(第1実施形態)
本発明に係る記録媒体の実施形態を以下に説明する。本実施形態に係る記録媒体は、DVD-VIDEO RECORDING規格に準じて、動画像データを記録することができる書き換え可能型DVD(以降"DVD"と略記する)であるものとする。図1は、本実施形態に係るDVD1と、記録装置100とを示す図である。記録装置100は、地上波アンテナ101及びパラボナアンテナ102を介して受信された放送信号の放送内容を、エンコードしてDVD1に書き込む。このDVD1は、図中の二人のユーザ(ユーザA、ユーザB)により共用されるマルチユーザ対応型のDVDである。
DVD1は、物理層、ファイルシステム層、応用層といったレイヤ階層を有していて、記録装置100によりデジタルストリーム形式のデータが記録される。図2は、ファイルシステム層上におけるDVD1の構造(ファイル構造)を破線の矢印により引き出して示す図である。図2のファイル構造では、ROOTディレクトリの直下にDVD_RTAV(RealTime Recording Audio Video)ディレクトリが配され、その下に、幾つかのTS-VOBが収録されるAVファイルと、各種管理情報が収録される管理ファイルとが配置される。TS(Transport Stream)-TS-VOB(Video Object)とは、トランスポートストリームの形式で記録されるストリーム形式のデータであり、プログラムストリーム形式のVOBと区別される。
本願の"請求の範囲"や"課題を解決するための手段"にいうデジタルストリームとは、このTS-VOBのことである。図3は、AVファイルに収録されるTS-VOBの構成を段階的に詳細化した図である。本図では、図2に示したAVファイルを最下段である第7段目に示している。図3の第6段目は、AVファイルに収録されるTS-VOBを示す。本図に示すようにTS-VOBは、第1段目に示すビデオストリーム、オーディオストリームを多重化することにより得られる。この第1段目に位置するビデオストリームは、複数のピクチャデータpi1,2,3・・・・・の配列である。これらのピクチャデータは何れも、ディスプレイの一表示期間(ビデオフレームとも呼ばれる。)にて表示される。NTSC方式のディスプレィにおいて、ビデオフレームは約33msec(正確には1/29.97sec)であり、PAL方式のディスプレィにおいてビデオフレームは、40msecである。これらピクチャデータは、フレーム間の相関性に基づいた圧縮符号化を受けている。そのため、ビデオストリームを構成するピクチャデータには、過去方向および未来方向に再生されるべき画像との相関性を用いて圧縮されているBidirectionally Predictive(B)ピクチャ、過去方向に再生されるべき画像との相関性を用いて圧縮されているPredictive(P)ピクチャ、相関性を用いず、一フレーム分の画像内での空間周波数特性を利用して圧縮されているIntra(I)ピクチャといった種別がある。
ビデオストリームにおいて復号可能な最小単位をGOP(Group Of Picture)という。GOPは少なくとも1つのIピクチャを含み、約1.0秒の再生時間を有するピクチャデータの集合である。図3において第1段目に示すビデオストリームは、その2段目において複数GOPに分割されている。ピクチャデータに対する圧縮符号化方式は可変符号長方式であるため、GOPのデータ長は互いに異なる。DVDに記録するにあたって、各GOPがどのようなサイズを有するかを問わず、GOP列は複数に分割される。分割により得られる分割部分は、第3段目に示すPESパケット列に格納される。一方、1段目の右側に位置するオーディオストリームも複数に分割され、分割により得られる分割部分は、第3段目に示すPESパケット列に格納される。PESパケットとは、図2の第3段目に示すようにビデオストリーム、オーディオストリームの分割部分を格納しているパケットであり、ビデオストリーム、オーディオストリームの一部分を何時復号するかを示す「DTS」、この一部分のデコード結果を何時表示するかを示す「PTS」がそのヘッダに付与されている。
GOP列を格納したPESパケット列は、オーディオストリームを格納したPESパケット列と多重化(図中のtj1)されて、第4段目に示すTSパケット列を構成している。1つ以上のGOP及び、このピクチャデータと共に多重化されているオーディオデータは、第5段目に示すようにVOBU(Video Object Unit)を形成している。VOBUとは、TS-VOBの最小アクセス単位であり、MPEG規格におけるビデオパック−オーディオパックを配列して構成されている。6段目に示すTS-VOBは複数のVOBUが時系列に配列された構成を持つ。以上がTS-VOBの内部構成である。
第3段目〜第5段目に示す分割及び多重化は、これまでのDVDとは異なる、TS-VOB特有のものになっている。これまでのDVDに記録されるVOB、つまりプログラムストリーム形式のVOBは、複数のパックからなり、各パックに1つのPESパケットがそのまま格納される。一方、トランスポートストリーム形式のTS-VOBにおいて、PESパケットは複数に分割された上で、各TSパケットに格納される。図4は、PESパケットがTSパケットにどのように格納されるかを示す図である。
TSパケットの構成は、図4の第3段目に示す通りであり、『TSパケットヘッダ』と、『適用フィールド』と、『ペイロード部』とから構成される。188Byteのサイズを有する。この188バイトというデータサイズは、ATM伝送路で伝送されるATMパケットと同サイズであり、この伝送路で伝送されたパケットとそのまま記録できるような配慮がなされている。
『ペイロード』には、PESパケットを複数に分割することにより得られた分割部分が格納される。PESパケットがビデオストリームの一部である場合、このペイロードがビデオ層に相当する。図4において第1段目に示すPESパケットは、第2段目に示すように複数に分割されて、各分割部分は、矢印ct1,2,3に示すように、第3段目におけるTSパケットのペイロードに格納される。
『TSパケットヘッダ』の構成を、破線の矢印hg1にて引き出して示す。矢印hg1に示すように、『TSパケットヘッダ』は、TSパケットがどのビデオストリームに所属するか、またはどのオーディオストリームに所属するかを識別する「PID(Packet Identifier)」と、ペイロードにおけるPESパケットが何処から存在するかを示す「ユニット開始インディケータ」、後続するTSパケットに適用フィールドが継続して存在するか否かを示す「適用フィールド制御情報」が格納される。
『適用フィールド』は、ビデオストリームの分割部分がペイロードに格納されている場合、そのビデオストリームのシステム層についての情報が記述される。そのようなシステム層の情報には、破線の矢印hg2に引き出して示す「PCR(Program Clock Reference)」、「ランダムアクセス表示フラグ」がある。PCRはストリームをデコードする機器の基準クロック(STC(system time clock))の参照値である。どのような処理のための参照値かというと、トランスポートストリームをデマルチプレクスする処理(1)、トランスポートストリームをビデオストリーム等の各種PESストリームに再構築する処理(2)を行うにあたっての参照値である。「ランダムアクセス表示フラグ」は、対応するペイロード部のPESパケットに、ビデオストリームのアクセスポイントの先頭フレームが格納されているか否かを示す。アクセスポイントとは、ストリーム内部であって、単独にデコードすることができる単位であり、ランダムアクセス表示フラグによりGOPの先頭フレーム(Iピクチャ)が存在するか否かが示されている。
以上がTS-VOBと、プログラムストリーム形式のVOBとの差違点である。続いてTS-VOBが、DVDにどのように記録されるかについて説明する。DVDは、誤り訂正可能な記録領域であるECCブロックを複数有している。トランスポートストリームを構成する複数のTSパケットは、カプセル(Capsule)という単位に変換されて、ECCブロックに記録される。カプセルは、ATSが付加された状態のTSパケットを複数配置してなる。ATS(Arrival Time Stamp Information)は、当該TSパケットが装置内部に到達したタイミングを示す情報である。
続いて管理ファイルの内部構造について説明する。図5は、管理ファイルの内部構造を示す図である。本図の破線の矢印fs0で引き出して示すように、管理ファイルは、複数のVOB情報(VOB#1情報,VOB#3情報,VOB#3情報・・・・)と、複数のPGC情報(PGC情報#1,#2,#3・・・・・)ととからなる。『VOB情報#1,#2,#3・・・・・』は、DVDにおけるTS-VOBのそれぞれについての詳細を示す情報である。図中の破線の引き出し線hs1は、これらVOB情報のうち、VOB#1に対応するVOB#1情報の詳細を示す。
この引き出し線hs1に示すようにVOB#1情報は、対応するTS-VOBを一意に特定する『TS-VOB識別子』、TS-VOBが何時記録されたかを示す『TS-VOB記録日時』、TS-VOBに多重化されるビデオストリームがどのような方式で圧縮符号化されているかを示す『ビデオコーディングモード』、TS-VOBに多重化されるオーディオストリームがどのような方式で圧縮符号化されているかを示す『オーディオコーディングモード』、対応するTS-VOBについての『アクセスマップ』、『セクションマーカ』を有する。
『アクセスマップ』は、TS-VOB内の複数の頭出し位置のアドレスを、時刻情報を用いて間接参照するためのリファレンステーブルである。引き出し線hs2,hs3を辿ってゆくことにより、アクセスマップを順次詳細化してゆく。アクセスマップは、引き出し線hs2にて示すように各VOBUに対応するエントリー情報からなり、各エントリー情報は、引き出し線hs3に示すように、そのVOBUの再生に要する時間長を示す『VOBU再生時間』と、VOBU自身のデータサイズを示す『VOBUサイズ』とを対応づけてなる。可変長符号圧縮方式が採用されるため、GOPを含む各VOBUのサイズや再生時間がバラバラであっても、この『エントリー情報』を参照することにより、任意の再生時刻から、その再生時刻に対応するVOBU内のピクチャデータへと頭出しを行うことが可能になる。
続いてPGC情報の内部構成について説明する。PGC情報は、引き出し線hs4にて示すように、アクセスマップを介してTS-VOBをどのような経路で再生してゆくかの再生経路を示す『再生経路情報』と、『セクションマーカ』とからなる。再生経路情報の特徴は、その表記法にある。つまり管理情報にアクセスマップが存在しているので、再生経路情報は、これをリファレンステーブルとして用いた間接参照の形式で記述されている。再生経路情報を間接参照の形式で記述しているのは、TS-VOBに対して編集が行われてた場合に、それに伴って再生経路情報を更新するという負荷を無くすためである。再生経路情報の詳細について説明する。引き出し線hs5にて示すように、複数のセル情報の配列(セル情報#1,#2,#3・・・・・)からなる。セル情報は、引き出し線hs6にて示すように、セル情報に対応するTS-VOBを示す『TS-VOB識別子』、そのTS-VOBにおける再生開始位置を示す時刻情報である『開始点情報』、そのTS-VOBにおける再生終了位置を示す時刻情報である『終了点情報』からなる。これらの時刻情報により開始点、終了点が特定される区間を"セル"といい、再生経路情報におけるセル情報の配列は、これらのセルをどのような順次で再生してゆくかを示す。このような表記で規定された再生経路には、TS-VOBを記録した記録装置100が、記録時に自動的に生成するものと(1)、ユーザの編集操作に従い、記録されるもの(2)の2種があり、TS-VOBを様々な経路で再生させることを念頭に置いている。
図6は、再生経路情報による間接参照を模式化した図である。本図においてTS-VOB#1、TS-VOB#2のそれぞれは、複数のVOBUから構成されており、各VOBUはGOPを含んでいる。VOB情報内のアクセスマップは、これら複数GOPのセクタアドレスを、矢印ay1,2,3,4に示すように指定しており、これらのセクタアドレスは、アクセスマップを介することにより間接参照されている。図中の矢印jy1,2,3,4は、時刻情報によるGOPの指定を模式化して示している。つまり、時刻情報によるGOP指定(矢印jy1,2,3,4)は、アクセスマップを介することにより、TS-VOB内に含まれる複数GOPの何れかのアドレスを指定している。図中の再生経路情報は、こうした矢印jy1,2,3,4による時刻情報の組みにより、再生経路を表現している。
続いて以上のように構成された各種情報を、マルチユーザ対応のDVDに応用する場合の応用例について説明する。図7は、マルチユーザ対応を実現するDVD上のデータ構造を示す図である。図7では、TS-VOB#1、TS-VOB#2といった2つのTS-VOBがDVDに記録されており、これらTS-VOBのそれぞれにVOB情報#1,#2が割り当てられている。これらと共に記録されている再生経路情報#1,#2は、図1に示した二人のユーザ(ユーザA、ユーザB)のそれぞれに割り当てられた再生経路を規定する。ユーザAが希望する再生経路は、TS-VOB#1の一部分(1)、一部分(2)、TS-VOB#2の一部分(3)を(1)(2)(3)の順序で再生するというものであり、ユーザBが希望する再生経路は、TS-VOB#1の一部分(4)、TS-VOB#2の一部分(5)を(4)(5)の順序で再生するというものである。ユーザAに割り当てられたPGC情報#1は、セル情報#1,#2,#3を、ユーザBに割り当てられたPGC情報#2は、セル情報#4,#5をそれぞれ含んでいる。
これらのセル情報#1〜#5は、一部分(1)〜一部分(5)の開始点−終了点を間接参照により指定している。セル情報により指定されているので、(1)〜(5)の一部分は、セルとして扱われることになる。
図中の矢印rf1,rf2はこの間接参照を象徴的に示す。これらの矢印rf1,rf2からも理解できるように、TS-VOB#1、TS-VOB#2の一部分(1)〜一部分(5)の開始点st1,st2,st3,終了点ed1,ed2,ed3は、TS-VOB#1、TS-VOB#2のそれぞれに対応するアクセスマップを介した間接参照により指定されているのである。
