JP3939577B2 - 発光素子及び表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子を用いた発光素子と、この発光素子を用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電素子は従来から、様々な分野において利用され、その応用例は多岐にわたっている。
一方、発光現象を利用した表示装置として、種々の装置が開発されており、その一例として液晶表示装置やプラズマ表示装置が開発され、既に実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、液晶表示装置を用いて大画面の表示装置を構成するためには、克服すべき問題点が多い。また、プラズマ表示装置は大画面用の表示装置としては好適であるが、消費電力が大きく、熱の発生が大きい。また、これらのいずれの表示装置も構成部品点数が多いため、製造プロセスが複雑となり、ひいてはコスト高となっていた。
一方、圧電素子による発光現象を利用した表示装置について報告された例はこれまでにはない。
本発明は、このような事情に鑑み、圧電素子による発光現象を利用した発光素子を提供し、この発光素子を用いて表示装置を構成することにより、大画面の表示装置であっても、簡単な構成であって軽量であり、低価格な表示装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ガスが封入された放電管中に、1次側の両面に1次側電極が設けられた長方形板形状の圧電トランスと、この圧電トランスの該1次側電極が設けられた両面のうちの少なくとも一面と同じ面の2次側表面に向かい合う部分を有する2次側アース電極とを配置し、この圧電トランスの1次側電極間に交流電圧を印加し、この交流電圧の周波数を調整して2次側共振電圧を発生させ、放電と前記圧電トランスからの電子放出により、可視光または紫外光を圧電トランスの2次側表面から面発光させることを特徴とする発光素子である。
これにより、簡単な構成で軽量な発光素子を実現することができ、紫外光が放射されることにより、オゾナイザー、負イオン発生器、除電器等として利用することができる。
また、圧電トランス周辺における発光は面発光であることから、圧電トランスを用いて発光素子を形成することにより、均一な光強度を持つ発光素子を容易に作製することができる。
【0005】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光素子において、前記可視光または紫外光を放電管外に取り出すために、放電管内に設けられた2次側アース電極を光透過性電極としたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発光素子において、前記放電管から光を取り出すための窓を前記放電管に設け、この窓に蛍光体を塗布して、前記2次側共振電圧の発生により蛍光体からの発光を生じさせることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1又は2記載の発光素子において、前記放電管の内面の全体または一部に蛍光体を塗布して、前記2次側共振電圧の発生により、蛍光体からの発光を生じさせることを特徴とする。
【0006】
請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載の発光素子において、前記圧電トランスの1次側電極間に印加する正弦波電圧の周波数を制御する制御手段を備え、前記正弦波電圧の周波数を制御して、圧電トランスの振動モードを変えることにより、発光部位を可変とすることを特徴とする。
【0007】
請求項6記載の発明は、請求項1から5までのいずれかに記載の発光素子を複数個敷き詰めて形成されていることを特徴とする表示装置である。これにより、簡単な構成で大面積の表示装置を実現することができるため、製造工程を簡略化でき、低コスト化を実現することができる。また、使用目的に応じて様々な形状の画面を持つ表示装置を実現することができる。さらに、面発光の発光素子を敷き詰めて形成しているため、大画面であっても、光強度を均等とすることが容易な表示装置を実現することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の発光素子の第1の例について説明する。
