以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態では記録再生ヘッドスライダとして磁気ヘッドスライダを、また記録再生装置として磁気ディスク装置を、それぞれ例にとって説明する。
図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示す記録再生ヘッドスライダの背面図,断面図,斜視図である。
まず、本発明が適用される磁気ディスク装置の概略について図58を参照して説明する。
情報を記録再生するための磁気ディスク(記録媒体)101は硬質の円板からなり、スピンドルモータ102に装着されて一定速度で回転駆動される。磁気ディスク101に対して微小な隙間を介して浮上する磁気ヘッドスライダ1は、記録再生を行う磁気ヘッド(図示せず)を搭載している。なお、磁気ヘッドスライダ1は金属薄板からなるサスペンション104の先端に取り付けられている。
サスペンション104は、金属もしくは樹脂などで成形されたアーム105の一端に接続されている。アーム105の他端にはコイルボビン(図示せず)が形成されており、このコイルボビンには平面状に巻装された駆動コイルが固定されている。そしてこの駆動コイルを上下方向から挟み込むよう、永久磁石およびヨークからなる磁気回路106が配置され、駆動コイルとともにボイスコイルモータを構成している。磁気回路106からの磁束と駆動コイルへの通電によってローレンツ力が発生し、回転軸107を中心にアーム105を回動駆動する。
そして、磁気ディスク101上での磁気ヘッドの位置決めは、磁気ディスク101に書き込まれたサーボ情報を磁気ヘッドにより読み出し、この情報をボイスコイルモータにフィードバックする位置決めサーボ系により行われる。位置決めサーボ系によって駆動コイルへの供給電流を調節し、磁気ヘッドの位置を制御することにより情報の記録再生を行う。
これらの各構成部品は、位置決めサーボ制御に必要な半導体素子などの電気部品とともに筺体108内に収納されている。また上部からは金属薄板からなるカバー109により覆われて、装置全体は気密に密閉された構造となっている。
このように構成された磁気ディスク装置は、筺体108の外部に突出した端子群110を介してコンピュータ本体と電気的に接続することが可能となっている。
そして本実施の形態においては、上記磁気ヘッドスライダ1は図1乃至図3に示すように構成されている。
この磁気ヘッドスライダ1は、磁気ディスク101と対向する側の面に第1のスライダ部2と第2のスライダ部3が互いに平行に設けられたテーパフラット型をなし、第1のスライダ部2の後端部付近すなわち空気流出端付近には、磁気ディスク101に対する情報の記録再生のための電気信号を磁気信号に変換する記録再生ヘッド(記録再生部)4が配置されている。記録再生ヘッド4としては、例えばMR(Magneto−Resistant)ヘッドやインダクティブヘッド等が用いられる。この記録再生ヘッド4の下方には磁気ディスク101に磁束を供給する接触端5が形成され、この接触端5を介して磁気ディスク101と接触可能に構成されている。
なお、第1のスライダ部2と第2のスライダ部3は、磁気ヘッドスライダ1と一体的に製作されており、例えばシリコンウエハーを異方性エッチングするなどの方法が採用されている。また、記録再生ヘッド4は磁気ヘッドスライダ1に対して蒸着やエッチングなどの方法により形成されている。
ここで図1に示されるように第1のスライダ部2と第2のスライダ部3は矩形形状をなし、第1のスライダ部2は第2のスライダ部3と比較して例えば1/2以下の幅(1/2以下の面積)に形成されている。これによって第1のスライダ部2で発生する流体力が第2のスライダ部3で発生する流体力に比べて十分に小さくなるように構成されている。
また図2に示すように、第1のスライダ部2の側部と第2のスライダ部3の中央部とはlhの長さとなるように形成され、後述するピボット位置7は第1のスライダ部2の側部からlpの長さとなるように形成されている。
ここで、磁気ヘッドスライダ1の側面から見た場合、第2のスライダ部2には図4(図1中のA−A線断面図)に示すような分布圧力8が発生している。この分布圧力8は等価的に見れば矢印で示すfh2の力が作用していることと同じであるが、分布圧力8は磁気ディスク101との相対速度に依存するため、図中X方向にわずかに移動する。しかしながら、図2に示す方向から見た流体軸受力fh2の位置は速度に依存することなく、常にほぼ第2のスライダ部3の中央位置にある。
一方、第1のスライダ部2に発生する分布圧力9は図5(図1中のB−B線断面図)に示すように、第2のスライダ部3で発生する分布圧力8(図4)と比較し非常に小さく、等価的にはわずかな流体軸受力fh1が発生している。なお、第1のスライダ部2にはさらに、接触端5にて磁気ディスク101からの反力である接触力fcを受けている。
そして、磁気ヘッドスライダ1に作用する全ての力、すなわち、流体軸受力fh1,fh2、接触力fc、押付け力Fは、図3に示されるように釣合っている。そしてこの力の釣合から接触力fcを求めることができる。本発明では、上述のとおり、第1のスライダ部2が第2のスライダ部3と比較して例えば1/2以下の幅(1/2以下の面積)に形成されているため、第1のスライダ部2の流体軸受力fh1が第2のスライダ部3の流体軸受力fh2と比較して十分に小さくなる。そのため、第1のスライダ部2の流体軸受力fh1を無視することができ、流体軸受力fh2と接触力fcと押付け力Fの力の釣合により接触力fcを定めることができる。つまり磁気ヘッドスライダ1の力の釣合いは図2に示す方向から見た力の釣合に帰着することになる。
