JP4042141B2 - Cold rolled steel sheet manufacturing method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、循環式圧延油供給系統を有するタンデム圧延機を用いた冷間圧延鋼板の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは高速圧延においても、圧延機のチャタリングを防止することにより、欠陥の無い冷間圧延鋼板を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
薄鋼板を高速圧延する冷間圧延機において、安定圧延を阻害する現象の一つにチャタリングと称する、騒音を伴う異常振動現象がある。このチャタリングが発生すると、板厚変動や圧延スタンド間の張力変動を生じ、著しい場合には鋼板の破断に至ることもある。その結果、板厚変動による品質・歩留りの低下や、板破断によるロール原単位の悪化、設備稼働率の低下などが発生する。
【0003】
チャタリング現象は、圧延機のロール系の自励振動現象であり、従って、その振動数は圧延機の固有振動数に一致することが知られている。この振動数は、通常、数十Hzから数百Hzである。
【0004】
このチャタリング(自励震動)の発生原因(トリガー)の1つは、圧延が進むに従って、ワークロール粗度が低下し、ワークロールと圧延材の摩擦係数が低くなり、その結果、ロールバイト内の潤滑が過多となる状態が発生し、それに伴い、先進率が負(すなわち、中立点がロールバイトの外へ飛び出した状態)となり、圧延が不安定化することであると言われてきた(例えば、鉄と鋼、第73 (1987)第10号、p.1358) 。
【0005】
一方、最近のブリキ材の製品動向である硬質・薄ゲージ化に伴い、生産性向上のために圧延速度のさらなる高速化が進められており、1800m/minを超える高速圧延が行われている。そして、このような製品の生産工程では、潤滑が不足することに起因するチャタリングが発生し、高速圧延の阻害要因となっている。
以上からわかるように、チャタリング現象は圧延潤滑性の影響を大きく受け、特に高速圧延域では潤滑不足に寄因したチャタリングの発生が問題となる。
【0006】
これまでに、チャタリングを防止する技術としては、特公平3−50602号公報に記載される技術が知られている。この技術は、圧延機のハウジングに振動計を設置してハウジング振動を検出し、チャタリング現象を特徴づける振動数、すなわち圧延機の固有振動数だけをフィルターにより抽出し、フィルター通過後の振動速度(ISO2372等に使用されている値)が一定値を超えた時に、圧延条件を調整することによりチャタリング発生に伴う板厚変動および板破断を未然に防止するものである。圧延条件の具体的な調整方法としては、圧延速度を減速する方法、タンデム圧延機の圧下スケジュールを変更する方法、およびエマルション圧延油のスプレー流量を変更する方法が提示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平3−50602号公報に記載されている、圧延条件を調整する方法のいずれも、高速圧延条件下では十分な効果を発揮できないという問題があった。
すなわち、圧延速度を減速する方法では、チャタリングを防止できるが、高速圧延速度を達成できない。また、圧下スケジュールを変更する方法では、各スタンドのロール周速比を変更することにより圧下スケジュールを変更することになるが、高速圧延条件下でのロール周速比の急激な変動は、スタンド間張力の急激な変動をもたらし、圧延を不安定化させ、場合によっては板破断発生の原因となる。
【0008】
また、エマルション圧延油のスプレー流量を調整する方法に関しては以下のような問題点があった。すなわち、循環式圧延油供給系統を有する冷間タンデム圧延機においては、圧延油を冷却水とあらかじめ混合、攪拌して作ったエマルション圧延油を、潤滑および冷却の目的で、ロールバイト近傍のワークロール表面にノズルからスプレーしている(「板圧延の理論と実際」、日本鉄鋼協会偏、P.208)。このようなエマルション圧延油のスプレー系において、ワークロールに供給するエマルション圧延油の流量(以下、ロールクーラント流量、と称す)を調整する方法は、最終スタンド出側の板速度が1800m/minにも達する高速圧延条件下では十分な効果を得られなかった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、循環式圧延油供給系統を有する冷間タンデム圧延機で1800m/minを超える高速圧延を行なう場合にも、チャタリングによる異常板厚の発生および板破断の発生を未然に防止し、欠陥の無い冷間圧延鋼板を製造する方法を提供することを課題とする。
【0010】
【問題を解決するための手段】
前記課題を解決する第1の手段は、冷間連続圧延機により冷間圧延鋼板を製造する方法であって、冷間連続圧延機のスタンドのチャタリングが検出されたとき、当該スタンド又は当該スタンドとその上流側スタンドのロールバイトより離れた上流側の鋼板に循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油をスプレーし、かつ、その流量を調整することによってチャタリングを防止しながら冷間圧延を行う工程を有してなることを特徴とする冷間圧延鋼板の製造方法(請求項1)である。
【0011】
本発明者らは、上記の課題達成のために、タンデム圧延機におけるエマルション圧延油のスプレー流量の調整によるチャタリング防止方法に関し、鋭意検討を重ねた。この方法に着目した理由は、チャタリングの発生が、圧延潤滑性の影響を大きく受けるという事実から、圧延潤滑性を制御する方法がチャタリング防止には最も有効であると考えたためである。
【0012】
チャタリングを防止するためには、ハウジングの振動を検知し、圧延機の固有振動数と同じ振動数だけをフィルターにより抽出し、フィルター通過後の振動速度が一定値を越えたときに、チャタリングが発生したと判断する前述の方法等により、チャタリングの発生を検出し、エマルション圧延油のスプレー流量の調整により圧延潤滑性を大きく制御できることが必要である。この点を確認するために、ロールクーラント流量と摩擦係数の関係を調査した。
【0013】
図5は全5スタンドのタンデム圧延機における循環式圧延油供給系統のエマルション・スプレー用ヘッダーの配置を示す。ロールクーラントは、スタンドの入側および出側に設置されている。入側ロールクーラントは潤滑と冷却を兼ねており、出側ロールクーラントはロール冷却のためのものである。
【0014】
なお、入側ロールクーラントが潤滑として機能するメカニズムは、以下の通りである。すなわち、上側ワークロール表面に直接衝突した一部のエマルション粒子(油粒)が油膜としてワークロール表面に付着し、鋼板上面側においては付着しなかったエマルション圧延油は鋼板面上に滞留し、さらに鋼板板上面側にも油分が付着する。そして、水分とプレートアウトしなかったエマルション圧延油は板端から落下する。一方、下側ワークロールにスプレーされたエマルション圧延油のうち、直接ロール表面に衝突したエマルション粒子の一部がロール表面に油膜として付着するだけで、鋼板上に滞留することなく直ちに落下する。このエマルション圧延油中の油粒が鋼板およびロール表面に付着する現象は、プレートアウトと呼ばれている。このワークロールおよび鋼板表面のプレートアウト層はロールバイト内に導入され、潤滑油膜として機能する。
【0015】
図6は、図5に示すタンデム圧延機において、最終スタンドの速度1000m/minの低速圧延条件と、1800m/minの高速圧延条件のときに、チャタリングの発生頻度の高い最終スタンド(No.5スタンド)を対象とし、入側ロールクーラント流量と摩擦係数の関係を調査した結果である。なお、ロールクーラント流量は、上下スプレーヘッダーの合計流量である。
【0016】
これによると、速度1000m/minの場合、ロールクーラント流量を増加させる程、摩擦係数は大きく低下し、ロールクーラント流量の調整により摩擦係数、すなわち圧延潤滑性を大きく制御できることがわかる。一方、速度1800m/minの場合、速度1000m/minよりも摩擦係数は高く、潤滑状態が悪化することがわかる。また、速度1800m/minの場合、一定のロールクーラント流量を超えると摩擦係数の変化がほとんど見られなくなり、ロールクーラント流量の調整では摩擦係数を一定の値よりも低くすることができないこと、すなわち圧延潤滑性を改善できないことがわかる。このことは、高速圧延条件下で問題となる潤滑不足に起因したチャタリングを防止するのに、ロールクーラントの流量調整では、十分な効果を得られないことを示唆する。
【0017】
速度1800m/minの摩擦係数が高くなる理由の一つとしては、圧延速度が高くなると、スプレー時間の低下によりエマルション圧延油の鋼板単位面積当りの供給量が低下し、プレートアウト量が低下することが挙げられる。もう一つの理由として、以下に詳述するが、エマルション圧延油のプレートアウトが、鋼板のスプレー面に到達してからの時間に依存する現象の影響が挙げられる。
【0018】
また、速度1800m/minのときに、一定のロールクーラント流量を超えると、一定の摩擦係数よりも下げられなくなる現象も、エマルション圧延油のプレートアウトが、鋼板のスプレー面に到達してからの時間に依存する現象と関係している。
【0019】
上述した、エマルション圧延油のプレートアウトが、鋼板のスプレー面に到達してからの時間に依存する現象について、以下に詳説する。エマルション圧延油が鋼板およびロールにスプレーされる場合に、油分が水から分離し油膜(プレートアウト層)を生成する。これは、水に油滴が分散したいわゆるO/W型(水中に油滴が分散)のエマルションがW/O型(油中に水滴が分散)のエマルションあるいは油単層に転相し、油分がスプレー面に展着する現象である。この過程はスプレーされると瞬時に起こるのではなく、転相といった遷移過程(反応)に起因するため、時間依存過程であると考えられる。それに所要する時間は短時間かもしれないが、いずれにしてもある時間を必要とすることは言うまでもない。発明者らは、このような転相のための時間(以下、転相時間と称す)が、プレートアウト性に大きな影響を与えると考えた。
【0020】
発明者らは、上記の転相時間がプレートアウト性に及ぼす影響を確認するため、図7に示すプレートアウト試験方法により、エマルション圧延油のプレートアウト性と転相時間の関係を調査した。このプレートアウト試験方法は、所定の温度に加熱した鋼板サンプル(試料板)を自由落下により所定の速度を与え、落下途中の鋼板サンプルの表面にエマルション圧延油をスプレーし、その下方の所定距離だけ離れた位置にエアブローノズルを設け、サンプル上の未転相のエマルションを吹き飛ばし、鋼板サンプルに転相したプレートアウト層(油膜)のみを評価する。プレートアウト量は、脱脂前後の鋼板サンプルの重量を電子天秤等で測定する方法で計測する。
【0021】
図8にプレートアウト試験結果を示す。これによると、プレートアウト量は転相時間に大きく依存し、転相時間が短くなるとプレートアウト量は低下する。この結果は、実際の圧延において、ロール周速および鋼板速度が上昇すると、エマルション圧延油が供給されてからロールバイトに到達するまでの時間、すなわち、転相時間が短くなる効果により、プレートアウト量が減少し、これに伴いロールバイトへの導入油量が低下することを示唆している。
【0022】
以上のプレートアウト試験の結果に基づき、図6に示したロールクーラント流量と摩擦係数の関係について、転相時間の観点からの解釈を以下に述べる。
速度1000m/minよりも速度1800m/minで圧延したときの摩擦係数の方が全体的に高くなるのは、スプレー時間の低下によりエマルション圧延油の鋼板単位面積当りの供給量が低下する効果と、転相時間が短くなる効果によりプレートアウト量が低下し、ロールバイトへの導入油量の低下することが原因である。
【0023】
また、ロールクーラント用スプレーヘッダーを用いる場合、1800m/minの高速圧延条件下では、ロール表面にエマルション圧延油がスプレーされてからロールバイトに噛み込まれるまでの時間は非常に短く、エマルションの転相時間を十分に確保できないと考えられる。このように、十分な転相時間を確保できない状況下では、プレートアウトしにくなるため、エマルション圧延油のスプレー流量を増やしても、プレートアウト量の増加しない現象が発生すると考えられる。
【0024】
速度1800m/minにおいて、一定のロールクーラント流量を超えると、摩擦係数が変化しなくなるのは、上述したように十分な転相時間の得られないことが原因と推定される。これに対し、速度1000m/minのときに、ロールクーラント流量を変更し、より低い摩擦係数まで変更できるのは、低速であるため、転相時間を確保でき、ロールクーラント流量に応じてプレートアウト量を変更できるからであると考えられる。
【0025】
以上の検討結果は、最終スタンドの速度1800m/minを越える高速圧延条件下では、チャタリングを防止するためにロールクーラント流量を変更しても、圧延潤滑性を制御できないため、十分な効果を得られないことを示唆している。
【0026】
