JP4062132B2 - Titanium-based material for fuel cell separator and manufacturing method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン系材料すなわち純チタンおよびチタン合金とその製造方法に関する。
【0002】
さらに詳述すれば、本発明は、特に固体高分子型燃料電池用のセパレータとして好適である、接触電気抵抗が小さく、耐食性に優れたチタン系材料とその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
最近多くの注目を浴びている燃料電池には幾つかの形態があるが、そのうちで固体高分子型燃料電池は、低公害電気自動車搭載用電源としてその実用化が期待されているものの一つである。
【0004】
図1は、固体高分子型燃料電池の構造の一例を分解して示す説明図であり、この型の燃焼電池は、固体高分子電解質膜10の1面に燃料電極膜( アノード)12 を、他面に酸化剤電極膜( カソード)14 が積層されており、その両面にセパレータ16a 、16b が重ねられた構造となっている。
【0005】
セパレータはバイポーラプレートとも呼ばれ、グラファイト、カーボン板、ステンレス鋼板などによって構成されている。それぞれの材料について開発の努力が続けられている現状であるが、これらは大きく分けて非金属系材料と金属系材料とに区分される。
【0006】
ところで、そのうちの金属系材料に関して、耐食性の問題を考えると、ステンレス鋼、アルミニウムおよびニッケル−鉄合金などが考えられ、研究が行われている。 (特許文献1、段落0006)
しかしながら、金属系材料においては、例えば、このようなセパレータ16がステンレス鋼板またはチタン板から構成される場合、セパレータ16と電極膜12、14との接続は図2に示すように、金めっきなどの貴金属めっき層20を設けることでその導通をとっている。 (特許文献1、請求項4および特許文献2)
すなわち、表面に不働態膜を備えたステンレス鋼のような金属材料をそのままセパレータに用いても、接触抵抗が高いばかりでなく、耐食性が十分でなく金属の溶出が起こり、溶出金属イオンにより担持触媒性能が劣化する。また、溶出後に生成するCr−OH、Fe−OHのような腐食生成物により、セパレータの接触抵抗が増加するという問題があるので、金属材料からなるセパレータには、コストを度外視した金めっき等の貴金属めつきを施すのが良いとされているのが現状である。
【0007】
なお、ステンレス鋼板の表面に生成する不働態皮膜の表面の接触抵抗が非常に大きく、通常の市販品では、100 Ωm ・cm2 以上となる。
ところで、固体高分子型燃料電池は、自動車搭載用ということで、軽量化が求められており、ステンレス鋼板と比較して軽量化が図られるチタン系材料が着目されてきている。 (特許文献3)
チタン系材料の場合にもステンレス鋼と同様に不働態皮膜の存在による問題があるが、チタン系材料の場合には、めっきが容易でないことから、貴金属をめっきして導通をとるという解決策を取ることはできない。
【0008】
ここに、本明細書においては純チタンおよびチタン合金を総称してチタン系材料という。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−228914号公報、段落0006、請求項4
【特許文献2】
特開2001−6713号公報
【特許文献3】
特開2001−357862号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子型電池では電池セパレータの表面抵抗や接触抵抗を下げることで接触部分で発生する多量のジュール熱を下げることが有効である。また実際にセパレータを燃料電池に組み込む場合にはセパレータを数十枚、数百枚を重ねて用いるため、燃料電池自体の重量がかなり増加することから、自動車等の移動体用の燃料電池用としては軽量化が強く求められている。
【0011】
ここに、純チタンおよびチタン合金は、他の金属材料に比較して軽量で耐食性に優れていることはよく知られているが、表面の不働態皮膜はステンレス鋼と同様に電気抵抗が大きいため、そのままでは小さい接触電気抵抗が要求される燃料電池通電用部材としては用いることができない。不働態皮膜が厚くなれば耐食性はより優れたものとなるが、電気抵抗はより大きくなる。固体高分子型燃料電池内における耐食性は十分であるので、何らかの手段により接触電気抵抗を低減できれば、純チタンやチタン合金を燃料電池内通電部品用として使用することが可能である。
【0012】
特許文献3に開示のチタン系材料は、導電性硬質粒子を材料表面に埋め込み、それを材料表面から露出させ、それを導通路として利用するというのである。
その場合の導電性硬質粒子は、金属炭化物であって、これをショット加工によってチタン系材料表面に埋め込むというのである。
【0013】
すなわち、特許文献3にはチタンおよびチタン合金中の表面に導電性を有する硬質粒子(M23C6、M4C 、MC)を埋込み、バイポーラプレート用材料を得る方法が開示されている。この場合には導電性硬質粒子にTiB は含まれていない。また、この方法では硬質粒子は表面のみに存在している。
【0014】
ここに、本発明の解決すべき課題は、チタン系材料から構成された安価な接触通電部材とその製造方法を提供することである。
さらに本発明は、前述の従来のチタン系材料より接触電気抵抗が小さく、かつ耐食性に優れた接触通電部材、特に固体高分子型燃料電池のセパレータとその製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
ここに、本発明者らは次のような知見を得た。
a)チタン系材料表面に生成する不働態皮膜の電気抵抗は、固体高分子型燃料電池のセパレータとして用いて電池性能を十分に発揮させるのに十分なまで低い値に安定して維持することは困難である。酸浸漬処理などにより不働態皮膜を薄くすることも可能であるが、チタン系材料の優れた不働態化能により不働態皮膜が再び厚く成長し、時間とともに接触電気抵抗は増加する。さらに、電気的に電位が変動する燃料電池内で、安定して不働態皮膜を薄く維持することは困難である。
【0016】
b)接触電気抵抗は、単位面積当りの接触面積に依存している。すなわち、全面で接触しているようにみえる接触も点接触であり、単位面積当りの接触点数、接触点総面積、個々の接触点の電気抵抗に依存している。
【0017】
c)チタン系材料表面に導電性析出物を不働態皮膜を突き破るようにして分散、露出させると接触電気抵抗を大きく下げることが可能である。導電性析出物が“電気の通り道”として機能することで、接触電気抵抗を安定して低く維持できるのである。
【0018】
d)導電性析出物として、TiC 系析出物、TiB 系析出物、TiB2析出物が考えられるが、特にTiB 系析出物が量産性、性能の観点より好ましいが、特に耐食性が併せて改善されるという効果がみられることが分かった。
【0019】
e)TiB 系析出物を表面に露出させたチタン系材料は優れた耐食性を有しており、TiB 系析出物が分散析出することによる耐食性低下は認められない。
結局、TiB 系析出物を不働態皮膜から露出させたチタン系材料が固体高分子型燃料電池内でセパレータとして良好な性能を有していることを知り、本発明に至った。
【0020】
かくして、本発明によれば、純チタンあるいはチタン合金中に析出、分散する導電性を有し、かつ耐食性良好なTiB 系析出物の一部を表面の不働態皮膜を貫通させて露出させることにより、表面の接触電気抵抗を低減する。素材としての燃料電池内での耐食性は、純チタンおよびチタン合金表面に生成する不働態皮膜により安定して良好である。
【0021】
本発明によれば、従来のチタンおよびチタン合金では不十分であった接触抵抗性能、電気的通電性能を、純チタンあるいはチタン合金としての耐食性を維持したまま確保できる。
【0022】
本発明にかかるチタン系材料は、金属素材として、ステンレス鋼に比較して約4割軽量であり、軽量化を求められる自動車等の移動体に使用される燃料電池用セパレータとして最適である。
【0023】
燃料電池セパレータとして、グラファイト製あるいはカーボン製が鋭意検討されている状況であるが、それらと比較して量産性に優れ、薄肉化による軽量化が図れることから、本発明にかかる燃料電池用セパレータの持つ可能性は大きく、その実用性は高い。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明においてTi系材料を上述のように規定した理由および各要素の作用について詳述する。なお、本明細書においてとくにことわりがない限り、合金組成を示す「%」表示は「質量%」である。
【0025】
TiB 系硼化物粒子
本発明のチタン系材料では、導電性金属析出物であるTiB 系硼化物粒子、つまりTiB 系析出物が、分散析出している。
【0026】
TiB 系析出物の組成は、TiB 析出物中のTiの一部がその他合金含有金属元素で置き換わった組成のTiB 系折出物も包含する。そのため、TiB 析出物と表記せず、TiB 系析出物と表記するのである。実際、本発明においてもTiの一部がAlで置き換わったTiB 系析出物を確認している。
