JP4080704B2 - スイッチング電源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスイッチング電源の技術分野にかかり、特に、主スイッチング素子に流れる電流を検出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8の符号102は、従来技術のスイッチング電源を示している。
このスイッチング電源102は、一次側入力回路110と、トランス140と、二次側出力回路120とを有している。符号131、132は、一次側入力回路110の入力端子であり、符号133、134は、二次側出力回路120の出力端子である。
【0003】
一次側入力回路110内には、主スイッチング素子111と、電流検出抵抗112と、制御回路114と、比較器113と、基準電圧源116とを有している。ここでは主スイッチング素子111にはnチャネル型のMOSFETが用いられている。
【0004】
トランス140は、一次巻線141を有している。該一次巻線141の一端は、高電圧側の出力端子131に接続されており、他端は、主スイッチング素子111のドレイン端子に接続されている。
【0005】
主スイッチング素子111のゲート端子は、制御回路114に接続されており、制御回路114が出力するゲート信号によって、主スイッチング素子111の導通と遮断が制御されるように構成されている。
【0006】
入力端子131、132は、直流電圧源117に接続されており、主スイッチング素子111が導通と遮断を繰り返す動作(スイッチング動作)を開始すると、一次巻線141に断続的に電流が流れる。
【0007】
トランス140内には、一次巻線141に磁気結合された二次巻線142が設けられている。一次巻線141に断続的に電流が流れると、二次巻線142に交流電圧が誘起される。二次巻線142の一端は、ダイオード122のアノード端子に接続されており、該ダイオード122のカソード端子と二次巻線142の他端は、それぞれ高電圧側の出力端子133と低電圧側の出力端子134に接続されている。この出力端子133、134間には、負荷125が接続されている。また、負荷125と並列に、コンデンサ123が接続されており、二次巻線142に現れた交流電圧は、ダイオード142で整流され、コンデンサ123で平滑され、出力端子133、134間に現れた直流電圧が負荷125に供給されるようになっている。
【0008】
出力端子133、134の電圧は、フォトカプラ126を介して制御回路114に入力されており、制御回路114は、主スイッチング素子111のスイッチング状態を制御し、出力端子133、134に現れる直流電圧が一定値を維持するようにしている。
【0009】
上記のようなスイッチング電源102では、負荷125に流れる電流が大きくなると、出力端子133、134の電圧を維持するために、主スイッチング素子111に流れる電流も大きくなる。
【0010】
主スイッチング素子111のソース端子は、電流検出抵抗112を介して低電位側の入力端子132に接続されており、主スイッチング素子111に流れた電流は、電流検出抵抗112を流れ、電流検出抵抗112の両端に、電流量に応じた大きさの電圧降下が発生する。
【0011】
主スイッチング素子111のソース端子は、比較器113の非反転入力端子に接続されており、電流検出抵抗112の両端に生じた電圧は、比較器113の非反転入力端子に入力される。
【0012】
該比較器113の反転入力端子には、基準電圧源116が出力する基準電圧が入力されており、比較器113によって、電流検出抵抗112に生じた電圧と、基準電圧の大きさとが比較され、比較結果が制御回路114に出力される。
【0013】
制御回路114に入力された比較結果が、電流検出抵抗112に生じた電圧が、基準電圧よりも大きいことを示していた場合には、主スイッチング素子111に流れる電流が大きすぎるため、制御回路114は、主スイッチング素子111を強制的に遮断させ、主スイッチング素子111を破壊から守る。
【0014】
以上説明したように、従来のスイッチング電源102では、主スイッチング素子111に流れた電流が、全て電流検出抵抗112に流れるため、電流検出抵抗112に生じる損失が無視できない大きさになってしまう。
【0015】
また、電流検出抵抗112には、高精度の抵抗値が要求されるため、制御回路114と主スイッチング素子111とを1チップ化できたとしても、電流検出抵抗112はICチップとは別のディスクリート抵抗素子を採用する必要が生じる。
