以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1に、本発明の一実施例に係る音声通信システムの全体構成を示す。10−1,10−2は通信を行う通信端末、1は通信端末10−1,10−2が接続されているLAN(Local Area Network)、2は電話機、3は電話機2が接続されている公衆網、20は公衆網3とLAN1とに同時に接続する通信サーバを示す。
なお、図1では、1台の電話機2および2台の通信端末10−1,10−2(以下、付番10で任意の通信端末を示すものとする)のみ図示しているが、さらに多くの電話機および通信端末を接続してよいことは当然である。
図2に、図1の通信端末10の構成を示す。通信端末10は、音声入力装置11、音声符号化装置12、メモリ13、LAN通信制御部14、音声復号化装置15、音声出力装置16、プロセッサ17、および蓄積装置18を備えている。LAN通信制御部14は、LAN1に接続されている。音声符号化装置12、音声復号化装置15、LAN通信制御部14、メモリ13、蓄積装置18、およびプロセッサ17は、内部バス19を介して相互に接続されている。
音声入力装置11は、音声情報を入力するためのものである。入力された音声情報は、音声符号化装置12により符号化される。音声符号化装置12から出力された符号化音声情報はメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、LAN通信制御部14に入力される。そして、LAN通信制御部14が、その符号化音声情報をLAN1を介して受信側通信端末へ送信する。
一方、送信側通信端末からLAN1を介して送信されてきた符号化音声情報は、LAN通信制御部14からメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、音声復号化装置15へ入力される。音声復号化装置15は、入力された符号化音声情報を復号化する。復号化された音声情報は、音声出力装置16へ入力する。これにより、受信した音声が出力される。
通信端末10における音声通信制御処理は、蓄積装置18に記憶した音声通信制御処理情報に基づき、プロセッサ17が所定のプログラムを実行することにより行われる。通信端末10における音声通信制御処理については、後に詳述する。
図3に、通信端末10のメモリ13内の構成を示す。31は音声通信制御処理を行う音声通信プログラム、32は音声メールプログラムである。
音声通信プログラム31は、ユーザからの音声通信要求、または内部バス19に接続されたLAN通信制御部14から受信した他通信端末からの音声通信要求を受付け、相手通信端末との間で音声パケットを送受信して電話と同様の音声通信機能を提供するためのプログラムである。音声メールプログラム32は、音声メールの送受信等のメール管理機能を提供するためのプログラムである。
図4に、通信端末10上の音声通信プログラム31が他の通信端末からの音声通信要求を待ち受けて音声通信を開始する場合の音声通信制御処理の一流れ図を示す。
まず、ステップ101で他通信端末からの音声通信要求を受信しているか否かを判別する。音声通信要求を受信していない場合、再び音声通信要求を受信するのを待つ。ステップ101で他通信端末からの音声通信要求を受信した場合は、ステップ102で画面表示や音声出力を用いて音声通信要求が来たことをユーザに知らせる。そして、ステップ103でユーザが通話を選択したか否か判別する。
ステップ103でユーザが通話を拒否することを選択したりまたは呼出しに一定の時間答えなかった場合は、ステップ104で音声通信否定応答を送信し、再びステップ101で他通信端末からの音声通信要求を受信するのを待つ。ステップ103でユーザが通話することを選択した場合は、ステップ105で音声通信肯定応答を送信する。これにより呼び出した装置との間に接続が確立する。次に、ステップ106以下の通話処理を開始する。
ステップ106で音声符号化装置12(図2)から符号化音声情報を取り込み、ステップ107で取り込んだ符号化音声情報から音声パケットを作成し、ステップ108で相手通信端末に音声パケットを送信する。ステップ109では音声パケットを受信しているか否か判別する。
