本発明は、上記の欠点を克服する改良された相互接続組み立て体に関するものである。
従って、本発明の全般的な目的は、一対のコネクタを利用した相互接続システムを提供することであり、該コネクタの各々が、対応する回路基板の縁の近傍に実装されるとともに、回路基板が離間した状態で互いに接近し、かつ、一方の回路基板上に実装さられたコネクタが所定量撓むことができるように各コネクタの回路基板上での向きが決められ、これにより嵌合コネクタの組の間における位置の不整合を許容する程度の可撓(とう)性を一組のコネクタに対して付与する。
本発明の別の目的は、プラグコネクタとレセプタクルコネクタを利用した相互接続システムを提供することであり、これら2個のコネクタの内の一方の端子は、それらに関連するハウジング内の所定の位置に保持され、他方のコネクタの端子は、少なくとも一方向、好ましくは異なる関連した二方向に撓むように、それらに関連するハウジング内で所定量移動可能であり、これにより上記の位置の不整合の問題を克服する。
本発明の更なる目的は、上記の撓み特性を有するコネクタ組み立て体を提供することであり、コネクタの内の少なくとも一方は、ウェーハの形態の複数の別個のサブ組み立て体から構成されており、ウェーハは、導電性の信号端子セット及び接地端子セットを支持するとともに、各接地部材ウェーハの両側に関連する信号端子ウェーハが位置するようにコネクタ端子に関して交互に配置されている。
本発明の更に別の目的は、上記のコネクタ組み立て体において使用するための可撓性コネクタを提供することであり、該コネクタは、コネクタ本体又はハウジングユニットを画定するためにウェーハブロックの形態で組み立てられる複数のコネクタウェーハを含んでおり、各コネクタウェーハは、それによって支持された導電性端子のセットを有し、各端子が、2の枚回路基板の内の一方に接続するためのテール部と、コネクタウェーハによって支持される本体部分と、相手側コネクタの相手側端子との嵌合のためにコネクタウェーハの一つの縁から延在する嵌合部分とを備え、端子の嵌合部分と本体部分とが、垂直方向と水平方向への端子嵌合部分の撓みを許容する、厚さが変化する可撓部によって相互に接続されている。
本発明の別の目的は、2枚の回路基板同士を接続するための回路基板コネクタを提供することであり、該コネクタは、第1の回路基板の縁の近傍に位置決めされた嵌合端を備え、この嵌合端は、好ましくは互いに直交する異なる二方向に制限された量だけ嵌合端が移動することを許容する撓み特性を備え、前記コネタクは複数の導電性端子を支持する本体部分を備え、端子の接触又は嵌合自由端は、それらの接触部がコネクタハウジング本体から突出する位置でコネクタハウジング本体内に所定の位置に固定されるとともに、嵌合自由端を取り囲む中空のシュラウドによって包囲されており、該シュラウドは、該シュラウド内の端子の接触部の群を横切るとともにこれらを互いに連結する支持体によって支持されており、これによりシュラウドと端子の接触部とが少なくとも直交する異なる二方向に一体的に移動できるとともに、端子の接触部は、接触部の間の相対移動を伴うことなく嵌合方向に向く姿勢が維持される。
本発明の更に別の目的は、可撓性コネクタの嵌合端と係合する外側カバー組み立て体を提供することであり、該外側カバー組み立て体は、コネクタウェーハのブロックと係合してそれらをブロックの形態に維持するクランプ部材と、該クランプ部材と移動可能に係合するとともに端子嵌合部分の周囲の回りに保護外側カバーを提供するフローティングシュラウド部材とを含み、端子嵌合部分は、カバー部分内に収容されるとともにカバー部分の少なくとも一個の内側肩部に当接する細長の絶縁支持レールによって、それらの向きで部分的に保持されており、絶縁支持レールは、カバーの外部に取付けられるとともにカバーを貫通して支持レールに係合してこれを押圧する一以上のキー部材によって、内側肩部に対して所定の位置に保持されていてもよい。
本発明の更に別の目的は、シングルエンド信号用途での基板対基板接続用高密度コネクタを提供することであり、該コネクタは、一体的に組み立てられた複数の端子組み立て体を有し、各端子組み立て体は、少なくとも二つの信号端子アレイと、これに関連した単一の接地部材端子アレイとを含む複数の導電性端子アレイを備え、端子組み立て体はまとめて保持された絶縁ブロック上に支持されており、信号端子及び接地部材端子組み立て体は、それぞれ、各信号端子ブロックの共通第1側面から突出する接触部を備えた導電要素を備え、接地部材には複数の導電性タブが形成されており、この導電性タブが接地部材の平面から異なる二方向へ延在して、信号端子セットの内の選択された接地基準端子に接触しており、該接地端子及び接地基準端子が個々の信号端子の両側に位置している。
本発明の更に別の目的は、高速高密度コネクタ組み立て体を提供することであり、該コネクタ組み立て体は、コネクタ本体から前方に突出する複数の接触ピンを使用しており、該接触ピンは撓み移動可能であり、複数の垂直直線アレイの形態で配置されており、各アレイは、中間絶縁スペーサ要素によって隣接するアレイから離間されており、該スペーサ要素は、接触ピンの方向と交差し、接触ピンの可撓部に沿って延在し、コネクタの撓み時における端子の意図しない短絡を阻止するとともに端子間に誘電性インターフェイスを提供する。
本発明の更に別の目的は、プラグと差し込み口の形式のコネクタを利用した高密度相互接続コネクタを提供することであり、該コネクタは、相手側コネクタの構成要素が嵌合したときに端子が過剰に曲げ変形するのを阻止する構造の端子を有している。
本発明の別の目的は、複数の導電性端子が絶縁性ハウジング上に支持されるとともに、端子が別個の信号端子セットと接地端子セットとに分離された高密度コネクタを提供することであり、接地端子がコネクタ本体から前方に突出する厚さが2倍の平坦(たん)な接触ブレードを備えるとともに、信号端子が略L字形状の接触部を備え、信号端子が十字パターンで接地ブレードの両側に配置されている。
本発明の更なる目的は、上記の高密度コネクタと嵌合するためのコネクタを提供することであり、該コネクタの信号端子が、同様にL字形状にされた接触部を備えるとともに、端子のL字形状本体部分とは異なる平面内で延在する一対の接触アームを備え、相手側コネクタとの間で冗長化された嵌合接触を提供する。
本発明の更に他の目的は、信号端子に対して接地基準を提供するとともに、信号端子列の間の分離を提供するために二重接地を利用した高密度高速コネクタの構造を提供することである。
本発明は、新規で独特な構造によって上記及びその他の目的を達成するものである。
本発明の主要な形態においては、直角に配置された2枚の回路基板同士を接続することを主要な目的とする可撓性高密度コネクタ組み立て体が提供される。この組み立て体は、第1の回路基板に実装されるプラグコネクタと、第2の回路基板に実装されるレセプタクルコネクタとを有している。これらのコネクタの内の一方、好ましくはレセプタクルコネクタが、その嵌合領域を水平及び垂直(「X」及び「Y」)方向に撓ませることを可能にする構造を備えている。この撓みにより、コネクタの一方が対応する回路基板上での実装位置がずれている場合でもコネクタ組み立て体の使用を可能にする。
