JP4008449B2 - スケール付着程度の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、配管、ポンプ、弁、ヒータ等の機器又は系統から構成されるシステム内を流体が流動する場合に、内部に付着するスケールの付着程度を評価する評価方法に関する。
発電プラント等の金属材料を有するシステムを構成する機器又は系統、たとえば、配管、ポンプ、弁、ヒータ等には、プラントを運転している間に、スケールが大なり小なり付着する。前記構成部材にスケールが付着すると、そのスケールの付着量にもよるが、該構成部材が本来有している能力及び機能を満足できない状況になることがある。
図1に金属材料を使用した機器又は系統から構成されるシステムの一例の概略配置図を示す。図1に示すシステムHは、ヘッドタンク1と、ポンプ2と、ヒータ3(熱交換器)と、制御弁4とを有している。システムHは、ヘッドタンク1、ポンプ2、ヒータ3及び制御弁4をこの順番に配管で接続して構成したものである。制御弁4の下流側は蒸気発生器SGに接続されている。
今ここでは、ポンプ2の上流及び下流に圧力計Pt1、Pt2が、ヒータ3の上流及び下流に圧力計Pt3、Pt4が、制御弁4の上流及び下流に圧力計Pt5、Pt6が備えられている。また、ポンプ2とヒータ3の間、ヒータ3と制御弁4の間及び制御弁4と蒸気発生器SGの間にそれぞれ、流量計Fq1、Fq2、Fq3が取り付けられている。
上記構成のシステムにおいて、系統又は機器のスケール付着の確認は以下のようにして行われる。系統又は機器の機能又は性能が満足できない状況になった後に、各系統又は機器単体の運転状況を調査しスケール付着を確認する。例えば、ポンプ2の場合、軸動力、回転数、出入口圧力、流量等の運転状態量をそれぞれ個別にチェックし、ポンプにスケール付着が発生していないか確認している。
同様にヒータ3ではヒータ3の、出口圧力、流量等の運転状態量をチェックしヒータにスケール付着が発生していないか確認している。また、制御弁4の開度、流量、差圧等の運転状態量をチェックし制御弁にスケール付着が発生していないか確認している。
特開平8−285211号公報 特開平10−339404号公報
しかしながら、前記プラント等のシステムの運転状態量は、大気温度や海水温度等の外部環境の変化や、系統又は機器の圧力、温度、水位等の制御系の変動に伴い変化するものである。このようなシステム全体の流量等の運転状態量の変化により系統又は機器の本来発揮すべき機能又は性能は変化する。それゆえ、従来のように、対象となる系統又は機器廻りの流量、圧力等の運転状態量のみでその変化を評価すると、その変化が前記制御系による変化であるのか、大気温度等の外部環境の変化によるものなのか、あるいは、スケール付着による変化であるのか正確に把握できない。
また、システムを構成するポンプ2、ヒータ3及び制御弁4等の系統又は機器のうちいずれか1つの系統又は機器のスケール付着が単独で確認された場合は、そのスケール付着が検出された部位の点検を行えばよいが、これらの系統又は機器は配管で接続されているので、単独に対象となる系統又は機器の点検により、スケール付着が確認されるということは少なく、上流又は下流或いはその両方に配置された他の系統又は機器に発生したスケール付着の影響で、あたかも対象となる系統又は機器にスケール付着が発生したような運転状態量を示すこともある。たとえば、ヒータ3の差圧が大きくなると共に、ポンプ2の回転数が上昇し、軸動力が上昇した場合、ヒータ3にスケール付着があるのか、ポンプ2にスケール付着があるのか、両方にスケール付着があるのか或いはそれ以外にスケール付着があるのか判断ができない。
更に、運転状態量の変化により、スケール付着の兆候を示す警報が発せられた場合、予備機への切替が必要となり、最悪の場合にはシステムの停止という事態も考慮する必要がある。このような事態を避け、薬注投入量の変更等の適切な手段を早めに講ずるために、スケール付着部位を的確に特定することは、システムの長期安定運転には必要不可欠な方法である。
