JP3959628B2 - 感圧記録シート用塗工液及び感圧記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロカプセルを含有する感圧記録シート用塗工液、及びこれを用いて製造された感圧記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、パソコン、オンデマンド印刷機をはじめとするIT機器などの爆発的な普及に伴い、それに関連した情報記録紙の需要は益々高まり、その記録紙に対してより高度な性能が要求されるようになってきている。
【0003】
より高度な紙製品を生産する為、製紙業界においても従来のロールコーターなどから、非接触型のカーテンコーター、ダイコーター、リップコーターなどの使用が増えてきている。
【0004】
従来より、カーテンコーターは、特に効率が良く、クリーンで平滑な塗工面が得られることから塗工品質のすばらしいコーターとして知られているが、高速塗工時の空気の巻き込み、塗料に混入した泡や機械的精度不足による塗料カーテン膜の不安定さなどの問題により、製紙業界では利用されていなかった。
【0005】
特に、発色剤を封入したマイクロカプセルを含有する塗工液を用いて自由落下垂直カーテンを形成し、この自由落下垂直カーテン下を通過するシートに塗工液を塗布するカーテン塗工方式においては、塗工液の物性が最適化されていないと自由落下垂直カーテンに膜切れが生じてしまい、均一な膜形成ができず、連続塗工が困難であった。
【0006】
これを改善する方法として、特開昭57−39985号公報には、特定のアニオン性,カチオン性,両性,ポリエチレングリコール系及び多価アルコール脂肪酸エステル系などのノニオン性界面活性剤を塗工液中に添加することが提案されている。これら界面活性剤を添加することによって、塗工液の表面張力が低下する為、濡れ性は向上するものの、調合の過程、コーターヘッドへの輸送ライン内、及び攪拌の行われるチャージタンク内において塗工液中に微細な泡が発生する。これら微細な泡は、自由落下垂直カーテン形成後においても残留する為、塗工中にも気泡が存在し、感圧記録シートの印字特性を阻害し、更に気泡の存在によってスリット詰まりなどが発生する原因となっていた。
【0007】
また、界面活性剤を添加することにより、感圧記録シートの発色濃度の低下及び退色などが生じ、更に前記気泡を除去する為に消泡剤を添加することによってもまた発色トラブル及びコート面のハジキが生じる場合があった。
【0008】
本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、カーテンコーターにおいて、均一な塗工液の膜からなる自由落下垂直カーテンの形成を容易にし、かつ、特別な消泡剤を添加することなしに塗工液調製中、カーテン形成中、及び塗工中などにおいて塗工液中に気泡が発生又は混入することを防止し、更に印字適性に優れた感圧記録シートに用いる塗工液、及びそれを用いて得られる感圧記録シートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、感圧記録シートに用いられる発色剤を封入したマイクロカプセルを含有する塗工液に、特定のアセチレングリコール類を含有する塗工安定化剤を添加することにより、従来困難であったカーテンコーターにおいて、均一な塗工液の膜からなる自由落下垂直カーテンを形成することができると共に、特別な消泡剤を添加することなしに塗工液調製中、カーテン形成中、及び塗工中などにおいて塗工液中に微細な気泡が発生したり、混入することを防ぎ、更には印字適性に優れた感圧記録シートが得られる為、上述した従来の問題点を解決し得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記に示す塗工液及び感圧記録シートを提供する。
請求項1:
(A)発色剤を封入したマイクロカプセル、
(B)下記式(1)
【化3】
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表されるアセチレングリコール及び下記式(2)
【化4】
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ0.5〜25の正数であり、m+nは1〜40である。)で表されるアセチレングリコールのエトキシル化体から選ばれる1種又は2種以上のアセチレングリコール類を含有する塗工安定化剤、
(C)セルロース誘導体、共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体のアクリル系エマルジョン、ビニル系エマルジョンから選ばれる1種又は2種以上のバインダー、及び
(D)デンプン粒子、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、セルロース微粉末から選ばれる緩衝剤
