JP3972844B2 - ストリーミング配信におけるパケット順制御方法、ストリーミング配信システム、パケット順制御プログラム - Google Patents

ストリーミング配信におけるパケット順制御方法、ストリーミング配信システム、パケット順制御プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストリーミング配信システム及びストリーミング配信におけるパケット順制御方法に関し、特にTSパケットを接続して構成したUDPパケットの送信順番を認識することを可能にしたストリーミング配信システム及びストリーミング配信におけるパケット順制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
UDP(User Datagram Protocol)は、TCP/IPプロトコルにおけるトランスポート層のプロトコルであって、2つのノード上のプロセス(アプリケーション)間で、ベストエフォート型のデータグラム指向の通信を行なう。
【0003】
UDPは、その下位層にあるIPパケットをほとんどそのままアプリケーションから使えるようにしただけのプロトコルであるため、パケットが相手に確実に届くという保証はないし、再送や受信確認応答、フロー制御、大きなデータの分割や再合成(フラグメント化)などはすべてアプリケーション側で制御する必要がある。ただし、これらのオーバーヘッドがないの分、処理が簡単であり高速通信が可能となる。
【0004】
一般的に、ストリーミング配信には上述したUDPパケットが使用される。上記のようにUDPには処理が簡単で負荷が軽いなどの利点もあるが、受信側へのパケット到達の保証や送信側で送出した順番にパケットが受信側に届く保証がない。
【0005】
一方、データ形式にMPEG2を使う場合はTS(トランスポートストリーム)を使うのが一般的である。MPEG2のTSパケットをUDPパケットによって送信する場合、最も簡単な方法の一つとして、188バイトのTSパケットをn個接続(nは正の整数)したn×188バイトのパケットをUDPパケットとして送信する方法等がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−312648号公報(第7頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のUDPパケットによるストリーミング配信にあっては、UDPは到達保証や順序保証がないので、受信側で到着したパケットを正しい順序に並び替えるのが難しい。UDPパケットを構成するTSパケットにはパケット順序を表す巡回カウンタが設けられているが、この巡回カウンタは4ビットしかないので、TSパケットの数が16以上の場合、巡回カウンタの値をUDPパケットの並び替えに利用できないという問題点がある。
【0008】
従来から提案されているデータ伝送方法としては、例えば、特開平10−312648号公報には、MPEGデータパケット列生成方法において、パケットにパケットグループのグループ順序を示す順序テーブルを格納して、パケットグループの順序を任意に変更する方法が開示されているが、パケットをグループ化し、かつグループ順序を示す順序テーブルを格納する必要があるため、処理が複雑になると共に、TSパケットを接続して構成したUDPパケットの送受信には適さない。
【0009】
本発明の第1の目的は、TSパケットを接続して構成しただけのUDPパケットで、パケットの送信順番を認識することができるストリーミング配信におけるパケット順制御方法、ストリーミング配信システム、パケット順制御プログラムを提案することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、UDPパケットのパケット長(TSパケットの数を任意の数)に限定されずに、パケットの送信順番を認識することができるストリーミング配信におけるパケット順制御方法、ストリーミング配信システム、パケット順制御プログラムを提案することにある。
【0011】
本発明の第3の目的は、ストリームデータに含まれるUDPパケットの数が大きくても十分に対応することができ、かつ受信側が従来のシステムであっても、巡回カウンタ用に付加したパケットが無視されるだけであるので支障なく受信を行なうことができるストリーミング配信におけるパケット順制御方法、ストリーミング配信システム、パケット順制御プログラムを提案することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、前記UDPパケットを(m×16+1:mは整数)個のTSパケットによって構成し、前記UDPパケットの先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値が、前記UDPパケットの送信順を示すようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項2の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットを、特定のPIDのTSパケットを(m×16+1:mは整数)個含む構成とし、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値を、前記UDPパケットの送信順とすることを特徴とする。
【0014】
請求項3の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタの値を前記UDPパケットの送信順とすることを特徴とする。
【0015】