このような問題を鑑みて、本発明は、システムにおいてスケールの付着による影響を受けている系統及び機器を的確に特定し、該系統及び機器へのスケールの付着程度及び該スケールの付着による影響を評価して、システムの運転指針に反映させるとともに、該システムの設計指針にも反映させることを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、システムに含まれる系統又は機器のうち少なくとも1つの系統又は機器の内部に付着したスケールの付着程度を評価する方法であって、
初回評価であるか否かを判定する初回評価判定工程と、初期状態パラメータを入力する初期状態パラメータ入力工程と、予め入力されている前記初期状態のパラメータを呼出す初期状態パラメータ呼出工程と、前記システムの運転時パラメータを入力する運転時パラメータ入力工程と、前記運転時パラメータの補正を行い、補正された運転時パラメータと前記初期状態パラメータを比較して指数化する正規化工程と、前記正規化工程にて正規化された運転時パラメータを基に各系統及び機器へのスケール付着程度を評価する評価工程と、を有することを特徴とする。
この構成によると、前記システムに含まれる系統及び(又は)機器の内部のスケールの付着を前記系統及び(又は)機器を停止させたり、分解したりすることなく、スケール付着箇所を的確に判断することができる。
また、前記システムに含まれる各系統及び(又は)機器の特性を示すパラメータのうち複数の系統及び(又は)機器のパラメータが異常を示した場合、本発明に係わる構成によれば、当該系統又は機器に関して前記正規化工程の処理をすることにより、他の系統又は機器の影響が同時に除外されるため、何ら煩雑作業をせずに、容易にスケール付着個所及び程度を的確に判断できる。
前記初期状態のパラメータは、前記システムに配置される系統及び機器にスケールが付着していない状態での運転状態値であってもよい。
この構成によると、スケール付着のない運転状態値を指数化の基準値に採用するので、より実際に設置されているシステムの運転状況に近い値が得られ、正確なスケール付着の程度及びそのスケール付着による影響を判断することができる。
本発明によると スケール付着の評価方法を利用することで、システムにおいてスケールの付着による影響を受けている系統及び機器を特定し、該系統及び機器へのスケールの付着程度及び該スケールの付着による影響を評価することができる。
また、各系統及び機器へのスケールの付着程度及びスケールの付着による影響の時間経過による変化を知ることができるので、今後の各系統及び機器の動作状況を予想することができ、不具合が発生する前に対応する又は発生しても迅速に各系統及び(又は)機器に対して対応することができる。また、不具合が発生しないようにプラント負荷制限、予備系統及び(又は)機器への切り替え、水質の最適化等のプラント運用の変更を行うこともできる。
さらに本発明は、システムの各系統及び機器へのスケール付着及び該スケール付着による影響を評価し、その評価結果の時間変化を蓄積したものをシステムの運用に生かすと共に、システムの設計指針にも反映させることができる。
本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。図1に本発明にかかるスケール付着程度の評価方法を適用するシステムの一例の概略配置図を示す。図1に示すシステムHは発電設備の蒸気発生システムである。図1に示すシステムは従来のシステムHと同一の系統又は機器から構成されるシステムである。なお、図1に示す圧力計、流量計の配置場所は一例であり、これに限定されるものではない。
図1に示すシステムHは、ヘッドタンク1と、ポンプ2と、ヒータ3(熱交換器)と、制御弁4と、蒸気発生器SGとから構成されている。ヘッドタンク1は、システムH内を流動する流体(ここでは復水)に溶存している酸素等の気体を取り除かれた復水を溜めておく脱気器タンクである。ヘッドタンク1、ポンプ2、ヒータ3、制御弁4、蒸気発生器SGはこの順番で配管にて接続されている。尚、これらの構成機器又は系統は、この順番に配置する必要はなく、他の配列でも構わない。また、これらの系統又は機器は、各1基に限定するものではなく、夫々複数基を配置してもよい。