【0027】
本発明にかかるチタン系材料中において、TiB 系析出物を特定して析出させる方法には、溶解法などがある。
次に、本発明において、母材にをTiB 系析出物を析出分散させる方法についてより詳細に説明する。
【0028】
溶解法 :
溶解法は、純チタンあるいはチタン合金溶湯中に、添加合金元素としてB源を添加してTiB 系析出物を析出させる方法である。最も望ましいB源の一例として、アルミ硼化物AlB12 がある。金属硼素も好適である。
【0029】
溶湯に添加されたB源は一旦、溶湯中に均一溶解し、凝固過程においてTiB 系析出物として析出することが組成を安定させる上で望ましい。
なお、B源として、TiB を用いることも机上では可能であるが、工業的に溶解原料として入手することが難しい。
【0030】
凝固過程において析出するTi系硼化物組成、析出温度、析出挙動は、溶湯中のB量を調整することにより制御可能である。共晶組成以上のBを含有するチタン系材料では、TiB 系析出物が初析として液相中に析出し、共晶温度付近で析出が完了する。一方、共晶組成以下のBを含有するチタン系材料では、母相が初析として析出し、TiB 系析出物は共晶温度付近で一気に析出する。液相中にTiB が優先的に析出してくる条件では、TiB の密度が溶湯に比べてわずかに大きいため溶湯中で沈積しマクロ的に偏析することも懸念されるが、溶湯の熱対流および濃度流とともに溶湯中を対流するためか、顕著な沈積現象あるいはマクロ的偏析は目だって発生しない。
【0031】
共晶温度付近で析出したTiB 系介在物は、溶湯中で析出したTiB 系析出物に比べ小さく、微細に分散している特徴を有している。BはTiに対する固溶限が0.l 質量%以下と非常に小さく、溶湯中に添加されたBは、凝固過程および固相線直下の温度域でほとんどが硼化物として析出する。
【0032】
また、Bは、α相のみならず、β相をも安定化する効果を持たず、B添加により何れの場合も最終的にTiB 系析出物が分散析出した純チタンあるいはチタン合金が得られる。
【0033】
TiB 系析出物は、純チタンあるいはチタン合金が、溶湯より凝固する際に、1500℃付近の高温において析出する。析出物は針状を呈しており、冷却速度が速いほど微細化するが、そのままでは本発明の目的とする十分な分散状態は得られない。熱間鍛造、熱間圧延および冷間圧延工程にて破砕し、微細に分散させることが好ましい。これは、TiB 系析出物が硬質であり、金型摩耗を促進するためである。微細化の程度は、析出物の長径が20μm 以下、望ましくは10μm 以下であることが好ましい。良好なプレス加工性、打ち抜き性を確保するためには、より微細で、均一に分散していることが望ましい。
【0034】
凝固の際に、高温で共晶反応により析出するため、比較的均一に分散析出させることが可能である。金属析出物として熱力学的に安定であり、導電性に優れるとともに、燃料電池内部においても母材並みに優れた耐食性を有する。また、硬度が高く、圧延時に変形しにくいため、破砕され微細に分散する性質を有している。
【0035】
B量を高めると、TiB2などのTiB2系硼化物も析出するが、本発明においてはTiB 系硼化物を用いる。共存する添加元素によって若干変化するが、添加するB量により析出形態の制御が可能である。
【0036】
金属系析出物として、TiB2系析出物ではなくTiB 系析出物を用いる理由は、TiB2系析出物の融点が高く、製造性が著しく劣るためである。
チタン系材料 (純チタンおよびチタン合金) の化学組成:
(a)純チタン:
基本的には合金元素を含まないが、酸素や鉄等の微量含有量により強度レべルを調整することが可能である。不可避不純物元素として、質量%で、酸素0.5 %以下、炭素0.2 %以下、鉄0.5 %以下、水素0.1 %以下、窒素0.1 %以下、Al 0.3%以下を含有し、この他不可避の不純物を除いて実質的にチタンから構成される。
【0037】
これに金属硼素を添加することによりTiB 系粒子を析出させた純チタンを本発明では単に純チタンと表記する。
α型チタンは、チタンの中でも柔らかく冷間加工性に富む特徴を有する。不可避不純物元素として、質量%で、酸素0.5 %以下、炭素0.2 %以下、鉄0.5 %以下、水素0.1 %以下、窒素0.1 %以下、Al 0.3%以下と限定したのは、これら制限量を越えた不純物を含むと、固溶強化や化合物の生成により純チタンの加工性が低下し、固体高分子型燃料電池セパレータ用材料として不適切となるためである。
【0038】
なお、Alは耐食性を劣化させ腐食後の接触抵抗を上昇させるので、できるだけ少ない方が望ましい。
(b)チタン合金:
純チタンの基本的な特性、即ち軽量性、耐食性を極力損なわないように主として強度を向上させるために積極的に合金元素を添加したのがチタン合金である。チタン合金元素は結晶構造が六方晶構造α相を安定化する元素と立方晶構造であるβ相を安定化する元素がある。
【0039】
β相を安定化する元素としてはV、Mo、Cr、Fe、Nb、Ni、W、Cu等があり、元素の種類によりβ相を安定化する能力が異なるために、複数の合金元素が添加された場合のβ相安定化能力を表すためにV量で規定した数値としてV当量と呼ぶ指標がある。このV当量は次式で表される。
【0040】
V当量=V+(15/10)Mo+(15/36)Nb+(15/25)W+(15/6.3)Cr+(15/4.0)Fe+(15/9)Ni +(15/13)Cu
このV当量の増加に伴い、合金元素の固溶供強化により強度は上昇し、高温のβ相域からの急冷とこれに続くα+β相域における時効処理により強度が上昇する。この時、V当量が30質量%を超えると (1)比重が大きくなり、チタンの軽量性が損なわれる。(2) β相の固溶強化による変形抵抗が上昇し、加工性が劣化する。(3) 時効処理による強度上昇が小さくなる、等の不都合が生じるために30質量%以下に限定する。
【0041】
一方、α相を安定化する元素の代表的なものとしてはAlがあり、また中立型の元素ではあるが、弱いα相の安定化効果を有する元素としてSnとZrがある。酸素も強力なα相安定化元素である。上記V当量と同様にAl量でα相安定化の能力の指標としてAl当量があり、次式で表される。
【0042】
Al当量=Al+(1/3)Sn +(1/6)Zr +10×0(酸素)
このAl当量が増加すると固溶強化によりで強度が上昇するが、反面冷間加工性は低下する。また、8質量%を超えるとα2 相(Ti3Al) が生成し、脆化を起こしやすくなるため、8質量%以下とする。
【0043】
(c)B
本発明は、純チタンあるいはチタン合金中に微細分散する、耐食性に優れた導電性金属TiB 系析出物を、純チタンあるいはチタン合金表面に生成する不働態皮膜を貫通させて露出させて、電気の通り道とすることにより、不働態皮膜に覆われた純チタンあるいはチタン合金表面の接触抵抗を低くすることを特徴としている。
【0044】
本発明において最も望ましい添加合金元素のひとつにAlB12 がある。本発明にかかるチタン系材料のすべての合金系にB源として適用可能である。AlB12 を溶湯に添加すると、比較的容易にTi溶湯中に完全溶解する。金属硼素もB添加源として適用可能である。AlB12 と同様に本発明のすべての合金系において適用可能である。
【0045】
溶湯に添加されたBは、溶湯中に均一溶解した後、凝集過程において析出する。B量に応じて、液相中にTiB が優先的に析出してくる場合と、チタンあるいはチタン合金が初析として析出してくる場合がある。チタンあるいはチタン合金が初析として析出してくるような場合には、高固相率領域で一気にTiB が共晶として析出するため、TiB 系介在物は微細分散し易い。
【0046】
BはTiに対する固溶限が0.1 質量%以下と非常に小さく、添加されたBは、ほとんどが硼化物として析出する。また、Bは、α相のみならず、β相をも安定化する効果を持たず、B添加により何れの場合も最終的にTiB 粒子が分散生成した材料が得られる。
【0047】
析出したTiB 系析出物は、硬質であり、ほとんど変形能を有していないため、熱間鍛造、熱間圧延および冷間圧延工程において破砕される。破砕することによりTiB 系析出物は、より微細に分散することとなる。
【0048】
チタンおよびチタン合金中に、Bを多量に含有させるとTiB 系析出物分散量が増加し、延性が低下し、製造性も低下する。固体高分子型燃料電池用セパレータ材としての成形性を確保するために、チタン材料中に生成する硼化物量は過剰となることは好ましくない。また、製造過程において、熱間加工により、変形能が低下する原因である硼化物を“砕き”微細に分散させることが可能である。微細に破砕することで靱性劣化を軽減することができる。冷間加工することも変形能が低下する原因である硼化物を“砕き”微細に分散させることにとって有効である。しかし、冷間加工による方法では微小クラックが生成し、破壊の起点になる可能性があるので注意を要する。このように微細に破砕することで成形性や靱性の低下を軽減することができる。
【0049】
