JP3963761B2 - 建築物の性能評価書作成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、任意のCADシステムによって作成された図面各部の面積を計算する面積計算装置、建築物の熱損失量等を計算する建築設計計算装置、及び建築物の性能評価書を作成する性能評価書作成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
欠陥住宅が社会問題化するなか、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が施行され、併せて、住宅性能表示制度がスタートした。性能表示制度は9区分28項目について2〜5段階の等級を物件に明示するものである。これらの区分には、耐震等級を含む「構造の安定」、省エネ対策等級を含む「温熱環境」等がある。耐震等級を評価するためには建築物の構造強度の計算が不可欠であり、また、省エネ対策等級を評価するためには建築物の壁や窓から流失する熱損失量等を計算することが必要になる。
【0003】
例えば、建築物の図面に基づいて熱損失係数(q値)[W/m2K]を計算するには、建築図面の平面図や立面図から屋根、外壁、窓等の面積を求め、それらの面積と夫々の部位の熱貫流率(K値)[W/m2K]とを乗じることによって、各部位の熱損失量を計算する。次に、各部位の熱損失量を合計して全体の熱損失量を求め、この全体の熱損失量を建築物の延べ床面積で除することによって熱損失係数が算出される。更に、建築物の日射取得係数(μ値)を計算する場合には、壁面や窓の面積を建築物の各方位ごとに計算し、それらに夫々の方位係数を乗ずる必要があるため、更に複雑な計算が必要になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の計算の中でも、建築図面から屋根、壁面、床面等の面積を求める計算が、特に時間を要するものである。即ち、平面図や立面図から屋根、壁面、床面等の寸法を読み取り、更に、屋根、壁面等の複雑な形状を、容易に面積を求めることができる長方形等に分割して各部の面積を計算し、次いで各部の面積を合計する必要がある。更に、求められた面積から、外壁等に設けられた窓等の開口部の面積を差し引く等、多くの作業及び計算が必要になる。また、壁面等には、種々の形状があるので、紙に描かれた建築図面から各部の面積を求める作業をコンピュータの導入によって大幅に効率化することが難しいという課題がある。
【0005】
一方、近年広く普及しているCADシステム(コンピュータ援用設計システム)の中には、面積の計算機能を備えたものもある。しかしながら、これらの面積計算機能は、建築物等の設計時に行う構造強度の設計や、熱損失量の計算を支援するためのものである。従って、面積計算機能を備えたCADシステムによって建築物を設計する際には、それらの計算機能を活用することができるが、設計が完了し、図面(図面データ)が完成した後には、その計算機能を活用することができない。即ち、CADシステムによって作成された図面データは、図面を構成する多数の線分の情報の集合であるため、それら多数の線分のうちの特定の線分によって囲われる面を図面データから直接抽出し、面積の計算をすることはできない。従って、例えば、DXF形式のような汎用的な形式のCAD図面データを入手したとしても、その図面データを基に面積の計算等を含む構造強度計算、熱損失量計算等を容易に行うことができないという課題がある。
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明は、例えば、DXF形式のような汎用的な形式のCAD図面データを基に、図面上の所望の部分の面積を容易に計算することができる面積計算装置を提供することを目的としている。
本発明の第2の目的は、汎用的な形式のCAD図面データを基に、建築物の所望の部分の実際の面積を計算し、その計算値を基に建築物の特性の計算を行い、建築物の性能評価書を作成する建築物特性計算装置、及び性能評価書作成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明は、任意のCADシステムによって作成された図面データを読み込ませるための読込手段と、読み込まれた図面データを基に、図面をディスプレイに表示させるための図面表示手段と、ディスプレイに表示された図面上に適合貼付枠を表示させるための適合貼付枠表示手段と、適合貼付枠を、図面の面積を求めるべき部分に合わせて適合させるための適合手段と、適合貼付枠を適合させた図面の各頂点の座標を、図面データから取得させるためのデータ取得手段と、図面データから取得された各頂点の座標に基づいて、図面の適合貼付枠を適合させた部分の実際の面積を計算させるための面積計算手段と、面積計算手段によって計算された計算結果を表示するための表示手段と、を有することを特徴とする面積計算装置を提供する。
【0008】
この構成では、まず、任意のCADシステムによって作成された図面データを面積計算装置に読み込み、読み込まれてディスプレイに表示された図面上に適合貼付枠を表示させる。次いで、この適合貼付枠を、適合手段を使用してディスプレイ上の図面の面積を求めたい部分の寸法形状に合わせて伸縮させる。適合貼付枠が適合されると、図面の適合貼付枠を貼り付けた部分の頂点の座標が図面データから取得される。この取得された図面データを基に、適合貼付枠を貼り付けた部分の図面上での面積が計算され、その面積が表示手段によって表示される。これにより、任意のCADシステムによって作成された図面の所望部分の実際の面積を簡単に求めることが可能になる。
【0009】
この面積計算装置に、規格部品の面積及び形状の情報を含むデータベースと、データベース化された規格部品を選択させるための部品選択手段と、選択された規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手段と、規格部品の図形を、図面の適合貼付枠を適合させた部分の中に描かれている同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手段と、適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から規格部品の実際の面積を減じた正味面積を計算させるための正味面積計算手段と、を更に設けても良い。
【0010】
この構成では、図面上に描かれている規格部品をデータベースから選択することができ、選択された規格部品の図形がディスプレイ上に表示される。この規格部品の図形を、図面上に描かれている同一の規格部品の上に、重畳手段によって重畳させる。適合貼付枠に規格部品の図形が重畳されると、適合貼付枠の面積から規格部品の面積を減じた正味の面積が計算される。この構成により、適合貼付枠を適合させた部分の面積から規格部品の面積を減じた面積を容易に求めることができる。
【0011】
