JP3946660B2 - Method for producing halogen-resistant semiconductor processing device member - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のハロゲンガス特にフッ素とその化合物を含む環境中で優れた耐食性を発揮する表面処理部材としての耐ハロゲンガス用部材とその製造方法に関する。
【0002】
一般に半導体製造プロセスでは各工程で、多種多様なハロゲンガスおよびその化合物が気相状態で、ときにはその一部が液相として存在する環境が構成されるため、製造装置部材が激しい腐食損傷を受ける。半導体製造装置が取り扱う腐食性ガス種としては次のようなものがある。
フッ化物:BF3、PF3、PF6、NF3、WF3、CF4、HF、F
塩化物:BCl4、PCl3、PCl5、AsCl3、SnCl4、TiCl4、SiH2Cl2、SiCl4、HCl、Cl2
臭化物:HBr
その他:H2S、NH3、など
【0003】
特に、ハロゲン化合物を用いるプロセスでは反応のより一層の活性化を図るため、しばしばプラズマエネルギーが併用されるが、このプラズマ使用環境では、ハロゲン化合物は電離して非常に腐食性の強い原子状のF、Cl、Br、Iなどを発生すると同時に、その環境中にSiO2、Si34、Si、Wなどの微粉末状固形物が発生すると、装置に用いられている部材が化学的腐食とともに微粒子によるエロージョン損傷の両方の作用を強く受けるようになる。
【0004】
しかも、プラズマが励起された環境はArガスのように腐食性のない気体でもイオン化し、これが固体面に強く衝突する現象(イオンボンバードメントと呼ばれる)が発生するので、上記装置内に配設されている各種部材はより一層強い損傷を受けることも知られている。
【0005】
一方、半導体は精密な加工が施されるため、製造環境は極めて清浄であることが要求されている。しかし、前記のような各種のハロゲン化合物による装置材料の腐食反応の結果生成する金属のハロゲン化物は、蒸気圧が高いため気相状態の汚染源となり、またプラズマエロージョン作用によって発生する微粉末状固形物とともに、半導体加工工程における主要な環境汚染源となっている。以上のような問題を解決するため、次に示すような技術が提案されている。
【0006】
すなわち、下記特許文献1のように、半導体加工装置の部材表面にAl拡散処理を施してAlを主要元素とする各種の金属間化合物(例えばAl−Fe、Al−Ni、Al−Crなど)とその表面に生成するAl23膜の耐ハロゲンガス性を利用したものがある。
【0007】
また、下記特許文献2のように、ハロゲン系腐食ガスまたはハロゲンプラズマに耐える皮膜として、熱膨張係数が7×10-6〜12×10-6、誘電損失が5×10-3以下の非金属焼結体の表面に直接Y23、Dy23、Er23などの希土類系酸化物を50%以上含む酸化物皮膜を形成するものがある。
【0008】
また、下記特許文献3のように、F化物を含む環境における耐プラズマエロージョン性を有する技術として、Ni、W、Mo、Tiおよびこれらの合金をアンダーコートとし、その上にY23およびY23とAl23の混合物をトップコートとした溶射皮膜がある。
【0009】
また、下記特許文献4のように、部材表面にPVD法やCVD法によってSc、Y、La、Ce、Yb、Eu、Dy、などの周期律表第3a族元素の酸化物、炭化物、窒化物、フッ化物などの緻密な皮膜を形成したり、Y23の単結晶を適用する技術がある。
【0010】
また、下記特許文献5のように、耐食性金属基材の一面を溶射法以外の方法によって、AlまたはAl合金で被覆した後、これを陽極酸化法によって被覆表面にAl23層を生成させ、このAl23層またはAl23層を介せずに耐食性を有する弗化アルミニウム層を形成させて、プラズマ励起されたハロゲンガスによる耐食性材料がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−219456号公報
【特許文献2】
特開2001−031484号公報
【特許文献3】
特開2000−164354号公報
【特許文献4】
特開平10−004083号公報
【特許文献5】
特開平9−10577号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1−5に係るものは、成膜において、金属基材、膜組成などに種々の制限があり、現在の半導体加工装置などが抱えているハロゲンガスによる装置部材の腐食損傷およびその腐食生成物の揮散に起因する加工環境の汚染による半導体製品などの不良率の発生を防止するものととして十分なものではないという問題がある。
【0013】
本発明は、ハロゲンガス、特にフッ素(F2)ガスおよびフッ化物ガスと接触する半導体加工装置用等の金属製部材であって、耐ハロゲンガス性に優れた金属製部材及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前掲の問題点を解決するため、本発明では次に示すような技術的手段を用いて目的を達成する
【0020】
)金属製基材の表面に、イオン注入法やプラズマイオン注入法を用いて、BaMg、Yから選ばれる1種以上の金属イオンを注入した金属イオン注入層を設けた後、その上にさらにプラズマイオン注入法によって、AlCa、Mgから選ばれる1種以上の金属を含む厚さ1〜30μmの薄膜を積層させることによって、一段と耐ハロゲンガス性を向上させることを特徴とする耐ハロゲンガス性の半導体加工装置用部材の製造方法を提案する。
【0021】
)金属製基材の表面に、イオン注入法やプラズマイオン注入法を用いて、BaMg、Yから選ばれる1種以上の金属イオンを注入した金属イオン注入層を設けた後、さらにその上にプラズマイオン注入法によって、Al、Ca、Mgから選ばれる1種以上の金属を含む薄膜層を積層した後、200℃〜750℃の温度で0.5〜5時間加熱することによって、金属イオン注入層のミクロ的な応力除去や結晶構造の安定性をはかり、さらに優れた耐ハロゲンガス性を向上させることを特徴とする耐ハロゲンガス性の半導体加工装置用部材の製造方法を提案する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る耐ハロゲンガス皮膜被覆部材及びその製造方法を説明する。
【0024】
耐ハロゲンガス皮膜被覆部材は、金属製基材の表面に対して、イオン注入法またはプラズマイオン注入法を用いて、F2ガスやフッ化物ガスとは反応するものの、その反応生成物の蒸気圧が低いAl、Ba、Ca、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属元素のイオン注入層を設けたものである。
【0025】
ここでは、本発明に属する注入金属イオンの一つであるMgイオンをAl合金基材に注入した場合を例にとってF2ガスとの腐食反応機構とその防止作用について説明する。
【0026】
〈Mgイオンを注入したAl合金基材とF2ガスとの腐食反応〉
フッ素(F)は非常に強い化学反応性を有するとともに珪素質材料を腐食させる元素として知られ半導体加工工程で広く使用されている。F2ガスの化学反応性の強さはシリコンウエハーやガラスの薄板の加工には好適である反面、半導体加工装置の構成部分に対する腐食作用の増大原因ともなっている。
【0027】
一般に金属材料の耐食性は、その表面に生成する酸化膜(不動態膜)の有無やその化学的安定性に支配されているが、F2ガス中における金属材料の耐食性も金属材料表面に生成するF2ガスとの反応生成物(金属フッ化物)の安定性が決定的な役割を果たしている。
【0028】
いま、Mgイオンが注入されたAl合金基材の表面を微視的に観察すると、主要な金属元素は、注入されたMgとともに、Al合金を構成するAl、Fe、Siなどが共存している状態にある。それぞれの金属元素のフッ化物の安定性を蒸気圧の点から比較すると概略次の通りである。
MgF2<AlF3<FeF2<SiF4
(蒸気圧小・安定) (蒸気圧大・不安定)
この結果から明らかなように最も蒸気圧の低いフッ化物はMgF2である。Mgイオンが注入されたAl合金基材の表面にMgF2膜が生成すると、F2ガスを含む環境中では非常に安定な状態を維持して腐食速度を小さくすることが可能となる。本発明がイオン注入金属元素としてMgを選定した最大の理由である。
【0029】
本発明では、以上のような原理を利用して、Mgを含まない金属製基材の表面に対して、MgF2濃度の高い保護性の膜を生成する方法を案出した。すなわち、保護性のMgF2膜を生成するMgをイオン状態で金属製基材の表面に注入しておけば、F2ガスに接触するとMg以外の金属元素のフッ化物は、それぞれ蒸気圧が高いため、基材表面から揮散・脱離する。一方、Mgイオンが注入された基材表面では、時間の経過に伴って次第に蒸気圧の低いMgF2の残留割合が大きくなり、恰もMgF2コーティングが形成されたような状態になる。(ここではこの現象を濃化現象と呼ぶこととする)
【0030】
このようなMgF2の濃化現象は、基材表面の極く近傍で起こるので、本発明では後述するようなイオン注入法またはプラズマイオン注入法を用いて、表面から300nm程度までの深さのみを対象とした金属イオン注入層を設けることとした。
