JP3984059B2 - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒素酸化物、硫黄酸化物および粉塵などを含む排ガスを浄化する排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火力発電所などの大容量のボイラから排出される窒素酸化物(以後、「NOx」と略称することがある)および硫黄酸化物(以後、「SOx」と略称することがある)は脱硝装置および脱硫装置によってそれぞれ除去されている。
【0003】
脱硝装置では、通常アンモニア還元法によって排ガスの脱硝処理が行われている。アンモニア還元法は、触媒層を備える脱硝反応器にNOxを含む高温の排ガスを導き、アンモニアを噴霧して両者を反応させ、NOxをアンモニアによって還元して窒素と水蒸気とに分解させる方法である。この方法には、脱硝反応器でアンモニアとNOxとが化学反応を起こし、粉末状の硝安が発生して飛散することがあるので、脱硝反応器の下流側に電気集塵機を設ける必要がある。また脱硝反応器で化学反応を起こさなかったアンモニアが処理ガスとともに流出する恐れがあるので、アンモニア流出防止装置を設ける必要がある。このように、従来の脱硝装置には、構成が複雑になるという問題がある。
【0004】
脱硫装置では、通常湿式石灰石こう法によって排ガスの脱硫処理が行われている。湿式石灰石こう法は、SOxを含む排ガスを吸収塔に導き、アルカリ原料を含む吸収液を噴霧してSOxを吸収し、空気を吹き込んで吸収液中の亜硫酸を酸化し、酸化反応によって生成した硫酸を石灰石によって中和し、中和反応によって得られた石膏を回収する方法である。この方法には超微粗粒子であるSO3ミストの除去効率が低く、除去に長時間を要するという問題がある。また固形物の廃棄物である石膏が生じるという問題がある。
【0005】
さらに従来の脱硝処理および脱硫処理は、前述のように異なる原理に基づいてそれぞれ行われているので、各処理毎に処理装置を設ける必要があり、1つの装置で同時に脱硝および脱硫処理を行うことができないという問題がある。このような従来技術の問題点を解消するために、幾つかの先行技術が開示されている。特開平10−15346号公報には、排ガスを導通する排ガス流通路を備え、排ガス流通路に一対のパルス放電電極を備えた放電室を形成し、放電室にミストもしくは水蒸気を供給する水分供給装置を設け、放電室を水分存在下でコロナ放電自在に形成した脱硝装置が開示されている。この一対のパルス放電電極は、複数の線状の陽極と円板状の陰極とから成る。この先行技術では、一対のパルス放電電極間にコロナ放電を発生させて排ガスの脱硝処理が行われるので、脱硝処理を効率的に行うには一方の円板状電極を排ガスの流れ方向に沿って放電室全域にわたって延びるように形成する必要があり、電極が大形化するという問題がある。
【0006】
特開平8−10643号公報には、SOxを含む排ガスを湿式電気集塵装置に導き、平板状の集塵極板の全表面にわたって均一にアルカリ吸収液膜を流下させながら、針状のとげを有する放電極と集塵極板との間でコロナ放電を発生させて脱硫処理を行う脱硫方法が開示されている。この先行技術では、湿式電気集塵装置の集塵極板の全表面に液膜を形成して脱硫処理が行われるので、吸収液の循環装置を設ける必要があり、構成が複雑になるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、自動車道路のトンネル内および交通量の多い交差点などの広域環境を保全するために、低濃度のNOx,SOx,粉塵などを含む排ガスを大量に処理する装置の開発が求められている。この装置は、排ガスを大量に処理する必要があるので、脱硝効率、脱硫効率および除塵効率が極めて良好であることが必要である。本発明者らの調査によれば、前記特開平10−15346号公報および特開平8−10643号公報に開示されている先行技術には、前述のような問題の他に脱硝効率および脱硫効率が比較的低く、前記広域環境を保全するための装置に適用するには不充分であるという問題がある。
【0008】
他の先行技術は特開平8−108028に開示される。この先行技術では、塵埃の除去を行うために、塵埃を捕捉する水が部分的に貯留された貯水槽の吸気口付近に、塵埃を正コロナ放電によって帯電させる針状正電極と平板状負電極とが配置され、送風手段とイオン風とによって、塵埃を含む吸気が、貯水槽に部分的に貯留されている荷電塵埃とは逆極性のまたは接地された捕塵用水の表面に塵埃が捕捉される。
【0009】
この先行技術では、塵埃の除去を行うことはできる。しかし、水面より上方に放電空間が形成されているが、水面上には放電空間が形成されていないので、NOx,SOxを除去することはできない。したがってこの先行技術では、NOx,SOxの除去のためには、別の装置を必要とする。またこの先行技術では、前述のようにイオン風を利用するが、水面に向かうコロナ風を形成する構成とはなっておらず、したがってコロナ風を利用して塵埃の捕集効率を向上するという考え方は、存在しない。したがってこの先行技術では、塵埃の捕集効率が劣る。
【0010】
本発明の目的は、前記問題を解決し、低濃度のNOx,SOx,粉塵などを含む排ガスを効率よく浄化することのできる排ガス浄化装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、排ガス導入口と排ガス排出口とを有する処理容器であって、内部には部分的に水が貯留され、水面上に放電空間が形成される処理容器と、
