JP3925172B2 - Fuel cell module - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料極層及び酸化剤極層にて電解質層を挟持して構成された発電セルを有する固体酸化物型の燃料電池モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の燃料電池として、特開平6−13088号公報に記載された固体電解質型燃料電池が知られている。この固体電解質型燃料電池には、アノード、固体電解質体及びカソードの積層体からなる集合体と、反応ガス供給管が配されたセパレータとが交互に積層され、セパレータの一方の面に燃料ガスが通流する溝が形成され、セパレータの他方の面に酸化剤ガスが通流する溝が形成されたことが記載されている。この燃料電池では、反応ガス供給管が少なくとも一部がアルミナ磁器管等のセラミック管により形成された燃料ガス供給管と酸化剤供給管とからなる。燃料ガス供給管はセパレータの側面に接続されて燃料ガスの通流する溝に連通し、酸化剤供給管はセパレータの側面に接続されて酸化剤ガスの通流する溝に連通するように構成される。また燃料ガス供給管はセラミックにより形成された燃料ガス分配器に接続され、酸化剤供給管はセラミックにより形成された酸化剤ガス分配器に接続される。
このように構成された固体酸化物型燃料電池では、反応ガス供給管が各セパレータに個別に接続されるため、従来、集合体及びセパレータに形成された円形のガスマニホルドをシールする円形のガラスリングを不要にできるとともに、従来、集合体及びセパレータ間の外形をガスシールしていた四角形のガラスリングを不要にできるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の特開平6−13088号公報に示された固体電解質型燃料電池では、セパレート板のリブ付多孔質基材には反応ガスを所定の方向に導くリブが形成されているため、発電に寄与する発電セルの表面積がリブのアノード又はカソードへの接触面積分だけ小さくなって、発電効率が低下する問題点があった。
また、上記従来の特開平6−13088号公報に示された固体電解質型燃料電池では、アノード及びカソードとリブ付多孔質基板とがリブのみで接触しているため、アノード及びカソードのセパレート板との電子伝導性が低く、アノード及びカソードとリブとが接触する部分近傍のみで反応が起こり易い。即ち、上記リブ間の溝中央部分ではアノード及びカソードと接触していないため、反応により生成した電子がリブに到達する前に、アノード及びカソードの電気抵抗により消滅してしまい、発電セル全面で反応させることが難しい問題点もあった。
更に、上記従来の特開平6−13088号公報に示された固体電解質型燃料電池では、反応ガス供給管の一部又は全部を比較的脆いセラミック管により形成されているため、その組付作業を慎重に行わなければならず、組付作業時間が増大し、また燃料電池の発熱及び冷却の繰返しで反応ガス供給管に作用する熱応力により反応ガス供給管が損傷するおそれがあった。
【0004】
本発明の第1の目的は、発電に寄与する発電セルの表面を全て発電に寄与させることにより発電効率を向上できる、燃料電池モジュールを提供することにある。
本発明の第2の目的は、酸化剤ガスを酸化剤極層の全体に略均一に流すことにより、発電セルを均一に加熱・冷却できる、燃料電池モジュールを提供することにある。
本発明の第3の目的は、燃料ガスの燃料極層内での流れを制御し、燃料ガスと燃料極層との衝突回数を増大することにより、発電効率を向上できる、燃料電池モジュール。
本発明の第4の目的は、起動時に昇温時間を短縮できるとともに、均一な昇温により発電セルの損傷を防止できる、燃料電池モジュールを提供することにある。
【0005】
本発明の第5の目的は、燃料ガス及び酸化剤ガスを発電に適した温度で各発電セルに供給することにより、発電効率を向上できる、燃料電池モジュールを提供することにある。
本発明の第6の目的は、ステンレス鋼製のセパレータ、第1端板及び第2端板に燃料極集電体又は酸化剤極集電体のいずれか一方又は双方を接合し、接合部分が溶着されてその接合部分の酸化を防止することにより、セパレータ、第1端板又は第2端板と、燃料極集電体又は酸化剤極集電体との長期的な電気的導通が得られる、燃料電池モジュールを提供することにある。
本発明の第7の目的は、燃料ガスを改質するための改質器を不要にすることにより、部品点数を低減しかつ小型化を図ることができる、燃料電池モジュールを提供することにある。
【0006】
請求項1に係る発明は、図1及び図2に示すように、電解質層12aとこの電解質層12aの両面に配設された燃料極層12b及び酸化剤極層12cとからなる発電セル12が(n+1)個(nは正の整数である。)積層された燃料電池であって、i番目(i=1,2,…,n)の発電セル12の燃料極層12bとこの燃料極層12bに隣接する(i+1)番目の発電セル12の酸化剤極層12cとの間に導電性材料により板状に形成されたセパレータ16がそれぞれ1枚ずつ合計n枚介装され、i番目の発電セル12の燃料極層12bとj番目(j=1,2,…,n)のセパレータ16との間に導電性を有する多孔質の燃料極集電体17が介装され、(i+1)番目の発電セル12の酸化剤極層12cとj番目のセパレータ16との間に導電性を有する多孔質の酸化剤極集電体18が介装され、1番目の発電セル12の酸化剤極層12cに酸化剤極集電体18を介して導電性材料により板状に形成された単一の第1端板21が積層され、(n+1)番目の発電セル12の燃料極層12bに燃料極集電体17を介して導電性材料により板状に形成された単一の第2端板22が積層され、n枚のセパレータ16が燃料ガスをセパレータ16外周面から導入してセパレータ16の中心から燃料極集電体17に向って吐出させる燃料供給通路23と、酸化剤ガスをセパレータ16外周面から導入してセパレータ16の酸化剤極集電体18に対向する面から吐出させる酸化剤供給通路24とをそれぞれ有し、単一の第1端板21が酸化剤ガスを第1端板21の酸化剤極集電体18に対向する面から吐出させる酸化剤供給通路27を有し、単一の第2端板22が燃料ガスを第2端板22の中心から燃料極集電体18に向って吐出させる燃料供給通路26を有し、燃料供給通路23,26に燃料ガスをそれぞれ供給する燃料用ディストリビュータ13が燃料電池11の側方に間隔をあけて設けられ、酸化剤供給通路24,27に酸化剤ガスをそれぞれ供給する酸化剤用ディストリビュータ14が燃料電池11の側方に間隔をあけて設けられ、第1端板21及び第2端板22に一対の電極端子41,42が電気的にそれぞれ接続され、n枚のセパレータ16に形成された各酸化剤供給通路24が酸化剤ガスをセパレータ16外周面から導入してセパレータ16の酸化剤極集電体18に対向する面からシャワー状に吐出させるように構成され、単一の第1端板21に形成された酸化剤供給通路27が酸化剤ガスを第1端板21の酸化剤極集電体18に対向する面からシャワー状に吐出させるように構成されたことを特徴とする燃料電池モジュールである。
【0007】
この請求項1に記載された燃料電池モジュールでは、燃料ガスを燃料用ディストリビュータ13に導入すると、燃料ガスはセパレータ16及び第2端板22の燃料供給通路23,26を通って、セパレータ16及び第2端板22の中心から燃料極集電体17の中心に向って吐出する。この吐出した燃料は燃料極集電体17内を通過して燃料極層12bの略中心から外周縁に向って流れる。同時に酸化剤ガスを酸化剤用ディストリビュータ13に導入すると、酸化剤ガスはセパレータ16及び第1端板21の酸化剤供給通路24,27を通って、セパレータ16及び第1端板21の中心から酸化剤極集電体18の中心に向って吐出する。この吐出した酸化剤ガスは酸化剤極集電体18内を通過して酸化剤極層12c内を固体電解質層11aに沿って流れる。
酸化剤ガスは発電セル12の全面にわたる酸化剤極集電体18と接する部分の酸化剤極層12cから電子を受け取って酸化物イオンにイオン化され、この酸化物イオンは固体電解質層12a内を拡散移動して燃料極層12bとの界面近傍に到達する。これにより酸化物イオンは燃料ガスと反応して反応生成物を生じ、燃料極層12bに電子を放出するので、この電子を燃料極集電体17の全面から取り出すことにより大電流が発生し、電力が得られる。(n+1)個の発電セル12は導電性材料により形成されたセパレータ16、燃料極集電体17及び空気極集電体18を介して直列に接続され、かつ両端に導電性材料により形成された第1端板21及び第2端板22が設けられているため、一対の電極端子41,42から大きな電力を取出すことができる。
【0008】
酸化剤ガスが酸化剤供給通路24,27からシャワー状に酸化剤極集電体18に向って略均一に吐出されるので、この酸化剤ガスにより発電セル12を均一に加熱・冷却できる。また燃料電池11の発電中におけるジュール熱の発生により、発電セル12が加熱されて設定温度より上昇したときに、この設定温度より低い温度の酸化剤ガスを上記酸化剤供給通路24,27から吐出させることにより、発電セル12を均一に冷却できるので、発電セル12の局所的な加熱又は冷却による損傷を防止できる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図2及び図3に示すように、燃料供給通路23,26及び酸化剤供給通路24,27のいずれにも連通しないようにn枚のセパレータ16、単一の第1端板21又は単一の第2端板22のいずれか1つ又は2つ以上に複数の挿入穴16aが形成され、複数の挿入穴16aに第1ヒータ31又は温度センサのいずれか一方又は双方が挿入されたことを特徴とする。
この請求項2に記載された燃料電池モジュールでは、燃料電池11の起動時に、第1ヒータ31に通電することにより発電セル12を速やかに昇温できるので、昇温時間を短縮できる。また発電セル12が均一に昇温し、発電セル12の中心と外周縁との温度差がなくなって均一に熱膨張するため、発電セル12の損傷を防止できる。更に温度センサの検出出力に基づいて第1ヒータを制御すれば、セパレータ等の温度をきめ細かく制御できる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に燃料供給通路及び酸化剤供給通路のいずれにも連通しないようにn枚のセパレータ、単一の第1端板又は単一の第2端板のいずれか1つ又は2つ以上に複数の軽量化穴が形成されたことを特徴とする。
この請求項3に記載された燃料電池では、軽量化穴の形成によりセパレータ、第1端板又は第2端板の重量を小さくできるので、燃料電池の軽量化を図ることができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、更に図1に示すように、燃料用ディストリビュータ13に燃料ガスを供給する燃料予熱管43が燃料電池11の外周面に巻回され、酸化剤用ディストリビュータ14に酸化剤ガスを供給する酸化剤予熱管44が燃料電池11の外周面に巻回され、燃料電池11が燃料予熱管43及び酸化剤予熱管44とともにインナケース46に収容され、発電セル12から排出された燃料ガス及び酸化剤ガスをインナケース46外に排出する排気管51がインナケース46に接続され、インナケース46の少なくとも内面が銀めっき、又はニッケル下地めっきを介する銀めっきされたことを特徴とする。
