JP3919359B2 - 楽音信号のアタック位置検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、単一または複数の楽器及び歌唱からなる楽音信号データから自動的に発音開始タイミングを検出するアタック位置検出装置に関するもので、特に、ビート検出、テンポ検出、ピッキング検出、タイムストレッチ、タイムスライスなど種々の技術に応用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来用いられているアタック検出(またはピーク検出)の手法の一例を示す。
図7に最も基本的な1つの振幅しきい値との比較を用いる方法を示す。
図7に示す構成では、入力波形からエンベロープ生成手段10により振幅エンベロープを生成し、アタック位置検出手段11により入力される振幅エンベロープを予め定められた振幅しきい値と比較し、振幅エンベロープがしきい値を越えたタイミングで出力信号としてパルスを発生することで、アタック位置を検出するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような単純な方法では、一般に、しきい値の設定によっては、例えば振幅の大きいバスドラム等の低音域リズム楽器が鳴っているような場合は良いが、振幅の小さいシンバル等の高音域リズム楽器が入ると、振幅エンベロープが振幅しきい値を越えない場合が多い為、低音域リズム楽器が一定のテンポでなるような楽曲のビート検出としては利用できても、アタック検出としては検出精度は良くないことが知られている。
【0004】
また、この方法で検出されるアタック位置は、エンベロープが真のアタック開始時刻からしきい値を越えるまでの時間分だけ若干遅れる問題点も知られている。
【0005】
このような問題点を解消するための種々の改良方法が提案されている。
例えば特開平5−6172号公報では、図7の構成に加えて、ユーザーによるガイドタッピングの情報を併用する例が用いられている。
この方法では、図7の構成で検出されるアタック位置では通常遅すぎて真のアタック位置が検出されないので、一定のアタックオフセットAOF時間を設け、得られた振幅エンベロープが定められた振幅しきい値(トリガースレッシュホールドTH)を越えた時間より一律に前のAOF時間にアタック位置を設定するようになっているが、必ずしも真のアタック位置を検出するものではない。
【0006】
また、図7に示す構成では、楽曲全体の振幅変動などに対応できない。つまり、曲全体の音量が大きい所と小さい所で検出精度に差が出るため、改良方法が提案されている。例えば実公平5−26639号公報に示されたものと同様なテンポ検出装置を図8に示す。図8に示す構成では、エンベロープ生成手段10の前に、入力波形の所定レベルを超える振動部を検出する比較手段12を設けて、設定されるレベルをアタック位置検出手段11の出力信号に応じて制御するもので、楽曲全体の振幅変動に対応できる反面、一般に振幅が小さいことが知られている高音域リズム楽器の振幅エンベロープの最大値は楽曲全体の振幅変動の範囲の上限を下回ることが多いことが経験的に知られており、入力信号に高音域リズム楽器が刻むビートがあった場合などは正確なアタック位置検出ができないことがあった。
【0007】
さらに、例えば特開平10−31490号公報では、親波形データを分割して子波形データに分ける際に用いる振幅しきい値との比較手段を利用して、分割の度に新たな1つの振幅しきい値を設定し、結果的に複数回の振幅しきい値との比較手段を設けることで検出精度を上げているが、この新たな振幅しきい値は分割の度にユーザーが新たに与える必要があった。
【0008】
また一方で、アタック検出に有効な情報は、楽音信号の低域と高域に集中していることが経験的に知られているので、例えば特開昭62−205397号公報では、その帯域の信号だけをフィルタで取り出しアタック検出に用いる方法が提案されているが、帯域通過フィルタの特性は低域通過「または」高域通過であるとしたため、ユーザーが入力しようとする楽音信号の特性を予め把握した上で、その特性に対して効果的なフィルタ特性をユーザーが選択する必要があった。
【0009】
この発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、ユーザーが検出の途中で手を加えることなく、自動的に精度よくかつ早期にアタック位置検出を行うことができる楽音信号のアタック位置検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る楽音信号のアタック位置検出装置は、入力される楽音信号の振幅エンベロープを生成するエンベロープ生成手段と、上記振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、上記振幅エンベロープが上記振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値の位置を探索しアタック位置として決定するアタック位置検出手段と備えたものである。
【0011】
