JP4044028B2 - 多重被膜材から成る杭の打設方法及びその杭構造 - Google Patents

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Description

本発明は、主として管理型廃棄物処分場の跡地に杭を打設する技術に係り、特に遮水機能を損なうことなく遮水基盤を貫通して杭基礎を構築するために杭の周囲に被膜材を多重に形成した多重被膜材から成る杭の打設方法及びその杭構造に関するものである。
産業廃棄物や一般廃棄物を埋立処分する廃棄物処分場においては、埋立て・貯留されている廃棄物から汚染水や有害物質が滲出することがある。この汚染水や有害物質は、その処分場外の河川、海等の公共水域へ浸出し、又は地下水を汚染することがある。そこで、この汚染水の浸出を防止するために、埋立地の側面又は底面には、不透水性地層が存在することが必要であり、法律上これが無い場合には遮水シート等の遮水工を施さなければならい。
また、海面埋立処分場においては、沿岸部に自然状態で分布する沖積粘性土層を処分場底面の遮水基盤とすることが多い。例えば、透水係数1×10-5cm/secの粘性土は、その厚さ5m以上が必要である。
このような処分場の廃止後においても、この遮水基盤を保全する必要があり、遮水基盤を貫通して杭などを打設することが困難な状況にある。埋立完了後には、この遮水工の健全度を保ちつつ、処分場跡地の有効かつ高度な利用が図れることが望まれている。
廃棄物処分場の跡地の有効利用として、図3に示すように、ビル、橋梁等の新設の構造物51を構築する場合、廃棄物処分場の跡地の基礎地盤の支持力不足から、杭基礎を必要とする場合がある。この場合、処分場内の廃棄物層Aと遮水基盤層Bを貫通して杭52が透水性地層Cまで打ち込まれると、杭52の打設に伴い杭52の周面に廃棄物及び汚染物質が付着して、遮水基盤B及び透水性地層Cへ有害物質が連れ込まれるおそれがある。
また、図4に示すように、杭52を打設した後、杭52本体と遮水基盤層Bとの間に隙間ができ、汚染水や有害物質Pがその隙間を通って処分場外へ浸出するおそれがある。
このために、廃棄物処分場の跡地に構造物51を構築する場合には、杭を用いない構造物に限定されており、跡地そのものが緑地や駐車場などの利用に限定されるなど、跡地の高度かつ有効利用が図られていないのが現状である。
そこで、杭を打設する技術としては、特許文献1の特開平11−336060号「杭施工方法」に、不透水層地盤を貫通して下部透水層地盤に達する杭を打設する場合において、杭打設時又は杭打設後に、上部透水層地盤中の汚染地下水が下部透水層地盤中に流入することを防止する技術が提案されている。これは、置換材料を用いて杭施工領域内部の上部透水層地盤を置換し、杭施工領域中心部への汚染物質の浸入を防止することにより、杭周面の間隙部等を伝わって、汚染地下水中に含有される汚染物質が下部透水層地盤に浸透することを防止して、下部透水層地盤中に含まれる清浄な地下水の汚染を防止する方法である。
特開平11−336060号公報
また、特許文献2の特開平11−336073号「杭施工方法」に、汚染物質の下部透水層地盤への浸透を防止することが可能となり、打設された杭の間を上記各種の材料により充填することにより、杭打設後における汚染物質の杭施工領域中心部への浸入を防ぎ、下部透水層地盤中に含まれる清浄な地下水の汚染を防止することが可能になる技術が提案されている。この方法は、外挿管を設置することにより、汚染地下水の杭施工領域への浸入を防ぎ、杭打設時における汚染物質の下部透水層地盤への浸透を防止するものである。また、外挿管と打設された杭の間を充填材料により充填することにより、杭打設後における汚染物質の杭施工領域中心部への浸入を防ぎ、下部透水層地盤に含まれる清浄な地下水の汚染を防止するものである。
特開平11−336073号公報
しかし、上記従来の杭施工方法では、杭施工の際に置換材料を用いて杭施工領域内部の上部透水層地盤を置換し、杭施工領域中心部への汚染物質の浸入を防止するような複雑な作業工程が必要であり、それらの作業工数が増大するという問題を有していた。
また、最初に外挿管を設置し、外挿管と打設された杭の間を充填材料により充填し、杭打設後における汚染物質の杭施工領域中心部への浸入を防いだ状態で、次に杭を打設する杭施工方法でも、複雑な作業工程が必要であり、それらの作業工数が増大するという問題を有していた。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、杭の周囲に多重構造の被膜を形成することにより、廃棄物層から有害物質を透水基盤層へ連れ込み、汚染水や有害物質の浸出を伴なうことなく杭打設を可能にし、打設後も所定の遮水機能を確保することができる多重被膜材から成る杭の打設方法及びその杭構造を提供することにある。