ステップ109で音声パケットを受信していた場合は、ステップ110で音声パケット内の符号化音声情報を音声復号化装置15(図2)に入力する。ステップ109で音声パケットを受信していなかった場合、またはステップ110で符号化音声情報を音声復号化装置15に入力した後は、ステップ111で相手通信端末からの音声通信終了通知を受信しているか否かを判別する。音声通信終了通知を受信した場合は、通話を終了し、再びステップ101で他通信端末からの音声通信要求を受信するのを待つ。
ステップ111で音声通信終了要求を受信していなかった場合は、ステップ112でユーザが音声通信の終了を選択したか否かをチェックする。ユーザが終了を選択していなかった場合は、ステップ106からの通話処理を続行する。ステップ112でユーザが音声通信の終了を選択していた場合は、ステップ113で音声通信終了通知を相手通信端末へ送信して通話を終了し、再びステップ101で他通信端末からの音声通信要求を受信するのを待つ。
なお、上述の処理手順は他の通信端末からの音声通信要求を待ち受けて音声通信を開始する場合の音声通信制御処理を示しているが、ここでいう「他の通信端末」は、図1のLAN1に接続された通信端末10のほか、通信サーバ20も含む。すなわち、上述の処理手順は、通信サーバ20と他通信端末10との区別を行わず、同じ一通信端末として処理する。通信サーバ20からの音声通信要求とは、後述するように、公衆網3に接続された電話機2からの要求である。
図5に、通信端末10上の音声通信プログラム31がユーザの要求により音声通信を開始する場合の音声通信制御処理の一流れ図を示す。
図5のステップ111〜113は図4のステップ111〜113と同じであり、図5のステップ128は図4のステップ106〜110をまとめたものである。
まず、ステップ121で、ユーザが通話処理を選択したか否か判別する。ユーザが通話処理以外を選択した場合は、ステップ122でその選択に応じてその他の処理を行う。ステップ121でユーザが通話処理を選択した場合は、ステップ123でユーザが入力した相手アドレスを用いて音声通信要求を作成する。なお、音声通信要求の詳細なフォーマットは図13を参照して後述する。次に、ステップ124でユーザが入力した通話したい相手先のアドレスが数字のみで構成された電話番号であるか否かを判別する。
ステップ124でユーザが入力した相手先アドレスが数字のみで構成された電話番号なら、このユーザは、通信サーバ20を介して外部の公衆網3に接続された電話機2と音声通信を行うことを要求したということになる。この場合は、ステップ125で蓄積装置18(図2)に予め記憶されている通信サーバ20の通信端末アドレスを入手し、以後通信相手を通信サーバ20として処理を行う。
一方、ステップ124でユーザが入力した相手先アドレスが数字のみで構成された電話番号でないなら、その相手先アドレスはLAN1上の通信端末アドレスとみなせるから、このユーザはLAN1に接続された他の通信端末10に音声通信要求を出したということになる。この場合は、そのまま当該通信端末を通信相手として処理を行う。
ステップ124およびステップ125で音声通信処理を行う通信相手を決定した後、ステップ126で相手通信端末に音声通信要求を作成して送信する。音声通信要求の送信先は、相手先が電話機なら通信サーバ20であり、相手先が他の通信端末ならその通信端末である。ステップ126の後、ステップ127で通信相手からの音声通信肯定応答を受信したか否か判別する。音声通信肯定応答を受信した場合は、接続が確立したから、ステップ128以降の通話処理を行う。ステップ128以降の通話処理は、上述したように図4で説明した手順と同じであるので、説明は省略する。
ステップ127で音声通信肯定応答が無かった場合は、ステップ129で通話接続の失敗を表示する。そして、ステップ130でユーザが通話接続に失敗した相手に音声メールを送ることを要求しているか否か判別する。音声メールの送付要求があった場合は、ステップ131で入力した伝言を音声メールプログラムを用いて送信した後、再びステップ121に戻ってユーザの選択を受け付ける。ステップ130で音声メールの送付要求がない場合は、そのままステップ121に戻る。
