(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1の多層情報記録媒体について、図面を参照して説明する。本発明において、多層情報記録媒体とは2層以上の記録層を備えた情報記録媒体を指す。
図6は、本発明の実施の形態1における多層情報記録媒体50の領域レイアウトを示す図である。多層情報記録媒体50は2つの記録層51および52を備える。多層情報記録媒体50は、ユーザデータを記録するためのユーザデータ領域5を備える。本発明の実施の形態では、図面上で複数の記録層の内の上側の層を1層目の記録層、下側の層を2層目の記録層と呼ぶこととする。1層目の記録層51は、記録再生方向と同じ方向である内周側から外周側へ向かって、リードイン領域101と、先頭スペア領域105と、ユーザデータ領域5の一部である第1のユーザデータ領域15と、中間スペア領域106と、ミドル領域102とを含む。2層目の記録層52は、記録再生方向と同じ方向である外周側から内周側へ向かって、ミドル領域103と、中間スペア領域106’と、ユーザデータ領域5の一部である第2のユーザデータ領域16と、最終スペア領域107と、リードアウト領域104とを含む。
先頭スペア領域105、中間スペア領域106、中間スペア領域106’および最終スペア領域107のそれぞれは、ユーザデータ領域5において少なくとも1つの欠陥領域(本発明の実施の形態では欠陥領域は欠陥セクタである)がある場合に、少なくとも1つの欠陥セクタの代わりに使用され得る少なくとも1つの交替領域(本発明の実施の形態では交替領域はスペアセクタである)を含む。
リードイン領域101は、ディスク情報領域10と、OPC領域11と、欠陥管理領域12とを含んでいる。ミドル領域102は、欠陥管理領域12を含んでいる。リードアウト領域104は、OPC領域11を含んでいる。欠陥管理領域12は、DDS20とDL21とを含む。
ディスク情報領域10は1層目の記録層51に設けられ、ディスク情報領域10には、1層目と2層目との両方の記録層51および52に対してそれぞれ個別に推奨された記録再生パラメータが格納されている。これにより、1層目の記録層51にアクセスするだけで多層情報記録媒体50の全ての記録層51および52に対するパラメータが得られるので、処理速度を高速化できて有利である。
欠陥管理領域12は、1層目の記録層51に設けられ、1層目と2層目の両方の記録層51および52の欠陥管理に関する欠陥管理情報を含む。即ち、DDS20には、先頭スペア領域105と中間スペア領域106と最終スペア領域107とに関する情報が記載される。又、DL21には、1層目と2層目の記録層51および52の両方の欠陥セクタの位置とその交替先の交替セクタの位置とがリストアップされる。これにより、1層目の記録層51にアクセスするだけで、この多層情報記録媒体50の全ての欠陥管理に関する情報を得られるので、処理速度を高速化できて有利である。
先頭スペア領域105および中間スペア領域106はユーザデータ領域15の両端部に隣接するように配置される。また、中間スペア領域106’および最終スペア領域107はユーザデータ領域16の両端部に隣接するように配置される。これは、第1および第2のユーザデータ領域15および16のいずれかを途中で分断する位置に各スペア領域105〜107を配置する場合と比べて、記録再生方向に沿ったシーケンシャルな記録再生が高速に行えるというメリットがある。さらに、中間スペア領域106と中間スペア領域106’とは多層情報記録媒体50の等しい半径位置に配置されている。この配置により、1層目の記録層51の第1のユーザデータ領域15から2層目の記録層52の第2のユーザデータ領域16へのレーザ光の焦点位置の切り替え時に、光ヘッド部の半径方向の移動距離が理想的には0になるので、より高速なアクセスを実現できる。ここで、理想的にというのは、1層目の記録層51と2層目の記録層52とを貼り合わせるときのズレや、レーザ光の焦点位置を切り替えている間にディスクの偏芯分のズレが生じるため、若干の半径方向へのレーザ光の移動は必要になるからである。
レーザ光の記録パワーを調整するためのOPC領域11は、1層目および2層目の記録層51および52の両方にそれぞれ設けられている。なぜなら、一方の記録層は半透明であるのに対して、他方の記録層は全反射するように記録膜の厚さを調整している為、記録特性はそれぞれの記録層毎に異なるからである。従って、レーザ光の記録パワーの調整が1層目の記録層51と2層目の記録層52とで別々に行えるように、OPC領域11が各記録層51および52に設けられる。
なお、ディスク情報領域10および欠陥管理領域12以外の制御情報の格納領域、例えばレーザ光の記録パワーの調整結果を格納する調整結果格納領域14なども、上述したとおり処理速度面を考慮すれば、1層目の記録層51に配置するのが望ましい。
なお、先頭スペア領域105のサイズ、中間スペア領域106のサイズ、最終スペア領域107のサイズはそれぞれ0としてもよい。また、例えば、先頭スペア領域105および中間スペア領域106のサイズが非0で、最終スペア領域107のサイズが0としても、上述した利点は変わらない。
図7は、本発明の実施の形態1におけるDDS20のデータ構造を示す。DDS20のデータは、DDS識別子201と、LSN0位置202と、先頭スペア領域サイズ203と、中間スペア領域サイズ204と、最終スペア領域サイズ205と、第1層最終LSN206と、第2層最終LSN207と、スペア枯渇フラグ群208とを含む。DDS識別子201は、このデータ構造がDDSであることを示す。LSN0位置202は、LSN(すなわち論理アドレス)が0のセクタのPSN(すなわち物理アドレス)を示す。先頭スペア領域サイズ203は、先頭スペア領域105のセクタ数を示す。中間スペア領域サイズ204は、中間スペア領域106のセクタ数を示す。最終スペア領域サイズ205は、最終スペア領域107のセクタ数を示す。第1層最終LSN206は、1層目の記録層51の第1ユーザデータ領域15の最後のセクタに割り当てられたLSNを示し、これは第1ユーザデータ領域15のセクタ数に等しい。第2層最終LSN207は、2層目の記録層52の第2ユーザデータ領域16の最後のセクタに割り当てられたLSNを示し、これは第1のユーザデータ領域15のセクタ数と第2のユーザデータ領域16のセクタ数とを足した値に等しい。スペア枯渇フラグ群208は、各スペア領域105〜107に使用可能なスペアセクタが存在するか否かを示すフラグ群を含む。
図8は、スペア枯渇フラグ群208の一例を示す。先頭スペア領域枯渇フラグ221は先頭スペア領域105に対応し、第1層の中間スペア領域枯渇フラグ222は中間スペア領域106に対応し、第2層の中間スペア領域枯渇フラグ223は中間スペア領域106’に対応し、最終スペア領域枯渇フラグ224は最終スペア領域107に対応する。スペア枯渇フラグ群208には各スペア領域105〜107に相当するフラグが含まれていればよく、フラグの配置はこれに限定するものではない。
