JP4030295B2 - 木工用埋込みナット - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、木工用埋込みナットに係り、特に、合成樹脂材料を用いた一体成形品にて構成された新規な構造を有する木工用埋込みナットに関するものである。
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、木製の家具や玩具等の木工品は、様々な木製物品(木製部品)を組み付けて、各種の締結部材や接着剤等を用いて接合することにより製造されている。そして、それらの木製物品の接合部位において大きな接合強度が要求される際には、一般に、組み付けられた木製物品に対してタッピンねじ等の小ねじを直接にねじ込んで接合するねじ止め方式が採用されているのであるが、接合されるべき木製物品の材質によっては、かかるねじ止め方式による接合が困難な場合があった。
【0003】
すなわち、例えば、近年では、机の天板や収納家具の側板等の芯材の形成材料として、古紙や廃木材のチップが一部で使用されているが、このような芯材を有する木製物品等では、通常のタッピンねじをねじ込んでも、木製物品に対する締付けが容易に緩んでしまうため、それらの木製物品の接合に際して、タッピンねじを用いたねじ止め方式を採用することが難しかったのである。
【0004】
このため、かくの如きタッピンねじを用いたねじ止め方式の採用が困難な木製物品の接合に際しては、多くの場合、外周面に、タッピンねじ等よりもねじ山が大きくされて、十分な締付力が得られる雄ねじが一体形成された円筒体からなると共に、かかる円筒体の内周面に小ねじ等が螺合する雌ねじが設けられて構成された、所謂埋込みナットが用いられ、この埋込みナットを、木製物品に設けられた穴部内に埋め込むことによって、小ねじ等が螺入される雌ねじ穴を形成することが、行なわれている。
【0005】
ところが、従来の埋込みナットは、金属製のものが一般的であるため、例えば、リサイクル等を目的として、所定の粉砕機により粉砕処理される木工品に、そのような金属製の埋込みナットが使用されていると、粉砕機の損傷を回避する上で、粉砕処理の前に、それらの埋込みナットを全て取り外す面倒な作業を行なわなければならなかったのであり、それが、木工品の粉砕処理時における作業性の低下やコストの高騰を招いていたのである。
【0006】
なお、埋込みナットが使用されている木工品の粉砕処理を円滑に行なうようにするには、埋込みナットを、粉砕機で容易に粉砕可能な合成樹脂材料により形成することが容易に考えられる。しかしながら、合成樹脂製の埋込みナットは、金属製のものに比較して強度に劣るところから、埋込みナットが埋め込まれる木製物品の材質によっては、ねじ山の大きさが制限されてしまい、その場合には、木製物品に対する十分な締付力を維持することが困難となるといった、重大な問題が惹起されることとなるのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、容易に粉砕可能で、しかも、ねじ込まれた木製物品に対する十分な締付力を安定的に維持し得る木工用埋込みナットを提供することにある。
【0008】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、外周面に雄ねじが一体形成された円筒体からなると共に、該円筒体の内孔が、所定の雄ねじ部材の螺入される螺入孔とされ、該雄ねじ部材が取り付けられるべき木製物品に設けられた穴部内にねじ込まれることにより、該木製物品に埋め込まれる木工用埋込みナットにして、所定の合成樹脂材料を用いた一体成形品にて構成されると共に、前記円筒体の外周面に設けられた前記雄ねじに対して、該雄ねじを分断する切込部が、該雄ねじの1ピッチ当たりに少なくとも一つ設けられ、更に、かかる切込部にて分断された該雄ねじの分断部位において、該円筒体の周方向に相互に対向位置せしめられた、該分断部位の端面のうち、該円筒体の、前記木製物品の穴部へのねじ込み時における回転方向の前方側に位置する端面が、平面とされている一方、該回転方向の後方側に位置する端面が、該前方側に向かって凸となるV字状山形面とされており、且つ前記螺入孔が、前記雄ねじ部材の外径よりも小さな内径を有する平滑な円筒状の内周面を有して構成されて、該螺入孔への該雄ねじ部材の螺入により、該雄ねじ部材に対応した雌ねじが刻設されるようになっていることを特徴とする木工用埋込みナットを、その要旨とするものである。
