JP4068739B2 - 沈殿分離装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械加工等によって生じた切屑等の小さな異物が混ざっている液体から、その異物を取り除いて機械装置の外部へ排出するための異物排出管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の異物排出管は、特開昭52−105366号公報に示されるような沈殿分離装置の下方に接続されている。異物は、沈殿分離装置によって液体から分離されて異物排出管に強制的に送り込まれる。異物排出管に入った異物は、前に詰まっている異物を押出し、後から異物排出管に入ってくる異物により押出されて順次排出されていく。異物排出管は、沈殿分離装置と異物を排出する場所までを結んでおり、曲げ部分などを形成する場合がある。
【0003】
特に曲げ部分がある異物排出管は、液体に混ざっている異物の種類によっては、沈殿分離装置から異物を異物排出管に送り出す力に反発して、管内で凝集し詰まってしまうという問題が生じていた。そこで、異物排出管は、沈殿分離装置で液体から分離される異物の形態や沈殿分離装置の異物を排出する力などによって、その内径や曲げ部分の曲率を適宜設定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した異物排出管であると、沈殿分離装置で液体から分離される異物の形態などにより形状を設定しているため、汎用性が無く、沈殿分離装置自体が汎用性があったとしても、異物排出管は個別に設定されたものを接続していた。そのため、汎用性が無い異物排出管は、個別に沈殿分離装置によって最適な異物排出管を設計する必要があり、コストがより多くかかってしまっていた。
【0005】
また、直線的な曲げ部分のない異物排出管においても異物が凝集して固形化することにより、沈殿分離装置から異物を送り込む圧力によっては、異物と異物排出管の壁面との摺動抵抗で詰まる可能性がある。
【0006】
故に、本発明は、沈殿分離装置により排出される多様な異物に対応し、円滑に排出する汎用性のある異物排出管を提供することを、その技術的課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために請求項1の発明によれば、異物が混ざった液体を収容する沈殿槽と、エアポンプから気体を供給されるエアシリンダに連動して前記沈殿槽内を上下動させられる押し込みヘッドと、前記沈殿槽に繋がって配設され前記押し込みヘッドにより前記異物が送り込まれ外周に複数の孔が形成されたパイプを有する異物排出管とを備えた沈殿分離装置において、前記パイプを覆い且つ前記複数の孔を介して前記パイプ内に前記気体が供給される環状空間を配設したので、一部区間に形成された孔から気体が噴射されて管壁面と異物との間に入り込み、摺動抵抗を低減するため、円滑な異物の排出が行われる。
【0008】
請求項2の発明によれば、孔が、上流から下流へ螺旋状に断続的に形成されるようにしたので、異物排出管内の異物がより流動し易くなってより円滑な異物の排出が行われる。
【0009】
請求項3の発明によれば、環状空間に注入される気体の量及び圧力を制御するようにしたので、異物の特性などにより注入される気体の量及び圧力を設定することができ、異物排出管の形状を設定する必要が無く異物の排出が行われる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この出願の発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る異物排出管の断面図、図2は図1のA−A断面図、図3は本発明に係る異物排出管を沈殿分離装置に接続した構成図、図4は本発明に係る異物排出管内に流体を噴射する孔付きパイプの構成図である。
【0011】
先ず、異物排出管1の構成について説明する。
図1に示されるように、異物排出管1は、上流側より順に、パイプ2と、エルボ3と、ブッシュ6と、流体の注入口15が連結されたコネクタ7と、ブッシュ8と、ユニオンネジ9と、ユニオンナット10と、コネクタ11と、ソケット12と、パイプ14と、エルボ4と、パイプ5とから構成され、コネクタ7からソケット12までの内部に凸部13bにより移動を制限された孔付きパイプ13を配置している。なお、異物排出管1の構成の一部にユニオンネジ9及びユニオンナット10を使用することにより、管の取り外しを容易にしてメンテナンス性を向上させている。また、異物排出管1の各構成部品は、それぞれがネジ結合されており、組み付け性及び汎用性を向上されている。
【0012】
