JP4026198B2 - 音声認識装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声認識装置に関し、特に、認識対象となる音声信号と雑音信号とが混在した入力信号から雑音成分を極力除去することで、認識率の向上を実現しようとする音声認識装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばカーナビゲーションシステムにおける目的地の設定などを音声によって入力できるようにする場合などに有効な音声認識装置が提案され、また実現されている。このような音声認識装置においては、入力音声を予め記憶されている複数の比較対象パターン候補と比較し、一致度合の高いものを認識結果とするのであるが、現在の認識技術ではその認識結果が完全に正確なものとは限らない。これは、静かな環境下にあってもそうであるため、周囲に雑音が発生するような環境下ではなおさらである。特に、上述したカーナビゲーションシステムなどの実際の使用環境を考慮すると、雑音がないことは想定しにくい。したがって、認識率の向上を実現する上では、認識に必要な音声信号と雑音信号とが混在した入力信号から雑音成分を極力除去することが望ましい。
【0003】
したがって、入力信号から雑音成分を取り除くためには雑音成分を適切に取り込む必要がある。それを実現するものとして、例えば図5(a)に示すような音声認識装置100が考えられている。つまり、2本のマイクロフォン(以下、単に「マイク」と称す。)を準備し、その内の1本を専ら音声信号を入力するための音声用マイク101とし、他の1本を専ら雑音信号を入力するための雑音用マイク102としたものである。音声用マイク101及び雑音用マイク102からの入力信号は共に音声抽出部103へ入力される。そして、音声抽出部103では、音声用マイク101から入力された「音声信号と雑音信号が混在した信号」から、雑音用マイク102から入力された「雑音信号」を減じることによって、音声信号を抽出する。
【0004】
このようにして抽出された音声信号は認識部104へ転送され、そこで所定の認識処理が実行されるのである。なお、この場合にはPTT(Push-To-Talk)スイッチ105が設けられており、利用者がPTTスイッチ105を押しながら音声用マイク101を介して音声を入力するようにされている。つまり、PTTスイッチ36が押されていない場合には、音声抽出部103は認識部104へ音声データを出力しないようにされている。
【0005】
図5に示すような音声用マイク101と雑音用マイク102とを備える場合には、図5(b)に示すように、音声信号が入力されている区間(以下、「音声区間」と称す。)中でも雑音用マイク102から雑音信号を入力しているので、この音声区間において、上述した音声用マイク101からの「音声信号+雑音信号」より、雑音用マイク102からの「雑音信号」成分を減じれば、音声信号を抽出することができる。
【0006】
しかしながら、この構成の場合は、音声用マイク101と雑音用マイク102とを別個に備える必要があり、各マイク101,102からの入力信号をそれぞれ蓄積しておくバッファが音声抽出部103に必要となるなど、装置自体が複雑・大型化してしまうというデメリットがある。
【0007】
そこで、1本のマイクで「音声信号と雑音信号が混在した信号」を入力し、その信号から音声信号を抽出する構成として、例えば図6(a)のような音声認識装置200が考えられている。つまり、雑音信号入力用には専用のマイクを設けず、1本のマイク201で、音声信号も雑音信号も入力させるのである。この装置200でも、マイク201からの入力信号が音声抽出部203へ入力され、音声抽出部203で抽出された音声信号が認識部204へ転送される。
【0008】
また、この場合も利用者がPTTスイッチ205を押しながらマイク201を介して音声を入力するようにされている。そして、音声抽出部203での抽出処理は次のように行われる。
つまり、図6(b)に示すように、PTTスイッチ205が押されると音声抽出部203はマイク201からの入力信号を取り込んで抽出処理を開始するのであるが、このPTTスイッチ205が押されて入力信号の取り込みが開始されてから音声区間が開始するまでを雑音区間とし、そこで取り込んだものが「雑音信号」となり、音声区間にて取り込んだものは「音声信号+雑音信号」となる。したがって、雑音区間で取り込んだ「雑音信号」を、音声区間において取り込んだ「音声信号+雑音信号」から減じれば、音声信号を抽出することができるというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、図6(a)に示す構成の音声認識装置200によれば、1本のマイク201だけで入力した信号に基づいて音声信号を抽出することが可能とされているのであるため、装置構成の簡易化の点で有利であるが、次のような問題がある。つまり、PTTスイッチ205が押されて入力信号の取り込みが開始された直後に利用者が発声した場合には、その時点から音声区間が開始し、雑音区間がなくなってしまう。その場合には、音声抽出部203が雑音信号を取り込むことができず、結局は音声信号を抽出することができなくなるのである。
【0010】
このような状態を防止するには、PTTスイッチ205を押した後は所定時間発声しないような使用方法を徹底するしかないが、このような利用者の意識に頼った手法では確実性が低く、ユーザフレンドリの点で好ましくない。
一方、特開平3−3540号公報には、音声入力を行なう場合に、まずスイッチを第1の接点に切り替えて雑音だけを入力させ、その後第2の接点に切り替えて音声入力をするという技術が開示されている。この場合には、スイッチを第1の接点を切り替えた場合には利用者が意識的にしゃべらず、第2の接点に切り替えてから発声することとなる。接点を切り替えるという動作を利用者自身がするため、発声前の雑音信号を取り込むことはできる。