図1にこの例の発光素子の構成を示す。図1中、符号1は圧電トランスであり、この圧電トランス1は、圧力トランス固定用ピン2によって基板3に固定されることにより、密封された透明容器からなる放電管4内に収納されている。放電管4内には、例えばN2等のガスが封入されている。固定用ピン2の位置は図1に示す位置に限定されず、用途に応じて他の位置とすることもできる。
圧電トランス1は、後述するようにその両面に1次側電極と2次側電極とが形成され、このうち、符号5が1次側電極、符号6が1次側アース電極である。2次側電極は通常圧電トランス1の2次側先端(図1においては圧電トランス1の右端)に形成され、この場合には、右半分の発電部を用いている。通常、この2次側電極は、適切な抵抗値を持つ電気抵抗を介して接地されている。符号7は2次側アース電極である。
この例においては、2次側アース電極7のうち、圧電トランス1の発光面に向かい合う部分7aを、導電性透明ガラス電極等の光透過性電極としている。この光透過性電極は、導電性透明ガラス電極の他に、ループ状電極やメッシュ状電極、格子状電極等とガラス板とを組み合わせたものであってもよい。符号8は発振回路であり、符号9は発振器である。
【0009】
この例の発光素子においては、1次側電極5と1次側アース電極6との間に交流電圧、例えば矩形波電圧、正弦波電圧、三角波電圧を印加して振幅を一定に保ちながら周波数を変化させると、圧電トランス1の2次側端と2次側アース電極との間に共振電圧が発生する。この共振電圧の発生に伴って、後述する原理により可視光または紫外光が放射される。放射される光の波長は、放電管4内に封入されるガスの種類または圧力を選択することによって変えることができる。この放射光は、光透過性電極7aを透過して、放電管4外へ放射される。
この例の発光素子は、可視光が放射される場合には、例えば表示用の光源として用いることができ、紫外光が放射される場合には、オゾンを発生するオゾナイザーとしての利用、あるいは紫外光により生成された正負の電荷のうち、正イオンを吸い取って負イオン発生器としての利用が可能であり、さらに、静電気を中和して除電器としての利用も可能である。
【0010】
次に、本発明の発光素子の第2の例について説明する。
図2(a)にこの例の発光素子の構成を示す。図2における符号は、図1における符号と同一の符号は同一のものを示す。
この例においても、圧電トランス1は、圧力トランス固定用ピン2によって基板3に固定されることにより、密封された透明容器からなる放電管4内に収納されている。放電管4内には、例えばN2等のガスが封入されている。
この例の発光素子は、2次側アース電極7のうち、圧電トランス1の発光面に向かい合う部分7aの一部に光を透過するための窓10が形成されている。図2(b)はこの例の発光素子の上面図であり、図2(b)に示すように、窓10は圧電トランス1の一部と空間を隔てて重なり合うように形成されている。この窓10には蛍光体が塗布されているか、蛍光体が塗付された蛍光板が配置されている。
【0011】
この例の発光素子においても、1次側電極5と1次側アース電極6との間に正弦波電圧を印加して振幅を一定に保ちながら周波数を変化させると、圧電トランス1の2次側端と2次側アース電極との間に共振電圧が発生する。この共振電圧の発生に伴って、後述する原理により、封入されたガスによる発光の他に、蛍光体も発光する。放射される光の波長は、放電管4内に封入されるガスの種類または圧力、さらには、蛍光体の種類を選択することによって変えることができる。この放射光は、窓10を透過して、放電管外へ放射される。
なお、蛍光体を塗付する場所は窓10に限定されるものではなく、放電管4の内側全体に塗付してもよく、放電管4の内側の任意の場所に選択的に塗付してもよい。
【0012】
