JP4018527B2 - 画像形成装置、画像形成装置の製造方法、画像形成装置の改造方法および音質評価方法 - Google Patents

画像形成装置、画像形成装置の製造方法、画像形成装置の改造方法および音質評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像形成装置、画像形成装置の製造方法、画像形成装置の改造方法および音質評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィス等においては、複写機、プリンタまたはファクシミリ装置などの画像形成装置を搭載した種々の装置が設置されている。この種の画像形成装置は、多くの部品が機械的に連結等されている。また、画像形成装置は、これらの機構等を駆動するためのモータを有しており、画像形成動作時には装置各部の動作音が発生し、この動作音がユーザ等に不快感を与える等、騒音問題になる場合もある。
【0003】
現在、オフィス機器の騒音を評価する方法としては、音響パワーレベルや音圧レベルを基準とする方法が一般的である(ISO7779など)。しかしながら、音響パワーレベル等を基準として騒音を評価する方法にあっては、その評価と人間の主観的な不快感との相関があまりよくない場合もあり、上記基準による評価が良好であっても、人間にとっては不快感を感じさせることも多々ある。
【0004】
例えば、音圧レベルの値が同じ2つの音であって、周波数分布や衝撃音の有無等が異なる2つの音を人間が聞いたときに、各々の音に対して持つ不快感は異なることとなる。したがって、音圧レベルが小さくても、高周波成分や純音成分等が含まれている音は不快に感じられる場合がある。
【0005】
このようにオフィス機器の騒音については、単に音響パワーレベルや音圧レベルを基準として対策を施すのではなく、音質を評価し、その評価を考慮した上で騒音対策を行う必要があると考えられる。
【0006】
従来、提案されている画像形成装置の騒音対策技術としては、画像形成装置に画像形成時の動作音をマスキングするマスキング音発生機能を搭載し、画像形成動作時にマスキング音を発生させることで騒音を低減しようとするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、画像形成装置が動作時に発する音の質を評価する技術としては、以下のようなものがある。
【0008】
例えば、画像形成装置が発する様々な音の中から、排気音などのエアフローに関して発生する低周波ランダムノイズである「ゴー音」のみを評価対象とすることができるもの(特許文献2参照)、スキャナモータや帯電装置が発する「キーン音」のみを評価対象とすることができるもの(特許文献3参照)、用紙のこすれ等に起因して発生する高周波のランダムノイズである「シャー音」のみを評価対象とすることができるもの(特許文献4参照)、および駆動機構のうなり等に起因する近接する複数の周波数にピークを持つ純音からなる「ウォンウォン音」のみを評価対象とすることができるものなどがある(特許文献5参照)。
【0009】
また、純音、うなり、低周波成分、高周波成分などを含むことによって人が感じるうるささをなめらかさと称し、このなめらかさの評価を可能とする技術も開示されている(特許文献6参照)。
【0010】
また、事務機器から生じる騒音について、人の主観的な感覚に与える影響を考慮した音質の評価が可能な音質評価方法なども開示されている(特許文献7参照)。
【0011】
また、画像形成装置から発生する音から得られるラウドネス値およびシャープネス値に基づいて不快指数を取得し、当該取得した不快指数が所定の条件を満たすように用紙搬送機構を工夫した画像形成装置が開示されている(特許文献8参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開平9−193506号公報
【特許文献2】
特開平10−232163号公報
【特許文献3】
特開平10−253440号公報
【特許文献4】
特開平10−253442号公報
【特許文献5】
特開平10−267742号公報
【特許文献6】
特開平10−267743号公報
【特許文献7】
特開2001−336975号公報
【特許文献8】
特開2002−128316号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したマスキング音発生機能を搭載した画像形成装置では、動作時に装置が発生する音に加え、さらにマスキング音を発生させるために、かえって騒音レベルが大きくなってしまうおそれがある。また、マスキング発生装置(スピーカ、制御装置、音源等)といった画像形成動作とは全く無関係の装置を新たに搭載する必要があり、設置スペースについて問題が生じ、装置の小型を妨げることになるとともに、コストが上昇するという問題もあり、効果的な騒音対策とはいいがたい。
【0014】
また、上述した種々の音質評価技術では、画像形成装置の稼動音に対して、特定の音質の評価等をなすことができ、また人の主観的な感覚を考慮した評価をなすことができるものもあるが、これらの技術ではこの評価をどのように生かして騒音対策をとるべきかについて具体的手法は明らかにされていない。
【0015】
ところで、音質の評価と、その評価結果に基づく騒音対策のためには、音質の定量的な計測と、対策前後でどのくらい音質が改善されたかを計測する必要がある。
【0016】
しかしながら、音質は物理量ではないため定量的な測定を行うことができない。このため、改善の目標となる値等を設定することが困難である。人間による音質評価の場合、「改善された」、「少し改善された」といった表現となり、また個人差があるため人によって評価が異なったり、得られた結果が一般的なものであるかどうかの判定も困難である。
【0017】
ところで、音質を評価する物理量として、心理音響パラメータというものが知られている。心理音響パラメータの代表的なものとしては以下のようなものがある(例えば、日本機械学会「第7回設計工学・システム部門講演会”21世紀に向けて設計、システムの革新的飛躍を目指す!”」’97年11月10日、11日「音・振動と設計、色と設計(1)」部門第089B参照)。
▲1▼ラウドネス(sone):聞こえの大きさ
▲2▼シャープネス(acum):高周波成分の相対的な分布量
▲3▼トーナリティ(tu):調音性、純音成分の相対的な分布量
▲4▼ラフネス(asper):音の粗さ感
▲5▼フラクチュエーション・ストリングス(vacil):変動強度、うなり感
▲6▼インパルスシブネス(iu):衝撃性
▲7▼レラティブ・アプローチ:変動感
【0018】
これらのパラメータ値はその値が増すと、不快感が増す傾向がみられるものである。
【0019】
複写機やプリンタなどの装置から発生する音には、これらの装置が複雑な機構を有することから、種々の音色の音が含まれている。つまり、低周波の重苦しい音、高周波の甲高い音、衝撃的に発生する音などが、モータ、ソレノイド、用紙等の複数の音源から時間的に変化しながら発生していると考えられる。人間は、このような画像形成装置から発する音を総合的に判断して不快であるか否かを判定しているのであるが、かかる判定にあっては音のどの部分が特に不快である等の重み付けを行っていると考えられる。つまり、上述したような種々の心理音響パラメータがすべて同じ割合で人間の不快感に影響を与えるのではなく、与える影響が大きいパラメータと小さいパラメータが存在していると考えられる。
【0020】
上述した従来技術の中にも、ラウドネス値およびシャープネス値に基づいて不快指数を取得し、当該取得した不快指数が所定の条件を満たすように用紙搬送機構を工夫したものがあり(特許文献8)、この技術は上記のような点を考慮したものと考えられる。
【0021】
しかしながら、近年の画像形成装置には、画像の解像度を選択したりすることができるものや、カラー画像、モノクロ画像の両者が可能なものがある。また、印刷する紙質等の違いに異なる動作を行うものや、印刷速度を設定できるもの装置もある。このように近年の画像形成装置の多くは、複数の動作モードを有している。このように複数の動作モードを有する装置では、動作モードに装置各部の動きが異なり、これによって発生する騒音等も異なることになり、特に印刷速度が変わった場合には、モータの回転速度の変化に応じて発生する音の周波数成分が異なり、また種々の機構からの発生音にも変化が見られ、この変化により人間が不快感を感じる音源等も異なってくることが考えられる。
【0022】
したがって、複数の動作モードを有する画像形成装置における騒音対策については、印刷速度が異なるといった動作モード毎の音質評価を行うといった煩雑な作業を行い、どの動作モードで動作している場合にも不快感等を与えないような騒音対策を行う必要があるが、上記技術ではこのような点は考慮されていない。
【0023】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、画像形成速度が異なるモードが複数ある場合であっても、客観的な音質評価に基づく騒音対策がなされた画像形成装置、このような画像形成装置を製造する方法、このような画像形成装置に改造する方法および音質評価方法を得ることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たす
Figure 0004018527
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0025】
請求項1にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0026】
また、請求項2にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たす
Figure 0004018527
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0027】
請求項2にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0028】
また、請求項3にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たす
Figure 0004018527
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0029】
請求項3にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0030】
また、請求項4にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たす
Figure 0004018527
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0031】
請求項4にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した(e)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0032】
また、請求項5にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たす
Figure 0004018527
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0033】
請求項5にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0034】
また、請求項6にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たす
Figure 0004018527
ことを特徴とする画像形成装置である。
【0035】
請求項6にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0036】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の構成において、複数の動作モードのいずれかを選択し、前記画像形成対象シートへの画像形成を行うために装置各部を制御する動作制御手段を具備し、前記複数の動作モードのいずれで動作する場合であっても、前記確率Pが、前記条件を満たすことを特徴とする。
【0037】
請求項7にかかる発明によれば、動作制御手段によって選択されたどの動作モードで動作している場合にも、その動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0038】
また、請求項8にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の構成において、前記集音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、少なくとも当該装置前面方向の音の収音結果から算出される前記確率Pが前記条件を満たすことを特徴とする。
【0039】
請求項8にかかる発明によれば、画像形成装置のユーザが通常位置する可能性が高い画像形成装置の前面側の位置で収音した結果から得られた確率Pが、上述した条件を満たすようになっているので、画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0040】
また、請求項9にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の構成において、前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、当該装置前後左右の4方向の音の収音結果の各々から算出される前記確率Pの平均値が前記条件を満たすことを特徴とする。
【0041】
請求項9にかかる発明によれば、画像形成装置の4方向で収音された音から確率Pを導出し、その平均値が条件を満たしているので、どの方向にユーザがいてもその動作音がユーザに与える不快感を平均的に緩和することができる。
【0042】
また、請求項10にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の構成において、前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、少なくとも当該装置前後左右のいずれか1方向の音の収音結果から算出される前記確率Pが前記条件を満たすことを特徴とする。
【0043】
請求項10にかかる発明によれば、画像形成装置の少なくとも1方向側において収音した音から導出した確率Pが条件を満たしているので、その方向側にいるユーザに対して、画像形成装置の動作音が不快感を与えることを低減することができる。
【0044】
また、請求項11にかかる発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の発明の構成において、前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、当該装置前後左右の4方向の音の収音結果の各々から算出されるすべての前記確率Pが前記条件を満たすことを特徴とする。
【0045】
請求項11にかかる発明によれば、画像形成装置の前後左右方向のすべての方向側で収音された音から導出される確率Pが条件を満たしているので、ユーザはどの方向側にいても画像形成装置の動作音が当該ユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0046】
また、請求項12にかかる発明は、請求項1ないし11のいずれかにかかる発明の構成において、前記画像形成対象シートへの画像形成時に当該装置が発する音の低減させる低減手段を具備することを特徴とする。
【0047】
請求項12にかかる発明によれば、低減手段により画像形成時に画像形成装置が発する音を低減することができ、これにより画像形成装置が発する音から導出される確率Pが条件を満たし、画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0048】
また、請求項13にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、前記画像形成対象シートへの画像形成時に所定の部位を駆動するステッピングモータと、前記ステッピングモータを保持するブラケット部材とをさらに具備し、前記低減手段は、前記ステッピングモータと前記ブラケット部材との間に介在配置される弾性体を有していることを特徴とする。
【0049】
請求項13にかかる発明によれば、ステッピングモータ動作時の振動が直接ブラケット部材に伝達されず、弾性体によって吸収されるので、ブラケット部材に伝達される振動が低減され、この振動に起因して発生する音を低減できる。
【0050】
また、請求項14にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、前記画像形成対象シートへの画像形成時に所定の部位を駆動するステッピングモータをさらに具備し、前記低減手段は、前記ステッピングモータをマイクロステップ駆動させる駆動制御手段を有していることを特徴とする。
【0051】
請求項14にかかる発明によれば、ステッピングモータをマイクロステップ駆動することで、通常の機械的に定まるステッピングモータのステップ角よりも小さい角度のステップ角でステッピングモータを駆動することができる。これによりステッピングモータのロータ駆動が滑らかになり、振動の発生を抑制することができ、動作音を低減させることができる。
【0052】
また、請求項15にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、前記画像形成対象シートへの画像形成時に所定の部位を駆動するモータをさらに具備し、前記低減手段は、前記モータ近傍に配置されるヘルムホルツ共鳴器を有していることを特徴とする。
【0053】
請求項15にかかる発明によれば、ヘルムホルツ共鳴器は、その形状寸法等から定まるヘルムホルツ共鳴周波数の音成分をその空洞内に閉じ込める、つまりその共鳴周波数の音成分を減衰させる機能を有する。したがって、モータが発する音の主な周波数成分に対応する共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴器を近傍に設置することでモータの発生音が装置外部に漏れる量を低減できる。
【0054】
