JP4088477B2 - Thin film capacitor and thin film multilayer capacitor - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層構造誘電体薄膜、薄膜容量素子および薄膜積層コンデンサに係り、さらに詳しくは、リーク特性、耐圧特性および表面平滑性に優れ、比較的に高誘電率で、特に、所定の温度範囲において、比誘電率の変化が極端に小さい積層構造誘電体薄膜、薄膜容量素子および薄膜積層コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサなどに用いられる誘電体組成物としては、たとえば、チタン酸ランタン(La2 O3 ・2TiO2 )、チタン酸亜鉛(ZnO・TiO2 )、チタン酸マグネシウム(MgTiO3 )、酸化チタン(TiO2 )、チタン酸ビスマス(Bi2 O3 ・2TiO2 )、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3 )などのバルク(塊)状のコンデンサ材料が知られている。この種のコンデンサ材料は、温度係数が小さいため、カップリング回路、音響回路または画像処理回路などに好適に用いることができる。
【0003】
しかしながら、この種のコンデンサ材料は、温度係数が小さくなると(たとえば±100ppm/℃以内)、誘電率も小さくなり(たとえば40未満)、逆に誘電率が大きくなると(たとえば90以上)、温度係数も大きくなる(たとえば±750ppm/℃以上)傾向がある。たとえば、La2 O3 ・2TiO2 、ZnO・TiO2 、MgTiO3 の温度係数(基準温度は25℃、単位はppm/℃)は、それぞれ+60、−60、+100と小さいが、これに伴って誘電率(測定周波数1MHz、単位はなし)は、それぞれ35〜38、35〜38、16〜18と小さくなる。その一方で、たとえば、TiO2 、Bi2 O3 ・2TiO2 、CaTiO3 、SrTiO3 の誘電率は、それぞれ90〜110、104〜110、150〜160、240〜260と大きいが、これに伴って温度係数は、それぞれ−750、−1500、−1500、−3300と大きくなる。したがって、温度係数が小さくても、比較的高い誘電率を保持しうる温度補償用コンデンサ材料を開発することが望まれる。
【0004】
ところで、近年、電子部品の分野では、電子回路の高密度化・高集積化に伴い、各種電子回路に必須の回路素子である容量素子などの一層の小型化が望まれている。
【0005】
たとえば、単層の誘電体薄膜を用いた薄膜コンデンサは、トランジスタなどの能動素子との集積回路において、小型化が遅れており、超高集積回路の実現を阻害する要因となっている。薄膜コンデンサの小型化が遅れていたのは、これに用いる誘電体材料の誘電率が低かったためである。したがって、薄膜コンデンサを小型化し、比較的高い容量を実現するためには、高い誘電率を持つ誘電体材料を用いることが重要である。
【0006】
また、近年、容量密度の観点から、次世代DRAM(ギガビット世代)用のキャパシタ材料が従来のSiO2 とSi3 N4 の積層膜では対応しきれなくなっており、より高い誘電率を持つ材料系が注目されている。このような材料系の中でTaOx(ε=〜30)の適用が主として検討されていたが、他の材料の開発も活発に行われるようになってきている。
【0007】
比較的高い誘電率を持つ誘電体材料として、(Ba,Sr)TiO3 (BST)や、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 (PMN)が知られている。
【0008】
そこで、この種の誘電体材料を用いて薄膜容量素子を構成すれば、その小型化を図ることができるのではないかとも考えられる。
【0009】
しかしながら、この種の誘電体材料は、温度補償用材料ではないため、温度係数が大きく(たとえばBSTでは4000ppm/℃超)、こうした材料を用いて薄膜容量素子を構成した場合には、誘電率の温度特性が悪化することがあった。また、この種の誘電体材料を用いた場合、誘電体膜の薄層化に伴って誘電率が低下することもあった。さらに、薄層化に伴って誘電体膜に生じる孔により、リーク特性や耐圧が劣化することもあった。さらには形成された誘電体膜は、表面平滑性が悪くなる傾向もあった。なお、近年、PMNなどの鉛化合物の環境へ与える影響の大きさから、鉛を含有しない高容量コンデンサが望まれている。
【0010】
これに対し、積層セラミックコンデンサの小型化および大容量化を実現するには、1層あたりの誘電体層の厚みを可能な限り薄くし(薄層化)、所定サイズにおける誘電体層の積層数を可能な限り増やすこと(多層化)が望まれる。
【0011】
しかしながら、たとえばシート法(誘電体層用ペーストを用いてキャリアフィルム上にドクターブレード法などにより誘電体グリーンシート層を形成し、この上に内部電極層用ペーストを所定パターンで印刷した後、これらを1層ずつ剥離、積層していく方法)により積層セラミックコンデンサを製造する場合に、セラミック原料粉末よりも誘電体層を薄く形成することは不可能であり、しかも誘電体層の欠陥によるショートや内部電極切れなどの問題から、誘電体層をたとえば2μm以下に薄層化することは困難であった。また、1層あたりの誘電体層を薄層化した場合には、積層数にも限界があった。なお、印刷法(たとえばスクリーン印刷法を用いて、キャリアフィルム上に誘電体層用ペーストと内部電極層用ペーストとを交互に複数印刷した後、キャリアフィルムを剥離する方法)により積層セラミックコンデンサを製造する場合も同様の問題を有している。
このような理由により、積層セラミックコンデンサの小型化および高容量化には限界があった。
【0012】
そこで、この問題を解決するために種々の提案がなされている(たとえば、特開昭56−144523号公報、特開平5−335173号公報、特開平5−335174号公報、特開平11−214245号公報、特開2000−124056号公報など)。これらの公報では、CVD法、蒸着法、スパッタリング法などの各種薄膜形成方法を用いて、誘電体薄膜と電極薄膜とを交互に積層する積層セラミックコンデンサの製造方法が開示されている。
【0013】
しかしながら、これらの公報に記載された技術では、温度係数が小さく、比較的高い誘電率を保持しうる誘電体材料を用いて誘電体薄膜を構成する旨の記載はなく、温度補償用の薄膜積層コンデンサを開示するものではない。
【0014】
また、これらの公報に記載された方法により形成される誘電体薄膜は、表面平滑性が悪く、あまりに多く積層すると電極がショートすることがあった。このため、せいぜい12〜13層程度の積層数のものしか製造することができず、コンデンサを小型化できても、誘電率の温度特性を悪化させることなく、高容量化を達成することはできなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人は、誘電率の温度特性に優れるとともに、薄くしても、比較的高誘電率かつ低損失であり、リーク特性に優れ、耐圧が向上し、表面平滑性にも優れる薄膜容量素子用組成物を開発し、先に出願している(特願2002−55732,特願2002−55734)。本出願人が開発した薄膜容量素子用組成物は、c軸が基板面に対して垂直に配向しているビスマス層状化合物である。この薄膜容量素子用組成物は、誘電率の温度特性に優れるとともに、薄くしても、比較的高誘電率かつ低損失であり、リーク特性に優れ、耐圧が向上し、表面平滑性にも優れている。
しかしながら、誘電率の温度特性をさらに向上させることが望まれていた。
【0016】
本発明の目的は、リーク特性、耐圧特性および表面平滑性に優れ、比較的に高誘電率で、特に、所定の温度範囲において、比誘電率の変化が極端に小さい積層構造誘電体薄膜、薄膜容量素子および薄膜積層コンデンサを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、コンデンサに用いられる誘電体薄膜の材質とその結晶構造に関して鋭意検討した結果、特定組成のビスマス層状化合物を用い、しかも該ビスマス層状化合物のc軸([001]方位)を基板面に対して垂直に配向させて誘電体薄膜を構成することにより、すなわち基板面に対してビスマス層状化合物のc軸配向膜(c軸が薄膜法線に平行)を形成することにより、誘電率の温度特性に優れるとともに、薄くしても、比較的高誘電率かつ低損失(tanδが低い)であり、リーク特性に優れ、耐圧が向上し、表面平滑性にも優れる誘電体薄膜を見出し、先に出願した。
【0018】
本発明者等は、さらに実験を進める内に、このような特定組成のビスマス層状化合物の内には、所定温度範囲での比誘電率が、温度の上昇と共に上昇する正温度特性を、所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有する化合物と、その逆の負温度特性を、前記所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有する化合物の二種類のものがあることを見出した。このような二種類の化合物は、温度特性の傾向が逆であるが、c軸配向が同じなので、積層して成膜することが容易である。
【0019】
すなわち、本発明に係る積層構造誘電体薄膜は、
第1高誘電率絶縁膜と、前記第1高誘電率絶縁膜に組み合わされて積層される第2高誘電率絶縁膜とを少なくとも有する積層構造誘電体薄膜であって、
前記第1高誘電率絶縁膜が、温度の上昇と共に比誘電率が上昇する正温度特性を、所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有し、
前記第2高誘電率絶縁膜が、温度の上昇と共に比誘電率が低下する負温度特性を、前記所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有することを特徴とする。
好ましくは、前記所定温度範囲が、−55°C〜150°Cである。
本発明の別の観点に係る積層構造誘電体薄膜は、
第1高誘電率絶縁膜と、前記第1高誘電率絶縁膜に組み合わされて積層される第2高誘電率絶縁膜とを少なくとも有する積層構造誘電体薄膜であって、
前記第1高誘電率絶縁膜における−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に単調に上昇する正温度特性の傾向を持ち、
前記第2高誘電率絶縁膜における−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に単調に低下する負温度特性の傾向を持つことを特徴とする。
本発明のさらに別の観点に係る積層構造誘電体薄膜は、
第1高誘電率絶縁膜と、前記第1高誘電率絶縁膜に組み合わされて積層される第2高誘電率絶縁膜とを少なくとも有する積層構造誘電体薄膜であって、
前記第1高誘電率絶縁膜における−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共にいったん上昇した後に低下する凸型温度特性の傾向を持ち、
前記第2高誘電率絶縁膜における−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に比誘電率が低下した後に上昇する凹型温度特性の傾向を持つことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る積層構造誘電体薄膜では、正特性の温度特性を持つ第1高誘電率絶縁膜と、負特性の温度特性を持つ第2高誘電率絶縁膜とを組み合わせて積層することで、所定の温度範囲(たとえば−55°C〜150°C)での比誘電率の平均変化率がフラット(ゼロ)に近づく。すなわち、所定の温度範囲において、比誘電率の変化を極端に小さくすることが可能になる。
【0021】
好ましくは、前記第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜が、それぞれ、
c軸が基板面に対して垂直に配向しているビスマス層状化合物を有する高誘電率絶縁膜である。
【0022】
さらに好ましくは、前記ビスマス層状化合物が、組成式:(Bi2 O2 )2+(Am−1 Bm O3m+1)2−、またはBi2 Am−1 Bm O3m+3で表され、前記組成式中の記号mが正数、記号AがNa、K、Pb、Ba、Sr、CaおよびBiから選ばれる少なくとも1つの元素、記号BがFe、Co、Cr、Ga、Ti、Nb、Ta、Sb、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素である。
【0023】
本発明において、第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜を、それぞれ、上記の特定組成のビスマス層状化合物で構成することで、リーク特性、耐圧特性および表面平滑性に優れ、比較的に高誘電率な積層構造誘電体薄膜を実現することができる。
【0024】
たとえば、上記組成のビスマス層状化合物がc軸配向して構成される高誘電率絶縁膜は、その膜厚を薄くしても、比較的に高誘電率(たとえば比誘電率が100超)かつ低損失(tanδが0.02以下)であり、リーク特性に優れ(たとえば電界強度50kV/cmで測定したリーク電流が1×10−7A/cm2 以下、ショート率が10%以下)、耐圧が向上し(たとえば1000kV/cm以上)、表面平滑性にも優れる(たとえば表面粗さRaが2nm以下)。
【0025】
