JP3981657B2 - 機能水の検出方法および検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、水に微弱エネルギーを付与することにより作成された機能水の検出方法および検出装置に関する。
機能水とは、水に微弱エネルギーを付与することにより作成されるもので、具体的な処理方法としては、磁場処理法、電磁場処理法、超音波処理法、電気分解処理法、ミネラル処理法、遠赤外線処理法(セラミックス処理等)などさまざまな方法が知られている。
例えば、特開平10―5751号公報には、水の中に遠赤外線放射率の極めて高いセラミックスを浸漬することにより、水分子の分子構造を小さくして比熱容量や熱伝導率を高めた水が開示されている。
また、一般的に水を評価する方法としては、X線回折、ラマン散乱、NMR、中性子準弾性・非弾性散乱、超音波吸収、誘電緩和(インピーダンス測定法、マイクロ波分光法、TDR法、赤外・可視・紫外吸収法)などさまざまな方法が報告されており、ここ数年間はNMR(核磁気共鳴法)の半値幅が機能水では小さく検出でき、機能水の測定に関し適しているとされ、数多くの研究者に愛用されてきた。
しかし、NMRの半値幅はpHの影響を受けるので、水道水のような不純物の多い水の評価には不適である。また、磁気活性器より強い磁場をかけるので、NMR測定では、常に磁気処理水を測定していることになっており、仮に磁気処理の結果、水に物理的な違いが生じたとしても、それを測定して磁気処理しない水と比較するためにNMRは使用できないことが判明し、この技術でさえ最近では使用できないとされており、従来の水の評価方法では機能水の評価は困難とされているのが実情である。
このような中で、現在で報告されている機能水の物理現象として、pHや酸化還元電位などの変化、更には、溶存酸素濃度、表面張力、粘度などが低下することも報告されている。
そこで、本発明者等は、実際に従来技術で本当に測定できないのかを自分たちの目で確認するために簡便な方法ではあるが基礎実験を行った。
具体的には、セラミックス処理水を使用して、測定方法面ではインピーダンス測定法、TDR法、赤外吸収法(遠赤、近赤)などを試してみたが、機能水と純水とで、全く有意差が見られなかった。
ここで、赤外線吸収法について更に説明を付け加えると、赤外線吸収法にはよく使用される方法として透過法、ATR法があり、その各々の方法についても試してみた。
まず、透過法について、液体ホルダーの構造を、窓材(CaF2)+スペーサ(試料層)+窓材(CaF2)の窓材2層構造とし、スペーサ部に水を入れレーザを透過させて測定する方法を試みた。水を入れる小隙間の厚みはスペーサの厚みで保証されており水には圧力はほとんどかかっていない。この測定方法を用いて相当数測定を行ったが全く有意差は見られなかった。
次に、ATR法について、結晶(ZnSe)の上に水をのせ、結晶中をレーザが反射して進行していく際に、その反射部のもぐり込み深さ分で水の吸収を測定する方法を用いて相当数測定を行ったが全く有意差は見られなかった。
また、物理現象面では表面張力、粘度など試してみたが有意差があったとしても誤差の範囲であり再現性にも乏しく測定装置として使用できないことを再確認した。
以上のように、機能水の評価に関しては従来の知見通りこれらの測定技術をもってしても困難で、また、測定できたとしても再現性に乏しい等、機能水の評価に適した技術は存在しなかった。
特開平10―5751号公報
そこで、本発明は、水に微弱エネルギーを付与することにより作成された機能水を正確かつ再現性よく検出する方法および検出装置を提供することを課題とする。
本発明は、従来の透過法を改善することによって、水に微弱エネルギーを付与することにより作成された機能水を正確かつ再現性よく検出する方法および検出装置を提供するものであり、その要旨とするところは、特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出方法であって、
液体ホルダーに試料を封入し、
該液体ホルダーにおける空気層の厚みを一定にし、
該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させ、その吸収量を測定することを特徴とする機能水の検出方法。
(2)水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出方法であって、
液体ホルダーに試料を封入し、
該液体ホルダーにおける試料層の圧力を一定にし、
該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させ、その吸収量を測定することを特徴とする機能水の検出方法。
(3)前記液体ホルダーに、前記レーザに代えて高周波電磁場を透過させ、その誘電率を測定することを特徴とする(1)または(2)に記載の機能水の検出方法。
(4)水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出装置であって、
試料を封入する液体ホルダーの窓材を3層構造としてその間に空気層および試料層を設け、
該液体ホルダーには空気層の厚みを調整するスペーサを設け、
該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させる際の吸収量を測定するレーザ吸収量測定装置を設けることを特徴とする機能水の検出装置。