また、請求項16にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、中空部を有する円柱状の像担持体と、当該像担持体の表面を帯電させる帯電手段とをさらに具備し、前記低減手段は、前記像担持体の中空部に当該像担持体の振動を抑制する制振部材を有することを特徴とする。
【0055】
請求項16にかかる発明によれば、像坦持体に帯電手段が帯電させる際には、その帯電作用によって像坦持体が振動し、これに起因して音が発生するが、その像担持体に生じる振動を制振部材によって抑制することができ、発生音を低減することができる。また、制振部材は像担持体の内部に配置されるため、新たな設置スペース等を用意する必要もない。
【0056】
また、請求項17にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、前記画像形成対象シートを所定の搬送経路に沿って案内する可撓性シートからなる案内部材であって、搬送される前記画像形成対象シートに接する端部が前記可撓性シートの折り曲げ部分となっている案内部材をさらに具備することを特徴とする。
【0057】
請求項17にかかる発明によれば、案内部材における可撓性シートの折り曲げた部分が搬送される画像形成対象シートと接するようになっているので、当該接触により発生する音を低減することができる。すなわち、可撓性シートを所定の寸法にする場合、通常裁断されるが、可撓性シートの裁断部分にはバリ等があり、この部分が画像形成対象シートと接すると耳障りな音が発生する。これに対し、この発明では、上記のように裁断部分ではなく折り曲げ部分が画像形成対象シートと接するようになっているので、耳障りな音の発生を低減することができる。
【0058】
また、請求項18にかかる発明は、請求項12にかかる発明の構成において、当該装置において、前記画像形成対象シートへの画像形成に用いられるトナーがワックスを含むトナーであることを特徴とする。
【0059】
請求項18にかかる発明によれば、ワックスを含むトナーを用いることで、画像形成における定着過程の際に、定着部材と画像形成対象シートの乖離性を向上させるために定着部材に対してオイル塗布等の作業を行う必要がない。よって、かかるオイル塗布作業に伴って発生する音を低減することができる。
【0060】
また、請求項19にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を製造する方法であって、製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
Figure 0004018527
前記設計ステップによってなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップとを具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0061】
請求項19にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0062】
また、請求項20にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を製造する方法であって、製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
Figure 0004018527
前記設計ステップによってなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップとを具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0063】
請求項20にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0064】
また、請求項21にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を製造する方法であって、製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
Figure 0004018527
前記設計ステップによってなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0065】
請求項21にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0066】
また、請求項22にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
Figure 0004018527
前記設計ステップによりなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップとを具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0067】
請求項22にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0068】
また、請求項23にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう装置各部を設計する設計ステップと、
Figure 0004018527
前記設計ステップによりなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップとを具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0069】
請求項23にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0070】
また、請求項24にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう装置各部を設計する設計ステップと、
Figure 0004018527
前記設計ステップによりなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップとを具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0071】
請求項24にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0072】
また、請求項25にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
Figure 0004018527
を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0073】
請求項25にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0074】
また、請求項26にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
Figure 0004018527
を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0075】
請求項26にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0076】
また、請求項27にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
Figure 0004018527
を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0077】
請求項27にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0078】
また、請求項28にかかる発明によれば、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の改造方法であって、改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
Figure 0004018527
を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0079】
請求項28にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0080】
また、請求項29にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の改造方法であって、改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
Figure 0004018527
を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0081】
請求項29にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0082】
請求項30にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の改造方法であって、改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
Figure 0004018527
を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0083】
請求項30にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる。
【0084】
また、請求項31にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置が画像形成時に発する音を評価する方法であって、当該画像形成装置が画像形成時に発する複数種類の音に対して一対比較法による評価を行い、かかる評価による2音の不快確率を目的変数とし、心理音響パラメータ値の差を説明変数としてロジスティック回帰分析を行い、その結果から音質の不快確率に関する下記の式(f)を導出し、
【数1】
Figure 0004018527
上記式の導出に用いた心理音響パラメータ値の平均値を、上記式(f)に代入するとともに、そのときのP=0.5と定義することにより、音の不快さの確率を予測する音質評価式を導出し、導出した音質評価式を用いて音質評価を行うことを特徴とする音質評価方法である。
【0085】
請求項31にかかる発明によれば、まず2音の不快確率と心理音響パラメータ値の差との関係に関する式を求めてから、その式から音の評価である不快確率そのものを予測する音質評価式を導出しているので、比較的多くの実験を行うことなく精度の高い音質評価式の導出することができ、結果として音質評価に関する作業が簡易となるという効果が得られる。
【0086】
また、請求項32にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、画像形成装置が画像形成時に発する複数種類の音に対して一対比較法による評価を行い、かかる評価による2音の不快確率を目的変数とし、心理音響パラメータ値の差を説明変数として重回帰分析を行い、その結果から音質の不快確率に関する下記の式(f)を導出し、
【数1】
Figure 0004018527
上記式の導出に用いた心理音響パラメータ値の平均値を、上記式(f)に代入するとともに、そのときのP=0.5と定義することにより、音の不快さの確率を予測する音質評価式を導出し、導出した音質評価式を用い、その音質評価式による音質評価が所定の条件を満たすよう装置各部を設計し、当該設計内容にしたがって画像形成装置を製造することを特徴とする画像形成装置の製造方法である。
【0087】
請求項32にかかる発明によれば、まず2音の不快確率と心理音響パラメータ値の差との関係に関する式を求めてから、その式から音の評価である不快確率のそのものを予測する音質評価式を導出しているので、比較的多くの実験を行うことなく精度の高い音質評価式の導出することができ、結果として音質評価に関する作業が簡易となるという効果が得られる。そして、このようにして得られた音質評価式による音質評価が所定の条件を満たすよう装置各部が設計された画像形成装置が製造されるので、つまり不快な音をほとんど発しない画像形成装置を提供することができる。
【0088】
また、請求項33にかかる発明は、画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、画像形成装置が画像形成時に発する複数種類の音に対して一対比較法による評価を行い、かかる評価による2音の不快確率を目的変数とし、心理音響パラメータ値の差を説明変数として重回帰分析を行い、その結果から音質の不快確率に関する下記の式(f)を導出し、
【数1】
Figure 0004018527
上記式の導出に用いた心理音響パラメータ値の平均値を、上記式(f)に代入するとともに、そのときのP=0.5と定義することにより、音の不快さの確率を予測する音質評価式を導出し、導出した音質評価式を用いて改造対象となる画像形成装置の発する音の音質評価を行い、かかる音質評価結果に基づいて改造対象となる前記画像形成装置の構成を改造することを特徴とする画像形成装置の改造方法である。
【0089】
また、請求項33にかかる発明によれば、まず2音の不快確率と心理音響パラメータ値の差との関係に関する式を求めてから、その式から音の評価である不快確率そのものを予測する音質評価式を導出しているので、比較的多くの実験を行うことなく精度の高い音質評価式の導出することができ、結果として音質評価に関する作業が簡易となるという効果が得られる。そして、このようにして得られた音質評価式を用いた画像形成装置が発する音の音質評価に基づいて、その装置構成を改造する。したがって、良好な音質評価が得られる、つまり不快な音をほとんど発しない画像形成装置を提供することができる。
【0090】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、画像形成装置の製造方法、画像形成装置の改造方法および音質評価方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0091】
A.画像形成装置の構成
図1は、一般的な画像形成装置の全体構成を示す図である。本発明は、このような一般的な画像形成装置が発する騒音を評価し、その評価に基づき当該騒音が人に与える不快感を低減するための対策をなす改造方法であり、かかる改造方法についての説明に先立ち、一般的な画像形成装置の構成について説明する。
【0092】
図1に示す画像形成装置は、電子写真方式を採用したディジタルカラープリンタであり、光学ユニット1と、感光体ユニット3と、現像ユニット4と、転写ユニット5と、定着ユニット46と、給紙部110とを備えている。
【0093】
画像形成時には、当該画像形成装置の最下部に配置された給紙部110に収容された画像形成対象シート(印刷用紙やOHPシート等も含むが、以下用紙とする)が図の右下側から左斜め上側へ上がる所定の搬送経路に沿って搬送させられる。このように搬送される用紙は、給紙部110から繰り出されて、給紙部110の上方側に図の右下から左上側への斜め方向の搬送経路に沿って搬送される。この間、用紙は同様に搬送経路に沿って並んで配置される4つの感光体ユニット3および現像ユニット4と転写ユニット5との間を通過させられ、所定の画像が転写される。かかる画像転写がなされた用紙は、感光体ユニット3、現像ユニット4および転写ユニット5のさらに左斜め上側に配置される定着ユニット46へ搬送され、定着ユニット46によって転写画像が定着させられる。
【0094】
図2に示すように、光学ユニット1は、図2の右下から左上方向といった斜め方向である用紙搬送路に沿って延在するユニットであって、その方向に沿って配置されるハウジング11を有している。ハウジング11の上部には、4つの色毎のレーザダイオード(LD)17(Bk:ブラック),18(C:シアン),19(M:マゼンダ),20(Y:イエロー)が取り付けられている。
【0095】
また、ハウジング11には、主操作ライン操作のためのポリゴンミラーモータ2、ドット位置補正のための2層fθレンズ21,22、面倒れ補正を行うための長尺WTLレンズ23,24,25,26、図示せぬレーザビーム径補正のためのシリンダレンズ等が取り付けられている。
【0096】
ポリゴンミラーモータ2には、上下2枚の6面ミラー27が一体となって形成されており、このポリゴンミラー27にLD17,18,19,20が発したレーザ光が照射される。
【0097】
各色に対応するLD17,18,19,20は、用紙の搬送タイミングにあわせて発光し、その光(図中太線で示す)がシリンダレンズ、ポリゴンミラー27、2層fθレンズ21,22、長尺WTLレンズ23,24,25,26を経由して各色の感光体ドラム28に照射される。
【0098】
なお、ブラックに対応するLDユニット17については、2ビーム方式のものを採用することが好ましい。すなわち、2ビーム方式のLDを採用することで、モノクロ画像形成時に2ビームを同時に書き込むことができ、ポリゴンミラーモータ2の回転数を抑えながら、かつ迅速な書き込みを行うことができるからである。このようにポリゴンミラーモータ2の回転数を低減することで、騒音が抑制されるといった効果や、モータの寿命が延びるといった効果も得られる。例えば、カラーモードで印刷する場合にポリゴンミラー27の回転数が29528rpm(revolutions per minute)で印刷速度28ppm(pages per minute)であるが、モノクロ印刷時にはポリゴンミラー27の回転数が21850rpmと回転速度が小さいにもかかわらず、印刷速度38ppmとなるといった具合である。
【0099】
図1に戻り、この画像形成装置における感光体ユニット3、現像ユニット4および転写ユニット5の構成について説明する。同図に示すように、この画像形成装置は、4連ドラムのタンデム作像方式を採用した装置であり、この方式を採用することでフルカラー印刷モードおよびモノクロ印刷モードの印刷速度を向上させている。また、上述したように感光体ユニット3、現像ユニット4および転写ユニット5を斜めに配置することで設置スペースを小さくし、これにより装置全体を小型にしている。
【0100】