以上がVOB情報、PGC情報である。本実施形態の特徴は、このような階層構造において、セクションマーカがVOB情報内部と、PGC情報の内部とに設けられている点である。図8は、VOB情報内部と、PGC情報の内部とに設けられたセクションマーカを示す図である。
これらのセクションマーカは、再生経路情報により示される再生経路の一部であって、記録装置100により拡張属性をもつと認識された区間をマーキングしておく情報である。"拡張属性"とは、拡張制御が有効となる属性であり、再生経路を介した再生時には、再生経路のうちこのセクションマーカにて指定されている区間にて、この拡張属性に従い拡張制御を行えばよい。VOB情報に含まれるセクションマーカの内部構成は、図8の破線の矢印hs7に示す通りであり、自身により所在が示される拡張属性区間がどのようなタイプの拡張属性をもっているかを示す『属性タイプ』、TS-VOBを参照している複数再生経路において、拡張属性区間の開始点が何処であるかを示す時刻情報である『開始点情報』、TS-VOBを参照している複数再生経路において、拡張属性区間の終了点が何処であるかを示す時刻情報である『終了点情報』、この拡張属性区間においてを行うべき拡張制御はどのようなものか、拡張属性区間の基準になりうるものは何かを示す『詳細情報』からなる。
PGC情報内に含まれるセクションマーカを、破線の引き出し線hs8にて引き出して示す。セクションマーカは、自身により所在が示されるセクションマーカがどのようなタイプの拡張属性をもっているかを示す『属性タイプ』、再生経路情報に対応する再生経路内の複数セルのうち拡張属性区間の開始点を包含しているものはどれであるかを示す『開始セルID』、そのセルにおける拡張属性区間の開始点を示す時刻情報である『開始点情報』、再生経路情報に対応する再生経路内の複数セルのうち拡張属性区間の終了点を包含しているものはどれであるかを示す『終了セルID』、そのセルにおける拡張属性区間の終了点を示す時刻情報である『終了点情報』、この拡張属性区間においてを行うべき拡張制御はどのようなものか、拡張属性区間の基準になりうるものは何か等を示す『詳細情報』からなる。
このセクションマーカが、VOB情報と、PGC情報とにあることに以下の意義がある。VOB情報内のセクションマーカは、VOB情報に対応するTS-VOBが複数の再生経路により参照されている場合、この複数再生経路に一括して、拡張属性区間を指定する場合に用いられる。一方、PGC情報内のセクションマーカは、VOB情報に対応するTS-VOBが複数の再生経路により参照されている場合、このうち特定の再生経路に対して、個別に拡張属性区間を指定する場合に用いられる。
図7に示した二人のユーザについての再生経路に、未視聴属性をもった拡張属性区間が存在する場合、その拡張属性区間をどのように指定するかについて説明する。図9は、ユーザAについての再生経路に設けられた、拡張属性区間を示す図である。図中の一部分(1)における途中位置ty1、一部分(3)における終端位置yn1は、それぞれユーザAが未だ視聴していない未視聴区間の開始点−終了点であるものとする。PGC情報#1内に存在するセクションマーカは、TS-VOB#1、TS-VOB#2のそれぞれに対応するアクセスマップと、セル情報とを介した間接参照により、この一部分(1)の途中位置ty1、一部分(3)の終端位置yn1を指定する。先に述べたように、セル情報自体がアクセスマップを介してTS-VOB上の位置を間接参照しているので、セクションマーカはいわば『間接参照に対する間接参照』により未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点,終了点を指定している。図9のセクションマーカの『開始セルID』、『終了セルID』は、セル情報#1、セル情報#3を矢印sr1,sr2に示すように指定している。これら開始セルID、終了セルIDにより指定されたセル情報と、アクセスマップとを介する「間接参照に対する間接参照」により、拡張属性区間の開始点、終了点が指定されていることがわかる。図中の矢印rr1,rr2は、この「間接参照に対する間接参照」を象徴するものである。この「間接参照に対する間接参照」により未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点ty1、終了点yn1がセクションマーカにより指定されていることがわかる。
図10は、ユーザBについての再生経路に対して、未視聴属性をもった拡張属性区間を指定するセクションマーカを示す図である。図中の一部分(4)の途中位置ty2、一部分(5)における終端位置yn2は、未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点−終了点であるものとする。PGC情報#2内のセクションマーカは、「間接参照に対する間接参照」により、ユーザBが未だ視聴していない拡張属性区間の開始点、終了点を指定している。図中のセクションマーカによると、セクションマーカの『開始セルID』、『終了セルID』は、PGC情報内のセル情報#4、セル情報#5を矢印sr3,4に示すように指定している。これらPGC情報内のセル情報#4、セル情報#5と、VOB情報内のアクセスマップとを介した「間接参照に対する間接参照」により、拡張属性区間の開始点−終了点が指定されている。図中の矢印rr3,rr4が、この「間接参照に対する間接参照」を象徴的に示している。
PGC情報内にセクションマーカを設けることで、各ユーザの個性やこだわり、利便性にあわせた拡張属性区間を、各ユーザについての再生経路に対して設定することができる。以上がPGC情報内にセクションマーカを設けることによる応用である。尚、PGC情報内のセクションマーカにおいて、終了点を示す終了点情報、終了点が位置するセルを示す終了セルIDを用いることは必須ではない。これを省略したり、他のパラメータ(VOBUの数やピクチャデータの数等等価なもの)を用いて拡張属性区間の終了点を表してもよい。それはユーザが未だ視聴していない区間を拡張属性区間として指定する場合、ユーザがどこで視聴をやめたかという未再生区間の開始点は、厳密に指定しておくことが望ましいが、拡張属性区間の終了点は、そのユーザにより定義された再生経路の終了点と一致するので、暗黙のうちに定まるということが多いという理由による。
続いてVOB情報内にセクションマーカを設ける場合の応用について説明する。図11は、セクションマーカが内部に組み込まれたVOB情報を示す図である。本図においてハッチングが付された部分ht1,ht2は、CM属性をもっており拡張属性区間として認識されたTS-VOBの一部分である。何をもってCM属性と認識したかの根拠には、音声属性やユーザによる指定が考えられるが、ここではそれらは問わない。認識された拡張属性区間のスキップを、ユーザA、ユーザBが一律に希望している場合、ユーザA、ユーザBの再生経路に対して、このCM属性をもった拡張属性区間を指定しておきたいという要望が生まれる。ユーザA、ユーザBについての再生経路の何処にCM区間が存在するかは、図中の矢印に示す通りである。ユーザAについての再生経路においては位置yf1から位置yf2、位置yf3から位置yf4まで、ユーザBについての再生経路においては、位置yf5から位置yf6、位置yf7から位置yf8までにCM区間が存在する。VOB情報内のセクションマーカは、TS-VOB#1を参照する全ユーザに対する拡張属性区間の一括指定を実現する。本図において、TS-VOBに向けてダイレクトに記述された矢印dr1,dr2は、VOB情報内のセクションマーカによる一括指定を象徴的にあらわす。つまりこのダイレクトな矢印dr1,dr2は、ユーザAの再生経路に対する拡張属性区間の指定と、ユーザBの再生経路に対する拡張属性区間の指定とを併せた意味合いをもっている。矢印yf1,yf2,yf3,yf4は、ユーザAの再生経路に対する拡張属性区間の指定を示し、矢印yf5,yf6,yf7,yf8は、ユーザBの再生経路に対する拡張属性区間の指定を示している。この矢印dr1,dr2に象徴される一括指定は、複数再生経路に対する拡張属性区間の指定を束ねたものと同じ意義を持つ。各ユーザの再生経路に対する一斉指定の実現により、セクションマーカの表記を簡易に、わかりやすくすることができる。
VOB情報内のセクションマーカにより拡張属性区間として指定されているが、再生経路情報により再生経路として定義されていない部分についてはどうだろうか。図11の例でいうと、破線hh1,hh2に示す部分が、VOB情報#1,#2内のセクションマーカにより拡張属性区間として指定されているが、VOB情報#2内により定義された再生経路には属さない部分である。VOB情報#1,#2内のセクションマーカによる区間指定は、このような破線hh1,hh2に示す部分についてまで、及ぶというものではない。これは、VOB情報内のセクションマーカと、再生経路情報により定義される再生経路との優劣については、再生経路情報により定義される再生経路の方が優先することを意味する。つまりVOB情報内のセクションマーカにより拡張属性区間として指定されたとしても、再生経路情報により再生経路として定義されていなければ、この箇所で、再生制御や拡張制御が行われることはない。
拡張属性区間の一斉指定がなされた2つの再生経路で、どのような再生制御が行われるかについて説明する。図12は、ユーザAについての再生経路と、ユーザBについての再生経路とでどのような拡張制御が行われるかを示す図である。図中の横矢印yc1,2,3は、再生経路に従ったそのままの処理を象徴的に示し、曲線cv1,2,3は、ユーザA、ユーザBの再生時におけるスキップ処理を象徴的に示す。ユーザA、ユーザBの再生時においてスキップ処理が、CM区間において行われているので、セクションマーカにてCM属性をもった拡張属性区間を指定することにより、CM区間におけるスキップが一律に行われていることがわかる。VOB情報内のセクションマーカにおいて、終了点を示す終了点情報を用いることは必須でない点は、PGC情報と同じである。これを省略したり、他のパラメータ(VOBUの数やピクチャデータの数等等価なもの)を用いて拡張属性区間の終了点を表してもよい。
続いてセクションマーカの開始点情報による区間開始点の表記がどのように行われるかについて説明する。VOB情報内のセクションマーカにおける開始点情報は、そのセクションマーカに対応するTS-VOB内のピクチャデータのビデオフレーム以下の時間精度にて、拡張属性区間の開始点の所在を示す。これにより、拡張制御を行わせたい箇所は、VOB情報内のセクションマーカにより詳細に表現される。
一方、PGC情報内のセクションマーカにおける開始点情報も、TS-VOB内のピクチャデータのビデオフレーム以下の時間精度にて、拡張属性区間の開始点の所在を示す。このTS-VOBとは、そのセクションマーカの開始セルIDにより指定されるセルに対応するTS-VOBである。これにより、拡張制御を行わせたい箇所は、PGC情報内のセクションマーカにより詳細に表現される。
このビデオフレーム以下の時間精度は、1/27,000,000秒の時間精度と、1/90,000(=300/27,000,000)秒の時間精度との組み合わせで表現するのが望ましい。1/90,000秒の時間精度は、NTSC信号、PAL信号、DolbyAC-3、MPEGオーディオのフレーム周波数の公倍数を考慮したものであり、1/27,000,000秒の時間精度は、再生装置側のクロック周波数である27MHzを考慮して規定されている。
VOB情報内のセクションマーカにより指定された拡張属性区間は、"スキップする"という拡張制御を各ユーザに対して一律に行わせたいCM区間であったが、性的シーン、暴力シーンがある区間を、"スキップする"という拡張制御を持たせる拡張属性区間として指定してもよい。例えばTS-VOBを再生させていった際、両親が性的シーン、暴力シーンを発見したとする。家族の他のものにこれらを見せたくないと判断した場合は、VOB情報内にセクションマーカを設けて、これらのシーンを拡張属性区間に指定するのである。そうすることにより、全てのユーザの再生時において、これらのシーンをスキップさせることができる。また、CM区間において行わせるべき拡張制御は、"スキップする"という拡張制御という拡張制御であったが、例えばCM区間に係るスポンサー企業のURLを、CM区間上にオーバラップ表示したり、スポンサー企業に関するロゴマークを、サムネール表示するというものがある。
また、PGC情報内のセクションマーカにより指定された拡張属性区間は、"頭出しを行う"という拡張制御を行わせたい未視聴区間であったが、ユーザA、ユーザBにより過去に早送り・巻戻しが行われた区間を拡張属性区間として指定してもよい。これにより、これらの拡張属性区間にて、同様の処理を反復するという拡張制御を容易に実現することができる。
尚、本実施形態において1つのPGC情報内に設けたセクションマーカは1つであったが、これは複数であってもよい。そして複数のセクションマーカにより指定される拡張属性区間は互いに重複しあってもよい。同様に1つのVOB情報内に設けたセクションマーカは1つであったが、これも複数であってもよい。そして複数のセクションマーカにより指定される拡張属性区間は互いに重複しあってもよい。
(第2実施形態)本実施形態は、第1実施形態に係るTS-VOBについての記録装置100に関する実施形態である。この記録装置100は、TS-VOBに対する記録処理を主に実行するものだが、TS-VOBについての再生処理を行うことができる。つまり記録装置100、再生装置双方の機能を併せ持ったハイブリッドタイプの記録装置100である。図13は、この記録装置100の内部構成を示す図である。この図に示す構成要素は、(i)記録処理、再生処理の双方に用いられるもの、(ii)記録処理のみに用いられるもの、(iii)再生処理のみに用いられるものの何れかに分類される。