【0016】
また、ディスクリート抵抗素子を接続するためのソース端子を外部に導出しなければならず、端子数が増加するという問題もある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、損失が小さく、端子数の少ないスイッチング電源を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、一次巻線と、前記一次巻線に直列接続された主スイッチング素子と、前記一次巻線に磁気結合された二次巻線とを有し、前記主スイッチング素子がスイッチング動作し、前記一次巻線にスイッチング電流を流して前記二次巻線に二次側電圧を誘起させ、前記二次側電圧を整流平滑して負荷に電力を供給するスイッチング電源であって、互いに直列接続された第1、第2の抵抗回路が前記主スイッチング素子に並列接続され、前記主スイッチング素子に生じた電圧降下が前記第1、第2の抵抗回路で分圧され、前記第1、第2の抵抗回路の接続点から分圧電圧として出力されるように構成され、前記第1、第2の抵抗回路のうち、前記主スイッチング素子が遮断状態にあるときに、両端に印加される電圧が大きい方が、1個又は2個以上のJFETが直列接続されて構成され、前記スイッチング電源は、第1の入力端子に前記分圧電圧が入力され、第2の端子に基準電圧が入力される比較器と、前記第1の入力端子を接地電位に接続する保護トランジスタとを有し、前記保護トランジスタは、前記主スイッチング素子が遮断状態のときに導通し、前記主スイッチング素子が導通状態のときに遮断するように構成されたスイッチング電源である。
請求項2記載の発明は、前記第1、第2の抵抗回路の両方が、1個又は2個以上のJFETがそれぞれ直列接続されて構成された請求項1記載のスイッチング電源である。
【0019】
本発明は上記のように構成されており、主スイッチング素子のが導通状態にあるときに、その両端に生じる電圧を、第1、第2の抵抗回路で分圧するようになっている。
【0020】
第1、第2の抵抗回路のうち、主スイッチング素子が遮断状態にあるときに、大きな電圧が印加される方は、1個のJFET、又は2個以上のJFETの直列接続回路で構成されている。
【0021】
JFETに高電圧が印加されると抵抗特性から定電流特性に変化するので、主スイッチング素子が遮断状態にあるときにはJFETは定電流特性になり、流れる電流を減少させ、他方、主スイッチング素子が導通状態になると、抵抗特性を示し、出スイッチ素子の両端の電圧と、第1、第2の抵抗回路の抵抗値に従って分圧させるようになっている。
第1、第2の抵抗回路の両方をJFETで構成すれば、温度特性が一致するので、抵抗値の比率(分圧比)が温度の影響を受けないようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1の符号1は、本発明の第1例のスイッチング電源を示している。
このスイッチング電源1は、一次側入力回路10と、トランス40と、二次側出力回路20とを有している。
【0023】
符号17は、商用電圧源を整流平滑した直流電圧源を示している。一次側入力回路10は、高電圧側入力端子31と接地側入力端子32とを有しており、直流電圧源17が出力する直流電圧は、高電圧側入力端子31と接地側入力端子32の間に印加されている。
【0024】
トランス40内には、一次巻線41が設けられており、該一次巻線41の一端は、高電圧側入力端子31に接続されている。
一次側入力回路1は、主スイッチング素子11と、分圧回路5と、基準電圧回路19と、比較器6と、制御回路14とを有している。
【0025】
主スイッチング素子11は、nチャネルMOSFETで構成されており、そのゲート端子は制御回路14に接続され、制御回路14が出力するゲート信号によって、導通と遮断が制御されるように構成されている。
【0026】
主スイッチング素子11のドレイン端子は一次巻線41の他端に接続され、ソース端子は接地側入力端子32に接続されている。制御回路14が出力するゲート信号によって主スイッチング素子11が導通と遮断を繰り返すと、一次巻線41の両端が、高電圧側入力端子31と接地側入力端子32に接続され、その結果、直流電圧源17から一次巻線41に断続的に電流が流される。
【0027】
トランス40内には、一次巻線41と磁気結合された二次巻線42が設けられており、一次巻線41に断続的に電流が流れると、二次巻線42に電圧が誘起される。