この請求項4に記載された燃料電池モジュールでは、燃料予熱管43内を通る燃料ガスが発電セル12から排出される高温の排ガス(燃料ガス及び酸化剤ガスより生成された水蒸気やCO2)により加熱されて燃料用ディストリビュータ13に供給され、酸化剤予熱管44内を通る酸化剤ガスも発電セル12から排出される上記高温の排ガスにより加熱されて酸化剤用ディストリビュータ44に供給される。このため燃料ガス及び酸化剤ガスが発電に適した温度で各発電セル12に供給されるので、発電効率を向上できる。
また燃料電池11の運転中に発電セル12が発生する輻射熱を利用することにより、発電セル12及びセパレータ16の保温効果を更に高めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、燃料電池モジュール10は積層された(n+1)個の発電セル12を有する燃料電池11と、この燃料電池11の近傍にそれぞれ設けられた単一の燃料用ディストリビュータ13及び単一の空気用ディストリビュータ14(酸化剤用ディストリビュータ)とを備える。ここで、nは正の整数である。発電セル12は円板状の固体電解質層12aと、この固体電解質層12aの両面に配設された円板状の燃料極層12b及び空気極層12c(酸化剤極層)とからなる。i番目(i=1,2,…,n)の発電セル12の燃料極層12bとこの燃料極層12bに隣接する(i+1)番目の発電セル12の空気極層12cとの間には導電性材料により正方形板状に形成されたセパレータ16がそれぞれ1枚ずつ合計n枚介装される。またi番目の発電セル12の燃料極層12bとj番目(j=1,2,…,n)のセパレータ16との間には円板状に形成されかつ導電性を有する多孔質の燃料極集電体17が介装され、(i+1)番目の発電セル12の空気極層12cとj番目のセパレータ16との間には円板状に形成されかつ導電性を有する多孔質の空気極集電体18(酸化剤極集電体)が介装される。更に1番目の発電セル12の空気極層12cには空気極集電体18を介して導電性材料により正方形板状に形成された単一の第1端板21が積層され、(n+1)番目の発電セル12の燃料極層12bには燃料極集電体17を介して導電性材料により正方形板状に形成された単一の第2端板22が積層される。
【0031】
なお、固体電解質層、燃料極層、空気極層、燃料極集電体及び空気極集電体は円板状ではなく、四角形板状、六角形板状、八角形板状等の多角形板状に形成してもよい。また、セパレータ、第1端板及び第2端板は正方形板状ではなく、円板状、或いは長方形板状、六角形板状、八角形板状等の多角形板状に形成してもよい。この場合、燃料ガスを発電セル12の略中心より均等に外周方向へ流すために、後述する燃料供給通路23の第2燃料穴23bは1個とは限らず、略中心に2個或いは3個以上であってもよい。
【0032】
また発電セルの積層方向が鉛直方向と一致するように、即ち各発電セルが水平方向に延びるように燃料電池を設置した場合、燃料ガスはセパレータの略中心から吐出させることが好ましいけれども、発電セルの積層方向が水平方向と一致するように、即ち各発電セルが鉛直方向に延びるように燃料電池を設置した場合、燃料ガスはセパレータの中心より幾分下方にずらした部分から吐出させることが好ましい。この理由は、各発電セルが鉛直方向に延びるように燃料電池を設置した状態で、水素又はメタンである燃料ガスをセパレータの中心から吐出させると、重力の影響により水素又はメタンが上昇して、発電セルの上部が下部に比較して電池反応が活発になるためである。そこで各発電セルが鉛直方向に延びるように燃料電池を設置した場合、上述のように発電セルの全面において均一に発電させるために、第2燃料穴の位置をセパレータの中心より多少下方にずらすことが好ましい。
【0033】
更に後述する空気供給通路24の第3空気穴24cをシャワー状(縦横に多数並んだ状態)に形成する場合、発電セル11全面に空気を均等に流すために、セパレータ16の外周部分に比べ中央部分に第3空気穴24cを多く(密に)形成することが好ましい。これは、シャワー状の第3空気穴24cを均等間隔で形成すると、セパレータ16の中央部分より外周部分で多くの空気が吐出してしまうためである。
【0034】
固体電解質層12aは酸化物イオン伝導体により形成される。具体的には、一般式(1):Ln1 A Ga B1 B2 B3 Oで示される酸化物イオン伝導体である。但し、上記一般式(1)において、Ln1はLa,Ce,Pr,Nd及びSmからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって43.6〜51.2重量%含まれ、AはSr,Ca及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって5.4〜11.1重量%含まれ、Gaは20.0〜23.9重量%含まれ、B1はMg,Al及びInからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、B2はCo,Fe,Ni及びCuからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、B3はAl,Mg,Co,Ni,Fe,Cu,Zn,Mn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、B1とB3又はB2とB3がそれぞれ同一の元素でないとき、B1は1.21〜1.76重量%含まれ、B2は0.84〜1.26重量%含まれ、B3は0.23〜3.08重量%含まれ、B1とB3又はB2とB3がそれぞれ同一の元素であるとき、B1の含有量とB3の含有量の合計が1.41〜2.70重量%であり、B2の含有量とB3の含有量の合計が1.07〜2.10重量%である。
【0035】
また固体電解質層12aを一般式(2):Ln11-x Ax Ga1-y-z-w B1y B2z B3w O3-dで示される酸化物イオン伝導体により形成してもよい。但し、上記一般式(2)において、Ln1はLa,Ce,Pr,Nd及びSmからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって、AはSr,Ca及びBaからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって、B1はMg,Al及びInからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって、B2はCo,Fe,Ni及びCuからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって、B3はAl,Mg,Co,Ni,Fe,Cu,Zn,Mn及びZrからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であって、xは0.05〜0.3、yは0.025〜0.29、zは0.01〜0.15、wは0.01〜0.15、y+z+wは0.035〜0.3及びdは0.04〜0.3である。上記のような酸化物イオン伝導体にて固体電解質層12aを形成することにより、燃料電池11の発電効率を低下させずに、発電運転を650±50℃と比較的低温で行うことが可能となる。
【0036】
燃料極層12bはNi等の金属により構成されたり、又はNi−YSZ等のサーメットにより構成されたり、或いはNiと一般式(3):Ce1-m Dm O2で表される化合物との混合体により多孔質に形成される。但し、上記一般式(3)において、DはSm,Gd,Y及びCaからなる群より選ばれた1種又は2種以上の元素であり、mはD元素の原子比であり、0.05〜0.4、好ましくは0.1〜0.3の範囲に設定される。
【0037】
空気極層12cは一般式(4):Ln21-x Ln3x E1-y Coy O3+dで示される酸化物イオン伝導体により多孔質に形成される。 但し、上記一般式(4)において、Ln2はLa又はSmのいずれか一方又は双方の元素であり、Ln3はBa,Ca又はSrのいずれか一方又は双方の元素であり、EはFe又はCuのいずれか一方又は双方の元素である。またxはLn3の原子比であり、0.5を越え1.0未満の範囲に設定される。yはCo元素の原子比であり、0を越え1.0以下、好ましくは0.5以上1.0以下の範囲に設定される。dは−0.5以上0.5以下の範囲に設定される。
【0038】
上記発電セル12の製造方法の一例を下記に示す。先ず原料粉末として、La2O3,SrCO3,Ga2O3,MgO,CoOの各粉末をLa0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.15Co0.05O2.8となるように秤量して混合した後に、1100℃で予備焼成して仮焼体を作製する。次いでこの仮焼体を粉砕した後に、所定のバインダ、溶剤などを加えて混合することによりスラリーを調製し、このスラリーをドクタブレード法によりグリーンシートを作製する。次にこのグリーンシートを空気中で十分に乾燥し、所定の寸法に切出した後に、1450℃で焼結することにより固体電解質層12aを得る。この固体電解質層12aの一方の面に、Niと(Ce0.8Sm0.2)O2が体積比で6:4となるように、NiO粉末と(Ce0.8Sm0.2)O2粉末とを混合した後に、この混合粉末を1100℃で焼付けることにより燃料極層12bを形成する。更に上記固体電解質層12aの他方の面に(Sm0.5Sr0.5)CoO3を1000℃で焼付けることにより空気極層12cを形成する。このようにして発電セル12が作製される。
【0039】
セパレータ16はステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金のいずれかにより形成されることが好ましい。例えば、SUS316、インコネル600、ハステロイX(Haynes Stellite社の商品名)、ヘインズアロイ214などが挙げられる。またセパレータ16には燃料供給通路23と、空気供給通路24(酸化剤供給通路)と、複数の挿入穴16aが形成される(図2及び図3)。燃料供給通路23はセパレータ16の外周面から略中心に向う第1燃料穴23aと、第1燃料穴23aに連通しセパレータ16の略中心から燃料極集電体17に臨む第2燃料穴23bとを有する。また空気供給通路24はセパレータ16の厚さ方向に直交する方向に延びて形成され基端がセパレータ16外周面に開口しかつ先端が閉止された略T字状の第1空気穴24aと、セパレータ16の厚さ方向に直交する方向に延びかつ互いに所定の間隔をあけて形成され第1空気穴24aに連通し更に両端が閉止された複数の第2空気穴24bと、セパレータ16の空気極集電体18に対向する面に所定の間隔をあけかつ第2空気穴24bに連通するように形成された多数の第3空気穴24cとを有する。
【0040】