先ず記録処理、再生処理の双方に用いられる構成要素について説明する。このような構成要素には、ユーザインターフェイス部2、ドライブ装置3、常駐メモリ4、トラックバッファ5がある。ユーザインターフェイス部2は、放送番組の録画、DVDに記録されている再生経路情報の選択、再生、早送り,巻戻しといった特殊再生を指示する操作を、リモコンやパネルボタンを介してユーザから受け付ける。
ドライブ装置3は、DVDをセットする基台、セットされたDVDをクランプして回転駆動するスピンドルモータ、DVDに記録された信号を読み出す光ピックアップと、光ピックアップのアクチュエータとを備え、DVDに対するアクセスを行う。DVDに対するアクセスには、番組録画時におけるVOBUの書き込みと、再生時におけるVOBUの読み出しとがある。
常駐メモリ4は、VOB情報及びPGC情報を常駐させておくためのメモリである。VOB情報及びPGC情報をこのメモリに常駐しておくのは、VOBUの記録のためのディスクアクセス(a)と、管理ファイルの更新のためのディスクアクセス(b)との競合を避けるためである。VOBUの記録が終わった段階で、常駐メモリ4に格納されたVOB情報やPGC情報は、DVDに書き戻される。
トラックバッファ5は、DVDに書き込むべきVOBU、及び、DVDから読み出されたVOBUを一時的に格納しておくためのバッファである。DVDに書き込むべきVOBU、DVDから読み出されたVOBUをトラックバッファ5に格納しておくのは、デコーダ16によるデコード速度と、ドライブ装置3によるDVDからの読出速度との速度差を吸収するという目的と、エンコーダ7によるエンコード速度と、ドライブ装置3によるDVDへの書込速度との速度差を吸収するという目的とがある。
以上が、録画処理、再生処理に共通に用いられる構成要素である。続いて、録画処理に用いられる構成要素について説明する。この構成要素には、アナログチューナ6、エンコーダ7、デジタルチューナ8、抽出部9、解析部10、マップ作成部11、拡張属性区間検出部12、CM区間検出部13、再生経路情報作成部14、録画制御部15がある。
アナログチューナ6は、放送局から送信される放送波を変調し、選局することにより、単一の番組に対応するアナログ放送信号を得る。エンコーダ7は、アナログチューナーから出力される単一番組に対応するアナログ放送信号の信号区間をエンコードして、VOBUを得る。エンコーダ7は、アナログ放送信号中の映像信号をエンコードすることによりGOPを得るビデオエンコーダ(1)と、アナログ放送信号中の音声信号をエンコードすることにより音声データ列を得るオーディオエンコーダ(2)と、GOP及び音声データの多重化を行い、VOBUを得る多重化部(3)とを備える。GOPが生成される度に、エンコーダ7は、VOBUの再生時間と、このVOBUのデータ長とをマップ作成部11に出力する。
デジタルチューナ8は、放送局から放送される放送波を変調し、選局することにより、単一番組に対応するデジタル放送信号を得る。本実施形態において記録装置100は、デジタルチューナ8を内蔵することによりデジタル放送信号を得たが、STB(SetTopBox)等別個の装置に内蔵されているデジタルチューナ8からデジタル放送信号を得ても良い。この場合、STBからのデジタル放送信号の入力を受け付けるためのデジタルインターフェイスを記録装置100に設けておかねばならない。
抽出部9は、デジタル放送信号の信号区間からTSパケット列を抽出し、各TSパケットにATSを付加することにより、VOBUを得る。解析部10は、抽出部9内に実装される構成要素であり、TSパケットの適用フィールドにおけるランダムアクセス表示フラグを参照することにより、アクセスポイントの先頭を含むTSパケットがどれであるかを判定する。更にそのTSパケットのユニット開始インディケータを参照することにより、そのTSパケットにおけるアクセスポイントの検出を検出する。この判定処理、検出処理を複数TSパケットに対して繰り返しおこなった上で、VOBUのサイズと、VOBUの再生時間とを算出する。VOBUのサイズは、アクセスポイントの先頭位置から、後続するアクセスポイントの先頭位置までの差分を算出することにより求められる。VOBUの再生時間は、アクセスポイントの先頭位置のPTSから、後続するアクセスポイントの先頭位置のPTSまでの差分を算出することにより求められる。こうして求められたVOBUのサイズ及び再生時間は、マップ作成部11に出力される。
マップ作成部11は、エンコーダ7及び解析部10から出力されたVOBUのサイズ及び再生時間を、そのVOBUの識別子と対応づけて、VOBUについてのエントリー情報を得て、常駐メモリ4に書き込む。TS-VOBに含まれる各VOBUに対して、エントリー情報の生成処理を繰り返し行えば、アクセスマップが得られることになる。
拡張属性区間検出部12は、再生時に行われる拡張制御の内容がCMスキップであり、複数再生経路において一律に有効である場合、その拡張制御を行うべき区間を、複数再生経路情報により示される複数再生経路に対し、図11に示すように一括指定するものである。かかる一括指定の実現のため、拡張属性区間検出部12は、TS-VOB内において一括指定された拡張属性区間が何処に存在するかを示すセクションマーカを作成し、VOB情報内に組み込む。ここでのセクションマーカの作成は、以下の処理により行われる。拡張属性区間検出部12は、デジタル放送信号及びアナログ放送信号を構成する信号区間がどのような属性をもっているかを監視する。そして属性の変化があれば、その変化点に対応するTS-VOB上の位置を検出する。このような変化点は、拡張制御を開始すべき位置、つまり拡張属性区間の開始点と考えれるので、この変化点を開始点とした拡張属性区間を指定するセクションマーカを作成して、VOB情報内に組み込む。セクションマーカの作成にあたって、拡張属性区間検出部12は、その検出時においてエンコーダ7及び抽出部10に入力されてくるPESパケット又はエンコーダ7及び抽出部10から出力されるPESパケットのPTSを用いて、その変化点を表現する。
CM区間検出部13は、拡張属性区間検出部12内に実装される構成要素であり、モノナルの音声属性を有する放送信号の途中に、ステレオの音声属性を持っている信号区間が挿入されている場合、アナログ音声からステレオ音声への変化点に対応するデジタルストリーム上の位置を検出する。このような変化点は、"CMスキップ"という拡張制御を開始すべき位置、つまりCM属性をもった拡張属性区間の開始点と考えれるので、この変化点を開始点とした拡張属性区間を指定するセクションマーカを作成して、VOB情報内に組み込む。
再生経路情報作成部14は、DVDへのTS-VOBの書き込みが完了すれば、TS-VOBを構成する何れかのTSパケットをセルの開始点に選び、TS-VOBを構成する別のTSパケットをセルの終了点に選んで、これらに付与されたPTSを開始点情報、終了点情報としたセル情報を作成する。セル情報の作成を繰り返し、作成されたセル情報をメモリ内で配列させることにより再生経路情報を得て、再生経路情報を含むPGC情報を生成する。再生経路がユーザ定義によるものならば、セルの開始点、終了点を選ぶ作業は、ユーザインターフェイス部2が受け付けたユーザ操作に従い行われる。
録画制御部15は、トラックバッファ5によるバッファリングを前提とした、書き込み制御を実現する。この書き込み制御は、エンコーダ7又は抽出部9から出力されたTSパケットにより、トラックバッファ5が充填されるのを待ち、充填されれば、トラックバッファ5中の複数TSパケットをDVDのECCブロックに書き込むというものである。ユーザにより録画終了操作がなされれば、それまでにトラックバッファ5に蓄積されていたTSパケットをDVDのECCブロックに書き込み、そして常駐メモリ4に格納されているVOB情報、PGC情報をDVDに書き込んで、記録処理を終了する。
以上が、記録装置100において記録処理を実現する構成要素である。続いて記録装置100において、再生処理を実現する構成要素について説明する。このような構成要素には、デコーダ16、再生制御部17、拡張属性区間設定部18、未視聴区間検出部19がある。デコーダ16は、ドライブ装置3によりDVDから読み出されるVOBUを、ビデオデータ列、オーディオデータ列に分離する多重分離部(1)、ビデオデータをデコードするビデオデコーダ(2)、オーディオデータをデコードするオーディオデコーダ(3)を備え、映像−音声の多重信号であるAV信号をテレビに出力する。
再生制御部17は、アクセスマップをレファレンステーブルとして用いた間接参照により、セルの開始点となるTSパケットのDVD上のアドレスを求める。同様の間接参照を、セルの終了点となるTSパケットについて行って、セルの終了点となるTSパケットの、DVD上のアドレスを求める。開始点、終了点のそれぞれに対応するTSパケットの、DVD上のアドレスを算出すれば、両アドレス間の読み出しをドライブ装置3に指示し、読み出されたTSパケットの復号をデコーダ16に指示する。このような再生制御を、再生経路情報を構成する複数のセル情報について行えば、再生経路情報に従った再生制御が実現されることになる。以上の再生制御は基本的なものであり、変則的なVOBU読み出しを行うことにより、記録装置100は特殊再生を実現する。例えば全てのTSパケットを再生するのではなく、複数VOBUを飛び飛びに読み出してゆくことにより、早送りを実現することができる。またTS-VOBにおけるTSパケットの配列とは、逆順に複数VOBUを読み出してゆけば、巻戻しを実現することができる。
拡張属性区間設定部18は、再生時に行われる拡張制御の内容が、未視聴区間の再生等であり、1つの再生経路情報により示される再生経路内に限って有効である場合、その再生経路に対し、拡張制御を行うべき区間を、個別に指定する。個別指定にあたって、その指定された区間が何処に存在するかを示すセクションマーカを作成し、PGC情報内に組み込む。このセクションマーカの作成は以下のようにして行われる。拡張属性区間設定部18は、再生経路に基づく再生制御中、どのような操作がユーザによりなされたかの監視を行う。操作が検出された場合、その検出がなされたデジタルストリーム上の位置を、拡張制御を開始すべき位置として検出して、その開始位置を始点とした拡張属性区間を指定するセクションマーカを、PGC情報内に作成する。セクションマーカの作成にあたって、拡張属性区間設定部18は、操作の検出時においてデコーダ16に入力されてくるPESパケットのPTSを用いて、その検出点を表現する。
未視聴区間検出部19は、拡張属性区間設定部18に実装される構成要素であり、再生経路に基づく再生制御中、どのような操作がユーザによりなされたかの監視を行う。停止操作が検出された場合、その検出がなされたデジタルストリーム上の位置を、拡張制御を開始すべき位置として検出して、その開始位置を始点とし、その再生経路の末尾を終了点とした拡張属性区間を指定するセクションマーカを、PGC情報内に作成して、PGC情報内に組み込む。未視聴区間検出部19は、未視聴区間を検出するものであるから、ユーザによる再生経路の再生と、再生経路の再生停止とがなされる度に、未視聴区間検出部19による拡張属性区間の検出と、セクションマーカの作成とは繰り返し行われる。未視聴区間検出部19により検出される拡張属性区間を、"未再生"の区間ではなく"未視聴"の区間としたのは、ユーザにより再生された区間以外の区間も含む趣旨である。ユーザが放送番組を視聴しながら録画しており録画の途中で視聴をやめた場合、その視聴を止めた位置から再生経路の末尾までが未視聴区間として検出される。例えば、ユーザが放送番組を視聴しながら録画しており録画の途中で視聴をやめた場合、未視聴区間検出部19は、TVの電源断等、視聴をやめる旨を示す操作を検出して、その操作の検出時点からTS-VOBの最後までを、未視聴区間として検出すれば良い。
以上が記録装置100の構成要素である。これらの構成要素は、プログラムと、そのプログラムを解読し実行するコンピュータにより実現される。図14、図15は、このプログラムの手順を示すフローチャートであり、以降このフロ−チャ−トを参照しながら、記録装置100による処理を更に詳細に説明する。尚、以降の説明の簡略化を期するため、検出・設定されるべき拡張属性区間は、CM区間、未視聴区間の2つに留める。
図14のフローチャートにおいてステップS1〜ステップS3からなるループ処理は、処理の最上位層に位置するものであり、ユーザによりなされた操作に応じて、各種処理への振り分けを実現する。録画操作がなされれば、ユーザインターフェイス部2によりこの操作が検出されてステップS3からステップS4への移行が行われる。ステップS4において録画制御部15は、アナログ放送信号の信号区間の音声属性をデフォルトの音声属性として検出して記憶しておき、また後述するFlagを0にリセットする。そしてステップS5において録画制御部15は、順次入力される信号区間をエンコードするようエンコーダ7に指示した後、ステップS6及びステップS7からなるループ処理に移行する。このループ処理は、アナログ放送信号の入力が継続している期間において、CM区間検出部13に信号区間の音声属性の変化を継続して検出させるものである。このループ処理の終了要件は、ステップS7がYesと判定されることである。また信号区間の音声属性の変化が検出される度毎に、ステップS8〜ステップS14の処理を経由した上ステップS6〜ステップS7の処理を繰り返し行う。ここで経由されるステップS8〜ステップS14は、この変化点を、CM区間検出部13が拡張属性区間の開始点又は終了点として設定するものであり、ステップS8〜ステップS14による開始点又は終了点の設定の後、処理はステップS6〜ステップS7のループ処理に戻る。つまり、アナログ放送信号の入力が継続していて、録画処理が継続している間、音声属性の変化点が検出される度に、CM区間検出部13により拡張属性区間の開始点、終了点の設定が行われるのである。ステップS9及びステップS12では、アナログ放送信号の音声属性が変化した時点において、CM区間検出部13はエンコーダ7に入力されてくるTSパケットのPTSを検出する。音声属性の変化点は、このPTSにより表現される。変化点を開始点とするか、終了点とするかの切り換えは、Flagの値によりなされる。Flagが0であれば、ステップS10においてCM区間検出部13は、検出されたPTSを、CM属性を有する拡張属性区間の開始点とし、その後、ステップS11においてFlagを"1"に設定する。Flagが1であれば、ステップS13においてCM区間検出部13はPTSを、CM属性を有する拡張属性区間の開始点とし、その後、ステップS14においてFlagを"0"にリセットする。
