JP4067673B2 - 光アナログ伝送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光アナログ伝送装置にかかわり、光源としてファブリー・ペロー型半導体レーザ素子を用いると共に、無線信号などのアナログ信号を、当該ファブリー・ペロー型半導体レーザ素子の直接変調方式で変調して光ファイバにより伝送するようにした光アナログ伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
WLL(Wireless local loop)、移動通信及びITS(Intelligent Transport Systems)においては、加入者である端末は広く分布することになり、従って、当該端末と無線信号で送受信を行うための無線基地局(子局)は、種々の場所に配置されている必要があり、広域な場所に離散して多数配置することが必要となる。
従って、無線基地局は、小型化できる簡易な構成であることが求められる。
【0003】
そこで、小型化できる簡易な構成の無線基地局を実現する方策の一つとして、無線信号を光ファイバでフィードするアナログ光伝送技術が注目されている。この技術によれば、無線信号の変復調器/回線制御部を、集中局(親局)に一括して備えることができるようなるため、各無線基地局の構成を簡易化することができる。
【0004】
ところで、アナログ光伝送技術で、伝送特性及びコストに大きく関与するコンポーネントは、電気/光変換部の光源である。そして、このような光源には、分布帰還型半導体レーザ素子(DFB−LD:Distributed Feedback LD)とファブリー・ペロー型半導体レーザ素子(FP−LD:Fabry Perot LD)の採用が考えられる。
【0005】
これらのうち、DFB−LDは、歪特性に優れ、しかも、出力レーザ光の相対強度雑音(RIN:Relative Intensity Noise)が小さいため、高いCNR(Carrier−to−Noise Ratio;キャリア対雑音比)を達成できる。
しかし、単体コストが数十万円/個と高いのが欠点である。
【0006】
一方、FP−LDは、歪特性が劣り、RINが大きいため、DFB−LDほどの高いCNRはとれないが、単体コストが数万円/個と安い。子局は、多数必要であるため、低コスト化への要望は強く、伝送特性のキャリア対雑音比(CNR:Carrier−to−Noise Ratio)などの仕様を満たすことが可能であれば、FP−LDの適用が望まれる。
【0007】
FP−LDの発振特性は、DFB−LDと大きく異なる。すなわち、DFB−LDは、スペクトル幅が0.001[nm]以下のシングルモード発振であるのに対し、FP−LDはマルチモード発振であり、スペクトル幅は数[nm]と広がっている。
【0008】
さらに、図23に示されるように、発振モードの総和である光パワーが揺らいでなくても、個々の発振モードのパワー比、いわゆるモード分配が高速に変動している。この現象により、FP−LDでは、伝送路である光ファイバの群速度分散の影響が、顕在化されて現れる。この影響は、文献“『高速光ファイバ伝送における半導体レーザのモード分配雑音の影響』(電子通信学会論文誌79/3、Vol.J62−B、no.3、pp.199−206)”によれば、モード分配雑音(MPN:Mode Partition Noise)と呼ばれ、受信器において、強 度ゆらぎの大きさを示す相対強度雑音(R IN:Relative Intensity Noise)の増加として現れる。
【0009】
また、図24に示されるように、雑音レベルが不規則に振動し、ガウス分布では表せない雑音分布となる。信号が無線信号のようなアナログ信号である場合、RINの増加は、信号のCNRを劣化させる要因となる。MPNの影響は、群速度分散1[ps/nm/km]と光ファイバの伝送距離[km]の積である遅延量1[ps/nm]に応じて、RINを増加させる。FP−LDに対して、MPNの影響を回避するためには、光信号が被る遅延量を 小さくすればよい。
【0010】
光信号が被る光ファイバの遅延量を低減するには、次の2通りの方法がある。
[1]第1には、分散補償ファイバを挿入し、伝送路自体が持つ群速度分散値を低減する方法である。
しかし、分散補償ファイバによる分散補償は、個々の光信号に対して、各伝送路長に応じた補償が必要となり、装置構成が複雑化する。そのため、子局/親局の高コスト化を招く。
【0011】
[2]遅延量を低減するもう一つの方法は、FP−LDの周辺温度をペルチェ素子等で安定化し、群速度分散値の小さい波長に制御する方法である。
【0012】
しかし、波長制御は、波長を検出してフィードバックさせる制御構成が必要となり、レーザの駆動回路が複雑化する。また、WLLや、ITS等の子局は屋外に設置されることとなるため、外気温の変動にも耐え得る温度安定装置は、大掛かりとなり、消費電力も大きくなる。
【0013】
以上のように、光信号が伝送路から被る遅延量を低減させる方法は、装置構成が複雑化し高コスト化を招くため、低コストであるFP−LDを使用する利点をなくしてしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
WLLやITS等に適用が期待されている光アナログ伝送技術において、光源へのファブリー・ペロー型半導体レーザ素子(FP−LD)の使用は、子局及び親局を低コストに構築できる利点を有する。
【0015】
しかし、FP−LDに特有のモード分配の現象により、伝送路である光ファイバの群速度分散によるモード分配雑音の影響が避けられず、これが大きな課題となっている。
【0016】
この課題に対し、伝送路の分散補償、あるいは光源の波長制御の方法が考えられる。
しかし、いずれの方法も、伝送装置の構成が複雑化し、大掛かりとなる。
【0017】
また、伝送装置が高コスト化するため、光源にFP−LDを使用する利点が損なわれる。
【0018】
そこで、この発明の目的とするところは、無線信号のようなアナログ信号で直接変調されたFP−LDからの光信号を、光ファイバで伝送する光アナログ伝送装置において、光ファイバの群速度分散によるモード分散雑音の影響を低減し、良好なキャリア対雑音比 (CNR)の受信信号を得られるようにした光アナログ伝送装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成する。
【0020】
光アナログ伝送で、信号の伝送特性を示すパラメータは、受信信号のキャリア対雑音比(CNR)である。受信信号のCNRを決める主な要因は、伝送されてきた光信号を電気信号に変換するための光電検出器であるフォトデテクタ(PD)におけるショット雑音、PD、及び、PD後段のトランスインピーダンスアンプを含む受信系の熱雑音、光信号が含むRINがある。
【0021】
本発明では光ファイバの伝送距離を、最大で15[km]とする。通常、分散ファイバの伝搬損失は、JIS規格のC6821によると、0.8[dB/km]である。伝搬路の最大損失は、送信器、受信器側のコネクタ損失1[dB]ずつを加えて、およそ14 [dB]となる。光送信器側のFP−LDにおいて、平均出力の典型値は0[dBm]である。
【0022】
そのため、光受信器への光入力パワーは、−14[dBm]以上となる。
【0023】
図4に、熱雑音の大きさを基準として、ショット雑音及びRINの相対雑音量を示す。各雑音パラメータには、典型値を用いた。光入力パワーが最小の−14[dBm]の場合、RINが−140[dB/Hz]未満であればショット雑音量が一番大きく、RINが−140[dB/Hz]以上となるとRINの雑音量が一番大きくなる。そのため、RINが−140[dB/Hz]未満の範囲で劣化しても、受信信号のCNRには大きく影響しない。
【0024】
しかし、RINが−140[dB/Hz]以上に劣化すると、その劣化量に依存して、CNR値も劣化する。そのため、モード分散雑音の影響が現れる伝送路系では、モード分散雑音の影響を抑え、RINを−140[dB/Hz]未満に抑えておくことが重要である。
