JP3959837B2 - Inkjet head - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電気力で振動板を変形させてインクを飛翔させる方式のインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェット式記録装置に用いられるインクジェットヘッドには、静電アクチュエータを利用したものが知られている。
【0003】
このインクジェットヘッドは、半導体装置製造プロセスを利用して成形されることは周知であるが(例えば、特開平6−71882号公報,特開平7−214769号公報,特開平8−72240号公報等)、ここで概説すれば、チャンネルプレート上に、複数の先端ノズル、当該ノズルにそれぞれ連通したインク搬送路及びこのインク搬送路にインクを供給するインク供給室を刻設し、このチャンネルプレート上を覆うようにカバープレートを設けるとともに前記インク搬送路の一部を構成するように設けられた振動板に第1電極を設け、この第1電極と対向する位置に第2電極を設けている。
【0004】
そして、振動板を動作してインクの吐出を行なうときは、まず、第1及び第2電極間に電圧を印加し、電極間に作用する静電気力で振動板を第2電極側に引き付けることにより振動板を変形させ、インクを共通インク室からインク搬送路内に引き込む。
【0005】
次に、対向電極間に印加した電圧を解除すると、振動板自身がその剛性により元の位置に戻る。これによりインク搬送路の容積が急峻に収縮されるので、インク搬送路内に充填しているインクは、ノズルから液滴として吐出、飛翔し、記録媒体上に着弾して画像形成が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このインクジェットヘッドは、インク搬送路の先端にはノズルがあり、後端にはインク供給室からのインクが導入されるインレットが形成されているので、当該インク搬送路は前後に開口を有する構造となっており、このインク搬送路の一部を構成する振動板を電極に電圧を印加することにより上下動させても、インク搬送路内のインクは、確実に先端ノズル側に搬送されるものではなく、インクの一部はインレット側にも移動することになる。
【0007】
この結果、インクは、確実にノズルから所定量吐出されず、インクの吐出効率は低く、場合によっては高速印字は不可能となり、また、振動板を振動させる駆動周波数を高めても、これに追随してインクが吐出されず、いわゆる周波数追随性が上がらないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクを後方から順次前方に押し出し、インクの流れを一方向化することによりインクの吐出効率を高め、周波数追随性の向上を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0010】
(1)先端に設けられたノズルと、当該ノズルに連通したインク搬送路と、このインク搬送路の一部を構成するように設けられた振動板と、前記インク搬送路にインクを供給するインク供給室と、前記振動板に設けられた第1電極と、この第1電極と対向する位置に設けられた第2電極とを有し、前記第1及び第2電極間に電圧を印加することにより前記振動板を静電気力で変形させ、前記インク搬送路内のインクをノズルから液滴として吐出するようにしたインクジェットヘッドにおいて、前記インク搬送路は、当該インク搬送路が形成されているチャンネルプレートの前記振動板と、当該チャンネルプレート上に取り付けられるカバープレートとを、前記振動板が両電極により変形された部分が前記カバープレートに接するように近接し、振動板の変形部分とカバープレートとの間で形成される小部屋が振動板の変形により順次ノズルに向かって移動することにより形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
【0011】
(2)前記両電極の少なくとも一方は、前記インク供給室とノズルとの間で前後に複数の個別電極に分割され、当該各個別電極に電圧を印加することによりインク供給室側から順次駆動するようにしたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【0013】
(3)前記両電極は、両電極間に蓄えられる電荷量を変化させることにより前記振動板が前記インク搬送路の後方からノズルに向かって次第に変形するようにしたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【0015】
(4)前記振動板は、前記インク搬送路の後方からノズルに向かって波形状の変形部分が蛇行しつつ進行するように前記電極への電圧印加を制御するようにしたことを特徴とするインクジェットヘッド。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
《実施の形態1》
図1はインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図、図2は図1のインクジェットヘッドを含むキャリッジ周辺の構成を示す斜視図、図3は本発明の実施形態1に係るインクジェットヘッドの分解斜視図、図4は同インクジェットヘッドの断面図、図5は個別電極の動作状態を示す説明図である。
【0017】
インクジェットプリンタ1は、用紙やOHPシートなどの記録媒体(以下記録シート)2に印字するものであって、インクジェットヘッド走査系と記録シート搬送系とから構成される。
【0018】
インクジェットヘッド走査系は、インクジェット方式のプリントヘッドを単色あるいは多色(例えば3色、4色又は7色等)分含むヘッドユニット3と、ヘッドユニット3を保持するキャリッジ4と、キャリッジ4を記録シート2の記録面に平行に往復移動させるためのスキャン軸5及びガイド軸6と、キャリッジ4をガイド軸6に沿って往復駆動するパルスモータ7と、パルスモータ7の回転をキャリッジ4の往復動に変えるためのアイドルプーリ8及びタイミングベルト9とから構成されている。
【0019】
一方、記録シート搬送系は、記録シート2を搬送経路に沿って案内するガイド板を兼ねるプラテン10と、プラテン10との間の記録シート2を押えて浮きを防止する押え板11と、記録シート2を排出するための排出ローラ12と、押えローラ13と、ヘッドユニット3のインクを吐出するノズル面を洗浄しインク吐出不良を良好な状態に回復させるメンテナンス装置14と、記録シート2を手動で搬送するための送りノブ15とから構成されている。
【0020】
記録シート2は、図示しない手差しあるいはカットシートフィーダ等によりヘッドユニット3とプラテン10とが対向する記録部へ送り込まれる。
【0021】
ヘッドユニット3のプリントヘッドには、後に詳細に説明するインクジェットヘッド3が組み込まれ、このインクジェットヘッド3から吐出したインク液滴が記録シート2に着弾して画像形成が行われる。
【0022】