この点に関し、本発明の別の主要な形態においては、レセプタクルコネクタが、3個の異なる部品から組み立てられるとともに接地端子セットの両側に設けられた2セットのシングルエンド信号端子セットを含む、複数のサブ組み立て体、すなわち、「3重ウェーハ(tri-wafers)」を備えている。端子セットは誘電体ハウジング上に支持されるとともに、テール部、接触部及び本体部分を備える。テール部は、ハウジングの一側面から延在して回路基板と嵌合し、接触部は、相手側コネクタの端子との嵌合のためにハウジングの別の側面から延在しており、本体部分は、接触部とテール部とを相互接続するとともに、ハウジングによって支持されている。
可撓部が端子に形成され、端子の接触部と本体部分との間に配置されている。前記可撓部は、端子の接触部と同様に、コネクタハウジングの外側に位置決めされており、端子の本体部分と略同幅の中央部分を備えているが、その両側には2つの細いネック部分、すなわち、撓みアームが設けられている。該撓みアームは必要に応じて屈曲するが、太い中央部分は強度を提供するとともに、端子の可撓部に電気的な性能を与える。端子は、さらに好ましくは誘電材料を端子上の所定位置に成形して作成した細長の垂直支持部材によって互いに位置合わせすることができる。これらの支持部材は、ウェーハによって支持されている各端子セット又はアレイを固定された間隔及び整合位置に維持する細長のバーの形態であることが好ましい。この支持バーは、ウェーハの共通面から離間した箇所で端子の接触部を固定する。この箇所の支持バーは、シュラウド部材の形態であることが好ましい可動ハウジングに固定されており、これにより端子の嵌合部分とシュラウドは、支持ウェーハの共通面に対して一体的に動く。
コネクタ端子の接触部は、直線状アレイ、好ましくは垂直直線状アレイの形態で配置されている。また、本発明は、隣接する端子アレイ間に介装される複数の誘電体スペーサを備え、好適な実施形態では、これらのスペーサは、端子の接触部の軸と交差する方向に延在する平面的な櫛(くし)状形状である。このスペーサ要素は、2個の端子間の隙(すき)間に入るように突出した、スペーサに形成された突起によって、隣接する端子アレイの間で所定の位置に保持される。このように、スペーサ要素は、嵌(は)め合い係合時において端子の接触部とともに上下又は左右に動く。スペーサ要素は、スペーサ要素の両側に位置する端子アレイの内の一方と係合するための手段を備えるか、あるいは、支持バーに固定することができる。スペーサ要素に使用される誘電体材料は、スペーサ要素の両側にある端子の電気的親和性(electrical affinity )に影響を及ぼし、これにより、端子の可撓部での電気的性能、例えば、インピーダンスをある程度調整することができる。
組み立て体のコネクタに対して効果的なシールドを提供するために、本発明の第2の主要な様相においては、各コネクタ端子組み立て体の内側部分は接地シールドを備え、該接地シールドは、プラスチック又は誘電体製のフレームによって保持され、複数のタブを打ち抜き加工によって形成することができる。これらのタブはシールドの平面から横方向に延在し、信号端子セット内に配置された別個の接地端子に接触することが意図されている。信号端子セットは打ち抜き加工によって形成することができ、導電性材料から作ることができ、その本体部分の上にモードル成形した外部絶縁フレーム、すなわち、ハウジングを備えることが好ましい。フレーム内に空洞が形成されているのが好ましく、接地シールドのタブがこの空洞を介して突出し、隣接する信号端子セット又はアレイの関連する接地端子に接触する。
本発明の別の主要な形態によれば、信号及び接地端子組み立て体とフレームが組み立てられて「3重ウェーハ」を構成している。これらの別個の3重ウェーハは、3重ウェーハの取り外しや交換を容易にするために、コネクタ全体から個々に取り外すことができる。本発明の一実施形態では、そのような各信号及び/又は接地端子組み立て体は単一のウェーハ上に支持されており、一体的にまとめて保持されて上記の3重ウェーハを形成する。そのような各3重ウェーハの内の中央のウェーハは接地端子組み立て体を支持し、この接地端子組み立て体上に形成された接地タブが信号端子セット内の、あるパターンで隣接する信号端子組み立て体において接地信号を伝達するように意図された端子に接触する。これにより、信号端子アレイ内の各信号端子の水平方向及び垂直方向の側方に接地端子が位置する。
本発明の更に別の形態によれば、レセプタクルコネクタの接触部を部分的に包囲するカバー組み立て体が提供される。このカバー組み立て体は、単一のブロックとしての3重ウェーハに係合するとともに、カバー組み立て体のシュラウド部材のためのサポートを構成するクランプ部材を有している。シュラウド部材は、レセプタクルコネクタ端子の嵌合部分の回りにハウジングを形成するために設けられ、端子可撓部支持体、すなわち、支持バーが当接する内側肩部を備えている。
シュラウドの内側肩部に対して端子支持バーを押圧するためにシュラウドを貫通して延びた一以上のキー又はクリップを設けることができる。これらのキーは、シュラウドに係合するとともに、シュラウドの内側肩部との接触を維持するように支持バーを押圧する。好ましくは、キーが、端子支持バーを押す複数のフィンガ又はアームを備え、一つのフィンガが一つの端子支持バーの端部を押す。そのようなキーが2個使用され、支持バーとそれらに収容されている端子をシュラウド内の固定位置で、コネクタのウェーハブロックと離間して保持する。これらのキーは支持バーを所定の位置に強固に支持する。シュラウドには導入面又は導入部が形成されており、相手側コネクタを当該コネクタに導くか、又はシュラウドを相手側コネクタの嵌合端上に案内する。このようにして、シュラウドはクランプ部材上への実装時にフローティングでき、端子の可撓部と一体的に動く。
本発明の別の実施形態では、レセプタクルコネクタの端子組み立て体を位置合わせするとともにそれらを所望の間隔で離間させるためにシュラウド部材にスロットが設けられている。スロットは、係合キーを収容する空洞を含む。キーは空洞内、そしてスロット内に延び、端子組み立て体の支持バーに圧接して保持力を加える。
本発明の更に別の形態においては、2枚の回路基板の間で電力を伝えるためにプラグコネクタとレセプタクルコネクタの両方に電力端子が設けられる。この電力端子は、コネクタを介して有効量の電流を伝えるために大きく幅も広い。また、電力端子は、それらの本体部分と接触部の間に可撓部が設けられている。
本発明の更に別の形態によれば、本発明の別の実施形態に例示されているように、ウェーハは別個の信号及び接地端子セットを含む端子組み立て体を有する。接地端子は、平坦な接触ブレードのペアを含み、コネクタウェーハが垂直方向に配置されたとき、前記接触ブレードは当接状態で位置合わせされて、2倍幅の接地接触ブレード列を形成する。信号端子は、接地端子ブレードの両側に組を成して配置され、信号端子は略L字形状を有している。一方のコネクタは、十字パターンを形成する二対のコンタクトを一組として配置された複数組の剛性L字形状コンタクトを有している。他方のコネクタは、二股、すなわち、デュアルビームのL字形状コンタクトを有しており、一対の(二つの異なる面内に存在して延在する)接触アームが、端子本体から突出して剛性L字形状コンタクトの接触部に入って嵌合し、対向するコンタクトの間に冗長性を提供する。
本発明の別の様相によれば、コネクタ組み立て体は一対の嵌合コネクタを有し、各コネクタは、複数の別個のコネクタ構成部品を、好ましくはウェーハの組み立て体の形態でまとめて収容して保持するハウジングを備えている。各ウェーハは、第1及び第2の信号端子セット並びに第1及び第2の接地端子セットとを含むことができる。すべての信号及び接地端子は、導電性の接触部、テール部、及び接触部とテール部とを相互接続する本体部分を備えており、第1及び第2の信号端子セットは少なくとも部分的に絶縁カバーによって包囲されている。これらの2個の絶縁カバーと第1及び第2の接地端子セットが協働して単一の端子組み立て体ウェーハを形成しており、レセプタクルコネクタ内のすべての端子組み立て体ウェーハは同一の形式である。