ユーザが録画処理の停止を命じる旨の操作を行えば、ステップS7からステップS16への移行が行われる。ステップS16において録画制御部15は、CM属性をもった拡張属性区間の所在を示すセクションマーカが組み込まれたVOB情報と、TS-VOBにおけるデフォルトの再生経路を示す再生経路情報を含むPGC情報とを常駐メモリ4内に生成し、ステップS17においてVOB情報及びPGC情報をDVDに書き込む。
以上が、録画時の処理である。これにより、TS-VOBと、VOB情報と、PGC情報とがDVDに記録されることになる。再生の実行を命じる旨の操作がなされれば、ステップS1〜ステップS3からなるループ処理から、図15に示すステップS18〜ステップS22への移行を行う。ステップS18〜ステップS22からなるループ処理は、再生経路情報をユーザ定義するにあたっての各種操作を、ユーザから受け付けるものである。再生操作が命じられれば(ステップS18でYes)、ステップS18において再生制御部17はドライブ装置3に通常再生のディスクアクセスの実行を命じる。これにより、TVには、TS-VOBの再生映像が表示されることになる。早送り・巻戻しを行う旨の操作がなされると(ステップS19でYes)、ステップS24において録画制御部15は早送り・巻戻しの実現のためのディスクアクセスをドライブ装置3に実行させる。以上の操作により、セルとして設定すべき箇所への頭出しが高速に実現される。開始点を指定するという操作がなされると(ステップS20においてYes)、ステップS25において、再生経路情報作成部14はデコーダ16から出力されるTSパケットのPTSを検出して、これをセル情報の開始点とする。一方、終了点を指定するという操作がなされると(ステップS21においてYes)、ステップS26において再生経路情報作成部14は、デコーダ16から出力されるTSパケットのPTSを検出して、これをセル情報の終了点とする。以上の処理の繰り返しにより、再生経路情報の構成要素となるセル情報が常駐メモリ4上に複数得られることになる。停止操作が行われれば、ステップS22がYesとなり、ステップS15において作成されたセル情報を配列してなる再生経路情報を含むPGC情報をDVDに書き込む。
ユーザ定義された再生経路情報を介したTS-VOBの再生処理について説明する。この再生経路情報は、複数のセル情報から構成されているので、ステップS27〜ステップS33の対象となるセル情報を変数jにて指示する。ステップS27〜ステップS30は、この変数jを制御変数としたループ処理を構成するものである。再生制御部17がユーザ定義再生経路情報からj番目のセル情報を取り出して(ステップS28)、セル情報jの開始点から終了点までのVOBUの読み取りをドライブ装置3に指示するというものであり(ステップS29)、このようにして読み取られたVOBUをデコーダ16がデコードすることにより、映像出力がなされる。この制御変数のインクリメントは、ステップS31にて行われる。また、このループ処理の終了要件は、ステップS30においてこの制御変数がセル総数に達すると判定されること、又は、ユーザによる再生終了操作がなされたと判定されることである。
停止操作が行われると、ステップS30からステップS32に移行し、未視聴区間検出部19はセルjにおいて、最後にデコーダに入力されたTSパケットの次から、再生経路情報の最後に位置するセル情報の終了点までを、未視聴属性をもった拡張属性区間として指定するセクションマーカを作成し、ステップS33において作成したセクションマーカを、ユーザ定義されたPGC情報に組み込む。以上の処理により、未視聴属性をもった拡張属性区間が、ユーザ定義した再生経路に設定されるのである。
以上のように本実施形態によれば、本実施形態に示した構成を有する記録装置100に、第1実施形態に示したDVDを生成させるので、第1実施形態に示したDVDの普及を促進することができる。(第3実施形態)第3実施形態は、PGC情報内のセクションマーカにて、未視聴属性をもった拡張属性区間が規定されている場合に、DVDにおける拡張属性区間の所在をどのように規定するかについて説明する。VOB情報におけるアクセスマップに、VOBU毎の再生時間と、サイズとが対応づけて記述されているので、ここに記述されているアドレス、再生時間を積算してゆけば、拡張属性区間の開始点、終了点を含むVOBUを特定することができる。拡張属性区間の開始点及び終了点が、同じセル内に存在する場合は、そのように特定された開始点を含むVOBUから、終了点を含むVOBUまでを読み出せばよい。ここで問題となるのは、開始点、終了点が異なるセル内に存在する場合である。図16(a)は、連続する2つのセル(セル#1、セル#2)に、拡張属性区間の開始点、終了点が存在する一例を示す。この場合、先行するセル#1については、拡張属性区間の開始点rp1から、セル#1の終了点rp2までを読み出さねばならない。また後続するセル#2については、セル#2の先頭rp3から拡張属性区間の終了点rp4までのVOBUを読み出す必要がある。つまり拡張属性区間がセル同士の境界(終了点−開始点の組み)を含む場合は、拡張属性区間の開始点からセルの終了点のまでのVOBU、後続するセルの開始点から拡張属性区間の終了点までのVOBUというように、VOBUの読み出しを2度に分けて行う。図16(b)は、連続する3つ以上のセルにおいて端部のセル(セル#1、セル#5)に拡張属性区間の開始点、終了点が存在する場合の一例を示す。この場合、セル#1については、拡張属性区間の開始点rp5からセル#1の終了点rp6までのVOBUを読み出さねばならない。セル#5については、セル#5の開始点rp7から拡張属性区間の終了点rp8までのVOBUを読み出さねばならない。セル#1、セル#5に介在するセル#2〜セル#4については、開始点から終了点までに位置する全てのVOBUを読み出す。以上のような読み出しを、セル#1〜セル#5に対して行えば、拡張属性区間を含むVOBUが読み出されることになる。
以上のように本実施形態によれば、『間接参照に対する間接参照』にて拡張属性区間の所在が示されている場合であっても、TS-VOBの何処から何処までを再生すべきかという開始箇所の特定を容易に行うことができる。
(第4実施形態)本実施形態は、PGC情報に設定されたセクションマーカに基づく拡張制御と、VOB情報に設定されたセクションマーカに基づく拡張制御とを共に実行する場合の処理を開示する。図17は、本実施形態に係る再生制御部17の内部構成を示す図であり、本実施形態における再生制御部17は拡張制御実行部20、拡張制御調停部21を備える。
拡張制御実行部20は、VOB情報及びPGC情報内のセクションマーカにより指定されている拡張属性区間において、その拡張属性区間固有の拡張制御を行う。拡張制御調停部21は、拡張属性区間同士の重複部で発生しうる拡張制御同士の競合を、回避するよう調停処理を行う。この拡張制御調停部21による調停とは、拡張属性区間についての拡張属性に基づき、各拡張属性区間についての拡張制御に優先順位を設定して、この優先順位が低い拡張制御を実行せず、これに代えて優先順位が高い拡張制御を例外的に実行するというものである。
図18は、未視聴区間の内部に、CM属性をもった拡張属性区間(CM区間)との重複部分が存在するという事例を示す。この事例において、拡張制御調停部21が拡張制御間の調停を行えば、以下のようになる。未視聴区間である拡張属性区間と、CM区間である拡張属性区間とが重複している場合、拡張制御について優先順位を設定する。「未視聴区間を再生する」という拡張制御より、「CM区間をスキップする」という拡張制御の優先順位が高い場合は、この重複部分については、「未視聴区間を再生する」という拡張制御に代えて、矢印cy1に示すように「CM区間をスキップする」という拡張制御を実行する。一方未視聴区間のうち、CM区間との非重複部分については、未視聴区間固有の拡張制御、つまり矢印cy2,cy3に示すように未視聴区間をそのまま再生するという拡張制御を行う。各拡張属性区間に対する優先順位を、どのような基準をもって設定するかについて説明する。本実施形態においては、VOB情報内のセクションマーカにより指定されている拡張属性区間の優先順位を、PGC情報内のセクションマーカにより指定されている拡張属性区間の優先順位より高く設定する。その理由は以下の通りである。PGC情報内のセクションマーカにより指定されている拡張属性区間は、ユーザの操作に基づき定められたものであり、そのユーザ当人限りの内容であることが多い。これに対しVOB情報内のセクションマーカにより指定されている拡張属性区間は、あらゆるユーザに対して普遍的な価値を持つことが多い。このように普遍的な価値がある拡張制御を、ユーザ当人限りの拡張制御より優先することで拡張制御の統合化を実現している。
もっとも重複部分において拡張制御調停部21による調停が必要なのは、拡張属性区間固有の拡張制御が互いに排他的な関係にある場合であり、拡張属性区間固有の拡張制御が併存可能であれば、拡張制御調停部21による調停は不要である。例えばCM属性をもった拡張属性区間に対する拡張制御が、URLのオーバラップ表示や、ロゴマークのサムネール表示といった非排他的なものなら、他の拡張制御と並行して行ってもよい。拡張制御調停部21は、セクションマーカの区分情報を参照することにより、拡張制御の併存が可能か、調停を行うべきかの判定も併せて行う。
拡張制御調停部21は、図19、図20のフロ−チャ−トを実現するプログラムと、これを解読し、実行するプロセッサとにより構成される。図19、図20は、本実施形態に係る拡張制御調停部21の処理手順を示すフローチャートである。このフロ−チャ−トは、未視聴区間を再生するという拡張属性区間を原則的に行いつつも、未視聴区間がCM区間と重複している場合は、このCM区間をスキップするという処理を例外的に行うものである。尚、以降の説明の簡略化を期するため、検出・設定されるべき拡張属性区間は、CM区間、未視聴区間の2つに留める。
ステップS40において未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点を含むセルiと、終了点を含むセルjとを特定した後、ステップS41を実行する。ステップS41は、セルiがセルjと一致するか否かを判定するステップである。セルiがセルjと一致するのは、未視聴区間が1つのセル内に包含されていることを意味する。
セルiとセルjとが一致している場合は、ステップS43においてセルiにおいて未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点から、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点までを再生すればよい。しかしこの未視聴区間がCM区間と重複している可能性を忘れてはならない。ステップS42は、この重複の有無を判定する判定ステップであり、CM区間の開始点が存在するのなら、例外的に未視聴区間の再生をこの前後に留める。つまりステップS44において未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点の直後から、CM属性をもった拡張属性区間の直前までを再生し、それからステップS45においてCM属性をもった拡張属性区間の直後から、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点までを再生する。以上の再生制御を終えた後、本フロ−チャ−トの処理を終了する。
一方セルiがセルjと一致しない場合は、ステップS47において、セルi内の未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点から、セルiの終了点までの再生を行い、ステップS48においてセルiの次順位のセルをセルiとする。これらステップS47、ステップS48にも未視聴区間がCM区間と重複している場合の例外処理がある。ステップS46は、この例外処理の要否を判定するステップであり、セルiの内部にCM属性をもった拡張属性区間の開始点を含むか否かの判定を行う。CM区間の開始点がセルi内に存在するのなら、この例外処理を実行する。ステップS46が重複ありと判定した場合の例外処理は、CM区間の前後を再生するという処理が主要部分であるが、この他に、CM区間に相当する部分をスキップするというものがある。
つまりステップS49において未視聴属性をもった拡張属性区間の開始点の直後から、CM属性区間の直前までを再生した後、次のステップS50において、CM属性をもった拡張属性区間の終了点がどのセルの内部にあるかを特定する。このようにCM区間の終了点を含むセルを特定するのは、かような終了点を含むセルが、セルiと一致するとは限らないからである。CM属性をもった拡張属性区間の終了点を含むセルをセルkとすると、ステップS51においてセルkをセルiに設定し直す。このような設定し直しにより、セルiからセルkまでのセルはスキップされることになる。最後にステップS52において、CM属性をもった拡張属性区間の直後から、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点までを再生して例外処理を終える。
ステップS48及びステップS52の処理が終われば、図20のステップS53〜ステップS56からなるループ処理に移行する。このループ処理において制御変数の役割を果たすのは、セルiの"i"であり、このiにて特定されるセルiの再生が、ステップS55において行われる。このループ処理の終了要件を定めるのはステップS53である。このステップS53は、セルi内に、CM属性をもった拡張属性区間の終了点が存在するか否かを判定するものであり、存在すればこのループ処理を抜けてステップS57へと移行する。