【0031】
なお、本発明ではMgと同様な耐F2性の保護膜を形成する金属として、Ba、Ca、Yを実験によって選定するとともに、Alにも有用な作用機構を発揮することを認めたので、以上の5金属とその合金のイオンによる注入を本発明の範囲とした。
【0032】
〈金属イオンの注入方法〉
本発明に属する金属イオンと金属製基材の表面に注入する方法には2種類あり、それぞれの方法について具体的に説明する。
【0033】
(a)直線的金属イオンの注入方法
金属製基材の表面に注入する金属のイオンとしては、Mg、Al、Ba、Ca、Y(以下Mgなどと略記)が好適である。これらの金属イオンは真空中、例えば1×10-4PaでMgなどの金属をイオン化し、静電界によって加速して、基材表面へ衝撃的に注入する。図1は金属イオンの注入装置の概要を示したものである。
【0034】
この装置は、主としてイオン源ガス導入口1、イオン発生室2、静電加速器3、質量分離器4、ビーム走査器5、ターゲット試料(試験片)6および真空排気システム7(何れも図示せず)から構成されている。
【0035】
Mgなどの金属は、常温で固相状態であるから、電子ビームなどの熱源やスパッタリング現象を利用して金属をイオン化させたり、Mgなどのハロゲン化合物などを気化させた後、イオン発生室2内に導入してイオン化させる。その後、イオン化した金属を加速器3にて静電界加速してイオンビームにした状態で、基材表面に衝突させる。
【0036】
イオンの注入量は1cm2当たり、1×1012〜1×1022個の範囲が適当であり、1×1012より少ない注入量では注入金属の効果が十分でなく、また、1×1022以上注入してもその効果に大きな差異が認められないので、処理に長時間を要し経済的でない。
【0037】
一方、基材表面に衝突したMgなどの金属イオンは、その運動エネルギーの大きさによって基材内部への侵入深さが異なるが、本発明の効果を得るには1KeVから1000KeVの範囲が適している。注入の運動エネルギーが少ない場合には、金属イオンの基材内部への打ち込みが不十分となり、単に表面に金属が堆積した状態(薄膜)になる。この状態であっても、使用環境が静的な状態であれば、十分利用することができる。
【0038】
(b)プラズマイオン注入法(高密度パルスプラズマイオン注入装置)
前掲の金属イオン注入法は、イオンの真空環境で質量分離した後、必要なイオン種のみを選択し、これを加速して基材表面に注入するため、基材の表面が、平坦な状態にあることが必要であり、三次元的な構造を有する基材への注入は困難である。また1回の注入操作で1種類の金属イオンしか処理できない。
【0039】
そこで、金属イオン源を用いてMgなどの金属イオン種のプラズマ環境をつくり、基材に負のパルス電圧を印加することによって、基材表面への金属イオンのみを注入する現象を用いることとした。
【0040】
図2は本発明が使用するプラズマイオン注入装置の概略図を示したものである。装置は金属製の処理容器21の中に被処理体22を静置させるとともに、それぞれが電源23に接続され、前者は「+」極、後者は「−」極となるように配設されている。また、金属製の処理容器には、気相イオン(例えば酸素、窒素、アルゴンなど)源24、金属イオン源25などとともに、容器内の環境を制御するための真空ポンプ26(図外)や気圧調整弁27が取り付けられている。
【0041】
処理容器内の空気を真空ポンプを用いて除去した後、金属イオン種を導入し、基材に負パルス電圧(例えばパルス幅2μs〜30μs、印加電圧−1kV〜−50kV、パルス繰返し1000〜数1000pps)を印加すると、被処理体を取りまくプラズマ28中の電子は、マイナスの電荷を持つため、「−」極の被処理体表面から反撥されて飛びのき、プラスの電荷を有する金属イオンのみが残り、負のパルス電位を持つ被処理体の表面に衝突する。この場合にも、印加電圧が高い場合には基材の内部へ注入し、低い場合には表面に通常のイオンプレーティングによる皮膜形成のような薄膜となる。
【0042】
この方法の特徴は、被処理体を負のパルス電圧で印加した際に生成する金属イオンを含むプラズマ28は被処理体の表面に沿って発生するため、三次元的な形状有する被処理体に対しても、均等に金属イオンを注入することができる。形状や寸法の異なる被処理体を一緒に容器内に入れても、同時に処理することができるので生産性の向上に大きく役立つことができる。また、この方法の特徴は、金属イオン源としてMg−Al合金を用いると両金属イオンを同時に注入することができ、Ba、Ca、Yなどの金属イオン類も適宜同時注入が可能である。
【0043】
また、プラズマ環境中にAr、He、N2などの気体分子を共存させておくと、これらの気体もイオンとなって金属イオンと同時に被処理体の表面に注入されることとなるが、このような現象に制約されるものでない。
【0044】
本発明の効果が得られる金属イオンの注入層深さは、表面から300nm程度がよく、300nmより深くても耐ハロゲンガス性の効果に格段の差が認められず、また、イオン注入法では300nm以上の深さの注入層を生成するのは困難である。
【0045】
一方、注入エネルギーを低くして金属イオン注入層の上に形成させる金属薄膜は1〜30μm厚が好適である。1μm厚以下の薄膜の制御は困難であり、また30μm厚以上の厚膜にしても耐ハロゲンガス性に改善の効果が認められないからである。
【0046】
なお、金属イオン注入法では、図2に示したように、「+」に帯電した金属イオンを「−」極の被処理体の表面に衝突させるが、注入した金属イオンは「−」極のエレクトロンによって金属に還元される。このとき金属は体積を膨張させるので注入面を緻密に被覆する特徴を利用することができる。
【0047】
(c)上述した直線的金属イオンの注入方法又はプラズマイオン注入法によって、金属製基材の表面に耐ハロゲンガス性に優れた金属を注入すると、無処理状態の基材においては、ハロゲンガス、特にF2ガスおよびフッ化物ガスと接触する半導体加工装置部材が激しく腐食されるとともに、その腐食生成物としての金属フッ化物の蒸気圧が高く、これが装置環境の汚染原因となっている現象を防ぐため、耐ハロゲンガス性に優れた金属イオン注入層を有する金属製部材を形成することができる。
【0048】
(d)従来技術による耐ハロゲンガス性表面処理技術として提案されているAlおよびAl合金の溶融めっき処理、拡散浸透処理、圧接などの方法では、三次元形状の部材には均等な膜厚で処理できないうえに、被処理体に大きな熱負荷を与えるため、部材が変形したり、材質が劣化したりするなどの影響が顕在化するので精密部材への適用が困難であった。また、イオン注入法では、金属イオンの直進性のため、平坦な金属製基材の表面に対して、ほぼ90°の角度で注入させる必要があるため、三次元形状の被処理体表面への均等な金属イオンの注入は困難であるほか、複数の金属イオンを同時に注入できず、生産性に問題点がある。しかし、上述したプラズマイオン注入装置によると、三次元的な形状有する被処理体に対しても、均等に金属イオンを注入することができる。形状や寸法の異なる被処理体を一緒に容器内に入れても、同時に処理することができるので生産性の向上に大きく役立つことができる。また、この方法の特徴は、金属イオン源としてMg−Al合金を用いると両金属イオンを同時に注入することができ、Ba、Ca、Yなどの金属イオン類も適宜同時注入が可能である。
【0049】
〈本発明の技術が適用可能な金属製基材質〉
本実施形態のMgなどの金属イオンの注入は、アルミニウムおよびその合金、マグネシウムおよびその合金、炭素鋼、各種ステンレス鋼、Ni基合金、Co基合金など金属製基材であればあらゆる基材に適用可能である。また、上記の金属製基材の表面に、電気めっき法、溶射法、化学的蒸着法(CVD法)、物理的蒸着法などによって、金属質の皮膜を形成した場合、その表面被覆層に対しても金属イオンを注入することができる。
【0050】
ただ、金属イオンの注入に対しては、アルミニウムおよびその合金、マグネシウムおよびその合金などに対してはMg、Ca、Yなどの金属イオンを直接注入しても、十分な耐F2ガス性は得られるが、炭素鋼、ステンレス鋼などに対しては、はじめにAlイオンを注入した後、Ba、Ca、Mg、Yを注入することによって、耐F2ガス性は一段と向上する。
【0051】
〈本発明の実施形態に係る金属イオン注入層への構造例〉
本発明の金属イオン注入層を備えた金属基材の断面構造例を図3(b)に示す。図3(a)、(c)は参考実施形態である。ここで31は金属基材、32は金属イオン注入層、33はMgなどの金属薄膜、34は金属基材表面に形成された溶射皮膜層のうちイオン注入されていない部分である。
【0052】
−(a)はAl合金基材の表面にMgイオンを注入した場合の構造図で、金属イオンの注入層厚は表面からmax300nm程度である。
【0053】
−(b)はAl合金基材の表面にMgイオンを注入した後、注入エネルギーを低くして、基材表面に金属の薄膜(例えばMg、Yなど)を形成したもので、薄膜は1〜30μm程度が好適である。
【0054】