【0011】
しかしながら、この構成においては、スイッチの接点を切り替える動作を利用者が行なうため面倒である。そして、例えば雑音信号を取り込む期間として所定時間以上必要な場合には、第1の接点に切り替えた後に所定時間経過前に第2の設定に切り替えてしまうと、結局は有効な雑音信号の取り込みができないこととなる。これを防止するには、第1の接点に切り替えた後に所定時間経過した後で第2の接点に切り替えるような使用方法を徹底するしかないが、この場合にも利用者の意識に頼った手法となり、やはりユーザフレンドリの点で好ましくない。
【0012】
特に、カーナビゲーションシステムにおいて目的地等を音声で入力しようとするためにこの音声認識装置を用いた場合などを想定すると、運転中の利用者にとって音声入力できることは非常に便利ではあるが、PTTスイッチを押したらすぐに音声入力したいと思うのが普通であり、それを所定時間待つことを強制するのは好ましくない。また、特開平3−3540号公報記載の構成の場合には、実際の音声入力をするまでにスイッチの設定切り替えを2度行なう必要があり、さらにその設定切替間隔も注意しなければならないとなると、車両の運転という優先度のより高い操作への集中度合を下げてしまう可能性があり、好ましいことではない。
【0013】
本発明は、このような問題を解決して、認識対象となる音声と雑音とが混在した入力信号から雑音成分を極力除去することで、音声認識率の向上を実現しながら、よりユーザフレンドリな音声認識装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
本発明の音声認識装置は、音声を入力するための音声入力手段と、音声入力手段を介して入力された認識対象の音声と雑音とが混在した入力信号のパワーに基づき、音声が含まれている音声区間と、音声が含まれていない雑音区間とを判定する判定手段と、判定手段によって判定された音声区間の入力信号から、雑音区間の入力信号に基づいて推定された音声区間における雑音成分を除去し、認識対象の音声を抽出する音声抽出手段と、音声抽出手段によって抽出された音声を、予め記憶されている複数の比較対象パターン候補と比較して一致度合の高いものを認識結果とする認識手段と、利用者から受け付けた所定の操作が継続している期間を前記認識対象の音声を入力させる期間として指定する入力期間指定手段とを備え、音声抽出手段は、入力期間指定手段によって指定された入力期間内の音声区間に含まれる音声を抽出するよう構成されている音声認識装置であって、音声抽出手段に対し、入力期間指定手段にて指定された入力期間が終了した後の所定期間内における雑音区間に取り込んだ入力信号に基づき、音声区間における雑音成分を推定させるよう制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の音声認識装置によれば、例えばマイクロフォンなどの音声入力手段を介して認識対象の音声と雑音とが混在した入力信号を入力するのであるが、判定手段が、その入力信号のパワーに基づき、音声が含まれている音声区間と、音声が含まれていない雑音区間とを判定する。音声抽出手段は、その判定手段によって判定された音声区間の入力信号から、雑音区間の入力信号に基づいて推定された音声区間における雑音成分を除去し、認識対象の音声を抽出する。そして認識手段が、音声抽出手段によって抽出された音声を、予め記憶されている複数の比較対象パターン候補と比較して一致度合の高いものを認識結果とする。さらに、認識対象の音声を入力させる期間を利用者自身が指定するために入力期間指定手段が設けられており、音声抽出手段は、この入力期間指定手段によって指定された入力期間内の音声区間に含まれる音声を抽出するのである。
【0016】
この入力期間指定手段としては、例えばPTT(Push-To-Talk)スイッチなどが考えられる。つまり、利用者がPTTスイッチを押しながら音声入力手段を介して音声を入力すると、そのPTTスイッチが押されている間に入力された音声を認識対象として受け付けるのである。このようにすることで、音声認識に必要な入力信号に対してのみ認識処理を実行すればよいので、処理負荷軽減の点で有効である。
【0017】
このように、音声区間の入力信号から雑音成分を除去して認識対象の音声を抽出することで、より認識率の向上を図ることができるのであるが、図6を参照して説明した従来の音声認識装置200のように、「入力期間指定手段」に相当するPTTスイッチ205が押されて入力信号の取り込みが開始された直後に利用者が発声した場合には、その時点から音声区間が開始し、雑音区間がなくなってしまう。その場合には、音声抽出部203が雑音信号を取り込むことができず、結局は音声信号を抽出することができなくなるのである。
【0018】
このような状態を防止するには、PTTスイッチ205を押した後は所定時間発声しないような使用方法を徹底するしかないが、このような利用者の意識に頼った手法では確実性が低く、ユーザフレンドリの点で好ましくない。
これに対して本発明の音声認識装置では、制御手段が音声抽出手段に対し、入力期間指定手段にて指定された入力期間が終了した後の所定期間内における雑音区間に取り込んだ入力信号に基づき、音声区間における雑音成分を推定させるよう制御する。そのため、たとえ入力期間指定手段にて指定された入力期間の開始直後から利用者が認識対象となる音声を発した場合であっても、その入力期間終了後に雑音区間の入力信号を取り込むことで、確実な雑音成分の推定ができ、その結果、確実に音声抽出ができるのである。また、図6(a)に示す従来装置のようにPTTスイッチ205を押した後は所定時間発声しないような使用方法を利用者に強制してしまうこともなく、ユーザフレンドリの点でも本音声認識装置は好ましい。
【0019】
