JP3934083B2 - Fullerene production method - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素原料を不完全燃焼させて、炭素材料であるフラーレン、中でもC60、C70、C76、C78、C82、C84の分子構造を有するフラーレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、特許文献1に示されるように、閉殻構造型のカーボンクラスターであるC60やC70と称されるフラーレンが新しい炭素材料としてが提案されている。これらの材料は、特殊な分子構造から特異な物性を示すことが期待されるので、ダイヤモンドコーティング、電池材料、塗料、断熱材、潤滑材、医薬品、化粧品などの分野への応用が期待されている。
フラーレンの製造方法としては、例えば、特許文献2に示すように、炭素化合物を燃焼させてフラーレンを製造する方法も提案され、現在ではベンゼン等の芳香族炭化水素と酸素含有ガスを反応炉に導き、減圧下で不完全燃焼をさせてフラーレンを製造する方法が最も有効であると考えられている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2802324号公報
【特許文献2】
特表平6−507879号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、現在実施されている反応炉を用いる燃焼法にはおいては、原料である炭化水素原料は一応気化はされているものの、反応炉外で特別に予熱をすることなく、反応炉に提供されているので、反応炉内の温度が十分に上がらずフラーレンの製造効率が悪いという問題があった。
また、一旦気化された炭化水素原料が温度が下がってその一部が管やノズル中で凝縮すると、炭化水素原料や酸素の流れが悪くなって、反応が安定しないという問題があった。
更には、燃焼法によるフラーレンの製造にあっては、炭化水素原料は種類に応じて、減圧下で特定高温度の領域で反応させるのがよいと思われるが、炭化水素原料と酸素含有ガスの等量比の制御のみでは、反応炉内を適正条件にするのが困難であった。特に、炭化水素原料の種類や酸素含有ガス中の酸素濃度を変えて最適条件を検知する場合等においては、等量比の制御だけでなく、外部から容易に反応温度を制御できる手段が必要であった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、フラーレンを連続的に大量に、しかも効率よく製造できるフラーレンの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るフラーレンの製造方法は、炭化水素原料と酸素含有ガスとを減圧状態の反応炉に供給し、該反応炉内でこれらを不完全燃焼させることによってフラーレンを製造する方法において、
炭素数6〜20の芳香族炭化水素からなる前記炭化水素原料を、気化装置によって気化させ、第1の熱交換器によって気化温度より20℃以上高くかつ酸素存在下の自己着火温度より50℃以上低い温度範囲に予熱し、
前記酸素含有ガスを第2の熱交換器によって、前記炭化水素原料の気化温度より高く、前記自己着火温度より50℃以上低い温度範囲に予熱した後、前記第1、第2の熱交換器をそれぞれ通過した前記炭化水素原料及び前記酸素含有ガスを予混合装置によって混合して、前記反応炉のバーナー部に供給している。
これによって、炭化水素原料が配管やノズル内で液化するのを防止でき、操業が安定すると共に、反応炉の燃焼温度(正確には、不完全燃焼温度、以下同じ)が上昇して、フラーレンの製造効率が高まる。
【0006】
【0007】
第1の発明に係るフラーレンの製造方法において、前記酸素含有ガスは、炭化水素原料の気化温度より高く、前記炭化水素原料の自己直火温度より50℃以上低い温度範囲に予熱されているのがよい。これによって、炭化水素燃料の他、酸素含有ガスも予熱しているので、更に、反応炉内の燃焼ガスの温度が上昇する。なお、酸素含有ガスを炭化水素原料の気化温度より高く予熱すると、炭化水素原料と酸素含有ガスとが混合しても、炭化水素原料の温度が下がって炭化水素原料が液化することがない。
【0008】
なお、炭化水素原料をその気化温度より20℃以上高く、炭化水素原料の自己着火温度より50℃以上低いのがよいとしているのは、配管やノズル等で不用意な外乱があっても、炭化水素原料が気化温度以下に急に下がったり、あるいは自己着火温度を超えて爆発反応が起こらないためであり、更に安全サイドを考慮すると、炭化水素原料の予熱温度は、自己着火温度より50℃以上、場合によっては100℃以上下回るのがよい。
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
予め決定した等量比の炭化水素原料と酸素含有ガスとを反応炉に供給し、該反応炉内でこれらを不完全燃焼させることによって、フラーレンを製造する方法において、前記炭化水素原料及び前記酸素含有ガスを予熱し、しかも、その予熱温度を制御して、前記反応炉内の最適燃焼温度を制御した場合、これによって、ある程度自由に反応炉内の燃焼ガスの温度を変えることができるので、例えば、最適のフラーレン回収率の条件を探す場合、あるいは操業途中に条件(炭化水素原料、酸素含有ガスの成分、C60、C70等の生成割合等)を変える場合に効果がある。
【0015】
