JP3972964B2 - 界磁巻線集成体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は一般的には超伝導に関し、特に電気機械用の超伝導界磁巻線集成体に関する。
界磁巻線を持つ電気機械は、これに限らないが、回転発電機、回転電動機及びリニア・モータを含む。回転発電機及び回転電動機用の回転子には多極回転子があり、その多数の磁極は回転子シャフトから半径方向に隔たり且つ回転子シャフトを円周方向に取り囲むように配置されている。超伝導でない回転子には、鉄心回転子の様なソリッド・コア即ち固体コアを有する回転子がある。鉄心回転子は約2テスラの空隙磁界強度で飽和する。公知の超伝導回転子は、3テスラ又はそれ以上の空隙磁界を達成する為に空心の設計を用いている。空心の超伝導回転子は、超伝導ワイヤを多量に必要とし、これにより必要なコイルの数が増大し、コイル支持体が一層複雑なものになり、コスト高になる。この様な超伝導回転子は、例えば、液体ヘリウムによって冷却される多孔質超伝導コイル又はエポキシ含浸超伝導コイルを有し、使用済みのヘリウムは室温の気体ヘリウムとして戻される。極低温冷却の為に液体ヘリウムを使うには、戻された室温の気体ヘリウムを連続的に再び液化することが必要であり、この液化はかなりの信頼性の問題を呈すると共に、かなりの余分のエネルギを必要とする。従って、例えば公知の超伝導回転子の空心型液体冷却式超伝導界磁巻線集成体の欠点を持たない電気機械用超伝導界磁巻線集成体が要望されている。
【0002】
【発明の要約】
本発明の目的は、例えば、回転発電機、回転電動機又はリニア・モータの様な電気機械用の超伝導界磁巻線集成体を提供することである。
本発明の界磁巻線集成体は電気機械用のものであって、少なくとも2つの磁極集成体を含む。各々の磁極集成体は運動方向を持ち、またソリッド・コア即ち固体コア、該固体コアを全体的に取り囲む超伝導コイル集成体、及び第1の冷却導管を有する。超伝導コイル集成体は、運動方向に対して全体的に垂直に配置された全体的に縦方向に伸びる軸線を持つと共に、運動方向と全体的に平行に配置された短軸を持つ全体的にレーストラック形のエポキシ含浸超伝導コイルを有する。第1の冷却導管は気体状極低温剤を収容し、超伝導コイルと熱接触する様に位置ぎめされる。
【0003】
第1の好ましい実施態様では、界磁巻線集成体は回転界磁巻線集成体であり、運動方向が回転軸線の周りの円周方向運動方向であり、磁極集成体が回転軸線の周りに配列されて磁極集成体の円周方向配列を形成する。
第2の好ましい実施態様では、界磁巻線集成体はリニア・モータの界磁巻線集成体であり、運動方向が全体的に直線運動方向であり、磁極集成体が直線運動方向と全体的に平行に配列されて磁極集成体の線形配列を形成する。
【0004】
本発明では幾つかの利点及び有利さが得られる。固体コアは、例えば2テスラ(又はそれ未満)の超伝導回転子に使う超伝導ワイヤを、空心の超伝導回転子の設計の場合よりも約1/10にすることが出来る。回転子が必要とする超伝導ワイヤの量を大幅に減少したことにより、必要なコイルの数が減少する。エポキシ含浸超伝導コイルは自立的であるので、大きな容器によって液体極低温剤を保持して該極低温剤の中に超伝導コイルを浸漬させることを必要とせずに、小さな第1の冷却管により固体伝導冷却を行うことが出来る。
【0005】
図面には本発明の幾つかの好ましい実施例が示してあり、図面全体にわたり、同様な部分には同じ参照数字を用いている。
【0006】
【発明の詳しい説明】
次に図面を参照して説明する。図1乃至2は、本発明の第1の好ましい実施例の界磁巻線集成体を示しており、この界磁巻線集成体は電気機械用である。電気機械は回転発電機10であり、その内の超伝導回転子12の部分だけが図面に示されており、超伝導回転子12は回転軸線14を持ち、界磁巻線集成体は回転界磁巻線集成体16である。界磁巻線集成体の運動方向は、この回転界磁巻線集成体16では、超伝導回転子12の回転軸線14である回転軸線の周りの円周方向の運動方向18である。
