JP4061891B2 - 1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体又はその塩 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬、殊にアルギニンバソプレシン受容体拮抗薬として有用な新規1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体又はその塩に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルギニンバソプレシン(AVP)は、視床下部−下垂体系にて生合成・分泌される9個のアミノ酸からなるペプチドの抗利尿ホルモンであり、腎臓の遠位尿細幹での水の再吸収を促進し、血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用を有すること、また脳内では神経伝達物質などとしても作用することが知られている。
AVPの受容体には、V1A、V1B及びV2の3種のサブタイプが知られており、AVPのV1及び/又はV2受容体に対する結合を競合的に阻害するAVP受容体拮抗薬は、血管平滑筋の収縮を抑制し、昇圧を抑制する薬剤等、あるいは腎集合管における水再吸収を制御する薬剤等、あるいはこれらの作用を併せ持つ薬剤等として期待されている(例えば、日本臨床:58巻 増刊 高血圧(下)、第292−296頁(2000)参照)。
【0003】
一方、医療の多様化、高齢化に伴い、薬物が単独で使用されることの方が稀となり、多くの場合は複数の薬物が同時にあるいは時間をずらして投与されている。これは、AVP受容体拮抗薬の分野においても同様である。薬物は、肝臓において薬物代謝酵素の作用を受けて不活性化され、代謝産物へと変換されるが、この薬物代謝酵素の中でも最も重要であるのが、チトクロームP450(CYP)である。CYPには多数の分子種が存在するが、同じ分子種のCYPにより代謝される複数の薬物がその代謝酵素上で競合すると、その薬物のCYPへの親和性により異なるものの、何らかの代謝阻害を受けることが考えられる。その結果、血中濃度上昇や血中半減期延長等の薬物相互作用が発現する。
このような薬物相互作用は、相加作用、相乗作用を意図して使用される場合を除き、好ましくないものであり、予期せぬ副作用を呈する場合がある。従って、CYPに対する親和性が低く、薬物相互作用の懸念の小さい医薬の創製が望まれている。
【0004】
従来、前記のAVP受容体拮抗薬としては、ペプチドタイプの化合物と非ペプチドタイプの化合物が合成されている(例えば、特開平2−32098号、国際公開第91/05549号、EP0382185号、国際公開第93/03013号、国際公開第95/03305号、国際公開第95/06035号、国際公開第97/15556号参照)。
このうち国際公開第95/03305号公報には、下記一般式を有する縮合ベンゾアゼピン誘導体又はその塩がAVP受容体拮抗薬として有用であることが記載されている。
【化2】
Figure 0004061891
(式中の記号は該公報参照)
即ち、該公報には、いくつかの縮合ベンゾアゼピン誘導体又はその塩が開示されているが、本発明化合物である、環Bが置換基を有していてもよく、少なくとも1つの窒素原子を有し、さらに酸素または硫黄原子を1つ有していてもよい、含窒素芳香族5員環で、R1が水素原子で、Aが−NHCO−(CR34n−で、nが0で、C環が置換基を有していてもよいベンゼン環である化合物については、何ら具体的開示はない。また、当該公報の化合物は、AVPのV1及び/又はV2受容体拮抗作用については記載があるものの、薬物代謝酵素CYPに対する阻害活性については言及されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、薬物代謝酵素CYP阻害に基づく副作用がなく、優れたアルギニンバソプレシン拮抗作用を有する薬剤の開発が切望されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、AVP受容体に対して拮抗作用を有する化合物について、更に鋭意研究したところ、本発明の新規な1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体がAVP受容体に対して優れた拮抗作用を有し、さらに薬物代謝酵素CYP3A4に対しても、より低い阻害活性を有することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
よって、本発明は、AVP阻害剤として有用な、下記一般式(I)で示される新規な1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体又はその製薬学的に許容される塩に関する。
【化3】
Figure 0004061891
(式中の記号は以下の意味を示す。
環D:フェニレン又はピリジンジイル。
X及びY:同一又は異なってCH又はN。
1、R2及びR3:同一又は異なって水素原子、水酸基、ハロゲン又は低級アルキル。
以下同様。)
【0008】
好ましくは、上記一般式(I)において、環Dが1,4−フェニレン又はピリジン−2,5−ジイル若しくはピリジン−3,6−ジイルである化合物又はその製薬学的に許容される塩に関する。より好ましくは、上記一般式(I)において、環Dが1,4−フェニレン又はピリジン−2,5−ジイル若しくはピリジン−3,6−ジイルであり、X及びYがCHであり、R1が水素原子である化合物又はその製薬学的に許容される塩に関する。さらに好ましくは、上記一般式(I)において、環Dが1,4−フェニレンであり、X及びYがCHであり、R1が水素原子であり、R2及びR3が共に水素原子である化合物又はその製薬学的に許容される塩に関する。