以上のような知見に基づき、本発明者らは、1800m/min以上の高速圧延条件下でも圧延潤滑性を大きく変更できる方法について鋭意検討した結果、ロールバイト入側より可能な限り離れた上流スタンド側に近い鋼板位置にクーラントヘッダーを設置し、循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油をスプレーし、その流量を調整する方法を見出した。この方法について、以下に詳細に述べる。
【0027】
図9は、No.5スタンド(最終スタンド)のロールクーラント用スプレーヘッダーの設置位置をロールバイト入側より離れた上流スタンド側の位置に移設し、鋼板表面へ向けてスプレーするようにした場合の、スプレーヘッダーの配置を示すものである。スプレーヘッダーAは、従来のロールクーラント用のスプレーヘッダーであり、スプレーヘッダーB、C、Dは、ロールバイト入側より各々0.5m、1.5m、2.5m離れた位置に設置したものである。
【0028】
なお、スタンド間距離は4.5mであるが、スタンド間にはテンションロールやデフレクターロール(デフロール)が設置されており、これよりも上流側でエマルション圧延油をスプレーしても、テンションロールやデフロールにより絞られるため、実際には、ロールバイト入側より最大限に離れたスプレーヘッダーの位置は、スタンド間のテンションロールやデフロールの直後となる。これに相当するのが、図9中のスプレーヘッダーDである。
【0029】
図10は、図9に示すタンデム圧延機において、最終スタンドの速度1800mpmで圧延したときに、最終スタンド入側で鋼板表面へ向けたスプレー流量(以下、ストリップクーラント流量と称す)と最終スタンドの摩擦係数の関係を調査した結果である。スプレーヘッダーの取り付け位置をロールバイトより離し、上流スタンド側に近づけるほど、ストリップクーラント流量の変更による摩擦係数の変更範囲は広くなり、また、同じストリップ・クーラント流量のときの摩擦係数も低くなる。また、一定のスプレー流量が一定値を越えると一定の摩擦係数で飽和する現象も解消される傾向にある。
【0030】
図11は、圧延材表面の付着油量の調査結果である。なお、ストリップクーラント流量がゼロのときに、鋼板付着油量がある値をもつのは、上流スタンドで圧延後に、鋼板上に圧延油が残存しているためである。これによると、鋼板付着油量は摩擦係数と対応しており、スプレーヘッダーの取り付け位置をロールバイトより離し上流スタンド側へ近づけるほど多くなる。
【0031】
この理由は以下の通りである。すなわち、速度1800m/minを越える高速圧延条件下においても、鋼板へエマルション圧延油をスプレーする位置を、ロールバイトより離れた上流スタンド側に近づけるほど、プレートアウトの転相時間を確保でき、プレートアウト層を形成しやすくなる。すなわち、同じストリップクーラント流量でも、転相時間を長く取るほどプレートアウト量は多くなり、従って、ストリップクーラント流量の変更に対するプレートアウト量の変化も大きくなる。その結果として摩擦係数の変化も大きくなる。
【0032】
なお、上記ストリップ・クーラントの流量制御を行なう圧延スタンドは、チャタリングの発生したスタンド、又はチャタリングの発生したスタンドとその上流側のスタンドとするのが有効であるが、実際には、発生頻度の高い最終スタンド、もしくは、最終スタンドとその1つ上流側のスタンドとするのが望ましい。
【0033】
また、本手段において、「ロールバイトより離れた上流側」とは、従来のストリップ・クーラントの位置より上流側であることを示すものであるが、前述のように、ロールバイトよりの距離が離れれば離れるほど効果が大きくなる。また、「エマルション圧延油の流量を調整する」とは、チャタリングが発生した場合に、例えば、チャタリングの程度によりその流量を変更する(チャタリングが大きければ流量を大きくする)とか、チャタリングが解消するまで、順次流量を増加させるとか、種々の方法が考えられる。
【0034】
また、「当該スタンド又は当該スタンドとその上流側スタンドのロールバイトより離れた上流側の鋼板に循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油をスプレーし、」とは、実プロセスにおいては、このようなことを行う圧延機において、循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油をスプレーする配管をロールバイト位置より離れた上流側に設けておき、チャタリングが発生しない場合にもこの配管よりスプレーを行っておき、チャタリングが発生した場合に、その流量を変化させる方法をも含むものである。もちろん、チャタリングが発生しない場合は、ロールバイト近くの配管(従来技術の配管)よりエマルション圧延油のスプレーを行い、チャタリングが発生したときのみ、ロールバイト位置から離れたスプレーからエマルション圧延油を切り換えて、又は重複してスプレーするようにしてもよいが、設備的、制御の安定性からは、同一配管からスプレーする方が好ましい。
【0035】
前記課題を解決するための第2の手段は、冷間連続圧延機により冷間圧延鋼板を製造する方法であって、循環式圧延油供給系統とは別に圧延油供給系統を設け、冷間連続圧延機のスタンドのチャタリングが検出されたとき、循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油を、前記別圧延油供給系統より、当該スタンド又は当該スタンドとその上流側スタンドのロールバイトより離れた上流側の鋼板にスプレーし、かつ、その流量を調整することによってチャタリングを防止しながら冷間圧延を行う工程を有してなることを特徴とする冷間圧延鋼板の製造方法(請求項2)である。
【0036】
また、前記課題を解決するための第3の手段は、前記第2の手段であって、エマルション圧延油の平均粒径が20μm以上であることを特徴とするもの(請求項3)である。
【0037】
2500m/minを越える超高速圧延の場合、ストリップ・クーラント用スプレーヘッダーの取り付け位置をロールバイト入側から上流スタンド側へ最大限に近づけても、十分な転相時間の確保が困難となり、前記第1の手段による循環系統のエマルション圧延油のストリップ・クーラントの流量制御では、十分な効果の得られない場合がある。
【0038】
発明者らは、十分な転相時間の確保が困難となる2500m/min以上の超高速圧延条件下でも、ストリップ・クーラント流量の調整により圧延潤滑性を大きく変更できる方法について鋭意検討した結果、循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油を、ロールバイトから離れた上流スタンド側の鋼板位置でスプレーし、その流量を調整する方法を見出した。この方法について、以下に詳述する。
【0039】
一般的に、循環式圧延油供給系統で用いられるエマルション圧延油は循環使用されるため、乳化分散性が重視され、平均粒径の小さいエマルション圧延油が用いられる。この理由は、平均粒径の大きいエマルション圧延油を用いると、圧延により発生する摩耗粉や鋼板が持ち込む鉄粉などの混入により、エマルション粒子は容易に崩壊し、乳化分散性が経時的に変化しやすくなり、それに伴い、圧延の不安定化、鋼板表面の光沢性の変化などの発生が問題となるためである。
【0040】
これに対し、図12は、牛脂系圧延油にカチオン系界面活性剤を添加し、循環系統のエマルション圧延油の平均粒径が10μmである場合に、これよりも平均粒径の大きい20μmのエマルションを図9に示すスプレーヘッダーDより鋼板表面にスプレーした場合の、圧延速度2500m/minにおけるストリップ・クーラント流量とNo.5スタンドの摩擦係数の関係を示す。比較として循環系統と同じ平均粒径10μmのエマルション圧延油をスプレーした場合の摩擦係数も示す。
【0041】
図12を見ると分かるように、平均粒径20μmの方が摩擦係数は低くなっている。また、平均粒径10μmの場合には、一定のストリップ・クーラント流量以上で摩擦係数が飽和する現象が見られるが、平均粒径20μmの場合には、この現象は見られなくなる。
また、図13は圧延材表面の付着油量の測定結果を示すものであるが、平均粒径20μmのエマルションの方が付着油量は多く、摩擦係数と対応している。
【0042】
図14は、圧延速度2500m/minにおいて、エマルション圧延油の平均粒径を5〜30μmの範囲で変更し、流量を0〜4000L/minの範囲で変更したときの、摩擦係数の変化量とエマルション平均粒径の関係を示すものである。これによると、平均粒径の増加とともに摩擦係数の変化量は増加し、特に、平均粒径が20μm以上で摩擦係数の変化量が急激に拡大する。
【0043】
上述した結果は、エマルション圧延油の平均粒径が大きくなると、プレートアウト量が増加するため、エマルションの供給量の変更に対する摩擦係数の変化が大きくなるためである。
【0044】
以上より、循環系統よりも平均粒径の大きいエマルション圧延油を、ロールバイトより離れた上流スタンド側の鋼板位置でスプレーし、その流量を調整することで、圧延速度2500m/minでも圧延潤滑性を制御できることがわかる。
また、前述のように、スプレーするエマルション圧延油の平均粒径を20μm以上とすることで、高速圧延における摩擦係数を急激に低減することができる。
【0045】
なお、平均粒径の大きいエマルション圧延油は循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油には適さないので、循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油を、前記別圧延油供給系統より、スプレーする場合でも、こうした操作を行わない上流側スタンド(例えば全5スタンドの圧延機の場合No.1〜No.3スタンド)においては、通常(従来の)循環式圧延油供給系統から、従来と同様の平均粒径のエマルション圧延油を供給するようにしている。
【0046】
また、「当該スタンド又は当該スタンドとその上流側スタンドのロールバイトより離れた上流側の鋼板にスプレーし、」とは、実プロセスにおいては、このようなことを行う圧延機において、チャタリングが発生しない場合にも別圧延油供給系統よりこの配管より循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油のスプレーを行っておき、チャタリングが発生した場合に、その流量を変化させる方法をも含むものである。
【0047】
もちろん、このようなスタンドにおいても、従来の循環式圧延油供給系統の圧延油をロールバイト近くに設け、チャタリングが発生しない場合は、ロールバイト近くの配管(従来技術の配管)より循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油のスプレーを行い、チャタリングが発生したときのみ、別圧延油供給系統のスプレーから大きな平均粒径のエマルション圧延油を切り換えて、又は循環式圧延油供給系統からスプレーされるエマルション圧延油に重複してスプレーするようにしてもよいが、設備的、制御の安定性からは、チャタリングが発生しない場合でも、別圧延油供給系統の配管より循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整したエマルション圧延油のスプレーを行う方が方が好ましい。
【0048】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第2の手段又は第3の手段であって、循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整されたエマルジョン圧延油が、循環式圧延油供給系統と同一種類・同一の対油分濃度とされており、鋼板表面に付着しなかった別圧延油供給系統のエマルション圧延油を、循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油に合流させることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0049】
また、前記課題を解決するための第5の手段は、前記第4の手段であって、エマルション圧延油を循環式圧延油供給系統よりも大きな平均粒径となるように調整する方法が、循環式圧延油供給系統と同一種類・同一の対油分濃度の圧延油に、循環式圧延油供給系統と同一種類・同一の対油分濃度の界面活性剤を添加して攪拌器の回転数を調整する方法であることを特徴とするもの(請求項5)である。
【0050】
前述のように、平均粒径の大きいエマルジョン圧延油をスプレーすることは、高速圧延における摩擦係数の低下に効果があるのであるが、一方、前述したように、平均粒径の大きいエマルション圧延油は循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油には適さないという問題がある。これに対し、循環式圧延油供給系統とは別に圧延油供給系統を設け、圧延油原油、界面活性剤、および希釈水を新たに調合し、平均粒径の大きいエマルション圧延油を作成して鋼板表面にスプレーする方法も考えられる。しかし、鋼板表面にスプレーされた後、鋼板表面にプレートアウトしない分は、循環系統のエマルション圧延油と合流されるため、循環系統のエマルション圧延油の乳化分散性への影響を最小化する必要がある。
【0051】
