JP4020695B2 - 既設水力機械の改修方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は既設水力機械の改修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の水力機械の例としては、図7にその縦断面図を示すフランシス形水力機械などがある。図7に示すように、このような水力機械は、回転軸1をその回転中心に結合されたランナ2を、上カバー3と下カバー4によって形成される空間であるランナ室内に格納する構成となっている。ここで、ランナ2は、水の流路となるランナクラウン2aとランナバンド2bの間に複数枚のランナベーン2cを保持する構成となっており、ランナクラウン2aが前記回転軸と接続されている。そして、前記ランナ室の外周にはランナ室内に流入する水の流量を調節する可動式のガイドベーン5と、その外側に固定式のステーベーン6がそれぞれ複数枚設けられている。そして、前記ステーベーン6の外側には前記ランナ室を包囲するケーシング7が設けられるとともに、前記ランナ室の下側には吸出し管8が設けられている。
【0003】
このような構成の水力機械において、図示しない上池から流出した水は、ケーシング7へと導かれ、ステーベーン6の間を通過した後、ガイドベーン5によってその流量を調節されてランナ室内に流入する。ランナ室内に流入した水は、ランナ2のランナクラウン2aとランナバンド2bとの間に流入し、ここに設けられた複数枚のランナベーン2cの間を通過する間に仕事を行ってランナ2と回転軸1とを回転させる。回転軸1には図示しない発電機が接続されており、回転軸1の回転が伝えられ、これによって電力が発生する。そして、ランナ2に仕事をさせた水は、ランナ室の下部から流出して吸出し管8へと流入し、ここから図示しない下池へと導かれる。
【0004】
このような水力機械の設置を計画する段階では、要求される出力や立地等の自然条件を基に運転パターンを想定し、このうち頻度の高い運転状態をもって各機器の設計がなされる場合が多い。しかし、水力機械は一般的に数十年間の長期に亘って運用されるため、このような長期の運用の間に当初想定していた運転パターンと実際の運転パターンが異なってくる場合がある。ところが、水力機械のもつ特性は計画当初に想定された運転パターンで運用した際に最適に設計されているため、このような場合、水力機械は最適でない運転をせざるを得ない。
上述のように当初想定された運転パターンと実際の運転パターンが異なってきた場合に、実際の運転パターンがどの程度ずれているかを判断するためには、水力機械のの効率特性である水車特性を求める必要があり、水車特性を求めることで初めて水力機械の性能確認が可能となる。
【0005】
このように、既設水力機械の水車特性を求める方法について図8を用いて説明する。一般的に水力機械の水車特性を求めるためには、種々の流量、有効落差に対して水の持つエネルギーの内どれだけが仕事として得られるかを実際の水力機械を用いて試験する現地効率試験を行なう方法や、実際の水力機械と相似形状の模型水車を製作し、相似模型水車試験によって特性を確認する方法が用いられている。
現地効率試験は、一般に新設直後の水力機械や、ランナ入れ替え(リプレイス)前後の確認試験として行なわれることが多い。現地効率試験を行なう場合、流量、有効落差、発生出力等のデータを計測する必要が生じるため、これらのそれぞれについてどのような計測方法を用いるかをまず検討する必要がある。特に流量の検出にあたっては、超音波法や圧力時間法といった方法を用いる必要があり、このための計測装置を水力機械に取り付ける。