【0009】
特に好ましくは、
N-{4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
N-{3-フルオロ-4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
2'-フルオロ-N-{4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
N-{5-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]-2-ピリジル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
N-{6-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]-3-ピリジル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
N-{2-ヒドロキシ-4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
又はその製薬学的に許容される塩に関する。
【0010】
本発明の、AVP受容体に対する拮抗作用を有する1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体は、2位に窒素を有する6員環芳香環が、イミダゾベンゾアゼピン環の2位に置換した点に構造上の特徴を有し、この特徴により薬物代謝酵素CYP3A4に対する親和性の低減が達成される。さらに、本発明化合物は、AVP受容体に対する拮抗作用を有する点に薬理上の特徴を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明化合物についてさらに説明すると、次の通りである。
本明細書中、「低級アルキル」なる語は炭素数が1乃至6個の直鎖又は分岐状の炭素鎖(C1-6)を意味し、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、好ましくは、C1-3アルキルのメチル、エチル、イソプロピルであり、特に好ましくは、メチル、エチルである。
「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
上記置換基R1、R2、R3は、それぞれの環のいずれの位置に結合していてもよいが、R3はオルト位又はパラ位に結合していることが望ましい。
【0012】
一般式(I)で示される本発明の化合物には、置換基の種類によっては、不斉炭素原子を含む場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明はこれらの光学異性体の混合物や単離されたものをすべて包含する。
また、本発明の化合物には、ベンゾジアゼピン環に縮合したイミダゾールに基づく位置異性体が考えられる。本発明は、これらの位置異性体の混合物や単離されたものすべて包含する。
【0013】
また、本発明の化合物は、酸付加塩を形成する場合もあり、かかる塩が製薬学的に許容されうる塩である限りにおいて本発明に包含される。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸などの有機酸との酸付加塩等が挙げられる。さらに、本発明は本発明化合物及びその製薬学上許容される塩の各種の水和物や溶媒和物及び結晶多形を有する物質も包含する。なお、本発明化合物には、生体内において代謝されて前記一般式(I)を有する化合物又はその塩に変換される化合物、いわゆるプロドラッグもすべて包含される。本発明のプロドラッグを形成する基としては、Prog. Med. 5:2157-2161(1985)に記載されている基や、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻 分子設計163-198に記載されている基が挙げられる。
【0014】
(製造法)
本発明化合物及びその製薬学的に許容される塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。以下に代表的な製法を例示する。なお、官能基の種類によっては、当該官能基を原料ないし中間体の段階で適当な保護基、すなわち容易に当該官能基に転化可能な基に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。しかるのち、必要に応じて保護基を除去し、所望の化合物を得ることができる。このような官能基としては例えば水酸基やカルボキシル基などを挙げることができ、それらの保護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis (third edition)」に記載の保護基を挙げることができ、これらを反応条件に応じて適宜用いればよい。
また、その他の方法として、例えば、水酸基のベンジルエーテル保護体において、トリフルオロ酢酸などの強酸性溶液中、ペンタメチルベンゼンを作用させて脱保護する方法を挙げることができる。
【0015】
(第一製法)
【化4】
Figure 0004061891
本製法は、式(II)で示される保護されていてもよい置換芳香族カルボン酸又はその反応性誘導体と、式(III)で示される保護されていてもよいベンゾアゼピン誘導体又はその塩とを、常法によりアミド化し、必要により保護基を除去することにより、本発明化合物(I)を製造する方法である。
【0016】