なお、本発明において、炭化水素原料の自己着火温度とは、安定状態での炭化水素原料の最小発火温度であり、具体的には、気化状態の炭化水素原料と理論燃焼量の空気とを混合して1気圧状態とし、徐々に温度を上昇させた状態で炭化水素原料が発火する温度をいう。
また、気化温度とは、その炭化水素原料が置かれた圧力において、その炭化水素原料が完全に気化する温度をいい、炭化水素原料が液体の場合には沸点を指す。この気化温度は圧力によって変化する。
また、酸素含有ガスとは、酸素が100%の場合の他、酸素をアルゴンガスやヘリウムガスで希釈したガス、酸素を窒素又は空気で希釈したガス、又は空気そのもの及び空気をアルゴン、ヘリウム、窒素等の不活性ガスで希釈したガスをいう。
本発明において、フラーレンとは、C60やC70をはじめとする一群の球殻状の炭素分子のことを指し、C60やC70の他、C74、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96等があるが、球殻状であれば良く、炭素数に上限は無い。
【0016】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係るフラーレンの製造方法が適用されるフラーレン製造設備の概略構成図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るフラーレンの製造方法を適用したフラーレン製造設備10は、フラーレンの反応炉11と、反応炉11から排出されたガス状物からフラーレンを含む煤状物を回収する分離装置12と、分離装置12から排出されるガスを冷却するガス冷却器13と、ガス冷却器13によって降温されたガスを吸引する真空ポンプからなる減圧装置14とを有する。以下、これらについて詳しく説明する。
【0017】
この実施の形態では、フラーレンの生成は燃焼法を用いているので、反応炉11の内部の圧力を大気圧に対して減圧条件、好ましくは真空に近い状態(例えば、10トール以上100トール以下)としている。反応炉11の一方側の端部(この実施の形態では底部)に、予混合された炭化水素原料(ガス状)及び酸素含有ガスの入口15を備え、内部に設けられたバーナー部17を介してこれらの混合されたガスが供給されるようになっている。
【0018】
反応炉11に供給される炭化水素原料及び酸素含有ガスは、それぞれ管路18、19の途中に設けられた熱交換器20、21によって加熱処理されている。特に、炭化水素原料として、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素が好適に用いられるが、これらは常温では液体又は固体であるので、一旦気化装置によって気体状態にして反応炉11に供給する必要があり、熱交換器20の上流側に気化装置22を配置することもある。なお、熱交換器20、21は両方とも使用するのが好ましいが、場合によっては、熱交換器20、21のいずれか一方を省略し、炭化水素原料及び酸素含有ガスのいずれか一方のみを予熱するようにしてもよい。
【0019】
また、熱交換器20、21のいずれか一方又は双方を通過した炭化水素原料及び酸素含有ガスは、予混合装置23を介して反応炉11に供給されている。なお、この予混合装置23を省略し、炭化水素原料及び酸素含有ガスをそれぞれ独立に反応炉11内に供給し、反応炉11内に設けられている予混合装置によって炭化水素原料と酸素含有ガスを混合する場合もある。また、バーナー部に特別の工夫をして、炭化水素原料と酸素含有ガスとを独立に交互に設けられた小ノズル(微小噴出孔)から吹き出し、反応炉内の燃焼領域で混合してもよい。
【0020】
また、この実施の形態では、反応炉11外に予混合装置23を設け、更に予混合装置23の上流側に炭化水素原料や酸素含有ガスの予熱用の熱交換器20、21を設けているが、気化させた炭化水素原料と酸素含有ガスとを直接予混合装置に導入し、予混合装置によって混合された炭化水素原料と酸素含有ガスとを予熱用の熱交換器(即ち、加熱器)を通して、温度上昇させることもできる。この場合、予熱する温度は、混合された炭化水素原料と酸素含有ガスとが自然発火しない温度とすることは当然であり、更に反応炉11内のバーナー部17でも予熱される場合には、バーナー部17から噴出しようとする混合ガスがバーナー部17では自然発火しないような低い温度とする。従って、バーナー部17での予熱温度をA℃とし、炭化水素原料の自己着火温度をB℃とした場合、前記した予熱用の熱交換器では、炭化水素原料と酸素含有ガスとの混合ガスの最高加熱温度は、(B−A−C)℃となる。ここで、Cは安全を見込んだ温度であって、10〜80℃の間で選択される最適温度(例えば20℃、50℃、60℃、100℃、150℃)となる。
【0021】
熱交換器20は炭化水素原料を加熱するもので、供給された炭化水素原料を例えば、炭化水素原料の気化温度より10℃以上(より好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上)高く酸素存在下の炭化水素原料の自己着火温度より10℃(より好ましくは20℃以上、更に好ましくは50℃以上)低い温度の範囲で加熱できるようになっている。これによって、炭化水素原料が配管18やバーナー部17のノズル中で凝縮して液化しないようにしていると共に、反応炉11内の燃焼領域以外の部分で、炭化水素原料に酸素含有ガスが混ざった場合、自然着火を防止している。
【0022】
