JP3980979B2 - 身体鍛錬装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、腕や足を運動させて、身体機能を正常な状態に回復させたり、或いは正常の状態以上に高めたりする身体鍛錬装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
腕や足を運動させる身体鍛錬装置の一例として、手術後の患者や脳血管障害の患者等が運動療法として用いたり、健常者やスポーツ選手等が用いたりするエルゴバイクがある。図3に示す特開昭62−46193号公報に開示された身体鍛錬装置がこのエルゴバイクである。
同図において、1は第1のプーリ、2は利用者が足を掛けて踏むペダルであり、第1のプーリの回動軸に連結されている。3は第2のプーリで、第1のプーリ1と負荷モータ7との間に設けられている。4は第1のプーリ1と第2のプーリ3とに掛け回されたベルトである。
又、5は第2のプーリ3と同軸に併設された第3のプーリであり、6は第3のプーリ5と負荷モータ7とのに掛け回されたベルトである。
【0003】
8、9はマグネットで、利用者がペダル2を踏んで回す第1のプーリ1及び第3のプーリ5に取り付けられている。100、110はホール素子で、プーリが回転してマグネット8、9が接近する毎にこれを検知する。
120は中央制御装置(CPU)であり、ホール素子100、110からの検出信号に基づいて、第1のプーリ1と第3のプーリ5との回転数を各々算出する。
130は負荷モータ7の負荷制御装置で、中央制御装置(CPU)120からの回転数に基づいてモータ7の負荷を制御する。
【0004】
次に、この従来の身体鍛錬装置の動作を説明する。
ペダル2の回転数は、第1のプーリ1と第2のプーリ3とに掛けられたベルト4によって第3のプーリ5に伝えられて増速され、更にベルト6により負荷モータ7に伝えられる。
第1のプーリ1及び第3のプーリ5が1回転する毎に、ホール素子100、110からの検出信号(パルス)が中央制御装置(CPU)120に入力される。中央制御装置(CPU)120は、このパルスの数を算出して所要の信号を負荷制御装置130に出力する。
負荷制御装置130は、中央制御装置(CPU)120の出力信号に基づいて回転数を決定して負荷モータ7を制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の身体鍛錬装置では、上記のように、利用者が踏むペダル2即ち利用者が回動可能なプーリの回動軸が、第1のプーリ1の回動軸、只1つのみの構成であるため、ペダル2を踏む利用者の脚力が大きく異なる場合、例えば、患者や子供或いは高齢者等と健常者やスポーツ選手等が共用する場合等では、ペダル2の負荷を利用者の脚力に合わせて、その都度、調整することは多大な手間を要し、実際上では限界があった。
【0006】
例えば、筋力(大腿四頭筋や股関節伸筋群)の低下が著しい利用者や、運動麻痺を有している脳障害による身体障害者や高齢者等が運動療法を行う際には、ペダル回転運動を特に小さい負荷で実施する必要がある。
他方、健常者やスポーツ選手がトレーニングを行う場合には上記の負荷設定とは極端に異なり、非常に大きな負荷設定を必要とする。
このよう場合、従来の装置では、身体障害者や高齢者等の筋力の低下した者と筋力の大きい者との何れもの利用者(運動者)が共用できるように、それぞれの筋力レベルや身体能力に合わせて、その都度、運動機能の回復、及び体力の維持を目的とする運動負荷の強度設定をする甚だ繁雑であり、困難であった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解消して、運動負荷強度を小から大の広い範囲にわたって設定できる身体鍛錬装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、少なくとも径の異なる2つ以上のプーリが同軸的に設けられたプーリ群と、前記プーリ群のうち1つのプーリに対して無端動力伝達手段を介して配設された負荷モータと、前記プーリ群のうち残されたプーリに対して各々無端動力伝達手段を介して対設された対設プーリとを備え、