上記の面積計算装置に、この面積計算装置によって計算された面積に基づいて、建築物の熱的特性、及び/又は、建築物の構造強度特性を計算するための特性計算手段と、特性計算手段によって計算された計算結果を表示するための表示手段と、を追加することによって建築物特性計算装置を構成することができる。
【0012】
本発明は又、建築物の床面、壁面及び屋根外壁部分の構造と、その熱的特性とを関連付けた情報を含むデータベースと、任意のCADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込ませるための読込手段と、建築物の床面の熱的特性をデータベースから選択させるための床特性選択手段と、読み込まれた図面データを基に、建築物の平面図をディスプレイに表示させるための平面図表示手段と、ディスプレイに表示された平面図に適合させるための平面図適合貼付枠を表示させるための平面図適合貼付枠表示手段と、平面図適合貼付枠を、平面図に合わせて適合させるための平面図適合手段と、平面図適合貼付枠を適合させた平面図の各頂点の座標を、各々図面データから取得させるための平面図データ取得手段と、図面データから取得された平面図の各頂点の座標に基づいて、建築物の床面の実際の面積を計算させるための平面図面積計算手段と、建築物の壁面の熱的特性をデータベースから選択させるための壁面特性選択手段と、読み込まれた図面データを基に、建築物の立面図をディスプレイに表示させるための立面図表示手段と、ディスプレイに表示された立面図に適合させるための立面図適合貼付枠を表示させるための立面図適合貼付枠表示手段と、立面図適合貼付枠を、立面図の壁面に合わせて適合させるための立面図適合手段と、立面図適合貼付枠を適合させた立面図の壁面の各頂点の座標を、各々図面データから取得させるための立面図データ取得手段と、図面データから取得された壁面の各頂点の座標に基づいて、立面図の壁面の実際の面積を計算させるための立面図面積計算手段と、建築物の屋根の形式及び熱的特性をデータベースから選択させるための屋根選択手段と、ディスプレイに表示された立面図の屋根外壁部分に適合させるための屋根適合貼付枠を表示させるための屋根用適合貼付枠表示手段と、屋根適合貼付枠を、立面図の屋根外壁部分に合わせて適合させるための屋根適合手段と、屋根適合貼付枠を適合させた立面図の屋根外壁部分の各頂点の座標を、各々図面データから取得させるための屋根データ取得手段と、選択された屋根の形式、及び、図面データから取得された屋根外壁部分の各頂点の座標に基づいて、屋根外壁部分の実際の面積を計算させるための屋根面積計算手段と、計算された床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの実際の面積と、床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの熱的特性と、に基づいて、建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手段と、を有することを特徴とする建築物特性計算装置である。
【0013】
この構成では、建築物の図面データから床面の面積、壁面の面積、屋根外壁部の面積を、それぞれ区別して計算し、床面、壁面、屋根外壁部それぞれの面積と、それらの部分の熱的特性、例えば、K値とを乗じることにより、建築物の熱的特性、例えば、全熱損失量等を計算することができる。
【0014】
本発明は、上記の装置に次の機能を追加した建築物特性計算装置も提供する。即ち、窓部品及びドア部品を含む規格部品の面積及び熱的特性の情報を含むデータベースと、データベースから規格部品を選択させるための部品選択手段と、選択された規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手段と、規格部品の図形を、立面図に描かれている同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手段と、立面図適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から規格部品の実際の面積を減じた正味面積を計算させるための正味面積計算手段と、選択された規格部品の面積と、計算された床面の面積と、壁面の正味面積と、屋根外壁部分の面積と、規格部品、床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの熱的特性と、に基づいて、建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手段と、を更に有することを特徴とする建築物特性計算装置である。
【0015】
この構成では、立面図適合貼付枠を適合させた壁面に、データベースから選択された窓等の規格部品を重畳させることができる。これにより、立面図適合貼付枠を適合させた壁面の面積から規格部品の面積を減じた部分の熱的特性、及び規格部品の熱的特性を加味した建築物の熱的特性を計算することができる。
【0016】
上記の建築物特性計算装置に、この建築物特性計算装置の計算結果に基づいて当該建築物の性能評価書を作成するための性能評価書作成手段を更に設け、建築物の性能評価書作成装置を構成することができる。
本発明は又、上記の面積計算装置、建築物特性計算装置、又は、性能評価書作成装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムを提供する。
【0017】
即ち、任意のCADシステムによって作成された図面データを読み込ませるための読込手順と、読み込まれた図面データを基に、図面をディスプレイに表示させるための図面表示手順と、ディスプレイに表示された図面上に適合貼付枠を表示させるための適合貼付枠表示手順と、適合貼付枠を、図面の面積を求めるべき部分に合わせて適合させるための適合手順と、適合貼付枠を適合させた図面の各頂点の座標を、図面データから取得させるためのデータ取得手順と、図面データから取得された各頂点の座標に基づいて、図面の適合貼付枠を適合させた部分の実際の面積を計算させるための面積計算手順と、面積計算手順において計算された計算結果を表示するための表示手順と、を有することを特徴とする面積計算プログラムである。
【0018】
また、この面積計算プログラムは、規格部品の面積及び形状の情報を含むデータベースを有し、データベース化された規格部品を選択させるための部品選択手順と、選択された規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手順と、規格部品の図形を、図面の適合貼付枠を適合させた部分の中に描かれている同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手順と、適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から規格部品の実際の面積を減じた正味面積を計算させるための正味面積計算手順と、を更に有しても良い。