図9は、本発明の実施の形態1におけるDL21のデータ構造を示す。DL21のデータは、DL識別子301と、DLエントリー数302と、0個以上のDLエントリー303とを含む。DL識別子301は、このデータ構造がDLであることを示す。DLエントリー数302は、DLエントリー303の個数を示す。DLエントリー303は、欠陥セクタ位置304と、交替セクタ位置305についての情報を含む。欠陥セクタ位置304として、欠陥セクタのPSNが格納される。交替セクタ位置305として、交替セクタのPSNが格納される。PSNは、層番号306と層内セクタ番号307とを含む。層番号306は、記録層同士を識別する値であればよく、例えば1層目の記録層51なら0で2層目の記録層52なら1である。層内セクタ番号307は、ある1つの記録層内の各セクタを識別する値であればよく、例えば記録再生方向に沿って1セクタ進む毎に1増加する数字である。また、DVD−ROMのオポジットパスと同じ様に、1層目の記録層51と2層目の記録層52との間で同一半径位置に配置されたセクタ同士のPSNの値の関係を、2の補数関係にしても上述した条件を満たす。例えば、PSNが28ビットで表されて、1層目の記録層51のPSNが0000000h〜0FFFFFFh(hは16進数を示す)の範囲であるとする。1層目の記録層51の、あるセクタのPSNが0123450hであれば、同じ半径位置に配置された2層目の記録層52のセクタのPSNはFEDCBAFhとなる(以下の手順(1)〜(4)を参照)。
(1) 0 1 2 3 4 5 0 :16進数
(2)0000 0001 0010 0011 0100 0101 0000 :2進数
(3)1111 1110 1101 1100 1011 1010 1111 :ビット反転した2進数
(4) F E D C B A F :16進数
最上位ビットは、1層目の記録層51のPSNでは常に0で、2層目の記録層52のPSNでは常にFであるから、この最上位ビットを層番号306と考えればよい。1層目の記録層51の記録再生方向(内周側から外周側へ)の順において次のセクタのPSNは0123451hである。2層目の記録層52の記録再生方向(外周側から内周側へ)の順において次のセクタのPSNはFEDCBB0hである。これらのPSNから層番号306とした最上位ビットを取り除けば層内セクタ番号307になる。層内セクタ番号307は、1層目の現セクタは123450hで次セクタは123451hとなり、2層目の現セクタはEDCBAFhで次セクタはEDCBB0hとなり、どちらも1増加することが分かる。
本発明のDL21を用いれば、欠陥セクタを、欠陥セクタが発見された記録層と同じ記録層に設けられたスペア領域に含まれるスペアセクタで交替するだけでなく、欠陥セクタが発見された記録層と異なる記録層に設けられたスペア領域に含まれるスペアセクタで交替することもできる。例えば、欠陥セクタ位置304が1層目の記録層51内のPSNを示し、交替セクタ位置305が2層目の記録層52内のPSNを示すDLエントリー303は、1層目の記録層51の第1のユーザデータ領域15内の欠陥セクタを2層目の記録層52内のスペアセクタで交替していることを示す。もし従来のように記録層を識別できないDLエントリーから欠陥リストが構成されていると、ある記録層に配置されたスペアセクタの個数を超えた欠陥セクタが発生すると交替処理ができなくなる。従って、本発明の実施の形態1によれば、全ての記録層のスペアセクタを使い切るまで欠陥セクタをスペアセクタと交替することができ、スペア領域を有効利用できる。
図10は、本発明の実施の形態1におけるセクタ番号割り当てを示す。図中の左から右へ向かって、1層目の記録層51の内周側から外周側へと、2層目の記録層52の外周側から内周側へと開示している。従って、図中の左から右へ向かって、先頭スペア領域105、第1のユーザデータ領域15、中間スペア領域106、中間スペア領域106’、第2のユーザデータ領域16、最終スペア領域107の順に並んでおり、各領域は複数のセクタを含む。PSNは、1層目の記録層51では外周側へ1セクタ進む毎に1増加し、2層目の記録層52では内周側へ1セクタ進む毎に1増加する。PSNとして、層番号を除いた数値範囲を1層目の記録層51と2層目の記録層52で同じ範囲にしてもよい(即ち、1層目の記録層51の先頭スペア領域105に含まれるセクタの最小PSNと2層目の記録層52の中間スペア領域106に含まれるセクタの最小PSNが層番号を除いて等しく、1層目の記録層51の中間スペア領域106に含まれるセクタの最大PSNと2層目の記録層52の最終スペア領域107に含まれるセクタの最大PSNが層番号を除いて等しくなる)。又は、DVD−ROMのオポジットパスと同様に、1層目の記録層51と2層目の記録層52との間で同一半径位置にあるセクタ同士のPSNの値の関係を、2の補数関係にしてもよい。
LSNはユーザデータ領域5に含まれる複数のセクタのみに割り当てられる。第1のユーザデータ領域15には、多層情報記録媒体50の周方向に沿ってLSNが割り当てられている。第2のユーザデータ領域16にも周方向に沿ってLSNが割り当てられている。第1のユーザデータ領域15に割り当てられたLSNと、第2のユーザデータ領域16に割り当てられたLSNとは連続している。
1層目の記録層51の第1のユーザデータ領域15において、最内周位置のセクタのLSNとしては0が割り当てられ、内周側から外周側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。2層目の記録層52の第2のユーザデータ領域16において、最外周位置のセクタのLSNとしては、1層目の記録層51の第1のユーザデータ領域15に割り当てられた最大のLSNに1を加えた値が割り当てられ、外周側から内周側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。このように、前記第2のユーザデータ領域16には、第1のユーザデータ領域15に対する論理アドレスの割り当て方向とは反対の方向に論理アドレスが割り当てられている。
中間スペア領域106は、第1のユーザデータ領域15に含まれる複数のセクタのうち、最大の論理アドレスが割り当てられたセクタに隣接するように配置されている。また、中間スペア領域106’は、第2のユーザデータ領域16に含まれる複数のセクタのうち、最小の論理アドレスが割り当てられたセクタに隣接するように配置されている。上述したように、中間スペア領域106と中間スペア領域106’とは多層情報記録媒体50の等しい半径位置に配置されている。従って、第1のユーザデータ領域15の最大の論理アドレスが割り当てられたセクタと、第2のユーザデータ領域16の最小の論理アドレスが割り当てられたセクタとが多層情報記録媒体50の等しい半径位置に配置されることになる。この配置により、第1のユーザデータ領域15の最大の論理アドレスが割り当てられたセクタから第2のユーザデータ領域16の最小の論理アドレスが割り当てられたセクタへのレーザ光の焦点位置の切り替え時に、レーザ光の半径方向の移動距離を理想的には0にすることができる。