【0025】
図5に、遅延量に対してRINが劣化する様子を示す。遅延量が0[ps/nm]の場合、RINは、FP−LDの典型値である−150[dB/Hz]である。
【0026】
そして、光ファイバを伝送していき、遅延量が10[ps/nm]を超えると、RINは−140[dB/Hz]以上になる。そのため、遅延量10[ps/nm]以上においては、モード分配雑音の影響を“抑圧することが重要となる。
【0043】
信号が、副搬送波で周波数多重されたnチャネル(nは2以上の整数)で構成されている場合、本発明で定義している信号の中心周波数fm[Hz]と変調帯域BW[Hz]を、図10に示す。
【0044】
nチャネルで占有している帯域全体をBWとし、fmはその占有帯域の中心の周波数である。
[1]本第1の発明に係わる光アナログ伝送装置は、光送信器側にレーザ素子としてファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを設け、信号にて当該レーザ素子を直接変調することにより得られた光信号を群速度分散を有する光ファイバで伝送するものであって、前記光信号が光ファイバから被る遅延量が10[ps/nm]以上である光アナログ伝送装置であって、 前記光送信器側で、占有変調帯域がBW[Hz]で、占有帯域の中心周波数がfm[Hz]の前記信号に、周波数fc[Hz]の正弦波信号を重畳して、前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを直接変調し、前記fmと前記BWに、1.5×BW≦fmの関係が成り立ち、前記fmと前記fcは、
2×fm+(BW/2)≦fc≦3×fm−(BW/2)、
3×fm+(BW/2)≦fc、
BW/2≦fc≦(fm−BW/2)/2、
(fm+BW/2)/2≦fc≦fm−(BW/2)、
の関係のうち一つを満足することを特徴とする。
【0045】
周波数fcの正弦波信号を重畳すると、光源の可干渉性が下がり、戻り光がレーザ素子へ再結合した際に、レーザ素子ヘ及ぼす影響が低減する。そのため、FP−LDのモード分配の変動が低減されて、モード分配雑音の影響を抑えられる。重畳信号の光変調度を大きくすると、光周波数変調量が大きくなるため、RINをより改善する効果が得られる。
【0046】
但し、重畳信号の光変調度を大きくすると、FP−LDの直接変調の際に、2次高調波などの高次歪や相互変調歪が発生量が大きくなり、その歪が信号帯域内に落ちてくる。
【0047】
そのため、重畳する正弦波信号の周波数fcを、信号帯域BWに対して、最適に選択する必要がある。変調信号に影響を及ぼす歪成分は、2次高調波、2次歪、3次歪である。まず、自己の高調波が変調帯域内におちてこないために、中心周波数fmと変調帯域BWの間に、1.5×BW≦fmの関係が成り立つ必要がある。
【0048】
そして、2次歪、3次歪、fcの高調波が変調帯域BW内に落ちてこない関係に、fmとfcを配置する。fc>fmの場合、fcの高調波の影響は回避できるが周波数帯fm−fcに現れる2次歪と、周波数帯|2fm−fc|に現れる3次歪が問題となる。これらが常に、fmまわりの変調帯域BWに重ならないようにする必要がある。
【0049】
その関係は、以下のようになる。
【0050】
fm+BW/2≦fc−fm、 (2次歪)
fm−BW/2≦|2×fm−fc|、(3次歪)
fm+BW/2≦|2×fm−fc|、(3次歪)
fc<fmの場合においては、fcの高調波の影響を考慮する必要がある。高調波の大きさは、光変調度に依存して発生量が変わるが、光変調度40〜90[%]の間では、2次高調波までが大きな影響を及ぼすと考えられる。そのため、fcの2次高調波がfmに影響を及ぼさず、また、3次歪み|2fm−fc|及び|2fc−fm|がfmまわりの変調帯域BW内に落ちないようにする。
【0051】
よって、以下のような条件となる。
【0052】
2×fc≦(fm−BW/2)、fm+BW/2≦2×fc (2次高調波)
fm+BW/2≦fm+fc (2次歪)
fm+BW/2≦2×fm−fc (3次歪)
これらをまとめると、
2×fm+(BW/2)≦fc≦3×fm−(BW/2)、
3×fm+(BW/2)≦fc、
BW/2≦fc≦(fm−BW/2)/2、
(fm+BW/2)/2≦fc≦fm−(BW/2)、
となり、これらの条件のうち一つを満足することで、レーザ素子を直接変調した際に、高調波及び相互変調歪等が、変調帯域BWに影響を及ぼすことを回避できる。
[2]本第2の発明に係わる光アナログ伝送装置は、請求項に記載の光アナログ伝送装置であり、前記伝送する信号が副搬送波周波数多重されたnチャネル(nは正の整数)で構成されている場合、1波当たりの光変調度をmn、光変調度OMI[%]を{(m1) 2 +(m2) 2 +…+(mn) 2 1/2 と定義すると、前記ファブリー・ぺロー型半導体レーザダイオードからの光信号の前記信号に対する光変調度OMI[%]が、40.0≦OMI≦90.0であり、前記信号の占有変調帯域BW[Hz]と占有帯域の中心周波数fm[Hz]に、1.5×BW≦fm≦10 の関係があることを特徴とする。
【0053】
本発明によれば、正弦波信号を重畳して、モード分配雑音の影響を低減する方法においても、光変調度の最適値及び変調周波数の最適値の両者を考慮することで、モード分配雑音の影響を回避して、CNR劣化をより効果的に抑えられる。
]本第の発明に係わる光アナログ伝送装置は、請求項に記載の光アナログ伝送装置であり、前記信号は、アンテナで送受信する無線信号が周波数変換された中間周波の無線信号であることを特徴とする。
【0054】
アンテナで送受信する無線信号の周波数は、800[MHz]、1.5[GHz]、1.9[GHz]帯が使用されており、将来的には2.0[GHz]、5.8[GHz]、ミリ波帯の使用が考えられる。
【0055】
FP−LDを光源に使用する場合、無線信号がFP−LDの変調帯域外の可能性がある。また、モード分配雑音の影響を回避するためには、変調周波数を1[GHz]以下とする等の必要がある。
【0056】
そこで無線信号を周波数変換して、低域の中間周波の無線信号として使用すれば、モード分配雑音の影響に強い、低コストなアナログ光伝送系を構成することができる。
【0057】
以上より、モード分配雑音の影響に対し、装 置規模が大きく、高コストである光ファ イバの群速度分散制御及び光源の波長安定化などの方式を用いる必要がなくなる。そのため、光アナログ伝送装置の全体にわたり、装置規模を小型化でき、低コストで提供することが可能となる。
【0058】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施形態を説明する。本発明に係わる光アナログ伝送装置は、光送信器側に光源となるレーザ素子としてファブリー・ペロー型半導体レーザダイオード(FP−LD)を用い、伝送する信号によりFP−LDを直接変調すると共に、当該FP−LDからの光信号を、群速度分散を有する伝送路である光ファイバで伝送する構成であって、前記光信号が光ファイバから被る遅延量が10[ps/nm]以上である光アナログ伝送装置を対象としている。
【0059】
(第1の実施例)
ここでは、上記対象としての光アナログ伝送装置において、FP−LDのモード分配雑音による受信信号のCNR劣化を抑制する技術を提供する。
【0060】
FP−LDはマルチモード発振であり、スペクトル幅が数nmと広く、モード分配比が変動している。この現象により、シングルモード発振では見られないモード分配雑音が発生する。モード分配雑音は、光信号が伝送路から被る遅延量に依存して大きくなり、受信信号のCNRを急激に劣化させる。
【0061】
第1の実施例では、光源としてのレーザ素子7としてファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを用いる場合に、当該レーザ素子7の後段に光アイソレータ20を設けてこれを改善する。
【0062】