キャリッジ4は、パルスモータ7、アイドルプーリ8、タイミングベルト9により記録シート2を横方向に走査(主走査)し、キャリッジ4に取り付けられたヘッドユニット3は1ライン分の画像を記録する。1ライン分の記録が終わるごとに、記録シート2は縦方向に送られ(副走査)、次のラインが記録される。
【0023】
このようにして記録シート2に画像が記録され、記録部を通過した記録シート2は、その搬送方向下流側に配置された排出ローラ12とこれに一定の圧力で接する押えローラ13とによって排出される。
【0024】
図2に示すように、キャリッジ4周辺には、インクが内部に収容されかつ上部に通気口404が開設されたインクカートリッジ403と、このインクカートリッジ403が内部に収納されたケーシング401と、ケーシング蓋405と、インクカートリッジ403を着脱可能にしつつインクをインクジェットヘッド3に供給するインク供給管402と、ケーシング蓋405を閉じた際ケーシング401にケーシング蓋405を固定するためのフック406及び蓋止め407と、インクカートリッジ403を収納する向き(矢印D3の向き)とは反対の向きにインクカートリッジ403を付勢しつつインクカートリッジ403をケーシング蓋405との間でケーシング401内に保持する押えバネ408とが設けられている。
【0025】
このキャリッジ4が、スキャン方向(矢印D1の向き)に移動することによって記録シート2は主走査され、また、記録シート2が送られることによって副走査方向(矢印D2の向き)に印字されることになる。
【0026】
インクジェットヘッド3は、半導体装置製造プロセスを利用して成形されるが、全体としては、図3,4に示すように、チャンネルプレート50、カバープレート60及びガラス基板70という3要素の積層構造である。
【0027】
チャンネルプレート50の上面側には、先端に形成された複数のノズル54と、当該ノズル54にそれぞれ連通されたインク搬送路51と、このインク搬送路51にインクを供給するようにインレット53を介して連通された1つのインク供給室52とが刻設され、前記インク搬送路51の一部、つまり底壁が振動板55となっている。
【0028】
このチャンネルプレート50の図示上側は、カバープレート60により覆われ、ノズル54からインク搬送路51、インレット53及びインク供給室52に至る一連のインク搬送用の通路が形成されている。
【0029】
また、チャンネルプレート50下面側には、前記振動板55の上下動を確実に行なわしめるための凹部57が形成され、この振動板55に直接第1電極56が取り付けられている。
【0030】
チャンネルプレート50の図示下側は、ガラス基板70により覆われ、このガラス基板70の前記第1電極56と対向する位置には第2電極72が設けられている。
【0031】
特に、本実施の形態1では、第2電極72は、インク供給室52とノズル54との間で前後に複数の個別電極72a,72b,72cに分割され、各個別電極72a,72b,72cがそれぞれ独立して電圧が印加されるようにリード線73等を介して端子74と接続され、これら端子74は、前記第1電極56と配線81,82によってヘッド吐出駆動部105に接続されている。なお、本実施形態では、第1電極56からの配線81はアースされている。
【0032】
そして、各個別電極72a,72b,72cは、図5に示すように、インク供給室52に近い後方側の個別電極72cから一定の時間差(Td)を付けて次々と電圧が印加され、振動板55が後方側から駆動変位するようにしている。
【0033】
このように複数の個別電極72a,72b,72cに一定の時間差(Td)を付けて振動板55を駆動すれば、振動板55による絞りだし効果が発揮されることになり、インク搬送路51内のインクの流れを一方向化することができ、インクは、確実に先端ノズル54側に搬送されることになる。
【0034】
この結果、インクの吐出効率が向上し、場合によっては高速印字も可能となる。また、振動板を振動させる駆動周波数を高めても、これに追随してインクが吐出されることになり、いわゆる周波数追随性も上がることになる。
【0035】
より具体的に説明すれば、例えば、本実施形態のインクジェットヘッド3として、インク搬送路51の幅が300μm、長さが5mm、高さ100μmとし、第2電極72が、前後方向に3つ分割して設けられ、各個別電極の長さは1mm、間隔が0.5mmで配置されている。そして、このインクジェットヘッドに30V又は60Vの駆動電圧をかける。
【0036】
このとき、各個別電極72a,72b,72c間に加える電圧の時間差Tdを0〜5μsで変えて、インクのドット径と追随周波数とを調べた結果、図6A,Bに示すようになった。図6Aはインクのドット径(μm)が変化する状態を、図6Bは追随周波数(f)の大きさを示している。
【0037】
この図6A,Bから明らかなように、一定の時間差Tdを付けて振動板55を駆動すれば、インク径も追随周波数もほぼ一定となっていることから、インクの吐出効率が向上し、駆動周波数に追随してインクが吐出される高い周波数追随性が発揮されることが分かる。
【0038】
この時間差Tdの最適値としては、インクの固有周波数に依存すると考えられるが、このインクジェットヘッド3では、固有振動周期が約12μsであるために、効率良くインクを飛翔させるには、その1/2に相当する6μs以内に吐出動作を完了させることが必要となる。
【0039】
したがって、本実施例では、3つの電極を駆動しているので、それぞれの時間差Tdとしては、3μs以内が適当である。
【0040】
次に、インクジェットヘッド3を製造するに当たっては、前述のように、半導体装置製造プロセスやマイクロマシーン製造プロセスなどが利用されるが、その方法は様々で、一例としては下記の方法がある。
【0041】
図7A,図7B,図7Cは、図3,4に対応するチャンネルプレート50の製造方法工程順に示す断面図である。
【0042】
まず、図7Aに示すように、予め200μm程度にラッピングしたシリコン基板を使用して、シリコン基板100の全面に、熱酸化法により酸化膜101を形成する。
【0043】
そして、シリコン基板100の図示上側表面の酸化膜101に、公知のフォトリソグラフィー及びドライエッチングによって、インク搬送路51、インク供給室52、インレット53及びノズル54の形状を規定するための開口を設け、図7Bに示すように、エッチングマスク101aとする。
【0044】
次に、パターニングされた酸化膜101により形成されたエッチングマスク101aを有するシリコン基板100をKOH溶液により異方性エッチングする。
ここで使用したシリコン基板100は、基板表面が(110)面(面方位を示す。以下同様。)または(100)面を有するものである。このKOH溶液による異方性エッチングは、シリコン基板の(111)面が露出することにより自動的にエッチングが停止するため、前記エッチングマスク101aの形成時において、ノズル54やインレット53のとなる部分の開口の大きさを調整することにより、これらの部分におけるエッチング深さを所望の深さとすることができる。