また、上記組成の高誘電率絶縁膜は、周波数特性に優れ(たとえば特定温度下における高周波領域1MHzでの誘電率の値と、それよりも低周波領域の1kHzでの誘電率の値との比が、絶対値で0.9〜1.1)、電圧特性にも優れる(たとえば特定周波数下における測定電圧0.1Vでの誘電率の値と、測定電圧5Vでの誘電率の値との比が、絶対値で0.9〜1.1)。
【0026】
さらにまた、上記組成の高誘電率絶縁膜は、単独でも、静電容量の温度特性に優れる(温度に対する静電容量の平均変化率が、基準温度25℃で、±500ppm/℃以内)。特に本発明では、第1高誘電率絶縁膜と第2高誘電率絶縁膜とを組み合わせることで、−55°C〜150°Cでの前記積層構造誘電体薄膜における比誘電率の平均変化率が±60ppm以内の積層構造誘電体薄膜を実現することができる。
【0027】
好ましくは、前記第1高誘電率絶縁膜を構成する組成式中の記号mが、奇数であり、前記第2高誘電率絶縁膜を構成する組成式中の記号mが、偶数である。
【0028】
第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜を、それぞれ、特定組成の高誘電率絶縁膜とすることで、第1高誘電率絶縁膜が、正特性の温度特性を持つことになり、第2高耐電圧誘電体膜が、負特性の温度特性を持つことになる。
【0029】
好ましくは、前記ビスマス層状化合物が、希土類元素(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つの元素)を含む。
【0030】
本発明では、ビスマス層状化合物のc軸が基板面に対して垂直に100%配向していること、すなわちビスマス層状化合物のc軸配向度が100%であることが特に好ましいが、必ずしもc軸配向度が100%でなくてもよい。
好ましくは、前記ビスマス層状化合物のc軸配向度が80%以上である。
【0031】
本発明に係る第1および第2高誘電率絶縁膜の製造方法は、特に限定されないが、たとえば、立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶などの[100]方位などに配向している基板を用いて、組成式:(Bi2 O2 )2+(Am−1 Bm O3m+1)2−、またはBi2 Am−1 Bm O3m+3で表され、前記組成式中の記号mが正数、記号AがNa、K、Pb、Ba、Sr、CaおよびBiから選ばれる少なくとも1つの元素、記号BがFe、Co、Cr、Ga、Ti、Nb、Ta、Sb、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素であるビスマス層状化合物を主成分として有する高誘電率絶縁膜を形成することにより、製造することができる。
【0032】
なお、第1高誘電率絶縁膜の上に第2高誘電率絶縁膜を積層しても良いし、その逆でも良い。また、これらの絶縁膜の間には、他の膜や層を介在させても良い。さらに、第1高誘電率絶縁膜と第2高誘電率絶縁膜との境界は、必ずしも明確でなくても良い。たとえば第1高誘電率絶縁膜から第2高誘電率絶縁膜へと、あるいはその逆に、組成が徐々に変化しても良い。本発明において、「組み合わされて積層される」とは、積層の順序を問わないと共に、他の膜や層が介在しても良く、必ずしも境界が明確でないものも含む趣旨である。
また、必ずしも第1高誘電率絶縁膜と第2高誘電率絶縁膜が1層づつ交互に積層するのではなく、温度特性のグラフの傾きに併せて、どちらかの層を1層以上積層させることで、第1高誘電率絶縁膜と第2高誘電率絶縁膜を組み合わせてもよい。すなわち、積層構造誘電体薄膜における比誘電率の温度に対する平均変化率がフラット(ゼロ)に近づくように、第1高誘電率絶縁膜および/または第2高誘電率絶縁膜の積層数を適宜変化させても良い。
【0033】
好ましくは、前記第1高誘電率絶縁膜の膜厚と、前記第2高誘電率絶縁膜の膜厚との比が、−55°C〜150°Cでの前記積層構造誘電体薄膜における比誘電率の温度に対する平均変化率がフラット(ゼロ)に近づくように決定される。第1高誘電率絶縁膜の温度特性の変化率と、第2高誘電率絶縁膜の温度特性の変化率とに応じて、第1高誘電率絶縁膜の膜厚と、前記第2高誘電率絶縁膜の膜厚との比を決定することで、積層構造誘電体薄膜における比誘電率の温度に対する平均変化率を限りなくフラット(ゼロ)に近づくようにできる。
さらに、本発明では、前記積層構造誘電体薄膜における比誘電率の温度に対する平均変化率がフラット(ゼロ)に近づくように、前記第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜とは異なる温度特性を持つ第3高誘電率絶縁膜を、前記第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜と組み合わせて積層させても良い。
なお、本発明において、第3高誘電率絶縁膜以外のさらに別の単独または複層の絶縁膜を積層させて良いことは言うまでもないことである。
【0034】
本発明に係る積層構造誘電体薄膜の具体的な用途は、特に限定されず、薄膜容量素子用誘電体薄膜、積層コンデンサ用誘電体薄膜、EL素子用誘電体薄膜などに用いることができる。
【0035】
本発明に係る容量素子は、
基板上に、下部電極、誘電体薄膜および上部電極が順次形成してある薄膜容量素子であって、
前記誘電体薄膜が、上記のいずれかに記載の積層構造誘電体薄膜である。
【0036】
本発明に係る積層コンデンサは、
基板上に、誘電体薄膜と内部電極薄膜とが交互に複数積層してある薄膜積層コンデンサであって、
前記誘電体薄膜が、上記のいずれかに記載の積層構造誘電体薄膜である。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層構造誘電体薄膜の要部断面図、
図2は本発明の一実施形態に係る積層構造誘電体薄膜を用いた積層コンデンサの要部断面図、
図3は本発明の一実施例に係る積層構造誘電体薄膜の温度特性を示すグラフ、
図4は本発明の他の実施例に係る積層構造誘電体薄膜の温度特性を示すグラフ、
図5は本発明の一実施例に係る積層構造誘電体薄膜の一部を構成する第1高誘電率絶縁膜での温度特性を示すグラフ、
図6は本発明の一実施例に係る積層構造誘電体薄膜の一部を構成する第2高誘電率絶縁膜での温度特性を示すグラフ、
図7は本発明の実施例に係る積層構造誘電体薄膜の周波数特性を表すグラフ、
図8は本発明の実施例に係る積層構造誘電体薄膜の電圧特性を表すグラフである。
【0038】
第1実施形態
本実施形態では、薄膜容量素子として、薄膜コンデンサを例示して説明する。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る薄膜コンデンサ2は、基板4を有し、この基板4の上には下部電極薄膜6が形成されている。下部電極薄膜6の上には積層構造誘電体薄膜8が形成されている。積層構造誘電体薄膜8の上には上部電極薄膜10が形成されている。
【0039】
基板4としては、格子整合性の良い単結晶(たとえば、SrTiO3 単結晶、MgO単結晶、LaAlO3 単結晶など)、アモルファス材料(たとえば、ガラス、溶融石英、SiO2 /Siなど)、その他の材料(たとえば、ZrO2 /Si、CeO2 /Siなど)などで構成される。特に、立方晶、正方晶、斜方晶、単斜晶などの[100]方位などに配向している基板で構成していることが好ましい。基板4の厚みは、特に限定されず、たとえば100〜1000μm程度である。
【0040】
基板4に格子整合性の良い単結晶を用いる場合の下部電極薄膜6としては、たとえば、CaRuO3 やSrRuO3 などの導電性酸化物、あるいはPtやRuなどの貴金属で構成してあることが好ましく、より好ましくは[100]方位に配向した導電性酸化物あるいは貴金属で構成される。基板4として[100]方位に配向しているものを用いると、その表面に[100]方位に配向した導電性酸化物あるいは貴金属を形成することができる。下部電極薄膜6を[100]方位に配向した導電性酸化物あるいは貴金属で構成することで、下部電極薄膜6上に形成される積層構造誘電体薄膜8の[001]方位への配向性、すなわちc軸配向性が高まる。このような下部電極薄膜6は、通常の薄膜形成法で作製されるが、たとえばスパッタリング法やパルスレーザー蒸着法(PLD)等の物理的蒸着法において、下部電極薄膜6が形成される基板4の温度を、好ましくは300℃以上、より好ましくは500℃以上として形成することが好ましい。
【0041】
基板4にアモルファス材料を用いる場合の下部電極薄膜6としては、たとえばITOなどの導電性ガラスで構成することもできる。基板4に格子整合性の良い単結晶を用いた場合、その表面に[100]方位に配向した下部電極薄膜6を形成することが容易であり、これにより、該下部電極薄膜6上に形成される積層構造誘電体薄膜8のc軸配向性が高まりやすい。しかしながら、基板4にガラスなどのアモルファス材料を用いても、c軸配向性が高められた積層構造誘電体薄膜8を形成することは可能である。この場合、積層構造誘電体薄膜8の成膜条件を最適化する必要がある。
【0042】
その他の下部電極薄膜6としては、たとえば、金(Au)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)などの貴金属またはそれらの合金の他、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などの卑金属またはそれらの合金を用いることができる。
下部電極薄膜6の厚みは、特に限定されないが、好ましくは10〜1000nm、より好ましくは50〜100nm程度である。
上部電極薄膜10としては、前記下部電極薄膜6と同様の材質で構成することができる。また、その厚みも同様とすればよい。
【0043】
本実施形態では、積層構造誘電体薄膜8は、少なくとも二層の第1高誘電率絶縁膜81と第2高誘電率絶縁膜82とで構成してある。各高誘電率絶縁膜81および82は、それぞれ、組成式:(Bi2 O2 )2+(Am−1 Bm O3m+1)2−、またはBi2 Am−1 Bm O3m+3で表されるビスマス層状化合物を含有する。一般に、ビスマス層状化合物は、(m−1)個のABO3 で構成されるペロブスカイト格子が連なった層状ペロブスカイト層の上下を、一対のBiおよびOの層でサンドイッチした層状構造を示す。本実施形態では、このようなビスマス層状化合物の[001]方位への配向性、すなわちc軸配向性が高められている。すなわち、ビスマス層状化合物のc軸が、基板4に対して垂直に配向するように積層構造誘電体薄膜8が形成されている。
【0044】
本発明では、ビスマス層状化合物のc軸配向度が100%であることが特に好ましいが、必ずしもc軸配向度が100%でなくてもよく、ビスマス層状化合物の、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上がc軸配向していればよい。たとえば、ガラスなどのアモルファス材料で構成される基板4を用いてビスマス層状化合物をc軸配向させる場合には、該ビスマス層状化合物のc軸配向度が、好ましくは80%以上であればよい。また、後述する各種薄膜形成法を用いてビスマス層状化合物をc軸配向させる場合には、該ビスマス層状化合物のc軸配向度が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であればよい。
【0045】
ここでいうビスマス層状化合物のc軸配向度(F)とは、完全にランダムな配向をしている多結晶体のc軸のX線回折強度をP0とし、実際のc軸のX線回折強度をPとした場合、F(%)=(P−P0)/(1−P0)×100 …(式1)により求められる。式1でいうPは、(00l)面からの反射強度I(00l)の合計ΣI(00l)と、各結晶面(hkl)からの反射強度I(hkl)の合計ΣI(hkl)との比({ΣI(00l)/ΣI(hkl)})であり、P0についても同様である。但し、式1ではc軸方向に100%配向している場合のX線回折強度Pを1としている。また、式1より、完全にランダムな配向をしている場合(P=P0)には、F=0%であり、完全にc軸方向に配向をしている場合(P=1)には、F=100%である。
【0046】
なお、ビスマス層状化合物のc軸とは、一対の(Bi2 O2 )2+層同士を結ぶ方向、すなわち[001]方位を意味する。このようにビスマス層状化合物をc軸配向させることで、各高誘電率絶縁膜81および82の誘電特性が最大限に発揮される。すなわち、各高誘電率絶縁膜81および82の膜厚を、たとえば100nm以下と薄くしても、比較的高誘電率かつ低損失(tanδが低い)であり、リーク特性に優れ、耐圧が向上し、誘電率の温度特性に優れ、表面平滑性にも優れる。tanδが減少すれば、損失Q(1/tanδ)値は上昇する。
【0047】
上記式中、記号mは正数であれば特に限定されない。ただし、一方の第1高誘電率絶縁膜81は、図5に示すように、−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に単調に上昇する正特性の傾向を持つ。また、他方の第2高誘電率絶縁膜82は、図6に示すように、−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に単調に低下する負特性の傾向を持つ。このような観点からは、第1高誘電率絶縁膜81を構成する上記組成式のビスマス層状化合物は、組成式中の記号mは、奇数であることが好ましい。また、第2高誘電率絶縁膜82を構成する上記組成式のビスマス層状化合物は、組成式中の記号mは、偶数であることが好ましい。