反応炉11内にはバーナー部17が設けられている。この実施の形態では、反応炉11にはガス状となって予混合された炭化水素原料と酸素含有ガス(以下、「混合ガス」という場合がある)が供給されるので、更にこれらのガスは、バーナー部17に設けられている多孔質部材からなるノズルを介して反応炉11内に供給され、減圧状態の燃焼領域で燃焼している。多孔質部材からなるバーナー部17は混合ガスをより遅い噴出速度で反応炉11内に噴出すると共に、バーナー部17自体も、燃焼領域からの熱によって加熱され、結果として混合ガスの更なる加熱を行っている。なお、酸素含有ガスは主体が酸素であるが、必要に応じてアルゴン等の不活性ガスが含まれている。
【0023】
反応炉11の他方側の端部には、反応炉11で生成したフラーレンや煤を含む高温の排ガスの排出口24が設けられている。この排出口24には、ガス降温手段25を介して分離装置12が接続されている。このガス降温手段25は、この実施の形態では、周壁が所定温度に冷却された所定長さのパイプ26を有し、高温で乱流状態の煤状物質含有気流がこのパイプ26内を通過することによって、周囲から抜熱され、所定の温度(例えば、炭化水素原料の液化温度以上でフラーレンの固化温度以下、例えば400〜500℃)まで降温されて、分離装置12内に送られている。
【0024】
分離装置12は、反応炉11から発生する煤状物質含有気流中の固形分と気流分を分離するためのもので、内部に高温用の耐熱フィルター27を備える。耐熱フィルター27は、気化した多環状芳香族化合物を通過させてフラーレン及び炭素系高分子成分(煤状物)を回収するので、ガスの温度に応じて400〜500℃の耐熱温度を有している。
【0025】
分離装置12の構造は、通常の集塵機等に使用されるバッグフィルター構造となって、このバッグフィルターが前記した耐熱フィルター27によって構成されている。このような耐熱フィルター27としては例えば、日本ポール社製焼結金属フィルターや富士フィルター社製焼結金属フィルター等が挙げられる。フィルター目開きの大きさは、フラーレンを生成させる燃焼条件や煤状物質の性状によって適宜選択する。
また、ガス降温手段25により、煤状物質含有気流の温度を150℃程度以下まで下げる場合には、分離装置12の内部のフィルターは高温耐熱フィルターである必要はなく、ナイロン、テフロン(登録商標)等の材質の通常用いられるフィルターを用いることができる。
【0026】
分離装置12には、その上部に定期的に付着した固化物(例えば、煤等からなる炭素系高分子成分とフラーレン又は炭素系高分子成分)を除去する逆洗浄機構28が設けられている。この逆洗浄機構28は、高圧の不活性ガス(例えば、窒素やアルゴン)等を貯留するタンク29と、電磁弁30とを有し、電磁弁30を定期的に短時間開けることによって、耐熱フィルター27内にガスを入れ、周囲に付着した固化物を下方に落下させ、排出弁31を開けて外部に排出できるようになっている。そして、分離装置12の上部には、耐熱フィルター27を通過したガスを外部に排出するガス出口32が設けられている。なお、この逆洗浄はパルスジェット機構を用いて、パルス的に行なってもよい。
【0027】
分離装置12のガス出口32には、ガス冷却器13が設けられている。このガス冷却器13は通常の熱交換器と、同一又は近似した構造となっており、減圧装置14に流入するガスの温度を低下させ減圧装置14の負荷を低減させるようになっている。また、気流内に含まれる炭化水素原料(例えば、多環状芳香族化合物)や水分が液化し、下部のドレーンから排出されるようになっている。
このガス冷却器13に後続する減圧装置14は通常の真空ポンプからなっている。なお、フラーレンの昇華温度は真空度によっても変化するので、供給する炭素質原料、酸素、不活性ガスの量から、最も効率的にフラーレンを回収できる圧力になるように減圧装置14を選定する。
【0028】
続いて、図1を参照しながら、本発明の一実施の形態に係るフラーレンの製造方法について述べる。
工程(1)
本実施の形態の工程(1)は炭化水素原料及び酸素含有ガスのいずれか一方又は双方を、反応炉11内に供給する前に予熱する工程である。
炭化水素原料(例えば、トルエン)を気化装置22でガス化した後、熱交換器20で炭化水素原料の気化温度より10℃以上高くかつ炭化水素原料の酸素存在下の自己着火温度より10℃以上低い温度(より好ましくは、炭化水素原料の気化温度より20〜30℃以上高くかつ炭化水素原料の酸素存在下の自己着火温度より50〜20℃以上低い温度)に予熱する。この理由は、炭化水素原料をその気化温度より十分高い温度に加熱しておけば、配管やノズルを通過中に周囲壁に触れて容易に液化しないこと、及び炭化水素原料を予熱することによって、反応炉11中の燃焼温度を高めることができ、これによってよりフラーレンの製造効率を高めることができることである。
【0029】
実際には、炭化水素原料としてトルエンを採用した場合には、160〜250℃(更に詳細には、170〜220℃)程度に予熱するのが好ましい。なお、トルエンの気化温度は、1kgf/cm2Gで約136℃であり、標準状態のトルエンの自己着火温度は約480℃である。
なお、炭化水素原料が複数の成分(例えば、トルエンとアントラセン等)の場合には、各成分のうち気化温度(凝固温度)の一番高い物質を基準に最低温度を決定し、各成分のうち一番自己着火温度の低いものを基準に最高温度を決定することは当然である。
また、熱交換器20、21を加熱する熱媒は、蒸気、高沸点油、燃焼排ガス等が好ましく使用される。
【0030】