また、インク搬送路51及びインク供給室52の深さは、これらの部分の開口の大きさと共に、エッチング時間を調整することで、振動板55となる部分の厚さが6.5μm程度取れるように設定する。
【0045】
このKOH溶液によるエッチングによって、インク搬送路51、インク供給室52の側壁部分は(111)面が露出することにより、適度なテーパが形成される。その後、エッチングマスクとして使用した酸化膜は除去する。
【0046】
このようにして、図7Cに示すように、インク搬送路51、インク供給室52、インレット53、及びノズル54がシリコン基板100に形成される。ここで形成したチャンネルプレート50には、図3のように、複数のインク搬送路51と複数のノズル54が形成されているので、1つのヘッドから複数のインク液滴を吐出するようになっている。
【0047】
このシリコン基板100の裏面側に、第2電極72と第1電極56との間の電極間ギャップ寸法D1 が0.3μmとなるように、凹部57を上記と同様の方法により形成すると、振動板55がシリコン基板100に形成される。
【0048】
そして、振動板55と、この振動板55部分に形成される第1電極56と電気的なコンタクトをとるための部分とが開口したレジストパターンをフォトリソグラフィーにより形成し、振動板55とコンタクト部分にホウ素をイオン注入して、第1電極56及びコンタクトラインとなる不純物拡散層を形成する。
【0049】
その後、熱酸化工程により、シリコン基板100の全面に酸化膜を形成することで、振動板55の表面(シリコン基板の裏面側)に絶縁膜を形成する。この絶縁膜は、第2電極72との短絡を防止するためである。
【0050】
次に、第2電極72を設けたガラス基板70を形成する。このガラス基板70には、ホウケイ酸ガラス基板を使用している。そして、図4に示した状態に接合されたときに、チャンネルプレート50の振動板55が対向する位置及びこれに隣接する所定位置に、ITO(スズを含む酸化インジウム)膜を成膜する。
【0051】
こうして、ガラス基板70表面に、複数の個別電極からなる第2電極72と、この第2電極72に接続されるコンタクトラインとを形成する。このとき、複数のインク搬送路51とノズル54を有するヘッドの場合には、各インク搬送路51ごとに第2電極72とそれぞれのコンタクトラインとを形成する。
【0052】
その後、電極が形成された面全面に、SiFH膜やSiO2 膜等の保護膜を約1μm成膜する。この保護膜は、パターン化せず、基板全面に設けて保護膜とするもので、これにより、周囲の湿度の影響による駆動電極の劣化を防止する。
【0053】
前記凹部57を形成する際の深さは、第2電極72を形成したときに、凹部57における第1電極56(絶縁膜表面)から対向する第2電極72(SiFH膜表面)までの間隔が0.1〜1μm、好ましくはより低い駆動電圧で駆動することができるように、0.1〜0.5μmとなるようにする。本実施形態では、凹部57は、上述した通り、上記第1及び第2電極の間隔が0.3μmとなるように形成されている。
【0054】
なお、この凹部57は、前記したシリコン基板100の振動板55部分をシリコン基板100の裏面(図示下側)からエッチングにより掘り込んで形成する代わりに、図4に示した状態に接合されたときに、ガラス基板70のチャンネルプレート50の振動板55が対向する位置に、所定の深さの凹部を形成するようにしてもよい。
【0055】
次に、カバープレート60は、同じくホウケイ酸ガラス基板を使用したものであり、インク搬送路52上部にインクカセットからのインクを導入させるためのインク供給口(図示せず)が形成されている。
【0056】
以上のようにそれぞれ形成したチャンネルプレート50、ガラス基板70及びカバープレート60を、図4に示す3層構造となるように陽極接合し、振動板55に形成した不純物拡散層によるコンタクトラインと、カバープレート60、ガラス基板70に形成したコンタクトラインとにそれぞれ配線81,82等を接続して、インクジェットヘッドが完成する。
【0057】
次に、本実施形態において使用するインクについて説明する。
本実施形態のインクは、下記表1に示す組成であり、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の4色のインクを使用しており、表に示す通り、染料により各色調整したものであるが、染料に代わり顔料を用いたものであっても良い。
【0058】
【表1】
【0059】
次に、インクジェットプリンタの制御部を図8について脱明するが、この図8は、インクジェットプリンタ1の制御部のブロック図である。
【0060】
制御部は、CPU101、RAM102、ROM103、データ受信郭104、ヘッド吐出駆動部105、ヘッド移動駆動部106、紙送りモータ駆動部107、回復系モータ駆動部108、および各種センサ部109を有している。
【0061】
全体を制御するCPU101は、必要に応じてRAM102を用い、ROM103に記憶されているプログラムを実行する。このプログラムには、ホストとなるコンピュータ等に接続され記録すべき画像データを受信するデータ受信部104から読み込まれる画像データに基づいて、ヘッド吐出駆動部105、ヘッド移動駆動部106、紙送りモータ駆動部107及び各種センサ部109を制御し、記録シート2上に画像を記録するための部分と、必要により各種センサ部109からの情報を処理し、回復系モータ駆動部108を制御して、ヘッドユニット3のノズル面を良好な状態に回復させるための部分とが含まれる。
【0062】
CPU101の制御に基づいて、ヘッド吐出駆動部105は、画像データに対応するパルス電圧を印加することによりヘッドユニット3内のインクジェットヘッド3を駆動する。
【0063】
具体的には、ヘッド吐出駆動部105から画像データに対応するパルス電圧が第2電極に所定のタイミングで印加される。なお、ヘッド吐出駆動部105には、図示しない遅延回路、充放電回路、反転回路、反転増幅回路が含まれる。
【0064】
また、CPU101の制御に基づいて、ヘッド移動駆動部106はヘッドユニット3を保持するキャリッジ4を移動させる駆動モータ7を駆動し、紙送りモータ駆動部107は紙送りローラを駆動する。さらに、CPU101の制御に基づいて、回復系モータ駆動部108は、ヘッドユニット3のノズル面を良好な状態に回復させるために必要なモータ等を駆動する。
【0065】
次に、前記実施の形態1の作用を説明する。
インク液滴の吐出を行なうには、まず、図4において、第1電極56と、第2電極72の内の最もインレット53に近い電極である個別電極72cとの間に電圧を印加する。
【0066】
この駆動電圧の印加によって両電極56,72c間に生じる静電気力F1によって振動板55は、個別電極72c側に引き付けられ、図中点線で示すように、振動板55の個別電極72cに対応する部分が個別電極72c側に撓み変形する。これによりインク搬送路51の容積が増大し、インク供給室52内のインクがインレット53を通りインク搬送路51内に流入する。