また、上記面積計算プログラムと、該面積計算プログラムによって計算された面積に基づいて、建築物の熱的特性、及び/又は、建築物の構造強度特性を計算するための特性計算手順と、特性計算手順によって計算された計算結果を表示するための表示手順と、を有することを特徴とする建築物特性計算プログラムを構成することもできる。
【0019】
また、建築物特性計算プログラムは、建築物の床面、壁面及び屋根外壁部分の構造と、その熱的特性とを関連付けた情報を含むデータベースを有し、任意のCADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込ませるための読込手順と、建築物の床面の熱的特性をデータベースから選択させるための床特性選択手順と、読み込まれた図面データを基に、建築物の平面図をディスプレイに表示させるための平面図表示手順と、ディスプレイに表示された平面図に適合させるための平面図適合貼付枠を表示させるための平面図適合貼付枠表示手段と、平面図適合貼付枠を、平面図に合わせて適合させるための平面図適合手順と、平面図適合貼付枠を適合させた平面図の各頂点の座標を、各々図面データから取得させるための平面図データ取得手順と、図面データから取得された平面図の各頂点の座標に基づいて、建築物の床面の実際の面積を計算させるための平面図面積計算手順と、建築物の壁面の熱的特性をデータベースから選択させるための壁面特性選択手順と、読み込まれた図面データを基に、建築物の立面図をディスプレイに表示させるための立面図表示手順と、ディスプレイに表示された立面図に適合させるための立面図適合貼付枠を表示させるための立面図適合貼付枠表示手順と、立面図適合貼付枠を、立面図の壁面に合わせて適合させるための立面図適合手順と、立面図適合貼付枠を適合させた立面図の壁面の各頂点の座標を、各々図面データから取得させるための立面図データ取得手順と、図面データから取得された壁面の各頂点の座標に基づいて、立面図の壁面の実際の面積を計算させるための立面図面積計算手順と、建築物の屋根の形式及び熱的特性をデータベースから選択させるための屋根選択手順と、ディスプレイに表示された立面図の屋根外壁部分に適合させるための屋根適合貼付枠を表示させるための屋根用適合貼付枠表示手順と、屋根適合貼付枠を、立面図の屋根外壁部分に合わせて適合させるための屋根適合手順と、屋根適合貼付枠を適合させた立面図の屋根外壁部分の各頂点の座標を、各々図面データから取得させるための屋根データ取得手順と、選択された屋根の形式、及び、図面データから取得された屋根外壁部分の各頂点の座標に基づいて、屋根外壁部分の実際の面積を計算させるための屋根面積計算手順と、計算された床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの実際の面積と、床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの熱的特性と、に基づいて、建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手順と、を有しても良い。
【0020】
更に、建築物特性計算プログラムは、窓部品及びドア部品を含む規格部品の面積及び熱的特性の情報を含むデータベースを有し、データベースから規格部品を選択させるための部品選択手順と、選択された規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手順と、規格部品の図形を、立面図に描かれている同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手順と、立面図適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から規格部品の実際の面積を減じた正味面積を計算させるための正味面積計算手順と、選択された規格部品の面積と、計算された床面の面積と、壁面の正味面積と、屋根外壁部分の面積と、規格部品、床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの熱的特性と、に基づいて、建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手順と、を更に含んでも良い。
【0021】
また、上記建築物特性計算プログラムに、該建築物特性計算プログラムの計算結果に基づいて当該建築物の性能評価書を作成するための性能評価書作成手順を組合せて性能評価書作成プログラムを構成することができる。
さらに、本発明によれば、CADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込み、該読み込まれた前記図面データに基づいて図面をディスプレイに表示させ、該ディスプレイに表示された前記図面上に、適合貼付枠を表示させ、前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させ、前記適合貼付枠が適合された部分の各頂点の座標を、前記図面データから取得し、前記各頂点の座標に基づいて、前記適合貼付枠が適合された部分の面積を計算する、ことを特徴とする面積計算方法が提供される。
【0022】
さらにまた、本発明によれば、CADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込み、該読み込まれた前記図面データに基づいて図面をディスプレイに表示させ、該ディスプレイに表示された前記図面上に、適合貼付枠を表示させ、前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させ、前記適合貼付枠が適合された部分の各頂点の座標を、前記図面データから取得し、前記各頂点の座標に基づいて、前記適合貼付枠が適合された部分の面積を計算し、前記適合貼付枠が適合された図面の部分の中に位置する規格部品の面積及び形状のデータを規格部品データベースから選択し、前記選択された規格部品の図形を、前記ディスプレイに表示し、前記規格部品の図形を、前記図面の前記適合貼付枠が適合された部分の中に位置する同一の規格部品の上に重畳させ、前記適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から前記規格部品の実際の面積を減じて、前記適合貼付枠が適合された部分の正味面積を計算し、該計算された正味面積に基づいて、建築物の熱的特性、及び/又は、建築物の構造強度特性を計算し、計算された前記特性に基づいて前記建築物の性能評価書を作成すること、を特徴とする性能評価書作成方法が提供される。
【0023】