感光体ユニット3、現像ユニット4は、それぞれ各色で独立したユニットとなっている。つまり、マゼンダ(M)用の感光体ユニット3および現像ユニット4、シアン(C)用の感光体ユニット3および現像ユニット4、イエロー(Y)用の感光体ユニット3および現像ユニット4、ブラック(Bk)用の感光体ユニット3および現像ユニット4があり、これらが図1の右下側から左上側に上記順序で並んで配置されている。なお、Bk用を除いたM用、C用、Y用の感光体ユニット3は全く同一の構成であるため、新しいユニットであればどの色用(M、C、Y)に用いるようにしてもよい。
【0101】
転写ユニット5は、上述した順序で斜め方向に配置される感光体ユニット3および現像ユニット4の下方側に、当該斜め方向に沿って延在するユニットであり、その斜め方向に沿うよう配置されている。転写ユニット5は、複数のローラと、当該ローラに巻き掛けられたエンドレスの転写ベルト29とを有している。図示せぬモータによってローラが回転させられることにより転写ベルト29が図中半時計回りに回転させられ、給紙部110から送り出された用紙はかかる転写ベルト29に載って図の右下側から左上側に搬送させられる。また、転写ユニット5の搬送方向の下流側(図の左上側)には、Pセンサ6が配置されており、かかるPセンサ6が転写ベルト29上に形成されたPセンサパターンの濃度を検知し、かかる検知結果が制御に利用される。
【0102】
ここで、図3にある色に対応する感光体ユニット3および現像ユニット4の断面図を示す。同図に示すように、感光体ユニット3は、感光体ドラム28(例えばφ30)を有している。感光体ドラム28は中空円柱状であり、後述する駆動機構によって図中時計回りに回転させられるようになっている。
【0103】
感光体ドラム28の上方側には帯電ローラ36(例えば、φ11)が配置されている。帯電ローラ36は、その表面が感光体ドラム28の表面から0.05mm程度離間した位置に配置されている。そして、帯電ローラ36は、感光体ドラム28と逆方向、つまり図中半時計周りに回転させられ、感光体ドラム28の面上に均一な電荷を印加している。
【0104】
また、帯電ローラ36の上方側にはクリーニングブラシ37が配置されている。感光体ドラム28の左斜め上側にはクリーニングブラシ39およびカウンターブレード38が配置され、これらによって感光体ドラム28のクリーニングがなされる。
【0105】
また、クリーニングブラシ39の左側には、廃トナー回収コイル40が配置されており、かかる廃トナー回収コイル40によって回収された廃トナーは、図1に示す廃トナーボルト16に搬送されるようになっている。
【0106】
次に、現像ユニット4は、乾式2成分磁気ブラシ現像方式を採用したものであり、現像ローラ30と、現像ドクタ31と、搬送スクリュー左32と、搬送スクリュー右33と、トナー濃度センサ34と、剤カートリッジ35とを備える。
【0107】
次に、図4を参照しながら感光体ユニット3の駆動機構について説明する。感光体ユニット3は、各色毎に設けられており、4つのユニットがあるが、M用、C用、Y用(カラー用)の3つの感光体ユニット3と、Bk用の感光体ユニット3とは別々の駆動機構によって駆動されるようになっている。すなわち、カラー用の感光体ユニット3の駆動は、カラードラム駆動モータ41を駆動源とし、この駆動力を伝達するギヤ43,44、ジョイント45とによって行われる。
【0108】
一方、ブラック用の感光体ユニット3の駆動は、別の黒ドラム駆動モータ42を駆動源とし、この駆動力を伝達する別のギヤ44、ジョイント45によって行われる。したがって、カラーモード印刷時には、カラードラム駆動モータ41のみが動作し、黒ドラム駆動モータ42は停止している。一方、モノクロモード印刷時には、黒ドラム駆動モータ42のみが動作し、カラードラム駆動モータ41は停止している。なお、カラードラム駆動モータ41および黒ドラム駆動モータ42はステッピングモータである。
【0109】
図5および図6に示すように、この定着ユニット46は、ベルト定着方式を採用したものであり、ベルトは定着ローラと比べて熱容量が小さいことから、この方式を採用することで、定着ローラを用いる方式よりもウォームアップ時間の短縮、待機時のローラ設定温度を低下できる等のメリットがある。
【0110】
この定着ユニット46は、画像が転写された用紙を加熱・加圧し、用紙上にトナー像を定着させるものであり、定着ベルト13と、オイル塗布ユニット47とを有している。オイル塗布ユニット47内には、ジェルがオイルから染み出し、これが塗布フェルト48から塗布ローラ49に供給される。そして、塗布ローラ49が回転しながら定着ベルト13に微量のシリコーンオイルを塗布している。このように定着ベルト13にオイルを塗布することで、定着ベルト13と用紙とが剥離しやすくなるようにしている。なお、かかるオイル塗布ユニット47による塗布動作は、用紙が1枚搬送される毎になされるようになっており、図示せぬソレノイドやスプリングを有する機構によって、用紙1枚が搬送される都度オイル塗布ユニット47が駆動され、定着ベルト13と接触させられる。一方、用紙1枚が通過すると、上記機構によってオイル塗布ユニット47が定着ベルト13から離間させられるようになっている。
【0111】
また、図5に示すように、定着ベルト13の用紙搬送方向上流側には、クリーニングローラ50が設けられており、かかるクリーニングローラ50が定着ベルト13上の汚れを吸着し、これによりベルトクリーニングがなされる。
【0112】
以上が定着ユニット46の構成であり、かかる定着ユニット46を通過した用紙は、搬送ローラによって図1に示す本体トレー51に搬送される。
【0113】
次に、図7を参照しながら給紙部110の構成について説明する。かかる給紙部110は、第1トレー9と、第2トレー10と、手差し給紙トレー8といった3つのトレーを有している。これらの各トレーは、トレーに収容された用紙を送り出す方式として、FRR給紙方式を採用している。FRR給紙方式による送り出し機構は、給紙トレー内に積層された用紙束中から送り出された用紙を一枚づつに分離する為に、給紙方向に回転駆動される給紙コロに対して逆転コロを当接させた構成となっている。
【0114】
この構成の下、逆転コロは、給紙コロとは逆方向へ向かう弱いトルクがトルクリミッタを介して付与されているため、給紙コロと接触している状態、或は一枚の用紙が両コロ間に進入した状態では給紙コロに連れ回りする一方で、給紙コロと離間した状態、或は2枚以上の用紙が両コロ間に進入した状態では逆回転する。このため、重送用紙の進入時には逆転コロに接する側の用紙は給紙方向下流側へ戻されて、重送が防止されることとなる。
【0115】
第1トレー9に収容された用紙は、第1給紙ユニット51によって1枚分離されて第1トレー9から送り出される。そして、送り出された用紙は、中継ローラ53によって搬送され、搬送ローラ55に到達する。ここで、用紙は搬送ローラ55によってターンさせられながら、左斜め上方側のレジストローラ7に向けて搬送される。
【0116】
搬送された用紙は、停止しているレジストローラ7に突き当たり、これにより用紙の斜行が補正される。そして、感光体ユニット3等による画像形成工程とのタイミング調整を行い、所定のタイミングで図示せぬレジストクラッチがつながれてレジストローラ7が駆動され、用紙が転写ユニットへ向けて搬送される。以降用紙は、上述したように転写ベルト29によって搬送され、所定の画像転写等の処理がなされる。
【0117】
なお、第2トレー10に収容された用紙の送り出しは、第2給紙ユニット52、中継ローラ54によって搬送ローラ55に向けて用紙が搬送され、その後は第1トレー9に収容された用紙と同様である。また、手差しトレー8にセットされた用紙は、給紙ユニット56によってレジストローラ7に向けて搬送され、以降は上記第1トレー9からの用紙搬送と同様である。
【0118】
次に、上述したように第1トレー9および第2トレー10から用紙を送り出す第1給紙ユニット51および第2給紙ユニットを駆動する構成について説明する。図8に示すように、これらの両ユニットは、1つのステッピングモータ56によって駆動されており、各々のユニットへの駆動力伝達は第1給紙クラッチ57および第2給紙クラッチ58を介して行われる。すなわち、第1トレー9から用紙を送り出すときは第1給紙クラッチ57のみがつながれた状態となり、第2トレー10から用紙を送り出すときは第2給紙クラッチ58のみがつながれた状態となる。
【0119】
この画像形成装置は、上述したようにカラー用感光体ユニット3等を有しており、モノクロ印刷のみならず、カラー印刷もできるようになっている。より具体的には、表1に示すように、「モノクロモード」、「カラーモード▲1▼」、「カラーモード▲2▼」、「OHP/厚紙モード」といった4つの印刷モードを有しており、ユーザが操作部等を操作してモードを選択した場合、その選択にしたがって図示せぬ当該画像形成装置の制御部(動作制御手段)が装置各部を制御し、その動作モードで各部を動作させる。この画像形成装置では、制御部がユーザに選択されたモードによって画像形成速度を3種類(182.5mm/s=38ppm(pages per minute)、125.0mm/s=28ppm、62.5mm/s=14ppm)に切り替えるようになっている。すなわち、選択された動作モードによってステッピングモータ56、黒ドラム駆動モータ42、カラードラム駆動モータ41といったモータの回転速度を変化させるよう制御しているのである。
【表1】
Figure 0004018527
ここで、高解像度の「カラーモード▲2▼」や「OHP/厚紙モード」では、印刷速度(画像形成速度)が14ppmであるのに対し、「モノクロモード」では印刷速度が38ppmであり、3倍近い速度差がある。このような大きな速度差を1つのモータで実現するため、この画像形成装置では用紙搬送機構系等の駆動源としてステッピングモータを採用している。
【0120】
B.音質評価手法
本発明は、上記のような画像形成装置が発する騒音を評価し、その評価に基づき当該騒音が人に与える不快感を低減するための対策をなす改造方法であり、以下、上記構成の画像形成装置が画像形成時に発する騒音を評価する手法について説明する。
【0121】
音質を評価する方法としては、シェッフェの一対比較法により得られた実験結果から音質を予測できる音質評価式を導出するというものが考えられる。一対比較法は、画像形成装置の発する音のように、絶対的な評価が困難な刺激に対して、2つの刺激の対をつくる。そして、評価を行いたい刺激の全組み合わせで対をつくり、その評点の差を求め、刺激各々について相対的な平均評点を与えるというものである。この方法は、人間が1つの刺激に対して評価をするのは困難であるが、2つの刺激を比較してどちらがよいか悪いかを判断することは比較的容易になし得る点に着目したものである。
【0122】
例えば、3つの刺激A1、A2、A3がある場合、それぞれの刺激モデルを、y1=μ+α1、y2=μ+α2、y3=μ+α3
とする。なお、簡略化のため、このモデルは総平均μと主効果αi(i=1,2,3)のみで構成されているものとする。また、実験計画法のパラメータ推定のために必要な一般的な制約と同様に、主効果の総和は0とする。
α1+α2+α3=0‥‥(1)
【0123】
絶対的な評価ができないということは、μの値についての見当がつかないということなので、直接にy1、y2、y3が測定できないということであるが、上述したように2つの刺激の差をとることでμが消えて、主効果のみの差で表せることになる。
y1−y2=(μ+α1)−(μ+α2)=α1−α2‥‥(2)
y1−y3=(μ+α1)−(μ+α3)=α1−α3‥‥(3)
y2−y3=(μ+α2)−(μ+α3)=α2−α3‥‥(4)
【0124】
ここで、(2)+(3)は、
2y1−(y2+y3)=2α1−(α2+α3)
であるが、上記制約式(1)により
2y1−(y2+y3)=3α1
となる。つまり、各刺激の効果を取り出すことができる。そして、このときの各刺激の効果を、画像形成装置が持つ物理的特性の差によって、1次の関数で表すとすれば、
α1−α2=b(x1−x2)‥‥(5)
という関係が得られる。ここで、bは定数であり、xiは、i=1,2,3‥‥nである。切片は2つの刺激の差をモデル化するので相殺される。
【0125】
そこで、評点の差(一対比較法実験により得られた一対の音の評点の差)を目的変数に、複数の物理的特性値(心理音響パラメータ等)の差を説明変数群とし、重回帰分析を行えば、評価の差を予測するモデルが得られることになる。すなわち、比較したい2つの音が有する物理的特性値を入力すると、2つの音がどのくらい不快さが異なるかといった評価の差の予測が出力できるモデルが得られる。
【0126】
本発明者は、以上のような評価の差の予測モデルとは別に、音質評価の予測モデルとして、以下の多重ロジスティック回帰モデルを適用することとした。
【数2】
Figure 0004018527
(f)式は、上記のように音Aiと音Ajとの優劣の差を予測するものではなく、音Aiと音Ajの優劣の勝敗を確率Pij、(1−Pij)として予測するものである。
【数3】
Figure 0004018527
ここで、Pijは、試料となる音の対(Ai、Aj)とを比較した際に音Aiが不快と感じる確率であり、(1−Pij)は音Ajが不快と感じる確率である。これらの確率は、πiを試料となる音Aiが不快とされた度数、πjを試料となる音Ajが不快とされた度数とすれば容易に求めることができる。そして、確率Pijは、二項分布にしたがうことが統計的に知られているので、その期待値が心理音響特性に影響を受けるという仮定が成り立つのであれば、上記(f)式の乗法モデルを用いることが合理的である。多重ロジスティック回帰モデルは、母確率Pijを予測するモデルであるから、予測されるPijは0〜1の範囲の値となり、その値は指標として合理的である。
【0127】
したがって、本発明者は上記の多重ロジスティック回帰モデルを音質評価のモデルとすることした。ここで、本発明における音質評価モデルの導出過程の説明に先立ち、ロジスティック回帰モデルについて簡単に説明しておく。
【0128】
画像形成装置の発する音の不快さの原因としてラウドネスがあり、説明を簡単にするためにその原因がラウドネスのみにあるとする。この場合、2つの試料となる音(A1、A2)について、どちらが不快な音であるかをn人が比較したときに、各々の音のラウドネスに差がなければA1とA2の各々が不快とされる確率は50%であることが期待される。
【0129】
そして、音A1よりも音A2のラウドネスが1(sone)小さいとき、音A2が不快であると答えた確率が25%になったとする。さらに、音A1よりも音A2のラウドネスが2(sone)小さくなると、音A2が不快であると答える確率はさらに25%下がり、0%になるとは考えられない。すなわち、ラウドネスが1(sone)小さくなることで、不快と答える確率が25%下がったと考えるのではなく、ラウドネスを1(sone)小さくすることで、不快と答える確率が50%から25%に、つまり半分になったと考えるのが自然である。したがって、ラウドネスが2(sone)小さくなると不快と答える確率は25×(1/2)=12.5%となると考えるのである。
【0130】
このように音質改善効果には、加法性が成立するのではなく、乗法性が成立するのである。乗法性が成立する場合には、対数ln(p)をとると加法性が成立する。また、歩留りのように100%の限界を挑戦する場合には、−ln(1−p)をとればよい。この2つの対数を組み合わせた
z=ln(p)−ln(1−p)=ln(p/1−p)‥‥(7)
をロジット変換と呼ぶ。そして、この逆変換は、
p=exp(z)/(1+exp(z))=1/(1+exp(−z))
である。このことは、0から1までの確率pにS字型曲線(シグモイド関数)をあてはめたとき、その曲線をロジスティック分布の累積分布関数で近似していることになる。
【0131】
図9に示すグラフは、ロジット変換による効果を示すものである。同図に示すように、ロジット変換後には、確率pについて線形性が成り立つことがわかる。したがって、zを目的変数として、通常の回帰分析を適用してzを推定し、上記(6)式の逆変換によりpの推定値を求めることができるのである。このように不良率や割合であるpを目的変数とする予測では、p=r/nをロジット変換し、それを目的変数として回帰分析すればよく、これをロジスティック回帰分析という。なお、rは不良数、nは検査数である。ただし、rが0またはnのときは、zを求めることができないので、
z=ln((r+1/2)/(n−r+1/2))
とする。この変換を経験ロジットと呼ぶ。
【0132】
なお、この変換のままでは、nの数が大きい場合もnが小さい場合も同等に扱うことになるので、nの大きさに対応した重み付けを行う必要がある。特に、pの値が0または1の近傍となる場合には、ロジットzの分散が大きくなり不都合である。これらの点を考慮したのがロジスティック回帰分析である。
【0133】
以上がロジスティック回帰分析についての説明であり、本発明者は、かかるロジスティック回帰分析を利用して音質評価式を導出し、その評価式を用いて音質評価を行うこととした。以下、実際に行った実験等を下にその過程を詳細に説明することとする。
【0134】
画像形成装置の音質評価実験と音質評価式導出の流れは以下のとおりである。
(1)画像形成装置の動作音の採取
(2)動作音の分析
(3)採取した動作音から供試音の作成
(4)供試音の心理音響パラメータの測定
(5)供試音による一対比較法実験
(6)不快音源の特定
(7)差モデルの分析データの作成
(8)評点の差を予測する式を導出
(9)評点を予測するモデル式(音質評価式)の導出
(10)導出した音質評価式の検証
【0135】
以下、上記過程の詳細について説明する。
(1)画像形成装置の動作音の採取
画像形成装置の動作音の採取は、ヘッドアコースティックス社製ダミーヘッドHMS(Head Measurement System)IIIを用い、バイノーラル(両耳覚)録音を行った。このようにバイノーラル録音を行い、専用ヘッドフォンで再生することで、実際に人間が機械の発生する音を聞いたときの感覚で再現できるからである。また、上述したように被測定機器である画像形成装置は、動作モードに応じて3種類の画像形成速度で画像形成動作を実行するものであり、これらの3つの動作モードごとに以下のような測定条件で測定を行った(図10参照)。
・録音環境‥‥半無響室
・ダミーヘッド203の耳の位置(収音位置)204‥‥高さ1.2m、被測定機器201端面からの水平距離ほぼ1m(1±0.03)、幅方向は機器中央位置
・録音方向‥‥前面(画像形成装置の操作部202がある面)、後面、左右面の4方向
・録音モード‥‥FF(フリー・フィールド:無響室用)
・HPフィルタ‥‥22Hz
【0136】