【0009】
すなわち、この本発明に従う木工用埋込みナットにあっては、外周面に雄ねじが一体形成された円筒体からなり、この円筒体が合成樹脂材料を用いた一体成形品にて構成されているところから、木工品を粉砕処理する粉砕機によって、それを何等損傷させることなく、容易に粉砕され得るのである。
【0010】
また、本発明に係る木工用埋込みナットにおいては、円筒体の外周面に設けられた雄ねじを分断する切込部が、かかる雄ねじに対して1ピッチ当たりに少なくとも一つ設けられているところから、円筒体が木製物品の穴部にねじ込まれた際に、木製物品の内部部位の一部が、切欠部にて分断された雄ねじの分断部位における、円筒体の周方向に対向する端面の間に詰め込まれる如き状態となり、しかも、それらの端面のうち、円筒体の、木製物品の穴部へのねじ込み時における回転方向の前方側に位置する端面が、平面とされているため、木製物品の穴部にねじ込まれた状態下で、円筒体を、該穴部へのねじ込み方向とは逆の方向に回転させようとすると、かかる平面形態を呈する端面が、それに対向する端面との間に詰め込まれた木製物品の内部部位に確実に係合せしめられ得るのである。そして、それによって、かかる円筒体のねじ込み方向とは逆方向への回転、換言すれば、木製物品に対する締付けを緩める方向への回転が、有利に阻止乃至は困難と為され得ることとなるのである。
【0011】
そして、その一方で、本発明に従う木工用埋込みナットにおいては、切欠部にて分断された雄ねじの分断部位の端面のうち、円筒体の、木製物品の穴部へのねじ込み時における回転方向の後方側に位置する端面が、該回転方向の前方側に向かって凸となるV字状山形面とされているところから、円筒体が、木製物品の穴部に、ある程度ねじ込まれて、前述の如く、木製物品の内部部位の一部が、雄ねじの分断部位の互いに対向する端面の間に詰め込まれる如き状態となっていても、円筒体が、該穴部へのねじ込み方向にスムーズに回転せしめられ得るのであり、それによって、木製物品の穴部へのねじ込みが円滑に行なわれ得ることとなるのである。
【0012】
従って、このような本発明に従う木工用埋込みナットにあっては、粉砕機にて容易に粉砕され得るばかりでなく、木製物品に対して所定の深さに埋め込まれるまで、木製物品の穴部にスムーズにねじ込まれ得、しかも、かかる穴部へのねじ込み状態下での、木製物品の穴部への十分な締付力が、極めて安定的に維持され得るのである。そして、その結果として、タッピンねじ等の小ねじを直接にねじ込んで接合することが困難な木製物品同士の接合強度を有利に高め得、以て、そのような木製物品の複数が互いに接合されてなる木工品の商品価値の向上に、大きく寄与し得るのであり、また、かかる木工品のリサイクル等を目的とした粉砕処理の効率化と低コスト化も、有利に実現せしめ得ることとなるのである。
【0013】
しかも、かくの如き本発明に従う木工用埋込みナットによれば、前記螺入孔が、前記雄ねじ部材の外径よりも小さな内径を有する平滑な円筒状の内周面を有して構成されて、該螺入孔への該雄ねじ部材の螺入により、該雄ねじ部材に対応した雌ねじが刻設されるように構成される。
【0014】
このような構成を有する木工用埋込みナットにあっては、木製物品の穴部にねじ込まれた状態下で、螺入孔の内径よりも大きな外径を有する雄ねじ部材が、螺入孔に対して、それを径方向の外方に押圧しつつ、螺入されることとなり、それによって、円筒体が外側に向かって膨らまされ、該円筒体の外周面に形成された雄ねじが、木製物品の穴部の内周面に、より深く食い込むような状態と為され得るのである。そして、その結果、木製物品の穴部に対する締付力の増大が有利に図られ得て、かかる穴部に対する締付け状態が、更に一層安定的に維持され得ることとなるのである。
【0015】