前述した異物排出管1の構成を上流側より順に詳細に述べると、まず異物を排出する装置などと接続し異物が送り込まれる一定な内径のパイプ2の下流端に、エルボ3が配置される。エルボ3の下流端には、一定な内径をもつブッシュ6を介して、上流側に小径部7aと下流側にブッシュ6より内径の大きな大径部7bとを備えたコネクタ7が配置される。コネクタ7の大径部7bの下流端には、大径部7bの内径よりも小さく小径部7aの内径よりも大きな内径をもつブッシュ8が配置される。ブッシュ8の下流端には、大径部7bと略同径の内径のユニオンネジ9が配置される。ユニオンネジ9は、ユニオンナット10とネジ結合して大径部7bと略同径の内径のコネクタ11の上流側を把持し固定する。コネクタ11の下流端には、上流側にブッシュ8の内径よりも小さくブッシュ6の内径よりも大きな内径の小径部12aをもつソケット12が接続されている。ソケット12の下流端には、パイプ14、エルボ4を介してパイプ5が接続されている。
【0013】
更に、ソケット12の小径部12aには、複数の孔13aが形成された孔付きパイプ13の下流端が摺動するように挿入され、上流端が小径部7a内径と密着接合するように配置される。なお、孔付きパイプ13の内径は、ブッシュ8の内径より大きく、ソケット12の内径より小さく設定される。より好ましくは、パイプ14とエルボ4とパイプ5の内径は、孔付きパイプ13の内径よりも大きく設定されるとよい。また、孔13aは、異物排出管1の軸方向に直列に複数本断続的に形成してもよいが、図4に示されるような螺旋状に断続的に形成されると、一定間隔毎に圧力の高い噴射を行う孔13aを複数が得られるので更に良い。
【0014】
前述した構成にすることにより、コネクタ7とブッシュ8とユニオンネジ9ととコネクタ11とソケット12と孔付きパイプ13とは、環状空間17を形成するようになる。すなわち、環状空間17は、コネクタ7の大径部7bの内径と、ブッシュ8の内径と、ユニオンネジ9の内径と、コネクタ11の内径と、ソケット12の上流端と、孔付きパイプ13の外径とから形成された空間をいう。また、環状空間17は、コネクタ7に連結した注入口15から、流量及び圧力などを制御する制御装置16を介して、図示しないポンプにより加圧注入される流体が充填されて、パイプ13に形成された孔13aから流体を噴射するようになっている。そこで、孔13aは、異物19の異物排出管1内での流動方向へ環状空間17に注入される流体が噴射されるように傾斜して形成されると、異物19の流動を促進する効果も得られてよい。
【0015】
制御装置16は、環状空間17に注入される流体の流量及び流体を注入する圧力を任意に設定することができ、異物排出管1を流動する異物の形態や異物の種類によって適宜設定するようになっている。
【0016】
注入される流体は、気体及び液体のどちらでも良く、異物排出管1に流す異物19の形態にもよるが、異物19が混ざった半固形状のものであるならば常時加圧注入をして、孔13aから環状空間17に異物19が混ざっていた液体が浸入することを阻止し、液体の少ない固形状のものであるならば断続的な加圧注入でも良い。なお、孔付きパイプ13の孔13aは、異物排出管1に流す異物19の大きさにもよるが、研削によって排出された切屑の場合、約1〜3mm程度で設定されると良い。
【0017】
また、前述した構成においては、異物排出管1は、直線的な管の形状となっているが、特に直線的な管の形状である必要はなく、直線で十分な長さが確保できずに図1のような構成にすることができない場合には、エルボ3、4の外周部に環状空間を配置するようにしてエルボ3、4に孔を形成するようにしてもよい。
【0018】
次に、異物排出管1の作動について説明する。
異物排出管1の上流側より、液体から除去された異物19が送り込まれると、異物19は異物排出管1の壁面との摺動抵抗により徐々にその流動が悪くなり、順次上流側から送り込まれる別の異物19と凝集して固形化される。固形化された異物19は、異物排出管1の壁面との摺動抵抗によりその流動を終には停止されてしまう。
【0019】
しかしながら、孔付きパイプ13の孔13aから流体を常時又は断続的に噴射されているので、異物19は、異物排出管1の壁面との間に流体が入り込み摺動抵抗をかなり低減するため、異物排出管1内で詰まることなくパイプ5の下流端の排出口5aから排出されることになる。
【0020】
最後に、図1に示した異物排出管1を沈殿分離装置20に接続した場合の構成を説明する。
【0021】
異物排出管1は、前述した構成と同様であり、上流端を図3のような沈殿分離装置20の下端に接続され、パイプ2に液体に混ざった異物19が強制的に送り込まれるようになっている。一方、パイプ5の排出口5aは、異物19を回収する収集箱29に異物19を落とす位置に設置されている。
【0022】
異物19を異物排出管1に排出する沈殿分離装置20は、図3に示されるように、配管24により異物19の混ざった液体を供給され、下方へ向うに従って収容断面積が小さくなる先端部21aをもつ沈殿槽21と、沈殿槽21の上部を塞ぐ蓋25に中央付近に設置されたエアシリンダ22と、エアシリンダ22によって上下動させられ、空気注入口23aから供給される空気を排出可能な蓋23bを備えた押込みヘッド23と、エアシリンダ22に電磁弁26を介して空気を供給するエアポンプ27と、先端部21aとエルボ3との間に配置されたパイプ2とから構成される。
【0023】