同様に、上述した特開平3−3540号公報記載の装置は、スイッチを第1の接点に切り替えて雑音だけを入力させ、その後第2の接点に切り替えて音声入力をするというものであるが、スイッチを第1の接点を切り替えた場合には利用者が意識的にしゃべらず、第2の接点に切り替えてから発声することとなる。そのため、スイッチの接点を切り替える動作を利用者が行なうため面倒であり、また、例えば雑音信号を取り込む期間として所定時間以上必要な場合には、第1の接点に切り替えた後に所定時間経過前に第2の設定に切り替えてしまうと、結局は有効な雑音信号の取り込みができないこととなる。これを防止するには、やはり、第1の接点に切り替えた後に所定時間経過した後で第2の接点に切り替えるような使用方法を徹底するしかないが、この場合にも利用者の意識に頼った手法となり、ユーザフレンドリの点で好ましくない。したがって、本音声認識装置のように、利用者に対しては、入力期間指定手段によって入力期間を指定された後の音声入力タイミングについては、別段制限をすることなく自由にさせていることはユーザフレンドリの点で好ましい。それでいて、確実な雑音成分の取り込みができるのであるから、非常に有効である。
【0020】
特に、カーナビゲーションシステムにおいて目的地等を音声で入力しようとするためにこの音声認識装置を用いた場合などを想定すると、運転中の利用者にとって音声入力できることは非常に便利ではあるが、PTTスイッチを押したらすぐに音声入力したいと思うのが普通であり、それを所定時間待つことを強制するのは好ましくない。また、特開平3−3540号公報記載の構成の場合には、実際の音声入力をするまでにスイッチの設定切り替えを2度行なう必要があり、さらにその設定切替間隔も注意しなければならないとなると、車両の運転という優先度のより高い操作への集中度合を下げてしまう可能性があり、好ましいことではない。
【0021】
したがって、本発明のように、利用者には音声入力タイミングなどを何等意識させることなく、それでいて確実な雑音成分の推定ができ、確実に音声抽出ができるのは、音声認識率の向上を実現しながら、よりユーザフレンドリな音声認識装置を提供する上で非常に有効である。
【0022】
なお、本発明は、入力期間指定手段にて指定された入力期間が終了した後の所定期間内における雑音区間の入力信号を取り込むことで、その入力期間の開始直後から利用者が認識対象となる音声を発した場合であっても対応できるようにしているが、入力期間が開始した直後には利用者が音声を発せず、雑音区間の入力信号の取り込みができる場合も想定される。
【0023】
したがって、そのような場合には入力期間の開始直後の雑音区間の入力信号を取り込むようにしてもよい。そのための構成を請求項2に示す。すなわち、制御手段は、入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した直後に雑音区間の入力信号の取り込みがなされた場合には、音声抽出手段に対し、その取り込んだ第1の雑音区間入力信号に基づき、音声区間における雑音成分を推定させ、その第1の雑音区間入力信号が取り込めなかった場合に限り、音声抽出手段に対し、入力期間終了後の所定期間内における雑音区間に取り込んだ第2の雑音区間入力信号に基づき、音声区間における雑音成分を推定させるよう制御するのである。
【0024】
また、請求項3に示すように、制御手段は、入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した直後に雑音区間の入力信号の取り込みがなされた場合には、音声抽出手段に対し、その取り込んだ第1の雑音区間入力信号と、入力期間終了後の所定期間内における雑音区間に取り込んだ第2の雑音区間入力信号とに基づき、音声区間における雑音成分を推定するよう制御してもよい。
【0025】
これは、本発明の音声認識装置の場合には、音声区間における雑音だけを別個取り込む構成ではなく、あくまで雑音成分を推定する手法を用いているため、極力推定精度を向上させるための工夫である。この場合の第1の雑音区間入力信号及び第2の雑音区間入力信号は、音声区間の前後の雑音に対応するので、例えばこれらの平均を取ったりして推定すれば、より雑音の推定精度は向上すると考えられる。つまり、雑音が一定であれば音声区間の前後どちらで取り込んでも問題ないが、雑音が変化する場合には、このように音声区間の前後の雑音に基づくことが好ましいと考えられる。
【0026】
また、請求項4に示すように、制御手段が、さらに、周囲に設置された音響機器の音量調整手段に対して音量の調整を制御可能に構成されており、入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した場合には、音量調整手段を制御して音響機器の音量を消去させ、音声区間の入力信号の取り込み及び雑音区間の入力信号の取り込みが共に完了した場合には、音量調整手段を制御して音響機器の音量を元の状態に復帰させるよう構成してもよい。
【0027】
例えば、カーナビゲーションシステムの目的地等を音声で入力しようとするためにこの音声認識装置を用いた場合などを想定すると、車内には音響機器が配備されていることも多い。特に、ラジオやカーステレオあるいはカーテレビといった車載オーディオ機器があると、その車載オーディオ機器から発声される音は、この音声認識に対しては雑音として作用してしまう。そのため、入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した場合には、音響機器の音量を消去させた上で音声区間の入力信号の取り込みや雑音区間の入力信号の取り込みを行い、それが共に完了した場合に音響機器の音量を元の状態に復帰させるのである。
【0028】
