JP4075507B2 - インクカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は記録装置に装着可能なインクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
記録装置にインクを供給するためのインクカートリッジとして、ケース内に設置した多孔質体にインクを含浸させたもの、可撓性の袋にインクを収容したものなどが広く用いられている。また、特開昭58−53473号公報、特公表3−505999号公報、米国特許第4509062号明細書などには、一つの面を開口させたケースの開口部を覆って可撓性のフィルムを張り、ケースとフィルムとの間にインクを収容するものが記載されている。
【0003】
本願出願人は、特願2002−93476号において、インクジェット記録方式のプリンタエンジンで記録された用紙の排出口の鉛直方向下方にインクカートリッジ装着部を設け全体的に薄く小型化された記録装置を提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、記録装置においての小型化・薄型化の要望に伴い、それを実現するためにインクカートリッジ側も小型化・薄型化が要求されてきている。また、インクカートリッジは、曲げや歪みに強くケース強度が確保されていることが好ましい。
【0005】
たとえば、小型化あるいは薄型化された記録装置では、インクカートリッジを装着する部分が制限され、変形したインクカートリッジでは、その装着部に装着できなくなったり、内部のインクに予期しない圧力を与えて、記録動作に影響を与える可能性がある。また、インクジェット記録装置では、インク内の溶存空気が時間の経過とともに気泡化しその気泡がインクの不吐出を生じさせることを避けるため、インク内に溶存空気を増加させないよう、インクカートリッジを真空パック包装することがあるが、このとき、包装材料内の減圧によってインクカートリッジが変形してインクが漏れる等のことがないことが望ましい。
【0006】
ケースの開口部に可撓性のフィルムを張ったインクカートリッジでは、ケースが大きく変形したとき可撓性フィルムにも変形を生じさせ、内部のインクに対する影響が大きい。
【0007】
しかし、従来のインクカートリッジにおいて、ケース強度を確保しようとすると、インクの収容量が制限され、小型化・薄型化が困難であるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、小型化され、かつ、強度を確保しながらインクの収容量を大きくとることができるインクカートリッジを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、本体ケースと上蓋とを備え、前記本体ケースは 、前記上蓋に対向する側に円形もしくは楕円形の開口部を有する略球面状の凹面部と、該凹面部の該開口部を覆い該凹面部との間にインクを収容するインク収容部を形成する可撓性膜と、該凹面部を囲み該凹面部の深さ方向に延び、該凹面部を周囲から支える周壁部とを有し、該凹面部は、略球面形状に湾曲した壁によって形成されており、前記可撓性膜は、前記インク収容部にインクを充填した状態で、略球面状に膨らみ、前記周壁部の該深さ方向下端が前記本体ケースの底面の略外周縁部をなし、前記周壁部は、前記凹面部の前記開口部を規定する本体側開口周縁部から一体に連続し前記インク収容部の深さ方向に延びる第1の周壁と、該第1の周壁から前記インク収容部とは反対側に間隔を置いて位置し、前記インク収容部の深さ方向に延びる第2の周壁とからなり、該第1の周壁と該第2の周壁とは複数のリブによって相互に連結されており、該第1の周壁と該凹面部を形成する該略球面形状の壁の下面とは、更に別の複数のリブによって相互に連結されており、前記上蓋は、前記可撓性膜に対して前記凹面部とは反対側に位置し前記凹面部から離隔する方向に略球面形状に湾曲した略球面状外側湾曲部と、該略球面状外側湾曲部の周囲に形成された平坦部とを備え、該略球面状外側湾曲部は、前記平坦部よりも前記本体ケースの前記凹面部から離隔する方向に突出しており、前記平坦部が、前記本体ケースの前記周壁部に対向して接合されていることを特徴とするインクカートリッジを提供している。
【0010】
かかる構成の本発明のインクカートリッジによれば、インクカートリッジ上面が、凹面部と可撓性膜との間にインクを収納した際、可撓性膜が膨らむ分に対応して凹面部から離隔する方向に湾曲しているので、小型でも大容量のインクを収容することができる。上蓋の略球面状外側湾曲部の周囲に平坦部があって、該平坦部が本体ケースの周壁部に対向して接合されるので、インクカートリッジを簡単に作成できる。また、凹面部を形成する壁及びそれと対向する上蓋の略球面状外側湾曲部がそれぞれ離隔する方向に略球面状に湾曲して十分な強度を有しているため、インクカートリッジが曲げや歪みに強くつぶれることがない。さらに、周壁部が凹面部の開口部の周縁から一体に連続して延びる第1の周壁と、該第1の周壁から間隔を置いて位置する第2の周壁とからなり、第1の周壁と第2の周壁とが複数のリブによって相互に連結され、第1の周壁と凹面部を形成する略球面形状の壁の下面とが別の複数のリブによって連結されているので、一層インクカートリッジが補強され、インク収納部の下面が略球面形状であっても、周壁部の下端によって安定して置くことができる。
【0011】
前記可撓性膜が、前記凹面部の前記開口部を覆うように、前記本体側開口周縁部に貼り付けられており、該本体側開口周縁部は、該開口部と前記凹面部との境界を規定する内側エッジ部を有し、前記上蓋が、前記略球面状外側湾曲部を囲む蓋側開口周縁部を有し、該蓋側開口周縁部が、前記本体ケースのうち、該本体側開口周縁部の内側エッジ部より外側の領域に対向する位置に形成されていることが好ましい。
【0012】
可撓性膜が本体側開口周縁部に貼り付けられているが、本体側開口周縁部の内側エッジが、上蓋の蓋側周縁部より内側に位置しているため、可撓性膜が上蓋の湾曲部に対向している。したがって、本体ケースと上蓋とが互いに近づく方向に押圧されても、上蓋の蓋側周縁部が可撓性膜に接触することがない。したがって、可撓性膜が損傷することが防止される。
【0013】
前記本体ケースは、更に前側壁を有し、インクを前記インク収容部からインクカートリッジ外に引き出すインク供給孔が、該前側壁を貫通するように延び、該インク供給孔は、更に、前記凹面部を形成する前記略球面形状の壁を前記インク収容部外側から内側へ貫通して、該凹面部の底面に形成された溝に連通していることが好ましい。
【0014】
インクを供給する際、インクの流れを積極的にコントロールすることができる。
【0015】
前記インク収容部の外側から前記可撓性膜に大気圧を印加するために前記上蓋と前記可撓性膜との間の空間をインクカートリッジ外に接続する大気連通路をさらに備えることが好ましい。
【0016】
大気連通路より侵入した空気が可撓性膜に対して大気圧を与えるため、インク収納部内のインクをインク供給孔から引き出すことができる。
【0017】
また、前記本体ケースは、前記インク収容部からインクを該インク収容部の外側に排出するためのインク供給孔と前記可撓性膜に該インク収容部の外側から大気圧を印加するための大気連通孔とを規定するための壁部を備え、前記上蓋は、該上蓋の前記略球面状外側湾曲部と該可撓性膜との間に規定される空間と該大気連通孔とを連通させるための溝を前記蓋側開口周縁部の少なくとも一カ所に有していることが好ましい。
【0018】
大気連通孔より侵入した空気が可撓性膜に対してインク収容凹部の凹面に向かう圧力を与えているため、インク収容凹部の凹面上のインクをインク供給孔を介して外に供給することができる。ここで、蓋側開口周縁部が塑性変形して本体側開口周縁部上の可撓性膜に密着してしまい、蓋側開口周縁部に囲まれた湾曲部と可撓性膜との間に密閉空間を形成してしまうおそれがある。この密閉空間は大気連通孔と連通しないため、可撓性膜に圧力をかけることができなくなり、インクを外に供給できなくなってしまう。しかしながら、本発明では、蓋側開口周縁部に溝が形成されているため、たとえ蓋側周縁部が可撓性膜に密着しても、蓋側開口周縁部に囲まれた湾曲部と可撓性膜との間の空間が溝を介して大気連通孔に連通することが維持されるため、インク供給機能が正しく維持される。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態によるインクカートリッジについて図1乃至図40に基づき説明する。
【0037】
まず、本実施の形態によるインクカートリッジと本実施の形態によるインクカートリッジが装着される記録装置の実施の形態とを、図1〜図11に基づき、説明する。
【0038】
図1に示すように、本実施の形態に係る記録装置は、スキャナ機能、コピー機能、ファックス機能等を有した複合機1である。この複合機1は、インクジェット記録装置20上にフラットベッド型の読みとり装置10を配置した薄型コンパクト構造を有している。読みとり装置10には操作板12が設けられている。インクジェット記録装置20は給紙トレイ22を備えている。複合機1には電話機24とアンテナ26とが設けられている。電話機24は、子機通話機能使用時に親機として機能し公衆電話回線と接続可能になっている。また、アンテナ26により子機とも無線通信が可能となっている。
【0039】
なお、インクジェット記録装置20の内部には、記録動作を行う記録部の他、電源や、複合機1の動作を制御するための主基板、ファックス機能や電話機能のために公衆電話回線との接続を制御するためのNCU基板、さらに、2つのメディア基板28(図7)が設けられている。インクジェット記録装置20の前面には、2つのメディアスロット29が形成されている。外部記憶媒体(メディア)をいずれかのメディアスロット29に挿入することで、対応するメディア基板28に外部記憶媒体を着脱自在に装着することができる。外部記憶媒体に格納されているデジタルカメラ等で撮影したデータを読みとって印刷等に供する。
【0040】
図2に示すように、フラットベッド型の読みとり装置10は、読みとり装置筐体14を備えている。読みとり装置筐体14は、原稿を置くための原稿ガラス15を備えている。原稿ガラス15の下側には、密着形イメージセンサ(CIS)16が走査可能に配置されている。また、原稿ガラス15の上面を覆うための上面カバー17が、読みとり装置筐体14に対し開閉可能に設けられている。
【0041】
操作板12は読みとり装置筐体14の前側上面に備えられており、ユーザが、複合機1の動作(コピー動作、ファックス動作、及び、スキャナ動作等)の指示を入力することができる。
【0042】
なお、フラットベッド型の読みとり装置10は、インクジェット記録装置20に対して、図示しない取り付け手段にて、取り外し可能となっている。
【0043】
図3に示すように、読みとり装置10の下側にあるインクジェット記録装置20は、ハウジング30を備えている。給紙トレイ22はハウジング30内から後方上側に突出している。給紙トレイ22には給紙ローラ23が設けられており、用紙を1枚ずつ供給できるようになっている。給紙トレイ22からの用紙を受け取る位置に記録部としてのプリンタエンジン60が設けられている。プリンタエンジン60の前には排紙部Dが規定されており、プリンタエンジン60で記録された用紙が排出される。なお、排紙部Dには排紙トレイ34を着脱自在に装着できる。排紙部Dの下側のハウジング30の床面上には、本実施の形態のインクカートリッジ200(図12)を装着するためのインクカートリッジ収納部Pが配置されている。こうして、インクカートリッジ収納部Pはプリンタエンジン60より低い位置に配置されている。
【0044】
図4に示すように、ハウジング30は、上方からカバー体40で覆われている。ここで、カバー体40は、プリンタエンジン60を上方から覆うエンジンカバー部42と、インクカートリッジ収納部Pを上方から覆うと共に排紙部Dを上側に規定するカートリッジ収納カバー部44とを有している。エンジンカバー部42の前面が開口し用紙排出口46が規定されている。カートリッジ収納カバー部44は、用紙排出口46から出てくるプリンタエンジン60で記録された用紙の搬送経路の下、すなわち廃止トレイ34の下に位置する。
【0045】
カートリッジ収納カバー部44は、図3に示すように、インクカートリッジ収納部Pの天井板として機能する。後述のように、この天井板44とカートリッジ収納部底壁32との間にインクカートリッジ収納部Pが形成され、その前面開口部Oからインクカートリッジ200を奥へ挿入することができるようになっている。なお、前面開口部Oは前面カバー50により開閉可能に覆われている。ここで、前面カバー50は、閉じている時にカートリッジ収納カバー部44と平面的に連なる上面壁52と、上面壁52から鉛直下方に延びる前面壁54とを備えている。
【0046】
また、カートリッジ収納カバー部44の下面には、図5に示すように、インクカートリッジ収納部Pに収納される4つのインクカートリッジ200の上面の形状に沿ったカーブ状凸壁47が4個形成されている。また、カートリッジ収納カバー部44には、前面カバー50が開くときに前面カバー50に設けられた一対のアーム56(図6)を受け取るための一対の切り欠き48が形成されている。
【0047】