図1に示すシステムHでは、ポンプ2の上流及び下流側には配管内部の圧力を測定する圧力計Pt1、Pt2が備えられている。同様にして、ヒータ3の上流及び下流側には圧力計Pt3、Pt4が、制御弁4の上流及び下流側には圧力計Pt5、Pt6がそれぞれ取り付けられている。ポンプ2とヒータ3の間、ヒータ3と制御弁4の間及び制御弁4と蒸気発生器SGの間には、その配管内を流れる水の流量を測定する流量計Fq1、Fq2、Fq3がそれぞれ取り付けられている。また、ポンプ2には軸動力計21と回転数計22が取り付けられている。軸動力計21はポンプ2の運転時の軸動力を、回転数計22はポンプ2の軸の回転数を計測することができる。
上記の圧力計設置ポイントにおいて、圧力が一定である場合や、代替手段で圧力を測定することができる場合には、圧力径計の省略も可能である。また流量計も同様であり、流量計設置ポイントで流量が一定である場合や、代替手段で流量を測定することができる場合には、流量計の省略も可能である。
上記の構成からなるシステムにおけるスケール付着程度を評価する方法について、図を参照しながら以下に説明する。スケール付着程度の評価方法に関する基本的な考え方は、スケール付着前の初期状態でのパラメータと一定時間の運転によりスケールが付着した運転状態でのパラメータを比較して、各パラメータを正規化し、スケール付着程度を評価する方法である。パラメータとしては、ポンプに関して流量、揚程、回転数、軸動力であり、ヒータに関して流量、入口と出口の差圧、制御弁に関して流量、差圧、CV値、弁開度 が挙げられる。ここで、正規化とは、スケール付着前である初期状態と一定の運転時間の経過によりスケールが付着した運転状態を比較して、流量等の運転時パラメータと初期状態パラメータの違いを補正して、指数化することをいう。まず、ポンプの正規化について、以下に説明する。
図2(A)〜(C)は、図1に示すシステムのポンプの性能を示す図である。図2(A)に示すシステムHの系統又は機器の構成は、図1に示すものと同じであり、同一の符号が付してある。図2(B)に示すグラフは、ポンプ2の揚程―流量特性及び軸動力―流量特性を示すグラフであり、横軸は流量(吐出流量)、縦軸は軸動力及び揚程である。図2(B)のグラフにおいて、上側の4本の曲線は揚程―流量特性であり回転数r1〜r4の流量に対する揚程を示している。また、下側の4本の曲線は軸動力―流量特性であり、回転数r1〜r4の流量に対する軸動力を示している。
ここで、揚程―流量特性のr1〜r4と軸動力―流量特性のr1〜r4は対応している。例えば、ポンプ2の回転数がr1のときは、揚程―流量特性及び軸動力―流量特性は最上段の曲線で示される。ポンプ2はその動作の特性より、回転数ごとに吐出流量に対する揚程及び軸動力が異なる。
図2(C)はポンプ2の内面にスケールが付着したときの揚程―流量特性及び軸動力―流量特性の変化を示す。ここで、A1はスケール付着前、A2はスケール付着後を示している。図3(C)は、図2(B)に示す回転数r1の時を例に説明している。ポンプ2はスケールが付着すると、同一流量に対して揚程が下がり、軸動力が上がる。ポンプ2の内部にスケールが付着すると、流路の断面積が小さくなりあるいは表面粗さが大きくなり、軸動力が増加する。
図2(A)に示すポンプ2の軸動力Pは以下の式で表される。
Figure 0004008449
ここで、P:軸動力、Q:流量、H:揚程、η:ポンプ効率、ρ:比重である。
上記式より、流量及び揚程が一定で運転されていて軸動力が増加した場合、効率が低下していることを示している。また、スケールの付着していない初期状態と一定時間の運転によりスケールが付着した運転状態とでは、システムの外部環境条件(大気温度、海水温度等)も異なり、各系統又は機器の流量、揚程が異なる場合が多く、流量及び揚程が一定になるように補正し、スケール付着後の運転状態と初期状態の軸動力を比較し、指数化することにより、ポンプ効率の正規化が図られる。