放電空間に水面から上方に間隔をあけて設けられ、排ガスの流れ方向に沿ってほぼ水平に延びる第1電極と、
水中または水底に設けられる第2電極と、
第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間でコロナ放電を発生させる電源とを含むことを特徴とする排ガス浄化装置である。
【0012】
本発明に従えば、処理容器の内部には水が部分的に貯留され、水面上に放電空間が形成される。放電空間には第1電極が設けられ、水面下には第2電極が設けられる。電源は、第1電極と第2電極との間に水面を介して第1電極が第2電極よりも高い電位になるように、すなわち第1電極をプラスに設定して電圧を印加し、放電空間でコロナ放電を発生させる。第1電極が第2電極よりも高い電位であるので、第1電極から水面に向かうコロナ風が生じる。第1電極がプラスに設定される場合、特定の形状を有する電極、たとえば鋸状電極を第1電極として用いると、後述の図8に示すように第1電極がマイナスに設定される場合に比べて放電電流を大きくすることができる。またこれによって、後述の図10に示すように放電空間のオゾン濃度を高くすることができ、コロナ放電に伴うコロナ風を強くすることができる。
【0013】
処理容器内にNOxおよびSOxなどの除去すべき物質を含む排ガスが導入されると、オゾンの酸化力によってNOxおよびSOx中の不溶性成分が可溶性成分に変換される。変換された可溶性成分は、元来存在する可溶性成分とともにコロナ風によって水面に向かって吹き付けられるので、これらの可溶性成分と水との反応が促進され、可溶性成分が効率的に水に溶解されて除去される。したがって、たとえば後述の図12,図13に示すように脱硝効率を向上させることができる。またコロナ放電によって粉塵を帯電させて第2電極に引き付けることができるので、粉塵を水面に付着させて排ガス中から除去することができる。これによって、排ガス中のNOx,SOx,粉塵などの除去すべき物質を効率的に除去することができるので、低濃度のNOx,SOxおよび粉塵などを含む排ガス(以後、低濃度排ガスと略称する)を多量に処理する装置に好適に適用することができる。
【0014】
また本発明は、排ガス導入口から導入される排ガスは、空気中に、NOx,SOxおよび粉塵の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、排ガスは、空気中に、NOx,SOxおよび粉塵の少なくとも1つを含み、これらのうちの少なくとも1つを除去することができ、構成が簡略化される。
【0016】
また本発明は、前記電源は、直流電源であることを特徴とする。
本発明に従えば、直流電圧を、直流電源から第1および第2電極間に与え、これによって安定したコロナ放電を、放電空間に形成することができ、効率的に排ガスの浄化を行うことができる。
【0017】
また本発明は、第2電極は、処理容器の底板を形成することを特徴とする。
本発明に従えば、処理容器の底板を第2電極として用いることによって、装置を簡素化することができる。
【0018】
本発明は、上述のうちの1つに記載された排ガス浄化装置を準備し、
前記処理容器に除去すべき物質を含む排ガスを導入し、
第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間にコロナ放電を発生させることを特徴とする排ガス浄化方法である。
【0019】
本発明に従えば、鋸歯状の突起を有する第1電極と第2電極との間に第1電極をプラスに設定して電圧を印加し、放電空間にコロナ放電を発生させ、コロナ放電が発生した状態で除去すべき物質を含む排ガスが供給されるので、排ガスを確実に浄化することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態である排ガス浄化装置1の構成を簡略化して示す斜視図であり、図2は図1のII−IIから見た正面図であり、図3は図1のIII−IIIから見た側面図である。排ガス浄化装置1は、処理容器3を備える。処理容器3は、たとえばステンレス鋼板から成り、内部には部分的に水が貯留されており、水面上に放電空間4が形成されている。処理容器3の一方の端部には、排ガス導入口5が形成されており、排ガス導入口5には排ガス導入管8が接続されている。処理容器3の他方の端部には、排ガス排出口6が形成されており、排ガス排出口6には排ガス排出管9が接続されている。排ガス導入口5の排ガス排出口6側には、整流板10が近接して設けられており、整流板10には複数の絞り孔11が形成されている。
【0021】
NOx,SOxおよび粉塵などの除去すべき物質の少なくとも1つを含む排ガスは、排ガス導入管8から処理容器3内に流入し、整流板10の絞り孔11を通過して整流化され、放電空間4を経て排ガス排出管9から排出される。処理容器3の放電空間4の上部には、水面から上方に間隔L1をあけて一対の金属製の第1電極13が設けられている。第1電極13の個数は、一対に限定されるものではなく、1個でも3個以上でもよい。第1電極13の構成については後述する。
【0022】
第1電極13の下方で、かつ水面よりも下方には、平板状の金属製の第2電極14が第1電極13に対向して設けられている。本実施の形態では、処理容器3の底板が第2電極14を形成する。これによって、処理容器3の底板と第2電極14とが共通化されるので、装置を簡素化することができる。第2電極14は、処理容器3の底板に限定されるものではなく、前記貯留水の水中に設けられる平板状の電極であってもよく、前記貯留水の水底に処理容器3の底板とは別に設けられる平板状の電極であってもよい。
