JP4056448B2 - 複数ビーム同時加速空洞 - Google Patents
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Description
利用系から回収してきた減速電子ビームB2(図中で白抜きの楕円で示している)は、ビームパイプ16に入力され、このビームパイプ16を通過する際に収束磁石18により収束され、加速空洞14,15の空洞内部空間を直進し、ビームパイプ17を介してビームダンプ(図8参照)に向けて出力され、しかも、ビームパイプ17を通過する際に収束磁石18により収束される。
電子ビームB1,B2は、それぞれ多数の電子が集まったものであるため、同じ電気特性(マイナス極性)の電子同士は反発し、この反発力により電子ビームB1,B2が広がろうとする。電子ビームB1,B2が大きく広がると、電子ビームを構成する電子がビームパイプ16,17または加速空洞14,15の壁面に衝突してしまい、加速や減速ができなくなってしまう。
このような、電子ビームB1,B2の広がりを抑制するために、収束磁石18,19により、電子ビームB1,B2の収束を行っている。このため、電子ビームB1,B2は、加速空洞14,15の壁面に衝突することなく、空洞内部空間を通過することができる。
しかし、図9に示す従来の線形加速器10では、加速空洞14,15の空洞内部空間の同一の一本の軌道上を、加速電子ビームB1と減速電子ビームB2とが交互に直進する。したがって、加速電子ビームB1は、上流側(収束磁石18側)では加速前であるためエネルギーが小さく、下流側(収束磁石19側)では加速後であるためエネルギーが大きいのに対して、減速電子ビームB2は、上流側(収束磁石18側)では減速前であるためエネルギーが大きく、下流側(収束磁石19側)では減速後であるためエネルギーが小さい。
つまり、収束磁石18の位置では、エネルギーの小さい加速電子ビームB1とエネルギーの大きい減速電子ビームB2が通過し、収束磁石19の位置では、エネルギーの大きい加速電子ビームB1とエネルギーの小さい減速電子ビームB2が通過する。
さらに、放射光のプロファイル(時間的・空間的な分布形状)をシャープにするには、加速した後の加速電子ビームB1の広がりをなるべく抑えることが要求される。
現実的には、エネルギーの異なる電子ビームB1,B2が、加速空洞14,15の壁面に衝突することなく空洞内部空間を通過できることを優先するため、加速後の加速電子ビームB1の収束度が若干不足することがあり、放射光のプロファイルがある程度犠牲になることもあった。
収束磁石の最適設計が容易に行え、ひいては、シャープなプロファイルを持った放射光を発生させることができるようにすることを目的とする。
前記加速空洞は並列状態で配置されており、並列配置された各加速空洞が結合空洞により連結されていることを特徴とする。
複数の前記加速空洞は直線的に連結されており、
直線的に連結された前記加速空洞の端部には、収束磁石が環装される複数のビームパイプが連結されており、このビームパイプの数は前記極の数と同じであり、各ビームパイプが連結される位置は、電界の極ができる位置に合わせていることを特徴とする。
前記加速空洞は並列状態で配置されていると共に、各加速空洞は複数のセルを直列的に連結して形成されており、並列配置された隣接する加速空洞は、隣接する一方の加速空洞の各セルと隣接する他方の加速空洞の各セルとがそれぞれ連結されていることを特徴とする。
これは、加速空洞121,122を結合空洞125により結合した場合に、各加速空洞のそれぞれの空洞内部空間に形成する電界の定在波の共振周波数が、結合しない単独の各加速空洞121,122のそれぞれの空洞内部空間に形成される電界の定在波の共振周波数と等しくなるように、形状と大きさが設計された結合空洞125により結合していることを意味する。なお、結合空洞125は、どの位置に配しても良い。
加速空洞122の左端(上流端)には、ビームパイプ128が連結されており、このビームパイプ128は、液体ヘリウム槽103の左端面及び真空槽101の左端面を、水密・気密状態で貫通している。そして、ビームパイプ128のうち真空槽101の外側に突出した部分には、四極磁石である収束磁石112が環装されている。