電磁弁26は、エアポンプ27と、エアシリンダ22の上方と下方とにそれぞれ設けられた空気出入口22a、22bと、押込みヘッド23の空気注入口と、異物排出管1の注入口15とが接続され、エアポンプ27からの供給される空気を制御している。エアシリンダ22に空気が供給されると、ピストンロッド28が上下動して押込みヘッド23を作動させる。押込みヘッド23の上下動により、沈殿槽21を徐々に沈降する異物19が、異物排出管1のパイプ2内に押し込まれて沈積することにより徐々に固められて、異物排出管1内へ送り込まれる。
【0024】
次に、沈殿分離装置20及び異物排出管1の作動について説明する。
図3のように、電磁弁26が切り替わって、下方の空気出入口22bに空気が注入されると、ピストンロッド28は上方へ移動させられ、同時にピストンロッド28の上方に形成されたピストンシリンダ22内径部分の空間に存在する空気が空気出入口22aを通って押込みヘッド23の空気注入口23aに供給され、蓋23bから空気が排出される。排出された空気は、パイプ2の内径と押込みヘッド23の外径との間に沈積した異物19を再度沈殿槽20に拡散させて、作動不良を起こすような箇所に異物19が固まることを防止している。
【0025】
次に、更に電磁弁26が切り替わって、上方の空気出入口22aに空気が注入されると、ピストンロッド28は下方へ移動させられ、同時にピストンロッド28の下方に形成されたピストンシリンダ22内径部分の空間に存在する空気が空気出入口22bを通って異物排出管1の注入口15に供給され、環状空間17から孔13aを通って孔付きパイプ13内に噴射される。噴射された空気は、孔付きパイプ13の内径と付着した異物19との間に空間を作り、摺動抵抗を無くすことで異物排出管1内に異物が詰まることなくパイプ5の下流端の排出口5aから排出される。
【0026】
また、沈殿分離装置20の稼動初期においては、異物排出管1には、異物19の混ざった液体が充填しているので、異物19を含んだ液体が環状空間17に入り込まないように、異物排出管1内に異物19が少ない液体を含んだ状態になるまでは、孔13aを、図4のようなスライド部材30で塞ぐか、常時エアポンプ27により圧力をかける必要がある。この場合、前述した電磁弁26による空気の供給は、停止するか、空気貫孔を形成してスライド部材30により孔13aを塞ぐと同時に開口するようにする。環状空間17に液体のみが入り込んでも問題無い場合は、前述したような構成にする必要はなく、孔13aを異物19が侵入しない程度に設定すれば良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る異物排出管は、液体から除去した異物を内部に流入して装置の外部へ排出する異物排出管の外周の一部区間に微細な孔を複数形成し、一部区間を覆いかつ外部から流体が注入される環状空間を備えるようにしたので、一部区間に形成された孔から流体が噴射されて管壁面と異物との間に入り込み、摺動抵抗を低減するため、円滑な異物の排出が行われる。
【0028】
また、異物排出管は、流体を噴射する孔を上流から下流へ螺旋状に断続的に形成されるようにしたので、異物排出管内の異物が、管の軸方向の一定間隔毎に管壁面との間に流体を入り込ませるようになるため、より流動し易くなってより円滑な異物の排出が行われる。
【0029】
更に、異物排出管は、環状空間に注入される流体の量及び圧力を制御するようにしたので、異物の特性などにより注入される流体の量及び圧力を設定することができ、異物排出管の形状を設定する必要が無く異物の排出が行われる。そのため、汎用性のある沈殿分離装置にも個別に管形状を設計することなく接続できるようになり、個別の設計に係るコストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る異物排出管の断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】本発明に係る異物排出管を沈殿分離装置に接続した構成図。
【図4】本発明に係る異物排出管の孔付パイプの他の実施例。
【符号の説明】
1 異物排出管
2、5、14 パイプ
3、4 エルボ
6、8 ブッシュ
7、11 コネクタ
9、10 ユニオンネジ、ユニオンナット
13 孔付きパイプ
17 環状空間
20 沈殿分離装置

Claims (3)

  1. 異物が混ざった液体を収容する沈殿槽と、エアポンプから気体を供給されるエアシリンダに連動して前記沈殿槽内を上下動させられる押し込みヘッドと、前記沈殿槽に繋がって配設され前記押し込みヘッドにより前記異物が送り込まれ外周に複数の孔が形成されたパイプを有する異物排出管とを備えた沈殿分離装置において、前記パイプを覆い且つ前記複数の孔を介して前記パイプ内に前記気体が供給される環状空間を配設したことを特徴とする沈殿分離装置。
  2. 前記孔が、上流から下流へ螺旋状に断続的に形成されたことを特徴とする請求項1記載の沈殿分離装置
  3. 前記環状空間に注入される前記気体の量及び圧力を制御するようにしたことを特徴とする請求項1記載の沈殿分離装置
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