一方、酸素含有ガス(この実施の形態では酸素100%ガスを使用している)は、熱交換器21によって予熱される。この場合の酸素含有ガスの予熱温度は、常温(例えば25℃)より高く、炭化水素原料の自己着火温度より10℃以上低い温度(更に、好ましくは、100℃以上で炭化水素原料の自己着火温度より20〜50℃以上低い温度)に加熱される。
【0031】
このように、炭化水素原料と酸素含有ガスとを別々に加熱することによって、炭化水素原料及び酸素含有ガスを急速加熱することができる。この理由は、炭化水素原料及び酸素含有ガスはそれ単体では燃焼反応を起こさないので、部分的に、例えば炭化水素原料の自己着火温度より高い温度に加熱しても特に問題は生じないからであり、装置全体の小型化を図れるというメリットがある。一方、炭化水素原料と酸素含有ガスとを適当割合で混合した状態で予熱する場合には、加熱時に一部に高温度部分があっても爆発燃焼を起こす可能性があるという問題がある。
【0032】
熱交換器20、21によってそれぞれ予熱された炭化水素原料と酸素含有ガスとは予混合装置23によって混合される。この予混合装置23は2つのガスを別々の導入口から導き、内部で自然的に混合するものであってもよいし、場合によっては攪拌性を更に向上させるために、スタテックミキサーやエジェクター形式であってもよい。
なお、予混合装置23に供給される炭化水素原料及び酸素含有ガスは双方とも予熱されているのが好ましい。即ち、双方とも例えば、炭化水素原料の自己着火温度より低い温度で混ぜれば、混合したガスの温度を最大限に高めることができ、結果として反応炉11内の燃焼温度をより高めることができるのでより好ましいが、場合によっては、炭化水素原料及び酸素含有ガスのいずれか一方を加熱し、他方を加熱しないか一方のガスより低い温度に加熱してもよい。
【0033】
反応炉11内には予混合装置23を介して予混合された炭化水素原料と酸素含有ガスが供給されるが、反応炉11内に更に予熱装置を備える場合には、ノズルから吹き出す直前の混合ガスの温度が、炭化水素原料の自己着火温度より10℃以上、好ましくは20〜50℃以上低い温度になるように、熱交換器20、21から排出される炭化水素原料及び酸素含有ガスの温度を、その圧力も考慮して調整する。
【0034】
工程(2)
反応炉11内に供給される炭化水素原料と酸素含有ガスの割合は、等量比で2.5〜3.5の範囲で炭化水素原料の割合を多くした。これによって、炭化水素原料が反応炉11内の燃焼領域で不完全燃焼するので、炭化水素原料の一部からフラーレンが生成される。
燃焼法によりフラーレンを製造する場合、圧力条件としては大気圧に対して減圧下で行うのが一般的であり、減圧度は適宜選択すればよい。具体的な圧力条件としては、例えば20〜100トール(更に好ましくは、30〜50トール)となるように、減圧装置14の排気量及び供給される炭化水素原料及び酸素含有ガスの量が調整されている。
【0035】
また、反応炉11内の最適燃焼温度の温度条件としては、先述した圧力条件に応じて適宜選択すればよいが、中でも1600〜2000℃が好ましく、特に1700〜1900℃であることが好ましい。
燃焼法により得られた煤状物質中には、この実施の形態においては、炭化水素原料として多環状芳香族化合物を用いているので、フラーレン及び多環状芳香族炭化水素が含まれる。これら以外の残部は、通常、炭素グラファイト構造を骨格として若干の水素原子を有する、高分子の炭化水素やカーボンブラック等(炭素系高分子成分)である。
工程(2)にて得られる煤状物質には、フラーレンが5重量%以上含まれていることが好ましく、更には10重量%以上、特に15重量%以上含まれていることが特に好ましい。
また、本実施の形態により製造されるフラーレンは、フラーレン構造を有していれば炭素数に制限はないが、通常は炭素数60〜84のフラーレンであり、中でもC60とC70の割合が全フラーレン中において50重量%以上であることが好ましく、更には70重量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。
【0036】
工程(2)の反応炉11で生成する排ガスである煤状物質含有気流は、通常、速度が緩やかで、800℃以上の温度を有する。そこで、ガス降温手段25によってその温度を400〜500℃程度にする。この温度は、排ガス中に含まれる未燃状態の炭化水素原料が気体状態を保持できる温度であり、最終的には、分離装置12を未燃の炭化水素原料(多環状芳香族化合物)が気体の状態を維持して通過できる温度である。
【0037】
工程(3)
工程(3)では、先述の工程(2)で得られた、フラーレン、多環状芳香族化合物及び炭素系高分子成分を含む煤状物質含有気流から、フラーレン及び煤状物質を分離装置12で分離除去して回収する。
分離の方式としては、フラーレンと炭素系高分子成分との混合物から、フラーレンを溶媒を用いて分離する。フラーレンを溶解した抽出液を得る場合の抽出溶媒としては、好ましくは芳香族炭化水素を含む溶媒が用いられる。芳香族炭化水素としては、分子内に少なくとも1つのベンゼン核を有する炭化水素化合物であり、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、シメン等のアルキルベンゼン類、1−メチルナフタレン等のアルキルナフタレン類、テトラリン等が挙げられる。これらの内1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン及びテトラリンが好ましい。
【0038】
工程(4)