【0048】
上記式中、記号Aは、Na、K、Pb、Ba、Sr、CaおよびBiから選ばれる少なくとも1つの元素で構成される。なお、記号Aを2つ以上の元素で構成する場合において、それらの比率は任意である。
【0049】
上記式中、記号Bは、Fe、Co、Cr、Ga、Ti、Nb、Ta、Sb、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素で構成される。なお、記号Bを2つ以上の元素で構成する場合において、それらの比率は任意である。
【0050】
ビスマス層状化合物は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuから選ばれる少なくとも1つの元素(希土類元素Re)をさらに有していることが好ましい。希土類元素による置換量は、mの値により異なるが、たとえばmが奇数であるm=3の場合、組成式:Bi2 A2−x Rex B3 O12において、好ましくは0.01≦x≦2.0、より好ましくは0.05≦x≦1.4である。
【0051】
また、たとえばmが偶数であるm=4の場合、組成式:Bi2 A3−x Rex B4 O15において、好ましくは0.01≦x≦2.0、より好ましくは0.1≦x≦1.0である。
【0052】
なお、高誘電率絶縁膜81または82は、希土類元素Reを有していなくとも、後述するようにリーク特性に優れるものではある。しかしながら、これを有している場合には、リーク特性を一層優れたものとすることができる。
【0053】
たとえば、希土類元素Reを有していない高誘電率絶縁膜81または82では、電界強度50kV/cmで測定したときのリーク電流を、好ましくは1×10−7A/cm2 以下、より好ましくは5×10−8A/cm2 以下とすることができ、しかもショート率を、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下とすることができる。
【0054】
これに対し、希土類元素Reを有している高誘電率絶縁膜81または82では、同条件で測定したときのリーク電流を、好ましくは5×10−8A/cm2 以下、より好ましくは1×10−8A/cm2 以下とすることができ、しかもショート率を、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下とすることができる。
【0055】
高誘電率絶縁膜81および82から成る積層構造誘電体薄膜8のトータルの膜厚t(=t1+t2)は、200nm以下であることが好ましく、高容量化の点からは、より好ましくは100nm以下である。なお、トータル膜厚の下限は、膜の絶縁性を考慮すると、好ましくは30nm程度である。
【0056】
高誘電率絶縁膜81および82のそれぞれの膜厚t1およびt2は、たとえば図5に示す正温度特性の第1高誘電率絶縁膜81と、図6に示す負温度特性の第2高誘電率絶縁膜82とを組み合わせた場合に、図3または図4に示すフラットに近い温度特性の積層構造誘電体薄膜8となるように決定される。すなわち、第1高誘電率絶縁膜81の比誘電率および厚みをε1およびt1とし、第2高誘電率絶縁膜82の比誘電率および厚みをε2およびt2とし、トータルでの積層構造誘電体薄膜8の比誘電率をεとすると、次に示す式が成り立つ。(t1+t2)/ε=t1/ε1+t2/ε2である。上記の式から、各温度でトータルの比誘電率εが一定になるように、t1/t2の比を決定するのである。たとえば図3は、t1/t2=1/1の例であり、図4はt1/t2=1.2/0.8の例である。
【0057】
各高誘電率絶縁膜81および82は、たとえばJIS−B0601に準拠した表面粗さ(Ra)が、好ましくは2nm以下、より好ましくは1nm以下である。
【0058】
各高誘電率絶縁膜81および82では、25℃(室温)および測定周波数100kHz(AC20mV)における誘電率が、100超であることが好ましく、より好ましくは150以上である。
【0059】
各高誘電率絶縁膜81および82では、25℃(室温)および測定周波数100kHz(AC20mV)におけるtanδが、0.02以下であることが好ましく、より好ましくは0.01以下である。また、損失Q値が、好ましくは50以上、より好ましくは100以上である。
【0060】
各高誘電率絶縁膜81および82では、特定温度(たとえば25℃)下での周波数を、たとえば1MHz程度の高周波領域まで変化させても、誘電率の変化(特に低下)が少ない。具体的には、たとえば、特定温度下における高周波領域1MHzでの誘電率の値と、それよりも低周波領域の1kHzでの誘電率の値との比を、絶対値で0.9〜1.1とすることができる。すなわち周波数特性が良好である。
【0061】
各高誘電率絶縁膜81および82では、特定周波数(たとえば10kHz、100kHz、1MHzなど)下での測定電圧(印加電圧)を、たとえば5V程度まで変化させても、静電容量の変化が少ない。具体的には、たとえば特定周波数下における測定電圧0.1Vでの誘電率の値と、測定電圧5Vでの誘電率の値との比を、0.9〜1.1とすることができる。すなわち電圧特性が良好である。
【0062】
各高誘電率絶縁膜81および82は、真空蒸着法、高周波スパッタリング法、パルスレーザー蒸着法(PLD)、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ゾルゲル法などの各種薄膜形成法を用いて形成することができる。各高誘電率絶縁膜81および82の成膜に際しては、同一のチャンバを用いて、ターゲットあるいは供給ガスを変えて連続して成膜することもできると共に、各膜81および82を、異なるチャンバで異なる成膜条件で成膜しても良い。
本実施形態では、特定方位([100]方位等)に配向している基板等を用いて高誘電率絶縁膜81および82を形成する。
【0063】
本実施形態の容量素子用積層構造誘電体薄膜8は、図3および図4に示すように、所定の温度範囲(−55°C〜150°C)において、比誘電率の変化が極端に小さい。たとえば、−55°C〜150°Cでの積層構造誘電体薄膜8における比誘電率の平均変化率は±60ppm以内である。
【0064】
しかも、積層構造誘電体薄膜8を構成する各高誘電率絶縁膜81および82は、膜厚をたとえば100nm以下と薄くしても、比較的高誘電率で、低損失であり、しかもリーク特性に優れ、耐圧が向上し、誘電率の温度特性に優れ、表面平滑性にも優れる。また、各高誘電率絶縁膜81および82は、周波数特性や電圧特性にも優れる。したがって、これらの高誘電率絶縁膜81および82の積層膜で構成される積層構造誘電体薄膜8も、これらの諸特性に優れている。
【0065】
第2実施形態
本実施形態では、薄膜積層コンデンサを例示して説明する。
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る薄膜積層コンデンサ20は、コンデンサ素体22を有する。コンデンサ素体22は、基板4a上に、積層構造誘電体薄膜8aと、内部電極薄膜24,26とが交互に複数配置してあり、しかも最外部に配置される積層構造誘電体薄膜8aを覆うように保護層30が形成してある多層構造を持つ。コンデンサ素体22の両端部には、一対の外部電極28,29が形成してあり、該一対の外部電極28,29は、コンデンサ素体22の内部で交互に複数配置された内部電極薄膜24,26の露出端面に電気的に接続されてコンデンサ回路を構成する。コンデンサ素体22の形状は、特に限定されないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法は特に限定されないが、たとえば縦(0.01〜10mm)×横(0.01〜10mm)×高さ(0.01〜1mm)程度とされる。
基板4aは、上述した第1実施形態の基板4と同様の材質で構成される。積層構造誘電体薄膜8aは、上述した第1実施形態の積層構造誘電体薄膜8と同様の複層膜で構成される。
【0066】
内部電極薄膜24,26は、上述した第1実施形態の下部電極薄膜6,上部電極薄膜10と同様の材質で構成される。外部電極28,29の材質は、特に限定されず、CaRuO3 やSrRuO3 などの導電性酸化物;CuやCu合金あるいはNiやNi合金等の卑金属;Pt、Ag、PdやAg−Pd合金などの貴金属;などで構成される。その厚みは、特に限定されないが、たとえば10〜1000nm程度とすればよい。保護層30の材質は、特に限定されないが、たとえばシリコン酸化膜、アルミニウム酸化膜などで構成される。
【0067】
薄膜積層コンデンサ20は、基板4a上に、たとえばメタルマスクなどのマスクを施して1層目の内部電極薄膜24を形成した後、この内部電極薄膜24の上に積層構造誘電体薄膜8aを形成し、この積層構造誘電体薄膜8aの上に2層目の内部電極薄膜26を形成する。このような工程を複数回繰り返した後、基板4aとは反対側の最外部に配置される積層構造誘電体薄膜8aを保護膜30で被覆することにより、基板4a上に内部電極薄膜24,26と積層構造誘電体薄膜8aとが交互に複数配置されたコンデンサ素体22が形成される。保護膜30で被覆することで、コンデンサ素体22の内部に対する大気中の水分の影響を小さくすることができる。そして、コンデンサ素体22の両端部に、ディッピングやスパッタ等によって、外部電極28,29を形成すると、奇数層目の内部電極薄膜24が一方の外部電極28と電気的に接続されて導通し、偶数層目の内部電極薄膜26が他方の外部電極29と電気的に接続されて導通し、薄膜積層コンデンサ20が得られる。
【0068】
本実施形態では、製造コストを低下させる観点からは、アモルファス材料で構成された基板4aを用いることがより好ましい。
【0069】
本実施形態で用いる積層構造誘電体薄膜8aは、誘電率の温度特性に優れるとともに、薄くしても比較的高誘電率を与えることができ、しかも表面平滑性が良好なので、その積層数を20層以上、好ましくは50層以上とすることが可能である。このため、小型で、誘電率の温度特性に優れ、比較的高容量を与えうる薄膜積層コンデンサ20を提供することができる。
【0070】
しかも、各積層構造誘電体薄膜8aが、第1高誘電率絶縁膜81と第2高誘電率絶縁膜82との積層膜で構成してあることから、所定の温度範囲(−55°C〜150°C)において、比誘電率の変化が極端に小さい。たとえば、−55°C〜150°Cでの積層構造誘電体薄膜8aにおける比誘電率の平均変化率は±60ppm以内である。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、本発明に係る積層構造誘電体薄膜は、コンデンサ用誘電体薄膜としてのみでなく、その他の用途、たとえば無機EL素子に用いられる誘電体薄膜としても用いることができる。さらに、本発明に係る積層構造誘電体薄膜は、容量素子の一例であるDRAM用キャパシタの誘電体薄膜としても用いることができる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0073】
実施例1
図1に示す下部電極薄膜6となるCaRuO3 を[100]方位にエピタキシャル成長させたSrTiO3 単結晶基板4((100)CaRuO3 //(100)SrTiO3 )を850℃に加熱した。次に、CaRuO3 下部電極薄膜6の表面に、パルスレーザ蒸着法にて、Bi4 Ti3 O12(以下、BiTとも言う)焼結体(この焼結体は、組成式:Bi2 Am−1 Bm O3m+3において、記号m=3、記号A2 =Bi2 および記号B3 =Ti3 として表される)を原料に用いて、膜厚t1=約50nmのBiT薄膜(第1高誘電率絶縁膜81)を形成した。
【0074】
このBiT薄膜の結晶構造をX線回折(XRD)測定したところ、[001]方位に配向していること、すなわちSrTiO3 単結晶基板表面に対して垂直にc軸配向していることが確認できた。
【0075】
また、このBiT薄膜の表面粗さ(Ra)を、JIS−B0601に準じて、AFM(原子間力顕微鏡、セイコーインスツルメンツ社製、SPI3800)で測定したところ、Ra=0.5nmであった。
【0076】
このBiT薄膜から成る第1高誘電率絶縁膜81の表面に、パルスレーザ蒸着法にて、SrBi2Ta2O9(以下、SBTとも言う)焼結体(この焼結体は、組成式:Bi2 Am−1 Bm O3m+3において、記号m=2(偶数)、記号A1=Srおよび記号B2=Ta2として表される)を原料に用いて、膜厚t2=約50nmのSBT薄膜(高誘電率絶縁膜82)を形成した。
【0077】
このSBT薄膜の結晶構造をX線回折(XRD)測定したところ、[001]方位に配向していること、すなわちSrTiO3 単結晶基板表面に対して垂直にc軸配向していることが確認できた。
【0078】
また、このBiT薄膜の表面粗さ(Ra)を、JIS−B0601に準じて、AFM(原子間力顕微鏡、セイコーインスツルメンツ社製、SPI3800)で測定したところ、Ra=0.5nmであった。
【0079】
次に、BiT薄膜とSBT膜とから成る多層の積層構造誘電体薄膜8の表面に、0.1mmφのPt上部電極薄膜10をスパッタリング法により形成し、高誘電率絶縁膜の試験用サンプル2を作製した。
【0080】
得られた高誘電率絶縁膜の試験用サンプルの電気特性(誘電率、tanδ、損失Q値、リーク電流、ショート率)および誘電率の温度特性を評価した。