図1,図2は、本発明における第1の実施例としての光伝送装置の構成を示すブロック図である。図1は下り系統を示しており、図2は上り系統を示している。
【0063】
はじめに図1の構成を説明する。図1の構成の場合、変復調器部3およびドライバアンプ4およびバイアスティ5およびバイアス電流源6および光源であるレーザ素子7および光アイソレータ20とを備えた親局1aと、フォトデテクタ9およびトランスインピーダンスアンプ10および局部発振器11および乗算器12およびバンドパスフィルタ13およびパワーアンプ14およびアンテナ17とを備えて端末と無線通信を行う子局2aとからなる。
【0064】
また、親局1aと子局2aとの間は、光ファイバ8で接続して構成する。
【0065】
ここで、変調器3は親局1aにおいて端末側ヘ伝える信号51を中間周波であるQPSK等の無線信号52に変調するものであり、ドライバアンプ4はこの変調された無線信号52を増幅するものである。また、バイアスティ5はこの増幅された無線信号52をバイアス電流を供給するためのバイアス電流源6からの当該バイアス電流と加算してレーザ素子7に出力するものであり、レーザ素子7はこのバイアスティ5からの出力を受けて当該出力対応にレーザ光を発振するものである。
【0066】
光アイソレータ20は送り出す光を通し、戻り光を阻止する機能を有するものであって、レーザ素子7の発振出力はこの光アイソレータ20を介して、伝送路である光ファイバ8に入力され、子局2aへ伝送される構成である。
【0067】
子局2aのフォトデテクタ(PD)9は、光ファイバ8を伝送されてきた光信号61を受信して電気信号に変換する光電変換器であり、トランスインピーダンスアンプ10はこの電気信号を増幅して受信信号53を得るためのものである。
【0068】
局部発振器11は正弦波信号を発振するものであり、乗算器12前記受信信号53と局部発振器11からの正弦波信号とをミキシングして高周波帯に信号を周波数変換するものである。
【0069】
バンドパスフィルタ13は高周波帯への周波数変換(周波数アップコンバージョン)により得た信号53から所望信号のみを抽出するものであり、パワーアンプ14はこの信号54を電力増幅してアンテナ17に与えるものであり、アンテナ17はこの信号を空中へと送信するものである。
【0070】
ここで、光フアイバ8を伝送する光信号が、光ファイバ8から被る遅延量は10[ps/nm]以上である。また、光源であるレーザ素子7は、ファブリー・ぺロー型半導体レーザ(FP−LD)を用いている。
【0071】
図1における親局1aでは、端末側ヘ伝える信号51は、親局1aにおいて変調器3により中間周波であるQPSK等の無線信号52に変調される。
【0072】
変調された信号は、ドライバアンプ4を介し、バイアスティ5でバイアス電流源6からのバイアス電流と加算され、レーザ素子7に注入される。
【0073】
レーザ素子7から出力された光信号61は、光アイソレータ20を介して、伝送路である光ファイバ8に入力される。子局2aでは、光ファイバ8を伝送されてきた光信号61をフォトデテクタ9で受信し、トランスインピーダンスアンプ10で増幅して、受信信号53を得る。
【0074】
受信信号53は、乗算器12で、局部発振器11からの正弦波信号とミキシングされ、高周波帯に周波数変換される。周波数アップコンバージョンされた受信信号53は、バンドパスフィルタ13で所望信号のみが抽出されて、無線周波信号54となる。
【0075】
そして、無線周波信号54は、パワーアンプ14を通して、無線信号55として、アンテナ17から端末へ送信される。
次に図2の構成を説明する。図2の構成の場合、アンテナ17およびアンプ17および局部発振器11および乗算器12および変復調器部3およびドライバアンプ4およびバイアスティ5およびバイアス電流源6および光源であるレーザ素子7および光アイソレータ20とを備えて端末と無線通信を行う子局2bと、フォトデテクタ9およびトランスインピーダンスアンプ10およびバンドパスフィルタ13および復調器16とを備えた親局1bとからなる。
【0076】
また、親局1bと子局2bとの間は、光ファイバ8で接続して構成する。
【0077】
ここで、アンテナ17は端末からの無線信号56を受信するものであり、ローノイズアンプ15はこの受信した信号を増幅するためのものである。局部発振器11は所要の周波数の局部発振信号を発振するためのものであり、乗算器12はローノイズアンプ15で増幅された信号を、局部発振器11の信号と乗算して低周波帯へ周波数変換(中間周波であるQPSK等の無線信号に変換)するためのものであり、バンドパスフィルタ13はこの乗算器12からの出力を帯域濾波して中間周波信号57を得るものである。
【0078】
ドライバアンプ4はこの中間周波信号57を増幅するためのものであり、バイアスティ5はバイアス電流源6からの直流バイアス信号と加算して、レーザ素子7を直接変調するためのものである。
【0079】
光アイソレータ20は送り出す光を通し、戻り光を阻止する機能を有するものであって、レーザ素子7の発振出力はこの光アイソレータ20を介して、伝送路である光ファイバ8に入力され、親局1aへ伝送される構成である。
【0080】
親局1bのフォトデテクタ(PD)9は、光ファイバ8を伝送されてきた光信号61を受信して電気信号に変換する光電変換器であり、トランスインピーダンスアンプ10はこの電気信号を増幅して受信信号を得るためのものである。
【0081】
バンドパスフィルタ13はトランスインピーダンスアンプ10を介して得られた信号から所望信号58のみを抽出するものであり、復調器16はこの信号58を復調するものである。
【0082】
このような図2に示す構成のシステムにおける子局2bでは、端末からの無線信号56を、アンテナ17で受信し、ローノイズアンプ15で増幅する。受信した無線信号56は、必要とあれば、局部発振器11と乗算器12により、低周波帯へ周波数変換されて、バンドパスフィルタ13を通って、中間周波信号57となる。中間周波信号57は、ドライバアンプ4でアンプされ、バイアスティ5でバイアス電流源6からの直流バイアス信号と加算されて、レーザ素子7を直接変調する。
【0083】
レーザ素子7からの出力光信号62は、光アイソレータ20を介して、光ファイバ8に入力される。親局1bでは、光信号62を受信して受信信号58を得、これを復調器16に入力して、信号59を得る。
【0084】
コネクタやスプライス等の光ファイバ8の不連続点からの反射戻り光、またはレーリー散乱による戻り光が、FP−LDに再結合していると、レーザ素子の発振状態が不安定となり、モード分配が大きく現れる。
【0085】
通常、FP−LDは、DFB−LDと違って、戻り光の再結合を防ぐための光アイソレータが、レーザモジュール内に内蔵されていない。
【0086】
そこで、この発明では、FP−LDによるレーザ素子7の出力段側に光アイソレータ20を挿入して、戻り光のレーザ素子7への再結合を抑圧することでFP−LDの発振状態を安定化させ、モード分配雑音の影響を低減させる。
【0087】
<光アイソレータ20の挿入方法>
図6に、光アイソレータ20の挿入方法について、詳細な構成例を示す。図6は、図1および図2中における、レーザ素子7と光ファイバ8との接続部分における構造を示している。
【0088】
本システムでは、光アイソレータ20まわりの構成は例えば、図6(a)に示す如きであり、レーザ素子7を構成するレーザチップ18からの出力光を、レンズ19で平行光にし、偏光子やファラデー回転素子などで構成された光アイソレータ20を介して、レンズ21により、伝送路である光ファイバ8に入力すると云った構造を採用する。
【0089】
光アイソレータ20の配置位置は、レーザチップ18ヘの戻り光が最小となるように、できるだけ半導体レーザ素子7の出力側端面に近いところがよい。そのため、図6(a)のような、レーザモジュール22に内蔵できる形態が望ましい。
【0090】
光アイソレータ20を内蔵していないFP−LDに対しては、図6(b)に示す如く、ピッグテールファイバ24と伝送路用光ファイバ8を接続する箇所に、光アイソレータを挿入しても構わない。