上述した課題について鋭意検討した結果、別圧延油供給系統のエマルション圧延油に添加する乳化分散のための界面活性剤を循環式圧延油供給系統と同一種類・同一の対油濃度とすればよいことを見出し、さらに、平均粒径の調整をタンクに設置された攪拌器の回転数による機械的攪拌条件の調整により行なうことを見出した。
【0052】
図15は、攪拌機における攪拌回転数と平均粒径の関係を示すものであるが、これによると、別系統のエマルション・タンクの攪拌器の回転数の調整により平均粒径の大きいエマルション圧延油を建浴できることがわかる。
【0053】
また、別圧延油供給系統から鋼板表面に供給されるエマルション圧延油のうち、鋼板表面にプレートアウトしなかったエマルション圧延油は循環式圧延油供給タンクに合流するが、循環式圧延油供給系統のエマルション・タンク内での強攪拌、および循環系統内のポンプおよびノズルでの強いせん断を繰り返し受けると、循環系統のエマルション圧延油と同じ平均粒径の小さいエマルションになる。このため、循環式圧延油供給系統の乳化分散安定性を維持することができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、全5スタンドのタンデム圧延機において、本発明を実施する場合の設備の1例である。図1は、請求項1に係る発明をチャタリング発生頻度の高い最終スタンドに適用した場合の実施の形態である。
【0055】
以下の図において、1はワークロール、2はバックアップロール、3はストリップ、4aは従来の潤滑用クーラントヘッダー、4bは冷却用クーラントヘッダー、5は本発明における潤滑用クーラントヘッダー、6は循環式圧延油供給タンク、7はエマルジョン供給用ポンプ、8は圧延油供給ライン、9a、9bは流量制御弁、10は流量制御弁、11は回収オイルパン、12は戻り配管、13はアジテータ、14はミルハウジング、15は振動計、16は演算器、17はストリップ・クーラント流量制御装置、18は平均粒径の大きいエマルション圧延油の貯蔵タンク、19は温水タンク、20は圧延油原油タンク、21は界面活性剤タンク、22a、22b、22cはポンプ、23a、23b、23cはバルブ、24はアジテータ、25はエマルション供給用ポンプ、26は圧延油供給ラインを示す。圧延機の構造、ストリップ・クーラントシステムの構成等に付いては、周知のものであるので、説明を省略する。
【0056】
本発明によれば、No.5スタンド入側のストリップ・クーラント用のスプレーヘッダーの設置位置は、No.4スタンドの出側ロールバイトの直後とするとエマルションの転相時間を最も長くできる。しかし、スタンド間には、テンションロールやデフロールが設置されており、これよりも上流側でエマルション圧延油をスプレーしてもテンションロールやデフロールにより絞られるため、十分なプレートアウト量を得られなくなる。これを回避するために、本実施の形態においては、潤滑用クーラントヘッダー5を、スタンド間のテンションロール及びデフロールの直後に設置している。ロールバイトからの位置は、L=2.6m程度である。
【0057】
装置6は、循環式圧延油供給系統のエマルション圧延油の貯蔵タンクである。エマルション圧延油は、攪拌器16の回転数の調整により、所望の平均粒径に調整される。例えば、カチオン系界面活性剤を用いた場合、平均粒径9〜15μmであったが、それ以外の乳化型界面活性剤の場合、9μm以下になる場合もある。そして、ポンプ7により、圧延油供給ライン8を経由して各スタンドに供給され、No.5スタンド入側のストリップ・クーラント用のスプレーヘッダー5、No.1〜4スタンドの入側のロール・クーラント用のスプレーヘッダー4a、No.1〜5スタンド出側に設置されたロール冷却用のロール・クーラント用のスプレーヘッダー4bに供給される。各スタンドでは、流量制御弁9a、9bによりエマルション供給量を制御するが、No.5スタンド入側のストリップ・クーラント用のスプレーヘッダー5については、流量調整弁10を設置してある。各スタンドに供給されたエマルション圧延油は、回収オイルパン11により回収され、戻り配管12を経由してタンク6に戻され、循環使用される。
【0058】
最終スタンドのハウジング14には、振動計15が設置されている。この振動計15から出力される信号は、演算器16に入力され、圧延機の固有振動数と同じ振動数だけがフィルターにより抽出され、フィルター通過後の振動速度が計算される。そして、一定の振動速度をチャタリング発生の閾値とし、実際の振動速度との比較演算がなされ、閾値を超えたときにストリップ・クーラント流量制御装置17に制御信号を出力する。
【0059】
この制御信号を受けると、ストリップ・クーラント流量制御装置17は、ストリップ・クーラント流量を一定量だけ増加させるするように、流量調整弁10の開度を制御する。この工程は、振動速度が、チャタリング発生の閾値を下回るまで繰り返し実施され、ストリップ・クーラント流量は適正値に修正される。なお、一回の工程で変更されるストリップ・クーラント流量は、流量変更に伴う板振動の発生が問題にならない最大流量とし、あらかじめ調査により決定しておく。
【0060】
なお、上記実施の形態は、最終スタンドに本発明を適用するとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図2に示すように、最終スタンドおよびその上流側スタンドに適用してもよい。また、チャタリングが検出されたスタンド(例えばNo.5スタンド)だけでなく、その前方のスタンド(例えばNo.4スタンド)においても、ロールバイトから離れた位置に設けられた潤滑用クーラントヘッダー5からのストリップ・クーラントの流量を調整するようにしてもよい。
【0061】
図3は、本発明の実施の形態の他の例を実施する設備の1例であり、全5スタンドのタンデム圧延機の最終スタンドに適用した場合である。スプレーヘッダーの配置、循環式圧延油供給系統、振動計およびストリップ・クーラント制御装置などに関しては、図1に示された設備と同じである。
【0062】
図3中の装置18は循環式圧延油供給系統よりも平均粒径の大きなエマルション圧延油を貯蔵するタンクである。温水、圧延油原油、界面活性剤は、各タンク19、20、21より供給ポンプ22a、22b、22cを経由し、所定の油分濃度、界面活性剤の対油濃度となるように流量調整弁23a、23b、23cで補給量を調整され、エマルション貯蔵タンク18へ供給される。タンク内のエマルション濃度、界面活性剤の対油濃度、およびエマルション温度は、循環式圧延油供給系統と同一とする。タンク内の平均粒径は、攪拌器24の回転数の調整により循環式圧延油供給系統よりも平均粒径の大きなエマルションとする。
【0063】
例えば、基油を牛脂とし、乳化分散剤にカチオン系分散型の界面活性剤を対油濃度0.6%添加する場合、循環式圧延油供給系統のタンク6内で建浴されるエマルションの平均粒径は約9〜10μmとなる。これ以外の乳化型界面活性剤の場合は、循環系統で9μm以下となる場合もある。これに対し、別系統のタンク18内の平均粒径は30μmとなるように調整される。
【0064】
この平均粒径の大きいエマルション圧延油は、ポンプ25により、圧延油供給ライン26を経由してスプレーヘッダー5よりストリップの上下面に供給される。ストリップ・クーラント流量は、ハウジング14に設置された振動計出力に基づき、演算器16、ストリップ・クーラント流量制御装置17を経由し、振動速度が、チャタリング発生の閾値を下回るように制御される。
【0065】
鋼板へのスプレー後、鋼板にプレートアウトしないエマルション圧延油は、回収オイルパン11にて、循環系エマルションとともに回収され、戻りライン12を経由して循環式圧延油供給タンク6内に混入する。混入後、タンク内の攪拌器13により攪拌され、さらに循環系統内のポンプ7およびスプレーヘッダーのノズル部での強いせん断を繰り返し受け、循環系エマルションと同じ粒径まで細分化され、タイトなエマルションとなる。
【0066】
上記実施の形態は、最終スタンドに本発明を適用するとして説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図4に示すように、最終スタンドおよびその上流側スタンドに適用してもよい。また、チャタリングが検出されたスタンド(例えばNo.5スタンド)だけでなく、その前方のスタンド(例えばNo.4スタンド)においても、ロールバイトから離れた位置に設けられた潤滑用クーラントヘッダー5からのストリップ・クーラントの流量を調整するようにしてもよい。
【0067】
【実施例】
(実施例1)
図1に示す全5スタンドの冷間タンデム圧延機を用い、母材厚1.8mm、板幅900mmの硬質ブリキ原板を仕上げ厚0.183mmまで、目標速度1850m/minで圧延した。比較例として、No.5スタンド入側でロールクーラントをスプレーする従来方式でも同じ材料を圧延した。圧延油は合成エステル系(40℃における動粘度53cSt)を用い、濃度3.5%とした。また、乳化型界面活性剤を対油分濃度0.3wt%添加し、タンク内にて十分な攪拌を加えた後、平均粒径7μm、温度60℃のエマルションとした。
【0068】
圧延機の固有振動数は220Hzである。圧延機の固有振動数と同じ振動数だけをフィルターにより抽出した後の振動速度が0.4mm/sを越えると板厚変動が生じ、さらに0.5mm/sを越えるとミル振動が可聴域に達し、板破断等が発生する。そこで、チャタリング発生の振動速度の閾値を0.3mm/sと定めた。
【0069】
図16は、チャタリング発生時に従来方式の最終スタンド入側のロール・クーラント流量を制御した場合の、圧延速度、振動速度、ロール・クーラント流量、および摩擦係数の関係を示す。最終スタンドの速度が1500m/minを越えたあたりで、振動速度が0.3mm/sを超えた。このときの摩擦係数も、速度上昇に伴い急激に上昇している。振動速度0.3mm/sを超えた後、ロールクーラント流量は増加されたが、No.5スタンドの摩擦係数に変化はみられず、振動速度も0.3mm/s以下にすることができなかった。このため、以降の圧延は、振動速度を0.3mm/s以下にするために圧延速度を1350m/minまで落として行われた。
【0070】
これに対し、図17は、本発明(請求項1)を最終スタンドに適用した場合の、圧延速度、振動速度、摩擦係数、およびストリップ・クーラント流量の関係を示す。本発明を適用した場合の方が摩擦係数は低くなっている。これは、本発明に従って、ストリップ・クーラント用のスプレー・ヘッダーをロールバイトから上流側に離れた位置とすることで、エマルションの転相時間を確保でき、従来のロールクーラントを用いるよりもプレートアウト量が上昇するためである。速度1700m/minを越えた辺りで振動速度が0.3mm/sを越えたが、ストリップ・クーラント流量は段階的に増加され、これに伴い振動速度は徐々に低下した。このとき、摩擦係数も低下しているのがわかる。ストリップ・クーラント流量は、振動速度が0.3mm/sを下回るまで増加された。以降、圧延速度は徐々に上げられ、速度1850m/minまで加速できた。
【0071】
以上の結果が示すように、本発明(請求項1)を用いることにより、速度1800m/minの高速圧延条件下でもストリップ・クーラント流量の変更により圧延潤滑性を制御できるため、振動速度をチャタリングによる板厚変動および板破断の発生しないレベルに保持したまま、高速圧延を達成できる。
【0072】
図18は、請求項1の発明を適用した場合のチャタリング発生による板破断および板厚変動等の発生頻度の例をまとめた結果である。図に見られるように、本発明の適用により、チャタリングによる異常板厚の発生および板破断を大きく低減できた。
【0073】
また、図19は、本発明(請求項1)の実施例と従来方式の、平均圧延速度の分布を示すものであるが、本発明を用いることにより、平均圧延速度は従来方式の1320m/minから1810m/minに改善できた。
【0074】
(実施例2)
図3に示す全5スタンドの冷間タンデム圧延機を用い、母材厚2.3mm、板幅900mmの硬質ブリキ原板を仕上げ厚0.200mmまで、目標速度2550m/minで圧延した。比較例として、No.5スタンド入側でロールクーラントをスプレーする従来方式でも同じ材料を圧延した。圧延油は牛脂(40℃における動粘度43cSt)を用い、濃度3.5%とした。また、カチオン系分散型の界面活性剤を対油分濃度0.6wt%添加し、タンク内にて十分な攪拌を加えた後、平均粒径9μm、温度60℃のエマルションとした。また、本発明(請求項5)により、別圧延油供給系統のエマルション圧延油の濃度、添加する界面活性剤の対油分濃度、および温度は循環系統と同一とし、平均粒径はタンク内の攪拌回転数の調整により20μmとされた。
圧延機の固有振動数は実施例1と同様に220Hzであり、チャタリング発生の振動速度の閾値も実施例1と同一とした。
【0075】
図20は、従来方式の場合の、圧延速度、振動速度、ロールクーラント流量、および摩擦係数の関係を示す。最終スタンドの速度1650m/minを越えたあたりで、振動速度が0.3mm/sを超えた。この時の摩擦係数も速度上昇に伴い、急激に上昇している。これに対し、ロールクーラント流量は振動速度0.3mm/sを越えた後に増加されたが、摩擦係数に変化はみられず、振動速度も0.3mm/s以下にすることができなかった。このため、振動速度を0.3mm/s以下にするために、以降の圧延は、速度1550m/minまで落として行われた。
【0076】