前記プーリ群及び対設プーリの各回動軸は、何れも、軸回動手段を介して、腕力或いは脚力にて回動可能に構成され、前記軸回動手段は、何れの回動軸に対しても着脱自在に構成されたことを内容とする。
【0009】
また、少なくとも径の異なる2つ以上のプーリが同軸的に設けられたプーリ群と、前記プーリ群のうち1つのプーリに対して無端動力伝達手段を介して配設された負荷モータと、前記プーリ群のうち残されたプーリに対して各々無端動力伝達手段を介して対設された対設プーリとを備え、
前記プーリ群及び対設プーリの各回動軸は、何れも、軸回動手段を介して、腕力或いは脚力にて回動可能に構成され、前記軸回動手段は、各回動軸毎に配設されたことを内容とする。
【0010】
また、プーリ群を構成する各プーリ毎に対設される複数の対設プーリは、互いに径を異にすると共に、何れも、各々対応するプーリ群を構成するプーリの径より大きいことを内容とする。
【0012】
また、軸回動手段は、ハンドル或いはペダルであることを内容とする。
【0013】
また、無端動力伝達手段は、ベルトであることを内容とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
実施の形態1の身体鍛錬装置は、エルゴバイク形式の装置であり、脚力の大きい利用者(運動者)が踏むペダルと、脚力が非常に小さい利用者(運動者)が踏むペダルとの何れかが利用できるよう択一的に併設して、脚力の大小に拘わらず、利用者の何れもが利用でき、しかも、運動負荷設定を非常に小さなレベルから非常に大きなレベルまでの広範囲にわたって、比較的自由に設定できる構成としたものである。
以下、図1及び図2に基づいて説明する。図1は運動負荷設定が小さい状態の全体構造を示すブロック図、図2は運動負荷設定が大きい状態の全体構造を示すブロック図である。
【0015】
図1において、10はプーリ群であり、少なくとも径の異なる2つ以上、即ち複数のプーリが同軸的に設けられた構成のものである。図示の例では、径の大きい大径プーリ11と径の小さい小径プーリ12との2つが軸10Sに同軸で併設されている。以下、このプーリ群10の軸10Sを第1の回動軸ともいう。
【0016】
20は負荷モータであり、そのモータプーリ21が前記プーリ群10の軸(第1の回動軸)10Sと平行になるように配設されている。このモータプーリ21と前記プーリ群10の2つのプーリ11、12うちの最も径の大きいプーリ11とには無端動力伝達手段としてのベルト41が掛け回されて、連動されている。以下、径の大きいプーリ11を大径プーリ11、径の小さいプーリ12を小径プーリ12ともいう。
負荷モータ20は、負荷制御装置22に接続されており、予め、利用者が設定した負荷設定値に見合った負荷トルクTが負荷モータ20に発生するように、図示されていない中央制御装置を介して、負荷制御装置26により制御される構成となっている。
【0017】
30は対設プーリであり、前記プーリ群10の2つのプーリ11、12のうちの、残された1つのプーリ(小径プーリ)12に対して、無端動力伝達手段を介して対設されている。この無端動力伝達手段も前記と同様のベルト42である。以下、この対設プーリ30を第1の対設プーリ30ともいう。
【0018】
50は、プーリ群10の軸(第1の回動軸)10Sを回動させる軸回動手段としてのペダルである。このペダル50を踏むと、プーリ群10が回転し、大径プーリ11、ベルト41を介して、負荷モータ20のモータプーリ21に回転運動が伝えられる。
同時に、プーリ群10の回転によって、小径プーリ12、ベルト42を介して、大きな負荷を設定可能な高トルク軸としての軸30Sを有する対設プーリ30が連動して回転する。以下、この対設プーリ30の軸30Sを第2の回動軸30Sともいう。
【0019】
図1において動作を説明する。
利用者(運動者)が出し得る最大筋力でペダル50を踏んでプーリ群10を回転させようとすると、第1の回動軸10Sには、予め、利用者が設定した負荷設定値に見合った負荷トルクT1が負荷モータ20に発生する。
ここで、プーリ群10の小径プーリ12と対設プーリ30とのベルト結合による速度伝達比率を
n:1(n=1以上)とすると、
対設プーリ30の負荷トルクT2は次のようになる。
T2=T1×n
従って、例えばn=2の場合は、利用者が予め設定した負荷設定値の2倍の負荷を対設プーリ30で実現させることができる。