【0067】
この流入インクは、インク搬送路51内で所定の固有周波数で振動することになる。つまり、個別電極72cの撓み変形により一旦インク搬送路51内に流入したインクは、次にインレット53あるいはノズル54という開口から出て行こうとし、所定の周期で振動することになる。
【0068】
しかし、このインクの固有振動の周期よりも小さな時間差Tdで次の個別電極72b、さらに次の個別電極72aと次々に電圧が印加され、これら各個別電極に対応する振動板55が次々と局部的に撓み変形する。
【0069】
この結果、一旦インク搬送路51内に流入したインクは、インレット53側に戻されることなく、ノズル54に向けて送られることになる。
【0070】
さらに具体的に述べると、前述した実験例では、インクの固有振動周期が約12μsである。つまり、振動板55の変形によりインク搬送路51内の容積が増大すると、インク搬送路51内でインク流動が生じる。例えば、満液状態のインク搬送路51が振動板55により容積が増大すると、インレット53等から流入したインクは、その反動によりインレット53等から出ようとし、また再度インク搬送路51に戻されるという振動状態が生じる。この振動状態の周期が約12μsである。
【0071】
したがって、一旦インク搬送路51内に流入したインクが、インレット53等から出ようとする時間、つまり1/2周期に相当する6μs以内に吐出動作を完了させると、インクはインレット53側に戻ることはなく、次々と送られるはずである。
【0072】
そこで、本実施の形態では、電極72cが駆動した後、所定の時間、つまり6μs以内に2つの電極72b,72aが駆動されるように、6μsの1/2に相当する時間差Tdである3μs以内に各個別電極72b,72aを駆動させるようになっている。
【0073】
したがって、前記個別電極72cで振動板55が変形することにより取り込まれたインクは、各個別電極72b,72aによる振動板55の変形により速やかにノズル54に向けて送られることになる。
【0074】
そして、最終的に個別電極72aに印加された電圧を解除すると、振動板55の変形部分が急激に元の位置に戻る力によりインク搬送路51の容積が急峻に収縮され、インク搬送路51内のインクが、ノズル54から液滴として吐出され、飛翔し、記録シート上に着弾して画像形成が行われる。
【0075】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2電極56,72の間に電圧を印加することにより振動板55を静電気力で変形させ、インク搬送路51内のインクをノズル54から液滴として吐出する場合に、第2電極72を複数の個別電極とし、当該個別電極に後方から次々と所定の時間差Tdで電圧を印加するようにしたので、インク供給室52から供給されるインクを確実にノズル54より吐出することができ、ヘッドの応答性が向上し、周波数追随性も向上することになり、結果的に高速印字も可能になる。特に、従来の電極を複数に分割すれば良いために、簡単な構成で、前述したようなノズルより確実なインクの吐出を達成できる。
【0076】
《実施の形態2》
図9は本発明の実施形態2に係るインクジェットヘッドの断面図、図10は同実施形態2の変形例1に係るインクジェットヘッドの断面図、図11は同変形例2に係るインクジェットヘッドの断面図、図12は同変形例3に係るインクジェットヘッドの断面図であるが、前記図3,4に示す部材と共通する部材には同一符号を付している。
【0077】
本実施形態2に係るインクジェットヘッド3は、図9に示すように、インクをインク搬送路51内で搬送する場合に、両電極56,72間に電圧を印加することにより振動板55をインク搬送路51の後方からノズル54に向かって次第に変形させ、この変形部分と他の部分とで流路断面積が大きく異なるようにインク搬送路51の高さhを低くしている。
【0078】
図中、「hN 」で示すインク搬送路51の高さhが低くて狭小なインク搬送路51では、インクは流れにくい。流れにくいと言うことは、逆にいえば、逆流を防止することができることを意味する。
【0079】
なお、図中、「hW 」で示す部分は、振動板55の変形により形成されたインク搬送路51の高さhが高い部分である。
【0080】
したがって、インク搬送路51の広い部分に多量に蓄えられたインクを、次々とノズル54に向かって移動させると、狭い部分からインクが逃げ出すことなくノズル54まで搬送できることになる。
【0081】
ここにおいて、インク搬送路51のインクの流路抵抗(R)は、一般に、断面が長方形の流路の場合、次式で表される。
【0082】
R=8ηL(a+b)2 /a3 b3 ……(1)
η:粘度、 L:流路長さ、 a:流路幅、 b:流路高さ
つまり、この(1)式からすれば、流路抵抗Rは、流路高さbの3乗に反比例することになる。
【0083】
したがって、本実施形態2のように、流路高さbを低くし、a>>bとなるように設定している場合には、変形後の流路高さが変形前の流路高さの半分以下になるように設定すると、その部分の流路抵抗は、8倍以上になるので、流路高さを低くすることよる効果は非常に大きくなる。
【0084】
本実施形態2は、かかる点を考慮し、チャンネルプレート50とカバープレート60との間に形成されるインク搬送路51の高さhを低くすることにより、インクが逃げ出しにくい部分を形成し、振動板55をインク搬送路51の後方からノズル54に向かって次第に変形させ、インクを逃がすことなくノズル54まで搬送するようにしている。
【0085】
なお、振動板55の変形により取り込まれたインクがインレット53から逆流しないように、インレット53の部分も狭小にすると、さらに好ましいものとなる。
【0086】
本実施形態2について、さらに具体的に述べる。静電気力による振動板55の変形量は、数μm〜数百μmであるので、このインク搬送路51の高さhは、その数倍程度でよい。そして、hN 部分の高さは、10μm程度とすれば、前述した逆流防止効果を発揮する好ましいインクジェットヘッドとなる。
【0087】
図10に示す実施形態2の変形例1に係るインクジェットヘッドは、インレット53部分の形成を廃止したものである。前述のようにインク搬送路51の高さhを小さくし、ある程度以上流路断面積を狭めると、インレット53部分を形成しなくても、逆流防止効果が発揮されることになる。
【0088】
したがって、この変形例1では、インレット53の形成を廃止し、より構造の簡素化を図っている。
【0089】
図11,図12に示すものは、実施形態2の変形例2と3に係るインクジェットヘッド3である。これらインクジェットヘッド3は、前記第2電極72をインク搬送路51を挾むように、カバープレート60側に設けられている。
【0090】
図11に示す変形例2は、インク搬送路51の高さhを小さくしていると、インク搬送路51内にインクが存在していても、静電気力が十分作用するので、第2電極72を第1電極に対してより近くに配置できることから、カバープレート60側に2電極72を設け、振動板55の変形がより容易にできるようにしている。この結果、消費電力の低減を図ることもできる。