【0091】
ピッグテールファイバ24と光アイソレータ20を接続する不連続点で反射を起こると、戻り光がレーザチップ18へ再結合してしまうため、その不連続点ではより反射が小さい融着スプライスが望ましい。
【0092】
コネクタ接続も、SPC(super physical contact)研磨されて、反射が−40[dB]以下と小さければ問題はない。なお、図6 (a),図6(b)において、レーザチップ18と光ファイバ8の結合に際し、光学系のレンズ19,23の配置、数量等は、図6に準じる必要はない。また、レーザモジュール22,25に装着される光ファイバ8、ピッグテール光ファイバ24の端面8aは、端面反射を低減すべく、斜めに研磨されているのが良い。
【0093】
光アイソレータを挿入した場合(W isolatorと表記)と、挿入していない場合(W/O isolatorと表記)の、遅延量とRINの関係を図7(a),(b)に示す。
【0094】
RIN特性は、スペクトルのピーク値で求める最悪値のRIN_WORSTを図7 (a)に、また、通常の雑音平均パワーで求めるRINを図7(b)にそれぞれ示す。ここでは図に示す如く、中心周波数fmは500[MHz]とし、変調度を20[%]、50[%]とした。
【0095】
図7(a)に示されるように、光アイソレータを挿入した場合のRIN_WORSTは、挿入しない場合に比べて、劣化量が低減される。
【0096】
特に光変調度20[%]においては、大きく改善されており、非ガウス分布の付加雑音の発生が大きく抑圧されたことによる。
【0097】
光変調度50[%]においても、RIN_WORSTでは改善度が小さいが、図7 (b)からわかるように、平均雑音パワーによるRINは、大きく改善されている。
これは、非ガウス分布の付加雑音の発生確率が大きく低減されたことによる。
【0098】
傾向としては、光信号の光変調度が大きくなると、非ガウス分布の付加雑音のピーク値の抑圧度は小さくなるが、発生確率を低減する効果はあるため、RIN全体の劣化量は低減できる。
【0099】
上記図1、図2に示した光アナログ伝送系は、対象として信号として、携帯電話、WLL、ITSなどの無線信号を想定したものであるが、図3に示されるような、映像信号60等の光アナログ伝送系においても、同様の効果がある。なお、図3において、図1、図2の符号と同一の符号を付したものは、同一物を指している。
【0100】
以上、本第1の実施例に示した発明に係わる光アナログ伝送装置は、光送信器側において、信号により直接変調されたファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードからの光信号を群速度分散を有する光ファイバで伝送し、前記光信号が光ファイバから被る遅延量が10[ps/nm]以上である光アナログ伝送装置であり、前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードの出力側端面と、伝送路である光ファイバの間に、光アイソレータを備えることを特徴とするものである。
【0101】
FP−LDは、マルチモード発振でありスペクトル幅が数nmと広く、モード分配比が変動している。この現象により、シングルモード発振では見られないモード分配雑音が発生する。モード分配雑音は、光信号が伝送路から被る遅延量に依存して大きくなり、受信信号のCNRを急激に劣化させる。
【0102】
但し、光信号が被る遅延量がそれほど大きくなければ、モード分配の不安定性のCNRへの影響は現れない。
【0103】
しかし、遅延量が10[ps/nm]以上となる伝送 系においては、モード 分配雑音の影響が顕在化し、受信信号のCNRが急激に劣化する。このモード分配雑音を顕在化させる原因は、FP−LDに伝送路からの戻り光が再結合し、モード分配を不安定にするためである。
【0104】
この実施例によれば、FP−LDの出力端に光アイソレータ20を挿入したことにより、FP−LDへの戻り光の再結合を抑圧できるようにした。そのため、FP−LDのモードモード分配変動が抑えられ、光信号が遅延量10[ps/nm]以上の遅延を被っても、モード分配雑音の影響の顕在化を回避し、RINの劣化を低減できる。
【0105】
また、モード分配雑音にみられる、非ガウス分布の付加雑音のピーク値及び発生確率を抑圧する効果が得られ、バーストエラーを回避できる。
【0106】
以上から、光受信器側において、安定したCNRをもつ受信信号が得られ、高信頼の光アナログ伝送系を提供できる。
(第2の実施例)
以下に、第2の実施例について述べる。光アナログ伝送装置の全体の構成は、第1の実施例と同じである。図8には、図1中のレーザ素子7の駆動回路部分を抽出してその構成を示した。図において、29はゲイン可変アンプ、5はバイアスティ、6はバイアス電流源、7は半導体レーザ素子、8は光ファイバ、20は光アイソレータである。
【0107】
ゲイン可変アンプ29はゲインを可変できる増幅器であり、中間周波の無線信号52は、このゲイン可変アンプ29により、振幅を任意に可変される。そして、バイアスティ5でバイアス電流源6からの直流バイアス信号と加算されて、半導体レーザ素子7を変調する構成である。
【0108】
ここでは、光信号の光変調度OMIは、無線信号52のチャンネル数にかかわりなく、40[%]以上90[%]以下であるように設定する。但し、信号が副搬送波周波数多重されたnチャネル(nは正の整数)で構成されている場合、1波当たりの光変調度をmnとして、光変調度OMI[%]は、
{(m1)2+…+(mn)2
と定義する。
【0109】
光変調度OMIは、可変ゲインアンプ29の増幅率を制御することで設定する以外には、可変アッテネータをアンプの前または後ろに使用し、アッテネーションを制御する構成としてもよい。
【0110】
図9に、光信号が被る遅延量が34[ps/nm]の場合の光変調度OMIとCNRの関係を示す。変調周波数は500[MHz]であり、CNRは変調帯域10[MHz]における値である。光変調度OMIが0[%]から70[%]まではCNRが大きくなり、OMIが70[%]以上になると、CNRが飽和状態に近付く。そして、OMIが80[%]を超えると、CNRが急激に劣化していくことがわかる。
【0111】
通常、半導体レーザ素子7は、光信号の平均パワーを変動させないために、APC(Auto Power Control)を備える。そのため、直流バイアス値が周辺温度に追従して変化する。その場合、光変調度OMIは、直流バイアス値と信号振幅に応じて決定されるため、光変調度OMIも変化する。
【0112】
光変調度OMIを最大値のCNRを与える80[%]近傍に設定してもよいが、バイアス値の変動によってOMIが一時的に大きくなると、CNRが急激に劣化し、バースト誤りを引き起こすことが考えられる。
【0113】
そのため、OMIはCNRの変動がなるべく小さくなり、かつ最大のCNR値を与え得るよう、範囲内に設定する。
【0114】
以上から、周辺温度の平均値に対する光変調度OMIを60[%]近傍に設定し、OMIの変動に対してCNRの急激な劣化がないようにする。そして、CNRの変動を±3[dB]以下に抑えるために、光変調度OMIが、
40[%]≦OMI≦90[%]
に収まるようにする。
【0115】
また、バイアス値の変化が大きくなり、OMIが40[%]≦OMI≦90 [%]の範囲に収まらない環境下においては、APC制御器に、信号振幅値もバイアス値と同様に制御する機能を備えるようにして、光変調度OMIを40[%]≦OMI≦90[%]内に収めるようにする。
【0116】
その構成を図21に示す。
すなわち、半導体レーザ素子7を備えるレーザモジュール22内に、例えば、内蔵型のPD(光電変換素子)9を備える。PD9は半導体レーザ素子7から光ファイバ8に入力される光信号61以外の、光ファイバ8に入力されない光信号を検波する。
【0117】
