JP3990093B2 - 情報送信方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤレス通信システムに関し、特に、符号分割多元接続(CDMA)に基づくワイヤレス通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のウォルシュ・アダマール関数系H(長さ2n、ただし、nは正整数)は、ユークリッド空間R2nの直交基底を形成し、値域は1と−1である。これらの関数は、ワイヤレス通信のためのCDMAの領域に応用がある。最近では、CDMAワイヤレス通信システムにおける応用のために準ウォルシュ関数系Qが導入された。これらの関数は、ウォルシュ関数と類似の性質を有し、同じくR2nの直交基底を形成し、1および−1の値のみをとる。準ウォルシュ関数系は、任意に指定されたウォルシュ・アダマール関数の組を符号反転することによって形成される。行列演算でいえば、準ウォルシュ関数系Qは、ウォルシュ・アダマール行列Hに、1および−1からなる対角行列Dを後ろから乗じることによって得られる行ベクトルである。すなわち、Q=HDである。なお、各行ベクトル内の値は1つのチップを表す。準ウォルシュ関数Qを表すこの行列は、等長変換、あるいは正規直交変換と呼ばれる長さを保存する変換であり、この場合、基礎体は実数値をとる。ウォルシュ・アダマール行列は対角行列Dとともに直交行列であるため、結果として得られる積行列Qもまた直交行列である。従って、Q内の相異なる行ベクトルどうし、すなわち、相異なる準ウォルシュ関数どうしの、内積は0である。なお、直交行列Dが単位行列Iであるとき、ウォルシュ・アダマール行列が現れる。従って、ウォルシュ・アダマール行列Hは、準ウォルシュ行列でD=Iのときの特殊な場合である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、傍受およびジャミングに対する高い反発性を有するとともに、多重アクセスおよび取得を可能にする準ウォルシュ関数系を利用する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、あるレートrで、一般化された準ウォルシュ関数系どうしを切り替える。ただし、rは、0に等しくない固定または可変の値である。本発明は、第1の符号を用いて通信チャネルを通じてユーザのための第1の情報セットを送信し、第1の符号の代わりに第2の符号を用いてこの通信チャネルを通じてこのユーザに対する第2の情報セットを送信する。第1および第2の符号は、直交符号あるいは暗号化符号であり、通信チャネルは固定または可変のデータレートを有する。第1および第2の符号は、インデックス(例えば、擬似ランダム系列)、アルゴリズム、数式、既知または巡回系列などを用いて指定される。インデックスは、単一値でも多値でもよい。一実施例では、第1および第2の符号は、第1および第2の直交関数系における行ベクトルiおよびjに対応する。行ベクトルiおよびjは、それぞれの直交関数系において同一とすることも異なることも可能である。同様に、第1および第2の直交関数系は、同一とすることも異なることも可能であり、準ウォルシュ関数系とすることも可能である。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、情報ビットあたり2nチップというチップレートを用いると仮定する(他のチップレートも可能である)。従って、標準的な2n×2nのQ行列を一貫して利用する。CDMAアプリケーションで通例のように、各ユーザにQ行列内の特定の行を割り当てることにより、データチャネルにおける多重アクセスを可能にする。2n×2nより多くのユーザが望まれる場合、追加ユーザには別のQ行列内の行を指定する。この場合、別のQ行列は、相互干渉が極小になるように選択される。しかし、前と同様に、2つの準ウォルシュ関数系Qどうしの間の非直交性により、この相互干渉は0にはなり得ない。準ウォルシュ関数系Qの任意のフレームへの一般化は直ちにできる。以下では、特に2n以下のユーザの場合について述べる。しかし、本発明は、2nより多いユーザにも適用可能であることは理解されるべきである。
【0006】
簡単のため、送信される第1ビットに対して、i番目のユーザに、Q内のi番目の行ベクトル(すなわち、準ウォルシュ関数系におけるi番目の準ウォルシュ関数)を割り当てる。一貫して、パイロットチャネルおよび同期チャネルの助けにより、完全な同期が存在すると仮定する。その後、i番目のユーザに、ビットごとに生成される異なるQ行列内のi番目の行を割り当てる。各ビットkが送信されるごとに、擬似乱数発生器を用いて対角行列Dkを求める。図1に、4個の可能な対角行列Dk(k=0,1,2,3)の例を示す。可能な異なる行列の数は