このようにすれば、雑音として取り込まれるものが例えば車の風切り音などのバックグラウンドノイズだけとなる。また、音響機器から音楽が流れていたりすると、雑音の時間的な変化が大きくなり、音声区間における雑音推定が適切でなくなる場合も想定される。したがって、このような時間的に不定要素の多い音響機器からの音は消去することで、雑音自体を小さくすると共に入力される雑音の信号レベルがなるべく一定にし、雑音を適切に推定して、音声認識率の向上を図ることができるのである。
【0029】
なお、音声認識装置をナビゲーションシステム用として用いる場合には、上述したように、「所定のナビゲート処理関連情報」として目的地が代表的なものとして挙げられるが、それ以外にもルート探索に関する条件選択など、ナビゲート処理をする上で指定の必要のある指示が含まれる。
【0030】
また、ナビゲーションシステムだけでなく、例えば音声認識装置を車載空調システム用として用いることも考えられる。この場合には、空調システムにおける空調状態関連指示を利用者が音声にて入力するために用いることとなる。この場合の「空調状態関連情報」は、設定温度や空調モード選択(冷房・暖房・ドライ)、あるいは風向モード選択といった種々の指示に対応したものが考えられる。
【0031】
そして、上述のナビゲーションシステム及び空調システムは、例えば携帯型ナビゲーション装置や屋内用空調装置などのように、車載機器として用いられる場合だけではない。但し、これまで説明したように車載機器用として用いる場合には利用者がドライバーであることが考えられ、その場合には運転自体が最重要であり、それ以外の車載機器については、なるべく運転に支障がないことが好ましい。つまり、認識率が悪いと何度も言い直しをする必要があるため、なるべく利用者に負担をかけずに確実な音声認識ができることが好ましい。したがって、車載機器としてのナビゲーションシステムや空調システムを前提とした音声認識装置の場合には、より一層の利点がある。もちろん、このような視点で考えるならば、ナビゲーションシステムや空調システム以外の車載機器に対しても同様に利用することができる。例えば、ミラー角度の調整などを音声によって指示するような構成を考えれば、そのような状況でも有効である。
【0032】
また、車載機器用とした場合にはそれ特有の利点があることは述べたが、本発明の音声認識装置の適用先としては、利用者がスイッチ操作や音声入力等によって指示したものを受けて制御装置が間接的に対象物を操作・制御しているような物であれば同様に考えられる。例えば、携帯用の情報端末装置、あるいは街頭やパーキングエリアなどに設定される情報端末装置などにも同様に適用できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態の音声認識装置30を適用したカーナビゲーションシステム2の概略構成を示すブロック図である。本カーナビゲーションシステム2は、位置検出器4、地図データ入力器6、操作スイッチ群8、これらに接続された制御回路10、制御回路10に接続された外部メモリ12、表示装置14及びリモコンセンサ15及び音声認識装置30を備えている。なお制御回路10は通常のコンピュータとして構成されており、内部には、周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。
【0034】
位置検出器4は、周知の地磁気センサ16、ジャイロスコープ18、距離センサ20、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機22を有している。
これらのセンサ等16,18,20,22は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより、各々補間しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては上述した内の一部で構成してもよく、更に、ステアリングの回転センサ、各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0035】
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ及び目印データを含む各種データを入力するための装置である。媒体としては、そのデータ量からCD−ROMを用いるのが一般的であるが、ディジタルビデオディスク(DVD)やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
【0036】
表示装置14はカラー表示装置であり、表示装置14の画面には、位置検出器4から入力された車両現在位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データと、更に地図上に表示する誘導経路や後述する設定地点の目印等の付加データとを重ねて表示することができる。
【0037】
また、本カーナビゲーションシステム2は、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する。)15aを介してリモコンセンサ15から、あるいは操作スイッチ群8により目的地の位置を入力すると、現在位置からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して誘導経路を形成し表示する、いわゆる経路案内機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。操作スイッチ群8は、例えば、表示装置14と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、各種入力に使用される。
【0038】
そして、音声認識装置30は、上記操作スイッチ群8あるいはリモコン15aが手動操作により目的地などを指示するために用いられるのに対して、利用者が音声で入力することによっても同様に目的地などを指示することができるようにするための装置である。
【0039】