化合物(II)の反応性誘導体としては、メチルエステル、エチルエステル、tert-ブチルエステルなどの通常のエステル;酸クロライド、酸ブロマイドの如き酸ハライド;酸アジド;N−ヒドロキシベンゾトリアゾール、p−ニトロフェノールやN−ヒドロキシスクシンイミド等との活性エステル;対称型酸無水物;アルキル炭酸、p−トルエンスルホン酸などとの混合酸無水物が挙げられる。
また、化合物(II)を遊離酸で反応させるとき、あるいは活性エステルを単離せずに反応させるときなどは、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、ジフェニルホスホリルアジド、ジエチルホスホリルシアニドや1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などの縮合剤を使用するのが好適である。
【0017】
反応は使用する反応性誘導体や縮合剤によっても異なるが、通常ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの反応に不活性な有機溶媒中、冷却下、冷却乃至室温下あるいは室温乃至加熱下に行われる。
【0018】
なお、反応に際して、化合物(II)を過剰に用いたり、N−メチルモルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、ピコリン、ルチジンなどの塩基の存在下に反応させるのが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。また、ピリジン塩酸塩、ピリジン p−トルエンスルホン酸塩、N,N−ジメチルアニリン塩酸塩などの弱塩基と強酸からなる塩を用いてもよい。この場合、ベンゾアゼピンに縮合したイミダゾール環と強酸が塩を形成し、遊離の弱塩基が触媒となる。ピリジンは溶媒とすることもできる。
特に、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の塩基、又はピリジン塩酸塩等の塩の存在下に反応させるのが好適である。
【0019】
(第二製法)
【化5】
Figure 0004061891
(式中、Y1とY2、Y3とY4の一方はオキソ基を(=O)、
Figure 0004061891
を意味する。)
本製法は、式(IV)で示される保護されていてもよいハロケトンと、式(V)で示される保護されていてもよいアミジン類又はその塩とを常法により環化させ、必要により保護基を除去することにより、目的化合物(I)を製造する方法である。
【0020】
本反応では、対応するアミジンが酸との間で塩を形成している場合がある。また、反応を促進するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどの無機塩基若しくは弱塩基と強酸との塩、又はピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン等の有機塩基の存在下に行うことがある。反応に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の反応に不活性な溶媒が好ましく、反応温度は、室温乃至溶媒の還流温度において行うのが好ましい。また、反応は、場合によっては加圧下に行われる。
【0021】
なお、この反応においてオキサゾール類が生成することがある。この場合、アンモニア気流中、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ホルムアミド類添加等の条件下に反応を行うとイミダゾール類を主生成物として与えることができる。
【0022】
この反応に用いられる原料化合物(IV)は、下記反応式で示されるように、保護されていてもよい芳香族カルボン酸(VI)又はその反応性誘導体と、保護されていてもよいベンゾアゼピン誘導体(VII)又はその塩とを、第1製法と同様にアミド化し、次いでこれにハロゲン化剤を作用させることにより製造できる(必要なら任意の段階で保護基を除去する)。なお、芳香族カルボン酸(VI)は、対応する保護されていてもよい2−フェニル安息香酸(IX)又はその反応性誘導体と対応する保護されていてもよいアミノ芳香族カルボン酸(X)又はその塩とを第1製法と同様にアミド化する事により製造できる。
【0023】
【化6】
Figure 0004061891
(式中、Y5とY6、Y7とY8の一方がオキソ基を(=O)、
Figure 0004061891
を意味する。)
前段のアミド化について反応性誘導体の種類、反応条件などは第1製法と同様である。
【0024】
ハロゲン化の行程で用いられるハロゲン化剤としては、飽和環状ケトンのハロゲン化に通常用いられるハロゲン化剤であればいずれでもよいが、臭化銅(II)、塩化銅(II)などのハロゲン化銅(II)等の金属試薬、ジオキサンジブロミド、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド、ピリジニウムヒドロブロミドペルブロミド、ピロリドンヒドロトリブロミドなどのピリジン、α−ピロリドン、4級アンモニウム、ジオキサン等の過臭化物等が好適に用いられるが、塩素、臭素などのハロゲン単体や塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素酸を用いることもできる。
金属試薬や、過臭化物を用いる反応は、通常、化合物(VIII)とこのハロゲン化剤とをジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、酢酸、酢酸エチルなどの反応に不活性な有機溶媒又は水又はこれらの混合溶媒中、必要により少量のハロゲン化水素などの触媒の存在下で、室温乃至加熱下に実施するのが有利である。
【0025】