本発明の打設方法によれば、表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで杭(1)を打ち込む打設方法であって、杭(1)の周囲に内側被膜材(2)の吸水ポリマーを塗布し、外的要因の杭の打設速度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なるアスファルト、ゴム又は合成樹脂材のような材質の外側被膜材(3)を、内側被膜材(2)の周囲に筒状に形成し、杭(1)を廃棄物層(A)に貫通させる際に、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力が、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗より勝る打設速度で、外側被膜材(3)と内側被膜材(2)一体貫入されるように該杭(1)を打設し、次に、廃棄物層(A)貫通させた杭(1)を、遮水基盤層(B)内を貫通させ、透水性地層(C)まで打設する際に、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力より、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗が勝り、内側被膜材(2)から外側被膜材(3)が剥離するような打設速度で杭(1)を打設することにより、外側被膜材(3)を遮水基盤層(B)に連れ込まれずに廃棄物層(A)に残留させ、内側被膜材(2)のみを遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)へ貫入させる、ことを特徴とする多重被膜材から成る杭の打設方法が提供される。
また、表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで杭(1)を打ち込む打設方法であって、杭(1)の周囲に内側被膜材(2)の吸水ポリマーを塗布し、外的要因の温度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なるアスファルト、ゴム又は合成樹脂材のような材質の外側被膜材(3)を、内側被膜材(2)の周囲に形成し、杭(1)を廃棄物層(A)に貫通させる際に、杭(1)周囲の外側被膜材(3)と内側被膜材(2)共に一体貫入されるように杭(1)をその内部から外側被膜材(3)が軟化しない温度に冷却しながら打設し、次に、廃棄物層(A)に貫通させた杭(1)を、遮水基盤層(B)内に貫通させ、透水性地層(C)まで打設する際に、杭(1)をその内部から外側被膜材(3)が軟化する温度に加温しながら打設することにより、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力より、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗が勝り、軟化した外側被膜材(3)を内側被膜材(2)から剥離して、遮水基盤層(B)に連れ込まれずに廃棄物層(A)に残留させ、内側被膜材(2)のみ遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)へ貫入させることができる。
前記遮水基盤層(B)貫通した杭(1)における内側被膜材(2)を、遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)において吸水膨潤させることが好ましい。
本発明の杭構造によれば、表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで打ち込まれる杭構造であって、杭(1)の周囲に形成した、打設後に吸水膨潤する材質の内側被膜材(2)と、内側被膜材(2)の周囲に形成した、外的要因の杭の打設速度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なる材質の外側被膜材(3)と、から成り、内側被膜材(2)は、杭(1)の周囲に吸水ポリマーを塗布したものであり、外側被膜材(3)は、アスファルト、ゴム又は合成樹脂材の材質のものを筒状に形成したものである、ことを特徴とする多重被膜材から成る杭構造が提供される。