請求項4の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットに含まれる特定のPIDのTSパケットのうち、先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタの値を前記UDPパケットの送信順とすることを特徴とする。
【0016】
請求項5の本発明は、受信した前記UDPパケットの前記TSパケットの前記巡回カウンタの値を、前後の前記TSパケットの巡回カウンタの値を参照して元の順番に書き直すことを特徴とする。
【0017】
請求項6の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込んだ送信順制御用のTSパケットを付加することを特徴とする。
【0018】
請求項7の本発明は、前記送信順制御用のTSパケットのペイロード部分に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込むことを特徴とする。
【0019】
請求項8の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、送信側に、前記UDPパケットを(m×16+1:mは整数)個のTSパケットによって構成し、前記UDPパケットの先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設ける送信パケット順制御部を備え、受信側に、受信した前記UDPパケットを、前記先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項9の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットを、特定のPIDのTSパケットを(m×16+1:mは整数)個含む構成とし、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設ける送信パケット順制御部を備え、受信側に、受信した前記UDPパケットを、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項10の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設定する送信パケット順制御部を備え、受信側に、受信した前記UDPパケットを、先頭からm個の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項11の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットに含まれる特定のPIDのTSパケットのうち、先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設定する送信パケット順制御部を備え、受信側に、受信した前記UDPパケットを、先頭からm個の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とする。
【0023】
請求項12の本発明は、受信側の前記受信パケット順制御部が、受信した前記UDPパケットの前記TSパケットの前記巡回カウンタの値を、前後の前記TSパケットの巡回カウンタの値を参照して元の順番に書き直すことを特徴とする。
【0024】
請求項13の本発明は、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、前記送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込んだ送信順制御用のTSパケットを付加する送信パケット順制御部を備え、受信側に、受信した前記UDPパケットを、付加された前記送信順制御用のTSパケットの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項14の本発明は、前記送信順制御用のTSパケットのペイロード部分に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込むことを特徴とする。
【0026】
請求項15の本発明は、コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、前記UDPパケットを(m×16+1:mは整数)個のTSパケットによって構成し、前記UDPパケットの先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を設定する機能を実行することを特徴とする。
【0027】
請求項16の本発明は、コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットを、特定のPIDのTSパケットを(m×16+1:mは整数)個含む構成とし、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を設定する機能を実行することを特徴とする。
【0028】
請求項17の本発明は、コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに前記UDPパケットの送信順を設定する機能を実行することを特徴とする。
【0029】
請求項18の本発明は、コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットに含まれる特定のPIDのTSパケットのうち、先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに前記UDPパケットの送信順を示す値を設定する機能を実行することを特徴とする。
【0030】