【0020】
図2において、上記の条件で、ペダル50を対設プーリ30の軸(第2の回動軸)30Sに取り付けた場合には、プーリ群10の軸(第1の回動軸)10Sに取り付けた場合のn倍の負荷を設定したことになる。
【0021】
この実施の形態1の装置によれば、脚力の大きい利用者が踏むペダル即ち対設プーリ30を回転させる第2の回動軸30Sと、脚力が非常に小さい利用者が踏むペダル即ちプーリ群10を回転させる第1の回動軸10Sとの、2つの回動軸を設けているので、利用者が自身の身体能力に応じて、何れかを速やかに利用することができる。
例えば、運動療法時において、運動者の筋力の大きさに合わせて、筋力の大きなスポーツ選手が利用する場合には負荷設定の大きな第2の回動軸30Sを用い、逆に、筋力の小さな整形外科術後患者や脳薫血管障害者や高齢者等が運動療法を行う場合には、負荷設定の小さな第1の回動軸10Sを用いることができる。
【0022】
しかも、第1の回動軸10Sの運動負荷設定を負荷制御装置22によって任意の値に予め設定しておくことにより、設定された第1の回動軸10Sに対して、第2の回動軸30Sに、第1の回動軸10Sの負荷に倍する、従来では設定できなかったような大きな運動負荷を自動的に設定させることができる。
従って、一台の装置において、広範囲な負荷設定を行うことができるので、筋力等の身体能力の如何に拘わらず、多くの利用者に広く利用の便を供することができる。
【0023】
尚、上記のプーリ群10を回転させる第1の回動軸10S及び対設プーリ(第1の対設プーリ)30を回転させる第2の回動軸30Sの、それぞれの回動軸に対しては、この例では、何れも、軸回動手段としてのペダル50を別体に構成し、このペダル50を各々の回動軸10S、30Sに対して着脱自在に取付可能に構成してある。この着脱可能な取付構造については図4において後述する。
【0024】
しかし、これに限らず、軸回動手段としてのペダル50を各回動軸10S、30S毎に配設してもよい。
又、軸回動手段としては、足(下肢)に応じたペダル50に限らず、腕力に応じて手回し可能なハンドル、例えばクランク状に形成したハンドルとしてもよい(図示せず)。このようなハンドルとすれば、腕(上肢)及び上半身を鍛錬することができる。
【0025】
更に、この実施の形態では、プーリ群10を大小2つのプーリ11、12で構成し、そのうち1つの小径プーリ12に対応して1つのプーリ30を対設プーリ(第1の対設プーリ)として設けている。
しかし、これに限らず、第2、第3・・・の対設プーリとして、複数の対設プーリを設けることもできる(図示せず)。
即ち、第2以下の対設プーリの設置数に応じて、小径プーリ12と同様のプーリ(図示せず)をプーリ群10の軸(第1の回動軸)10Sに同軸的に設け、各々を互いに、前記と同様の無端動力伝達手段としてのベルト(図示せず)を介して連動させる。
【0026】
この場合、第2以下の対設プーリについては、互いに径を異にすると共に、何れも、各々が対応するプーリ群10を構成するプーリの径より大きくすることによって、第2以下の各々の対設プーリの回動軸((図示せず))毎の負荷を異にすることができ、運動負荷の異なる多様な回転軸を設けることができる。
これ等、第2以下の各対設プーリの回動軸には、前記と同様に、当該プーリを回転させるための軸回動手段としてのペダル或いはハンドが着脱自在に或いは各回動軸毎に配設される(図示せず)。
【0027】
最後に、図4乃至図5において、ペダル50を各々の回動軸10S、30Sに対して着脱自在に取付可能な構成を、回動軸10Sを例にして説明する。
図4及び図5において、ペダル50のクランク基部51には、回動軸10Sの端部13に被さるように嵌合する嵌合穴52と、当該嵌合穴52に対して出没自在の係止ピン53とが設けられている。ピン53は図示されていない付勢手段によって常時には突出し、必要の際には嵌合穴52から没するように指で引き戻し可能に構成されている。
【0028】
前記回動軸10Sの端部13には、当該端部13にクランク基部51が嵌合された状体において、嵌合穴52へ突出する前記ピン53が進入する係合穴14が設けられており、ピン53が係合穴14に侵入することによって、ペダル50が回動軸10Sに取り付けられる。