さらにまた、本発明によれば、面積計算装置であって、CADシステムによって作成された建築物の図面データを、読み込む読込手段と、読み込まれた前記図面データに基づく図面を、ディスプレイに表示させる図面表示手段と、前記ディスプレイに表示された前記図面上に適合貼付枠を、表示させる適合貼付枠表示手段と、前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させる適合手段と、適合させられた適合貼付枠の各頂点の座標を、前記図面データから取得するデータ取得手段と、前記各頂点の座標に基づいて、前記図面の面積を求めるべき部分の面積を算出する面積計算手段と、建築物の規格部品の面積及び形状の情報を含む規格部品データベースと、前記データベースから、前記図面の面積を求めるべき部分内に位置する規格部品を選択する部品選択手段と、前記選択された規格部品の図形を、前記ディスプレイで、前記図面の面積を求めるべき部分内に位置する同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手段と、前記面積計算手段によって算出された面積から、前記規格部品の実際の面積を減じ、前記前記図面の面積を求めるべき部分の正味面積を計算する正味面積計算手段と、を有する面積計算装置と、該面積計算装置によって計算された面積に基づいて、前記建築物の熱的特性、及び/又は、前記建築物の構造強度特性を計算する特性計算手段と、該特性計算手段によって計算された複数の建築物の特性を、該建築物と関連付けた特性データとして記憶する特性データ記憶手段と、を備えていることを特徴とするデータ処理装置が提供される。
【0024】
さらに、本発明によれば、CADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込み、該読み込まれた前記図面データに基づいて図面をディスプレイに表示させ、該ディスプレイに表示された前記図面上に、適合貼付枠を表示させ、前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させ、前記適合貼付枠が適合された部分の各頂点の座標を、前記図面データから取得し、前記各頂点の座標に基づいて、前記適合貼付枠が適合された部分の面積を計算し、前記適合貼付枠が適合された図面の部分の中に位置する規格部品の面積及び形状のデータを規格部品データベースから選択し、前記選択された規格部品の図形を、前記ディスプレイに表示し、前記規格部品の図形を、前記図面の前記適合貼付枠が適合された部分の中に位置する同一の規格部品の上に重畳させ、前記適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から前記規格部品の実際の面積を減じて、前記適合貼付枠が適合された部分の正味面積を計算し、該計算された正味面積に基づいて、前記建築物の熱的特性、及び/又は、前記建築物の構造強度特性を計算し、該計算された前記建築物の特性を、該建築物と関連付けた特性データとして記憶していき建築物の特性データベースを生成する、ことを特徴とするデータベース生成方法が提供される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
まず、図1乃至図15を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態による性能評価書作成装置1は、プリンタ4、MO(光磁気ディスク)ドライブ等の外部記憶装置6、及びマウス8が接続された汎用のパーソナルコンピュータ2に、以下に説明する機能を実現するためのソフトウェアをインストールすることによって構成される。
【0026】
本実施形態による性能評価書作成装置は、パーソナルコンピュータ2にインストールされたプログラムによって以下の手段をコンピュータ2のディスプレイ上で提供する。即ち、建築物の図面データを読み込ませるための読込手段である「画面を選ぶ」パレット10と、平面図適合貼付枠をディスプレイに表示させるための平面図適合貼付枠表示手段である「平面図用図形」パレット12と、立面図適合貼付枠をディスプレイに表示させるための立面図適合貼付枠表示手段であり、且つ屋根適合貼付枠を表示させるための屋根用適合貼付枠表示手段である「東立面図用図形」パレット14a、「南立面図用図形」パレット14b、「西立面図用図形」パレット14c、及び「北立面図用図形」パレット14dと、表示された適合貼付枠を伸縮及び/又は変形して図面に適合させるための立面図適合手段であり、且つ屋根適合手段であるマウスポインタ9と、四角形以外の部分に適合貼付枠を適合させるための編集ツールバー17の頂点作成ボタン26と、データベースから床面、壁面、屋根外壁部分の熱的特性等を選択させるための床特性選択手段、壁面特性選択手段、及び屋根選択手段(図示せず)と、データベースから規格部品を選択させるための部品選択手段であるデータパレット16と、部品選択手段によって選択された規格部品の図形を図面上に重畳させるための重畳手段であるマウスポインタ9と、を提供する。
【0027】
また、本実施形態は、パーソナルコンピュータ2にインストールされたソフトウェアにより、コンピュータの内部で以下の手段を提供する。即ち、建築物の床面、壁面及び屋根外壁部分の構造、及び規格部品とその熱的特性とを関連付けた情報を含むデータベースと、読み込まれた図面データを基に、建築物の図面をディスプレイに表示させるための平面図表示手段、及び立面図表示手段と、選択された規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手段と、適合貼付枠を適合させた床面、壁面及び屋根外壁部分の座標データを図面データから取得するための平面図データ取得手段、立面図データ取得手段、及び屋根データ取得手段と、データ取得手段によって取得された座標データに基づいて面積を計算するための平面図面積計算手段、立面図面積計算手段、及び屋根面積計算手段と、壁面の面積から規格部品の面積を減じた正味面積を計算するための正味面積計算手段と、面積計算手段によって計算された各部の面積と各部の熱的特性とに基づいて建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手段と、熱的特性計算手段によって計算された熱的特性等に基づいて建築物の性能評価書を作成するための性能評価書作成手段と、を提供する。
【0028】
次に、本実施形態による性能評価書作成装置1の作用について説明する。まず、図2に示すように、「画面を選ぶ」パレット10の「平面図をペースト」をマウス8でクリックすることにより、任意のCADシステムによって作成された建築図面データの平面図を読み込む。この建築図面データは、コンピュータ2に内蔵されたハードディスク(図示せず)、外部記憶装置6、又はコンピュータ2が接続されているネットワーク(図示せず)から読み込むことができる。平面図が読み込まれると、平面図表示手段によって平面図がディスプレイに表示される。続いて、床特性選択手段(図示せず)によって、各階の床面の構造及び材質をデータベースから選択する。
【0029】
次に、図3に示すように、「画面を選ぶ」パレット10の「立面図をペースト」をマウス8でクリックすることにより、立面図を読み込む。立面図が読み込まれると、立面図表示手段によって立面図がディスプレイに表示される。このとき、各階の平面図のデータ、及び各方位の立面図のデータは、各々異なる所定のレイヤーに読み込まれる。続いて、壁面特性選択手段(図示せず)によって、各階の壁面の構造及び材質をデータベースから選択し、屋根選択手段(図示せず)によって、屋根の形式及び材質をデータベースから選択する。例えば、図3に示された建築物の場合には屋根の形式として切妻屋根を選択する。