PD9にて検波された信号67を、トランスインピーダンスアンプ10で増幅して、APC制御器33へ入力する。APC制御器33は、検波信号67から、光平均パワーを求め、それが一定値となるように、直流バイアス源6の直流バイアス値を制御するものである。
【0118】
従って、APC制御器33は、検波信号67から光平均パワーを求め、それが一定値となるように、直流バイアス源6の直流バイアス値を制御することになる。そして、それと同時に、光信号61の光変調度が一定となるように、ゲイン可変アンプ29の増幅率を制御する。
【0119】
以上、本第2の実施例で説明した発明に係わる光アナログ伝送装置は、第1の実施例に記載の光アナログ伝送装置において、伝送する信号が副搬送波周波数多重されたnチャネル(nは正の整数)で構成されている場合、1波当たりの光変調度をmn、光変調度OMI[%]を
{(m1)2+…+(mn)2
と定義すると、ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオード(FP−LD)からの光信号の前記信号に対する光変調度OMI[%]を、40.0≦OMI≦90.0とすることを特徴としている。
【0120】
本件発明者らの実験により、FP−LDからの光信号を光ファイバで伝送した場合、モード分配雑音の影響によるRINの劣化量が、光変調度に応じて大きくなり、特に、光変調度が80[%]以上では、RINの劣化量が顕著に大きくなることが判明した。
【0121】
しかし、光受信器側において、受信信号のCNRを大きくするためには、光変調度を大きくして、信号強度を大きくする必要がある。そのため、モード分配雑音に依存するRINと光変調度の間には、トレードオフの関係が発生し、最適な変調度が存在すると考えられる。光変調度OMIとCNRの関係は以下の通りである。
【0122】
光変調度OMIが0[%]から70[%]までは、信号強度の利得量がRIN劣化量を上回り、CNRが改善される。OMIが70[%]以上になると、RIN劣化量が大きくなりはじめ、CNR値が飽和状態になる。そして、OMIが80[%]以上になると、RINの劣化のためCNRが急激に劣化し、OMIが100[%]までCNRは小さくなる。
【0123】
本発明によれば、光変調度を、CNRの最大値を与える最適な光変調度を含む40[%]以上で90[%]以下の範囲とすることで、CNRの変動幅を±3 [dB]以内に抑えることができ、安定して大きなCNRを持つ受信信号が得られる。
【0124】
本発明で定義している光変調度は、レーザ素子ヘ注入する信号全体の光変調度を指している。そのため、信号が1チャンネルであれば、その信号1波の光変調度が、40[%]以上、90[%]以下である。信号が、副搬送波で周波数多重されたnチャネル(nは正整数)で構成されていれば、1波当たりの光変調度をmnとして、
{(m1)2+…+(mn)2
で定義される光変調度OMI[%]が40[%]以上、90[%]以下とする。このようにすることで、CNRの変動幅を±3[dB]以内に抑えることができ、安定して大きなCNRを持つ受信信号が得られる光アナログ伝送装置が提供できる。
次に、信号の占有変調帯域BW[Hz]と占有帯域の中心周波数fm[Hz]との関係を、工夫した例を第3の実施例として説明する。
【0125】
(第3の実施例)
以下に、第3の実施例について述べる。なお、光アナログ伝送装置の全体の構成は、第1の実施例と同じであり、図1中のレーザ7の駆動回路部分について述べる。
【0126】
変調器3から出力される中間周波の無線信号52は、アンプ4で増幅され、バイアスティ5でバイアス電流源6からの直流バイアス信号と加算されて、レーザ素子7を変調する。
【0127】
このとき、光受信器側の受信信号において安定したCNRを確保するために、無線信号52の変調帯域をBW[Hz]とすると、中心周波数fmを、1.5×BW≦fm≦109の範囲内に設定する。
【0128】
図11に、中心周波数fm=600[MHz]、900[MHz]、1.0 [GHz]、1.2[GHz]における遅延量50[ps/nm]を被った受信信号スペクトルの様子を示す。横軸に中心周波数fm、縦軸にスペクトルパワー密度をリニア軸で示した。光変調度はいずれも50[%]とした。
【0129】
図11(a),(b)と図11(c),(d)とで、受信信号スペクトルの下部に大きな違いが発生していることがわかる。図11(c),(d)では、モード分配雑音の影響により、受信信号スペクトルが大きく広がり、RINが劣化する。
【0130】
JIS規格のC6821によれば、通常、分散ファイバの規定は、群速度分散値は、3.5[ps/nm/km]以下となっており、遅延量50[ps/nm]は、通常、分散光ファイバ長の15[km]に相当する。つまり、加入者アクセス系等で考えられている光ファイバの伝送距離において、fm>1[GHz]となると、光アイソレータ20を挿入しても、モード分配雑音の影響が顕著に現れる。
【0131】
また、変調帯域をBWとすると、中心周波数fmが低過ぎた場合には信号帯域内に自己の歪成分が落ちてきて、CNRを劣化させる。
【0132】
そのため、図12に示した変調信号のスペクトルにおいて、最も低域の(fm−BW/2)の成分の2次高調波(2×fm+BW)が、最も高域の(fm+BW/2)の成分よりも大きくなるように中心周波数fmを設定する。
【0133】
例えば、変調帯域が40[MHz]であれば、中間周波の無線信号52、57の中心周波数fmは、60[MHz]≦fm≦1[GHz]に設定する。
【0134】
このように、本第3の実施例に係わる光アナログ伝送装置は、信号の占有変調帯域BW[Hz]と占有帯域の中心周波数fm[Hz]に、1.5×BW≦fm≦109の関係を持たせることを特徴としている。
【0135】
変調信号帯域を高域に配置すると、高調波歪の影響を被らない連続した帯域を大きく確保することができ、多重できるチャンネル数を増やせる利点がある。そのため、信号の総伝送容量を大きくすることができる。
【0136】
しかし、発明者等の実験によれば、中心周波数fmが高くなると、伝送路から被るモード分配雑音の影響も大きくなり、RINの劣化量が増えることが判明した。また、WLLやITSで考えられている10[km]を超える光ファイバ長では、fm>1[GHz]で、光アイソレータを挿入しても、モード分配雑音の影響が顕著に現れることが判明した。
【0137】
そのため、中心周波数fmは、モード分配雑音の影響が急激に現われる1[GHz]の周波数以下に設定する必要がある。また、必要とされる伝送容量を得られるならば、伝送する信号の中心周波数fmは低い方が、モード分配雑音の影響を抑圧できることが考えられる。
【0138】
しかし、中心周波数fmが低すぎると、信号帯域内に自己の歪成分が落ちてきて、伝送特性が劣化する。そのため、変調帯域をBWとすると、最も低域の(fm−BW/2)の成分の高調波が、最も高域の(fm+BW/2)の成分よりも大きくなる、(fm−BW/2)×2≧fm+BW/2、の関係が必要である。
【0139】
本発明によれば、占有変調帯域をBW[Hz]に対して、占有帯域の中心周波数fmに、1.5×BW≦fm≦109の関係を持たせることで、安定したCN Rをもつ受信信号を得ることができる。
【0140】
信号が、副搬送波で周波数多重されたnチャネル(nは2以上の整数)で構成されている場合、本発明で定義している信号の中心周波数fm[Hz]と変調帯域BW[Hz]を、図10に示す。nチャネルで占有している帯域全体をBWとし、fmはその占有帯域の中心の周波数である。
【0141】
このように、占有変調帯域をBW[Hz]に対して、占有帯域の中心周波数fmに、1.5×BW≦fm≦109の関係を持たせるようにしたことで、安定し たCNRを持つ受信信号を得ることができる。
(第4の実施例)
以下に、第2の実施例と第3の実施例を組み合わせることにより、CNR劣化をより効果的に抑えられる第4の実施例を述べる。
【0142】
第4の実施例の構成も、図8と同じである。この実施例では、変調器3から出力される中間周波の無線信号52の中心周波数fmを、無線信号52の変調帯域をBW[Hz]とすると、1.5×Bw≦fm≦109の範囲内に設定する。