計測方法が決定された後、現地効率試験を実施するが、運転時の有効落差が常にほぼ一定である地点に設置される水力機械は少ないため、一般には有効落差を種々変化させて複数回現地効率試験を実施し、それらの結果によって既設水力機械の特性が確認される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、既設水力機械の水車特性を求めるために現地効率試験を行なう場合でも、設置から数十年を経た水力機械に計測装置を取り付けるなど、煩雑な作業が発生することも多い。また、現地効率試験の実施前後の期間において有効落差を変えることができるかは水力機械が設置された地点の立地条件により、一般的には現地効率試験の実施前後の期間において有効落差を変えられることは稀である。したがって、種々の有効落差に対して現地効率試験を行なう場合、特に有効落差の変動の大きな地点に設置された水力機械の場合は、落差が変わった時期に再度現地効率試験を実施することとなり、既設の水力機械の特性を把握するまでに長い時間を要することもあった。
また、実機相似の模型水車を製作し、相似模型水車試験を実施して特性を確認する方法もあるが模型の製作費用や試験費用がかかるという問題点もある。
【0007】
このように、既設水力機械の水車特性を把握して性能確認を行なうためには、現地効率試験または相似模型水車試験を行えばよいが、上述のような問題点のために多大な手間と労力を必要とすることが多い。ところが手間をかけてこれらを行なったとしてもあくまで既設の水力機械の性能確認ができるのみであり、性能確認の結果を基に既設の水力機械の改修、ランナ入れ替え(リプレイス)工事、もしくは水力機械の一括更新を行なうなどの手段を講じることで初めて効率のよい水力機械を得ることができる。
【0008】
このため、当初想定された運転パターンと実際の運転パターンが異なってきた場合などは、実際の運転パターンに適正な運転を行なうように既設の水力機械を改修したり、ランナのリプレイスを行なうといった対応を取ることが最も重要であるため、これらの対応を決定するためだけに上述のように多大な手間と費用を掛けて既設の水力機械の性能確認を行なうことは稀であり、既設水力機械に対する現地効率試験や相似模型水車試験はほとんど実施されないのが現状である。
【0009】
本発明はこれらの点に鑑みなされたものであり、既設の水力機械の水車特性を容易に把握し、現実の運用がどの程度適正な運用から外れているかを評価し、水力機械の改修やリプレイスの方向性を適正に示すことをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るの既設水力機械の改修方法は、水車、ポンプなどの既設水力機械の流路形状を図面あるいは現物測定により数値化した解析モデルを作成し、前記既設水力機械の様々な運転状態を解析条件として前記解析モデルを用いて流れ解析を行い、前記流れ解析によって得られた結果から求まった既設水力機械の水車特性と当該既設水力機械の実際の運用を示す年間流況とを比較し、前記水車特性と前記年間流況との比較結果によって前記既設水力機械の流路形状を前記年間流況から定まる運転頻度の高い運転点での水車効率が向上するように変更することを特徴とする。
このような方法とすることによって、既設水力機械の性能確認を現地効率試験や相似模型水車試験によらずに比較的簡単に行なうことができるとともに、既設水力機械を実際の運用に合った特性に改修する方針を適切に定めることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る既設水力機械の改修方法は、請求項1に加えて、水車特性は有効落差と流量、もしくは有効落差と水車出力を軸とする平面上における等効率線図として表され、年間流況は前記平面上に前記既設水力機械の年間の運転点を散布図として表すことを特徴とする。
このようにすることによって、流れ解析によって求まった既設水力機械の水車特性と、既設水力機械の実際の運用を示す年間流況とを簡単に比較でき、既設水力機械の水車特性が実際の運用に合ったものであるかを簡単に判断することが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に係る既設水力機械の改修方法は、請求項1もしくは請求項2に加え、年間流況から定まる運転頻度の高い運転点と流れ解析によって求まった水車効率の高い運転点の、流路にて生じる損失である漏れ損失、円板摩擦損失、摩擦損失、および渦損失をそれぞれ比較し、前記運転頻度の高い運転点での損失に対する前記水車効率の高い運転点における損失の割合が最も小さい損失を低減するように前記既設水力機械の流路形状の変更を行なうことを特徴とする。