−(c)はステンレス鋼基材の表面にAl合金の溶射皮膜(イオン注入後、金属イオン注入層32、金属溶射皮膜のうちイオン注入されていない部分34となる部位)を形成した後、その表面にMgなどのイオンを注入したもの(金属イオン注入層32)で、溶射皮膜の厚さは30〜150μmが好適である。
【0055】
〈金属イオン注入層および薄膜形成後の熱処理〉
金属イオン注入層を設けた金属製基材は、そのままで実用に供することができる。また、金属イオン注入層は、注入された金属の集合体とはいえ、体積的変化は非常に小さく、しかも基材表面から300nmの深さにとどまっているため、工学的には寸法的変化は認められないので、精密加工部材への適用が可能である。
【0056】
しかし、ミクロ的に金属イオンへの注入部を考察すると、正常な結晶構造を有する基材金属の表面近傍へ衝撃的に金属が注入されると、結晶構造が歪んだり、一部の結晶が破壊している。また、注入した金属が必ずしも均等な濃度で分散しているとは限らない。
【0057】
そこで金属イオン注入層を設けた後、またその上に金属薄膜を形成した後、必要に応じて、大気、真空または不活性ガスの雰囲気中で200℃〜750℃、0.5〜5時間の熱処理を行なうことが好ましい。
【0058】
この熱処理によって、金属イオンの注入に起因する残留応力が解放されるとともに、局所的には注入金属と基材金属成分との結合などが行なわれて注入層部が安定化する。
また薄膜は緻密化するとともに、薄膜を構成する金属成分の相互結合力および基材金属との密着性の向上などが期待でき、また、必要に応じて薄膜を化学的に安定な酸化物に変化させることもできる。
【0059】
熱処理温度が200℃より低い場合は前掲の効果に乏しく、また750℃以上の温度では注入した金属が基材の表面にとどまらず、内部へ拡散して耐ハロゲンガス性を低下させるので好ましくない。
【0060】
〈適用例〉
上述したような耐ハロゲンガス用部材は、各種のハロゲンガス特にフッ素とその化合物を含む環境中で優れた耐食性を発揮する表面処理部材に用いられる。
特に、半導体製造装置や液晶製造装置におけるドライエッチング処理に際して用いられる真空チャンバー内に配設される部材に用いられ、雰囲気ガスによる腐食作用やプラズマガスによるエロージョン作用から守る。
なお、この耐ハロゲンガス用部材は、上記分野のほか、例えば一般的なドライプロセスに適用される酸化炉、CVD装置、エピタキシャル成長装置、イオン注入装置、拡散炉、反応性イオンプレーティング装置、プラズマエッチング装置、スパッタリング装置およびこれらに付属装備部材としての配管、配給気ファン、あるいはバルブ類などに対しても適用することができる。そのほか、フッ素を含む環境で金属製部材の表面を洗浄する金属類にも使用することができる。
【0061】
〈従来例との対比〉
特許文献1のものは、Al系金属間化合物を利用する技術はそれなりの効果は認められるものの、半導体加工装置用部材の中にはAl拡散処理が適用できないAlおよびその合金も多く使用されているほか、Al拡散処理によって熱変形するものがあり構造部材としての精度上の問題点がある。
しかし、本実施形態の耐ハロゲンガス用部材は、金属製基材として、Al、Al合金、Mg合金、Ti、Ti合金、炭素鋼、ステンレス鋼、Ni基合金から選ばれる1種以上が選択できる。また、その基材表面に、溶射法、電気めっき法、無電解めっき法、物理的蒸着法から選ばれるいずれか1つ以上の方法によって形成された金属皮膜を有するものとすることもできる。
【0062】
前記特許文献2のものでは、希土類酸化物を非金属焼結体表面に成膜する技術は、この部材そのものは耐ハロゲンガスやハロゲンプラズマに優れた抵抗力を示すが、金属製部材に直接成膜することができない。また、この提案技術では非金属焼結体であっても熱膨張率が7×10-6〜12×10-6の範囲に限定されており現行の半導体加工装置が抱えている問題点を解決しているとはいえない。
しかし、本実施形態の耐ハロゲンガス用部材は、金属製基材に直接、特定の金属イオンを注入できる。また、金属イオン注入層は、殆ど金属製基材に影響を及ばさないため、精密部品にも適用できる。
【0063】
前記特許文献3のものでは、Ni、W、Mo、Tiおよびこれらの合金のアンダーコートとし、この上にトップコートとしてY23を形成する溶射皮膜は使用開始初期にはY23が保有するハロゲンガスプラズマエロージョンに対する優れた性能を発揮するが、長時間使用するとトップコートの気孔部からハロゲンガスが皮膜内部へ侵入してアンダーコートを腐食させ、その結果トップコートのみが剥離する現象が顕在化する。
しかし、本実施形態においては、金属製基材の表面に形成された金属イオン注入層は、剥離の問題を生じさせない。
【0064】
前記特許文献4のものでは、部材表面にSc、Y、Laなどの周期律表第3族aの元素の酸化物、炭化物などをCVD、PVD法、CVD法で成膜する技術はPVD法、CVD法だけでは成膜速度が遅く、生産性に劣るほか、三次元構造の部材の表面に対して均等な皮膜を形成することができず、大きな部材に対する適用が出来ない問題がある。またY23単結晶は優れた耐ハロゲンプラズマエロージョン性を発揮できても部材に対する被覆方法がなければその利用価値は極めて小さい欠点がある。
しかし、本実施形態においては、このような問題を生じさせない。
【0065】
前記特許文献5のものでは、三次元構造の基材の表面に均等な厚さのAlやAl合金板のクラッドは困難であるうえ、クラッドしたAl合金表面を陽極酸化法によってAl23層を生成させても、クラッドが不十分であれば、十分な耐食性は期待できない。またAl合金を溶融状態にして基材を被覆させる方法も提案しているが、溶融処理は基材が熱変形するので、精密部材には適用できない問題点がある。
しかし、本実施形態においては、金属製基材に直接、特定の金属イオンを注入できる。また、金属イオン注入層は、殆ど金属製基材に影響を及ばさないため、精密部品にも適用できる。
【0066】
結局、本実施形態に係る耐ハロゲンガス用部材は、現在の半導体加工装置が抱えているハロゲンガスによる装置部材の腐食損傷およびその腐食生成物の揮散に起因する加工環境の汚染による半導体製品の不良率の発生を防止する。
【0067】
参考例1>
この参考例ではSUS316ステンレス鋼(20mm×30mm×3mm)を基材とし、その表面に対しプラズマイオン注入法を用いて、Al、Ba、Ca、Mg、Yの金属イオンを1cm2当たり1×1018注入した。その後、この試験片を600hPaの蒸気圧を有する25℃と300℃のF2ガス中に24時間曝露して、試験片表面を目視観察するとともに、グロー放電分光装置などの物理分析装置を用い、注入した金属の挙動を調査した。
【0068】
この参考例では、同じ方法で注入したTi、Nb、Ta金属イオン注入試験片も同じ条件で曝露して比較した。表1はこの結果を比較したものである。
【0069】
【表1】

Figure 0003946660
【0070】
この結果から明らかなように、比較例のSUS316鋼無処理(No.6)では、F2ガスの腐食作用によって表面に小さな凹部が生成し、特に300℃の温度では多数の腐食痕の発生が見られた。また、SUS316鋼にTi、Nb、Taなどの金属イオンを注入した試験片(No.7〜9)でも、微小な腐食痕の発生が認められ、耐F2ガス性に乏しいことが判明した。
【0071】
これに対し、試験片(No.1〜5)は25℃の場合はもちろん300℃の高温においても、外観上全く変化は認められなかった。そこで、試験片の表面部をAESによって調査すると、No.1ではAlF、No.2ではBaF、No.3ではCaF、NO.4ではMgF、No.5ではYF(但しX=1〜3)が生成するとともに、注入イオン金属が濃化して耐Fガス性を発揮していることが判明した。
【0072】
参考例2>
この参考例では、金属製基材の表面に各種の表面処理法によって金属質の皮膜を形成させたあと、この皮膜に対して金属のイオンをプラズマイオン注入法で注入し、参考例1と同じF2ガス中で注入金属の濃化状況を観察した。比較例のイオン注入金属としてTi、Nb、Ta、Si、Feを同条件で注入し、同条件のF2ガス中の濃化試験を行なった。表2はこの結果を要約したものである。
【0073】
【表2】
Figure 0003946660
【0074】
この結果から明らかなように、金属イオンは溶射皮膜(No.1、2)、電気めっき皮膜(No.3、4)、PVD皮膜(No.5、6)であっても、それぞれの皮膜の表面部には注入金属の濃化層が明瞭に認められ、耐ハロゲンガス性を発揮していることがわかる。
【0075】
これに対して、比較例の金属イオンを注入した皮膜(No.7〜12)には、注入金属の濃化現象は全く認められず、蒸気圧の高い金属フッ化物を生成するとともに、これが蒸気化し、揮散している様子がうかがえる。
【0076】
参考例3>
この参考例では、SUS304鋼とAl(JISH4000、A1070)(20mm×30mm×3mm)の試験片を用い、その表面にイオン注入法とプラズマイオン注入法を用いて、CaとMg金属イオンをそれぞれ1×1018/cm濃度に注入した後、CFとNFの100hPaの雰囲気中で300℃×24時間の曝露試験を行ない、金属イオン注入面の腐食状況を調査した。
【0077】
この参考例では、比較例として無処理のSUS304ステンレス鋼、Al(A1070)とともにTi、Taの金属イオン注入試験片を同条件で曝露した。表3はこの結果を示したものである。