なお、ステップ121でユーザが入力する電話番号は’(’、’(’、’−’が混在しても良い。またその場合は、ステップ124でアドレスが電話番号であるか否か判断する場合に、数字に’(’、’(’、’−’が混在しても電話番号と判断する。さらに、ステップ130〜131は省略しても良い。ステップ130〜131で、音声メールの代わりにテキストメールやマルチメディアメールを用いても良い。
図6に、図1の通信サーバ20の構成を示す。通信サーバ20は、音声符号化装置12、メモリ13、LAN通信制御部14、音声復号化装置15、プロセッサ17、蓄積装置18、および公衆網通信制御部21を備えている。LAN通信制御部14はLAN1に接続され、公衆網通信制御部21は公衆網3に接続されている。音声符号化装置12、音声復号化装置15、公衆網通信制御部21、LAN通信制御部14、メモリ13、蓄積装置18、およびプロセッサ17は、内部バス19を介して接続されている。
公衆網3を介して電話機から送信されてきた音声情報は、公衆網通信制御部21を介して音声符号化装置12に入力される。音声符号化装置12は、入力された音声情報を符号化して出力する。音声符号化装置12から出力された符号化音声情報はメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、LAN通信制御部14に入力される。LAN通信制御部14は、入力された符号化音声情報をLAN1を介して通信端末へ送信する。
一方、通信端末からLAN1を介して送信されてきた符号化音声情報は、LAN通信制御部14からメモリ13に読み込まれ、音声通信制御処理後、音声復号化装置15へ入力される。音声復号化装置15は、入力された符号化音声情報を復号化する。復号化された音声情報は、公衆網通信制御部21へ入力する。公衆網通信制御部21は、公衆網3を介して電話機へ音声を送信する。
通信サーバ20における音声通信制御処理は、蓄積装置18に記憶した音声通信制御処理情報に基づき、プロセッサ17が所定のプログラムを実行することにより行われる。通信サーバ20における音声通信制御処理については、後に詳述する。
図7に、通信サーバ20のメモリ13内の構成を示す。22は音声通信制御処理を行う音声通信サーバプログラム、22は音声メールサーバプログラムである。
音声通信サーバプログラム22は、内部バス19に接続された公衆網通信制御部21から受信した電話機からの呼設定要求、または内部バス19に接続されたLAN通信制御部14から受信した通信端末からの音声通信要求を受付け、電話機が送信する音声情報を音声パケット化して通信端末に送信し、通信端末から受信する音声パケットを音声情報に変換して電話機に送信して、LAN1に接続された通信端末と公衆網3に接続された電話機との間で電話と同様の音声通信機能を提供するためのプログラムである。
音声メールサーバプログラムは、音声メールの機能を提供するためのプログラムである。
図8に、通信サーバ20上の音声通信サーバプログラム22が公衆網3(図1)に接続されている電話機2からの呼設定要求を待ち受けて、その電話機2とLAN1に接続された通信端末10との間の音声通信を開始する場合の音声通信制御処理の概略の一流れ図を示す。
まず、ステップ201で公衆網3からの呼設定要求を受信したか否かを判別する。呼設定要求を受信していない場合は、再びステップ201で公衆網3からの呼設定要求を受信するのを待つ。ステップ201で呼設定要求を受信した場合は、ステップ202で公衆網3に呼設定応答を送信して呼を設定し(これにより通信サーバと当該電話機が通話状態となる)、ステップ203で接続通信端末の決定処理を行う。
ステップ203の接続通信端末の決定処理とは、呼設定要求した電話機2の利用ユーザが、LAN1に接続する通信端末10の内のどの通信端末と通話したいのかを決定する処理である。その詳細は、図17などを用いて後に詳しく説明する。