【0091】
図12に示す変形例3は、前述した実施形態1のように第2電極72をガラス基板70側に設けると共にさらに複数の個別電極61a,61b,61cからなる第3電極61をカバープレート60側に設け、より振動板55を強力に復元させるようにしたものである。この結果、本変形例3は、インクの吐出能力を高めることができる。
【0092】
このように本実施形態2は、第2電極72を複数の個別電極とするとともに、当該個別電極に後方から次々と所定の時間差Tdで電圧を印加する場合に、インク搬送路51の高さhを低くし、インクが逃げ出しにくい構造としたので、振動板55の変形により取り込まれたインクは、前記個別電極による振動板55の変形の移動に伴って、インクが逆流することなく確実にノズル54に向かって搬送され、インク供給室52から供給されるインクを確実にノズル54より吐出することができ、ヘッドの応答性が向上し、周波数追随性も向上する。
【0093】
《実施の形態3》
前記実施形態2では、電極を複数設ける必要があり、それぞれの電極に対して個別に信号を与える必要があるが、本実施形態3では、これをさらに改良したものである。
【0094】
図13は本発明の実施形態3に係るインクジェットヘッドの断面図、図14は同実施形態3の変形例に係るインクジェットヘッドの断面図である。なお、この図13,14においても前記図3,4に示す部材と共通する部材には同一符号を付している。
【0095】
本実施形態3に係るインクジェットヘッド3は、両電極56,72間に蓄えられる電荷量を変化させることにより振動板55がインク搬送路51の後方からノズル54に向かって次第に変形するようにしたものである。
【0096】
図13に示すように、前記第2電極、つまり駆動電極72は、各インク搬送路51に対して1つ設けられたものであり、インレット53側でヘッド吐出駆動部105からの配線81,82に結線されている。
【0097】
この駆動電極72の電気抵抗は、高めに設定されている。ここにおいて、駆動電極72の電気抵抗値(r)と電極間のコンデンサ成分(C)とで決まる時定数(τ)は、次式(2)で表される。
【0098】
τ=1/rC ……(2)
両電極56,72間に電圧を印加すると、両電極間に電荷が蓄えられ、静電気力が作用し、振動板55の変形が生じるが、この電荷の充電は、振動板55の後方から前方へ順次充電されるので、振動板55が後方から前方へ順次変形し、インクは前方へ送られることになる。
【0099】
この時の電気抵抗値(r)の最適値は、式(2)の時定数(τ)が圧力波伝播時間(ta)以上で、かつインク滴が飛翔し終わるまでの時間(td)以下にすると効果的である。つまり、
td≧τ≧ta ……(3)
となることが好ましい。
【0100】
また、インク滴が飛翔し終わるまでの時間(td)は、インク搬送路51の長さ(L)、インク中の圧力波速度(va)(水系インクの場合はおよそ1500m/s)とすると、
ta=L/Va ……(4)
である。
【0101】
図14に示す本実施形態3の変形例のように、第2電極72を複数に分割し、電極同士を上記条件に合う抵抗を介して結線するか、あるいは分割した電極同士をツェナーダイオード75を介して結線し、両電極間に後方から順次電荷が溜まるようにしても良い。
【0102】
《実施の形態4》
図15は本発明の実施形態4に係るインクジェットヘッドの断面図である。
本実施形態4は、インク搬送路51を前述した実施形態のもののように所定の流通面積を有するものとせず、振動板55とほぼ密着し、インク搬送路51としては外観上存在しないものとなっている。
【0103】
ただし、本実施形態4のインク搬送路51は、振動板55の変形によってほぼ密封されたインク用の小部屋58を位相差をつけて移動することによって形成してたもので、これにより実質的にインクを前方に搬送するようにしたものである。
【0104】
つまり、チャンネルプレート50の振動板55とカバープレート60とを、振動板55の変形部分が前記カバープレート60に接するように近接し、振動板55の変形部分とカバープレート60との間で形成される小部屋58が振動板の変形により順次ノズル54に向かって位相差をつけて移動させ、インクを搬送するようにしている。
【0105】
この場合、1周期分の駆動電圧で、1つのインク滴を吐出させてもよいし、あるいは複数の高周波振動でインクをどんどん前方に送り出し、加えた振動数に応じた体積のインク滴を飛ばすようにしても良い。
【0106】
以上説明した種々の実施形態は、本発明を限定するために記載されたものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。
【0107】
例えば、上述した実施形態では、複数設けられた個別電極をあるいは一対の対向下電極の電荷を変化させることにより振動板を変形させているが、この変形は、極力波形状あるいは蛇行しつつ進行することがインクをスムーズに搬送することからすれば好ましいものである。
【0108】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に記載の発明では、振動板をインク搬送路の後方からノズルに向かって次第に変形させるようにしたので、インク供給室から供給されるインクを確実にノズルより吐出することができる。したがって、ヘッドの応答性が向上し、結果的に高速印字も可能になる。また、カバープレートと振動板とを密着し、当該振動板が変形することにより形成される小部屋によりインク搬送路を形成したので、この小部屋が振動板の変形により順次ノズルに向かって移動するようにすれば、一層確実にノズルよりインクを吐出できる。
【0109】
請求項2に記載の発明では、振動板の駆動源となる電極を前後に複数の個別電極に分割して形成し、各個別電極をインク供給室側から順次駆動するようにしたので、簡単な構成で、前述したようなノズルより確実なインクの吐出を達成できる。
【0111】
請求項3に記載の発明では、両電極間に蓄えられる電荷の量を変化させることにより振動板が後方からノズルに向かって次第に変形するようにしたので、複雑に配線することなく、前述したようなノズルより確実なインクの吐出を達成できる。
【0113】
請求項4に記載の発明では、振動板の変形部分がインク搬送路の後方からノズルに向かって波形状となり、蛇行しつつ進行するようにしたので、インク搬送路内の液状のインクは滑らかに絞り出され、吐出がより円滑になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 インクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】 図1のインクジェットヘッドを含むキャリッジ周辺の構成を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態1の分解斜視図である。