【0078】
【表3】
Figure 0003946660
【0079】
この曝露試験では、無処理のSUS304鋼(No.17)は赤色粉末状の腐食生成物を多量に生成し、無処理のAl(No.18)では、大きな腐食痕は認められないものの表面は梨地状の腐食形態を呈していた。また、Ti、Taを注入した試験片(No.9〜16)では基材がSUS304鋼(No.9〜12)のときはもとより、Al基材(No.13〜16)の場合にもフッ化ガスによる腐食作用によって大きな腐食痕の生成が認められた。
【0080】
これに対し、Ca、Mg金属イオンを注入した試験片では、基材がSUS304鋼(No.1〜4)のときも、またAl基材(No.5〜8)の場合にも、外観的には全く腐食の発生は認められなかった。またCa、Mgの金属イオンの注入は、イオン注入法でもプラズマイオン注入法でもほぼ同等の防食効果が得られた。
【0081】
<実施例
この実施例では、SUS304ステンレス鋼試験片を用いて、プラズマイオン注入法によって、本発明に属する金属イオンを積層注入した場合の耐ハロゲンガス性を調査した。すなわち基材に対し一次注入としてAlを1×1012/cm濃度注入した後、その上にMgを1×1012/cm濃度注入したり、AlやMgを積層注入した後、さらにその上に注入エネルギーを小さくして、Alおよび50%Al−50%Mg合金の薄膜を形成させた。このものを耐ハロゲンガス性をF、NFの100hPa、300℃の雰囲気中で24時間曝露することによって調査した。この結果は表4に示す通りである。
【0082】
【表4】
Figure 0003946660
【0083】
本参考例の金属イオンは、積層注入しても、また注入金属を薄膜化しても耐ハロゲンガス性を発揮することが判明した。
【0084】
参考例4
この参考例では、参考例1と同じSUS316鋼試験片を用い、これにプラズマイオン注入法によって,50Al−50Mg、Mg、Ba、Ca、Yの金属イオンを1×1018/cm注入した後、下記のようなプラズマで励起された含Fガス雰囲気中に10時間曝露した。この曝露試験室には直径8インチのシリコンウエハーを静置し、10時間後にウエハーの表面に付着するパーティクル粒子(環境汚染粒子)の数を、拡大鏡を用いて観察記録した。拡大鏡で観察記録可能な粒子径は概ね0.2μm以上であった。
【0085】
試験環境の構成は以下の通りである。
(1)雰囲気ガス:CF4/Ar/O2の混合割合は、容量比で100/100/10cm3、ガスの圧力100Pa、温度60℃
(2)プラズマ照射出力:高周波電力:1300w×10時間
なお、この試験には、比較例として無処理のSUS316鋼、陽極酸化(アルマイト)したAlに加え、SUS316鋼にプラズマイオン注入法によってTi、Nbの金属イオンを1×1018/cm2注入したものを同条件で試験した。表5は以上の試験結果を要約したものである。
【0086】
【表5】
Figure 0003946660
【0087】
この結果から明らかなように、比較例の試験片(No.6〜9)は10時間の曝露後、シリコンウエハーの表面に100個以上のパーティクル粒子が付着し、環境の汚染源となることが明らかとなった。なお、これらのパーティクル粒子の成分を調査すると、ステンレス鋼試験片の場合はFe、Cr、Niのフッ化物、Al基材の場合はAlとFを主成分とするものであり、雰囲気のCF4によって誘発された腐食生成物であることが判明した。TiやNbを注入した試験片(No.6、7)では、TiとNbのフッ化物粒子が多量に認められ、プラズマが付加されたハロゲンガス雰囲気中では、耐食性に乏しいことが認められた。
【0088】
これに対し、試験片(No.1〜5)は、10時間の曝露試験を行なっても、シリコンウエハー表面に付着するパーティクル数は、何れも30個以下であり、優れた耐ハロゲン環境性を有することがわかった。
【0089】
【発明の効果】
以上詳述したように、金属製基材の表面に、イオン注入法やプラズマイオン注入法によって、Ba、Mg、Yから選ばれる1種以上の金属イオンを注入するとともに、薄膜を形成することによって、耐ハロゲンガス性、特にF2ガスおよびフッ化物ガスに対する化学的抵抗性が著しく向上する。
【0090】
本発明の方法で基材表面に注入されたBa、Mg、Yなどの金属は、Fガスが含まれている環境下ではそれぞれの金属が、蒸気圧の低いフッ化物層を形成することによって優れた耐ハロゲンガス性を発揮する。
【0091】
以上の金属イオンの注入機構と耐ハロゲンガス性は、半導体加工装置部材の長寿命化に加え、装置部材の腐食生成物の減少によって半導体加工環境の汚染を最小限にとどめることができるので、半導体の高精度加工を可能とし、製品の信頼性および生産性の向上に大きく貢献することが期待できる。
【0092】
また、金属イオン注入層は最大300nm程度にする場合には、精密加工された半導体加工装置部材の形状や寸法に影響を与えることがない。
【0093】
また、プラズマイオン注入法による金属イオンの注入の場合は、被処理体が三次元次元的な構造を有するものであっても、均等に注入することが可能であるうえ、複数の金属イオンの同時注入も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属イオン注入装置の概略図。
【図2】 プラズマイオン注入装置の概略図。
【図3】 本発明による金属イオン注入処理を施工した被処理体表面の断面を示す図。
【符号の説明】
1 イオン源ガス導入口
2 イオン発生室
3 加速器
4 質量分離器
5 ビーム走査系
6 ターゲット試料(被処理体)
21 金属製の処理容器
22 被処理体
23 直流電源
24 気相系イオン源
25 金属系イオン源
26 真空ポンプ図外
27 気圧調整弁
28 金属イオンを含むプラズマ
31 被処理体
32 金属イオン注入層
33 金属薄膜
34 金属溶射皮膜のうちイオン注入されていない部分 [0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a halogen-resistant gas member as a surface treatment member that exhibits excellent corrosion resistance in an environment containing various halogen gases, particularly fluorine and its compounds, and a method for producing the same.
[0002]
In general, in a semiconductor manufacturing process, an environment in which a variety of halogen gases and their compounds are in a gas phase state, and sometimes a part of them is in a liquid phase, is formed in each step, and thus a manufacturing apparatus member is severely damaged by corrosion. The following corrosive gas species are handled by semiconductor manufacturing equipment.
Fluoride: BFThree, PFThree, PF6, NFThree, WFThree, CFFour, HF, F
Chloride: BClFour, PClThree, PClFive, AsClThree, SnClFourTiClFour, SiH2Cl2, SiClFour, HCl, Cl2
Bromide: HBr
Other: H2S, NHThree,Such
[0003]
In particular, in a process using a halogen compound, plasma energy is often used together in order to further activate the reaction. However, in this plasma usage environment, the halogen compound is ionized and is very corrosive and has atomic F. , Cl, Br, I, etc. are generated at the same time as SiO in the environment.2, SiThreeNFourWhen fine powdered solids such as Si and W are generated, the members used in the apparatus are strongly affected by both erosion damage due to fine particles as well as chemical corrosion.