請求項19の本発明は、コンピュータ上で実行され、受信した前記UDPパケットの前記TSパケットの前記巡回カウンタの値を、前後の前記TSパケットの巡回カウンタの値を参照して元の順番に書き直す機能を実行することを特徴とする。
【0031】
請求項20の本発明は、コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込んだ送信順制御用のTSパケットを付加する機能を実行することを特徴とする。
【0032】
請求項21の本発明は、前記送信順制御用のTSパケットのペイロード部分に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込む機能を実行することを特徴とする。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
本発明は、MPEG2TSを使ったインターネット上でのストリーミング配信システムにおいて、受信パケットの順序を制御する方法を提供するものである。
【0036】
図1に、本発明の好適な実施の形態によるストリーミング配信システムの全体構成を示す。
【0037】
図1において、ストリーミング配信システムは、MPEG2TS等によるストリーミングデータをインターネット等のネットワーク30上に配信するストリーミング配信サーバ10と、ネットワーク30を配信されたストリーミングデータを受信して再生する利用者の受信端末20とからなる。
【0038】
ここで、ストリーミング配信サーバ10は、MPEG2TS等の規格によってストリームデータを生成するストリームデータ生成部11と、生成したストリームデータを格納するストリームデータ格納部12と、生成したストリームデータの送信を行なうストリームデータ送信部13とを備え、さらに、本発明の特徴である送信するストリームデータのパケット順を制御する送信パケット順制御部14を備えている。
【0039】
また、受信端末20は、ネットワーク30を介して配信されたストリームデータを受信するストリームデータ受信部21と、受信したストリームデータを復号化するストリームデータ復号化部23と、復号化したストリームデータを再生する再生部24とを備え、さらに、本発明の特徴である受信したストリームデータのパケット順を制御する受信パケット順制御部22を備えている。
【0040】
以下、上記説明した送信パケット順制御部14及び受信パケット順制御部22の制御内容について図面を参照して説明する。
【0041】
まず、本実施の形態によるストリーミング配信に使用するUDPパケットの構成について図2を参照して説明する。
【0042】
図2において、第1UDPパケットP1は、n個(ここでは、n=17)のTSパケット100、101、…、116を接続したUDPパケットである。同様に、第2UDPパケットP2は、n個のTSパケット200、201、…、216を、第3UDPパケットP3は、TSパケット300、301、…、316を接続したUDPパケットである。ここでは、UDPパケットが3個の場合を示しているが、その個数はいくつであっても良いのは言うまでもない。
【0043】
図5にTSパケットの構成を示す。TSパケットは188バイトで構成されており、初めの4バイトはMPEG2で規定されているパケットヘッダであり、残りの184バイトはペイロードである。ペイロードには、通常は圧縮された映像データ等が格納される。
【0044】
各UDPパケットのTSパケットのパケットヘッダには、TSパケットの種類を示すPID(パケット識別子)とTSパケットの順番を示す4ビットの巡回カウンタが含まれている。
【0045】
図2のUDPパケットにおいては、同一種類のTSパケット(同じPIDを有するTSパケット)によって構成されているものとする。
【0046】
上記第1、第2、第3UDPパケットP1、P2、P3を構成するTSパケット100〜116、200〜216、300〜316の巡回カウンタには、第1UDPパケットP1から第3UDPパケットP3までのTSパケットの順番を示すカウンタ値が付与されている。
【0047】
図2に示すUDPパケットにおいては、各第1、第2、第3UDPパケットP1、P2、P3をそれぞれ17個のTSパケット100〜116、200〜216、300〜316によって構成しており、かつ、各TSパケットのパケットヘッダの巡回カウンタが4ビットであることから、第1UDPパケットP1のTSパケット100から順番に「0」、「1」、「2」・・・と巡回カウンタの値を付与すると、16番目のTSパケット115の巡回カウンタの値が「15」となり、最後の17番目のTSパケット116の巡回カウンタの値が「0」に戻る。
【0048】
また、第2UDPパケットP2を構成するTSパケット200〜216については、先頭のTSパケット200は第1UDPパケットP1のTSパケット116の次のパケットであるから、その巡回カウンタの値は「1」となり、また、最後のTSパケット216の巡回カウンタも「1」となる。
【0049】
同様に、第3UDPパケット3を構成するTSパケット300〜316については、先頭のTSパケット300は第2UDPパケットP2のTSパケット216の次のパケットであるから、その巡回カウンタの値は「2」となり、最後のTSパケット316の巡回カウンタの値も「2」となる。
【0050】
本実施の形態では、上記のように、各UDPパケットを構成するTSパケットの個数を17個とすることにより、各UDPパケットの先頭のTSパケットの巡回カウンタの値が「0」、「1」、「2」、…、「14」、「15」、「0」、…のように連続した値となるようにしている。
【0051】
すなわち、1つのUDPパケットを(m×16+1)個のTSパケットで構成(mは整数)することにより、各UDPパケットを構成するTSパケットのうち先頭のTSパケットの巡回カウンタの値が「0」〜「15」の連続番号の繰り返しになるようにしている。