また、上記アタック位置検出手段は、上記振幅エンベロープの極大値を探索した後、振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較することを特徴とするものである。
【0012】
また、上記アタック位置検出手段は、一度アタック位置を検出した後は、所定時間の間アタック位置検出を行わないでアタック位置検出を休止することを特徴とするものである。
【0013】
また、上記エンベロープ生成手段の前段に、入力される楽音信号をフィルタ処理する異なる通過帯域を有する2つの帯域通過フィルタを設け、これらフィルタを介した楽音信号を上記エンベロープ生成手段に入力させることを特徴とするものである。
【0014】
また、上記2つのフィルタと上記エンベロープ生成手段の間に、上記2つのフィルタの出力信号を所定の重み付け合成してノルム演算し正出力を得るノルム生成手段を設け、当該ノルム生成手段を介した楽音信号を上記エンベロープ生成手段に入力させることを特徴とするものである。
【0015】
さらに、上記ノルム生成手段と上記エンベロープ生成手段との間に、上記ノルム生成手段の出力信号を一定時間毎に分割した各区間サンプルから一つの代表サンプルだけを得て間引きデータを出力する間引き手段を設け、当該間引き手段を介した楽音信号を上記エンベロープ生成手段に入力させることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る楽音信号のアタック位置検出装置の構成を示すブロック図である。
図1において、1と2は、例えばドラム音などの低域信号を取り出す低域通過フィルタでなる帯域通過フィルタとシンバル音などの高域信号を取り出す高域通過フィルタでなる帯域通過フィルタであり、異なる通過帯域を有する2つの帯域通過フィルタ1と2によりアタック位置検出に邪魔になる中音域を除去する。
【0017】
また、3は、通常振幅レベルの小さい高域通過フィルタ2の出力信号の重みを大きくして低域通過フィルタ1の出力信号と合成しつつ正出力を得るなど、2つの帯域通過フィルタ1と2の出力を重み付け合成しながら正出力を得る重み付け合成ノルム生成手段であり、具体的には、帯域通過フィルタ1の出力をLPFとすると共に、帯域通過フィルタ2の出力をHPFとし、重み付け係数をa,b(a≪b)としたとき、例えばa(LPF)2+b(HPF)2やa│LPF│+b│HPF│などの演算を行う。
【0018】
また、4は、これら帯域通過フィルタ1と2及び重み付け合成ノルム生成手段3を介した楽音信号の振幅エンベロープを生成するエンベロープ生成手段であり、例えば積分回路を用いてその正出力をスムージングし振幅エンベロープを生成する。
【0019】
さらに、5は、上記エンベロープ生成手段4からの振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、上記振幅エンベロープが上記振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅しきい値の極小値の位置を探索しアタック位置として決定するアタック位置検出手段であり、一度アタック位置を検出した後は、所定時間の間アタック位置検出を行わないでアタック位置検出を休止するようになされている。
【0020】
次に、上記構成に係る動作について図2に示すアタック位置検出手段5の動作フローチャート及び図3に示すエンベロープ生成手段4から出力される振幅エンベロープ波形図を参照して説明する。
今、アタック位置検出手段5には、エンベロープ生成手段4から図3に示す如く振幅エンベロープのデータ列が入力され順次内蔵メモリに記憶される。
【0021】
アタック位置検出手段5は、図2に示すように、まず、アタック位置検出フラグAFを0に、エンベロープインデックスnを0にする初期設定を行う(ステップS1)。アタック位置検出フラグAFを0にする初期設定が行われていれば(ステップS2でYES)、ステップS3及びS4に移行して振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、振幅しきい値を越える振幅エンベロープの値を探索する。
【0022】
すなわち、ステップS3及びS4において、エンベロープインデックスがn−1である振幅エンベロープE(n−1)が振幅しきい値TLより小さく、エンベロープインデックスが1つ先のnである振幅エンベロープE(n)が振幅しきい値TL以上である振幅エンベロープの値を探索する。
【0023】
このステップS3及びS4ともにYESとなる振幅エンベロープの値が探索できれば、図3に示す如く、振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡れば振幅エンベロープの値が極小値を示すアタック位置が存在するので、ステップS5以降の極小値探索ループに移行する。
【0024】
