JP3974444B2 - ランプ式水殺菌処理機における水垢自動除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はランプ式水殺菌処理機における水垢自動除去装置に関し、より詳しくは、紫外線殺菌ランプを内蔵保護する光透過性良好な保護内管の表面に、経時と共に付着し、紫外線ランプによる殺菌能力を減退せしめる水垢類を自動的に除去する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
紫外線ランプを用いた水の殺菌処理機に使用されるランプは、直接水に接触することがないよう光透過率の良い石英ガラス製内管に内挿保護されている。水の殺菌処理は、この光透過性良好なガラス製保護内管の外周面と接触しつつ流過する過程にて、このガラス製内管を透しての紫外線殺菌ランプの照射により、従来の薬品類、例えば塩素を用いた殺菌処理に比べ、非常に効率的な殺菌処理が実行される。
【0003】
より具体的には、塩素との比較において、その殺菌速度は7倍、またその殺菌能力は15〜30倍の効果があることが実証されている。この効率的な水の殺菌処理は、紫外線殺菌ランプよりガラス製内管を透光して流過する水への良好なる照射状況が長時間に亘って持続していることが是非とも必要である。
【0004】
この各種雑菌類が含まれる原水、より具体的に上下水、工業用水、海水、井戸水(以下原水という)などには、各種水垢、より具体的にスライム、アオコ、藻その他の汚濁物質(以下水垢という)が含まれており、前記ガラス製保護内管の外周面と接触して流過する原水中の水垢類が内管の表面に付着し、この付着水垢の存在は、内管自体の光透過率を低下せしめ、紫外線殺菌ランプによる原水への照射殺菌効能を退化せしめる結果となる。
【0005】
このため、水殺菌処理機中より、ランプを内蔵せしめた内管を取外し、手作業により内管表面より水垢などの付着物を布材などを用いて拭い取る作業を周期を定めて実行していた。この内管の取外し及びその後の装着作業には大変な手数を要し、さらには殺菌ランプを破損せしめる危険性もある。
【0006】
この点を改善した一技術手段として特開平10−216712号公報が開示されている。即ち、同公報中には、殺菌ユニット内に収納された、殺菌ランプを内蔵した保護管の外周に接触しつつ可動可能な掃除具の存在が明示されている。そして各種掃除具、例えば螺旋状板片、長板状片、棒状片、環状板、筒状体などは、いずれも殺菌ユニットの外部より、昇降杆その先端部に固着した握手部、あるいは外歯車、小歯車、軸杆、回転ツマミなどなどの各種操作用部材群を介して人為的に保護管周面の付着物を除去せしめるべく操作している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
殺菌ランプを内蔵せしめた保護内管の外周面に付着した水垢類を除去するために、保護内管の外周面に接触せしめつつ、かつ可動可能な前記各種掃除具は、いずれも殺菌ユニットの外部からの人為的な清掃作業が必要であるため、手数が掛かると共に、いずれも機構的には複雑化し、さらに人為的な操作が必要なため、定期的な保護内管への清掃作業を失念する事態も発生する。
【0008】
本発明は殺菌処理機内に収容された、内部に殺菌ランプを包持したガラス製保護内管の外周部に沿って移動可能なスリーブ状のスクレーパーを配し、該スクレーパーをして、処理機本体を形成する外管に、その下端部寄り導水口より圧流入し、処理機本体内を上昇する原水の上昇水圧を利用しての上下方向への自動移動を積極的に利用することにより、内管の外周面に付着する水垢類の自動的な除去作業を原水の処理機本体内への流入開始時毎に実行せしめ得るよう構成し、機構の簡素化、清掃作業の手間、さらに清掃作業の失念に伴う弊害などを全面的に除去解消せしめ得るランプ式水殺菌処理機における水垢自動除去装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、つぎのような構成を採用している。すなわち、請求項1の発明は紫外線ランプ式水殺菌処理機における水垢の自動除去装置にあって、その処理機の構成は、長尺のケーシングを構成する外管、その中心部には、紫外線殺菌ランプを内包した光透過性に優れたガラス製保護内管が内挿され、これら内外両管の間には環状の流水路用空間部が形成され、外管の下端部寄りには導水口が、また外管の上端部寄りには排水口がそれぞれ形成され、前記内管には同管を囲む形にて、内管に沿って移動可能なスリーブ状本体の一部にフランジ部を設けたスリーブ状スクレーパーが配備されるとともに、前記スクレーパーのフランジ部がスクレーパーに対する上昇かつ回転力付与構造とされ、かつ前記フランジ部の下面が、上向きに開拡するテーパー面をもって構成され、該テーパー面には、その全面に亘って放射状に外方に向かって拡がる渦巻き溝群が刻設されている。