ステップ203の後、ステップ204では、通話したい通信端末が決定しているか否か判別する。決定していなかった場合は、ステップ208で呼を解放し、再びステップ201で公衆網3からの呼設定要求を受信するのを待つ。
ステップ204で通話したい通信端末が決定した場合は、ステップ205でその通信端末に音声通信要求を送信し、ステップ206で相手通信端末からの音声通信肯定応答を受信したか否か判別する。肯定応答を受信した場合は、当該通信端末との接続が確立したということだから、ステップ207で通話中の処理を行い、通話が終了後、ステップ208で呼の解放を行い、再びステップ201で公衆網からの呼設定要求を受信するのを待つ。ステップ207の通話中の処理については、図10を参照して後に詳しく説明する。
ステップ206で相手通信端末から音声通信否定応答を受信した場合は、ステップ209で、相手が電話に出ないことを案内する音声メッセージを、呼設定要求した電話機に対して、送信する。そして、ステップ220で音声メールの入力案内を電話機利用ユーザに対して出力し、ステップ221で入力された音声を音声メールとして図7の音声メールサーバプログラム23に登録し、ステップ208で呼の解放を行い、再びステップ201で公衆網からの呼設定要求を受信するのを待つ。
なお、ステップ220〜221は省略しても良い。また、音声メールサーバプログラム23は、別の通信端末上にあっても良い。
図9は、通信サーバ20上の音声通信サーバプログラム22がLAN1に接続する通信端末10からの音声通信要求を待ち受けて、その通信端末10と公衆網3に接続された電話機2との間の音声通信を開始する場合の音声通信制御処理の概略の一流れ図を示す。ステップ207,208は、図8と同じであるので、説明を省略する。
まず、ステップ231でLAN1に接続する通信端末10からの音声通信要求を受信したか否かを判別する。通信端末10からの音声通信要求を受信していない場合は、再びステップ231でLAN1に接続する通信端末10からの音声通信要求を受信するのを待つ。ステップ231でLAN1に接続する通信端末10からの音声通信要求を受信した場合は、公衆網3に対し、音声通信要求で指定された電話番号の電話機2との呼設定要求を送信する。
ステップ233で公衆網3からの呼設定応答を受信し、ステップ234でその応答が肯定応答か否か判別する。肯定応答であった場合は、ステップ235で相手通信端末に対し音声通信肯定応答を送信し、ステップ207以降の通話処理を行う。ステップ234で否定応答であった場合は、ステップ236で相手通信端末に対し音声通信否定応答を送信し、再びステップ231でLAN1に接続する通信端末10からの音声通信要求を受信するのを待つ。
図10は、図8および図9のステップ207に示した音声通信サーバ20における通話中の処理の一流れ図である。
図10のステップ106〜108は図4の通信端末におけるステップ106〜108と同じであり、要するに、電話機2から公衆網3を介して公衆網通信制御部21(図6)に入力した音声データを音声符号化装置12により符号化し音声パケットを作成して、LAN1を介して通信端末10に送信する処理である。
図10のステップ109、110は図4の通信端末におけるステップ109、110の処理と同じであり、要するに、通信端末10からLAN1を介してLAN通信制御部14(図6)に入力した音声パケットを音声復号化装置15により復号し、公衆網3を介して電話機2に送信する処理である。
図10のステップ111,210,113は、図4のステップ111,112,113に相当する。
すなわち、ステップ111で通信端末10からの音声通信終了通知を受信したか否かを判別する。受信していたら、通話中の処理を終了する。ステップ111で通信端末10からの音声通信終了通知を受信していない場合は、ステップ210で公衆網3からの呼の解放要求を受信しているか否かチェックする。公衆網3からの呼の解放要求を受信していない場合は、ステップ106以下の通話処理を続行する。ステップ210で公衆網3から呼解放要求を受信していた場合は、ステップ113で音声通信終了通知を通信端末10に送信して通話を終了する。
図11は、図1のLAN1に接続された通信端末10からの要求で、通信サーバ20を介して、公衆網3に接続された電話機2とLAN1に接続された通信端末10とが通話を行う処理のシーケンスの一例を示す。