ステップS54は、セルi内にCM区間の開始点が存在する場合の例外処理を実行するための切換ステップである。この例外処理の実行時において、変数iは1つずつインクリメントされてゆくのではなく、CM区間の終了点が存在するセルまでスキップする。つまりステップS61においてセルiの開始点から、CM属性をもった拡張属性区間の直前までを再生し、その後ステップS62において、CM属性をもった拡張属性区間の終了点を含むセルkを特定する。ステップS63では、セルkをセルiに更新するのである。多くのセルがスキップされれば、セルiが未視聴区間の終了点に到達してしまうことがある。ステップS64は、未視聴区間終了点への到達を判定するものであり、具体的にはセルiが、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点を含んでいるか否かを判定する。含んでいるということは、上述したループ処理の終了要件を満たしたことになるので、ステップS53の要件が満たされるのを待つまでもなくステップS66においてCM属性をもった拡張属性区間の直後から、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点までを再生した上で、処理を終える。
含んでいないなら、ステップS65においてCM属性をもった拡張属性区間の直後から、セルiの終了点までを再生した上でステップS53〜ステップS56からなるループ処理に戻る。このループ処理の反復実行により、未視聴区間において終了点を含まないセルが順次再生されてゆくことになる。ステップS53〜ステップS56からなるループ処理を終了した後は、ステップS57に移行する。ステップS57は、未視聴区間の終了点を含むセル内に、CM属性をもった拡張属性区間の開始点が存在するか否かを判定するものである。開始点を含んでいないなら、ステップS58においてセルiの開始点から、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点までの再生を行う。
開始点を含んでいるなら、ステップS59においてセルiの開始点から、CM属性をもった拡張属性区間の直後までを再生し、その後、ステップS60においてCM属性をもった拡張属性区間の直後から、未視聴属性をもった拡張属性区間の終了点までを再生する。以上のように本実施形態によれば、ユーザ各人の視聴の嗜好を尊重した拡張制御と、複数ユーザに普遍的に必要な拡張制御との組み合わせを好適に実現するので、再生制御のバリエーションを増やすことができる。
(第5実施形態)本実施形態は、セクションマーカの細分化、詳細化に対応するための改良に関する。再生経路において、何をもって拡張属性とするかという拡張属性の基準は、記録装置100を製造するメーカーの思惑や商品戦略によって大きく左右され、画一化されるとは言い難い。今後も細分化、詳細化の途を辿ると考えられる。本実施形態は、そのように細分化、詳細化したセクションマーカを、好適に管理することができるDVDを開示する。
図21は、本実施形態に係るPGC情報及びVOB情報の内部構成を示す図である。本図におけるセクションマーカが、第1実施形態に示したセクションマーカと異なるのは、『区分情報』が新規に設けられている点である。本実施形態における区分情報は、セクションマーカが複数のメーカー間で有効な区分に属するか、単独のメーカーのみで有効な区分に属するかを示す。図22は、区分情報の設定内容を示す図である。セクションマーカが前者の区分に属する場合、区分情報には、『メーカ共通コード』が設定される。セクションマーカが後者の区分に属する場合、区分情報には、『メーカ別コード』と、そのメーカについての『メーカID』とが設定される。
複数のメーカー間でセクションマーカが有効であるというのが、どういう場合かというと、そのセクションマーカに対応する拡張属性区間の基準の取り決めに、ディスク規格に参画する複数メーカーの同意があり、ディスク規格に参画するメーカーの製造に係る記録装置100は、そのセクションマーカに示される拡張属性区間に対して、共通の拡張制御を行うことを約束することを意味する。
単独のメーカー間で有効であるというのがどういう場合かというと、そのセクションマーカに対応する拡張属性区間の基準の取り決めが、1つのメーカーの独断に基づくものであり、ディスク規格に参画する他のメーカーの製造に係る記録装置100は、そのセクションマーカに示される拡張属性区間に対して、拡張制御を行う必要がないことを意味する。この場合、セクションマーカがどのメーカーの製造に係る記録装置100で有効なのかを示しておく必要があるので、上述したメーカIDが併用される。
再生時において記録装置100は、VOB情報及びPGC情報内に含まれるセクションマーカ内のメーカーIDを参照し、単独メーカーにおいて有効なセクションマーカであって、このメーカーIDが自身のメーカーIDと一致するセクションマーカのみについて、このセクションマーカに基づく拡張制御を行う。単独メーカーにおいて有効なセクションマーカであって、組み込まれているメーカーIDが、記録装置100とは異なるものについては、セクションマーカに基づく拡張制御を行わない。
続いて、本実施形態に係る記録装置100の内部構成について説明する。図23は、本実施形態に係る記録装置100の内部構成を示す図である。本実施形態における記録装置100が、これまでの記録装置100と異なるのは、メーカーID保持部23が新規に追加されており、また録画制御部15、再生制御部17が本実施形態特有の処理を行う点である。
メーカーID保持部23は、自身を製造したメーカーに固有の識別子を保持する。録画制御部15は、セクションマーカを作成する際、そのセクションマーカにて指定される拡張属性区間が、どのようなタイプの拡張属性を有する拡張属性区間であるかを判定して、判定結果を示す区分情報を得る。その拡張属性区間のタイプが複数メーカー間で有効なものか、単独メーカーで有効なものであるかを判定し、単独メーカーで有効なものなら、録画制御部15により保持されているメーカーIDを区分情報内に組み込む。
再生制御部17は、拡張制御を実行するにあたって、拡張属性区間固有の所在を指定するセクションマーカを参照する。セクションマーカの区分情報が「複数メーカー間で有効」を示しているなら、そのセクションマーカにより指定されている拡張属性区間に固有な拡張制御を実行する。このセクションマーカの区分情報が「単独メーカーで有効」を示しているなら、そのセクションマーカに含まれるメーカーIDを取り出し、メーカID保持部23により保持されているメーカーIDと比較する。両メーカーIDが一致すれば、そのセクションマーカで指定されている拡張属性区間について拡張制御を実行し、一致しななれば実行しない。
以上のように本実施形態によれば、単独のメーカーにおいて有効なセクションマーカについては、セクションマーカの内部にそのメーカーについてのメーカーIDが組み込まれている。これを参照することにより、再生時にあたって、他社が独自に基準を定めたセクションマーカを無視するという処理を行うことができる。これにより、他社が単独で定めた基準に従い、処理を行おうとすることによる誤動作を避けることができる。
(第6実施形態)片面で最大27Gバイト以上の記録容量を有したDVDで、長時間録画を行う場合の改良に関する。このような大容量DVDは、NTSC放送なら13時間以上の放送内容を記録することができる。かかるDVDの登場により、あるチャネルで放送される半日分、一日分の番組を1つのTS-VOBとして一枚のDVDに記録しておき、家族や複数の友人等の多くのユーザがこれを共用して鑑賞するという、マルチユーザ対応型の利用法が今後定着するものと考えられる。しかしこの場合、半日分、一日分の放送内容に対応するTS-VOBのうち、自分の視聴を希望する番組が何処に存在するかを、各ユーザは早送り等の特殊再生を駆使して探し出す必要がある。いくらDVDにおける早送り処理が高速に行われるとはいえ、このような探し出し作業はかなり煩わしい作業である。
そこで本実施形態に係る拡張属性区間検出部12は、TS-VOBのうち1つの番組に対応する部分を拡張属性区間として検出し、これを指定するセクションマーカをVOB情報内に作成する。図24は、第6実施形態に係る拡張属性区間検出部12の内部構成を示す図であり、本図に示すように拡張属性区間検出部12はCM区間検出部13の他に番組配列変化区間検出部24、カルーセル区間検出部25を備える。
番組配列変化区間検出部24は、デジタル放送信号のうち、番組配列情報が特定のものに変化した区間(番組配列情報が変化した区間という)を拡張属性区間として検出する。番組配列変化区間検出部24による拡張属性区間の検出は、PSI(Program Spesfic Informatin:MPEG2規格における番組配列情報)、SI(Service Information:ARIB-STD B-10に規定された番組配列情報)に基づいて行われる。PSIは番組の配列を規定する情報であり、PAT、PMTといったものがある。PMTは、放送番組のストリーム構造を規定する情報である。つまりPMTには、マルチプログラム型のトランスポートストリームに多重される複数ストリームのうち、各放送番組を構成するビデオストリーム、オーディオストリームがどれであるかが示される。図25(a)は、PMTの一例を示す図であり、本図におけるPMT#1に対応する放送番組は、PID=001を有するビデオストリーム、PID=002を有するオーディオストリームにより構成されることがわかる。PATは、マルチプログラム型のトランスポートストリームにより転送される各放送番組を、どのPMTを参照して取得すれば良いかを示す。図25(b)は、PATの一例を示す図である。本図において放送番組#1のストリーム構造は、PMT#1に示されており、放送番組#2のストリーム構造は、PMT#2に示されていることがわかる。チューナーにより受信されている放送チャネルにおいてこれらPMT,PATのIDを参照し、これらIDが予め定められた値になったのは何処であるか、また前のものから変化したのは何処であるかを監視する。これにより、TS-VOBにおける1つの放送番組に対応する区間を拡張属性区間として認識して、この拡張属性区間を特定するセクションマーカを作成し、PGC情報に組み込む。TS-VOBにおいて1つの放送番組に対応する区間を、拡張属性区間として指定することにより、この放送番組に対する頭出しや、この放送番組のスキップといった拡張制御を好適に行わせる。
カルーセル区間検出部25は、デジタル放送信号のうち、対話的な放送番組が送信されている区間を拡張属性区間として検出する。カルーセル区間検出部25による拡張属性区間の検出は、データカルーセル方式にて送信される区間の検出により実現される。データカルーセルとは、対話的な放送の実現のために同一内容を繰り返しするという放送方式である。繰り返し放送される同一内容とは、BML(Broadcast Markup Languege)で記述されたBML文書、このBML文書により参照されるモノメディアデータがある。データカルーセルにより繰り返し伝送されるデータは、複数に分割されて、DDB(Dawnload Datablock)というブロックに格納されて、DII(DownloadinfoIndicatin)と呼ばれる固有の制御情報と共に伝送される。このDIIは、DBBに先立って送信され、またこのDIIには、DBBのデータ長が記述されるので、カルーセル区間検出部25は、このDIIに基づき、トランスポートストリームにおけるデータカルーセルに対応する拡張属性区間を特定し、この拡張属性区間を指定するセクションマーカを作成してPGC情報内に組み込む。データカルーセル方式送信されるべきデータブロックを拡張属性区間として指定することにより、このデータブロックに対する頭出しや、このデータブロックのスキップといった拡張制御を好適に行わせる。
以上のように本実施形態によれば、番組配列変化区間検出部24が、番組配列情報の変化の有無を監視し、特定の番組配列属性をもった信号区間がデジタル放送信号内に存在すれば、TS-VOBにおいて、この信号区間に対応する拡張属性区間を指定するセクションマーカを生成する。これにより半日,一日といった時間長有するTS-VOBにおいて、番組のだいたいの所在を表すことができる。そのため、AVファイルに含まれる番組の所在を絞り込むことができる。このように番組の所在が明らかになれば、その区間を含む再生経路を生成させることにより、次回からの頭出しを好適に行うことができる。自分の視聴のための頭出しに時間をとられることはなので、DVDに記録された記録内容の視聴を複数ユーザが希望している場合でも、各ユーザは、フラストレーションを感じることがない。
尚番組配列変化区間検出部24は、PSI・SIの変化を監視することにより、番組の所在の検出を行ったが、有料放送であるため再生禁止の信号属性が設定された区間や、著作権保護の観点から録画制限(only one copy)の信号属性が設定された区間を、拡張属性区間として検出してこの拡張属性区間を示すセクションマーカを作成してもよい。
またデジタル放送信号及びアナログ放送信号において、特定のジャンル、キャスト、タイトルを示すEPGが含まれている信号区間を拡張属性区間として検出し、これを指定するセクションマーカをVOB情報内に生成してもよい。そして再生時においては、これらジャンル、キャスト、タイトルを表示するという拡張制御を実行しても良い。
(第7実施形態)本実施形態は、番組配列情報が変化している区間やデータカルーセル方式により送信されている区間を拡張属性区間として検出した場合、これらの拡張属性区間においてどのような拡張制御を行うべきかについて開示する。本実施形態における改良点は、拡張制御実行部20、拡張制御調停部21に対してなされている。この拡張制御実行部20、拡張制御調停部21について説明する。
拡張制御実行部20は、セクションマーカにより指定されている拡張属性区間が、番組配列情報が変化している区間であるなら、この番組配列情報が変化した区間の先頭まで再生点をスキップするという拡張制御を行う。番組配列情報には、事前に再生装置側に読み取らせておかねばならないものがあり、番組配列情報が変化している区間において、番組配列情報を確実に再生装置側に読み取らせるために、番組配列情報が変化した区間の先頭まで再生点をスキップさせるという拡張制御がなされる。セクションマーカにより指定されている拡張属性区間が、データカルーセル方式により繰り返し送信されているデータなら、拡張制御実行部20はデータカルーセル方式により送信されている複数データのうち、1つのみを再生するという拡張制御を実現する。以上が拡張制御実行部20によりなされる拡張制御である。続いて拡張制御調停部21について説明する。