第1及び第2セットの信号端子及び接地端子は、各コネクタ部品内に配置された平坦なブレード部分を備えており、このブレード部分は、好ましくは第1及び第2セットの接地端子が互いに当接するとともに、ウェーハの中心を通る垂直線に沿って延在している。第1及び第2セットの信号端子は、第1及び第2セットの接地端子の両側に位置しており、第1及び第2の信号端子セットの絶縁カバーが、信号端子と接地端子との間での意図しない短絡を防止する。更に、第1及び第2セットの信号端子は、一対の第1信号端子と一対の第2信号端子が第1及び第2セットの接地端子の接触部の一つの両側に位置するように配置されている。この配置では、L字形状の信号端子接触部が、接地端子の平坦ブレード部分と平行な方向及び直交する方向に延在しており、第1及び第2の信号端子のペアは、その接触端から見たとき、関連する接地ブレードの周囲に十字パターンを形成する。
このパターンの信号端子の接触部は、隣接する端子組み立て体の信号端子の信号端子接触部に対してよりも、関連する接地接触ブレードに接近して離間されているのが好ましく、これにより、コネクタの作動時に信号から接地への結合が起き易くなり、信号から信号への結合が起き難くなる。一実施形態では、隣接する端子組み立て体の信号から信号への容量結合が起き難く、信号から接地への容量結合が起き易くなるように、保持部とシュラウドによって端子組み立て体が相互に離間されるとともにそのような間隔に維持される。
本発明のこれらの及び他の目的、特徴及び利点は、次の詳細な説明により明確に理解されるであろう。
以下の詳細な説明において、添付図面が頻繁に参照されるであろう。
図1は、主に2つの回路基板51、52を接続するのに有用な、本発明の原理に従って構成されたコネクタ組み立て体50を示す。図示のように、回路基板51、52は、直角の向きに配置されており、また、分かりやすいように回路基板51、52の一部分だけが示されていることが分かるであろう。実際には、水平の回路基板52は、水平面(図示のように紙面に対して交差する方向)より大きく広がっていてもよく、また、複数の垂直な回路基板51と係合するために複数のコネクタ組み立て体50を含んでいてもよい。
本発明のコネクタ組み立て体50は、回路基板51、52にそれぞれ実装された2つのコネクタ100、200の間で撓みが生じるのを許容する構造を有する。コネクタの一方は、「プラグ」コネクタであり、他方は、「レセプタクル」コネクタである。この説明において、コネクタ100は、レセプタクルコネクタ200内に収容されるので、プラグコネクタと呼ばれることが分かるであろう。
図2〜3Bは、レセプタクルコネクタ200を示す。このコネクタ200は、本体部分201と、回路基板52に実装する実装部分202と、本体部分201から延在してプラグコネクタ100における同様の嵌合部分と嵌合する嵌合部分203とを有することが分かる。コネクタ200の嵌合部分203は、図2内の左側に示した、2つの異なる水平面と垂直面において、「Y」方向(上方の動き)、「−Y」方向(下方の動き)、「X」方向(左方の動き)、「−X」方向(右方の動き)の4つの方向のうちのいずれの方向にも所定の距離だけ動くことができる。この撓みの大きさを、図11〜15に詳細に示す。この説明の過程において、本発明のコネクタの動きは、好ましい実施形態に関して、直線的な用語、すなわち、上/下と左/右の一般的な方向で記載するが、本発明のコネクタの撓み特性が、そのような4つの方向だけに限定されず、放射方向、斜め方向、及び他の方向を含むことを理解されよう。また、撓み運動をレセプタクルコネクタに関してのみ説明するが、本発明の原理を利用してプラグコネクタに可撓部を形成できることが分かるであろう。
プラグコネクタ100(図4)は、回路基板51に対して固定されるとともに、レセプタクルコネクタ200のシュラウド(shroud)の開口内に収容されるカバー部分108を含むように構成されることが好ましい。プラグコネクタ100は、本明細書において、その比較的薄い構造のために「ウェーハ」と呼ばれる一連の構成要素101からなる。これらのウェーハ101は、ウェーハのスタック、すなわち、ブロック102の形態に組み立てられ、ウェーハ101は、コネクタブロック102の後面105に形成された一連の凹部104と係合するアライナ又は保持部103によって、一体として維持されている。また、カバー部材108は、コネクタブロック102の前部、すなわち、嵌合面109を蔽(おお)って嵌まるように設けられることが好ましく、プラグコネクタ100の端子嵌合部分、すなわち、接触部(図示せず)と位置合わせされて形成された一連の穴110を有することができる。プラグコネクタ100の端子112は、図示のスルーホール用弾性ピン113等のテール部で終端することができ、このテール部は、回路基板51に形成された対応する実装孔又はビアに収容される。また、面実装やボールグリッドアレイ等の他の実装手段も使用できる。
端子組み立て体
本発明のコネクタのウェーハは、シングルエンド信号伝送を行うために3つの1組で、かつ、2枚の信号ウェーハ間のそれぞれに接地ウェーハ又は接地部材が設けられていることを意味するS−G−S(信号−接地−信号)の順序で組み立てられることが好ましい。重要なことには、ウェーハが、3重ウェーハ方式(図6、9、10及び21に示したように)で組み立てられているときは、ウェーハを3重ウェーハ、すなわち、単一の端子組み立て体として交換することができ、これにより、本発明のコネクタの保守及び修理を容易化できる。
次に図7及び8に移ると、レセプタクルコネクタ200の2枚のウェーハ210、220が示されている。図7には、信号端子ウェーハ210が示され、図8には、信号ウェーハと接地ウェーハが、隣接関係で位置合わせされた状態で示されている。図8に露出されて見えている接地ウェーハ220の側の追加の信号ウェーハ210は省かれており、本発明の本実施形態の端子組み立て体が、図9に分解された状態で示されているように、中央の接地端子ウェーハの両側に2枚の信号端子ウェーハを含むことが分かるであろう。
信号端子ウェーハ210は端子セット211を支持している。端子セット211は、電気信号と接地基準信号を伝えるように意図された端子を含んでいるが接地シールド等の全体がアースとして働くように意図された構造を含まないという理由で、本明細書において「信号」端子セット211と呼ばれる。端子211は、リードフレームの形状に打ち抜き成形することができ、次に、その周囲に、好ましくは絶縁性及び/又は誘電性材料から成るハウジング部分215が、例えば、インサート成形、オーバーモールド、又は他の適切な技法によって形成される。各端子は、回路基板52に実装するためのテール部213と、プラグコネクタ100の対応する接触と嵌合するためにハウジング(又はウェーハ)215の1つの縁、すなわち、面218から突出する接触部214とを有する。また、テール部213は、ハウジング215の別の縁、すなわち、面600に沿って突出している。これらの2つの部分、すなわち、テール部と接触部は、それらの間に存在する端子本体部分216(図7に仮想線で示した)によって相互接続され、この端子本体部分216は、接触部214とテール部213の間で端子を通しての電気的経路を画定する。