先に示したように、図2に示す方向から見た流体軸受力fh2の位置は磁気ディスク101との相対速度に依存しない。そのため、結果として以下のような関係が成り立つことになる。
ここで、ピボット7の形成される位置は第2のスライダ部3側に寄った位置である。そのため接触力fcは、サスペンション104からの押付け力Fを(lh−lp)/lhの比で縮小した値であり一定値となる。
通常であれば、図59からも明らかなように、流体軸受力fhの位置がズレると押付け力Fの位置が近いために押付け力Fが大きく変動することになってしまう。しかしながら本発明の場合は、得られる接触力fcを小さくするためにサスペンションの押付け力Fの位置を第2のスライダ部3の近くに設定することにより、例えば磁気ディスク101との相対速度が変化したとしても、押付け力Fが変動しないという点に特徴がある。したがって、lhの値を自由に大きくして接触力fcを小さく設定することが可能となる。
次に、ピボット7の形成される位置に関して説明する。
図6に示されるように、サスペンション104の先端部にはジンバル10が取付けられ、ジンバル10の先端部に磁気ヘッドスライダ1が接着などの手段により固定されている。ジンバル10は平面状の金属製板バネからなり、磁気ディスク101の面とほぼ平行となるように固定されている。したがって面内方向には十分な剛性を有するが、傾き方向および曲げ方向には柔軟な構造となっている。
磁気ヘッドスライダ1の磁気ディスク101面と反対側の面には、図7に示すように、磁気ヘッドスライダ1と一体的に突起部11が形成されている。突起部11は略四角錐に形成されており、その頂点部分がピボット7の位置となる。そして、図8に示すように、突起部11の先端部分(頂点部分)を介してサスペンション104の先端から磁気ヘッドスライダ1に対して所定の押付け力Fを付与する構成になっている。
このような構成を採用することにより、サスペンション104からの押付け力Fは突起部11の先端にのみ作用し、しかも押付け力Fの位置はサスペンション104やジンバル10や磁気ヘッドスライダ1の取付け位置にかかわらず突起部11の先端位置にのみ依存することになる。
また、突起部11は磁気ヘッドスライダ1の製作過程でエッチングにより一体的に形成することができるので、精度の高いピボット7位置が得られ、結果として接触端5の接触力fcを精度良く設定できることになる。
なお、突起部11の形状は図7(b)に示したように半球状の形状としてもよく、やはり同様の効果を期待することができる。
以上説明したような本発明によれば、磁気ヘッドスライダが磁気ディスク上をその半径方向に移動したり、あるいは磁気ディスクの振動や装置に加わる衝撃などによる慣性力の変化があった場合であっても、磁気ディスクと磁気ヘッドとの接触力が変動してしまうことがなく、両者の接触状態を安定に保つことが可能となる。
続いて、図9乃至図11を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。ここで、図9は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図10は図9中のC−C線断面図、図11は斜視図である。なお、以下の各実施の形態においては、前述の第1の実施の形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
第1の実施の形態では、記録再生ヘッド4が形成された第1のスライダ部2に作用する流体力を小さくするために、第1のスライダ部2の幅を第2のスライダ部3よりも狭く設定した。これに対して第2の実施の形態では、第1のスライダ部2の長さを短くして同様な効果を得ようとするものである。
すなわち、第1のスライダ部2の長さを短くすることで第1のスライダ部2の流体軸受力fh1を第2のスライダ部3の流体軸受力fh2と比較して十分に小さくすることができる。そのため本実施の形態でも、第1のスライダ部2の流体軸受力fh1を無視することができ、したがって流体軸受力fh2と接触力fcと押付け力Fの力の釣合により接触力fcを定めることができるようになる。
なお、磁気ディスク101に対向する第1のスライダ部2の面積を、第2のスライダ部3の面積よりも小さく設定することにより、これら実施の形態と同様の効果を期待することができる。この場合、第1のスライダ部2と第2のスライダ部3のそれぞれの表面形状は必ずしも矩形である必要はなく、任意形状に設定することが可能である。
また、第1の実施の形態では、ピボット7の位置を定める突起部11の形状が略四角錘であった。これに対して第2の実施の形態では、突起部11の形状が第2のスライダ部3の長手方向に延びた形状になっている。そして、ピボット7の位置を定める突起部11の先端形状も第2のスライダ部3の長手方向に長い形状になっている。そのため、突起部11の先端部分に対する摩耗や衝撃による破損の危険性を少なくすることができるようになる。