このように、運転頻度の高い運転点と効率の高い運転点において流路にて生じる各損失をそれぞれ比較することで、どの損失を低減させることによって運転頻度の高い運転点における効率を向上させられるかを把握し、既設水力機械の改修を適切に行なうことが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る既設水力機械の改修方法は、請求項3に加えて、既設水力機械がフランシス形水力機械であり、渦損失の低減を行なう場合に前記既設水力機械のランナベーンのうち、出口開度および出口羽根角度を変更することを特徴とする。
【0014】
さらに、本発明の請求項5に係る既設水力機械の改修方法は、請求項1から請求項4までのいずれかに加えて、流路形状の変更を行なった場合の解析モデルを作成し、これを基に再度流れ解析を行なって性能の確認を行なった後に流路形状の変更を行なうことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を用いて本発明の実施の形態を示す。
図1は本発明の第1の実施の形態を示すフローチャートである。
本実施の形態では、処理フロー101として、まず既設水力機械の流路形状データを採取する。このデータの作成にあたっては、既設の水力機械の図面を用いるか、もしくは既設の水力機械の流路形状を実測して行なう。例えば図7に示した従来の水力機械の場合では、ランナ2、上カバー3と下カバー4によって形成されるランナ室、ガイドベーン5、ケーシング7、および吸出し管8などの流路形状に関するデータを採取する。
【0016】
そして、処理フロー101にて既設水力機械の流路形状データの採取が完了すると、次に、処理フロー102にて採取した流路形状データをもとに、流れ解析用のメッシュデータ(解析モデル)の作成を行なう。
【0017】
次に、処理フロー103にて、既設水力機械の現状の運転パターンから、有効落差の変化、流量変化に対応する複数の運転状態における解析条件を選定し、その各々の解析条件のもとで流れ解析を実施する。
ここで、解析条件の選定にあたってはまず処理フロー103aにて有効落差Hを選定する。ここで、有効落差Hを選定する場合には、まずは既設水力機械の運転パターンに基づき運転頻度の高い有効落差Hを選定すればよいが、複数の運転状態に対応する解析条件を選定して流れ解析を行なうことが必要であるため、最大落差、最小落差、基準落差などから適宜選定してもよい。
そして、処理フロー103bにおいて、処理フロー103aで選定した有効落差Hにおける流量Qを選定する。ここで、処理フロー103bにおいては、流量Qを選定することとしているが、流量ではなく水力機械の出力(水車出力P)を選定するようにしてもよい。また、ここでも処理フロー103aと同様に、流量Qや水車出力Pの選定に当たっては、既設水力機械の運転パターンに基づき、運転頻度の高い流量Qや水車出力Pを選定するようにするとよい。
【0018】
このようにして、解析条件が選定されると、処理フロー103cへと進み、処理フロー103a,103bにて選定した解析条件(有効落差H,流量Q)での流れ解析を行なう。この結果、水車出力Pと水力機械の各流路における損失、および水力機械のキャビテーション性能が算出される。そして、処理フロー103dへと進み、処理フロー103cで得られた各流路の損失、および水力機械のキャビテーション性能に基づいて、処理フロー103a,103bにて選定した解析条件における水力機械の効率である水車効率ηを算定する。
なお、処理フロー103bにて水車出力Pを選定して流れ解析を行なった場合処理フロー103cにて、流量Qと水力機械の各流路における損失が算出されるので、処理フロー103dではこれらに基づき処理フロー103a,103bにて選定した解析条件における水車効率ηを算定することとなる。
さらに、処理フロー103eへと進み、処理フロー103dにて算定した水車効率ηに発電機効率を考慮して、発電効率ηEと発電出力Pを算定することもできる。これらを算定する場合、処理フロー103a,103bにて選定した解析条件での発電機効率が必要となるが、不明である場合には平均的な発電機効率を代表値として用いるとよい。