【0010】
そしてこのスクレーパーは、外管の下方側の導水口より導入された原水の上昇水圧を、そのフランジ部にて受けとめ、スクレーパーは内管に沿って強制的に上昇し、その過程にて、内管の外周面に付着した水垢などは剥ぎ取られる状態にて、スクレーパーの上昇運動の開始時毎に自動的な水垢の除去が実行され、剥ぎ取られた水垢などはスクレーパーのフランジ部にて、押し上げられ、外管の排水口より処理機外へと排出除去される。またスクレーパーを構成するスリーブ状本体は、内管に沿ってのスクレーパーの平行移動を確保し、スクレーパーの内管上での中途停止の危惧を排する上で有効である。
【0011】
また、請求項1の発明は、前記スクレーパーのスリーブ状本体の一部に設けたフランジ部をして一部形状構造の変化などの手段により、スクレーパーに内管に沿っての上昇動に加えて、内管を中心とする回転動を付与せしめうる構造となし、このスクレーパーの上昇回転動を積極的に活用したことを特徴とし、これにより内管周面に付着した水垢類のさらに一段の除去作業を促進せしめ、さらにスクレーパーのより一層の内管に沿っての停滞のない円滑な移動を確保することを意図している。
【0012】
さらに、請求項1の発明は、前記スクレーパーのフランジの下面が、上向きに開拡するテーパー面をもって構成されているので、外管内の導水口より導入された原水の上昇水圧をこのテーパー部下面に受けとめる折、その上昇水圧はテーパー面にて誘導開放され、原水の上昇水圧は比較的緩やかにスクレーパーに作用し、スクレーパーの上昇速度は緩和され、スクレーパーによる付着水垢類の剥ぎ取り作業はより確実なものとなる。
【0013】
また、前記スクレーパーのフランジ部下面を構成するテーパー面に、その全面に亘って放射状に外方に向かって拡がる渦巻き溝群を刻設することにより、スクレーパーはその外管内に導入された原水の上昇水圧による上昇動に呼応して、この上昇水圧はこの渦巻き溝部にも作用して、同時にスクレーパーに緩やかな回転動をも付与し、スクレーパーの上昇回転動は内管外周面に付着した水垢類除去作業を一層助長する。
【0014】
請求項2の発明は、テーパー面に渦巻き溝群を刻設したフランジを、スクレーパーを構成するスリーブ状本体の上端部に設けることにより、スクレーパーのスリーブ状本体周辺に位置する多量の原水の上昇水圧をテーパーの下面にて効果的に受け止めることができ、スクレーパーの上昇動に、さらにテーパー面における渦巻き溝部に効果的に原水を供給することによりスクレーパーの回転動に結び付けることができ、スクレーパーの上昇回転動を確実なものとしうる。
【0015】
請求項3の発明は、前記スクレーパーにあって、前記処理機のランプ保護内管と接触するスリーブ状本体のハブ上端部分に、滑性と耐摩耗性に優れた硬質樹脂製のリングを埋設することにより、本スクレーパーが付着水垢などを剥ぎ取りながら上昇回転する折、その摩擦抵抗による大きな連続負荷を受ける部分に補強部材として位置し、スクレーパーの上昇回転動を円滑に、かつスクレーパーの局部的摩損発生を回避する。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施の形態を具体的に図面を用いて説明する。図1は水殺菌処理機の概略構成図、図2は本発明の主要構成部たるスクレーパーの縦断面図、図3は同スクレーパーの底面図である。
【0017】
水殺菌処理機1を構成する長尺縦長の、例えばステンレス製の外管2の中心部には、長手の紫外線殺菌ランプ3を内包した、該ランプ3を保護し、かつ光透過性良好な、例えば石英ガラス製保護内管4が、外管2の上端部を密閉する形にて封鎖する固着用キャップ5を用いて、懸吊状に内挿されている。
【0018】
これら外管2と内管4との間には環状流水路7が形成されている。そして、前記外管2の下端寄り部分には原水導水口8が、一方上端寄り部分には、殺菌処理水排水口9が開口し、それぞれの所定の給水ルートと繋がっている。
【0019】
図1乃至図3にあって、11は本発明の主要な構成部材たるスリーブ状のスクレーパーで、前記内管4の外周面を緩く囲む形にて配備されている。該スクレーパー11のスリーブ状本体12は耐蝕性に優れ、かつ適宜の弾性を有する、例えば塩化ビニル樹脂材にて構成され、スリーブ状本体12の上端部には、外方向に向けて開拡する環状フランジ13が形成され、該フランジ13の下面は上向きに開拡するテーパー面14をもって構成されている。