また、表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで打ち込まれる杭構造であって、杭(1)の周囲に形成した、打設後に吸水膨潤する材質の内側被膜材(2)と、内側被膜材(2)の周囲に形成した、外的要因の温度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なる材質の外側被膜材(3)と、から成り、内側被膜材(2)は、杭(1)の周囲に吸水ポリマーを塗布したものであり、外側被膜材(3)は、杭(1)の内部から外側被膜材(3)が軟化する温度に加温したときに、軟化するようなアスファルト、ゴム又は合成樹脂材の材質で形成したものである。
前記杭(1)に形成した内側被膜材(2)より狭い範囲に外側被膜材(3)を形成したものである。
上記発明では、変形性能が異なる外側被膜材(3)と内側被膜材(2)について、その打設速度をコントロールし、又は杭(1)を温度制御することにより、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して杭(1)を打設しても、廃棄物層(A)内の汚染水や有害物質を連込むことなく、杭(1)を打設することができる。即ち、杭(1)を廃棄物層(A)に貫通させる際に、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力が、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗より勝る打設速度で、外側被膜材(3)と内側被膜材(2)が共に剥離されず一体となって貫入され、次に、この廃棄物層(A)に貫通させた杭(1)を、透水性地層(C)まで打設する際に、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力より、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗が勝るように、廃棄物層(A)に打設するときより遅い打設速度で杭(1)を打設することにより、筒状に形成した外側被膜材(3)がその変形性能が異なる内側被膜材(2)から剥離して、遮水基盤層(B)に連れ込まれずに廃棄物層(A)に残留し、内側被膜材(2)のみを遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)へ貫入させることができる。
また、杭(1)を廃棄物層(A)に貫通させる際に、外側被膜材(3)と内側被膜材(2)が共に剥離されず一体となって貫入されるように杭(1)をその内部から冷却しながら打設し、次に、廃棄物層(A)に貫通させた杭(1)を、遮水基盤層(B)内に貫通させ、透水性地層(C)まで打設する際に、杭(1)をその内部から加温しながら打設することにより、杭(1)周面の外側被膜材(3)を軟化させ、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力を低下させ、摩擦抵抗の低下した外側被膜材(3)が剥離して、遮水基盤層(B)に連れ込まれずに廃棄物層(A)に残留し、内側被膜材(2)のみを遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)へ貫入させることができる。
一方、杭(1)の打設完了後は、遮水基盤層(B)内で水と反応して内側被膜材(2)が吸水して膨し、杭(1)と遮水基盤層(B)との間に生じた隙間をめ、止水効果を奏する。更に、遮水基盤層(B)の圧密沈下のような非常に遅い変位に対しては、内側被膜材(2)が杭(1)への負の摩擦力(ネガティブフリクション)も除去することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明は、杭の周囲に粘性等の材質の異なる内側被膜材と外側被膜材とを形成したものである。この杭は、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層から粘性土のような遮水基盤層を貫通して支持地盤となる透水性地層まで打ち込む打設方法である。このとき外的要因の杭の打設速度又は温度をコントロールすることにより、廃棄物層と粘性土層を貫通して杭を打設しても、廃棄物層内の汚染水や有害物質を連込むことがない。
図1は本発明の多重被膜材から成る杭構造を示す断面図である。図2は本発明の多重被膜材から成る杭の打設方法の第一の実施例を示す説明図である。
本発明の多重被膜材から成る杭の打設方法は、廃棄物処分場の跡地において、廃棄物層A及び粘性土のような遮水基盤層Bを貫通して支持地盤となる透水性地層Cまで杭1を打ち込む打設方法である。