コネクタウェーハ/ハウジング215の前面218から突出する端子の嵌合領域内の部分は、接触部214と端子本体部分216又はウェーハ前面218の間にある撓み又は可撓部219を画定していると考えることができる。図2、8及び9に見られるように、この可撓部219は、端子本体部分211の厚さと幅に近い厚さと幅を有する中央本体222を含む。この本体222の両側には、端子接触、中央本体又は本体部分(214、222、216)の垂直方向の幅(又は厚さ)よりも小さい垂直方向の幅を有する2つの細いネック又は撓みアーム223がある。このサイズの減少は、可撓部219の弾性を大きくし、同時に、厚い本体部分222が、強度を提供し、また、可撓部を通しての端子の電気特性に影響を及ぼす。これにより、信号端子可撓部と接地端子可撓部間の容量結合が強くなり、その結果、コネクタのこの領域のインピーダンスが減少する。また、これは、接地端子アレイの両側の信号端子の電気的分離も高める。次に、可撓部の本体のサイズは、コネクタのこの部分に所望のインピーダンスレベルを達成するように決定することができる。
可撓部は、図1〜15に示した構造に限定されず、他の形態をとることができる。図39及び39Aは、2つの対向する端子組み立て体を示し、組み立て体900の一方には、代替の可撓部構造を有する。端子組み立て体900は、絶縁性ハウジング901によって支持された複数の導電性信号端子902、904と、該接地端子905とを有する。該接地端子905は、信号端子902及び904が両側にある隣り合った接地部材によって構成されている。端子は、端子の上に延在する細長い支持バー910によって接触部から離間された別個の可撓部906、907を有する。可撓部906の大部分は、真っ直ぐで直線的であるが、下の2つの可撓部907は、円弧形状を有しているものとして示されている。これは、コネクタを動かす際に、可撓部、特に最も下の可撓部に生じる好ましくないレベルの張力又は圧縮を実質的に小さくするものである。
細長い垂直バーとして示した端子支持部材225は、端子接触部214の一部の上に成形されてもよく、この目的についは後で詳しく説明する。本明細書に使用されるとき、「嵌合部分(mating portion)」又は「嵌合領域(mating region )」という用語は、コネクタウェーハ又はハウジング210、220の前面218から前方に突出する端子部分を指す。端子の接触部と可撓部は両方とも、この嵌合領域又は嵌合部分内にある。
接地ウェーハ220(図8)は、類似の方式で構成され、誘電性フレーム又はプラスチックフレーム238によって保持又は支持された接地部材230を含むことが好ましい。この実施形態に示したように、接地部材には、接触部232はあるがテール部はない。接地部材は、回路基板との接続のためにそれ自体テール部を有する信号端子アレイ内の指定された接地端子と接触する接地タブ237に依存している。
この接地部材230は、前方に突出する端子接触部232を有する平坦なプレート又は本体部分231を含む。これらの端子接触部232は、信号端子セットの可撓部219(図7)と構造が類似した中間の可撓部233によってプレート本体231に接続され、また、2つの細い撓みアーム235が両側にある厚い中央本体234を含む。また、接地部材接触部232を嵌合領域の適所に保持するために、垂直支持バー236を設けることができる。
コネクタシステム全体を有効に接地するために、接地プレート231は、プレート231から突出する複数の接地タブ237を形成するようにパンチング又は打ち抜き加工される。これらのタブ237は、接地基準信号を伝えるために指定された信号端子セットのうちの特定の端子と位置合わせして配置されることが好ましく、またこれらのタブは、接地プレート231の両側に突出し、図9及び10に最もよく分かるように、これらの接地タブは、接地プレート231が延在する平面よりも外に突出している。図8及び9のプレートの左側に突出するタブは、237aと示されており、一方プレートの右側に突出するタブは、これらの図において、237bと示されている。
図8に示したように、接地端子セットは、プレート231の周囲に延在するプラスチックフレーム238内に保持されている。信号端子セット211の特定の端子との接触を得るために、信号ウェーハのフレーム215は穿(せん)孔され、穴240が形成される。これらの穴240の位置は、端子本体部分216の一部分216aが穴240から露出するように端子本体部分216と位置合わせされる。接地プレート231の接地タブ237は、これらの穴240の中に延び、露出した端子本体部分216aと接触する。図に示したように、これらの接地タブは、端子セットを支持する絶縁性ハウジングを貫通して信号端子セット内の接地基準端子の広がりに従うようなパターンで配列される。このように、各3重ウェーハの中央接地プレート231は、2枚の信号ウェーハ間に「挟まれた」介在アースとして働く。信号端子の構造により、そのような端子は、G−S−G−S−Gの垂直方向の交互順で配列されてもよく、その場合、接地基準端子が信号端子の両側(垂直方向)に位置する。次に、それぞれの端子組み立て体の端子を、水平列パターンS−G−S(「本物」の信号端子の列)と、水平列パターンG−G−G(信号端子が接地基準端子である列)で容易に配置することができる。
図10は、プラグコネクタ100に使用されている異なる構造の3重ウェーハ端子組み立て体120を示す。この3重ウェーハ端子組み立て体120では、2つの信号端子セット121と1つの接地シールド122が利用される。接地シールド122は、2つの信号端子セット121の間に配置され、それぞれのテール部と接触部として、変形ピン123とスロット付きのタブ124とを含むことができる。接地シールド122は、それ自体の誘電性フレーム130内に保持されており、誘電性フレーム130は中央開口部131を有する。接地シールド122の接地タブ132がこの中央開口部131を通して、また信号端子セット121のリードフレーム上に成形された誘電性ウェーハ136内に形成された穴135を介して突出し、信号端子セット121の指定された端子と接触する。図10に示した信号端子セット121の接触部129は、レセプタクルコネクタ端子のピン型接触部214を収容する雌型端子である。同様に、接地シールド接触部124は、接地シールド230の厚いブレードコンタクトを、接触アームの間に形成されたスロット177内に収容する。
コネクタ端子カバー組み立て体
次に図2に戻ると、レセプタクルコネクタは、また、カバー組み立て体250を含むことが好ましく、カバー組み立て体250の一部分は、端子接触部とともに一体的に動く。このカバー組み立て体250は、クランプ部材251、シュラウド252、及び、キー253を含む。クランプ部材251は、図示のように逆U字形状とすることができ、コネクタウェーハのブロックに取り付けられている。クランプ部材251は動かず、コネクタブロックを一体として維持する際にウェーハアライナ103を補助する。クランプ部材251は、外方に突出し、かつ、コネクタ本体201上のシュラウド252の動きを制限するために使用される脚部256を含むことができる。
