与するものである。
尚、全ての実施例に共通することであるが、boundary emboss zone1またはboundary zone1は円盤状のディスクの一周分が中間領域のピットして形成されるが、中間領域として配置している2ECCブロックは、その一周分よりも少し大きな領域になっている。そこで、後半のECCブロックの数セクターまたは数シンクフレームは次の領域であるコントロールデータゾーンと同じように読み出し可能な領域である。そして、この領域は少なくとも2シンクフレーム確保されているので、コントロールデータゾーンを再生しようとした場合に、この間で再生信号のPLLの引き込みやシンク検出を行うことによりコントロールデータゾーンを最初から正確に読みfだすことが出来る。boundary emboss zone2も同様に、中間領域として配置している2ECCブロックは、その一周分よりも少し大きな領域になっている。
そこで、後半のECCブロックの数セクターまたは数シンクフレームは次の領域であるアンリーダブルエンボスゾーンと同じようにウオブル信号とLPP信号が読み出し可能な領域である。
このようなフォーマットにすることにより、図12の記録動作(Write Mode)及び再生動作(Read Mode)は図12の左側に示したように、前記実施例と同様な処理については説明を省略するがLPPまたはコントロールデータ領域に記録されているタイプ6または7の情報を取得し、タイプ6の場合は、記録動作(Write mode)はboundary zone1の最後のECCブロックをlinking loss areaとし、ここまで記録(recording)し、再生モード(reading)に切換え、unreadable emboss with LPP領域からウオブル信号を再生し、記録のためのクロックを生成し、LPPからアドレス信号を生成し記録のタイミングを生成し(reading gen wclk)、次にbuffer zoneから再度記録(recording)を再開する。タイプ7の場合は、記録動作(Write mode)はboundary zone1の手前の最後のECCブロックをlinking loss areaとし、ここまで記録(recording)し、再生モード(reading)に切換え、unreadable emboss with LPP領域からウオブル信号を再生し、記録のためのクロックを生成し、LPPからアドレス信号を生成し記録のタイミングを生成し(reading gen wclk)、次にbuffer zoneから再度記録(recording)を再開する。また、仮にLPPまたはコントロールデータ領域に記録されているタイプ6または7の情報を取得しないでタイプ6であると仮定してタイプ7の媒体をタイプ6の方法で記録する場合も、ウオブル信号が連続的に得られるのでこの信号を基にして、LPP信号が得られない場合でも連続的に記録を行うことも可能である。この場合には、この領域を再生すると記録した信号を読み出すことは出来ないが、1トラックの情報であり、かつ、重要な情報領域の情報では無いので支障は発生しない。なお、その他の再生動作は前記の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
図13は、本発明の第6の実施例である情報記録媒体のカッティング状態の概念を説明するための図である。図13は、本発明の前記の説明の中で、底面が同一の深さ(位置)で構成されているのに対して、第6の実施例は、図13の底面が異なる案内溝としている中間領域にいて、ピット列領域と、案内溝領域の底面が案内溝方向からピット列方向に向かうに従って、所定の傾斜で徐々に浅くなり、再度ピット列での底面は、案内溝の底と同一面になるように構成している。従来の方法に対して、このように作製するための方法の変更部分は概略以下のように行う。
底面がガラス原盤表面にある案内溝とピット列の切り替わり部分においては、初期条件としてガラス原盤の表面まで露光した案内溝とランドプリピットをカッティングする条件を用いる。レーザー(光)Aはウォブル信号が含まれている。ウォブル信号は、レジスト盤上で15nmの振幅となるように光偏光器で、レーザー光が左右に振られていた。カッティングされる案内溝の幅が0.3μmとなり、溝深さが約30nmとなるようなレーザー光強度とした(PA3)。一方、レーザー(光)Bは所望のランドプリピットが形成されるレーザー光強度(PB3)とし、カッティングされるランドプリピットに深さが約30nmとなるように設定した。カッティングは線速一定とした。ターンテーブルは、レジスト盤が1回転する間がトラックピッチ相当分であり、0.74μmでレジスト盤の内周から外周に等速移動するように制御した。ひき続き、ここでは3トラックの傾斜部分をカッティングする間にそれぞれのレーザー出力を連続的に変化させた。このときレーザー(ビーム)Aはガラス原盤表面に至らない底面を持つ案内溝を記録するのに適したレーザー強度に至る様制御した。このとき案内溝の底面はガラス原盤の表面まで露光しない。ウォブル信号は、レジスト盤上で15nmの振幅となるように光偏光器で、レーザー光が左右に振られている。カッティングされる案内溝の幅は0.3μmとなり、溝深さは約30nmとなるようなレーザー光強度とする。レーザー(ビーム)Bは案内溝部横にランドプリピット形成に必要なレーザー強度に連続的に至るよう制御する。