【0030】
次に、図4に示すように、「画面を選ぶ」パレット10の「平面図に図形を合わせる」をマウス8でクリックすると、各階の平面図がディスプレイに表示される。次いで、「平面図用図形」パレット12をクリックすることにより、平面図適合貼付枠18を表示させ、該平面図適合貼付枠18を所定の平面図に適合させることができる。即ち、「平面図用図形」パレット12の、例えば、「1階面積図形」をクリックすると、1階平面図用の平面図適合貼付枠18aがディスプレイに表示される。次いで、該平面図適合貼付枠18aを、マウス8でクリック・ドラッグを繰り返すことにより、1階平面図の床面に適合するように伸縮・変形させる。マウス8による伸縮・変形の詳細な操作法は後述する。同様に、建築物の仕様に応じて、2階、3階、地階等の床面にも所定の平面図適合貼付枠18を適合させる。
【0031】
今度は、図5に示すように、「画面を選ぶ」パレット10の「立面図に図形を合わせる」をクリックして、各方位の立面図をディスプレイに表示させる。ここで、例えば、「東立面図用図形」パレット14aの「1階外壁面積(東)」をクリックすることにより、東側の立面図の1階部分に貼り付けるための立面図適合貼付枠20aをディスプレイに表示させ、その立面図適合貼付枠20aを東側の立面図の該当部分に適合するように伸縮・変形させる。同様に、「南立面図用図形」パレット14b、「西立面図用図形」パレット14c、及び「北立面図用図形」パレット14dを使用して、各方位の立面図の各階に立面図適合貼付枠20を適合させる。更に、「東立面図用図形」パレット14aの「屋根外壁部分(東)」をクリックすることにより、東側の立面図の屋根部分に貼り付けるための屋根適合貼付枠22aをディスプレイに表示させ、その屋根適合貼付枠22aを東側立面図の屋根部分に適合するように伸縮・変形させる。同様の操作を繰り返して、全ての方位の屋根部分に屋根適合貼付枠22を適合させる。
【0032】
次に、図6及び図7に示すように、「画面を選ぶ」パレット10の「窓を貼付け(東)」をクリックすると、東側の立面図がディスプレイに表示される。「データパレット」16には、予めデータベース化されて記憶されている窓サッシ、ドア等の規格部品のメニューが表示される。メニューに含まれていない規格品の窓が使用されている場合や、規格品以外の窓が使用されている場合には、その窓の寸法、形状、K値等を入力することもできる。東側の壁面に設けられた窓サッシを「データパレット」16から選択し、選択された窓に対応した部品図形24aをディスプレイに表示させる。該部品図形24aをマウス8でドラッグすることにより、立面図に描かれている当該窓の上に部品図形24aを重畳させる。同様の操作を繰り返すことにより、各方位に設けられた全ての窓及びドアに対応した部品図形24を重畳させる(図7参照)。
【0033】
次に、図8乃至図15を参照して、適合貼付枠を図面データに適合させる手順を、平面図適合貼付枠18を1階平面図に適合させる場合を例に説明する。まず、「画面を選ぶ」パレット10の「平面図に形を合せる」をクリックして、平面図に平面図適合貼付枠18を適合させる準備をする(図4参照)。次に、図8に示すように、「平面図用図形」パレット12の「1階面積図形」をクリックすると、1階の平面図に貼り付けるための平面図適合貼付枠18aが、画面中央に所定の大きさで表示される。
【0034】
次に、図9に示すように、マウス8によって、平面図適合貼付枠18aの左上の頂点を点A9から点B9までクリック・ドラッグする。ここで、平面図適合貼付枠18aの頂点を適合させるべき点B9の近くまでマウス8によってドラッグしていくと、マウスポインタ9の形状が十字形に変化する。この状態でマウス8のボタンから指を離す(ドラッグを終了する)と、平面図の左上の頂点である点B9の座標が、平面図適合貼付枠18aの左上の頂点の座標として記憶される。これにより、平面図の表示や、ディスプレイの解像度に関係なく、平面図の頂点の座標を正確に取り込むことができる。
以上の操作により、図9に斜線で示されている平面図適合貼付枠18aは、同図に網掛けの長方形で示されている平面図適合貼付枠18aに拡大する。このように、適合貼付枠は、第1の頂点(この例における点A9)をクリック・ドラッグすると、第1の頂点の対角の位置にある第2の頂点(斜線で示した長方形の右下の頂点)の位置を保ったまま、第1と第2の頂点を対角線とする長方形に変形する。
【0035】
同様に、図10に示すように、平面図適合貼付枠18aの右下の頂点A10を点B10までクリック・ドラッグする。
更に、図11に示すように、平面図適合貼付枠18aの左下の頂点A11を点B11までクリック・ドラッグする。
次に、平面図の左下の頂点に平面図適合貼付枠18aを適合させるために、平面図適合貼付枠18aの左側の辺に新たに頂点を作成する。頂点を作成するには、編集ツールバー17の頂点作成ボタン26をクリックし、続いて、頂点を作成すべき辺の上をクリックする。図12に示すように、頂点作成ボタン26をクリックした後で、点A12をクリックすると、点A12に新たな頂点が作成される。更に、点A12を頂点B12までクリック・ドラッグすることにより、平面図適合貼付枠18aを変形させる。
このように、適合貼付枠の辺上に設けられた第1の頂点(この例における点A12)をクリック・ドラッグすると、第1の頂点の存在する辺の両端の頂点の位置が保持されたまま、第1の頂点が移動し、適合貼付枠を変形させることができる。このようにして、四角形以外の平面図や立面図にも適合貼付枠を適合させることができる。
【0036】
更に、図13に示すように、頂点作成ボタン26を使用して、平面図適合貼付枠18aの下側の辺に頂点A13を作成し、点A13を平面図の下側の頂点B13までドラッグする。
図14に示すように、同様の操作を繰り返して平面図適合貼付枠18aの右上の形状を平面図に適合させる。
かくして、図15に示すように、1階平面図に平面図適合枠18aを適合させることができる。
また、上記の操作では使用していないが、長方形の適合貼付枠は、その辺の中点をクリック・ドラッグすると、長方形の高さ又は幅を一定に保ったまま、幅又は高さを変更することができる。例えば、長方形の適合貼付枠の上辺の中点をクリック・ドラッグすると、長方形の幅を一定に保持したまま高さを変化させることができる。更に、適合貼付枠は、その中心をクリック・ドラッグすると、形状を保持したまま、適合貼付枠を移動させることができる。マウスポインタを辺の中点に配置し、或いは、適合貼付枠の中心に配置すると、マウスポインタの形状が変化し、その旨が使用者に通知される。更に、適合貼付枠をアール等の曲線を有する図面に適合させる場合には、適合貼付枠の辺上に適宜頂点を設け、当該曲線を多角形で近似することによって十分な精度で面積を求めることができる。その他、種々の方式で適合貼付枠を変形させるための機能を付加することができる。
【0037】
次に、本実施形態による建築物の性能評価書作成装置における面積、熱損失量等の計算手順について説明する。