なお、ダミーヘッドの高さを1.2mとしたのは、最近の画像形成装置の利用の仕方として、ユーザが着席した状態でパーソナルコンピュータ等から指示を出すケースが多いことを考慮したものである。もちろん、人間が立っている状態を考慮して1.5mの高さにダミーヘッドを設置してもよい。
【0137】
ところで、画像形成装置が発する音は、方向ごとに異なるのが通常である。種々のモータの配置位置や、用紙の搬送経路、排紙口の位置などが装置中心にあるわけではなく、分散配置されているからである。よって、ある音源(モータ等)が発する音は右面側ではよく聞こえるが、左面側ではよく聞こえないといったように各方向ごとに採取される音も異なるものとなる。後述する実験に使用する供試音はどの方向で採取したものであってもよいが、一対比較実験を行う際にはいずれか1つの方向で採取したものに統一する必要がある。そこで、本実験では、前面側においてユーザが最も聞く機会が多いであろうと考えられる一方で、通常画像形成装置の後面側は壁にあわせて設置される後面側の音を聞く機会がほとんどないと考えられるので、前面側で採取したものを供試音として利用することとした。
【0138】
(2)動作音の分析
次に、上述したように採取した各モードの動作時における画像形成装置の動作音の分析を行った。
【0139】
まず、「カラーモード▲1▼」、つまり印刷速度が28ppmで動作したときの騒音を分析すると、図11に示すような分析結果が得られた。図11上側は時間軸上で採取した音を表現したものであり、図11下側は周波数軸上で採取した音を表現したものである。この結果から、7つの主要な音源を抽出した。まず、時間軸上で定着ユニット46の定着オイル塗布衝撃音を抽出した。そして、周波数軸上では、カラー現像駆動系音、給紙ステッピングモータ音、帯電音、ドラム駆動ステッピングモータ音、ポリゴンミラーモータ音、用紙摺動音を抽出した。
【0140】
次に、「カラーモード▲2▼」、つまり印刷速度が14ppmで動作したときの騒音を分析すると、図12に示すような分析結果が得られた。図12上側は時間軸上で採取した音を表現したものであり、図12下側は周波数軸上で採取した音を表現したものである。この結果から、主要な音源として、時間軸上では定着オイル塗布衝撃音を抽出し、周波数軸上では給紙ステッピングモータ音、帯電音、ドラム駆動モータ音、ポリゴンミラーモータ音、用紙摺動音を抽出した。
【0141】
次に、「モノクロモード」、つまり印刷速度38ppmで動作したときの騒音を分析すると、図13に示すような分析結果が得られた。図13上側は時間軸上で採取した音を表したものであり、図13下側は周波数軸上で採取した音を表したものである。この結果から、主要な音源として、時間軸上では定着オイル塗布衝撃音を抽出し、周波数軸上では、現像駆動系音、帯電音、ドラム駆動ステッピングモータ音、用紙摺動音を抽出した。
【0142】
(3)採取した動作音から供試音の作成
次に、上述したように機器前面側の位置で採取した音をヘッドアコースティックス社製の音質解析ソフトウェアである「ArtemiS」を利用し、採取した音の加工を行った。
【0143】
本実験において行った音の加工方法としては、採取した原音から印刷動作1サイクル期間中の音を切り出した。そして、1サイクル期間中の音のうち、上述したように抽出した主要音源に関する部分に対して周波数軸上または時間軸上でフィルタ処理を施し、これらの部分を減衰または強調する処理を行った。すなわち、1つのモードで抽出された音源の音につき3つの水準の音(強調・原音・減衰)を作成した。
【0144】
なお、上述したように画像形成装置の前後左右側で採取される音は各々異なるが、このような4方向の音から得られる心理音響パラメータ値の範囲よりも、本実験で作成した前面側で採取した音を強調、減衰して得られる3つの供試音から得られる心理音響パラメータ値の範囲の方が広いことが確認されている。すなわち、本実験のように前面側で採取した音を強調、減衰して得られる3つの音を用いて主観的評価実験を行うことで、4方向で採取した音から得られる音の特性をカバーする音質評価式が得られることになり、当該音質評価式により4方向における不快さを算出することもできる。
【0145】
以上のように前面側で採取した音を元に、3つの動作モードごとに抽出した主要音源の発する音から3つの水準の音(強調、原音、減衰)を作成すると、各モードについて抽出した音源の水準が異なる組み合わせをL9直行表に基づいて9音作成した。主観的評価実験では、総当りの比較実験を行う必要があるので、9音の場合、72通りの比較実験を行うことになる。
【0146】
ここで、表2は「カラーモード▲1▼」、つまり印刷速度28ppmで動作したときに採取された音から抽出された主要音源(7つ)について作成した3水準の音を、L9直行表に基づいて割り付けて9つの供試音を作成した結果を示す。このように直行表に割り付けるとこで、各因子(音源の水準変化)間に相関がないため、他の因子の変化を無視して分析が可能となる。
【表2】
Figure 0004018527
かかる表(以下の表も同様)において、「−1」は音をほぼ聞こえなくなるまで減衰して作成した音であり、「0」は原音そのままのレベルの音であり、「1」は原音と比較してレベルの違いがはっきりとわかるまで強調した音である。例えば、表2における供試音「カラー28ppm▲9▼」は、すべての音源について「0」がついているので、すべてが原音のままであることを示す。
【0147】
なお、表2においては、後述する比較法実験により得られた各供試音の主観的評価値を併記している。
【0148】
次に、表3は「カラーモード▲2▼」、つまり印刷速度14ppmで動作したときに採取された音から抽出された主要音源(6つ)について作成した3水準の音を、L9直行表に基づいて割り付けた結果を示す。ただし、帯電音、ドラム駆動ステッピングモータ音、ポリゴンミラーモータ音は、同じトーナリティ成分の音であるため、各々の供試音について同水準のレベルとした。給紙ステッピングモータ音もトーナリティ成分であるが、これについては間欠的に発生する音であるため、上記のモータ音とは個別に水準を振ることとした。
【表3】
Figure 0004018527
また、表4は「モノクロモード」、つまり印刷速度38ppmで動作したときに採取された音から抽出された主要音源(5つ)について作成した3水準の音を、L9直行表に基づいて割り付けた結果を示す。ただし、帯電音およびドラム駆動ステッピングモータ音は同じトーナリティ成分の音であるため、各々の供試音について同水準のレベルとした。
【表4】
Figure 0004018527
また、本実験においては、上記3つのモードを混合したときに前面で採取された音から得られる、心理音響パラメータであるラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値およびインパルシブネス値から3つの水準の音(強調、原音、減衰)を作成し、これらの音をL9直行表に基づいて割り付けて供試音を作成した。その結果を表5に示す。
【表5】
Figure 0004018527
なお、ラウドネス値の割り付けについては、「モノクロモード」印刷速度38ppmについては強調したものを、「カラーモード▲1▼」印刷速度28ppmについては中間のものを、「カラーモード▲2▼」印刷速度14ppmについては減衰したものをそれぞれ割り付けることとした。すなわち、印刷速度に応じてラウドネスの各水準値を割り付けた。また、表中のかっこ内の数値は、各々のパラメータ値を示している。本実験では印刷速度(ppm)がどのような影響を与えるか、つまり印刷速度の効果についても確認を行うため、印刷速度とラウドネス値が完全に比例して変化するようではその効果を分析できない。したがって、表5に示すように、ラウドネス値は同じ水準であっても1(sone)程度の差をつけ、聞こえの大きさの違いがでるようにした。
以上が採取した動作音から供試音を作成する過程の詳細である。
【0149】
(4)供試音の心理音響パラメータの測定
次に、上述したように作成した供試音について、上記ヘッドアコースティックス社製の音質解析ソフトウェア「ArtemiS」を用い心理音響パラメータを求めた。この音質解析ソフトウェアでは、心理音響パラメータを求める際に、様々な設定を選択することができるのであるが、今回の実験ではデフォルトの設定を採用した。
【0150】
例えば、ラウドネスについては、「Caluculation method」として「FFT/ISO0532」、「Filter/ISO0532」および「FFT/HEAD」が選択できるが、デフォルトの「FFT/ISO0532」を採用し、「Spectrum Size」はデフォルトの「4096」で行った。シャープネスについては、「Caluculation method」はデフォルトの「FFT/ISO532」を採用し、「Sharpness method」は、「Aures」,「von Bismarck」のうち、デフォルトの「Aures」を採用した。「Spectrum Size」はデフォルトの「4096」で行なった。他の心理音響パラメータはラウドネスと相関があり、ラウドネスの設定によって自動的に変化する。
【0151】
以上のように設定した音質解析ソフトウェアを用い、上記(3)の過程で作成した供試音の心理音響パラメータ値を求めた。その結果を表6に示す。
【表6】
Figure 0004018527
【0152】
(5)供試音による一対比較法実験
次に、上記のように作成した供試音を評価してもらう被験者を集め、被験者に各モードごと(「カラーモード▲1▼」、「カラーモード▲2▼」、「モノクロモード」および「混合モード」)に作成した供試音▲1▼〜▲9▼を一対比較してどちらが不快であるかを判定させた。
【0153】
かかる比較実験の際、9つの供試音から2つの供試音のすべての組み合わせを抽出し、N人の被験者が組み合わせのすべてを比較する。すなわち、1つのモードで9つの供試音があるわけであるから、72通りの組み合わせがあり、これらについて被験者に比較をさせる。したがって、供試音▲1▼と供試音▲2▼という組み合わせについての評価と、供試音▲2▼と供試音▲1▼という組み合わせについての評価は別であり、このように聞く順序が異なる組み合わせについても実験対象となる。
【0154】
そして、この比較では、例えば供試音▲1▼と供試音▲2▼とを比較し、その被験者が供試音▲1▼を不快と評価した場合には「1点」、供試音▲2▼が不快であった場合には「−1点」とし、結果を集計して統計処理を行った結果、9つの供試音に対して−1〜1の範囲で相対的な主観評価値を得た。なお、かかる主観評価値は表2〜表5に併記している。上記のような評価を行っているので、この主観評価値は大きい方が不快であることを意味する。
【0155】
ここで、9つの供試音のすべての組み合わせの対について、比較順序が異なる場合も含めて比較実験を行うことが好ましいが、実験回数を減らすために供試音から得られる心理音響パラメータの重要性等を考慮して抽出した重要な供試音対についてのみ比較実験を行うようにしてもよい。
【0156】
なお、上述した一対比較法実験では、一対比較による評価をどちらが不快であるかを選択するものとし、同程度の不快さという判断をしないことを条件としている。そして、このような実験データを用いて後述する音質評価式を求めるようにしているが、シェッフェの方法とその改良方法(芳賀変法、浦変法、中屋変法)については累積ロジスティック回帰モデルを使用し、またブラドレー・テリー法では以下に説明する音質評価式を使用し、あらゆる一対比較法の実験データについても適用することができる。
【0157】
(6)不快音源の特定
次に、不快音源の特定を、「カラーモード▲1▼」、「カラーモード▲2▼」および「モノクロモード」の3つのモードについて実施した実験結果ごとに行った。ここで、図14〜図28は、表2〜表4に示される各音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係をグラフに示したものである。このグラフにおいては、縦軸は主観評価値αであり、上にいくほど不快であることを意味する。グラフの横軸は音源の水準、つまり音圧レベル水準であり、「−1」は音源を減衰、「0」は原音のまま、「+1」は音源を強調したものである。
【0158】
また、各図中の「R2」は寄与率であり、「R」は相関関数である。ここで、寄与率とは、不快さに対してその音源が何パーセント寄与しているかを示すものである。図14に示す結果の場合、定着オイル塗布衝撃音が不快さに51%寄与していることを示す。すなわち、音源のレベル変化と、主観評価値(不快さ)の変化の相関が高ければ、寄与率は大きくなるのである。なお、1つのモードにおける各音源の寄与率の合計は100%になるが、四捨五入等の関係で正確に100%になっていないものもある。
【0159】
図14〜図20に示される「カラーモード▲1▼」の各音源の寄与率を参照すると、カラー現像駆動音系、給紙ステッピングモータ音、帯電音、ポリゴンミラーモータ音はほとんど不快さに寄与していないことがわかる。しかし、後の分析により、給紙ステッピングモータ音、帯電音、ポリゴンミラーモータ音の3音源はトーナリティ(純音)成分と関係が強く、実際には不快だが、純音の周波数が近い場合は同時に対策しないとあまり不快さが改善されないことがわかった。したがって、他のモードでは、これらの音源については各供試音で同一水準とすることにした(上記(3)の過程および表3、表4参照)。このため、音源のうち、カラー現像駆動音のみが不快さにほとんど寄与していないので騒音対策の必要がないと考えられる。ただし、音響パワーレベルによる評価では改善が必要な場合もある。
【0160】
一方、「カラーモード▲1▼」において最も不快さに寄与しているのは、定着オイル塗布衝撃音であり、その次に寄与しているのは用紙摺動音である。
【0161】
図21〜図24に示される「カラーモード▲2▼」の不快音源分析結果によると、定着オイル塗布衝撃音43%、用紙摺動音35%、給紙ステッピングモータ音17%、帯電音、ポリゴンミラーモータ音およびドラム駆動モータ音の3音源の合計が3%であった。
【0162】
図25〜図28に示される「モノクロモード」の不快音源分析結果によると、定着オイル塗布衝撃音43%、用紙摺動音35%、帯電音とドラム駆動モータ音の合計が10%、現像駆動音系は3%であった。
【0163】
以上のような分析結果からは、現像駆動系の音以外の音源は不快さに寄与しており、これらの音源について騒音対策を施せば不快さを軽減させることができることがわかる。
【0164】
(7)差モデルの分析データ作成
次に、上記(5)の一対比較法実験により取得した実験結果を用い、2音を比較したときにそれぞれの音を不快に感じる確率を求める。より具体的には、A音(先に提示した音)と、B音(後に提示した音)を比較し、不快に感じた音の人数を全被験者数で割った値を算出する。例えば、被験者が40人であった場合において、A音(先提示音)とB音(後提示音)を比較して、A音が不快であると判断した人が30人、B音が不快であると判断した人が10人であるとすると、このときのA音およびB音を不快に感じる確率をそれぞれ以下のように求める。A音不快確率=30/40、B音不快確率=10/40
【0165】
このように求めた不快確率は、2つの音の物理量(心理音響パラメータ等)の差に基づいて、次の(8)の過程で行われる2つの音の不快確率の差を予測するモデルの作成に用いられる。また、当該予測モデルの作成に用いられる、物理量(心理音響パラメータ)の差、つまり対比した供試音と供試音の心理音響パラメータ値(表6参照)の差とを、すべての供試音の組み合わせ(1モードあたり72通り、4つのモードがあるため288通り)を算出する。
【0166】
以上のように算出した評点の差と心理音響パラメータ値との差の結果(差モデルの分析データ)の一部を表7に示す。かかる表7は「カラーモード▲1▼」の供試音についての結果の一部(供試音▲1▼と供試音▲2▼〜▲9▼の比較結果)である。
【表7】
Figure 0004018527
(8)2音の不快確率を予測する式を導出
【0167】
次に、上述した(7)の過程において求めた2音の不快確率と、音の物理量(心理音響パラメータ)の差とを用い、多重ロジスティック回帰分析を行った。
【0168】
多重ロジスティック回帰分析は、統計解析ソフトウェア「JMP (SAS Institute Inc の登録商標)」または「SPSS (SPSS Incの登録商標)」等を利用して行なうことができる。上記表7のデータ(不快確率および心理音響パラメータ値の差等)を、「JMP 」に入力し、説明変数(心理音響パラメータ値の差)を選択しながら分析を実行することにより、ロジスティック回帰係数や選択した説明係数のP値や式の寄与率等の統計的な結果がアウトプットされる。ここで、P値は有意差検定の確率のことであり、5%以下で有意、5%以上で有意でない(関係ない)と判断する。
【0169】
今回は、評点の差のモデルであるので、切片を0に固定し、統計解析ソフト『JMPバージョン4J』によって有意な心理音響パラメータを選択した。変数選択の結果、ラウドネス,シャープネス,トーナリティ,インパルシブネスが選択された。変数として選択した4つの心理音響パラメータの偏回帰係数(重回帰分析時の回帰係数)を表8に示す。
【表8】
Figure 0004018527
なお、上記表8に示すように、回帰分析結果としては、選択した4つのパラメータの偏回帰係数に加え、95%以上の信頼性をもつ偏回帰係数の上限値および下限値(つまり、95%以上の信頼性をもつ偏回帰係数の範囲)も含まれている。これらの上限値および下限値は、偏回帰係数の推定値に、それぞれ対応する標準偏差の約2倍の値(2σ)を±したものである。偏回帰係数の値はいずれも正であるため、パラメータ値の差が正方向に大きくなればなるほど、不快さの差も大きくなることがわかる。
【0170】
上記の多重ロジスティック回帰分析の結果を用い、上記(f)式のexp内が以下の−zとなるモデル式を作成した。
【数4】
Figure 0004018527
Figure 0004018527
以上のようにして2つの音の心理音響パラメータ値を代入することにより、2音を比較した時の不快確率を算出できる非線形式が導出できた。
【0171】
ここで、図29に一対の2音を比較したときの不快確率の実測値と、上記モデル式を用いて導出した予測値との散布図を示す。図示のように、不快さの寄与率も92%と高く、このモデル式の信頼性が高いことがわかる。
【0172】
(9)不快確率を予測する音質評価式の導出