【0143】
無線信号52は、ゲイン可変アンプ29で増幅されて、レーザ素子7に注入される。この際、半導体レーザ素子7から出力される光信号61の光変調度OMIが、40[%]≦OMI≦90[%]となるように、ゲイン可変アンプ29の増幅率を設定する。
【0144】
レーザ変調時のRINは、変調周波数と光変調度に依存している。
【0145】
図13に、遅延量0[ps/nm]における、光変調度とRINの関係を示す。変調信号の周 波数は、500[MHz]と1.5[GHz]である。
【0146】
図13からわかるように、周波数帯が高くなると、光変調度に依存したRIN劣化も大きくなる。遅延量0[ps/nm]におけるRINが小さい方が、光ファイバを伝送していく上で、モード配分雑音に対する許容度も大きくなる。そのため、光ファイバの伝送距離を伸ばすことができる。
(第5の実施例)
図14に、第5の実施例を示す。第5の実施例は、FP−LDのモード分配雑音の大きくする戻り光に対して、光源の干渉性を低減する方法を用いた例である。
【0147】
ここでは、光送信器側で、占有変調帯域がBW[Hz]で、占有帯域の中心周波数がfm[Hz]の前記信号に、周波数fc[Hz]の正弦波信号を重畳して、前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを直接変調するようにする。
【0148】
周波数fcの正弦波信号を重畳すると、光源の可干渉性が下がり、戻り光がレーザ素子へ再結合した際に、レーザ素子ヘ及ぼす影響が低減する。そのため、FP−LDのモード分配の変動が低減されて、モード分配雑音の影響を抑えられる。この実施例ではこのことを利用する。
【0149】
本発明では重畳信号の光変調度を大きくすると、光周波数変調量が大きくなるため、RINをより改善する効果が得られる。
【0150】
具体的に説明する。この実施例での光アナログ伝送装置全体の構成は、光アイソレータ20を取り除いた点、そして、加算器26を設けた点、および局部発振器11に周波数制御器31を設けてこの周波数制御器31により重畳信号用の所望の周波数fcなる重畳信号64を発生させ、加算器26に与えることができる構成とした点以外は、図1の構成と同様である。なお、アンプ4はゲイン可変アンプ29としてある。また、図14には、図1中の半導体レーザ素子7の駆動回路部分を抽出して示した。
【0151】
この構成においては、局部発振器11からの周波数fcなる重畳信号64を占有帯域BW[Hz]、占有帯域の中心周波数fmの信号52に、加算器26で重畳する。そして、重畳信号が加算された信号63で、半導体レーザ素子7を直接変調する。
【0152】
このとき、信号の中心周波数fmと信号帯域BWに、1.5×BW≦fmが成り立ち、重畳信号の周波数fcは、信号の中心周波数fmに対して、
2×fm+(BW/2)≦fc≦3×fm−(BW/2)、
3×fm+(BW/2)≦fc
BW/2≦fc≦(fm−BW/2)/2、
(fm+BW/2)/2≦fc≦fm−(BW/2)、
の関係のうち、1つを満足するように、周波数制御器31で重畳周波数fcを設定する。
【0153】
図15に、重畳周波数fcとRINの関係を示す。図15に示すように、変調信号は、fm=500[MHz]であり、OMI=50[%]でレーザ素子7を変調した。また、光信号は、光ファイバ8により遅延量20[ps/nm]を被る。
【0154】
この構成においては、重畳周波数fcを10[kHz]から2[GHz]まで変化させた場合の全てにおいて、RINは改善される。重畳周波数fcの光変調度を大きくすると、光周波数変調量が大きくなる。
【0155】
図15と同条件で重畳周波数fc=2[GHz]とした場合での雑音のピーク値で求めたRINworstを、重畳周波数fcの光変調度に対して示した特性図を 図16に示す。
【0156】
図16からわかるように、RINが、重畳周波数fcの光変調度に対して、改善される。このとき、重畳周波数fcの光変調度を大きくしても、重畳周波数fc、中心周波数fm、信号帯域BWの関係は上記のように保つようにすると、レーザ素子7の直接変調の際に発生する2次高調波などの高調波歪や2次、3次の相互変調歪が信号帯域内に落ちてくることを回避することができる。
【0157】
図17(a)〜(c)に、変調帯域BWである信号の中心周波数fmと重畳周波数としての正弦波信号の周波数fcの関係を示す。変調信号に影響を及ぼす歪成分は、2次高調波、2次歪、3次歪である。
【0158】
fc>fmのとき、占有帯域近辺に発生する歪は、周波数fc−fmに現れる2次歪と、周波数|2fm−fc|に現れる3次歪である。
【0159】
これらが、常に、変調帯域BWに重ならないように、図17(a)〜(c)のように周波数fcを設定する。
【0160】
また、fc<fmのときは、fcの高調波及び|2fm−fc|、及び|2fc−fm|に発生する3次歪が、変調帯域BW内におちてこないように、図18(a),(b)の如く、fcを設定する。
【0161】
第5の実施例において、重畳信号fcの光周波数変調の効果により、モード分配雑音の顕在化は抑えられる。しかし、さらに信号へのモード分配雑音の影響を低減するためには、信号の中心周波数fm及び光変調度OMIを最適に設定することが望まれる。
(第6の実施例)
以下に、第6の実施例を述べる。第5の実施例と同様に、アナログ伝送装置の全体の構成は、図14と同じである。この実施例では変調器3は、信号52の中心周波数fmがfm≦109である信号52を出力するようにしてある。
【0162】
局部発振器11からの重畳信号64は、第4の実施例に記した信号52の占有変調帯域BWと占有帯域の中心周波数fmとの関係を保つように、周波数制御器31により周波数fcを制御する。
【0163】
加算器26で、信号52と重畳信号64を加算して、信号63を得る。信号63は、ゲイン可変アンプ29により増幅率を制御され、バイアスティ5を介してレーザ素子7に注入される。
【0164】
ここで、レーザ素子7から出力される光信号の光変調度OMIは、40[%]≦OMI≦90[%]に設定する。レーザ素子7から出力される光信号の光変調度OMIは、ゲイン可変アンプ29の増幅率で制御しているが、ゲインが固定されているアンプと、アッテネーションを可変できるアッテネータを組み合わせて制御してもよい。
【0165】
ここで、信号52が、副搬送波の周波数多重されたnチャネル(nは正の整数)で構成されている場合、1波当たりの光変調度をmnとして、光変調度OMI [%]は、 {(m1)2+…+(mn)2 と定義する。
【0166】
このように、本実施例の光アナログ伝送装置は、光送信器側において、信号により直接変調されたファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードからの光信号を群速度分散を有する光ファイバで伝送し、前記光信号が光ファイバから被る遅延量が10[ps/nm]以上である光アナログ伝送装置であって、前記光送信器側で、占有変調帯域がBW[Hz]で、占有帯域の中心周波数がfm[Hz]の前記信号に、周波数fc[Hz]の正弦波信号を重畳して、前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを直接変調するものである。そして、前記占有帯域の中心周波数fmと前記占有変調帯域BWに、1.5×BW≦fmの関係が成り立ち、前記fmと前記fcは、
2×fm+(BW/2)≦fc≦3×fm−(BW/2)、
3×fm+(BW/2)≦fc、
BW/2≦fc≦(fm−BW/2)/2、
(fm+BW/2)/2≦fc≦fm−(BW/2)、
の関係のうち一つを満足することを特徴とするものである。
【0167】
周波数fcの正弦波信号を重畳すると、光源の可干渉性が下がり、戻り光がレーザ素子へ再結合した際に、レーザ素子ヘ及ぼす影響が低減する。そのため、FP−LDのモード分配の変動が低減されて、モード分配雑音の影響を抑えられる。重畳信号の光変調度を大きくすると、光周波数変調量が大きくなるため、RINをより改善する効果が得られる。