この工程は、分離装置12を通過した排ガスの処理に関するものであるが、内部に多環状芳香族化合物を含むので、これをガス冷却器13によって液化して、底部に設けられているドレーンから排出する。なお、このドレーンの中に及びガス冷却器13内には多量のフラーレンが含まれるので、定期的に内部を溶媒で洗って掃除し、フラーレンを回収する。
【0039】
反応炉11から発生する排ガスからフラーレンを回収する他の方法として、例えば、分離装置を2段に設けて、上流側の分離装置で煤状物質を回収し、下流側の分離装置でフラーレンを回収する等の方法もある。
煤状物質とフラーレンを分離する方法としては、溶媒による方法の他、再加熱によってフラーレンを気化させ、再度冷却してフラーレンを回収する方法であっても本発明は適用される。
【0040】
前記実施の形態においては、反応炉11の外部でそれぞれ独立に炭化水素原料と酸素含有ガスとを予熱しているが、反応炉11の内部でそれぞれ独立に又は混合した状態で予熱してもよい。
【0041】
【実施例】
以下に本発明の作用、効果を確認するために行った実施例について説明するが、本発明の要旨を超えない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)
炭化水素原料として多環状芳香族化合物の一例であるトルエンを原料とし、酸素含有ガスは純酸素を使用した。トルエンは一旦気化装置22で加熱してガス状とした後、熱交換器20で180℃程度に加熱した。一方、酸素含有ガスは酸素タンクから熱交換器21に供給し、ここで加熱して180℃とした。
このとき、トルエンの流量は219.5g/min(143.15mol/h)、酸素は163.1Nリッター/min(436.88mol/h)であった。反応炉11内の圧力は40トールで、バーナーガス(ノズルを出た直後)の流速は2.32m/secであった。このような条件でフラーレンを製造すると、時間当たり130g/hのフラーレン(C60)が製造できた。
【0043】
(比較例1)
一方、熱交換器20、21で炭化水素原料及び酸素含有ガスの加熱の程度を弱めて、反応炉11に供給すると、トルエンガスの温度は160℃、酸素含有ガスの温度は40℃となり、実施例1におけるトルエン及び酸素含有ガスとの量と実質的に同一量を流して、フラーレンを製造すると、時間あたり90g/hのフラーレン(C60)が製造できた。
以上の実施例から、炭化水素原料及び酸素含有ガスを十分に予熱した方が、フラーレンの製造量は増加することがわかる。
【0044】
(実施例2)
熱交換器20、21の加熱条件を変えて、炭化水素原料及び酸素含有ガスの温度を変えた場合の反応炉11から発生する排ガスの温度を測定すると以下の通りであった。
炭化水素原料 140 ℃ 140 ℃ 180℃ 250 ℃ 300 ℃
酸素含有ガス 25 ℃ 140 ℃ 180℃ 250 ℃ 300 ℃
排ガス温度 1680 ℃ 1700 ℃ 1720℃ 1751 ℃ 1772 ℃
フラーレンの
製造量 80g/h 105 g/h 130g/h 135g/h 142g/h
【0045】
(実施例3)
熱交換器20、21の加熱条件を変えて、炭化水素原料及び酸素含有ガスの温度を変えた場合の反応炉11から発生する排ガスの温度を測定すると以下の通りであった。
炭化水素原料 180 ℃ 140 ℃ 150 ℃
酸素含有ガス 25 ℃ 350 ℃ 250 ℃
排ガス温度 1695 ℃ 1740 ℃ 1725 ℃
フラーレンの製造量 110g/h 130g/h 110g/h
実施例2、3から、炭化水素原料及び酸素含有ガスの温度を上昇すると、反応炉11内の燃焼温度は増加し、結局は熱交換器20、21で炭化水素原料及び酸素含有ガスの温度を制御することによって、反応炉11内の燃焼温度を制御できることが分かる。また、酸素含有ガスと炭化水素原料の両方を同時に加熱するのが効率的であることも分かる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1及びこれに従属する請求項2、3記載のフラーレンの製造方法においては、炭化水素原料をその気化温度より高くかつ酸素存在下の自己着火温度より低い温度範囲に予熱しているので、炭化水素原料がガス通路や反応炉内で凝縮することがなくなり、更に、酸素の反応により着火することもないので、炭化水素原料を安定的に反応炉に供給できる。
そして、反応炉の炭化水素原料と酸素含有ガスの反応温度(即ち、燃焼温度)が予熱した分だけ高くなって、更にフラーレンの製造の製造効率が増す。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るフラーレンの製造方法が適用されるフラーレン製造設備の概略説明図である。
【符号の説明】
10:フラーレン製造設備、11:反応炉、12:分離装置、13:ガス冷却器、14:減圧装置、15:入口、17:バーナー部、18、19:管路、20、21:熱交換器、22:気化装置、23:予混合装置、24:排出口、25:ガス降温手段、26:パイプ、27:耐熱フィルター、28:逆洗浄機構、29:タンク、30:電磁弁、31:排出弁、32:ガス出口[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a fullerene which is a carbon material, particularly a fullerene having a molecular structure of C60, C70, C76, C78, C82 and C84 by incompletely burning a hydrocarbon raw material.