本発明の杭1は、その周囲に内側被膜材2を形成し、この内側被膜材2に重ねて外側被膜材3を形成した杭構造からなる。この内側被膜材2と外側被膜材3とは異なる材質で形成されたものである。即ち、内側被膜材2と外側被膜材3とは、杭1の打設速度による変形速度や温度等の外的要因により変形性能が異なる物質である。この杭1の全長は、廃棄物処分場の跡地における廃棄物層Aから遮水基盤層B、透水性地層Cまでの深さに応じて決定されるものであり、例えば廃棄物層Aが15m、遮水基盤層Bが15m〜30m、透水性地層Cへ数m程度の杭根入のときは約30m〜50m程度になる。また、杭1の直径は、60cm〜150cm程度である。この杭1周囲に対して内側被膜材2を全面に形成し、更に外側被膜材3も内側被膜材2の全面に形成する。また、この杭1周囲に対して内側被膜材2に対して部分的に形成し、更に外側被膜材3も内側被膜材2の部分的に形成することができる。但し、内側被膜材2と外側被膜材3とは杭1の下端(打設方向先端)から形成する必要がある。
外側被膜材3は、杭1の早い打設速度では変形せず、遅い速度で変形するような材質を形成したものである。勿論、杭1の運搬、打設によっては剥がれない程度の強度を有することが必要である。その膜厚としては5mm程度に形成することが望ましい。但し、この膜厚限定されないことは勿論である。この外側被膜材3としては、杭1の周囲に粘性の高いアスファルトを塗布したもの、周囲に粘性の高い合成樹脂材を塗布したもの、又は杭1の周囲にはゴム製の筒材を挿入したもの等がある。
この外側被膜材3は、打設している杭1が廃棄物層Aを貫通し、遮水基盤層B内を貫通している際に容易に剥離されやすい材質を形成したものであれば、これらアスファルト、合成樹脂材又はゴム製の筒材に限定されない。その他の材質のものを使用することができる。
一方、内側被膜材2は、ある程度遅い打設速度でも変形せず、非常に遅い速度で変形するような材質で形成したものである。また、任意時間後には、水を吸収して膨張するようなものである。この内側被膜材2も、杭1の運搬、打設によっては剥がれない程度の強度を有することが必要である。この内側被膜材2の膜厚は、外側被膜材3と同様に5mm程度に形成することが望ましい。但し、この膜厚に限定されないことは勿論である。この内側被膜材2としては、例えば杭1の周囲に吸水ポリマーを塗布したものがある。なお、透水性地層Cへ打設する際に、この内側被膜材2が剥離することは問題ではない。
この内側被膜材2は、打設している杭1が遮水基盤層B内を貫通し、透水性地層Cに打ち込まれたときに、剥離しない材質を形成したものであれば、このような吸水ポリマーに限定されず、合成樹脂材等のその他の材質のものを使用することができる。
次に、このように構成した多重被膜材から成る杭の打設方法を説明する。まず、図2のSTEP1の「打設前」に示すような多重被膜材から成る杭1は、STEP2の「廃棄物層打設中」に示すように、この状態から廃棄物処分場の跡地における表層の廃棄物層Aに貫通させるように打設する。このときは、杭1周囲の外側被膜材3と内側被膜材2が共に剥離されず一体となって貫入される。このときの貫入速度は、廃棄物層Aにおける摩擦抵抗に応じて決定される。また、外側被膜材3と内側被膜材2が軟化する温度も考慮される。
図2のSTEP3の「粘性土層打設中」に示すように、廃棄物層Aを貫通させた杭1は、粘性土層のような遮水基盤層B内に貫入するように打設する。このときは、杭1周囲の外側被膜材3は剥離して遮水基盤層Bに連れ込まれずに廃棄物層Aに残留させ、内側被膜材2のみが遮水基盤層Bへ貫入させる。上述したSTEP2の「廃棄物層打設中」のときの廃棄物層Aに打設するときより遅い速度で遮水基盤層Bにこの杭1を打設する。即ち、内側被膜材2と外側被膜材3との密着力より、外側被膜材3と廃棄物層Aとの摩擦抵抗が勝って、内側被膜材2から外側被膜材3を剥離させる程度の速度で遮水基盤層Bにこの杭1を打設する。
最後に、図2のSTEP4の「打設完了、圧密沈下時」に示すように、遮水基盤層Bが圧密し、廃棄物層Aと遮水基盤層Bとが非常に遅い速度で沈下する際には、杭1と内側被膜材2との密着力により内側被膜材2と遮水基盤層B、廃棄物層Aと外側被膜材3との摩擦(粘性)抵抗が勝って、杭1から内側被膜材2を剥離させ、杭1にネガティブフリクションを作用させない。
内側被膜材2に吸水ポリマーを塗布した場合は、遮水基盤層Bを抜けた杭1における内側被膜材2を、遮水基盤層Bにおいて吸水膨潤させる。これにより、杭1と遮水基盤層Bとの間に生じた隙間を生め、止水効果を奏することができる。なお、この内側被膜材2を透水性地層Cにおいても吸水膨潤させることができる。