具体的に、軸動力の指数化の手順を示せば、以下の通りである。尚、ポンプの駆動方式は、電動機駆動方式と蒸気駆動方式があるので、以下では、両者を併記して説明している。数2、数3は、夫々電動機駆動ポンプ及び蒸気駆動ポンプの軸動力(蒸気量)を指数化したものを示している。蒸気駆動ポンプにおける蒸気量は、電動機駆動ポンプの軸動力に相当しており、両者は比例関係にある。
Figure 0004008449
Figure 0004008449
ここで、Gは駆動蒸気流量であり、添え字SPは初期状態での各値を示す。添え字ηは、スケール付着時の運転状態値について、運転状態と初期状態との流量及び揚程は変わらず一定となるように補正した後のものであり、ポンプ効率が低下した状態での値である。
一方、ポンプ2の揚程―流量特性及び軸動力―流量特性は、図2(B)に示すように回転数によって変化するため、ポンプ2の効率を正規化するためには、流量及び揚程について、回転数の違いを補正してその影響を排除する必要がある。ポンプの回転数と流量及び揚程の関係は次の式で表される。
Figure 0004008449
ここで、n:回転数
以上の関係より、一定時間運転後のスケール付着時の運転状態において、回転数が一致するように補正したときの流量及び揚程と初期状態の流量及び揚程との関係は数5に示すとおりになる。
Figure 0004008449
ここで、添え字のTは、スケール付着時の運転状態について、回転数を補正したときの各値である。
また揚程の変化を評価するためには、スケール付着時の運転状態と初期状態とを同じ流量で比較する必要がある。そのため、数5により回転数を合わせるように補正したポンプ2の揚程を、更に流量が一定になるように補正する。揚程は揚程―流量特性曲線上を移動するので、単位流量あたりの揚程変化量をポンプ特性から求め、補正後のスケール付着時の運転状態の揚程と初期状態の揚程の比は、以下の数6に示すとおりである。
Figure 0004008449
ここで、添え字のHは流量が一定になるように補正したときの各値である。また、Aは単位流量あたりの揚程変化量(揚程変化率)である。
以上の式より、ポンプの効率(軸動力)及び性能(揚程)について、初期状態を基準としたときのスケール付着時の運転状態値の正規化が可能である。
即ち、軸動力は、流量、揚程、回転数によって変動する。従って、ポンプ効率の低下を正確に判定するためには、まず数5により流量及び揚程に関し回転数の違いを補正し、次いで数6により揚程変化量を用いて流量が同じとなるように補正して指数化した揚程を算出し、数2、数3からポンプ効率の指数化した値を算出する。即ち、数2、数3は、軸動力に対する回転数、流量及び揚程の影響が排除された指数となっており、これがポンプの効率を指数化したものである。つまり、流量及び揚程の変動を排除してポンプ2の軸動力を指数化し、ポンプ効率を正規化することで、ポンプの効率の低下を定量的に判定することができる。この正規化されたポンプ効率と予め決められている基準値とを比較することで、スケールが付着しているかどうか、スケールが付着しているとすればどの程度付着しているか、評価することができる。
次に、ヒータの正規化について説明する。
図3(A)〜(C)は、図1に示すシステムのヒータの性能を示す図である。図3(A)に示すシステムHは図1に示すものと同じであり同一の符号が付してある。図3(B)に示すグラフはスケールが付着していない状態でのヒータ3を流動する水の入口と出口の差圧を示すグラフであり、横軸は流量(吐出流量)、縦軸は差圧(入口−出口間の圧力差)である。
図3(C)にスケール付着に伴う差圧の変動を表すグラフを示す。図3(C)に示すグラフを見ると、スケール付着前の曲線B1に比べてスケール付着後の曲線B2は差圧(圧力差)が増大している。これは、水が流動する部分にスケールが付着することで、流路の断面積が減少し(管内の表面粗さが増大し)圧力損失が増大し、差圧が増大していることがわかる。
システムH運転中は、ヒータ3内を初期状態で設定した流量とは異なる流量で水が流動している場合があり、そのときの差圧を初期状態の差圧と比較するために、流量が同じになるように補正して比較する。