(5)水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出装置であって、
試料を封入する液体ホルダーの窓材を2層構造としてその間に試料層を設け、該液体ホルダーに試料層の圧力を調整する圧力調整装置を設け、
該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させ、その吸収量を測定するレーザ吸収量測定装置を設けることを特徴とする機能水の検出装置。
(6)前記液体ホルダーに前記レーザに代えて高周波電磁場を透過させ、その誘電率を測定する誘電率測定装置を設けることを特徴とする(4)または(5)に記載の機能水の検出装置。
本発明によれば、従来の透過法を改善することによって、水に微弱エネルギーを付与することにより作成された機能水を正確かつ再現性よく検出する方法および検出装置を提供することができ、機能水の定量的な評価ができることによって、鉄鋼業をはじめ、食品製造業、医療分野などにおいても水の管理、更には、機能水の設計などに活用することができ品質管理・向上への期待は大きく、産業上有用な著しい効果を奏する。
本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図5を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明における機能水の検出方法の実施形態を例示する図である。
図1において、例えば、光源から発振された単波長のHe-Neレーザ(λ=639nm)は、固定ミラーと移動ミラーを使用した干渉計によって、波に干渉を発生させて多波長の出力光に変換する。
この多波長の出力光を、試料を封入した液体ホルダーに透過し、レーザ吸収量測定装置によって、透過しない比較光との吸収量の差を測定する。
レーザ吸収量測定装置は、検出器およびフーリエ変換装置から構成されており、検出された多波長出力光の受光強度をフーリエ変換して演算することによって、レーザの波長に対応した吸収量を出力することができる。
図2は、従来の機能水の検出方法に使用していた液体ホルダーを例示する図である。
図2において、1は窓材、2は試料層用スペーサ、3は押え用スペーサ、4は 外部ケース、5は蓋を示す。
図2に示すように、従来の液体ホルダーは、試料層用スペーサ2および押え用スペーサ3によって、測定基準として試料層2の厚さを一定にして測定していた。
しかし、この場合、試料に働く圧力は一定とは限らないため、レーザ吸収量の測定結果には、試料に働く圧力の影響が含まれており、正確な評価ができなかった。
図3は、本発明の機能水の検出方法に使用する液体ホルダーを例示する図である。
図3において、1は窓材、4は外部ケース、5は蓋、6は空気層、6´は空気層用スペーサ、7は試料層を示す。
図3に示すように、本発明に使用する液体ホルダーは、窓材1を3層構造としてその間に空気層6および試料層7を設け、該液体ホルダーには空気層6の厚みを調整するスペーサ6´を設け、従来のように押え用スペーサを設けない。
空気層6の厚さを調整するスペーサ6´を用いることによって、空気層6の厚さを一定にして、試料層7の押し付け圧力を測定基準として一定にすることができる。
具体的には、図3の左側から、窓材1(CaF2)+スペーサ6´(空気層6)+窓材1(CaF2)+試料層7+窓材1(CaF2)として窓材を3層構造として測定を行う。
空気層6の部分では、窓材1(CaF2)の屈折率が1.39に対して空気の屈折率は1.0であるため反射光が発生し、その反射光と透過光との光の干渉によって測定結果に周期的な干渉縞が発生する。もし押付け圧力に違いが生じ空気層6の厚みに変化が生じればこの干渉縞の周期的な変化に違いが現れ、圧力を調整することで、この干渉縞の周期的な変化を合わせれば、試料層7の押しけ圧力を一定にでき、圧力基準での測定ができる。ちなみに、水の屈折率は1.33であり窓材1(CaF2)の屈折率1.39とほぼ同じであるので試料層7での干渉縞は殆ど発生しない。
ここで、窓材は水に対して不溶性、難溶性のものであればCaF2に限ることはない。
また、透過するレーザの周波数は例えば1012〜1013の遠赤外線領域のレーザとする。
なお、遠赤外線領域で水の主な吸収波長は3μm(伸縮運動)、6μm(変角運動)10μm以上(束縛回転運動)等がある。
図4は、本発明における機能水の検出方法の別の実施形態を例示する図である。
図4において、1は窓材、4は外部ケース、5は蓋、7は試料層、8は圧電センサーを示す。
本実施形態は、空気層を設けないで、窓材1を2層構造としその間に試料層7を設け、試料層7にかかる圧力を一定に調整できる圧力調整装置を設けることにより、機能水をオンラインで検出することができる方法である。
即ち、試料層7に働く圧力を、例えば、圧電センサー8によって、電気信号に変換し、この信号に基づいて、圧力調整装置が、モータを制御して蓋5の位置を調整することにより、試料層7に働く圧力を自動的に一定に保持することができるので、オフラインでのサンプル試験でなく、機能水をオンラインで検出することができる。
また、レーザの代わりに、高周波電磁波を透過させ、誘電率を測定する誘電率測定装置を設けることにより、電磁波共振現象を利用した誘電率測定原理と上記液体ホルダーを組み合わせることにより機能水を検出することができる。