既にユーザデータ領域5にユーザデータが記録されていても、スペア領域のサイズを拡大することができることを、図10を参照して説明する。最終スペア領域107は、ユーザデータ領域5に含まれる複数のセクタのうち最大のLSNが割り当てられたセクタに隣接するように配置されている。最終スペア領域107は、最終スペア領域107から第2のユーザデータ領域16に向かう方向(すなわち図10に示す矢印107’の方向)に拡張可能である。
まず、最終スペア領域107を矢印107’の方向へ拡張する前に、第2のユーザデータ領域16内の拡張される領域に記録されたユーザデータをユーザデータ領域5中の他の領域へ移動させる。次に、移動したユーザデータのファイル管理情報(ファイルシステムが管理する情報の1つ)を移動先のセクタ位置を指すように修正する。次に、ボリューム空間管理情報(ファイルシステムが管理する情報の1つ)にユーザデータ領域5のサイズ変更を反映する。最後に、最外周スペア領域107のサイズを拡張する。ちなみに、先頭スペア領域105や中間スペア領域106および106’のサイズを拡張するのは非現実的である。なぜならば、それらのサイズが拡張すると、ユーザデータ領域5へのLSNの割り当てが変わってしまい、LSNを用いてユーザデータ領域5を管理するファイルシステムは破綻してしまうからである。
以上説明したように、本発明の実施の形態1によれば、2つの記録層を有する多層情報記録媒体において、連続したアクセス性能を向上することができる。さらに、欠陥セクタを任意の記録層のスペア領域で交替することができるのでスペア領域を有効利用できる。さらにスペア領域のサイズを拡張してスペア領域不足の発生を防止することによりデータの信頼性を向上させることができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2の多層情報記録媒体について、図面を参照して説明する。
まず、多層情報記録媒体が備える複数の記録層のうちの基準となる基準層について説明する。図11A、図11B、図11Cは、実施の形態2における情報記録媒体の記録層のレイアウトを説明する図である。図11Aは1つの記録層402を備えた情報記録媒体53の層レイアウトを示す。図11Aにおいて、情報記録媒体53は、レーザ光入射方向に沿った順に、透明樹脂401と、全反射記録層402と、基板400とを備える。ここで、全反射記録層402は、透明樹脂401のレーザ光が入射する表面から深さdに位置する。図11Bと図11Cは、3つの記録層402、403および404を備えた情報記録媒体54および55の層レイアウトを示す。基板400上に設けられた全反射記録層402からレーザ光が入射してくる方向に向かって、半透明記録層403および404が透明樹脂401でサンドイッチされるようにしてレイアウトされる。最も外側の透明樹脂401のレーザ光が入射する表面から深さdに位置するのが、図11Bの情報記録媒体54では全反射記録層402であり、図11Cの情報記録媒体55では半透明記録層403という違いが情報記録媒体54と情報記録媒体55との間にある。
通常、光ヘッド部の設計においては、深さdの位置において最適な光スポットが得られるように設計する。そこで、この深さdに位置する記録層を基準層と呼ぶこととする。従って、重要な情報を格納する領域、例えばディスク情報領域10や欠陥管理領域12は、この基準層に配置するのが望ましい。図6に示したディスク情報領域10、欠陥管理領域12、調整結果格納領域14が配置された記録層51は基準層である。
以下の説明において、記録層の呼び名として、小さいLSNが割り当てられている順に、1層目の記録層、2層目の記録層、3層目の記録層、・・・と呼ぶこととする。例えば、図11Bで示した多層情報記録媒体54においては、全反射記録層402を1層目の記録層、半透明記録層403を2層目の記録層、半透明記録層404を3層目の記録層と呼ぶ。また、例えば、図11Cで示した多層情報記録媒体55においては、半透明記録層403を1層目の記録層、半透明記録層404を2層目の記録層、全反射記録層402を3層目の記録層と呼ぶ。このように、記録層の番号付けは、記録層の上下の配置関係に依存するとは限らない。なお、ここでは3層の記録層を備える場合について説明したが、2層以上の記録層を備えた全ての情報記録媒体についても同様である。
図12は、本発明の実施の形態2における多層情報記録媒体56の領域レイアウトを示す。多層情報記録媒体56は3つの記録層57、58および59を備える。多層情報記録媒体56は、ユーザデータを記録するためのユーザデータ領域5を備える。1層目の記録層57は、記録再生方向と同じ方向である内周側から外周側へ向かって、リードイン領域101と、先頭スペア領域105と、ユーザデータ領域5の一部である第1のユーザデータ領域17と、中間スペア領域106と、ミドル領域102とを含む。2層目の記録層58は、記録再生方向と同じ方向である外周側から内周側へ向かって、ミドル領域103と、中間スペア領域106’と、ユーザデータ領域5の一部である第2のユーザデータ領域18と、中間スペア領域108と、ミドル領域109とを含む。3層目の記録層59は、記録再生方向と同じ方向である内周側から外周側へ向かって、ミドル領域109と、中間スペア領域108’と、ユーザデータ領域5の一部である第3のユーザデータ領域19と、最終スペア領域107と、リードアウト領域104とを含む。リードイン領域101は、ディスク情報領域10と、OPC領域11と、欠陥管理領域12とを含んでいる。ミドル領域102は、欠陥管理領域12を含んでいる。ミドル領域領域109は、OPC領域11を含んでいる。欠陥管理領域12は、DDS20とDL21とを含む。
ディスク情報領域10は、1層目の記録層57に設けられ、ディスク情報領域10には、全ての記録層57、58および59に対してそれぞれ個別に推奨された記録再生パラメータが格納されている。これにより、1層目の記録層57にアクセスするだけで、多層情報記録媒体56の全ての記録層57、58および59に対するパラメータが得られるので、処理速度を高速化できて有利である。
欠陥管理領域12は、1層目の記録層57に設けられ、全ての記録層57、58および59の欠陥管理に関する欠陥管理情報を含む。即ち、DDS20には、先頭スペア領域105と中間スペア領域106、106’、108および108’と最終スペア領域107とに関する情報が記載される。又、DL21には、全ての記録層57、58および59の欠陥セクタの位置とその交替先の交替セクタの位置がリストアップされる。これによれば、1層目の記録層57にアクセスするだけで、この多層情報記録媒体56の全ての欠陥管理に関する情報を得られるので、処理速度を高速化できて有利である。