Figure 0004008449
ここで、ΔSは入口−出口差圧、添え字Hは流量補正後の値である。上式のように流量補正後の差圧ΔSHを、初期状態の差圧ΔSSPで除して指数化することで、正規化することができる。この数7に示す正規化された差圧と予め決められている基準値を比較して、ヒータ3にスケールが付着しているかどうか、また、スケールが付着しているとするとどの程度付着しているか評価する。
次に、制御弁の正規化について説明する。図4(A)〜(C)は、図1に示すシステムの制御弁の性能を示す図である。図4(A)に示すシステムHは、図1に示すものと同じであり同一の符号が付してある。図4(B)に示すグラフはスケールが付着していない状態での熱交換器4を流動する水のCV値を示すグラフであり、横軸は弁開度、縦軸はCV値である。
図4(C)にスケール付着に伴うCV値の変動を表すグラフを示す。図4(C)に示すグラフを見ると、スケール付着前の曲線C1に比べてスケール付着後の曲線C2はCV値が減少していることがわかる。ここでCV値は弁の特性を示す値であり、流量に比例し、差圧の平方根に反比例する。即ち、CV値が減少するということは、流量が減少しているか、差圧が増大しているか、或いは両方であることがわかる。制御弁4でスケールが付着すると、弁開度が大きくなる。
システムH運転中は制御弁4の弁開度を変化させて、流量を調整するが、差圧によって流量、CV値が変化する場合があり、数8に示すように、そのときのCV値の変化が同じになるように差圧の変化を補正して比較する。
Figure 0004008449
ここでWはCV値である。また、△Sは制御弁の差圧である。添え字Tはスケールが付着した運転状態の理論CV値を示している。また、初期状態の開度の傾きを単位CV値あたりa、制御弁4の弁開度をOとすると、スケール付着時の運転状態での弁開度より、流量とCV値の変化を補正して影響を取り除き、指数化したものは、次式で表される。
Figure 0004008449
この式は弁開度を正規化したものであり、この正規化された弁開度と予め決められている基準値を比較することで制御弁にスケールが付着しているかどうか、またスケールが付着しているとしたらどの程度付着しているか評価することができる。
以上のようなポンプ2、ヒータ3及び制御弁4を配置したシステムHの場合、ポンプ2、ヒータ3、制御弁4のうち少なくとも1つでスケール付着が発生すると、それ以外のスケールが付着せず正常に運転されている機器又は系統のパラメータも変動する。各系統又は機器の正規化処理の中で、他の系統又は機器の影響が同時に除去される場合を、ポンプを例として以下に説明する。
蒸気駆動ポンプの回転数を制御弁出口圧力が一定となるように制御したとする。制御弁出口圧力は、系統流量の変化に伴うポンプ出口圧力の低下及びポンプから圧力計測点までの圧力損失の増加、ヒータへのスケール付着による圧力損失の増加、制御弁開度、制御弁へのスケール付着によるCV値の変化などが要因で変化することから、同様の影響を受け蒸気駆動ポンプの回転数は変化する。回転数が変化することにより、ポンプの流量と揚程の関係、軸動力も変化することとなる。
上述する蒸気駆動ポンプ回転数に影響を与える影響を全て削除し、ポンプ本体に付着したスケールの影響を評価することができる。軸動力については数3を用いてポンプ本体に付着したスケールの影響を評価することができる。揚程に付いては数6を用いてポンプ本体に付着したスケールの影響を評価することができる。また、上述するように機器本体に付着したスケールの影響以外の影響因子を取り除くことができるので、それぞれの機器のパラメータを正規化した値を基準値と比較することでスケールの付着を評価することができる。このように、系統又は機器の正規化処理の過程で、他の系統又は機器のスケール付着の影響が同時に除去される点に、本発明の特徴がある。