[0002]
[Prior art]
In recent years, as shown in Patent Document 1, fullerenes called C60 and C70, which are closed-shell carbon clusters, have been proposed as new carbon materials. Since these materials are expected to exhibit unique properties due to their special molecular structure, they are expected to be applied in fields such as diamond coating, battery materials, paints, heat insulating materials, lubricants, pharmaceuticals, and cosmetics. .
As a fullerene production method, for example, as shown in Patent Document 2, a method of producing a fullerene by burning a carbon compound has been proposed, and now an aromatic hydrocarbon such as benzene and an oxygen-containing gas are introduced into a reaction furnace. A method of producing fullerene by incomplete combustion under reduced pressure is considered to be most effective.
[0003]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 2802324
[Patent Document 2]
Japanese National Publication No. 6-507879
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the currently used combustion method using a reactor, the hydrocarbon raw material, which is a raw material, is once vaporized, but is provided to the reactor without any special preheating outside the reactor. Therefore, there has been a problem that the temperature in the reactor does not rise sufficiently and the production efficiency of fullerene is poor.
Further, when the temperature of the vaporized hydrocarbon raw material is lowered and a part of the hydrocarbon raw material is condensed in a tube or a nozzle, the flow of the hydrocarbon raw material or oxygen is deteriorated and the reaction is not stable.
Furthermore, in the production of fullerene by the combustion method, it seems that it is better to react the hydrocarbon raw material in a specific high temperature region under reduced pressure, depending on the type, but the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas Only by controlling the equivalence ratio, it was difficult to set the inside of the reactor to an appropriate condition. In particular, when detecting the optimum conditions by changing the type of hydrocarbon raw material or the oxygen concentration in the oxygen-containing gas, it is necessary not only to control the equivalence ratio but also to have a means to easily control the reaction temperature from the outside. there were.
This invention is made | formed in view of this situation, and it aims at providing the manufacturing method of fullerene which can manufacture fullerene continuously in large quantities and efficiently.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The fullerene production method according to the first aspect of the present invention, which meets the above object, comprises a hydrocarbon raw material and an oxygen-containing gas. Decompressed In a method for producing fullerene by supplying to a reactor and incompletely burning them in the reactor,
Composed of C6-C20 aromatic hydrocarbon The hydrocarbon feedstock, Vaporized by a vaporizer and by a first heat exchanger Than
The oxygen-containing gas is preheated by a second heat exchanger to a temperature range higher than the vaporization temperature of the hydrocarbon raw material and lower than the self-ignition temperature by 50 ° C., and then the first and second heat exchangers are The hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas that have passed each are mixed by a premixing device, The reactor Burner section To supply.
This can prevent the hydrocarbon feedstock from liquefying in the pipes and nozzles, stabilize the operation, increase the combustion temperature of the reactor (more precisely, the incomplete combustion temperature, the same shall apply hereinafter), and Manufacturing efficiency is increased.
[0006]
[0007]
In the method for producing fullerene according to the first invention, the oxygen-containing gas Is It is preferable that the temperature be higher than the vaporization temperature of the hydrocarbon raw material and be preheated to a temperature range lower by 50 ° C. or more than the self-fire temperature of the hydrocarbon raw material. As a result, in addition to the hydrocarbon fuel, the oxygen-containing gas is also preheated, so that the temperature of the combustion gas in the reactor further increases. When the oxygen-containing gas is preheated higher than the vaporization temperature of the hydrocarbon raw material, even if the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas are mixed, the temperature of the hydrocarbon raw material does not decrease and the hydrocarbon raw material is not liquefied.
[0008]
It should be noted that the hydrocarbon raw material should be 20 ° C. higher than its vaporization temperature and 50 ° C. lower than the self-ignition temperature of the hydrocarbon raw material, even if there is an inadvertent disturbance such as piping or nozzles. This is because the hydrogen raw material suddenly falls below the vaporization temperature or the self-ignition temperature does not occur and the explosion reaction does not occur. Further, considering the safety side, the preheating temperature of the hydrocarbon raw material is 50 ° C. or higher than the self-ignition temperature. In some cases, it may be lower than 100 ° C.
[0009]
[0010]
[0011]
[0012]
[0013]
[0014]
In the method for producing fullerene by supplying a hydrocarbon raw material and an oxygen-containing gas in a predetermined equivalence ratio to a reaction furnace and incompletely combusting them in the reaction furnace, the hydrocarbon raw material and the oxygen Preheat the contained gas and control the preheating temperature to control the optimum combustion temperature in the reactor if you did this Thus, the temperature of the combustion gas in the reactor can be changed freely to some extent. For example, when searching for optimum fullerene recovery conditions, or during operation (hydrocarbon raw materials, oxygen-containing gas components) , C60, C70, etc.).
[0015]
In the present invention, the self-ignition temperature of the hydrocarbon raw material is the minimum ignition temperature of the hydrocarbon raw material in a stable state. Specifically, the hydrocarbon raw material in a vaporized state and the theoretical combustion amount of air are mixed. The temperature at which the hydrocarbon raw material ignites in a state where the pressure is 1 atm and the temperature is gradually increased.
The vaporization temperature refers to the temperature at which the hydrocarbon raw material is completely vaporized at the pressure at which the hydrocarbon raw material is placed, and refers to the boiling point when the hydrocarbon raw material is liquid. This vaporization temperature varies with pressure.