誘電率(単位なし)は、試験用サンプルに対し、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)を用いて、室温(25℃)、測定周波数100kHz(AC20mV)の条件で測定された静電容量と、試験用サンプルの電極寸法および電極間距離とから算出した。
tanδは、上記静電容量を測定した条件と同一条件で測定し、これに伴って損失Q値を算出した。
【0081】
リーク電流特性(単位はA/cm2 )は、電界強度50kV/cmで測定した。 ショート率(単位は%)は、20個の上部電極について測定を行い、そのうちショートしたもの割合を算出した。
誘電率の温度特性は、試験用サンプルに対し、上記条件で誘電率を測定し、基準温度を25℃としたとき、−55〜+150℃の温度範囲内での温度に対する誘電率(ε/ε298)の変化を測定し、温度係数(ppm/℃)を算出した。なお、ε298は、298Kのεを示す。
これらの結果を表1に示す。
また、本実施例における−55〜+150℃の温度範囲内での温度に対する誘電率(ε/ε298)の変化のグラフを図3に示す。なお、図3〜図6におけるグラフの縦軸は、容量比とあるが、298Kで規格化した容量のことであり、(ε/ε298)に対応する。
【0082】
さらに、本実施例の試験用サンプルを用いて、周波数特性および電圧特性を評価した。
周波数特性は、以下のようにして評価した。高誘電率絶縁膜の試験用サンプルについて、室温(25℃)にて周波数を1kHzから1MHzまで変化させ、静電容量を測定し、誘電率を計算した結果を図7に示した。静電容量の測定にはLCRメータを用いた。図7に示すように、特定温度下での周波数を1MHzまで変化させても、誘電率の値が変化しないことが確認できた。すなわち周波数特性に優れていることが確認された。
【0083】
電圧特性は、以下のようにして評価した。本実施例の試験用サンプルについて、特定の周波数(100kHz)下での測定電圧(印加電圧)を0.1V(電界強度5kV/cm)から5V(電界強度250kV/cm)まで変化させ、特定電圧下での静電容量を測定(測定温度は25℃)し、誘電率を計算した結果を図8に示した。静電容量の測定にはLCRメータを用いた。図8に示すように、特定周波数下での測定電圧を5Vまで変化させても、誘電率の値が変化しないことが確認できた。すなわち電圧特性に優れていることが確認された。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例2
BiT膜の膜厚t1を60nmとし、SBT膜の膜厚t2を40nmとし、t1:t2=1.2:0.8とした以外は、実施例1と同様にして、試験用サンプルを作成し、同様な試験を行った。結果を表1に示す。また、本実施例における−55〜+150℃の温度範囲内での温度に対する誘電率(ε/ε298)の変化のグラフを図4に示す。
【0086】
BiT膜の膜厚t1と、SBT膜の膜厚t2との比(t1:t2)を最適化することで、図4に示すように、比誘電率の温度特性を、−55°C〜150°Cの温度範囲において、フラットに近づけることが確認できた。
【0087】
実施例3
BiT膜とSBT膜の積層順序を変化させた以外は、実施例2と同様にして、試験用サンプルを作成し、同様な試験を行った。実施例2と同じ結果が得られた。
【0088】
参考例1
SBT膜を積層させることなく、BiT膜のみを100nmの膜厚で成膜した以外は、実施例1と同様にして、試験用サンプルを作成し、その−55〜+150℃の温度範囲内での温度に対する誘電率(ε/ε298)の変化のグラフを図5に示す。正の温度特性を有することが確認できた。
【0089】
参考例2
BiT膜を積層させることなく、SBT膜のみを100nmの膜厚で成膜した以外は、実施例1と同様にして、試験用サンプルを作成し、その−55〜+150℃の温度範囲内での温度に対する誘電率(ε/ε298)の変化のグラフを図6に示す。負の温度特性を有することが確認できた。
【0090】
比較例1
下部電極薄膜となるCaRuO3 を[110]方位にエピタキシャル成長させたSrTiO3 単結晶基板((110)CaRuO3 //(110)SrTiO3 )を用いた以外は、実施例1と同様にして、CaRuO3 下部電極薄膜の表面に膜厚約100nmのBiT薄膜(高誘電率絶縁膜)を単独で形成した。このBiT薄膜の結晶構造をX線回折(XRD)測定したところ、[118]方位に配向しており、SrTiO3 単結晶基板表面に対して垂直にc軸配向していないことを確認した。そして、実施例1と同様に、BiT薄膜の表面粗さ(Ra)と、高誘電率絶縁膜の試験用サンプルの電気特性および誘電率の温度特性とを評価した。結果を表1に示す。
【0091】
比較例2
下部電極薄膜となるCaRuO3 を[111]方位にエピタキシャル成長させたSrTiO3 単結晶基板((111)CaRuO3 //(111)SrTiO3 )を用いた以外は、実施例1と同様にして、CaRuO3 下部電極薄膜の表面に膜厚約100nmのBiT薄膜(高誘電率絶縁膜)を単独で形成した。このBiT薄膜の結晶構造をX線回折(XRD)測定したところ、[104]方位に配向しており、SrTiO3 単結晶基板表面に対して垂直にc軸配向していないことを確認した。そして、実施例1と同様に、BiT薄膜の表面粗さ(Ra)と、薄膜高誘電率絶縁膜の試験用サンプルの電気特性および誘電率の温度特性とを評価した。結果を表1に示す。
【0092】
評価
表1に示すように、実施例1および2で得られたビスマス層状化合物のc軸配向膜は、比較例1および2に比較して、誘電率は劣るものの、リーク特性に優れていることが確認できた。これにより、より一層の薄膜化が期待でき、高誘電率のゲート絶縁膜として好ましいことが確認できた。
【0093】
また、実施例1および2では、比較例1および2よりも、しかも、参考例1および2よりも、温度特性に優れることも確認できた。さらに、実施例1および2では、比較例1および2と比較して表面平滑性に優れることも確認できた。
【0094】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、リーク特性、耐圧特性および表面平滑性に優れ、比較的に高誘電率で、特に、所定の温度範囲において、比誘電率の変化が極端に小さい積層構造誘電体薄膜、薄膜容量素子および薄膜積層コンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る積層構造誘電体薄膜の要部断面図である。
【図2】 図2は本発明の一実施形態に係る積層構造誘電体薄膜を用いた積層コンデンサの要部断面図である。
【図3】 図3は本発明の一実施例に係る積層構造誘電体薄膜の温度特性を示すグラフである。
【図4】 図4は本発明の他の実施例に係る積層構造誘電体薄膜の温度特性を示すグラフである。
【図5】 図5は本発明の一実施例に係る積層構造誘電体薄膜の一部を構成する第1高誘電率絶縁膜での温度特性を示すグラフである。
【図6】 図6は本発明の一実施例に係る積層構造誘電体薄膜の一部を構成する第2高誘電率絶縁膜での温度特性を示すグラフである。
【図7】 図7は本発明の実施例に係る積層構造誘電体薄膜の周波数特性を表すグラフである。
【図8】 図8は本発明の実施例に係る積層構造誘電体薄膜の電圧特性を表すグラフである。
【符号の説明】
2… 試験用サンプル
4… 基板
6… 下部電極薄膜
8,8a… 積層構造誘電体薄膜
81… 第1高誘電率絶縁膜
82… 第2高誘電率絶縁膜
10… 上部電極薄膜
20… 積層コンデンサ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a multilayer structure dielectric thin film, a thin film capacitive element, and a thin film multilayer capacitor. More specifically, the present invention is excellent in leakage characteristics, breakdown voltage characteristics and surface smoothness, has a relatively high dielectric constant, and particularly in a predetermined temperature range. The present invention relates to a multilayered dielectric thin film, a thin film capacitive element, and a thin film multilayer capacitor in which the change in relative permittivity is extremely small.
[0002]
[Prior art]
Examples of the dielectric composition used for the multilayer ceramic capacitor include lanthanum titanate (La2O3・ 2TiO2), Zinc titanate (ZnO · TiO)2), Magnesium titanate (MgTiO)3), Titanium oxide (TiO2), Bismuth titanate (Bi)2O3・ 2TiO2), Calcium titanate (CaTiO)3), Strontium titanate (SrTiO)3) And other bulk capacitor materials are known. Since this type of capacitor material has a small temperature coefficient, it can be suitably used for a coupling circuit, an acoustic circuit, an image processing circuit, or the like.
[0003]
However, when this type of capacitor material has a low temperature coefficient (for example, within ± 100 ppm / ° C.), the dielectric constant also decreases (for example, less than 40). Conversely, when the dielectric constant increases (for example, 90 or more), the temperature coefficient also increases. There is a tendency to increase (for example, ± 750 ppm / ° C. or more). For example, La2O3・ 2TiO2, ZnO · TiO2, MgTiO3The temperature coefficient (the reference temperature is 25 ° C., the unit is ppm / ° C.) is as small as +60, −60, and +100, respectively, but the dielectric constant (measurement frequency is 1 MHz, no unit) is 35 to 38, respectively. It becomes small with 35-38 and 16-18. On the other hand, for example, TiO2, Bi2O3・ 2TiO2, CaTiO3, SrTiO3The dielectric constants are as large as 90 to 110, 104 to 110, 150 to 160, and 240 to 260, respectively, and accordingly, the temperature coefficients increase to -750, -1500, -1500, and -3300, respectively. Therefore, it is desired to develop a capacitor material for temperature compensation that can maintain a relatively high dielectric constant even when the temperature coefficient is small.
[0004]
By the way, in recent years, in the field of electronic components, with the increase in density and integration of electronic circuits, further miniaturization of capacitive elements that are essential circuit elements for various electronic circuits is desired.
[0005]