各記録層57〜59のいずれのスペア領域105〜108’も、第1〜第3のユーザデータ領域17〜19のいずれかの端部に隣接する位置に配置される。これは、第1〜第3のユーザデータ領域17〜19のいずれかを途中で分断する位置にスペア領域を配置する場合と比べて、記録再生方向に沿ったシーケンシャルな記録再生が高速に行えるというメリットがある。さらに、記録層57および58の外周側に配置される中間スペア領域106と中間スペア領域106’とは同じ半径位置に配置されている。この配置により、第1のユーザデータ領域17から第2のユーザデータ領域18へのレーザ光の焦点位置の切り替え時に、光ヘッド部の半径方向の移動距離が理想的には0になるので、より高速なアクセスが実現できる。また、記録層58および59の内周側に配置される中間スペア領域108と中間スペア領域108’とは同じ半径位置に配置されている。この配置により、第2のユーザデータ領域18から第3のユーザデータ領域19へのレーザ光の焦点位置の切り替え時に、光ヘッド部の半径方向の移動距離が理想的には0になるので、より高速なアクセスが実現できる。ここで、理想的にというのは、各記録層57〜59同士を貼り合わせるときのズレや、レーザ光の焦点位置を切り替えている間にディスクの偏芯分のズレが生じるため、若干の半径方向へのレーザ光の移動は必要になるからである。
OPC領域11は、全ての記録層57〜59に設けられている。なぜなら、記録層57〜59はそれぞれの記録特性が互いに異なるからである。従って、記録パワーの調整を何れの記録層でも別々に行えるように、OPC領域11が各記録層57〜59に設けられる。
先頭スペア領域105のサイズ、中間スペア領域106、106’、108および108’のサイズ、最終スペア領域107のサイズはそれぞれ0としてもよい。また、例えば、先頭スペア領域105と中間スペア領域106、106’、108および108’のサイズが非0で、最終スペア領域107のサイズが0としても、上述した利点は変わらない。
図13は、本発明の実施の形態2におけるDDS20のデータ構造を示す。DDS20は、DDS識別子201と、記録層数209、LSN0位置202と、先頭スペア領域サイズ203と、内周側中間スペア領域サイズ210と、外周側中間スペア領域サイズ211と、最終スペア領域サイズ205と、第1層ユーザデータ領域サイズ212と、中間層ユーザデータ領域サイズ213と、最終層ユーザデータ領域サイズ214と、スペア枯渇フラグ群208と、を含む。実施の形態1で説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の参照番号を付し説明は省略する。記録層数209は記録層の総数を示す。内周側中間スペア領域サイズ210は、内周側の中間スペア領域108および108’のセクタ数を示す。外周側中間スペア領域サイズ211は、外周側の中間スペア領域106および106’のセクタ数を示す。第1層ユーザデータ領域サイズ212は、第1のユーザデータ領域17のセクタ数を示す。これは、第1のユーザデータ領域17に割り当てられるLSNの最大値に等しいので、実施の形態1における第1層最終LSN206と実は同じである。中間層ユーザデータ領域サイズ213は、第2のユーザデータ領域18のセクタ数を示す。最終層ユーザデータ領域サイズ214は、第3のユーザデータ領域19のセクタ数を示す。
図13に示すDDS20は、2つ以上の任意の記録層を有する多層情報記録媒体にも適用できる。例えば、4つの記録層を有する多層情報記録媒体に適用する場合だと次のようになる。記録層数209は4となる。中間層ユーザデータ領域サイズ213は、2層目の記録層のユーザデータ領域のセクタ数を示し、3層目のユーザデータ領域のセクタ数をも示す。最終層ユーザデータ領域サイズ214は、4層目のユーザデータ領域のセクタ数を示す。
内周側の中間スペア領域108および108’と外周側の中間スペア領域106および106’とが同じセクタ数を含むと限定すれば、内周側中間スペア領域サイズ210と外周側中間スペア領域サイズ211は1つのフィールドまとまり、実施の形態1で説明した中間スペア領域サイズ204と同等になる。また、先頭スペア領域105と内周側の中間スペア領域108および108’とが同じセクタ数を含むと限定すれば、先頭スペア領域サイズ203と内周側中間スペア領域サイズ210は1つのフィールドにまとまる。第1層ユーザデータ領域サイズ212と中間層ユーザデータ領域サイズ213も1つのフィールドでまとめてもよい。以上のように、限定を加えれば内容が同じになるフィールドや、四則演算すれば求められるフィールドは、省略してもよい。
図14は、スペア枯渇フラグ群208の一例を示す図である。先頭スペア領域枯渇フラグ221は先頭スペア領域105に対応し、第1層の中間スペア領域枯渇フラグ222は中間スペア領域106に対応し、第2層の外周側の中間スペア領域枯渇フラグ225は中間スペア領域106’に対応し、第2層の内周側の中間スペア領域枯渇フラグ226は中間スペア領域108に対応し、第3層の内周側の中間スペア領域枯渇フラグ227は中間スペア領域108’に対応し、最終スペア領域枯渇フラグ224は最終スペア領域107に対応する。
実施の形態2のDL21には、実施の形態1と同様に図9に示すデータ構造が適用できる。また、層番号306を4ビットで表せば、最大16個の記録層まで表現できる。実施の形態2においても、全ての記録層のスペアセクタを使い切るまで欠陥セクタをスペアセクタと交替することができ、スペア領域が有効利用できることは明白である。
図15は、本発明の実施の形態2におけるセクタ番号割り当てを示す。図中の左から右へ向かって、1層目の記録層57の内周側から外周側へと、2層目の記録層58の外周側から内周側へと、3層目の記録層59の内周側から外周側へと開示している。従って、図中の左から右へ向かって、先頭スペア領域105、第1のユーザデータ領域17、中間スペア領域106、中間スペア領域106’、第2のユーザデータ領域18、中間スペア領域108、中間スペア領域108’、第3のユーザデータ領域19、最終スペア領域107の順に並ぶ。PSNは、1層目の記録層57では外周側へ1セクタ進む毎に1増加し、2層目の記録層58では内周側へ1セクタ進む毎に1増加し、3層目の記録層59では外周側へ1セクタ進む毎に1増加する。互いに隣接する記録層において、それぞれの記録層のLSNの割当方向は互いに反対方向となる。PSNとして、層番号を除いた数値範囲を1〜3層目の記録層57〜59の間で同じ範囲にしてもよい。又は、DVD−ROMのオポジットパスでのPSNの割り当て規則を拡張して、奇数番目の層と偶数番目の層との間で同一半径位置にあるセクタ同士のPSNの下位の値を2の補数関係としてもよい。この場合、PSNの上位の値として、1層目と2層目の記録層には0を当てはめ、3層目と4層目の記録層には1を当てはめ、5層目と6層目の記録層には2を当てはめる、とういう具合にしてもよい。