なお、突起部11の先端形状が長いため、ピボット7の長手方向の位置は変化しやすくなるが、長手方向(空気の流れる方向)から見たピボット7の位置は常に一点となる。そのため、押付け力Fと第2のスライダ部3の流体軸受力fh2と接触力fcの比率にはほとんど影響がなく、したがって本実施の形態の場合も上述した(式3)が成り立つことになる。
なお、突起部11の形状は図11(b)に示したように半円柱状の形状としてもよく、やはり同様の効果を期待することができる。
続いて図12および図13を参照して本発明の第3の実施の形態を説明する。ここで、図12は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図13は断面図である。
本実施の形態が第1および第2の実施の形態と異なる点は、磁気ヘッドスライダ1の形状にある。すなわち、第2のスライダ部3を挟んで第1のスライダ部2と反対側に、カウンタウエイト12を設けた点にある。なお、このカウンタウエイト12は第1のスライダ部2および第2のスライダ部3とともに、エッチングなどにより一体成形されている。
そして、カウンタウエイト12を設けることによって、磁気ヘッドスライダ1全体の重心位置がほぼ第2のスライダ部3上となるように設計されている。
このように構成された場合、装置全体に衝撃力が加わったとしても、衝撃加速度により発生する慣性力は重心が存在する第2のスライダ部3上に作用する。そのため、力の釣合を考えると、その衝撃力とバランスする力は全て第2のスライダ部3で発生することになる。
したがって、外部からの衝撃力が加わった場合においても、接触力fcの変動がほとんどなくなり、記録再生ヘッド4の長寿命化を可能にするといった実用上多大な効果が得られる。
続いて図14および図15を参照して本発明の第4の実施の形態を説明する。ここで、図14は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図15は断面図である。
本実施の形態の特徴は、第3の実施の形態のカウンタウエイト12の端部にさらに第3のスライダ部13を設けた点にある。第3のスライダ部13の表面状態は第1のスライダ部2および第2のスライダ部3と同様に仕上げられているが、その幅および長さは図示の形態以外の状態に設定してもよい。
このようにカウンタウエイト12側に第3のスライダ部13を設けることにより、不測の事態によって押付け力Fと第2のスライダ部3で発生する流体軸受力fh2と接触力fcとの力のバランスが崩れてしまった場合であっても、カウンタウエイト12が磁気ディスク101面に直接衝突することが防止される。そしてその結果、磁気ディスク101上の記録情報を損傷する危険性を極めて低く抑え、かつ磁気ヘッドスライダ1の寿命を長くすることができるといった実用上多大な効果が得られる。
続いて図16乃至図18を参照して本発明の第5の実施の形態を説明する。ここで、図16は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図17は側面図、図18は斜視図である。この実施の形態での記録再生ヘッドスライダの構造は先の3つの実施の形態のものとは大きく異なっている。
磁気ヘッドスライダ31はその中心付近に主スライダ部32を備え、一方の側には第1の連結ビーム33を介して第1の副スライダ部34が配置され、他方の側には第2の連結ビーム35を介して第2の副スライダ部36が配置されている。
ここで、第1の連結ビーム33に比べて第2の連結ビーム35の剛性が高く形成されている。すなわち、第1の連結ビーム33は弾性係数が比較的高く撓みやすくなっており、例えば図示されたように第2の連結ビーム35に比べて厚みが薄く一部が中空に形成される。第2の連結ビーム35は例えば第1および第2の副スライダ部34,36と同じ程度の剛なる弾性係数からなる。
また、第2の副スライダ部36は第1の副スライダ部34に比べて幅(または面積)が広く形成されており、さらに主スライダ部32は第2の副スライダ部36に比べて幅(または面積)が広く形成されている。
具体的には、第1の副スライダ部34は第2の副スライダ部36と比較して例えば1/2以下の幅(1/2以下の面積)に形成されており、これによって第1の副スライダ部34で発生する流体力が第2の副スライダ部36で発生する流体力に比べて十分に小さくなるように構成されている。また、第2の副スライダ部36は主スライダ部32と比較して例えば1/2以下の長さ(1/2以下の面積)に形成されており、これによって第2の副スライダ部36で発生する流体力が主スライダ部32で発生する流体力に比べて十分に小さくなるように構成されている。
そして、第1の副スライダ部34の後端部付近には記録再生ヘッド4および接触端5が配置されている。
また図17に示すように、磁気ヘッドスライダ31のピボット7の位置は主スライダ部32の上となっており、このピボット7の位置から第1の副スライダ部34の側部までの長さ、およびピボット7の位置から第2の副スライダ部36の中央部までの長さは、それぞれl1,l2となるように形成されている。
なお、主スライダ部32,第1の副スライダ部34,第2の副スライダ部36は一体的にエッチングなどの方法により製作されている。また、記録再生ヘッド4は磁気ヘッドスライダ31に対して蒸着やエッチングなどの方法により形成されている。