拡張制御調停部21は、番組配列情報やデータカルーセル方式の属性をもった拡張属性区間と、未視聴属性の属性をもった拡張属性区間とが重複している場合に、その重複部分において発生し得る拡張制御同士の競合の調停を行う。以降、拡張制御調停部21による調停にて拡張制御がどのように行われるかについて説明する。
図26(a)は、番組配列情報が変化した区間と未視聴区間とが重複しているため、未視聴区間固有の拡張制御と、番組配列情報が変化した区間固有の拡張制御との競合が発生しているという事例を示す。この事例では、番組配列情報が変化した区間の内部に、未視聴区間の開始点my1が存在する。未視聴区間固有の拡張制御とは、未視聴区間の先頭から再生を開始するというものなので、本来なら未視聴区間の先頭から、再生は開始されねばならない。しかし未視聴区間の開始点my1は番組配列情報が変化した区間の内部にあり、番組配列情報が変化した区間と重複しているので「番組配列情報が変化した区間固有の拡張制御」との競合が発生する。ここで「未視聴区間固有の拡張制御」の優先順位より「番組配列情報が変化した区間固有の拡張制御」の優先順位の方が高く設定されている場合、「未視聴区間固有の拡張制御」に代えて、例外的に「番組配列情報が変化した区間固有の拡張制御」を実行する。つまり図26(a)の矢印ty1に示すように、再生点を番組配列情報が変化した区間の先頭へと後戻りさせて、「番組配列情報が変化した区間」の先頭hc1から、再生を行う。
図26(b)は、カルーセル方式でデータが送信された区間(カルーセル区間)と、未視聴区間とが重複しているため、未視聴区間固有の拡張制御と、カルーセル区間固有の拡張制御との競合が発生している事例を示す。未視聴区間固有の拡張制御は、未視聴区間全体をそのまま再生しようというものであり、このままでは未視聴区間に含まれる全てのカルーセル区間が再生されることになる。一方、カルーセル区間固有の拡張制御とは、「複数のデータブロックのうち1つを再生する」というものなので、両者の競合が発生する。「カルーセル区間固有の拡張制御」の優先順位の方が、「未視聴区間固有の拡張制御」より高い場合、カルーセル区間の重複部分においては、「未視聴区間固有の拡張制御」に代えて、例外的に「カルーセル区間固有の拡張制御」を実行する。つまり未視聴区間の全部を再生するのではなく、矢印sr1に示すように複数データブロックのうち1つを再生し、残りは矢印sr2に示すようにスキップするのである。
以上のように本実施形態によれば、ユーザ毎の再生経路に設定された未視聴区間と、カルーセル区間、番組配列情報の変化区間とが重複している場合において、カルーセル区間、番組配列情報の変化区間に基づく拡張制御を例外的に行うので、デジタル放送で送信される制御情報に基づく処理を忠実に実行することができる。
(第8実施形態)第2実施形態では、放送波を復調し、選局することにより選られるデジタル放送信号、つまり単一番組に対応するデジタル放送信号を、TS-VOBに変換した。本実施形態では、放送波を復調することにより得られるデジタル放送信号であって未選局のもの、つまり、複数番組に対応するデジタル放送信号をTS-VOBに変換する場合の改良に関する。このTS-VOBをマルチプログラムTS-VOBといい、本実施形態に係る記録装置100は、このマルチプログラムTS-VOBの記録・再生を実現するよう構成されている。図27は、本実施形態に係る記録装置100の内部構成を示す図である。本図では、記録装置100の構成要素の一部を省略しており、その代わりにマルチプログラムTS-VOBの経路を破線の矢印zs1,zs2にて表している。この矢印zs1に示すようにDVD1からトラックバッファ5に読み出されたマルチプログラムTS-VOBは、デジタルチューナ8に出力され、矢印zs2に示すようにデジタルチューナ8から録画制御部15に出力される。かような経路によるマルチプログラムTS-VOBの転送を行うため、本実施形態に係るマップ作成部11、再生制御部17、拡張属性区間検出部12に特有の改良が施されている。
マップ作成部11は、TSパケットのTSヘッダ、適用フィールドの解析を行うことなく、アクセスマップの作成を行う。具体的には、所定の時間間隔毎に、デジタルチューナ8から抽出部9へと出力されてくるTSパケットのATSを読み取り、そのATSと、その時間間隔とを対応づけたエントリー情報を作成する。このエントリー情報の作成を繰り返し行うことにより、アクセスマップを形成する。
再生制御部17は、DVDに記録されたマルチプログラムTS-VOBを読み出して、破線の矢印zs1に示すように、デジタルチューナ8に出力する。デジタルチューナ8が選局を行い、1つの番組に対応するデジタル放送信号がデジタルチューナ8から出力されれば、破線の矢印zs2に示すように、この単一番組に対応するデジタル放送信号をデコーダ16に出力する。単一番組がデコーダ16に出力されることにより、デジタルチューナ8により選局された放送番組の表示出力が行われる。
拡張属性区間検出部12は、デジタルチューナ8に対してユーザが選局操作を行えば、ユーザにより選局されたチャネルを示す情報をデジタルチューナ8から取得する。マルチプログラムTS-VOBの表示出力がテレビにより行われ、その後ユーザが再生停止操作を行えば、第2実施形態同様、未視聴区間である拡張属性区間の所在を示すセクションマーカを作成して、このセクションマーカの内部に、ユーザインターフェイス部2から取得したチャネル番号を組み込む。上述したように、マルチプログラムTS-VOBの書き込み時・読み出し時においては、TSパケットのTSヘッダ、適用フィールドの解析を行うことはないので、拡張属性区間の開始点、終了点をPTSを用いて表現することができない。そこで拡張属性区間検出部12は、PTSに代えてATSを用いて、拡張属性区間の開始点、終了点を表現する。この場合、複数のTSパケットに付加されたATSのうち、PTSに最も近いものを用いて、拡張属性区間の開始点、終了点を表現するのが望ましい。そのようなATSとしては、ユーザにより再生操作がなされた時点において、デコーダ16に出力されるTSパケットに付加されているATSがある。図28は、拡張属性区間検出部12によりチャネル番号が組み込まれたセクションマーカを示す図である。
以上の処理により、チャネル番号を含むセクションマーカが作成されることになる。次回の再生時において、このセクションマーカに含まれるチャネル番号をデジタルチューナ8に出力するという処理を行えば、ユーザは、次回の再生時にデジタルチューナ8に対し、選局操作を行う必要がない。
(第9実施形態)PGC情報内のセクションマーカにより指定される拡張属性区間に対する削除編集に係る。図29は、本実施形態に係る記録装置の内部構成を示す図であり、本図に示すように本実施形態に係る記録装置は、削除編集部26を備える点に注目されたい。削除編集部26は、拡張属性区間や、セル、VOBの一部分を削除するという処理を行うものである。削除編集部26による削除は、セクションマーカやセル情報、VOB情報を更新するという処理によりなされる。また、削除編集部は、この削除処理に伴い、セル情報、セクションマーカ及びVOB情報を更新するという処理を行う。PGC情報内のセクションマーカにより指定される拡張属性区間は、「間接参照に対する間接参照」により表現されていることは第1実施形態に述べた通りである。拡張属性区間が参照しているセルやTS-VOBに対して編集がかけられた場合は勿論のこと、セルやTS-VOBは元の状態のままで拡張属性区間に対してのみ一部又は全部に対して削除が施される場合がある。更に拡張属性区間は、拡張制御が有効な範囲を、"点"ではなく、時間的な幅をもった"区間"で表現しているので、削除編集部26による拡張属性区間の削除態様には、以下のcase1〜case10に示す態様がある。
<case1>case1は、1つのセル内に拡張属性区間が内包されており、この拡張属性区間の端部を削除する場合である。このcase1において、拡張属性区間の開始点・終了点が、削除部分たる端部の直前・直後になるよう、セクションマーカの開始点情報・終了点情報を更新する。図30(a),(b)は、case1における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。また本図において記号"<"は、拡張属性区間の開始点を象徴的に示し、記号">"は、拡張属性区間の終了点を象徴的に示している。図30(a)において拡張属性区間の端部cy11を削除しようとする場合、拡張属性区間の開始点は、図30(b)の矢印cy12に示すようにこの削除部分の直後になるように削除編集部26により更新される。
<case2>case2は1つのセルに拡張属性区間が内包されており、この拡張属性区間の途中部分を削除する場合である。この場合、拡張属性区間を分割する。この分割は、削除編集部26による以下の2つの処理からなる。1つ目の処理は、かっての拡張属性区間を、途中部分に先行する部分にまで縮めるという処理である。このためセクションマーカにおいて終了点情報は、途中部分の直前を拡張属性区間の終了点にするよう削除編集部26により更新される。2つ目の処理は、この途中部分に後続する部分を、1個の拡張属性区間とすべく、セクションマーカを新たに作成するという処理である。新たに生成されるセクションマーカの開始点情報は、途中部分直後を開始点として指定し、新たに生成されるセクションマーカの終了点情報は、かっての終了点を指定する。
図30(c),(d)は、case2における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。図30(c)において拡張属性区間#1の途中部分を削除しようとする場合、図30(c)の拡張属性区間#1は、図30(d)に示すように拡張属性区間#1と、拡張属性区間#2という2つの拡張属性区間に削除編集部26により分割される。先行する拡張属性区間#1の終了点はこの削除部分の直前yz1になるように、後続する拡張属性区間#2の開始点はこの削除部分の直後yz2になるように、削除編集部26により更新される。
<case3>case3は2以上のセルの境界を跨ぐように拡張属性区間が存在しており、その端部を削除する場合である。このcase3は基本的には、case1と同様である。しかしcase3では、部分削除後の拡張属性区間の開始点・終了点がかっての拡張属性区間の開始点・終了点とは異なるセルに属する場合がある。開始点・終了点が異なるセルに属する場合があるので、このcase3において削除編集部26は、『拡張属性区間開始点が存在するセル』,『拡張属性区間終了点が存在するセル』を変更するよう、削除編集部26はセクションマーカの開始セルID、終了セルIDを更新する。
図31(a),(b)は、case3における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図31(a)において拡張属性区間の端部ty31を削除しようとする場合、図31(b)に示すように拡張属性区間の開始点は、この端部の直後ty32になるように、削除編集部26により更新される。
<case4>case4は2以上のセルを跨ぐように拡張属性区間が存在しており、この拡張属性区間の途中部分を削除する場合である。case4の処理は、基本的にはcase2と同様である。しかしこのcase4では、部分削除後の拡張属性区間の終了点と、部分削除により新たに得られる拡張属性区間の開始点とが、異なるセルに属することがある。つまりかっての拡張属性区間のセクションマーカについて削除編集部26は、『拡張属性区間終了点が存在するセル』を、途中部分の直前に位置するセルに変更するよう終了セルIDを変更する。
新たに得られる拡張属性区間のセクションマーカについては、『拡張属性区間開始点が存在するセル』を途中部分の直後に位置するセルに変更するよう、開始セルIDを設定する。そして『拡張属性区間終了点が存在するセル』をかっての拡張属性区間の終了点が位置するセルに変更するよう、削除編集部26は新たに得られたセクションマーカについての終了セルIDを設定する。図32(a),(b)は、case4における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。図32(a)において拡張属性区間の途中部分を削除しようとする場合、図32(a)における拡張属性区間#1は、削除編集部26により図32(b)に示すように2つの拡張属性区間#1,#2に分割される。先行する拡張属性区間の終了点は、この途中部分の直前になり、後続する拡張属性区間の開始点は、この途中部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
以上が拡張属性区間そのものに対する部分削除である。続いて再生経路に対する編集に伴う拡張属性区間の部分削除について説明する。
<case5>case5は、再生経路を構成する何れかのセルが全削除されるケースである。削除されるべきセルが拡張属性区間を内包している場合(case5-1)、その拡張属性区間が全削除される。図33(a),(b)は、case5-1における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図33(a)に示すようにセル#1〜#5のうち、セルを削除しようとする場合、このセルに内包される拡張属性区間は、図33(b)に示すように併せて削除編集部26により削除される。
逆に拡張属性区間が、削除されるべきセルを内包している場合(case5-2)、削除されるべきセルが削除されるべき途中部分であると考えて、削除編集部26はcase4の処理を行う。かっての拡張属性区間を削除セルに先行する部分に縮め、削除セルに後続する部分を新たな拡張属性区間とする。この際、途中の1つの以上のセルがなくなるので、『拡張属性区間終了点が存在するセル』を繰り上げるよう、削除編集部26はセクションマーカの終了セルIDを更新を行う。図34(a),(b)は、case5-2における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図34(a)においてセル#1〜#5のうちセル#2を削除しようとする場合、このセルに対応する拡張属性区間の途中部分が削除されることになる。図34(a)における拡張属性区間#1は、図34(b)における2つの拡張属性区間#1,#2に分割される。先行する拡張属性区間#1の終了点は、矢印ty51に示すこの途中部分の直前になり、後続する拡張属性区間#2の開始点は、矢印ty52に示すこの途中部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