シュラウド252は、図6に示したような中空の四角形状であり、クランプ部材脚部256に対して相補的な凹部257を有し、そのような2つの凹部が図示されている。また、シュラウド252は、半径方向内側に突出し、かつ、3重ウェーハの支持バー225、236を支持するように設けられた内側肩部又はうね258を含むことが好ましい。これらの支持バー225、236は、シュラウド252に形成された穴261を貫通して延在する加圧脚部259を介して、カバー組み立て体キー253によって、内側肩部258と接した状態で保持される。これらの加圧脚部259は、キー253を適所へ回転することができるように湾曲している。キー253は、また、シュラウド252の第2組の穴262内に収容され、かつ、シュラウド252の第2組の穴262と係合する保持クリップ又はラッチ260を含む。このように、支持バー225、236は、シュラウド252に対して保持され、その結果、端子部分、接地接触部、可撓部及びシュラウド252が、上下、左右及び他の方向に、好ましくは一体的に動くことができる。
図面、特に図11〜12及び図14〜15に示したような、この撓み運動は、シュラウド252と端子嵌合部分を支持バー225において一体に固定することによって達成される。シュラウド252は、コネクタブロック201に取り付けられておらず自由に動くが、シュラウド252と支持バー225との係合によって端子の浮動点が画定され、コネクタハウジング210、220が、特にその前面218に沿って固定点を画定する。シュラウド252は、支持バー225において端子に固定されているが、支持バー225は、コネクタブロック201の前面218に対して動くことができる。このように、また、図12に図示したように、端子の可撓部は、B1、B2、B3及びB4として示した4つの点を有する機械力学的な4点リンク機構を模倣している。この配置によって、接触部214、230を互いに平行であることが好ましい嵌合方位に維持しながら、接触部(及びシュラウド)のグループとしての所望の動きが可能になる。
図11と図12は、上方、すなわち、「+Y」方向(図11)と下方、すなわち、「−Y」方向の差し込み口の接触部の撓みを示す。図13は、シュラウド252と回路基板52の間にもたらされた隙間を示す。図14と図15は、レセプタクルコネクタ内で、水平面内の2つの異なる「−X」(左)と「X」(右)方向に生じる最大の曲がりを示す。
レセプタクルコネクタ200のシュラウドと嵌合領域のこれらの方向における障害のない動きを実現するために、クランプ部材251とシュラウド252の間に、隙間「C」が設けられており(図1及び2)、それにより、クランプ部材251が、シュラウド及びその接触の動きを妨げることがない。図13に示したように、シュラウド252は、また、シュラウド252の下側面281に沿って形成された切り欠き280を含むことができ、切り欠き280は、シュラウドと、コネクタを実装する回路基板のエッジ282との間にスペースを提供する働きをする(図6及び11〜13)。
図2等の図面に示したように、レセプタクルコネクタ200は、シュラウド252の面291の内周に沿って延在することが好ましい傾斜面290を含む。この傾斜面290は、導入面として働き、相手側プラグコネクタ(図4)の前面292をシュラウド252の内部の開口部への導入を相補的な形状の傾斜面293によって支援する働きをする。
図40は、プラグコネクタとレセプタクルコネクタの向きを合わせる別の手段を示す。この実施形態650において、レセプタクルコネクタ651は、端子組み立て体をユニット653として適所に保持する中空保持部652を含む。端子組み立て体の前部(図示せず)は、保持部652から延在し、シュラウド部材654は、後で説明するようにその支持バー(図示せず)によって取り付けられている。シュラウド部材654は、シュラウド部材654に形成された1以上のスロット656と、傾斜導入面657とを有することが好ましい。これらのスロット656は、回路基板51に実装された相手側プラグコネクタ673のカバー又は前板671に実装された対応する突起670を収容する。この構成において、シュラウド部材654が、相手側回路基板51の縁675との隙間を提供する外部切り欠き660を含むことに注意されたい。
図45は、所望の撓み運動を得るために支持バーを適所に保持するために異なる手段を使用した本発明のコネクタ組み立て体の別の実施形態800を示す。この実施形態においては、シュラウド部材802は、その内側面804に形成された複数のスロット803を備え、このスロット803は、それらの間にある隆起リブ805によって分離されている。シュラウド部材802の対向する2つの側面に一連の穴808、809が配置されており、これらの穴808、809に、支持バー保持クリップ又はキー810が係合する。スロット803は、シュラウド部材802内で支持バーを所望の向きに維持するために互いに位置合わせされていることが好ましい。
第1の穴808は、保持部キー810のフック端812を収容し、第2の穴809は、隆起したばね部分813を収容する。保持部キー810は、所望のばね特性を付与するために弾性金属シートから形成されることが好ましく、また、穴808、809に対して横断方向に延在するスロット814内にスナップ嵌めされることが好ましい。この係合は、図47〜49に最もよく示されている。ばね部分813は、穴809を通って突出して、端子支持バー、好ましくはその端部に圧力を加え、支持バーとそれによって支持された端子が一体的に一緒に動くように支持バーをシュラウドに保持する。これらの穴は、スロット803と連通しており、シュラウド部材の対向する側面に対をなして位置合わせされている。また、保持部キー810は、隣り合ったばね部分813の間に配置された複数の穴815を備える。これらの穴は、シュラウドに形成された突起816に嵌まる。(図49)。
コネクタ端子支持体
図7及び8に最もよく示されているように、支持バー225は、各端子組み立て体の信号端子接触部と接地端子接触部が延在する方向と直角に交差、すなわち、横切って延在する垂直方向の部材である。従って、支持バーは、垂直方向の端子アレイを使用するコネクタでは垂直になり、水平方向の端子アレイを使用するコネクタでは水平になる。そのように、支持バーは、各端子アレイの端子接触部を、所定の接触間隔で維持する。支持バーは、この実施形態において、インサート成形、オーバーモールド、あるいは圧入や接着等の任意の適切な組み立て方法によって、最も適切に端子に取り付けられる。また、端子組み立て体が組み立てられたときに、図8に示したように、支持バーは互いに接する。これらの支持バーの隣接した縁は、スロット555(図25)や接着剤等の形態の相互係合手段を有することができる。
支持バーの代替の実施形態が図41〜44に示した端子組み立て体700に示されており、端子組み立て体700を構成するために2つのコネクタハウジング701、702だけが使用され、その各ハウジング701、702は、下記のL字形状端子等の1組の信号端子705の上又は周りに成形される。信号端子セット705のテール部と接地部材707は、分かりやすいように図41〜44では除去されており、この実施形態では、接地部材707は、隣り合った信号端子セット内の接地基準端子と接触するために前述の接地タブを使用していない。この特定の実施形態では、両側にある信号端子にとってより電気的により好ましい2倍の厚さの接地を得るために、2枚の接地部材707が利用されている。このようなタイプの端子組み立て体700の場合、支持バー708a、708bは、可撓部709と接触部710の中間の信号端子嵌合部分上にモールド成形あるいは他の方法で形成され、これは、図41の右下部分に最もよく示されている。