硼化物の析出温度は含有量にもよるが、チタンおよびチタン合金凝固温度近傍にあり、一旦析出すると、ほとんど再固溶しない挙動を示す。B含有量が多くホウ化物析出が顕著になるほど製造時、加工時の割れ問題が大きくなり、量産性が悪くなる。ただし、B量が5%までは、相当の困難さを伴うものの工業的規模での製造は可能である。一方、Bを5%を超えて含有させる場合は、通常の溶解法での製造が困難となる。また、固体高分子型燃料電池セパレータ用としての常温での成形性が確保できなくなる。したがって、Bを含有させる場合は5質量%以下とする。Bの下限は特に規定しないが、通常 0.5%以上あれば必要量のTiB 系粒子は確保できる。
【0050】
加工変形能をほとんど有しないTiB 系ホウ化物は、“圧延方向に砕ける”ような様相で分散しながら圧延される。ホウ化物分散状態の制御は、鍛造条件、熱間圧延条件を工夫することで可能である。またホウ化物の細かく分散されるほど成形性が向上する。
【0051】
B含有量が、数十ppm 程度である場合には、硼化物は結晶粒界に析出する傾向が大きい。接触電気抵抗を低くする上で、硼化物が粒界、粒内いずれに析出しても大きな差異は認められないが、常温での加工性、割れ問題回避の点より均一に分散させる方が好ましいことは言うまでもない。
【0052】
(d)TiB 系析出物の体積率
TiB 系析出物の体積率は、合金中に添加されるB量で決まる。体積率が30vol%を超えると熱間、冷間合めて加工性が著しく低下し、事実上製造が困難となる。一方、体積率が3vol %未満になると接触抵抗が低く保てない。したがって、TiB 系析出物の体積率は、3vol%〜30vol%が良い。なお、母材における2%BでTiB 系析出物は、体積率で10%となる。
【0053】
(e)TiB 粒子の寸法
TiB 粒子の寸法は通電性には特に影響を与えないが、チタン材料の冷間加工性に影響を与える。TiB 系析出物粒子はチタン材料中に棒状に生成するが、この時の長径が長すぎると粒子が外力により割れやすくなり、クラック生成の原因となる可能性が大きいことから、長径が30μm 以下、望ましくは20μm 以下とする。
【0054】
(f)接触抵抗
さらに、本発明にかかるチタン系材料では、純チタンあるいはチタン合金中に析出分散するTiB 系粒子を表面に露出させる。金属系析出物がチタン系材料表面に生成する不働態皮膜で覆われることなく、最外表面に突出することにより、導電性を有するTiB 系析出物が“電気の通り道”として機能して、固体高分子型燃料電池セパレータ用金属素材としての低接触抵抗の機能が得られるようになる。本発明においては後述する実施例におけると同様の計測法で抵触抵抗は、付加荷重10kg/cm2で腐食後の純Tiの接触抵抗値が100 mΩ・cm2 を超えるのに対して、通常は20mΩ・cm2 以下、好ましくは7〜15mΩ・cm2 の範囲とする。
【0055】
接触抵抗は、周知のごとく、接触する双方が決まっている場合には、接触面積に依存する。微細に分散するTiB 系析出物では、大きさと点数が接触抵抗に対して大きな影響を及ぼすこととなる。見掛け上、加圧力を増すことによりある程度の性能改善は可能であるが接触面積、点数が増加しているに過ぎないと判断している。接触抵抗低減の観点からは、TiB 系析出物を破砕することで微細にして、数多く均一に分散させることが望ましい。
【0056】
TiB 系析出物を微細に分散させる方法としては、Bを溶解段階で金属硼素、AlB12 といった合金元素として添加することが最も望ましい。量産性、工業的手段、コストいずれの面からも、最も有効である。
【0057】
TiB 微粉末を機械的に投射、研磨あるいは研削などの機械加工時に材料表面にめり込ませて残留させることも可能であるが、表面での均質性保障、安定した性能確保に難がある。蒸着、イオンインプランテーションなど、表面改質と呼ばれる表面処理方法と析出処理のための熱処理を組み合わせることでも製造は可能であるが、コスト面と量産性の面で難がある。
【0058】
これらの各手法は、将来の工業的生産手段の革新により、量産的な手法として実用性を有するようになる可能性もある。本発明にあってはこれらの手法を含め、所望のTiB 系金属析出物が均一に分散析出し、表面不働態皮膜を突き破るように突出していれば、工業的な手法は問わない。
【0059】
チタンおよびチタン合金中に析出した導電性金属介在物を、チタン材料表面に生成する不働態皮膜の外面に露出させるには、それらの組み合わせも含めて、(1) チタン材料を酸洗処理すること、あるいは、(2) ロール表面を“ショット加工”あるいは“エッチング加工”した微小凹凸を有する圧延ロール(通称、“ダルロール”)で圧延、あるいは (3)チタン材料の板を直接ショット加工すること、さらには (4)蒸着を利用すること等により可能である。特に酸洗処理は、工業的に安価な方法であり、大面積の表面をマクロ的に均一に、かつ表面をわずかに溶解させて、耐食的に優れる金属介在物を残留させたまま突出させるのに極めて有効な量産的な工業的手段である。酸洗液としては、母相液が選択的に腐食されるものであれば種類は問わない。一例として、55℃、10%HNO3−3%HFなどがある。
【0060】
本発明の好適態様にあっては、表面に露出するTiB 系析出物としては母材から析出した析出物に由来するものが好ましい。
しかし、母材表面に存在する不働態皮膜を貫通して露出させる処理を施さず、純チタンあるいはチタン合金中に単に分散析出したのみでは、表面接触抵抗は安定せず、また表面接触抵抗も高い。
【0061】
次に、上述のようにしてTiB 系析出物粒子を分散させたチタン系材料の表面にTiB 系析出物粒子を露出させる代表的方法について説明する。
酸洗法:
酸洗は、チタン系材料の母相を溶解することができる酸性溶液中に浸漬、あるいは酸性溶液中で電解して実施すればよい。酸性溶液として望ましくは、母相を均一、かつ導電性介在物であるTiB 系析出物を残しながら母相のみを選択的に腐食する溶液がよい。
【0062】
酸性溶液の一例としては、チタン系材料の量産ラインにおいて最も一般的に用いられている酸洗溶液である硝ふっ酸系水溶液、硫酸系水溶液、塩酸系水溶液などがある。必要に応じて、酸性溶液の劣化を軽減、あるいは腐食面を平滑にする有機系、無機系の添加剤を添加することも可能である。
【0063】
酸洗に必要な酸性水溶液濃度は、純チタンおよびチタン合金の種類や処理温度により異なる。酸洗処理温度は、室温から沸点以下の温度範囲でよく、腐食状況をみながら濃度、温度を決めるのがよい。酸性水溶液中での平均腐食減量が5〜60g/m2、表面粗度が中心線平均粗さRaで0.06から5μm となるように調整するのが好ましい。
【0064】
好適な酸性水溶液は、硝ふっ酸系水溶液中のフッ化水素酸濃度としては2〜20質量%、硝酸濃度としては5〜20質量%であり、水溶液の温度は30〜90℃である。ふっ酸、硝酸いずれも上記の濃度の下限未満では酸洗能率が劣り、上限を超えるとチタン材料の表面粗さが悪化し、接触電気抵抗が増加する。硝フッ酸系水溶液を用いると、導電性金属介在物の露出処理と母相表面の不働態強化処理を同時におこなうことが可能である。
【0065】
酸洗溶液は、硝ふっ酸液と他の酸との混合溶液でもよく、必要に応じて腐食速度を抑制する市販のインヒビターを添加してもよい。
なお、酸洗は上記のようにチタン系材料を酸性水溶液に浸漬するのが効率がよく、酸性溶液を攪拌、流動させると、効率がよい。また、チタン系材料の表面に酸性溶液をノズルによる噴射、シャワー、あるいは噴霧する方法でもよい。
【0066】
機械的方法 :
機械的方法は、TiB 系硼化物粒子を機械的に不働態皮膜にショットしたり、研磨、研削する際などに“めり込ませて残留”させる方法である。一般に、この方法では安定した性能を得ることは難しい。本発明において母材全体にTiB 系析出物を分散させた上で、さらにその不働態化皮膜に機械的に“めり込ませて残留”させるというのである。
【0067】
表面改質法 :
表面改質法は、蒸着などの手法を用いる方法であるが、製造コストが割高である。この方法も上述の機械的方法と同じく補助的方法である。
【0068】
(g)表面粗さ
表面粗さは接触電気抵抗に影響するため、中心線平均粗さRaが0.06μm 未満では表面が平滑過ぎて、導電性析出粒子が材料表面近傍に存在しても改善効果が小さい。平滑過ぎるとかえって接触点が少なくなる。一方、5μm を超えると単位面積当りの接触点数が著しく減少し接触電気抵抗が低くなる傾向となる。したがって、Raは0.06〜5μm とするのが望ましく、さらに好ましくは0.06〜2.5 μm 、である。上記表面粗さ“中心線平均粗さRa”とは、JIS B O601-19812において定義されている二次元的な表面粗さの程度を表す値である。
中和処理
本発明の製造方法において、酸洗処理後に中和処理を施すことは重要なことである。十分な水洗を実施した酸洗後の表面でも、表面の微小凹凸内部、金属介在物と母相の隙間内部、粒界には酸成分が残留しているので、乾燥に伴い、酸成分が濃化する場合が多い。酸成分の濃化、噴き出しにより表面の腐食が進み、時間の経過と共に表面の接触抵抗が高くなる問題が起こる。pHがが7以上であるアルカリ性水溶液中に浸漬、あるいはpHが7以上であるアルカリ性水溶液を表面に噴霧する中和処理を行うことで、特性劣化を顕著に改善することができる。ここでいう噴霧とは、アルカリ水溶液をノズルから噴射、シャワーすることも含むものとする。