The oxygen-containing gas is a gas obtained by diluting oxygen with argon gas or helium gas, a gas obtained by diluting oxygen with nitrogen or air, or the air itself and air with argon, helium, nitrogen, in addition to the case where oxygen is 100%. A gas diluted with an inert gas such as
In the present invention, fullerene refers to a group of spherical shell-like carbon molecules including C60 and C70, and in addition to C60 and C70, C74, C76, C78, C80, C82, C84, C86, C88, There are C90, C92, C94, C96, etc., but it may be spherical, and there is no upper limit to the number of carbon atoms.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Subsequently, an embodiment of the present invention will be described with reference to the accompanying drawings for understanding of the present invention.
FIG. 1 is a schematic configuration diagram of a fullerene production facility to which a fullerene production method according to an embodiment of the present invention is applied.
As shown in FIG. 1, a
[0017]
In this embodiment, since the fullerene is generated by a combustion method, the pressure inside the
[0018]
The hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas supplied to the
[0019]
The hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas that have passed through one or both of the
[0020]
In this embodiment, a
[0021]
The
[0022]
A
[0023]
At the other end of the
[0024]
The
[0025]
The structure of the separating
Further, when the temperature of the gas-containing substance-containing air flow is lowered to about 150 ° C. or less by the gas temperature lowering means 25, the filter inside the
[0026]
The
[0027]
A
The
[0028]
Next, a method for producing fullerene according to an embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
Process (1)
Step (1) of the present embodiment is a step of preheating either one or both of the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas before supplying them into the
After gasifying the hydrocarbon raw material (for example, toluene) with the
[0029]
Actually, when toluene is employed as the hydrocarbon raw material, it is preferably preheated to about 160 to 250 ° C. (more specifically, 170 to 220 ° C.). The vaporization temperature of toluene is 1 kgf / cm. 2 G is about 136 ° C., and the auto-ignition temperature of standard state toluene is about 480 ° C.
In addition, when the hydrocarbon raw material is a plurality of components (for example, toluene and anthracene), the lowest temperature is determined based on the substance having the highest vaporization temperature (solidification temperature) among the components, It is natural to determine the maximum temperature based on the lowest self-ignition temperature.
In addition, steam, high boiling point oil, combustion exhaust gas, or the like is preferably used as the heat medium for heating the
[0030]
On the other hand, an oxygen-containing gas (100% oxygen gas is used in this embodiment) is preheated by the
[0031]
Thus, the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas can be rapidly heated by separately heating the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas. This is because the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas alone do not cause a combustion reaction, so that there is no particular problem even if they are partially heated to a temperature higher than the self-ignition temperature of the hydrocarbon raw material, for example. There is an advantage that the entire apparatus can be reduced in size. On the other hand, when preheating is performed in a state in which a hydrocarbon raw material and an oxygen-containing gas are mixed in an appropriate ratio, there is a problem that explosion combustion may occur even if there is a high temperature part in the heating.
[0032]
The hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas preheated by the
It is preferable that both the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas supplied to the
[0033]
The hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas that have been premixed are supplied into the
[0034]
Process (2)
The ratio of the hydrocarbon raw material supplied into the
When producing fullerene by a combustion method, the pressure condition is generally performed under reduced pressure with respect to atmospheric pressure, and the degree of reduced pressure may be selected as appropriate. As specific pressure conditions, for example, the exhaust amount of the
[0035]
Further, the temperature condition of the optimum combustion temperature in the
In this embodiment, since the polycyclic aromatic compound is used as the hydrocarbon raw material in the soot-like substance obtained by the combustion method, fullerene and polycyclic aromatic hydrocarbon are included. The remainder other than these is usually a polymer hydrocarbon, carbon black, or the like (carbon-based polymer component) having a carbon graphite structure as a skeleton and a few hydrogen atoms.
The soot-like substance obtained in step (2) preferably contains 5% by weight or more of fullerene, more preferably 10% by weight or more, and particularly preferably 15% by weight or more.
In addition, the fullerene produced according to the present embodiment is not limited in the number of carbons as long as it has a fullerene structure, but is usually a fullerene having 60 to 84 carbon atoms, and among them, the ratio of C60 and C70 is all fullerenes. The content is preferably 50% by weight or more, more preferably 70% by weight or more, and particularly preferably 80% by weight or more.
[0036]
The soot-containing substance-containing airflow, which is an exhaust gas generated in the
[0037]
Step (3)
In the step (3), the fullerene and the soot-like substance are separated by the
As a separation method, fullerene is separated from a mixture of fullerene and a carbon-based polymer component using a solvent. As an extraction solvent for obtaining an extract solution in which fullerene is dissolved, a solvent containing an aromatic hydrocarbon is preferably used. The aromatic hydrocarbon is a hydrocarbon compound having at least one benzene nucleus in the molecule, specifically, benzene, toluene, xylene, ethylbenzene, n-propylbenzene, isopropylbenzene, n-butylbenzene, sec- Butylbenzene, tert-butylbenzene, 1,2,3-trimethylbenzene, 1,2,4-trimethylbenzene, 1,3,5-trimethylbenzene, 1,2,3,4-tetramethylbenzene, 1,2 Alkylbenzenes such as 1,3,5-tetramethylbenzene, diethylbenzene, and cymene, alkylnaphthalenes such as 1-methylnaphthalene, and tetralin. Of these, 1,2,3-trimethylbenzene, 1,2,4-trimethylbenzene and tetralin are preferred.