削除セルに、拡張属性区間の開始点・終了点が内包されている場合(case5-3)、『拡張属性区間開始点が存在するセル』『拡張属性区間終了点が存在するセル』が削除セルの直前又は直後になるよう、削除編集部26はセクションマーカの開始セルID、終了セルIDを更新する。そして削除編集部26は削除セルの直前に位置するピクチャデータを、拡張属性区間の終了点に指定するようセクションマーカの終了点情報を更新し、削除セルの直後に位置するピクチャデータを、拡張属性区間の開始点に指定するよう、セクションマーカの開始点情報を更新する。図35(a),(b)は、case5-3における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図35(a)においてセル#1〜#5のうちセル#1を削除することは、これと重複する拡張属性区間の端部sn1を削除することと等価になる。図35(b)に示すように拡張属性区間の開始点は、この端部sn1の直後になるので、先行する拡張属性区間の開始点は矢印sn2に示すようにこの削除部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
<case6>case6は再生経路を構成する何れかのセルの端部が部分削除された場合である。この場合、削除編集部26は端部の直前・直後を示すよう、セル情報の開始点情報・終了点情報を更新する。削除されるべき端部が拡張属性区間を内包している場合(6-1)、拡張属性区間は削除編集部26により全削除される。図36(a),(b)は、case6-1における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図36(a)においてセル#1〜#5のうちセル#2の先端部分sm1を削除しようとする場合、図36(b)に示すようにこの先端部分に内包される拡張属性区間#1は、削除編集部26により併せて削除される。
逆に拡張属性区間がその端部を内包している場合(6-2)、削除編集部26はcase5の(5-2)同様の更新を行い、端部に先行する部分と、端部に後続する部分とをそれぞれ別個の拡張属性区間にする。図37(a),(b)は、case6-2における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図37(a)のセル#1〜#4のうちセル#2の先端部分を削除しようとする場合、このセルに対応する拡張属性区間の途中部分が削除されることになる。拡張属性区間#1は、図37(b)における2つの拡張属性区間#1,#2に分割される。先行する拡張属性区間#1の終了点は、矢印ty61に示すようにこの途中部分の直前になり、後続する拡張属性区間#2の開始点は、矢印ty62に示すようにこの途中部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
削除されるべきセルの端部に、拡張属性区間の開始点・終了点が内包されている場合(6-3)、case(5-3)と同様の処理を行う。図38(a),(b)は、case6-3における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図38(a)においてセル#1〜#5のうちセル#2の先端部分を削除することは、これと重複する拡張属性区間#1の先端部分を削除することと等価になる。図38(b)の拡張属性区間#1の開始点は、この端部の直後になるので、先行する拡張属性区間の開始点はこの削除部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
<case7>case7は、再生経路を構成する何れかのセルの途中部分が削除された場合である。この場合、そのセルが途中部分の直前までを占めるよう、削除編集部26によりセル情報の終了点情報が更新される。そしてこのセル情報の直後に、新たなセル情報が追加される。新たに追加されるセル情報の開始点情報は、削除部分の直後を新たなセルの開始点に指定しており、終了点情報は、かってのセルの終了点を、新たなセルの終了点に指定している。図39(a),(b)は、セルの途中部分の削除前後において、どのように変化するかを示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図39(a)においてセル#1〜#5のうちセル#2の途中部分を削除することを想定している。図39(b)に示すようにセル#2の途中部分の削除実行後において、セル#2は途中部分直前までの長さに縮められている。そして削除部分の直後には、新たなセル#2'が得られていることがわかる。
削除されるべき途中部分が拡張属性区間を内包している場合(case7-1)、その拡張属性区間は全削除される。図40(a),(b)は、case7-1における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図40(a)においてセル#1〜#5のうちセル#2の途中部分を削除することを想定している。セル#2の途中部分の削除実行後において、セル#2の途中部分に内包される拡張属性区間は、図40(b)に示すように併せて削除編集部26により削除される。
逆に拡張属性区間が削除されるべき途中部分を内包している場合(case7-2)、削除編集部26はcase5-2同様の更新を行い、端部に先行する部分と、端部に後続する部分とをそれぞれ別個の拡張属性区間にする。図41(a),(b)は、case7-2における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。セル#1〜#5のうちセル#2の途中部分を削除しようとする場合、このセルに対応する拡張属性区間の途中部分も併せて削除編集部26により削除されることになる。図41(a)における拡張属性区間#1は、図41(b)に示すように2つの拡張属性区間#1,#2に分割される。先行する拡張属性区間の終了点は、この途中部分の直前になり、後続する拡張属性区間の開始点は、この途中部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
削除されるべき途中部分に、拡張属性区間の開始点・終了点が内包されている場合(case7-3)、case5-3の処理を行い、削除編集部26は『拡張属性区間の開始点が存在するセル』、『拡張属性区間の終了点が存在するセル』が新たに得られたセルになるよう、セクションマーカの開始セルID、終了セルIDを更新し、セクションマーカの開始点・終了点が新たに得られたセル内の最初のピクチャデータ、最後のピクチャデータになるよう、削除編集部26はセクションマーカの開始点情報・終了点情報を更新する。
図42(a),(b)は、case7-3における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図42(a)に示すようにセル#1〜#5のうちセル#2の途中部分を削除しようとする場合、これに包含される拡張属性区間#1の端部が削除編集部26により削除されることになる。拡張属性区間の開始点は、図42(b)に示すようにこの端部の直後になるので、拡張属性区間#1の開始点はこの削除部分の直後になるように、削除編集部26により更新される。
<case8>case8は、AVファイルに収録されている何れかのTS-VOBを全削除する場合である。再生経路を構成するセルはどれかのTS-VOBに内包される。いいかえれば、TS-VOBの境界を跨ぐようなセルは絶対に存在しえない。これは拡張属性区間が複数セルの境界を跨ぎ得るのと一線を画する。何故なら、セルの開始点、終了点は、アクセスマップを介した間接参照により定義されているので、セルの開始点、終了点がTS-VOBの境界を跨げば、アクセスマップが複数必要となり、処理負荷が大きくなるからである。従って、TS-VOBが全削除されるケースは、そのTS-VOBに内包されるセルが全削除されるケースと同一視できる。何れかのTS-VOBが全削除されれば、このTS-VOBにより内包される全てのセルは削除編集部26により全削除される。よってcase5の処理を行えばよい。図43(a),(b)は、case8の削除前後におけるTS-VOB−セル−拡張属性区間の変遷を示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図43(a)に示すようにVOB#1〜VOB#4のうち、VOB#1が削除されると、これに内包されているセル、拡張属性区間も併せて図43(b)に示すように全削除されていることがわかる。
<case9>case9は、AVファイルに収録されている何れかのTS-VOBの端部を部分削除する場合である。端部の部分削除にあたっては、アクセスマップにおいてこの端部に相当するエントリー情報を削除するという処理が必要となる。拡張属性区間及び再生経路については、削除部分にセルが内包されているかどうかで処理が変わってくる。削除部分がセルを内包している場合は(9-1)、セルの全削除と同様に考えればよく、case5の処理を行えばよい。図44(a),(b)は、case9-1における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。VOB#1〜VOB#3のうち、図44(a)に示すようにVOB#1の端部を削除することは、この端部が内包するセル#1と、このセルに一部又は全部が含まれる拡張属性区間#1を削除することと等価になる。図44(b)では、TS-VOBの先端部分に内包されるセル#1と、このセルに先端部分が含まれる拡張属性区間#1とが削除編集部26により削除されていることがわかる。削除すべき端部がセルの端部である場合(case9-2)、case6と同様に考えれば良い。図45(a),(b)は、case9-2における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図45(a)においてVOB#1の端部を削除することは、この端部に包含されるセル#1の先端部分と、このセルに一部が含まれる拡張属性区間を削除することと等価になる。図45(b)では、TS-VOBの端部に先端部分が含まれるセル#1と、このセルに先端部分が含まれる拡張属性区間#1とが削除編集部26により削除されていることがわかる。
<case10>case10は、AVファイルに収録されているTS-VOBの途中部分を削除する場合である。この場合、TS-VOBの分割がなされる。ここでの分割とは、2つの処理からなる。1つ目の処理は、かってのTS-VOBを途中部分に先行する先行部分まで縮めるというものであり、2つ目の処理は、この途中部分に後続する部分を、新たなTS-VOBとしてAVファイルに追加することである。TS-VOBの分割に伴い、VOB情報の分割を行う。この分割では、TS-VOBの分割に伴い、アクセスマップを分割する。分割により得られた2つのアクセスマップをもった2つのVOB情報を生成し、2つのTS-VOBのそれぞれに対応づけるのである。
TS-VOBの途中部分が削除されれば、この削除によりTS-VOBが分割されることになる。この際、VOB情報も分割せねばならない。このVOB情報の分割については、米国特許USP,6148,140に詳細が記述されているので、この公報を参照されたい。この文献では、分割により得られた2つのTS-VOBをどのようにシームレスに再生させるかについて説明している。本実施形態におけるVOBの分割は、この公報に記載された技術をベースに成り立っていると考えて良い。
更にTS-VOBの先端部分や途中部分を削除する場合は、これに伴い、アクセスマップを更新する必要がある。このアクセスマップの更新については、国際公開公報WO99/14754号公報に詳細が記述されているので、この公報を参照されたい。この公報では、アクセスマップは、"タイムマップ"で表現されているが実質はアクセスマップと同義である。
図46(a),(b)は、TS-VOBの途中部分が削除された場合のTS-VOB−セルの変遷を示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図46(a)に示す途中部分の削除実行後において、かってのVOB#1は、セルと共に途中部分直前までの長さに削除編集部26により縮められている。そして削除部分の直後には、図46(b)に示すように新たなTS-VOB#1'が得られていることがわかる。
この削除されるべき途中部分がセルを内包している場合(case10-1)、case5の処理を行えばよい。図47(a),(b)は、case10-1における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図47(a)においてVOB#1の途中部分を削除することは、この途中部分が内包するセル#1と、このセルに一部又は全部が含まれる拡張属性区間の端部を削除することと等価になる。図47(b)では、VOB#1の途中部分に内包されるセル#2と、このセル#2に先端部分が含まれる拡張属性区間とが削除編集部26により削除される。