【0023】
処理容器3の近傍には、電源16が設けられている。電源16は、たとえば直流高圧電源であり、第1電極13と第2電極14との間に貯留水を介して高圧の電圧を印加し、前記放電空間4にコロナ放電を発生させる。電圧は、第1電極13の電位が第2電極14の電位よりも高い電位になるように、換言すれば第1電極13の極性をプラスに設定して印加される。
【0024】
前記第1および第2電極13,14は、排ガスの流れ方向17に沿って延在する。これによって、排ガスの流れ方向17に沿ってコロナ放電領域を形成することができるので、排ガスのコロナ放電領域における滞在時間を長くすることができ、排ガスを効率的に浄化させることができる。
【0025】
図4は図1に示す第1電極13の構成を簡略化して示す平面図であり、図5は図4の正面図であり、図6は図4の側面図である。第1電極13は、基部18と複数の突起19とを含んで構成される。基部18は、大略的に平板状の形状を有しており、排ガスの流れ方向17に沿ってほぼ水平に延在する。基部18の表面は、水面にほぼ平行である。突起19は、基部18の一側端部に基部18の長手方向に沿って形成され、側端部から基部18の幅方向外方に先細状に突出する。突起19の形状は、略三角形である。基部18の長手方向は、排ガスの流れ方向17と一致する。
【0026】
突起19は、先端20に向かうにつれて基部18を含む仮想平面21から斜め上方または斜め下方に遠ざかるように形成され、斜め上方に遠ざかる突起と斜め下方に遠ざかる突起とが基部18の長手方向に沿って交互に配置される。第1電極13の寸法は、たとえば板厚T:0.64mm,突起19のピッチP:2.54mm,突起19の基部18の側端からの突出高さh:1.26mm,突起19の基部18の表面からの突出高さs:0.24mm,突起19の角度θ:55°である。このように、突起19は鋸歯状に形成されるので、以後第1電極13を鋸状電極と呼ぶことがある。本実施の形態では、突起19は基部18の一側端部に基部18の長手方向に沿って形成されているけれども、図7に示すように基部18の両側端部に基部18の長手方向に沿って形成してもよい。
【0027】
排ガス浄化装置1における排ガスの浄化は、前記鋸状電極13を放電空間4に水面から上方に間隔をあけて取付け、NOx、SOx、粉塵などの除去すべき物質を少なくとも1つ含む排ガスを処理容器3に導入し、鋸状電極13の極性をプラスに設定し、鋸状電極13と第2電極14との間に水面を介して直流高電圧を印加し、放電空間4にコロナ放電を発生させることによって行われる。次に、鋸状電極13の極性をプラスに設定して電圧が印加される理由および放電空間4における化学反応について説明する。
【0028】
図8は放電空間における放電電圧と放電電流との関係を鋸状電極13の極性をパラメータとして示すグラフであり、図9は放電空間における放電電圧と放電電流との関係を針状の突起を有する電極の極性をパラメータとして示すグラフである。図8の測定値は、放電空間4に図4〜図6に示す鋸状電極13を取付け、鋸状電極13と第2電極14との間に電圧を印加して求めたものである。図8の測定条件は、表1に示すとおりである。
【0029】
【表1】
Figure 0003984059
【0030】
図9の測定値は、金属製の平板に金属製の針状の突起を複数均等に配置した電極(以後、「針電極」と呼ぶ)を準備し、図1〜図3に示す排ガス浄化装置1に針電極を第1電極13に代わって取付け、針電極と第2電極14との間に電圧を印加して求めたものである。図9の測定条件は、表2に示すとおりである。
【0031】
【表2】
Figure 0003984059
【0032】
図8中の参照符23aは、鋸状電極13の極性がプラスであることを示し、参照符23bは鋸状電極13の極性がマイナスであることを示し、図9中の参照符24aは針電極13の極性がプラスであることを示し、参照符24bは針電極13の極性がマイナスであることを示す。
【0033】
図8および図9から、鋸状電極13および針電極とも放電電圧が上昇するにつれて放電電流が増加すること、鋸状電極13では高電圧領域で鋸状電極13をプラスに設定する方が鋸状電極13をマイナスに設定するよりも放電電流が大きいこと、針電極では高電圧領域で針電極をマイナスに設定する方が針電極をプラスに設定するよりも放電電流が大きいことなどが判る。このように、放電電流の大きくなる電極の極性が鋸状電極と針電極とで異なるのは、突起のピッチおよび電極形状の違いによるものと考えられる。
【0034】
図10は、鋸状電極13の放電電流と放電空間4のオゾン濃度との関係を示すグラフである。図中の参照符25は鋸状電極13の極性がプラスであることを示し、参照符26は鋸状電極13の極性がマイナスであることを示す。
【0035】
図10から、放電電流が大きくなるほど放電空間4におけるオゾン濃度が高くなること、同一の放電電流の大きさで比べると鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりも放電空間4におけるオゾン濃度が高いことなどが判る。このように放電電流の大きさが同一であっても鋸状電極13の極性によって放電空間4におけるオゾン濃度が異なるのは、次のように説明される。
【0036】