【0052】
このように、1つのUDPパケットに含まれるTSパケットの数を(m×16+1)個とすれば、先頭のTSパケットのヘッダ内の巡回カウンタの値が上記のように連続した値となるため、受信側でそれを参照することにより、UDPパケットの順序が分かり、並べ替えするを行なうことができるようになる。
【0053】
ストリーミング配信サーバ10の送信パケット順制御部14は、ストリームデータ送信部13で送信するストリームデータを、図2に示すように、1つのUDPパケットに含まれるTSパケットの数が(m×16+1)個となるように構成してパケット順を制御する。
【0054】
また、ストリーミング配信サーバ10からのストリームデータを受信した受信端末20では、受信パケット順制御部22が、UDPパケットの先頭のTSパケットの巡回カウンタの値を参照することによって、UDPパケットの順番を判別して並べ替えを行なう。
【0055】
これにより、UDPパケットが順番通りに受信されない場合でも、先頭のTSパケットの巡回カウンタの値を参照して正しい順番に並べ替えることができるようになる。
【0056】
ここで、一般にMPEG2のストリームデータのTSデータは、複数のPIDを含んでいることが多い。しかし、巡回カウンタは各PIDごとに独立して振られているため、ある特定のPIDにのみ着目し、1つのUDPパケットをある特定のPIDのTSパケットを(m×16+1)個含んだ構成(mは整数)とすれば、その特定のPIDを有するTSパケットの巡回カウンタの値は、上記のように連続した番号となり、同様の結果が得られる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図3を参照して詳細に説明する。
【0058】
第2の実施の形態によるストリーミング配信システムの構成については、図1に示した第1の実施の形態の構成と同じであるので説明を省略する。
【0059】
図3を参照すると、第2の実施の形態によるストリーミング配信のパケット順序制御においては、第1UDPパケットP11、第2UDPパケットP12、第3UDPパケットP13、・・・、のように構成し、かつ第1UDPパケットP11、第2UDPパケットP12、第3UDPパケットP13が、それぞれn個(ここでは、n=17)のTSパケット400〜416、TSパケット500〜516、TSパケット600〜616を接続した形となっている。ここでも、UDPパケットが3個の場合を示しているが、その個数はいくつであっても良いのは言うまでもない。
【0060】
なお、ここでは説明を簡略化するため、図3のUDPパケットにおいては、同一種類のTSパケット(同じPIDを有するTSパケット)によって構成されているものとする。
【0061】
ここで、UDPパケットの先頭からt個のTSパケットの巡回カウンタを使い、それをt×4ビットの巡回カウンタとして使用する。図3の例では、先頭から2個(t=2)のTSパケットの巡回カウンタを組み合わせることにより、8ビットの巡回カウンタとして使用する。
【0062】
つまり、図3のように、第1UDPパケットP11の第1のTSパケット400の巡回カウンタの値を「0」、第2のTSパケット401の巡回カウンタの値を「0」、第2UDPパケットP12の第1のTSパケット500の巡回カウンタの値を「1」、第2のTSパケット501の巡回カウンタの値を「0」、第3UDPパケットP13の第1のTSパケット600の巡回カウンタの値を「2」、第2のTSパケット601の巡回カウンタの値を「0」、・・・のように設定して、ストリーミング配信サーバ10から送出する。
【0063】
受信側である受信端末20では、各UDPパケットの先頭から2個のTSパケットの巡回カウンタの値を取り出して、そのUDPパケットの巡回カウンタ(8ビットの巡回カウンタ)として認識する。
【0064】
すると、第1UDPパケットP11の巡回カウンタは「00」、第2UDPパケットP12の巡回カウンタは「01」、第3UDPパケットP13の巡回カウンタは「02」となることから、たとえUDPパケットの到着順序がパケット順でなくとも、元の順序通りに並び替えることができる。
【0065】
ストリーミング配信サーバ10の送信パケット順制御部14は、ストリームデータ送信部13で送信するストリームデータについて、図3に示すように、1つのUDPパケットの先頭からt個のTSパケットの巡回カウンタの値を上記規則に従って設定する。
【0066】
また、ストリーミング配信サーバ10からのストリームデータを受信した受信端末20では、受信パケット順制御部22が、UDPパケットの先頭からt個のTSパケットの巡回カウンタのUDPパケットの巡回カウンタ値として参照することによって、UDPパケットの順番を判別して並べ替えを行なう。
【0067】
これにより、UDPパケットが順番通りに受信されない場合でも、正しい順番に並べ替えることができるようになる。
【0068】
また、この第2の実施の形態では、受信パケット順制御部22が、UDPパケットを並び替えた後に、書き換られたTSパケットの巡回カウンタを前後のTSパケットを参照して順番に振り直すことにより復元する。
【0069】
ここで、一般にMPEG2のストリームデータのTSデータは、複数のPIDを含んでいることが多い。しかし、第1の実施の形態と同様、あるPIDパケットにのみ着目し、その特定のPIDを有するTSパケットの先頭からm個のパケットの巡回カウンタを書き換えるようにすれば同様の効果が得られる。
【0070】
この第2の実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加えて、1つのUDPパケットのパケット長(TSパケットの数を任意の数)が限定されず、任意の長さにすることができる。
