JP3935389B2 - 折り畳み式傘の軸部構造 - Google Patents

折り畳み式傘の軸部構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は折畳み式傘の軸部を4段以上の入れ子式としてなる軸部構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の折り畳み式傘は段数が多くても3段式で、そのシャフト(軸)はハジキ手段が取り付けられた最上段軸部と、中段軸部と、柄部が取り付けられた最下段軸部とからなっている。最上段の軸部におけるハジキ手段の取付構造について図5を参照にして説明すると、中空に形成された最上段軸部1に長手方向に沿って約2cm程の長さの第1のスリット2が形成され、そのスリットから約3.5cm程下方に離れた位置に第1の小孔3が穿設されている。ハジキ部片4は比較的薄い板材からなり、拡大頭部4aと中間細長部4bと「く」字状折曲部4cとからなり、そのハジキ部片4を中空の最上段軸部1の下方から押し込むとハジキ部片はく字状折曲部4cにおいて弾性変形しながら押し込まれ、ハジキ部片の頭部4aが上記スリット2から外方に突出するとともにく字状折曲部4cの下端4dが上記小孔3に係合してハジキ部片4が弾性的に固定される。
【0003】
また、最上段軸の前記小孔から若干下方位置で軸部の反対側側面に第2の小孔5が形成され、この小孔の下方で軸部の下端近傍には第2のスリット6が形成されている。この第2の小孔5と第2のスリット6には上方にく字状折曲部7aを有し下端に三角形状凸部7bを有する係合片7が上記ハジキ部片と同様に係合され、第2のスリットからは三角形状凸部の先端が外方に突出している。
【0004】
最上段軸部1が摺動自在に嵌挿する中段軸部8の上端近傍には第3のスリット9が形成され、この嵌挿状態で第2のスリット6と第3のスリット9とが合致した位置において両スリットを通して前記係合片7の三角形状凸部7bが外方に突出して、最上段軸部1が中間軸部8に対して摺動しないように固定される。
【0005】
中段軸部8の下端近傍には第4の小孔10が穿設され、この小孔10を穿設した中段軸部内には山形に形成した細幅板バネ11が山形の裾部を圧縮する形で挿入され、その板バネの下端部に植設した円錐状突起12が第4の小孔10から外方に突出するように付勢されている。
【0006】
中段軸部が摺動自在に嵌挿する下段軸部13の上端部近傍には第5の小孔14が穿設され、上記第4の小孔12と第5の小孔14とが合致したときに両小孔を貫通して上記円錐状突起12が外方に突出して中段軸部8が下段軸部13に対して摺動するのを阻止して下段軸部が中段軸部8に対して伸張した状態を維持する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の3段折り畳み式傘においては、ハジキ部片4は拡大頭部4aと中間細長部4bと「く」字状折曲部4cとから細長く形成されている。また、最上段軸部1と中段軸部8とを連結する係合片7が細長く形成されている。そしてまた、中段軸部8と下段軸部13とを係合するために山形に形成した細幅板バネ11を使用している。これらの3つの部品はそれぞれ軸の長手方向に比較的長い距離をとるため、最上段軸部1から下段軸部13までのそれぞれの軸部1,8,13が比較的長く形成される必要があり、従って従来の折り畳み式傘は2段式または3段式がほとんどで、4段または5段式に形成することができなかった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的はハジキ部片や係合部材を短小なものとして折り畳み式傘の軸部を4段以上に伸縮自在としてなる折畳み式傘の軸部構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明では折畳み式傘の軸部を入れ子式としてなる軸部構造において、最上段の中空軸部の内部下方に軸方向に長い支持ブロック体を嵌合し、該中空軸部の側面には軸方向に延長する長孔を形成するとともに該支持ブロック体には該長孔と整合する側面位置にて開口する狭幅のスリットを軸方向に穿設し、該スリット内に上方が拡大頭部として形成されたハジキ片を挿入するとともに該頭部を前記開口及び前記長孔から出没自在とし、該頭部を常時外方に付勢する手段を該ハジキ片と該支持ブロック体間に設けてなるのである。
【0010】
上記の構成によりハジキ片の軸部に沿った長さを大幅に短縮して最上段の中空軸部の長さを短いものとして、折り畳み式傘の軸部を4段以上の多段構成とすることが可能となる。