鋸状電極13の極性をマイナスに設定して高電圧を印加すると、鋸状電極13の突起19の先端20から電子が放出される。電子は移動度が高いので、図11(1)に示すように突起19の先端付近の狭い領域22aに強いコロナ放電を発生させる。これに対して、鋸状電極13の極性をプラスに設定して高電圧を印加すると、鋸状電極13の突起19の先端20からイオンが放出される。イオンは、電子に比べて移動度が低いので、図11(2)に示すように突起19の先端付近の比較的広い領域22bにコロナ放電を発生させる。オゾンの発生は、この広い領域22bにコロナ放電が発生しているときの方が狭い領域22aにコロナ放電が発生しているときよりも生じやすい。
【0037】
前述のように、鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりも放電電流が大きくなるので、オゾンの発生量が増加する。また同一の放電電流の大きさで比べると、オゾンの発生量は鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりも大きい。したがって、鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりもオゾンの発生量を大幅に増大させることができる。さらに、オゾンの発生量を同一にすると、鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりも放電電流の大きさを小さくすることができるので、低電力で同量のオゾンを発生することが可能となる。
【0038】
図12は、放電空間における放電電圧と放電電流と脱硝効率との関係を鋸状電極13の極性をパラメータとして示すグラフである。図12の測定値は、図8と同一の測定装置を用い、NOxと粉塵とを含む排ガスを処理容器3に導入して求めたものである。図12の測定条件のうち、鋸状電極13と水面との距離L1は16mmであり、他の測定条件は表1と同一である。図12中の参照符27,28は、鋸状電極13の極性をプラスに設定したときの脱硝効率および放電電流をそれぞれ示し、図12中の参照符29,30は、鋸状電極13の極性をマイナスに設定したときの脱硝効率および電流値をそれぞれ示す。
【0039】
図12から、放電電圧が高くなるにつれて鋸状電極13の極性にかかわらず脱硝効率が高くなり、かつ放電電流が大きくなること、放電電圧の高い領域では鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりも脱硝効率が高くなり、かつ放電電流が大きくなることが判る。
【0040】
放電空間4における脱硝反応は、次のような化学反応によって生じる。放電空間4では、コロナ放電によって空気中の酸素からオゾンが発生し、オゾンによって排ガス中のNOxの水に溶解しにくい成分である一酸化窒素(以後、「NO」と呼ぶ)が酸化されて、化1に示す反応式でNOxの水に溶解しやすい成分である二酸化窒素(以後、「NO2」と呼ぶ)に変換され、変換された可溶性のNO2および元来存在する可溶性NO2が化2に示す反応式で水に溶解して排ガス中から除去される。またコロナ放電では、放電に伴うコロナ風が水面に向かって発生するので、可溶性のNO2が水面に向かって移動するとともに、水面が波立ってNO2の水への溶解を促進する。
【0041】
【化1】
NO+O3 → NO2+O2
【0042】
【化2】
3NO2+H2O → 2HNO3+NO
【0043】
このような脱硝反応において、鋸状電極13の極性をプラスに設定するとマイナスに設定したときよりも図8および図12に示すように放電電流が大きくなるので、図10に示すようにオゾン発生量が増大する。オゾン発生量が増大すると、化1の反応が促進されるとともに化2の反応が促進される。また放電電流の増大に伴ってコロナ風が強くなるので、化1および化2の反応が促進される。この結果、脱硝効率が高くなる。図12のように鋸状電極13の極性をプラスに設定する方がマイナスに設定するよりも脱硝効率を高くすることができるのはこの理由によるものである。さらに、放電空間4では放電電流の増加とともに水蒸気が発生するので、OHラジカルが発生してOHラジカルによるNO2の分解反応も生じているものと考えられる。OHラジカルによってNO2は、N2とO2とに分解される。
【0044】
図13は、放電空間における放電電圧と脱硝効率との関係を鋸状電極および針電極の極性をパラメータとして示すグラフである。図13の測定値は、図8および図9と同一の測定装置を用い、NOxと粉塵とを含む排ガスを処理容器3に導入して求めたものである。図13の測定条件のうち鋸状電極13と水面との距離L1は16mmであり、他の測定条件は表1および表2と同一である。図13中の参照符27は、鋸状電極13の極性をプラスに設定したときの脱硝効率を示し、参照符29は鋸状電極13の極性をマイナスに設定したときの脱硝効率を示し、参照符31は針電極の極性をマイナスに設定したときの脱硝効率を示し、参照符32は針電極の極性をプラスに設定したときの脱硝効率を示す。
【0045】
図13から、脱硝効率が放電電圧の増加につれて鋸状電極13および針電極ともにその極性にかかわらず高くなること、鋸状電極13の極性をプラスに設定する方が鋸状電極13の極性をマイナスに設定するよりも放電電圧の高い領域で脱硝効率が高くなること、針電極の極性をマイナスに設定する方が針電極の極性をプラスに設定するよりも放電電圧にかかわらず脱硝効率が高くなること、鋸状電極13の極性をプラスに設定する方が放電電圧の高い領域で針電極の極性をマイナスに設定するよりも脱硝効率が高くなることなどが判る。このような図13の測定結果は、いずれも図12の場合と同様に放電電流の増加に伴うオゾン発生量の増大およびコロナ風の強化によるものである。
【0046】