第1空気穴24aは第1燃料穴23aと穴芯が同一のベース穴24dと、このベース穴24dに連通するとともに複数の第2空気穴24bに連通し両端が閉止された分配穴24eからなる。分配穴24eはベース穴24dの基端が形成されたセパレータ16の一方の側面に隣接する側面からベース穴24dに直交するように形成した後に、この隣接する側面に閉止板25を接合することにより両端が閉止された長穴となる。また複数の第2空気穴24bはベース穴24dの基端が形成されたセパレータ16の一方の側面からベース穴24dに平行に形成した後に、この側面に閉止板25を接合することにより両端が閉止された複数の長穴となる。複数の挿入穴16aは燃料供給通路23及び空気供給通路24のいずれにも連通しないように第1燃料穴23a及び第2空気穴24bに平行に形成され、これらの挿入穴16aには第1ヒータ31がそれぞれ挿入される(図3)。またセパレータ16の燃料極集電体17に対向する面には3本のスリット16bがセパレータ16の略中心から渦巻き状にそれぞれ形成され(図4)、これらのスリット16bの深さは全長にわたって同一となるように形成される。なお、上記スリットは3本ではなく、2本又は4本以上であってもよい。また、スリットの深さはセパレータの中心から離れるに従って次第に深く若しくは浅くなるように形成してもよい。
【0041】
図2に戻って、燃料極集電体17はステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金、或いはニッケル、銀、銀合金、白金又は銅により多孔質に形成され、ステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金により形成した場合、ニッケルめっき、銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき若しくは銅めっきを施すことが好ましい。空気極集電体18は銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき又は白金めっきされたステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金、或いは銀、銀合金又は白金により多孔質に形成され、ステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金により形成した場合、銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき若しくは白金めっきを施すことが好ましい。なお、燃料ガスとして炭化水素を用いた場合には、燃料極集電体はニッケルめっきされたステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金、或いはニッケルにより形成され、燃料ガスとして水素を用いた場合には、燃料極集電体は銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき若しくは銅めっきされたステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金、或いは銀、銀合金、白金又は銅により形成される。上記燃料極集電体13の製造方法の一例を下記に示す。先ずステンレス鋼などのアトマイズ粉末とHPMC(水溶性樹脂結合剤)を混練した後に、蒸留水及び添加剤(n−ヘキサン(有機溶剤)、DBS(界面活性剤)、グリセリン(可塑剤)など)を加えて混練して混合スラリーを調製する。次にこの混合スラリーをドクタブレード法により成形体を作製した後に、所定の条件で発泡、脱脂及び焼結して多孔質板を得る。更にこの多孔質板を所定の寸法に切出して燃料極集電体17を作製する。なお、ステンレス鋼のアトマイズ粉末を用いた場合には、表面にニッケルめっき、クロムめっき、銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっきが施される。また上記空気極集電体18も上記燃料極集電体17とほぼ同様にして作製される。
【0042】
第1端板21及び第2端板22はセパレータ16と同一材料により同一形状(正方形板状)に形成される。第1端板21には空気供給通路27及び複数の挿入穴(図示せず)が形成され、第2端板22には燃料供給通路26及び複数の挿入穴(図示せず)が形成される。空気供給通路27は空気供給通路23と同様に形成され、第1端板21の厚さ方向に直交する方向に延びて形成され基端が第1端板21外周面に開口しかつ先端が閉止されたT字状の第1空気穴27aと、第1端板21の厚さ方向に直交する方向に延びかつ互いに所定の間隔をあけて形成され第1空気穴27aに連通し更に両端が閉止された複数の第2空気穴(図示せず)と、第1端板21の空気極集電体14に対向する面に所定の間隔をあけかつ第2空気穴に連通するように形成された多数の第3空気穴(図示せず)とを有する。また燃料供給通路26は燃料供給通路23と同様に形成され、第2端板22の外周面から略中心に向う第1燃料穴26aと、第1燃料穴26aに連通し第2端板22の略中心から燃料極集電体13に臨む第2燃料穴26bとを有する。
【0043】
第1端板21に形成された第1空気穴27aはベース穴27dと、このベース穴27dに連通するとともに複数の第2空気穴に連通し両端が閉止された分配穴27eからなる。分配穴27eはベース穴27dの基端が形成された第1端板21の一方の側面に隣接する側面からベース穴24dに直交するように形成した後に、この隣接する側面に閉止板25を接合することにより両端が閉止された長穴となる。複数の第2空気穴はベース穴24dの基端が形成された第1端板21の一方の側面からベース穴27dに平行に形成した後に、この側面に閉止板を接合することにより両端が閉止された複数の長穴となる。また第1端板21の複数の挿入穴は空気供給通路27に連通しないように第2空気穴に平行に形成され、これらの挿入穴にはヒータ(図示せず)がそれぞれ挿入される。第2端板22の複数の挿入穴は燃料供給通路26に連通しないように第1燃料穴26aに平行に形成され、これらの挿入穴にはヒータ(図示せず)がそれぞれ挿入される。第2端板22の上面、即ち第2端板22の燃料極集電体13への対向面には3本のスリット22bが第2端板22の略中心から渦巻き状に形成される(図2)。これらのスリット22bの深さは全長にわたって同一となるように形成される。なお、上記スリットは3本ではなく、2本又は4本以上であってもよい。また、スリットの深さはセパレータの中心から離れるに従って次第に深く若しくは浅くなるように形成してもよい。
【0044】
更にセパレータ16、第1端板21及び第2端板22の四隅にはボルト(図示せず)を挿通可能な通孔16cが形成される(図3及び図4)。(n+1)個の発電セル12と、n枚のセパレータ16と、(n+1)個の燃料極集電体17と、(n+1)個の空気極集電体18と、単一の第1端板21と、単一の第2端板22とを積層したときに、上記セパレータ16、第1端板21及び第2端板22の四隅に形成された通孔16cにボルトをそれぞれ挿通した後に、これらのボルトの先端にナットをそれぞれ螺合することにより、燃料電池11が上記積層した状態で固定されるようになっている。
【0045】
図1に戻って、燃料用ディストリビュータ13及び空気用ディストリビュータ14は発電セル12の積層方向に延びてそれぞれ設けられ、両端が閉止された筒状に形成される。燃料用ディストリビュータ13は(n+1)本の燃料用短管28を通ってn枚のセパレータ16の燃料供給通路23の第1燃料穴23a及び単一の第2端板22の燃料供給通路26aの第1燃料穴26aにそれぞれ連通接続され、空気用ディストリビュータ14は(n+1)本の空気用短管29を通ってn枚のセパレータ16の空気供給通路24の第1空気穴24a及び単一の第1端板21の空気供給通路27の第1空気穴27aにそれぞれ連通接続される。この実施の形態では、燃料用ディストリビュータ13、空気用ディストリビュータ14、燃料用短管28及び空気用短管29はステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金などの導電性材料により形成される。
【0046】
燃料用短管28と燃料用ディストリビュータ13との電気的絶縁を確保するために、燃料用短管28と燃料用ディストリビュータ13との間にはアルミナ等の電気絶縁性材料により形成された燃料用絶縁管36が介装され、これらの隙間はガラスやセメント等の電気絶縁性を有する燃料用封止部材37により封止される。また空気用短管29と空気用ディストリビュータ14との電気的絶縁を確保するために、空気用短管29と空気用ディストリビュータ14との間にはアルミナ等の電気絶縁性材料により形成された空気用絶縁管38が介装され、これらの隙間はガラスやセメント等の電気絶縁性を有する空気用封止部材39により封止される。
【0047】
第1端板21の上面中央及び第2端板22の下面中央には一対の電極端子41,42(この実施の形態では電極棒)が電気的にそれぞれ接続される。燃料用ディストリビュータ13の上部外周面には燃料予熱管43が接続され、この燃料予熱管43は燃料電池11の外周面から所定の間隔をあけかつ一対の電極端子41,42の軸線を中心とする螺旋状に巻回される。また空気用ディストリビュータ14の外周面には空気予熱管44(酸化剤予熱管)が接続され、この空気予熱管44は燃料電池11の外周面から所定の間隔をあけかつ一対の電極端子41,42の軸線を中心とする螺旋状に巻回される。更に燃料電池11の外周面には第2ヒータ32が燃料電池11の外周面から所定の間隔をあけかつ一対の電極端子41,42の軸線を中心とする螺旋状に巻回される。上記燃料予熱管43の螺旋半径は上記空気予熱管44の螺旋半径より小さく形成され、第2ヒータ32の螺旋半径は燃料予熱管43の螺旋半径と空気予熱管44の螺旋半径の中間の値になるように形成される。
【0048】
この実施の形態では、燃料予熱管43及び空気予熱管44はステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金などにより形成される。また空気予熱管44は空気用ディストリビュータ14の長手方向の略中央に接続される。これは、発電中に燃料電池11の内部抵抗によりジュール熱を発生し、燃料電池11の積層方向の中央部分が最も熱くなり、この部分に空気予熱管44及び空気用ディストリビュータ14を通って比較的低い温度の酸化剤ガスを供給することにより、発電セル12の均熱を保つためである。
【0049】
上記燃料電池11は螺旋状の燃料予熱管43、螺旋状の空気予熱管44及び螺旋状の第2ヒータ32とともにインナケース46に収容される。このインナケース46の下部外周面及び上面には発電セル12から排出された燃料ガス及び空気をインナケース46外に導く第1排気管51及び第2排気管52がそれぞれ接続される。またインナケース46の外面は断熱材47により被覆されるとともに、インナケース46の外周面には燃料予熱管43、空気予熱管44及び第1排気管51がそれぞれ螺旋状に巻回される。この実施の形態では、第1排気管51は燃料予熱管43及び空気予熱管44より大径に形成され、燃料予熱管43及び空気予熱管44を内部に遊挿した状態でインナケース46の外周面から所定の間隔をあけて螺旋状に巻回される。なお、燃料予熱管及び空気予熱管を第1排気管の内部に遊挿するのではなく、第1排気管の外周面に密着させた状態でインナケースの外周面に螺旋状に巻回してもよい。