【0011】
好ましくは、前記ハジキ片の下端部を前記支持ブロック体に枢着し、前記付勢手段として一端が該支持ブロック体に当接し他端が該下端部と該頭部との間に当接するバネ部材を使用することである。
【0012】
また好ましくは、前記最上段の中空軸部の下端近傍に小孔を穿設し、該小孔と径方向に合致する位置において前記支持ブロック体の径方向に透孔を穿設し、該小孔内にコイルスプリングを圧縮介装すると共に該コイルスプリングの両端に球状部材を配設して該球状部材が前記小孔から外方に若干突出するように設置し、前記最上段の中空軸部が嵌挿される第2段の軸部の上端近傍に径方向に相対向した第2の小孔を穿設し、該最上段の中空軸部が該2段の軸部に対して十分に引き出された位置において前記球状部材が該第2の小孔に嵌合して該最上段の軸部の該2段の軸部に対する摺動を規制してなることである。
【0013】
これにより、従来使用されていたような細長い係合片を使用しないですむから、最上段の中空軸部の長さを更に短いものとして、折り畳み式傘の軸部を4段以上の多段構成とすることが可能となる。
また好ましくは、前記第2段の軸部を第3段の軸部内に摺動自在に嵌合し、該第2段の軸部の下端近傍に第3の小孔を穿設し、該第3の小孔に先端が球状或いは円錐形状の突片を配設し、該突片を該第2段の軸部の内部において径方向に介装されたコイルスプリングによって外方に付勢し、前記第2段の軸部が嵌挿される第3段の軸部の上端近傍に第4の小孔を穿設し、該第2段の軸部が該第3段の軸部に対して十分に引き出された位置に置いて前記突片が該第4の小孔に嵌合して該第2段の軸部の該第3段の軸部に対する摺動を規制してなることである。
【0014】
これにより、従来のような山形に屈曲形成した細幅板バネの使用を省略することができるから、最上段の中空軸部の下方の軸部の長さを短縮して、折り畳み式傘の軸部を5段等の多段構成とすることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。図1は軸部を7段構造とした折畳み傘の骨部が折畳み状態と伸張状態の中間位置にある時の状態の要部を断面して示し、図2はその伸張状態をそして図3はその折畳み傘において使用されるハジキ手段の要部を分解して示す斜視図で、図1及び図2においては軸部を構成する各軸を一部破断して短縮して示している。
【0016】
図1において、最上段を構成する第1段の軸部20の上端には上ロクロ21が固着され、上ロクロの左右にはそれぞれ3つの横スリット付の縦溝部が形成され、各縦溝部には第1親骨22の内端が挿入されている。そして、各第1親骨の内端近傍には小孔が穿設され、全ての第1親骨の前記小孔を挿通する針金が前記横スリットを通して配設され、これによって第1親骨22は上ロクロ21に対して上下に枢動可能に取り付けられている。
【0017】
第1段の軸部20の中間部にはハジキ手段50が設けられ、第1段の軸部20は第2段の中空軸部23内に入れ子式に配設とされ、第2段以降の第3〜第6段の中空軸部24〜27はそれぞれ下段の軸部内に入れ子式に配設され、第6段の軸部27は最下段の柄部29を取り付けた第7段の軸部28内に入れ子式に配設されている。
【0018】
第1段の軸部20の外周には下ロクロ30が遊嵌され、下ロクロ30は中間にフランジ部31を有する筒部32からなり、中間フランジ部31は上ロクロ21と同様に、その左右にはそれぞれ3つの横スリット付の縦溝部が形成されている。その各縦溝部には受骨33の内端が挿入されている。そして、各受骨33の内端近傍には小孔が穿設され、全ての受骨33の前記小孔を挿通する針金が前記横スリットを通して配設され、これによって受骨33は下ロクロ30に対して上下に枢動可能に取り付けられている。
【0019】
折畳み骨構造について概説すると、第1親骨22の外端は受骨33の中間部に枢着され、受骨33の外端は第2親骨34の内端近傍に枢着され、第2親骨の内端は第1補助骨35の外端に枢着され、第1補助骨の内端は第1親骨の外端近傍に枢着されている。第2親骨34の外端部は第3親骨36の内端に枢着され、第3親骨36の外端は第4親骨38の内端近傍に枢着され、第4親骨の内端は第2補助骨37によって第2親骨の外端近傍に枢着されている。第4親骨38はその下端に取り付けられたダボ39を介して第5親骨40に枢着されている。
【0020】
また、第2親骨34の下端にはダボ41が枢着され、そのダボ41の下端には針金42の外端が回動自在に取り付けられ、その針金は第2親骨の中間部を通って受骨33の外端近傍に連結されている。
【0021】