【0020】
そして、該スリーブ状本体12のハブ上端部分には、該部における内管4との摺接動を円滑なものとするために、滑性、耐摩耗性に優れた硬質樹脂製リング、例えばフッ素樹脂(商品名テフロン)製リング15が埋設されている。また、該環状フランジ13の下面部、即ちテーパー面14には、その全面に亘って放射状に外方に向かって拡がる渦巻き溝16群が刻設されている。
【0021】
以上の構成からなるランプ式水殺菌処理機1にあって、外管2の下方に設けた原水導水口8より、外管2内に導入された原水は、次第に環状流水路7内を上昇し、その過程にて紫外線殺菌ランプ3の照射により原水への殺菌処理が実行される。
【0022】
環状流水路7内を上昇する原水は、原水が保有する上昇水圧をスクレーパー11の環状フランジ13の下面に作用せしめ、スクレーパー11は内管4に沿って上昇せしめられる過程にて、内管4の周面に付着した水垢類を剥ぎ取りながら上昇する。
【0023】
また、スクレーパー11のフランジ13部を下方より持ち上げ、スクレーパーを浮上せしめる原水の一部はフランジの下面、即ちテーパー面14に刻設された渦巻き溝16群内に流れ込み、スクレーパー11に上昇動に呼応する回転動を付与し、内管4に沿って上昇回転しながら移動するスクレーパー11は、スクレーパーのハブ上端部に埋設せしめた滑性および耐摩耗性に優れた硬質樹脂製リング15にて、その円滑なる上昇回転動を維持しながら、内管周面に付着した水垢類を剥ぎ取り、剥ぎ起こされた水垢類はスクレーパーの環状フランジ13をもって上方へと後押しされながら、排水口9より処理機1外へと除去される。
【0024】
排水口9付近まで上昇したスクレーパー11は、原水の処理機1内への導入継続中は処理機上方部に位置するが、処理機1内への原水の流入が停止又は中断する折には、スクレーパー11は自重により、処理機下方に自然降下し、次回の原水の導入時に開始する水垢類の剥ぎ取り除去作業のために待機状態を維持する。
【0025】
つぎに、図4及び図5は他の二つの実施例を示すスクレーパーで、図4は他のスクレーパーの縦断面図、図5はさらに他のスクレーパーの一部切欠き正面図、図6は図4に示すスクレーパーの平面図である。
【0026】
図4および図5にて、他の二つの実施例として示すスクレーパーと先に図2にて示すスクレーパーとの相違点は、スクレーパーを構成するスリーブ状本体の一部に設けたフランジ形状または構造の差異にある。即ち、図4および図5に示す各スクレーパー21のスリーブ状本体22の一部に形成された環状フランジ23は複数のひねり羽根24の集合体にて構成され、このフランジ23にあっては、原水の上昇水圧を直接受け止めて働くスクレーパーの上昇動、また原水の上昇流の一部をひねり羽根24間を流過せしめる折に作用する羽根集合体の回転力、延いてはスクレーパーの回転動と、スクレーパー24の移動時に望まれる二つの運動を同時に担当する。
【0027】
なお図2を中心として、すでに説明した前記実施例における水垢類の効率的な剥ぎ落とし作業を担当する硬質樹脂製リング15およびスリーブ状本体の材質説明その他の関連説明については図4及び図5にあっては重複するので詳細な説明はこれを割愛する。
【0028】
ひねり羽根24の集合体により構成されたフランジ23は図4に示すようにスリーブ状本体22の上端部に一個所、あるいは図5に示すようにスリーブ状本体22の上下両端部に都合二個所設置する。フランジが上端部一個所に設置された場合、スクレーパー自体の回転力は多少減少するも、スクレーパーの軽量化の実現により、スクレーパーの円滑な上昇動を確保しうる。またこのフランジを上下両端二個所に設置した場合、スクレーパー自体の回転力は増大し、付着水垢類の効率的な木目の細かい剥ぎ落としが期待できる。
【0029】
【発明の効果】
以上記述した請求項1の発明によれば、保護内管に沿って、上昇するフランジ付きスクレーパーは、処理機の外管の下端部より導入され、処理機内を上昇する原水の上昇水圧を、フランジ部にて受け止めて自動的に上昇し、その上昇の過程にて内管の表面に付着した水垢類を剥ぎ取り、内管周面の清掃作業が、原水の処理機内への導入開始時毎に自動的に実行されるので、改めて人為的に付着水垢類の剥ぎ取り作業を実施する手数を要せず、またこのスクレーパー自体の構造は簡素であるため、機構は簡易化され、かつ水垢類の除去作業を失念する危惧もない。またスクレーパーを構成するスリーブ状本体は内管に広範囲に亘って対面し、内管に対しての常時平行移動を期待することができるので、上昇中途時のスクレーパーの振れなどに伴う停止などの危惧などは解消される。