また、本発明に従う木工用埋込みナットの別の有利な態様の一つによれば、前記円筒体の螺入孔の一方の開口部に、該円筒体を前記木製物品の穴部にねじ込むために用いられる工具の先端部が挿入せしめられる挿入孔部が設けられると共に、該挿入孔部に、該工具の先端部が係合する係合部が設けられて、該工具が、その先端部において該挿入孔部に挿入された状態下で、該円筒体の軸心回りに回転せしめられることにより、該工具の先端部が該係合部に係合して、該円筒体が、かかる工具と共に該軸心回りに一体回転せしめられて、該木製部品の穴部にねじ込まれるように構成されることとなる。
【0016】
このような構成を有する木工用埋込みナットにあっては、例えば、円筒体の外周面に対して、その全長に亘って、雄ねじを形成することが出来、それによって、円筒体の全体を、木製部品の穴部内にねじ込むことが可能となり、以て、かかる円筒体の一部が該穴部から露出せしめられて、木製部品、ひいては該木製部品が組み付けられて形成される木工品の外観を損ねるようなことが、有利に回避され得るのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る木工用埋込みナットの構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0018】
先ず、図1乃至図3には、本発明に係る木工用埋込みナットを理解するための一例が、その正面形態と、平面形態と、縦断面形態とにおいて、それぞれ、概略的に示されている。それらの図から明らかなように、本形態の埋込みナット10は、全体として、略厚肉の円筒形状を呈しており、その外周面に、雄ねじ12が、略全長に亘って、一体的に形成されている。また、この埋込みナット10は、その全体が剛性に富んだ合成樹脂材料にて、構成されている。即ち、ここでは、埋込みナット10が、外周面に、その一方側の端部から他方側の端部に向かって延びる雄ねじ12が一体的に設けられた円筒体形態を呈する、高剛性の合成樹脂材料製の一体成形品にて構成されているのであり、それによって、図示しない所定の木製物品に設けられた穴部内に、ねじ込まれ得るようになっているのである。
【0019】
なお、この埋込みナット10の形成材料として使用される合成樹脂材料の種類は、何等限定されるものではなく、公知の合成樹脂材料の中から、ある程度の剛性を有するものが、適宜に採用され得るのであり、一般には、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂材料や、それらの合成樹脂材料にガラス繊維を加えた複合樹脂材料等が、好適に採用される。そして、例えば、そのような樹脂材料を用いた射出成形等を実施することにより、埋込みナット10が、一体成形品として、成形されるのである。
【0020】
また、このような埋込みナット10にあっては、外周面における、前記木製物品の穴部へのねじ込み方向の後方側の端縁部に、雄ねじ12のねじ山の高さよりも所定寸法高い高さをもって側方に突出し、且つ周方向に連続して延びる外フランジ部14が一体的に形成されており、それによって、木製物品の穴部内にねじ込まれた際に、外フランジ部14が、かかる木製物品の穴部の開口部を閉塞する状態で、その端面において、該木製物品の穴部形成面に露出して位置せしめられるようになっている。
【0021】
また、この円筒体からなる埋込みナット10においては、その内周面に、雌ねじ16が設けられていることによって、内孔が、小ねじ等の雄ねじ部材(図示せず)が、螺入可能な螺入孔18とされている。更に、そのような埋込みナット10の螺入孔18の二つの開口部のうち、外周部に外フランジ部14が形成される側の開口部には、埋込みナット10を前記木製物品の穴部にねじ込むために用いられる工具の先端部が挿入される挿入孔部20が、設けられている。そして、この挿入孔部20は、螺入孔18よりも一周り大きな内径を有しており、また、その内周面には、互いに直交する二つの直径方向にそれぞれ対向する位置に、所定の深さを有する矩形状の係合凹部22が、挿入孔部20の全長に延びるように、それぞれ一つずつ、合計四つ形成されている。
【0022】