上記のように導出したモデルでは、2音を比較したときの不快確率を予測することができるが、音質評価において最終的に必要となるのは単独の音の不快確率である。そこで、以下のようにして、上記2音を比較したときの不快確率を予測するモデルから、取り出したある1つの音に対して母集団の中での相対的な不快確率を求めることができる音質評価式を導出した。
【0173】
まず、上記(f)式の(g)に、各心理音響パラメータとして実験に使用した以下のような各供試音の平均値を代入して、そのときの不快確率p=0.5、つまり各パラメータ値が平均的である場合の音を、母集団のその他の音と比較した場合の不快確率を50%と定義した。
【0174】
各心理音響パラメータ値の平均値を代入するから、
xラウドネス0=7.067804
xシャープネス0=2.27953527947254
xトーナリティ0=0.115442108655561
xインパルシブネス0=0.606150659026989
であり、よって、
0.5=1/{1+exp(-[+0.80742768(ラウドネス値i−7.067804)
+1.38073296(シャープネス値i−2.27953527947254)
+9.04860954(トーナリティ値i−0.115442108655561)
+5.59160971(インパルシブネス値i−0.606150659026989)]}
となる。
【0175】
ここで、expの中身をzとすると、
0.5=1/1+exp(-z)
0.5×{1+exp(-z))}=1
0.5×exp(-z)=0.5
exp(-z)=1
【0176】
そして、両辺に対数をとると、
ln{exp(-z)}=ln1=0
-z=0
z=0
よって、
z=0=[+0.80742768(ラウドネス値i−7.067804)+1.38073296(シャープネス値i−2.27953527947254)+9.04860954(トーナリティ値i−0.115442108655561)+5.59160971(インパルシブネス値i−0.606150659026989)]
となる。よって、
z=+0.80742768×ラウドネス値i+1.38073296×シャープネス値i+9.04860954×トーナリティ値i+5.59160971×インパルシブネス値i-13.28811895
となる。したがって、単独の供試音に対して、不快に感じる確率を予測するモデル式(d)に変換できる。
不快確率P=1/(1+exp(−z))
z=+0.80742768×(ラウドネス)+1.38073296×(シャープネス)+9.04860954×(トーナリティ)+5.59160971×(インパルシブネス)−13.28811895
・・・・・・・・・・・・・・・(d)
【0177】
このように導出した(d)式を不快確率Pを予測する音質評価式として用いることができる。
【0178】
今回は、全データの平均値を基準値に使ったが、環境変化により基準値を変更することが可能である。また、改良前の画像形成装置の音から得られる心理音響パラメータ値を基準値として、改良後の画像形成装置の発する音の不快確率を算出することも可能である。
【0179】
以上のようにして導出された上記(d)式は、平均値からのずれによる優劣の確率の変化を推定するものであり、音の物理量の平均値を入力した場合の確率は0.5として計算している。この確率が大きくなるにつれて不快さが増すことになる。この音質評価式を用いることで確率Pが所定の確率以下になる心理音響パラメータの条件を求めることができる。
【0180】
また、上記(d)式から、各心理音響パラメータに対応する音の要素を低減すれば、つまり▲1▼聞こえの大きさを小さくする(ラウドネス)、▲2▼高周波成分を少なくする(シャープネス)、▲3▼純音成分を少なくする(トーナリティ)、▲4▼衝撃音を小さくする(インパルシブネス)、ことにより不快さを低減させることができることがわかる。
【0181】
なお、上記(8)で説明したように、表8に示す回帰分析結果として取得した95%以上の信頼性をもつ偏回帰係数の範囲とするので、切片の範囲もそれぞれの偏回帰係数の上限値と下限値とを代入して得られる値となる(下限値代入時切片は-12.47284396、上限値代入時切片は-14.10339529)。
【0182】
この範囲内で係数および切片が取りうるとして上記(d)式を変形すると、以下の式(a)が得られる。
不快確率P=1/(1+exp(−z))
z= A×(ラウドネス値)+B×(シャープネス値)+C×(トーナリティ値)+D×(インパルシブネス値)+E
0.76545285≦A≦ 0.84940259
1.27685159≦B≦ 1.48461447
8.11323413≦C≦ 9.98398583
5.30484579≦D≦ 5.87837423
-14.10339529≦E≦ -12.47284396
‥‥(a)
【0183】
かかる(a)式を不快確率Pを予測する音質評価式として用いることができる。
【0184】
また、表8に示す結果に基づいて上記(a)式は回帰係数のとり得る値に幅を持たせたものであるが、表8に示す回帰係数の推定値を固定した場合(つまり各心理音響パラメータに乗算する係数を固定した場合)、zに±2σを加えたものが、95%の信頼区間の範囲を示すものとなる。ここで、σは誤差の標準偏差である。
【0185】
zの標準誤差はを求め方は、まず実測した不快さの確率pを用い、上記(7)式によりzを導出する一方で、統計解析ソフトウェア「JMP (SAS Institute Inc の登録商標)」等を用いてzの予測値を導出する。そして、実測値から求められたzと、予測値のzとの関係を散布図にプロットし、上記統計解析ソフトウェアを用いて、その差(誤差)の標準偏差を求めることができる。
【0186】
このような作業を行った結果、誤差の標準偏差σ=0.721307が得られた。
【0187】
よって、この誤差の範囲を含んだ式は、以下の(c)式のようになる。
不快確率P=1/(1+exp(−z±2σ))
z=+0.80742768×(ラウドネス)+1.38073296×(シャープネス)+9.04860954×(トーナリティ)+5.59160971×(インパルシブネス)−13.28811895
σ=0.721307
‥‥(c)
【0188】
上記(c)式を不快確率Pを予測する音質評価式として用いることもできる。また、上述したように求めた誤差の標準偏差σを用い、以下のような式によって不快確率を求めることも考えられる。
不快確率P=1/(1+exp(−z))±2σ
【0189】
しかしながら、この式を用いて不快確率を導出した場合、導出される不快確率Pの範囲が0〜1までの範囲を超えてしまうことがあり、不快確率を予測する式としては不適当である。
【0190】
(10)導出した音質評価式の検証
次に、上記のように導出した不快確率Pの予測式(音質評価式)の予測精度を検証することとした。
【0191】
この検証としては、不快確率Pの実測値と、上記音質評価式(d)を用いて導出した予測値とを比較することにより行った。不快確率Pの実測値は各動作モードごとに実際に実験を行わなくては求まらないため、上記4つのモード「カラーモード▲1▼」、「カラーモード▲2▼」、「モノクロモード」、「混合モード」)ごとに実験を行って不快確率の実測値を求めるとともに、これらに対応する予測値を音質評価式を用いて導出することとした。
【0192】
不快確率の実測値としては、各供試音の不快指数の和を全体の評価数で割った値を用いる。より具体的には、「カラーモード▲1▼」の供試音に関する実験においては、不快確率の分母は以下の値となる。実験を35人で実施した場合、各供試音については9音の各々について、他の8音と比較するので、
8音×2(比較順序の入れ替え)×35人=560人となる。
【0193】
一方、分子は、例えば「カラーモード▲1▼」の供試音▲1▼を例にとって説明すると、他の供試音▲2▼〜▲9▼と比較した際(順序逆も含む)に供試音▲1▼を不快と判断した人数が、それぞれ10人、20人、20人、19人、19人、50人、5人、5人であれば、その和148人が分子となる。
【0194】
よって、この場合「カラーモード▲1▼」の供試音▲1▼の不快確率の実測値は48/560=0.26となる。
【0195】
以上のような手順で4つのモードのそれぞれの供試音ごとに不快確率の実測値を求めるとともに、音の物理量(心理音響パラメータ)を上記音質評価式(d)に代入することで予測値を得る。このようにして、各モードの各供試音についての実測不快確率と予測確率とを求めることができ、その結果を表9に示す。
【表9】
Figure 0004018527
そして、この結果をプロットしたグラフを図30に示す。同図に示すように、このグラフの傾きはほぼ1であり、寄与率も高い。したがって、4つの実験、つまり4つのモードのいずれであっても実験上記式(d)によって導出される評点の予測値の精度が高いと考えられる。
【0196】
なお、検証のための予測値の導出にあたっては、実験ごと(モードごと)の心理音響パラメータの平均値から切片(=E)を求め、それを切片とした(d)式を若干変形した式をモードごとに導出し、導出した式を用いて予測値を求めることとした。このような調整を行ったのは、各実験による実測値と予測値とを比較して、当該予測値の精度を検証する必要があったからであるが、検証を行わない場合にはこのような調整を行うことなく、上記(d)式を音質評価式として用いることができる。表10に参考のために、その調整値を示す。「全体平均との差」の値を各モードの平均値を代入して求めた切片の値に加算すると、上記式(d)と同様の式となる。
【表10】
Figure 0004018527
さて、上述した検証で明らかなように、音質評価式(d)によって求められる予測確率の精度が高いと考えられるが、このように得られた不快確率Pがどのくらいの値になると人が不快と感じるかが重要である。そこで、これを確認するため次のような実験を行った。すなわち、被験者に供試音▲1▼〜▲9▼をすべて聞いてもらった後、再び1音づつ聞いてもらい、各々の供試音について不快さを3段階評価するという実験を行い、表11、表12、表13に示す結果を得た。なお、表11は「カラーモード▲1▼」の供試音についての実験結果、表12は「カラーモード▲2▼」についての実験結果、表13は「モノクロモード」についての実験結果である。
【表11】
Figure 0004018527
【表12】
Figure 0004018527
【表13】
Figure 0004018527
なお、表中「A」は許容できる音、「C」は許容できない音、「B」はその中間ぐらいの音という評価である。そして、「A」と評価された音の予測不快確率(式(d)に算出された値)のうち、最も大きな値を許容値とすると、各モードのppmおよび画像形成速度(mm/s)ごとの許容値は表14に示すようになる。
【表14】
Figure 0004018527
図31は表14に示される結果に基づき、ppm値と許容値との関係を近似させたグラフである。かかる近似式は、
P≦0.3383Ln(ppm)−0.8103‥‥(b)
である。
【0197】
また、図32は表14に示される結果に基づき、画像形成速度(mm/s)と許容値との関係を近似させたグラフである。かかる近似式は、
P≦0.3201Ln(mm/s)−1.2402‥‥(e)
である。
【0198】
以上のように上記式(d)、(c)または(a)式を利用することで、実際に主観的な評価実験を行うことなく、音の物理量から取得できる心理音響パラメータ値等を取得するだけで人が不快と感じる不快確率Pを求めることができる。そして、上述した条件式(b)(d)により、画像形成速度(mm/sやppm)が異なる複数の動作モードを有する機器であっても、各モードごとに求めた不快確率Pがどのような値であれば不快さを感じさせないかを判断することができる。
【0199】
以上が画像形成装置が発する音の質を評価する方法、および当該音質評価に用いる音質評価式の導出方法である。
【0200】
C.改造方法
上述したように本発明は、上記のような画像形成装置が発する騒音を評価し、その評価に基づき当該騒音が人に与える不快感を低減するための対策をなす改造方法であり、以下、上記構成の画像形成装置を改造し、画像形成装置が発する音が人に不快感を与えることを低減するための対策の具体例について説明する。
【0201】
まず、画像形成装置が発する音を評価するため、上述した(1)と同様の手法で画像形成装置が発する音を採取する。ここで、採取位置は、ISO7779に規定されている近在者位置(図11照)であり、基準箱の水平面の投影から1.00±0.03mの距離で、高さは床上1.2±0.03mまたは1.50±0.03mの位置である。
【0202】
また、図10に示すように、操作部のある前面、左右面および後面といった4面側すべてについて音の採取を行い、各々の収音結果から心理音響パラメータを取得して不快確率Pを上記音質評価式により求め、各面ごとの不快確率Pが許容値内か否かを判定するようにしてもよいし、前面のみ、あるいはいずれか1の面側のみで採取した収音結果から不快確率Pを求めて判定を行うようにしてもよい。また、4面側で採取した音から得られた心理音響パラメータ値の平均値を導出し、かかる平均値から求めた不快確率Pが許容値内か否かを判定するようにしてもよい。
【0203】
なお、4面側のいずれに位置する人が不快さを感じないようにさせるためには4面側すべての位置で音を採取することが好ましいが、1面のみ、特に最も人が位置する可能性が高い前面側での音を採取することでも十分な評価ができる。
【0204】
以上のようにして求めた不快確率Pが上述した許容値を超える場合には、人が不快であると感じているおそれが非常に高いので、かかる不快確率Pが許容値以下となるよう装置各部に種々の改造を施す。一方、不快確率Pが許容値以下である場合には、人が不快に感じるおそれは少なく、特に騒音対策を施す必要はないと判断することができる。
【0205】
上述したように不快確率Pは、聞こえの大きさを小さくする(ラウドネス)、高周波成分を少なくする(シャープネス)、純音成分を少なくする(トーナリティ)、衝撃音を小さくする(インパルシブネス)といった対策を施すことにより小さくすることができ、これを小さくすることで人に与える不快さを低減できることになる。よって、以下においては、上記の心理音響パラメータを低減させるための具体的な対策例について説明する。
【0206】
(1)トーナリティ(純音成分)の低減対策
(1−1)ドラム駆動ステッピングモータ音の低減
まず、トーナリティの低減対策例について説明する。トーナリティの低減対策としては、ドラム駆動ステッピングモータ音を低減する方法がある。図11、図12および図13に示すように、いずれの動作モードにおいてもドラム駆動モータの音が発生している。そして、この音はステッピングモータへの入力パルスの周波数成分を多く含むものである。
【0207】
図33および図34は改造前のカラードラム駆動モータ41と黒ドラム駆動モータ42とを含むドラム駆動機構を示す図である。これらの図に示すように、カラードラム駆動モータ41、黒ドラム駆動モータ42、ギヤ43,44はモータブラケット59によって保持されている。
【0208】
モータブラケット59は、板金を絞り加工等で強度を持たせた部材である。そして、曲げ加工により当該画像形成装置の筐体取り付け部(ねじ穴等)が形成されており、モータブラケット59はこの取り付け部において筐体に固定されている。
【0209】
モータブラケット59には、並んで配置される4つのギヤ44が回転可能に保持されている。これらのギヤ44のうち、図33の最も右側のギヤ44と黒ドラム駆動モータ42のモータ軸に取り付けられたギヤ61とが歯合されている。これにより黒ドラム駆動モータ42によってギヤ44が回転させられ、これに伴ってモノクロ画像形成用の感光体ドラム28(図3参照)が回転させられるようになっている。
【0210】
また、上記のギヤ44以外の3つのギヤ44のうち図32の左側の2つのギヤ44は、カラードラム駆動モータ41のモータ軸62によって回転させられる。また、左から2番目のギヤ44と3番目のギヤ44とはともに中継ギヤ43に歯合されており、これにより2番目のギヤ44の回転に伴って3番目のギヤ44が回転させられる。つまり、カラードラム駆動モータ41の回転に伴って3つのギヤ44が回転させられ、これによりC用、M用、Y用の感光体ドラム28(図3参照)が同時に回転させられるようになっている。
【0211】
以上のような感光体ドラムを駆動するためのギヤはモジュール0.5でギヤの軸間距離を設計値に正確にあわせることができるよう、モータの取り付けに対して特殊な防振構造等を採用していない。つまり、黒ドラム駆動モータ42およびカラードラム駆動モータ41は直接モータブラケット59に取り付けられて固定されている。
【0212】
このようにモータをモータブラケット59に直接取り付けることによって動作時のモータの振動がモータブラケット59に固体伝搬し、増幅されて放射される。これに起因して発せられる音は、ドラム駆動モータであるステッピングモータの駆動周波数成分を多く含む音である。
【0213】
このようなステッピングモータの駆動周波数成分が顕著な音の発生を低減するため、図35に示すように、カラードラム駆動モータ41および黒ドラム駆動モータ42を防振ゴムマウント60を介してモータブラケット65に取り付けるようにする。すなわち、この防振ゴムマウント60は、上記のように発生する音を低減させる低減手段となる。
【0214】
防振ゴムマウント60としては、例えば株式会社NOK製のステッピングモータマウントを使用することができ、後述する騒音対策による効果を試す試験においては当該ステッピングモータマウントを使用している。
【0215】
モータブラケット65とドラム駆動モータとの間に防振ゴムマウント60を介在させたドラム駆動機構について図36および図37を参照しながら説明する。防振ゴムマウント60をドラム駆動モータとモータブラケット65の間に介在させると、各ギヤの軸間距離の精度が悪化する。このため、このドラム駆動機構では、モータ軸を直接ギヤに歯合させるのではなく、モータ軸からタイミングベルト機構を介してギヤ44等に駆動力を伝達する構成とした。
【0216】
より具体的には、カラードラム駆動モータ41および黒ドラム駆動モータ42のモータ軸にはそれぞれタイミングプーリ66,67を取り付け、かかるタイミングプーリ66,67に巻きかけられたタイミングベルト70によって2段ギヤ/プーリ63,64にモータの駆動力を伝達する。つまり、モータ軸の回転に伴って2段ギヤ/プーリ63,64を回転させる。
【0217】
かかる2段ギヤ/プーリのギヤは上述したドラム駆動用のギヤ44に歯合されている。これにより上記改造前の構成と同様、ドラム駆動モータの回転に伴ってギヤ44を回転させることができ、感光体ドラム28(図3参照)を回転させることができる。