【0007】
回転界磁巻線集成体16は複数個の磁極集成体20を含み、各磁極集成体は固体コア22、及びこの固体コア22を全体的に取り囲む超伝導コイル集成体24を有する。固体コア22は実質的に鉄で構成されていることが好ましい。各々の超伝導コイル集成体24は、円周方向の運動方向18に対して全体的に垂直に配置された全体的に縦方向に伸びる軸線26を持つ。各々の超伝導コイル集成体24は、円周方向の運動方向18に対して全体的に平行に配置された短軸30を持つ全体的にレーストラック形のエポキシ含浸超伝導コイル28を有する。「レーストラック形」は、丸くした角によって接続された真っ直ぐな部分を含むことに注意されたい。超伝導コイル集成体24はまた、超伝導コイル28から隔たり且つ全体的にそれを取り囲む熱遮蔽体32を含むことが好ましく、更に超伝導コイル集成体24は、熱遮蔽体32から隔たり且つそれを取り囲む真空エンクロージャ34を有する。実施例では、超伝導コイル28はニオブ錫の超伝導コイルである。複数個の磁極集成体20は、回転軸線14の周りに配置された磁極集成体の円周方向配列を構成していることが図1から理解されよう。
【0008】
図面に示してないある実施例では、超伝導コイル28が直列に超伝導性を持って接続され、円周方向に隣接するコイル集成体24相互の間のコイル接続部が、適当な熱遮蔽体の接続部によって全体的に取り囲まれると共に、更に真空エンクロージャの接続部によって取り囲まれている。
各々の磁極集成体20は更に運動方向を持ち、この運動方向は、回転界磁巻線集成体16では、回転軸線の周りの円周方向の運動方向であり、これは超伝導回転子12の回転軸線14の周りの回転界磁巻線集成体16の円周方向の運動方向18と同一である。
【0009】
各々の磁極集成体20は更に、超伝導コイル28と熱接触する様に配置された、気体状極低温剤38を入れた第1の冷却導管36を含む。気体状極低温剤38は、大体10°Kと大体70°Kとの間の温度にある気体状ヘリウムで本質的に構成されることが好ましい。更に各々の磁極集成体20は、熱遮蔽体32と熱接触する様に配置され、気体状極低温剤42を入れた第2の冷却導管40を持つことが好ましい。第1の冷却導管36が熱遮蔽体32から隔たっていること、並びに第2の冷却導管40が超伝導コイル28から隔たっていることが図2から認められよう。
【0010】
図3は本発明の第2の好ましい実施例の界磁巻線集成体を示している。この界磁巻線集成体は電気機械用であり、この電気機械がリニア・モータ44であり、その一部分の可動部分46だけが図面に示されている。この界磁巻線集成体はリニア・モータ界磁巻線集成体48である。界磁巻線集成体の運動方向は、リニア・モータ界磁巻線集成体48では、ほぼ直線運動方向50である。
【0011】
リニア・モータ界磁巻線集成体48は複数個の磁極集成体52を持ち、各々の磁極集成体は固体コア54、及びこの固体コア54を全体的に取り囲む超伝導コイル集成体56を含む。固体コア54は本質的に鉄で構成されていることが好ましい。各々の超伝導コイル集成体56は、直線運動方向50に対して全体的に垂直に配置された全体的に縦方向に伸びる軸線58を持っている。各々の超伝導コイル集成体56は、直線運動方向50と全体的に平行に配置された短軸62を持つ全体的にレーストラック形のエポキシ含浸超伝導コイル60を有する。超伝導コイル集成体56はまた、超伝導コイル60から隔たり且つ全体的にそれを取り囲む熱遮蔽体を持つことが好ましく、更に超伝導コイル集成体56は、熱遮蔽体から隔たり且つそれを取り囲む真空エンクロージャを含む。この熱遮蔽体及び真空エンクロージャは、図3では、図面を見易くする為に省略されている。実施例では、超伝導コイル60はニオブ錫の超伝導コイルである。複数個の磁極集成体52は、直線運動方向50と全体的に平行に配置された磁極集成体の線形配列を構成していることが図3から判る。