401はLAN1に接続された通信端末10の動作の流れ、402はLAN1と公衆網3とに同時に接続されている通信サーバ20の動作の流れ、403は公衆網3に接続された電話機2の動作の流れを示す。通信端末のユーザが電話機との通話を選択する(450)と、その通信端末は通信サーバに対して音声通信要求を送信する(451)。その音声通信要求を受信した通信サーバは、電話機に呼設定要求を送信し(452)、その呼設定要求を受信した電話機は呼出し音を出す(453)。
電話機利用ユーザがオフフックする(454)と、電話機から通信サーバに呼設定応答が送信される(455)。この呼設定応答を受信した通信サーバは、音声通信応答を通信端末に送信し(456)、これにより通話状態になる(457)。
電話機がオンフックされる(458)と、電話機から通信サーバに呼解放要求が送信される(459)。これを受信した通信サーバは、電話機に呼解放応答を返す(461)と共に、音声通信終了通知を通信端末に送信する(460)。その音声通信終了通知を受信した通信端末は、通話を終了する(462)。
図12は、図1の公衆網3に接続された電話機2からの要求で、通信サーバ20を介して、公衆網3に接続された電話機2とLAN1に接続された通信端末10とが通話を行う処理のシーケンスの一例を示す。401〜403は、図11と同様に各部の動作の流れを示す。
電話機の利用ユーザが通信サーバの電話番号をダイヤルし(404)、これにより電話機から通信サーバに呼設定要求が送信される(405)。この呼設定要求を受信した通信サーバは、電話機に呼設定応答を送信し(406)、さらに通信サーバと電話機利用ユーザ間で通話したい通信端末の決定処理を行う(407)。
通信サーバは、接続通信端末決定処理(407)で決定した通信端末に音声通信要求を送信する(408)。この音声通信要求を受信した通信端末は、ユーザの呼出しを行う(409)。この呼出しに対し通信端末利用ユーザが通話を選択する(410)と、通信端末は音声通信肯定応答を通信サーバへ送信し(411)、これにより通話中状態となる(412)。
通信端末のユーザが通話の終了を選択する(413)と、通信端末から音声通信終了通知が通信サーバに対して送信される(414)。この音声通信終了通知を受信した通信サーバは、電話機へ呼解放要求を送信する(415)。呼解放要求を受信した電話機は、通信サーバに呼解放応答を送信する(416)。この呼解放応答の受信により、当該電話機と通信端末間の通話処理を終了する。
図13は、音声通信要求を行う際に送信される音声通信要求コマンドの構成を示す。501はLAN通信制御部で使用する通信ヘッダ、502は音声通信要求であることを示す識別子、503は当該音声通信要求を送信する通信端末の自通信端末アドレス、512は音声通信を要求する相手の通信アドレスである。通信相手が通信端末の場合は、相手アドレス512としてその通信端末の通信端末アドレスが設定される。そのような音声通信要求コマンドの送り先アドレスは、その通信端末アドレスである。通信相手が電話機の場合は、相手アドレス512としてその電話番号が設定される。そのような音声通信要求コマンドの送り先アドレスは、通信サーバの通信端末アドレスとなる。なお、自通信端末アドレス503は省略しても良い。
図14は、音声通信要求に対する応答である音声通信応答コマンドの構成を示す。501は図13と同じである。504は音声通信応答であることを示す識別子、505は音声通信要求に対して通話を行うか、または行わないかを示す結果である。
図15は、音声情報を送受信するための音声通信コマンドの構成を示す。501は図13と同じである。506は通話処理に用いる音声通信ヘッダ、507は符号化した音声情報である。
図16は、音声通信終了通知コマンドの構成を示す。501は図13と同じである。508は音声通信終了通知コマンドであることを示す識別子である。
図17は、図8のステップ203および図12の付番407に示す電話機利用ユーザが通話したい通信端末を決定する処理の一流れ図を示す。ここでは、電話機のプッシュボタンを利用して、通話したい通信端末を指定する例を示す。