[0004]
Moreover, the environment in which the plasma is excited is ionized even in a non-corrosive gas such as Ar gas, and a phenomenon in which this strongly collides with the solid surface (called ion bombardment) occurs. It is also known that the various members are more severely damaged.
[0005]
On the other hand, since semiconductors are precisely processed, the manufacturing environment is required to be extremely clean. However, the metal halide produced as a result of the corrosion reaction of the device material with various halogen compounds as described above is a source of contamination in the gas phase due to its high vapor pressure, and it is a fine powder solid matter generated by the plasma erosion action. At the same time, it is a major source of environmental pollution in semiconductor processing. In order to solve the above problems, the following techniques have been proposed.
[0006]
That is, as in Patent Document 1 below, various intermetallic compounds (for example, Al—Fe, Al—Ni, Al—Cr, etc.) containing Al as a main element by performing Al diffusion treatment on the surface of a member of a semiconductor processing apparatus Al produced on the surface2OThreeSome use the halogen gas resistance of the film.
[0007]
Further, as described in Patent Document 2 below, as a film resistant to halogen-based corrosive gas or halogen plasma, the thermal expansion coefficient is 7 × 10.-6~ 12x10-6, Dielectric loss is 5 × 10-3Direct Y on the surface of the following non-metallic sintered bodies2OThree, Dy2OThree, Er2OThreeSome of them form an oxide film containing 50% or more of a rare earth oxide.
[0008]
In addition, as disclosed in Patent Document 3 below, Ni, W, Mo, Ti, and alloys thereof are used as an undercoat as a technique having plasma erosion resistance in an environment containing F compound, and Y is formed thereon.2OThreeAnd Y2OThreeAnd Al2OThreeThere is a thermal spray coating with a mixture of
[0009]
In addition, as described in Patent Document 4 below, oxides, carbides, and nitrides of Group 3a elements of the periodic table such as Sc, Y, La, Ce, Yb, Eu, and Dy are formed on the surface of the member by PVD or CVD. , Forming a dense film such as fluoride, Y2OThreeThere is a technique that applies a single crystal.
[0010]
Further, as in Patent Document 5 below, after coating one surface of the corrosion-resistant metal substrate with Al or an Al alloy by a method other than the thermal spraying method, this is coated on the coated surface by an anodic oxidation method.2OThreeThis layer is produced and this Al2OThreeLayer or Al2OThreeThere is a corrosion-resistant material by a plasma-excited halogen gas in which an aluminum fluoride layer having corrosion resistance is formed without using a layer.
[0011]
[Patent Document 1]
JP-A-10-219456
[Patent Document 2]
JP 2001-031484 A
[Patent Document 3]
JP 2000-164354 A
[Patent Document 4]
JP-A-10-004083
[Patent Document 5]
Japanese Patent Laid-Open No. 9-10777
[0012]
[Problems to be solved by the invention]
However, according to Patent Document 1-5, there are various limitations on the metal base material, film composition, etc. in film formation, and corrosion damage of equipment members due to halogen gas that current semiconductor processing equipment has and the like. There is a problem that it is not sufficient for preventing the occurrence of a defective rate of semiconductor products or the like due to contamination of the processing environment due to the volatilization of the corrosion products.
[0013]
The present invention relates to halogen gas, particularly fluorine (F2) It is an object of the present invention to provide a metal member for a semiconductor processing apparatus or the like that comes into contact with a gas and a fluoride gas, and is excellent in halogen gas resistance, and a method for manufacturing the metal member.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
  In order to solve the above problems, the present invention achieves the object by using the following technical means..
[0020]
(1) Use ion implantation or plasma ion implantation on the surface of metal substrateAndBa,One or more selected from Mg and YImplanted metal ionsAfter the metal ion implantation layer is provided, Al is further deposited thereon by plasma ion implantation.,Ca,Mg1-30 μm thick thin film containing one or more metals selected fromlayerIt is characterized by further improving halogen gas resistance by laminatingFor halogen processing semiconductor processing equipmentA method for manufacturing a member is proposed.
[0021]
(2) Use ion implantation or plasma ion implantation on the surface of metal substrateAndBa,One or more selected from Mg and YImplanted metal ionsAfter providing the metal ion implantation layer,Furthermore, after laminating a thin film layer containing one or more metals selected from Al, Ca, and Mg by plasma ion implantation,By heating at a temperature of 200 ° C. to 750 ° C. for 0.5 to 5 hours,Metal ionsIt features micro-stress removal of the injection layer and stability of crystal structure, and further improves excellent halogen gas resistance.For halogen processing semiconductor processing equipmentA method for manufacturing a member is proposed.
[0023]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a halogen-resistant gas film covering member and a manufacturing method thereof according to an embodiment of the present invention will be described.
[0024]
The halogen-resistant gas film covering member is formed by using an ion implantation method or a plasma ion implantation method on the surface of a metal substrate.2An ion-implanted layer of one or more metal elements selected from Al, Ba, Ca, Mg, and Y, which reacts with gas and fluoride gas but has a low vapor pressure of the reaction product, is provided.
[0025]
In this example, Mg ions, which are one of the implanted metal ions belonging to the present invention, are implanted into an Al alloy substrate as an example.2The mechanism of corrosion reaction with gas and its preventive action will be described.
[0026]
<Al alloy base material implanted with Mg ions and F2Corrosion reaction with gas>
Fluorine (F) has a very strong chemical reactivity and is known as an element that corrodes siliconaceous materials and is widely used in semiconductor processing processes. F2The strength of the chemical reactivity of the gas is suitable for processing a silicon wafer or a thin glass plate, but it also causes an increase in the corrosive action on the components of the semiconductor processing apparatus.
[0027]
In general, the corrosion resistance of a metal material is governed by the presence or absence of an oxide film (passive film) formed on its surface and its chemical stability.2Corrosion resistance of the metal material in the gas is also generated on the surface of the metal material.2The stability of the reaction product (metal fluoride) with the gas plays a crucial role.
[0028]
Now, when the surface of the Al alloy base material into which Mg ions are implanted is microscopically observed, the main metal elements are Al, Fe, Si, etc. constituting the Al alloy together with the implanted Mg. Is in a state. A comparison of the stability of the fluorides of the respective metal elements from the viewpoint of vapor pressure is as follows.
MgF2<AlFThree<FeF2<SiFFour
(Steam pressure low / stable) (Steam pressure high / unstable)
As is apparent from this result, the lowest vapor pressure fluoride is MgF.2It is. MgF is applied to the surface of the Al alloy substrate into which Mg ions are implanted.2When the film is formed, F2In an environment containing gas, it becomes possible to maintain a very stable state and reduce the corrosion rate. This is the biggest reason why the present invention selects Mg as the ion-implanted metal element.
[0029]
In the present invention, using the principle as described above, MgF is applied to the surface of a metal substrate not containing Mg.2A method has been devised to produce a highly protective film. That is, protective MgF2If Mg that forms a film is injected into the surface of a metal substrate in an ionic state, F2When in contact with the gas, fluorides of metal elements other than Mg have high vapor pressures, and thus volatilize and desorb from the substrate surface. On the other hand, on the surface of the base material into which Mg ions are implanted, MgF having a gradually lower vapor pressure with the passage of time.2The residual ratio of slag increases and soot is MgF2A coating is formed. (Here, this phenomenon is called concentration phenomenon)
[0030]
Such MgF2Since the concentration phenomenon occurs in the very vicinity of the substrate surface, the present invention uses an ion implantation method or a plasma ion implantation method, which will be described later, to target only a depth of about 300 nm from the surface. An ion implantation layer was provided.
[0031]
In the present invention, the same F resistance as Mg2Ba, Ca, and Y were selected by experiment as metals for forming a protective film, and Al was found to exhibit a useful mechanism of action. It was made into the scope of the present invention.
[0032]
<Metal ion implantation method>
There are two types of methods for injecting metal ions and metal base materials belonging to the present invention, and each method will be described in detail.
[0033]
(A) Linear metal ion implantation method
Mg, Al, Ba, Ca, and Y (hereinafter abbreviated as Mg and the like) are suitable as metal ions to be injected into the surface of the metal substrate. These metal ions are in vacuum, eg 1 × 10-FourA metal such as Mg is ionized with Pa, accelerated by an electrostatic field, and injected impactively onto the substrate surface. FIG. 1 shows an outline of a metal ion implantation apparatus.