【0218】
モータブラケット65は、モータを保持する部分(図37の下側の部分)がその上の部分よりもモータと反対側に突出するよう曲げ加工がなされている。かかる突出部分にできた空間に防振ゴムマウント60がモータブラケット65と接するよう配置され、防振ゴムマウント60のモータブラケット65と反対側にモータ(41,42)がそのモータ軸がモータブラケット65の反対側(図37の左側)の面に突出するよう配置される。このようにモータブラケット65とモータとを直接保持する構造とせず、防振ゴムマウント60を介在させて保持する構造としている。
【0219】
本構成では、2段ギヤ/プーリ63,64がモータブラケット65の図37の左側(ギヤ44が配置される側)に配置されるので、モータ軸はその分だけ図37の左側の位置まで突出させる必要がある。しかしながら、上記のようにモータブラケット65に突出部分を作ることで、モータの配置位置そのものを図37の左側にすることでき、これによりモータ軸を長くする必要がなくなる。よって、モータ軸を長くすることで生じるおそれのあるモータ軸の偏心やそれに起因した騒音発生等を抑制することができる。
【0220】
なお、本構成においては、2段ギヤ/プーリ63,64を取り付けるためのスタッド69の強度を大きくすることが好ましい。スタッド69の強度が不足している場合には、ギヤ44と2段ギヤ/プーリとが偏心しながら噛み合うこととなり、ベアリング70を介してドラム軸68も偏心することになる。ドラム軸68の偏心は用紙に形成される画像に影響を与えることがあり、かかる不具合を起こさないため、スタッド69の強度を大きくする必要があるからである。
【0221】
また、上述した防振ゴムマウント以外にも、モータの振動をある程度吸収することができる弾性体を用いるようにしてもよい。
以上がドラム駆動ステッピングモータ音の低減対策である。
【0222】
(1−2)給紙用ステッピングモータ音の低減
次に、給紙用のステッピングモータ音の低減対策について説明する。上述したように上記画像形成装置の給紙機構系の駆動モータは、ステッピングモータ56であり(図8参照)、かかるステッピングモータの駆動を制御することでトレーからの用紙搬送を行うようになっている。このモータ音の低減対策としては、ステッピングモータ56の駆動制御内容を以下のようにする方法があり、以下その制御内容について説明する。
【0223】
図38は、ステップ角θ0で駆動されるステッピングモータのロータの動きを説明するための図である。ステッピングモータのステップ角は機械構造的に決められるものであり、通常はかかるステップ角θづつロータが一度に移動するのでかかるステップ角θが大きい場合にはその動きが滑らかではなく、振動等が生じこれが騒音の原因となる。
【0224】
そこで、本構成では、図示のように電子回路による制御によって機械的構造によってきめられているステップ角θよりも小さいステップ角でステッピングモータを駆動する、いわゆるマイクロステップ駆動を行うようにする。すなわち、励磁相の1相に供給する電流値を徐々に増加させる一方で、他の1相へ供給する電流値を徐々に低下させるといった電流供給制御を行うことで(図38の▲1▼〜▲5▼参照)、ステップ角θよりも小さいステップ角での駆動を可能とし、その動きを滑らかにして騒音を低減しようというのである。
【0225】
また、図39は、ステッピングモータのマイクロステップ駆動の1つである1−2相励磁のシーケンスを示す図である。1−2相励磁は、コイルを1相づつ励磁する1相励磁とコイルを2相づつ励磁する2相励磁を交互に繰り返す励磁方式であり、この励磁方式を用いてステッピングモータを駆動した場合、モータのステップ角が1/2となり、通常の駆動を行うよりもロータの動きが滑らかになり、振動を低減することができる。
【0226】
(1−3)ポリゴンミラーモータ音の低減
次に、ポリゴンミラーモータが発する音を低減するための対策について図40を参照しながら説明する。同図に示すように、この対策では、ポリゴンミラーモータ2の近傍にヘルムホルツ共鳴器71を取り付けている。より具体的には、ポリゴンミラーモータ2を保持するハウジング11の上部にヘルムホルツ共鳴器71を取り付けている。
【0227】
ヘルムホルツ共鳴器71は、体積V1の空洞72を形成するための空洞形成部材72aを有している。空洞形成部材72aはハウジング11と一体になって形成されており、そのポリゴンミラーモータに対向する位置にある部分には空洞72に通じる開口穴73(断面積Sb)が形成されている。ここで、開口穴73が形成された部分の板厚がTbであるとすると、かかる開口穴73は一般的なヘルムホルツ共鳴器における、長さTb、開口面積Sbの短管に相当することになり、この構造体はヘルムホルツ共鳴器71として機能するのである。
【0228】
この構成の下、ポリゴンミラーモータ2が駆動され、その振動によって開口穴73の入り口に音圧が作用すると、開口穴73(短管)内の空気(媒質)が一体運動を行い、空洞72内の空気に圧力変化を生じさせる。このような現象は、開口穴73(短管)内の空気を質点、空洞72内の空気の体積変化による圧力変化をバネと仮定すると、力学系の質点−バネモデルと等価となり、後述する周波数(ヘルムホルツ共鳴周波数)に対して共振(共鳴)が生じることとなる。つまり、このヘルムホルツ共鳴周波数の音響エネルギーが空洞72に閉じ込められるので外部空間にとっては音が低減されることになるのである。
【0229】
ここで、ヘルムホルツ共鳴周波数Fh(Hz)は次式により算出される。
Fh=C/2π(Sb/(V1・Tb))1/2
C:音速
【0230】
すなわち、開口穴73の開口面積Sb、長さTb(つまりハウジング11の開口穴73が設けられる部分の板厚)、空洞形成部材72aによって形成される空洞72の体積V1を変化させることによって共鳴周波数Fh、つまり低減させたい音の周波数を変化させることができる。そこで、ポリゴンミラーモータ2を駆動したときに発生する音のうち最もレベルが大きくなる周波数に合致するよう上記各部の寸法等の設計を行うようにすれば、ポリゴンミラーモータ2の発する音を効果的に低減させることができる。
【0231】
なお、上述した騒音測定結果からは(図11〜図13参照)、カラーモード時にはポリゴンミラーモータ音が騒音として抽出されるものの、モノクロモード時には当該音はあまり騒音としては目立ったものとなっていない。このような場合には上記のようにカラーモード時にポリゴンミラーモータが発する音のうち、最もレベルが大きくなる周波数にヘルムホルツ共鳴周波数が合致するよう各部の寸法等を決定すればよい。一方、モノクロモード時に他の周波数のレベルが大きいような場合には、この周波数が共鳴周波数となるようなヘルムホルツ共鳴器を別途設けるようにすればよい。
【0232】
また、上記のように対応する周波数ごとにヘルムホルツ共鳴器を併設するようにしてもよいが、カラーモード時とモノクロモード時で開口穴73の開口面積Sbを変化させる機構を設けるようにしてもよい。例えば、開口穴73をある程度ふさぐ位置とふさがない位置との間で移動可能なふた部材等を設け、かかるふた部材をモードに応じて移動させることで、各々のモード時における共鳴周波数を各々のモード時にレベルが大きくなる周波数と合致するよう可変させるようにしてもよい。
【0233】
(1−4)帯電音の低減
次に、帯電音の低減対策について説明する。帯電音とは、以下のようにして発生する音である。すなわち、帯電ローラ36が感光体ドラム28を帯電する際には(図3参照)、一般にバイアス電圧の交流成分に起因して帯電ローラ36の表面と感光体ドラム28の表面との間に引力と斥力が交互に作用し、両者の間に振動を生じさせる。この振動によって感光体ドラム28が放射する音が帯電音であり、当該音は周波数の高い耳障りな純音であり、一般的に交流成分の周波数とその整数倍の周波数成分(高調波成分)からなる。
【0234】
このような帯電音の低減対策について図41および図42を参照しながら説明する。図41に示すように、帯電音対策がなされた感光体ドラム28の中空部分には、制振部材74が配置されている。制振部材74は、感光体ドラム28の軸方向に延びる中空円筒状の基部75と、当該基部75から放射状に突出する複数の羽根部76とを有しており、基部75の中心軸が感光体ドラム28の中心軸と略一致するよう配置される。
【0235】
制振部材の各羽根部76の先端が感光体ドラム28の内面に圧接しており、これにより制振部材74が感光体ドラム28内において保持されている。ここで、羽根部76は、ゴム、樹脂またはこれらを含む材料、例えばウレタンゴムを含む材料、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂材料等の弾性材料によって構成されていることが好ましい。羽根部76として弾性材料を用いることによって、羽根部76の先端がその弾性力によって感光体ドラム28に圧接され、保持される。したがって、接着剤等による接着作業や位置だし作業が不要であるので、取り付け作業および取り出し作業が容易となるからである。
【0236】
上記のように感光体ドラム28の内面側に羽根部76が圧接するよう制振部材74を配置することで、かかる制振部材74が感光体ドラム28の振動を抑制するよう作用する。したがって、上述した帯電ローラ36による帯電の際に生じる感光体ドラム28の振動を抑制することができる。また、このように感光体ドラム28の振動を抑制するための部材が感光体ドラム28の内部に設置されているので、新たに制振部材を設置するスペースをとる等の対策を施す必要がない。
【0237】
なお、感光体ドラム28の振動を抑制して騒音を低減する手段としては、上記構成の制振部材74に限らず、感光体ドラム28の中空部分に金属柱を嵌合するといった対策を施すようにしてもよく、市販されている制振材(例えば、横浜ゴム株式会社製ハマダンパーなど)を貼り付ける等するようにしてもよい。
【0238】
(2)シャープネス(高周波成分)の低減対策
(2−1)用紙摺動音の低減
次に、シャープネス(高周波成分)の低減対策について説明する。シャープネスの低減対策としては、用紙摺動音を低減する方法がある。なお、用紙摺動音とは、搬送される用紙が部材等と摺動することによって生じる音である。
【0239】
上述したように第1トレー9または第2トレー10に収容された用紙は、第1給紙ユニット51または第2給紙ユニット52によって各トレーから繰り出され、中継ローラ53および搬送ローラ55によってレジストローラ7の位置まで搬送される(図7参照)。
【0240】
ここで、図43は、第1トレー9または第2トレー10に収容された用紙を搬送して画像形成を行うとき(通常のプリント時)と、用紙を搬送せずにプリントを行うとき(フリーラン時)とで画像形成装置が発する騒音を測定して周波数分析(1/3オクターブバンド分析)した結果を示す。図44は、この分析結果に示される通常のプリント時とフリーラン時の騒音から得られる各周波数帯域の音圧レベル差を示すグラフである。
【0241】
すなわち、図44に示す周波数帯域ごとの音圧レベルは、用紙を第1トレー9または第2トレー10から送り出して搬送するか否かに起因する、画像形成装置が発する騒音内容の差であり、用紙を搬送することによって図44に示すように各周波数帯域で音圧レベルが増加していることを意味する。
【0242】
図44に示すグラフから、通常のプリント時とフリーラン時とで3(dB)以上の差があるのは、200〜250Hzを中心とした帯域と、3.15kHz以上の帯域の2つである。なお、3dB以上の差は、音響エネルギーが2倍以上の差があることになる。
【0243】
以上の分析結果を検討すると、200〜250Hzを中心とした帯域の成分は、用紙とレジストローラ7が衝突する際に発生する音に起因するものであることがわかった。一方、3.15kHz以上の周波数帯域の成分は、用紙搬送時に用紙が部材等に摺動することで発生する音に起因するものであることがわかった。また、12.5kHz〜16kHzを中心とした帯域では、7(dB)以上の差があり、またこの帯域はシャープネス値に与える影響が大きい。このことから、用紙摺動音の低減を図ることが騒音対策として効果的であることがわかる。以下、給紙ユニット、中継ローラ53および搬送ローラ55によって搬送される用紙の摺動音を低減するための対策について図45を参照しながら説明する。
【0244】
同図に示すように、搬送ローラ55は、複数のコロを軸に通したローラであり、用紙搬送路を挟んで対向配置されるローラ55aとローラ55bとを有している。そして、搬送路Aに沿って搬送される用紙(第1トレー9から繰り出された用紙)、または搬送路Bに沿って搬送される用紙(第2トレー10から繰り出された用紙)はかかるローラ55a、55b間に案内され、ローラ55a、55bによってレジストローラ7に向けて搬送される。
【0245】
搬送ローラ55の近傍には、用紙を所定の経路に沿って搬送するためのガイド部材80,81,82が配置されている。
【0246】
ガイド部材80は、ローラ55aとともに搬送路Aに沿って搬送される用紙をローラ55a、55b間に案内する空間を形成する。また、ガイド部材80は、ガイド部材81とともに搬送路Bに沿って搬送される用紙をローラ55a、55b間に向けて案内する空間を形成する。
【0247】
ガイド部材80の搬送方向下流側(図45の上側)の部分には、用紙搬送方向(図の上下方向)に延びる可踏性シート(例えばマイラーシート)からなる案内部材77が取り付けられている。この案内部材77は搬送路A,Bから搬送される用紙をローラ55a、55b間に向けて案内する。
【0248】
図46に示すように、案内部材77の先端部分における、ローラ55aと交錯しないようローラ55aが配置される位置には、切り欠き部分77aが裁断等することで形成されており、これにより用紙をその先端部分に接触させて確実にローラ55a、55b間に向けて案内する。
【0249】
したがって、図47に示すように搬送路Aからの用紙は、案内部材77の先端部分に摺動しながら搬送されることになる。従来の一般的な案内部材77は、可撓性シートを所定形状にせん断することによって作製されており、その先端部分(せん断部分)にはバリが出ているのが通常である。このようなバリを1枚づつ取り除くのは非常に困難な作業であり、コストと時間を要することになる。したがって、通常はこのような作業は行われず、バリがある先端部分と用紙が摺動することで耳障りな騒音を発生してしまう。
【0250】
そこで、本構成では、図48に示す構成の案内部材77を採用することで、上記のような用紙と案内部材77の先端部分が摺動することに起因する耳障りな騒音を低減することができる。
【0251】
図49に示すように、従来の可撓性シートからなる案内部材は、所定の形状にせん断した厚さtの可撓性シートをそのまま案内部材770としているものであり、用紙が摺動する先端部分はせん断部分となっている。これに対し、図48に示す構成では、厚さt/2の可撓性シートを折り曲げて2枚重ねとしその折り曲げ部分が案内部材77の先端部分となるようにしている。このような構成の案内部材77を採用することで、上記のように搬送される用紙が摺動する先端部分は折り曲げ部分であり、せん断加工がなされていない部分であり、かつ滑らかなR形状となる。よって、上記のようなせん断加工部分にみられるバリに起因する耳障りな騒音の発生を低減することができるのである。また、2枚重ねとした厚みも従来の案内部材770と同様の厚みとなるため、必要とされる弾性力を発揮することもでき、案内部材としての機能に支障をきたすこともない。
【0252】
(3)インパルシブネス(衝撃成分)の低減対策
上記構成の画像形成装置においては、インパルシブネスの発生はほとんど定着オイル塗布音に起因するものである(図11〜図13参照)。定着オイル塗布音は、上述した構成の画像形成装置では、オイル消費量の増加を抑制するため、用紙が搬送されると、その都度オイル塗布ユニット47を駆動して定着ベルト13と接触させる構成を採用している(図6参照)。このような用紙が搬送されるごとになされる接触・離間の音が衝撃的に発生するので不快感を与えることになる。
【0253】
このような定着オイル塗布音による騒音問題は、画像形成のために用いるトナーとして、オイルレストナーを使用することで解消することができる。すなわち、かかるオイルレストナーはトナーにワックスが包含されているので、上述したようにオイル塗布作業を行わなくても、定着ベルトと用紙との乖離性がよい。このため、オイル塗布ユニット47を利用する必要がなく、上述したオイル塗布ユニット47と定着ベルト13との接離に起因する衝撃音の発生を防止することができる。なお、オイルレストナーを使用するにあたっては、感光体ユニット3等の作像プロセス構成をオイルレストナーに適するよう修正する必要がある。
以上が不快確率Pを低減するための対策の具体例である。
【0254】
本発明者は、上記のような対策を施した画像形成装置が発する音を、対策前の画像形成装置が発する音を測定した際と同様の条件で測定し、その測定結果から対策の効果を検討した。なお、以下において比較する測定結果は、各々画像形成装置を「カラーモード▲1▼」で動作させたときに画像形成装置の前面側で音を採取することで得られたものである。
【0255】
図50に、対策後の騒音の分析結果を示す。同図に示す対策後の分析結果と、対策前の分析結果(図11参照)を比較すると、給紙ステッピングモータ音は10(db)程度低減され、帯電音は約5(dB)、ドラム駆動モータ音は約8(dB)低減され、ポリゴンミラーモータ音も10(dB)程度低減されている。また、定着オイル塗布音もなくなった。以上のことから、上記対策を施すことによって各音源の発する音を低減させることができることがわかる。
【0256】
また、対策後と対策前の測定結果から得られた心理音響パラメータ値および上記音質評価式(d)による音質評価値の比較結果を表15に示す。
【表15】
Figure 0004018527
この表からわかるように、対策後の音質評価値、つまり不快確率は「−0.23」であり、表14に示される「カラーモード▲1▼」の許容値「−0.26」よりも小さい。したがって、上記の対策によってほとんど不快感を与えることがないよう画像形成装置の改造がなされたものといえる。
【0257】
D.本発明の適用例
なお、本発明は、上記のように導出した音質評価式を用い、画像形成装置の音質評価を行い、かかる評価結果(不快確率P)が所定の条件を満たすような画像形成装置を提供できるようにするものである。したがって、本発明は、図51に示すように、新製品の開発・製造の際に適用することができる。