ここで、第2の副スライダ部36で発生する分布圧力についても、等価的に見れば図4に示される第1の実施の形態に代表されるようにfh2の力が作用していることと同じである。そして分布圧力は磁気ディスク101との相対速度に依存しているため、図16中X方向に移動する。しかしながら、図19に示す方向から見た流体軸受力fh2の位置は速度に依存することなく、常にほぼ第2の副スライダ部36の中心位置となる。
一方、第1の副スライダ部34に発生する分布圧力は第2の副スライダ部36で発生する分布圧力と比較し非常に小さく、等価的にはわずかな流体軸受力fh1が発生している。なお、第1の副スライダ部34にはさらに、接触端5にて磁気ディスク101からの反発力である接触力fcを受けている。
また、主スライダ部32に発生する分布圧力は、等価的に流体軸受力fhmが作用していること同じとなる。
この磁気ヘッドスライダ31とサスペンション104との取り付け方法は、図20および図21に示されている。すなわち、サスペンション104の先端部にはジンバル10が取付けられ、ジンバル10の先端部に磁気ヘッドスライダ31が接着などの手段により固定されている。
前述の各実施の形態では、磁気ヘッドスライダ31と一体的な突起部が形成されていた。しかし本実施の形態ではサスペンション104側に突起部37を設け、ピボット7の位置、つまり主スライダ部32に対して所定の押付け力Fを付与する構成になっている。突起部37は図21の断面図に示されるように、金属からなるサスペンション104を塑性加工して断面略円弧状に形成したものであるが、断面形状についてはこの例のとおりである必要はなく、例えばもっと尖った断面形状に形成してもよい。
このような構成を採用することにより、サスペンション104からの押付け力Fは突起部37の先端にのみ作用し、しかも押付け力Fの位置はサスペンション104やジンバル10や磁気ヘッドスライダ31の取付け位置にかかわらず突起部37の先端位置にのみ依存することになる。
そして本実施の形態においても、磁気ヘッドスライダ31に作用する全ての力、すなわち、流体軸受力fhm,fh1,fh2、接触力fc、押付け力Fは釣合う。そしてこの力の釣合から接触力fcを求めることができる。今、主スライダ部32の面積が第1の副スライダ部34および第2の副スライダ部36と比較して十分に大きいことから、主スライダ部32の側部の浮上量をdmとした場合には、dmは流体力fhmと押付け力Fとの釣合だけで定めることができる。そして、図19に示したように、主スライダ部32の中心には磁気ディスク101からdmだけ離れた位置に仮想的に回転中心38が規定されることになる。この仮想回転中心38回りの磁気ヘッドスライダ31の回転角Θが、磁気ヘッドスライダ31の姿勢を決めるために必要なパラメータとなる。
回転角Θは第1の副スライダ部34で発生する流体軸受力fh1と接触力fcと、第2の副スライダ部36で発生する流体軸受力fh2との力のバランスで定まる。
ここで、第1の副スライダ部34は第2の副スライダ部36に比べて十分に面積が小さいことから、第1の副スライダ部34で発生する流体軸受力fh1は第2の副スライダ部36で発生する流体軸受力fh2に比べて無視できる程度の大きさである。したがって、接触力fcは次式のように表すことができる。
ここで大切な点は、接触力fcは第2の副スライダ部36で発生する流体軸受力fh2を(l2/l1)の比で縮小した値で一定値となることである。
次に、第2の副スライダ部36に発生する流体軸受力fh2を規定するパラメータについて考える。ここで第2の副スライダ部36の浮上量をd2とすると、浮上量d2と流体軸受力fh2との関係は図22に示すように、浮上量d2が増加するほど流体軸受力fh2が減少する関係になる。
また、浮上量d2と流体軸受力fh2とにより発生する仮想回転中心38回りの回転モーメントM2は次のとおりとなる。
そして図22と(式5)とにより、浮上量d2と回転モーメントM2との間には図23の関係が成立する。
一方、先に述べた磁気ヘッドスライダ31の主スライダ部32の浮上量dmは一義的に定まるため、仮想回転中心38が一定位置に固定される。そのため、第2の副スライダ部36の浮上量d2と第1の連結ビーム33の曲げ変形による接触端5の変位量dcとの関係は、傾き角が小さい時は次式のように近似できる。
そして(式6)の関係は図24に示ように直線となる。
ただし(式6)における変位量dcは正の値を示す時のみ有効である。すなわち、(式6)においてdcが負の値を示す時は実際には接触端5が磁気ディスク101に接触していない状態を意味しており、その場合にはdcの絶対値は磁気ディスク101からの浮上量を示すことになる。
また、この接触端5が第1の連結ビーム33に対して変位量dcを与える際、第1の連結ビーム33に作用する歪によって磁気ディスク101への接触力fcが発生する。ここで接触力fcと変位量dcとの関係は次式で表現される。
なお、ここでkは第1の連結ビーム33の曲げ方向のバネ定数であり、第1の連結ビーム33の材料や形状によって決定される定数である。そして図24と(式7)とにより図25の関係が成立する。
以上のことから、第2の副スライダ部36の浮上量d2と、接触端5の変位量dcにより発生する仮想回転中心38回りの回転モーメントMcとの関係は、図26に示すようになる。
