JP4003458B2 - ゲート式イオン交換体の応用装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオ分野、環境分野、臨床・医療分野などにおいて、目的成分の分析、分別又は精製などに利用することのできるイオン交換体を利用したカラムとそのカラムを使用した液体クロマトグラフに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数成分を含んだ試料を分離し分析するクロマトグラフィーの一種として、イオン交換クロマトグラフィーがある。そこでは、固定相としてイオン交換体が用いられ、陽イオン交換反応又は陰イオン交換反応により試料成分の分離を行なっている。
イオン交換反応に関わる固定相は、陽イオン交換反応用と陰イオン交換反応用とがあるが、それぞれ移動相の条件を固定して使用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、同じ固定相であっても移動相の条件を異ならせることにより異なった特性の固定相になるような、イオン交換体を利用したカラムとそれを使用した液体クロマトグラフを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明で使用されるイオン交換体は、下記の化学構造式で示され、炭化水素骨格にプラス電荷をもつ官能基とマイナス電荷をもつ官能基をともに備え、それらの両官能基の働きが周囲液相のpH及び/又は組成に依存して変わることを特徴とするイオン交換体(本明細書では「ゲート式イオン交換体」という)である。このゲート式イオン交換体は、周囲液相の条件に従ってその交換容量を0から100%の範囲にわたって自由に制御できる機能性樹脂である。
(R−O−PO3 -(CH2)n−N+(CH3)3)
【0005】
このゲート式イオン交換体の好ましい具体的な例は、プラス電荷をもつ官能基が四級アミンであり、マイナス電荷をもつ官能基が弱酸性基であるものである。応用にあたっては、機械的強度を持たせ、表面積を大きくするために、基材に担持するのが好ましい。基材はポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂などの樹脂やシリカゲルなどが好ましく、液体クロマトグラフの充填剤などに使用する場合には、基材の形状は例えば直径が3〜30μmの粒状が好ましい。
【0006】
このゲート式イオン交換体の用途の1つは、チューブに充填し、試料を移動相とともに流して接触させることにより目的成分を分離させるカラムである。そのようなカラムは液体クロマトグラフなどの試料成分分離装置に使用することができる。
【0007】
【作用】
まず陰イオン性物質をこのゲート式イオン交換体に保持させるためには、例えば四級アミンとともに、リン酸基やカルボキシル基の様な弱酸性基を有するイオン交換体を利用する。この様な弱酸性の陰イオン性部分のイオン解離度は、液相中におけるこのイオン交換体の周囲pH又はその液相の組成に依存する。完全解離の場合、例えば、pHの高い液相中の場合、このゲート式イオン交換体は陰イオン性が強まり、液相に共存している遊離の陰イオン成分はこのゲート式イオン交換体に特異的に保持されない。逆にpHの低い液相中であれば、このゲート式イオン交換体が有する四級アミンの陽イオン性が露出されるために、共存する陰イオン成分は特異的に保持される。即ち、目的成分がこのイオン交換体に接近する程度、すなわちゲートの開閉程度は、液相のpHを制御することによって制御することが可能である。
【0008】
例えばカルボキシル基を有するゲート式イオン交換体であれば、それが有する解離定数(pKa)が4付近であるため、液相のpHを4より高めていくほど、このゲート式イオン交換体の陰イオン性が強まり、目的成分である遊離の陰イオン成分とはマイナス電位同士の斥力が働いて、このゲート式イオン交換体にとり込まれず、保持され難いように制御できる。また、液相のpHを4より低めるほど、このゲート式イオン交換体の陰イオン性が抑制され、目的成分である陰イオン成分は、ゲート式イオン交換体により排除されず、結果的に保持時間が増大するように制御できる。
【0009】
同様な原理で陽イオン性物質の保持を目的としたゲート式イオン交換体も得ることができる。例えばアンモニア基を有するゲート式イオン交換体であれば、それが有する解離定数(pKa)が10付近であるため、液相のpHを10より低めるほど、このゲート式イオン交換体の陽イオン性が強まり、目的成分である遊離の陽イオン成分とはプラス電位同士の斥力が働いて、このゲート式イオン交換体にとり込まれず、保持され難いように制御できる。また、液相のpHを10より高めるほど、このゲート式イオン交換体の陽イオン性が抑制され、目的成分である陽イオン成分は、ゲート式イオン交換体により排除されず、結果的に保持時間が増大するように制御できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
ゲート式イオン交換体は、目的成分の分離、分取、精製の目的に利用することが可能だが、ここでは一例として本イオン交換体を高速液体クロマトグラフィー用充填剤として利用した例を示す。
【0011】
ゲート式イオン交換体の実施例として、カルボキシル基を導入した次の化学構造式で表わされるもの