【0012】
図面に示してないある実施例では、超伝導コイル60が直列に超伝導性を持って接続され、直線的に隣接するコイル集成体56相互の間のコイル接続部が適当な熱遮蔽体の接続部によって全体的に取り囲まれ、更に真空エンクロージャの接続部によって取り囲まれている。
更に各々の磁極集成体52は運動方向を持ち、この運動方向は、リニア・モータ界磁巻線集成体58では、全体的に直線運動方向であって、これはリニア・モータ界磁巻線集成体48の直線運動方向50と同一である。
【0013】
各々の磁極集成体52は、超伝導コイル60と熱接触する様に配置された、気体状極低温剤を入れた第1の冷却導管(図面を見易くする為に、図3では省略されている)をも含む。気体状極低温剤が、大体10°Kと大体70°Kとの間の温度にある気体ヘリウムで本質的に構成されることが好ましい。更に各々の磁極集成体52は熱遮蔽体(図面を見易くする為に、図3では省略されている)と熱接触する様に配置された、気体状極低温剤を入れた第2の冷却導管(これも図面を見易くする為に、図3では省略されている)を含むことが好ましい。第1の冷却導管が熱遮蔽体から隔たっていること、並びに第2の冷却導管が超伝導コイル60から隔たっていることに注意されたい。
【0014】
本発明の界磁巻線集成体16、48は(回転発電機10又は回転電動機用の様な)回転界磁巻線集成体16又はリニア・モータ界磁巻線集成体48に限らず、任意の界磁巻線集成体に適用できることを指摘しておきたい。普通の回転発電機、回転電動機及びリニア・モータは、その超伝導でない界磁巻線集成体を本発明の界磁巻線集成体16、48に置き換える様に改造することが出来ることに注意されたい。
【0015】
超伝導コイル28は、例えば、第1及び第2の熱絶縁性ハネカム集成体(図面を見易くする為に図2では省略されている)によって電気機械の運転中、真空エンクロージャ34内に支持することが出来ることに注意されたい。「熱絶縁性」とは、ハネカム集成体が、大体50°Kの温度でフィラメント状硝子補強エポキシの熱伝導率よりも一般的に大きくない熱伝導率を持つことを意味する。第1の熱絶縁性ハネカム集成体を超伝導コイル28と熱遮蔽体32との間に配置し、第2の熱絶縁性ハネカム集成体(又は熱絶縁性懸架ストラップ)を熱遮蔽体32と真空エンクロージャ34との間に配置することが好ましい。各々のハネカム集成体は、超伝導コイル28から真空エンクロージャ34へ伸びる様に整合した共通の開放方向を持つ全体的に同一の複数個のセルを持つことが好ましい。実施例では、各々の熱絶縁性ハネカム集成体は、セルの向かい合った側面の間の距離が大体1ミリと大体1センチとの間にある様なフィラメント補強エポキシ(FRE)複合ハネカム構造である。ハネカム集成体は、適切な横方向の剪断支持作用を持つと共に熱の漏れの小さい圧縮支持構造になる。超伝導コイルに対する従来の支持構造は、別々の張力支持部材及び別々の横方向支持部材を用いていることに注意されたい。ハネカム集成体は特定の用途に応じて予め設定された圧縮設定値を持っていても持っていなくてもよい。各々のハネカム集成体はモノリシック(即ち、一体の)集成体であってもよいし、或いは多数の別々の相隔たる、又は互いに接触する小集成体で構成してもよい。
【0016】
本発明の考えに従って設計された回転発電機10用の回転界磁巻線集成体16の工学的な解析により、200ポンドの超伝導ワイヤが使われるが、これに較べて、超伝導でない回転子の設計では10000ポンドの超伝導でない銅ワイヤを使わなければならず、又は空心の液体ヘリウム冷却式超伝導回転子の設計では2000ポンドの超伝導ワイヤを使わなければならない。どんな超伝導回転子でも、その利点が、抵抗損失をなくしたこと、並びに極低温冷却の為に、超伝導でない銅巻線に典型的な熱サイクルの問題がなくなったことにあることに注意されたい。空心の超伝導回転子は多量の超伝導ワイヤを必要とし、これは、本発明の超伝導回転子の回転界磁巻線集成体16と較べた時、必要なコイルの数を増大させ、コイル支持体を複雑にし、コストを高くする。液体ヘリウム冷却式超伝導回転子は、戻って来た室温の気体ヘリウムを連続的に再び液化することを必要とし、この液化がかなりの信頼性の問題を呈すると共に、かなりの余分のエネルギを必要とする。本発明の回転界磁巻線集成体16では、この様な冷却の問題が存在しない。