このように、鋸状電極13を放電空間4に取付け、鋸状電極13の極性をプラスに設定し、放電空間4でコロナ放電を発生させて脱硝処理を行えば、針電極を放電空間4に取付け、針電極の極性をマイナスに設定して脱硝処理を行う方法、および鋸状電極13の極性をマイナスに設定して脱硝処理を行う方法のいずれよりも脱硝効率を高めることができる。前述のように鋸状電極13の極性がプラスに設定されるのは、このように他の方法よりも脱硝効率を高めることができるからである。
【0047】
前記排ガス中のNOxを除去する原理は、排ガス中のSOxの除去にも適用できる。すなわち、オゾンによって排ガス中のSOおよびSO2を酸化して水に溶解しやすい成分であるSO3に変換し、SO3を水に溶解して排ガス中のSOxを除去することができる。放電空間における脱硫反応は、化3〜化5の反応式によって進行する。
【0048】
【化3】
SO+O3 → SO2+O2
【0049】
【化4】
SO2+O3 → SO3+O2
【0050】
【化5】
SO3+H2O → H2SO4
【0051】
このような脱硫処理においても脱硝処理と同様に鋸状電極13を放電空間4に取付け、鋸状電極13の極性をプラスに設定してコロナ放電を発生させることによって、前述の他の方法よりも放電電流を大きくすることができ、脱硫効率を高めることができる。
【0052】
さらに、前記排ガス中のNOxおよびSOxを除去する原理は、排ガス中のダイオキシンの除去にも同様に適用できる。すなわち、オゾンによって排ガス中のダイオキシンを酸化して水に溶解しやすい成分に変換し、その成分を水に溶解して排ガス中のダイオキシンを除去することができる。
【0053】
前述のように、脱硝および脱硫処理は鋸状電極13を放電空間4に取付け、鋸状電極13の極性をプラスに設定して電極間に高電圧を印加し、放電空間4でコロナ放電を発生させることによって行われている。このような構成は、排ガス中の粉塵の除去にも適用できる。すなわち、粉塵はコロナ放電によって帯電されて第2電極に引き付けられるので、粉塵を水面に付着させて除去することができる。この場合、粉塵除去率は鋸状電極13の極性をプラスに設定することによって放電電流を大きくすることができること、および水面に集塵されて付着した粉塵は水の粘性によって再飛散しにくいことなどの理由によって非常に良好である。
【0054】
前述のように本実施の形態では、排ガス浄化装置1によって排ガス中のNOx、SOxおよび粉塵をそれぞれ効率的に除去することができる。これは、1つの装置で同時に排ガス中のNOx、SOxおよび粉塵を効率的に除去することができることを意味している。したがって、本実施の形態の排ガス浄化装置1は、前記低濃度排ガスを大量に処理する装置に好適に適用することができる。
【0055】
図14は本発明の他の実施の形態である第1電極33の構成を簡略化して示す平面図であり、図15は図14の正面図であり、図16は図14の側面図である。本実施の形態の第1電極33は、図4〜図6に示す第1電極13と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付し説明を省略する。注目すべきは、突起19が全て先端20に向かうにつれて基部18を含む仮想平面21から斜め下方に遠ざかるように傾斜して形成されている点である。これによって、突起19の先端20と水面との距離が短くなるので、第1電極13よりも放電電流を全体として増大させることができる。したがって、本実施の形態の第1電極33は第1電極13よりも放電空間4のオゾン濃度を高めることができるとともに強いコロナ風を発生させることができ、脱硝効率、脱硫効率および粉塵除去率をさらに高めることができる。
【0056】
図17は、本発明のさらに他の実施の形態である排ガス浄化装置35の構成を簡略化して示す正面図である。本実施の形態の排ガス浄化装置35は、排ガス浄化装置1と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付し説明を省略する。注目すべきは、排ガス浄化装置35の処理容器3の排ガス導入口5付近に水噴霧装置36が設けられている点である。水噴霧装置36は、たとえば超音波ミスト発生器であり、排ガス中に噴霧水(以後、「ミスト」と呼ぶ)を供給する。これによって、排ガス浄化装置35は、放電空間4において排ガス中の不溶性成分から変換された可溶性成分および元来存在する可溶性成分をその場でミスト中に溶解して除去することができる。またダストをミストに付着させて除去することができる。したがって、本実施の形態の排ガス浄化装置35は、排ガス浄化装置1よりも効率的に排ガス中のNOx,SOxおよび粉塵を除去することができ、前記低濃度排ガスを大量に処理する装置に好適に適用することができる。
【0064】
以上のように本発明では、第1電極13として鋸歯状の突起を有する電極を用いているけれども、他の構成の電極、たとえば有刺鉄線を平板上に取付けた電極を用いてもよい。この場合、鋸歯状の突起と同程度の短いピッチの有刺鉄線を用いれば、鋸歯状の突起を有する第1電極13と同様の効果を奏することができる。また電源として直流電源を用いているけれども、他の電源、たとえばパルス電圧発生電源、および交流電源を用いてもよい。また液膜形成手段のノズル56は平板状電極48の上方に設けられているけれども、平板状電極48の側部に設けるように構成してもよい。また第1および第2電極13,14は、排ガスの流れ方向17に沿って延在するように構成されているけれども、他の構成であってもよい。
【0065】