そして、図23と図26との関係から、第2の副スライダ部36の浮上量d2は図27に示すように一義的に定まることになる。例えば第2の副スライダ部36の浮上量がd20であるとすると、第1の副スライダ部34の接触力fc0は図25から一義的に定まることになる。
すなわち、接触力fc0はピボット7の位置に作用する押付け力Fの影響を受けることはなく、第1の連結ビーム33のバネ剛性と第2の副スライダ部36のスライダ部形状(面積)にのみ依存することになる。そのために、磁気ヘッドスライダ31の組立て誤差によって得られる接触力fc0がバラつく恐れを極めて少なく抑えることができるといった実用上多大な効果が得られる。
また、磁気ヘッドスライダ31の重心Gの位置と主スライダ部32の流体軸受力fhmが作用する位置とはほぼ一致している。そのため、外乱が作用した場合には慣性力は重心位置に作用し、その慣性力を打消す力は全て主スライダ部32の流体軸受力fhmの変化で吸収されるので、接触力fcはほとんど変動することがない。このため磁気ヘッドスライダ31は安定した接触状態を保つことができるので、記録再生ヘッド4や磁気ディスク101が損傷を受ける危険性が少なくなり装置の寿命を長くすることができる。
ここで、重心Gを主スライダ部32の上に設定するために必要な第1の副スライダ部34および第1の連結ビーム33に対するバランス重りの役割を、第2の副スライダ部36および第2の連結ビーム35が果たしている。これらの構成要素の関係を適当に設定することにより、磁気ヘッドスライダ31の小形軽量化を図ることができる。
続いて図28乃至図30を参照して本発明の第6の実施の形態を説明する。ここで、図28は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図29は側面図、図30は斜視図である。
本実施の形態が第5の実施の形態と異なる点は、主スライダ部がさらに2本のスライダ部で構成されている点にある。すなわち本実施の形態では第1の連列ビーム33と第2の連結ビーム35との間に2本の平行なスライダ部32a,32bが配置されている。
このように主スライダ部が2本の平行なスライダ部32a,32bで形成されると、上述の実施の形態の効果はもとより、ピボット7の位置が磁気ディスク101の径方向にずれてしまうことに対しても接触力fcの変動を少なく抑えることができる。これは図31に示すように、主スライダ部2と押付け力Fとで定まる仮想回転中心(第5の実施の形態を示す図19における符号38)の位置が、ピボットの位置に対して分散して鈍感になるからである。
続いて図32乃至図34を参照して本発明の第7の実施の形態を説明する。ここで、図32は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図33は側面図、図34は斜視図である。
本実施の形態が第5の実施の形態と異なる点は、第1の連結ビーム33および第2の連結ビーム35の形状にある。
まず第1の連結ビーム33は、主スライダ部32の先端部から横方向(磁気ディスク101の径方向)に張り出したレバー39の端部付近に固定され、そこから空気流出端に向けて延びている。第1の連結ビーム33のさらに後端には、第1の副スライダ部34が取り付けられている。レバー39は第1の連結ビーム33よりも剛性が高く設定されている。なお、レバー39は図33に示した位置よりも上方(磁気ディスク101から離れた位置)に取付けられてもよい。
一方第2の連結ビーム35は、空気流出端に向かって主スライダ部32とほぼ同じ長さを有している。第2の連結ビーム35の側面には、同じく主スライダ部32とほぼ同じ長さの第2の副スライダ部36が配置されている。
なお、第1の副スライダ部34および第2の副スライダ部36の大きさ(面積)は、ここでは第5,第6の実施の形態と同じ大きさに設定されている。
このように構成された本実施の形態によれば、仮に磁気ディスク101上に異物があるような場合でもレバー39との衝突の可能性が高くなる(あるいはレバー39と磁気ディスク101との間を通り抜ける)ため、磁気ヘッドスライダ31と異物との直接的な衝突を避けることができる。なお、異物がレバー39と衝突して発生する摩擦力により、第1の連結ビーム33が振動してしまうことが防止される。
なお、図35は突起部の変形例を示した斜視図である。本変形例が図16に示した第5の実施の形態のものと異なる点は、主スライダ部32の上に略四角錐に形成された突起部11が設けられ、その頂点部分がピボット7の位置となっている点にある。そして図36の断面図に示すように、突起部11の先端部分(頂点部分)を介してサスペンション104の先端から磁気ヘッドスライダ31に対して所定の押付け力Fを付与する構成になっている。
なお、突起部11の形成方法などその他の構造については、図7に示した第1の実施の形態のものと同じであるのでここでは説明を省略する。
続いて図37乃至図39を参照して本発明の第8の実施の形態を説明する。ここで、図37は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図38は図37中のD−D線,E−E線断面図、図39は斜視図である。この実施の形態での記録再生ヘッドスライダの構造は先の各実施の形態のものとは大きく異なっている。