まず、ステップ301で、”プッシュボタンで内線番号を入力し、終わりに’#’を入力して下さい”という操作案内を電話機に対して出力する。次に、ステップ302でユーザがプッシュボタンを入力するのを待ち、ステップ303で入力されたプッシュボタンの音を数字に変換して記憶する。そして、ステップ304で、変換したプッシュボタンの音が’#’であるか否かを判別することにより内線番号の入力が終了したか否かを判断する。入力が終了していない場合は、再びステップ302でユーザがプッシュボタンを入力するのを待つ。
ステップ304で内線番号の入力が終了していた場合は、ステップ305で、入力された内線番号を持つ通信端末の通信端末アドレスを内線番号管理テーブルから検出することで電話機利用ユーザが通話したい通信端末のアドレスを決定する。内線番号管理テーブルについては、図18を参照して後に詳しく説明する。
ステップ305で通信端末アドレスが検出できたら、本通信端末決定処理を終了する。ステップ305で通信端末アドレスが検出できなかった場合は、ステップ306で、”入力された内線番号の通信端末はありません”という案内を電話機に対して出力し、電話機利用ユーザが通話したい通信端末の決定ができなかったこととして処理を終了する。
なお、ステップ301、306で出力するメッセージは、異なった内容でも良い。また内線番号の入力終了を指定する’#’は、異なった記号でも良い。さらに、LANに接続された各通信端末にそれぞれ個別の電話番号を割当てておき、電話網に接続された電話機からこれらの電話番号で通話要求できるようにしてもよい。この場合は、通信サーバが、LANに接続された通信端末の台数分の電話番号を持つようにする。また、処理上は、図17のステップ301〜304を省略し、ステップ305で電話機が入力した電話番号から該当する通信端末アドレスの検出を行うようにすればよい。
図18は、図17のステップ305で参照する内線番号管理テーブルの構成を示す。311は内線番号、312は内線番号に対応する通信端末アドレスである。なお、通信サーバがLANに接続された通信端末の台数分の電話番号を持つ場合は、内線番号311の欄を、各通信端末に割当てられた電話番号とすればよい。
図19は、図8のステップ203および図12の付番407に示す電話機利用ユーザが通話したい通信端末を決定する処理の別の例を示す流れ図である。この例は、LANに接続する1台の通信端末を交換手端末として利用することにより、通話したい通信端末を決定するものである。
まず、ステップ321で交換手端末へ音声通信要求を送信し、ステップ322で交換手端末からの肯定応答を受信したか否か判別する。肯定応答を受信した場合は、ステップ323で交換手端末と電話機間での通話処理を行い、通話終了後、ステップ324で交換手端末から受信した接続端末決定通知により、通信端末のアドレスの決定または未決定の結果を入手する。ステップ322で交換手端末から否定応答を受信した場合は、ステップ325で電話機に対して接続できないという理のメッセージを出力し、通信端末が決定できなかったこととする。
図20は、図19のように交換手端末を用いて通話したい通信端末を決定する場合の交換手端末側の処理の一流れ図を示す。
ステップ101、102は、図4の対応するステップと同様の処理である。すなわち、ステップ101で音声通信要求の受信待ちをし、通信サーバからの音声通信要求を受信したら、ステップ102で呼び出し出力する。この呼び出し出力に応じて、ステップ331で、交換手端末の交換手が通話を受ける。そして、ステップ105で音声通信応答を送信する。このステップ105は、図4のステップ105と同じである。
音声通信応答送信の後、ステップ332で、交換手は電話機の利用ユーザと会話を行い、通話したい相手の内線番号または名前を入手し、その情報に基づいて通信端末アドレス管理テーブルを検索し、通信端末アドレスを検出する。ステップ333で交換手が通信端末アドレスを検出できた場合は、ステップ113で音声通信終了通知を送信して、電話機利用ユーザとの会話を終了する。そして、ステップ334で、検出した通信端末アドレスを含む接続端末決定通知を通信サーバに通知して、処理を終了する。