【0168】
但し、重畳信号の光変調度を大きくすると、FP−LDの直接変調の際に、2次高調波などの高次歪や相互変調歪が発生量が大きくなり、その歪が信号帯域内に落ちてくる。
【0169】
そのため、重畳する正弦波信号の周波数fcを、信号帯域BWに対して、最適に選択する必要がある。変調信号に影響を及ぼす歪成分は、2次高調波、2次歪、3次歪である。まず、自己の高調波が変調帯域内におちてこないために、中心周波数fmと変調帯域BWの間に、1.5×BW≦fmの関係が成り立つ必要がある。
【0170】
そして、2次歪、3次歪、fcの高調波が変調帯域BW内に落ちてこない関係に、fmとfcを配置する。fc>fmの場合、fcの高調波の影響は回避できるが周波数帯fm−fcに現れる2次歪と、周波数帯|2fm−fc|に現れる3次歪が問題となる。これらが常に、fmまわりの変調帯域BWに重ならないようにする必要がある。
【0171】
その関係は、以下のようになる。
【0172】
fm+BW/2≦fc−fm、 (2次歪)
fm−BW/2≦|2×fm−fc|、(3次歪)
fm+BW/2≦|2×fm−fc|、(3次歪)
fc<fmの場合においては、fcの高調波の影響を考慮する必要がある。高調波の大きさは、光変調度に依存して発生量が変わるが、光変調度40〜90[%]の間では、2次高調波までが大きな影響を及ぼすと考えられる。そのため、fcの2次高調波がfmに影響を及ぼさず、また、3次歪み|2fm−fc|及び|2fc−fm|がfmまわりの変調帯域BW内に落ちないようにする。
【0173】
よって、以下のような条件となる。
【0174】
2×fc≦(fm−BW/2)、fm+B
W/2≦2×fc (2次高調波)
fm+BW/2≦fm+fc (2次歪)
fm+BW/2≦2×fm−fc (3次歪)
これらをまとめると、
2×fm+(BW/2)≦fc≦3×fm−(BW/2)、
3×fm+(BW/2)≦fc、
BW/2≦fc≦(fm−BW/2)/2、
(fm+BW/2)/2≦fc≦fm−(BW/2)、
となり、これらの条件のうち一つを満足することで、レーザ素子を直接変調した際に、高調波及び相互変調歪等が、変調帯域BWに影響を及ぼすことを回避できるようになる。
【0175】
次に、光アナログ伝送装置を立ち上げる際に、FP−LDを直接変調する際にFP−LDに与えるバイアス電流を、最適なバイアス電流値に制御することで、より高いCNR値を達成できるようにした例を第7の実施例として説明する。
【0176】
(第7の実施例)
図19に、第6の実施例を示す。アナログ伝送装置の全体の構成は、第1の実施例と同じである。図19には、図1に示した構成中のレーザ素子7の駆動回路部分を抽出して示した。
【0177】
この実施例においては、中間周波の無線信号52は、アンプ4で増幅されて、バイアスティ5でバイアス電流源6からの直流バイアス信号65と加算されて、レーザ7を変調する。このとき、バイアス電流源6は、バイアス制御器30により、直流バイアス信号65の電流値を制御される。
【0178】
レーザ素子7であるFP−LDは、バイアス電流65の電流値によって、発振モードが依存し、光スペクトル形状が変化し、モード分配雑音の光信号への影響が変化する。
【0179】
図20に、FP−LDにおいて、変調信号の振幅は一定にし、バイアス電流65の値を代えた場合のCNR特性を示す。横軸には、バイアス電流65の値に依存した、LD9の平均出力光パワーを示した。
【0180】
図30からわかるように、遅延量0[ps/nm]においては、バイアス電流65に対するCNRは、ほとんど変化がないが、遅延量が34[ps/nm]となると、CNRのばらつきが大きくなる。
【0181】
レーザ素子7の光出力の最大定格をAmWとする。バイアス電流65の値がレーザ素子の発振しきい値よりも10[mA]以上大きく、レーザ素子7が十分発振しはじめている光出力がA/3[mW]である状態から、光出力が飽和しはじめる2A/3mWまで、CNR値が良くなっている。
【0182】
この特徴から、光アナログ伝送装置を立ち上げる際に、バイアス電流65を振って、最適なバイアス電流値に制御して、より高いCNR値を達成できる。バイアス制御器30は、図21で示したAPC制御機能と併合してもよい。この際、バイアス制御器30で設定する上記の最適バイアス値は、周辺温度の平均値における設定として、安定したCNR特性を与えられるバイアス値の範囲を広くとる。
【0183】
また、バイアス電流65を変えることで、OMIが変化する。このOMIが40[%]≦OMI≦90[%]の範囲を外れるようであれば、アンプ4のゲイン可変アンプに変更して、信号振幅を変えて、OMIを制御する。
【0184】
構成は図21と同じであり、APC制御器33の初期バイアス設定を、上述のように周辺温度の平均値において、最適なCNRを与えるようにする。
【0185】
第2〜第6の実施例において、信号52の中心周波数fm、光信号61の光変調度OMI、重畳信号64の周波数fcを制御する例を示した。これらの制御器を安定して動作させるためには、光受信器側の受信信号に含まれる雑音量をモニタして、その情報をフィードバックする方法がある。
【0186】
このように、光アナログ伝送装置を立ち上げる際に、FP−LDを直接変調する際にFP−LDに与えるバイアス電流を、最適なバイアス電流値に制御することで、より高いCNR値を達成できるようになる。
次に、第8の実施例として、光受信器側での雑音量をモニタして調整するようにした例を第8の実施例として説明する。
【0187】
(第8の実施例)
図22に、第8の実施例として、光受信器側での雑音量をモニタする機能を示す。アナログ伝送装置の全体の構成は、第1の実施例と同じである。但し、光送信器側1aに、周波数制御器31、ゲイン可変アンプ29等を備えている。
【0188】
図22は、図1中のPD9付近の回路部分を抽出して示してある。光ファイバ8を伝送されてきた光信号61を、PD9で受信し、トランスインピーダンスアンプ10で増幅し、受信信号53を得る。
【0189】
この受信信号53は、2つに分岐され、一方は乗算器12へ入力されて、無線通信用の信号となる。もう一方は、雑音モニタ32に入力される。雑音モニタ32では、信号53の占有帯域BWの雑音量を測定する。雑音量の測定方法は、例えば、受信信号53に、周波数スイープされた正弦波信号をかけて、特定のバンドパスフィルタ帯域を透過する信号パワーを検出するスペクトルアナライザの機能構成でも良い。
【0190】
さらに、信号強度との比をとって、CNRを検出しても良い。これらの測定により雑音情報を持つ信号66を得る。そして、雑音情報信号66を、光送信器側へ送信してゲイン可変アンプ29等に伝えてOMIを制御し、伝送特性を改善するように動作させる。
【0191】
このように、第8の実施例は、光受信器側での雑音量をモニタして雑音情報を得、これを光送信器側へ送信してゲイン可変アンプ等に伝え、OMIを制御し、伝送特性を改善するように動作させるようにしたものであり、従って、伝送特性を動的に改善させることが可能になる。
【0192】
以上、種々の実施例を説明したが、本発明は上述した実施例に限定することなく種々変形して実施可能である。
【0193】
なお、本発明の光アナログ伝送装置は、伝送する信号としてアンテナで送受信する無線信号を対象とする場合、当該無線信号を周波数変換した中間周波の無線信号とすることになる。現状では一般に、アンテナで送受信する無線信号の周波数は、800[MHz]、1.5[GHz]、1.9[GHz]帯が使用されており、将来的には2.0[GHz]、5.8[GHz]、ミリ波帯の使用が考えられる。そして、FP−LDを光源に使用する場合、無線信号がFP−LDの変調帯域外の可能性がある。また、モード分配雑音の影響を回避するためには、変調周波数を1[GHz]以下とする等の必要がある。
【0194】
そこで、以上から無線信号を周波数変換して、低域の中間周波の無線信号として使用すれば、モード分配雑音の影響に強い、低コストなアナログ光伝送系を構成することができる。