LSNはユーザデータ領域5に含まれるセクタにのみ割り当てられる。第1のユーザデータ領域17において、最内周位置のセクタのLSNとしては0が割り当てられ、内周側から外側側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。第2のユーザデータ領域18において、最外周位置のセクタのLSNとしては、第1のユーザデータ領域17に割り当てられた最大のLSNに1を加えた値が割り当てられ、外側側から内周側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。第3のユーザデータ領域19において、最内周位置のセクタのLSNとしては、第2のユーザデータ領域18に割り当てられた最大のLSNに1を加えた値が割り当てられ、内周側から外側側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。
実施の形態1と同様なので説明は省略するが、3つ以上の記録層を有する多層情報記録媒体も、既にユーザデータ領域5にユーザデータが記録されていても、最外周スペア領域107のサイズを拡大することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態2によれば、2つ以上の記録層を有する多層情報記録媒体において、連続したアクセス性能を向上することができる。さらに、欠陥セクタを任意の記録層のスペア領域で交替することができるのでスペア領域を有効利用できる。さらにスペア領域のサイズを拡張してスペア領域不足の発生を防止することによりデータの信頼性を向上させることができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3の多層情報記録媒体について、図面を参照して説明する。
図16は、本発明の実施の形態3における多層情報記録媒体60の領域レイアウトを示す。多層情報記録媒体60は2つの記録層61および62を備える。1層目と2層目の記録層61および62の記録再生方向は同じである。多層情報記録媒体60は、ユーザデータを記録するためのユーザデータ領域5を備える。1層目の記録層61は、内周側から外周側へ向かって、リードイン領域101と、先頭スペア領域105と、ユーザデータ領域5の一部である第1のユーザデータ領域23と、中間スペア領域106と、リードアウト領域111とを含む。2層目の記録層62は、内周側から外周側へ向かって、リードイン領域110と、中間スペア領域108と、ユーザデータ領域5の一部である第2のユーザデータ領域24と、最終スペア領域107と、リードアウト領域104とを含む。リードアウト領域111は、欠陥管理領域12を含んでいる。リードイン領域110は、OPC領域11を含んでいる。実施の形態1もしくは実施の形態2において説明した構成要素と同一の構成要素については、同一の参照番号を付し説明は省略する。
実施の形態3におけるDDS20のデータ構造としては、図13に示した実施の形態2のDDS20が適用できる。この場合、中間層ユーザデータ領域サイズ213が不要となるだけである。
実施の形態3におけるスペア枯渇フラグ群208としては、図8に示したフラグ群が適用できる。
実施の形態3におけるDL21は、図9に示したデータ構造が適用できる。実施の形態3においても、全ての記録層のスペアセクタを使い切るまで欠陥セクタをスペア領域と交替することができ、スペア領域が有効利用できることは明白である。
図17は、本発明の実施の形態3におけるセクタ番号割り当てを示す。図中の左から右へ向かって、1層目の記録層61の内周側から外周側へと、2層目の記録層62の内周側から外周側へと開示している。従って、図中の左から右へ向かって、先頭スペア領域105、第1のユーザデータ領域23、中間スペア領域106、中間スペア領域108、第2のユーザデータ領域24、最終スペア領域107の順に並ぶ。PSNは、1層目の記録層61および2層目の記録層62ともに、内周側から外周側へ1セクタ進む毎に1増加する。1層目と2層目で同一半径位置にあるセクタのPSNは、層番号を除いて等しい。LSNはユーザデータ領域5に含まれるセクタにのみ割り当てられる。第1のユーザデータ領域23において、最内周位置のセクタのLSNとしては0が割り当てられ、内周側から外側側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。第2のユーザデータ領域24において、最内周位置のセクタのLSNとしては、第1のユーザデータ領域23に割り当てられた最大のLSNに1を加えた値が割り当てられ、内周側から外周側へ向かって1セクタ毎にLSNは1ずつ増加する。
実施の形態1の多層情報記録媒体50と実施の形態3の多層情報記録媒体60との間で、記録層の記録再生方向に違いがあっても、LSNの割り当てと各スペア領域の配置との関係は同じであることは、図10と図17と比較すれば明白である。従って、実施の形態1で説明したのと同様に、既にユーザデータ領域5にユーザデータが記録されていても、スペア領域のサイズを拡大することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3によれば、2つ以上の記録層を有する多層情報記録媒体において、各記録層の記録再生方向が同じ多層情報記録媒体と、各記録層の記録再生方向が交互に反対の多層情報記録媒体とに対して共通の欠陥管理が適用でき、欠陥セクタを任意の記録層のスペア領域で交替することができるのでスペア領域を有効利用できる。さらに、スペア領域のサイズを拡張してスペア領域不足の発生を防止することによりデータの信頼性を向上させることができる。
(実施の形態4)
以下、実施の形態1で説明した多層情報記録媒体50を用いて記録と再生を行う情報記録再生装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図18は、本発明の実施の形態4における情報記録再生装置500を示すブロック図である。情報記録再生装置500は、ディスクモーター502と、プリアンプ508と、サーボ回路509と、二値化回路510と、変復調回路511と、ECC回路512と、バッファ513と、CPU514と、内部バス534と、光ヘッド部535とを備える。情報記録再生装置500には、多層情報記録媒体50が設置される。光ヘッド部535は、レンズ503と、アクチュエーター504と、レーザ駆動回路505と、光検出器506と、移送台507とを備える。参照符号520は回転検出信号を、参照符号521はディスクモーター駆動信号を、参照符号522はレーザ発光許可信号を、参照符号523は光検出信号を、参照符号524はサーボ誤差信号を、参照符号525はアクチュエータ駆動信号を、参照符号526は移送台駆動信号を、参照符号527はアナログデータ信号を、参照符号528は二値化データ信号を、参照符号529は復調データ信号を、参照符号530は訂正データ信号を、参照符号531は格納データ信号を、参照符号532は符号化データ信号を、参照符号533は変調データ信号をそれぞれ示す。