なお、以上説明した発光素子の第1の例、第2の例のいずれにおいても、放電管4の形状は図1に示す形状に限定されるものではなく、円筒状のような他の形状であってもよい。また、窓を設ける構造の他に、全体が透明な物質からなる容器中に圧電トランスを支持し、圧電トランスによる発光をあらゆる方向から取り出せるようにしてもよい。また、発光素子毎に発振回路8と発振器9とを取り付けるか、複数の発光素子に対して発振回路8と発振器9とを取り付けるかは、使用目的によって定めることができる。
【0013】
以下に、圧電トランスを用いた発光の原理について説明する。
図3に、圧電トランス1の形状を示す。
この圧電トランス1は、例えばPZT〔Pb(ZrTi)O3〕からなるRosen型と呼ばれる形式のものであり、その寸法は、例えば、長さ60mm、幅13mm、厚さ2mmの長方形形状である。この圧電トランス1の長さ方向の半分は1次側であり、その両面には1次側電極(P)が設けられ、残り半分は高電圧発生部の2次側であり、その先端に2次側電極(S)が設けられている。この圧電トランス1の1次側は厚さ方向に、2次側は長さ方向にそれぞれ分極した状態で焼結されて形成されている。
【0014】
この圧電トランス1の1次側電極間に3Vの正弦波電圧を印加して振幅を一定に保ちながらその周波数を変化すると、2次側電極とそのアース電極との間に、図4に示すような電圧が共振曲線を描くように発生する。このような共振曲線を描くのは、圧電トランス1が1次側に印加した電圧の周波数と、圧電トランス1の長さ方向の伸縮振動の固有振動数とが一致したときに、共振によって振幅の変位が大きくなり、これにより発生する電圧も高くなることに由来する。
この出力電圧はいくつかの共振モードがあり、図4にはこのうちの大きいほうから3つの共振状態を示しており、それぞれ1次、2次、3次の共振周波数である26.74kHz、52.32kHz、80.60kHzにおいて高電圧が得られた。ここでは、それぞれの振動モードを(1/2)λモード、λモード、(3/2)λモードとよぶ。
以下においては、とくにことわらない限り、(1/2)λモードで圧電トランス1を動作させた。この振動モードは、圧電トランス1の振動の1/2波長が圧電トランス1の長さと一致する場合に観測される振動モードである。
【0015】
この圧電トランス1による発光状態を、図5に示す発光観測装置を用いて測定した。圧電トランス1を容器22の中央に1次側を下にして垂直に配置し、その両側に約1〜2cm離して2枚の蛍光板21をそれぞれ圧電トランス面に対して15°傾けて配置した。これにより蛍光板21からの発光と放電による発光は図5に示すように容器22の側面から観測できる。
容器22内をターボ分子ポンプにより10-8Torrオーダー(10-6Paオーダー)の高真空にした後、窒素ガスN2を封入した。この状態で圧電トランス1の1次側電極間に12Vの正弦波電圧を印加すると、圧電トランス1周辺に放電による発光と蛍光体21の発光が観測された。蛍光板21に塗付する蛍光体としては緑色の蛍光を発するZnO:Znを用いた。この蛍光板21の発光の減衰時定数は1〜10μmであり、ここでの時間分解撮影には十分追従できるものであった。
【0016】
このように、ガスによる放電発光と、蛍光体21の発光状態を容器22側面に設けた石英窓23を通して観測し、UVレンズ24、イメージインテンシファイア25を介してCCDカメラ26により時間分解撮影を行った。CCDカメラ26には200nmを透過の短波長端とするUVレンズ24を用いている。
イメージインテンシファイア25のシャッター開放時刻とその時間幅は圧電トランス駆動用発振器(SG)から同期信号をとり、これを基準としてイメージインテンシファイア駆動システム(IIS)を用いて調整した。シャッター開放時間は1μsとした。ゲート信号、圧電トランス2次側電圧波形はオシロスコープ(OS)で監視しながら記録した。撮影画面はパーソナルコンピュータ(PC)で画像処理した。
N2の放電や蛍光体の発光スペクトルの観測は、図5のCCDカメラ26の代わりにマルチチャンネル分光計(波長範囲300〜1050nm、分解能3.6nm)を設置して行った。
【0017】
図6に、N2ガス中において圧電トランス1を駆動したときの圧電トランス1周辺における放電と蛍光体の発光スペクトルの観測結果を示す。