極小値探索ループでは、まず、ステップS5において、テンポラリインデックスiをi=n−1に設定し、ステップS6において、そのテンポラリインデックスによる振幅エンベロープデータE(i)の値が左右のデータE(i−1)及びE(i+1)よりも小さい値、つまり極小値であるか否かを判定する。ここで、判定結果、NOであれば、テンポラリインデックスiをi−1に設定し、ステップS6に戻り、さらに時間的に前に遡って極小値を検索し、極小値を探索できれば、ステップS8に移行し、極小値を示すインデックスNm −をその時のテンポラリインデックスiに設定してアタック位置として決定する。
【0025】
その後は、振幅エンベロープに激しく変化する楽音が含まれる場合に、1つのアタック音のみが存在するにも拘わらずピークが短い時間内に複数出現してアタック位置検出が誤検出されるのを防止するためのアタック位置検出を休止させるために、ステップS9において、カウントダウン時間tを設定時間Toth(図3参照)に設定すると共に、アタック位置検出フラグAFを1に設定する。
【0026】
さらに、ステップS10において、サンプルするエンベロープインデックスnを1進め、ステップS11において、その進めたインデックスの値nが設定値Nでなければ、ステップS2以降を繰り返し、設定値Nに達していれば終了する。ステップS2に戻り、アタック位置が検出されている状態では、アタック位置検出フラグAFが0でないので、1つのアタック音のみが存在するにも拘わらずピークが短い時間内に複数出現してアタック位置検出が誤検出されるのを防止するためのアタック位置検出休止ループとなるステップS12〜S14に移行する。
【0027】
アタック位置検出休止ループでは、ステップS12では時間tを1減じ、ステップS13ではその減じられた時間tが0であるか否かを判定し、0でなければステップS10及びS11を経てステップS2以降を繰り返し、0であれば、つまり設定時間T0th が経過すれば、ステップS14において、アタック位置検出フラグAFを0に戻し、ステップS10及びS11を経てステップS2以降を繰り返すようにする。
【0028】
このように、上記実施の形態1によれば、振幅エンベロープが振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡ってエンベロープの極小値を探索しアタック位置として決定するようにしたので、振幅しきい値を越える位置をアタック位置として定める場合よりも真のアタック位置を早くかつ的確に検出することができる。
また、設定する振幅しきい値のレベルを下げる場合には、それによって、雑音を拾ってアタック位置を誤検出することがあったが、この実施の形態では、振幅しきい値のレベルを下げることなく高いレベルの状態のままでアタック位置を的確に検出できる。
【0029】
また、アタック位置を検出したら一定時間アタック位置検出を休止するようにして一定時間内に複数のピークが現れたら一番先頭のピークだけを検出するようにしたので、元の楽音信号に振幅エンベロープの激しく変化する楽音などが含まれれて1つのアタックであるにも拘わらずピークが短い時間内に複数出現する場合でも、アタック検出の誤検出を防止できる。
【0030】
また、エンベロープ生成手段4の前段に、入力される楽音信号をフィルタ処理する異なる通過帯域を有する2つの帯域通過フィルタ1及び2を設けるようにしたので、振幅エンベロープの立ち上がりが緩やかな為にアタック検出の際に悪影響を与える信号が多く含まれる中音域を除去することができる。
【0031】
さらに、上記2つのフィルタの出力信号を所定の重み付け合成してノルム演算し正出力を得る重み付け合成ノルム生成手段3を設け、当該ノルム生成手段を介した楽音信号をエンベロープ生成手段4に入力させるようにしたので、高域信号の重みを大きくして低域信号と重み付け合成することで、通常振幅レベルの小さい高域信号のアタック位置検出の精度を上げることができる。
なお、重み付け合成ノルム生成手段3とエンベロープ生成手段4との間に対数変換手段を設けて、振幅エンベロープの大小が激しい楽音信号を入力しても精度よくアタック検出が行われるようにすることもできる。
【0032】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、振幅エンベロープと予め設定されたしきい値とを比較し、振幅エンベロープがしきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値の位置を探索することで、アタック位置を決定するようにしているが、振幅エンベロープの極大値を探索した後、振幅エンベロープと予め設定されたしきい値とを比較し、振幅エンベロープがしきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値の位置を探索することで、アタック位置を決定するようにしてよい。
【0033】
すなわち、この実施の形態2では、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS3の判定内容を、E(n)>E(n−1)かつE(n)≧E(n+1)であるか否か、つまり左右の値より大きいか否かを判定する内容に書き換えると共に、ステップS9の設定時間をT0max(<T0th)に設定換えするようにしたもので、アタック位置検出手段5により、振幅エンベロープの極大値を探索した後、振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、振幅エンベロープが振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値の位置を探索しアタック位置として決定するようにしたものである。