[0034]
This apparatus mainly includes an ion source gas inlet 1, an ion generation chamber 2, an electrostatic accelerator 3, a mass separator 4, a beam scanner 5, a target sample (test piece) 6, and a vacuum exhaust system 7 (all not shown). ).
[0035]
Since a metal such as Mg is in a solid state at room temperature, the metal is ionized using a heat source such as an electron beam or a sputtering phenomenon, or a halogen compound such as Mg is vaporized, and then the inside of the ion generation chamber 2. To be ionized. Thereafter, the ionized metal is collided with the surface of the substrate in the state where the electric field is accelerated by the accelerator 3 to form an ion beam.
[0036]
Ion implantation is 1cm21 × 1012~ 1x10twenty twoA range of 1 is appropriate, 1 × 1012The effect of the injected metal is not sufficient with a smaller injection amount, and 1 × 10twenty twoEven if the above injection is carried out, no significant difference in the effect is recognized, so that the treatment takes a long time and is not economical.
[0037]
On the other hand, metal ions such as Mg colliding with the substrate surface have different penetration depths into the substrate depending on their kinetic energy, but a range of 1 KeV to 1000 KeV is suitable for obtaining the effects of the present invention. Yes. When the kinetic energy of the implantation is small, the metal ions are not sufficiently implanted into the substrate, and the metal is simply deposited on the surface (thin film). Even in this state, if the usage environment is a static state, it can be fully utilized.
[0038]
(B) Plasma ion implantation method (high density pulse plasma ion implantation apparatus)
In the metal ion implantation method described above, after mass separation in a vacuum environment of ions, only the necessary ion species are selected, and this is accelerated and implanted into the substrate surface, so that the surface of the substrate is in a flat state. It is necessary to be, and injection into a substrate having a three-dimensional structure is difficult. Also, only one type of metal ion can be processed in a single implantation operation.
[0039]
Therefore, we decided to use a phenomenon in which only metal ions are injected into the surface of the substrate by creating a plasma environment of metal ion species such as Mg using a metal ion source and applying a negative pulse voltage to the substrate. .
[0040]
FIG. 2 is a schematic view of a plasma ion implantation apparatus used in the present invention. In the apparatus, the object to be processed 22 is placed in a metal processing container 21 and each is connected to a power source 23, and the former is arranged to be a “+” pole and the latter is a “−” pole. Yes. In addition, a metal processing vessel includes a gas phase ion (for example, oxygen, nitrogen, argon, etc.) source 24, a metal ion source 25, etc., a vacuum pump 26 (not shown) for controlling the environment in the vessel, and atmospheric pressure. A regulating valve 27 is attached.
[0041]
After removing the air in the processing vessel using a vacuum pump, a metal ion species is introduced, and a negative pulse voltage (for example, pulse width 2 μs to 30 μs, applied voltage −1 kV to −50 kV, pulse repetition 1000 to several thousand pps is applied to the substrate. ) Is applied, the electrons in the plasma 28 surrounding the object to be processed have a negative charge, so that they are repelled from the surface of the object to be processed at the “−” pole and fly away, and only metal ions having a positive charge are present. The rest collides with the surface of the object to be processed having a negative pulse potential. Also in this case, when the applied voltage is high, it is injected into the inside of the substrate, and when it is low, it becomes a thin film like a film formed by ordinary ion plating on the surface.
[0042]
The feature of this method is that the plasma 28 containing metal ions generated when the object to be processed is applied with a negative pulse voltage is generated along the surface of the object to be processed. In contrast, metal ions can be implanted equally. Even if objects to be processed having different shapes and dimensions are put together in a container, they can be processed at the same time, which can greatly help to improve productivity. In addition, the feature of this method is that when a Mg—Al alloy is used as a metal ion source, both metal ions can be implanted simultaneously, and metal ions such as Ba, Ca, and Y can be implanted simultaneously as appropriate.
[0043]
Also, Ar, He, N in the plasma environment2When gas molecules such as these coexist, these gases also become ions and are injected into the surface of the object to be processed simultaneously with the metal ions, but are not limited by such a phenomenon.
[0044]
The depth of the metal ion implantation layer that provides the effects of the present invention is preferably about 300 nm from the surface. Even if the depth is greater than 300 nm, no significant difference is observed in the halogen gas resistance effect. It is difficult to generate an injection layer having the above depth.
[0045]
On the other hand, the thickness of the metal thin film formed on the metal ion implantation layer with low implantation energy is preferably 1 to 30 μm. This is because it is difficult to control a thin film having a thickness of 1 μm or less, and even if a film having a thickness of 30 μm or more is used, an effect of improving the halogen gas resistance is not recognized.
[0046]
In the metal ion implantation method, as shown in FIG. 2, the metal ions charged to “+” collide with the surface of the object to be processed of the “−” electrode. Reduced to metal by electrons. At this time, since the metal expands its volume, the feature of densely covering the injection surface can be used.
[0047]
(C) When a metal excellent in halogen gas resistance is injected into the surface of a metal substrate by the above-described linear metal ion implantation method or plasma ion implantation method, a halogen gas, Especially F2Semiconductor processing equipment components that come into contact with gas and fluoride gas are severely corroded, and the vapor pressure of the metal fluoride as the corrosion product is high, preventing this phenomenon from causing contamination of the equipment environment. A metal member having a metal ion implantation layer having excellent halogen gas properties can be formed.
[0048]
(D) In the methods such as hot dip plating treatment, diffusion penetration treatment, and pressure welding of Al and Al alloys that have been proposed as halogen-resistant surface treatment technology according to the prior art, a three-dimensional shaped member is treated with a uniform film thickness. In addition, since a large heat load is applied to the object to be processed, the effects of the member being deformed and the material being deteriorated are manifested, making it difficult to apply to a precision member. In addition, in the ion implantation method, it is necessary to implant metal ions at a 90 ° angle with respect to the surface of a flat metal substrate because of the straightness of metal ions. Uniform metal ion implantation is difficult, and a plurality of metal ions cannot be implanted at the same time. However, according to the plasma ion implantation apparatus described above, metal ions can be evenly implanted into a workpiece having a three-dimensional shape. Even if objects to be processed having different shapes and dimensions are put together in a container, they can be processed at the same time, which can greatly help to improve productivity. In addition, the feature of this method is that when a Mg—Al alloy is used as a metal ion source, both metal ions can be implanted simultaneously, and metal ions such as Ba, Ca, and Y can be implanted simultaneously as appropriate.
[0049]
<Metal base material to which the technology of the present invention can be applied>
The implantation of metal ions such as Mg of this embodiment can be applied to any substrate as long as it is a metal substrate such as aluminum and its alloys, magnesium and its alloys, carbon steel, various stainless steels, Ni-based alloys, Co-based alloys, etc. Is possible. In addition, when a metallic film is formed on the surface of the metal substrate by electroplating, thermal spraying, chemical vapor deposition (CVD), physical vapor deposition, etc. Even metal ions can be implanted.
[0050]
However, for the implantation of metal ions, even if metal ions such as Mg, Ca, and Y are directly implanted into aluminum and its alloys, magnesium and its alloys, etc.2Gas properties can be obtained, but for carbon steel, stainless steel, etc., by first injecting Al ions and then injecting Ba, Ca, Mg, Y, F resistance2Gasity is further improved.
[0051]
<Example of structure to metal ion implantation layer according to an embodiment of the present invention>
  FIG. 3 shows an example of a cross-sectional structure of a metal substrate provided with the metal ion implantation layer of the present invention.(B)Shown in3 (a) and 3 (c) are reference embodiments.Here, 31 is a metal substrate, 32 is a metal ion implantation layer, 33 is a metal thin film such as Mg, and 34 is a sprayed coating layer formed on the surface of the metal substrate.Of the part not ion-implantedIt is.
[0052]
  Figure3-(A) is a structural diagram when Mg ions are implanted into the surface of the Al alloy substrate, and the thickness of the implanted layer of metal ions is about 300 nm from the surface.
[0053]
  Figure3-(B) is the one in which Mg ions are implanted into the surface of the Al alloy substrate, and then the implantation energy is lowered to form a metal thin film (eg, Mg, Y, etc.) on the substrate surface. About 30 μm is preferable.
[0054]
  Figure3-(C) is a sprayed coating of an Al alloy on the surface of a stainless steel substrate(After the ion implantation, the metal ion implantation layer 32 and the portion that becomes the portion 34 of the metal spray coating that is not ion-implanted)After the surface is formed, ions such as Mg are implanted into the surface(Metal ion implantation layer 32)The thickness of the sprayed coating is preferably 30 to 150 μm.