制御部として機能するCPU514は、内蔵された制御プログラムに従って、内部バス534を介して、情報記録再生装置500の全体動作を制御する。以下に説明するように、光ヘッド部535は、多層情報記録媒体50の片側から、多層情報記録媒体50に情報を光学的に書き込むことが可能である。また、光ヘッド部535は、多層情報記録媒体50から情報を光学的に読み出すことが可能である。CPU514は、光ヘッド部535を用いて以下に説明するような欠陥管理処理の実行を制御する。
CPU514から出力されたレーザ発光許可信号522によりレーザ駆動回路505からレーザ光536が多層情報記録媒体50へ照射される。多層情報記録媒体50から反射した光は、光検出器506により光検出信号523に変換される。光検出信号523はプリアンプ508によって加減算されサーボ誤差信号524とアナログデータ信号527が生成される。さらに、アナログデータ信号527は、二値化回路510によりA/D(アナログ/ディジタル)変換されて二値化データ信号528に変換され、二値化データ信号528は次に変復調回路511により復調されて復調データ信号529が生成される。次いで、復調データ信号529は、ECC回路512により誤りのない訂正データ信号530に変換され、訂正データ信号530はバッファ513に格納される。サーボ回路509はサーボ誤差信号524に基づいてアクチュエータ駆動信号525をアクチュエータ504に出力することでサーボ誤差をアクチュエータ504にフィードバックし、レンズ503のフォーカシング制御やトラッキング制御が実行される。バッファ513に格納されたデータの出力である格納データ信号531は、ECC回路512によりエラー訂正符号を付加されて、符号化データ信号532が生成される。次いで、符号化データ信号532は、変復調回路511により変調されて変調データ信号533が生成される。さらに、変調データ信号533は、レーザ駆動回路505に入力されて、レーザ光のパワーが変調される。
情報記録再生装置500は、CD−ROMドライブ等のコンピュータ周辺装置としても併用される場合、ホストインタフェース回路(図示せず)が加わり、SCSI等のホストインタフェースバス(図示せず)を介して、ホストコンピュータ(図示せず)とバッファ513との間でデータをやりとりする。CDプレーヤー等のコンシューマ機器として併用される場合は、圧縮された動画や音声を伸張又は圧縮するAVデコーダ・エンコーダ回路(図示せず)が加わり、ホストコンピュータとバッファ513との間でデータをやりとりする。
本発明の実施の形態4における情報記録再生装置500の再生動作では、欠陥管理が適用された2層の記録層を備えた多層情報記録媒体50に記録された情報を再生するために、欠陥管理情報の取得処理と交替を考慮したセクタの再生処理との2つの処理が必要になる。
本発明の実施の形態4における情報記録再生装置500の記録動作では、欠陥管理が適用された2層の記録層を備えた多層情報記録媒体50に情報を記録するために、上記の再生動作に加えて、欠陥管理情報の更新処理と交替を考慮したセクタの記録処理との2つの処理が必要になる。
図19は、本発明の実施の形態4における欠陥管理情報の取得手順を説明するフローチャート600を示す。本実施の形態において、ディスク情報を格納したディスク情報領域10と欠陥管理情報を格納した欠陥管理領域12は基準層に設けられているとする。
欠陥管理情報の取得処理の最初のステップ601において、CPU514はサーボ回路509に、基準層のトラックにレーザ光の焦点を追随させるように命令する。
ステップ602において、光ヘッド部535はディスク情報が格納されたセクタを再生し、CPU514は多層情報記録媒体50に対する記録再生に必要なパラメータやフォーマットを確認する。
ステップ603で、光ヘッド部535は欠陥管理情報が格納されたセクタを再生し、その再生データはバッファ513の所定の場所に保持される。
図20は、本発明の実施の形態4における、交替を考慮したセクタの再生手順を説明するフローチャート700を示す。この再生処理において、DDS20とDL21とを含む欠陥管理情報は、バッファ513に保持済みであるものとする。
この再生処理の最初のステップ701において、CPU514はLSNをPSNに変換する(詳細は図21を参照して後述する)。
ステップ702において、CPU514はPSNの層番号を参照することによって、レーザ光536の焦点があっている記録層と再生すべき記録層とが同一かどうかを判定し、同一であればステップ704の処理へ進み、そうでなければステップ703の処理へ進む。
ステップ703において、CPU514はサーボ回路509に命令して、再生すべき記録層のトラックにレーザ光536の焦点を追随させる。
ステップ704において、光ヘッド部535はステップ701で変換されたPSNが割り当てられたセクタに記録された情報を再生する。
図21は、本発明の実施の形態4におけるLSNからPSNへの変換手順(すなわち図20に示すステップ701)を説明するフローチャート800を示す。本実施の形態において、PSNは、1層目の記録層では内周側から外周側へ1セクタ進む毎に1増加し、2層目の記録層では外周側から内周側へ1セクタ進む毎に1増加するものとする。
この変換処理の最初のステップ801では、DL21が示す欠陥セクタとスペア領域との交替結果を考慮せずに(即ち欠陥セクタが存在しない場合と同様に)LSNをPSNに変換する。図10を参照しつつ説明すると、変換しようとするLSNが第1のユーザデータ領域15の総セクタ数よりも小さい場合は、(第1のユーザデータ領域15の最小PSN)+(LSN)を計算することによりPSNが求まる。変換しようとするLSNが第1のユーザデータ領域15の総セクタ数よりも大きい場合は、(第2のユーザデータ領域16の最小PSN)+(LSN)−(第1のユーザデータ領域15の総セクタ数)を計算することによりPSNが求まる。
ステップ802において、CPU514はDL21のDLエントリー303を参照して上記で求めたPSNが割り当てられたセクタがスペアセクタと交替されているかどうか判定し、交替されていればステップ803の処理に進み、交替されていなければ変換処理を終了する。
ステップ803において、CPU514は当該PSNが交替されていることを示すDLエントリー303の交替セクタ位置をPSNとして採用する。
以上説明したように、本発明の実施の形態4における情報記録再生装置500は、欠陥管理が適用された2層の記録層を備えた多層情報記録媒体50に記録された情報を再生することができる。アクセスすべき記録層にレーザ光536の焦点が移動した後のユーザデータの再生動作は、基本的に単層の情報記録媒体を用いたユーザデータの再生動作と同一なので、単層に対応した情報記録再生装置の如何なるユーザデータの再生手順も用いることができることは明白である。