ここまでの処理によって、最初に選定した有効落差H、および流量Q(もしくは水車出力P)を解析条件とした場合の水車効率ηや発電効率ηが求まる。そして、処理フロー103bに戻り、別の流量Q(もしくは水車出力P)を選定してその解析条件での流れ解析を行ない、同様に水車効率ηや発電効率ηを算定する。このようにして処理フロー103aにて選定した有効落差Hを解析条件とした流れ解析を複数回行う。さらに処理フロー103aへと戻り、別の有効落差Hを選定して同様に流れ解析を行なう。
これらの処理によって、既設水力機械の複数の運転状態に対応する解析条件おける水車効率η、発電効率ηが算定される。なお、本実施の形態においては複数の解析条件において流れ解析を実施するが、この回数および解析条件の選定は、後述する水車特性図や効率曲線図を作成するために必要かつ十分だけ行ない、既設の水力機械の性能確認をある程度の精度にて行なうことができるようにしておく。
【0019】
処理フロー103にて複数の解析条件に対応する水車効率、発電効率等が算定されると処理フロー104へと進み、解析結果をまとめ図2に示すような水車特性図を作成する。
図2は、有効落差Hを横軸、流量Qを縦軸にとって水車効率ηの等効率線を表した水車特性図である。また、このようにして求められた水車特性図に、既設水力機械の最高落差Hmax、基準落差Hnor、さらに最低落差Hminを図示することで、これらに囲まれた内側がこの水力機械の運転範囲であることがわかる。さらに本実施の形態においては、流れ解析によって求まった水車特性図に、既設の水力機械の1年間の運用を示す年間流況とを重ね合わせる。この年間流況は、既設水力機械の1年間にどのような運転点でどれだけ運転されているかを傾向として示すデータであり、運転を行った際の有効落差と流量を、例えば丸印等で有効落差−流量平面上に示した散布図として表すことができる。そして、このように既設の水力機械の運転パターンを示す年間流況を流れ解析によって求めた水車特性図上に重ねて示すことによって、既設の水力機械の運転パターンが適正なものからどの程度ずれているかを簡易かつ正確に知ることができる。
【0020】
すなわち、本実施の形態においては、既設の水力機械の流路形状を用いて流れ解析を行なって得た水車特性を、この水力機械の実際の運用である年間流況と比較することによって、既設の水力機械の運転パターンのずれを容易に知ることができるので、既設の水力機械の性能確認を現地効率試験や相似模型水車試験によらずに簡易かつ正確に行なうことができる。
【0021】
図2で示した水車特性図をもとに、より細かく性能確認を行なうことも可能である。図3は、図1で示した処理フロー103にて実施した流れ解析の結果と既設の水力機械の年間流況をもとに、流量Qを横軸、水車効率ηを縦軸にとり、有効落差Hを一定とした場合の水車効率ηを示した効率曲線図である。すなわち、図3は図2において有効落差Hを一定とした場合の効率曲線図であり、概念的には、図2における等効率線をある有効落差Hで切り取った断面を示している。ここで、一定とする有効落差Hの値としては図2において示された年間流況で頻度の多い有効落差Hとすることで、年間流況とのより精度のよい比較を行なうことができる。なお、ここでは説明の便宜上、年間流況を示す丸印は運転頻度の多い代表的な2点A,Bのみを図示している。
【0022】
このような図3において、最も運転頻度の大きい点の効率を比較する。この図に示す点Aは、最も運転頻度の大きい点が最高効率点に近い場合は適正な特性であると判定できるが、点Bのように最高効率点から離れた効率の低い運転点の場合は適性な特性ではないと判定することができる。
図3に示したように、年間流況にて運転頻度の大きな有効落差Hにおいて運転頻度の大きな点Bが効率の低い運転点であり、既設の水力機械が適正な特性であると判定できない場合には、水力機械の改修やリプレイスといった対策を講じる必要がある。このための方針の決定方法を以下に示す。