かくして、ここでは、螺入孔18に螺入されるべき小ねじ等の雄部材が、挿入孔部20を容易に挿通せしめられて、螺入孔20の内周面に設けられた雌ねじ16に螺合せしめられ得るようになっている。また、埋込みナット10を木製物品の穴部にねじ込むために、ここで用いられるプラスドライバの先端部が、螺入孔18の挿入孔部20内に挿入され、且つその挿入状態下で、該先端部に設けられた十字状の突起のそれぞれが、挿入孔部20の四つの係合凹部22内にそれぞれ突入せしめられるようになっており、それによって、プラスドライバが、その先端部を挿入孔部20内に挿入させた状態下で回転せしめられた際に、該先端部の十字状の突起のそれぞれが、挿入孔部20の周方向に対向する各係合凹部22の二つの側面に接触せしめられて、該周方向に係合し、以て、埋込みナット10が、その軸心回りに、プラスドライバと共に一体回転せしめられ得るようになっているのである。
【0023】
而して、このような本形態の埋込みナット10にあっては、特に、図1及び図4から明らかなように、外周面に設けられた雄ねじ12に対して、該雄ねじ12を分断する切込部24が、複数形成されている。この切込部24は、埋込みナット10の径方向に対向する外周面部分に位置する、雄ねじ12のねじ山の一部を、それぞれV字状に切除してなる如き形態をもって、設けられている。即ち、ここでは、かかる切込部24が、雄ねじ12に対して、埋込みナット10の軸方向に沿って一直線に並んで位置せしめられるように、埋込みナット10の周方向に等間隔をおいて、1ピッチ当たり二つずつ設けられているのである。なお、この雄ねじ12のねじ山の一部を、それぞれV字状に切除してなる如き形態を有する各切込部24の該V字状の開き角度(図4においてαにて示される角度)は、例えば、90度程度とされる。それによって、後述する如く、埋込みナット10が木製物品の穴部内にねじ込まれた際に、木製物品の内部部分の一部が、十分な量で、各切込部24内に詰め込まれた如き状態と為され得るのである。
【0024】
そしてまた、本形態では、かかる複数の切込部24にて分断された雄ねじ12の各分断部位26において、埋込みナット10の周方向に相互に対向位置せしめられた、それら各分断部位26の二つの端面のうち、埋込みナット10の、木製物品の穴部内へのねじ込み時における回転方向の前方側(図1及び図4における左側)に位置する一方の端面が、前記切込部24におけるV字状の開き角度に対応した角度をもって傾斜しつつ、平らに広がる傾斜平面28とされている。一方、各分断部位26の二つの端面のうちの他方の端面、つまり、埋込みナット10の、木製物品の穴部内へのねじ込み時における回転方向の後方側(図1及び図4における右側)に位置する端面は、該回転方向の前方側に向かって凸となるV字状山形面30とされている。なお、このV字状山形面30も、その稜線が、前記切込部24におけるV字状の開き角度に対応した角度をもって傾斜せしめられている。
【0025】
かくして、かくの如き本形態の埋込みナット10にあっては、所定の木製物品に設けられた穴部内に、先端部分が嵌入された状態下で、螺入孔18の挿入孔部20内にプラスドライバの先端部が挿入され、回転せしめられて、かかるプラスドライバと共に、軸心回りに一体回転せしめられるのに伴って、外周面に設けられた雄ねじ12により、該穴部内にねじ込まれ得るようになっているのである。なお、この穴部内へのねじ込み時に、複数の切込部24にて分断されてなる雄ねじ12の各分断部位26の二つの端面28,30の間に、木製物品の内部部位の一部が詰め込まれた如き状態となるものの、それら各分断部位26の二つの端面28,30のうち、埋込みナット10の、穴部内へのがねじ込み時における回転方向の後方側に位置する端面が、V字状山形面30とされているため、かかるV字状山形面30の先端稜部にて、各分断部位26内に詰め込まれた木製物品の内部部位の一部が、該先端稜部の両側に押し開かれ、それによって、埋込みナット10が、穴部内にスムーズにねじ込まれ得ることとなる。
【0026】
そして、かかる埋込みナット10は、前記外フランジ部14が、木製物品の穴部の開口部を閉塞し、且つその端面において、該木製物品の穴部形成面に露出して位置せしめられた状態となるまで、上述の如きプラスドライバとの一体回転により、木製物品の穴部内にねじ込まれるようになっている。これによって、かかる埋込みナット10が、木製物品に対して、所定の深さで埋め込まれ得るようになっており、また、そのような埋込みナット10の木製物品への埋込み状態下で、かかる木製物品に対して、埋込みナット10の螺入孔18により、小ねじ等の雄ねじ部材が螺入される雌ねじ穴を、形成し得るようになっているのである。