を含有してなり、上記(B)成分の塗工安定化剤が、0.1重量%水溶液の1Hz時の動的表面張力が34.0〜45.2mN/m,5Hz時の動的表面張力が37.5〜46.5mN/m、滴下300ミリ秒後の動的接触角が29.5〜58.3度であることを特徴とする感圧記録シート用塗工液。
請求項2:
(B)成分の塗工安定化剤が、更に、下記式(3)
R3O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH (3)
(式中、R3は炭素数1〜20の一価炭化水素基、wは1〜20の正数、x、y、zは0又は1〜20の正数である。)
で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを上記アセチレングリコール類に対し0重量%を超え80重量%以下の割合で含有する請求項1記載の感圧記録シート用塗工液。
請求項3:
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が、アセチレングリコール類に対し18.75〜80重量%である請求項2記載の感圧記録シート用塗工液。
請求項4:
イオン交換水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックポリマーから選ばれる1種又は2種以上を上記アセチレングリコール類に対して10〜50重量%の割合で含有する請求項1記載の感圧記録シート用塗工液。
請求項5:
イオン交換水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を上記アセチレングリコール類に対して10〜50重量%の割合で含有する請求項1記載の感圧記録シート用塗工液。
請求項6:
(B)成分がアセチレングリコールのエトキシル化体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の感圧記録シート用塗工液。
請求項7:
(D)成分の緩衝剤がアルミナである請求項1乃至6のいずれか1項記載の感圧記録シート用塗工液。
請求項8:
支持体上に請求項1乃至7のいずれか1項記載の感圧記録シート用塗工液による塗工層が形成された感圧記録シート。
請求項9:
上記感圧記録シート用塗工液がカーテンコータにより塗工されることを特徴とする請求項8記載の感圧記録シート。
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の感圧記録シートに用いられる塗工液は、(A)発色剤を封入したマイクロカプセル及び(B)塗工安定化剤を含有するものである。
【0012】
本発明に使用される発色剤を封入したマイクロカプセル(A)は、発色剤を溶解した油性液を内蔵物とし、これを水及び油性液との双方に不溶な高分子物質よりなる壁材で被覆した微少カプセルであり、0.5〜100μm、特に1〜30μmの平均粒径を有することが好ましい。
【0013】
ここで、発色剤としては、塩基性の発色剤が好適に使用され、例えば、クリスタルバイオレットラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、マフカイトグリーンラクトン、ローダミンBラクタム、及び1,3,3−トリメチル−6−エチル−8−ブトキシインドリノベンゾスピロピランなどが挙げられる。
【0014】
なお、発色剤を溶解して油性液とする液剤としては、アルキルナフタレン、ジアリルアルカン、アルキルビフェニル、水素化ターフェニル、トリアリルジメタン、フェニレンオキサイドなどが挙げられる。
【0015】
また、壁材としては、例えばポリカチオンとポリアニオンとの組み合わせによるもの(例えばゼラチン−アラビアゴム等)、及び重縮合系組成物の組み合わせによるもの(例えばポリイソシアネート−ポリアミン、ポリイソシアネート−ポリオール、及び尿素−ホルムアルデヒド等)等が用いられる。
【0016】
この場合、マイクロカプセル中の発色剤量としては、発色剤を溶解して油性液とする液剤に対して1〜40重量%、壁材量としては、発色剤を溶解して油性液とする液剤に対して10〜60重量%添加するのが望ましい。
【0017】
本発明のマイクロカプセルの製造方法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ重合法等が挙げられるが、この限りではない。
【0018】
本発明の塗工液に用いられる塗工安定化剤(B)は、上述したように、下記式(1)で表されるアセチレングリコール及び下記式(2)で表されるアセチレングリコールのエトキシル化体から選ばれる1種又は2種以上のアセチレングリコール類を含有するものである。
【0019】
【化5】
(式中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、m及びnはそれぞれ0.5〜25の正数であり、m+nは1〜40である。)
【0020】
上記式(1)で表されるアセチレングリコールとしては、例えば、
2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、