これに対し、図21は、本発明(請求項5)を最終スタンドに適用した場合の、圧延速度、振動速度、ストリップ・クーラント流量、および摩擦係数の関係の例を示す。従来方式の場合と比較すると、本実施例におけるストリップ・クーラント流量の方が低い。これは、本発明のストリップ・クーラント用のスプレー・ヘッダーの位置の方が転相時間を確保でき、さらに平均粒径の大きいエマルション圧延油を用いているため、従来のロールクーラントを用いるよりもプレートアウト量が上昇するためである。
【0077】
最終スタンドの速度2000m/minを越えたあたりで、振動速度が0.3mm/sを越えたが、ストリップ・クーラント流量は段階的に増加され、これに伴い振動速度は徐々に低下した。そして、振動速度が0.3mm/sを下回るまでストリップ・クーラント流量は増加された。また、ストリップ・クーラント流量の増加と共に、摩擦係数も低下しているのがわかる。以降、圧延速度が徐々に上げられ、速度2350m/minでも振動速度が0.3mm/secを越えたが、同様なストリップ・クーラント流量の制御が行なわれ、最終的には速度2550m/minまで加速できた。
【0078】
図22は、本実施例を行ったときの、循環系統タンク6のエマルション圧延油の粒径分布を調査した結果である。比較として、従来方式を用いた場合の粒径分布も示す。これによると、両者はほぼ一致している。これより、請求項5の発明によれば、循環系統よりも平均粒径の大きいエマルション圧延油を用いても、循環系統タンク6内のエマルション圧延油の乳化分散性を保持できることがわかる。
【0079】
以上の結果が示すように、請求項5の発明を用いることにより、速度2500m/min以上の超高速圧延条件下でもクーラント流量の変更により圧延潤滑性を制御できるため、振動速度をチャタリングによる板厚変動および板破断の発生しないレベルに保持したまま、高速圧延を達成できる。また、平均粒径の大きいエマルション圧延油を用いても、循環系統タンクの乳化分散性を安定に保持できる。
【0080】
図23は、チャタリング発生による板破断および板厚変動等の発生頻度をまとめた結果である。これより、本発明の適用により、チャタリングによる異常板厚の発生および板破断を大きく低減できることが分かる。また、図24は、請求項5の発明の実施例と従来方式の、平均圧延速度の分布を示すものであるが、これを見るとわかるように、本発明を用いることにより、平均圧延速度は、従来方式の1510m/minから2520m/minに改善できた。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る発明によれば、高速圧延状態においても、チャタリングが発生したとき、ストリップ・クーラント流量を調整することにより、摩擦係数を変化させることができ、これによってチャタリングを解消することができる。よって、安定した状態で、高速圧延により冷延鋼板を製造することができる。
【0082】
請求項2に係る発明においては、さらに高速の圧延速度領域で、チャタリングが発生したとき、エマルション圧延油流量を調整することにより、摩擦係数を変化させることができ、これによってチャタリングを解消することができる。よって、安定した状態で、さらに高速な圧延により冷延鋼板を製造することができる。
【0083】
請求項3に係る発明においては、さらに確実に摩擦係数を低減することができ、高速な圧延により、安定した状態で、冷延鋼板を製造することができる。
【0084】
請求項4に係る発明、請求項5に係る発明においては、循環系統のエマルション圧延油の乳化分散性への影響を最小化することができる。
【0085】
いずれの発明においても、チャタリングの防止により、板破断、板厚変動に伴う品質欠陥を大幅に減少させることが可能となる。また、高速圧延が可能となり、生産性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための圧延機の構成の第1の例を示す図である。
【図2】本発明を実施するための圧延機の構成の第2の例を示す図である。
【図3】本発明を実施するための圧延機の構成の第3の例を示す図である。
【図4】本発明を実施するための圧延機の構成の第4の例を示す図である。
【図5】従来のスプレーヘッダーの配置位置を示す図である。
【図6】従来の入側ロールクーラント流量と摩擦係数の関係を示すグラフである。
【図7】プレートアウト試験装置の概要を示す図である。
【図8】プレートアウト試験結果(転相時間とプレートアウト量の関係)を示すグラフである。
【図9】第5スタンド入側のストリップ・クーラント用のスプレーヘッダーの取り付け位置を示す図である。
【図10】ストリップ・クーラント流量と摩擦係数の関係を示すグラフである。
【図11】ストリップ・クーラント流量と鋼板付着油量の関係を示すグラフである。
【図12】ストリップ・クーラント流量と摩擦係数の関係を示すグラフである。
【図13】ストリップ・クーラント流量と鋼板付着油量の関係を示すグラフである。
【図14】エマルション平均粒径と摩擦係数の変更範囲の関係を示すグラフである。
【図15】攪拌回転数と平均粒径の関係を示すグラフである。
【図16】従来方式によるチャタリング防止効果を示す図である。(実施例1の比較例)
【図17】実施例1によるチャタリング防止効果を示す図である。
【図18】請求項1に係る発明の実施例と従来方式の圧延における板厚変動および板破断の発生頻度を比較して示した図である。
【図19】請求項1に係る発明の実施例と従来方式の圧延方法における最高圧延速度を比較して示した図である。
【図20】従来方式によるチャタリング防止効果を示す図である(実施例2の比較例)
【図21】実施例2によるチャタリング防止効果を示す図である。
【図22】実施例2における循環系統タンク内の粒径分布を示す図である。
【図23】請求項5に係る発明の実施例と従来方式の圧延における板厚変動および板破断の発生頻度を比較して示した図である。
【図24】請求項5に係る発明の実施例と従来方式の圧延方法における最高圧延速度を比較して示した図である。
【符号の説明】
1…ワークロール、2…バックアップロール、3…ストリップ、4a…従来の潤滑用クーラントヘッダー、4b…冷却用クーラントヘッダー、5…本発明における潤滑用クーラントヘッダー、6…循環式圧延油供給タンク、7…エマルジョン供給用ポンプ、8…圧延油供給ライン、9a、9b…流量制御弁、10…流量制御弁、11…回収オイルパン、12…戻り配管、13…アジテータ、14…ミルハウジング、15…振動計、16…演算器、17…ストリップ・クーラント流量制御装置、18…平均粒径の大きいエマルション圧延油の貯蔵タンク、19…温水タンク、20…圧延油原油タンク、21…界面活性剤タンク、22a、22b、22c…ポンプ、23a、23b、23c…バルブ、24…アジテータ、25…エマルション供給用ポンプ、26…圧延油供給ライン[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a cold rolled steel sheet using a tandem rolling mill having a circulating rolling oil supply system, and more particularly, in high speed rolling, by preventing chattering of the rolling mill, The present invention relates to a method for producing a cold-rolled steel sheet without a sheet.
[0002]
[Prior art]
In a cold rolling mill that performs high-speed rolling of a thin steel plate, one of the phenomena that hinders stable rolling is an abnormal vibration phenomenon accompanied by noise called chattering. When this chattering occurs, fluctuations in sheet thickness and tension between rolling stands occur, and in some cases, the steel sheet may be broken. As a result, quality and yield decrease due to fluctuations in sheet thickness, roll unit intensity deteriorates due to sheet breakage, and equipment operation rate decreases.
[0003]
The chattering phenomenon is a self-excited vibration phenomenon of a roll system of a rolling mill. Therefore, it is known that the vibration frequency coincides with the natural frequency of the rolling mill. This frequency is usually several tens to several hundreds Hz.
[0004]
One of the causes (trigger) of chattering (self-excited vibration) is that as rolling progresses, the work roll roughness decreases, and the coefficient of friction between the work roll and the rolled material decreases. It has been said that a state of excessive lubrication occurs, and accordingly, the advance rate becomes negative (that is, the neutral point jumps out of the roll bite) and the rolling becomes unstable (for example, , Iron and Steel, 73 (1987) No. 10, p.1358).
[0005]
On the other hand, with the recent trend toward tin and hard gauge, which is the product trend of tinplate materials, the rolling speed has been further increased in order to improve productivity, and high-speed rolling exceeding 1800 m / min is being carried out. And in the production process of such a product, chattering due to insufficient lubrication occurs, which is an impediment to high-speed rolling.
As can be seen from the above, the chattering phenomenon is greatly affected by the rolling lubricity, and the occurrence of chattering due to insufficient lubrication becomes a problem particularly in the high-speed rolling region.
[0006]