【0027】
さらに、ここでは、かかる埋込みナット10の木製物品へのねじ込みによる埋込み状態下において、上述の如く、複数の切込部24にて分断されてなる雄ねじ12の各分断部位26の二つの端面28,30の間に、木製物品の内部部位の一部が詰め込まれた如き状態とされており、しかも、埋込みナット10の、木製物品の穴部内へのねじ込み時における回転方向の前方側の端面が、平らに広がる傾斜平面28とされているため、埋込みナット10を木製物品の穴部へのねじ込み方向とは逆方向に回転させようとすると、傾斜平面28が、各分断部位26の間に詰め込まれた木製物品の内部部位に係合せしめられて、かかる回転、つまり、木製物品に対する締付けを緩める方向への埋込みナット10の回転が、阻害され得るようになっているのである。
【0028】
それ故、本形態の埋込みナット10にあっては、木製物品の穴部に対するスムーズなねじ込みを確保しつつ、かかる穴部へのねじ込み状態下での、木製物品の穴部への十分な締付力が、極めて安定的に維持され得るのである。
【0029】
しかも、本形態の埋込みナット10においては、合成樹脂材料を用いた一体成形品にて構成されているところから、一般的な木製物品の粉砕機にて容易に粉砕され得るのである。
【0030】
従って、かくの如き本形態に係る埋込みナット10を用いれば、タッピンねじ等の小ねじを直接にねじ込んで接合することが困難な木製物品同士の接合強度を有利に高めることが出来、それによって、そのような木製物品の複数が互いに接合されてなる木工品の商品価値の向上が、極めて効果的に図られ得るのであり、また、そのような木工品のリサイクル等を目的とした粉砕処理の効率化と低コスト化が、有利に達成され得ることとなるのである。
【0031】
また、本形態の埋込みナット10にあっては、外周面に対して、その略全長に亘って雄ねじ12が形成されていると共に、その長さ方向の一方の端縁部に外フランジ部14が設けられて、木製物品の穴部内に完全にねじ込まれた際に、外フランジ部14が、かかる木製物品の穴部の開口部を閉塞する状態で、その端面のみにおいて、木製物品の穴部形成面に露出して位置せしめられるようになっているところから、埋込みナット10の外周面の一部等が木製物品の穴部から露出せしめられて、木製部品、ひいてはそれが複数組み付けられて形成される木工品の外観を損ねるようなことが、有利に回避され得るのである。
【0032】
そして、本形態の埋込みナット10においては、螺入孔18の二つの開口部のうち、外周部に外フランジ部14が形成される側の開口部に、埋込みナット10を木製物品の穴部にねじ込むために用いられるプラスドライバの先端部が挿入される挿入孔部20が設けられているため、木製物品の穴部への埋込みナット10のねじ込みが、より容易に且つ確実行なわれ得るばかりでなく、例えば、かかるプラスドライバの挿入孔部20を与える部位が、外フランジ部14の形成部位から外方に突出して設けられる場合とは異なって、木製物品の穴部内への完全なねじ込み時に、かかる穴部から、何等の突出部分も形成されることがなく、それによって、該穴部からの突出部分の露出により、木製物品や木工品の外観の低下が回避され得るといった上述の如き優れた特徴が、より有効に発揮され得ることとなるのである。
【0033】
ところで、前記第一の形態では、螺入孔18の内周面に、雌ねじ16が設けられて、小ねじ等の雄ねじ部材が、この雌ねじ16に螺合されることにより、螺入孔18内に螺入されるようになっていたが、本発明では、例えば、図5及び図6に示されるように、そのような雌ねじ16を何等有しない内周面をもって、螺入孔18を構成されることとなる。なお、それら図5、図6、及び後述する図7乃至図12においては、前記第一の形態と同様な構成とされた部材や部位について、前記第一の形態と同一の符号を付すことにより、詳細な説明は省略した。
【0034】
すなわち、ここでは、螺入孔18の二つの開口部のうち、外周部に外フランジ部14が形成される側の開口部に、プラスドライバの先端部が挿入される、四つの係合凹部22を有する挿入孔部20が設けられているものの、かかる挿入孔部20を除いた螺入孔18の内周面は、平滑な円筒面形態を呈する平滑部32とされているのである。
【0035】