【0050】
上記インナケース46は螺旋状の第1排気管51と、この第1排気管51に遊挿された燃料予熱管43及び空気予熱管44と、断熱材47とともにアウタケース48に収容される。上記第1排気管51はこの第1排気管51に遊挿された燃料予熱管43及び空気予熱管44とともに、アウタケース48の上部外周面からアウタケース48外に突出し、燃料予熱管43及び空気予熱管44はこの突出した部分から第1排気管51外に突出する。第1排気管51から突出した燃料予熱管43にはこの燃料予熱管43内の燃料ガスに水蒸気を混合するための水供給管49の先端が挿入され、この水供給管49には噴霧器(図示せず)が接続される。上記水供給管の49先端はアウタケース48内に位置することが好ましい。なお、燃料ガスとしては、例えばメタンガス(CH4))が挙げられる。また図示しないが上記噴霧器から噴射された霧状の水は第2排気管52内を通る排ガスの熱により気化されて水蒸気になるように構成される。燃料予熱管43には燃料ガスが流通可能な密度で改質粒子(図示せず)が充填される。この改質粒子はNi、NiO、Al2O3、SiO2、MgO、CaO、Fe2O3、Fe3O4、V2O3、NiAl2O4、ZrO2、SiC、Cr2O3、ThO2、Ce2O3、B2O3、MnO2、ZnO、Cu、BaO及びTiO2からなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む元素又は酸化物により形成されることが好ましい。
【0051】
燃料電池11に螺旋状に巻回された燃料予熱管43のうちインナケース46内に位置する最下端には、水分離器53が接続される。これは、燃料電池モジュール10が停止して温度が低下し、水蒸気が液化して水になったときに、この水は水分離器53に溜るように構成される。この結果、燃料電池モジュール10を再始動しても、水が液体のまま発電セル12に供給されないので、発電セル12の性能は低下せず、発電セル12は破損しないようになっている。なお、上記水分離器はインナケース外の燃料予熱管に接続してもよい。
【0052】
また燃料電池11に螺旋状に巻回された空気予熱管44のうちインナケース46内に位置する上端には、冷却空気(冷却酸化剤ガス)を空気予熱管44に供給可能な冷却管56が接続される。また空気予熱管44のうち冷却管56の接続部と空気用ディストリビュータ14の接続部との間には、空気予熱管44内の空気と冷却管56内の冷却空気とを混合する混合部が接続される。この混合部には図示しないが上記空気及び冷却空気を混合するためにバッフル板や撹拌機等が内蔵される。また燃料電池11にはこの燃料電池11の温度を検出する温度センサ58が挿入され、冷却管56には冷却空気の流量を調整する流量調整弁59が設けられる。温度センサ58の検出出力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続され、コントローラの制御出力は流量調整弁59に接続される。なお、図1の符号54はインナケース46及びアウタケース48を一対の電極端子41,42から電気的に絶縁するための絶縁リングである。
【0053】
このように構成された燃料電池モジュール10の動作を説明する。
燃料ガス(例えば、メタンガス(CH4))を燃料予熱管43に供給し、水(H2O)を水供給管49から上記燃料予熱管43に供給して水蒸気にし、この水蒸気を上記燃料ガスに混合する。一方、空気(酸化剤ガス)を空気予熱管44に供給する。上記水蒸気を含む燃料ガスは第1排気管51に挿入された燃料予熱管43内でインナケース46の外周面を螺旋状に回りながら高温の排ガス(発電セル12から排出された燃料ガス及び酸化剤ガスの混合ガス)と熱交換することにより加熱され、上記空気は第1排気管51に挿入された空気予熱管44内でインナケース46の外周面を螺旋状に回りながら高温の排ガスと熱交換することにより加熱される。また燃料予熱管43及び空気予熱管44が遊挿された第1排気管51は断熱材47により覆われているため、上記第1排気管51内を通る排ガスは冷え難い。
【0054】
インナケース46の外周面を螺旋状に回りながら加熱された燃料ガス及び空気はインナケース46内に入るときに第1排気管51から出て燃料電池11の外周面を螺旋状に回る。このとき燃料予熱管43内を通る燃料ガスは発電セル12から排出される高温の排ガス及び第2ヒータ32により加熱される。上記燃料予熱管43内には改質粒子が充填されているため、水蒸気を含む燃料ガスを上述のように加熱することにより、この水蒸気を含む燃料ガスは改質粒子により改質されて(例えば、水素ガス(H2)に改質される。)て、燃料用ディストリビュータ13に供給される。また空気予熱管44内を通る空気も上記高温の排ガス及び第2ヒータ32により加熱されて空気用ディストリビュータ14に供給される。
【0055】
発電に最適な温度に加熱されかつ改質された燃料ガスを燃料用ディストリビュータ13に導入すると、この燃料ガスは燃料用短管28及び燃料供給通路23,26を通り、セパレータ16及び第2端板22の略中心から燃料極集電体17の中心に向って吐出する。これにより燃料ガスは燃料極集電体17内の気孔を通過して燃料極層12bの略中心に速やかに供給され、更にスリット16b,22bにより案内されて燃料極層12bの略中心から外周縁に向って渦巻き状に流れる。同時に発電に最適な温度に加熱された空気を空気用ディストリビュータ14に導入すると、この空気は空気用短管29及び空気供給通路24,27を通り、セパレータ16の多数の第3空気穴24c及び第1端板21の多数の第3空気穴からシャワー状に空気極集電体18に向って吐出する。これにより空気は空気極集電体18内の気孔を通過して空気極層11cに略均一に供給される。
【0056】
空気極層12cに供給された空気は空気極層12c内の気孔を通って固体電解質層12aとの界面近傍に到達し、この部分で空気中の酸素は空気極層12cから電子を受け取って、酸化物イオン(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは燃料極層12bの方向に向って固体電解質層12a内を拡散移動し、燃料極層12bとの界面近傍に到達すると、この部分で燃料ガスと反応して反応生成物(例えば、H2O)を生じ、燃料極層12bに電子を放出する。この電子を燃料極集電体17により取り出すことにより電流が発生し、電力が得られる。上記のように燃料ガスがセパレータ16の略中央及び第2端板22の略中央から吐出され、かつスリット16b,22bにより案内されるので、燃料ガスの反応経路が長くなる。この結果、燃料ガスがセパレータ16及び第2端板22の外周縁に到達するまでに、燃料ガスが燃料極層12bと極めて多く衝突するので、上記反応回数が増え、燃料電池11の性能向上を図ることができる。従って、セパレータ16及び第2端板22の外径が大きくなればなるほど、燃料ガスの反応経路が長くなり、これに伴って反応回数が増え、燃料電池11の出力向上に繋がる。なお、(n+1)個の発電セル12は導電性材料により形成されたセパレータ16、燃料極集電体17及び空気極集電体18を介して直列に接続され、かつ燃料電池11の両端の第1端板21及び第2端板22には一対の電極端子41,42が設けられているため、これらの電極端子41,42から大きな電力を取出すことができる。
【0057】
また従来の燃料電池、即ちアノードとカソードが接触する部分の近傍のみで反応が起こり発電効率が低下する、空気極集電体及び燃料極集電体を有しない構造の燃料電池と比較して、本発明の燃料電池モジュール10では、発電セル12の表面の全てが発電に寄与するので、発電効率が向上する。
また燃料電池モジュール10の起動時には、第1ヒータ31に通電することにより発電セル12を速やかに昇温できるので、昇温時間を短縮できるとともに、発電セル12が均一に昇温し、発電セル12の中心と外周縁との温度差がなくなって均一に熱膨張するため、発電セル12の損傷を防止できる。なお、挿入穴にヒータを挿入しない場合、即ち挿入穴を軽量化穴とした場合には、セパレータ、第1端板及び第2端板の重量を小さくできるので、燃料電池の軽量化を図ることができる。
【0058】
またインナケース46の両面及びアウタケース48の内面には銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき又は白金めっきが施され、更に燃料用短管28、燃料用ディストリビュータ13、燃料予熱管43、空気用短管29、空気用ディストリビュータ14及び空気予熱管44の外面には銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき又は白金めっきが施されることが好ましい。これにより燃料電池11の運転中に発電セル12が発生する輻射熱を、燃料予熱管43及び酸化剤予熱管44の保温のために利用でき、発電セル12及びセパレータ16の保温効果を高めることができる。
また燃料予熱管43、燃料用ディストリビュータ13、燃料用短管28、酸化剤予熱管44、酸化剤用ディストリビュータ14及び酸化剤用短管27がステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金のいずれかにより形成されかつ内面に銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき又は白金めっきが施されることが好ましい。これにより酸化剤予熱管44、酸化剤用ディストリビュータ14及び酸化剤用短管27の内部が酸化されず、酸化スケール(粉状の酸化物)の生成を抑制できる。一方、還元雰囲気である燃料予熱管43、燃料用ディストリビュータ13及び燃料用短管28の内部には水蒸気が存在するけれども、この水蒸気による酸化スケールの発生を抑制できる。
また燃料予熱管43、燃料用ディストリビュータ13及び燃料用短管28の内面にニッケルめっきが施されることが好ましい。これにより燃料予熱管43、燃料用ディストリビュータ13及び燃料用短管28の内部で炭化水素の改質反応が可能となる。
【0059】
一方、セパレータ16の下面及び第1端板21の下面には多数の第3空気穴24cが所定の間隔をあけて並んで形成されているため、空気がセパレータ16の下面及び第1端板21の下面から略均一に吐出される。この結果、空気により発電セル12を均一に加熱・冷却できる。特に、燃料電池モジュール10の発電中におけるジュール熱の発生により、発電セル12が加熱されて設定温度(例えば、650℃)より上昇したときに、この設定温度より僅かに低い温度(例えば、630)の空気を上記空気供給通路24,27から吐出させることにより、発電セル12を均一に冷却できるので、発電セル12の局所的な加熱又は冷却による損傷を防止できる。また上述の燃料電池11の温度制御は温度センサ58の検出出力に基づくコントローラの流量調整弁59の制御により行うことができる。即ち、燃料電池11の運転中に燃料電池11が設定温度(例えば、650℃)を越えたことを温度センサ58が検出すると、コントローラが温度センサ58の検出出力に基づいて流量調整弁59の開度を変え、空気予熱管44を通る空気に冷却管56を通る冷却空気を混ぜ、設定温度より低い温度(例えば、630℃)の空気を燃料電池11に供給する。