これらの支持バー708a、708bは、端子セット705の接触部の軸方向の延在方向に対して横方向に突出する係合ポスト又は突起712を有する。これらの係合ポスト712は、接地部材接触ブレード716内に形成された穴715を通り、支持バー半体708a、708bに形成された穴又は凹部713に収容される。また、支持バー半体708a、708bは、図41〜44に示したように、接地接触部716の部品731を収容する凹部725を含むことができる。このように、2つの支持バー半体708a、708bのスナップ嵌め組み立て体を得ることができる。代替として、ポストと穴は、2つの支持バー半体を超音波溶接又はプラスチック溶着する際に使用することができる。また、接着剤等の複数の部品から1つの支持バーを構成する他の手段を使用することもできる。
端子の分離と調整
また、撓みコネクタが、各端子組み立て体内で、信号端子セットの可撓部を接地端子セットの可撓部から分離する誘電性の櫛状部材又はスペーサ275を含むことできることに注意されたい。そのようなスペーサ275を各端子セット組み立て体内で2枚使用することが好ましく、信号端子ウェーハ210と接地部材ウェーハ220との間に配置されている状態が示されている。図示したように、スペーサ275は、下部に傾斜エッジ276を有する細長い概略長方形であり、従って、図示のように、スペーサ275は、信号端子アレイと接地端子アレイの最も上の端子と最も下の端子の間に完全に(横切って)延在している。スペーサは、端子アレイのうちの1つ、好ましくは信号端子アレイに、その内側面に沿って取り付けられ、従って、スペーサは、信号部材端子アレイと接地部材端子アレイの可撓部の間に延在する。取り付けは、図7及び8に示した実施形態では締まり嵌めによって達成され、スペーサ要素275は、U字形状スロット278によってスペーサの本体内に画定された取り付け突起277を含む。該取り付け突起277は、信号端子アレイ内の1対の端子可撓部間のスペースの1つに嵌まる幅の広くなった自由端279を含むことが好ましい。
図41〜44に、代替のスペーサ構造を示す。また、このスペーサ720は、構成が平面であり、端子可撓部の上部と下部の間に延在するような広がりを有する。こうして、スペーサ720は、端子アレイ間の不注意な短絡を防ぎ、また、接地部材の可撓部に対して信号端子アレイの可撓部が有する電気的親和力に影響を及ぼし、これにより、可撓部領域におけるコネクタのインピーダンスを「調整」することができる。この実施形態において、スペーサ720は、支持バー部分708a、708bに形成された凹部728内に収容されることが好ましい係合タブ726を備える。係合タブ726は、支持バー半体708a、708b上に形成されたポスト730に嵌まる穴729を含むことができる。2つの支持バー708a、708bは、組み立てられたとき、スペーサ要素720を信号端子可撓部と接地端子可撓部の間の適所に保持する。
撓み電源端子
図16及び17は、電源端子をコネクタに組み込んだ本発明の代替の実施形態を示す。レセプタクルコネクタ300は、図16に示されており、保持部103や、シュラウド252、クランプ部材251及び保持キー253を含むカバー組み立て体250等、前述のレセプタクルコネクタ200と同じ構造の構成要素の多くを有することが分かる。また、レセプタクルコネクタ300は、3つ1組の3重ウェーハとして組み立てられた複数のコネクタウェーハを含み、重要なことには、これは、絶縁性ハウジング423によって支持された電源端子セット411全体の一部分をなす複数の電源端子410(図18)を含む。(図19)。
電源端子410はそれぞれ、実装部分415と、本体部分416と、接触部417と、端子本体部分416と接触部417の間に配置された可撓部418とを含む。該可撓部418は、2つの細い撓みアーム420が両側に配置された前述の中央本体419を含む。電源端子可撓部419は、製造過程で垂直方向のリード421によって相互接続されており、これは、図18に示したように端子とともに打ち抜き成形されるが、端子リードフレームの打ち抜きから除去される。図19に示したように支持バー422が電源端子に成形されてもよく、また、ウェーハ本体423が電源端子セット411のすべて又は一部分の上に成形されてもよい。これらの電源端子ウェーハは、信号端子ウェーハと接地端子ウェーハの組の近くに配置されてもよく、あるいは、図16に示したように、レセプタクルコネクタの1辺に沿って配置されてもよい。この実施形態のこの支持バー422は、前述のように電源端子接触部417を可動シュラウドに固定するために使用される。
コネクタ端子嵌合境界面
図20及び21は、図16のレセプタクルコネクタ300と嵌合する図17のプラグコネクタ350とともに使用される端子セットを示す。端子セット351は、1組の電源端子353の横に並んで延在する信号端子352を含む。これらの端子はすべて、実装部分360、本体部分361、及び、接触部362を有し、接触部362はすべて、レセプタクルコネクタ300の電源接触、接地接触、及び信号接触のいずれかを各スロット内に収容するスロット付き接触部を有することが好ましい。これらの端子セットは、成形された絶縁性本体を有し、図4のプラグコネクタと同じように接地端子セットの周りに挟まれている。図20には、1組の信号端子が示されており、図21は、1組の接地端子の両側に2つの信号端子セットが配置され、それぞれが絶縁性ハウジングによって支持されたたプラグコネクタ端子組み立て体を示す。
図22及び23は、本発明のプラグコネクタとレセプタクルコネクタがどのように嵌合するかを示す、2つの異なるプラグ接地シールド係合端の実施形態を示す。この係合が滑り係合であり、レセプタクルコネクタの接地接触が、プラグコネクタカバー108の穴110を通り、接触部に打ち抜き形成された1対の接触アーム119によって把握されていることが分かる。図22において、レセプタクルコネクタ端子の接地ブレード230は、プラグコネクタ接地端子組み立て体の2つの接触アーム119間に形成されたスロット190内に直角に延在している。図23Aは、本発明のコネクタの「微小十字(microcross)」の態様を詳細に示す。
図23において、レセプタクルコネクタ端子組み立て体は、これまでの図で示されていた垂直方向ではなく、水平方向に向けられて示されており、プラグコネクタ端子組み立て体136は、垂直方向に向けられており、分かりやすくするために、端子接触部214の自由端が除去されている。接地部材接触ブレード230は、対になった接触アーム191間にあるスロット190内に収容されている。このように、両方のコネクタの接地は、十文字に互いに交差し、信号端子アレイ間で垂直方向に延在し、さらに、端子列間で水平方向に延在している。これは、図23Aに概略的に示されており、接地用の十字状パターン900が嵌合領域に作成されている。この嵌合領域においては、レセプタクルコネクタの信号端子214が、プラグコネクタの相手側の雌型接触129と嵌合し、各コネクタの接地接触部124、230が、図示したように嵌合する。この構成により、交差する接地平面によって信号端子が分離され、同時に、2つのコネクタの嵌合境界を通して連続的な接地基準が提供される。
代替の端子及び端子組み立て体構造