【0028】
二次側出力回路20は、整流素子22とコンデンサ23とを有しており、二次巻線42の一端は、整流素子22を介して高電位側出力端子33に接続されている。
二次巻線42の他端は接地側出力端子34に接続されており、高電位側出力端子33と接地側出力端子34との間に負荷25が接続されるようになっている。
【0029】
主スイッチング素子11が導通状態から遮断状態に転じ、二次巻線42の整流素子22側に正電圧が誘起されると、整流素子22は順バイアスされ、整流素子22を通って負荷25に電流が供給される。
コンデンサ33は負荷25に並列に接続されており、整流素子22を流れた電流により、コンデンサ33は充電される。
【0030】
主スイッチング素子11が遮断状態から導通状態に転じると、二次巻線42には整流素子22を逆バイアスする電圧が印加され、整流素子22には電流が流れなくなる。この状態では、コンデンサ23の放電により、負荷25に電流が供給される。
【0031】
このスイッチング電源1では、主スイッチング素子11に対し、分圧回路5が並列接続されている。
分圧回路5は、第1、第2の抵抗回路51、52を有しており、第1の抵抗回路51の一端が、一次巻線41と主スイッチング素子11の互いに接続された部分に接続されており、他端が、第2の抵抗回路52の一端に接続されている。第2の抵抗回路52の他端は、接地側入力端子32に接続されている。
【0032】
第1、第2の抵抗回路51、52が互いに接続された部分を接続点7とすると、主スイッチング素子11のドレイン端子とソース端子の間の電圧は、第1、第2の抵抗回路51、52の抵抗値の大きさに従って分圧され、分圧電圧が接続点7に現れるようになっている。
【0033】
第1、第2の抵抗回路51、52は、1個のJFET(ジャンクションFET)又は直列接続された2個以上のJFETによって構成されている。ここでは、第1の抵抗回路51は、第1〜第6の6個のJFET151〜156が直列接続され、第2の抵抗回路52は、第7、第8の2個のJFET161〜162が直列接続されて構成されている。
【0034】
具体的には、第1〜第8のJFET151〜156、161、162のうち、最も高電位側の第1のJFET151のドレイン端子は、一次巻線41と主スイッチング素子11とが接続された部分に接続されており、第2〜第8のJFET152〜156、161、162のドレイン端子は、より高電位側の第1〜第7のJFET151〜156、161のソース端子に接続されている。また、最も低電位側の第8のJFET162のソース端子は接地電位に接続されている。
【0035】
また、第1〜第8のJFET151〜156、161、162のゲート端子は自分自身のソース端子と短絡されている。
【0036】
本発明に用いられる第1〜第8のJFET151〜156、161、162は同一の半導体チップ内に形成されている。図6の符号50は、その半導体チップ51の拡散構造を示している。
【0037】
この半導体チップ51は、P型のシリコン基板52と、該シリコン基板52上に形成されたN型のシリコンから成るエピタキシャル層53を有している。エピタキシャル層53内には、エピタキシャル層53の表面側からの拡散によって形成されたP型の分離領域54が所望位置に配置されている。
【0038】
分離領域54の底部はシリコン基板52にまで達しており、エピタキシャル層53は、分離領域54によって複数の部分に区分けされている。区分けされた各エピタキシャル層53内には、後述する制御回路14や、比較器6を構成するトランジスタや抵抗などの電気素子が形成されている。
【0039】
符号55は、分離領域54によって囲まれたエピタキシャル層53のうち、第1〜第8のJFET151〜156、161、162が形成されたエピタキシャル層を示している。
【0040】
このエピタキシャル層55の内部の表面近傍位置には、P型のゲート領域56が形成されている。ゲート領域56は、分離領域54やシリコン基板52とは非接触になっており、シリコン基板52及び分離領域54とは異なる電圧を印加できるようになっている。
【0041】
ゲート領域56の端部と分離領域54の間には、エピタキシャル層55の表面が残っている。ゲート領域56の両端位置のエピタキシャル55内部の表面近傍には、N+型のソースコンタクト領域57sとドレインコンタクト領域57dとが形成されている。また、ゲート領域56内部の表面近傍には、P+型のゲートコンタクト領域57gが形成されている。