図6中、N2ガスの圧力は(a)において0.015Torr(1.995Pa)、(b)において0.7Torr(93.1Pa)である。(a)においては、460nmから680nmに亘ってブロードな分布をもつスペクトルが観測されている。光強度のピークは489.75nmにあり、これは蛍光体の発光スペクトルである。N2ガスの発光スペクトルは391.35nmにピークを持つ成分が現れているが、その強度は、前述した蛍光体が発する489.75nmのピークに比べて約半分の大きさである。
図(b)では、391.35nmのピークの他、450nm、490nm付近にもピークが観測されており、これらのピークはN2ガスの2nd positive bandであると思われる。ここに示したガスの圧力では、N2ガスの発光強度のほうが蛍光体の発光強度より強くなっている。
【0018】
図7に、ガス圧力を変化させたときの、391.35nmにピークを持つN2ガスの発光強度と、489.75nmにピークを持つ蛍光体の発光強度の変化を示す。図7中、○が391.35nmにピークを持つN2ガスの発光強度であり、●が489.75nmにピークを持つ蛍光体の発光強度である。
図7からわかるように、ガス圧力が高くなると、N2ガスの発光強度は増加し、0.2Torr〜1.0Torr(26.6Pa〜133Pa)に亘ってピークをとった後減少している。これは、この付近がPaschen曲線の底部に対応し、電離や励起が頻繁に発生していることによっている。
一方、蛍光体の発光強度は、ガス圧力に対してほぼ一定となった。また、0.02Torr(2.66Pa)以下においては、N2ガスの発光強度は蛍光体の発光強度より弱くなることから、蛍光体の発光はN2ガス放電光によるものではないと判断することができる。
このように、ガス圧力を選択することによって、ガスによる放電光の発光強度と蛍光体の発光強度とを変化させることができる。
【0019】
次に、N2ガスの発光強度と蛍光体の発光強度の時間的変化をCCDカメラを用いて観測した。N2ガス圧力は、N2ガスの発光強度と蛍光体の発光強度とがほぼ等しくなるように0.02Torr(2.66Pa)とした。
図8は、圧電トランス1の2次側電圧波形を示している。図8中、破線が真空中でのものであり、実線がN2ガスによる放電発生時のものである。
真空中では放電による発光は観測されず、蛍光体の発光も観測されなかった。このときの2次側電圧波形は正弦波状であった。しかし、N2ガス中で放電が発生する0.02Torr(2.66Pa)では正弦波の振幅が1周期ごとに変動し、数十回重ね撮りした測定結果は図8に示すように、帯状の電圧変動を持った波形として観測され、さらに電圧波形に負の直流バイアス成分が現れた。
【0020】
図8に示す(a)の時刻は2次側電圧が0となる時刻であり、このとき蛍光体に若干の発光が観測された。2次側電圧が正側に増加するにつれて、圧電トランス1上部の放電による楕円状の発光が強くなり、(d)の2次側電圧が正に最大となる時刻において放電による最も強い発光が観測された。このとき蛍光体の発光は観測されなかった。2次側電圧が減少するに従って放電の発光強度は次第に弱くなった。
(g)の時刻は2次側電圧が0となる時刻であり、圧電トランス1上部と蛍光体に弱い発光が観測された。2次側電圧が負側に増加するにつれて、圧電トランス1上部の放電による楕円状の発光が弱くなり、蛍光体が強く発光するようになり、(j)の2次側電圧が負に最大となる時刻において蛍光体から最も強い発光が観測された。その後2次側電圧が減少するに従って蛍光体の発光強度は次第に弱くなった。
【0021】
以上の結果から、圧電トランス1の2次側電圧が正の半周期ではN2ガスによる放電の発光が観測され、圧電トランス1の2次側電圧が負の半周期では蛍光体の発光が観測されることがわかった。このような時間的発光が時間積分されて発光として認識される。また、N2ガスによる放電の発光が観測される正の半周期では蛍光体はほとんど発光していないことから、蛍光体の発光はN2ガスによる放電発光によるものではないことが確認された。
このように、圧電トランス1に2次側電圧を発生させることにより、ガスによる放電発光と、蛍光体による発光とを生じさせることができ、この2種類の発光による発光素子を形成することが可能となる。
【0022】
次に、圧電トランスによる発光状態を明らかにするために、圧電トランス表面での発光強度分布と表面電位分布について説明する。