上述した内側被膜材2と外側被膜材3がそれぞれ必要とする機能について、表1に示した。速い打設速度では、内側被膜材2と外側被膜材3共に変形しない。遅い打設速度では、外側被膜材3は変形するが、内側被膜材2は変形しない。更に、非常に遅い変形速度では、内側被膜材2は変形する。因みに、杭1の打設速度は1〜10m/分の範囲内で調節する。例えば、中掘り工法では速い打設速度は2m/分程度になり、また打撃工法では速い打設速度は7m/分程度になる。これらの速度を基準に遅い打設速度を設定する。
Figure 0004044028
なお、杭1本体の先端部が開放されているものは、杭1が廃棄物層Aを貫通した時点で杭1の内部を洗浄する必要がある。杭1本体の先端部が開放されていないものは、先端部に傾斜を付け、この部分に杭1周面と同様に、内側被膜材2と外側被膜材3とを形成しておく必要がある。
上述した杭の打設方法では、杭1周囲の材質の異なる内側被膜材2と外側被膜材3の剥離の順番を可変させるために、打設速度を変化させている。しかし、本発明の第二の実施例のように、廃棄物層Aに貫通させる際に、杭1周囲の外側被膜材3と内側被膜材2が共に剥離されず一体となって貫入されるように杭1を冷却しながら打設した後に、廃棄物層Aを貫通させた杭1を、遮水基盤層B内を貫通させる際に、杭1周囲の外側被膜材3は剥離して遮水基盤層Bに連れ込まれずに廃棄物層Aに残留するように、杭1をその内部から加温しながら打設することも可能である。
このように杭1を加温することによって、杭1周面の外側被膜材3が軟化し、内側被膜材2と外側被膜材3との密着力が低下し、摩擦(粘性)抵抗の低下した外側被膜材3が剥離していく。また、化学変化により内側被膜材2と外側被膜材3を剥離させるようにすることができる。
本発明では、杭1の打設完了後に遮水基盤層B内で水と反応して内側被膜材2が吸水して膨張し、杭1と遮水基盤層Bとの間に生じた隙間を生め、止水効果を高めている。この止水効果が高いか否かについては、杭1の先端部から透水性地層Cにおける汚染水や有害物質の浸出状態を検査することで、汚染水や有害物質の浸出状況を容易に把握することができる。同様に、杭1の側面部から遮水基盤層Bにおける汚染水や有害物質の浸出状態を検査することができる。
なお、本発明は、杭1の打設速度を変化させ、又は杭1内部の温度変化を利用することにより、杭1周囲の材質の異なる内側被膜材2と外側被膜材3の剥離の順番を可変させる方法であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明は、処分場跡地の廃棄物層と遮水基盤層を貫通して杭を打設しても、廃棄物層内の有害物質を連込むことがないので、この処分場の遮水工の健全度を保ちつつ、処分場跡地の有効かつ高度な利用を図ることができる。
杭の打設完了後は、遮水基盤層内で水と反応して内側被膜材が吸水して膨張し、杭と遮水基盤層との間に生じた隙間を生め、止水効果を発揮することができるので、杭と遮水基盤層との間に隙間から汚染水が処分場外へ浸出することを防止することができるために、廃棄物処分場の跡地に構造物を構築する場合にも、杭を用いた構造物に構築することができ、跡地の高度かつ有効利用を図ることができる。
また、遮水基盤層の圧密沈下のような非常に遅い変位に対しては、内側被膜材が杭への負の摩擦力(ネガティブフリクション)も除去することができる。
本発明の多重被膜材から成る杭構造を示す断面図である。 本発明の多重被膜材から成る杭の打設方法の第一の実施例を示す説明図である。 廃棄物処分場の跡地の有効利用としてビル、橋梁等の新設の構造物を構築する状態を示す説明断面図である。 廃棄物処分場の跡地において杭の打設に伴い杭周面に廃棄物及び汚染物質が付着して、遮水基盤及び遮水基盤外へ有害物質が連れ込まれる状態を示す説明断面図である。
符号の説明
1 杭(杭構造)
2 内側被膜材
3 外側被膜材
A 廃棄物層
B 遮水基盤層
C 透水性地層

Claims (6)

  1. 表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで杭(1)を打ち込む打設方法であって、
    杭(1)の周囲に内側被膜材(2)の吸水ポリマーを塗布し、
    外的要因の杭の打設速度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なるアスファルト、ゴム又は合成樹脂材のような材質の外側被膜材(3)を、内側被膜材(2)の周囲に筒状に形成し、
    杭(1)を廃棄物層(A)に貫通させる際に、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力が、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗より勝る打設速度で、外側被膜材(3)と内側被膜材(2)一体貫入されるように該杭(1)を打設し、