まず、面積の計算手順について床面積の計算を例に説明する。図15に示すように、平面図面積計算手段(図示せず)は、平面図適合貼付枠18aの各頂点を結ぶ直線によって床面を複数の三角形に分割する。図15の例では、床面が6つの三角形に分割されている。平面図適合貼付枠18aの各頂点の座標は、平面図データ取得手段によって既に取得されているので、各三角形の各頂点の座標は既知である。これにより、周知の三角形の面積公式により各三角形の面積を求めることができる。例えば、図15のハッチングを施した三角形Sの各頂点の座標を夫々(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)とすると、三角形Sの面積は(数式1)により与えられる。
【数1】
【0038】
(数式1)を各三角形に適用して面積を計算し、それらの面積を合計することにより床面積を求めることができる。同様に各階の床面積も求めることができる。しかしながら、他の面積計算アルゴリズム、他の面積公式を使用することもできる。
【0039】
また、各階の壁面の面積も、各方位の立面図の各階に適合させた立面図適合貼付枠から同様に求めることができる。壁面に窓やドアが設けられている場合には、設けられている窓等の面積をデータベース(図示せず)から取得し、その面積を壁面の面積から差し引くことによって壁面の正味面積を計算する。
【0040】
屋根外壁部分の面積の計算は、屋根外壁部分に適合させた屋根適合貼付枠22と、屋根選択手段によって選択された屋根の形式に基づいて、実際の屋根外壁部分の面積を計算する。以上の計算により、各階の床面積、各方位、各階の壁面の面積、各方位の屋根外壁部分の面積が得られる。
【0041】
床特性選択手段によって選択された床のK値と該当する床の床面積を乗じたものと、壁面特性選択手段によって選択された壁面のK値と該当する壁面の正味面積を乗じたものと、部品選択手段によって選択された各規格部品のK値とその規格部品の面積を乗じた値の合計と、屋根選択手段によって選択された屋根のK値と屋根外壁部分の面積を乗じたものと、を合計することにより全損失熱量を求めることができる。この全損失熱量を全床面積で除することにより熱損失係数を求めることができる。
【0042】
同様に、各方位の壁面の面積に所定の方位係数を加味することにより日射侵入量を求めることができる。この日射侵入量を全床面積で除することにより日射取得係数を求めることができる。
【0043】
以上により計算された熱損失係数、日射取得係数、及び、当業者には良く知られた手順によって計算された建築物の種々の性能を、プリンタ4によって所定の書式で印刷することにより建築物の性能評価書を作成することができる。
【0044】
次に、本発明による第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態は、任意のCADシステムによって作成された図面データを基に、ディスプレイ上に表示された図面の所望の部分の面積を計算するための面積計算装置である。第2実施形態の構成は、第1実施形態から面積計算以外の部分を除いたものに該当する。面積の計算結果は、表示手段であるコンピュータ2のディスプレイ又はプリンタ4から出力され、それ以外の作用は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0045】
次に、本発明による第3実施形態について説明する。
本発明の第3実施形態は、任意のCADシステムによって作成された図面データを基に、ディスプレイ上に表示された図面の所望の部分の面積を計算し、その計算結果を基に建築物の熱的特性や構造強度特性を計算する建築物特性計算装置である。第3実施形態の構成は、第1実施形態から性能評価書を作成する部分を除いたものに該当する。建築物の熱的特性・構造強度特性の計算結果は、表示手段であるコンピュータ2のディスプレイ又はプリンタ4から出力され、それ以外の作用は第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0046】
以上、第1乃至第3実施形態の機能を実現するためのソフトウェアをCD−ROM等のコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録し、それを頒布することもできる。また、本発明による性能評価書作成装置を使用して、次のようなサービスを提供することができる。即ち、建築物性能評価書の作成を求める顧客から、インターネット等のネットワーク又はコンピュータ読取り可能な任意の記録媒体を介して建築物のCADデータを受け取り、本発明による性能評価書作成装置によって性能評価書を作成し、作成された性能評価書を、文書、任意の記録媒体、インターネット等を介して顧客に返送するというサービスである。更に、性能評価書作成装置をインターネット等のネットワーク上で公開し、顧客がネットワークに接続された顧客自身のコンピュータを介して性能評価書作成装置を操作し、性能評価書を作成できるというサービスを提供することもできる。
【0047】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本発明の第4実施形態は、計算された建築物の熱的特性、構造強度特性に関するデータを、当該建築物と関連づけて記憶する記憶装置が、上記第3実施形態の建築物特性計算装置に追加されたデータ処理装置である。この記憶装置は、例えば、建築物特性計算装置と一体、または、これに接続された別体のコンピュータ、サーバ等を含む記憶装置からなり、建築物の熱的特性、構造強度特性に関するデータを、この建築物に関するの他のデータと共に、この建築物と関連付けて、記憶できるように構成されている。他のデータとは、例えば、住宅性能評価書に記載される建築物の構造、材質、等級等に関するデータである。また、この他のデータは、住宅性能評価書の記載データそのものであってもよい。
【0048】
記憶装置は、複数の建築物の熱的特性、構造強度特性に関するデータ、これらの建築物に関するの他のデータを、順次、これらの建築物を関連付けて記憶していき、建築物の特性等に関するデータベースを生成するように構成されている。
記憶装置は、記憶されているデータの検索が可能である。従って、記憶装置にデータが記憶されている建築物から、一定の条件に合致する建築物を検索・抽出すること等が可能となる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、開示された実施形態に種々の変更を加えることができる。例えば、性能評価書作成装置は、汎用コンピュータにソフトウェアをインストールするのではなく、専用機によって構成しても良い。また、適合貼付枠を伸縮・変形するための手段は、マウスばかりでなく、任意のポインティングデバイスを使用することができる。また、本発明による面積計算装置、又は建築物特性計算装置を、面積計算を必要とする任意の計算装置に内蔵させ、或いは任意の計算装置とリンクさせることもできる。
【0050】
【発明の効果】