途中部分がセルの端部を内包している場合(case10-2)、case6の処理を行えばよい。図48(a),(b)は、case10-2における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図48(a)においてTS-VOBの途中部分を削除することは、この端部に包含されるセル#1の先端部分と、このセルに一部又は全部が含まれる拡張属性区間の端部を削除することと等価になる。図48(b)では、TS-VOBの端部に先端部分が含まれるセル#1と、このセルに先端部分が含まれる拡張属性区間#1とが削除編集部26により削除されていることがわかる。削除されるべき途中部分がセルの途中部分を内包している場合(case10-3)、case7の処理を行えばよい。図49(a),(b)は、case10-3における部分削除前後において、TS-VOB−セル−拡張属性区間がどのように遷移するかを対比して示す図である。本図において"(a)"は削除前,"(b)"は削除後をそれぞれ示す。図49(a)においてVOB#1の途中部分を削除することは、セル#1の途中部分と、この途中部分に一部又は全部が含まれる拡張属性区間#1を削除することと等価になる。図49(b)では、TS-VOBの端部に途中部分が含まれるセル#1と、途中部分が含まれる拡張属性区間#1とが削除され、それぞれが2つのセル#1,#1'、2つの拡張属性区間#1,#2に変換されていることがわかる。
以上のように本実施形態によれば、拡張属性区間の途中部分や端部を部分削除するだけでなく、セルやTS-VOBの全削除・部分削除に伴い、拡張属性区間を部分削除することができる。よって、第1実施形態に示したTS-VOB−アクセスマップ−再生経路からなる階層構造においてなされるであろう、様々な編集に応じて、拡張属性区間の形態を自在に変化させることができる。
尚、本実施形態では、PGC情報内のセクションマーカについてのみ説明したが、VOB情報内のセクションマーカについても、同様の削除が行われることはいうまでもない。つまり、TS-VOBの全削除・部分削除に伴い、拡張属性区間を部分削除するも可能である。
(第10実施形態)本実施形態は、再生経路を構成するセルを移動するという移動編集を、記録装置100が行った場合、この移動編集に伴って、拡張属性区間に編集を施す場合の改良に関する。図50は、本実施形態に係る記録装置の内部構成を示す図であり、本図に示すように本実施形態に係る記録装置は、移動編集部27を備える点に注目されたい。移動編集部27は、再生経路を構成するセルを移動するという処理を行うものである。移動編集部27による移動は、セクションマーカやセル情報を更新するという処理によりなされる。
図51(a),(b)は、再生経路を構成する4つのセル#1〜セル#4のうち、セル#1をセル#3の直後に移動するという移動編集を模式的に示す図である。再生経路は、図51(a)に示すようにセル#1、セル#2、セル#3、セル#4という順序であったが、セル#1を矢印mv0に示すように移動することで、この再生経路の順序は、セル#2、セル#3、セル#1、セル#4となる。再生経路は複数セルの配列であり、複数セルの何れかを介した間接参照により、拡張属性区間の所在を指定している。セクションマーカによる間接参照は、セルの配列に依存した形式をとっているので、間接参照されているセル配列に変動があれば、拡張属性区間も変化するようにも思える。しかしセクションマーカが指定しているのは、拡張属性区間の開始点、終了点に過ぎない。そのため、再生経路を構成するセル配列に変化があっても、セル情報の配列を変化させればすむことが多い。
つまり、何れかのセルに対して、開始点、終了点を指定するという形式で定義されているので、拡張属性区間が内包される何れかのセルが拡張属性区間外に移動しても、拡張属性区間外のセルが拡張属性区間内に移動しても、拡張属性区間内のセルが同じ拡張属性区間の何処かへ移動しても影響がない。だが終了点、開始点を含むセルを移動する場合は注意が必要となる。それは終了点が開始点より前にくるというケースである。終了点−開始点の順序が逆であると、拡張属性区間の正当性が破綻してしまう。そこでセルの移動にあたっては、その移動により開始点−終了点の順序が入れ代わることがないかを判定し、もし入れ代わるのなら、移動編集部27はセクションマーカを更新することにより、上述した正当性の破綻を防ぐ。
拡張属性区間の正当性破綻を防ぐためのセクションマーカ更新処理について説明する。セルの移動編集が行われが行われようとした場合、移動すべきセルが開始点を含むセルであるか、終了点を含むセルであるかを判定する。移動すべきセルが開始点を含むセルであれば、開始点を含むセルが、終了点を含むセルより後にくるかどうかを判定する。もし後であれば、拡張属性区間の開始点を、移動すべきセルの直後にするよう、移動編集部27はセクションマーカにおける開始セルID、開始点情報を更新する。こうすることで拡張属性区間の先端部分は縮められるものの、開始点が終了点の前にくることによる拡張属性区間の正当性破綻は避けることができる。
図51(c),(d)は、拡張属性区間開始点を含むセルを移動させるという移動処理を示す図である。本図におけるセル#1〜セル#4のうち、セル#1に拡張属性区間の開始点が、セル#3に拡張属性区間の終了点がそれぞれ存在している。この開始点が存在するセル#1を、矢印my1に示すようにセル#2−セル#3の間に移動させようとする場合を想定する。この場合、セル#1は拡張属性区間の終了点が存在するセル#3より前に位置するので、移動編集部27はセクションマーカに対して更新を行わない。
図52(a),(b)は、拡張属性区間開始点を含むセルを移動させる場合に、セクションマーカの更新処理をどのように行うかを示す図である。この開始点が存在するセル#1を、矢印my2に示すようにセル#3−セル#4の間に移動させようとする場合を想定する。この場合、セル#1は拡張属性区間の終了点が存在するセル#3より後に位置するので、このままでは拡張属性区間の正当性が破綻してしまう。そのため、拡張属性区間の開始点がセル#1の直後であるセル#2先頭になるよう、移動編集部27はセクションマーカに対して更新を行う。
移動すべきセルが終了点を含むセルであれば、終了点を含むセルが、開始点を含むセルより前にくるかどうかを判定する。もし前であれば、拡張属性区間の終了点を、移動すべきセルの直前にするよう、移動編集部27はエントリー情報、終了セルIDを更新する。こうすると、拡張属性区間のエントリー情報は縮められるものの、終了点が開始点より前にくることによる拡張属性区間の正当性破綻は防ぐことができる。
図53(a),(b)は、拡張属性区間終了点を含むセルを移動させるという移動処理を示す図である。図53(a)におけるセル#1〜セル#4のうち、セル#1に拡張属性区間の開始点が、セル#3に拡張属性区間の終了点がそれぞれ存在している。この終了点が存在するセル#3を、図53(b)の矢印my5に示すようにセル#1−セル#2の間に移動させようとする場合を想定する。この場合、セル#3は、拡張属性区間の開始点が存在するセル#1より後に位置するので、移動編集部27はセクションマーカに対して更新を行わない。
この終了点が存在するセル#3を、矢印my5に示すようにセル#1の前に移動させようとする場合を想定する。図54(a),(b)は、拡張属性区間終了点を含むセルを移動させる場合のセクションマーカの更新処理を示す図である。この場合、図54(a)に示すようにセル#3は拡張属性区間の終了点が存在するセル#1より前に位置することになるので、このままでは拡張属性区間の正当性が破綻してしまう。そのため、図54(b)に示すように拡張属性区間の終了点がセル#1の直後であるセル#3の末尾になるよう、移動編集部27はセクションマーカに対して更新を行う。
以上のように本実施形態によれば、セルがユーザにより自由に移動させられた場合でも、それに伴う拡張属性区間の正当性破綻を防ぐことができる。尚、本実施形態では、PGC情報内のセクションマーカについてのみ説明したが、VOB情報内のセクションマーカについても、同様の処理が行われることはいうまでもない。
また、本実施形態ではセルの移動について説明したが、セルを移動せず、拡張属性区間そのものを移動させてよいことはいうまでもない。
(第11実施形態)本実施形態は、1つの再生経路に対する拡張属性区間の個別指定と、複数再生経路に対する、拡張属性区間の一括指定とを、ユーザ操作を介して実現する実施形態である。個別指定及び一括指定をユーザ操作を介して実現するので、本実施形態において記録装置内のユーザインターフェイス部2は、以下のような処理を行う。先ず、ユーザインターフェイス部2は、拡張属性区間の個別指定を実行するか、一括指定を実行するかをユーザから受け付ける。個別指定を受け付けた場合は、拡張属性区間を指定しようとするユーザについてのログイン操作を行い、操作しようとするユーザが誰であるかが特定する。ユーザの特定が完了すれば、そのユーザについての再生経路を表示し、この再生経路に対する拡張属性区間の個別指定処理に移る。この場合、図9又は図10のようにユーザ毎の再生経路を模式化した画面を表示する。この画面上の再生経路に対し、拡張属性区間の開始点を再生経路上の何処に設定するか、拡張属性区間の終了点を再生経路上の何処に設定するかの設定操作をユーザから受け付る。この際、ユーザインターフェイス部2は、再生経路上にカーソルを表示し、リモコンに対するユーザの操作に従ってカーソルを左右に移動させる。ここでそのカーソル位置にどのようなピクチャデータが存在するかを、サムネール等で表示しておくことが望ましい。拡張属性区間の設定がより正確になるからである。そしてユーザがカーソルの位置を確定するという操作を行えば、その位置を開始点又は終了点として設定するのである。開始点及び終了点が設定されれば、それら開始点及び終了点を示す時刻情報をもったセクションマーカを常駐メモリ4内のPGC情報に組み込む。
拡張属性区間の一括指定処理を行う場合、図11のように複数ユーザについての再生経路を模式化した画面を表示する。この画面上の複数再生経路に対し、拡張属性区間の開始点を再生経路上の何処に設定するか、拡張属性区間の終了点を再生経路上の何処に設定するかの設定操作をユーザから受け付る。この際、ユーザインターフェイス部2は、再生経路上にカーソルを表示し、リモコンに対するユーザの操作に従って複数再生経路上でカーソルを左右に移動させる。そしてユーザがカーソルの位置を確定するという操作を行えば、その位置を開始点又は終了点として設定するのである。開始点及び終了点が設定されれば、それら開始点及び終了点を示す時刻情報をもったセクションマーカを常駐メモリ4内のVOB情報に組み込む。
ユーザインターフェイス部2が以上のような処理を行うことで、拡張属性区間をユーザが自由に設定することができる。尚、第9実施形態、第10実施形態に説明したような編集を行う場合にあって、削除すべき部分の指定を、ユーザインターフェイス部2が受け付けてもよい。この場合、図30から図49までに示したように、拡張属性区間やセル、VOBを模式化した画面を表示し、これら画面上の拡張属性区間やセル、VOBに対するユーザ操作に基づき、削除すべき拡張属性区間の一部分、セルの一部分、VOBの一部分を特定するのである。
上記実施形態に基づいて説明してきたが、現状において最善の効果が期待できるシステム例として提示したに過ぎない。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で変更実施することができる。代表的な変更実施の形態として、以下(A)(B)(C)・・・・のものがある。
(A)第1〜第8実施形態において説明した記録装置100の特徴の多くは、図14、図15、図19、図20のフローチャートで示したように、コンピュータ読み取り可能なプログラムの改良により実現される。故に、この特徴部分たるプログラムを、これらの装置とは別個独立に実施してもよい。プログラムがコンピュータ読取可能な記録媒体に記録される場合、この記録媒体を譲渡、貸与するという態様で、プログラムのみを実施してもよい。またプログラムがネットワーク上で配信される場合、ネットワーク上でプログラムを伝送させるという態様で、プログラムを実施してもよい。またこれら以外の特徴部分であっても、プログラムの改良として実装されることが本質的な特徴については、それら特徴部分たるプログラムを、記録媒体に記録してもよいし、ネットワークに伝送させてもよい。
(B)第1〜第10実施形態では、DVD-RAM等、DVD-VIDEO RECORDING規格に準拠して動画像データを記録し得るDVDを記録媒体の一例にして説明を進めたが、動画像データを記録し得る記録媒体であれば、物理的構造はどのような記録媒体であってもよい。例えば、DVD-RAM以外のDVD-RW,PD,DVD+RW,CD-RW等の相変化型光ディスクであってもよい。またCD-R,DVD-R等のライトワンス型の光ディスク(i)、MO(Magneto-optical disk),MD-DAT(Mini disc-Data),iDフォーマット等の光磁気記憶型光ディスク(ii)、ORB,Jaz,SparQ,SyJet,EZFley,マイクロドライブ等のリムーバルハードディスクドライブ(iii)、フレキシブルディスク、SuperDisk,Zip,Clik!等の磁気記録ディスク(iv)、SDメモリカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、スマートメディア、メモリスティック、マルチメディアカード、PCM-CIAカード等のフラッシュメモリカード(v)であってもよい。
(C)記録装置100は、パナソニック社のDMR-E30等の家庭用の据え置き型DVDレコーダとして実施しても良いし、カムコーダとして実施してもよい。また記録装置100は、"MotionDV STUDIO","DVD MovieAlbum"といったデジタル映像編集プログラムがインストールされ、SCSI、IDE、IEEE1394準拠のインターフェイスを介してドライブ装置3と接続されたパーソナルコンピュータであってもよい。
(D)本実施形態では、TS-VOBには、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重されていたが、字幕文字をランレングス圧縮した副映像ストリームやその他制御情報が多重化されていてもよい。
(E)本実施形態ではピクチャデータの表示期間をビデオフフレームにて記述したが、フィルム素材のように、24フレーム/秒の映像を圧縮する場合に使用する3:2プルダウンを用いた場合、1フレーム=1ピクチャでなく、1.5フレーム=1ピクチャの関係としてもよい。
(F)全ての実施形態において、光ディスクはDVD-VIDEO RECORDING規格に準じたフォーマットで動画データを記録するものとしたが、他の規格に準じて記録されてもよい。