5,8−ジメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール、
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、
4,7−ジメチル−5−デシン−4,7−ジオール、
2,3,6,7−テトラメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、
3,6−ジエチル−4−オクチン−3,6−ジオール、
3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、
2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール
等を挙げることができ、式(2)で表されるアセチレングリコールのエトキシル化体としては、上記アセチレングリコールのエチレンオキサイド誘導体を挙げることができ、そのアセチレングリコール中のエチレンオキサイド単位の付加モル数は各0.5〜25モルであり、総数1〜40モルである。エチレンオキサイドの付加モル総数が40モルを超えた場合、動的表面張力及び接触角が大きくなり、塗工安定化剤としての効果が低下したり、泡の発生による塗工困難な状況が発生する。尚、これらのアセチレングリコール類は、その1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
本発明のアセチレングリコール及びそのエトキシル化体からなるアセチレングリコール類の添加量は、発色剤を含有したマイクロカプセル全量に対して好ましくは0.05〜15重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲にすることが望ましい。0.05重量%未満では、十分な塗工安定性が得られずにカーテン切れ等の塗工不良が発生する場合があり、15重量%を超えると不溶解物が発生したり、ハジキが発生したり、発色性が不良となる場合がある。
【0022】
本発明の塗工安定化剤は、上記成分を単独で用いるのが良いが、下記式(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを配合することができる。
R3O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH (3)
(式中、R3は炭素数1〜20の一価炭化水素基、wは1〜20の正数、x、y、zは0又は1〜20の正数である。)
【0023】
この場合、R3は好ましくは炭素数5〜15、更に好ましくは10〜15のアルキル基又はアリール基であり、またw+x+y+zは5〜30、特に5〜25であることが好ましい。
【0024】
式(3)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、具体的には、
C12H25O(C2H4O)6(C3H6O)2(C2H4O)6(C3H6O)8H、
C13H27O(C2H4O)6(C3H6O)2(C2H4O)6(C3H6O)8H、
C12H25O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH(但しw+y=15、x+z=4)、
C13H27O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH(但しw+y=15、x+z=4)、
C12H25O(C2H4O)8(C3H6O)2(C2H4O)6H、
C13H27O(C2H4O)8(C3H6O)2(C2H4O)6H、
C12H25O(C2H4O)12(C3H6O)2(C2H4O)12H、
C13H27O(C2H4O)12(C3H6O)2(C2H4O)12H、
CH3(CH2)9(CH3)CHO(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、
CH3(CH2)11(CH3)CHO(C2H4O)7(C3H6O)4.5H、
CH3(CH2)9(CH3)CHO(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、
CH3(CH2)11(CH3)CHO(C2H4O)5(C3H6O)3.5H、
C14H29O(C2H4O)14(C3H6O)2H、
C11H23O(C2H4O)8H、
C10H21O(C2H4O)11H、
C12H25O(C2H4O)15H
等を挙げることができ、その1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
なお、これらポリオキシアルキレンアルキルエーテルのHLBは、6〜19、特に8〜18であることが好ましく、HLBが小さすぎると、疎水性が増し、水への溶解度が低下する場合があり、HLBが大きすぎると、動的表面張力が大きいため、均一な塗工液の膜からなる自由落下カーテンの形成が困難になる場合がある。
【0026】