前面カバー50は、図6に示すように、一対のアーム56を備えている。インクカートリッジ収納部P内の底壁32上には、後述のように、5つの隔壁110が並んでおり、そのうち両端に位置している2つの隔壁110から回動軸57が突出している。前面カバー50の一対のアーム56が回動軸57に対して回動可能に取り付けられており、ユーザは前面カバー50を自由に開閉することができる。
【0048】
前面カバー50の裏側には、縦方向に延びる縦リブ58が7つ形成されている。各縦リブ58は、前面カバー50の前面壁54から上面壁52の一部にまで達するように延びている。これら7つの縦リブ58のうち4つの縦リブ58は、装着されるインクカートリッジ200の幅方向の中央に対応した位置に形成されている。したがって、いずれか1つのインクカートリッジ200が半指し状態(インクカートリッジ収納部P内において完全に挿入されておらず中途半端な位置まで挿入されている状態)になっていても、前面カバー50を閉じるだけで、対応する縦リブ58がこのインクカートリッジ200を自動的に奥に押し込み確実に挿入する。なお、図示されていないが、前面カバー50の裏面には、これら7つの縦リブ58を補強すべく、これら7つの縦リブ58に対して直交し横方向に延びる複数の横リブも形成されている。
【0049】
なお、カートリッジ収納部の底壁32は、インクカートリッジ200を前面開口部Oへ向けて案内するために、カバー部44よりも手前側に延びており、その部分には、平面視において半円形もしくは1/4円形のへこみ部102が各隔壁110に対応した位置に形成されている。このへこみ部102により、底壁32はインクカートリッジ収納部Pに収納されたインクカートリッジ200のつまみ部202の幅より狭くなっている。従って、インクカートリッジ収納部Pに収納されたインクカートリッジ200を指でつまみやすくなっている。
【0050】
図7は、インクジェット記録装置20からカバー体40及び前面カバー50を外した状態を示す。図より明らかなように、ハウジング30の上面は開口しており、また、その前面にはインクカートリッジ収納部Pの前面開口部Oが形成されている。なお、インクジェット記録装置内のメディアスロット29に対応した位置には2つのメディア基板28が配置されている。また、メディア基板28の後側には、後述する正圧ポンプ36が配置されている。
【0051】
インクカートリッジ収納部Pには、ブラック(K)インクカートリッジ200kを装着するためのブラック(K)インクカートリッジ装着部Skと、シアン(C)インクカートリッジ200cを装着するためのシアン(C)インクカートリッジ装着部Scと、イエロー(Y)インクカートリッジ200yを装着するためのイエロー(Y)インクカートリッジ装着部Syと、マゼンタ(M)インクカートリッジ200mを装着するためのマゼンタ(M)インクカートリッジ装着部Smとが、用紙の幅方向に並んでいる。
【0052】
なお、ブラック(K)インクカートリッジ200k、シアン(C)インクカートリッジ200c、イエロー(Y)インクカートリッジ200y、及び、マゼンタ(M)インクカートリッジ200mを、以下、適宜、まとめて、インクカートリッジ200という。また、ブラック(K)インクカートリッジ装着部Sk、シアン(C)インクカートリッジ装着部Sc、イエロー(Y)インクカートリッジ装着部Sy、及び、マゼンタ(M)インクカートリッジ装着部Smを、以下、適宜、まとめて、インクカートリッジ装着部Sという。
【0053】
各インクカートリッジ装着部Sには、後述するように、対応するインクカートリッジ200を装着させるためのカートリッジ装着機構100と、装着されたインクカートリッジ200内のインクをプリンタエンジン60へ供給するためのインク供給機構80と、装着されたインクカートリッジ200内のインクに正圧ポンプ36からの正圧を印加するための正圧印加機構90とが設けられている。インク供給機構80からはインクをプリンタエンジン60内に供給するためのインク供給用チューブTが延びている。より詳しくは、ブラック(K)インクカートリッジ装着部Sk、シアン(C)インクカートリッジ装着部Sc、イエロー(Y)インクカートリッジ装着部Sy、及び、マゼンタ(M)インクカートリッジ装着部Smから、ブラック(K)インク供給用チューブTk、シアン(C)インク供給用チューブTc、イエロー(Y)インク供給用チューブTy、及び、マゼンタ(M)インク供給用チューブTmがそれぞれ延びている。なお、ブラック(K)インク供給用チューブTk、シアン(C)インク供給用チューブTc、イエロー(Y)インク供給用チューブTy、及び、マゼンタ(M)インク供給用チューブTmを、以下、適宜、まとめて、インク供給用チューブTという。
【0054】
ハウジング30の床面上のインクカートリッジ収納部Pの後側には、図示しない廃インク吸収部材等が配置され、その上にプリンタエンジン60が配置されている。プリンタエンジン60は、エンジンハウジング62を備えている。図示されていないが、エンジンハウジング62の後面には、給紙トレイ22から供給されてくる用紙を受け入れるための用紙搬入口が形成されている。エンジンハウジング62の前面には、プリンタエンジン60で記録された用紙を排紙部Dに向けて排出するためのエンジン用紙排出口64が形成されている。エンジンハウジング62内において用紙搬入口からエンジン用紙排出口64へ用紙搬送路が規定されている。カバー体40がハウジング30を覆う際このエンジン用紙排出口64が既述の用紙排出口46(図4)と対向するため、記録済み用紙が排紙部D上に排出される。エンジンハウジング62の前面には、さらに、ブラック(K)インク供給用チューブTk及びシアン(C)インク供給用チューブTcをプリンタエンジン60内に導入するためのKCチューブ用開口66、及び、イエロー(Y)インク供給用チューブTy及びマゼンタ(M)インク供給用チューブTmをプリンタエンジン60内に導入するためのYMチューブ用開口68の他、図示しない主基板等に接続されたケーブルをプリンタエンジン60内に導入するためのケーブル用開口等が形成されている。
【0055】
図8に示すように、エンジンハウジング62の内側には複数のローラ対からなる用紙搬送機構76が設けられており、給紙ローラ23から供給されてくる用紙をエンジン用紙排出口64へ用紙搬送路上で搬送する。キャリッジ走査軸72が、用紙搬送路の上方で、かつ、用紙搬送方向と直交した方向に延びている。キャリッジ74がキャリッジ走査軸72上にキャリッジ走査軸72に沿って往復移動できるように設けられている。圧電型インクジェットヘッド70はキャリッジ74の下側面に搭載されており、上記複数色のインクごとにそれぞれノズル群(図示せず)を有する。各ノズルは下方向に向いており、インクを用紙に向け下方向に噴射するようになっている。圧電型インクジェットヘッド70には、各ノズル群に対応して4本のインク供給用チューブT(Tk、Tc、Ty、Tm)とケーブルとが接続されており、4色(ブラック、シアン、イエロー、マゼンタ)のインクと駆動信号とが供給される。キャリッジ74がキャリッジ走査軸72に沿ってスキャンし圧電型インクジェットヘッド70がその各ノズル群の幅に対応した幅ずつバンド記録を行う。1スキャン終了する度に用紙搬送機構76が記録幅に応じた量だけ紙送りを行う。キャリッジ走査軸72上であって用紙搬送路から外れた位置には、図示しない公知のキャップ及びポンプを備えたパージ装置78が設けられている。圧電型インクジェットヘッド70のノズルが目詰まりをした場合等に、圧電型インクジェットヘッド70がパージ装置78に対向する位置に移動し、キャップがノズルを覆ってポンプがノズルからインクを吸引するパージ動作を行う。
【0056】
このように、キャリッジ74の上に圧電型インクジェットヘッド70のみを搭載し、インクカートリッジ収納部Pに収納されているインクカートリッジ200のインクをチューブで圧電型インクジェットヘッド70に供給するようにしている。また、圧電型インクジェットヘッド70がインクカートリッジ収納部Pより鉛直方向において上側に配置されているため、圧電型インクジェットヘッド70とインクカートリッジ200との水頭差により、インクジェットヘッド70のノズル内のインクに負の圧力(すなわち背圧)を作用させることができる。したがって、圧電型インクジェットヘッド70のノズルからインクが意図せずに垂れてしまうことを防止できる。
【0057】
図9に示すように、全4つのインクカートリッジ装着部Sに設けられているインク供給機構80、正圧印加機構90、及び、カートリッジ装着機構100は、互いに同一の構成をしている。
【0058】
インク供給機構80は、図9及び図10に示すように、インク導出用の中空針82とインク供給用チューブTとが接続されたバッファタンク84から構成されている。インク導出用の中空針82は、前面開口部Oに向かう方向に延びている。中空針82は、公知のものと同様に中空で、その側面に内部に連通した1対の針穴が形成されている。インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部S内に装着されると、インク導出用の中空針82がインクカートリッジ200内に挿入され、インクをバッファタンク84に供給する。バッファタンク84は、インク導出用の中空針82により供給されたインクを一旦保持し、インク内のゴミをフィルタリングするためのものである。フィルタリングされたインクがインク供給用チューブTを介して圧電型インクジェットヘッド70に供給される。
【0059】
正圧印加機構90は、正の空気圧力をインクカートリッジ200内のインクに印加するためのものである。正圧印加機構90は、正圧空気ポンプ36に接続された正圧付与部材91から構成されている。なお、全4つのインクカートリッジ装着部Sに設けられた計4つの正圧付与部材91は、正圧空気ポンプ36に対して正圧付与チューブ92を介して直列接続されている。また、正圧空気ポンプ36と正圧付与チューブ92との間には図示しないリリーフ弁(圧力抜き)があり、空気ポンプ36の駆動によりチューブ92を介して4つの正圧付与部材91からインクカートリッジ200に向けそれぞれ等しい圧力の空気流を吐出するようになっている。
【0060】
正圧付与部材91は、図10に示すように、環状の弾性シール部材93と、この環状の弾性シール部材93をバネ94により前面開口部Oに向かう方向に付勢しながら保持する保持部材96とからなる。環状の弾性シール部材93は、ゴムキャップからなり、正圧ポンプ36からの正圧付与チューブ92に連通した正圧付与穴98をその中心に備えており、正圧付与穴98が前面開口部Oに対向している。
【0061】
カートリッジ装着機構100は、隔壁110と、底壁32上のへこみ部102と、ガイド用突壁120と、針保護板130、該針保護板130のロック部材180(図11参照)、ロック解除操作片150、抜け止めロック用凸部160、及び、インク残量検出用フォトセンサ170を備えている。
【0062】
隔壁110は、各インクカートリッジ装着部Sの両側において底壁32上から上方向に突出し前面開口部Oから奥へ延びるように形成されており、インクカートリッジ装着部Sの幅を規定する。なお、隣り合うインクカートリッジ装着部Sの間に位置した隔壁110は、隣り合うインクカートリッジ装着部Sを仕切る役割も果たす。
【0063】
ここで、各インクカートリッジ装着部Sの幅は、対応するインクカートリッジ200を装着できるよう、対応するインクカートリッジ200の幅に適合した大きさとなっている。後述するように、シアン(C)インクカートリッジ200c、イエロー(Y)インクカートリッジ200y、及び、マゼンタ(M)インクカートリッジ200mの幅は互いに等しく、インクの使用頻度の高いブラック(K)インクカートリッジ200kの幅は内部容量が大きくなるように、シアン(C)インクカートリッジ200c、イエロー(Y)インクカートリッジ200y、マゼンタ(M)インクカートリッジ200mの幅より大きい。このため、シアン(C)インクカートリッジ装着部Sc、イエロー(Y)インクカートリッジ装着部Sy、及び、マゼンタ(M)インクカートリッジ装着部Smの幅は互いに等しく、ブラック(K)インクカートリッジ装着部Skの幅は他のインクカートリッジ装着部の幅より大きくなっている。
【0064】
インクカートリッジ装着部Sの底壁32は、前面開口部Oよりも手前側に延びている。天井面すなわちカバー部44が前面開口部Oの位置までの長さであるので、手前側に延びている底壁32の部分は、前面カバー50を開放した状態において上面が開放され、インクカートリッジ200を装着する際に、インクカートリッジ200を前面開口部Oに向けて案内する役目を果たす。
【0065】
針保護板130、インク残量検出用フォトセンサ170、ロック解除用の操作片150、及び、抜け止めロック用凸部160は、インク導出用の中空針82の手前(中空針82の延長方向軸線上)に、中空針82側からこの順番に、配置されている。ガイド用突壁120及びロック解除用の操作片150と、インク残量検出用フォトセンサ170とは、幅方向において、中空針82の延長方向軸線を挟む両側の位置に設けられている。ガイド用突壁120は、奥行き方向に延びており、針保護ロック解除片150が奥行き方向においてガイド用突壁120の手前側端と奥側端との間に位置している。針保護板130は、奥行き方向において、ガイド用突壁120の手前側端と奥側端との間であって、ロック解除用の操作片150より奥側に位置している。インク残量検出用フォトセンサ170も、奥行き方向において、ガイド用突壁120の手前側端と奥側端との間であって、ロック解除用の操作片150より奥側に位置している。