図22は、本発明の実施の形態4における欠陥管理情報の更新手順を説明するフローチャートを示す。本実施の形態では、多層情報記録媒体50のフォーマット処理として、欠陥管理情報の初期化処理とスペア領域のサイズ拡張処理とを含む。
当該更新処理の最初のステップ901において、CPU514は必要なフォーマット処理がスペア領域のサイズ拡張処理か否かを判定し、スペア領域のサイズ拡張処理ならばステップ902の処理に進み、そうでなければステップ903の処理に進む。
ステップ902において、CPU514は、指定されたスペアサイズになるように、DDS20の最終スペア領域サイズ205(図7)の値を設定する。
ステップ903においては、CPU514は、予め決めていた装置の規定値にDDS20の各値を設定し、DL21のDLエントリー数302を0に設定する。
ステップ904において、CPU514は、レーザ光536の焦点が基準層のトラックに追従中か否かを判定し、基準層のトラックに追従中であればステップ906の処理へ進み、そうでなければステップ905の処理へ進む。
ステップ905において、CPU514はサーボ回路509に命令して、基準層のトラックにレーザ光536の焦点を追随させる。
ステップ906において、光ヘッド部535は、DDS20とDL21を含む欠陥管理情報を、欠陥管理領域12が含むセクタに記録する。
図23は、本発明の実施の形態4における交替を考慮したセクタの記録手順を説明するフローチャート1000を示す。
当該記録処理の最初のステップ1001において、CPU514は図21に示した手順に従ってLSNをPSNに変換する。
ステップ1002において、CPU514はPSNの層番号を参照することによって、レーザ光536の焦点があっている記録層と情報を記録すべき記録層とが同一かどうかを判定し、同一であればステップ1004の処理へ進み、そうでなければステップ1003の処理へ進む。
ステップ1003において、CPU514はサーボ回路509に命令して、情報を記録すべき記録層のトラックにレーザ光536の焦点を追随させる。
ステップ1004において、ステップ1001で変換されたPSNが割り当てられたセクタに情報を記録する。
ステップ1005において、CPU514は光ヘッド部535を制御してセクタに記録した情報を再生することにより、セクタへの情報の記録が成功したか否かを判定(すなわち、ユーザデータ領域5に欠陥セクタが存在するか否かを判定)し、成功していれば記録処理を終了し、そうでなければステップ1006の処理へ進む。
ステップ1006において、CPU514は、スペアセクタを欠陥セクタに割り当てることにより、欠陥セクタをスペアセクタと交替させる(スペアセクタの割当処理の詳細は図24Aおよび図24Bを参照して後述する)。
ステップ1007において、欠陥セクタをスペアセクタに交替させる処理が不可能であったならば記録処理を終了し、欠陥セクタをスペアセクタに交替させる処理が可能であったならばステップ1001の手順へ戻る。
図24Aは、本発明の実施の形態4におけるスペアセクタの割当処理を説明するフローチャート1100を示す。
スペアセクタの割当処理は、多層情報記録媒体50が含む複数のスペア領域のうち使用可能な少なくとも1つのスペア領域を特定する処理と、特定した少なくとも1つのスペア領域のうち、欠陥セクタからの距離が最も短いスペア領域を選択する処理とを含む。スペアセクタの割当処理の詳細を図24Aを参照して以下で説明する。
スペアセクタの割当処理の最初のステップ1101において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208(図8)を参照して、多層情報記録媒体50内に利用可能なスペア領域があるか否かを判定する。利用可能なスペアがなければ割当処理不可能と判定して割当処理を終了し、利用可能なスペア領域があればステップ1102の処理へ進む。
ステップ1102において、CPU514は、欠陥セクタの半径位置が、内周側に配置されたスペア領域に近いか、外周側に配置されたスペア領域に近いかを判定する。欠陥セクタの半径位置が内周側に配置されたスペア領域に近い場合はステップ1103の処理へ進み、外周側に配置されたスペア領域に近い場合はステップ1104の処理へ進む。
ステップ1103において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、内周側に配置されたスペア領域が利用可能か否かを判定する。内周側に配置されたスペア領域が利用可能ならばステップ1105の処理へ進み、そうでなければステップ1106の処理へ進む。
ステップ1104において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、外周側に配置されたスペア領域が利用可能かを判定する。外周側に配置されたスペア領域が利用可能ならばステップ1106の処理へ進み、そうでなければステップ1105の処理へ進む。
ステップ1105において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層の内周側に配置されたスペア領域が利用できるか否かを判定する。利用できる場合はステップ1107の処理へ進み、そうでなければステップ1108の処理へ進む。
ステップ1106において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層の外周側に配置されたスペア領域が利用できるか否かを判定する。利用できる場合はステップ1109の処理へ進み、そうでなければステップ1110の処理へ進む。
ステップ1107において、CPU514は、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層の内周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
ステップ1108において、CPU514は、別の記録層の内周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
ステップ1109において、CPU514は、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層の外周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
ステップ1110において、CPU514は、別の記録層の外周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
図24Aで示したスペアセクタの割当手順では、出来るだけ欠陥セクタのセクタ位置から半径距離が近いスペア領域に含まれるスペアセクタを用いるようにしている。半径距離が近いことにより、移送台507の移動を伴う半径方向へのシーク動作時間を短時間にすることができる。出来るだけ欠陥セクタのセクタ位置から半径距離が近いスペア領域に含まれるスペアセクタを用いるという目的が達成されるのであれば、異なる割当処理手順であっても構わない。