To date, as a technique for preventing chattering, a technique described in Japanese Patent Publication No. 3-50602 has been known. In this technology, a vibration meter is installed in the housing of the rolling mill to detect the housing vibration, and only the frequency that characterizes the chattering phenomenon, that is, the natural frequency of the rolling mill is extracted by a filter, and the vibration speed after passing through the filter ( When the value used in ISO 2372 and the like exceeds a certain value, sheet thickness variation and sheet breakage due to chattering are prevented by adjusting the rolling conditions. Specific methods for adjusting the rolling conditions include a method of reducing the rolling speed, a method of changing the rolling schedule of the tandem rolling mill, and a method of changing the spray flow rate of the emulsion rolling oil.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, any of the methods for adjusting rolling conditions described in Japanese Patent Publication No. 3-50602 has a problem that sufficient effects cannot be exhibited under high-speed rolling conditions.
That is, the method of reducing the rolling speed can prevent chattering, but cannot achieve a high rolling speed. Also, in the method of changing the rolling schedule, the rolling schedule is changed by changing the roll peripheral speed ratio of each stand. This causes rapid fluctuations in the tension, destabilizes the rolling, and in some cases causes sheet breakage.
[0008]
Moreover, there existed the following problems regarding the method of adjusting the spray flow rate of emulsion rolling oil. That is, in a cold tandem rolling mill having a circulating rolling oil supply system, an emulsion rolling oil prepared by previously mixing and stirring rolling oil with cooling water is used for the purpose of lubrication and cooling. Spraying from the nozzle on the surface ("Theory and practice of plate rolling", Japan Iron and Steel Institute, p. 208). In such an emulsion rolling oil spray system, the method of adjusting the flow rate of the emulsion rolling oil supplied to the work roll (hereinafter referred to as the roll coolant flow rate) is as high as 1800 m / min. A sufficient effect could not be obtained under high speed rolling conditions.
[0009]
The present invention has been made in view of such circumstances, and even when high-speed rolling exceeding 1800 m / min is performed in a cold tandem rolling mill having a circulating rolling oil supply system, abnormal sheet thickness is generated due to chattering. It is another object of the present invention to provide a method for producing a cold-rolled steel sheet that is free from defects and prevents the occurrence of sheet breakage.
[0010]
[Means for solving problems]
The first means for solving the problem is a method of manufacturing a cold rolled steel sheet by a cold continuous rolling mill, and when the chattering of the stand of the cold continuous rolling mill is detected, the stand or the stand Spraying the rolling mill oil supply system emulsion rolling oil onto the upstream steel plate away from the upstream stand roll bite and adjusting the flow rate to perform cold rolling while preventing chattering It is a manufacturing method (Claim 1) of the cold-rolled steel plate characterized by having.
[0011]
In order to achieve the above-mentioned problems, the present inventors have made extensive studies on a chattering prevention method by adjusting the spray flow rate of emulsion rolling oil in a tandem rolling mill. The reason for paying attention to this method is that the method of controlling the rolling lubricity is considered to be most effective in preventing chattering due to the fact that the occurrence of chattering is greatly affected by the rolling lubricity.
[0012]
In order to prevent chattering, chattering occurs when the vibration of the housing is detected, only the same frequency as the rolling mill's natural frequency is extracted by a filter, and the vibration speed after passing the filter exceeds a certain value. It is necessary to detect the occurrence of chattering by the above-described method for determining that the rolling lubrication has been performed, and to greatly control the rolling lubricity by adjusting the spray flow rate of the emulsion rolling oil. In order to confirm this point, the relationship between the roll coolant flow rate and the friction coefficient was investigated.
[0013]
FIG. 5 shows the arrangement of the emulsion and spray headers in the circulating rolling oil supply system in a tandem rolling mill with 5 stands. The roll coolant is installed on the entry side and the exit side of the stand. The entry side roll coolant serves both as lubrication and cooling, and the exit side roll coolant is for roll cooling.
[0014]
The mechanism by which the entry side roll coolant functions as lubrication is as follows. That is, some emulsion particles (oil particles) that directly collide with the upper work roll surface adhere to the work roll surface as an oil film, and the emulsion rolling oil that did not adhere on the upper surface side of the steel sheet stays on the steel sheet surface. Oil also adheres to the upper surface side of the steel plate. And the emulsion rolling oil which did not plate out a water | moisture content falls from the board end. On the other hand, among the emulsion rolling oil sprayed on the lower work roll, a part of the emulsion particles that directly collide with the roll surface simply adheres as an oil film to the roll surface and immediately falls without staying on the steel plate. The phenomenon that the oil particles in this emulsion rolling oil adhere to the steel plate and the roll surface is called plate-out. The work roll and the plate-out layer on the surface of the steel sheet are introduced into the roll bite and function as a lubricating oil film.
[0015]
FIG. 6 shows the final stand (No. 5 stand) having a high occurrence frequency of chattering in the tandem rolling mill shown in FIG. 5 when the final stand has a low speed rolling condition of 1000 m / min and a high speed rolling condition of 1800 m / min. This is the result of investigating the relationship between the inlet side roll coolant flow rate and the friction coefficient. The roll coolant flow rate is the total flow rate of the upper and lower spray headers.