【0066】
また、ガイド用突壁120とこれに隣接した隔壁110との幅方向の距離(ガイド−隔壁間距離)、及び、ガイド用突壁120とインク残量検出用フォトセンサ170との幅方向の距離(ガイド−センサ間距離)において、シアン(C)インクカートリッジ装着部Sc、イエロー(Y)インクカートリッジ装着部Sy、及び、マゼンタ(M)インクカートリッジ装着部Smにおいては、ガイド−隔壁間距離Laは互いに等しく、また、ガイド−センサ間距離Lb1も互いに等しい。一方、ブラック(K)インクカートリッジ装着部Skにおけるガイド−隔壁間距離Laは他のインクカートリッジ装着部におけるガイド−隔壁間距離と等しいが、ブラック(K)インクカートリッジ装着部Skにおけるガイド−センサ間距離Lb2は、他のインクカートリッジ装着部におけるガイド−センサ間距離より大きい。
【0067】
隔壁110は、底壁32から上方向にカバー体40の下面に達するまで延びている。隔壁110の前面開口部O側端部の上部には、張り出し112が形成されている。この張り出し112は、インクカートリッジ200を挿入する際、その張り出しの下にインクカートリッジが入りやすくするために下側にテーパが形成され、挿入後において、インクカートリッジの高さ方向の位置及び傾きを規制する。また、隔壁110の奥行き方向における奥側の上部にも、同様の張り出し112が形成されており、高さ規制をしている。なお、隔壁110の奥行き方向における中程の上部にも同様の張り出し112が形成されているが、この張り出し112の上には、インクカートリッジ200を下方向に付勢するためのバネ114が設けられており、インクカートリッジ200の上下方向の動きを規制する。
【0068】
ガイド用突壁120は、ロック解除用の操作片150に隣接する位置において底壁32から上方向に突出し、ガイド用突壁120とそれに近接する隔壁110との間隔Laが、通常のユーザーの指の太さよりも十分に小さいことにより、ユーザーの指が操作片150に触れることを回避するためのものである。また、前面開口部O側からインクカートリッジ装着部Sに挿入されたインクカートリッジ200を奥方向へガイドしつつその幅方向の位置決めを行うためのものである。ガイド用突壁120の手前側及び奥側の両端は幅が太くなっている。このため、幅の太いところでインクカートリッジ200とほぼ点接触することによって、幅方向の位置決めを精度よく行うようになっている。なお、インクカートリッジ200のガイド及び位置決めは、隔壁110で行うこともでき、また隔壁110とガイド用突壁120の共同によって行うこともできる。
【0069】
インク残量検出用フォトセンサ170は、赤外線発光部172と赤外線受光部174とからなり、インクカートリッジ200内のインク残量を検出するためのものである。フォトセンサ170は、底壁32の下に配置された回路基板から底壁32の上方に突出している。赤外線発光部172と赤外線受光部174の各々の前面開口部O側には、これらを保護するためのセンサーガード176が底壁32から突出して設けられている。
【0070】
針保護板130はインク導出用の中空針82の前面開口部O側に間隔を置いて位置し、該先端を前面開口部Oに対してカバーするためのものである。図11に示すように、針保護板130は底壁32の下側において前記奥行き方向と直交する針保護板回動軸132の周りに回動可能に支持され、底壁32に形成された開口部104から底壁32上に突出した上記カバー位置と、開口部104内に没した開放位置とに移動可能で、バネ183により上記カバー位置に向け常に付勢されている。ロック部材180は、底壁32の下側に軸184の周りに回動可能に回動可能に支持され、その一端から立ち上がった押さえ板140を針保護板130の中空針82側の面と対向させる方向に、バネ182により付勢されている。また、ロック部材180は、軸184と押さえ板140との間に、ロック解除用の操作片150を一体に備え、前記バネ182の付勢により、その操作片150を底壁32に形成された開口部106からガイド用突壁120と隔壁110間に突出させている。
【0071】
この状態で、インクカートリッジ200を正規に正面開口Oから挿入すると、後述するように、インクカートリッジ200の下面で、まずロック解除用の操作片150を押し、ロック部材180を回動させて押さえ板140を針保護板130の背面から下方に退避させる。インクカートリッジ200をさらに装着部Sの奥方向に進めると、インクカートリッジ200の前面で、針保護板130を押すが、針保護板130の背面にはその回動を阻止する押さえ板104が存在しないので、針保護板130を開口部104内に倒し、インクカートリッジ200は中空針82と連結を果たす。
【0072】
インクカートリッジ200を、装着部Sから抜くと、まず、針保護板130は、バネ183の作用で中空針82をカバーする位置に起立し、その後、押さえ板140がバネ182の作用で、針保護板130の背面に戻る。
【0073】
ロック解除用の操作片150を押すことなく、針保護板130に対して正面開口O側から外力が作用しても、針保護板130はその背面が押さえ板140に当接しており、中空針82を正面開口O側に対して露出することはない。
【0074】
抜け止めロック部材190は、装着されたインクカートリッジ200が前記正圧付与部材91のバネ94による抜ける方向の付勢に対して抵抗を与えるためのもので、底壁32に形成された開口部108から底壁32上に突出可能な凸部160を有している。抜け止めロック部材190は、底壁32の下面に軸192の周りに回動可能に支持され、バネ182により上方向に付勢されおり、通常は、凸部160を開口部108から底壁32上に突出させ、装着位置にあるインクカートリッジ200の後述の抜け止めロック凹部246(図18)に嵌入している。しかしながら、後述のように、インクカートリッジ200を着脱する際の力により、インクカートリッジ200が凸部160に当接すると、抜け止めロック部材190は軸192の周りに回動して、凸部160が底壁32より下に待避し、インクカートリッジ200の着脱を可能にする。
【0075】
上記構成のインクカートリッジ装着部Sが、カバー体40のカートリッジ収納カバー部44が構成する天井板の下に同一平面上(底壁32上)に幅方向に並んでインクカートリッジ収納部Pが構成されている。したがって、インクカートリッジ収納部Pは全体として扁平な略直方体形状となっている。したがって、複合機1全体の構成も薄型コンパクトな形状となっている。
【0076】
以下、本実施の形態のインクカートリッジ200について、図12〜図39を参照して、説明する。
【0077】
本実施の形態のシアン、イエロー、マゼンタ、及び、ブラック用のインクカートリッジ200は、いずれも、図12で示す形状をしている。すなわち、いずれも、略透明な樹脂製の本体ケース230と蓋210とからなり、全体として扁平な略直方体形状をしている。なお、シアン、イエロー、マゼンタ用のインクカートリッジ200(カラー用インクカートリッジ)は互いに同一の大きさである。一方、ブラック用のインクカートリッジ200は、カラー用インクカートリッジ200とは、その長さは同一である。しかしながら、ブラック用のインクカートリッジの幅はカラー用インクカートリッジより大きい。
【0078】
本体ケース230は、幅方向の両側に平坦な側壁232を備え、これら側壁232間距離(すなわち、本体ケース230の幅)がインクカートリッジ装着部Sの両側に設けられた隔壁110間の距離に対応している。
【0079】
蓋210は、略平坦な形状を有している。蓋210は、その略中心部に、球面状に外側に湾曲した球面状外側湾曲部212を備え、また、前端部分においても幅方向両端部分を残して平坦状に盛り上げた凸形部分213を備えている。蓋210の球面状外側湾曲部212の周囲及び凸形部分213の左右両側には、平坦部214が形成されている。平坦部214のうち球面状外側湾曲部212及び凸形部分213の幅方向両側に位置した部分は、インクカートリッジの200の長さ方向に延びている。その長さ方向に延びる平坦部214は、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに挿入する際、前記張り出し112の下に対向し、これら平坦部214がバネ114(図10)に対し摺動する。湾曲部212及び凸形部分213は、その両側に位置する張り出し112の下面よりもカバー部44の下面(すなわち天井面)に向けて突出している。
【0080】
なお、インクカートリッジ200は、カバー部44の奥行き方向の長さよりも十分長くつくられており、装着部Sへの装着状態において後端部分がカバー部44から突出する。そのインクカートリッジ200の後端部は、幅が狭められており、つまみ部202となっている。かかるつまみ部202によれば、図6のように複数個のインクカートリッジ200がインクカートリッジ収納部Pに収納されている時に、所望の1個をつまんでとりやすいようになっている。逆に、隣接するインクカートリッジ収納部Pにインクカートリッジ200が収納されているときにもつまんで装着しやすいようになっている。また、蓋210の後端付近には、幅方向に直線状に延びるリブ217が形成されている。したがって、このリブ217に指をかけてカートリッジ200を手前に引くことで、インクカートリッジ収納部Pからインクカートリッジ200を1本指で取り出すこともできる。
【0081】
図13に示すように、本体ケース230の前面壁234には、その幅方向中央領域に上方向に突出した凸部分235が形成されている。前面壁234の略中央には、インク供給孔260が開口している。インク供給孔260は本体ケース230内に設けられたインク収容部300(図14)からインクを外に供給するための孔であり、インク供給用ゴム栓262(図39(a))が圧入して装着されている。また、インク注入孔270が、インク供給孔260に隣接して開口している。インク注入孔270はインク収容部300へインクを外から注入するための孔であり、インク注入用ゴム栓272(図39(a))が圧入して装着されている。さらに、大気連通孔280も開口している。大気連通孔280は、小径の細長い孔で、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着されたとき、正圧付与部材91の正圧付与穴98と連通する。さらに、ガイド用溝236とセンサ収容溝240とが、本体ケース230の前面壁234と底面壁とにわたって、前面及び下面に開口して形成されている。ガイド用溝236は、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着される際、ガイド用突壁120(図10)に係合するための凹部である。なお、ガイド用溝236とその近傍の側壁232との間の部分の前面及び底面は、ロック解除部238として機能し、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着される際ロック解除操作片150を押す役割を果たす。センサ収容溝240は、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着される際、インク残量検出用フォトセンサ170を収容するための凹部である。
【0082】
図14に示すように、本体ケース230は、インク収容部300を内部に備え、上側に開口している。より詳しくは、本体ケース230は、前面壁234と、両側の側壁232と、後面壁237とを備えている。側壁232が前面壁234と後面壁237とを接続している。後面壁237の後方につまみ部202が接続されている。インク収容部300は、これら前面壁234、両側の側壁232、及び、後面壁237で囲まれている。インク収容部300は、本体ケース230内に形成された後述する収納凹部310(図15)に可撓性フィルム302が貼られた構成となっている。可撓性フィルム302は、収納凹部310の開口部周縁312に溶着されており、収納凹部310との間にインクが溜められている。インクをいっぱいに充填した状態では、フィルム302は上側に向かって球面状に膨らんでいる。インク供給孔260及びインク注入孔270がインク収容部300内に連通している。より詳しくは、インク供給孔260は、インク供給孔260より小径のインク供給連通路268を介してインク収容部300内と連通している。また、インク注入孔270は、インク注入孔270より小径のインク注入連通路278を介してインク収容部300内と連通している。
【0083】
略長方形板状のテンションプレート306が、その長手方向がインクカートリッジ200の長さ方向に平行に延びるように、可撓性フィルム302上に設けられている。テンションプレート306の長手方向中心部が、可撓性フィルム302の略中心部に両面テープで貼り付けられている。
【0084】