【0060】
更にステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金製のセパレータ16及び第2端板22の上面に、ニッケルめっき、銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき若しくは銅めっきが施されたステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金、或いはニッケル、銀、銀合金、白金又は銅製の燃料極集電体17をそれぞれ接合し、ステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金製のセパレータ16及び第2端板22の下面に、銀めっき、ニッケル下地めっきを介する銀めっき若しくは白金めっきが施されたステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金、或いは銀、銀合金又は白金製の空気極集電体18をそれぞれ接合すれば、セパレータ16及び第1端板21が高温で空気に曝されても、即ちセパレータ16及び第1端板21が高温酸化雰囲気に曝されても、セパレータ16及び空気極集電体18の接合部分と、第1端板22及び空気極集電体18の溶着された接合部分が溶着されているため、これらの接合部分の酸化を防止できる。この結果、セパレータ16及び燃料極集電体17の電気的導通と、第2端板22及び燃料極集電体17の電気的導通のみならず、セパレータ16及び空気極集電体18の電気的導通と、第1端板21及び空気極集電体18の電気的導通を上記接合部分を通して長期間保持できるとともに、上記接合により燃料電池モジュール10の組立作業時間を短縮し、組立作業性を向上できる。なお、上記接合方法としては銀ろう付け、スポット溶接又はレーザ溶接等が挙げられる。またステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金製の上記セパレータ16、第1端板21及び第2端板22にニッケルめっき、クロムめっき、銀めっき又はニッケル下地めっきを介する銀めっきを施せば、セパレータ16、第1端板21及び第2端板22と、燃料極集電体17及び空気極集電体18との電気的導通を更に長期間保持できる。
【0061】
なお、上記実施の形態では、酸化剤ガスとして空気を用いたが、酸素又はその他の酸化剤ガスを用いてもよい。
また、上記実施の形態では、燃料電池として、発電セルが燃料極層及び空気極層(酸化剤極層)にて固体電解質層を挟持して構成された固体酸化物型の燃料電池を挙げたが、固体高分子型燃料電池や炭酸溶融塩型燃料電池や燐酸型燃料電池などでもよい。
また、上記実施の形態では、セパレータをステンレス鋼、ニッケル基合金又はクロム基合金のいずれかにより形成したが、ランタンクロマイト(La0.9Sr0.1CrO3)等の導電性を有するセラミックにより形成してもよい。
また、上記実施の形態では、セパレータ、第1端板及び第2端板の挿入穴に第1ヒータをそれぞれ挿入したが、第1ヒータ及び温度センサ(温度測定用熱電対)を交互に挿入してもよい。この場合、温度センサの検出出力に基づいて第1ヒータを制御することにより、セパレータ等の温度をきめ細かく制御できる。
【0062】
また、上記実施の形態では、燃料予熱管に水供給管の先端を挿入し、この水供給管に噴霧器を接続したが、燃料予熱管の上部に水供給管の先端を挿入し、この水供給管の基端にポンプを接続してもよい。この場合、燃料予熱管に供給された水は第2排気管内を通る排ガスの熱により、燃料予熱管を下るに従って気化される。
更に、発電セル12から排出された燃料ガス及び酸化剤ガスをインナケース46及びアウタケース48外に導く排気管51,52を水蒸気タービンに接続してもよい。この場合、燃料電池モジュール10から排出された高温の排ガスを利用して水を加熱し、圧縮水蒸気を発生させ、この圧縮水蒸気をタービンに噴射して回転させることにより、発電機を回転させて熱エネルギを電気エネルギに変換することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、i番目の発電セルの燃料極層と(i+1)番目の発電セルの酸化剤極層との間にセパレータを1枚ずつ介装し、燃料極層及びセパレータ間に多孔質の燃料極集電体を介装し、酸化剤極層及びセパレータ間に多孔質の酸化剤極集電体を介装し、各セパレータに燃料供給通路及び酸化剤供給通路を形成し、第1端板に酸化剤供給通路を形成し、第2端板に燃料供給通路を形成し、燃料供給通路に燃料ガスを供給する燃料用ディストリビュータを燃料電池の近傍に設け、酸化剤供給通路に酸化剤ガスを供給する酸化剤用ディストリビュータを燃料電池の近傍に設け、更に第1端板及び第2端板に一対の電極端子を電気的にそれぞれ接続したので、燃料用ディストリビュータに導入した燃料ガスが燃料供給通路及び燃料極集電体を通って燃料極層の略中心から外周縁に向って放射状に流れ、同時に酸化剤用ディストリビュータに導入された酸化剤ガスが酸化剤供給通路及び酸化剤極集電体を通って酸化剤極層の略中心から外周縁に向って放射状に流れる。この結果、発電セルの表面の全てが発電に寄与するので、燃料ガス及び燃料極層の衝突回数と、酸化剤ガス及び酸化剤ガスの衝突回数が多くなるので、発電効率が向上する。また各発電セルが導電性材料により形成されたセパレータ等を介して直列に接続されているので、一対の電極端子から大きな電力を取出すことができる。なお、本発明の燃料電池の外径を大きくするに従って反応経路が増大するので、発電性能の向上に繋がる。
【0064】
またセパレータ又は第1端板に形成された各酸化剤供給通路が酸化剤ガスをセパレータ又は第1端板の外周面から導入してセパレータ又は第1端板の酸化剤極集電体に対向する面からシャワー状に略均一に吐出させるように構成すれば、酸化剤ガスが酸化剤供給通路からシャワー状に酸化剤極集電体に向って略均一に吐出されるので、この酸化剤ガスにより発電セルを均一に加熱・冷却できる。また燃料電池の発電中におけるジュール熱の発生により、発電セルが加熱されて設定温度より上昇したときに、この設定温度より僅かに低い温度の酸化剤ガスを上記酸化剤供給通路から吐出させることにより、発電セルを均一に冷却できるので、発電セルの局所的な加熱又は冷却による損傷を防止できる。
また燃料供給通路及び酸化剤供給通路のいずれにも連通しないようにn枚のセパレータ、単一の第1端板及び単一の第2端板のそれぞれに複数の挿入穴を形成し、これらの挿入穴に第1ヒータを挿入すれば、燃料電池の起動時に第1ヒータに通電することにより発電セルを速やかに昇温できるので、昇温時間を短縮できる。また発電セルが均一に昇温し、発電セルの中心と外周縁との温度差がなくなって均一に熱膨張するため、発電セルの損傷を防止できる。また複数の挿入穴に第1ヒータ及び温度センサを挿入すれば、温度センサの検出出力に基づいて第1ヒータを制御することにより、セパレータ等の温度をきめ細かく制御できる。
また燃料供給通路及び酸化剤供給通路のいずれにも連通しないようにn枚のセパレータ、単一の第1端板及び単一の第2端板のそれぞれに複数の軽量化穴を形成すれば、セパレータ、第1端板及び第2端板の重量を小さくできるので、燃料電池の軽量化を図ることができる。
【0066】
また燃料用ディストリビュータに燃料ガスを供給する燃料予熱管を燃料電池の外周面に巻回し、酸化剤用ディストリビュータに酸化剤ガスを供給する酸化剤予熱管を燃料電池の外周面に巻回し、燃料電池を燃料予熱管及び酸化剤予熱管とともにインナケースに収容し、発電セルから排出された燃料ガス及び酸化剤ガスをインナケース外に導く排気管をインナケースに接続すれば、燃料予熱管内を通る燃料ガスが発電セルから排出される高温の排ガスにより加熱されて燃料用ディストリビュータに供給され、酸化剤予熱管内を通る酸化剤ガスも発電セルから排出される上記高温の排ガスにより加熱されて酸化剤用ディストリビュータに供給される。この結果、燃料ガス及び酸化剤ガスが発電に適した温度で各発電セルに供給されるので、発電効率を向上できる。
【0067】
またインナケースの少なくとも内面に銀めっき、又はニッケル下地めっきを介する銀めっきを施せば、燃料電池の運転中に発電セルが発生した輻射熱を利用することにより、発電セル及びセパレータの保温効果を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施形態の燃料電池モジュールの縦断面図。
【図2】その燃料電池の図3のA−A線断面図。
【図3】図2のB−B線断面図。
【図4】図2のC−C線断面図。
【符号の説明】
10 燃料電池モジュール
11 燃料電池
12 発電セル
12a 固体電解質層
12b 燃料極層
12c 空気極層(酸化剤極層)
13 燃料用ディストリビュータ
14 空気用ディストリビュータ(酸化剤用ディストリビュータ)
16 セパレータ
16a 挿入穴
16b,21b,22b スリット
17 燃料極集電体
18 空気極集電体(酸化剤極集電体)
21 第1端板
22 第2端板
23,26 燃料供給通路
24,27 空気供給通路(酸化剤供給通路)
28 燃料用短管
29 空気用短管(酸化剤用短管)
31 第1ヒータ
32 第2ヒータ
36 燃料用絶縁管
37 燃料用封止部材
38 空気用絶縁管(酸化剤用絶縁管)
39 空気用封止部材(酸化剤用封止部材)
41,42 電極端子
43 燃料予熱管
44 空気予熱管(酸化剤予熱管)
46 インナケース
47 断熱材
48 アウタケース
51 第1排気管
52 第2排気管
53 水分離器
58 温度センサ