【0034】
図4は実施の形態2に係るアタック位置の検出動作を説明する振幅エンベロープ波形図である。
図4に示す振幅エンベロープ波形では、極大値として、E(N0 +),E(N1 +),E(N2 +),E(N3 +)が、また、極小値として、E(N0 −),E(N1 −),E(N2 −),E(N3 −)が存在する。なお、N0 +,N1 +,N2 +,N3 +,N0 −,N1 −,N2 −,N3 −はエンベロープインデックスを示す。
【0035】
図4に示す振幅エンベロープ波形においては、エンベロープインデックスがN0 +のとき、極大値探索によって極大値E(N0 +)が検出されるが、しきい値TLよりも低く、従って、アタック位置として判定されない。
また、エンベロープインデックスがN1 +のとき、極大値探索によって極大値E(N1 +)が検出され、その極大値E(N1 +)はしきい値TLよりも大きいので、しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値をの位置を探索する。これにより、検出されるインデックスN1 −はアタック位置として出力される。その後、設定時間T0maxの間アタック位置検出が休止されるが、極大値がないので問題はない。
【0036】
また、エンベロープインデックスがN2 +のとき、極大値探索によって極大値E(N2 +)が検出され、その極大値E(N2 +)はしきい値TLよりも大きいので、しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値をの位置を探索する。これにより、検出されるインデックスN2 −はアタック位置として出力される。その後、設定時間T0maxの間アタック位置検出が休止されるので、インデックスがN3 +に対応する極大値E(N3 +)が存在し、その位置より時間的に前に遡って位置に極小値E(N3 −)が存在しても、アタック位置として検出されない。
【0037】
従って、図4に示す振幅エンベロープからアタックとして検出されるのはインデックスN1 −とN2 −のみである。
このように、振幅エンベロープが激しく変化し、1つのアタックであるにも拘わらず一定時間内に複数のピークが現れる楽音である場合であっても、一定時間アタック位置検出を休止することで、アタック検出を誤検出することはない。
【0038】
また、この実施の形態2では、振幅エンベロープの極大値を探索した後、振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較するようにしたので、アタック位置検出の休止時間は、振幅エンベロープの極大値を探索した後の時間に設定すればよく、実施の形態1の場合より短く設定することができる。
【0039】
実施の形態3.
次に、図5は実施の形態3に係るアタック位置検出装置の構成を示すブロック図である。
図5において、図1に示す実施の形態1と同一部分は同一符号を付してその説明は省略する。新たな符号として、6は重み付け合成ノルム生成手段3とエンベロープ生成手段4との間に設けられて、重み付け合成ノルム生成手段3からの出力信号を一定時間毎に分割した各区間サンプルから一つの代表サンプルだけを得て間引きデータを出力する間引き手段である。
【0040】
すなわち、図6は間引き手段6の動作を説明する波形図である。
間引き手段6では、図6(a)に示す振幅エンベロープe(n)に対し、図6(b)に示すように、一定時間毎に分割し、各区間内の最大値を検出し、図6(c)に示すように、間引きされた振幅エンベロープE(n)を生成し出力する。
【0041】
このような間引き手段は、ダウンサンプリング手段により構成することもでき、簡易なデシメーションフィルタを用いて効率よくサンプルの間引きをすることができる。
通常、楽音信号の表現に必要なサンプリング周波数より振幅エンベロープの表現に必要なサンプリング周波数は大きく下回るので、振幅エンベロープを求めたら振幅エンベロープサンプルの間引きする間引き手段を設けることで、演算量を削減することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、または振幅エンベロープの極大値を探索した後、振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、振幅エンベロープが振幅しきい値以上であれば、振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値の位置を探索しアタック位置として決定するようにしたので、アタック位置を早期にかつ的確に検出することができる。
【0043】