なお、ケース本体の長手方向断面形状(図21)は、黒用、カラー用とも、同一である。テンションプレート306は長手方向に貼るため、全色に対して同じ長さのテンションプレート306を用意し貼ることで、同一のテンションを与えられる。テンションプレート306の長さは、インク収容部300の長さ方向の寸法より若干短く形成されている。また、テンションプレートの材質は、例えばPETフィルムなどの樹脂製フィルムである。尚、このテンションプレート306の詳細な作用については後述する。
【0085】
インク収容部300の周りには、大気連通孔280と連通した大気室290が形成されている。より詳しくは、前面壁234の後側には、隔壁282が形成されており、両側の側壁232を接続している。また、蓋210の平坦部214からは、本体ケース230の隔壁282、側壁232、及び、後面壁237と接合されるための外側凸壁211が形成されている。蓋210を本体ケース230に対して取り付け、外側凸壁211を隔壁282、側壁232、及び後面壁237と接合することにより、大気室290は、隔壁282と側壁232と後面壁237とで囲まれ、かつ、蓋210に覆われたインク収容部300を囲む領域として規定される。大気室290は、大気連通孔280のみで外部に連通する略密閉状態となる。ここで、大気連通孔280は、前面壁234と隔壁282との間に延在し前面壁234と隔壁282とに開口する連通路である。また、インク供給連通路268及びインク注入連通路278が隔壁282を貫通してインク収容部300と連通している。蓋210が本体ケース230に取り付けられ本体ケース230の開口を覆うことにより、大気室290は大気連通孔280のみで外部と連通することになる。大気室290に大気圧もしくは正圧が印加されることにより、インク収容部300の可撓性フィルム302に対しインク収容部300の外側から圧力を加えることができる。このため、インク収容部300内のインクをインク供給孔260を介して外側に排出できる。
【0086】
なお、大気室290内には、複数のリブ292(図15)が形成されており、本体ケース230の強度が保たれている。
【0087】
図14は、蓋210のうち、本体ケース200に取り付けられる内側面を示している。この図より明らかなように、蓋210は略平坦で、その略中心部に形成された球面状外側湾曲部212は可撓性フィルム302の膨らみを包む形状となっている。球面状外側湾曲部212を囲む平坦部214の所定幅の環状部分は、後述するインク収容周縁部216を規定する。なおこの図から明らかなように、環状のインク収容周縁部216を分断するように溝形状の切り欠き218が形成されている。蓋210を本体ケース230に接合した状態において、蓋側の周縁部216は、本体ケース側の開口周縁部312に接着された可撓性フィルム302と間隔をあけるように設計されているが、後述するようにインクカートリッジを真空パック包装したとき、蓋210と本体ケース230とが相互に接近する方向に塑性変形して蓋側の周縁部216が可撓性フィルム302と密着しても、溝形状の切り欠き218と後述する凸壁切り欠き219を介して、球面状外側湾曲部212と可撓性フィルム302との間の空間を大気室290と連通させる役割を果たす。また、インク収容周縁部216の外側であって外側凸壁211の内側には、インク収容周縁部216を囲むように平坦部214から突出して延びる凸壁215が形成されている。蓋210が本体ケース230に装着される際、凸壁215は、後述する収納凹部周縁部312の外周を囲むように位置する(図27参照)。ただし、凸壁215は、本体ケースの側壁232に沿う外側凸壁211に近接する部分では切り欠かれて該外側凸壁211と接続している。その結果、インク収容周縁部216のうち切り欠き218が形成されている位置に対応した位置、及び、インク収容周縁部216において切り欠き218が形成されている位置と反対側の位置において、切り欠かれた凸壁215の部分に、凸壁切り欠き219が規定されている。この凸壁切り欠き219もまた、球面状外側湾曲部212と可撓性フィルム302との間の空間を大気室290と連通させ、大気連通孔280からの正圧が凸壁215により遮られないようにする役割を果たす。
【0088】
図15に示すように、収納凹部310は、開口周縁部312に囲まれ上面に開口した凹面部320からなる。開口周縁部312は、円形(もしくは楕円形)でその一部328が外側に張り出した形状をしている。凹面部320は、開口周縁部312と同一の高さに位置している円形(もしくは楕円形)状周囲縁322より略球面状に下方向に湾曲し、その略中心が最も低い位置となっている球面状部324を備えている。なお、球面状部324の一部は、まっすぐに傾斜した斜面部326となっている。開口周縁部312の外側に張り出した部分と円形(もしくは楕円形)状周囲縁322との間には、水平に延びる平坦肩部328が形成されている。可撓性フィルム302が凹面部320を覆うように開口周縁部312に貼り付けられることで、可撓性フィルム302と、斜面部326を含む球面状部324、及び、平坦肩部328の間にインクが溜められる。
【0089】
なお、平坦肩部328の高さは開口周縁部312の高さと略一致しており、平坦肩部328上の可撓性フィルム302の膨らみ量は小さい。蓋210がケース本体230に装着されていても、平坦肩部328と可撓性フィルム302との間に溜められたインクにより、蓋210の上からインクの色を視認することができる。換言すると、凹面部320内のインクは、そこにいっぱいにインクを充填した状態では、インク層が厚いため、色がほとんど黒に見えるが、平坦肩部328と可撓性フィルム302との間の薄いインク層では、本来のインクの色が見える。
【0090】
可撓性フィルム302は、収容凹部310内にインクがほとんどない状態において、収容凹部310内面に略密着する略球面形状にあらかじめ形成されている。可撓性フィルム302をこの形状に製作する方法は、後述する。これにより、可撓性フィルム302と収容凹部310との間にいっぱいインクが充填された状態から、収容凹部310内にインクがほとんどない状態まで、可撓性フィルムはインクの量に追従して柔軟に変形することができ、可撓性フィルム自体が弾性により伸縮等してインクに圧力を作用させることはほとんどない。
【0091】
凹面部320の底面には、インク注入孔270(インク注入連通路278)と連通したインク注入溝330、及び、インク供給孔260(インク供給連通路268)と連通したエアー抜き兼インク供給溝332が形成されている。凹面部320の底面には、更に、凹面部320上に残存するインクの残量を検出するためのセンシング機構340が設けられている。
【0092】
図16に示すように、センシング機構340は、センサレバー収容溝350と、このセンサレバー収容溝350内に配置されたセンサレバー360とT字形抑えフィルム342とから成る。センサレバー収容溝350は、凹面部320の底面に開口し、ケース本体230の下面(図18)に沿った底面352を有している。センサレバー収容溝350は、凹面部320の球面状部324の中心位置からケース本体の長さ方向に対して45度ずれた方向に延び、凹面部320の円形(もしくは楕円形)状周囲縁322に達した位置で45度曲がりケース本体の長さ方向に平行に延びるように形成されている。なお、センサレバー収容溝350のうちケース本体の長さ方向に平行に延びる部分を溝端部354という。溝端部354は平坦肩部328上に開口している。このように、センサレバー収容溝350は、凹面部320の球面状部324の中心部から斜面部326に渡る位置においては、ケース本体の長さ方向に対して45度ずれた方向に延びるように開口し、平坦肩部328上ではケース本体の長さ方向に平行に延びるように開口している。センサレバー収容溝350の深さは、球面状部324では略一定であり、斜面部326で急激に増え平坦肩部328で再び略一定となっている。センサレバー収容溝350の溝端部354は、凹面部320の外へ延びて、センサ収容溝240内に突出した壁すなわち凸部372(図18)に沿って、そのセンサ収容溝240内に達している。また、センサレバー収容溝350は、その長手方向と直交する溝351を有する。
【0093】
センサレバー360は、インクの比重より高い比重を有し、赤外線を遮蔽できるよう黒色の樹脂で形成されている。センサレバー360は、センサレバー収容溝350内に配置されている。センサレバー360は、三角柱形状の回動支点部362を有し、その両側に動作アーム部364とセンシングアーム部366とを備える板状ビーム部材である。半球面状ピボット365(インク残量検知点)が動作アーム部364の端部に設けられている。センサレバー360は、半球面状ピボット365(インク残量検知点)が凹面部320の球面状部324の中心位置に位置するように、センサレバー収容溝350内に配置される。また、センシングアーム部366は、その端部にて45度曲がっており、この曲がった端部367が、センサレバー収容溝350の溝端部354(平坦肩部328に開口した部分)に配置され、センシング点367として機能する。回動支点部362は、センサレバー収容溝350の直交溝351内に配置され、回動支点部362の断面三角形の頂点が該溝351の底面に接触するようインク内で沈む。この結果、センサレバー360は、回動支点部362を支点として回動することができる。ここで、センシングアーム部366の重量の方が動作アーム部364の重量より大きい。例えば、センシングアーム部366の重量は動作アーム部364の重量の5倍以上となっている。このため、センサレバー360は、インクが十分に残っている場合には、図17に実線で示すように、センシングアーム端部367側がセンサレバー収容溝350の底面352上に位置し、半球面状ピボット365(インク残量検知点)が底面352から浮いて凹面部320の底面上に突出している。一方、インクが消費され可撓性フィルム302が凹面部320へ向かって降りてくると、図17に二点鎖線で示すように、可撓性フィルム302が半球面状ピボット365(インク残量検知点)を下側に押すことにより、センシングアーム端部367(センシング点)がてこの原理によって上昇する。なお、この様に、センサレバー360を、凹面部320の下から凹面部320外に延びるセンサレバー収容部350に収容しているため、センサレバー360が凹面部320に向かって変形してくる可撓性フィルム302を阻害することがないため、インク残量検出を確実に行うことができる。
【0094】
また、センサレバー360のセンシングアーム部366の長さL1は動作アーム364の長さL2よりも大きい。例えば、センシングアーム部366の長さL1は動作アーム364の長さL2の約4倍となっている。したがって、可撓性フィルム302が半球面状ピボット365(インク残量検知点)を少し下降させても、センシングアーム端部367を大きく上昇させ、後述する残量検出センサー70の検出、非検出動作を確実に行うことができる。
【0095】
本実施の形態では、PETフィルム製のテンションプレート306が設けられているため、インクの使い残しがほとんどない状態で、センサレバー360を確実に動作させる、つまり、インクを最大限に使い切ることを可能にしている。つまり、インクの減少にともない可撓性フィルム302が下降するとき、一部にしわを寄せながら収納凹部320に密着することがある。そのしわの部分と収納凹部320との間にインクを残留させたまま、センサレバー360を動作させ、インクの使い残しを生じさせる。
【0096】
前述のようにテンションプレート306は、その中央部分のみが可撓性フィルム302の中央部分に接合されており、インクが多いときには、図17に実線で示すように、膨らんだ可撓性フィルム302の上に載った状態にあり、インクの減少とともに下降する。しかし、インクが少なくなってくると、テンションプレート306は、収納凹部320の最も低い位置よりも上の位置で、その両端を収納凹部320の内周面に当接させ、下降するのを拘束される。この結果、可撓性フィルム302の周辺部分は収納凹部320の内周面に沿って密着するが、中央部分をテンションプレート306で持ち上げられた状態となる。このとき、持ち上げられた可撓性フィルム302の中央部分は、センサレバー360のピボット365と間隔をあけて対向している。
【0097】
さらにインクが少なくなってくると、可撓性フィルム302の中央部分は、テンションプレート306の弾性に抗して、さらに下降し、インクがほとんどなくなると、センサレバー360のピボット365を押す。このとき、可撓性フィルム302の中心がセンサレバー360を押すまで、収納凹部320の内周面に沿って密着する可撓性フィルム302の周辺部分の面積を、中心に向けて徐々に増していく。つまり、可撓性フィルム302に途中でしわを生じさせることが少なく、またインクを収納凹部320の中心部に集めながら、可撓性フィルム302が下降するので、インクの使い残しがほとんどない状態で、センサレバー360を確実に動作させることができる。
【0098】
テンションプレート306は、上記のように下降を拘束されたとき可撓性フィルム302をセンサレバー360のピボット365と間隔を置くことができる形状であれば、上記のような略長方形だけでなく、三角形、星形、円形等、任意の形状でよい。さらにそれらの外周部分が収納凹部320の内周面に当接するだけでなく、開口周縁部312に載るようにすることもできる。
【0099】