59 流量調整弁[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a solid oxide fuel cell module having a power generation cell configured by sandwiching an electrolyte layer between a fuel electrode layer and an oxidant electrode layer.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, as this type of fuel cell, a solid oxide fuel cell described in JP-A-6-13088 has been known. In this solid oxide fuel cell, an assembly composed of a laminate of an anode, a solid electrolyte body, and a cathode, and a separator provided with a reaction gas supply pipe are alternately stacked, and fuel gas is supplied to one surface of the separator. It is described that a groove through which an oxidant gas flows is formed on the other surface of the separator. In this fuel cell, the reaction gas supply pipe is composed of a fuel gas supply pipe and an oxidant supply pipe formed at least in part by a ceramic pipe such as an alumina porcelain pipe. The fuel gas supply pipe is connected to the side of the separator and communicates with the groove through which the fuel gas flows, and the oxidant supply pipe is connected to the side of the separator and is configured to communicate with the groove through which the oxidant gas flows. The The fuel gas supply pipe is connected to a fuel gas distributor made of ceramic, and the oxidant supply pipe is connected to an oxidant gas distributor made of ceramic.
In the solid oxide fuel cell configured as described above, since the reaction gas supply pipe is individually connected to each separator, a circular glass ring that conventionally seals the circular gas manifold formed on the assembly and the separator. In addition, a rectangular glass ring that conventionally gas-sealed the outer shape between the assembly and the separator can be eliminated.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the solid oxide fuel cell shown in the above-mentioned conventional Japanese Patent Laid-Open No. 6-13088, the ribbed porous substrate of the separation plate is formed with ribs for guiding the reaction gas in a predetermined direction. The surface area of the power generation cell that contributes to power generation is reduced by the contact area of the rib with the anode or cathode, and there is a problem in that power generation efficiency decreases.
Further, in the solid oxide fuel cell disclosed in the above-mentioned conventional JP-A-6-13088, since the anode and cathode and the ribbed porous substrate are in contact with each other only by the rib, Therefore, the reaction is likely to occur only in the vicinity of the portion where the anode and the cathode are in contact with the rib. In other words, since the central portion of the groove between the ribs is not in contact with the anode and the cathode, the electrons generated by the reaction disappear due to the electrical resistance of the anode and the cathode before reaching the rib, and the reaction occurs on the entire surface of the power generation cell. There were also problems that were difficult to make.
Furthermore, in the solid oxide fuel cell shown in the above-mentioned conventional Japanese Patent Laid-Open No. 6-13088, part or all of the reaction gas supply pipe is formed of a relatively brittle ceramic pipe. This has to be done carefully, increasing the assembly time, and possibly causing damage to the reaction gas supply pipe due to thermal stress acting on the reaction gas supply pipe due to repeated heating and cooling of the fuel cell.
[0004]
A first object of the present invention is to provide a fuel cell module capable of improving power generation efficiency by causing all the surfaces of power generation cells contributing to power generation to contribute to power generation.
A second object of the present invention is to provide a fuel cell module capable of uniformly heating and cooling a power generation cell by flowing an oxidant gas substantially uniformly throughout the oxidant electrode layer.
A third object of the present invention is a fuel cell module which can improve the power generation efficiency by controlling the flow of fuel gas in the fuel electrode layer and increasing the number of collisions between the fuel gas and the fuel electrode layer.
A fourth object of the present invention is to provide a fuel cell module that can shorten the temperature raising time at startup and can prevent damage to the power generation cell by uniform temperature raising.
[0005]
A fifth object of the present invention is to provide a fuel cell module that can improve power generation efficiency by supplying fuel gas and oxidant gas to each power generation cell at a temperature suitable for power generation.
A sixth object of the present invention is to join one or both of a fuel electrode current collector and an oxidant electrode current collector to a stainless steel separator, a first end plate, and a second end plate, By welding and preventing oxidation of the joint portion, long-term electrical conduction between the separator, the first end plate or the second end plate and the fuel electrode current collector or the oxidant electrode current collector can be obtained. It is to provide a fuel cell module.
A seventh object of the present invention is to provide a fuel cell module that can reduce the number of components and can be miniaturized by eliminating the need for a reformer for reforming fuel gas. .