【0023】
一般に、水力機械の流路で生じる損失は、漏れ損失、円板摩擦損失、摩擦損失、および渦損失からなる。このうち、漏れ損失は、図7で示した水力機械において、ケーシング7から導かれた水がランナ2内へと流入せず、例えば上カバー3と下カバー4で構成されるランナ室とランナ2との間隙を通過するなどして吸出し管8へと導かれることによって発生する損失であり、円板摩擦損失はランナ室内でランナ2が回転する際のランナクラウン2aやランナバンド2bと水との摩擦によって生じる損失である。また、摩擦損失は、各流路の表面粗さに起因した損失と各流路内での流れの剥離によって生じる損失を合わせたものであり、渦損失はランナ2内部から吸出し管8へ導かれた水が、吸出し管8の内部で旋回速度成分を持った流れとなることによって生じる損失である。
【0024】
水力機械の改修などによってこれらの各損失を低減するためには、一般的に次のような方法が採用される。
漏れ損失の低減のためは、例えば、回転部であるランナ2と、静止部である上カバー3および下カバー4とのシール形状の設計変更等を行なうといった対策をとればよく、円板摩擦損失の低減のためには、ランナ2のランナクラウン2aおよびランナバンド2bの外周側面積の低減を行なうといった対策を講じることが有効である。
また、摩擦損失は、各流路の表面粗さによって生じる損失と、ランナ2の内部への水の流入角度のアンマッチ等によって生じる流れの剥離による損失を合わせたものであるため、ランナベーン2c、ガイドベーン5、またステーベーン6といった流路を構成する要素の表面粗さや形状の変更を行なうことで、損失低減を図ることができる。渦損失については、ランナ2下流に発生する旋回流れが大きく関与しているため、主にランナ2出口側におけるランナベーン2cの設計変更を行なうことが損失低減の有効な対策となる。
【0025】
本実施の形態においては、既設の水力機械の流れ解析を行ない、図1で示した処理フロー103dにて、水車出力Pと水力機械の各流路における損失、および水力機械のキャビテーション性能等を算出しているので、漏れ損失、円板摩擦損失、摩擦損失、および渦損失がそれぞれ全体のうちのどの程度の割合を占めているのかを簡単に知ることができる。図4はこれらを求めた結果を示しており、図3で示した効率曲線を、漏れ損失、円板摩擦損失、摩擦損失、および渦損失の各損失ごとに示したものである。なお、ここでは水車の効率の比較を行なうために、図4の縦軸は水車効率ηとしている。
【0026】
前述のように、図3の運転点Bにおける運転は、この落差における最高効率点に近い運転点Aにおける運転よりも効率が低い。そして、本実施の形態においては、図4に示すように、効率の低い運転点Bにおける漏れ損失、円板摩擦損失、摩擦損失、および渦損失の各損失と、この有効落差における最高効率点に近い運転点Aでの各損失との比較を行なう。例えば図4に示した運転点Bと運転点Aの各損失を比較すると、渦損失の低減割合が一番大きいため、運転点Bにおける効率を向上させるためには、渦損失を低減させることが有効であることがわかる。
【0027】
このようにして、本実施の形態においては、流れ解析の結果算定された各損失に注目し、図4の例に示すように例えば運転頻度の高落差における効率の高い運転点と比較することによって、既設機の効率が低い原因がどの損失によるものかを判定する。そして、既設機のどの部分の設計が悪いのかを判断して改善の方向を明らかにすることができる。すなわち、既設水力機械の流れ解析の結果と実際の年間流況とを比較して、既設水力機械が効率の低い運転点で運転される頻度が高い場合には、運転頻度の高い運転点と効率の高い運転点における各損失を比較する。そして、運転頻度の高い運転点での損失に対する効率の高い運転点における損失の割合が最も小さい損失に注目することにより、どの部位の設計変更が有効かを簡単に判断することができる。そして、この判断に基づき、既設水力機械に許される範囲の設計変更可能な部位を改善することにより、適正な特性に近づけることができる。