本発明により、例えば、DXF形式のような汎用的な形式のCAD図面データを基に、図面上の所望の部分の面積を容易に計算することができる面積計算装置が得られた。また、本発明により、汎用的な形式のCAD図面データを基に、建築物の所望の部分の実際の面積を計算し、その計算値を基に建築物の特性の計算を行い、建築物の性能評価書を作成する建築物特性計算装置、及び性能評価書作成装置が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による性能評価書作成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態による性能評価書作成装置に平面図を読み込んだ際の表示画面を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による性能評価書作成装置に立面図を読み込んだ際の表示画面を示す図である。
【図4】平面図に平面図適合貼付枠を適合させた様子を示す図である。
【図5】立面図に立面図適合貼付枠及び屋根適合貼付け枠を適合させた様子を示す図である。
【図6】東側立面図に描かれている規格品である窓サッシをデータベースから選択する様子を示す図である。
【図7】東側立面図に描かれている窓サッシ全てに規格部品の図形を重畳させた様子を示す図である。
【図8】平面図の上に平面図適合貼付枠を表示させた様子を示す図である。
【図9】平面図適合貼付枠の左上の頂点を平面図の左上の角に合わせる様子を示す図である。
【図10】平面図適合貼付枠の右下の頂点を平面図の右下の角に合わせる様子を示す図である。
【図11】平面図適合貼付枠の左下の頂点を平面図の中央の頂点に合わせる様子を示す図である。
【図12】平面図適合貼付枠の左側の辺に頂点を作成し、作成された頂点を平面図の左下の頂点に合わせる様子を示す図である。
【図13】平面図適合貼付枠の下側の斜めの辺に頂点を作成し、作成された頂点を平面図の中央下の頂点に合わせる様子を示す図である。
【図14】平面図適合貼付枠の右上の頂点を平面図の右上方の頂点に合わせる様子を示す図である。
【図15】平面図に平面図適合貼付枠を適合させた様子を示す図である。
【符号の説明】
1 性能評価書作成装置
2 パーソナルコンピュータ
4 プリンタ
6 外部記憶装置
8 マウス
9 マウスポインタ
10 読込手段
12 平面図適合貼付枠表示手段
14 立面図適合貼付枠表示手段、屋根適合貼付枠表示手段
16 部品選択手段
17 編集ツールバー
18 平面図適合貼付枠
20 立面図適合貼付枠
22 屋根適合貼付枠
24 部品図形
26 頂点作成ボタン
Claims (11)
- 任意のCADシステムによって作成された図面データを読み込ませるための読込手段と、
読み込まれた前記図面データを基に、図面をディスプレイに表示させるための図面表示手段と、
ディスプレイに表示された前記図面上に適合貼付枠を表示させるための適合貼付枠表示手段と、
前記適合貼付枠を、前記図面の面積を求めるべき部分に合わせて適合させるための適合手段と、
前記適合貼付枠を適合させた前記図面の各頂点の座標を、前記図面データから取得させるためのデータ取得手段と、
前記図面データから取得された前記各頂点の座標に基づいて、前記図面の前記適合貼付枠を適合させた部分の実際の面積を計算させるための面積計算手段と、前記面積計算手段によって計算された計算結果を表示するための表示手段と、
を有することを特徴とする面積計算装置。 - 規格部品の面積及び形状の情報を含むデータベースと、
データベース化された前記規格部品を選択させるための部品選択手段と、
選択された前記規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手段と、
前記規格部品の図形を、前記図面の前記適合貼付枠を適合させた部分の中に描かれている同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手段と、
前記適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から前記規格部品の実際の面積を減じた正味面積を計算させるための正味面積計算手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1記載の面積計算装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の面積計算装置と、
該面積計算装置によって計算された面積に基づいて、建築物の熱的特性、及び/又は、建築物の構造強度特性を計算するための特性計算手段と、
前記特性計算手段によって計算された計算結果を表示するための表示手段と、を有することを特徴とする建築物特性計算装置。 - 建築物の床面、壁面及び屋根外壁部分の構造と、その熱的特性とを関連付けた情報を含むデータベースと、
任意のCADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込ませるための読込手段と、
前記建築物の床面の熱的特性を前記データベースから選択させるための床特性選択手段と、
読み込まれた前記図面データを基に、建築物の平面図をディスプレイに表示させるための平面図表示手段と、
ディスプレイに表示された前記平面図に適合させるための平面図適合貼付枠を表示させるための平面図適合貼付枠表示手段と、
前記平面図適合貼付枠を、平面図に合わせて適合させるための平面図適合手段と、
前記平面図適合貼付枠を適合させた平面図の各頂点の座標を、各々前記図面データから取得させるための平面図データ取得手段と、
前記図面データから取得された前記平面図の各頂点の座標に基づいて、前記建築物の床面の実際の面積を計算させるための平面図面積計算手段と、
前記建築物の壁面の熱的特性を前記データベースから選択させるための壁面特性選択手段と、
読み込まれた前記図面データを基に、建築物の立面図をディスプレイに表示させるための立面図表示手段と、
ディスプレイに表示された前記立面図に適合させるための立面図適合貼付枠を表示させるための立面図適合貼付枠表示手段と、
前記立面図適合貼付枠を、前記立面図の壁面に合わせて適合させるための立面図適合手段と、
前記立面図適合貼付枠を適合させた立面図の壁面の各頂点の座標を、各々前記図面データから取得させるための立面図データ取得手段と、
前記図面データから取得された前記壁面の各頂点の座標に基づいて、前記立面図の壁面の実際の面積を計算させるための立面図面積計算手段と、
前記建築物の屋根の形式及び熱的特性を前記データベースから選択させるための屋根選択手段と、
ディスプレイに表示された立面図の屋根外壁部分に適合させるための屋根適合貼付枠を表示させるための屋根用適合貼付枠表示手段と、
前記屋根適合貼付枠を、立面図の屋根外壁部分に合わせて適合させるための屋根適合手段と、
前記屋根適合貼付枠を適合させた立面図の屋根外壁部分の各頂点の座標を、各々前記図面データから取得させるための屋根データ取得手段と、