【0195】
従って、モード分配雑音の影響に対し、装置規模が大きく、高コストである光ファイバの群速度分散制御及び光源の波長安定化などの方式を用いる必要がなくなる。そのため、本発明のように光アナログ伝送装置の全体にわたり、装置規模を小型化でき、低コストで提供することが可能となる。
【0196】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明は、光源にファプリー・ペロー型半導体レーザダイオード(FP−LD)を用い、光信号が被る遅延量が10[ps/nm]以上である光アナログ伝送系に係わり、伝送路の光ファイバの持つ群速度分散に依存するモード分配雑音の影響が、RINを劣化させ、受信信号のCNRを抑圧する問題を解決するものである。
【0197】
本発明によれば、FP−LDと伝送路用光ファイバの間に光アイソレータを挿入することで、モード分配雑音を低減できる。光アイソレータは、光ファイバの不連続点やレーリー散乱による戻り光が、レーザ素子ヘ再結合することを防止し、FP−LDのモード分配の変動を低減させる効果がある。さらに、FP−LDから出力される光信号の光変調度OMI、変調する信号の中心周波数帯fm[Hz]を、40[%]≦OMI≦90[%]、1.5×BW(占有帯域[Hz])≦fm≦109に設定することで、モード分配雑音の影響をより低減することが 可能となる。
【0198】
また、本発明は、光アイソレータを挿入する方法以外に、正弦波信号を信号に重畳する方法もあり、このような本発明によれば、重畳信号の周波数fc[Hz]と信号の占有帯域BWとその中心周波数fmに、所定の関係をもたせること、信号帯域BWに高次歪及び 変調歪等による劣化を与えることなく、モード分配 雑音を低減できる。
【0199】
以上より、モード分配雑音の影響を低減するために、装置規模が大きく、高コストである光ファイバの群速度分散制御や、光源の波長安定化などの方式を用いる必要がなくなる。本発明による光アナログ伝送装置は、構成を簡易化できるため、小型化及び低コスト化することが可能となる。さらにモード分配雑音の低減により、光信号が被る遅延量の許容範囲を広げられる。そのため、伝送できる光信号の波長域が広くなり、FP−LDの波長を選択をする必要がなくなる、光ファイバの伝送距離を伸ばせる、光アナログ伝送系の信頼度を高める、等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための図であって、本発明の第1の実施例を示した概略的なブロック構成図である。
【図2】本発明を説明するための図であって、本発明の第1の実施例の別の例を示した概略的なブロック構成図である。
【図3】本発明を説明するための図であって、本発明の第1の実施例を別の例を示した概略的なブロック構成図である。
【図4】RIN,ショット雑音、熱雑音の相対雑音量を示した図である。
【図5】遅延量とRINの関係を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例を示したブロック構成図。
【図7】アイソレータの有無による遅延量とRINの特性図である。
【図8】本発明の第2の実施例を示すブロック構成図である。
【図9】光変調度に対するCNRの特性図である。
【図10】信号の帯域BW[Hz]と中心周波数fm[Hz]を示す図である。
【図11】信号の中心周波数fmに対する受信信号スペクトル図である。
【図12】信号の中心周波数fmと帯域BWの関係図である。
【図13】光ファイバ0[km]伝送における光変調度に対するRINの特性図である。
【図14】本発明の第5の実施例を示したブロック図である。
【図15】重畳周波数fcに対するRINの特性図である。
【図16】重畳周波数fcの光変調度に対するRINの特性図である。
【図17】信号の中心周波数fmと変調帯域BWの関係を示す図である。
【図18】信号の中心周波数fmと変調帯域BWの関係を示す図である。
【図19】本発明の第7の実施例を示したブロック構成図である。
【図20】レーザ出力に対するCNRの特性図である。
【図21】本発明の第2の実施例におけるAPC機能を有した構成を示す図である。
【図22】本発明の第8の実施例を示したブロック構成図である。
【図23】光スペクトルを示す図である。
【図24】モード分配雑音の影響による非ガウス分布の付加雑音を示した図である。
【符号の説明】
1a,1b…親局
2a,2b…子局
3…変調器
4…ドライバアンプ
5…バイアステイ
6…バイアス電流源
7…ファプリーベローレーザ
8…光ファイバ
9…フォトデテクタ
10…プリアンプ(トランスインピーダンスアンプ)
11…局部発振器
12…乗算器
13…バンドパスフィルタ
14…パワーアンプ
15…ローノイズアンプ
16…復調器
17…アンテナ
18…レーザチップ
19…レンズ
20…光アイソレータ
21…レンズ
22…レーザモジュール
23…レンズ
24…ピッグテール光ファイバ
25…レーザモジュール
26…加算器
27…光送信器
28…光受信器
29…ゲイン可変アンプ
30…バイアス制御器
31…周波数制御器
32…雑音モニタ
33…APC制御器
51…復調前の情報信号
52…中間周波の無線信号
53…受信信号
54…無線信号
55…アンテナから送信する無線信号
56…アンテナで受信する無線信号
57…中間周波の無線信号
58…受信信号
59…復調後の情報信号
60…映像信号
61…光信号
62…光信号
63…信号
64…重畳信号
65…直流バイアス電流
66…雑音情報信号
67…検波信号

Claims (2)

  1. 移動通信網の無線基地局から放射される無線信号を光ファイバを介してフィードするアナログ光伝送システムに使用され、光信号が前記光ファイバから被る遅延量が10[ps/nm]以上である光アナログ伝送装置において、
    前記無線信号により駆動され、アナログ変調された光信号を前記光ファイバに出力するファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードと、
    前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードの出力側端面と前記光ファイバとの間に設けられ、前記光ファイバからの戻り光の再結合を抑圧する光アイソレータと、
    前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを駆動する前記無線信号に正弦波信号を重畳する重畳部と、を具備し、
    前記無線信号が副搬送波周波数多重されたnチャネル(nは正の整数)で構成されている場合、1チャネル当たりの光変調度をmnとし、
    光変調度OMI[%]を{(m1) 2 +(m2) 2 +…+(mn) 2 1/2 定義すると、
    前記レーザ素子からの光信号の前記信号に対する光変調度OMI[%]が
    40.0≦OMI≦90.0
    であり、
    前記無線信号の占有変調帯域をBW[Hz]とし、この占有帯域の中心周波数をfm[Hz]とし、前記正弦波信号の周波数をfc[Hz]としたとき、
    BWおよびfmにつき次式(1)の関係を満足し、
    1.5BW≦fm≦10 ・・・ (1)
    fmおよびfcにつき次式(2)乃至(5)の少なくとも1つの式の関係を満足する、
    2×fm+(BW/2)≦fc≦3×fm−(BW/2) ・・・ (2)
    3×fm+(BW/2)≦fc ・・・ (3)
    BW/2≦fc≦(fm−BW/2)/2 ・・・ (4)
    (fm+BW/2)/2≦fc≦fm−(BW/2) ・・・ (5)
    ことを特徴とする光アナログ伝送装置。
  2. 前記無線信号を周波数変換した中間周波の無線信号により前記ファブリー・ペロー型半導体レーザダイオードを駆動することを特徴とする請求項1に記載の光アナログ伝送装置。
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