以上のように、本実施の形態は、既設の水力機械の流路形状を基に流れ解析を行い、この結果と、既設の水力機械の実際の運用を示す年間流況とを比較する。そして、この比較の結果、既設の水力機械が効率の低い運転点での運転頻度が高い場合、この運転点における効率を向上させるように流路形状等の変更の方針を簡単に定めることができる。
次に、このような場合の具体的な水力機械の設計変更の方法について、図7で示した従来の水力機械であるフランシス形水力機械に適用した場合を例に示す。
【0028】
図5は、図7に示した従来の水力機械であるフランシス形水力機械のA−A断面を図示したもので、ランナ2内部を流れる水の流線に沿ったランナベーン2cの断面を示す図である。この図において、入口仮想曲線linは、図7のA−A断面において、複数枚設けられているランナベーン2cの入口側の端部、すなわちランナベーン2cの前縁を滑らかに接続した曲線であり、同様に出口仮想曲線loutは図7のA−A断面におけるランナベーン2cの出口側の端部、すなわちランナベーン2cの後縁を滑らかに接続した曲線である。
【0029】
そして、本実施の形態においては、ランナベーン2cの後縁における隣接するランナベーン2cとの距離である出口開度Dと、ランナベーン2cの後縁における水の流出方向を示す後縁線と出口仮想曲線loutとがなす角度である羽根出口角度θoutの値を修正し、ランナベーン2cの形状を実線で示した形状から点線で示した形状へと変更している。
ここで、この例は図3で示した運転点Bにおける水車効率を向上させるための対策として出口開度Dと羽根出口角度θoutを修正した例を示しており、このように出口開度Dと羽根出口角度θoutを小さくすることによって渦損失を低減させている。
また、ランナベーン2cの出口側の形状を変更すると、ランナベーン2c回りの流れの循環の値やランナベーン2cの表面における圧力分布も変化するため、渦損失の低減だけでなく、摩擦損失低減の効果が得られる場合もある。
【0030】
特に、本実施の形態で示したように既設のフランシス形水力機械の運転パターンが変化する場合、部分負荷運転、すなわち、図2に示したように各落差における最高効率点よりも流量の小さい運転点での運転が増えることが多い。そして、このような場合、ランナ2の設計変更、特にランナベーン2cの出口側の形状ののみを行なうことで渦損失を低減させれば実際の運転パターンに適した水車特性を得ることが可能となる。渦損失の低減のためには上述のように、ランナベーン2cの出口開度Dと羽根出口角度θoutを修正することによって、他の静止流路等の大きな変更を行なわずに水車特性を、部分負荷運転に適した水車特性に変更することができる。
【0031】
さらに、本実施の形態によれば、このようにして水力機械の設計変更や改修などの方法を決定した後に、変更後の流路形状を用いて再度水車特性の確認を行なうことも可能である。この場合であっても、図1で示した処理フローと同様な処理を行なえば簡単に変更後の水力機械についても特性の確認や、年間流況との比較を行なうことができる。
図6は、既設水力機械の年間流況に関して月ごとでの運転点のデータを用いて月別の発生電力量を比較した例を示している。ここで、この例は図2〜図5で説明した水力機械に対して改修を行なった場合を例示しており、既設の水力機械と図5で示したように水車特性を変更した後の水力機械との月別の発生電力量を比較している。
【0032】
すなわち、図6で示した例では、有効落差Hと流量Qとで定まる運転点のデータに、それぞれの運転点での運転が行われた時刻情報を付加した年間流況のデータを用いることによって、年間の発生電力量を概算したものである。特に本実施の形態においては、これらを各月ごとにグラフ化することによって、改修を行なって水車特性を変更することによって1年間のうちのどの時期にどれだけの発生電力量増加を見込めるかを把握することができ、既設の水力機械の改修を行なうことによる経済的な効果についても簡単に評価することが可能となる。
【0033】