【0069】
アルカリ性水溶液としては、▲1▼水溶性であること、▲2▼処理後の水洗浄性に優れること、▲3▼工業的に廃液を処理しやすいこと、▲4▼入手が容易であり、安価であることを満足するものがよい。好適例として、3〜10質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液がある。
【0070】
【実施例】
表1に示した20種の化学組成の純チタンおよびチタン合金材料を次の方法で製造した。
【0071】
まず、非消耗電極式アーク溶解炉を用いて40×80×14mmの200gのボタン鋳塊を、あるいは消耗電極式アーク溶解(VAR溶解炉)により15kgのインゴット (形状直径 140×150mm)の鋳塊を得た。溶解原料としては、市販のスポンジチタン、合金元素の溶解原料を使用した。B添加には市販のAl−Bの母合金や金属Bを用いた。表中、aは純チタン材であり、他はチタン合金材である。
【0072】
各ボタン鋳塊( インゴット) から下記の工程により冷間圧延板を作製した。
インゴット→熱間圧延→焼鈍→冷却→ショットブラストで脱スケール→酸洗→冷間圧延(→中間焼鈍→冷間圧延)→焼鈍→酸洗
但し、VAR 鋳塊については、1200℃に2時間加熱後、プレス装置により鍛造し、50mm厚のビレットとした。
【0073】
熱間圧延は、ボタン鋳塊あるいは50mm厚ビレットを1200℃に加熱して実施し、約3.4mm 厚までまで熱間圧延を実施した。およそ1000℃以上、1200℃以下の温度範囲で再加熱を繰り返しながら鍛造、圧延を実施した。また、熱間圧延後の焼鈍は真空中で700 ℃で30分間保持して冷却する熱処理を施した。焼鈍後はショットブラストにより脱スケールを行ってから、硝フッ酸液で酸洗を行った。冷間圧延は全て3mmから始めて0.3mm の厚さに仕上げた。
【0074】
必要に応じて、冷問圧延途中で700 ℃で軟化焼鈍と通常の量産ライン条件を模擬した7質量%硝酸、3質量%ふっ酸水溶液、60℃中で酸洗を実施した。
冷延板は上記熱延板と同様の条件で最終焼鈍を行い供試材とした。
【0075】
本例では、かかる供試材を用い、下記の方法により純チタン板またはチタン合金板の表面にTiB 系粒子を分散、露出させた。
投射角度:80度であった。
【0076】
用いた酸洗液は下記の3種類であった。
▲1▼ 硝酸:10%、フツ酸:2%、水:残部
▲2▼ 硝酸:5%、フツ酸:1%、水:残部
▲3▼ 硝酸:5%、フツ酸:5%、水:残部
酸洗液の温度は室温から沸騰の間で変化させて検討を行い、60℃とした。冷延板の表面にTiB 系粒子を分散、露出させるために、上記の条件で酸洗を行った。表面粗さの変化は酸洗時間を変えることにより行った。
【0077】
酸洗後は、水洗、乾燥を行った後、液温が25℃の6質量%の水酸化ナトリウム溶液中に3分間浸漬、超音波洗浄し、さらに蒸留水中で15分間の超音波洗浄を行った。比較例の一部については中和処理を施さなかった。
【0078】
なお、冷風ドライアーで乾燥させた後、JIS B O60-1982に規定の表面粗さ(中心平均粗さRaおよび最大高さRmax)と、中和直後の接触電気抵抗と500 時間大気中で放置した後の接触電気抵抗を測定した。
【0079】
接触電気抵抗の測定は、0.3mm 厚の上記酸洗後の冷延鋼板と厚さ0.6 mmの市販のグラッシーカーボン板(昭和電工製、商品名“SG3 ”) を用い、評価用チタン(合金)製試験片接触面積を1cm2 とし、4端子法にて測定した。評価用試験片表面は、評価直前に、表面を水洗浄後評価に供試した。
【0080】
酸洗処理を行わない場合、湿式600 番エメリー研磨面である。付加荷重は10kg/cm2とした。
表2においてNo.11 は導電性金属介在物であるTiB 系粒子が生成しているにもかかわらず接触抵抗が高い。これは中心線平均租さが0.04μm と極めて平滑であるために導電性介在物が表面から突出しておらず、他方、No.8は中心点平均粗さが6.9 μm と大きく表面が粗いために接触点に導電性介在物が存在する割合が低く、導電性介在物が“電気の通り道”として十分に機能しなかったためと考えられる。
【0081】
チタン材料の表面粗さが中心線平均粗さRaで0.06〜5μm であることが好ましい。ショット加工は表面粗さを中心線平均粗さRaで0.05〜5μm に調整することを満足させる極めて有効な工業的手段の一つであることが明かである。
【0082】
また、比較例から明らかなように、中和処理しなかった場合 500時間経過後の接触電気抵抗が大きくなっており、中和処理の効果が顕著である。
図3は、湿式600 番エメリー紙研磨した合金記号f(表1) を、5%硝酸−1%ふっ酸中で2分間酸洗した後の表面粗さ状態を示す。Ra=0.88μm であった。市販の粗さ計を用いて測定した。
【0083】
図4は、図3の供試材(記号f )の表面SEM 写真を示す。白い棒状に見えるのが分散相のTiB ホウ化物である。上方には、表面にTiB 粒子が“頭を出して”突出、分散している状況が判別できる。
【0084】
次いで、本発明により得られた導電性を有するチタン材料(記号e とg ) を用いて作製したセパレータを固体高分子型燃料電池に組み込んだ試験を実施した。
本発明のチタン材料を固体高分子型燃料電池にセパレータとして装填した場合の性能評価のために、最終焼鈍したチタン系材料からコルゲート形状のセパレータ板を作製した。セパレータ板は、図1に示す形状で両面(アノード極側、カソード極側)に機械加工により溝幅2mm、溝深さ1mmのガス流路を切削、放電加工し、固体高分子型単セル電池内部にセパレータとして装填した状態で評価した。
【0085】
特性評価は、電池内に燃料ガスを流してから1時間経過後に単セル電池の電圧を測定し、初期の電圧と比較することにより電圧の低下率を調べて行った。なお、低下率は、1−(1時間経過後の電圧V/初期電圧V)により求めた。結果は表3にまとめて示す。
【0086】
評価に用いた固体高分子型燃料単セル電池は、米国Electrochem 社製市販電池セルFC50を改造したものであった。アノード極側燃料用ガスとしては99.999%水素ガスを用い、カソード極側ガスとしては空気を用いた。電池本体は全体を78℃に保温すると共に、電池内部の温度制御を、セル出側の排ガス水分濃度測定をもとに入り側で調整した。電池内部の圧力は、1気圧である。水素ガス、空気の電池への導入ガス圧は0.04〜0.20bar で調整した。セル性能評価は、単セル電圧で500 ±20mA/cm2−0.62±0.04V が確認できた状態より継時的に測定を行った。
【0087】
単セル性能測定用システムとしては、米国スクリブナ一社製890 シリーズを基本とした燃料電池計側システムを改造して用いた。電池運転状態により、特性に変化があると予想されるが、同一条件での比較評価である。その結果、表3から分かるように、低下率:1−(1時間経過後の電圧V/初期電圧V)はいずれも0.05以下(n数3) となり、燃料電池として十分作用することが示された。
【0088】
本発明より得られた表面不働態皮膜に導電性を有するチタン系材料は、固体高分子型燃料電池セルに装填した状態においても、接触電気抵抗を小さく維持することができた。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、耐食性に優れ、接触電気抵抗を長時間にわたり低く維持することができるチタン系材料の製造ができ、本発明の方法により製造されたチタン系材料は、特に固体高分子型燃料電池の製造に貢献するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子型燃料電池の構造を示す分解図である。
【図2】セパレータと電極との接触状況の説明図である。
【図3】実施例の結果を表面粗さで示すグラフである。
【図4】実施例で得られたチタン系材料の表面SEM写真である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a titanium-based material, that is, pure titanium and a titanium alloy, and a manufacturing method thereof.
[0002]
More specifically, the present invention relates to a titanium-based material having a low contact electric resistance and excellent corrosion resistance, which is particularly suitable as a separator for a polymer electrolyte fuel cell, and a method for producing the same.