この音声認識装置30は、「認識手段」としての音声認識部31と、対話制御部32と、音声合成部33と、「判定手段」及び「音声抽出手段」としての音声抽出部34と、「音声入力手段」としてのマイク35と、「入力期間指定手段」としてのPTT(Push-To-Talk)スイッチ36と、スピーカ37と、「制御手段」としての制御部38とを備えている。
【0040】
音声認識部31は、音声抽出部34から入力された音声データを、対話制御部32からの指示により入力音声の認識処理を行い、その認識結果を対話制御部32に返す。すなわち、音声抽出部34から取得した音声データに対し、記憶している辞書データを用いて照合を行ない、複数の比較対象パターン候補と比較して一致度の高い上位比較対象パターンを対話制御部32へ出力する。入力音声中の単語系列の認識は、音声抽出部34から入力された音声データを順次音響分析して音響的特徴量(例えばケプストラム)を抽出し、この音響分析によって得られた音響的特徴量時系列データを得る。そして、周知のDPマッチング法、HMM(隠れマルコフモデル)あるいはニューラルネットなどによって、この時系列データをいくつかの区間に分け、各区間が辞書データとして格納されたどの単語に対応しているかを求める。
【0041】
対話制御部32は、その認識結果及び自身が管理する内部状態から、音声合成部33への応答音声の発声指示や、システム自体の処理を実行する制御回路10に対して例えばナビゲート処理のために必要な目的地を通知して設定処理を実行させるよう指示する処理を実行する。このような処理が確定後処理であり、結果として、この音声認識装置30を利用すれば、上記操作スイッチ群8あるいはリモコン15aを手動しなくても、音声入力によりナビゲーションシステムに対する目的地の指示などが可能となるのである。
【0042】
また音声抽出部34は、マイク35にて取り込んだ周囲の音声をデジタルデータに変換して音声認識部31に出力するものである。本実施形態においては、利用者がPTTスイッチ36を押しながらマイク35を介して音声を入力するという使用方法である。具体的には、PTTスイッチ36が押されたかどうかを制御部38が判断しており、押された場合には音声抽出部34に対して処理の実行を指示するが、押されていない場合にはその処理を実行させないようにしている。したがって、PTTスイッチ36が押されている間にマイク35を介して入力された音声データが音声認識部31へ出力されることとなる。
【0043】
なお、制御部38は、車載オーディオ機器における「音量調整手段」としてのアンプ41に対し、オーディオ用スピーカ42へ出力する音量を消去(ミュート)させる指示を送ったり、あるいはその消去されていた音量を元の状態に復帰(ミュート解除)させる指示を送ることができるようにされている。
【0044】
ここで、音声抽出部34について、図2も参照してさらに詳しく説明する。
図2に示すように、本実施形態における音声抽出部34は、フレーム分割部51と、判定部52と、雑音用バッファ53と、音声用バッファ54と、雑音用のフーリエ変換部55と、音声用のフーリエ変換部56と、雑音スペクトル推定部57と、サブトラクト部58と、フーリエ逆変換部59とを備えている。
【0045】
前記フレーム分割部51は、音声の特徴量を分析するための区間を切り出すものであり、例えば数10ms程度の区間のフレーム信号を一定間隔で切り出していく。
また、判定部52は、入力信号に対して、それが音声の含まれている音声区間であるのか、音声の含まれていない雑音区間であるのか判定する。マイク35から入力される信号は、認識対象の音声だけでなく雑音も混在したものであるため、音声区間と雑音区間の判定をここで行なう。この判定方法としては従来より多くの手法が提案されており、例えば入力信号の短時間パワーを一定時間毎に抽出していき、所定の閾値以上の短時間パワーが一定以上継続したか否かによって音声区間であるか雑音区間であるかを判定する手法がよく採用されている。
【0046】
そして、この判定部52にて雑音区間であると判定された場合には、その入力信号は雑音用バッファ53へ出力されて蓄積され、一方、判定部52にて音声区間であると判定された場合には、その入力信号は音声用バッファ54へ出力されて蓄積される。
【0047】
雑音用バッファ53へ出力されて蓄積された入力信号(フレーム信号)は、雑音用のフーリエ変換部55にてフーリエ変換されて短時間スペクトルとされ、雑音スペクトル推定部57へ送出される。
この雑音スペクトル推定部57では、雑音用のフーリエ変換部55にて計算された短時間スペクトルから雑音スペクトルを推定する。具体的には、複数フレームの短時間スペクトルより求めたパワースペクトルを平均し、推定雑音のパワースペクトルとする。そして、この推定雑音のパワースペクトルはサブトラクト部58へ送出される。
【0048】
一方、音声用バッファ54へ出力されて蓄積された入力信号(フレーム信号)は、音声用のフーリエ変換部56にてフーリエ変換されて短時間スペクトルとされ、サブトラクト部58へ送出される。
サブトラクト部58では、スペクトルサブトラクション方式のアルゴリズムにしたがって、音声用のフーリエ変換部56にて短時間スペクトルの形で得た入力スペクトルから、雑音スペクトル推定部57にて推定した雑音スペクトルを差し引くことで、雑音除去を行なう。このスペクトルサブトラクション方式については、例えばBoll、”Suppression of Acoustic Noise in Speech Using Spectral Subtruction”、IEEE Trans. on Acoustics, Speech and Signal processing、Vol.Assp-27、No.2、April 1979、pp.113-120 をはじめとして多くの研究成果が発表されている。なお、この手法は、入力スペクトルから雑音スペクトルを差し引くことで雑音除去を行なうのであるが、実際には、雑音スペクトルにサブトラクション係数を乗じたものを入力スペクトルから差し引く。そして、このサブトラクション係数は通常1以上の値を設定することが多い。なお、パワースペクトル上でのサブトラクションの代わりに、振幅スペクトル上でのサブトラクションを行ってもよい。