【図4】 同実施形態1のインクジェットヘッドの断面図である。
【図5】 個別電極の動作状態を示す説明図である。
【図6】 個別電極間に加える電圧の時間差を変えたときの実験結果であり、Aはインクのドット径が変化する状態を、Bは追随周波数が変化する状態を示す。
【図7】 チャンネルプレートの製造方法工程順に示す断面図である
【図8】 インクジェットプリンタの制御部のブロック図である。
【図9】 本発明の実施形態2の断面図である。
【図10】 同実施形態2の変形例1の断面図である。
【図11】 同実施形態2の変形例2の断面図である。
【図12】 同実施形態2の変形例3の断面図である。
【図13】 本発明の実施形態3の断面図である。
【図14】 同実施形態3の変形例の断面図である。
【図15】 本発明の実施形態4の断面図である。
【符号の説明】
3…インクジェットヘッド、
50…チャンネルプレート、
51…インク搬送路、
52…インク供給室、
54…ノズル、
55…振動板、
56…第1電極、
57…凹部、
58…小部屋、
60…カバープレート、
72…第2電極、
72a,72b,72c…個別電極。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink jet head of a type in which ink is ejected by deforming a diaphragm with electrostatic force.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, an ink jet head used in an ink jet recording apparatus is known that uses an electrostatic actuator.
[0003]
Although it is well known that this ink jet head is formed using a semiconductor device manufacturing process (for example, Japanese Patent Laid-Open Nos. 6-71882, 7-214769, and 8-72240). In general, a plurality of nozzles on the channel plate, an ink transport path communicating with the nozzles, and an ink supply chamber for supplying ink to the ink transport pathTheA cover plate is provided so as to cover the channel plate, and a first electrode is provided on a vibration plate provided so as to constitute a part of the ink transport path, at a position facing the first electrode. A second electrode is provided.
[0004]
When ink is ejected by operating the diaphragm, first, a voltage is applied between the first and second electrodes, and the diaphragm is attracted to the second electrode side by electrostatic force acting between the electrodes. The diaphragm is deformed to draw ink from the common ink chamber into the ink transport path.
[0005]
Next, when the voltage applied between the counter electrodes is released, the diaphragm itself returns to its original position due to its rigidity. As a result, the volume of the ink transport path is abruptly shrunk, so that the ink filled in the ink transport path is ejected and ejected as droplets from the nozzle and landed on the recording medium to form an image.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, this ink-jet head has a nozzle at the front end of the ink transport path, and an inlet into which ink from the ink supply chamber is introduced at the rear end. Therefore, the ink transport path has openings at the front and rear. Even if the diaphragm constituting a part of the ink transport path is moved up and down by applying a voltage to the electrodes, the ink in the ink transport path is reliably transported to the tip nozzle side. Not a thing but a part of ink will also move to an inlet side.
[0007]
As a result, the ink is not reliably ejected from the nozzle in a predetermined amount, the ink ejection efficiency is low, and high-speed printing is impossible in some cases, and even if the drive frequency for vibrating the diaphragm is increased, the ink follows. Thus, there is a problem that ink is not ejected, and so-called frequency tracking is not improved.