図24〜38は、本発明の原理に従って構成されたコネクタ500の別の実施形態を示す。図24では明確化のため、2枚の対向するコネクタ組み立て体501、502のみを示す。複数の組み立て体501、502が、上述のようにシュラウドに一緒に組み込まれる。この組み立て体の端子構造は、これら組み立て体を使用することにより、2枚の回路基板503、504(仮想線で示す)同士を直交させて接続できるものとなっている。組み立て体501、502は、少なくとも一方(組み立て体501)が、上述と同様、X方向とY方向のいずれにも撓むことができる端子構造を有するように構成されている。上述の他の実施形態と同様、組み立て体501の端子は、接触部と本体/テール部との間に配置された可撓部505を有し、この可撓部により、接地端子と信号端子の両方の接触部が所望の方向に所定の距離だけ撓むことができる。従って、組み立て体501は「可撓性」組み立て体と称することができる一方、組み立て体502の端子は、組み立て体501の端子と同一の撓み運動を行うことが比較的不可能であり、組み立て体502は「固定」コネクタ組み立て体と称することができる。
各コネクタ組み立て体は、少なくとも3個、通常4個の導電性サブコンポーネントの組合せであると考えることができる。可撓性コネクタ組み立て体501の場合、これら導電性サブコンポーネントには、(図28及び31に示すように)接地端子510の第1のセットあるいはアレイ、接地端子511の第2のセットあるいはアレイ、信号端子512の第1のセットあるいはアレイ及び信号端子513の第2のセットあるいはアレイが含まれる。図28、31及び32に最もよく図示されているように、接地端子の第1及び第2のセットは互いに並設されている。この結果、好ましくは、これらは互いに当接して、2倍の厚さの単一の共通接地基準520を形成する。(図30、31及び32)これら2個の接地は協働して、可撓性コネクタ組み立て体の中央基準あるいは中心線を形成あるいは画定していると考えることができる。この用途において単一の接地部材を使用することもできる。
信号端子の第1のセット512と第2のセット513は、共通接地520の両側に配置される。好ましくは、信号端子の第1のセット512と第2のセット513は更に、図31及び32に示すように、第1のセット512の端子が、対応する第2のセット513の端子と水平方向に位置合せされるように配置されるのが望ましい。更に、第1のセットの端子512と第2のセットの端子513の両方の信号端子が離間し、第1端子セット512の端子の一対「P」(図32)が共通接地520の一方の側面に置かれ、第2端子セット513の端子の一対「P2」が共通接地520の他方の側面に置かれるのが好ましい。このように、「CF」で示す十字状の配置あるいはパターンが形成されている(図31)とともに、このパターンの中心に沿って共通接地520が延在する。また、信号端子512、513の位置決めは、(図31及び32の線「D」に沿った)これらの頂縁部と底縁部とが、共通接地520の鉛直方向端部580と位置合せされるように行われる。このようにすると、信号端子512、513の先端が線Dを越えて延在している場合のように各信号端子間の電気的親和性が生じるのではなく、信号端子と接地520との間の電気的親和性が維持される。図31は、接地520の先端580のレベルに維持された、信号端子512、513の先端を示す。図32は、線Dよりも引っ込んで位置決めされた先端を示す。
この十字状パターンは、端子の可撓部531の前方に延在する信号端子接触部530の構造及び配置によって達成される。端子支持バー532は、既に説明したように好ましくは、絶縁性材料で形成され、シュラウドや他の支持部材内に嵌合する。この端子組み立て体の端子接触部530は略L字状で形成され、その2本の脚部533は、その間の接合部534で互いに接合されている。各図に示すように、各信号端子接触部512の2本の脚部533は、共通接地520に沿って延在するとともに該接地520から離れる方向に延在する(略平行及び垂直に延在する)。2本の脚部が互いに接合されているため、この説明においては、「剛性(solid )」接触部として特徴付けられる。接触部530及び可撓部531は、絶縁性のハウジング540によって支持された端子本体部分によりテール部535に接合される。端子がL字形状であることにより、信号接触部に対し強度と冗長性が提供される。
図33は、可撓性コネクタ組み立て体501のサンドイッチ状(あるいは層状)構成の詳細を示す。第1の接地端子セット510と第2の接地端子セット511は、好ましくは平坦なコンタクトブレード518の形状の接触部を有する。該コンタクトブレードは、互いに当接して共通接地520を形成しているが、図30に示すように、端子支持バー532の後方に配置された可撓部531(図30)の領域において互いに二股に分かれている。第1の信号端子セット512及びと第2の信号端子セット513は、絶縁性の本体540、541内に部分的に収容されているかあるいは取り囲まれている(図29及び30)。この絶縁性の本体は、端子の本体部分を支持するとともに少なくとも部分的に包囲している。端子のテール部535は、これら絶縁性本体540、541の一側面から突出している。一方、接触部は、他の一面、好ましくは隣接する一側面から突出している。
使用時、第1のセットの信号端子512及び第2のセットの信号端子513を収容する絶縁性本体540、541は、第1及び第2の接地端子セットを覆うように該セットの両面に組み立てられ、ウェーハ状の固定コネクタ組み立て体を形成する。可撓部領域531における信号端子と接地端子の間の意図しない短絡を防止し、必要な場合これらの間に誘電性材料を提供するため、追加的な絶縁性スペーサ要素544、545(図33)を、この領域における第1及び第2の端子512と接地端子510、511の間に設けることができる。これらスペーサ要素は、別体の要素としてもよいし、絶縁性本体540、541の部分あるいは延長部として形成してもよい。前記の実施形態で記載したように、この端子組み立て体全体を単一のユニットとしてプラグあるいはレセプタクルコネクタに挿入したり、これらから取り外したりすることができる。このため、保守及び/又は修理のためにコネクタ全体を分解する必要がなくなる。
固定コネクタ組み立て体502はまた、図27及び38に最もよく図示されるように、対応する対向端子を含む。これら端子は、平坦なブレードのコンタクト部分552を有する第1及び第2の接地端子550、551を含む。第1の接地端子と第2の接地端子とは、接触部領域において互いに当接している。これら接地端子が組み合わされて、中央共通接地521が形成される。該接地は、第1の信号端子セット560及び第2の信号端子セット561の間に延在し、好ましくはコネクタ組み立て体502の中心に沿って延在する。第1の端子セット560及び第2の端子セット561の両方はまた、絶縁性本体567、568により部分的に取り囲まれている。該本体は、信号端子と接地端子との間の意図しない短絡を防止する機能を果たすものである。本発明の他の実施形態に関して説明したように、信号端子又は接地端子の一部を曲げて、対向する接地端子又は信号端子に接触させることができる。
図38に移ると、第1及び第2の信号端子560、561の接触部570も略L字形状になっていることが分かる。これら接触部は、二股に分岐したあるいはデュアルの接触アームあるいはビーム572、573を含み、かつ、これらアームが介在空間574により離間されているという点で、可撓性コネクタ組み立て体の「剛性」接触部530とは異なる。これら接触アーム572、573は、本体部分575から前方に延在するとともに、これら接触アーム572、573の一方が接地端子ブレード部分に沿って延在し、他方は接地端子ブレード部分から離れる方向に延在するように設けられている(略平行及び垂直に延在している)。これら接触部570はまた、共通接地の各側面に沿って配置されている(図34)。第1のセットの信号端子の接触部は、好ましくは、図35のP及びP2で示すように、信号端子の第2のセットの接触部と位置合せされる。これらはまた、好ましくは十字状のパターンに配置され、可撓性コネクタ組み立て体のL字形状接触部との結合を確実に行える。デュアル接触アームの長さは異なり、一方の接触アームの長さが他方より長くなっている。係合時、短い方の接触アームは、他方の接触アームの範囲内において容易に曲げることができる。