【0049】
このようにサブトラクト部58にて入力スペクトルから雑音スペクトルが差し引かれたものはフーリエ逆変換部59へ送出され、このフーリエ逆変換部59にてフーリエ逆変換されて音声認識部31へ送出される。
次に、本実施形態1のカーナビゲーションシステム2の動作について説明する。なお、音声認識装置30に関係する部分が特徴であるので、カナビゲーションシステム2としての一般的な動作を簡単に説明した後、音声認識装置30に関係する部分の動作について詳しく説明することとする。
【0050】
カーナビゲーションシステム2の電源オン後に、表示装置14上に表示されるメニューから、ドライバーがリモコン15a(操作スイッチ群8でも同様に操作できる。以後の説明においても同じ)により、案内経路を表示装置14に表示させるために経路情報表示処理を選択した場合、あるいは、音声認識装置30を介して希望するメニューをマイク35を介して音声入力することで、対話制御部32から制御回路10へ、リモコン15aを介して選択されるの同様の指示がなされた場合、次のような処理を実施する。
【0051】
すなわち、ドライバーが表示装置14上の地図に基づいて、音声あるいはリモコンなどの操作によって目的地を入力すると、GPS受信機22から得られる衛星のデータに基づき車両の現在地が求められ、目的地と現在地との間に、ダイクストラ法によりコスト計算して、現在地から目的地までの最も短距離の経路を誘導経路として求める処理が行われる。そして、表示装置14上の道路地図に重ねて誘導経路を表示して、ドライバーに適切なルートを案内する。このような誘導経路を求める計算処理や案内処理は一般的に良く知られた処理であるので説明は省略する。
【0052】
次に、音声認識装置30における動作について、上述の経路案内のための目的地を音声入力する場合を例にとって説明する。
図3は、その場合の制御部38の実行する処理を示すフローチャートである。まず最初のステップS110においては、PTTスイッチ36が押された(ONされた)かどうかを判断する。上述したように、本実施形態のシステムでは、利用者がPTTスイッチ36を押しながらマイク35を介して音声を入力するという使用方法であるため、PTTスイッチ36が押されたかどうかを制御部38が判断し、押されている間にマイク35を介して入力された音声データが音声認識の対象となるように設定されている。
【0053】
PTTスイッチ36が押された場合には(S110:YES)、S120へ移行して、アンプ41に対し、オーディオ用スピーカ42へ出力する音量を消去(ミュート)させるよう指示を出す。
続くS130では、音声抽出部34に対し、マイク35からの入力信号の取り込み、蓄積の開始指示を出す。この蓄積とは、雑音用バッファ53あるいは音声用バッファ54に入力信号を蓄積することを指す。この開始指示が出されることによって、上述した音声抽出部34のフレーム分割部51はマイク35からの入力音声をフレーム分割し、判定部52はそのフレーム分割された入力信号に対して音声区間であるのか雑音区間であるのか判定して、その判定結果に基づいて雑音用バッファ53あるいは音声用バッファ54へ出力する。こうして、入力信号が蓄積されていく。
【0054】
その後、S140ではPTTスイッチ36が押下状態から離された(OFFされた)かどうかを判断する。PTTスイッチ36を押された状態のままであれば(S140:NO)、そのままS140での判断処理を繰り返す。そして、PTTスイッチ36をOFFされた場合には(S140:YES)、S150へ移行して、雑音が検出済みかどうかを判断する。これは、サブトラクト部58において、入力スペクトルから、雑音スペクトル推定部57にて推定した雑音スペクトルが差し引かれるが、この雑音スペクトルの推定に必要な入力信号が雑音用バッファ53へ蓄積されているかどうかを判断する。具体的には、判定部52にて雑音区間であると判断された区間の長さを制御部38が取り込み、その区間の長さに基づいて判断することとなる。
【0055】
雑音が検出されていない場合には(S150:NO)、S150の処理を繰り返す。そして、雑音が検出済みである場合には(S150:YES)、S160へ移行して、入力信号の取り込みの中止を音声抽出部34へ指示する。この指示が出された以降は、マイク35から入力された信号に対する音声抽出部34での処理は実行されない。つまり、PTTスイッチ36がOFFされても雑音が検出済みでなければ、雑音が検出済みとなるまでは、それまで通り入力信号を取り込み、蓄積させる処理を続行する。
【0056】
S160にて入力信号の取り込みの中止を音声抽出部34へ指示した後は、S170に移行し、音声抽出処理の開始を音声抽出部34へ指示する。そして、続くS180では、S120にてミュート指示を出していたアンプ41に対し、オーディオ用スピーカ42へ出力する音量を元の状態に復帰させるようミュート解除指示を出し、S110へ戻ることとなる。
【0057】
これが、制御部38が実行する処理内容であるが、この処理による結果を、図4も参照しながら、さらに説明する。
図4に示すように、PTTスイッチ36がONされた時点で、それまで大きかった雑音成分が小さくされ、所定の期間だけはその状態が続いている。これは上述した図3のS120でのアンプ41へのミュート指示に応じて、オーディオ用スピーカ42から出力される音量が0となったため、例えば車の風切り音などのバックグラウンドノイズだけとなっているからである。