【0042】
第1〜第8のJFET151〜156、161、162のソース端子とドレイン端子とゲート端子は、それぞれソースコンタクト領域57sと、ドレインコンタクト領域57dと、ゲートコンタクト領域57gによって構成されている。
【0043】
上記構造の第1〜第8のJFET151〜156、161、162の電気的特性を図2のグラフに示す。
【0044】
図2のグラフの曲線L1は、ソース端子とゲート端子を短絡させ、接地電位(シリコン基板51の電位)に接続したときの電気的特性を示しており、横軸はドレイン端子とソース端子の間の電圧VDSの大きさであり、縦軸はドレイン端子からソース端子に流れる電流IDの大きさである。
【0045】
曲線L1に示されている通り、第1〜第8のJFET151〜156、161、162は、電圧VDSが小さい領域Aでは抵抗特性を示し、電圧VDSが大きい領域Bでは定電流特性を示す。ここでは、0≦VDS≦V1 の範囲で抵抗特性を示し、V2≦VDS≦V3 の範囲で定電流特性を示している。VDSがV3を超えると、なだれ降伏によって電流は急増する。
本発明の第1〜第8のJFET151〜156、161、162は、約10V以下の範囲で抵抗特性を示し、20V以上600V以下の範囲で定電流特性を示す。
【0046】
主スイッチング素子11が導通状態にある場合には、主スイッチング素子11のドレイン端子とソース端子の間に生じる電圧降下VDS(ON)は、主スイッチング素子11の導通抵抗をRDS(ON)とし、流れる電流をIDとすると、
【0047】
VDS(ON) = RDS(ON) × ID ……(1)
で表される。
【0048】
VDS(ON)は、通常0.1V〜5.0V程度の大きさであり、VDS(ON)<V1である。従って、主スイッチング素子11が導通状態にあるときは、第1〜第8のJFET151〜156、161、162は抵抗特性を示す領域Aで動作する。
【0049】
この場合、各JFET151〜156、161、162の抵抗値RJFETは、ほとんど等しく形成することができるから、接続点7に現れる検出電圧Vsenceは、
【0050】
Vsence = VDS(ON)/4
となる。各JFET151〜156、161、162の抵抗値RJFETが等しければ、導通電圧VDS(ON)は、ほぼ正確に各JFET151〜156、161、162の抵抗値の大きさに従って分圧される。
【0051】
接続点7は、比較器6の第1の入力端子131に接続されている。
この比較器6の第2の入力端子132には、基準電圧回路19が接続されており、接続点7に現れる検出電圧Vsenceと、基準電圧回路19が出力する基準電圧Vrefがとが比較器6によって比較され、比較結果が制御回路14に出力される。
【0052】
基準電圧Vrefの大きさは、スイッチング電源1が正常に動作している状態であれば、Vsence<Vrefが成立するように設定されており、この状態では、比較器6からはロー信号が出力され、制御回路14は、主スイッチング素子11のスイッチング動作を維持する。
【0053】
他方、Vsence>Vref(又はVsence≧Vref)になると、主スイッチング素子11に流れる電流IDが過大であるため、比較器6はハイ信号を出力し、制御回路14は、主スイッチング素子11を強制的に遮断させる。
【0054】
このように、本発明のスイッチング電源1では、主スイッチング素子11の導通抵抗VDS(ON)は、正確に分圧されて検出電圧Vsenceが生成されているので、主スイッチング素子11に流れる電流IDを正確に監視することができる。
【0055】
第1〜第8のJFET151〜156、161、162は、それらの抵抗値RJFETを拡散層の抵抗素子で形成したときと同程度の大きさであり、面積的な不利益はない。
【0056】
他方、主スイッチング素子11が遮断状態にある場合には、主スイッチング素子11のドレイン端子とソース端子の間に印加される電圧は、直流電圧源17の出力電圧に等しい。
【0057】
直流電圧源17がAC100Vを整流している場合、DCに換算すると、直流電圧源17が出力する直流電圧VEは140V以上の高電圧になる。このような高電圧が直列接続された第1〜第8のJFET151〜156、161、162に印加されると、各JFET151〜156、161、162は、定電流特性を示す領域Bで動作する。
【0058】
この場合、第1〜第8のJFET151〜156、161、162は定電流特性を示している状態であるから、それらに流れる電流は僅かである。