これは図37及び38に最も良く図示されている。この図では、水平方向に延在する接触アーム部分572の(端子組み立て体が直立して組み立てられる場合の)接触長さは、鉛直方向に延在する接触アーム部573よりも長い。この点に関して、一方の接触アーム573の自由端部902は、図37の矢印方向の経路に沿って自由に曲がり、他方の接触アームの範囲内あるいは「カップ」内で自由に動くが、他方の接触アーム572の自由端903は干渉しない。この長さの差は、各接触アームが曲がる程度に影響を及ぼし、コネクタの挿入にかかる力のピークを低減させる。この低減は、対の接触アームの半分(各対の長い方のアーム)をレセプタクルコネクタの対向する剛性コンタクト530に接触させた後、短い方の接触アームを対向する剛性コンタクト530に接触させることにより得られる。
図24Aは、2個のL字形状接触端子組み立て体の嵌合係合を示す拡大詳細図である。図示のように、2種類の接触アーム部分572、573の内、水平方向の接触アーム部分572がL字形状剛性接触ビーム512の面533とスライド係合する最初の部分である。挿入に必要な力の初期のピークには、長い方の接触アーム572を剛性接触ビーム512に係合させるのに必要な力のみが含まれ、接触アーム572、573を同時に結合させるのに必要な力は含まれない。
この実施形態では、更に、図24B〜24Dの断面図に示すような「微小十字」配置を使用する。図24Bは、固定端子組み立て体の4セットの端子を線B−Bで切断した断面図である。この図においては、接触アーム572、573は、図示のようにL形の向きに配置されて、二重接地521から離間している。嵌合領域においては、図24Aの線C−C断面図である図24Cに示すように、固定端子組み立て体の共通接地520と撓み端子組み立て体の共通接地521とが交差して十字を形成しており、2個のコネクタ組み立て体の信号端子は図示のように配置されている。図24Aの線D−D断面図である図24Dにおいては、可撓部が、固定端子組み立て体の共通接地531の両側に、等間隔で位置合せされて配置されている。この配置では、信号端子と接地との間の結合が強まるように、信号端子は、接地から所望の距離だけ離間して維持される。
図示のような二重接地は有利である。これは、コネクタ組み立て体の本体部分において、接地は互いに離間し、このような接地端子の各々が、最も近接した信号端子に基準を提供するとともに、接地端子のすぐ隣の信号端子の間、及び、それから離れた信号端子からの電気的な分離を提供するからである。すなわち、図30においては、本体部分領域の接地端子510は、信号端子512に対して、接地基準を提供するとともに信号端子513からの分離を提供する。図31〜32に示すように、信号端子512、513は、基準接地520から距離G1だけ離間したものとすることができる(図32)。この距離G1は、図31に仮想線で示した隣接する端子組み立て体の対応する信号端子512Aとの距離G2より小さい。この距離関係は、図51〜52の実施形態に示す介在空間850によって端子組み立て体を互いに離間させることで更に増強できる。この空間関係により、各端子組み立て体の信号端子とこれに組み合わされる中心接地の間の容量結合を増大させるとともに、高周波データ伝送中のクロストークやノイズの原因となる、各端子組み立て体の信号端子とこれに隣接する端子組み立て体の信号端子との間の容量結合を減少させる。
本発明の原理に従い構成された端子組み立て体の別の実施形態を図41〜42に示す。この図では、端子組み立て体700は、2個の絶縁体半体701、702から形成されていることが分る。これら半体の各々には信号端子アレイ705が支持されている。これら組み立て体半体701、702の内面730は凹部725を含み、この凹部は図41に最も良く示されているように接地部材707、特にその平坦な本体部分を収容している。本体部分は、接地部材本体部分707の縁部755に沿って配置された一以上の実装タブ753を含む。該タブは、凹部725の延長部737に収容される。接地部材本体部分707は全体として、図示のように三角形をしており、隣接する絶縁体半体701、702内の信号端子本体部分の範囲に対応している。ポスト740と開口741は、組立前や組み立て中に接地部材707を所定の位置に保持する機能を果たす。これは任意の適切な手段により達成できる。接地部材707は、傾斜した後縁部760を有しているのが分る。この後縁部の長さは、絶縁体半体701、702の外辺の長さよりも長い。このため、これら2個の係合タブ753は、縁部760に沿って、接地部材707を支持するのに十分な距離だけ互いに離間することができる。このため、これら接地部材は、半体701と702の間の所定の位置にあるときは移動しないであろう。
端子組み立て体の保持
このタイプの端子組み立て体700がコネクタに組み立てられた状態で図46〜52に図示されている。ここでは、3枚のこのような組み立て体700が、中空ハウジング形状の保持部875の左側に沿って組み立てられている。この端子組み立て体は回路基板52に適用され、そのテール部775は回路基板52の孔と係合する。この実施形態の端子組み立て体700はまた、図41及び50に最も良く示されるように係合突起778を含む。この係合突起は、組み立て体の前面に沿って形成され、スロット779を有する。この係合突起スロット779は、回路基板52に形成され位置決めされた位置合せ部材780と係合する。位置合せ部材780は、図53に最も良く示されるように、上方に延在する複数のキャッチ部781を有する。キャッチ部781同士は、中間スロット782により離間されている。キャッチ部781は、隣接する組み立て体700同士の間に嵌合し、その間に空間を提供するだけでなく、端子組み立て体700の嵌合端部がコネクタ中心に向かって傾くのを防ぐ機能を果たす。キャッチ部781は、端子組み立て体スロット779内に部分的に収容され、それらの間の空間を通って延在する。スロット779は、係合突起778を完全に貫通しておらず、図55に示すように、好ましくは、2個の半分のスロットに分割する中央壁787を含む。スロット779の中央壁787は、位置合せバー780に形成された中間空間782に収容される。
本発明は、2枚の回路基板を直角にあるいは他の向きで接続する移動可能なあるいは撓むコネクタ組み立て体を提供する。本発明の好ましい実施形態として正方形や長方形のコネクタハウジングについてこれまで述べてきたが、ハウジングの他の方式やタイプ、例えば、円状のハウジングも使用できる。その場合、単一の支持バーを使用して複数の端子接触部をハウジングに支持し、これにより移動可能なハウジングを得ることができる。同様に、使用した支持バーは図示のように直線状である必要はなく、非直線状の端子アレイを収容する他の構成とすることができる。
本発明の好ましい実施形態を図示し、説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、変形や変更を行うことができることは明白であろう。なお、本発明の精神は添付の特許請求の範囲に定義されている。