【0258】
具体的には、上記音質評価式による音質評価(不快確率P)が所定の条件を満たすよう、画像形成装置の装置各部にどのような構成を採用するかを設計する(S1:設計過程)。そして、画像形成装置の発する音から得られる不快確率Pが所定の条件を満たすようになされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する(S2:製造過程)。このような製造工程を経ることで、不快な騒音をほとんど発しない画像形成装置を製造することができ、かかる画像形成装置をユーザに提供することができる。
【0259】
また、一旦販売等した画像形成装置の騒音対策として本発明を適用することもできる。すなわち、すでに販売等した画像形成装置が発する音を上記のように測定し、その測定結果から上記音質評価式を用いて不快確率Pを導出する。そして、導出した不快確率Pが所定の条件を満たすか否かを検討し、満たしている場合には不快な騒音をほとんど発していないと考えられるので改造は不要であると判断する。一方、導出された不快確率Pが所定の条件を満たさない場合には、不快確率Pが所定の条件を満たすよう、画像形成装置の各部に対し、上述したような種々の改造を施す。これにより不快な騒音をほとんど発しない画像形成装置を提供することができる。
【0260】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0261】
また、請求項2にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0262】
また、請求項3にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0263】
また、請求項4にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した(e)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0264】
また、請求項5にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0265】
また、請求項6にかかる発明によれば、画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように構成されているので、当該画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0266】
また、請求項7にかかる発明によれば、動作制御手段によって選択されたどの動作モードで動作している場合にも、その動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0267】
また、請求項8にかかる発明によれば、画像形成装置のユーザが通常位置する可能性が高い画像形成装置の前面側の位置で収音した結果から得られた確率Pが、上述した条件を満たすようになっているので、画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0268】
また、請求項9にかかる発明によれば、画像形成装置の4方向で収音された音から確率Pを導出し、その平均値が条件を満たしているので、どの方向にユーザがいてもその動作音がユーザに与える不快感を平均的に緩和することができる。
【0269】
また、請求項10にかかる発明によれば、画像形成装置の少なくとも1方向側において収音した音から導出した確率Pが条件を満たしているので、その方向側にいるユーザに対して、画像形成装置の動作音が不快感を与えることを低減することができるという効果が得られる。
【0270】
また、請求項11にかかる発明によれば、画像形成装置の前後左右方向のすべての方向側で収音された音から導出される確率Pが条件を満たしているので、ユーザはどの方向側にいても画像形成装置の動作音が当該ユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0271】
また、請求項12にかかる発明によれば、低減手段により画像形成時に画像形成装置が発する音を低減することができ、これにより画像形成装置が発する音から導出される確率Pが条件を満たし、画像形成装置の発する音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0272】
また、請求項13にかかる発明によれば、ステッピングモータ動作時の振動が直接ブラケット部材に伝達されず、弾性体によって吸収されるので、ブラケット部材に伝達される振動が低減され、この振動に起因して発生する音を低減できるという効果が得られる。
【0273】
また、請求項14にかかる発明によれば、ステッピングモータをマイクロステップ駆動することで、通常の機械的に定まるステッピングモータのステップ角よりも小さい角度のステップ角でステッピングモータを駆動することができる。これによりステッピングモータのロータ駆動が滑らかになり、振動の発生を抑制することができ、動作音を低減させることができるという効果が得られる。
【0274】
また、請求項15にかかる発明によれば、ヘルムホルツ共鳴器は、その形状寸法等から定まるヘルムホルツ共鳴周波数の音成分をその空洞内に閉じ込める、つまりその共鳴周波数の音成分を減衰させる機能を有する。したがって、モータが発する音の主な周波数成分に対応する共鳴周波数を有するヘルムホルツ共鳴器を近傍に設置することでモータの発生音が装置外部に漏れる量を低減できるという効果が得られる。
【0275】
また、請求項16にかかる発明によれば、像坦持体に帯電手段が帯電させる際には、その帯電作用によって像坦持体が振動し、これに起因して音が発生するが、その像担持体に生じる振動を制振部材によって抑制することができ、発生音を低減することができる。また、制振部材は像担持体の内部に配置されるため、新たな設置スペース等を用意する必要もないという効果が得られる。
【0276】
また、請求項17にかかる発明によれば、案内部材における可撓性シートの折り曲げた部分が搬送される画像形成対象シートと接するようになっているので、当該接触により発生する音を低減することができる。すなわち、可撓性シートを所定の寸法にする場合、通常裁断されるが、可撓性シートの裁断部分にはバリ等があり、この部分が画像形成対象シートと接すると耳障りな音が発生する。これに対し、この発明では、上記のように裁断部分ではなく折り曲げ部分が画像形成対象シートと接するようになっているので、耳障りな音の発生を低減することができるという効果が得られる。
【0277】
また、請求項18にかかる発明によれば、ワックスを含むトナーを用いることで、画像形成における定着過程の際に、定着部材と画像形成対象シートの乖離性を向上させるために定着部材に対してオイル塗布等の作業を行う必要がない。よって、かかるオイル塗布作業に伴って発生する音を低減することができるという効果が得られる。
【0278】
また、請求項19にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0279】
また、請求項20にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0280】
また、請求項21にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0281】
また、請求項22にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0282】
また、請求項23にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0283】
また、請求項24にかかる発明によれば、画像形成装置の設計の際に、その画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部を設計しており、かかる設計内容に基づいた画像形成装置が製造される。したがって、動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を製造して提供する場合であっても、その動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0284】
また、請求項25にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0285】
また、請求項26にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0286】
また、請求項27にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、1分あたりの画像形成対象シートの出力数値に対応した条件(b)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(b)が画像形成対象シートの出力値によって変動するので、その出力値つまり複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0287】
また、請求項28にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(a)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(a)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0288】
また、請求項29にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(c)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(c)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0289】
また、請求項30にかかる発明によれば、改造対象となる画像形成装置が発する音の収音結果から得られる心理音響パラメータ値を用い音質評価式(d)によって導出される確率Pが、画像形成速度に対応した条件(e)に合致するように装置各部の構成を改造している。したがって、この改造によって画像形成装置の動作音がユーザに不快感を与えることを低減できる画像形成装置を製造してユーザに提供することができる。また、条件(e)が画像形成速度によって変動するので、複数の動作モード等を有しており、各モードで画像形成速度が変動する装置を改造する場合であっても、改造後の装置動作音から得られるパラメータ値を1つの音質評価式(d)を用いて確率Pを求めることができるとともに、かかる確率Pが速度に応じて変動する条件を満たしているので、どのモードで動作しても動作音がユーザに不快感を与えることを低減できるという効果が得られる。
【0290】
また、請求項31にかかる発明によれば、まず2音の不快確率と心理音響パラメータ値の差との関係に関する式を求めてから、その式から音の評価そのものを予測する音質評価式を導出しているので、比較的多くの実験を行うことなく精度の高い音質評価式の導出することができ、結果として音質評価に関する作業が簡易となるという効果が得られる。
【0291】
請求項32にかかる発明によれば、まず2音の不快確率と心理音響パラメータ値の差との関係に関する式を求めてから、その式から音の評価そのものを予測する音質評価式を導出しているので、比較的多くの実験を行うことなく精度の高い音質評価式の導出することができ、結果として音質評価に関する作業が簡易となるという効果が得られる。そして、このようにして得られた音質評価式による音質評価が所定の条件を満たすよう装置各部が設計された画像形成装置が製造されるので、つまり不快な音をほとんど発しない画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【0292】
また、請求項33にかかる発明によれば、まず2音の不快確率と心理音響パラメータ値の差との関係に関する式を求めてから、その式から音の評価そのものを予測する音質評価式を導出しているので、比較的多くの実験を行うことなく精度の高い音質評価式の導出することができ、結果として音質評価に関する作業が簡易となるという効果が得られる。そして、このようにして得られた音質評価式を用いた画像形成装置が発する音の音質評価に基づいて、その装置構成を改造する。したがって、良好な音質評価が得られる、つまり不快な音をほとんど発しない画像形成装置を提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像形成装置の全体構成を示す正断面図である。
【図2】前記画像形成装置の光学ユニットの構成を示す図である。
【図3】前記画像形成装置の感光体ユニットおよび現像ユニットの構成を示す図である。
【図4】前記感光体ユニットの感光体ドラムを駆動するための構成を示す分解斜視図である。
【図5】前記画像形成装置の定着ユニットを示す斜視図である。
【図6】前記定着ユニットの構成を示す正断面図である。
【図7】前記画像形成装置の給紙部の構成を示す正断面図である。
【図8】前記給紙部の駆動構成を示す斜視図である。
【図9】ロジット変換の内容を説明するためのグラフである。
【図10】音質評価式を導出するために画像形成装置の発する音を測定する際の測定条件を説明するための図である。
【図11】前記画像形成装置が1つのモードで動作しているときの前記測定により得られた音の分析結果を示す図である。
【図12】前記画像形成装置が他のモードで動作しているときの前記測定により得られた音の分析結果を示す図である。
【図13】前記画像形成装置がその他のモードで動作しているときの前記測定により得られた音の分析結果を示す図である。
【図14】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図15】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図16】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図17】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図18】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図19】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図20】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図21】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図22】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図23】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図24】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図25】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図26】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図27】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図28】画像形成装置の発する音から抽出した音源の水準(強調、原音、減衰)と、主観評価値との関係を示したグラフである。
【図29】本発明の一過程において、導出した音の不快確率の差を算出できるモデル式を用いて求めた予測値と、実測値とをプロットした散布図である。
【図30】画像形成装置の動作モードごとに、本発明によって導出した音質評価式を用いて求めた予測した不快確率の値と、実測値とを比較プロットしたグラフである。
【図31】実験結果から導かれるppm値と、上記音質評価式によって導出された指数の許容値との関係を示すグラフである。
【図32】実験結果から導かれる画像形成速度と、上記音質評価式によって導出された指数の許容値との関係を示すグラフである。
【図33】本発明にかかる改造方法の具体例の1つを説明するための図であって、改造前の感光体ドラム駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図34】改造前の感光体ドラムを駆動するための駆動モータの取り付け構造を説明するための図である。
【図35】改造後の感光体ドラムを駆動するための駆動モータの取り付け構造を説明するための図である。
【図36】改造後の感光体ドラム駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図37】改造後の感光体ドラム駆動機構の構成を示す側面図である。
【図38】本発明にかかる改造方法の具体例の1つを説明するための図であって、給紙用ステッピングモータの駆動制御内容を説明するための図である。
【図39】本発明にかかる改造方法の具体例の1つを説明するための図であって、給紙用ステッピングモータをマイクロステップ駆動する際の励磁シーケンスを示す図である。
【図40】本発明にかかる改造方法の具体例の1つを説明するための図であって、ポリゴンミラーモータ近傍に設けられたヘルムホルツ共鳴器を示す断面図である。
【図41】本発明にかかる改造方法の具体例の1つを説明するための図であって、感光体ドラムの振動を抑制するための構成を示す図である。
【図42】前記感光体ドラムの振動を抑制するための構成を示す分解斜視図である。
【図43】用紙を搬送して画像形成動作を行ったときと、用紙を搬送しないで画像形成動作をおこなったとき(フリーラン時)とで画像形成装置が発する音の周波数帯域ごとの音圧レベルを示す図である。
【図44】用紙を搬送して画像形成動作を行ったときと、用紙を搬送しないで画像形成動作をおこなったとき(フリーラン時)とで画像形成装置が発する音の周波数帯域ごとの音圧レベルの差を示す図である。
【図45】画像形成装置の給紙部の構成を示す図である。
【図46】前記給紙部の構成要素である搬送ローラと、用紙を案内する可撓性シートからなる案内部材との位置関係を示す図である。
【図47】前記給紙部の前記案内部材近傍の拡大図である。
【図48】騒音対策がなされた前記案内部材の構成を示す図である。
【図49】騒音対策がなされていない案内部材の構成を示す図である。