図5に、図1に示すシステムを構成する機器へのスケール付着程度の特定手順のフローチャートを示す。図5に示すフローチャートは、システムHに取り付けられた系統又は機器、ここでは、ポンプ2、ヒータ3、制御弁4へのスケールの付着程度を特定する。評価方法は、初回評価判定工程(ステップS1)、初期状態パラメータの入力工程(ステップS2)、初期状態パラメータの呼出工程(ステップS3)、運転時パラメータの入力工程(ステップS4)、正規化工程(ステップS5)及び評価工程(ステップS6)の6工程からなる。
まず、初回評価判定工程(ステップS1)では、この評価作業が、初回評価か、2回目以降の評価かを判定する。この評価方法は、解決課題でも述べたように、システム稼動中に適宜評価することにより、スケールの付着場所及び程度を予測して、プラントの運転指針を定める目安として利用できる。このような場合、初期状態のパラメータであるシステム固有の特性は初回評価の段階で入力し、一定時間経過後のスケール付着状況を評価する場合には、その評価時期ごとに、系統又は機器廻りの運転時パラメータである運転状態量のみを実測して、入力し、前記初期状態パラメータは、初回評価時に入力したものをその都度呼出して適用し評価すればよい。従って、本発明に係わる評価を行う場合、初回評価の場合には、初期状態パラメータの入力工程(ステップS2)を省略できないが、2回目以降の評価の場合には、初期状態パラメータの入力工程(ステップS2)を省略し、既に初回評価時に適用した初期状態パラメータを呼出して流用してよい。
次に、初期状態パラメータの入力工程(ステップS2)について説明する。ステップ2で入力する初期状態パラメータは、表1に示される。
Figure 0004008449
初期状態パラメータは、機器特性データと初期状態値からなる。ここで、初期状態値の添え字spで表示される各値は、スケール付着のない運転初期状態のものを示し、各系統又は機器を正規化するための基準値となるものである。初期状態値としては、例えば、スケール付着のない状態で100%負荷到達後の翌日の各系統又は機器の運転状態値が採用できる。また設計時の目標性能値(予想値)であってもよい。尚、各運転状態値は、図1に示される各流量計、各圧力計、軸動力計、回転数計から実測して入力する。また、評価作業が初回評価であるか、2回目以降の評価であるかは、各評価作業の入力時に指定される。更に、ステップ1において、初回評価でないと判定された場合、初期状態パラメータ呼出工程(ステップS3)において、既に入力され記憶されている表1に示す初期状態パラメータを呼出す。
次に、各系統又は機器廻りの運転時パラメータ入力工程(ステップS4)では、当該評価時期における各系統又は機器の運転状態値として実測された各運転時パラメータを入力する。入力対象となる運転時パラメータは、表1に示されている。各運転状態値は、初期状態パラメータと同様に、図1に示される各流量計等により実測される。
次に、正規化工程(ステップS5)において、システムを構成する系統又は機器の全てのポンプ、ヒータ、制御弁について、数2から数9により正規化処理を行う。
正規化工程(ステップS5)で正規化された各系統又は機器のパラメータを基準値と比較し、各機器にスケールが付着しているか、また、スケールの付着程度を、評価工程(ステップS6)で評価する。尚、評価工程で評価の際、各パラメータについて基準値が一つとは限らず、複数の基準値を持つ場合もある。例えば、ポンプを例にとれば、最も小さい基準値1で、システムに注入される薬液注入量を変更し、次の基準値2では、予備機への切り替え、更に次の基準値3では、システムの停止等、基準値のレベルにより、適正な運転指針を採用できる。
以上の手順でシステムHを構成している各機器へのスケール付着及びスケールが付着している場合、該スケールの程度を推定することができる。
図6にポンプ、ヒータ、制御弁の時間によるスケール付着による影響を示す。図6(A)はシステムの概略図であり図1に示すものと同じである。図6(B)は時間変化に伴うポンプの効率と性能のスケール付着による影響を示すグラフである。図6(C)は時間変化に伴うヒータの差圧のスケール付着による影響を示すグラフである。図6(D)は時間変化に伴う制御弁の弁開度のスケール付着による影響を示すグラフである。