[0003]
[Prior art]
There are several types of fuel cells that have recently attracted a lot of attention. Among them, polymer electrolyte fuel cells are one of those that are expected to be put into practical use as power sources for low-pollution electric vehicles. is there.
[0004]
FIG. 1 is an exploded view showing an example of the structure of a solid polymer fuel cell. This type of combustion cell has a fuel electrode membrane (anode) 12 on one surface of a solid
[0005]
The separator is also called a bipolar plate, and is made of graphite, a carbon plate, a stainless steel plate, or the like. Although development efforts are ongoing for each material, these are broadly divided into non-metallic materials and metallic materials.
[0006]
By the way, regarding the metal-based materials, considering the problem of corrosion resistance, stainless steel, aluminum, nickel-iron alloy, etc. are considered and researches are being conducted. (Patent Document 1, Paragraph 0006)
However, in the case of a metallic material, for example, when such a
That is, even if a metal material such as stainless steel having a passive film on the surface is used as it is for the separator, not only the contact resistance is high, but the corrosion resistance is not sufficient and the metal elution occurs, and the supported catalyst is caused by the eluted metal ions. Performance deteriorates. In addition, there is a problem that the contact resistance of the separator increases due to corrosion products such as Cr-OH and Fe-OH generated after elution. It is the present situation that it is good to apply precious metal plating.
[0007]
In addition, the contact resistance of the surface of the passive film formed on the surface of the stainless steel plate is very large.2That's it.
By the way, solid polymer fuel cells are required to be light in weight because they are mounted on automobiles, and attention has been paid to titanium-based materials that are lighter than stainless steel plates. (Patent Document 3)
In the case of titanium-based materials, there is a problem due to the presence of a passive film as in the case of stainless steel. However, in the case of titanium-based materials, plating is not easy. I can't take it.
[0008]
Here, in this specification, pure titanium and titanium alloys are collectively referred to as titanium-based materials.
[0009]
[Patent Document 1]
JP-A-10-228914, paragraph 0006, claim 4
[Patent Document 2]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-6713
[Patent Document 3]
JP 2001-357862 A
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
In a polymer electrolyte battery, it is effective to reduce a large amount of Joule heat generated at the contact portion by reducing the surface resistance and contact resistance of the battery separator. In addition, when a separator is actually incorporated into a fuel cell, several tens or hundreds of separators are used in layers, so that the weight of the fuel cell itself increases considerably, so that the fuel cell for a moving body such as an automobile is used. There is a strong demand for weight reduction.
[0011]
Here, it is well known that pure titanium and titanium alloys are lighter and have better corrosion resistance than other metal materials, but the passive film on the surface has a high electrical resistance like stainless steel. As it is, it cannot be used as a fuel cell energizing member that requires a small contact electric resistance. The thicker the passive film, the better the corrosion resistance, but the higher the electrical resistance. Since the corrosion resistance in the polymer electrolyte fuel cell is sufficient, pure titanium or a titanium alloy can be used for the current-carrying component in the fuel cell if the contact electric resistance can be reduced by some means.
[0012]
In the titanium-based material disclosed in Patent Document 3, conductive hard particles are embedded in the material surface, exposed from the material surface, and used as a conduction path.
The conductive hard particles in this case are metal carbides, which are embedded in the titanium-based material surface by shot processing.
[0013]
That is, Patent Document 3 discloses a hard particle having conductivity on the surface in titanium and a titanium alloy (Mtwenty threeC6, MFourC, MC) are embedded to obtain a bipolar plate material. In this case, TiB is not contained in the conductive hard particles. In this method, hard particles are present only on the surface.
[0014]
Here, the problem to be solved by the present invention is to provide an inexpensive contact energizing member made of a titanium-based material and a manufacturing method thereof.
It is another object of the present invention to provide a contact energization member, in particular a separator for a polymer electrolyte fuel cell, which has a smaller contact electric resistance than that of the above-mentioned conventional titanium-based material and is excellent in corrosion resistance, and a method for producing the same.
[0015]
[Means for Solving the Problems]
Here, the present inventors obtained the following knowledge.
a) The electric resistance of the passive film formed on the surface of the titanium-based material can be stably maintained at a value low enough to be used sufficiently as a separator for a polymer electrolyte fuel cell to sufficiently exhibit the cell performance. Have difficulty. Although it is possible to thin the passive film by acid dipping treatment or the like, the passive film grows again thick due to the excellent passivation ability of the titanium-based material, and the contact electric resistance increases with time. Furthermore, it is difficult to stably keep the passive film thin in a fuel cell whose electric potential fluctuates electrically.
[0016]
b) The contact electrical resistance depends on the contact area per unit area. That is, contact that appears to be in contact with the entire surface is also point contact, and depends on the number of contact points per unit area, the total area of the contact points, and the electrical resistance of each contact point.
[0017]
c) When the conductive deposit is dispersed and exposed on the surface of the titanium-based material so as to penetrate the passive film, the contact electric resistance can be greatly reduced. Since the conductive precipitate functions as an “electric path”, the contact electrical resistance can be stably kept low.
[0018]
d) As conductive precipitates, TiC deposits, TiB deposits, TiB2Precipitates are conceivable, but TiB-based precipitates are particularly preferable from the viewpoints of mass productivity and performance, but it was found that the effect of improving corrosion resistance in particular was observed.
[0019]
e) Titanium-based materials with TiB-based precipitates exposed on the surface have excellent corrosion resistance, and there is no reduction in corrosion resistance due to dispersion of TiB-based precipitates.
Eventually, it was found that the titanium-based material in which the TiB-based precipitates were exposed from the passive film had good performance as a separator in the polymer electrolyte fuel cell, leading to the present invention.
[0020]
Thus, according to the present invention, by exposing a portion of the TiB-based precipitate having conductivity that precipitates and disperses in pure titanium or a titanium alloy and has good corrosion resistance through the passive film on the surface. , Reduce the surface contact electrical resistance. The corrosion resistance in the fuel cell as a material is stable and good due to the passive film formed on the surface of pure titanium and titanium alloy.
[0021]
According to the present invention, it is possible to ensure the contact resistance performance and electrical conduction performance, which are insufficient with conventional titanium and titanium alloys, while maintaining the corrosion resistance as pure titanium or titanium alloys.
[0022]
The titanium-based material according to the present invention is approximately 40% lighter than stainless steel as a metal material, and is optimal as a fuel cell separator used in a moving body such as an automobile that is required to be lighter.
[0023]
As a fuel cell separator, graphite or carbon is being studied earnestly. However, since it is superior in mass productivity and can be reduced in weight by reducing the thickness, the fuel cell separator according to the present invention The possibility of having it is great, and its practicality is high.
[0024]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The reason why the Ti-based material is defined as described above in the present invention and the action of each element will be described in detail. Unless otherwise specified in this specification, “%” indicating an alloy composition is “mass%”.
[0025]
TiB boride particles
In the titanium-based material of the present invention, TiB-based boride particles that are conductive metal precipitates, that is, TiB-based precipitates are dispersed and precipitated.
[0026]
The composition of TiB-based precipitates includes TiB-based precipitates having a composition in which a part of Ti in TiB precipitates is replaced with other alloy-containing metal elements. Therefore, it is not expressed as TiB precipitate but is expressed as TiB-based precipitate. In fact, in the present invention, TiB-based precipitates in which a part of Ti is replaced by Al are confirmed.
[0027]
In the titanium-based material according to the present invention, a method for specifying and depositing a TiB-based precipitate includes a dissolution method.
Next, in the present invention, a method for precipitating and dispersing TiB-based precipitates in the base material will be described in more detail.
[0028]
Dissolution method :
The melting method is a method in which a Ti source is precipitated by adding a B source as an additive alloy element in pure titanium or a molten titanium alloy. As an example of the most desirable B source, aluminum boride AlB12There is. Metal boron is also suitable.
[0029]
In order to stabilize the composition, it is desirable that the B source added to the molten metal is once uniformly dissolved in the molten metal and precipitated as a TiB-based precipitate in the solidification process.
Although TiB can be used on the desk as the B source, it is difficult to obtain it as a melting raw material industrially.
[0030]
The Ti-based boride composition, precipitation temperature, and precipitation behavior that precipitate in the solidification process can be controlled by adjusting the amount of B in the molten metal. In a titanium-based material containing B that is equal to or higher than the eutectic composition, TiB-based precipitates are precipitated in the liquid phase as initial precipitation, and the precipitation is completed near the eutectic temperature. On the other hand, in a titanium-based material containing B having an eutectic composition or less, the parent phase is precipitated as a first precipitation, and the TiB-based precipitate is precipitated at a stretch around the eutectic temperature. Under the conditions where TiB preferentially precipitates in the liquid phase, the density of TiB is slightly larger than that of the molten metal, so there is concern that it will settle in the molten metal and segregate macroscopically. There is no noticeable sedimentation or macro segregation due to convection in the melt along with the concentration flow.