そして、この本実施形態の埋込みナット10においては、特に、螺入孔18の平滑部32が、螺入孔18に螺入されるべき雄ねじ部材の外径よりも所定寸法小さな内径を有して構成され、また、かかる雄ねじ部材として、タッピンねじが用いられるようになっている。かくして、ここでは、挿入孔部20を通じて螺入孔18内に挿入されたタッピンねじが、螺入孔18の平滑部32の内周面に、タッピンねじに対応した雌ねじを刻設しつつ、平滑部32内に螺入され得るようになっているのである。
【0036】
これによって、本実施形態の埋込みナット10にあっては、木製物品の穴部にねじ込まれた状態下で、螺入孔18の平滑部32の内径よりも大きな外径を有するタッピンねじが、かかる平滑部32に対して、それを径方向の外方に押圧しつつ、螺入されることとなり、以て、外周面が外側に向かって膨らまされ、該外周面に形成された雄ねじ12が、木製物品の穴部の内周面に、より深く食い込むような状態と為され得るのである。そして、その結果として、木製物品の穴部に対する締付力の増大が有利に図られ得て、かかる穴部に対する締付け状態が、更に一層安定的に維持され得ることとなるのである。
【0037】
また、前記第一及び第二の実施形態では、埋込みナット10を木製物品の穴部内にねじ込むために用いられるプラスドライバの先端部が挿入される、四つの係合凹部22を有する挿入孔部20が、螺入孔18の二つの開口部のうち、外周部に外フランジ部14が形成される側の開口部に設けられていたが、例えば、図7及び図8に示されるように、前記外フランジ部14の形成側開口部を含む螺入孔18の略全体を、かかる挿入孔部20として、構成しても良い。なお、その場合には、挿入孔部20における係合凹部22を除く内周面が、前記第二の実施形態に示される如き平滑部32として構成されて、雄ねじ部材たるタッピンねじが、かかる平滑部32に対して雌ねじを刻設しつつ、螺入せしめられることとなる。
【0038】
さらに、前記三つの実施形態では、挿入孔部20の内周面における、直交して延びる二つの直径方向に対向する位置に、係合凹部22がそれぞれ形成されることにより、かかる挿入孔部20が、プラスドライバの先端部形状に対応した形状とされていたが、この挿入孔部20の形状は、埋込みナット10を木製物品の穴部内にねじ込むために用いられる工具の先端部形状によって、適宜に変更され得るものである。
【0039】
従って、例えば、埋込みナット10を木製物品の穴部内にねじ込むために用いられる工具として、六角レンチが使用される場合には、図9及び図10に示されるように、挿入孔部20を、かかる六角レンチの先端部形状に対応した六角形状を呈し、且つ該六角形状の各角部がそれぞれ係合凹部22とされた形態をもって構成することも、可能である。
【0040】
また、例えば、かかる工具として、先端部が、湾曲凸部と湾曲凹部とが周方向に交互に設けられてなる、花柄の如き形状とされたレンチが使用される場合には、図11及び図12に示されるように、挿入孔部20を、かかる花柄レンチの先端部形状に対応した花柄形状を呈し、且つ花柄レンチの湾曲凸部に対応する部位がそれぞれ係合凹部22とされた形態をもって構成しても、良いのである。
【0041】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、それらはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0042】
例えば、前記実施形態では、雄ねじ12に対して、それを分断する切込部24が、雄ねじ12のねじ山の一部を、それぞれV字状に切除してなる如き形態をもって、1ピッチ当たり二つずつ設けられていたが、この切込部24は、雄ねじ12に対して、それを分断するように、一ピッチ当たり少なくとも一つ設けられておれば、その形状や個数が、何等限定されるものではないのである。
【0043】
また、前記実施形態では、各切込部24が、埋込みナット10の軸方向に沿って一直線に並んで位置せしめられるように、雄ねじ12に対して形成されていたが、かかる切込部24の雄ねじ12に対する形成位置も、これに決して限定されるものではなく、例えば、埋込みナット10の軸方向に対して適当な角度で交差する方向に沿って一直線に並んで位置せしめられるように、雄ねじ12に対して形成するようにしても、何等差し支えないのである。