この状態から下ロクロ30を指先で挾んで押し上げると、折畳み傘の骨構造が開き始め、下ロクロ30の筒部32の上端がハジキ手段50のハジキ片51に押し当たり、これを第1段の軸部20内に押し込みながら上昇し、下ロクロの筒部32の下端がハジキ片の上端を越えるとハジキ片51は弾性手段によって中空な第1の軸部20の外側に突出し、下ロクロ30の下降を阻止すると共に折り畳み傘の骨構造は図2に示すように伸張する。これとは逆に、図2の状態からハジキ片51を第1段の軸部20の内部に押し込むと、傘骨の弾性により下ロクロ30はハジキ手段50の下方に押し込まれ、図1の状態になり、更に下ロクロ30を下方に引き下げると傘骨は図1の状態から第1段の軸部の方向に寄り集まるように折り畳まれていく。
【0022】
次に、本発明のハジキ手段50について、図3の分解図を参照にして説明する。図3において上方に示されたのは第1段の軸部20で中空構造となっている。この第1段の軸部20の中間部には長孔52が穿設され、この長孔を通してハジキ片51が出没自在とされる。この中空な第1段の軸部20の下方内部には軸方向に長い支持ブロック体53が密嵌して設けられている。この支持ブロック体53には一側面が開口した縦長のスロット54が形成され、このスロット54は第1段の軸部20の長孔52と半径方向に位置が合致している。このスロット54内にはハジキ片51が出没自在に配設され、ハジキ片51の下端部はピン55が挿通され、これによってハジキ片51はピンを中心として枢動可能となっている。このピン55より若干上方位置のハジキ片の部位には凹状切欠56が形成され、この凹状切欠56には小コイルスプリング57によって付勢された小球58が嵌合し、これによってハジキ片51は常時外方へ付勢されている。
【0023】
また、支持ブロック体53のスロット54より下方位置にはスロット54の延長線と交差する方向に透孔59が穿設され、この透孔59内に小コイルスプリング60を挾んで2つの小球61が配設されている。この透孔59と一直線上に位置するように第1の軸部20の両側に相対向して小孔が穿設され、この小球61は第1の軸部の小孔から一部外方に突出するようになっている。
【0024】
第1の軸部20が入り子式に嵌合する第2の軸部23の上端近傍には前記小球61が嵌合する小孔が形成され、第1の軸部20が第2の軸部23に対して十分に引き出されたときに、前記第1の軸部の下方に設けた前記小球61が第2の軸部の上端近傍に設けた小孔と嵌合して第1の軸部20は第2の軸部23に対して引き出された位置に固定される。これとは逆に、前記の引き出された位置から、第1の軸部20を第2の軸部23に対してある所定の力以上で押圧すると、第2の軸部23に形成した小孔の縁によって第1の軸部に設けた小球61が小コイルスプリング60に抗して押し込まれ、第1の軸部20が第2の軸部23内に入り子式に挿入されるようになる。このようにして、第1の軸部20を第2の軸部23から引き出したり、第1の軸部20を第2の軸部23の内部に収容することが可能となる。
【0025】
第2の軸部23、第3の軸部24,第4の軸部25のそれぞれの下方部には、第1の軸部20の場合と同様に相対向して小孔が穿設され、これらの相対向する小孔の間には小コイルスプリング63〜65が圧縮介装され、これらの小コイルスプリング63〜65の両端に配設された小球66〜68が前記小孔から一部外方に弾性的に突出している。第2〜第4の軸部23,24,25がそれぞれ入れ子式に嵌入される第3〜第5の軸部24,25,26の上端近傍には前記小球66〜68が嵌合する小孔が形成され、第2〜第4の軸部を第3〜第5の軸部に対してそれぞれ引き出したときに前記小球66〜68が前記小孔に嵌合してそれぞれが引き出した位置に固定される。これとは逆に、この引き出された位置から軸部を入れ子式に嵌挿するように押し込むと、前記小孔の縁によって前記それぞれの小球66〜68が小コイルスプリング63〜65に抗して押し込まれ、第2〜第4の軸部23〜25がそれぞれ嵌入される第3〜第5の軸部24〜26内に入れ子式に挿入され、前記同様に出没自在となっている。
【0026】
前記第2の軸部〜第4の軸部23〜25では小コイルスプリング63〜64の両側に小球66〜68を配設してこれらの軸部を入れ子式に伸縮自在としたが、第5の軸部26と第6の軸部27では軸の径が比較的大きくなるので、これらの内部に小コイルスプリングに代えて中コイルスプリング69,70を配設し、このコイルスプリングの一端のみに断面円錐台形状の突起71,72を配設し、この突起を軸部26,27に形成した小孔を通して外方に弾性的に突出させている。その他の構成作用は第2〜第4の軸部の場合と同じである。これにより第5の軸部26及び第6の軸部27はそれぞれ第6の軸部27と第7の軸部28に対して入れ子式に出没自在とされている。