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)排ガス導入口と排ガス排出口とを有する処理容器であって、内部には部分的に水が貯留され、水面上に放電空間が形成される処理容器と、放電空間に水面から上方に間隔をあけて設けられる第1電極と、水中または水底に設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間でコロナ放電を発生させる電源とを含み、前記第1電極は、排ガス導入口から導入された排ガスの流れ方向に沿ってほぼ水平に延び、水面にほぼ平行な表面を有する平板状の基部と、基部の側端部に基部の長手方向に沿って形成され、側端部から基部の幅方向外方に先細状に突出する複数の突起とを含み、前記突起は、先端に向かうにつれて基部を含む仮想平面から斜め上方または斜め下方に遠ざかるように形成され、斜め上方に遠ざかる突起と斜め下方に遠ざかる突起とが基部の長手方向に沿って交互に配置されることを特徴とする排ガス浄化装置。
【0066】
処理容器の内部には水が部分的に貯留され、水面上に放電空間が形成される。放電空間には第1電極が設けられ、水面下には第2電極が設けられる。電源は、第1電極と第2電極との間に水面を介して第1電極が第2電極よりも高い電位になるように、すなわち第1電極をプラスに設定して電圧を印加し、放電空間でコロナ放電を発生させる。第1電極がプラスに設定される場合、特定の形状を有する電極、たとえば鋸状電極を第1電極として用いると、前述の図8に示すように第1電極がマイナスに設定される場合に比べて放電電流を大きくすることができる。またこれによって、前述の図10に示すように放電空間のオゾン濃度を高くすることができ、コロナ放電に伴うコロナ風を強くすることができる。
【0067】
処理容器内にNOxおよびSOxなどの除去すべき物質を含む排ガスが導入されると、オゾンの酸化力によってNOxおよびSOx中の不溶性成分が可溶性成分に変換される。変換された可溶性成分は、元来存在する可溶性成分とともにコロナ風によって水面に向かって吹き付けられるので、これらの可溶性成分と水との反応が促進され、可溶性成分が効率的に水に溶解されて除去される。したがって、たとえば前述の図12,図13に示すように脱硝効率を向上させることができる。またコロナ放電によって粉塵を帯電させて第2電極に引き付けることができるので、粉塵を水面に付着させて排ガス中から除去することができる。これによって、排ガス中のNOx,SOx,粉塵などの除去すべき物質を効率的に除去することができるので、低濃度のNOx,SOxおよび粉塵などを含む排ガス(以後、低濃度排ガスと略称する)を多量に処理する装置に好適に適用することができる。
【0068】
第1電極が平板状の基部と、鋸歯状の突起とを有し、全体形状が鋸状に形成されるので、第1電極をプラスに設定して電圧を印加すると、前述のように効率的に排ガスの浄化を行うことができる。
【0069】
第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧が印加されるので、第1電極として鋸状電極を用いるとき、第1電極が第2電極よりも低い電位の場合に比べて放電電流を大きくすることができる。これによって、放電空間のオゾン濃度を高くすることができ、コロナ放電に伴うコロナ風を強くすることができる。
【0070】
(2)排ガス導入口と排ガス排出口とを有する処理容器であって、内部には部分的に水が貯留され、水面よりも上方に放電空間が形成される処理容器と、放電空間に水面から上方に間隔をあけて設けられる第1電極と、水中または水底に設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間でコロナ放電を発生させる電源とを含み、前記第1電極は、排ガス導入口から導入された排ガスの流れ方向に沿ってほぼ水平に延び、水面にほぼ平行な表面を有する平板状の基部と、基部の側端部に基部の長手方向に沿って形成され、側端部から基部の幅方向外方に先細状に突出する複数の突起とを含み、前記突起は、先端に向かうにつれて基部を含む仮想平面から斜め下方に遠ざかるように形成されることを特徴とする排ガス浄化装置。
【0071】
第1電極の突起が先端に向かうにつれて基部を含む仮想平面から斜め下方に遠ざかるように形成されるので、全ての突起が下向きに形成されることになり、突起と水面との距離を短くすることができる。したがって、さらに効率的に排ガスの浄化を行うことができる。
【0072】
第1電極の全ての突起が下向きに形成されるので、突起と水面との距離を短くすることができ、さらに効率的に排ガスの浄化を行うことができる。
【0073】
(3)前記処理容器の排ガス導入口付近には、噴霧水を発生する水噴霧装置が設けられることを特徴とする排ガス浄化装置。
【0074】
(4)排ガス導入口と排ガス排出口とを有する処理容器であって、内部には部分的に水が貯留され、水面よりも上方に放電空間が形成される処理容器と、放電空間に水面から上方に間隔をあけて設けられる第1電極と、水中または水底に設けられる第2電極と、第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間でコロナ放電を発生させる電源とを含み、前記処理容器の排ガス導入口付近には、噴霧水を発生する水噴霧装置が設けられることを特徴とする排ガス浄化装置。
【0075】
水噴霧装置から放電空間に噴霧水を供給することができるので、オゾンによって変換されたNOxおよびSOxの可溶性成分をその場で噴霧水中に溶解することができる。また粉塵を噴霧水に付着させて除去することができる。したがって、効率的に排ガスの浄化を行うことができる。