また、一度アタック位置を検出した後は、所定時間の間アタック位置検出を行わないでアタック位置検出を休止するようにしたので、振幅エンベロープが激しく変化し、1つのアタックであるにも拘わらず一定時間内に複数のピークが現れる楽音である場合のアタック位置の誤検出を防止できる。
【0044】
また、エンベロープ生成手段の前に、入力される楽音信号をフィルタ処理する異なる通過帯域を有する2つの帯域通過フィルタを設けることで、振幅エンベロープの立ち上がりが緩やかな為にアタック検出の際に悪影響を与える信号が多く含まれる中音域を除去することができる。
【0045】
また、上記2つのフィルタとエンベロープ生成手段の間に、上記2つのフィルタの出力信号を所定の重み付け合成してノルム演算し正出力を得るノルム生成手段を設け、当該ノルム生成手段を介した楽音信号をエンベロープ生成手段に入力させるようにしたので、高域信号の重みを大きくして低域信号と重み付け合成することで、通常振幅レベルの小さい高域信号のアタック位置検出の精度を上げることができる。
【0046】
さらに、上記ノルム生成手段と上記エンベロープ生成手段との間に、上記ノルム生成手段の出力信号を一定時間毎に分割した各区間サンプルから一つの代表サンプルだけを得て間引きデータを出力する間引き手段を設けるようにしたので、演算量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る楽音信号のアタック位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1のアタック位置検出手段5の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】 この発明の実施の形態1に係るアタック位置検出動作を説明するための波形図である。
【図4】 この発明の実施の形態2に係るアタック位置検出動作を説明するための波形図である。
【図5】 この発明の実施の形態3に係る楽音信号のアタック位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図6】 図5の間引き手段6の動作を説明するための波形図である。
【図7】 最も基本的な従来のアタック位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図8】 実公平5−26639号公報に示されたものと同様な従来のテンポ検出装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、2 帯域通過フィルタ、3 重み付け合成ノルム生成手段、4 エンベロープ生成手段、5 アタック位置検出手段、6 間引き手段。
Claims (6)
- 入力される楽音信号の振幅エンベロープを生成するエンベロープ生成手段と、
上記振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較し、上記振幅エンベロープが上記振幅しきい値を越えた位置より時間的に前に遡って振幅エンベロープの極小値の位置を探索しアタック位置として決定するアタック位置検出手段と
備えた楽音信号のアタック位置検出装置。 - 請求項1に記載の楽音信号のアタック位置検出装置において、上記アタック位置検出手段は、上記振幅エンベロープの極大値を探索した後、振幅エンベロープを予め設定された振幅しきい値と比較することを特徴とする楽音信号のアタック位置検出装置。
- 請求項1または2に記載の楽音信号のアタック位置検出装置において、上記アタック位置検出手段は、一度アタック位置を検出した後は、所定時間の間アタック位置検出を行わないでアタック位置検出を休止することを特徴とする楽音信号のアタック位置検出装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の楽音信号のアタック位置検出装置において、上記エンベロープ生成手段の前段に、入力される楽音信号をフィルタ処理する異なる通過帯域を有する2つの帯域通過フィルタを設け、これらフィルタを介した楽音信号を上記エンベロープ生成手段に入力させることを特徴とする楽音信号のアタック位置検出装置。
- 請求項4に記載の楽音信号のアタック位置検出装置において、上記2つのフィルタと上記エンベロープ生成手段の間に、上記2つのフィルタの出力信号を所定の重み付け合成してノルム演算し正出力を得るノルム生成手段を設け、当該ノルム生成手段を介した楽音信号を上記エンベロープ生成手段に入力させることを特徴とする楽音信号のアタック位置検出装置。
- 請求項5に記載の楽音信号のアタック位置検出装置において、上記ノルム生成手段と上記エンベロープ生成手段との間に、上記ノルム生成手段の出力信号を一定時間毎に分割した各区間サンプルから一つの代表サンプルだけを得て間引きデータを出力する間引き手段を設け、当該間引き手段を介した楽音信号を上記エンベロープ生成手段に入力させることを特徴とする楽音信号のアタック位置検出装置。
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JPS59632A (ja) | 信号分析装置 |
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