【0071】
さらに、本発明の第3の実施の形態について、図4、図5を参照して詳細に説明する。
【0072】
第3の実施の形態によるストリーミング配信システムの構成については、図1に示した第1の実施の形態の構成と同じであるので説明を省略する。
【0073】
図4において、第1〜第3のUDPパケットP21〜P23は、それぞれn個のTSパケットを接続した構成となっている。ここでも、UDPパケットが3個の場合を示しているが、その個数はいくつであっても良いのは言うまでもない。
【0074】
ここで、第1UDPパケットP21の先頭から2番目のTSパケット701以降のTSパケットが本来送信しようとするTSパケットであり、先頭のTSパケット700は送信順の制御用に添付したパケットである。第2UDPパケットP22、P23についても、先頭から2番目のTSパケット801、901以降のTSパケットが本来送信するパケットであり、先頭のTSパケット800及び900は送信順の制御用に付加されている。
【0075】
図5は、一般的なTSパケットである先頭のTSパケット700(TSパケット800、900を含む)の構成例を示す図である。TSパケット700の188バイトのうち、最初の4バイトはMPEG2で規定されているTSヘッダ1001である。残りの184バイトはペイロード1002である。
【0076】
通常のTSパケットのペイロード1002には、圧縮された映像データ等が格納されるが、本実施の形態のTSパケット700(TSパケット800、900を含む)は送信順の制御用に独自に付加したパケットであり、ペイロード1002を自由に利用することができる。
【0077】
本実施の形態では、付加したTSパケットのペイロード1002部分を、UDPパケットの巡回カウンタとして使用する。
【0078】
すなわち、図4の例では、ストリーミング配信サーバ10の送信パケット順制御部14が、ストリームデータ送信部13から送信するストリームデータについて、第1UDPパケットP21の先頭のTSパケット700のペイロードにUDPパケットの巡回カウンタ値として「0」を書き込む。同様に第2UDPパケットP22の先頭のTSパケット800のペイロードには「1」を、第3UDPパケットP23の先頭のTSパケット900には「2」を書き込んで送出する。
【0079】
受信側の受信端末20の受信パケット順制御部22では、受信した各UDPパケットP21〜P23の先頭のTSパケット700、800、900のペイロード部分の値をUDPパケットの巡回カウンタとして並び替えを行なう。これにより、UDPパケットの到着順番が送出順でなくてもパケットの正しい順序を認識することができる。
【0080】
上記第3の実施の形態における効果は以下の通りである。
【0081】
巡回カウンタの領域が最大で184バイト使用できるため、巡回カウンタの値が同じパケットが現れる可能性は実使用上あり得ないので、ストリームデータに含まれるUDPパケットの数が大きくても十分に対応することができる。
【0082】
送信順の制御用(巡回カウンタ用)に付加するTSパケットのPIDをビデオやオーディオなど他のTSパケットのPIDと別の値にすることにより、受信側が従来のシステムであっても、巡回カウンタ用に付加したパケットが無視されるだけであるので支障なく受信を行なうことができる。
【0083】
本発明のストリーミング配信システムにおけるパケット順制御方法は、構成要素である送信パケット順制御部14及び受信パケット順制御22の機能をハードウェア的に実現することは勿論として、上記した手段の機能を実行するパケット順制御プログラム(アプリケーション)1500をストリーミング配信サーバ10及び受信端末20としてのコンピュータ処理装置のメモリにロードしてコンピュータ処理装置を制御することで実現することができる。このパケット順制御プログラム1500は、磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体に格納され、その記録媒体からコンピュータ処理装置にロードされ、コンピュータ処理装置の動作を制御することにより、上述した各機能を実現する。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のストリーミング配信におけるパケット順制御方法によれば、以下に述べるような優れた効果が実現される。
【0085】
第1に、TSパケットを接続して構成しただけのUDPパケットで、パケットの送信順番を認識することができる。その理由は、UDPパケットのTSパケットの巡回カウンタに、UDPパケットの順番を示す値を設定する構成としたからである。
【0086】
第2に、UDPパケットの先頭から複数のTSパケットの巡回カウンタを組合せ、その組み合わせた巡回カウンタに順番を示す値を設定することにより、UDPパケットのパケット長(TSパケットの数を任意の数)が限定されず、任意の長さにすることができる。
【0087】
第3に、UDPパケットの先頭に送信順の制御用のTSパケットを付加する構成とすることにより、巡回カウンタの領域が最大で184バイト使用できるようになり、巡回カウンタの値が同じパケットが現れる可能性は実使用上あり得ないので、ストリームデータに含まれるUDPパケットの数が大きくても十分に対応することができる。また、送信順の制御用に付加するTSパケットのPIDをビデオやオーディオなど他のTSパケットのPIDと別の値にすることにより、受信側が従来のシステムであっても、巡回カウンタ用に付加したパケットが無視されるだけであるので支障なく受信を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態によるストリーミング配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態によるストリーミング配信に使用するUDPパケットの構成を説明する図である。