また、ハロゲン化剤としてハロゲン単体を用い、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素若しくはエチレングリコール若しくは酢酸などの反応に不活性な溶媒中において、化合物(VIII)に作用させるか、又は、ハロゲン化剤としてハロゲン化水素を用い、その酸性溶液若しくは水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性溶液中において化合物(VIII)に作用させることにより得ることもできる。このときの反応温度は−30℃乃至使用する溶媒の還流温度で行うのが好ましい。
【0026】
このようにして製造された本発明化合物は、遊離のまま、又は常法による造塩処理を施し、その塩として単離・精製される。単離・精製は抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の通常の化学操作を適用して行われる。
【0027】
各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用して常法により単離できる。例えばラセミ混合物は、例えば酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法などの一般的なラセミ体分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオ混合物は、例えば分別結晶化又は各種クロマトグラフィーなどにより分離できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の化合物及びその塩はアルギニンバソプレシンV1A及びV2受容体に対して優れた拮抗作用を有する。
従って、本発明化合物は、これらの作用に基づくプロフィールの水利尿作用、尿素排泄促進作用、第VIII因子分泌抑制作用、血管拡張作用、心機能亢進作用、メサンギウム細胞収縮抑制作用、メサンギウム細胞増殖抑制作用、肝糖新生抑制作用、血小板凝集抑制作用、アルドステロン分泌抑制作用、エンドセリン産生抑制作用、中枢性血圧調節作用、レニン分泌調節作用、記憶調節作用、体温調節作用、プロスタグランジン産生調節作用等を有し、特徴的な水利尿剤、尿素排泄促進剤、血管拡張剤、降圧剤、抗心不全剤、抗腎不全剤、血液凝固抑制剤として有用であり、心不全、低ナトリウム血症、バソプレシン分泌異常症候群(SIADH)、腎疾患(ネフローゼ、腎炎、糖尿病性腎症、慢性もしくは急性腎不全)、脳浮腫、腹水、肝硬変等の予防及び/又は治療に有効である。
【0029】
また、本発明化合物及びその塩は薬物代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用がきわめて小さいため、CYP3A4を介して代謝される他の薬物への薬物相互作用の懸念が公知の1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体に比べて少なく、他剤との併用療法にも安全に使用できる点で優れている。CYP3A4により代謝される薬物としては、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、アトロバスタチン、ミダゾラム、ニフェジピン、アムロジピン、ニカルジピンなどが挙げられる(総合臨床, 48(6), 1427-1431, 1999)。
【0030】
本発明化合物の薬理作用は以下の試験方法により確認された。
(1)V1A受容体結合実験(V1A receptor binding assay)
ナカムラらの方法(Journal of Biological Chemistry, Vol 258, No. 15, pp.9283-9289, 1983)に準じてラット肝臓膜標本を調製した。ラット肝臓膜標本30μgを[3H]−Arg-バソプレシン(以下、単に[3H]−バソプレシンという)(0.5 nM, Specific activity=75 Ci/mmol)および試験化合物(10-10〜10-6 M)と共に、10 mM 塩化マグネシウム、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する50 mMトリス−塩酸緩衝液(pH=7.4)の総量250 μl中で60分間25℃でインキュベーションした。その後、セルハーベスターを用いて遊離型[3H]−バソプレシンと受容体結合型[3H]−バソプレシンを分離し、ユニフィルタープレートGF/Bガラスフィルター上に受容体結合型[3H]−バソプレシンを吸着させた。十分に乾燥させた後、マイクロプレートシンチレーションカクテルと混合し、受容体結合型[3H]−バソプレシン量をトップカウントを用いて測定し、阻害率を次式より算出した。
阻害率(%)=100−(C1−B1)/(C0−B1)×100
1:既知濃度の試験化合物と[3H]−バソプレシンとが共存して受容体膜標本と処理するとき、[3H]−バソプレシンが膜標本と結合する量
0: 試験化合物非存在下で、[3H]−バソプレシンと受容体膜標本とを処理するとき、[3H]−バソプレシンが膜標本と結合する量
1: 過剰量のバソプレシン(10-6M)と[3H]−バソプレシンとが共存して受容体膜標本と処理するとき、[3H]−バソプレシンが膜標本と結合する量
上記式より阻害率が50%となる試験化合物の濃度(IC50値)を算出し、これから試験化合物の受容体に対する親和性、即ち解離定数(Ki)を次式より算出した。
Ki=IC50/(1+[L]/Kd)
[L]:[3H]−バソプレシンの濃度
Kd:飽和結合実験より求めた[3H]−バソプレシンの受容体に対する解離定数
上記式にて算出されたKi値の対数をとって、その負の値をpKi値とした。
【0031】