[0038]
Process (4)
This process relates to the treatment of the exhaust gas that has passed through the
[0039]
As another method for recovering fullerene from exhaust gas generated from the
As a method of separating the soot-like substance and fullerene, the present invention can be applied to a method of vaporizing fullerene by reheating and recovering fullerene by reheating, in addition to a method using a solvent.
[0040]
In the above embodiment, the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas are preheated independently from each other outside the
[0041]
【Example】
EXAMPLES Examples carried out for confirming the operation and effects of the present invention will be described below. However, the present invention is not limited to the following examples unless it exceeds the gist of the present invention.
[0042]
Example 1
Toluene, which is an example of a polycyclic aromatic compound, was used as a hydrocarbon raw material, and pure oxygen was used as the oxygen-containing gas. Toluene was once heated by the
At this time, the flow rate of toluene was 219.5 g / min (143.15 mol / h), and oxygen was 163.1 N liter / min (436.88 mol / h). The pressure in the
[0043]
(Comparative Example 1)
On the other hand, when the heating degree of the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas is weakened by the
From the above examples, it can be understood that the production amount of fullerene increases when the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas are sufficiently preheated.
[0044]
(Example 2)
When the heating conditions of the
Hydrocarbon feed 140 ℃ 140 ℃ 180 ℃ 250 ℃ 300 ℃
Oxygen-containing
Exhaust gas temperature 1680 ° C 1700 ° C 1720 ° C 1751 ° C 1772 ° C
Fullerene
Production 80g / h 105 g / h 130g / h 135g / h 142g / h
[0045]
(Example 3)
When the heating conditions of the
Hydrocarbon raw material 180 ℃ 140 ℃ 150 ℃
Oxygen-containing
Exhaust gas temperature 1695 ° C 1740 ° C 1725 ° C
Fullerene production 110 g / h 130 g / h 110 g / h
From Examples 2 and 3, when the temperature of the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas is increased, the combustion temperature in the
[0046]
【The invention's effect】
Claim 1 and dependent claims 2, 3 In the fullerene production method described above, the hydrocarbon raw material is preheated to a temperature range higher than its vaporization temperature and lower than the auto-ignition temperature in the presence of oxygen, so that the hydrocarbon raw material condenses in the gas passage and the reactor. In addition, since no ignition occurs due to the reaction of oxygen, the hydrocarbon raw material can be stably supplied to the reaction furnace.
And the reaction temperature (namely, combustion temperature) of the hydrocarbon raw material of a reaction furnace and oxygen-containing gas becomes high only by the amount preheated, and also the manufacturing efficiency of fullerene manufacture increases.
[0047]
[0048]
[0049]
[0050]
[0051]
[0052]
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic explanatory diagram of a fullerene production facility to which a fullerene production method according to an embodiment of the present invention is applied.
[Explanation of symbols]
10: Fullerene production equipment, 11: Reactor, 12: Separation device, 13: Gas cooler, 14: Depressurization device, 15: Inlet, 17: Burner section, 18, 19: Pipe line, 20, 21: Heat exchanger 22: Vaporizer, 23: Premixer, 24: Discharge port, 25: Gas cooling means, 26: Pipe, 27: Heat resistant filter, 28: Backwash mechanism, 29: Tank, 30: Solenoid valve, 31: Discharge Valve, 32: Gas outlet
Claims (3)
炭素数6〜20の芳香族炭化水素からなる前記炭化水素原料を、気化装置によって気化させ、第1の熱交換器によって気化温度より20℃以上高くかつ酸素存在下の自己着火温度より50℃以上低い温度範囲に予熱し、
前記酸素含有ガスを第2の熱交換器によって、前記炭化水素原料の気化温度より高く、前記自己着火温度より50℃以上低い温度範囲に予熱した後、前記第1、第2の熱交換器をそれぞれ通過した前記炭化水素原料及び前記酸素含有ガスを予混合装置によって混合して、前記反応炉のバーナー部に供給することを特徴とするフラーレンの製造方法。In a method for producing fullerene by supplying a hydrocarbon raw material and an oxygen-containing gas to a reactor under reduced pressure , and incompletely combusting them in the reactor,
The hydrocarbon raw material comprising an aromatic hydrocarbon having 6 to 20 carbon atoms is vaporized by a vaporizer, and is higher by 20 ° C. than the vaporization temperature by the first heat exchanger and 50 ° C. or higher than the self-ignition temperature in the presence of oxygen. Preheat to a lower temperature range,
The oxygen-containing gas is preheated by a second heat exchanger to a temperature range higher than the vaporization temperature of the hydrocarbon raw material and lower than the self-ignition temperature by 50 ° C., and then the first and second heat exchangers are The method for producing fullerene, wherein the hydrocarbon raw material and the oxygen-containing gas that have passed through each are mixed by a premixing device and supplied to a burner portion of the reactor.
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