【0059】
図3の符号9は、第1〜第8のJFET151〜156、161、162に替え、高抵抗値を有する第1〜第8の抵抗素子351〜356、361、362が用いられたスイッチング電源を示している。
【0060】
各抵抗素子351〜356、361、362は拡散層によって構成されており、定電流特性を示すときの各JFET151〜156、161、162に流れる電流と同程度の小さな電流を長すため、抵抗値が非常に大きくなっている。このような高抵抗値を有する抵抗素子は非常に大面積を必要とする。
【0061】
なお、第1〜第8のJFET151〜156、161、162の両端に生じる電圧の大きさは、各JFET151〜156、161、162の定電流特性に従って分圧されており、約VE/4の大きさになっている。
【0062】
この大きさの電圧が比較器6に入力されると比較器6が破壊するので、接続点7と接地電位の間には、ツェナーダイオード18が挿入されており、比較器6には、ツェナーダイオード18のツェナー電圧VZ以上の電圧が印加されないようになっている(VZ<<VE/4である)。
【0063】
図4の符号2は、本発明の第2例のスイッチング電源であり、第1例のスイッチング電源1のツェナーダイオード18に替え、保護用トランジスタ38とインバータ39を有する他は、第1例のスイッチング電源1と同じ構成である。
保護用トランジスタ38はnチャネルMOSFETで構成されており、そのソース端子は接地電位に接続され、ドレイン端子は接続点7に接続されている。
【0064】
保護用トランジスタ38のゲート端子には、主スイッチング素子11のゲート端子に入力される信号が、インバータ39で反転されて入力されており、従って、保護用トランジスタ38と主スイッチング素子11とは、一方が導通状態にあるときは他方は遮断状態にあるようになっている。
【0065】
主スイッチング素子11が導通状態にあるときは、保護用トランジスタ38は遮断状態にあるから、その状態では接続点7には、主スイッチング素子11の両端の電圧を分圧回路5で分圧した電圧が現れる。
【0066】
他方、主スイッチング素子11が遮断すると保護用トランジスタ38は導通し、接続点7を接地電位に接続し、比較器6の入力端子131を保護する。
この状態では、第1の抵抗回路51に直流電圧VEが印加されるが、第1の抵抗回路51を構成する第1〜第6のJFET151〜156は定電流特性にあるから、流れる電流は僅かである。
【0067】
上記第1、第2例のスイッチング電源1、2では、第1〜第8のJFET151〜156、161、162のゲート端子57gは、自分自身のソース端子57sと短絡されていたが、本発明はそれに限定されるものではない。
図5の符号3は、第1〜第8のJFET151〜156、161、162のゲート端子を接地電位に接続させた本発明の第3例のスイッチング電源である。
【0068】
図7(a)、(b)の符号60は、第1〜第8のJFET151〜156、161、162のゲート端子を接地電位に接続させた場合の構造を示している。図7(a)は平面図、図7(b)は断面図である。
【0069】
この構造では、P型のシリコン基板62上に低濃度N型のエピタキシャル層63が形成されており、エピタキシャル層63の表面から、所定パターンでP型の分離領域64が拡散形成されている。分離領域64の底面はシリコン基板62に達している。
【0070】
エピタキシャル層63のうち、符号65は、リング状の分離領域64で囲われたエピタキシャル層を示している。このエピタキシャル層65は、他の部分のエピタキシャル層63とはPN接合によって分離されている。
【0071】
このエピタキシャル層65表面には、第1〜第9の低抵抗領域671〜679が一列に形成されている。第1〜第9の低抵抗領域671〜679は、高濃度のN型拡散層で構成されており、それらの間には、エピタキシャル層65が存している。
【0072】
エピタキシャル層65内の端部に位置する第1の低抵抗領域671は、一次巻線41の一端に接続されており、第1の低抵抗領域671とは反対側に位置する第9の低抵抗領域679は接地電位に接続されている。
【0073】
この構成では、第1の低抵抗領域671と第2の低抵抗領域672とで一次巻線41に接続された第1のJFET151が構成されており、第2の低抵抗領域672〜第9の低抵抗領域679とその間に位置するエピタキシャル層65によって第2〜第8のJFET152〜156、161、162が構成されている。