【図50】本発明にかかる改造方法によって対策がなされた画像形成装置の発する音の分析結果を示す図である。
【図51】本発明にかかる画像形成装置の製造過程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 光学ユニット
2 ポリゴンミラーモータ
3 感光体ユニット
4 現像ユニット
5 転写ユニット
7 レジストローラ
9 第1トレー
10 第2トレー
11 ハウジング
13 定着ベルト
27 ポリゴンミラー
28 感光体ドラム
29 転写ベルト
36 帯電ローラ
41 カラードラム駆動モータ
42 黒ドラム駆動モータ
43 中継ギヤ
44 ギヤ
46 定着ユニット
47 オイル塗布ユニット
48 塗布フェルト
49 塗布ローラ
51 第1給紙ユニット
52 第2給紙ユニット
53 中継ローラ
54 中継ローラ
55a ローラ
55b ローラ
55 搬送ローラ
56 ステッピングモータ
59 モータブラケット
60 防振ゴムマウント
63,64 プーリ
65 モータブラケット
66,67 タイミングプーリ
70 タイミングベルト
71 ヘルムホルツ共鳴器
72 空洞
72a 空洞形成部材
73 開口穴
74 制振部材
77 案内部材
80,81,82 ガイド部材
110 給紙部
201 被測定機器
202 操作部
203 ダミーヘッド
770 案内部材

Claims (33)

  1. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
    当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たす
    Figure 0004018527
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
    当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たす
    Figure 0004018527
    ことを特徴とする画像形成装置。
  3. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
    当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たす
    Figure 0004018527
    ことを特徴とする画像形成装置。
  4. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
    当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たす
    Figure 0004018527
    ことを特徴とする画像形成装置。
  5. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
    当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たす
    Figure 0004018527
    ことを特徴とする画像形成装置。
  6. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置であって、
    当該画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たす
    Figure 0004018527
    ことを特徴とする画像形成装置。
  7. 複数の動作モードのいずれかを選択し、前記画像形成対象シートへの画像形成を行うために装置各部を制御する動作制御手段を具備し、
    前記複数の動作モードのいずれで動作する場合であっても、前記確率Pが、前記条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、少なくとも当該装置前面方向の音の収音結果から算出される前記確率Pが前記条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、当該装置前後左右の4方向の音の収音結果の各々から算出される前記確率Pの平均値が前記条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、少なくとも当該装置前後左右のいずれか1方向の音の収音結果から算出される前記確率Pが前記条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 前記収音位置は、ISO(International Organization For Standardization)7779に規定された近在者位置であり、当該装置前後左右の4方向の音の収音結果の各々から算出されるすべての前記確率Pが前記条件を満たす
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
  12. 前記画像形成対象シートへの画像形成時に当該装置が発する音を低減させる低減手段を具備する
    ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 前記画像形成対象シートへの画像形成時に所定の部位を駆動するステッピングモータと、
    前記ステッピングモータを保持するブラケット部材とをさらに具備し、
    前記低減手段は、前記ステッピングモータと前記ブラケット部材との間に介在配置される弾性体を有している
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記画像形成対象シートへの画像形成時に所定の部位を駆動するステッピングモータをさらに具備し、
    前記低減手段は、前記ステッピングモータをマイクロステップ駆動させる駆動制御手段を有している
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  15. 前記画像形成対象シートへの画像形成時に所定の部位を駆動するモータをさらに具備し、
    前記低減手段は、前記モータ近傍に配置されるヘルムホルツ共鳴器を有している
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  16. 中空部を有する円柱状の像担持体と、当該像担持体の表面を帯電させる帯電手段とをさらに具備し、
    前記低減手段は、前記像担持体の中空部に当該像担持体の振動を抑制する制振部材を有する
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  17. 前記画像形成対象シートを所定の搬送経路に沿って案内する可撓性シートからなる案内部材であって、搬送される前記画像形成対象シートに接する端部が前記可撓性シートの折り曲げ部分となっている案内部材をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  18. 当該装置において、前記画像形成対象シートへの画像形成に用いられるトナーがワックスを含むトナーである
    ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
  19. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を製造する方法であって、
    製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
    Figure 0004018527
    前記設計ステップによってなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
    を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  20. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を製造する方法であって、
    製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
    Figure 0004018527
    前記設計ステップによってなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
    を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  21. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を製造する方法であって、
    製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
    Figure 0004018527
    前記設計ステップによってなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
    を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  22. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、
    製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置各部を設計する設計ステップと、
    Figure 0004018527
    前記設計ステップによりなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
    を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  23. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、
    製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう装置各部を設計する設計ステップと、
    Figure 0004018527
    前記設計ステップによりなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
    を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  24. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、
    製造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で収音される前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう装置各部を設計する設計ステップと、
    Figure 0004018527
    前記設計ステップによりなされた設計内容にしたがって画像形成装置を製造する製造ステップと
    を具備することを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  25. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、
    改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、
    前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
    Figure 0004018527
    を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法。
  26. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、
    改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、
    前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
    Figure 0004018527
    を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法。
  27. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、
    改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、
    前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、1分間あたりの前記画像形成対象シート(A4サイズ横方向)の出力数値(ppm)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(b)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
    Figure 0004018527
    を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法。
  28. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の改造方法であって、
    改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、
    前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(a)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
    Figure 0004018527
    を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法。
  29. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の改造方法であって、
    改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、
    前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(c)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
    Figure 0004018527
    を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法。
  30. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の改造方法であって、
    改造対象となる画像形成装置の端面からほぼ1m離れた収音位置で前記画像形成対象シートに対し画像形成を行うときに当該画像形成装置が発する音を収音する収音ステップと、
    前記収音ステップでの収音結果から得られる心理音響パラメータのラウドネス値、シャープネス値、トーナリティ値、インパルシブネス値と、前記画像形成対象シートに対する画像形成速度(v:mm/s)とを用い、以下の(d)式により算出される確率Pが、以下の条件(e)を満たすよう当該装置の構成を改造する改造ステップと
    Figure 0004018527
    を具備することを特徴とする画像形成装置の改造方法。
  31. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置が画像形成時に発する音を評価する方法であって、
    画像形成装置が画像形成時に発する複数種類の音に対して一対比較法による評価を行い、
    かかる評価による2音の不快確率を目的変数とし、心理音響パラメータ値の差を説明変数としてロジスティック回帰分析を行い、その結果から音質の不快確率に関する下記の式(f)を導出し、
    Figure 0004018527
    上記式の導出に用いた心理音響パラメータ値の平均値を、上記式(f)に代入するとともに、そのときのP=0.5と定義することにより、音の不快さの確率を予測する音質評価式を導出し、
    導出した音質評価式を用いて音質評価を行う
    ことを特徴とする音質評価方法。
  32. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置の製造方法であって、
    画像形成装置が画像形成時に発する複数種類の音に対して一対比較法による評価を行い、
    かかる評価による2音の不快確率を目的変数とし、心理音響パラメータ値の差を説明変数としてロジスティック回帰分析を行い、その結果から音質の不快確率に関する下記の式(f)を導出し、
    Figure 0004018527
    上記式の導出に用いた心理音響パラメータ値の平均値を、上記式(f)に代入するとともに、そのときのP=0.5と定義することにより、音の不快さの確率を予測する音質評価式を導出し、
    導出した音質評価式を用い、その音質評価式による音質評価が所定の条件を満たすよう装置各部を設計し、
    当該設計内容にしたがって画像形成装置を製造する
    ことを特徴とする画像形成装置の製造方法。
  33. 画像形成対象シートに対して画像を形成する画像形成装置を改造する方法であって、
    画像形成装置が画像形成時に発する複数種類の音に対して一対比較法による評価を行い、
    かかる評価による2音の不快確率を目的変数とし、心理音響パラメータ値の差を説明変数としてロジスティック回帰分析を行い、その結果から音質の不快確率に関する下記の式(f)を導出し、
    Figure 0004018527
    上記式の導出に用いた心理音響パラメータ値の平均値を、上記式(f)に代入するとともに、そのときのP=0.5と定義することにより、音の不快さの確率を予測する音質評価式を導出し、
    導出した音質評価式を用いて改造対象となる画像形成装置の発する音の音質評価を行い、
    かかる音質評価結果に基づいて改造対象となる前記画像形成装置の構成を改造する
    ことを特徴とする画像形成装置の改造方法。
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