本発明の塗工安定化剤を調製する際に用いられるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの量は、アセチレングリコール類に対して0〜80重量%、特に0〜60重量%であることが好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの量が多すぎると、塗工液中に微細な気泡が発生し、感圧記録シートの印字特性を阻害したりする場合がある。
【0027】
本発明の塗工安定化剤は、塗工液への溶解性をアップする為に、イオン交換水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリンなどの水溶性有機溶剤やポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックポリマーなどの界面活性剤を予め配合しても良く、本発明の感圧記録シートの特性を損わない限りアセチレングリコール類に対して0〜50重量%、好ましくは10〜30重量%の量で用いることができる。
【0028】
本発明の塗工安定化剤として、水溶性有機溶剤、界面活性剤あるいはポリオキシアルキレンアルキルエーテルを配合する場合、上記各成分を常法に準じて混合することにより塗工安定化剤を得ることができる。
【0029】
また、塗工安定化剤の0.1重量%水溶液の滴下300ミリ秒後の動的接触角は80度以下、好ましくは20〜60度、更に動的表面張力が50mN/m以下、好ましくは30〜50mN/mであることが好ましい。なお、動的接触角は自動・動的接触角計CA−D型(協和界面科学社製)を用いて0.1重量%水溶液の滴下300ミリ秒後の値を測定したものであり、動的表面張力はバブルプレッシャー型動的表面張力計クルスBP−2(KRUSS社製)を用いて0.1重量%水溶液の1Hz及び5Hz時の値を測定したものである。
【0030】
塗工安定化剤の0.1重量%水溶液の滴下300ミリ秒後の接触角が80度を超えると、塗工液に添加した際の塗工安定性が低下してカーテン膜切れが発生するおそれがあり、同じく0.1重量%水溶液の1Hz及び5Hz時の動的表面張力が50mN/mを超えると、塗工時にハジキが発生する場合がある。
【0031】
本発明に用いられる塗工液には、発色剤を封入したマイクロカプセル及び塗工安定化剤のほかに公知のものが用いられる。一般には、バインダー及び緩衝剤等が添加される。
【0032】
本発明に使用されるバインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体のアクリル系エマルジョン、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体エマルジョン、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられ、これらを単独あるいは複合して、塗工液全量に対し1〜30重量%の範囲で用いることができる。
【0033】
本発明に使用される緩衝剤としては、常温で固体の粒子状物質が好ましく、例えば、デンプン粒子、重合体微粒子、発色剤を含まないマイクロカプセル粒子、及びタルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ等の無機物粒子等が挙げられ、その平均粒子サイズは、体積平均直径で3〜50μm、好ましくは5〜40μmであることが望ましい。また、セルロース微粉末等の繊維状物質を緩衝剤として用いることもできるが、その場合の配合割合は、マイクロカプセル、バインダー及び緩衝剤の全量に対して0〜5重量%に制限することが好ましい。なお、これらの緩衝剤の総配合量は、塗工液全量に対し10〜80重量%の範囲で用いることができる。
【0034】
本発明の塗工液の製造方法は、何ら制限されることはないが、例えばイオン交換水に予めアセチレングリコール類をプロペラ式攪拌機にて溶解しておき、更に攪拌しながら発色剤を含有したマイクロカプセルを徐々に添加し、十分に分散したところでバインダー及びその他の添加剤を添加する等の公知の調製方法によることができる。
【0035】
前記方法によって調製した塗工液は、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、マイヤーバーコーター、グラビアコーター、ロールコーターなど、特にカーテンコーターの塗布方式で、無サイズ紙、再生紙、キャストコート紙、写真用印画紙、合成紙、不織布、ポリエステル、塩化ビニル等のプラスチックフィルム等の支持体上に塗布量が3〜25g/m2(乾燥固形分)、特に5〜20g/m2となるように塗布、乾燥して感圧記録シートを製造することができる。
【0036】
また、カーテンコーターで用いる塗工液の粘度は、1〜5000mPa・s、特に50〜1000mPa・sであることが好ましく、オリフィスとウェブとの距離は5〜45cm、特に10〜30cmであることが好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、例中の部及び%はそれぞれ重量部と重量%を示す。