[0008]
The present invention has been made in view of the above-described problems of the prior art, and an object of the present invention is to increase the ink ejection efficiency by extruding the ink sequentially from the rear to the front and unidirectionally flowing the ink. The purpose is to improve the followability.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The object of the present invention is achieved by the following means.
[0010]
(1) Nozzle provided at the tip, an ink conveyance path communicating with the nozzle, a diaphragm provided to constitute a part of the ink conveyance path, and ink for supplying ink to the ink conveyance path A supply chamber; a first electrode provided on the diaphragm; and a second electrode provided at a position facing the first electrode; and applying a voltage between the first and second electrodes. In the inkjet head, the diaphragm is deformed by electrostatic force, and the ink in the ink transport path is ejected as droplets from the nozzles.The ink transport path includes the diaphragm of the channel plate in which the ink transport path is formed and a cover plate attached on the channel plate, and a portion where the diaphragm is deformed by both electrodes is the cover plate. The small chamber formed between the deformed portion of the diaphragm and the cover plate moves toward the nozzles sequentially by deformation of the diaphragm.An ink-jet head formed by the above method.
[0011]
(2) At least one of the electrodes is divided into a plurality of individual electrodes before and after the ink supply chamber and the nozzle, and is sequentially driven from the ink supply chamber side by applying a voltage to each individual electrode. An ink-jet head characterized by being configured as described above.
[0013]
(3)The inkjet head is characterized in that the diaphragm gradually deforms from the rear of the ink transport path toward the nozzle by changing the amount of charge stored between the electrodes.
[0015]
(4)The inkjet head is configured to control voltage application to the electrodes so that a wave-shaped deformed portion advances while meandering from the rear of the ink conveyance path toward the nozzle.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the accompanying drawings.
1 is a perspective view showing a schematic configuration of an inkjet printer, FIG. 2 is a perspective view showing a configuration around a carriage including the inkjet head of FIG. 1, and FIG. 3 is an exploded perspective view of the inkjet head according to
[0017]
The
[0018]
The ink jet head scanning system includes a
[0019]
On the other hand, the recording sheet conveying system includes a
[0020]
The
[0021]
The print head of the
[0022]
The
[0023]
The image is recorded on the
[0024]
As shown in FIG. 2, around the
[0025]
When the
[0026]
The ink-
[0027]
On the upper surface side of the
[0028]
The upper side of the
[0029]
Further, a
[0030]
The lower side of the
[0031]
In particular, in the first embodiment, the
[0032]
Then, as shown in FIG. 5, each
[0033]
When the
[0034]
As a result, ink ejection efficiency is improved, and high-speed printing is possible in some cases. Further, even if the driving frequency for vibrating the diaphragm is increased, ink is ejected following this, and so-called frequency tracking is also improved.
[0035]
More specifically, for example, in the
[0036]
At this time, the time difference Td of the voltage applied between the
[0037]
As is apparent from FIGS. 6A and 6B, if the
[0038]
The optimum value of the time difference Td is considered to depend on the natural frequency of the ink. However, in the
[0039]
Therefore, in the present embodiment, since three electrodes are driven, the time difference Td within 3 μs is appropriate.
[0040]
Next, when manufacturing the
[0041]
7A, FIG. 7B, and FIG. 7C are cross-sectional views showing the order of the manufacturing method of the
[0042]
First, as shown in FIG. 7A, an
[0043]
An opening for defining the shapes of the
[0044]
Next, the
The
Further, the depth of the
[0045]
By etching with the KOH solution, the
[0046]
In this manner, as shown in FIG. 7C, the
[0047]
When the
[0048]
Then, a resist pattern in which the
[0049]
Thereafter, an oxide film is formed on the entire surface of the
[0050]
Next, the
[0051]
Thus, the
[0052]
After that, a SiFH film or a SiO2 film is formed on the entire surface on which the electrodes are formed.2A protective film such as a film is formed to a thickness of about 1 μm. This protective film is not patterned and is provided on the entire surface of the substrate to form a protective film, thereby preventing deterioration of the drive electrode due to the influence of ambient humidity.
[0053]
The depth at which the
[0054]
The
[0055]
Next, the
[0056]
The
[0057]
Next, the ink used in this embodiment will be described.
The ink of this embodiment has the composition shown in Table 1 below, and uses four colors of black (K), yellow (Y), magenta (M), and cyan (C), and is shown in the table. As described above, each color is adjusted with a dye, but a pigment may be used instead of the dye.
[0058]
[Table 1]
[0059]
Next, the control unit of the ink jet printer will be explained with reference to FIG. 8. FIG. 8 is a block diagram of the control unit of the
[0060]
The control unit includes a
[0061]
The
[0062]
Based on the control of the
[0063]
Specifically, a pulse voltage corresponding to the image data is applied from the head
[0064]
Further, based on the control of the
[0065]
Next, the operation of the first embodiment will be described.
In order to discharge ink droplets, first, in FIG. 4, a voltage is applied between the
[0066]
The
[0067]
The inflow ink vibrates at a predetermined natural frequency in the
[0068]
However, a voltage is successively applied to the next
[0069]
As a result, the ink once flowing into the
[0070]
More specifically, in the experimental example described above, the natural vibration period of the ink is about 12 μs. That is, when the volume in the
[0071]
Accordingly, once the ink that has flowed into the
[0072]
Therefore, in this embodiment, after the
[0073]
Therefore, the ink taken in by the
[0074]
When the voltage applied to the
[0075]
Thus, according to this embodiment, the
[0076]
<<
9 is a cross-sectional view of an inkjet head according to
[0077]
As shown in FIG. 9, the
[0078]
In the drawing, the ink does not flow easily in the narrow
[0079]
In the drawing, the portion indicated by “hW” is a portion where the height h of the
[0080]
Therefore, when a large amount of ink stored in a wide portion of the
[0081]
Here, the ink flow path resistance (R) of the
[0082]
R = 8ηL (a + b)2/ AThreebThree ...... (1)
η: viscosity, L: channel length, a: channel width, b: channel height
That is, according to this equation (1), the flow path resistance R is inversely proportional to the cube of the flow path height b.