ペダル50を取り外す際には、ピン53を引き戻した状態にして、クランク基部51を軸端から引き抜けばよい。
【0029】
尚、この実施の形態では、エルゴバイク形式の身体鍛錬装置を中心にして説明したが、ハンドルの例にも示されるよう、エルゴバイク形式に限らず、本発明を構成することができる。
又、ペダル50を各々の回動軸10S、30Sに対して着脱自在に取付可能な構成もまた、上記例に限らず、適当な手段を用いてもよい。
【0030】
【発明の効果】
請求項1乃至5の発明によれば、何れも、従来の身体鍛錬装置に較べて、一台の装置において、運動負荷強度を非常に小さいレベルから非常に大きなレベルまで、広い範囲にわたって設定することができる。
又、下肢、上肢のその他の運動療法或いは心身鍛錬において、多様な負荷設定が可能となるので、身体能力の如何に拘わらず、広い層の利用者(運動者)が共用することができる。
又、同様に一台の装置において、身体障害者或いは高齢者の筋力に合わせた負荷設定が容易に設定できると共に、健常者やスポーツ選手が使用する筋力測定と運動負荷装置とを一台の装置に装備させることができる。
又、運動療法時において、運動者の負荷設定値を運動者の発揮できる最大筋力に合わせて広範囲に設定できるので、運動者が無理なく運動することができる。又、一人の運動者の様々な筋の運動の負荷設定をする場合にも、広範囲の負荷設定ができるので、様々な筋の運動を無理なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の身体鍛錬装置の全体構造を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1においてペダルの取り付け位置の変更を示したブロック図である。
【図3】 従来の身体鍛錬装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】 ペダルと回動軸との取付構成を示す平面図である。
【図5】 図4の正面図である。
【符号の説明】
10 プーリ群、10S 回動軸(第1の回動軸)、11 大径プーリ(プーリ群)、12 小径プーリ(プーリ群)、20 負荷モータ、21 モータプーリ、22 負荷制御装置、30 プーリ(第1の対設プーリ)、30S 回動軸(第2の回動軸)、41、42 ベルト(無端動力伝達手段)、50 ペダル(軸回動手段)。

Claims (5)

  1. 少なくとも径の異なる2つ以上のプーリが同軸的に設けられたプーリ群と、前記プーリ群のうち1つのプーリに対して無端動力伝達手段を介して配設された負荷モータと、前記プーリ群のうち残されたプーリに対して各々無端動力伝達手段を介して対設された対設プーリとを備え、
    前記プーリ群及び対設プーリの各回動軸は、何れも、軸回動手段を介して、腕力或いは脚力にて回動可能に構成され
    前記軸回動手段は、何れの回動軸に対しても着脱自在に構成されたことを特徴とする身体鍛錬装置。
  2. 少なくとも径の異なる2つ以上のプーリが同軸的に設けられたプーリ群と、前記プーリ群のうち1つのプーリに対して無端動力伝達手段を介して配設された負荷モータと、前記プーリ群のうち残されたプーリに対して各々無端動力伝達手段を介して対設された対設プーリとを備え、
    前記プーリ群及び対設プーリの各回動軸は、何れも、軸回動手段を介して、腕力或いは脚力にて回動可能に構成され
    前記軸回動手段は、各回動軸毎に配設されたことを特徴とする身体鍛錬装置。
  3. プーリ群を構成する各プーリ毎に対設される複数の対設プーリは、互いに径を異にすると共に、何れも、各々対応するプーリ群を構成するプーリの径より大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の身体鍛錬装置。
  4. 軸回動手段は、ハンドル或いはペダルであることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の身体鍛錬装置。
  5. 無端動力伝達手段は、ベルトであることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか1項に記載の身体鍛錬装置。
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