ここで磁気ヘッドスライダ41は、略U字型をなした主スライダ42と、この主スライダ42の空間部分中央に配置され空気流出端に延びる、弾性係数が比較的高く撓みやすい連結ビーム43と、この連結ビーム43の端部に位置する副スライダ44とで構成されている。
主スライダ42は左右に第1の主スライダ部42aと第2の主スライダ部42bを備えており、それぞれの主スライダ部42a,42bの面積は図37に示すように等しく形成されている。
連結ビーム43は横方向(磁気ディスク101の径方向)に対してはねじりモーメントによる曲げ変形を発生しやすく、その一方で縦方向(磁気ディスク101の厚み方向)に対しては曲げ変形を発生しにくくするために、図38(b)に示すように、上下方向の長さを横方向の長さに対して十分に大きく設定してある。
副スライダ44は図37および図38(a)に示されるように、第1の副スライダ部44aと第2の副スライダ部44bを備えている。第1の副スライダ部44aの面積は第2の副スライダ部44bの面積と比較して例えば1/2以下の幅(1/2以下の面積)に形成されている。また、第1の副スライダ部44aの後端部付近には記録再生ヘッド4および接触端5が配置されている。また、連結ビーム43の延長線上に副スライダ44の重心がくるように構成されている。
なお、主スライダ42,連結ビーム43,副スライダ44は一体的にエッチングなどの方法により製作されている。また、記録再生ヘッド4は副スライダ44に対して蒸着やエッチングなどの方法により形成されている。
このような磁気ヘッドスライダ41の上部に対しては、図41の断面図に示されるように、補強プレート45が拡散接合などの手段により取付けられている。補強プレート45は主スライダ42を構成する第1の主スライダ部42aと第2の主スライダ部42bとが常に同一平面を形成するように(互いにねじれることのないように)用いられており、その形状は磁気ヘッドスライダ41の上面をちょうど覆うような矩形状の平板である。
そして、この補強プレート45はサスペンション104の先端部に取付けられたジンバル10の先端部に接着などの手段により固定されている。ジンバル10は平面状の金属製板バネからなり、磁気ディスク101の面とほぼ平行に固定されている。したがって面内方向には十分な剛性を有するが、傾き方向および曲げ方向には柔軟な構造となっている。
また、図41に示されるように、サスペンション104の先端付近には突起部37が形成され、補強プレート45の中央付近に対して所定の押付け力Fを付与する構成になっている。補強プレート45の中央付近に押付け力Fを付与することにより、この実施の形態ではちょうど中空となっているピボットの位置に押付け力を作用させることができる。
このような本実施の形態の動作について説明する。
第1および第2の主スライダ部42a,42bの面積は第1および第2の副スライダ部44a,44bの面積に比べて十分に大きいものとなっている。そのため、主スライダ42で発生する流体軸受力に比べて副スライダ44で発生する流体軸受力は無視することのできる程度の大きさと考えることができる。したがって、第1の主スライダ部42aで発生する流体軸受力fhm1、第2の主スライダ部42bで発生する流体軸受力fhm2、そしてサスペンション104が突起部37を介して作用させる押付け力Fの力の釣合いにより磁気ヘッドスライダ41の浮上量dmが定まる。
そして、このような状態によれば第1の副スライダ部44aの後端部の浮上量は主スライダ42の浮上量dmと同じとなる。
しかしながら実際の副スライダ44は、図42の断面図に示すような浮上状態をなしている。すなわち、第1の副スライダ部44aよりも十分に面積が大きな第2の副スライダ部44bには流体軸受力fh2が発生し、これにより連結ビーム43がねじれ変形を起こして副スライダ44全体が傾く。そして同図からも明らかなように、第1の副スライダ部44aの空気流出端に形成された記録再生ヘッド4は、磁気ディスク101にさらに近づく(または接触する)ことになる。
ここで、連結ビーム43は前述のように横方向には曲げ変形が発生しやすく、縦方向には曲げ変形を発生しにくいように形成されている。したがって副スライダ44の姿勢については、連結ビーム43との接続部46(図42に示した回転中心)回りのねじり変形のみを考慮すればよいことになる。
さらに、第1の副スライダ部44aが磁気ディスク101と接触していない状態での浮上量をd1、接触時の接触力をfc、第2の副スライダ部44bの浮上量をd2とすると、第1の副スライダ部44aで発生する流体軸受力fhs1は第2のスライダ部44bで発生する流体軸受力fhs2に比べて十分に小さいことから、fhs2とd2との関係は図43に示すようになる。図43によれば、浮上量d2が小さくなると流体軸受力fhs2が大きくなることがわかり、その結果として、第2の副スライダ部44bで発生する流体軸受力fhs2による接続部46回りの回転モーメントM2は次のように表される。
この関係は図44に示すように、図43と相似形となる。なお、ここでl2は接続部46から流体軸受力fhs2の作用点までの距離を表しており、この値は第2の副スライダ部44bのスライド部の中心までの距離とほぼ等しい。
また、連結ビーム43のねじりモーメントMdは回転角に比例し、次式のようになる。