加速空洞124の右端(下流端)には、ビームパイプ130が連結されており、このビームパイプ130は、液体ヘリウム槽103の右端面及び真空槽101の右端面を、水密・気密状態で貫通している。そして、ビームパイプ130のうち真空槽101の外側に突出した部分には、四極磁石である収束磁石114が環装されている。
加速空洞201の左端部(上流端)のうち第2のビーム軌道に位置する部分には、ビームパイプ204が連結されており、このビームパイプ204は、液体ヘリウム槽103の左端面及び真空槽101の左端面を、水密・気密状態で貫通している。そして、ビームパイプ204のうち真空槽101の外側に突出した部分には、四極磁石である収束磁石112が環装されている。
加速空洞124の右端部(下流端)のうち第2のビーム軌道に位置する部分には、ビームパイプ206が連結されており、このビームパイプ206は、液体ヘリウム槽103の右端面及び真空槽101の右端面を、水密・気密状態で貫通している。そして、ビームパイプ206のうち真空槽101の外側に突出した部分には、四極磁石である収束磁石114が環装されている。
なお、図2に示す線形加速器100Aは、エネルギー回収型の線形加速器として使用する以外にも使用用途がある。即ち、位相の揃った2つの電子ビームを同期して利用したいニーズに対しては、2つの電子ビームを同期して(位相を合わせて)線形加速器100Aに入力して、複数ビーム同時加速空洞200の空洞内部空間にできる電界の定在波の加速位相にのせるようにすれば、2つの電子ビームを同時に加速することができる。
例えば、図5(c)に示すように、円筒型空洞で電界モードをTM21モードにすれば、4つの電子ビームの同時加速(または、2つを加速、2つを減速)させることができる。
また例えば、図5(g)に示すように、矩形空洞で電界モードをTM31とすれば、3つの電子ビームの同時加速(または、一部を加速、残りを減速)させることができる。
2 入射加速器
3 超伝導線形加速器
4,5,6 軌道
7 減速機
8 ビームダンプ
10 成形加速空洞
11 真空槽
12 熱シールド板
13 液体ヘリウム槽
14,15 加速空洞
16,17 ビームパイプ
18,19 収束磁石
20,21 高周波入力カプラ
100,100A 線形加速空洞
101 真空槽
102 熱シールド板
103 液体ヘリウム槽
104,105 高周波入力カプラ
111〜114 収束磁石
120 複数ビーム同時加速空洞
121〜124 加速空洞
125,126 結合空洞
127〜130 ビームパイプ
200 複数ビーム同時加速空洞
201,202 加速空洞
203〜206 ビームパイプ
300,400 複数ビーム同時加速空洞
B1 加速電子ビーム
B2 減速電子ビーム
Claims (3)
- 高周波電力が供給されると空洞内部空間に、ビーム進行方向の電界が最大になる極が1つできるモノポールモードの電界の定在波が形成されると共に、収束磁石が環装されるビームパイプが端部に連結された加速空洞を複数有しており、
前記加速空洞は並列状態で配置されており、並列配置された各加速空洞が結合空洞により連結されていることを特徴とする複数ビーム同時加速空洞。 - 高周波電力が供給されると空洞内部空間に、ビーム進行方向の電界が最大になる極が複数できるマルチポールモードの電界の定在波が形成され、前記マルチポールモードの電界の定在波により電子ビームの加速または減速をする複数の加速空洞を有しており、
複数の前記加速空洞は直線的に連結されており、
直線的に連結された前記加速空洞の端部には、収束磁石が環装される複数のビームパイプが連結されており、このビームパイプの数は前記極の数と同じであり、各ビームパイプが連結される位置は、電界の極ができる位置に合わせていることを特徴とする複数ビーム同時加速空洞。 - 高周波電力が供給されると空洞内部空間に、ビーム進行方向の電界が最大になる極が1つできるモノポールモードの電界の定在波が形成されると共に、収束磁石が環装されるビームパイプが端部に連結された加速空洞を複数有しており、
前記加速空洞は並列状態で配置されていると共に、各加速空洞は複数のセルを直列的に連結して形成されており、並列配置された隣接する加速空洞は、隣接する一方の加速空洞の各セルと隣接する他方の加速空洞の各セルとがそれぞれ連結されていることを特徴とする複数ビーム同時加速空洞。
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