上記テンションプレート306はインク収容部300内の圧力に影響を与えない重量及び弾性力であることが、好ましいが、これらを適宜設定することにより、インク収容部300内の圧力を調整することもできる。インクが多いときには、テンションプレート306は中央部のみが可撓性フィルム302と触れた状態となるので、テンションプレート306の自重分によりインク収容部300内へ正圧として与えられる。インクが少なくなってくると、テンションプレート306が梁のように機能して可撓性フィルム302の中央部を上方に持ち上げる。結果、インク収納部300に負圧を与えている。このテンションプレート306のバネ力(インク少量時の負圧力に関与)や重さ(インクが多いときの正圧力に関与)や長さ(正圧付与から負圧付与に切り替わるタイミングに関与)を調整することで、インクの消費状況に応じた適正な圧力をインク収容部300へ与えられる。
【0100】
本実施の形態では、テンションプレート306を、インク残量が僅少状態に至るまでは可撓性フィルム302に追従して移動するように可撓性フィルム302に連結している。その一方で、テンションプレート306は、インク残量が僅少状態となった以降は、本体ケースの凹面部320に拘束され、可撓性フィルム302をピボット(インク残量検知点)365から離れる方向に付勢する弾性を有している。テンションプレート306は、少なくともインク残量僅少状態時以降は、可撓性フィルム302のうちピボット(インク残量検知点)365に対向する部分を除く他の部分が凹面部320にほぼ沿うのを許容するが、可撓性フィルム302のうちピボット(インク残量検知点)365に対向する部分についてはこれをピボット(インク残量検知点)365から離れる方向に付勢する。しかも、インク残量僅少状態時以降、インクが減少するのにともない、テンションプレート306の付勢に抗して、可撓性フィルムがピボット(インク残量検知点)365に向けて接近する。こうして、インクの使い切りが確実とされている。
【0101】
図16に示すように、T字形抑えフィルム342は、PET製で、センサレバー収納溝内に、センサレバー360の上から、センサレバー360を下向きに押さえるように設けられる。より詳しくは、抑えフィルム342は、固定部分342aと、センシングアーム部366を押す弾性板部分342bとを一体に有する。センサレバー収容溝350のうち回動支点362が収容される溝351には、段差が形成されており、その段差から1対の凸部356が形成されている。固定部分342aには、1対の穴344が形成され、1対の凸部356を1対の穴344にはめ込みこの1対の凸部356をつぶすことで、固定部分342aが凹面部320にかしめ止される。これにより、回動支点部362をT字形抑えフィルム342との間に隙間をもって溝351に保持し、センサレバー360を、その回動支点362を支点として自由に回動することができる。弾性板部分342bは、固定部分342aからセンシングアーム部366側に延びるように溝350内に挿入配置される。これにより、弾性板部分342bによってセンシングアーム部366が下方向に、すなわち、半球面状ピボット365がバスタブ凹部320の底面上に突出する向きに付勢されるため、インクカートリッジの輸送中にインクカートリッジが上下反転するようなことがあっても、半球面状ピボット365が凹面部320の底面上に突出することを確保することができる。なお、弾性板部分34の弾性は、インクの減少に伴うセンシングアーム部366の上昇を妨げない程度の大きさである。
【0102】
なお、センサレバー収容溝350のうちセンシングアーム部366が収容されている部分は斜面部326に形成されている。斜面部326の傾斜の方が球状面部の傾斜より大きいため、センシングアーム部366の上昇移動量を可撓性フィルム302に接触して妨げられることなく、十分に確保することができる。
【0103】
図18に示すように、本体ケース230の下面は、インクカートリッジ装着部S底面に対して滑らせることが可能な平滑面242を備えている。平滑面242は両側の側壁232と連結している。本体ケース230の下面には、ガイド用溝236とセンサ収容溝240とが形成されている。ここで、図30に示すように、ガイド用溝236とその幅方向近傍の側壁232との距離Lacは、インクカートリッジ装着部Sにおけるガイド−隔壁間距離Laに対応した距離となっている。また、図35に示すように、ガイド用溝236は、前面壁234から長さ方向にガイド用突壁120を収容できる長さLcc(具体的には、少なくとも、インクカートリッジ装着部Sにおける正圧付与部材91とガイド用突壁120の前面開口部O側端部との距離Lc以上の長さ)だけ形成されている。このため、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着する際、ガイド用溝236がガイド用突壁120を収容できる。図30に示すように、ガイド用溝236とセンサ収容溝240との距離Lbcは、インクカートリッジ装着部Sにおけるガイド−センサ間距離Lbに対応した距離となっている。また、図35に示すように、センサ収容溝240は、前面壁234から長さ方向に正圧付与部材91とインク残量検出用フォトセンサ170との距離Ldに対応する長さLdcだけ形成されており、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着する際、インク残量検出用フォトセンサ170を収容できるようになっている。
【0104】
本体ケース230の下面には、また、凹面部320の強度をその裏面から支えるための複数のリブ243が形成されている。なお、本体ケース230の幅方向の中心位置には、本体ケース230の長さ方向に延びる底中心線リブ244が形成されている。インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sの底面上を滑らせていく際、底中心線リブ244が抜け止めロック用凸部160(図10)を底面下へ待避させ続ける。本体ケース230の下面の底中心線リブ244の後側には、抜け止めロック凹部246が形成されている。インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着する際、抜け止めロック凹部246に抜け止めロック用凸部160が係合することにより、インクカートリッジ200の抜け止めが行われる。
【0105】
本体ケース230の下面には、更に、前記センサレバー収容溝350を内部に形成したセンサレバー収容部370が凹面部320の外に突出して形成されている。センサレバー収容部370のうち、センサレバー収容溝350の、溝端部354を収容した部分(センサレバー収容凸部372)が、センサ収容溝240内の幅方向中心の位置において長さ方向に突出している。図35に示すように、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着されセンサ収容溝240内にインク残量検出用フォトセンサ170が収容されると、センシングアーム収容凸部がインク残量検出用フォトセンサ170の赤外線発光部172と赤外線受光部174との間に位置することになる。センサレバー360のうちセンサレバー収容凸部372内の溝端部354内に位置したセンシングアーム端部367(センシング点)が、赤外線発光部172と赤外線受光部174との間に位置することになる。なお、本体ケースのうち少なくともセンサレバー収容凸部372は、赤外線を透過する材料でつくられる。
【0106】
図19は、上記構成を有する本実施の形態のインクカートリッジ200(本体ケース230と蓋210とが装着された場合)の平面概略図であり、内部構造を破線にてしめしている。図20は、図19のA−A矢視図、すなわち、インクカートリッジ200の前面を示す正面図である。図21〜図28は、それぞれ、図19のB−B断面、C−C断面、D−D断面、E−E断面、F−F断面、G−G断面、H−H断面、I−I断面を示す断面図である。なお、これら図面中、明瞭化を図るため、可撓性フィルム302とリブ(243,292)については示されていない。ただし、一部の図には底中心線リブ244を示している。
【0107】
図15及び図27に示すように、本体ケース230には、凹面部320の開口部を規定する開口周縁部312から一体的に連続して本体ケース230の底面側(凹面部320の深さ方向)に延びる周壁231が形成されている。そして、周壁231と側壁232と平滑面部242とが連結して、凹面部320を周囲から支える周壁部233が形成されている。ここで、周壁231と側壁232との間は複数のリブ292によって相互に連結されている。そして、蓋の平坦部214が周壁部233に対向する外周縁部として周壁部233の上端に接合される。したがって、インク収容部300の下面が略球面形状であっても、周壁部233の下面242によって安定して置くことができ、複合機1本体への着脱も容易である。また、可撓性フィルム202を開口周縁部312に貼り付け、蓋210を周壁部233の上端に接合するため、可撓性フィルム202の貼り付け部分に蓋210が干渉することがなく、インクが確実に封止される。また、周壁部233が側壁231と周壁232からなる二重構造であって両者を複数のリブ292で接続した構成を採っているので、後述するようにインクカートリッジ200を真空パック処理しても周壁部233が変形するのが防止される。さらに、図18より明らかなように、複数のリブ243が、凹面部320の下面と周壁部233とを結ぶように形成されている。このため、インクカートリッジ200を後述ように真空パック処理した際にも、リブ243が、凹面部320と周壁部233とが変形するのを防止する。
【0108】
上記構造を有するインクカートリッジ200は、その下面は平坦だが、その上面は、図29に示すように、幅方向の中心部(球面状外側湾曲部212)が湾曲し、その高さが幅方向の両端(側壁232)の高さより高くなっている。ここで、幅方向の両端の高さ(下面242から平坦部214までの高さ)は、インクカートリッジ装着部Sにおける隔壁110の前面開口部O側端部の上部に形成された張り出し112と底壁32との距離に略等しい。したがって、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部S内に挿入させることができる。一方、湾曲部212及び凸形部分213の高さが幅方向の両端の高さより高いこと、装着部Sの天井面のカーブ状凸壁47がインクカートリッジ200の球面状外側湾曲部212に沿った形状をしていることにより、インクカートリッジ200を上下逆さに間違えて挿入するのを防止できる。
【0109】
本体ケース230の下面は滑らかで、かつ、長さ方向に延びる底中心線リブ244が形成されているため、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部S内にさしこんで底面上を滑らすだけで、抜け止めロック用凸部160を待避させながら、インクカートリッジ200を装着できる。しかも、インクカートリッジ200の幅がインクカートリッジ装着部Sの両側の隔壁110間距離に対応し、ガイド用溝236とその幅方向近傍の側壁232との距離Lacがインクカートリッジ装着部Sにおけるガイド−隔壁間距離Laに対応し、ガイド用溝236とセンサ収容溝240との距離Lbcがインクカートリッジ装着部Sにおけるガイド−センサ間距離Lbに対応している。したがって、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部S内にさしこむ際、ガイド用溝236がガイド用突壁120によって案内されるようにしてカートリッジをスライドさせることにより、インク残量検出用フォトセンサ170がセンサ収容溝240に確実に収容され、さらにセンサ収容溝240内のセンシング点367がフォトセンサの発光部172と受光部174との間に挿入される。
【0110】
なお、インクカートリッジ装着部Sにおいては、図9及び図30に示されているように、ガイド用突壁120の前面開口部O側の端部位置が、センサ170の前面開口部O側の端部(センサガード176)の位置よりも、前面開口部Oに近い位置に位置している。そして、インクカートリッジ200において、ガイド用溝236の前面壁234とは反対側の端部位置が、センサ収容溝240の前面壁234とは反対側の端部位置よりも、前面壁234から遠くに位置している。したがって、インクカートリッジ200を装着部Sに挿入し底壁32上をスライドさせていくと、まずガイド用溝236がガイド用突壁120を収容した後に、センサ収容溝240がセンサ170に到達する。ガイド用溝236とガイド用突壁120との係合によりインクカートリッジ200の幅方向の位置決めがなされてからセンサ収容溝240がセンサ170に到達するので、センサ収容溝240内のセンシング点367がフォトセンサの発光部172と受光部174との間に挿入される。
【0111】
また、インクカートリッジ装着部Sにおいてガイド用突壁120が幅方向においてロック解除用の操作片150の近くにあり、かつ、インクカートリッジ200においてガイド用溝236が幅方向においてロック解除部238の近くにあるため、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着する際、ロック解除部238が確実に操作片150に当接してこれを待避させる。しかも、インクカートリッジ装着部Sにおいて、ガイド用突壁120付近の隔壁110の上からバネ114部材がインクカートリッジ200を下方向に抑えるので、操作片150を待避させる操作をより確実としている。