【0038】
〔実施例1〕
50℃に加温した2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(エアプロダクツ社製、商品名サーフィノール104)70部をプロペラ式攪拌機付容器に投入後、攪拌しながらポリオキシアルキレンアルキルエーテル(第一工業製薬社製、商品名ノイゲンET−116B、HLB12.0)30部を徐々に投入混合し、2時間連続攪拌後、室温まで冷却した。冷却後、200メッシュ濾布にて濾過し、塗工安定化剤(以下、これをM−1という)を得た。更に、塗工安定化剤M−1の0.1部をイオン交換水100部に加え、マグネチックスタラーにて攪拌して0.1%水溶液とし、これを用いて動的接触角、動的表面張力を測定し、その結果を表2に示した。
【0039】
次に、この塗工安定化剤M−1 2部をイオン交換水100部にプロペラ式攪拌機で攪拌しながら徐々に添加した後、発色剤としてクリスタルバイオレットラクトン5部、発色剤を溶解して油性液とする液剤としてアルキルナフタレン65部及び壁材としてゼラチン−アラビアゴム30部を添加し、コアセルベーション法により作製したマイクロカプセルを100部、バインダーとしてアクリルエマルジョン(日信化学社製、商品名ビニブラン2760)を20部、緩衝剤としてアルミナを160部添加し、1時間攪拌して感圧記録シート用塗工液(以下、これをAという)を得た。
【0040】
このようにして得られた塗工液Aを10.0kg/分で、幅が1700mmかつスリット幅が0.4mmであるカーテン塗工コーターヘッドに供給し、この塗工コーターヘッドによって200mmの高さから塗工液のカーテンを形成させた。形成されたカーテン下を通過する原紙(40g/m2)に連続10時間塗工液を塗工して感圧記録シートを製造し、塗工中のカーテン膜切れ,スリット詰まり,塗工液中の気泡及び製造された感圧記録シートの印字適性を評価し、その結果を表3に示した。
なお、各特性の測定は下記のようにして行った。
【0041】
(塗工安定化剤水溶液の評価)
1)動的接触角
塗工安定化剤の0.1%水溶液を、協和界面科学社製接触角計CA−D型を用いて、滴下300ミリ秒後の接触角を測定した。
2)動的表面張力
KRUSS社製バブルプレッシャー型動的表面張力計クルスBP−2を用いて、塗工安定化剤の0.1%水溶液の1Hz及び5Hz時における動的表面張力を測定した。
【0042】
(塗工液カーテン及び感圧記録シートの評価)
1)カーテン膜切れ
形成されたカーテンを目視にして観察し、評価を下記の基準により行った。
○:カーテン膜切れなし
△:カーテン膜切れ一部あり
×:カーテン膜切れが多発する
2)スリット詰まり
塗布コーターヘッドのスリットを観察し、評価を下記の基準により行った。
○:スリット詰まり全くなし
△:若干スリット詰まりあり
×:スリット詰まりが多発する
3)塗工液中の気泡
塗工液をサンプリングして泡の状態を観察し、評価を下記の基準により行った。
○:気泡全くなし
△:気泡ほとんどなし
×:気泡が多く認められる
4)感圧記録シートの印字適性
塗工開始から1時間及び10時間塗工後に作製された感圧記録シートをサンプリングし、これと顕色剤を表面に塗布した用紙とを組み合わせてインパクトプリンターを用いて印字後、発色濃度及び発色むら等を観察し印字適性を総合的に評価した。
○:印字適性良好
△:印字可能
×:印字性不良
【0043】
〔実施例2〜5、比較例1〜6〕
実施例1と同様にして表1に示される配合物の種類及び配合量(%)で攪拌混合し、塗工安定化剤(M−2〜M−11)を得た。なお、実施例1については、配合物の配合量を%で再記した。
【0044】
上記塗工安定化剤を用いて実施例1と同様にして0.1%水溶液を作り、同様にして水溶液の評価を行って、その結果を表2に示した。更に、実施例1と同様にして感圧記録シート用塗工液及び感圧記録シートを作製し、同様にして評価を行って、その結果を表3に示した。
また、固体のものについては、50℃に加温し、成分を混合した。
【0045】
〔比較例7〕
界面活性剤として、市販品(ダプロW−77、エレメンティス・ジャパン社製商品名、サクシネート系界面活性剤50%、2−ブトキシエタノール20%、水30%)を用いて、実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2、表3に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
S−82:サーフィノール82(エアプロダクツ社製商品名、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール)
S−104:サーフィノール104(エアプロダクツ社製商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール)