【0017】
上述の本発明の好ましい実施例は例示の為であって、これは本発明の全てを表しているものではないし、本発明をこゝに開示した通りの形態に制限するつもりでもない。上述の説明内容から、色々な変更が考えられることは云うまでもない。従って、本発明の範囲が特許請求の範囲によって限定されることを承知されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の好ましい実施例の超伝導界磁巻線集成体である回転界磁巻線集成体を示す簡略斜視図である。
【図2】磁極集成体を図1の線2−2で切った簡略断面図で、回転子リムの一部分に対する取付けをも示す。
【図3】本発明の第2の好ましい実施例の超伝導界磁巻線集成体であるリニア・モータ界磁巻線集成体の一部分を示す簡略斜視図である。
【符号の説明】
10 回転発電機
12 超伝導回転子
14 回転軸線
16 回転界磁巻線集成体
18 運動方向
20 磁極集成体
22 固体コア
24 超伝導コイル集成体
26 縦方向に伸びる軸線
28 レーストラック形のエポキシ含浸超伝導コイル
30 短軸
32 熱遮蔽体
34 真空エンクロージャ
36 第1の冷却導管
38 気体状極低温剤
40 第2の冷却導管
42 気体状極低温剤
44 リニア・モータ
48 リニア・モータ界磁巻線集成体
50 直線運動方向
52 磁極集成体
54 固体コア
56 超伝導コイル集成体
58 縦方向に伸びる軸線
60 レーストラック形のエポキシ含浸超伝導コイル
62 短軸

Claims (7)

  1. 複数個の磁極集成体を有する電気機械用の界磁巻線集成体において、各々の磁極集成体が、
    (a)固体コア、
    (b)前記固体コアを全体的に取り囲んでいて、当該磁極集成体の運動方向に対して全体的に垂直に配置された全体的に縦方向に伸びる軸線を持つ超伝導コイル集成体であって、前記運動方向と全体的に平行に配置された短軸を持つ全体的にレーストラック形のエポキシ含浸超伝導コイルを有する超伝導コイル集成体、
    (c)前記超伝導コイルから隔たり且つそれを全体的に取り囲む熱遮蔽体、
    (d)前記熱遮蔽体から隔たり且つそれを取り囲んでいる真空エンクロージャ、
    (e)前記超伝導コイルと熱接触し且つ前記熱遮蔽体から隔たる様に配置され、気体状極低温剤を入れた第1の冷却導管、及び
    (f)前記熱遮蔽体と熱接触し且つ前記超伝導コイルから隔たる様に配置された、気体状極低温剤を入れた第2の冷却導管
    を含んでいることを特徴とする界磁巻線集成体。
  2. 前記固体コアが本質的に鉄で構成されている請求項1記載の界磁巻線集成体。
  3. 前記気体状極低温剤が、大体10°Kと大体70°Kとの間の温度にある気体状ヘリウムで本質的に構成されている請求項1記載の界磁巻線集成体。
  4. 前記界磁巻線集成体が回転界磁巻線集成体であり、前記運動方向が回転軸線の周りの円周方向の運動方向である請求項1記載の界磁巻線集成体。
  5. 前記複数個の磁極集成体が、前記回転軸線の周りに配置された磁極集成体の円周方向配列を構成している請求項4記載の界磁巻線集成体。
  6. 前記界磁巻線集成体がリニア・モータの界磁巻線集成体であり、前記運動方向がほぼ直線運動方向である請求項1記載の界磁巻線集成体。
  7. 前記複数個の磁極集成体が、全体的に前記直線運動方向と平行に配置された磁極集成体の線形配列を構成している請求項6記載の界磁巻線集成体。
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