【図3】 本発明の第2の実施の形態によるストリーミング配信に使用するUDPパケットの構成を説明する図である。
【図4】 本発明の第3の実施の形態によるストリーミング配信に使用するUDPパケットの構成を説明する図である。
【図5】 第3の実施の形態において送信順の制御用に付加するTSパケットの構成を説明する図である。
【符号の説明】
10:ストリームデータ配信サーバ
11:ストリームデータ生成部
12:ストリームデータ格納部
13:ストリームデータ送信部
14:送信パケット順制御部
20:受信端末
21:ストリームデータ受信部
22:受信パケット順制御部
23:ストリームデータ復号化部
24:再生部
30:ネットワーク
P1、P11、P21:第1UDPパケット
P2、P12、P22:第2UDPパケット
P3、P13、P23:第3UDPパケット
100〜116、200〜216、300〜316:TSパケット
400〜416、500〜516、600〜616:TSパケット
701〜799、801〜899、901〜999:TSパケット
700A、800A、900A:送信順の制御用のTSパケット
1001:TSヘッダ
1002:ペイロード
1500:パケット順制御プログラム

Claims (21)

  1. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、
    前記UDPパケットを(m×16+1:mは整数)個のTSパケットによって構成し、前記UDPパケットの先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値が、前記UDPパケットの送信順を示すようにしたことを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  2. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットを、特定のPIDのTSパケットを(m×16+1:mは整数)個含む構成とし、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値を、前記UDPパケットの送信順とすることを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  3. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタの値を前記UDPパケットの送信順とすることを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  4. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットに含まれる特定のPIDのTSパケットのうち、先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタの値を前記UDPパケットの送信順とすることを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  5. 受信した前記UDPパケットの前記TSパケットの前記巡回カウンタの値を、前後の前記TSパケットの巡回カウンタの値を参照して元の順番に書き直すことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  6. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御方法であって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込んだ送信順制御用のTSパケットを付加することを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  7. 前記送信順制御用のTSパケットのペイロード部分に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込むことを特徴とする請求項6に記載のストリーミング配信におけるパケット順制御方法。
  8. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、
    送信側に、前記UDPパケットを(m×16+1:mは整数)個のTSパケットによって構成し、前記UDPパケットの先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設ける送信パケット順制御部を備え、
    受信側に、受信した前記UDPパケットを、前記先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
  9. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、
    送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットを、特定のPIDのTSパケットを(m×16+1:mは整数)個含む構成とし、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設ける送信パケット順制御部を備え、
    受信側に、受信した前記UDPパケットを、記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