【0112】
インクカートリッジ200は、図29及び図35に示すように、前面壁234側からみてインク供給孔260を挟む両側の位置に、センサ170を収容するセンサ収容溝240と、ガイド用突壁120を収容するガイド用溝236とを、前面壁234及び下面側に開口して備えている。そして、センサ収容溝240内に発光部172と受光部174との間に挿入されるセンシングアーム端部367を移動可能に収容したセンサレバー収容凸部372を突出させ、かつ、ガイド用溝236に隣接してロック解除部238を設けている。このため、インクカートリッジ200が扁平に構成され、インクカートリッジ装着部Sの床面32に対し安定して滑らせることができ、容易に着脱し、しかも、インクカートリッジ装着部Sに装着することにより、インク残量を確実に検出できる。
【0113】
本実施の形態のインクカートリッジ200は、インクカートリッジ装着部Sに対し、図30〜35に示すように装着される。
【0114】
ユーザは、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sの前面開口部Oに差し込み、その下面を装着部底面32上に対してスライドさせていく。すると、まず、図30及び図31に示すように、カートリッジ前面壁234が抜け止めロック用凸部160を待避させる。その後、抜け止めロック用凸部160は、図32に示すように、カートリッジがスライドして進んでいく間、底中心線リブ244によって待避され続ける。そして、カートリッジのガイド用溝236をガイド用突壁120に係合させてさらにスライドさせていく。カートリッジ前面壁234のロック解除部238がロック解除用の操作片150を蹴ると、ロック部材180が針保護板130のロックを解除する(押さえ板140を下降させる)。その後、図33に示すように、カートリッジの前面壁234が針保護板130を押すと、針保護板130が待避する。カートリッジを更に進ませてインクカートリッジ装着部S内に完全に差し込むと、インク導出用の中空針82がインク供給孔260内のインク供給用ゴム栓262(図39(a))に刺さる。その後、図34及び図35に示すように、カートリッジの前面壁234が正圧付与部材91のゴムキャップ93に当接する。カートリッジは正圧付与部材91のバネ94の力に抗していったん更に少し進んだ位置まで、押し込まれる。このとき、カートリッジの前面が図示しないストッパ壁に当たってカートリッジの前進を阻止することが好ましい。この後、カートリッジは、バネ94の力によって少し戻されるが、抜け止めロック用凸部160がカートリッジ下面の抜け止めロック凹部246内に係合する。その結果、カートリッジがロックされ、抜け止めされる。こうして、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着される。カートリッジ200の前面壁234のうち、ゴムキャップ93に当接する部分は、図35に示すように、ほぼ平坦であるため、ゴムキャップ93の正圧付与穴98と大気連通孔280とは、空気漏れが起こらないように確実に連通される。
【0115】
なお、黒用インクカートリッジは、他のカラー用インクカートリッジより幅が大きいので、間違ってカラー用のインクカートリッジ装着部Sに挿入することはできない。一方、他のカラー用のインクカートリッジを黒カートリッジ用の装着部に誤って挿入することはありうる。しかしながら、カラー用カートリッジにおけるガイド用溝236とセンサ収容溝240との幅方向の距離Lb1は、黒カートリッジ用の収納部におけるガイド用突壁120とインク残量検出用フォトセンサ170との幅方向の距離Lb2より狭い。したがって、ガイド用溝236をガイド用突壁120と係合させてスライドさせていっても、カートリッジ前面がセンサーガード176に当接して、それ以上進めない。またカラー用カートリッジの幅が、黒カートリッジ用の収納部におけるガイド用突壁120とその突壁120から遠い側の隔壁110との間に挿入できる大きさであったとしても、ガイド用溝236をガイド用突壁120と係合させなければ、そもそも、ロック解除用の操作片150を待避させることができないため、針保護板130を待避させることができず、カートリッジ前面が針保護板130に当接してしまい、インク導出用の中空針82をインク供給孔260に挿入することができない。
【0116】
インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着されると、インク導出用の中空針82がインク収容部300内のインクをバッファタンク84に供給する。バッファタンク84からインクがインク供給用チューブTを介して圧電型インクジェットヘッド70に供給され、記録動作に供される。
【0117】
ここで、インクカートリッジ200内では、正圧空気ポンプ36は停止しているが、そのポンプ36、チューブ92、正圧付与部材91、大気連通孔280をとおして、大気室290に大気圧が作用している。このため、インクの減少にともない、可撓性フィルム302がインクに圧力を与えることなく変形していき、あらかじめ形成した形状を収納凹部320にほぼ沿って密着させるので、インクジェットヘッド70に供給するインクの圧力を常にほぼ一定に保ち、インクジェットヘッド70のインク吐出動作を安定させることができる。また、可撓性フィルム302が最終的に収納凹部320にほぼ沿って密着するため、インクの使い残しを少なくできる。しかも、凹面部320の少なくとも一部はその上側(開口部側)から離れるにつれ断面積が小さくなる略球面形状部324であるため、インク残量が少なくなってきたときに、可撓性フィルム302が凹面部320に沿い易く、インクの使い残しを少なくでき、最後まで供給するインクの圧力をほぼ一定に保つことができる。
【0118】
ここで、インクカートリッジ200が装着されたインクカートリッジ装着部Sは圧電型インクジェットヘッド70より鉛直方向において下に位置しているため(図3参照)、その水頭差により、圧電型インクジェットヘッド70のノズル内のインクには、一般的なインクジェット記録装置と同様に常に負の圧力が作用しているが、常態では、ノズル内に形成されたインクのメニスカスの表面張力により、この負の圧力に抗して、ノズル内にインクが保持されている。公知のパージ装置78によるパージ動作、すなわち、キャップでノズルを覆ってポンプの動作によりノズル内のインクを吸引する動作を行った後、ポンプによる吸引動作を停止すると、キャップ内で泡立っているインクが、上記水頭差により、ノズル内に入り込んでしまい、この後、ヘッド70で印字動作を行うとき、吐出不良を起こす可能性がある。このため、本実施の形態では、パージ動作後(動作中から開始してもよいが)からキャップを開放するまで、正圧空気ポンプ36を動作させる。これにより、カートリッジ内の大気室290に対し正圧の空気流を供給し、可撓性フィルム302を介してインクに正圧をかける。この結果、カートリッジ側からヘッド70のノズル内のインクに対して正圧をかけることができ、ノズル内に気泡を引き込むことを防止することができる。なお、このとき、正圧ポンプ36で印加する圧力は、ノズル内に気泡を引き込まない程度の圧力でよく、ノズルから積極的にインクを押し出す程の大きさである必要はないが、本実施の形態は、そのように大きな圧力を用いることを妨げるものではない。
【0119】
また、既述のように、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着する際、インク導出用の中空針82がインク供給孔260内のインク供給用ゴム栓262にささった後に、大気連通孔280が正圧付与部材91に当接するようになっている。(より詳しくは、図35に示すように、インクカートリッジ装着部Sにおける正圧付与部材91のゴムキャップ93前面とインク導出用の中空針82の針穴との距離Aが、インク供給用ゴム栓262がインクカートリッジ200の前面からインク供給孔260内を閉塞している距離Bより大きい。)インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sから抜く際も、大気連通孔280が正圧付与部材91から離隔した後、インク導出用の中空針82がインク供給孔260内のゴム栓から抜けるようになっている。したがって、たとえ、正圧ポンプ36が正圧をインクカートリッジ200に印加している間にユーザが誤ってインクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sから抜いてしまっても、中空針82が刺さったままの状態でまず大気連通孔280が正圧付与部材91からはずれるため、インクがインクカートリッジ200からこぼれることが防止されている。
【0120】
また、インクカートリッジ200がインクカートリッジ装着部Sに装着されると、図35に示すように、インク残量検出用フォトセンサ170の赤外線発光部172及び赤外線受光部174は、センサレバー360のセンシングアーム端部367(センシング点)が収容されているセンサレバー収容凸部372を挟んで対峙するように、センサ収容溝240内に収容される。したがって、センサレバー360のセンシングアーム端部367(センシング点)が、赤外線発光部172と赤外線受光部174との間に位置することになる。このようにして、インクカートリッジ200内のインクがなくなった状態を検出するためのインクセンシングの機構が完成する。すなわち、本実施の形態のインクセンシング機構は、そのセンサー部分170(発光部172+受光部174)は記録装置本体側のインクカートリッジ装着部S内に設けられており、センサー部分170のオンオフを感知させるレバー(黒い樹脂製のセンサレバー360)がインクカートリッジ200内に設けられており、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着することで、完成する。
【0121】
センサレバー360は、前述のとおり、インクの残量に応じてセンシングアーム端部367(センシング点)を上下動させる。インク残量が十分にあるときは、センシングアーム端部367は、発光部172と受光部174の間に位置して赤外光を遮蔽する。インク残量がほとんどなくなると、発光部172と受光部174の間から脱して受光部174に赤外光を受光させる。これにより、インクの有無を電気信号に変換して記録装置の動作を制御することは、当業者において容易に行うことができる。上記のセンサー170は、インクの有無の検出だけでなく、インクカートリッジが装着されているかどうかの検出にも利用することができる。
【0122】
以上のように、本実施の形態のインクカートリッジ200は、樹脂パーツのみで構成され、樹脂ケースにフィルムを張ってその間にインクを溜めるという構成を基本的構成としている。すなわち、本体ケース230の凹面部320に1枚のフィルムを張り、本体ケース230とフィルムとの間にインクを溜める。蓋210を本体ケース230に対し装着することにより、ユーザがフィルムに直接さわれないようにしてフィルムが破れるのが防止されている。
【0123】
より詳しくは、本体ケース230は、インク耐性のある樹脂製である。この例では、本体ケース230は、添加剤をほとんど含有していない無添加型ポリプロピレン(PP)製である。本体ケース230(収納凹部310)がインクに直接接触するため、添加剤が含有されていると添加剤がインクに溶け出してしまうからである。一方、蓋210については、インクに直接接触しないことから、強度を保つために添加剤を付与したポリプロピレン(PP)製としている。このように、本体ケース230と蓋210とを、同一の樹脂材料(PP)としたことにより、両者を超音波溶着により接合することができる。
【0124】
また、本実施の形態では、インク収容部300を凹面部320と可撓性フィルム302との間に規定している。インクの収容のためにフォームを使用しないので、インクを使い切ることができる。また、フォームを使用せず、樹脂のみでインクカートリッジ200を作成したので、インクを使い切った後、インクカートリッジ200を燃やしてもダイオキシンが発生しない。また、インク収容部300を袋状とする場合と異なり、袋状に必要な耳部やスパウト部等が不要であるため、小体積のケース本体内により大量のインクを収容することができる。また、本実施の形態では、収納凹を作成しこれにフィルムを貼るといった簡単な構造でインク収容部300を作成することができる。かかる構成によれば、インク容量についての設計変更にも容易に対応できる。
【0125】
本実施の形態では、可撓性フィルム302は2層構造をしている。すなわち、ポリプロピレン(厚さ30μm)製の内側層とナイロン製の外側層とが接着されて作成されている。ポリプロピレン(厚さ30μm)は熱溶融特性を有し、ナイロンは耐熱特性と耐衝撃特性とを有している。ここで、ポリプロピレン(厚さ30μm)は、添加剤がほとんど含まれていない無添加型である。内側層はインクに触れるため、添加剤が含まれていると、インク内に溶けだしてしまうからである。ただし、ポリプロピレン(厚さ30μm)は機械的衝撃に対して非常に弱い。このため、ナイロンの外側層により衝撃を吸収するようにしている。ここで、ポリプロピレン(厚さ30μm)製の内側層とナイロン製の外側層とからなる2層構造は、熱を加えれば延びるという特性、及び、空気透過性を有しており、以下に説明するように、本実施の形態の可撓性フィルム302に使用するのに極めて好ましい。