[0031]
TiB-based inclusions precipitated near the eutectic temperature are smaller and finely dispersed than TiB-based precipitates precipitated in the molten metal. B has a very low solid solubility limit with respect to Ti of 0.1% by mass or less, and most of B added to the molten metal precipitates as a boride in the solidification process and in the temperature range immediately below the solidus.
[0032]
Further, B does not have an effect of stabilizing not only the α phase but also the β phase, and by adding B, pure titanium or a titanium alloy in which TiB-based precipitates are finally dispersed and precipitated can be obtained in any case.
[0033]
TiB-based precipitates precipitate at high temperatures around 1500 ° C when pure titanium or titanium alloys solidify from the melt. The precipitate has a needle-like shape and becomes finer as the cooling rate is higher. However, as it is, a sufficient dispersion state as an object of the present invention cannot be obtained. It is preferable to crush and finely disperse in hot forging, hot rolling and cold rolling processes. This is because TiB-based precipitates are hard and promote mold wear. The degree of refinement is such that the major axis of the precipitate is 20 μm or less, desirably 10 μm or less. In order to ensure good press workability and punchability, it is desirable that the particles be finer and uniformly dispersed.
[0034]
During solidification, it precipitates by a eutectic reaction at a high temperature, so that it can be dispersed and deposited relatively uniformly. It is thermodynamically stable as a metal precipitate, has excellent conductivity, and has excellent corrosion resistance in the fuel cell as well as the base material. Moreover, since it has high hardness and is difficult to deform during rolling, it has the property of being crushed and finely dispersed.
[0035]
When B amount is increased, TiB2TiB etc.2Although borides are also precipitated, TiB borides are used in the present invention. Although it varies slightly depending on the additive elements present together, the form of precipitation can be controlled by the amount of B added.
[0036]
TiB as metal-based precipitate2The reason for using TiB-based precipitates instead of Ti-based precipitates is that TiB2This is because the melting point of the system precipitate is high and the productivity is remarkably inferior.
Chemical composition of titanium-based materials (pure titanium and titanium alloys):
(a) Pure titanium:
Basically, it does not contain alloy elements, but it is possible to adjust the strength level with a small amount of oxygen or iron. As an inevitable impurity element, it contains, by mass%, oxygen 0.5% or less, carbon 0.2% or less, iron 0.5% or less, hydrogen 0.1% or less, nitrogen 0.1% or less, and Al 0.3% or less, excluding other inevitable impurities. It is substantially composed of titanium.
[0037]
Pure titanium in which TiB-based particles are precipitated by adding metallic boron to this is simply referred to as pure titanium in the present invention.
α-type titanium has the characteristics that it is soft and rich in cold workability among titanium. Inevitable impurity elements in mass%, oxygen 0.5% or less, carbon 0.2% or less, iron 0.5% or less, hydrogen 0.1% or less, nitrogen 0.1% or less, and Al 0.3% or less exceeded these limits. When impurities are included, the workability of pure titanium is lowered due to solid solution strengthening and the generation of compounds, which makes it inappropriate as a material for a polymer electrolyte fuel cell separator.
[0038]
Since Al deteriorates the corrosion resistance and increases the contact resistance after corrosion, it is desirable that Al be as small as possible.
(b) Titanium alloy:
The titanium alloy is positively added with alloying elements mainly to improve the strength so as not to impair the basic characteristics of pure titanium, that is, lightness and corrosion resistance as much as possible. The titanium alloy element includes an element that stabilizes the hexagonal structure α-phase in the crystal structure and an element that stabilizes the β phase that has the cubic structure.
[0039]
Elements that stabilize the β phase include V, Mo, Cr, Fe, Nb, Ni, W, and Cu. Since the ability to stabilize the β phase differs depending on the type of element, multiple alloy elements are added. In order to express the β-phase stabilization ability in this case, there is an index called V equivalent as a numerical value defined by the V amount. This V equivalent is represented by the following formula.
[0040]
V equivalent = V + (15/10) Mo + (15/36) Nb + (15/25) W + (15 / 6.3) Cr + (15 / 4.0) Fe + (15/9) Ni + (15/13) Cu
As the V equivalent increases, the strength increases due to solid solution strengthening of the alloy element, and the strength increases due to rapid cooling from the high temperature β phase region and subsequent aging treatment in the α + β phase region. At this time, if the V equivalent exceeds 30% by mass, (1) the specific gravity increases and the lightness of titanium is impaired. (2) Deformation resistance increases due to solid solution strengthening of β phase, and workability deteriorates. (3) To cause inconveniences such as a decrease in strength due to aging treatment, it is limited to 30% by mass or less.
[0041]
On the other hand, Al is a representative element that stabilizes the α phase, and Sn and Zr are elements that have a stabilizing effect on the weak α phase, although they are neutral elements. Oxygen is also a strong α-phase stabilizing element. Similar to the above V equivalent, there is Al equivalent as an index of the ability to stabilize the α phase by the amount of Al, which is expressed by the following formula.
[0042]
Al equivalent = Al + (1/3) Sn + (1/6) Zr + 10 x 0 (oxygen)
When the Al equivalent increases, the strength increases due to solid solution strengthening, but on the other hand, the cold workability decreases. If it exceeds 8% by mass, α2Phase (TiThreeAl) is generated and is liable to cause embrittlement.
[0043]
(c) B
In the present invention, a conductive metal TiB-based precipitate that is finely dispersed in pure titanium or a titanium alloy and has excellent corrosion resistance is exposed through a passive film formed on the surface of pure titanium or a titanium alloy. By using a passage, the contact resistance of the surface of pure titanium or titanium alloy covered with a passive film is reduced.
[0044]
One of the most desirable additive alloy elements in the present invention is AlB.12There is. The present invention can be applied as a B source to all alloy systems of the titanium-based material according to the present invention. AlB12When is added to the molten metal, it completely dissolves in the molten Ti relatively easily. Metal boron is also applicable as a B addition source. AlB12As well as all alloy systems of the present invention.
[0045]
B added to the molten metal is uniformly dissolved in the molten metal and then precipitated in the aggregation process. Depending on the amount of B, TiB may preferentially precipitate in the liquid phase, or titanium or a titanium alloy may precipitate as the primary precipitation. When titanium or a titanium alloy is precipitated as a proeutectoid, TiB-based inclusions are likely to be finely dispersed because TiB precipitates as a eutectic all at once in the high solid fraction region.
[0046]
B has a very low solid solubility limit with respect to Ti of 0.1% by mass or less, and most of the added B precipitates as a boride. In addition, B does not have an effect of stabilizing not only the α phase but also the β phase, and by adding B, in any case, a material in which TiB particles are finally dispersed and produced can be obtained.
[0047]
The deposited TiB-based precipitate is hard and has almost no deformability, so it is crushed in the hot forging, hot rolling and cold rolling processes. By crushing, the TiB-based precipitates are finely dispersed.
[0048]
When a large amount of B is contained in titanium and a titanium alloy, the amount of TiB-based precipitates dispersed increases, ductility decreases, and manufacturability also decreases. In order to ensure moldability as a separator for a polymer electrolyte fuel cell, it is not preferable that the amount of boride produced in the titanium material is excessive. Further, in the manufacturing process, it is possible to “break” and finely disperse the boride, which is a cause of lowering deformability, by hot working. It is possible to reduce toughness degradation by fine crushing. Cold working is also effective for finely dispersing the boride, which is the cause of a decrease in deformability. However, the method by cold working needs to be careful because micro cracks are generated and may become the starting point of destruction. By finely crushing in this way, it is possible to reduce the decrease in formability and toughness.
[0049]
Although the boride precipitation temperature depends on the content, it is in the vicinity of the solidification temperature of titanium and titanium alloy, and once it precipitates, it exhibits a behavior that hardly re-dissolves. As the B content increases and the boride precipitation becomes more prominent, the problem of cracking during manufacturing and processing increases, and mass productivity deteriorates. However, when the amount of B is up to 5%, it is possible to manufacture on an industrial scale although it involves considerable difficulty. On the other hand, when it contains B exceeding 5%, manufacture by a normal melt | dissolution method will become difficult. In addition, the moldability at room temperature for a polymer electrolyte fuel cell separator cannot be secured. Therefore, when B is contained, the content is 5% by mass or less. Although the lower limit of B is not particularly defined, the necessary amount of TiB-based particles can be secured if it is usually 0.5% or more.
[0050]
TiB-based borides having little work deformability are rolled while being dispersed in such a manner as to “crush in the rolling direction”. The boride dispersion state can be controlled by devising forging conditions and hot rolling conditions. In addition, as the boride is finely dispersed, the moldability is improved.
[0051]
When the B content is about several tens of ppm, the boride tends to precipitate at the grain boundaries. In reducing contact electrical resistance, no significant difference is observed regardless of whether boride precipitates at grain boundaries or within grains, but it is preferable to disperse uniformly from the viewpoint of workability at room temperature and avoidance of cracking problems. Needless to say.