  10. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、
    送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設定する送信パケット順制御部を備え、
    受信側に、受信した前記UDPパケットを、先頭からm個の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
  11. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、
    送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットに含まれる特定のPIDのTSパケットのうち、先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を示す値を設定する送信パケット順制御部を備え、
    受信側に、受信した前記UDPパケットを、先頭からm個の前記TSパケットの巡回カウンタの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
  12. 受信側の前記受信パケット順制御部が、受信した前記UDPパケットの前記TSパケットの前記巡回カウンタの値を、前後の前記TSパケットの巡回カウンタの値を参照して元の順番に書き直すことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のストリーミング配信システム。
  13. 複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信システムであって、
    前記送信側に、複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込んだ送信順制御用のTSパケットを付加する送信パケット順制御部を備え、
    受信側に、受信した前記UDPパケットを、付加された前記送信順制御用のTSパケットの値に基づいて並び替える受信パケット順制御部を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
  14. 前記送信順制御用のTSパケットのペイロード部分に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込むことを特徴とする請求項13に記載のストリーミング配信システム。
  15. コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、
    前記UDPパケットを(m×16+1:mは整数)個のTSパケットによって構成し、前記UDPパケットの先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を設定する機能を実行することを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
  16. コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットを、特定のPIDのTSパケットを(m×16+1:mは整数)個含む構成とし、前記特定のPIDの前記TSパケットのうち、先頭の前記TSパケットの巡回カウンタに、前記UDPパケットの送信順を設定する機能を実行することを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
  17. コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに前記UDPパケットの送信順を示す値を設定する機能を実行することを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
  18. コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットに含まれる特定のPIDのTSパケットのうち、先頭からm個(mは整数)の前記TSパケットの巡回カウンタを組合せ、当該組み合わせた巡回カウンタに前記UDPパケットの送信順を示す値を設定することを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
  19. 受信した前記UDPパケットの前記TSパケットの前記巡回カウンタの値を、前後の前記TSパケットの巡回カウンタの値を参照して元の順番に書き直す機能を実行することを特徴とする請求項17又は請求項18に記載のストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
  20. コンピュータ上で実行され、複数のUDPパケットからなるストリーミングデータを配信するストリーミング配信におけるパケット順制御プログラムであって、
    複数のTSパケットで構成される前記UDPパケットの先頭に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込んだ送信順制御用のTSパケットを付加する機能を実行することを特徴とするストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
  21. 前記送信順制御用のTSパケットのペイロード部分に、前記UDPパケットの送信順を示す値を書き込む機能を実行することを特徴とする請求項20に記載のストリーミング配信におけるパケット順制御プログラム。
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