(RN+(CH3)2−(CH2)n−COO-)
と、リン酸基を導入した次の化学構造式で表わされるもの
(R−O−PO3 -(CH2)n−N+(CH3)3)
をそれぞれ合成した。
【0012】
一方、カラムに粒状の基材を充填しておき、これらのイオン交換体をそれぞれ溶剤に溶解してそのカラムに流すことにより、それらのイオン交換体を基材に担持させてゲート式イオン交換体充填カラムとした。
これらのカラムを高速液体クロマトグラフに接続した。
【0013】
図1に液体クロマトグラフを概略的に示す。移動相2が送液ポンプ4により送られる流路に沿って、試料を注入するインジェクタ6、その下流にカラム8、さらにその下流に検出器10が配置されている。移動相2がカラム8に供給される流路にインジェクタ6から試料が注入され、カラム8で分離され、分離されてカラム8から溶出する試料成分が検出器10で検出される。検出器10を通過した溶出液はドレインに排出される。
このような液体クロマトグラフにおいて、カラム8として上に示したゲート式イオン交換体充填カラムを使用し、試料を分離分析した例を以下に説明する。
【0014】
(比較例)
陰イオン性物質を分離した分析例を図2に示す。
分析条件は次の通りである。
固定相:ゲート式イオン交換体
(RN+(CH3)2−(CH2)n−COO-)
をステンレス管(長さ250mm、内径4.6mm)に充填したもの。
移動相:5.0mM Na2SO4(pH5.5)(図2(A))
5.0mM H2SO4(pH2.0)(図2(B))
流速:1.0mL/分
検出:紫外吸光光度計 波長210nm
試料注入量:各10μMの濃度で含んだものを100μL注入
成分名:成分番号1=IO3 -;2=BrO3 -;3=NO2 -;
4=Br-;5=NO3 -;6=I-;7=SCN-
【0015】
移動相pH10では、陰イオン性物質の保持は弱く、カラムの空隙体積で溶出され易いの対し、移動相pH5.5(図2(A))、pH2.0(図2(B))と移動相pHが低くなってくると、徐々に陰イオン性物質はカラムに保持されていくことがわかる。
【0016】
(実施例)
リン酸基を導入したゲート式イオン交換体
(R−O−PO3 -(CH2)n−N+(CH3)3)
を上述の目的に用いた場合には、別の分離選択性を示す。このリン酸基部分は、水素イオンだけでなく、二価又は多価の陽イオンに対しても高い親和性を示すため、移動相のpHを調節することによって、これらの陽イオンを特異的に吸脱着させることが可能となる。さらにこのリン酸基を導入したゲート式イオン交換体は、先述のカルボキシル基を導入したゲート式イオン交換体と比べて強い負の静電場を与えるために、完全に陰イオン性を遮断することができない。この性質を利用して移動相に純水を用いた場合には、対イオンの種類によって金属イオンと水素イオンの保持を変化させることができる。
【0017】
その例を図3に示す。
分析条件は次の通りである。
固定相:ゲート式イオン交換体
(R−O−PO3 -(CH2)n−N+(CH3)3)
をステンレス管(長さ250mm、内径4.6mm)に充填したもの。
移動相:純水
流速:1.0mL/分
検出:電気伝導度検出器
試料注入量:各10μMの濃度で含んだものを100μL注入
成分名:
(図3(A))
成分番号1=よう化水素酸;2=よう化カルシウム;
3=よう化マグネシウム;4=よう化バリウム
(図3(B))
成分番号1’=チオシアン酸;2’=チオシアン化カルシウム;
3’=チオシアン化マグネシウム;4’=チオシアン化バリウム
【0018】
移動相に純水を用いた場合、各標準金属溶液についてよう化物塩(図3(A))とチオシアン化物塩(図3(B))の各金属類及び水素イオンを含む陽イオン性物質を分離することができる。
目的対象成分の検出器条件としては電気伝導度検出器、紫外分光光度計などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0019】
【発明の効果】
本発明のゲート式イオン交換体は,目的の陽イオン性成分又は陰イオン性成分の分離、分取、精製などに応用できるだけでなく、バイオ分野、環境分野又は医療分野にも大きな用途が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】用途の一例としての液体クロマトグラフを示す概略流路図である。
【図2】イオン交換体(RN+(CH3)2−(CH2)n−COO-)による陰イオン性物質の分析例を示す図である。
【図3】イオン交換体(R−O−PO3 -(CH2)n−N+(CH3)3)による酸と金属塩の分析例を示す図である。
【符号の説明】
2 移動相
4 送液ポンプ
6 インジェクタむ
8 カラム
10 検出器
Claims (2)
- 下記の化学構造式で示され、炭化水素骨格にプラス電荷をもつ官能基とマイナス電荷をもつ官能基をともに備え、前記両官能基の働きが周囲液相のpH及び/又は組成に依存して変わるゲート式イオン交換体を基材に担持した状態で充填し、試料を移動相とともに流して接触させることにより目的成分を分離させるカラム。
(R−O−PO 3 - (CH 2 ) n −N + (CH 3 ) 3 ) - 請求項1に記載のカラムを使用した液体クロマトグラフ。
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