[0016]
According to this, when the speed is 1000 m / min, the friction coefficient is greatly decreased as the roll coolant flow rate is increased, and the friction coefficient, that is, the rolling lubricity can be largely controlled by adjusting the roll coolant flow rate. On the other hand, when the speed is 1800 m / min, the friction coefficient is higher than the speed of 1000 m / min, and it is understood that the lubrication state is deteriorated. Also, at a speed of 1800 m / min, when the roll coolant flow rate exceeds a certain value, the friction coefficient hardly changes, and the adjustment of the roll coolant flow rate cannot reduce the friction coefficient below a certain value, that is, rolling. It can be seen that the lubricity cannot be improved. This suggests that a sufficient effect cannot be obtained by adjusting the flow rate of the roll coolant to prevent chattering due to insufficient lubrication, which is a problem under high-speed rolling conditions.
[0017]
One of the reasons why the friction coefficient at a speed of 1800 m / min is high is that when the rolling speed is high, the amount of emulsion rolling oil supplied per unit area of the steel sheet decreases due to the decrease in spray time, and the plate-out amount decreases. Is mentioned. As another reason, as described in detail below, there is an influence of a phenomenon depending on the time after the plate-out of the emulsion rolling oil reaches the spray surface of the steel plate.
[0018]
In addition, when the flow rate exceeds 1800 m / min and exceeds a certain roll coolant flow rate, the phenomenon that the friction coefficient cannot be lowered below a certain friction coefficient is the time after the plate-out of emulsion rolling oil reaches the spray surface of the steel sheet. It is related to the phenomenon that depends on.
[0019]
The phenomenon that depends on the time after the plate-out of the emulsion rolling oil reaches the spray surface of the steel sheet will be described in detail below. When emulsion rolling oil is sprayed onto steel plates and rolls, the oil component separates from the water and forms an oil film (plate-out layer). This is because a so-called O / W emulsion (oil droplets dispersed in water) in which oil droplets are dispersed in water is phase-shifted into a W / O emulsion (water droplets dispersed in oil) or an oil monolayer, and the oil content is reduced. It is a phenomenon that spreads on the spray surface. Since this process does not occur instantaneously when sprayed, but is caused by a transition process (reaction) such as phase inversion, it is considered to be a time-dependent process. The time required for this may be short, but it goes without saying that a certain time is required anyway. The inventors considered that the time for phase inversion (hereinafter referred to as phase inversion time) has a great influence on the plate-out property.
[0020]
The inventors investigated the relationship between the plate-out property of the emulsion rolling oil and the phase inversion time by the plate-out test method shown in FIG. 7 in order to confirm the influence of the phase inversion time on the plate-out property. In this plate-out test method, a steel plate sample (sample plate) heated to a predetermined temperature is given a predetermined speed by free fall, and emulsion rolling oil is sprayed on the surface of the steel plate sample in the middle of dropping, and only a predetermined distance below it. An air blow nozzle is provided at a distant position, the unphased emulsion on the sample is blown off, and only the plate-out layer (oil film) phase-shifted to the steel plate sample is evaluated. The plate-out amount is measured by a method of measuring the weight of the steel sheet sample before and after degreasing with an electronic balance or the like.
[0021]
FIG. 8 shows the plate-out test results. According to this, the plate-out amount greatly depends on the phase inversion time, and the plate-out amount decreases as the phase inversion time becomes shorter. This result shows that in actual rolling, when the roll peripheral speed and the steel plate speed are increased, the time from the supply of the emulsion rolling oil to the arrival of the roll bite, that is, the effect of shortening the phase inversion time, the plate out amount This suggests that the amount of oil introduced into the roll bite will decrease.
[0022]
Based on the results of the plate-out test described above, the interpretation of the relationship between the roll coolant flow rate and the friction coefficient shown in FIG.
The overall friction coefficient when rolled at a speed of 1800 m / min rather than a speed of 1000 m / min is the effect that the supply amount per unit area of steel sheet of emulsion rolling oil decreases due to a decrease in spray time, This is because the plate-out amount decreases due to the effect of shortening the phase inversion time, and the amount of oil introduced into the roll bite decreases.
[0023]
When using a spray header for roll coolant, under high-speed rolling conditions of 1800 m / min, the time from spraying the emulsion rolling oil on the roll surface to biting into the roll bite is very short, and the phase inversion of the emulsion It is thought that sufficient time cannot be secured. Thus, since it becomes difficult to plate out in a situation where a sufficient phase inversion time cannot be secured, it is considered that even if the spray flow rate of the emulsion rolling oil is increased, a phenomenon in which the plate out amount does not increase occurs.
[0024]
The reason why the friction coefficient does not change when the roll coolant flow rate is exceeded at a speed of 1800 m / min is presumed to be because the sufficient phase inversion time cannot be obtained as described above. On the other hand, when the speed is 1000 m / min, the roll coolant flow rate can be changed to a lower friction coefficient because of the low speed, so the phase inversion time can be secured, and the plate-out amount can be adjusted according to the roll coolant flow rate. This is considered to be possible to change.
[0025]
The above results show that under high-speed rolling conditions where the final stand speed exceeds 1800 m / min, even if the roll coolant flow rate is changed to prevent chattering, the rolling lubricity cannot be controlled, so that a sufficient effect can be obtained. Suggests not.
[0026]
Based on the above findings, the present inventors have intensively studied a method that can greatly change the rolling lubricity even under high-speed rolling conditions of 1800 m / min or higher, and as a result, the upstream stand as far as possible from the roll bite entry side. We found a method of adjusting the flow rate by installing a coolant header at the steel plate position close to the side and spraying the emulsion rolling oil of the circulating rolling oil supply system. This method will be described in detail below.
[0027]
Fig. 9 shows the case where the installation position of the spray header for roll coolant of No. 5 stand (final stand) is moved to the position on the upstream stand side away from the roll bite entry side and sprayed toward the steel plate surface. The arrangement of the spray header is shown. The spray header A is a conventional spray header for roll coolant, and the spray headers B, C and D are installed at positions 0.5 m, 1.5 m and 2.5 m away from the roll bite entry side, respectively.
[0028]
The distance between the stands is 4.5m, but tension rolls and deflector rolls (deflores) are installed between the stands. Even if the emulsion rolling oil is sprayed upstream from this, In order to squeeze, the position of the spray header that is farthest from the roll bite entry side is actually immediately after the tension roll or defloor between the stands. The spray header D in FIG. 9 corresponds to this.
[0029]
FIG. 10 shows the flow rate of the spray toward the steel plate surface (hereinafter referred to as the strip coolant flow rate) and the friction of the final stand when rolling at the final stand speed of 1800 mpm in the tandem rolling mill shown in FIG. It is the result of investigating the relationship between the coefficients. The farther the spray header mounting position is from the roll bite and the closer to the upstream stand side, the wider the range of friction coefficient change by changing the strip coolant flow rate, and the lower the friction coefficient at the same strip coolant flow rate. In addition, when the constant spray flow rate exceeds a certain value, the phenomenon of saturation with a constant friction coefficient tends to be eliminated.
[0030]
FIG. 11 shows the results of investigation on the amount of oil adhering to the surface of the rolled material. The reason why the amount of oil adhering to the steel sheet has a certain value when the strip coolant flow rate is zero is that the rolling oil remains on the steel sheet after rolling in the upstream stand. According to this, the amount of oil adhering to the steel plate corresponds to the coefficient of friction, and increases as the spray header mounting position is moved away from the roll bite and closer to the upstream stand side.
[0031]
The reason is as follows. That is, even under high-speed rolling conditions exceeding 1800 m / min, the plate-out phase inversion time can be secured and the plate-out phase can be secured as the position where the emulsion rolling oil is sprayed onto the steel sheet is closer to the upstream stand side away from the roll bite. It becomes easy to form a layer. That is, even with the same strip coolant flow rate, the longer the phase inversion time is, the greater the plate-out amount becomes. Therefore, the change in the plate-out amount with respect to the change in the strip coolant flow rate also increases. As a result, the change in the coefficient of friction also increases.
[0032]
It is effective that the rolling stand for controlling the flow rate of the strip coolant is a chattering stand, or a chattering stand and a stand on the upstream side thereof. It is desirable to use the last stand or the last stand and one stand upstream of it.
[0033]
In addition, in this means, the “upstream side away from the roll bite” means that it is upstream from the position of the conventional strip coolant, but as described above, the distance from the roll bite is separated. The farther away, the greater the effect. Also, “adjusting the flow rate of the emulsion rolling oil” means that when chattering occurs, for example, the flow rate is changed depending on the degree of chattering (if the chattering is large, the flow rate is increased) or until chattering is resolved. Various methods such as increasing the flow rate sequentially can be considered.
[0034]
In addition, “in the actual process, spraying the emulsion rolling oil of the circulating rolling oil supply system on the steel plate on the upstream side away from the stand or the roll bite of the stand and the upstream stand” In this rolling mill, a pipe for spraying the emulsion rolling oil of the circulating rolling oil supply system is provided on the upstream side away from the roll bite position, and spraying is performed from this pipe even when chattering does not occur. This also includes a method of changing the flow rate when chattering occurs. Of course, if chattering does not occur, the emulsion rolling oil is sprayed from a pipe near the roll bite (prior art pipe), and only when chattering occurs, the emulsion rolling oil is switched from the spray away from the roll bite position. Alternatively, spraying may be repeated, but it is preferable to spray from the same pipe from the viewpoint of facility and control stability.
[0035]
The second means for solving the above-mentioned problem is a method for producing a cold rolled steel sheet by a cold continuous rolling mill, wherein a rolling oil supply system is provided separately from the circulating rolling oil supply system, When chattering of the stand of the rolling mill is detected, the emulsion rolling oil adjusted to have a larger average particle size than the circulating rolling oil supply system is sent from the separate rolling oil supply system to the stand or the stand and its stand. Cold rolling characterized by comprising a step of performing cold rolling while preventing chattering by spraying on the upstream steel plate away from the roll bit of the upstream stand and adjusting the flow rate thereof It is a manufacturing method (claim 2) of a steel plate.
[0036]
Moreover, the 3rd means for solving the said subject is said 2nd means, Comprising: The average particle diameter of emulsion rolling oil is 20 micrometers or more (Claim 3), It is characterized by the above-mentioned.