【0074】
第1〜第8のJFET151〜156、161、162のゲート領域は、エピタキシャル層65を囲む分離領域64とシリコン基板62とで構成されており、分離領域64とシリコン基板62からエピタキシャル層64内に広がった空乏層が、第1〜第9の低抵抗領域671〜679間に位置するエピタキシャル層64を空乏化し、定電流特性を発現させるように構成されている。
【0075】
この場合、主スイッチング素子11が遮断状態にあるときには、第1の抵抗回路51に大きな電圧が印加され、第2の抵抗回路52には電圧は印加されない。従って、第1の抵抗回路51は、複数のJFETを直列接続させて構成し、第2の抵抗回路52は、抵抗素子によって構成させることができる。
【0076】
なお、本発明のスイッチング電源1〜3に用いた基準電圧回路19は、電圧源45と、定電流源46と、基準抵抗47とを有している。
基準電流源46からは、温度に依存しない一定電流が基準抵抗47に供給されるようになっており、その一定電流が流れると、基準抵抗47の両端に基準電圧が生じ、比較器6の第2の入力端子132に入力されるようになっている。
【0077】
この場合、基準抵抗47の温度特性を主スイッチング素子11の導通抵抗RDS(ON)の温度特性と一致させると、主スイッチング素子11の発熱による影響を消去することができる。
【0078】
例えば、主スイッチング素子11をMOSFETで構成した場合、導通抵抗RDS(ON)の150℃の値は常温(25℃)の値の2倍になる。
従って、常温と150℃とで、同じ大きさの電流が流れたときに、主スイッチング素子11を遮断させるためには、150℃での基準電流の大きさを、常温での基準電流の大きさの2倍にする必要がある。
【0079】
上記のように、基準抵抗47に、温度に依存しない一定電流が供給される場合、基準抵抗47の材質を主スイッチング素子11の導通抵抗RDS(ON)と同じ温度特性、上記例では150℃での抵抗値が常温での抵抗値の2倍になるような材質で構成すればよい。
【0080】
【発明の効果】
損失が小さく、端子数の少ないスイッチング電源を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1例のスイッチング電源を示す回路図
【図2】JFETの電気的特性を説明するためのグラフ
【図3】比較例スイッチング電源を示す回路図
【図4】本発明の第2例のスイッチング電源を示す回路図
【図5】本発明の第3例のスイッチング電源を示す回路図
【図6】JFETの構造の一例を説明するための図
【図7】(a)、(b):ゲート端子を接地電位に接続したJFETの構造を説明するための図
【図8】従来技術のスイッチング電源の回路図
【符号の説明】
1、2、3……スイッチング電源
51……第1の抵抗回路
52……第2の抵抗回路
7……接続点
11……主スイッチング素子
151〜156、161、162……第1〜第8のJFET
25……負荷
41……一次巻線
42……二次巻線
Claims (2)
- 一次巻線と、
前記一次巻線に直列接続された主スイッチング素子と、
前記一次巻線に磁気結合された二次巻線とを有し、
前記主スイッチング素子がスイッチング動作し、前記一次巻線にスイッチング電流を流して前記二次巻線に二次側電圧を誘起させ、
前記二次側電圧を整流平滑して負荷に電力を供給するスイッチング電源であって、
互いに直列接続された第1、第2の抵抗回路が前記主スイッチング素子に並列接続され、
前記主スイッチング素子に生じた電圧降下が前記第1、第2の抵抗回路で分圧され、前記第1、第2の抵抗回路の接続点から分圧電圧として出力されるように構成され、
前記第1、第2の抵抗回路のうち、前記主スイッチング素子が遮断状態にあるときに、両端に印加される電圧が大きい方が、1個又は2個以上のJFETが直列接続されて構成され、
前記スイッチング電源は、
第1の入力端子に前記分圧電圧が入力され、第2の端子に基準電圧が入力される比較器と、
前記第1の入力端子を接地電位に接続する保護トランジスタとを有し、
前記保護トランジスタは、前記主スイッチング素子が遮断状態のときに導通し、前記主スイッチング素子が導通状態のときに遮断するように構成されたスイッチング電源。 - 前記第1、第2の抵抗回路の両方が、1個又は2個以上のJFETがそれぞれ直列接続されて構成された請求項1記載のスイッチング電源。
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