(2)V2受容体結合実験(V2 receptor binding assay)
キャンベルらの方法(Journal of Biological Chemistry, Vol 247, No. 19, pp.6167-6175, 1972)に準じてラット腎臓髄質膜標本を調製した。ラット腎臓髄質膜標本200 μgを[3H]−バソプレシン(0.5 nM, Specific activity=75 Ci/mmol)および試験化合物(10-10〜10-6 M)と共に前述したV1A受容体結合実験と同様の方法にて処理して同様の測定を行い、pKi値を求めた。
【0032】
(3)Cytochrome P450(3A4)酵素阻害実験(Cytochrome P450 3A4 inhibition assay)
Crespiらの方法(Analytical Biochemistry, 248, 188-190, 1997)に従って実験を行った。96ウェルプレートを用いて、基質としてBFC(5×10-5 M)、試験化合物(9.1×10-8〜2×10-5 M)および酵素(10-8 M)を、1.3 mM NADP+、3.3 mM glucose-6-pharpahte、3.3 mM塩化マグネシウムおよび0.4 Units/ml glucose-6-phosphate dehydrogenaseを含む20 mMリン酸緩衝液(pH=7.4)の総量100 μl中で、30分間37℃でインキュベーションした。その後、アセトニトリル80%含有100 mMトリス緩衝液を加えて反応を停止させ、蛍光プレートリーダーで蛍光強度(励起波長;409 nm、蛍光波長;530 nm)を測定した。阻害率を次式より算出し、阻害率が50%となる試験化合物濃度(IC50)を求めた。
阻害率(%)=100−(C1−B1)/(C0−B1)×100
1:既知濃度の試験化合物と酵素および基質存在下での蛍光強度
0:試験化合物非存在下、酵素および基質存在下での蛍光強度
1:ブランクウェルの蛍光強度
【0033】
【表1】
Figure 0004061891
1) N-[4-(2-ベンジル-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル)フェニル]ビフェニル-2-カルボキサミド 塩酸塩(国際公開第95/03305号公報記載の実施例22の化合物、ただし塩酸塩)
2) N-[4-(2-シクロプロピル-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル)フェニル]ビフェニル-2-カルボキサミド 塩酸塩(国際公開第95/03305号公報記載の実施例23の化合物、ただし塩酸塩)
【0034】
表1に示すように、本発明化合物はV1A受容体及びV2受容体に対して優れた受容体結合活性を有し、かつ、薬物代謝酵素CYP3A4に対して低い阻害活性を有することが明らかとなった。
【0035】
本発明の医薬は、一般式(I)で示される本発明化合物の1種又は2種以上と、通常製剤化に用いられる、薬剤用単体、賦形剤、その他添加剤を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、静注、筋注等の注射剤、又は座剤、経鼻、経粘膜、経皮などによる非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0036】
本発明による経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、一つ又はそれ以上の活性物質が、少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤等を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等の糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性のフィルムで被覆してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0037】
非経口投与のための注射剤としては、無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤を含有する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水が含まれる。非水性の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート80等がある。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、例えばラクトースのような安定剤、例えばグルタミン酸やアスパラギン酸のような溶解補助剤等のような補助剤を含んでいてもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合又は照射によって無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
【0038】
具体的には、例えば、実施例6の化合物1.0mg、プロピレングリコール300mg、エタノール100mgを混合し、全量1mLになるように注射用水を加え、注射剤とすることができる。