[0052]
(d) Volume ratio of TiB-based precipitates
The volume fraction of TiB-based precipitates is determined by the amount of B added to the alloy. When the volume ratio exceeds 30 vol%, hot and cold conditions are combined, workability is remarkably lowered, and production becomes practically difficult. On the other hand, when the volume ratio is less than 3 vol%, the contact resistance cannot be kept low. Therefore, the volume ratio of the TiB-based precipitate is preferably 3 vol% to 30 vol%. In addition, the TiB based precipitate is 10% by volume at 2% B in the base material.
[0053]
(e) Dimensions of TiB particles
The size of TiB particles has no particular effect on the electrical conductivity, but it does affect the cold workability of titanium materials. TiB-based precipitate particles are produced in a rod shape in the titanium material, but if the long diameter at this time is too long, the particles are likely to crack due to external force, and there is a high possibility of causing crack generation. Desirably, it is 20 μm or less.
[0054]
(f) Contact resistance
Further, in the titanium-based material according to the present invention, TiB-based particles that are precipitated and dispersed in pure titanium or a titanium alloy are exposed on the surface. By projecting to the outermost surface without being covered with a passive film formed on the surface of the titanium-based material, the metal-based precipitate functions as an “electrical path” and the solid TiB-based precipitate functions as a solid. A low contact resistance function as a metal material for a polymer fuel cell separator can be obtained. In the present invention, the contact resistance is measured by the same measurement method as in Examples described later, and the applied load is 10 kg / cm.2The contact resistance of pure Ti after corrosion is 100 mΩ · cm2Is usually 20mΩ · cm2Below, preferably 7-15mΩ · cm2The range.
[0055]
As is well known, the contact resistance depends on the contact area when both of the contacts are determined. In the finely dispersed TiB-based precipitates, the size and the number of points greatly affect the contact resistance. Apparently, it is possible to improve the performance to some extent by increasing the pressure, but it is judged that the contact area and the number of points are only increased. From the viewpoint of reducing contact resistance, it is desirable to make TiB-based precipitates fine by crushing and uniformly dispersing a large number.
[0056]
As a method of finely dispersing TiB-based precipitates, B is dissolved in a boron, AlB,12It is most desirable to add them as alloy elements. It is most effective in terms of mass productivity, industrial means, and cost.
[0057]
Although it is possible to leave TiB fine powder on the material surface mechanically by machining such as projection, polishing or grinding, it is difficult to ensure uniformity on the surface and ensure stable performance. Manufacture is also possible by combining a surface treatment method called surface modification such as vapor deposition and ion implantation with a heat treatment for precipitation treatment, but there are difficulties in terms of cost and mass productivity.
[0058]
Each of these methods may become practical as a mass-produced method due to future innovation of industrial production means. In the present invention, any industrial technique may be used as long as the desired TiB-based metal precipitate is uniformly dispersed and precipitated so as to break through the surface passive film.
[0059]
In order to expose the conductive metal inclusions precipitated in titanium and titanium alloy to the outer surface of the passive film formed on the surface of the titanium material, including combinations thereof, (1) pickling the titanium material Or (2) Rolling with a roll having micro unevenness (known as “dull roll”) with “shot processing” or “etching” on the roll surface, or (3) directly shot processing a plate of titanium material, Furthermore, (4) it is possible by using vapor deposition. In particular, pickling treatment is an industrially inexpensive method that makes the surface of a large area evenly macroscopically and slightly dissolves the surface while protruding metal inclusions with excellent corrosion resistance. It is an extremely effective mass-produced industrial means. The pickling solution is not limited as long as the mother phase solution is selectively corroded. As an example, 55 ° C, 10% HNOThree-3% HF, etc.
[0060]
In the preferred embodiment of the present invention, the TiB-based precipitate exposed on the surface is preferably derived from the precipitate deposited from the base material.
However, the surface contact resistance is not stable and the surface contact resistance is high if the passive film existing on the surface of the base material is not exposed to be exposed and simply dispersed and deposited in pure titanium or a titanium alloy. .
[0061]
Next, a representative method for exposing the TiB-based precipitate particles on the surface of the titanium-based material in which the TiB-based precipitate particles are dispersed as described above will be described.
Pickling method:
The pickling may be performed by immersing in an acidic solution capable of dissolving the matrix phase of the titanium-based material or by electrolyzing in the acidic solution. Desirably, the acidic solution is a solution that selectively corrodes only the mother phase while leaving the TiB-based precipitates that are uniform and conductive inclusions in the mother phase.
[0062]
Examples of the acidic solution include a nitric hydrofluoric acid aqueous solution, a sulfuric acid aqueous solution, and a hydrochloric acid aqueous solution, which are pickling solutions most commonly used in mass production lines of titanium materials. If necessary, it is possible to add organic or inorganic additives that reduce deterioration of the acidic solution or smooth the corroded surface.
[0063]
The concentration of the acidic aqueous solution necessary for pickling varies depending on the type of pure titanium and titanium alloy and the processing temperature. The pickling treatment temperature may be in the temperature range from room temperature to the boiling point or lower, and the concentration and temperature should be determined while observing the corrosion status. Average corrosion weight loss in acidic aqueous solution is 5-60g / m2The surface roughness is preferably adjusted so that the center line average roughness Ra is 0.06 to 5 μm.
[0064]
A suitable acidic aqueous solution has a hydrofluoric acid concentration of 2 to 20% by mass and a nitric acid concentration of 5 to 20% by mass in the nitric hydrofluoric acid aqueous solution, and the temperature of the aqueous solution is 30 to 90 ° C. When both hydrofluoric acid and nitric acid are less than the lower limit of the above concentration, the pickling ability is inferior, and when the upper limit is exceeded, the surface roughness of the titanium material is deteriorated and the contact electric resistance is increased. When a nitric hydrofluoric acid aqueous solution is used, it is possible to simultaneously perform the exposure treatment of the conductive metal inclusions and the passive state strengthening treatment of the matrix surface.
[0065]
The pickling solution may be a mixed solution of a nitric hydrofluoric acid solution and another acid, and a commercially available inhibitor that suppresses the corrosion rate may be added as necessary.
In the pickling, it is efficient to immerse the titanium-based material in an acidic aqueous solution as described above, and it is efficient to stir and flow the acidic solution. Moreover, the method of spraying, showering, or spraying an acidic solution on the surface of a titanium-type material by a nozzle may be used.
[0066]
Mechanical method :
The mechanical method is a method in which TiB-based boride particles are mechanically shot on a passive film, or “removed and retained” when being polished or ground. In general, it is difficult to obtain stable performance with this method. In the present invention, the TiB-based precipitates are dispersed throughout the base material, and are further mechanically “sunk into the passivated film to remain”.
[0067]
Surface modification method :
The surface modification method is a method using a technique such as vapor deposition, but the manufacturing cost is high. This method is also an auxiliary method similar to the mechanical method described above.
[0068]
(g) Surface roughness
Since the surface roughness affects the contact electrical resistance, when the center line average roughness Ra is less than 0.06 μm, the surface is too smooth, and even if the conductive precipitate particles are present near the material surface, the improvement effect is small. If it is too smooth, there will be fewer contact points. On the other hand, when the thickness exceeds 5 μm, the number of contact points per unit area is remarkably reduced and the contact electrical resistance tends to be lowered. Therefore, Ra is desirably 0.06 to 5 μm, and more preferably 0.06 to 2.5 μm. The surface roughness “centerline average roughness Ra” is a value representing the degree of two-dimensional surface roughness defined in JIS B O601-19812.
Neutralization treatment
In the production method of the present invention, it is important to carry out a neutralization treatment after the pickling treatment. Even on the surface after washing with sufficient water, acid components remain in the minute irregularities on the surface, in the gaps between the metal inclusions and the matrix and on the grain boundaries. In many cases. The corrosion of the surface proceeds due to the concentration and ejection of the acid component, and there arises a problem that the contact resistance of the surface increases with time. By immersing in an alkaline aqueous solution having a pH of 7 or higher, or by performing neutralization treatment by spraying an alkaline aqueous solution having a pH of 7 or higher on the surface, characteristic deterioration can be remarkably improved. Here, spraying includes spraying and showering an alkaline aqueous solution from a nozzle.
[0069]
As alkaline aqueous solution, (1) it is water-soluble, (2) it is excellent in water washability after treatment, (3) it is easy to treat waste liquid industrially, (4) it is easy to obtain and is inexpensive. The thing which satisfies that is good. A preferred example is an aqueous sodium hydroxide solution having a concentration of 3 to 10% by mass.
[0070]
【Example】
Pure titanium and titanium alloy materials having 20 kinds of chemical compositions shown in Table 1 were produced by the following method.