【0076】
(5)前記第2電極は、排ガス導入口から導入された排ガスの流れ方向に沿って延びることを特徴とする排ガス浄化装置。
【0077】
第2電極が排ガスの流れ方向に沿って延びるので、排ガスの流れ方向に沿ってコロナ放電を発生させることができる。これによって、排ガスのコロナ放電領域における滞在時間を長くすることができ、効率的に排ガスの浄化を行うことができる。
【0078】
(6)排ガス導入口と排ガス排出口とを有する処理容器であって、内部に放電空間が形成される処理容器と、処理容器内に排ガス導入口から導入された排ガスの流れ方向に平行で、かつ上下方向に延び、さらに排ガスの流れ方向に垂直な方向に間隔をあけて設けられる複数の平板状電極と、平板状電極間に各平板状電極に対して平行に設けられる放電電極であって、上下方向に延びる平板状の基部と、基部の側端部に基部の長手方向に沿って形成され、側端部から基部の幅方向外方に先細状に突出する複数の突起とを有し、前記突起は先端に向かうにつれて基部を含む仮想平面から仮想平面の一方側または他方側に遠ざかるように形成され、仮想平面の一方側に遠ざかる突起と、仮想平面の他方側に遠ざかる突起とが基部の長手方向に沿って交互に配置される放電電極と、放電電極と平板状電極との間に、放電電極が平板状電極よりも高い電位になるように電圧を印加してコロナ放電を発生させる電源と、平板状電極の表面に液膜を形成する液膜形成手段とを含むことを特徴とする排ガス浄化装置。
【0079】
処理容器内には上下方向に延びる複数の平板状電極が排ガスの流れ方向に平行に間隔をあけて設けられ、平板状電極間には放電電極が設けられる。平板状電極の表面には、液膜形成手段によって液膜、たとえば水膜が形成され、水は上方から下方に向かって流下する。電源は、放電電極と平板状電極との間に放電電極が平板状電極よりも高い電位になるように水膜を介して電圧を印加し、コロナ放電を発生させる。放電電極は、平板状の基部と、鋸歯状の突起とを有し、全体形状が鋸状に形成される。鋸状の放電電極をプラスに設定する場合、前述のように鋸状の放電電極をマイナスに設定する場合に比べて放電電流を大きくすることができる。またこれによって、放電空間のオゾン濃度を高くすることができ、コロナ風を強くすることができる。
【0080】
処理容器内にNOx,SOx,粉塵などの除去すべき物質を含む排ガスが導入されると、オゾンの酸化力によってNOxおよびSOx中の不溶性成分が可溶性成分に変換される。変換された可溶性成分は、元来存在する可溶性成分とともに、コロナ風によって水膜に向かって吹き付けられるので、これらの可溶性成分と水膜との反応が促進され、可溶性成分が効率的に水膜に溶解されて除去される。またコロナ放電によって粉塵を帯電させて平板状電極に引き付けることができるので、粉塵を水膜に付着させて排ガス中から除去することができる。したがって排ガス中の除去すべき物質を効率的に除去することができ、前記低濃度排ガスを大量に処理する装置に好適に適用することができる。
【0081】
(7)上述のうちの1つに記載された排ガス浄化装置を準備し、前記処理容器に除去すべき物質を含む排ガスを導入し、第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間にコロナ放電を発生させることを特徴とする排ガス浄化方法。
本発明に従えば、鋸歯状の突起を有する第1電極と第2電極との間に第1電極をプラスに設定して電圧を印加し、放電空間にコロナ放電を発生させ、コロナ放電が発生した状態で除去すべき物質を含む排ガスが供給されるので、排ガスを確実に浄化することができる。
【0082】
(8)上述の排ガス浄化装置を準備し、前記処理容器に除去すべき物質を含む排ガスを導入し、前記平板状電極の表面に液膜を流下させながら、放電電極と平板状電極との間に、放電電極が平板状電極よりも高い電位になるように電圧を印加してコロナ放電を発生させることを特徴とする排ガス浄化方法。
本発明に従えば、平板状電極の表面に液膜を流下させながら、鋸歯状の突起を有する放電電極と平板状電極との間に放電電極をプラスに設定して電圧を印加し、平板状電極の表面の液膜を介してコロナ放電を発生させ、コロナ放電が発生した状態で除去すべき物質を含む排ガスが供給されるので、排ガスを確実に浄化することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の本発明によれば、第1電極は放電空間に配置され、第2電極は水中または水底に配置され、したがって第1電極と水面との間の水面上の放電空間でコロナ放電が発生する。
【0084】
第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧が印加されるので、第1電極が第2電極よりも低い電位の場合に比べて放電電流を大きくすることができる。これによって、放電空間のオゾン濃度を高くすることができ、コロナ放電に伴うコロナ風を強くすることができる。
【0085】
処理容器内にNOxおよびSOxなどの除去すべき物質を含む排ガスが導入されると、オゾンの酸化力によってNOxおよびSOx中の不溶性成分が可溶性成分に変換される。変換された可溶性成分は、元来存在する可溶性成分とともにコロナ風によって水面に向かって吹き付けられるので、これらの可溶性成分と水との反応が促進され、可溶性成分が効率的に水に溶解されて除去される。
【0086】