[0037]
In the case of ultra-high speed rolling exceeding 2500 m / min, it is difficult to ensure sufficient phase inversion time even if the installation position of the strip / coolant spray header is as close as possible from the roll bite entry side to the upstream stand side. In the control of the flow rate of the strip coolant of the emulsion rolling oil of the circulation system by
[0038]
The inventors have intensively studied a method that can greatly change the rolling lubricity by adjusting the strip coolant flow rate even under ultra-high speed rolling conditions of 2500 m / min or more, which makes it difficult to ensure sufficient phase inversion time. The emulsion rolling oil adjusted so that it may become an average particle diameter larger than a type rolling oil supply system was sprayed in the steel plate position of the upstream stand side away from the roll bite, and the method of adjusting the flow volume was discovered. This method will be described in detail below.
[0039]
In general, since the emulsion rolling oil used in the circulating rolling oil supply system is recycled, emulsification dispersibility is emphasized, and the emulsion rolling oil having a small average particle diameter is used. The reason for this is that when emulsion rolling oil with a large average particle size is used, emulsion particles easily disintegrate due to the mixing of wear powder generated by rolling or iron powder brought into the steel sheet, and the emulsion dispersibility changes over time. This is because it becomes easy to cause problems such as instability of rolling and change in gloss of the steel sheet surface.
[0040]
On the other hand, FIG. 12 shows that when a cationic surfactant is added to beef tallow rolling oil and the average particle size of the circulating emulsion rolling oil is 10 μm, the average particle size of 20 μm emulsion is larger than this. 9 shows the relationship between the strip coolant flow rate at the rolling speed of 2500 m / min and the friction coefficient of the No. 5 stand when the steel sheet surface is sprayed from the spray header D shown in FIG. For comparison, the coefficient of friction when spraying the same emulsion rolling oil with an average particle size of 10 μm as the circulation system is also shown.
[0041]
As can be seen from FIG. 12, the coefficient of friction is lower when the average particle size is 20 μm. Further, when the average particle size is 10 μm, a phenomenon that the friction coefficient is saturated at a certain strip coolant flow rate or more is observed, but when the average particle size is 20 μm, this phenomenon is not observed.
FIG. 13 shows the measurement result of the amount of oil adhering to the surface of the rolled material. The emulsion having an average particle size of 20 μm has a larger amount of oil adhering and corresponds to the friction coefficient.
[0042]
FIG. 14 shows the amount of change in friction coefficient and emulsion when the average particle diameter of the emulsion rolling oil is changed in the range of 5 to 30 μm and the flow rate is changed in the range of 0 to 4000 L / min at a rolling speed of 2500 m / min. This shows the relationship of average particle diameter. According to this, the amount of change in the friction coefficient increases as the average particle diameter increases, and in particular, the amount of change in the friction coefficient rapidly increases when the average particle diameter is 20 μm or more.
[0043]
The above-described results are because the plate-out amount increases as the average particle size of the emulsion rolling oil increases, so that the change in the friction coefficient with respect to the change in the emulsion supply amount increases.
[0044]
As mentioned above, rolling lubricity is improved even at a rolling speed of 2500 m / min by spraying emulsion rolling oil with a larger average particle size than the circulation system at the steel plate position on the upstream stand side away from the roll bite and adjusting the flow rate. It can be seen that it can be controlled.
Further, as described above, by setting the average particle size of the emulsion rolling oil to be sprayed to 20 μm or more, the friction coefficient in high-speed rolling can be rapidly reduced.
[0045]
In addition, since the emulsion rolling oil having a large average particle size is not suitable for the emulsion rolling oil of the circulating rolling oil supply system, the emulsion rolling oil adjusted to have a larger average particle size than the circulating rolling oil supply system, Even in the case of spraying from the separate rolling oil supply system, in the upstream side stand (for example, No. 1 to No. 3 stand in the case of all 5 stand rolling mills), the normal (conventional) circulation type is not performed. From the rolling oil supply system, emulsion rolling oil having an average particle diameter similar to that of the conventional one is supplied.
[0046]
In addition, “spray on the steel plate on the upstream side away from the stand or the roll bite of the stand and the upstream side stand” means that chattering does not occur in the rolling mill that performs such a thing in the actual process. In this case, spraying of the emulsion rolling oil adjusted to have a larger average particle diameter than that of the circulating rolling oil supply system from the separate rolling oil supply system is performed, and when chattering occurs, the flow rate is reduced. It also includes a method of changing.
[0047]
Of course, even in such a stand, if the rolling oil of the conventional circulating rolling oil supply system is provided near the roll bite and chattering does not occur, the circulating rolling oil from the pipe near the roll bite (prior art piping). Emulsion that is sprayed from the rolling rolling oil supply system by switching the emulsion rolling oil with a large average particle size from the spraying of the separate rolling oil supply system or only when chattering occurs when spraying the emulsion rolling oil of the supply system It may be possible to spray the rolling oil redundantly, but from the viewpoint of facility and control stability, even if chattering does not occur, the average of the rolling oil supply system larger than the circulating rolling oil supply system than the piping of the separate rolling oil supply system It is more preferable to spray the emulsion rolling oil adjusted to have a particle size.
[0048]
The 4th means for solving the above-mentioned subject is the above-mentioned 2nd means or the 3rd means, Comprising: The emulsion rolling oil adjusted so that it may become an average particle size larger than a circulation type rolling oil supply system The same type and the same oil content concentration as the circulating rolling oil supply system, and the emulsion rolling oil of another rolling oil supply system that did not adhere to the steel plate surface is changed to the emulsion rolling oil of the circulating rolling oil supply system. It is what makes it merge (Claim 4).
[0049]
Further, a fifth means for solving the above-mentioned problem is the fourth means, wherein the method of adjusting the emulsion rolling oil to have a larger average particle size than the circulating rolling oil supply system is Add the surfactant of the same type and the same oil concentration as the circulating rolling oil supply system to the rolling oil of the same type and the same oil concentration as the rolling oil supply system to adjust the rotation speed of the stirrer A method (claim 5).
[0050]
As described above, spraying emulsion rolling oil having a large average particle diameter is effective in reducing the friction coefficient in high-speed rolling, but as described above, emulsion rolling oil having a large average particle diameter is There is a problem that it is not suitable for emulsion rolling oil in a circulating rolling oil supply system. In contrast, a rolling oil supply system is provided separately from the circulating rolling oil supply system, and the rolling oil crude oil, surfactant, and dilution water are newly prepared to create an emulsion rolling oil with a large average particle size, and a steel plate A method of spraying on the surface is also conceivable. However, after spraying on the steel plate surface, the portion that does not plate out on the steel plate surface is merged with the emulsion rolling oil of the circulation system, so it is necessary to minimize the influence on the emulsion dispersibility of the emulsion rolling oil of the circulation system. is there.
[0051]
As a result of intensive studies on the above-mentioned problems, the surfactant for emulsification and dispersion added to the emulsion rolling oil of another rolling oil supply system should be the same type and the same oil concentration as the circulating rolling oil supply system. Furthermore, it has been found that the average particle diameter is adjusted by adjusting the mechanical stirring conditions based on the rotational speed of the stirrer installed in the tank.
[0052]
FIG. 15 shows the relationship between the stirring rotation speed and the average particle diameter in the stirrer. According to this, the emulsion rolling oil having a large average particle diameter is adjusted by adjusting the rotation speed of the stirrer of the emulsion tank of another system. You can see that you can build a bath.
[0053]
Of the emulsion rolling oil supplied to the steel plate surface from another rolling oil supply system, the emulsion rolling oil that did not plate out to the steel plate surface merges into the circulating rolling oil supply tank. When repeatedly subjected to strong stirring in the emulsion tank and strong shearing by pumps and nozzles in the circulation system, an emulsion having the same average particle size as the emulsion rolling oil of the circulation system is obtained. For this reason, the emulsification dispersion stability of the circulating rolling oil supply system can be maintained.
[0054]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is an example of equipment for carrying out the present invention in a tandem rolling mill with 5 stands. FIG. 1 shows an embodiment in which the invention according to
[0055]
In the following drawings, 1 is a work roll, 2 is a backup roll, 3 is a strip, 4a is a conventional coolant coolant header, 4b is a coolant coolant header, 5 is a coolant coolant header according to the present invention, and 6 is a cyclic rolling. An oil supply tank, 7 is an emulsion supply pump, 8 is a rolling oil supply line, 9a and 9b are flow control valves, 10 is a flow control valve, 11 is a recovered oil pan, 12 is a return pipe, 13 is an agitator, and 14 is a mill. Housing, 15 is a vibration meter, 16 is a calculator, 17 is a strip coolant flow control device, 18 is a storage tank for emulsion rolling oil having a large average particle size, 19 is a hot water tank, 20 is a rolling oil crude oil tank, and 21 is an interface. Activator tank, 22a, 22b, 22c are pumps, 23a, 23b, 23c are valves, 24 is an agitator, 25 Emulsion supply pump, 26 denotes a rolling oil supply line. The structure of the rolling mill, the configuration of the strip / coolant system, and the like are well known and will not be described.
[0056]
According to the present invention, when the spray header for the strip coolant on the No. 5 stand entrance side is immediately after the exit roll bite of the No. 4 stand, the emulsion phase inversion time can be maximized. However, tension rolls and deflores are installed between the stands, and even if the emulsion rolling oil is sprayed on the upstream side of the stands, it is squeezed by the tension rolls or deflores, so that a sufficient plate-out amount cannot be obtained. In order to avoid this, in this embodiment, the
[0057]
The
[0058]
A
[0059]
Upon receiving this control signal, the strip coolant
[0060]
In the above embodiment, the present invention is applied to the final stand. However, the present invention is not limited to this, and may be applied to the final stand and its upstream stand as shown in FIG. Good. Further, not only the stand where chattering is detected (for example, No. 5 stand) but also the front stand (for example, No. 4 stand) from the
[0061]
FIG. 3 is an example of equipment for carrying out another example of the embodiment of the present invention, and is applied to the final stand of all five tandem rolling mills. The arrangement of the spray header, the circulating rolling oil supply system, the vibrometer, the strip coolant control device, and the like are the same as the equipment shown in FIG.