【0027】
上記の構成により、傘骨を折り畳んだ後に柄部29を強制的に上方に押し込むと、第7の軸部28の内部に第6の軸部27が入れ子式に入り、その後順次、第6の軸部27内に第5の軸部26が入り、第5の軸部26内に第4の軸部25が入り、第4の軸部25内に第3の軸部24が入り、第3の軸部24内に第2の軸部23が入り、第2の軸部22内に第1の軸部20が入る。そして、柄部29の上側内周内に傘骨のダボ39の先端を収容することによって、図4のように非常に短小な寸法内に傘が折り畳まれるのである。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明の折畳み傘の軸部構造では、ハジキ片の軸部に沿った長さを大幅に短縮して最上段の中空軸部の長さを短いものとして、折り畳み式傘の軸部を4段以上の多段構成とすることが可能となる。
【0029】
また、好ましい実施形態では、従来のような山形に屈曲形成した細幅板バネの使用を省略することができるから、最上段の中空軸部の下方の軸部の長さを短縮して、折り畳み式傘の軸部を5段等の多段構成とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸部を7段構造とした折畳み傘の傘骨が折畳み状態と伸張状態の中間位置にある時の状態を示す要部断面図。
【図2】図1の状態から傘骨及び軸部を伸張状態にしたときの要部を示す部分断面図。
【図3】本発明の折畳み傘において使用されるハジキ手段の要部を分解して示す斜視図。
【図4】本発明の折畳み傘の傘骨及び軸部を折り畳んだ状態を示す断面図。
【図5】従来の折畳み傘の軸部の要部を示す部分断面図。
【符号の説明】
20 第1段の軸部
23〜28 第2段〜第7段の軸部
50 ハジキ手段
51 ハジキ片
52 長孔
53 支持ブロック体
54 縦長のスロット
55 ピン
57 小コイルスプリング
58 小球
61 小球
63〜65 小コイルスプリング
66〜68 小球
69,70 中コイルスプリング
71,72 断面円錐台形状の突起

Claims (4)

  1. 折畳み式傘の軸部を4段以上の入れ子式としてなる軸部構造において、最上段の中空軸部の内部下方に軸方向に長い支持ブロック体を嵌合し、該中空軸部の側面には軸方向に延長する長孔を形成するとともに該支持ブロック体には該長孔と整合する側面位置にて開口する狭幅のスリットを軸方向に穿設し、該スリット内に上方が拡大頭部として形成されたハジキ片を挿入するとともに該頭部を前記開口及び前記長孔から出没自在とし、該頭部を常時外方に付勢する手段を該ハジキ片と該支持ブロック体間に設けてなることを特徴とする折り畳み式傘の軸部構造。
  2. 前記ハジキ片の下端部を前記支持ブロック体に枢着し、前記付勢手段として一端が該支持ブロック体に当接し他端が該下端部と該頭部との間に当接するバネ部材を使用してなることを特徴とする請求項1記載の折り畳み式傘の軸部構造。
  3. 前記最上段の中空軸部の下端近傍に小孔を穿設し、該小孔と径方向に合致する位置において前記支持ブロック体の径方向に透孔を穿設し、該小孔内にコイルスプリングを圧縮介装すると共に該コイルスプリングの両端に球状部材を配設して該球状部材が前記小孔から外方に若干突出するように設置し、前記最上段の中空軸部が嵌挿される第2段の軸部の上端近傍に径方向に相対向した第2の小孔を穿設し、該最上段の中空軸部が該2段の軸部に対して十分に引き出された位置において前記球状部材が該第2の小孔に嵌合して該最上段の軸部の該2段の軸部に対する摺動を規制してなることを特徴とする請求項1または2記載の折り畳み式傘の軸部構造。
  4. 前記第2段の軸部を第3段の軸部内に摺動自在に嵌合し、該第2段の軸部の下端近傍に第3の小孔を穿設し、該第3の小孔に先端が球状或いは円錐形状の突片を配設し、該突片を該第2段の軸部の内部において径方向に介装されたコイルスプリングによって外方に付勢し、前記第2段の軸部が嵌挿される第3段の軸部の上端近傍に第4の小孔を穿設し、該第2段の軸部が該第3段の軸部に対して十分に引き出された位置に置いて前記突片が該第4の小孔に嵌合して該第2段の軸部の該第3段の軸部に対する摺動を規制してなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の折り畳み式傘の軸部構造。
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