[0055]
<Heat treatment after metal ion implantation layer and thin film formation>
The metal base material provided with the metal ion implantation layer can be put to practical use as it is. In addition, although the metal ion implantation layer is an aggregate of implanted metals, the volume change is very small and the depth is only 300 nm from the surface of the base material. Since it is not recognized, it can be applied to precision processed parts.
[0056]
However, considering the injection part into the metal ion microscopically, when the metal is shockedly injected near the surface of the base metal having a normal crystal structure, the crystal structure is distorted or some crystals are destroyed. is doing. In addition, the injected metal is not always dispersed at a uniform concentration.
[0057]
Then, after providing a metal ion implantation layer and forming a metal thin film on it, as needed, it is 200 degreeC-750 degreeC in the atmosphere of air | atmosphere, a vacuum, or an inert gas, and 0.5 to 5 hours. It is preferable to perform a heat treatment.
[0058]
By this heat treatment, residual stress resulting from the implantation of metal ions is released, and the implanted layer portion is stabilized by locally bonding the implanted metal and the base metal component.
In addition to densification of the thin film, it can be expected to improve the mutual bonding strength of the metal components constituting the thin film and the adhesion to the base metal, and if necessary, the thin film can be changed to a chemically stable oxide. It can also be made.
[0059]
When the heat treatment temperature is lower than 200 ° C., the above effect is poor, and when the temperature is 750 ° C. or higher, the injected metal does not stay on the surface of the base material but diffuses into the interior to lower the halogen gas resistance.
[0060]
<Application example>
The halogen-resistant member as described above is used as a surface treatment member that exhibits excellent corrosion resistance in an environment containing various halogen gases, particularly fluorine and its compounds.
In particular, it is used for a member disposed in a vacuum chamber used in dry etching processing in a semiconductor manufacturing apparatus or a liquid crystal manufacturing apparatus, and protects against a corrosive action by an atmospheric gas or an erosion action by a plasma gas.
In addition to the above-mentioned fields, this halogen-resistant gas member includes, for example, an oxidation furnace, a CVD apparatus, an epitaxial growth apparatus, an ion implantation apparatus, a diffusion furnace, a reactive ion plating apparatus, plasma etching applied to a general dry process. The present invention can also be applied to apparatuses, sputtering apparatuses, and pipes, distribution air fans, valves, etc. as accessory equipment. In addition, it can be used for metals that clean the surface of a metal member in an environment containing fluorine.
[0061]
<Contrast with conventional example>
In Patent Document 1, although a technique using an Al-based intermetallic compound has a certain effect, Al and its alloys, to which Al diffusion treatment cannot be applied, are often used in semiconductor processing apparatus members. In addition, there are some which are thermally deformed by Al diffusion treatment, and there is a problem in accuracy as a structural member.
However, in the halogen-resistant gas member of this embodiment, one or more selected from Al, Al alloy, Mg alloy, Ti, Ti alloy, carbon steel, stainless steel, and Ni-based alloy can be selected as the metal substrate. . In addition, the base material surface may have a metal film formed by any one or more methods selected from a thermal spraying method, an electroplating method, an electroless plating method, and a physical vapor deposition method.
[0062]
In the technique of Patent Document 2, the technique of depositing a rare earth oxide on the surface of a non-metallic sintered body shows excellent resistance to halogen-resistant gas and halogen plasma, but this member itself is directly formed on a metal member. Can't membrane. Further, in this proposed technique, the thermal expansion coefficient is 7 × 10 10 even for a non-metallic sintered body.-6~ 12x10-6However, it cannot be said that it has solved the problems of current semiconductor processing equipment.
However, the halogen-resistant gas member of this embodiment can inject specific metal ions directly into a metal substrate. Further, since the metal ion implantation layer hardly affects the metal base material, it can be applied to precision parts.
[0063]
In Patent Document 3, the undercoat of Ni, W, Mo, Ti and alloys thereof is used, and Y is used as a topcoat thereon.2OThreeIn the initial stage of use, Y2OThreeExhibits excellent performance with respect to halogen gas plasma erosion possessed by, but when used for a long time, halogen gas penetrates into the inside of the film from the pores of the top coat, corrodes the undercoat, and as a result, only the top coat peels off Becomes apparent.
However, in this embodiment, the metal ion implantation layer formed on the surface of the metal substrate does not cause a problem of peeling.
[0064]
In the above-mentioned Patent Document 4, a technique for forming an oxide or carbide of an element of Group 3a of the periodic table such as Sc, Y, La, etc. on the member surface by CVD, PVD method, CVD method is PVD method, The CVD method alone has a problem that the film forming speed is slow and the productivity is inferior, and a uniform film cannot be formed on the surface of a member having a three-dimensional structure, so that it cannot be applied to a large member. Y2OThreeAlthough single crystals can exhibit excellent halogen plasma erosion resistance, there is a drawback that their utility value is extremely small if there is no coating method for the members.
However, this embodiment does not cause such a problem.
[0065]
In Patent Document 5, it is difficult to clad an Al or Al alloy plate having a uniform thickness on the surface of a three-dimensional base material, and the clad Al alloy surface is anodized by anodizing.2OThreeEven if the layer is formed, if the cladding is insufficient, sufficient corrosion resistance cannot be expected. Also, a method of coating the base material in a molten state of an Al alloy has been proposed. However, since the base material is thermally deformed, the melting process has a problem that it cannot be applied to a precision member.
However, in this embodiment, specific metal ions can be implanted directly into the metal substrate. Further, since the metal ion implantation layer hardly affects the metal base material, it can be applied to precision parts.
[0066]
After all, the halogen-resistant gas member according to the present embodiment has a defect in the semiconductor product due to the corrosion damage of the apparatus member due to the halogen gas that the current semiconductor processing apparatus has and the contamination of the processing environment due to the volatilization of the corrosion products. Prevent the generation of rates.
[0067]
  <referenceExample 1>
  thisreferenceIn the example, SUS316 stainless steel (20 mm × 30 mm × 3 mm) is used as a base material, and plasma ions are implanted into the surface, and metal ions of Al, Ba, Ca, Mg, Y are 1 cm.21 × 10 per18Injected. After that, the test piece was Fc at 25 ° C. and 300 ° C. having a vapor pressure of 600 hPa2The specimen was exposed to gas for 24 hours, the surface of the test piece was visually observed, and the behavior of the injected metal was investigated using a physical analyzer such as a glow discharge spectrometer.
[0068]
  thisreferenceIn the example, Ti, Nb, Ta metal ion implantation specimens implanted by the same method were exposed and compared under the same conditions. Table 1 compares the results.
[0069]
[Table 1]
Figure 0003946660
[0070]
As is clear from this result, in the SUS316 steel untreated (No. 6) of the comparative example, F2Small corrugations were generated on the surface due to the corrosive action of the gas, and numerous corrosion marks were observed particularly at a temperature of 300 ° C. Moreover, even in the test pieces (Nos. 7 to 9) in which metal ions such as Ti, Nb, and Ta are implanted into SUS316 steel, generation of minute corrosion marks is recognized and F2It turned out to be poor in gas.
[0071]
  On the other hand, TryThe specimens (Nos. 1 to 5) showed no change in appearance even at a high temperature of 300 ° C. as well as at 25 ° C. Therefore, when the surface portion of the test piece was investigated by AES, No. 1 is AlFx, No. 2 is BaFx, No. 3 is CaFx, NO. 4 is MgFx, No. 5 is YFX(However, X = 1 to 3) is generated and the implanted ion metal is concentrated to prevent F2It has been found that it exhibits gas properties.
[0072]
<referenceExample 2>
  thisreferenceIn the example, after forming a metallic film on the surface of a metal substrate by various surface treatment methods,GoldImplant ions of the genus by plasma ion implantation,referenceSame F as in Example 12The concentration of the injected metal was observed in the gas. Ti, Nb, Ta, Si, and Fe were implanted under the same conditions as the ion-implanted metal of the comparative example.2A concentration test in gas was performed. Table 2 summarizes the results.
[0073]
[Table 2]
Figure 0003946660
[0074]
  As is clear from this result,MoneyEven if the metal ions are sprayed coatings (No. 1, 2), electroplating coatings (No. 3, 4), and PVD coatings (No. 5, 6), the surface of each coating has a concentration of injected metal. It can be seen that the fluorinated layer is clearly recognized and exhibits halogen gas resistance.