[0062]
The
[0063]
For example, when the base oil is beef tallow and a cationic dispersion type surfactant is added to the emulsifying dispersant at an oil concentration of 0.6%, the average particle size of the emulsion built in the
[0064]
The emulsion rolling oil having a large average particle diameter is supplied from the
[0065]
After spraying on the steel plate, the emulsion rolling oil that does not plate out on the steel plate is collected together with the circulation system emulsion in the
[0066]
The above embodiment has been described as applying the present invention to the final stand, but the present invention is not limited to this, and may be applied to the final stand and its upstream side stand as shown in FIG. Further, not only the stand where chattering is detected (for example, No. 5 stand) but also the front stand (for example, No. 4 stand) from the
[0067]
【Example】
Example 1
Using a total of 5 cold tandem rolling mills shown in FIG. 1, a hard tin plate having a base material thickness of 1.8 mm and a plate width of 900 mm was rolled to a final thickness of 0.183 mm at a target speed of 1850 m / min. As a comparative example, the same material was rolled in the conventional method of spraying roll coolant on the No. 5 stand entrance side. The rolling oil used was a synthetic ester type (kinematic viscosity 53 cSt at 40 ° C.) with a concentration of 3.5%. Further, an emulsion type surfactant was added to an oil concentration of 0.3 wt%, and after sufficient stirring in the tank, an emulsion having an average particle size of 7 μm and a temperature of 60 ° C. was obtained.
[0068]
The natural frequency of the rolling mill is 220 Hz. When the vibration speed after extracting only the same frequency as the natural frequency of the rolling mill exceeds 0.4 mm / s, the plate thickness fluctuates, and when it exceeds 0.5 mm / s, the mill vibration reaches the audible range, Plate breakage or the like occurs. Therefore, the vibration speed threshold for chattering is set to 0.3 mm / s.
[0069]
FIG. 16 shows the relationship between the rolling speed, the vibration speed, the roll coolant flow rate, and the friction coefficient when the roll coolant flow rate on the final stand entrance side of the conventional method is controlled when chattering occurs. The vibration speed exceeded 0.3mm / s when the final stand speed exceeded 1500m / min. The coefficient of friction at this time also increases rapidly as the speed increases. After exceeding the vibration speed of 0.3 mm / s, the roll coolant flow rate was increased, but the friction coefficient of the No. 5 stand was not changed, and the vibration speed could not be reduced to 0.3 mm / s or less. For this reason, the subsequent rolling was performed with the rolling speed reduced to 1350 m / min in order to reduce the vibration speed to 0.3 mm / s or less.
[0070]
On the other hand, FIG. 17 shows the relationship between the rolling speed, the vibration speed, the friction coefficient, and the strip coolant flow rate when the present invention (Claim 1) is applied to the final stand. The friction coefficient is lower when the present invention is applied. This is because, according to the present invention, the spray header for strip coolant is positioned upstream from the roll bite, so that the phase inversion time of the emulsion can be secured, and the amount of plate-out is larger than when using conventional roll coolant. This is because of the rise. The vibration speed exceeded 0.3mm / s around the speed of 1700m / min, but the strip coolant flow rate was increased step by step, and the vibration speed gradually decreased. At this time, it can be seen that the coefficient of friction also decreases. The strip coolant flow rate was increased until the vibration speed was below 0.3 mm / s. Since then, the rolling speed has been gradually increased and the speed has been accelerated to 1850 m / min.
[0071]
As the above results show, by using the present invention (Claim 1), rolling lubricity can be controlled by changing the strip coolant flow rate even under high-speed rolling conditions at a speed of 1800 m / min. High-speed rolling can be achieved while maintaining a level at which sheet thickness fluctuation and sheet breakage do not occur.
[0072]
FIG. 18 shows the results of summarizing examples of occurrence frequency of plate breakage and plate thickness variation due to chattering when the invention of
[0073]
FIG. 19 shows the distribution of the average rolling speed of the embodiment of the present invention (Claim 1) and the conventional system. By using the present invention, the average rolling speed is 1320 m / min of the conventional system. It was improved to 1810m / min.
[0074]
(Example 2)
Using a total of 5 cold tandem rolling mills shown in FIG. 3, a hard tin plate having a base material thickness of 2.3 mm and a plate width of 900 mm was rolled to a finish thickness of 0.200 mm at a target speed of 2550 m / min. As a comparative example, the same material was rolled in the conventional method of spraying roll coolant on the No. 5 stand entrance side. The rolling oil was beef tallow (kinematic viscosity at 40 ° C. 43 cSt) with a concentration of 3.5%. Further, a cationic dispersion type surfactant was added to an oil content concentration of 0.6 wt%, and after sufficient stirring in the tank, an emulsion having an average particle size of 9 μm and a temperature of 60 ° C. was obtained. Further, according to the present invention (Claim 5), the concentration of the emulsion rolling oil in the separate rolling oil supply system, the concentration of the surfactant to the oil added, and the temperature are the same as those in the circulation system, and the average particle size is agitated in the tank. It was set to 20 μm by adjusting the rotation speed.
The natural frequency of the rolling mill is 220 Hz as in the first embodiment, and the threshold value of the vibration speed for chattering is the same as in the first embodiment.
[0075]
FIG. 20 shows the relationship among the rolling speed, vibration speed, roll coolant flow rate, and friction coefficient in the case of the conventional method. The vibration speed exceeded 0.3mm / s when the final stand speed exceeded 1650m / min. The friction coefficient at this time also increases rapidly with the increase in speed. On the other hand, the roll coolant flow rate was increased after exceeding the vibration speed of 0.3 mm / s, but the friction coefficient was not changed and the vibration speed could not be reduced to 0.3 mm / s or less. Therefore, in order to reduce the vibration speed to 0.3 mm / s or less, the subsequent rolling was performed at a speed of 1550 m / min.
[0076]
On the other hand, FIG. 21 shows an example of the relationship between the rolling speed, the vibration speed, the strip coolant flow rate, and the friction coefficient when the present invention (Claim 5) is applied to the final stand. Compared to the case of the conventional method, the strip coolant flow rate in this embodiment is lower. This is because the position of the spray header for the strip coolant of the present invention can secure the phase inversion time, and furthermore, the emulsion rolling oil having a large average particle size is used, so that the plate is used rather than the conventional roll coolant. This is because the amount of out increases.
[0077]
When the final stand speed exceeded 2000 m / min, the vibration speed exceeded 0.3 mm / s, but the strip coolant flow rate increased stepwise, and the vibration speed gradually decreased. The strip coolant flow rate was increased until the vibration speed was below 0.3 mm / s. It can also be seen that the coefficient of friction decreases as the strip coolant flow rate increases. Thereafter, the rolling speed was gradually increased, and the vibration speed exceeded 0.3 mm / sec even at a speed of 2350 m / min, but the same strip coolant flow rate control was performed, and the speed could eventually be increased to 2550 m / min. It was.
[0078]
FIG. 22 shows the results of investigating the particle size distribution of the emulsion rolling oil in the
[0079]
As can be seen from the above results, by using the invention of
[0080]
FIG. 23 summarizes the frequency of occurrence of plate breakage and plate thickness fluctuation due to chattering. From this, it can be seen that application of the present invention can greatly reduce the occurrence of abnormal plate thickness due to chattering and plate breakage. Further, FIG. 24 shows the distribution of the average rolling speed of the embodiment of the invention of
[0081]
【The invention's effect】
As described above, according to the first aspect of the present invention, when chattering occurs even in the high-speed rolling state, the friction coefficient can be changed by adjusting the strip coolant flow rate. This can eliminate chattering. Therefore, a cold-rolled steel sheet can be produced by high-speed rolling in a stable state.
[0082]
In the invention according to
[0083]
In the invention which concerns on
[0084]
In the invention which concerns on
[0085]
In any of the inventions, it is possible to significantly reduce quality defects due to plate breakage and plate thickness fluctuation by preventing chattering. In addition, high-speed rolling is possible, and productivity is greatly improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a first example of the configuration of a rolling mill for carrying out the present invention.
FIG. 2 is a diagram showing a second example of the configuration of a rolling mill for carrying out the present invention.
FIG. 3 is a diagram showing a third example of the configuration of a rolling mill for carrying out the present invention.
FIG. 4 is a diagram showing a fourth example of the configuration of a rolling mill for carrying out the present invention.
FIG. 5 is a diagram showing the arrangement position of a conventional spray header.
FIG. 6 is a graph showing a relationship between a conventional inlet-side roll coolant flow rate and a friction coefficient.
FIG. 7 is a diagram showing an outline of a plate-out test apparatus.
FIG. 8 is a graph showing a plate-out test result (relationship between phase inversion time and plate-out amount).
FIG. 9 is a view showing a mounting position of a spray coolant for strip coolant on the entrance side of the fifth stand.
FIG. 10 is a graph showing the relationship between the strip coolant flow rate and the friction coefficient.
FIG. 11 is a graph showing the relationship between the strip coolant flow rate and the amount of oil adhering to the steel plate.
FIG. 12 is a graph showing the relationship between the strip coolant flow rate and the friction coefficient.
FIG. 13 is a graph showing the relationship between the strip coolant flow rate and the amount of oil adhering to the steel plate.
FIG. 14 is a graph showing the relationship between the average emulsion particle size and the change range of the friction coefficient.
FIG. 15 is a graph showing the relationship between stirring rotation speed and average particle diameter.
FIG. 16 is a diagram illustrating an effect of preventing chattering by a conventional method. (Comparative example of Example 1)
FIG. 17 is a diagram illustrating the chattering preventing effect according to the first embodiment.
FIG. 18 is a view showing a comparison between the embodiment of the invention according to
FIG. 19 is a diagram comparing the maximum rolling speed in the embodiment of the invention according to
FIG. 20 is a diagram showing an effect of preventing chattering by a conventional method (comparative example of Example 2).
FIG. 21 is a diagram illustrating the chattering preventing effect according to the second embodiment.
22 is a graph showing a particle size distribution in the circulation system tank in Example 2. FIG.
FIG. 23 is a diagram showing a comparison between the embodiment of the invention according to
FIG. 24 is a diagram comparing the maximum rolling speed in the embodiment of the invention according to
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (5)
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