ここでは、発光強度分布の一例として、放電による発光強度と、表面電位分布との関係について説明する。
図9に、圧電トランス表面の電位分布測定に用いた装置を示す。
図9(a)は、測定に使用したプローブ電極の構造を示している。符号31がプローブ電極であり、このプローブ電極31はオシロスコープ用プローブの先端チップ部分を取り出し、むき出しになった中心導体を電極としたものであり、この周囲に厚さ0.2mmの銅板を直径9mmに丸めてガード電極32とした。このガード電極32はアースされ、中心電極で電界を検出した。
測定は放電の発生しない大気中で、圧電トランス1を支持台に垂直に固定し、圧電トランス1の1次側電極に3Vの電圧を印加した状態で行い、圧電トランス1の表面電位分布を図9(b)に示す装置により測定した。
プローブ33の先端を、圧電トランス1の2次側表面から2mmの距離を保ちながら、圧電トランス1の表面(図9(b)中のxy面)を、パルス駆動のXYステージ34と読み取り顕微鏡により掃引した。XYステージ34の制御はXYステージコントローラ(XY−C)により行った。XYステージ34は1/100mmの精度で調整し、表面電位を電子電圧計やオシロスコープ(ACVまたはOSC)により測定した。これらの操作はパーソナルコンピュータ(PC)による自動測定によって行った。
【0023】
図10に、圧電トランス周辺で観測される放電による発光パターンの概略を各モードごとに示す。図10では、1次側を下にして支持された圧電トランスと、その周囲に現れる発光部位を示している。
図10(a)は、(1/2)λモードでの発光パターンを示しており、圧電トランスの両面に左右対称に圧電トランスから離れた(1)、(2)の発光部位と、圧電トランスの表面近くに(3)、(4)の発光部位があり、この4箇所で強い発光が観測された。これらの発光部位は、圧電トランスの2次側長さ方向の先端に近いところに存在している。
【0024】
図10(b)は、λモードでの発光パターンを示しており、圧電トランスの両面に左右対称に圧電トランスから離れた(1)、(2)、(3)、(4)の発光部位と、圧電トランスの表面近くに(5)、(6)、(7)、(8)の発光部位があり、この8箇所で強い発光が観測された。これらの発光部のうち、(1)、(2)、(5)、(6)は2次側先端部に存在し、(3)、(4)、(7)、(8)圧電トランスの2次側の根元、すなわち圧電トランスの中央部付近に存在している。
図10(c)は、(3/2)λモードでの発光パターンを示しており、圧電トランスから離れた(1)、(2)の発光部位と、圧電トランス表面付近の(3)、(4)の発光部位があり、この4箇所で強い発光が観測された。この発光部は1次側電極から約2cm、すなわち2次側の中央より下側であった。
【0025】
図11(a)、(b)、(c)に各振動モードでの圧電トランス表面電位分布を示す。図11(a)が(1/2)λモード、図11(b)がλモード、図11(c)が(3/2)λモードである。圧電トランスの幅と長さ方向を図11に示すようにそれぞれx軸、y軸とし、圧電トランス表面の位置をxy座標上で示した。縦軸はプローブで検出した電圧の実効値である。これにより、圧電トランス表面に発生する電圧の空間的相対値がわかる。
図11(a)に示す(1/2)λモードでは、電圧の最大値は2次側先端(y=0)から8mmの位置にある。この位置は図10(a)の(1)、(2)、(3)、(4)の発光部位に対応する。また、図11(b)に示すλモードでは、y=5mmと、y=26mmにピークが見られ、これらは、図10(b)のそれぞれ(1)、(2)、(5)、(6)と(3)、(4)、(7)、(8)の強い発光部位に対応している。さらに、図11(c)に示す(3/2)λモードでは、y=20mmにピークが観測され、これは、図10(c)の(1)、(2)、(3)、(4)の発光部位に対応する。
なお、圧電トランスの電位が0となる位置が振動モードにより異なるのは、長さ方向の定在波振動の節が振動モードにより移動するためである。
【0026】