同様にピット列と底面がガラス原盤表面にある案内溝との切り替わり部分は、初期条件としてレーザー(ビーム)Aはガラス原盤表面に至らない底面を持つ案内溝を記録するのに適したレーザー強度によりここでは3トラック傾斜をカッティングする間、ガラス原盤の表面まで露光した案内溝を記録するのに適したレーザー強度へ連続的に至るよう制御する。同様にレーザー(ビーム)B光は所望のランドプリ ピットが形成されるレーザー光強度から、3トラック傾斜をカッティングする間にカッティングされるランドプリピットに深さが約30nmとなるように設定したレーザー強度へ連続的に変化させる。
このように方法で作製したディスクの傾斜を持った記録可能な中間領域のトラックは、前記実施例で説明しているように、トラッキング方式としてのプッシュプル方式、ディファレンシャルプッシュプル方式でも多少のオフセットは発生するかもしれないが、このトラックで記録再生が可能である。従って、前記実施例のようにプッシュプル方式において記録が出来ないために、プリピットで構成する必要も無いでの記録可能領域とする事が出来る。また、この領域に記録した後には、ディファレンシャルフェイズディテクト(DPD)方式で、オフセット等の発生がほとんど無く安定にトラッキングを行うことが出来る。前記実施例では、ピット領域からなる中間領域を上書きしてしまった場合や、中間領域のピット形状によっては、ディファレンシャルフェイズディテクト(DPD)方式で、オフセット等が発生する場合があったが、本実施例では、この問題の発生が解決出来る。また、この中間領域にはウオブル信号もLPPのアドレス信号も予め作製しておくことが出来るので、書き込みすべき信号の記録動作もほぼ正確に行うことが出来、同様に再生信号の再生動作も安定に行うことが出来る。
図14は、本発明の第6の実施例である情報記録媒体のリードイン領域とデータ領域とを説明するための図である。この場合も全ての領域でウォブル信号が記録されており全ての領域でウォブル信号を得ることができる。図14に示したtype(タイプ)6は図12に示したtype(タイプ)6と実質的に同じであり、図14に示したtype(タイプ)8は、図12に示したtype(タイプ)7のboundary zone1の中で、この領域をウオブルは記録されていえるがLPPは記録されていないエンボスピット領域としているのに対して、type(タイプ)8では、前記のように傾斜していてウオブル及びLPPが記録されている記録可能なグルーブ領域とし、この領域のLPPは配置されいてもLPPが精度良く読めなくてもよい領域である。boundary emboss zone2を、図12に示したboundary emboss zone2と同様なウオブル及びLPPは記録されているエンボスピット領域とし、タイプ8の場合はLPPが記録されいてもLPPが精度良く読めなくてもよい領域である。type(タイプ)6又はtype(タイプ)8であることを示す識別情報をLPP、または読み出し可能なcontrol data zone等の再生専用領域に予め記録しておく。例えば、識別情報をLPP情報のDisc Physical codeのMedia type3(メディアタイプ)に0:boundary無し 1:boundary有り として定義することができる。
このように領域を定義すれば、type(タイプ)6とtype(タイプ)8は共通のフォーマットとする事ができる。この時、この領域を記録する場合と再生する場合で、この中間領域において仮にLPPのアドレス信号を検出出来なくてもウオブル信号から、スピンドルの速度信号を生成でき、LPPのアドレス信号を回路的に補完して記録をすることが可能である。実際には、boundary zone1の記録の場合、タイプ6の場合もタイプ8の場合も2F1F0hのECCブロックをLinking Loss Areaとしてここまで記録を行う。
またboundary emboss zone2にも同様な理由で、ウオブル信号を予め記録しておくと、記録を行うための記録クロックの連続的な生成や、スピンドルの速度信号を生成できtype(タイプ)6とtype(タイプ)8とで、互換性を維持して記録再生処理が可能である。この場合には中間領域では、プッシュプル信号にオフセットが発生し、ウオブル信号にもDC的にオフセットが発生するが、このオフセット信号はバンドパスフィルターを通過させる等の方法を用いれば、ウオブル信号は欠落なく連続的に得られるか又は短時間のウオブル信号の欠落にすることが出来るので、ウオブル信号の連続性をを回路的に補完することで、この影響を除去する事ができる。このような構成にすることによって、記録再生を行う際により互換性を維持し、2つのディスクの製造方法を可能にし、このようなフォーマットの発展及び普及に寄与するものである。