この関係は図45に示される。ここでGは連結ビーム43の断面形状と、上記l2とによって定まる定数である。
そしてこのような力の釣合いの関係から、まず最初に、第1の副スライダ部44aが磁気ディスク101と接触している状態について述べる。
接触力fcにより発生する回転モーメントをMfcとすると、Mfcは次のようになる。
ここでl1は、接続部46から接触端5までの距離である。
そして、これらM2,Md,Mfcが互いに釣合いを保つためには、第1の副スライダ部44aの接触力fcは次式のようになる。
一方、副スライダ44は接続部46を中心にして回転移動し、この接続部46の主スライダ42のスライダ部からの高さはdmである。このため、第1の副スライダ部44aの浮上量d1と第2の副スライダ部44bの浮上量d2との関係は次のとおりである。
ここで、第1の副スライダ部44aが接触しているという条件からd1が0となり、次式が成立する。
この(式13)の結果を先の(式11)に代入することにより、fcが一義的に定まる。
ここで、fhs2は図43に示す関係から求められる。
以上のように、第1の副スライダ部44aの接触力fcは、比例係数Gすなわち連結ビーム43の形状と、第2のスライダ部44bで発生する流体軸受力fhs2と、第2の副スライダ部44bの浮上量(すなわち第2のスライダ部44bのスライド部の形状)の関係により一義的に定まるものであり、主スライダ42の取付け誤差などの要因はほとんど含まれていないことがわかる。この理由は、主スライダ42の浮上量dmよりも、第2の副スライダ部44bの浮上量の方が大きくなるため、主スライダ42の浮上量dmのバラツキがもたらす接触力の変動の影響を少なくできるためである。
そしてこのことは、(式14)の右辺第1項fhs2が図43からも明らかなように、その浮上量が大きいところではその変化が小さくなることと、また同式でl1>l2とすると右辺第2項のdmの変化は(l2/l12)で圧縮されることからも理解できる。
また、連結ビーム43や副スライダ44はシリコンプロセスなどを利用して高精度に一体的に製作することができるため、組立誤差などの影響を受けることがなく、比例係数Gのバラツキを非常に小さく抑えられることも、高精度な接触力fcを得るために貢献している。
次に、第1の副スライダ部44aが磁気ディスク101とは接触せずに、わずかに浮上するように設計した場合の浮上量d1の変動について説明する。
先に示したモーメントの釣合いは、第1の副スライダ部44aの接触力fcが0であるために、連結ビーム43のねじりモーメントMdと、第2の副スライダ部44bに発生する流体軸受力f2による接続部46回りの回転モーメントM2との釣合いにより定まっている。すなわち、図43および図44の関係から得られる図46に示されるように、両曲線の交点がMdとM2が等しくなる浮上量d2oを示し、そのときの第1の副スライダ部44aの浮上量d1は、(式12)より次式で与えられる。
この場合はl2>l1とすることにより、第2の副スライダ部44bの浮上量の変動の影響を少なくすることができる。
次に、外乱として装置に衝撃力等が作用した場合の挙動について述べる。
連結ビーム43の延長線上に副スライダ44の重心がくるように構成してあるために、装置に衝撃力が作用した場合にも連結ビーム43にはねじり変形が発生することがなく、曲げ変形のみが発生することになる。
ところが連結ビーム43の断面形状は磁気ディスク101面と垂直な方向に長い形状をしていることから、磁気ディスク101面と垂直な方向の曲げ変形は起こりにくい形状になっている。
このようなことから、実質的には衝撃力による影響はほとんど受けない構成になっている。
続いて図47を参照して本発明の第9の実施の形態を説明する。ここで、図47は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの斜視図である。
本実施の形態が第8の実施の形態と異なる点は、サスペンション104に対する磁気ヘッドスライダ41の固定方法にある。すなわち、第8の実施の形態では図41に示されるような層構造を介して磁気ヘッドスライダ41とサスペンション104とが固定されている。これに対して本実施の形態では、磁気ヘッドスライダ41がサスペンション104に直接固定されている。
磁気ヘッドスライダ41の上部には図47に示されるように、主スライダ42の空気流入端から連結ビーム43,副スライダ44を経て記録再生ヘッド4に至るまで、アルミ蒸着またはエッチングなどの方法によって配線パターンが形成されている。
一方、これに対向するサスペンション104側には図示しない配線パターンが対応して形成されており、両者はちょうど主スライダ42の空気流入端の部分に接点を有し、この接点の部分で半田や金によって接合が図られている。なお、配線パターンはサスペンション104の根元を通じて装置本体へ導かれている。
また、サスペンション104には図48に示すような細いスリット47が設けられている。このスリット47は、磁気ヘッドスライダ41の取付け面48を包囲するように形成されており、取付け面48に固定された磁気ヘッドスライダ41をX軸回りおよびY軸回りに回転させることができるようになっている。