【0126】
本実施の形態では、上記2重構造の可撓性フィルム302を、以下のようにして、収納凹部310に貼り付け、外側に膨らんだ形状に成形する。なお、可撓性フィルム302は、ポリプロピレン(厚さ30μm)製の内側層302aとナイロン製の外側層302bとからなる。
【0127】
まず、図37(a)に示すように、可撓性フィルム302を平らな状態で、凹面部320の開口部を覆うように、配置する。そして、開口周縁部312に熱を加える。その結果、内側層302a(ポリプロピレン層)のみが溶けて開口周縁部312に対して熱溶着される。その後、図37(b)に示すように、可撓性フィルム302と凹面部320との間に形成された閉じた空間を、凹面部320に連通したインク供給孔260に図示しないバキューム装置を接続して減圧する。可撓性フィルム302には外側より大気圧がかかっているため、可撓性フィルム302は凹面部320に密着しようとする。かかるバキュームと同時に、可撓性フィルム302の上側に設けた図示しない外部熱源にて、可撓性フィルム302全体に熱を加える。この結果、可撓性フィルム302が凹面部320に沿った形状に塑性変形する。こうして、可撓性フィルム302を、凹面部320にぴったりくっつくように成形する。この結果、可撓性フィルム302は、凹面部320底面の形状にならった形状となる。インクを凹面部320と可撓性フィルム302との間に注入すると、可撓性フィルム302が凹面部320から離隔する方向に膨らんで、凹面部320の体積の2倍のインクを収容することができる。インクが消費されていくにつれて、可撓性フィルム302が凹面部320に近づいていき、インクが完全になくなると、可撓性フィルム302が凹面部320に完全に密着する。したがって、インクを完全に使い切ることが可能となる。
【0128】
なお、外側層302bのナイロンが図示しない外部熱源に近い位置に位置しているが、ナイロンは耐熱特性があるため、溶けてしまうことはない。一方、内側層302aのポリプロピレン層は外部熱源から遠い位置にあるため、熱溶着してしまうことはなく、塑性変形するだけである。したがって、可撓性フィルム302をポリプロピレンの単一層で形成する場合と異なり、可撓性フィルム302が外部熱源により溶けてしまうおそれがない。
【0129】
また、可撓性フィルム302を圧延によってプレスしようとすると、可撓性フィルム302にしわができインクやエアーがもれてしまうおそれがある。しかしながら、上記方法によれば、かかるおそれがない。
【0130】
しかも、本実施の形態では、凹面部324自体が成形型となり、可撓性フィルム302を伸延させて可撓性フィルム302に凹面部324形状を転写する方法が採用されている。したがって、凹面部324形状が任意の形状でも、それに倣って可撓性フィルム302を成形することが容易である。したがって、形状変更にも簡単に対応できる。また、凹面部324に、後述するインク注入溝330やインク供給溝332を多数形成したり、シボ状の凹凸を形成することで、上記加熱時の可撓性フィルム302の凹面部324への張り付きを防止することができる。
【0131】
さらに、プレスして膨らませた可撓性フィルム302を複数作成してから開口周縁部312に貼るのと異なり、工程数が少ないため、インク収容部300内にゴミ等が入る可能性をも減らすことができる。しかも、プレス用の金型も別途必要としないため、設備も簡単に済む。
【0132】
なお、外側層302bをナイロンの代わりに溶けにくい添加型ポリプロピレン製とし、内側層302aを無添加ポリプロピレン製として、外側層302bと内側層302aとを性質が異なる2つのポリプロピレンにより作成するようにしてもいい。
【0133】
また、図38に示すように、凹面部320の上に、別途、凹面部320の形状と対称な形状を有する収納凹形状をした型400を設けても良い。この場合には、可撓性フィルム302を平らに開口周縁部312に対し熱溶着した後、インク供給孔260を介して加圧エアーを可撓性フィルム302と凹面部320との間に押し込みつつ、型400を暖める。すると、可撓性フィルム302が膨らんで、可撓性フィルム302に型400の収納凹形状が転写される。なお、エアーを可撓性フィルム302と凹面部320との間の内部空間に押し込んで当該内部空間の内部の圧力を高める代わりに、可撓性フィルム302と型400との間の空間を減圧するようにしても良い。
【0134】
次に、以上のように膨らんだ形状に成形された可撓性フィルム302と凹面部320との間(インク収容部300)にインクを注入する方法について、図39(a)、(b)を参照して、以下に説明する。
【0135】
ここで、図39(a)に示すように、インク供給孔260の内部には、逆止弁264とインク供給用ゴム栓262(シリコンゴムブッシュ)とが設けられている。また、インク注入孔270の内部には、インク注入用ゴム栓272(シリコンゴムブッシュ)が設けられている。ここで、インク注入用ゴム栓272はインク供給用ゴム栓262とリンク部分266で接続されている。インク注入用ゴム栓272には、インク注入用針挿入用凹部274と栓用山部276とが互いにオフセットされた状態で形成されている。各ゴム栓262、272は、後述するように針が突き刺されるが、その針を抜いたあとは、自己の弾性により突き刺した跡を封止する性質を持っている。
【0136】
まず、図39(a)に示すように、インク供給用ゴム栓262とインク注入用ゴム栓272とを、インク供給孔260とインク注入孔270とに嵌合する。このときインク注入ゴム栓272は、栓用山部276がインク注入連通路278から離れた状態となるように、途中まではめ込む。本体ケース230の前面壁234が鉛直方向上方に向いた姿勢で、インク供給用ゴム栓262にエアー抜き用中空針502を刺し、インク注入用ゴム栓272にインク注入用針504を刺す。その際、各針502、504の針穴が各ゴム栓の凹部内に露出するようにする。ここで、エアー抜き用中空針502は図示しないエアー抜き用減圧ポンプに連通し、インク注入用針504はインクポンプに連通している。インクポンプを稼動しない状態でインク供給孔260を介してインク収容部300内のエアーを抜いて内部を真空状態とする。その後、インクポンプを稼働してインク注入孔270にインクを注入する。ここで、インク注入用針挿入用凹部274は細いため、この部分に残ったエアーはどんなに減圧しても抜くことができない。しかも、このエアーがインク収容部300内に混入すると、後で膨張してインクの残量検出を誤動作させたりヘッドへのインク供給に支障をきたすおそれがある。このため、インク注入終了後、インク注入用ゴム栓272を、インク注入孔270の内側に完全に押し込む。その結果、図39(b)に示すように、栓用山部276が完全にインク注入連通路278を塞ぐようにする。したがって、インク注入用針挿入用凹部274内にわずかに残ったエアーがインク収容部300内に入ってしまうのを防止できる。
【0137】
なお、図15に示すように、凹面部320において、インク注入溝330はインク注入孔270(インク注入連通路278)に連通して凹面部324に適宜沿って形成されており、インクがまわりこむ形状となっている。インクが注入される際インクがインク注入溝330に沿って凹面部320内に入るため、エアー抜きが促進される。また、エアー抜き兼インク供給溝332がインク供給孔260(インク供給連通路268)に連通して凹面部324に適宜沿ってループ状に形成されかつインク注入溝330とも連通しているため、エアーを抜く時に、エアーが抜きやすくなっている。すなわち、エアーを抜いている間に、可撓性フィルム302が凹面部324とぴたっり密着しても、エアー抜き兼インク供給溝332上にエアー抜き用の空間ができやすくなるため、インク収容部300全体からエアーを抜くことができる。なお、凹面部320にエアー抜き兼インク供給溝332を形成する代わりに、シボ状の多数の凸部間に凹部を形成するようにしても良い。また、エアー抜き兼インク供給溝332やシボは、凹面部324の最も低い位置すなわち残量検出点365のまわりにも延びて、インクジェットヘッドへインクを供給する際、インク残量が少なくなっても、最も低い位置からもインクを引きやすくしたり、凹面部324と可撓性フィルム302との密着力を低減して背圧の上昇を防ぐなど、インクの流れを積極的にコントロールすることができる。
【0138】
こうしてインク収容部300にインクを入れたあと、本体ケース230に蓋210を装着し、インクカートリッジ200が完成する。インクカートリッジ200は、その後、真空パック包装される。すなわち、図36に示すように、インクカートリッジ200全体を樹脂フィルム材料のシート500に包んで真空に引く。圧電式ヘッド70は圧力波でインクを吐出する方式であるため、インク内に気泡があると、気泡が圧力を吸収してしまい、インクが吐出されない。この気泡はインク中の溶存空気が時間の経過とともに成長して形成されるものであるので、本実施の形態では、インクカートリッジ200内に収容されたインク中の溶存空気の量を制限するべく、真空パックしている。
【0139】
ここで、インク収容部300に注入されるインクは、すでにある程度脱気されている。すなわち、その空気の含有量は飽和量に対して約30〜35%となっている。かかるインクをインク収容部300内に収容しインクカートリッジ200全体をフィルム材料に包んで真空に引くと、インク内の空気が、ポリプロピレンとナイロンとで形成された可撓性フィルム302、及び、ポリプロピレン製の樹脂で作成された本体ケースの壁を透過して、真空パック内に引き出される。こうして、インクカートリッジのインクが更に脱気され、数日たつと、インクカートリッジ内のインクの空気含有量は20%位まで低下する。したがって、真空パックしたインクカートリッジをユーザに提供することにより、脱気度の高いインクをユーザに提供することができる。
【0140】
また、インクカートリッジ200をインクカートリッジ装着部Sに装着すると、インク導出用の中空針82がインク供給孔260内のインク供給用ゴム栓262に挿入される。ここで、インク導出用の中空針82は、バッファタンク84やインク供給用チューブTを介して圧電型インクジェットヘッド70に連通している。ここで、インクに溶存していた空気が時間の経過とともに成長して気泡となりバッファタンク84やチューブTの内壁に付着し、さらに温度変化等によって一層成長する。ここで、インク供給孔260内の逆止弁264は、外部からわずかな圧力がかかっても閉じるように設計されている。したがって、バッファタンク84やチューブT内で気泡が成長し逆止弁264に少しでも圧力を与えると、逆止弁264は閉じる。一方、圧電型インクジェットヘッド70がインクを引く力にたいしては逆止弁264はフリーである。このため、逆止弁264は、インクをいくらでも供給することができるものの、気泡の圧力がかかると閉じてしまい気泡がインクカートリッジのインク収容部300内に入ってしまうことが防止されている。したがって、気泡がインクカートリッジ内に入ってしまいインクカートリッジから気泡がヘッドに入って吐出不良を起こす、といった問題が防止される。
【0141】
本実施の形態では、インク注入孔270とインク供給孔260とを別々に設け、これらがインクカートリッジの前面において左右方向に並んで開口するように設けられた。ここで、インクカートリッジの前面に1つの孔のみを設け、この孔から、インク収容部300内のバキューム、インク注入、及び、インク供給の全てを行うとすると、この1つの孔に装着したゴム栓に対し針を3度刺さなければならない。互いに異なる3つの位置に針を刺すためには、孔の径自体を大きくしなければならず、インクカートリッジの厚み自体を大きくしなければならない。これに対して、本実施の形態によれば、インク注入用とインク供給用の孔を別々に分けたため、各孔の径を小さくでき、これらの孔を左右方向に並べたため、インクカートリッジの厚みを小さくすることができた。
【0142】
なお、インク供給用の孔260については、インク注入時の減圧用としても使用するため、インク供給用ゴム栓262においてエアー抜き用中空針502を刺す位置は、インクカートリッジ装着部Sに装着される際インク導出用の中空針82が刺される位置とは異なるようにすれば良い。ここで、本実施の形態では、図20に示すように、インク供給孔260は、前面壁234のうち、幅方向の略中央においてその高さ方向の略中央に形成されている。ここで、前面壁234の幅方向の略中央には凸部分235が形成されているため、その高さ(厚さ)が幅方向両端に比べ大きくなっている。このため、インク供給孔260の径を大きくとることができ、インク供給用ゴム栓262の径も大きくすることができる。エアー抜き用中空針502を、インク導出用の中空針82が刺される位置とは異なる位置に、簡単に刺すことができる。
【0143】
本実施の形態では、インクカートリッジ200を真空パックするが、その際、ケース本体と蓋210とが互いに近づく方向に圧力がかかる。このため、本実施の形態では、かかる圧力に抗すべく、凹面部320と蓋210の球面状外側湾曲部212とを略球面形状とし、リブによる補強構造を採用している。
【0144】