For example, a thin film capacitor using a single-layer dielectric thin film is delayed in miniaturization in an integrated circuit with an active element such as a transistor, which is an obstacle to the realization of an ultra-high integrated circuit. The reason why the miniaturization of the thin film capacitor was delayed is that the dielectric constant of the dielectric material used therefor was low. Therefore, it is important to use a dielectric material having a high dielectric constant in order to reduce the size of the thin film capacitor and realize a relatively high capacity.
[0006]
In recent years, from the viewpoint of capacity density, capacitor materials for next-generation DRAM (gigabit generation) have been used in conventional SiO.2And Si3N4This layered film cannot be fully supported, and a material system having a higher dielectric constant is attracting attention. In such a material system, application of TaOx (ε = ˜30) has been mainly studied, but other materials are being actively developed.
[0007]
As a dielectric material having a relatively high dielectric constant, (Ba, Sr) TiO3(BST) and Pb (Mg1/3Nb2/3) O3(PMN) is known.
[0008]
Therefore, it is considered that if this type of dielectric material is used to form a thin film capacitive element, its size can be reduced.
[0009]
However, since this type of dielectric material is not a temperature compensation material, it has a large temperature coefficient (for example, more than 4000 ppm / ° C. for BST). When a thin film capacitor is formed using such a material, the dielectric constant is low. Temperature characteristics sometimes deteriorated. In addition, when this type of dielectric material is used, the dielectric constant may decrease as the dielectric film becomes thinner. Furthermore, leak characteristics and breakdown voltage may be deteriorated due to holes generated in the dielectric film as the thickness is reduced. Further, the formed dielectric film tends to have poor surface smoothness. In recent years, high-capacitance capacitors not containing lead have been desired because of the large influence of lead compounds such as PMN on the environment.
[0010]
On the other hand, in order to reduce the size and increase the capacity of the multilayer ceramic capacitor, the thickness of the dielectric layer per layer is made as thin as possible (thinning), and the number of laminated dielectric layers in a predetermined size It is desirable to increase (multilayer) as much as possible.
[0011]
However, for example, a dielectric green sheet layer is formed on a carrier film using a sheet method (dielectric layer paste by a doctor blade method, etc.), and after the internal electrode layer paste is printed in a predetermined pattern thereon, these are then used. When manufacturing a multilayer ceramic capacitor by peeling and laminating one layer at a time), it is impossible to form a dielectric layer thinner than the ceramic raw material powder, and short-circuiting or internal due to defects in the dielectric layer Due to problems such as electrode breakage, it has been difficult to reduce the thickness of the dielectric layer to 2 μm or less, for example. Further, when the number of dielectric layers per layer is reduced, there is a limit to the number of stacked layers. A multilayer ceramic capacitor is manufactured by a printing method (for example, a method in which a plurality of dielectric layer pastes and internal electrode layer pastes are alternately printed on a carrier film using a screen printing method, and then the carrier film is peeled off). In this case, there is a similar problem.
For these reasons, there has been a limit to the reduction in size and increase in capacity of multilayer ceramic capacitors.
[0012]
Therefore, various proposals have been made to solve this problem (for example, JP-A-56-144523, JP-A-5-335173, JP-A-5-335174, JP-A-11-214245). Gazette, JP-A 2000-124056, etc.). These publications disclose a method for manufacturing a multilayer ceramic capacitor in which dielectric thin films and electrode thin films are alternately stacked using various thin film forming methods such as CVD, vapor deposition, and sputtering.
[0013]
However, in the techniques described in these publications, there is no description that the dielectric thin film is configured by using a dielectric material having a small temperature coefficient and capable of maintaining a relatively high dielectric constant, and a thin film stack for temperature compensation is not provided. It does not disclose a capacitor.
[0014]
Moreover, the dielectric thin film formed by the method described in these publications has poor surface smoothness, and if too many layers are laminated, the electrode may be short-circuited. For this reason, only about 12 to 13 layers can be manufactured at most, and even if the capacitor can be miniaturized, it is possible to achieve high capacity without deteriorating the temperature characteristics of the dielectric constant. There wasn't.
[0015]
[Problems to be solved by the invention]
Therefore, the applicant of the present invention has excellent temperature characteristics of dielectric constant, and even if it is thin, it has a relatively high dielectric constant and low loss, excellent leakage characteristics, improved breakdown voltage, and excellent surface smoothness. An element composition has been developed and has been filed earlier (Japanese Patent Application No. 2002-55732, Japanese Patent Application No. 2002-55734). The composition for thin film capacitive elements developed by the present applicant is a bismuth layered compound in which the c-axis is oriented perpendicular to the substrate surface. This thin film capacitor composition has excellent temperature characteristics of dielectric constant, and even if it is thin, it has relatively high dielectric constant and low loss, excellent leakage characteristics, improved withstand voltage, and excellent surface smoothness. ing.