選択された前記屋根の形式、及び、前記図面データから取得された前記屋根外壁部分の各頂点の座標に基づいて、屋根外壁部分の実際の面積を計算させるための屋根面積計算手段と、
計算された前記床面、前記壁面、及び前記屋根外壁部分それぞれの実際の面積と、床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの前記熱的特性と、に基づいて、前記建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手段と、
を有することを特徴とする建築物特性計算装置。 - 窓部品及びドア部品を含む規格部品の面積及び熱的特性の情報を含むデータベースと、
前記データベースから規格部品を選択させるための部品選択手段と、
選択された前記規格部品の図形をディスプレイに表示させるための部品図形表示手段と、
前記規格部品の図形を、前記立面図に描かれている同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手段と、
前記立面図適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から前記規格部品の実際の面積を減じた正味面積を計算させるための正味面積計算手段と、
選択された前記規格部品の面積と、計算された前記床面の面積と、前記壁面の正味面積と、前記屋根外壁部分の面積と、前記規格部品、床面、壁面、及び屋根外壁部分それぞれの前記熱的特性と、に基づいて、前記建築物の熱的特性を計算するための熱的特性計算手段と、
を更に有することを特徴とする請求項4記載の建築物特性計算装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の建築物特性計算装置と、該建築物特性計算装置の計算結果に基づいて当該建築物の性能評価書を作成するための性能評価書作成手段と、を有することを特徴とする性能評価書作成装置。
- 請求項1又は請求項2に記載の面積計算装置、請求項3乃至請求項5の何れか1項に記載の建築物特性計算装置、又は、請求項6に記載の性能評価書作成装置の機能を実現させるためのコンピュータプログラム。
- CADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込み、
該読み込まれた前記図面データに基づいて図面をディスプレイに表示させ、
該ディスプレイに表示された前記図面上に、適合貼付枠を表示させ、
前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させ、
前記適合貼付枠が適合された部分の各頂点の座標を、前記図面データから取得し、
前記各頂点の座標に基づいて、前記適合貼付枠が適合された部分の面積を計算する、
ことを特徴とする面積計算方法。 - CADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込み、
該読み込まれた前記図面データに基づいて図面をディスプレイに表示させ、
該ディスプレイに表示された前記図面上に、適合貼付枠を表示させ、
前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させ、
前記適合貼付枠が適合された部分の各頂点の座標を、前記図面データから取得し、
前記各頂点の座標に基づいて、前記適合貼付枠が適合された部分の面積を計算し、
前記適合貼付枠が適合された図面の部分の中に位置する規格部品の面積及び形状のデータを規格部品データベースから選択し、
前記選択された規格部品の図形を、前記ディスプレイに表示し、
前記規格部品の図形を、前記図面の前記適合貼付枠が適合された部分の中に位置する同一の規格部品の上に重畳させ、
前記適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から前記規格部品の実際の面積を減じて、前記適合貼付枠が適合された部分の正味面積を計算し、
該計算された正味面積に基づいて、建築物の熱的特性、及び/又は、建築物の構造強度特性を計算し、
計算された前記特性に基づいて前記建築物の性能評価書を作成すること、
を特徴とする性能評価書作成方法。 - 面積計算装置であって、
CADシステムによって作成された建築物の図面データを、読み込む読込手段と、
読み込まれた前記図面データに基づく図面を、ディスプレイに表示させる図面表示手段と、
前記ディスプレイに表示された前記図面上に適合貼付枠を、表示させる適合貼付枠表示手段と、
前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させる適合手段と、
適合させられた適合貼付枠の各頂点の座標を、前記図面データから取得するデータ取得手段と、
前記各頂点の座標に基づいて、前記図面の面積を求めるべき部分の面積を算出する面積計算手段と、
建築物の規格部品の面積及び形状の情報を含む規格部品データベースと、
前記データベースから、前記図面の面積を求めるべき部分内に位置する規格部品を選択する部品選択手段と、
前記選択された規格部品の図形を、前記ディスプレイで、前記図面の面積を求めるべき部分内に位置する同一の規格部品の上に重畳させるための重畳手段と、
前記面積計算手段によって算出された面積から、前記規格部品の実際の面積を減じ、前記前記図面の面積を求めるべき部分の正味面積を計算する正味面積計算手段と、を有する面積計算装置と、
該面積計算装置によって計算された面積に基づいて、前記建築物の熱的特性、及び/又は、前記建築物の構造強度特性を計算する特性計算手段と、
該特性計算手段によって計算された複数の建築物の特性を、該建築物と関連付けた特性データとして記憶する特性データ記憶手段と、
を備えていることを特徴とするデータ処理装置。 - CADシステムによって作成された建築物の図面データを読み込み、
該読み込まれた前記図面データに基づいて図面をディスプレイに表示させ、
該ディスプレイに表示された前記図面上に、適合貼付枠を表示させ、
前記適合貼付枠を、前記図面中の面積を求めるべき部分に適合させ、
前記適合貼付枠が適合された部分の各頂点の座標を、前記図面データから取得し、
前記各頂点の座標に基づいて、前記適合貼付枠が適合された部分の面積を計算し、
前記適合貼付枠が適合された図面の部分の中に位置する規格部品の面積及び形状のデータを規格部品データベースから選択し、
前記選択された規格部品の図形を、前記ディスプレイに表示し、
前記規格部品の図形を、前記図面の前記適合貼付枠が適合された部分の中に位置する同一の規格部品の上に重畳させ、
前記適合貼付枠を貼り付けた部分の実際の面積から前記規格部品の実際の面積を減じて、前記適合貼付枠が適合された部分の正味面積を計算し、
該計算された正味面積に基づいて、前記建築物の熱的特性、及び/又は、前記建築物の構造強度特性を計算し、
該計算された前記建築物の特性を、該建築物と関連付けた特性データとして記憶していき建築物の特性データベースを生成する、
ことを特徴とするデータベース生成方法。
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