そして、PTTスイッチ36がONされた時点からのマイク35への入力信号が音声抽出部34での処理対象となるのであるが、図4に示すように、実際に利用者がしゃべり始めた時点とPTTスイッチ36がONされた時点から遅れていると、それらの間に「第1の雑音区間」が生じる。この区間で必要な雑音の信号が得られていれば、図3のS140にて肯定判断されて移行したS150において、即座に肯定判断されることとなる。しかし、この「第1の雑音区間」にて必要な雑音の信号が得られなかった場合には、図4に示すように、マイク35からの入力における音声区間が終了した後であっても、入力信号の取り込みを続行する。これが「第2の雑音区間」となる。したがって、図3のフローチャートに示す処理の場合には、第1の雑音区間にて必要な雑音の信号が得られていれば、第2の雑音区間はなく、PTTスイッチ36がOFFされると同時にマイク35からの入力信号の取り込みを中止し、第1の雑音区間で必要な雑音信号が得られなかった場合に限って、第2の雑音区間における入力信号の取り込みを行なうようにしている。
【0058】
そして、これら必要な信号の取り込みが全て完了してから、図3のS180に示すようにミュート解除をしている。
このような処理を実行することによって、本実施形態の音声認識装置30は、次のような効果を発揮する。
【0059】
▲1▼まず、本実施形態の音声認識装置30では、利用者がPTTスイッチ36を押しながら音声を入力する使用方法を採用し、PTTスイッチ36が押されている間に入力された音声を認識対象として受け付けるようにしているため、音声認識に必要な入力信号に対してのみ認識処理を実行すればよく、処理負荷軽減の点で有効である。
【0060】
▲2▼そして、制御部38は、音声抽出部34に対し、PTTスイッチ36がOFFされて利用者が指定した入力期間が終了した後の所定期間内において雑音信号を取り込むようにしている。そのため、たとえPTTスイッチ36がONされた直後から利用者が音声を発した場合であっても、その入力期間終了後に雑音区間の入力信号を取り込むことで、確実な雑音成分の推定ができ、その結果、確実に音声抽出ができるのである。
【0061】
これは、図6(a)に示す従来装置のようにPTTスイッチ205を押した後は所定時間発声しないような使用方法を利用者に強制してしまうこともなく、また、特開平3−3540号公報記載の装置のように、第1の接点に切り替えた後に所定時間経過した後で第2の接点に切り替えるような使用方法を強制してしまうこともない。つまり、本音声認識装置30では、利用者に対しては、PTTスイッチ36によって音声入力をする期間を指定さているのであるが、その指定後の音声入力タイミングについては、別段制限をすることなく自由にさせているため、ユーザフレンドリの点で好ましい。それでいて、確実な雑音成分の取り込みができるのであるから、非常に有効である。
【0062】
特に、本実施形態の音声認識装置30は、カーナビゲーションシステム2において目的地等を音声で入力するために用いられるが、運転中の利用者にとって音声入力できることは非常に便利ではあるが、PTTスイッチ36を押したらすぐに音声入力したいと思うのが普通であり、それを所定時間待つことを強制するのは好ましくない。また、特開平3−3540号公報記載の構成の場合には、実際の音声入力をするまでにスイッチの設定切り替えを2度行なう必要があり、さらにその設定切替間隔も注意しなければならないとなると、車両の運転という優先度のより高い操作への集中度合を下げてしまう可能性があり、好ましいことではない。したがって、本音声認識装置30のように、利用者には音声入力タイミングなどを何等意識させることがないのは、このようなカーナビゲーションシステム2に適用する場合には特に有効である。
【0063】
▲3▼また、本実施形態の音声認識装置30の場合にはカーナビゲーションシステム2用であるため車載装置となっている。したがって、車内にあるカーラジオやカーステレオあるいはカーテレビといった車載オーディオ機器があると、その車載オーディオ機器からのは、音声認識に対しては雑音として作用してしまう。そのため、本音声認識装置30においては、音声認識の処理のためにマイク35からの入力信号を取り込むに際して、制御部38が、車載オーディオ機器から発せられる音を消去してから、取り込むようにしている。
【0064】
このようにすれば、雑音として取り込まれるものが例えば車の風切り音などのバックグラウンドノイズだけとなる。また、車載オーディオ機器から音楽が流れていたりすると、雑音の時間的な変化が大きくなり、音声区間における雑音推定が適切でなくなる場合も想定される。したがって、このような時間的に不定要素の多い車載オーディオ機器からの音は消去することで、雑音自体を小さくすると共に入力される雑音の信号レベルをなるべく一定にし、雑音を適切に推定して、音声認識率の向上を図ることができるのである。
【0065】
以上、本発明はこのような実施例に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
例えば、上記実施形態においては、図3のフローチャートに示すように、音声区間より前の第1の雑音区間(図4参照)にて必要な雑音の信号が得られていれば、音声区間より後の第2の雑音区間(図4参照)でのマイク35からの入力信号の取り込みは中止しているが、第1及び第2の雑音区間での入力信号を両方取り込み、その取り込んだ2つの雑音区間の入力信号に基づき音声区間における雑音成分を推定してもよい。これは、音声区間における雑音だけを別個取り込む構成ではなく、あくまで雑音成分を推定する手法を前提としているため、極力推定精度を向上させるための工夫である。この場合の第1の雑音区間入力信号及び第2の雑音区間入力信号は、音声区間の前後の雑音に対応するので、例えばこれらの平均(重み付け平均など)を取ったりして推定すれば、より雑音の推定精度は向上すると考えられる。つまり、雑音が一定であれば音声区間の前後どちらで取り込んでも問題ないが、雑音が変化する場合には、このように音声区間の前後の雑音に基づくことが好ましいと考えられる。