【0039】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重あたり約0.0001〜50mg/kg、好ましくは約0.001〜10mg/kgが適当で、さらに好ましくは0.01〜1mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2乃至4回に分けて投与する。静脈投与される場合は、1日の投与量は体重あたり約0.0001〜1mg/kg、好ましくは約0.0001〜0.1mg/kgが適当で、1日1回乃至複数回に分けて投与する。投与量は症状、年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0040】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。なお、実施例において使用される原料化合物の製造法を参考例として説明する。
【0041】
実施例1
N-{4-[2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロイミダゾ [4,5-d][1] ベンゾアゼピン -6- カルボニル ] フェニル } ビフェニル -2- カルボキサミド 塩酸塩
N-[4-(5-オキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾアゼピン-1-カルボニル)フェニル]ビフェニル-2-カルボキサミド1.0 gをテトラヒドロフラン30 mlに溶解し、これにフェニルトリメチルアンモニウムトリブロミド0.902 gを加え、室温にて150分間攪拌した。反応液の不溶物を濾去し、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をクロロホルム30 mlに溶解し、これに2-アミジノピリジニウム塩酸塩水和物1.70 g及び炭酸カリウム2.1 gを加え9時間加熱還流した。反応液を冷却後に水洗し、クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を留去後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(70:1)で溶出した。その溶出部に対し、クロロホルム中、4M塩酸−酢酸エチル溶液0.9 mlを加え、溶媒留去後に得られる残渣をアセトニトリルから再結晶を行い、0.830 gの表題化合物を得た。
【0042】
以下、上記の実施例1の方法と同様にして表2に示す実施例2〜4の化合物を、それぞれ対応する原料を使用して製造した。
なお、表中以下に示す略号を用いる(以下同様)。
Ex:実施例番号、Ref:参考例番号、salt:塩(無記載:フリー体;HCl:塩酸塩;H2O:水和物)、Data:物理化学的データ、MS:FAB-MS(M+H)+、MS-:FAB-MS(M-H)-、NMR:1H-NMR δ(ppm)、m.p.:融点(℃)。
【0043】
【表2】
Figure 0004061891
【0044】
参考例1
2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロ -6-(4- メチルベンゼンスルホニル ) イミ ダゾ [4,5-d][1] ベンゾアゼピン
1,2,3,4-テトラヒドロ-1-(4-メチルベンゼンスルフォニル)-1-ベンゾアゼピン-5-オン2.0 gを30 mlのクロロホルムに溶解し、室温にて臭素0.33 mlをクロロホルム10 mlに溶解した溶液を滴下した。室温にて1時間攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を留去して得られた残渣を30 mlのクロロホルムに溶解した後、2-アミジノピリジニウム塩酸塩水和物5.0 g及び炭酸カリウム5.3 gを加え10時間加熱還流した。反応液を冷却後、溶媒を留去した。得られた残渣に1M塩酸水溶液30 mlを加え析出した固体を濾取した。得られた固体をクロロホルムに懸濁し、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒留去後に得られた残渣をエタノールから再結晶を行い1.70 gの表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6);δ2.12(3H,s),3.00-3.33(4H,br),7.13(2H,d,J=8.1Hz),7.21(1H,dt,J=1.4Hz,8.1Hz),7.29-7.43(5H,m),7.89(1H,dt,J=1.4Hz,8.1Hz),8.07(1H,d,J=8.1Hz),8.17(1H,d,J=7.3Hz),8.60(1H,d,J=4.4Hz).
【0045】
参考例2
2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロイミダゾ [4,5-d][1] ベンゾアゼピン
参考例1の化合物2.93 gを硫酸9 ml及び酢酸4.3 mlに溶解した後に70℃の湯浴中にて90分加熱攪拌した。反応液を100 mlの氷水中に注ぎ、10M水酸化ナトリウム水溶液を加え塩基性にし、200 mlのメチルエチルケトンを加え分液操作を行った。有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒留去後、得られた残渣を酢酸エチルから結晶化を行い、析出した結晶を濾取後、乾燥して1.038 gの表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6);δ2.97(2H,t,J=5.1Hz),3.20-3.26(2H,m),5.95(1H,t,J=3.7Hz),6.73-6.82(2H,m),6.93(1H,dt,J=1.5Hz,7.3Hz),7.34(1H,dd,J=4.4Hz,8.1Hz),7.86(1H,dt,J=1.5Hz,8.1Hz),8.11(1H,d,J=8.1Hz),8.24(1H,dd,J=1.5Hz,8.1Hz),8.59(1H,d,J=4.4Hz),12.67(1H,s).