図12(a)、(b)、(c)は、図10に示す発光状態を画像処理し、発光強度分布を等高線表示した結果と、表面電位分布の測定結果を同じく等高線表示した結果とを示している。図12(a)が(1/2)λモード、図12(b)がλモード、図12(c)が(3/2)λモードである。表面電位分布を等高線表示したものは電圧の実効値に相当し、発光強度分布を等高線表示したものは1周期に亘る発光強度の積分値に相当している。これらの結果から、圧電トランス表面における分布は互いに似ていることがわかる。
【0027】
以上説明した原理に基づいて、圧電トランスの1次側に正弦波電圧を印加して振幅を一定に保ちながら周波数を変化させると、圧電トランスの2次側に共振電圧が発生し、この共振電圧の発生に伴って、図1または図2に示す発光素子において、封入されたガスによる放電発光の他に、蛍光体も発光する。放射される光の波長や強度は、放電管4内に封入されるガスの種類または圧力、さらには、蛍光体の種類によって変えることができる。
例えば、蛍光体としては、ZnS:Cu,Y2O2S:Eu,ZnO:Znを用いることができ、このうち、ZnS:Cuは緑色、Y2O2Sは赤色、ZnO:Znは青色の光を発することが確認されている。また、ガスとしては、O2,N2,Ne,Ne/Ar,He/Xe等を用いることができる。これらのガスと蛍光体の組合せによって、放射光の波長を選択することができる。
【0028】
また、圧電トランスの振動モードを変えることによって発光部位が変化することを利用すると、圧電トランスの1次側に印加する正弦波電圧の周波数を制御することによって、発光部位を可変とする発光素子を実現することができる。
例えば、その一例として、腕時計に用いられる表示板程度の大きさの圧電トランスを用意し、この圧電トランスに印加する周波数を制御して発光部位を変えることにより、1枚の圧電トランスだけで数字や文字等の情報を表示することができる。また、何枚かの圧電トランスを組み合わせて数字や文字等の情報を表示することができる。
さらに、図12に示す光強度の等高線表示からわかるように、圧電トランス周辺における発光は面発光であることから、圧電トランスを用いて発光素子を形成すると、均一な光強度を持つ発光素子を容易に作製することができる。
【0029】
次に、本発明の表示装置について説明する。
図13は、本発明の表示装置の一例について、その発光面を示している。
図13中、符号41は表示装置であり、この表示装置41は、上述した本発明の発光素子42を発光面をそろえて敷き詰めるようにして形成されている。発光素子41の数は目的に応じて任意に選択することができ、表示装置41の形状は、敷き詰められる発光素子42の配置によって任意に変更することができる。例えば、図13に示すような矩形状の他に、略円形状とすることもできる。また、赤色、緑色、青色の光を発光する発光素子を一単位の画素とし、この画素をパネル状に敷き詰めて表示装置を形成することもできる。
このように、この例の表示装置によると、簡単な構成で大面積の表示装置を実現することができるため、製造工程を簡略化でき、低コスト化を実現することができる。
また、面発光の発光素子を敷き詰めて形成しているため、大画面であっても、光強度を均等とすることが容易な表示装置を実現することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、ガスが封入された放電管中に圧電トランスを配置し、この圧電トランスの1次側電極間に交流電圧を印加し、この交流電圧の周波数を調整して2次側共振電圧を発生させることにより、放電と圧電トランスからの電子放出により、可視光または紫外光を発生させることができ、簡単な構成で軽量な発光素子を実現することができる。
また、紫外光が放射されることにより、オゾナイザー、負イオン発生器、除電器等として利用することができる。
【0031】
また、放電管から光を取り出すための窓に蛍光体を塗布し、または放電管の内面の全体または一部に蛍光体を塗布して、2次側共振電圧の発生により、蛍光体からの発光を生じさせることにより、簡単な構成で軽量な発光素子を実現することができる。
また、これらの発光素子は、蛍光体の種類を選択することにより蛍光体からの光の波長を可変とすることができ、ガスの種類、またはガスの圧力を選択することにより、ガスによる放射光の波長を可変とすることができる。