[0006]
As shown in FIGS. 1 and 2, the invention according to claim 1 includes a
[0007]
In the fuel cell module according to claim 1, when the fuel gas is introduced into the
The oxidant gas receives electrons from the
[0008]
acidSince the oxidant gas is discharged almost uniformly from the
[0009]
Claim2The invention according to claim1As shown in FIGS. 2 and 3, the
This claim2In the fuel cell module described in (1), the temperature of the
[0010]
Claim3The invention according to claim1The n-type separator, a single first end plate, or a single second end plate so as not to communicate with either the fuel supply passage or the oxidant supply passage. A plurality of lightening holes are formed in two or more.
This claim3In the fuel cell described in (1), the weight of the separator, the first end plate, or the second end plate can be reduced by forming the weight reduction hole, so that the weight of the fuel cell can be reduced.
[0013]
Claim4The invention according to claim 1 to claim 13either1 itemFurther, as shown in FIG. 1, a
This claim4In the fuel cell module described in 1), the fuel gas passing through the
Further, by utilizing the radiant heat generated by the
[0030]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Next, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
As shown in FIG. 1, the
[0031]
The solid electrolyte layer, the fuel electrode layer, the air electrode layer, the fuel electrode current collector, and the air electrode current collector are not in the shape of a disk, but a polygonal plate such as a quadrangular plate, a hexagonal plate, or an octagonal plate. You may form in a shape. Further, the separator, the first end plate and the second end plate may be formed in a polygonal plate shape such as a disc shape, a rectangular plate shape, a hexagonal plate shape, an octagonal plate shape, etc. instead of a square plate shape. . In this case, in order to allow the fuel gas to flow evenly from the approximate center of the
[0032]
In addition, when the fuel cell is installed so that the stacking direction of the power generation cells coincides with the vertical direction, that is, each power generation cell extends in the horizontal direction, the fuel gas is preferably discharged from the substantially center of the separator. When the fuel cell is installed so that the stacking direction of the fuel cell coincides with the horizontal direction, that is, each power generation cell extends in the vertical direction, it is preferable that the fuel gas is discharged from a portion shifted slightly below the center of the separator. . The reason for this is that when fuel cells are installed so that each power generation cell extends in the vertical direction, when hydrogen or methane fuel gas is discharged from the center of the separator, hydrogen or methane rises due to the effect of gravity, This is because the battery reaction is more active in the upper part of the power generation cell than in the lower part. Therefore, when the fuel cell is installed so that each power generation cell extends in the vertical direction, the position of the second fuel hole is shifted slightly below the center of the separator in order to generate power uniformly over the entire surface of the power generation cell as described above. Is preferred.
[0033]
Further, when the
[0034]
The
[0035]
Moreover, the
[0036]
The
[0037]
The
[0038]
An example of a method for manufacturing the
[0039]
The
[0040]
The
[0041]
Returning to FIG. 2, the anode
[0042]
The
[0043]
The
[0044]
Further, through
[0045]
Returning to FIG. 1, the
[0046]
In order to ensure electrical insulation between the fuel
[0047]
A pair of
[0048]
In this embodiment, the
[0049]
The
[0050]
The
[0051]
A
[0052]
A cooling
[0053]
The operation of the
Fuel gas (for example, methane gas (CHFour)) Is supplied to the
[0054]
The fuel gas and air heated while spiraling around the outer peripheral surface of the
[0055]
When the fuel gas heated and reformed to an optimum temperature for power generation is introduced into the
[0056]
The air supplied to the
[0057]
Compared with a conventional fuel cell, that is, a fuel cell having a structure not having an air electrode current collector and a fuel electrode current collector, in which a reaction occurs only in the vicinity of the portion where the anode and the cathode are in contact with each other and power generation efficiency is reduced. In the
Further, when the
[0058]
Further, the
The
Further, it is preferable that nickel plating is applied to the inner surfaces of the
[0059]
On the other hand, since a large number of
[0060]
Further, stainless steel, nickel-base alloy or chromium-
[0061]
In the above embodiment, air is used as the oxidant gas, but oxygen or other oxidant gas may be used.
In the above embodiment, as the fuel cell, a solid oxide fuel cell in which the power generation cell is configured by sandwiching the solid electrolyte layer between the fuel electrode layer and the air electrode layer (oxidant electrode layer) is described. However, a polymer electrolyte fuel cell, a carbonate molten salt fuel cell, a phosphoric acid fuel cell, or the like may be used.
Moreover, in the said embodiment, although the separator was formed with any of stainless steel, nickel base alloy, or chromium base alloy, lanthanum chromite (La0.9Sr0.1CrOThree) Or the like may be formed of a conductive ceramic.
Moreover, in the said embodiment, although the 1st heater was inserted in the insertion hole of a separator, a 1st end plate, and a 2nd end plate, respectively, a 1st heater and a temperature sensor (thermocouple for temperature measurement) are inserted alternately. May be. In this case, the temperature of the separator or the like can be finely controlled by controlling the first heater based on the detection output of the temperature sensor.
[0062]
In the above embodiment, the tip of the water supply pipe is inserted into the fuel preheating pipe, and the sprayer is connected to the water supply pipe. However, the tip of the water supply pipe is inserted above the fuel preheating pipe, and this water supply A pump may be connected to the proximal end of the tube. In this case, the water supplied to the fuel preheating pipe is vaporized as it goes down the fuel preheating pipe by the heat of the exhaust gas passing through the second exhaust pipe.
Furthermore,
[0063]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, one separator is interposed between the fuel electrode layer of the i-th power generation cell and the oxidant electrode layer of the (i + 1) -th power generation cell. A porous fuel electrode current collector is interposed between the separators, and a porous oxidant electrode current collector is interposed between the oxidant electrode layer and the separator. A fuel supply passage and an oxidant supply passage are provided in each separator. An oxidant supply passage is formed in the first end plate, a fuel supply passage is formed in the second end plate, and a fuel distributor for supplying fuel gas to the fuel supply passage is provided in the vicinity of the fuel cell. An oxidant distributor for supplying an oxidant gas to the oxidant supply passage is provided in the vicinity of the fuel cell, and a pair of electrode terminals are electrically connected to the first end plate and the second end plate, respectively. The introduced fuel gas passes through the fuel supply passage and The oxidant gas that flows radially from the center of the fuel electrode layer to the outer peripheral edge through the anode current collector and simultaneously introduced into the oxidant distributor passes through the oxidant supply passage and the oxidant electrode current collector. Thus, it flows radially from the approximate center of the oxidizer electrode layer toward the outer periphery. As a result, since all of the surface of the power generation cell contributes to power generation, the number of collisions between the fuel gas and the fuel electrode layer and the number of collisions between the oxidant gas and the oxidant gas increase, so that power generation efficiency is improved. Moreover, since each power generation cell is connected in series via the separator etc. which were formed with the electroconductive material, big electric power can be taken out from a pair of electrode terminal. In addition, since the reaction path increases as the outer diameter of the fuel cell of the present invention is increased, the power generation performance is improved.
[0064]
Each oxidant supply passage formed in the separator or the first end plate introduces an oxidant gas from the outer peripheral surface of the separator or the first end plate and faces the oxidant electrode current collector of the separator or the first end plate. If the oxidant gas is discharged from the surface substantially uniformly in a shower shape, the oxidant gas is discharged from the oxidant supply passage in a shower shape substantially uniformly toward the oxidant electrode current collector. The power generation cell can be heated and cooled uniformly. Also, by generating Joule heat during power generation of the fuel cell, when the power generation cell is heated and rises above the set temperature, the oxidant gas having a temperature slightly lower than the set temperature is discharged from the oxidant supply passage. Since the power generation cell can be cooled uniformly, damage due to local heating or cooling of the power generation cell can be prevented.
A plurality of insertion holes are formed in each of the n separators, the single first end plate, and the single second end plate so as not to communicate with either the fuel supply passage or the oxidant supply passage. If the first heater is inserted into the insertion hole, the temperature of the power generation cell can be quickly raised by energizing the first heater when the fuel cell is started, so that the temperature raising time can be shortened. Moreover, since the temperature of the power generation cell is increased uniformly, the temperature difference between the center and the outer periphery of the power generation cell is eliminated and the thermal expansion is performed uniformly, so that the power generation cell can be prevented from being damaged. If the first heater and the temperature sensor are inserted into the plurality of insertion holes, the temperature of the separator or the like can be finely controlled by controlling the first heater based on the detection output of the temperature sensor.
If a plurality of weight reduction holes are formed in each of the n separators, the single first end plate, and the single second end plate so as not to communicate with any of the fuel supply passage and the oxidant supply passage, Since the weight of the separator, the first end plate, and the second end plate can be reduced, the weight of the fuel cell can be reduced.
[0066]
A fuel preheating tube for supplying fuel gas to the fuel distributor is wound around the outer peripheral surface of the fuel cell, and an oxidant preheating tube for supplying oxidant gas to the oxidant distributor is wound around the outer peripheral surface of the fuel cell. If the exhaust pipe that guides the fuel gas and oxidant gas discharged from the power generation cell to the outside of the inner case is connected to the inner case, the fuel that passes through the fuel preheating pipe The gas is heated by the high temperature exhaust gas discharged from the power generation cell and supplied to the fuel distributor, and the oxidant gas passing through the oxidant preheating pipe is also heated by the high temperature exhaust gas discharged from the power generation cell to be the oxidant distributor. To be supplied. As a result, fuel gas and oxidant gas are supplied to each power generation cell at a temperature suitable for power generation, so that power generation efficiency can be improved..