ステップ333で通信端末アドレスが検出できなかった場合は、ステップ335で、交換手が電話機利用ユーザに対して、該当する相手がいないことを口頭で説明する。その後、ステップ113で音声通信終了通知を送信して電話機利用ユーザとの会話を終了し、ステップ336で通信端末が決定できなかったことを接続端末決定通知で通信サーバに通知して、処理を終了する。
図21は、接続端末決定通知コマンドの構成を示す。501は図13と同じである。509は本コマンドが接続端末決定通知であることを示す識別子、510は通信端末アドレスが決定したかまたは未決定かを示す結果、511は接続すべき通信端末の通信端末アドレスである。通信端末アドレス511は、結果510が通信端末アドレス決定を示す場合にのみ有効である。結果510が未決定を示す場合、通信端末アドレス511は省略される。
図22は、図19から図21で説明したような交換手端末を利用することによって通話したい通信端末を決定する場合に用いられる通信端末アドレス管理テーブルの構成を示す。内線番号311および通信端末アドレス312の欄は、図18と同じである。337は通信端末を使用するユーザの名前である。電話機の利用者が通話したい者を名前で指定する場合でも、交換手がその名前から通信端末アドレスを検索できるようになっている。
図23は、図8のステップ203および図12の付番407に示す電話機利用ユーザが通話したい通信端末を決定する処理のさらに別の例を示す流れ図である。
この例では、公衆網3がISDN(Integrated Services Digital Network)であるものとする。ISDNによれば、回線上を流れるメッセージに種々のパラメータを設定することができる。そこで、この例では、電話機から送出する呼設定要求のユーザ情報または通信アドレスに、ユーザが指定した内線番号を設定し送信するようにしている。図23の接続通信端末決定処理では、呼設定要求中の内線番号を取得して通信端末を決定する。
まず、ステップ340で、呼設定要求のパラメータから内線番号のデータを取り込む。次に、ステップ341で図18に構成を示した内線番号管理テーブルから該当する内線番号の通信端末アドレスを検出する。検出できたら、その通信端末アドレスを接続通信端末のアドレスとして決定して処理を終了する。ステップ341で該当する通信端末アドレスが検出できなかった場合は、通信端末アドレスを未決定として、処理を終了する。
なお本発明の変形例として、図2に示したLAN通信制御部14が複数の通信プロトコル、例えばTCP/IPプロトコルとUDP/IPプロトコルとを同時にサポートする構成としておき、図4および図10の処理の流れ図における音声通信パケットの送信はUDP/IPプロトコルを利用して行い、図5の音声通信要求コマンドや音声通信終了通知コマンド、あるいは図19の接続端末決定結果通知コマンドのような制御情報の送信にはTCP/IPプロトコルを利用するようにしても良い。このようにプロトコルを使いわけることによって、音声通信パケットの到着遅延発生を抑え、かつ確実に音声通信の開始終了等の制御を行うことができる。
本実施例によれば、LAN上の通信端末を利用するユーザが通信端末アドレスを入力した場合には、通信サーバを介すること無く直接LAN上の通信端末間で通話が可能である。それとともに、LAN上の通信端末を利用するユーザが電話番号を入力した場合には、LANと公衆網とに同時に接続された通信サーバを介して、LAN上の通信端末と公衆網に接続された電話機との間で通話が可能である。
また本実施例によれば、LAN上の通信端末を利用するユーザがLAN上の通信端末に音声通信を行おうとして実現できなかった場合に、ユーザがメールプログラムの起動や相手アドレスの入力をしなくても、相手通信端末に対する各種メールを送ることが可能である。
また本実施例によれば、LAN上の通信端末を直接指定できない電話機であっても、LANと公衆網とに同時に接続する通信サーバによって電話機から通信端末を指定する機能が提供されているから、電話機からLAN上の通信端末に対して電話をかけることが可能である。