However, it has been desired to further improve the temperature characteristics of the dielectric constant.
[0016]
An object of the present invention is a laminated structure dielectric thin film and thin film that are excellent in leakage characteristics, withstand voltage characteristics and surface smoothness, have a relatively high dielectric constant, and in particular, change in dielectric constant is extremely small in a predetermined temperature range. An object is to provide a capacitive element and a thin film multilayer capacitor.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies on the material and crystal structure of the dielectric thin film used in the capacitor, the present inventors have used a bismuth layered compound having a specific composition, and the c-axis ([001] orientation) of the bismuth layered compound is a substrate. By forming a dielectric thin film by orienting perpendicularly to the surface, that is, by forming a c-axis oriented film (c-axis parallel to the thin film normal) of a bismuth layered compound on the substrate surface, the dielectric constant A dielectric thin film that is excellent in temperature characteristics, has a relatively high dielectric constant and low loss (low tan δ) even when thinned, has excellent leakage characteristics, has improved breakdown voltage, and has excellent surface smoothness, I filed earlier.
[0018]
As the inventors further proceeded with the experiment, the bismuth layered compound having such a specific composition has a positive temperature characteristic in which the relative dielectric constant in a predetermined temperature range increases as the temperature rises. It has been found that there are two types of compounds: a compound having at least a part of the temperature range within the range, and a compound having a negative temperature characteristic opposite to that in at least a part of the predetermined temperature range. . These two types of compounds have opposite temperature characteristics, but have the same c-axis orientation, so that they can be easily stacked to form a film.
[0019]
That is, the laminated structure dielectric thin film according to the present invention is
A laminated dielectric thin film having at least a first high dielectric constant insulating film and a second high dielectric constant insulating film laminated in combination with the first high dielectric constant insulating film;
The first high dielectric constant insulating film has a positive temperature characteristic in which a relative dielectric constant increases with an increase in temperature in at least a part of a predetermined temperature range;
The second high dielectric constant insulating film has a negative temperature characteristic in which a relative dielectric constant decreases with an increase in temperature in at least a part of the predetermined temperature range.
Preferably, the predetermined temperature range is −55 ° C. to 150 ° C.
A laminated structure dielectric thin film according to another aspect of the present invention is:
A laminated dielectric thin film having at least a first high dielectric constant insulating film and a second high dielectric constant insulating film laminated in combination with the first high dielectric constant insulating film;
In the first high dielectric constant insulating film, the relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. has a tendency of a positive temperature characteristic that monotonously increases as the temperature increases,
The relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. of the second high dielectric constant insulating film has a tendency of negative temperature characteristics that monotonously decreases with increasing temperature.
A laminated structure dielectric thin film according to still another aspect of the present invention,
A laminated dielectric thin film having at least a first high dielectric constant insulating film and a second high dielectric constant insulating film laminated in combination with the first high dielectric constant insulating film;
The relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. in the first high dielectric constant insulating film has a tendency of a convex temperature characteristic that once rises with increasing temperature and then decreases.
In the second high dielectric constant insulating film, the relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. has a tendency of a concave temperature characteristic that increases after the relative dielectric constant decreases with increasing temperature.
[0020]
In the laminated structure dielectric thin film according to the present invention, a first high dielectric constant insulating film having a positive temperature characteristic and a second high dielectric constant insulating film having a negative temperature characteristic are laminated in combination, The average change rate of the relative dielectric constant in a predetermined temperature range (for example, −55 ° C. to 150 ° C.) approaches flat (zero). That is, it becomes possible to extremely reduce the change in the relative permittivity within a predetermined temperature range.
[0021]
Preferably, the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film are respectively
This is a high dielectric constant insulating film having a bismuth layered compound in which the c-axis is oriented perpendicular to the substrate surface.
[0022]
More preferably, the bismuth layered compound has the composition formula: (Bi2O2)2+(Am-1BmO3m + 1)2-Or Bi2Am-1BmO3m + 3Wherein the symbol m in the composition formula is a positive number, the symbol A is at least one element selected from Na, K, Pb, Ba, Sr, Ca and Bi, and the symbol B is Fe, Co, Cr, Ga, It is at least one element selected from Ti, Nb, Ta, Sb, V, Mo and W.
[0023]
In the present invention, each of the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film is composed of the bismuth layered compound having the specific composition described above, so that it has excellent leakage characteristics, pressure resistance characteristics, and surface smoothness. In particular, it is possible to realize a laminated structure dielectric thin film having a high dielectric constant.
[0024]
For example, a high dielectric constant insulating film formed by c-axis orientation of a bismuth layered compound having the above composition has a relatively high dielectric constant (for example, a relative dielectric constant of more than 100) and low even when the film thickness is reduced. Loss (tan δ is 0.02 or less) and excellent leakage characteristics (for example, a leakage current measured at an electric field strength of 50 kV / cm is 1 × 10-7A / cm2Hereinafter, the short-circuit rate is 10% or less, the withstand voltage is improved (for example, 1000 kV / cm or more), and the surface smoothness is also excellent (for example, the surface roughness Ra is 2 nm or less).
[0025]
In addition, the high dielectric constant insulating film having the above composition is excellent in frequency characteristics (for example, a ratio between a dielectric constant value at a high frequency region of 1 MHz at a specific temperature and a dielectric constant value at 1 kHz in a lower frequency region). Is 0.9 to 1.1 in absolute value), and has excellent voltage characteristics (for example, a ratio between a dielectric constant value at a measurement voltage of 0.1 V and a dielectric constant value at a measurement voltage of 5 V under a specific frequency) However, the absolute value is 0.9 to 1.1).
[0026]
Furthermore, the high dielectric constant insulating film having the above composition alone is excellent in temperature characteristics of capacitance (average rate of change of capacitance with respect to temperature is within ± 500 ppm / ° C. at a reference temperature of 25 ° C.). In particular, in the present invention, by combining the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film, the average change rate of the relative dielectric constant in the multilayered dielectric thin film at −55 ° C. to 150 ° C. It is possible to realize a laminated structure dielectric thin film having a thickness of within ± 60 ppm.
[0027]
Preferably, the symbol m in the composition formula constituting the first high dielectric constant insulating film is an odd number, and the symbol m in the composition formula constituting the second high dielectric constant insulating film is an even number.
[0028]
By making each of the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film a high dielectric constant insulating film having a specific composition, the first high dielectric constant insulating film has positive temperature characteristics. Thus, the second high withstand voltage dielectric film has negative temperature characteristics.
[0029]
Preferably, the bismuth layered compound is at least one selected from rare earth elements (Sc, Y, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb and Lu. Two elements).
[0030]
In the present invention, it is particularly preferable that the c-axis of the bismuth layered compound is 100% oriented perpendicular to the substrate surface, that is, the degree of c-axis orientation of the bismuth layered compound is 100%. The degree may not be 100%.
Preferably, the bismuth layered compound has a c-axis orientation of 80% or more.
[0031]
The manufacturing method of the first and second high dielectric constant insulating films according to the present invention is not particularly limited. For example, the first and second high dielectric constant insulating films are oriented in the [100] orientation such as cubic, tetragonal, orthorhombic, and monoclinic. The composition formula: (Bi2O2)2+(Am-1BmO3m + 1)2-Or Bi2Am-1BmO3m + 3Wherein the symbol m in the composition formula is a positive number, the symbol A is at least one element selected from Na, K, Pb, Ba, Sr, Ca and Bi, and the symbol B is Fe, Co, Cr, Ga, It can be manufactured by forming a high dielectric constant insulating film having as its main component a bismuth layered compound that is at least one element selected from Ti, Nb, Ta, Sb, V, Mo and W.
[0032]
The second high dielectric constant insulating film may be laminated on the first high dielectric constant insulating film, or vice versa. Further, another film or layer may be interposed between these insulating films. Furthermore, the boundary between the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film is not necessarily clear. For example, the composition may gradually change from the first high dielectric constant insulating film to the second high dielectric constant insulating film or vice versa. In the present invention, “laminated and laminated” means that the order of lamination is not limited, and other films and layers may be interposed, and the boundary is not necessarily clear.
In addition, the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film are not necessarily laminated one by one, but one or more layers are laminated in accordance with the inclination of the temperature characteristic graph. Thus, the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film may be combined. That is, the number of laminated layers of the first high dielectric constant insulating film and / or the second high dielectric constant insulating film is appropriately changed so that the average rate of change of the relative dielectric constant with respect to temperature in the laminated dielectric thin film approaches flat (zero). You may let them.
[0033]
Preferably, the ratio of the film thickness of the first high dielectric constant insulating film to the film thickness of the second high dielectric constant insulating film is a ratio in the multilayered dielectric thin film at −55 ° C. to 150 ° C. The average rate of change of dielectric constant with respect to temperature is determined so as to approach flat (zero). The film thickness of the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant according to the change rate of the temperature characteristic of the first high dielectric constant insulating film and the change rate of the temperature characteristic of the second high dielectric constant insulating film. By determining the ratio of the dielectric constant film to the film thickness, the average rate of change of the relative dielectric constant with respect to temperature in the laminated dielectric thin film can be made as close to flat (zero) as possible.
Furthermore, in the present invention, the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film are such that the average rate of change of the relative dielectric constant with respect to temperature in the multilayer dielectric thin film approaches flat (zero). A third high dielectric constant insulating film having different temperature characteristics may be laminated in combination with the first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film.
In the present invention, it goes without saying that another single or multilayer insulating film other than the third high dielectric constant insulating film may be laminated.
[0034]
The specific use of the multilayer structure dielectric thin film according to the present invention is not particularly limited, and can be used for a dielectric thin film for a thin film capacitor element, a dielectric thin film for a multilayer capacitor, a dielectric thin film for an EL element, and the like.
[0035]
The capacitive element according to the present invention is
A thin film capacitor in which a lower electrode, a dielectric thin film and an upper electrode are sequentially formed on a substrate,
The dielectric thin film is a multilayered dielectric thin film according to any one of the above.
[0036]
The multilayer capacitor according to the present invention is
A thin film multilayer capacitor in which a plurality of dielectric thin films and internal electrode thin films are alternately laminated on a substrate,
The dielectric thin film is a multilayered dielectric thin film according to any one of the above.
[0037]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described based on embodiments shown in the drawings.