以上の手順で時間変化にともなうスケール付着の程度を観察することで、各機器へのスケール付着状態及びスケール付着の影響を把握することができる。スケール付着状態を把握することで各機器及びシステム全体への影響を蓄積することで考察することができ、予備機器及び(又は)予備系統への切り替え、システム水質の最適化、システム負荷の制限、パラメータ連続監視による今後の挙動の予測等のシステム運用の方針を決定することができる。
以上に示す実施例においてシステムHはヘッドタンク1、ポンプ2、ヒータ3、制御弁4及び蒸気発生器SGを配管で連結したものであって、ヘッドタンク1の水を蒸気発生器SGに送るものを例示しているが、それに限定されるものではなく、上述した機器を複数備えた(例えば2台のポンプがシリーズで備えられている)システムにおいても、本発明にかかるスケール付着の評価方法の正規化手法を利用することでスケールの付着程度及びスケール付着による影響を判断することができる。
また本実施例では機器単体についてスケールの付着の程度を評価するものを例に説明しているが、それに限定されるものではなく、複数の機器を有する系統を1つの単位としてその系統へのスケール付着程度を評価するものであってもよい。また、本実施例では内部に水を流動させるものを例に説明しているが、それに限定されるものではなく配管内部を流動することができる流体を広く採用することができる。
本発明にかかるスケール付着程度の評価方法を適用するシステムの一例の概略配置図である。 図(A)は図1に示すシステムの概略配置を示す図であり、図(B)はポンプの揚程―流量特性及び軸動力―流量特性を示すグラフであり、図(C)はポンプ内面にスケールが付着したときの揚程―流量特性及び軸動力―流量特性の変化を示すグラフである。 図(A)は図1に示すシステムの概略配置を示す図であり、図(B)はヒータの差圧を示すグラフであり、図(C)はヒータ内面にスケールが付着したときの差圧の変化を示すグラフである。 図(A)は図1に示すシステムの概略配置を示す図であり、図(B)は制御弁の弁開度を示すグラフであり、図(C)は制御弁内面にスケールが付着したときの弁開度の変化を示すグラフである。 本発明にかかるスケール付着程度の評価方法のフローチャートである。 図1に示すシステムにおけるポンプ、ヒータ、制御弁の時間によるスケール付着による影響を示すグラフである。
符号の説明
1 ヘッドタンク
2 ポンプ
21 軸動力計
22 回転数計
3 ヒータ
4 制御弁
SG 蒸気発生器
Pt1〜Pt6 圧力計
Fq1、Fq2、Fq3 流量計

Claims (3)

  1. システムに含まれる系統又は機器のうち少なくとも1つの系統又は機器の内部に付着したスケールの付着程度を評価する方法であって、
    初回評価であるか否かを判定する初回評価判定工程と、
    初期状態パラメータを入力する初期状態パラメータ入力工程と、
    予め入力されている前記初期状態のパラメータを呼出す初期状態パラメータ呼出工程と、
    前記システムの運転時パラメータを入力する運転時パラメータ入力工程と、
    前記運転時パラメータの補正を行い、補正された運転時パラメータと前記初期状態パラメータを比較して指数化する正規化工程と、
    前記正規化工程にて正規化された運転時パラメータを基に各系統及び機器へのスケール付着程度を評価する評価工程と、
    を有することを特徴とするスケール付着程度の評価方法。
  2. 前記正規化工程は前記系統又は機器の運転時パラメータを正規化処理をすることにより、同時に他の系統及び機器の影響が取り除かれることを特徴とする請求項1に記載のスケール付着程度の評価方法。
  3. 前記初期状態パラメータは、前記システムに配置される系統及び機器にスケールが付着していない状態での運転状態値であること特徴とする請求項1に記載のスケール付着程度の評価方法。
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