S−440:サーフィノール440(エアプロダクツ社製商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエトキシル化体、エチレンオキサイドの付加モル数3.5)
S−465:サーフィノール465(エアプロダクツ社製商品名、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエトキシル化体、エチレンオキサイドの付加モル数10)
DF−110:サーフィノールDF−110(エアプロダクツ社製商品名、2,5,8,11−テトラメチル−6−ドデシン−5,8−ジオール)
EO−50:2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエトキシル化体、エチレンオキサイドの付加モル数50
NP−1:ノイゲンET−116B(第一工業製薬社製商品名、RO(C2H4O)w(C3H6O)xH、R:炭素数12,14のアルキル、w=7、x=4.5、HLB12.0)
NP−2:ノイゲンEA−160(第一工業製薬社製商品名、C9H19C6H4O(C2H4O)wH、w=16、HLB15.4)
NP−3:ノイゲンDL0415(第一工業製薬社製商品名、RO(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH、R:炭素数12,13のアルキル、w+y=15、x+z=4、HLB15.0)
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
緩衝剤:アルミナ(昭和電工社製、商品名アルミナAS)
バインダー1:アクリルエマルジョン(日信化学社製、商品名ビニブラン2760)
バインダー2:ポリビニルアルコール(クラレ社製、商品名クラレPVA117)
【0051】
【発明の効果】
本発明の塗工液は、感圧記録シートをカーテン塗工方式で製造する際に、均一な膜形成が長時間連続して可能であり、かつ特殊な消泡剤を添加することなしに塗工液調合中、カーテン形成中及び連続塗工中など、経時的に塗工液中に微細な気泡が発生又は混入することを防ぎ、印字適性に優れた感圧記録シートが製造できる。
Claims (9)
- (A)発色剤を封入したマイクロカプセル、
(B)下記式(1)
(C)セルロース誘導体、共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体のアクリル系エマルジョン、ビニル系エマルジョンから選ばれる1種又は2種以上のバインダー、及び
(D)デンプン粒子、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、セルロース微粉末から選ばれる緩衝剤
を含有してなり、上記(B)成分の塗工安定化剤が、0.1重量%水溶液の1Hz時の動的表面張力が34.0〜45.2mN/m,5Hz時の動的表面張力が37.5〜46.5mN/m、滴下300ミリ秒後の動的接触角が29.5〜58.3度であることを特徴とする感圧記録シート用塗工液。 - (B)成分の塗工安定化剤が、更に、下記式(3)
R3O(C2H4O)w(C3H6O)x(C2H4O)y(C3H6O)zH (3)
(式中、R3は炭素数1〜20の一価炭化水素基、wは1〜20の正数、x、y、zは0又は1〜20の正数である。)
で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルを上記アセチレングリコール類に対し0重量%を超え80重量%以下の割合で含有する請求項1記載の感圧記録シート用塗工液。 - ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの含有量が、アセチレングリコール類に対し18.75〜80重量%である請求項2記載の感圧記録シート用塗工液。
- イオン交換水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックポリマーから選ばれる1種又は2種以上を上記アセチレングリコール類に対して10〜50重量%の割合で含有する請求項1記載の感圧記録シート用塗工液。
- イオン交換水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上を上記アセチレングリコール類に対して10〜50重量%の割合で含有する請求項1記載の感圧記録シート用塗工液。
- (B)成分がアセチレングリコールのエトキシル化体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の感圧記録シート用塗工液。
- (D)成分の緩衝剤がアルミナである請求項1乃至6のいずれか1項記載の感圧記録シート用塗工液。
- 支持体上に請求項1乃至7のいずれか1項記載の感圧記録シート用塗工液による塗工層が形成された感圧記録シート。
- 上記感圧記録シート用塗工液がカーテンコータにより塗工されることを特徴とする請求項8記載の感圧記録シート。
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