この例においては、図5で示したようにランナベーン2cの出口開度Dと羽根出口角度θoutを修正することによって、部分負荷運転時の効率を向上させている。そして、図6に示したように、この対策によって、流量Qが少なくなり部分負荷運転となっても水車効率が向上するため、発生電力量が低下する冬場の発生電力量を増加させて年間の発生電力量を増加できることがわかる。そして、これらの比較を図5に示した改修だけでなく、水力機械全体を更新した場合やその他様々なケースについて行なうことによって、既設の水力機械に対してどのような改修を行なうことが有効であるかを簡単に知ることができる。したがって、これらに基づいて実際の改修を行なうことで、既設水力機械の運転パターンが実際の運転パターンと異なってきた場合であっても、適正な特性の水力機械に改修することが可能となる。
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の既設水力機械の改修方法によれば、既設水力機械の流路形状データを採取し、数値化して解析モデルを作成し、様々な運転点の流れ解析を実施することにより現状の水車特性を求め、既設水力機械の実際の運用を示す年間流況とを比較することで、既設水力機械が適正な特性からどの程度外れているかを簡単に把握し、運用効率を向上させるための既設水力機械の改修などの方向性を正確に示すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態のフローチャート図。
【図2】流れ解析によって得られた水車特性図。
【図3】流れ解析によって得られた水力機械の効率曲線図。
【図4】流れ解析によって得られた水力機械の効率曲線図。
【図5】本発明によるランナベーン変更前後の形状説明図。
【図6】本発明による水力機械の改修の前後における年間発生電力量の比較図。
【図7】従来の水力機械のフランシス形水力機械の縦断面図。
【図8】従来の既設水車の特性を得る説明図。
【符号の説明】
1 回転軸
2 ランナ
3 上カバー
4 下カバー
5 ガイドベーン
6 ステーベーン
7 ケーシング
8 吸出し管

Claims (5)

  1. 水車、ポンプなどの既設水力機械の流路形状を図面あるいは現物測定により数値化した解析モデルを作成し、前記既設水力機械の様々な運転状態を解析条件として前記解析モデルを用いて流れ解析を行い、前記流れ解析によって得られた結果から求まった既設水力機械の水車特性と当該既設水力機械の実際の運用を示す年間流況とを比較し、前記水車特性と前記年間流況との比較結果によって前記既設水力機械の流路形状を前記年間流況から定まる運転頻度の高い運転点での水車効率が向上するように変更することを特徴とする既設水力機械の改修方法。
  2. 請求項1に記載の既設水力機械の改修方法において、水車特性は有効落差と流量、もしくは有効落差と水車出力を軸とする平面上における等効率線図として表され、年間流況は前記平面上に前記既設水力機械の年間の運転点を散布図として表すことを特徴とする既設水力機械の改修方法。
  3. 請求項1もしくは請求項2に記載の既設水力機械の改修方法において、年間流況から定まる運転頻度の高い運転点と流れ解析によって求まった水車効率の高い運転点の、流路にて生じる損失である漏れ損失、円板摩擦損失、摩擦損失、および渦損失をそれぞれ比較し、前記運転頻度の高い運転点での損失に対する前記水車効率の高い運転点における損失の割合が最も小さい損失を低減するように前記既設水力機械の流路形状の変更を行なうことを特徴とする既設水力機械の改修方法。
  4. 請求項3に記載の既設水力機械の改修方法において、前記既設水力機械がフランシス形水力機械であり、渦損失の低減を行なう場合に前記既設水力機械のランナベーンのうち、出口開度および出口羽根角度を変更することを特徴とすることを特徴とする既設水力機械の改修方法。
  5. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の既設水力機械の改修方法において、流路形状の変更を行なった場合の解析モデルを作成し、これを基に再度流れ解析を行なって性能の確認を行なった後に流路形状の変更を行なうことを特徴とする既設水力機械の改修方法。
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