[0067]
MaSilver plating on at least the inner surface of the inner case,OrSilver plating through nickel base platingBy using the radiant heat generated by the power generation cell during the operation of the fuel cell, the heat retention effect of the power generation cell and the separator can be further enhanced.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of a fuel cell module according to an embodiment of the present invention.
2 is a cross-sectional view of the fuel cell taken along line AA in FIG.
3 is a cross-sectional view taken along line BB in FIG.
4 is a cross-sectional view taken along the line CC in FIG. 2;
[Explanation of symbols]
10 Fuel cell module
11 Fuel cell
12 Power generation cell
12a Solid electrolyte layer
12b Fuel electrode layer
12c Air electrode layer (oxidant electrode layer)
13 Fuel distributor
14 Distributor for air (Distributor for oxidizing agent)
16 Separator
16a insertion hole
16b, 21b, 22b Slit
17 Current collector for fuel electrode
18 Air electrode current collector (oxidant electrode current collector)
21 First end plate
22 Second end plate
23, 26 Fuel supply passage
24, 27 Air supply passage (oxidant supply passage)
28 Short tube for fuel
29 Short tube for air (short tube for oxidizing agent)
31 First heater
32 Second heater
36 Fuel insulation pipe
37 Fuel Sealing Member
38 Insulating tube for air (insulating tube for oxidizing agent)
39 Air sealing member (oxidant sealing member)
41, 42 electrode terminals
43 Fuel preheating tube
44 Air preheating tube (oxidizer preheating tube)
46 Inner case
47 Insulation
48 Outer case
51 First exhaust pipe
52 Second exhaust pipe
53 Water separator
58 Temperature sensor
59 Flow control valve
Claims (4)
前記i番目(i=1,2,…,n)の発電セル(12)の燃料極層(12b)とこの燃料極層(12b)に隣接する(i+1)番目の発電セル(12)の酸化剤極層(12c)との間に導電性材料により板状に形成されたセパレータ(16)がそれぞれ1枚ずつ合計n枚介装され、
前記i番目の発電セル(12)の燃料極層(12b)と前記j番目(j=1,2,…,n)のセパレータ(16)との間に導電性を有する多孔質の燃料極集電体(17)が介装され、
前記(i+1)番目の発電セル(12)の酸化剤極層(12c)と前記j番目のセパレータ(16)との間に導電性を有する多孔質の酸化剤極集電体(18)が介装され、
前記1番目の発電セル(12)の酸化剤極層(12c)に酸化剤極集電体(18)を介して導電性材料により板状に形成された単一の第1端板(21)が積層され、
前記(n+1)番目の発電セル(12)の燃料極層(12b)に燃料極集電体(17)を介して導電性材料により板状に形成された単一の第2端板(22)が積層され、
前記n枚のセパレータ(16)が燃料ガスをセパレータ(16)外周面から導入して前記セパレータ(16)の中心から前記燃料極集電体(17)に向って吐出させる燃料供給通路(23)と、酸化剤ガスを前記セパレータ(16)外周面から導入して前記セパレータ(16)の酸化剤極集電体(18)に対向する面から吐出させる酸化剤供給通路(24)とをそれぞれ有し、
前記単一の第1端板(21)が前記酸化剤ガスを前記第1端板(21)の酸化剤極集電体(18)に対向する面から吐出させる酸化剤供給通路(27)を有し、
前記単一の第2端板(22)が前記燃料ガスを前記第2端板(22)の中心から前記燃料極集電体(17)に向って吐出させる燃料供給通路(26)を有し、
前記燃料供給通路(23,26)に燃料用短管(28)を通して燃料ガスをそれぞれ供給する燃料用ディストリビュータ(13)が前記燃料電池(11)の側方に間隔をあけて設けられ、
前記酸化剤供給通路(24,27)に酸化剤用短管(29)を通して酸化剤ガスをそれぞれ供給する酸化剤用ディストリビュータ(14)が前記燃料電池(11)の側方に間隔をあけて設けられ、
前記第1端板(21)及び前記第2端板(22)に一対の電極端子(41,42)が電気的にそれぞれ接続され、
前記n枚のセパレータ (16) に形成された各酸化剤供給通路 (24) が酸化剤ガスを前記セパレータ (16) 外周面から導入して前記セパレータ (16) の酸化剤極集電体 (18) に対向する面からシャワー状に吐出させるように構成され、
前記単一の第1端板 (21) に形成された酸化剤供給通路 (27) が前記酸化剤ガスを前記第1端板 (21) の酸化剤極集電体 (18) に対向する面からシャワー状に吐出させるように構成された
ことを特徴とする燃料電池モジュール。There are (n + 1) power generation cells (12) composed of an electrolyte layer (12a) and a fuel electrode layer (12b) and an oxidant electrode layer (12c) disposed on both surfaces of the electrolyte layer (12a) (n is a positive value). A stacked fuel cell, and
The fuel electrode layer (12b) of the i-th (i = 1, 2,..., N) power generation cell (12) and the oxidation of the (i + 1) th power generation cell (12) adjacent to the fuel electrode layer (12b). A total of n separators (16) each formed in a plate shape with a conductive material are interposed between the electrode layer (12c),
A porous fuel electrode assembly having conductivity between the fuel electrode layer (12b) of the i-th power generation cell (12) and the j-th (j = 1, 2,..., N) separator (16). Electrical body (17) is installed,
A porous oxidant electrode current collector (18) having conductivity is interposed between the oxidant electrode layer (12c) of the (i + 1) th power generation cell (12) and the jth separator (16). Dressed,
A single first end plate (21) formed of a conductive material on the oxidant electrode layer (12c) of the first power generation cell (12) through the oxidant electrode current collector (18). Are stacked,
A single second end plate (22) formed of a conductive material on the fuel electrode layer (12b) of the (n + 1) th power generation cell (12) through a fuel electrode current collector (17). Are stacked,
The n separators (16) introduce fuel gas from the outer peripheral surface of the separator (16) and discharge the fuel gas from the center of the separator (16) toward the fuel electrode current collector (17). And an oxidant supply passage (24) for introducing an oxidant gas from the outer peripheral surface of the separator (16) and discharging it from the surface of the separator (16) facing the oxidant electrode current collector (18). And
An oxidant supply passage (27) through which the single first end plate (21) discharges the oxidant gas from the surface of the first end plate (21) facing the oxidant electrode current collector (18). Have
The single second end plate (22) has a fuel supply passage (26) for discharging the fuel gas from the center of the second end plate (22) toward the anode current collector (17). ,
A fuel distributor (13) for supplying fuel gas to each of the fuel supply passages (23, 26) through a fuel short pipe (28) is provided at a side of the fuel cell (11) with an interval therebetween ,
An oxidant distributor (14) for supplying an oxidant gas to the oxidant supply passages (24, 27) through an oxidant short pipe (29) is provided at a side of the fuel cell (11) with a space therebetween. And
A pair of electrode terminals (41, 42) are electrically connected to the first end plate (21) and the second end plate (22), respectively .
Oxidant electrode current collector of the introducing each oxidant supply passage (24) containing gas formed in the n sheets of the separator (16) from the separator (16) outer peripheral surface a separator (16) (18 ) Is configured to be discharged in the form of a shower from the surface facing the
Surface wherein the single first end plate (21) to form oxidant supply passage (27) is opposed to the oxidant gas to the oxidant electrode current collector of the first end plate (21) (18) A fuel cell module configured to be discharged in a shower form .
酸化剤用ディストリビュータ(14)に酸化剤ガスを供給する酸化剤予熱管(44)が前記燃料電池(11)の外周面に巻回され、
前記燃料電池(11)が前記燃料予熱管(43)及び前記酸化剤予熱管(44)とともにインナケース(46)に収容され、
発電セル(12)から排出された前記燃料ガス及び前記酸化剤ガスを前記インナケース(46)外に導く排気管(51)が前記インナケース(46)に接続され、
前記インナケース (46) の少なくとも内面が銀めっき、又はニッケル下地めっきを介する銀めっきされた請求項1ないし3いずれか1項に記載の燃料電池モジュール。A fuel preheating pipe (43) for supplying fuel gas to the fuel distributor (13) is wound around the outer peripheral surface of the fuel cell (11),
An oxidant preheating pipe (44) for supplying an oxidant gas to the oxidant distributor (14) is wound around the outer peripheral surface of the fuel cell (11),
The fuel cell (11) is housed in an inner case (46) together with the fuel preheating pipe (43) and the oxidant preheating pipe (44),
An exhaust pipe (51) for guiding the fuel gas and the oxidant gas discharged from the power generation cell (12) to the outside of the inner case (46) is connected to the inner case (46) ,
The fuel cell module according to any one of claims 1 to 3, wherein at least an inner surface of the inner case (46) is silver-plated through silver plating or nickel base plating .
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