また、圧電トランスの1次側電極間に印加する正弦波電圧の周波数を制御して、圧電トランスの振動モードを変えることにより、発光部位を可変とすることが可能な発光素子を実現することができる。
また、圧電トランス周辺における発光は面発光であることから、圧電トランスを用いて発光素子を形成することにより、均一な光強度を持つ発光素子を容易に作製することができる。
【0032】
さらに、本発明の発光素子を複数個敷き詰めて表示装置を形成することにより、簡単な構成で大面積の表示装置を実現することができるため、製造工程を簡略化でき、低コスト化を実現することができる。
また、使用目的に応じて様々な形状の画面を持つ表示装置を容易に実現することができる。
さらに、面発光の発光素子を敷き詰めて形成しているため、大画面であっても、光強度を均等とすることが容易な表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の一例を示す図である。
【図2】本発明の発光素子の他の例を示す図である。
【図3】圧電トランスの構成を示す図である。
【図4】圧電トランスの振動モードを示す図である。
【図5】圧電トランスによる放電発光と、蛍光体発光を観測する装置を示す図である。
【図6】放電発光と、蛍光体発光の波長スペクトルの一例を示す図である。
【図7】放電発光と、蛍光体発光について、ガス圧力と発光強度との関係の一例を示す図である。
【図8】圧電トランスに発生する2次側電圧の時間的変化を示す図である。
【図9】圧電トランスの表面電位分布を測定するための装置を示す図である。
【図10】圧電トランスによる放電発光の部位を示す図である。
【図11】圧電トランスの表面電位分布を立体的に表示した図である。
【図12】圧電トランスの表面電位分布と発光強度分布とを等高線表示した図である。
【図13】本発明の表示装置の一例について、その表示面を示す図である。
【符号の説明】
1…圧電トランス、2…圧力トランス固定用ピン、3…基板、4…放電管、5…1次側電極、6…1次側アース電極、7…2次側アース電極、8…発振回路、9…発振器、10…窓、21…蛍光体、22…容器、23…石英窓、24…UVレンズ、25…イメージインテンシファイア、26…CCDカメラ、31…プローブ電極、32…ガード電極、33…プローブ、34…XYステージ、41…表示装置、42…発光素子。
Claims (6)
- ガスが封入された放電管中に、1次側の両面に1次側電極が設けられた長方形板形状の圧電トランスと、この圧電トランスの該1次側電極が設けられた両面のうちの少なくとも一面と同じ面の2次側表面に向かい合う部分を有する2次側アース電極とを配置し、この圧電トランスの1次側電極間に交流電圧を印加し、この交流電圧の周波数を調整して2次側共振電圧を発生させ、放電と前記圧電トランスからの電子放出により、可視光または紫外光を圧電トランスの2次側表面から面発光させることを特徴とする発光素子。
- 前記可視光または紫外光を放電管外に取り出すために、放電管内に設けられた2次側アース電極を光透過性電極としたことを特徴とする請求項1記載の発光素子。
- 前記放電管から光を取り出すための窓を前記放電管に設け、この窓に蛍光体を塗布して、前記2次側共振電圧の発生により蛍光体からの発光を生じさせることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
- 前記放電管の内面の全体または一部に蛍光体を塗布して、前記2次側共振電圧の発生により、蛍光体からの発光を生じさせることを特徴とする請求項1又は2記載の発光素子。
- 前記圧電トランスの1次側電極間に印加する正弦波電圧の周波数を制御する制御手段を備え、前記正弦波電圧の周波数を制御して、圧電トランスの振動モードを変えることにより、発光部位を可変とすることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の発光素子。
- 請求項1から5までのいずれかに記載の発光素子を複数個敷き詰めて形成されていることを特徴とする表示装置。
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