FIG. 1 is a cross-sectional view of a principal part of a multilayered dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view of a main part of a multilayer capacitor using a multilayer structure dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a graph showing temperature characteristics of a multilayered dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a graph showing temperature characteristics of a laminated dielectric thin film according to another embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a graph showing temperature characteristics of a first high dielectric constant insulating film constituting a part of a multilayered dielectric thin film according to an embodiment of the present invention;
FIG. 6 is a graph showing temperature characteristics of the second high dielectric constant insulating film constituting a part of the multilayered dielectric thin film according to one embodiment of the present invention;
FIG. 7 is a graph showing the frequency characteristics of a multilayered dielectric thin film according to an example of the present invention.
FIG. 8 is a graph showing the voltage characteristics of the multilayered dielectric thin film according to the example of the present invention.
[0038]
First embodiment
In the present embodiment, a thin film capacitor will be described as an example of the thin film capacitor. As shown in FIG. 1, a
[0039]
As the
[0040]
As the lower electrode
[0041]
The lower electrode
[0042]
Examples of the other lower electrode
Although the thickness of the lower electrode
The upper electrode
[0043]
In the present embodiment, the multilayered dielectric
[0044]
In the present invention, the c-axis orientation degree of the bismuth layered compound is particularly preferably 100%, but the c-axis orientation degree is not necessarily 100%, and the bismuth layered compound is preferably 80% or more, more preferably. Is 90% or more, more preferably 95% or more, as long as it is c-axis oriented. For example, when the bismuth layered compound is c-axis oriented using the
[0045]
The c-axis orientation degree (F) of the bismuth layered compound here means that the c-axis X-ray diffraction intensity of a polycrystal having a completely random orientation is P0, and the actual c-axis X-ray diffraction intensity. Is P, F (%) = (P−P0) / (1−P0) × 100 (Expression 1). P in
[0046]
The c-axis of the bismuth layered compound is a pair of (Bi2O2)2+It means the direction connecting the layers, that is, the [001] orientation. In this way, the bismuth layered compound is c-axis oriented so that the dielectric properties of the high dielectric constant insulating
[0047]
In the above formula, the symbol m is not particularly limited as long as it is a positive number. However, as shown in FIG. 5, one of the first high dielectric constant insulating
[0048]
In the above formula, the symbol A is composed of at least one element selected from Na, K, Pb, Ba, Sr, Ca and Bi. In the case where the symbol A is composed of two or more elements, the ratio thereof is arbitrary.
[0049]
In the above formula, the symbol B is composed of at least one element selected from Fe, Co, Cr, Ga, Ti, Nb, Ta, Sb, V, Mo, and W. In the case where the symbol B is composed of two or more elements, the ratio thereof is arbitrary.
[0050]
The bismuth layered compound is composed of at least one element selected from Sc, Y, La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb and Lu (rare earth element Re). It is preferable to further have. The amount of substitution with rare earth elements varies depending on the value of m. For example, when m = 3 where m is an odd number, the composition formula: Bi2A2-xRexB3O12In the above, preferably 0.01 ≦ x ≦ 2.0, more preferably 0.05 ≦ x ≦ 1.4.
[0051]
For example, when m = 4 where m is an even number, the composition formula: Bi2A3-xRexB4O15In the above, preferably 0.01 ≦ x ≦ 2.0, more preferably 0.1 ≦ x ≦ 1.0.
[0052]
Even if the high dielectric constant insulating
[0053]
For example, in the high dielectric constant insulating
[0054]
On the other hand, in the high dielectric constant insulating
[0055]
The total thickness t (= t1 + t2) of the laminated dielectric
[0056]
The film thicknesses t1 and t2 of the high dielectric constant insulating
[0057]
Each of the high dielectric constant insulating
[0058]
In each of the high dielectric constant insulating
[0059]
In each of the high dielectric constant insulating
[0060]
In each of the high dielectric constant insulating
[0061]
In each of the high dielectric constant insulating
[0062]
Each of the high dielectric constant insulating
In the present embodiment, the high dielectric constant insulating
[0063]
As shown in FIGS. 3 and 4, the multilayer dielectric
[0064]
Moreover, each of the high dielectric constant insulating
[0065]
Second embodiment
In the present embodiment, a thin film multilayer capacitor will be described as an example.
As shown in FIG. 2, the thin film multilayer capacitor 20 according to an embodiment of the present invention has a
The
[0066]
The internal electrode
[0067]
The thin film multilayer capacitor 20 is formed by forming a first-layer internal electrode
[0068]
In the present embodiment, it is more preferable to use the
[0069]
The laminated structure dielectric
[0070]
In addition, each laminated structure dielectric
[0071]
The present invention is not limited to the above-described embodiment, and can be variously modified within the scope of the present invention.
For example, the multilayer structure dielectric thin film according to the present invention can be used not only as a dielectric thin film for capacitors but also as a dielectric thin film used for other uses, for example, an inorganic EL element. Furthermore, the multilayer structure dielectric thin film according to the present invention can also be used as a dielectric thin film of a DRAM capacitor which is an example of a capacitive element.
[0072]
【Example】
Hereinafter, although this invention is demonstrated based on a more detailed Example, this invention is not limited to these Examples.
[0073]
Example 1
CaRuO which becomes the lower electrode
[0074]
When the crystal structure of this BiT thin film was measured by X-ray diffraction (XRD), it was oriented in the [001] direction, that is, SrTiO.3It was confirmed that the c-axis orientation was perpendicular to the surface of the single crystal substrate.
[0075]
Further, the surface roughness (Ra) of this BiT thin film was measured by AFM (atomic force microscope, manufactured by Seiko Instruments Inc., SPI3800) according to JIS-B0601, and Ra = 0.5 nm.
[0076]
On the surface of the first high dielectric constant insulating
[0077]
When the crystal structure of this SBT thin film was measured by X-ray diffraction (XRD), it was oriented in the [001] direction, that is, SrTiO.3It was confirmed that the c-axis orientation was perpendicular to the surface of the single crystal substrate.
[0078]
Further, the surface roughness (Ra) of this BiT thin film was measured by AFM (atomic force microscope, manufactured by Seiko Instruments Inc., SPI3800) according to JIS-B0601, and Ra = 0.5 nm.
[0079]
Next, a 0.1 mmφ Pt upper electrode
[0080]
The electrical characteristics (dielectric constant, tan δ, loss Q value, leakage current, short rate) of the obtained high dielectric constant insulating film test samples and the temperature characteristics of the dielectric constant were evaluated.
The dielectric constant (no unit) is a capacitance measured on a test sample using a digital LCR meter (YHP 4284A) at room temperature (25 ° C.) and
Tan δ was measured under the same conditions as those for measuring the capacitance, and the loss Q value was calculated accordingly.
[0081]
Leakage current characteristics (unit: A / cm2) Was measured at an electric field strength of 50 kV / cm. The short-circuit rate (unit:%) was measured for 20 upper electrodes, and the proportion of short-circuits was calculated.
The temperature characteristics of the dielectric constant were measured for the test sample under the above conditions, and when the reference temperature was 25 ° C., the dielectric constant (ε / ε) with respect to the temperature in the temperature range of −55 to + 150 ° C.298) Was measured, and the temperature coefficient (ppm / ° C.) was calculated. Ε298Indicates ε of 298K.
These results are shown in Table 1.
Further, the dielectric constant (ε / ε) with respect to the temperature in the temperature range of −55 to + 150 ° C. in this example.2983) shows a graph of the change in (). The vertical axis of the graphs in FIGS. 3 to 6 is the capacity ratio, but is the capacity normalized by 298K, and (ε / ε298).
[0082]
Furthermore, frequency characteristics and voltage characteristics were evaluated using the test samples of this example.
The frequency characteristic was evaluated as follows. With respect to the test sample for the high dielectric constant insulating film, the frequency was changed from 1 kHz to 1 MHz at room temperature (25 ° C.), the capacitance was measured, and the result of calculating the dielectric constant is shown in FIG. An LCR meter was used to measure the capacitance. As shown in FIG. 7, it was confirmed that the value of the dielectric constant did not change even when the frequency under the specific temperature was changed to 1 MHz. That is, it was confirmed that the frequency characteristics were excellent.
[0083]
The voltage characteristics were evaluated as follows. For the test sample of this example, the measurement voltage (applied voltage) under a specific frequency (100 kHz) was changed from 0.1 V (
[0084]
[Table 1]
[0085]
Example 2
A test sample was prepared in the same manner as in Example 1 except that the BiT film thickness t1 was 60 nm, the SBT film thickness t2 was 40 nm, and t1: t2 = 1.2: 0.8. A similar test was conducted. The results are shown in Table 1. Further, the dielectric constant (ε / ε) with respect to the temperature in the temperature range of −55 to + 150 ° C. in this example.298FIG. 4 shows a graph of the change in ().
[0086]
By optimizing the ratio (t1: t2) between the film thickness t1 of the BiT film and the film thickness t2 of the SBT film, the temperature characteristic of the relative dielectric constant is −55 ° C. to 150 ° C. as shown in FIG. In the temperature range of ° C, it was confirmed that it was close to flat.
[0087]
Example 3
A test sample was prepared and a similar test was performed in the same manner as in Example 2 except that the stacking order of the BiT film and the SBT film was changed. The same results as in Example 2 were obtained.
[0088]
Reference example 1
A test sample was prepared in the same manner as in Example 1 except that only the BiT film was formed to a thickness of 100 nm without laminating the SBT film, and the test sample was within the temperature range of −55 to + 150 ° C. Dielectric constant with respect to temperature (ε / ε2985) shows a graph of the change in (). It was confirmed to have a positive temperature characteristic.
[0089]
Reference example 2
A test sample was prepared in the same manner as in Example 1 except that only the SBT film was formed to a thickness of 100 nm without laminating the BiT film, and the test sample was in the temperature range of −55 to + 150 ° C. Dielectric constant with respect to temperature (ε / ε298FIG. 6 shows a graph of changes in (). It was confirmed to have a negative temperature characteristic.
[0090]
Comparative Example 1
CaRuO to be the lower electrode thin film3SrTiO epitaxially grown in the [110] direction3Single crystal substrate ((110) CaRuO3// (110) SrTiO3) Except that CaRuO was used in the same manner as in Example 1.3A BiT thin film (high dielectric constant insulating film) having a film thickness of about 100 nm was independently formed on the surface of the lower electrode thin film. When the crystal structure of this BiT thin film was measured by X-ray diffraction (XRD), it was oriented in the [118] direction and SrTiO3It was confirmed that the c-axis orientation was not perpendicular to the surface of the single crystal substrate. Then, as in Example 1, the surface roughness (Ra) of the BiT thin film, the electrical characteristics of the test sample for the high dielectric constant insulating film, and the temperature characteristics of the dielectric constant were evaluated. The results are shown in Table 1.