このようなフォーマットにすることにより、図14の記録動作(Write Mode)及び再生動作(Read Mode)は図14の左側に示したように、前記実施例と同様な処理については説明を省略するがLPPまたはコントロールデータ領域に記録されているタイプ6または8の情報を取得し、タイプ6と8の場合は、記録動作(Write mode)はboundary zone1の最後のECCブロックのlinking loss areaとし、ここまで記録(recording)し、再生モード(reading)に切換え、unreadable emboss with LPP領域からウオブル信号を再生し、記録のためのクロックを生成し、LPPからアドレス信号を生成し記録のタイミングを生成し(reading gen wclk)、次にbuffer zoneから再度記録(recording)を再開する。また、タイプ8でboundary zone1に記録を行う場合に、トラッキングエラーとしてプッシュプル方式を用いる場合には、トラッキングエラー信号に許容できる範囲のオフセット信号が発生するので、この領域を記録する場合にのみ予めオフセットを値を測定しておき、この値に応じてオフセットをキャンセルするように制御することにより、より正確に記録を行うことができる。また、仮にLPPまたはコントロールデータ領域に記録されているタイプ6または8の情報を取得しないでタイプ6であると仮定してタイプ7の媒体をタイプ6の方法で記録する場合も、ウオブル信号が連続的に得られるのでこの信号を基にして、LPP信号が得られない場合でも連続的に記録を行うことも可能である。
ここで説明したboundary zone1や2の表現は、実質的に深さの異なる領域間で挟まれた領域であるのでこのように表現しているが、異なる表現方法としては、通常のデータ領域と表現しても良い。特にタイプ6とタイプ8との差は僅かであり、通常のデータ領域と表現しておき、その中のデータの特性として、例えばタイプ6の再生信号のジッタは8%以下であるが、タイプ8の再生信号のジッタは10%以下であるとか、タイプ6のLPP再生信号のエラーレートはa%以下であるが、タイプ8のLPP再生信号のエラーレートはb%以下であるとか、タイプ6のトラッキング信号のオフセットはc%以下であるが、タイプ8のトラッキング信号のオフセットはd%以下であるとかのデータの違いをタイプの差として定義しても良い。また、異なる表現方法としては、通常のデータ領域に対して定義されている規格値を、タイプ6とタイプ8共に、この領域については正確には定義しないことにより、2つのタイプを共通に表現する方法がある。また、この実施例では、boundary zone1の領域を徐々に深さを変えるように構成したが、boundary zone2についてもピットで構成することのみ異なるが同様に、徐々に深さを変えるように構成しても良い。
本発明の第7の実施例では図14の実施例の内容に相当するものを図5のタイプ1の形として定義する場合を説明する。図14及び図5の説明は説明済みであるので省略するが、相違点は以下である。
つまり、大きな視野で相違点を考えた場合に図14に示したtype(タイプ)6は図12に示したtype(タイプ)6と、図5に示したtype(タイプ)1と領域の名称を変更しているだけで実質的に同じであり、図14に示したtype(タイプ)8は、boundary zone1を、前記のように傾斜していてウオブル及びLPPが記録されている記録可能なグルーブ領域とすれば、逆にタイプ1のbuffer zone1と同じ領域であるので、buffer zone1と定義することができる。同様に、図14に示したboundary emboss zone2も、ウオブル及びLPPは記録されているエンボスピット領域であるので、unreadable emboss with LPP領域と同じ領域であるので、unreadable emboss with LPP領域と定義することができる。
この定義により、図14のタイプ6及びタイプ8は、図5のタイプ1と同じ図とすることができる。尚、図14に説明されているタイプ6及びタイプ8を示すフラグは存在しない。但し、この図14の位置関係として2つのboundary zoneが存在していた2つの境界領域(この境界トラックとは、記録可能領域のトラック又はピットで構成された再生専用のトラックの境界付近の1トラック又は数トラック)では、前記のようにトラッキングエラー信号の中で特にプッシュプルトラッキングエラー信号が通常の信号領域の振幅レベルやオフセットレベルとは異なる場合がある。