図24Bは、本発明の実施の形態4におけるスペアセクタの別の割当処理を説明するフローチャート1120を示す。
このスペアセクタの別の割当処理は、多層情報記録媒体50が含む複数のスペア領域のうち使用可能な少なくとも1つのスペア領域を特定する処理と、ユーザデータ領域5の一部である欠陥セクタが存在する領域が配置された記録層に、特定した少なくとも1つのスペア領域のうちの少なくとも1つが配置されているか否かを判定する処理と、欠陥セクタが存在する領域が配置された記録層に、特定した少なくとも1つのスペア領域のうちのいずれもが配置されていないと判定された場合に、特定した少なくとも1つのスペア領域のうち、欠陥セクタからの距離が最も短いスペア領域を選択する処理とを含む。このスペアセクタの割当処理の詳細を図24Bを参照して以下で説明する。
スペアセクタの割当処理の最初のステップ1121において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、当該多層情報記録媒体50内に利用可能なスペア領域があるか否かを判定する。利用可能なスペア領域がなければ割当処理不可能と判定して割当処理を終了し、利用可能なスペアがあればステップ1122の処理へ進む。
ステップ1122において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層に配置されたスペア領域が利用できるか否かを判定する。利用できる場合はステップ1123の処理へ進み、そうでなければステップ1124の処理へ進む。
ステップ1123において、CPU514は、欠陥セクタの半径位置が、内周側に配置されたスペア領域に近いか、外周側に配置されたスペア領域に近いかを判定する。内周側に配置されたスペア領域に近い場合はステップ1125の処理へ進み、外周側に配置されたスペア領域に近い場合はステップ1127の処理へ進む。
ステップ1125において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、当該記録層の内周側に配置されたスペア領域が利用可能かを判定する。利用可能ならばステップ1129の処理へ進み、そうでなければステップ1131の処理へ進む。
ステップ1127において、CPU514は、スペア枯渇フラグ群208を参照して、当該記録層の外周側に配置されたスペア領域が利用可能かを判定する。利用可能ならばステップ1131の処理へ進み、そうでなければステップ1129の処理へ進む。
ステップ1124、1126および1128の処理は、処理対象のスペア領域が配置された記録層と欠陥セクタが存在する記録層とが別であること以外は、ステップ1123、1125および1127の処理と同じ処理である。
ステップ1129において、CPU514は、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層の内周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
ステップ1130において、CPU514は、欠陥セクタが存在する記録層とは別の記録層の内周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
ステップ1131において、CPU514は、欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層の外周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
ステップ1132において、CPU514は、欠陥セクタが存在する記録層とは別の記録層の外周側に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを欠陥セクタに割り当てる。
図24Bで示したスペアセクタの割当手順は、出来るだけ欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを用いるようにしている。同じ記録層に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを用いることで、記録層毎に異なる記録パラメータの設定変更は不要になる。例えば、ある記録層への情報の記録動作時に、別の記録層に対して最適な記録パワーの調整をしていない場合は、図24Bで示した割当手順の方が図24Aで示した割当手順よりも高速になる。出来るだけ欠陥セクタが存在する記録層と同じ記録層に配置されたスペア領域に含まれるスペアセクタを用いるという目的が達成されるのであれば、異なる割当手順であっても構わない。
以上説明したように、本発明の実施の形態4における情報記録再生装置500は、欠陥管理が適用された2層の記録層を含む多層情報記録媒体50に情報を記録することができる。情報記録再生装置500は、欠陥セクタが存在する記録層とは異なる記録層のスペア領域からスペアセクタを割り当てることもできる。又、情報記録再生装置500は、図24Aを参照して説明したようなシーク時間の短縮を重視するスペアセクタの割当処理を実行したり、図24Bを参照して説明したような記録パワー設定時間の短縮を重視するスペアセクタの割当処理を実行したりすることもできる。
ここで、アクセスすべき記録層に移動した後のユーザデータ領域への記録動作は、基本的に単層の情報記録媒体と同一なので、単層に対応した情報記録再生装置の如何なる記録手順を用いることができることは明白である。
アクセスすべき記録層にレーザ光536の焦点が移動した後のユーザデータ領域への記録動作は、基本的に単層の情報記録媒体を用いたユーザデータ領域への記録動作と同一なので、単層に対応した情報記録再生装置の如何なるユーザデータ領域への記録手順も用いることができることは明白である。
なお、本発明の実施の形態4において、実施の形態1で説明した多層情報記録媒体50を用いたが、実施の形態3で説明した多層情報記録媒体60を用いることもできるのは明白である。又、図21に示すステップ801での変換処理を3層以上の記録層に適用すれば実施の形態2で説明した多層情報記録媒体56を用いることもできるのは明白である。
なお、本発明の説明において、再生記録および欠陥管理の単位としてのセクタを用いているが、セクタの集合体であるブロック、例えばDVDディスクでのエラー訂正符号が計算される単位のECCブロック、と置き換えても、本発明が適用できることは明白である。欠陥セクタが存在するECCブロックに含まれる複数のセクタが複数のスペアセクタと交替されるので、この場合も欠陥セクタはスペアセクタと交替されることとなる。そのような変更態様は、本発明の精神ならびに適用範囲から逸脱するものでなく、同業者にとって自明な変更態様は、本発明の請求の範囲に含まれる。