本実施の形態では、図40に示すように、蓋210の球面状外側湾曲部212を、球面状外側湾曲部212周囲のインク収容周縁部216が本体ケース側の開口周縁部312の内側エッジよりわずかに外側に位置するように、形成している。すなわち、インク収容周縁部216の内周エッジ部216aが開口周縁部312の内側エッジ及び外側エッジの中間部分に対向するようになっている。ここで、もし、エッジ部216aが開口周縁部312の内周よりも内側にあると、蓋210と凹面部320とが真空パックにより互いに近づく方向に力を受けた際、エッジ部216aが可撓性フィルム302に当たって損傷してしまうおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、蓋210が開口周縁部312の内側エッジより若干外側の位置、すなわち、開口周縁部312上でぶつかる。ここで、可撓性フィルム302は開口周縁部312上にしっかり溶着され本体ケース230の樹脂と一体化されている。したがって、蓋210のインク収容周縁部216が開口周縁部312上で可撓性フィルム302に直接当たっても可撓性フィルム302を損傷させることがない。
【0145】
本発明によるインクカートリッジは上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0146】
例えば、図41に示すように、ガイド用溝236やセンサ収容溝240を側壁232まで切り欠かれた形状としても良い。かかるガイド用切り欠き凹部236’の側面をガイド用突壁120の対応する側面に沿ってスライドさせれば、ガイドすることができるからである。なお、この場合には、図42に示すように、針保護ロック解除片150をガイド用突壁120の近傍であって、インク導出用の中空針82が配置されている側に設ければ良い。インクカートリッジ200の前面壁234のうち大気連通孔280の下の位置のあたりの部分をロック解除部238として機能させることができる。
【0147】
針保護板130、針保護ロック部材180、抜け止めロック部材190の構造は、図11に示す構造に限られない。
【0148】
【発明の効果】
請求項1記載のインクカートリッジによれば、本発明のインクカートリッジは、小型でも大容量のインクを収容することができ、かつ、曲げや歪みに強くつぶれることがない。略球面形状の壁や周壁部が変形するのが防止される。インクカートリッジを簡単に作成できる。記録装置本体への着脱が容易である。
【0149】
請求項2記載のインクカートリッジによれば、可撓性膜が損傷することが防止されインクが漏れることがない。
【0150】
請求項3記載のインクカートリッジによれば、インクを供給する際、インクの流れを積極的にコントロールすることができる。
【0151】
請求項4記載のインクカートリッジによれば、インク収納部内のインクを引き出すことができる。
【0152】
請求項5記載のインクカートリッジによれば、インクカートリッジの機能が正しく維持される。
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態によるインクカートリッジを装着する複合機の全体構成を示す斜視図。
【図2】 図1の複合機においてそのフラットベッド型の読みとり装置の上面カバーを開けた状態を示す斜視図。
【図3】 図1の複合機の断面構成を示す模式図。
【図4】 図1の複合機からフラットベッド型の読みとり装置を取り外した状態を示す斜視図。
【図5】 カバー体の下面を示す斜視図。
【図6】 前面カバーが開いた状態を示す斜視図。
【図7】 フラットベッド型の読みとり装置を取り外した図4の状態から更にカバー体と前面カバーとを取り外した状態を示す斜視図。
【図8】 プリンタエンジンの構成を模式的に説明する斜視図。
【図9】 インクカートリッジ収納部の構成を模式的に説明する平面図。
【図10】 インクカートリッジ収納部のうちの1つのインクカートリッジ装着部の構成を示す斜視図。
【図11】 インクカートリッジ装着部の床面の下に設けられた針保護、針保護ロック、及び、カートリッジ抜け止めのための機構の構造を示す斜視図。
【図12】 インクカートリッジをその後方上側から見た斜視図。
【図13】 インクカートリッジをその前方上側から見た斜視図。
【図14】 インクカートリッジの蓋を開けた際の本体ケースと蓋とを示す斜視図。
【図15】 本体ケースに可撓性フィルムを貼り付ける前の状態を示す斜視図。
【図16】 本体ケースの凹面部に設けられたセンシング機構を説明する分解斜視図。
【図17】 図16のセンシング機構の動作を説明する動作説明図。
【図18】 本体ケースの下面図。
【図19】 本実施の形態のインクカートリッジの平面概略図。
【図20】 図19のインクカートリッジのA−A矢視図。
【図21】 図19のインクカートリッジのB−B断面図。
【図22】 図19のインクカートリッジのC−C断面図。
【図23】 図19のインクカートリッジのD−D断面図。
【図24】 図19のインクカートリッジのE−E断面図。
【図25】 図19のインクカートリッジのF−F断面図。
【図26】 図19のインクカートリッジのG−G断面図。
【図27】 図19のインクカートリッジのH−H断面図。
【図28】 図19のインクカートリッジのI−I断面図。
【図29】 インクカートリッジをインクカートリッジ装着部の装着部開口に挿入する際のインクカートリッジの高さとインクカートリッジ装着部の隔壁に形成された張り出し、及び、インクカートリッジ装着部の天井面に形成されたカーブ状凸壁との関係を示す説明図。
【図30】 インクカートリッジをインクカートリッジ装着部の装着部開口に差し込んだ際カートリッジ前面壁が抜け止めロック用凸部を待避させる状態を示す平面図。
【図31】 図30の断面図。
【図32】 インクカートリッジのガイド用溝をガイド用凸壁に係合させてスライドさせていき、ロック解除部が針保護ロック解除片を蹴ることにより、針保護ロック部材が針保護板のロックを解除する状態を示す断面図。
【図33】 針保護板のロックを解除された後インクカートリッジの前面が針保護板を押し針保護板を待避させた後インク導出用の中空針がインク供給孔内に挿入する状態を示す断面図。
【図34】 インク導出用の中空針がインク供給孔内に挿入された後インクカートリッジの前面が正圧付与部材のゴムキャップに当接すると共に抜け止めロック用凸部が抜け止めロック凹部内に係合する状態を示す断面図。
【図35】 図34の平面図。
【図36】 インクカートリッジを真空パック包装した状態を示す説明図。
【図37】 本実施の形態の可撓性フィルムを開口周縁部に貼り付け可撓性フィルムを膨らませる方法を示す概略工程図であり、(a)は可撓性フィルムを開口周縁部に貼り付ける工程を示す図であり、(b)は可撓性フィルムを膨らませる工程を示す図。
【図38】 可撓性フィルムを膨らませる工程の変更例を示す図。
【図39】 (a)は、逆止弁付きのゴム栓とインク注入用ゴム栓とをインク供給孔とインク注入孔とに途中まではめ込み、インク収容部内のエアーを抜きインクを注入する工程を示す図。(b)は、インク注入用ゴム栓の栓用山部がインク注入孔のエッジにはまり込んだ状態を示す図。
【図40】 蓋の球面状外側湾曲部のエッジ(インク収容周縁部)と開口周縁部の内側エッジと可撓性フィルムとの位置関係を示す断面説明図。
【図41】 本実施の形態のインクカートリッジの変更例を示す斜視図。
【図42】 図41のインクカートリッジに対応してインクカートリッジ装着部内における針保護ロック解除片の位置を変更した変更例を示す平面図。
【符号の説明】
1 複合機
10 読みとり装置
20 インクジェット記録装置
32 ハウジング床面
36 正圧ポンプ
40 カバー体
44 天井板(カートリッジ収納カバー部)
46 用紙排出口
47 カーブ状凸壁
70 圧電型インクジェットヘッド
82 中空針
90 正圧印加機構
91 正圧付与部材
93 弾性シール部材(ゴムキャップ)
98 正圧付与穴
100 カートリッジ装着機構
102 へこみ部
110 隔壁
114 バネ
120 ガイド用凸壁
130 針保護板
140 針保護板押さえ板
150 針保護ロック解除片
160 ロック用凸部
170 インク残量検出用フォトセンサ
172 赤外線発光部
174 赤外線受光部
176 センサーガード
200 インクカートリッジ
202 つまみ部
210 蓋
212 球面状外側湾曲部
214 平坦部
216 インク収容周縁部
217 リブ
230 ケース本体
231 周壁
232 側壁
233 周壁部
234 前面壁
235 凸部分
236 ガイド用溝
238 ロック解除部
240 センサ収容溝
242 平滑面
243 リブ
244 底中心線リブ
246 ロック凹部
260 インク供給孔
262 インク供給用ゴム栓
270 インク注入孔
272 インク注入用ゴム栓
280 大気連通孔
290 大気室
292 リブ
300 インク収容部
302 可撓性フィルム
302a 内側層
302b 外側層
306 テンションプレート
310 収納凹部
312 開口周縁部
320 凹面部
322 円形(もしくは楕円形)状周囲縁
324 球面状部
326 斜面部
328 平坦肩部
330 インク注入溝
332 インク供給溝
340 センシング機構
342 T字形抑えフィルム
342a 固定部分
342b 弾性板部分
344 穴
350 センサレバー収容溝
352 底面
354 溝端部
356 凸部
360 センサレバー
362 回動支点
364 動作アーム部
365 半球面状ピボット
366 センシングアーム部
367 センシングアーム端部(センシング点)
370 センサレバー収容部
372 センサレバー収容凸部
400 型
D 排紙部
O 前面開口部
P インクカートリッジ収納部
S インクカートリッジ装着部
Claims (5)
- 本体ケースと上蓋とを備え、
前記本体ケースは、
前記上蓋に対向する側に円形もしくは楕円形の開口部を有する略球面状の凹面部と、
該凹面部の該開口部を覆い該凹面部との間にインクを収容するインク収容部を形成する可撓性膜と、
該凹面部を囲み該凹面部の深さ方向に延び、該凹面部を周囲から支える周壁部とを有し、
該凹面部は、略球面形状に湾曲した壁によって形成されており、
前記可撓性膜は、前記インク収容部にインクを充填した状態で、略球面状に膨らみ、
前記周壁部の該深さ方向下端が前記本体ケースの底面の略外周縁部をなし、
前記周壁部は、
前記凹面部の前記開口部を規定する本体側開口周縁部から一体に連続し前記インク収容部の深さ方向に延びる第1の周壁と、
該第1の周壁から前記インク収容部とは反対側に間隔を置いて位置し、前記インク収容部の深さ方向に延びる第2の周壁とからなり、
該第1の周壁と該第2の周壁とは複数のリブによって相互に連結されており、
該第1の周壁と該凹面部を形成する該略球面形状の壁の下面とは、更に別の複数のリブによって相互に連結されており、
前記上蓋は、
前記可撓性膜に対して前記凹面部とは反対側に位置し前記凹面部から離隔する方向に略球面形状に湾曲した略球面状外側湾曲部と、
該略球面状外側湾曲部の周囲に形成された平坦部とを備え、
該略球面状外側湾曲部は、前記平坦部よりも前記本体ケースの前記凹面部から離隔する方向に突出しており、
前記平坦部が、前記本体ケースの前記周壁部に対向して接合されていることを特徴とするインクカートリッジ。 - 前記可撓性膜が、前記凹面部の前記開口部を覆うように、前記本体側開口周縁部に貼り付けられており、
該本体側開口周縁部は、該開口部と前記凹面部との境界を規定する内側エッジ部を有し、
前記上蓋が、前記略球面状外側湾曲部を囲む蓋側開口周縁部を有し、
該蓋側開口周縁部が、前記本体ケースのうち、該本体側開口周縁部の内側エッジ部より外側の領域に対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクカートリッジ。 - 前記本体ケースは、
更に前側壁を有し、
インクを前記インク収容部からインクカートリッジ外に引き出すインク供給孔が、該前側壁を貫通するように延び、
該インク供給孔は、更に、前記凹面部を形成する前記略球面形状の壁を前記インク収容部外側から内側へ貫通して、該凹面部の底面に形成された溝に連通していることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。 - 前記インク収容部の外側から前記可撓性膜に大気圧を印加するために前記上蓋と前記可撓性膜との間の空間をインクカートリッジ外に接続する大気連通路をさらに備えることを 特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクカートリッジ。
- 前記本体ケースは、前記インク収容部からインクを該インク収容部の外側に排出するためのインク供給孔と前記可撓性膜に該インク収容部の外側から大気圧を印加するための大気連通孔とを規定するための壁部を備え、
前記上蓋は、該上蓋の前記略球面状外側湾曲部と該可撓性膜との間に規定される空間と該大気連通孔とを連通させるための溝を前記蓋側開口周縁部の少なくとも一カ所に有していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジ。
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