[0075]
On the other hand, in the film (Nos. 7 to 12) into which the metal ions of Comparative Example were implanted, no concentration phenomenon of the implanted metal was observed, and a metal fluoride having a high vapor pressure was generated. It can be seen that it has been converted to volatilization.
[0076]
<referenceExample 3>
  thisreferenceIn the example, a test piece of SUS304 steel and Al (JIS 4000, A1070) (20 mm × 30 mm × 3 mm) is used, and the surface thereof is ion-implanted and plasma ion-implanted.18/ Cm2CF after concentration injection4And NF3An exposure test at 300 ° C. for 24 hours in an atmosphere of 100 hPa was conducted to investigate the corrosion status of the metal ion implanted surface.
[0077]
  thisreferenceIn the example, as a comparative example, untreated SUS304 stainless steel, Al (A1070) and Ti and Ta metal ion-implanted test pieces were exposed under the same conditions. Table 3 shows the results.
[0078]
[Table 3]
Figure 0003946660
[0079]
In this exposure test, untreated SUS304 steel (No. 17) produced a large amount of red powdered corrosion products, and untreated Al (No. 18) did not show large corrosion marks, but the surface was It had a satin-like corrosion form. Further, in the specimens (No. 9 to 16) into which Ti and Ta were injected, not only when the base material was SUS304 steel (No. 9 to 12) but also when the base material was an Al base material (No. 13 to 16). The formation of large corrosion marks was observed due to the corrosive action of the chemical gas.
[0080]
  On the other hand, CaIn the test piece into which Mg metal ions were implanted, the appearance was completely corrosive both when the base material was SUS304 steel (No. 1 to 4) and when the base material was Al base material (No. 5 to 8). Occurrence was not observed. In addition, Ca and Mg metal ions were implanted with almost the same anticorrosion effect by either the ion implantation method or the plasma ion implantation method.
[0081]
<Example1>
  In this example, SUS304 stainless steel specimens were used to investigate the halogen gas resistance when metal ions belonging to the present invention were laminated and implanted by plasma ion implantation. That is, Al is 1 × 10 as the primary injection to the substrate.12/ Cm2After injecting the concentration, 1 × 10 Mg was added thereon.12/ Cm2After concentration injection or Al / Mg layer injection, the injection energy was further reduced to form a thin film of Al and 50% Al-50% Mg alloy. This product has a halogen gas resistance of F2, NF3For 24 hours in a 100 hPa, 300 ° C. atmosphere. The results are as shown in Table 4.
[0082]
[Table 4]
Figure 0003946660
[0083]
  Of this reference exampleIt has been found that metal ions exhibit halogen gas resistance even if they are layered or thinned.
[0084]
<Reference example 4>
  thisreferenceIn the examplereferenceThe same SUS316 steel test piece as in Example 1 was used, and 1 × 10 5 metal ions of 50Al-50Mg, Mg, Ba, Ca and Y were added thereto by plasma ion implantation.18/ Cm2After the implantation, the F-containing F2Exposure to a gas atmosphere for 10 hours. In this exposure test chamber, an 8-inch diameter silicon wafer was allowed to stand, and the number of particle particles (environmental contamination particles) adhering to the wafer surface after 10 hours was observed and recorded using a magnifying glass. The particle diameter that can be observed and recorded with a magnifying glass was approximately 0.2 μm or more.
[0085]
The configuration of the test environment is as follows.
(1) Atmospheric gas: CFFour/ Ar / O2The mixing ratio is 100/100/10 cm in volume ratioThree, Gas pressure 100Pa, temperature 60 ° C
(2) Plasma irradiation output: high frequency power: 1300 w × 10 hours
In addition, in this test, in addition to untreated SUS316 steel and anodized (alumite) Al as a comparative example, 1 × 10 Ti and Nb metal ions were added to SUS316 steel by plasma ion implantation.18/ Cm2The injected was tested under the same conditions. Table 5 summarizes the above test results.
[0086]
[Table 5]
Figure 0003946660
[0087]
As is clear from this result, the test specimens (Nos. 6 to 9) of the comparative examples clearly show that after exposure for 10 hours, 100 or more particle particles adhere to the surface of the silicon wafer and become a source of environmental pollution. It became. When the components of these particle particles are investigated, Fe, Cr, Ni fluorides in the case of stainless steel specimens, and Al and F as main components in the case of Al bases, CF in the atmosphereFourWas found to be a corrosion product induced by. In the test pieces (Nos. 6 and 7) into which Ti and Nb were injected, a large amount of Ti and Nb fluoride particles were observed, and it was confirmed that the corrosion resistance was poor in a halogen gas atmosphere to which plasma was added.
[0088]
  On the other hand, TrySpecimens (Nos. 1 to 5) were found to have excellent halogen environment resistance, with the number of particles adhering to the silicon wafer surface being 30 or less, even after a 10-hour exposure test. It was.
[0089]
【The invention's effect】
  As described in detail above, the surface of a metal substrate is subjected to ion implantation or plasma ion implantation.Ba,One or more selected from Mg and YGoldImplant metal ionsAnd form a thin filmDepending on halogen gas resistance, especially F2Chemical resistance to gas and fluoride gas is significantly improved.
[0090]
  Injected into the substrate surface by the method of the present invention.Ba,Metals such as Mg and Y are F2In an environment containing gas, each metal exhibits excellent halogen gas resistance by forming a fluoride layer having a low vapor pressure.
[0091]
The metal ion implantation mechanism and halogen gas resistance described above can minimize the contamination of the semiconductor processing environment by reducing the corrosion products of the device members in addition to extending the life of the semiconductor processing device members. Can be expected to contribute greatly to the improvement of product reliability and productivity.
[0092]
In addition, when the metal ion implantation layer has a maximum thickness of about 300 nm, it does not affect the shape and size of a precision machined semiconductor processing apparatus member.
[0093]
Further, in the case of metal ion implantation by the plasma ion implantation method, even if the object to be processed has a three-dimensional structure, it can be implanted uniformly and a plurality of metal ions can be simultaneously implanted. Injection is also easy.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view of a metal ion implantation apparatus.
FIG. 2 is a schematic view of a plasma ion implantation apparatus.
FIG. 3 is a view showing a cross section of the surface of an object to be processed on which metal ion implantation processing according to the present invention has been performed.
[Explanation of symbols]
    1 Ion source gas inlet
    2 Ion generation chamber
    3 Accelerator
    4 Mass separator
    5 Beam scanning system
    6 Target sample (object to be processed)
    21 Metal processing container
    22 Object to be processed
    23 DC power supply
    24 Gas phase ion source
    25 Metal-based ion source
    26 Outside the vacuum pump
    27 Pressure adjustment valve
    28 Plasma containing metal ions
    31 Object
    32 Metal ion implantation layer
    33 Metal thin film
    34 Metal spray coatingOf the part not ion-implanted

Claims (2)

金属製基材の表面に、イオン注入法またはプラズマイオン注入法を用いて、BaMg、Yから選ばれる1種以上の金属イオンを注入した金属イオン注入層を設けた後、さらにその上にプラズマイオン注入法によって、AlCa、Mgから選ばれる1種以上の金属を含む薄膜層を1〜30μm積層させることを特徴とする耐ハロゲンガス性の半導体加工装置用部材の製造方法。On the surface of the metal substrate, by an ion implantation method or a plasma ion implantation method, Ba, Mg, after providing the metal ion-implanted layer by implanting one or more metal ions selected from Y, further thereon by plasma ion implantation method, Al, Ca, method for producing a resistant halogen gas of semiconductor processing equipment for members, characterized in that to 1~30μm laminating a thin film layer containing Mg or al least one metal selected. 金属製基材の表面に、イオン注入法またはプラズマイオン注入法を用いて、BaMg、Yから選ばれる1種以上の金属イオンを注入した金属イオン注入層を設けた後、さらにその上にプラズマイオン注入法によって、AlCa、Mgから選ばれる1種以上の金属を含む薄膜層を積層した後、200℃〜750℃、0.5〜5時間の熱処理を行なうことを特徴とする耐ハロゲンガス性の半導体加工装置用部材の製造方法。On the surface of the metal substrate, by an ion implantation method or a plasma ion implantation method, Ba, Mg, after providing the metal ion-implanted layer by implanting one or more metal ions selected from Y, further thereon by plasma ion implantation method, after laminating Al, Ca, a thin film layer containing Mg or al least one metal selected, 200 ° C. to 750 ° C., and performing heat treatment of 0.5 to 5 hours A method for producing a halogen processing gas-resistant member for a semiconductor processing apparatus .
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