【0066】
また、上記実施形態では音声認識装置30をカーナビゲーションシステム2に適用した場合を説明したが、それ以外にも、例えば音声認識装置30を車載空調システム用として用いることも考えられる。この場合には、空調システムにおける空調状態関連指示を利用者が音声にて入力するために用いることとなる。この場合の「空調状態関連情報」は、設定温度や空調モード選択(冷房・暖房・ドライ)、あるいは風向モード選択といった種々の指示に対応したものとなる。
【0067】
また、例えば携帯型ナビゲーション装置や屋内用空調装置などのように、車載機器以外に用いてもよい。また、携帯用の情報端末装置、あるいは街頭やパーキングエリアなどに設定される情報端末装置などにも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の音声認識装置を適用したカーナビゲーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 実施形態の音声認識装置における特に音声抽出部の構成を示すブロック図である。
【図3】 実施形態の音声認識装置における制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図4】 図3の処理による結果を示す説明図である。
【図5】 従来の2マイク入力タイプの音声認識装置を示す説明図である。
【図6】 従来の1マイク入力タイプの音声認識装置を示す説明図である。
【符号の説明】
2…カーナビゲーションシステム 4…位置検出器
6…地図データ入力器 8…操作スイッチ群
10…制御回路 12…外部メモリ
14…表示装置 15…リモコンセンサ
15a…リモコン 16…地磁気センサ
18…ジャイロスコープ 20…距離センサ
22…GPS受信機 30…音声認識装置
34…音声抽出部 35…マイク
36…PTTスイッチ 37…スピーカ
38…制御部 41…アンプ
42…オーディオ用スピーカ 51…フレーム分割部
52…判定部 53…雑音用バッファ
54…音声用バッファ 55…フーリエ変換部
56…フーリエ変換部 57…雑音スペクトル推定部
58…サブトラクト部 59…フーリエ逆変換部

Claims (5)

  1. 音声を入力するための音声入力手段と、
    前記音声入力手段を介して入力された認識対象の音声と雑音とが混在した入力信号のパワーに基づき、前記音声が含まれている音声区間と、前記音声が含まれていない雑音区間とを判定する判定手段と、
    該判定手段によって判定された前記音声区間の入力信号から、前記雑音区間の入力信号に基づいて推定された前記音声区間における雑音成分を除去し、前記認識対象の音声を抽出する音声抽出手段と、
    前記音声抽出手段によって抽出された音声を、予め記憶されている複数の比較対象パターン候補と比較して一致度合の高いものを認識結果とする認識手段と、
    利用者から受け付けた所定の操作が継続している期間を前記認識対象の音声を入力させる期間として指定する入力期間指定手段と、
    を備え、前記音声抽出手段は、前記入力期間指定手段によって指定された入力期間内の前記音声区間に含まれる音声を抽出するよう構成されている音声認識装置であって、
    前記音声抽出手段に対し、前記入力期間指定手段にて指定された入力期間が終了した後の所定期間内における前記雑音区間に取り込んだ入力信号に基づき、前記音声区間における雑音成分を推定させるよう制御する制御手段を備えていることを特徴とする音声認識装置。
  2. 前記制御手段は、前記入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した直後に前記雑音区間の入力信号の取り込みがなされた場合には、前記音声抽出手段に対し、その取り込んだ第1の雑音区間入力信号に基づき、前記音声区間における雑音成分を推定させ、その第1の雑音区間入力信号が取り込めなかった場合に限り、前記音声抽出手段に対し、前記入力期間終了後の所定期間内における前記雑音区間に取り込んだ第2の雑音区間入力信号に基づき、前記音声区間における雑音成分を推定させるよう制御することを特徴とする請求項1記載の音声認識装置。
  3. 前記制御手段は、前記入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した直後に前記雑音区間の入力信号の取り込みがなされた場合には、前記音声抽出手段に対し、その取り込んだ第1の雑音区間入力信号と、前記入力期間終了後の所定期間内における前記雑音区間に取り込んだ第2の雑音区間入力信号とに基づき、前記音声区間における雑音成分を推定するよう制御することを特徴とする請求項1記載の音声認識装置。
  4. 前記制御手段は、さらに、周囲に設置された音響機器の音量調整手段に対して音量の調整を制御可能に構成されており、前記入力期間指定手段にて指定された入力期間が開始した場合には、前記音量調整手段を制御して前記音響機器の音量を消去させ、前記音声区間の入力信号の取り込み及び前記雑音区間の入力信号の取り込みが共に完了した場合には、前記音量調整手段を制御して前記音響機器の音量を元の状態に復帰させるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の音声認識装置。
  5. 前記音声入力手段は、ナビゲーションシステムがナビゲート処理をする上で指定される必要のある所定のナビゲート処理関連情報の指示を、利用者が音声にて入力するために用いられており、
    一方、前記音響機器は、車載オーディオ機器であることを特徴とする請求項4に記載の音声認識装置。
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