[0083]
Therefore, when the channel height b is set to be low and a >> b as in the second embodiment, the channel height after deformation is the channel height before deformation. If it is set to be less than or equal to half of that, the flow resistance of that portion becomes 8 times or more, so the effect of lowering the flow path height becomes very large.
[0084]
In the second embodiment, in consideration of such a point, by reducing the height h of the
[0085]
In addition, it is more preferable that the portion of the
[0086]
The second embodiment will be described more specifically. Since the deformation amount of the
[0087]
In the inkjet head according to the first modification of the second embodiment shown in FIG. 10, the formation of the
[0088]
Therefore, in the first modification, the formation of the
[0089]
11 and 12 show an
[0090]
In
[0091]
In the third modification shown in FIG. 12, the
[0092]
As described above, according to the second embodiment, when the
[0093]
<<
In the second embodiment, it is necessary to provide a plurality of electrodes, and it is necessary to individually give a signal to each electrode. In the third embodiment, this is further improved.
[0094]
FIG. 13 is a cross-sectional view of an ink jet head according to
[0095]
In the
[0096]
As shown in FIG. 13, one second electrode, that is, the
[0097]
The electric resistance of the
[0098]
τ = 1 / rC (2)
When a voltage is applied between the
[0099]
The optimum value of the electrical resistance value (r) at this time is set so that the time constant (τ) of the equation (2) is not less than the pressure wave propagation time (ta) and not more than the time (td) until the ink droplet finishes flying. It is effective. That means
td ≧ τ ≧ ta (3)
It is preferable that
[0100]
In addition, when the time (td) until the ink droplet finishes flying is assumed to be the length (L) of the
ta = L / Va (4)
It is.
[0101]
As in the modification of the third embodiment shown in FIG. 14, the
[0102]
<<
FIG. 15 is a cross-sectional view of an inkjet head according to
In the fourth embodiment, the
[0103]
However, the
[0104]
That is, the
[0105]
In this case, one ink droplet may be ejected with a driving voltage for one cycle, or ink is sent forward and forward with a plurality of high-frequency vibrations so that a volume of ink droplets according to the applied frequency is ejected. Anyway.
[0106]
The various embodiments described above are not described to limit the present invention, and various modifications can be made by those skilled in the art within the technical idea of the present invention.
[0107]
For example, in the above-described embodiment, the diaphragm is deformed by changing the charge of a plurality of individual electrodes or a pair of opposed lower electrodes, but this deformation proceeds while making a wave shape or meandering as much as possible. This is preferable because the ink is smoothly conveyed.
[0108]
【The invention's effect】
As described above, in the first aspect of the invention, since the diaphragm is gradually deformed from the rear of the ink transport path toward the nozzle, the ink supplied from the ink supply chamber is reliably discharged from the nozzle. can do. Therefore, the responsiveness of the head is improved, and as a result, high-speed printing is possible.Further, since the ink transport path is formed by the small chamber formed by closely contacting the cover plate and the diaphragm and deforming the diaphragm, the small chamber sequentially moves toward the nozzle by the deformation of the diaphragm. By doing so, ink can be ejected from the nozzles more reliably.
[0109]
According to the second aspect of the present invention, since the electrode serving as the driving source of the diaphragm is formed by dividing it into a plurality of individual electrodes in the front and rear, and each individual electrode is sequentially driven from the ink supply chamber side, With the configuration, it is possible to achieve more reliable ink ejection than the nozzles described above.
[0111]
Claim3In the invention described in the above, since the diaphragm is gradually deformed from the rear toward the nozzle by changing the amount of electric charge stored between both electrodes, the above-described nozzle can be used without complicated wiring. Reliable ink ejection can be achieved.
[0113]
Claim4In the invention described in the above, the deformed portion of the vibration plate has a wave shape from the rear of the ink conveyance path toward the nozzle and proceeds while meandering, so that the liquid ink in the ink conveyance path is smoothly squeezed out. , The discharge becomes smoother.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view illustrating a schematic configuration of an ink jet printer.
2 is a perspective view showing a configuration around a carriage including the ink jet head of FIG. 1. FIG.
FIG. 3 is an exploded perspective view of
FIG. 4 is a cross-sectional view of the ink jet head according to the first embodiment.
FIG. 5 is an explanatory diagram showing an operation state of an individual electrode.
FIG. 6 shows the experimental results when the time difference of the voltage applied between the individual electrodes is changed. A shows the state where the ink dot diameter changes, and B shows the state where the tracking frequency changes.
FIG. 7 is a cross-sectional view showing the order of the manufacturing method of the channel plate.
FIG. 8 is a block diagram of a control unit of the inkjet printer.
FIG. 9 is a cross-sectional view of
10 is a cross-sectional view of
FIG. 11 is a cross-sectional view of a second modification of the second embodiment.
12 is a cross-sectional view of
FIG. 13 is a cross-sectional view of
FIG. 14 is a cross-sectional view of a modified example of the third embodiment.
FIG. 15 is a cross-sectional view of
[Explanation of symbols]
3 ... inkjet head,
50 ... Channel plate,
51 ... Ink transport path,
52 ... Ink supply chamber,
54 ... Nozzle,
55 ... diaphragm,
56 ... first electrode,
57 ... recess,
58 ... small room,
60 ... cover plate,
72 ... the second electrode,
72a, 72b, 72c ... individual electrodes.
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