    次に、廃棄物層(A)貫通させた杭(1)を、遮水基盤層(B)内を貫通させ、透水性地層(C)まで打設する際に、内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力より、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗が勝り、内側被膜材(2)から外側被膜材(3)が剥離するような打設速度で杭(1)を打設することにより、
    外側被膜材(3)を遮水基盤層(B)に連れ込まれずに廃棄物層(A)に残留させ、内側被膜材(2)のみを遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)へ貫入させる、ことを特徴とする多重被膜材から成る杭の打設方法。
  2. 表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで杭(1)を打ち込む打設方法であって、
    杭(1)の周囲に内側被膜材(2)の吸水ポリマーを塗布し、
    外的要因の温度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なるアスファルト、ゴム又は合成樹脂材のような材質の外側被膜材(3)を、内側被膜材(2)の周囲に形成し、
    杭(1)を廃棄物層(A)に貫通させる際に、杭(1)周囲の外側被膜材(3)と内側被膜材(2)共に一体貫入されるように杭(1)をその内部から外側被膜材(3)が軟化しない温度に冷却しながら打設し、
    次に、廃棄物層(A)に貫通させた杭(1)を、遮水基盤層(B)内に貫通させ、透水性地層(C)まで打設する際に、杭(1)をその内部から外側被膜材(3)が軟化する温度に加温しながら打設することにより、
    内側被膜材(2)と外側被膜材(3)との密着力より、外側被膜材(3)と廃棄物層(A)との摩擦抵抗が勝り、軟化した外側被膜材(3)を内側被膜材(2)から剥離して、遮水基盤層(B)に連れ込まれずに廃棄物層(A)に残留させ、内側被膜材(2)のみ遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)へ貫入させる、ことを特徴とする多重被膜材から成る杭の打設方法。
  3. 前記遮水基盤層(B)貫通した杭(1)における内側被膜材(2)を、遮水基盤層(B)及び透水性地層(C)において吸水膨潤させる、ことを特徴とする請求項1又は2の多重被膜材から成る杭の打設方法。
  4. 表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで打ち込まれる杭構造であって、
    杭(1)の周囲に形成した、打設後に吸水膨潤する材質の内側被膜材(2)と、
    内側被膜材(2)の周囲に形成した、外的要因の杭の打設速度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なる材質の外側被膜材(3)と、から成り、
    内側被膜材(2)は、杭(1)の周囲に吸水ポリマーを塗布したものであり、
    外側被膜材(3)は、アスファルト、ゴム又は合成樹脂材の材質のものを筒状に形成したものである、ことを特徴とする多重被膜材から成る杭構造。
  5. 表層の廃棄物層(A)と、その下層の粘性土のような遮水基盤層(B)と、更にその下層の支持地盤となる透水性地層(C)とを有し、地質が異なる廃棄物処分場の跡地において、表層の廃棄物層(A)から遮水基盤層(B)を貫通して透水性地層(C)まで打ち込まれる杭構造であって、
    杭(1)の周囲に形成した、打設後に吸水膨潤する材質の内側被膜材(2)と、
    内側被膜材(2)の周囲に形成した、外的要因の温度による変形性能が、内側被膜材(2)とは異なる材質の外側被膜材(3)と、から成り、
    内側被膜材(2)は、杭(1)の周囲に吸水ポリマーを塗布したものであり、
    外側被膜材(3)は、杭(1)の内部から外側被膜材(3)が軟化する温度に加温したときに、軟化するようなアスファルト、ゴム又は合成樹脂材の材質で形成したものである、ことを特徴とする多重被膜材から成る杭構造。
  6. 前記杭(1)に形成した内側被膜材(2)より狭い範囲に外側被膜材(3)を形成した、ことを特徴とする請求項4又は5の多重被膜材から成る杭構造。
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