放電空間の第1電極と、第2電極が接触している水面との間の水面上の放電空間に上述のようにコロナ放電が発生するので、このコロナ放電によって、水に溶解しにくいNOを酸化し、水に溶解しやすいNO2に変換し、このコロナ放電によって生じる水面に向かうコロナ風によって、溶解しやすいNO2は水面に向かい、水へのNO2の溶解が促進するという優れた効果が達成される。
【0087】
また上述のように第1電極と水面との間の水面上の放電空間のコロナ放電によって、水面から放出されるOHラジカルによって、NO2分解反応を行う作用があり、NO2を浄化する作用が向上される。
【0088】
またコロナ放電によって粉塵を帯電させて第2電極に引き付けることができるので、粉塵を水面に付着させて排ガス中から除去することができる。これによって、排ガス中のNOx、SOxおよび粉塵などの除去すべき物質を効率的に除去することができるので、低濃度排ガスを大量に処理する装置に好適に適用することができる。
【0089】
このように本発明によれば、水面に向かってコロナ風が発生し、コロナ風によって波立った水面によって、NOx,SOxの水への溶解が促進される。しかも、水面に対して電界が加わるので、NOx,SOxの水への溶解が優れており、さらに、コロナ放電によって帯電した粉塵の水面による集塵効果が高まる。
【0090】
このような請求項1の本発明の独特の構成と、それによって達成される効果は、前述の先行技術には、全く開示されていない。
【0091】
請求項2記載の本発明によれば、排ガスは、空気中に含まれるNOx,SOxおよび粉塵の少なくとも1つを共通の本件装置で除去することができるという優れた効果が達成される。
【0092】
請求項3記載の本発明によれば、直流電圧を第1および第2電極間に与え、これによって安定したコロナ放電を放電空間に形成し、効率の向上を図ることができる。
【0093】
請求項4記載の本発明によれば、処理容器の底板を第2電極として用いることによって、装置の簡素化を図ることができる。このことは構成が大形化する本件装置において重要なことである。
【0094】
請求項5記載の本発明によれば、第1電極と第2電極との間に第1電極をプラスに設定して電圧を印加し、水面上の放電空間にコロナ放電を発生させ、コロナ放電が発生した状態で除去すべき物質を含む排ガスが供給されるので、排ガスを確実に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である排ガス浄化装置1の構成を簡略化して示す斜視図である。
【図2】図1のII−IIから見た正面図である。
【図3】図1のIII−IIIから見た側面図である。
【図4】図1に示す第1電極13の構成を簡略化して示す平面図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】図4の側面図である。
【図7】第1電極13の他の構成を簡略化して示す平面図である。
【図8】放電空間における放電電圧と放電電流との関係を鋸状電極の極性をパラメータとして示すグラフである。
【図9】放電空間における放電電圧と放電電流との関係を針状の突起を有する電極の極性をパラメータとして示すグラフである。
【図10】鋸状電極13の放電電流と放電空間4のオゾン濃度との関係を示すグラフである。
【図11】鋸状電極13の極性とコロナ放電発生領域との関係を示すグラフである。
【図12】放電空間における放電電圧と放電電流と脱硝効率との関係を鋸状電極13の極性をパラメータとして示すグラフである。
【図13】放電空間における放電電圧と脱硝効率との関係を鋸状電極および針電極の極性をパラメータとして示すグラフである。
【図14】本発明の他の実施の形態である第1電極33の構成を簡略化して示す平面図である。
【図15】図14の正面図である。
【図16】図14の側面図である。
【図17】本発明のさらに他の実施の形態である排ガス浄化装置35の構成を簡略化して示す正面図である。
【符号の説明】
1,3 排ガス浄化装置
処理容器
放電空間
排ガス導入口
排ガス排出口
排ガス導入管
排ガス排出管
10 整流板
11 絞り孔
13 第1電極
14 第2電極
電源
基部
突起
36 水噴霧装置

Claims (5)

  1. 排ガス導入口と排ガス排出口とを有する処理容器であって、内部には部分的に水が貯留され、水面上に放電空間が形成される処理容器と、
    放電空間に水面から上方に間隔をあけて設けられ、排ガスの流れ方向に沿ってほぼ水平に延びる第1電極と、
    水中または水底に設けられる第2電極と、
    第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間でコロナ放電を発生させる電源とを含むことを特徴とする排ガス浄化装置。
  2. 排ガス導入口から導入される排ガスは、空気中に、NOx,SOxおよび粉塵の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の排ガス浄化装置。
  3. 前記電源は、直流電源であることを特徴とする請求項1または2記載の排ガス浄化装置。
  4. 第2電極は、処理容器の底板を形成することを特徴とする請求項1〜3の1つに記載の排ガス浄化装置。
  5. 請求項1〜4のうちの1つに記載された排ガス浄化装置を準備し、
    前記処理容器に除去すべき物質を含む排ガスを導入し、
    第1電極と第2電極との間に、第1電極が第2電極よりも高い電位になるように電圧を印加して前記放電空間にコロナ放電を発生させることを特徴とする排ガス浄化方法。
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