【0044】
さらに、前記実施形態では、切込部24にて分断された雄ねじ12の各分断部位の二つの端面が、それぞれ、傾斜平面28とV字状山形面30とされていたが、それら各端面も、平面形態とV字状山形面形態を有しておれば、その具体的形状が、特にこれに限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0045】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0046】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う木工用埋込みナットにあっては、粉砕機にて容易に粉砕され得るばかりでなく、木製物品の穴部へのスムーズなねじ込みを確保しつつ、かかる穴部へのねじ込み状態下での、木製物品の穴部への十分な締付力が、極めて安定的に維持され得るのである。そして、その結果として、タッピンねじ等の小ねじを直接にねじ込んで接合することが困難な木製物品同士の接合強度を有利に高め得、以て、そのような木製物品の複数が互いに接合されてなる木工品の商品価値の向上に、大きく寄与し得るのであり、また、かかる木工品のリサイクル等を目的とした粉砕処理の効率化と低コスト化も、有利に実現せしめ得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従う木工用埋込みナットを理解するための一例を示す正面説明図である。
【図2】 図1におけるII矢視説明図である。
【図3】 図2におけるIII−III断面説明図である。
【図4】 図1におけるIV矢視説明図である。
【図5】 本発明に従う木工用埋込みナットの例を示す図2に対応する図である。
【図6】 図5におけるVI−VI断面説明図である。
【図7】 本発明に従う木工用埋込みナットの別の例を示す図2に対応する図である。
【図8】 図7におけるVIII−VIII断面説明図である。
【図9】 本発明に従う木工用埋込みナットの他の例を示す図2に対応する図である。
【図10】 図9におけるX−X断面説明図である。
【図11】 本発明に従う木工用埋込みナットの更に他の例を示す図2に対応する図である。
【図12】 図11におけるXII−XII断面説明図である。

Claims (2)

  1. 外周面に雄ねじが一体形成された円筒体からなると共に、該円筒体の内孔が、所定の雄ねじ部材の螺入される螺入孔とされ、該雄ねじ部材が取り付けられるべき木製物品に設けられた穴部内にねじ込まれることにより、該木製物品に埋め込まれる木工用埋込みナットにして、
    所定の合成樹脂材料を用いた一体成形品にて構成されると共に、前記円筒体の外周面に設けられた前記雄ねじに対して、該雄ねじを分断する切込部が、該雄ねじの1ピッチ当たりに少なくとも一つ設けられ、更に、かかる切込部にて分断された該雄ねじの分断部位において、該円筒体の周方向に相互に対向位置せしめられた、該分断部位の端面のうち、該円筒体の、前記木製物品の穴部へのねじ込み時における回転方向の前方側に位置する端面が、平面とされている一方、該回転方向の後方側に位置する端面が、該前方側に向かって凸となるV字状山形面とされており、且つ前記螺入孔が、前記雄ねじ部材の外径よりも小さな内径を有する平滑な円筒状の内周面を有して構成されて、該螺入孔への該雄ねじ部材の螺入により、該雄ねじ部材に対応した雌ねじが刻設されるようになっていることを特徴とする木工用埋込みナット。
  2. 前記円筒体の螺入孔の一方の開口部に、該円筒体を前記木製物品の穴部にねじ込むために用いられる工具の先端部が挿入せしめられる挿入孔部が設けられると共に、該挿入孔部に、該工具の先端部が係合する係合部が設けられて、該工具が、その先端部において該挿入孔部に挿入された状態下で、該円筒体の軸心回りに回転せしめられることにより、該工具の先端部が該係合部に係合して、該円筒体が、かかる工具と共に該軸心回りに一体回転せしめられて、該木製部品の穴部にねじ込まれるようになっている請求項1に記載の木工用埋込みナット。
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