【数1】
Figure 0003990093
である。さらに、1つの実現で同じDkが多数回生じ得るため、結果として得られる擬似ノイズ(PN:Pseudo Noise)型系列の周期は長くなる可能性がある。一意的な行列DkをHの後ろから乗じてQk=HDkを得る。図2に、図1の対角行列Dkを用いて導出される4個の可能な準ウォルシュ関数系Qkの例を示す。このように、i番目のユーザには、常に同じi番目の行が与えられるが、この行は、送信される各情報ビットごとに異なる準ウォルシュ系からくる可能性が非常に高い。等長変換の公式を知らない観測者にとっては、結果として得られる準ウォルシュ関数列はランダムに見えるため、傍受が困難である。
【0007】
nより多くのユーザをサポートするための一般化は直ちにできる。ここでは、2n+1のユーザをサポートするための方法について説明する、これを超えるユーザをサポートするための一般化も同じ論理に従う。各ビットkに対して、2つのD行列Dk 1およびDk 2を、これらが生成するすべての準ウォルシュ関数が互いに「ほとんど直交する」ように選ぶ。最初の2nユーザには前述のようにしてQk 1からの準ウォルシュ関数を割り当て、次の2nユーザにはQk 2から割り当てる。
【0008】
特定のビットに対して、i番目のユーザに、準ウォルシュ関数Qkの第i行を割り当て、b番目のユーザに、同じ準ウォルシュ関数Qkの第b行を割り当てる。その結果、これらの符号は直交であるために、相互干渉はない。こうして、極大長シフトレジスタPN系列の場合と同じように、長い準ウォルシュ型PN系列が連続するビットにわたって得られる。この連続ビット系列は、シフトレジスタ系列と同様に、すべての信号隠蔽利益を有する。すなわち、インデックスを用いて、連続するビットにわたり準ウォルシュ関数Qkを変える。このインデックスは、PN系列、アルゴリズム、数学関数、既知の系列などを用いて決定される。さらに、これは直交性の追加利益を有し、多重アクセスおよび取得が容易になる。繰り返すまでの準ウォルシュPN系列の長さは、Dkの等長変換をそれぞれ決定する乱数発生器の長さの関数である。追加されたランダム性として、各ビットにおいてi番目のユーザは、i番目以外の行を使用することも可能である。準ウォルシュ関数Qkの実際の行は(別の擬似乱数発生器を用いて)変え得る。
【0009】
与えられた2n×2nウォルシュ・アダマール行列Hに対して、異なる対角等長変換Dkによる後ろからの乗算により、
【数2】
Figure 0003990093
個の異なる準ウォルシュ関数系が生じる。これらの行列の対角成分は、対角線上の−1を0で置き換えることによって、2進数として解釈される。その結果、それぞれの異なるDkは、0から
【数3】
Figure 0003990093
までの整数によって表現される。こうして、符号化、および対応して復号は、各ビットに対応する特定のインデックスkによって効率的に表現される。
【0010】
単純化した説明として、以下の例を考える。R2において、1情報ビットあたり2チップを使用し、2ユーザを考える。この場合、n=1である。前に図1に示したように、4個の異なる対角直交行列が生じる。これらの行列Dkをそれぞれウォルシュ・アダマール行列Hに後ろから乗じると、図2に示す準ウォルシュ関数系Qkが求まる。
【0011】
すべての可能な対角行列等長変換からなる任意の実現に対して、等しい数の1および−1が生じることを例示するため、次の場合を考える。前の例を参照すると、送信される4個の情報ビットのそれぞれに対して、対角行列等長変換が利用される。インデックスがD0、D1、D2、およびD3の順序で等長変換Dkを指定すると仮定する。その場合、送信される各ビットを変調するために用いられる2つのチップを図3に示す。ユーザ0とユーザ1の両方で、1と−1の組合せの数が等しい。
【0012】
本発明は、シルベスター型および非シルベスター型のいずれにも適用可能である。これにより、2nでない(nは整数)実空間における動作が可能となる。また、本発明は、直交でない準ウォルシュ関数系Qどうしの間でも適用可能である。Qの後ろから置換行列Pを乗じることにより、一般化されたウォルシュ関数系QGが得られる。すなわち、QG=HDPである。ここで、Pは、HおよびDと同じ次元(すなわち、m×m)を有することに注意する。m!個の異なるPがあるため、QGの系全体は、準ウォルシュ関数系Qと比べてm!倍に増大し、系どうしの間の低相関の一般化されたウォルシュ関数系を見つける確率が改善されることにより、相互干渉が最小限になる。