このプッシュプルトラッキングエラー信号の振幅は、記録可能領域と、再生専用領域とでは元々振幅レベルが異なり、それぞれの領域で定義されているが、この境界領域では図15のように、特にトラッキングオフ時においてトラックを横切る時の記録可能領域のプッシュプルトラッキングエラー信号の振幅を、中心電圧を基準に、上方向のピーク値P1と下方向のピーク値P2とし、境界付近の領域の中心電圧を基準に、上方向のピーク値P3と下方向のピーク値P4とした時に、
P3/(P1+P2)>0.2及び
P4/(P1+P2)>0.2とする。
この0.2の数値は、プッシュプルトラッキングエラー信号の振幅が小さくなった場合にも、この領域を記録または再生する場合にトラッキング等の制御が不安定にならないために必要な値である。なお、この0.2の値は測定法などで変動する要因があるので、0.15から0.3程度の範囲が望ましい。
例えば、この境界領域以外の記録可能領域ではプッシュプル信号の振幅のオフセット量がアシンメトリーの規格として(P1−P2)/(P1+P2)という数式を用いて値が定義されている。この式を用いて、境界領域を定義しようとした場合には、図15のように、P3とP4との振幅が対称であり、振幅が限りなく小さい場合には、(P1−P2)/(P1+P2)の式は満足するが、トラッキングサーボが不安定になることがある。また、逆に図15のように、P3とP4との振幅が対称であり、トラッキングサーボが安定な範囲で振幅が小さい場合にも、(P1−P2)/(P1+P2)の値によって、満足できないディスクになり、ディスクの製造マージンを悪化させる要因になる。従って、この新しい式を導入してこの領域を定義することが、本方式のディスクにとって最も好ましいものである。
このようなフォーマットにすることにより、図5の記録動作(Write Mode)及び再生動作(Read Mode)は図5の左側に示したように行われるが、この種類のディスクであると判断された段階で、記録動作(Write mode)は、まずboundary zone1の最後のECCブロックのlinking loss areaとし、ここまで記録(recording)する。但し、前記のようにこのlinking loss areaの付近の領域は境界領域であり、トラッキングエラー信号の振幅が小さい場合、トラッキングエラー信号のオフセットレベルが他のトラックと異なっている可能性があるので、この領域を記録する時だけトラッキング制御時のゲインやオフセット制御値を変更することにより安定に記録制御を行うことが出来る。また、この領域のトラッキングエラー信号のオフセットレベルを予め測定して、学習した結果によって前記制御値を変更してもかまわない。次に、再生モード(reading)に切換え、コントロールデータ領域を再生し、unreadable emboss with LPP領域からウオブル信号を再生し、記録のためのクロックを生成し、LPPからアドレス信号を生成し記録のタイミングを生成し(reading gen wclk)、次にbuffer zoneから再度記録(recording)を再開する。この、コントロールデータ領域からunreadable emboss with LPP領域の間も境界領域であり、この時も前記同様に、トラッキングエラー信号の振幅が小さい場合、トラッキングエラー信号のオフセットレベルが他のトラックと異なっている可能性があるので、この領域を再生する時だけトラッキング制御時のゲインやオフセット制御値を変更することにより安定に記録制御を行うことが出来る。また、この領域のトラッキングエラー信号のオフセットレベルを予め測定して、学習した結果によって前記制御値を変更してもかまわない。次に、図5の再生動作(Read Mode)は、この種類のディスクであると判断された段階で、まずコントロールデータ領域を再生する場合には、boundary zone1の最後のECCブロックのlinking loss area付近に移動して、コントロールデータ領域の最初の領域を再生するのが通常の方法であり、その場合に、前記のようにこのlinking loss areaの付近の領域は境界領域であり、トラッキングエラー信号の振幅が小さい場合、トラッキングエラー信号のオフセットレベルが他のトラックと異なっている可能性があるので、この領域を再生する時だけトラッキング制御時のゲインやオフセット制御値を変更することにより安定に記録制御を行うことにより通過する事が出来る。また、この領域のトラッキングエラー信号のオフセットレベルを予め測定して、学習した結果によって前記制御値を変更してもかまわない。なお、この領域は、情報としては全て0データ等の意味を持たない情報で記録されているから、仮に再生したデータがエラーになったとしても、読み飛ばしてかまわない。コントロールデータ領域を再生し、必要なリードイン情報やコピープロテクトに関する情報を取得した後に、データ領域に移動し、コンテンツの再生処理を行う。
なお、ここで用いている製造方法、構成、名称は一実施例であって、本発明は本実施例における製造方法や訂正フォーマットやディスク構造等に限定されるものではない。