[0071]
First, using a non-consumable electrode arc melting furnace, a 200g button ingot of 40 x 80 x 14mm, or using a consumable electrode arc melting (VAR melting furnace), a 15kg ingot (diameter 140 x 150mm) Got. As a melting raw material, commercially available sponge titanium and a melting raw material of an alloy element were used. For the addition of B, a commercially available Al-B mother alloy or metal B was used. In the table, a is a pure titanium material, and the other is a titanium alloy material.
[0072]
A cold-rolled sheet was produced from each button ingot (ingot) by the following process.
Ingot-> hot rolling-> annealing-> cooling-> descaling with shot blasting-> pickling-> cold rolling (-> intermediate annealing-> cold rolling)-> annealing-> pickling
However, the VAR ingot was heated at 1200 ° C. for 2 hours and then forged by a press machine to form a billet with a thickness of 50 mm.
[0073]
Hot rolling was performed by heating a button ingot or 50 mm thick billet to 1200 ° C, and hot rolling to about 3.4 mm thickness. Forging and rolling were performed while reheating was repeated in a temperature range of approximately 1000 ° C. or more and 1200 ° C. or less. In addition, annealing after hot rolling was performed by cooling by holding at 700 ° C. for 30 minutes in vacuum. After annealing, descaling was performed by shot blasting, followed by pickling with a nitric hydrofluoric acid solution. All cold rolling started from 3 mm and finished to a thickness of 0.3 mm.
[0074]
As needed, pickling was performed in a 7% by mass nitric acid, 3% by mass hydrofluoric acid aqueous solution and 60 ° C simulating soft annealing and normal mass production line conditions at 700 ° C during cold rolling.
The cold-rolled sheet was subjected to final annealing under the same conditions as the hot-rolled sheet and used as a test material.
[0075]
In this example, TiB-based particles were dispersed and exposed on the surface of a pure titanium plate or a titanium alloy plate by using the test material as described below.
Projection angle: 80 degrees.
[0076]
The pickling solutions used were the following three types.
(1) Nitric acid: 10%, hydrofluoric acid: 2%, water: remainder
(2) Nitric acid: 5%, hydrofluoric acid: 1%, water: remainder
(3) Nitric acid: 5%, hydrofluoric acid: 5%, water: remainder
The temperature of the pickling solution was changed between room temperature and boiling, and the temperature was 60 ° C. In order to disperse and expose the TiB-based particles on the surface of the cold-rolled sheet, pickling was performed under the above conditions. The surface roughness was changed by changing the pickling time.
[0077]
After pickling, washing with water and drying, immersion in 6% by weight sodium hydroxide solution at 25 ° C for 3 minutes, ultrasonic cleaning, and further ultrasonic cleaning in distilled water for 15 minutes. It was. Some of the comparative examples were not neutralized.
[0078]
After drying with a cold air dryer, the surface roughness specified in JIS B O60-1982 (center average roughness Ra and maximum height Rmax), contact electrical resistance immediately after neutralization and left in the atmosphere for 500 hours The subsequent contact electrical resistance was measured.
[0079]
Contact electrical resistance is measured using a 0.3 mm thick pickled cold-rolled steel sheet and a 0.6 mm thick commercially available glassy carbon sheet (made by Showa Denko, trade name “SG3”), titanium for evaluation (alloy) The test piece contact area is 1cm2And measured by a four-terminal method. The surface of the test specimen for evaluation was used for evaluation after washing the surface immediately before the evaluation.
[0080]
When pickling is not performed, the surface is a wet 600th emery polished surface. Additional load is 10kg / cm2It was.
In Table 2, No. 11 has high contact resistance despite the formation of TiB-based particles that are conductive metal inclusions. This is because the centerline average is 0.04μm, which is extremely smooth, so that conductive inclusions do not protrude from the surface. On the other hand, No.8 has a large center point average roughness of 6.9μm and the surface is rough. This is probably because the ratio of the conductive inclusions present at the contact points was low, and the conductive inclusions did not function sufficiently as “electric paths”.
[0081]
The surface roughness of the titanium material is preferably 0.06 to 5 μm in terms of the center line average roughness Ra. It is apparent that the shot processing is one of extremely effective industrial means that satisfies the adjustment of the surface roughness to 0.05 to 5 μm as the center line average roughness Ra.
[0082]
Further, as is clear from the comparative example, when the neutralization treatment is not performed, the contact electric resistance after 500 hours has increased, and the effect of the neutralization treatment is remarkable.
FIG. 3 shows the surface roughness after the wet alloy No. 600 emery paper polished alloy symbol f (Table 1) was pickled in 5% nitric acid-1% hydrofluoric acid for 2 minutes. Ra = 0.88 μm. It measured using the commercially available roughness meter.
[0083]
FIG. 4 shows a surface SEM photograph of the specimen (symbol f) in FIG. Dispersed phase TiB boride appears to be white bars. Above, you can see the situation where TiB particles protrude and disperse on the surface.
[0084]
Next, a test was conducted in which a separator produced using the conductive titanium material (symbols e and g) obtained according to the present invention was incorporated into a polymer electrolyte fuel cell.
In order to evaluate the performance when the titanium material of the present invention was loaded as a separator in a polymer electrolyte fuel cell, a corrugated separator plate was produced from the finally annealed titanium-based material. The separator plate has the shape shown in FIG. 1 and is machined on both sides (anode pole side and cathode pole side) to cut and discharge-process a gas flow path with a groove width of 2 mm and a groove depth of 1 mm. Evaluation was performed in the state of being loaded as a separator inside.
[0085]
Characteristic evaluation was performed by measuring the voltage drop rate by measuring the voltage of the single-cell battery after 1 hour had passed after flowing the fuel gas into the battery and comparing it with the initial voltage. The rate of decrease was determined by 1- (voltage V after 1 hour / initial voltage V). The results are summarized in Table 3.
[0086]
The polymer electrolyte fuel single cell battery used for the evaluation was a modification of a commercial battery cell FC50 manufactured by Electrochem, USA. 99.999% hydrogen gas was used as the anode-side fuel gas, and air was used as the cathode-side gas. The entire battery body was kept at 78 ° C., and temperature control inside the battery was adjusted on the basis of the exhaust gas moisture concentration measurement on the cell exit side. The pressure inside the battery is 1 atmosphere. The gas pressure for introducing hydrogen gas and air into the battery was adjusted to 0.04 to 0.20 bar. Cell performance evaluation is 500 ± 20mA / cm at single cell voltage2Measurements were made over time from the condition where −0.62 ± 0.04V was confirmed.
[0087]
As a single cell performance measurement system, a fuel cell meter side system based on the 890 series manufactured by Scribna, USA was used. Although it is expected that the characteristics will change depending on the battery operating state, this is a comparative evaluation under the same conditions. As a result, as can be seen from Table 3, the decrease rate: 1- (Voltage V after 1 hour / Initial voltage V) was 0.05 or less (n number 3), indicating that it works well as a fuel cell. It was.
[0088]
The titanium-based material having conductivity on the surface passive film obtained from the present invention was able to maintain a small contact electric resistance even when it was loaded in a polymer electrolyte fuel cell.
[0089]
[Table 1]
[0090]
[Table 2]
[0091]
[Table 3]
[0092]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to produce a titanium-based material that is excellent in corrosion resistance and can maintain a low contact electric resistance for a long time, and the titanium-based material produced by the method of the present invention is a solid polymer fuel It contributes greatly to the manufacture of batteries.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded view showing the structure of a solid polymer fuel cell.
FIG. 2 is an explanatory diagram of a contact state between a separator and an electrode.
FIG. 3 is a graph showing the results of Examples in terms of surface roughness.
FIG. 4 is a surface SEM photograph of a titanium-based material obtained in an example.
Claims (8)
V当量=V+(15/10)Mo+(15/36)Nb+(15/25)W+(15/6.3)Cr+(15/4.0)Fe+(15/9)Ni +(15/13)Cu
で30質量%以下となる量だけ含有し、
さらに/または
Al、Sn、Zr、酸素の1種または2種以上を次式で表されるAl当量
Al当量=Al+(1/3)Sn +(1/6)Zr +10×0(酸素)
で8質量%以下となる量だけ含有し、残部は実質的にチタンから成る、請求項1記載のチタン系材料。The base material is one or more of V, Mo, Nb, W, Cr, Fe, Ni, and Cu represented by the following formula: V equivalent V equivalent = V + (15/10) Mo + (15/36 ) Nb + (15/25) W + (15 / 6.3) Cr + (15 / 4.0) Fe + (15/9) Ni + (15/13) Cu
In an amount of 30% by mass or less,
And / or
Al equivalent of one or more of Al, Sn, Zr and oxygen represented by the following formula
Al equivalent = Al + (1/3) Sn + (1/6) Zr + 10 x 0 (oxygen)
The titanium-based material according to claim 1, wherein the titanium-based material is contained in an amount of 8% by mass or less, and the balance is substantially made of titanium.
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