【0046】
参考例3
4-[( ビフェニル -2- カルボニル ) アミノ ]-2- フルオロ安息香酸メチル
2-フェニル安息香酸0.66 g、テトラヒドロフラン7 ml、N,N-ジメチルホルムアミド1滴の溶液に氷冷下塩化チオニル0.29 mlを加え、反応液を室温にて2時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にトルエン3 mlを加えて再び減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルム3 mlに溶解し、4-アミノ-2-フルオロ安息香酸メチル0.56 g、ジメチルアニリン0.63 mlのクロロホルム溶液(6 ml)に、氷冷下滴下し、室温で4時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、有機層を1M塩酸水溶液、1M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、溶媒を減圧下留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン−酢酸エチル(3:1)で溶出し、1.00 gの表題化合物を得た。
【0047】
以下、上記の参考例3の方法と同様にして表3に示す参考例4〜7の化合物を、それぞれ対応する原料を使用して製造した。
【0048】
【表3】
Figure 0004061891
【0049】
参考例8
4-[( ビフェニル -2- カルボニル ) アミノ ]-2- フルオロ安息香酸
参考例3の化合物1.00 gをエタノール10 mlに溶解し、これに1M水酸化ナトリウム水溶液4.35 mlを加えた。反応液を室温にて2日間攪拌した。反応液に1M塩酸水溶液を加えて、pHを6とし、析出した固体を濾取した。得られた固体を酢酸エチルから再結晶を行い、0.77 gの表題化合物を得た。
【0050】
以下、上記の参考例8の方法と同様にして表4に示す参考例9〜12の化合物を、それぞれ対応する原料を使用して製造した。
【0051】
【表4】
Figure 0004061891
【0052】
実施例5
N-{4-[2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロイミダゾ [4,5-d][1] ベンゾアゼピン -6- カルボニル ] フェニル } ビフェニル -2- カルボキサミド 1 水和物
4-[(ビフェニル-2-カルボニル)アミノ]安息香酸3.60 g、テトラヒドロフラン100 ml、N,N-ジメチルホルムアミド1滴の懸濁液に氷冷下塩化チオニル1.21 mlを加え、反応液を室温にて2時間30分攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にトルエン5 mlを加えて再び減圧下濃縮した。得られた残渣に参考例2の化合物2.84 gのアセトニトリル溶液(90 ml)を加え、80℃の湯浴中にて17時間30分加熱攪拌した。反応液を室温にて冷却した後析出した沈殿を濾取し、アセトニトリルで洗浄した。得られた固体を1M水酸化ナトリウム水溶液に懸濁させ、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を酢酸エチルから結晶化して4.921 gの表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6);δ2.61-3.30(3H,m),4.93-5.40(1H,m),6.72(1H,d,J=7.3Hz),6.88(2H,d,J=7.8Hz),6.96(1H,t,J=7.8Hz),7.24-7.56(13H,m),7.94(1H,dt,J=2.0Hz,7.8Hz),8.19(1H,d,J=7.8Hz),8.29(1H,d,J=7.3Hz),8.65(1H,d,J=4.4Hz),10.28(1H,s),13.05(1H,s)
FAB-MS(M+H)+;562.
元素分析;C36H27N5O2.H2Oとして、
(計算値)C: 74.59%; H: 5.04%; N: 12.08%; O: 8.28%.
(実測値)C: 74.89%; H: 5.01%; N: 12.15%.
【0053】
実施例6
N-{4-[2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロイミダゾ [4,5-d][1] ベンゾアゼピン -6- カルボニル ] フェニル } ビフェニル -2- カルボキサミド
実施例5の化合物1.0 gにアセトニトリル20 mlを加え、95℃の油浴中にて35分間加熱攪拌した。懸濁液を室温にて冷却した後沈殿を濾取し、アセトニトリル6 mlで洗浄して0.85 gの表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO-d6);δ2.97-3.26(3H,m),4.97-5.00(1H,m),6.71(1H,d,J=7.6Hz),6.88(2H,d,J=8.4Hz),6.95(1H,t,J=7.6Hz),7.24-7.57(13H,m),7.94(1H,dt,J=1.6Hz,7.6Hz),8.18(1H,d,J=7.6Hz),8.30(1H,d,J=8.0Hz),8.63(1H,d,J=4.8Hz),10.27(1H,s),13.03(1H,s)
FAB-MS(M+H)+;562.
融点;240-242℃.
元素分析;C36H27N5O2として、
(計算値)C: 76.99%; H: 4.85%; N: 12.47%; O: 5.70%.
(実測値)C: 77.08%; H: 4.93%; N: 12.39%.