本実施の形態では第8の実施の形態と同様に、ピボットの位置についての制約が比較的緩いため組立も容易である。つまり、上述のように、サスペンション104に設けられた取付け面48の回転中心が磁気ヘッドスライダ41の中心付近となるように組立てられればよく、これによって組立性を飛躍的に向上させることができるといった実用上多大な効果が得られる。
続いて図49乃至図51を参照して本発明の第10の実施の形態を説明する。ここで、図49は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図50は図49中のF−F線,G−G線断面図、図51は斜視図である。
本実施の形態においては、主スライダ42および連結ビーム43の形状に特徴がある。
図49に示すように、本実施の形態における主スライダ42はロ字型形状をなし、この中に包囲されるように連結ビーム43および副スライダ44が設けられている。
また、連結ビーム43は前述の第8,第9の実施の形態のような片持ち方式ではなく、両持ち方式を採用している。連結ビーム43は、空気流入端に近い第1連結ビーム43aと、空気流出端に近い第2連結ビーム43bとからなっている。
また、第1連結ビーム43aと第2連結ビーム43bとはその長さがほぼ等しく形成され、副スライダ44は主スライダ42が形成する空間のほぼ中心に位置している。副スライダ44の重心位置はちょうど2本の連結ビーム43a,43bを結ぶ直線上に設定されている。
このように、副スライダ44を前後両側から支持する方式を採用しているため、Y軸回りの剛性を前述の2つの実施の形態と同じ値に設定したとしても、X軸方向およびZ軸方向の剛性を飛躍的に高くすることができる。したがって、外乱による影響を更に小さく抑えることができるようになる。
続いて図52乃至図54を参照して本発明の第11の実施の形態を説明する。ここで、図52は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図53は側面図、図54は斜視図である。
本実施の形態においては、連結ビーム43の取付け位置が空気流入方向と直交する方向となっており、また両持ち方式を採用している。連結ビーム43は、左右に配置された右連結ビーム43cと左連結ビーム43dとからなっている。
副スライダ44は、空気流入側にはスライダ部44cを、空気流出側にはレバー44dを、それぞれ備えている。スライダ部44cはレバー44dに比べて幅が大きく形成されており、流体軸受作用を受けやすい形状となている。レバー44dはその一部に連結ビーム43c,43dを接続しており、空気流出端には記録再生ヘッド4および接触端5が形成されている。なお、副スライダ44の重心位置はちょうど2本の連結ビーム43c,43dを結ぶ直線上となるように設定されている。
この実施の形態においても副スライダ44の接触力fcが定まるメカニズムは第10の実施の形態と同じであるが、副スライダ44が空気の流れる方向に向かって長尺な形状となっているために、副スライダ44の回転中心(接続部46)から接触端5までの距離l1を長く設定することができる。そのため、接触力fcの変動をさらに小さくすることができるという効果がある。
続いて図55乃至図57を参照して本発明の第12の実施の形態を説明する。ここで、図55は記録再生ヘッドスライダである磁気ヘッドスライダの背面図、図56は側面図、図57は斜視図である。
本実施の形態ではレバー44dの上部にさらにテーブル49を備えた形状をなしており、主スライダ42の上部に拡散接合などの手段により取り付けられた補強プレート45との間に2μm程度の隙間が設定されている。なお、テーブル49とスライダ部44cのそれぞれの上面は同一平面となっている。
このような構造の本実施の形態によれば、前述の第11の実施の形態と同様の効果が得られることはもちろん、補強プレート45とテーブル49との間に形成される隙間(エアギャップ)6に作用するスクイズフィルム効果により効果的なダンピングが作用する。そのため、副スライダ44に異常な振動が発生することが防止され、記録再生特性を安定化させることができる。
以上、本発明について説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば上述の実施の形態では突起部の形状として種々のものを示したが、これらはいずれの磁気ヘッドスライダと組み合わせてもよい。もちろん、サスペンション側に突起部を取り付けた図21のような形態を任意の磁気ヘッドスライダに適用することも可能である。
また、上述の実施の形態では図2に示したように、記録再生ヘッドや接触端が第1のスライダ部の中心線に位置するものを例示して説明したが、記録再生ヘッドや接触端が第1のスライダ部の端面(図2中右端)に位置するように構成することもできる。前者の場合には記録再生ヘッドの電気絶縁を保つ上で効果があり、また後者の場合には記録・再生特性が向上する点で効果がある。
また、本発明はいわゆるロータリアクチュエータにより位置決め駆動される磁気ディスク装置に限らず、リニアアクチュエータ等を有する他の磁気ディスク装置においても同様の効果が期待できることは言うまでもない。
上述の各実施の形態では、記録再生ヘッドスライダの一例として磁気ヘッドスライダを、また記録再生装置の一例として磁気ディスク装置について説明した。しかしながら本発明はこの実施形態に限ることなく、例えば光情報記録再生装置等の他の記録再生装置にも応用が可能である。