【0030】
また、原水の上昇水圧をフランジ下面部に受けとめてスクレーパーの上昇動を担当するフランジ部に、さらに加えてスクレーパーの回転動をも併せ担当せしめる機構を付加することにより、単一部材による全く別異の運動をスクレーパー上に実現することができ、効率的水垢類の除去という最終目的を多面的に実現することができる。
【0031】
また、上昇水圧をフランジ下面側に受けてスクレーパーを上昇せしめる折、フランジの下面を上向きテーパー面をもって構成することにより、スクレーパーが受ける上昇水圧力はある程度緩和され、これによりスクレーパーの上昇速度は減速され、スクレーパーによる水垢類の剥ぎ取り作業を時間をかけてより確実に実行できる。
【0032】
また、スクレーパーのフランジ部のうち、下面部に設けたテーパー面に刻設せしめた渦巻き溝群の存在は、原水の上昇水圧を受けてスクレーパーが上昇運動を実行する折、上昇水の一部はこの渦巻き溝部に作用してスクレーパーに対しその上昇動に加えて同時回転運動をも付与し、旋回しながら上昇運動を続けるスクレーパーによる、内管周面に付着した水垢類の剥ぎ取り作業を一段と確実かつ迅速に実行することができる。
【0033】
請求項2の発明によれば、テーパー面に渦巻き溝群を刻設したフランジを、スクレーパーを構成するスリーブ状本体の上端部に設けることにより、スクレーパーのスリーブ状本体周辺に位置する多量の原水の上昇水圧をテーパーの下面にて効果的に受け止め得るので、スクレーパーの上昇動に、さらにテーパー面における渦巻き溝部に効果的に供給することによりスクレーパーの回転動にと結び付けることができ、スクレーパーによる水垢類の剥ぎ落としへの相乗的効果を容易に実現することができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、スクレーパーのスリーブ状本体のハブ上端部に埋設され、内管との強力な摺接を繰り返す硬質樹脂製リングは耐摩耗性、滑性に優れた樹脂材を選択することにより、スクレーパーの内管に沿っての上昇動を円滑なものとなし、またスクレーパーのうち摩耗負荷を受け易いスクレーパーのハブ上端部分の摩損を抑止する上で大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水殺菌処理機の概略構成図である。
【図2】 スクレーパーの縦断面図である。
【図3】 同スクレーパーの底面図である。
【図4】 他の実施例を示すスクレーパーの縦断面図である。
【図5】 さらに他の実施例を示すスクレーパーの一部切欠き正面図である。
【図6】 図4に示すスクレーパーの平面図である。
【符号の説明】
1 水殺菌処理機
2 外管
3 紫外線殺菌ランプ
4 内管
7 環状流水路
8 導水口
9 排水口
11,21 スクレーパー
12,22 スリーブ状本体
13,23 フランジ
14 テーパー面
15 樹脂製リング
16 渦巻き溝
24 ひねり羽根
Claims (3)
- ケーシングを構成する外管の中心部には、紫外線殺菌ランプを内包した光透過性保護内管が内挿され、内外両管間には環状流水路が形成され、外管の下端部寄りには導水口が、また上端部寄りには排水口がそれぞれ形成されたランプ式水殺菌処理機にあって、前記内管を囲む形にて、導入水の上昇水圧を受けて内管に沿って移動可能な、スリーブ状本体の一部にフランジ部を設けたスリーブ状スクレーパーが配備されるとともに、前記スクレーパーのフランジ部がスクレーパーに対する上昇かつ回転力付与構造とされ、かつ前記フランジ部の下面が、上向きに開拡するテーパー面をもって構成され、該テーパー面には、その全面に亘って放射状に外方に向かって拡がる渦巻き溝群が刻設されているランプ式水殺菌処理機における水垢自動除去装置。
- 前記テーパー面に渦巻き溝群を刻設したフランジは、スクレーパーのスリーブ状本体の上端部に形成されている請求項1に記載のランプ式水殺菌処理機における水垢自動除去装置。
- 前記スクレーパーのスリーブ状本体のハブ上端部には、滑性と耐摩耗性に優れた硬質樹脂製リングが埋設されている請求項1又は2記載のランプ式水殺菌処理機における水垢自動除去装置。
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