【0054】
実施例7
N-{4-[2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロイミダゾ [4,5-d][1] ベンゾアゼピン -6- カルボニル ] フェニル } ビフェニル -2- カルボキサミド 塩酸塩
4-[(ビフェニル-2-カルボニル)アミノ]安息香酸0.605 g、テトラヒドロフラン10 ml、N,N-ジメチルホルムアミド1滴の懸濁液に氷冷した塩化チオニル0.167 mlを加え、反応液を室温にて4時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にトルエン5 mlを加えて再び減圧下濃縮した。得られた残渣に参考例2の化合物0.385 gのアセトニトリル溶液(25 ml)を加え、80℃の湯浴中にて4時間加熱攪拌した。反応液を室温にて冷却した後析出した沈殿を濾取し、アセトニトリルで洗浄した。得られた固体を1M水酸化ナトリウム水溶液に懸濁させ、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を減圧下留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム−メタノール(49:1)で溶出した。その溶出部を減圧下濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルから結晶化して0.566 gのN-{4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミドを得た。得られた結晶を酢酸エチル−メタノールの混液に懸濁し、4M塩酸−酢酸エチル溶液0.277 mlを加え、溶媒を減圧下留去した。得られた残渣をエタノール20 mlに懸濁し、80℃の湯浴中にて10分間加熱攪拌した。懸濁液を室温にて冷却した後沈殿を濾取し、エタノールで洗浄して、0.350 gの表題化合物を得た。
実施例7の物理化学的データは、実施例1と同じであった。
【0055】
以下、上記の実施例7の方法と同様にして、表5、6に示す実施例8〜11の化合物及び参考例13の化合物を、それぞれ対応する原料を使用して製造した。
【0056】
実施例12
N-{2- ヒドロキシ -4-[2-(2- ピリジル )-1,4,5,6- テトラヒドロイミダゾ [4,5-d][ 1] ベンゾアゼピン -6- カルボニル ] フェニル } ビフェニル -2- カルボキサミド 塩酸塩
参考例13の化合物0.525 gをトリフルオロ酢酸6 mlに溶解し、これにペンタメチルベンゼン0.466 gを加えた。反応液を室温で3時間攪拌し、再び反応液にペンタメチルベンゼン0.233 gを加え、反応液をさらに室温で21時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣にトルエン3 mlを加え再び減圧下濃縮した。得られた残渣をクロロホルム10 mlに溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液10 mlを加え、析出した固体を濾取した。得られた固体に酢酸エチル中、4M塩酸−酢酸エチル溶液0.20 mlを加え、溶媒を留去した後に得られる残渣をエタノールから再結晶を行い、0.300 gの表題化合物を得た。
【0057】
【表5】
Figure 0004061891
【0058】
【表6】
Figure 0004061891
【0059】
以下、表7〜表9に本発明の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例記載の方法及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより、容易に合成することができる。
なお、表中Noは化合物番号を示す。
【0060】
【表7】
Figure 0004061891
【0061】
【表8】
Figure 0004061891
【0062】
【表9】
Figure 0004061891

Claims (3)

  1. 一般式(I)で示される1,4,5,6−テトラヒドロイミダゾ[4,5−d]ベンゾアゼピン誘導体又はその製薬学的に許容される塩。
    Figure 0004061891
    (式中の記号は以下の意味を示す。
    環D:1,4−フェニレン又はピリジン−2,5−ジイル若しくはピリジン−3,6−ジイル。
    X及びY:CH。
    1:水素原子。
    2及びR3:同一又は異なって水素原子、水酸基又はハロゲン。)
  2. 環Dが1,4−フェニレンであり、R2及びR3が共に水素原子である請求項1記載の化合物又はその製薬学的に許容される塩。
  3. 請求項1記載の化合物のうち、
    N-{4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
    N-{3-フルオロ-4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
    2’-フルオロ-N-{4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
    N-{5-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]-2-ピリジル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
    N-{6-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]-3-ピリジル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
    N-{2-ヒドロキシ-4-[2-(2-ピリジル)-1,4,5,6-テトラヒドロイミダゾ[4,5-d][1]ベンゾアゼピン-6-カルボニル]フェニル}ビフェニル-2-カルボキサミド、
    又はそれらの製薬学的に許容される塩。
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