高周波電磁波は、例えば、周波数が10〜1010程度で、波長がセンチメートル単位のマイクロ波を用いることが好ましい。
本発明の機能水の検出方法を下記条件にて実験した結果を以下に示す。
<実験条件>
1)測定装置:FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計:堀場製作所、FT-720形)
2)測定方法:透過法
液体ホルダーは窓材3層構造
窓材+スペーサ100μm(空気層)+窓材+試料層+窓材
窓材はCaF2からなる。
3)試料:純水、機能水(1リットルの容器に直径2cm程度のセラミックボールを10ケ程度入れ数分攪拌して作成)
図5は、本発明の検出方法によるレーザ波長とレーザ吸収量の関係を模式的に示した図である。
図5に示すように、レーザ波長λ=3μmと、レーザ波長λ=6μmの位置でレーザ吸収量がピーク値を示しているが、レーザ波長λ=6μmのほうが、機能水と純水とのレーザ吸収量の差が明確に表れる。よって、単波長λ=6μmのレーザを圧力調整装置を備えた液体ホルダーに透過させその吸収量から機能水を検出することが好ましい。
この実験の結果から、従来の測定方法である透過法(窓材2層構造)やATR法では測定の結果有意差が現れなかったが、本発明の透過法では有意差(吸光度で約2倍程度の差)が見られた。これらの測定方法の違いからこの吸光度の差が生じた原因を推定してみることにした。
まず、吸光度の差として現れる原因として測定原理面から、1)水層の厚みの差、2)水層にかかる圧力起因で発生する光の水中での減衰率の違いのどちらかが原因であると考えた。そこで我々は、水層の厚みの差を干渉縞から計算を行ったところ、0.1μm程度機能水の方が厚いことが判明したものの、純水の水層の厚みは0.6μm程度であるので、吸光度で約2倍程度の差が見られていることから、後者が主要因であると断定した。圧力をかけることによってこの減衰率の差がなぜ発生するのかはまだ解明できていないが、1μm程度また、それ以下の薄膜状態において、圧力がかかることで、吸光度に変化が生じていることが確認できた。
本発明における機能水の検出方法の実施形態を例示する図である。 従来の機能水の検出方法に使用していた液体ホルダーを例示する図である。 本発明の機能水の検出方法に使用する液体ホルダーを例示する図である。 本発明における機能水の検出方法の別の実施形態を例示する図である。 本発明の検出方法によるレーザ波長とレーザ吸収量の関係を模式的に示した図である。
符号の説明
1 窓材
2 試料層用スペーサ
3 押え用スペーサ
4 外部ケース
5 蓋
6 空気層
6´ 空気層用スペーサ
7 試料層
8 圧電センサー

Claims (6)

  1. 水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出方法であって、
    液体ホルダーに試料を封入し、
    該液体ホルダーにおける空気層の厚みを一定にし、
    該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させ、その吸収量を測定することを特徴とする機能水の検出方法。
  2. 水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出方法であって、
    液体ホルダーに試料を封入し、
    該液体ホルダーにおける試料層の圧力を一定にし、
    該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させ、その吸収量を測定することを特徴とする機能水の検出方法。
  3. 前記液体ホルダーに、前記レーザに代えて高周波電磁場を透過させ、その誘電率を測定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能水の検出方法。
  4. 水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出装置であって、
    試料を封入する液体ホルダーの窓材を3層構造としてその間に空気層および試料層を設け、
    該液体ホルダーには空気層の厚みを調整するスペーサを設け、
    該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させる際の吸収量を測定するレーザ吸収量測定装置を設けることを特徴とする機能水の検出装置。
  5. 水に微弱エネルギーを付与した機能水の検出装置であって、
    試料を封入する液体ホルダーの窓材を2層構造としてその間に試料層を設け、該液体ホルダーに試料層の圧力を調整する圧力調整装置を設け、
    該液体ホルダーに遠赤外線領域のレーザを透過させ、その吸収量を測定するレーザ吸収量測定装置を設けることを特徴とする機能水の検出装置。
  6. 前記液体ホルダーに前記レーザに代えて高周波電磁場を透過させ、その誘電率を測定する誘電率測定装置を設けることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の機能水の検出装置。
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