【0013】
準ウォルシュ関数を割り当てる上記のプロセスは、一般化されたウォルシュ関数系QGでも同様に作用する。ただし、
【数4】
Figure 0003990093
である。また、k=1,...,m(必ずしも2nに等しくない)であり、x=1,...,m!である。こうして、特定の一般化された準ウォルシュ関数系がjによって定義される。これは、2つの値の組{k,x}の関数である。こうして、情報隠蔽は、2次元インデックスすなわち組{k,x}によって実現され、情報隠蔽性が向上する。1つの実現では、上記のように、各ユーザがすべてのビットにわたり同じ特定の行ベクトルを使用し、各ユーザが互いに異なる行を使用する。この特定の実現では、ビットjに対する拡散系列は
【数5】
Figure 0003990093
から選択されることになる。こうして、符号化、および対応する復号は、各ビットに対応する特定のインデックスj(または組{k,x})によって表現される。
【0014】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、傍受およびジャミングに対する高い反発性を有するとともに、多重アクセスおよび取得を可能にする準ウォルシュ関数系を利用した情報送信方法が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】4つの可能な対角行列Dkの例を示す図である。
【図2】図1の対角行列Dkを用いて導出される4つの可能な準ウォルシュ関数系Qkの例を示す図である。
【図3】送信される各ビットを変調するために用いられる2つのチップの例を示す図である。

Claims (9)

  1. 通信チャネルを通じて、第1の直交関数系における行ベクトルiに対応する第1の符号を用いて変調された、ユーザ用の第1の情報セットを送信するステップと、
    前記通信チャネルを通じて、前記第1の符号の代わりに、前記第1の直交関数系と異なる第2の直交関数系における行ベクトルjに対応する第2の符号を用いて変調された、前記ユーザ用の第2の情報セットを送信するステップと
    を有することを特徴とする情報送信方法。
  2. 前記第1および第2の符号はインデックスを用いて指定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記インデックスは擬似乱数系列によって定義される
    ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記インデックスはアルゴリズムによって定義される
    ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 前記行ベクトルiおよび前記行ベクトルjは、それぞれの直交関数系の同じ行である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記行ベクトルiおよび前記行ベクトルjは、それぞれの直交関数系の異なる行である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記第1の情報セットはビットnに対応し、前記第2の情報セットはビットn+rに対応し、rは0に等しくない固定値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記第1の情報セットはビットnに対応し、前記第2の情報セットはビットn+rに対応し、rは0に等しくない可変値である
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. i番目のユーザ用のビットを送信する方法であって、
    前記i番目のユーザにi番目の行ベクトルを割り当てるステップと、
    第1の直交関数系におけるi番目の行ベクトルを用いて前記i番目のユーザに対応するビットnを送信するステップと、
    前記第1の直交関数系と同一でない第2の直交関数系におけるi番目の行ベクトルを用いて前記i番目のユーザに対応するビットn+rを送信するステップであって、rが0に等しくない可変値であるステップと、
    を有することを特徴とする、i番目のユーザ用のビットを送信する方法。
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