[0091]
Comparative Example 2
CaRuO to be the lower electrode thin film3SrTiO epitaxially grown in the [111] direction3Single crystal substrate ((111) CaRuO3// (111) SrTiO3) Except that CaRuO was used in the same manner as in Example 1.3A BiT thin film (high dielectric constant insulating film) having a film thickness of about 100 nm was independently formed on the surface of the lower electrode thin film. When the crystal structure of this BiT thin film was measured by X-ray diffraction (XRD), it was oriented in the [104] direction and SrTiO3It was confirmed that the c-axis orientation was not perpendicular to the surface of the single crystal substrate. Then, as in Example 1, the surface roughness (Ra) of the BiT thin film, the electrical characteristics of the test sample of the thin film high dielectric constant insulating film, and the temperature characteristics of the dielectric constant were evaluated. The results are shown in Table 1.
[0092]
Evaluation
As shown in Table 1, the c-axis alignment film of the bismuth layered compound obtained in Examples 1 and 2 is inferior in dielectric constant to Comparative Examples 1 and 2, but has excellent leakage characteristics. It could be confirmed. As a result, it was possible to expect a further reduction in thickness, and it was confirmed that it was preferable as a high dielectric constant gate insulating film.
[0093]
Moreover, in Examples 1 and 2, it was also confirmed that the temperature characteristics were superior to those of Comparative Examples 1 and 2 and compared with Reference Examples 1 and 2. Furthermore, in Examples 1 and 2, it was confirmed that the surface smoothness was excellent as compared with Comparative Examples 1 and 2.
[0094]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the leakage characteristics, withstand voltage characteristics, and surface smoothness are excellent, the dielectric constant is relatively high, and the change in the relative dielectric constant is extremely small particularly in a predetermined temperature range. A multilayer structure dielectric thin film, a thin film capacitive element, and a thin film multilayer capacitor can be provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of an essential part of a multilayer structure dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a cross-sectional view of a main part of a multilayer capacitor using a multilayer structure dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a graph showing temperature characteristics of a multilayered dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 4 is a graph showing temperature characteristics of a multilayer dielectric thin film according to another embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a graph showing temperature characteristics of a first high dielectric constant insulating film constituting a part of a multilayered dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a graph showing temperature characteristics of a second high dielectric constant insulating film constituting a part of a multilayered dielectric thin film according to an embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a graph showing frequency characteristics of a multilayered dielectric thin film according to an example of the present invention.
FIG. 8 is a graph showing voltage characteristics of a multilayer dielectric thin film according to an example of the present invention.
[Explanation of symbols]
2 ... Test sample
4 ... Board
6 ... Lower electrode thin film
8, 8a ... Multilayer dielectric thin film
81. First high dielectric constant insulating film
82 ... Second high dielectric constant insulating film
10 ... Upper electrode thin film
20 ... Multilayer capacitor
Claims (12)
前記誘電体薄膜が、第1高誘電率絶縁膜と、前記第1高誘電率絶縁膜に組み合わされて積層される第2高誘電率絶縁膜とを少なくとも有する積層構造誘電体薄膜であって、
前記第1高誘電率絶縁膜が、温度の上昇と共に比誘電率が上昇する正温度特性を、所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有し、
前記第2高誘電率絶縁膜が、温度の上昇と共に比誘電率が低下する負温度特性を、前記所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有し、
前記下部電極が[100]方位に配向してあり、
前記第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜が、それぞれ、c軸が基板面に対して垂直に配向しているビスマス層状化合物で構成してあり、
前記ビスマス層状化合物が、組成式:(Bi 2 O 2 ) 2+ (A m−1 B m O 3m+1 ) 2− 、またはBi 2 A m−1 B m O 3m+3 で表され、前記組成式中の記号mが正数、記号AがNa、K、Pb、Ba、Sr、CaおよびBiから選ばれる少なくとも1つの元素、記号BがFe、Co、Cr、Ga、Ti、Nb、Ta、Sb、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
前記第1高誘電率絶縁膜を構成する組成式中の記号mが、奇数であり、前記第2高誘電率絶縁膜を構成する組成式中の記号mが、偶数である
ことを特徴とする薄膜容量素子。 A thin film capacitor in which a lower electrode, a dielectric thin film, and an upper electrode are sequentially formed on a substrate,
The dielectric thin film is a multilayered dielectric thin film having at least a first high dielectric constant insulating film and a second high dielectric constant insulating film laminated in combination with the first high dielectric constant insulating film,
The first high dielectric constant insulating film has a positive temperature characteristic in which a relative dielectric constant increases with an increase in temperature in at least a part of a predetermined temperature range;
The second high dielectric constant insulating film has a negative temperature characteristic in which a relative dielectric constant decreases with an increase in temperature in at least a part of the predetermined temperature range ;
The lower electrode is oriented in the [100] orientation;
The first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film are each composed of a bismuth layered compound in which the c-axis is oriented perpendicular to the substrate surface;
The bismuth layer compound is represented by the composition formula: (Bi 2 O 2) 2+ (A m-1 B m O 3m + 1) 2-, or represented by Bi 2 A m-1 B m O 3m + 3, symbols in the composition formula m is a positive number, symbol A is at least one element selected from Na, K, Pb, Ba, Sr, Ca and Bi, symbol B is Fe, Co, Cr, Ga, Ti, Nb, Ta, Sb, V, At least one element selected from Mo and W;
The symbol m in the composition formula constituting the first high dielectric constant insulating film is an odd number, and the symbol m in the composition formula constituting the second high dielectric constant insulating film is an even number. A thin film capacitor element .
前記第2高誘電率絶縁膜における−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に単調に低下する負温度特性の傾向を持つことを特徴とする請求項1に記載の薄膜容量素子。In the first high dielectric constant insulating film, the relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. has a tendency of a positive temperature characteristic that monotonously increases as the temperature increases,
The relative dielectric constant of -55 ° C to 150 ° C in the second high dielectric constant insulating film has a tendency of a negative temperature characteristic that monotonously decreases with an increase in temperature . Thin film capacitive element .
前記第2高誘電率絶縁膜がSrBi The second high dielectric constant insulating film is SrBi 22 TaTa 22 OO 99 である請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜容量素子。The thin film capacitive element according to claim 1.
前記誘電体薄膜が、第1高誘電率絶縁膜と、前記第1高誘電率絶縁膜に組み合わされて積層される第2高誘電率絶縁膜とを少なくとも有する積層構造誘電体薄膜であって、
前記第1高誘電率絶縁膜が、温度の上昇と共に比誘電率が上昇する正温度特性を、所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有し、
前記第2高誘電率絶縁膜が、温度の上昇と共に比誘電率が低下する負温度特性を、前記所定温度範囲の内の少なくとも一部の温度範囲で有し、
前記内部電極薄膜が[100]方位に配向してあり、
前記第1高誘電率絶縁膜および第2高誘電率絶縁膜が、それぞれ、
c軸が基板面に対して垂直に配向しているビスマス層状化合物で構成してあり、
前記ビスマス層状化合物が、組成式:(Bi 2 O 2 ) 2+ (A m−1 B m O 3m+1 ) 2− 、またはBi 2 A m−1 B m O 3m+3 で表され、前記組成式中の記号mが正数、記号AがNa、K、Pb、Ba、Sr、CaおよびBiから選ばれる少なくとも1つの元素、記号BがFe、Co、Cr、Ga、Ti、Nb、Ta、Sb、V、MoおよびWから選ばれる少なくとも1つの元素であり、
前記第1高誘電率絶縁膜を構成する組成式中の記号mが、奇数であり、前記第2高誘電率絶縁膜を構成する組成式中の記号mが、偶数である
薄膜積層コンデンサ。A thin film multilayer capacitor in which a plurality of dielectric thin films and internal electrode thin films are alternately laminated on a substrate,
The dielectric thin film is a multilayered dielectric thin film having at least a first high dielectric constant insulating film and a second high dielectric constant insulating film laminated in combination with the first high dielectric constant insulating film,
The first high dielectric constant insulating film has a positive temperature characteristic in which a relative dielectric constant increases with an increase in temperature in at least a part of a predetermined temperature range;
The second high dielectric constant insulating film has a negative temperature characteristic in which a relative dielectric constant decreases with an increase in temperature in at least a part of the predetermined temperature range;
The internal electrode thin film is oriented in the [100] orientation;
The first high dielectric constant insulating film and the second high dielectric constant insulating film are respectively
the c-axis is composed of a bismuth layered compound oriented perpendicular to the substrate surface;
The bismuth layer compound is represented by the composition formula: (Bi 2 O 2) 2+ (A m-1 B m O 3m + 1) 2-, or represented by Bi 2 A m-1 B m O 3m + 3, symbols in the composition formula m is a positive number, symbol A is at least one element selected from Na, K, Pb, Ba, Sr, Ca and Bi, symbol B is Fe, Co, Cr, Ga, Ti, Nb, Ta, Sb, V, At least one element selected from Mo and W;
A thin film multilayer capacitor in which the symbol m in the composition formula constituting the first high dielectric constant insulating film is an odd number, and the symbol m in the composition formula constituting the second high dielectric constant insulating film is an even number .
前記第2高誘電率絶縁膜における−55°C〜150°Cでの比誘電率が、温度の上昇と共に単調に低下する負温度特性の傾向を持つことを特徴とする請求項7に記載の薄膜積層コンデンサ。In the first high dielectric constant insulating film, the relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. has a tendency of a positive temperature characteristic that monotonously increases as the temperature increases,
The relative dielectric constant at −55 ° C. to 150 ° C. of the second high dielectric constant insulating film has a tendency of negative temperature characteristics that monotonously decreases as the temperature increases . Thin film multilayer capacitor .
前記第2高誘電率絶縁膜がSrBi The second high dielectric constant insulating film is SrBi 22 TaTa 22 OO 99 である請求項7〜10のいずれかに記載の薄膜積層コンデンサ。The thin film multilayer capacitor according to claim 7.
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