JP3907802B2 - 複数回の発破における完爆確認方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に軟弱地盤に好適な複数回の発破における完爆確認方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発破による緩い砂地盤の締め固めに関しては、従来より、ヨーロッパや北米を中心にして数々の施工例がある。本発明者らは、かかる発破による締め固め方法を、我が国において埋立地や造成地等の軟弱地盤に適用することについて検討していた。
【0003】
我が国においては、特に地盤振動による発破公害が問題となるため、地盤に複数の発破孔を削孔し、これら発破孔にそれぞれ爆薬を設置したり、一つの発破孔内に複数の爆薬をそれぞれ異なる深度で設置したりするとともに、各爆薬を時間をずらして起爆するのが望ましい。
【0004】
しかし、かかる複数回の発破を行う場合、予定していた発破の全てが完全に爆発(完爆)したか否かを確認する必要がある。これが確認できれば、万が一残された爆薬があってもそれについて再度起爆させることは可能であるが、起爆されたか否かを確実に確認できないために完爆を誤認した場合には、後日、思わぬ時に爆発して、大事故を引き起こすこともありうる。
【0005】
そのため、従来は、地盤振動を測定し、その測定波形のピークを数えることにより実施発破数を確認し、この実施発破数と計画発破数との対比に基づいて完爆確認をしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来方法は、軟弱地盤においては確実性が低いものであった。すなわち、軟弱な地盤での地盤振動は、地盤条件や地層構造により大きな影響を受け、地層間で反射波を発生させる。そのため、軟弱な地盤において、例えば短い時間差で複数回の発破を実施した場合には、発破による振動ピークを正確に確認できない場合がある。したがって、従来方法では、軟弱地盤での複数回の発破における完爆確認を確実に行えなかった。
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、軟弱地盤での複数回の発破における完爆確認を確実に行えるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明の複数回の発破における完爆確認方法は、複数回の発破を実施するとともに、その際の発破音を録音することにより、前記複数回の発破の実録発破音を得て、
この複数回の発破の実録発破音の再生音を波形として表示装置に表示させ、この表示波形のピーク数を数えることにより実施発破数を確認し、この実施発破数と計画発破数との対比に基づいて前記複数回の発破の完爆確認を行うことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、他の態様として、複数回の発破を実施するとともに、その際の発破音を録音することにより、前記複数回の発破の実録発破音を得て、
他方で、1回の発破を行うとともにその際の発破音を録音することにより、1回の発破の実録発破音を得て、この1回の発破の実録発破音および前記複数回の発破における各発破間の時間差に基づいて、前記複数回の発破の人工発破音を合成し、
この複数回の発破の人工発破音と前記複数回の発破の実録発破音との比または差をとることにより、人工発破音および実録発破音の大きさの比を示す波形、または人工発破音および実録発破音の大きさの差を示す差分波形を得て、比の波形においては、比が1となる回数を数えることにより実施発破数を数え、差分波形においては、差が0となる回数を数えることにより実施発破数を数え、この実施発破数と計画発破数との対比に基づいて前記複数回の発破の完爆確認を行うことを特徴とする方法も提案される。
【0010】
本発明において、前記実録発破音におけるピーク音域以外の音域の音をカットするのは好ましい。
【0011】
<作用>
本発明のポイントは実録発破音に基づいて完爆の確認を行うところにある。すなわち、地上に伝わる発破音は、削孔状態、装薬状態および問詰め材の充填状態による影響は受けるものの、地層構造の影響をほとんど受けない。したがって、短い時間差で連続的に複数回の発破を行った場合であっても、発破音相互の干渉がほとんどなく、かつ地盤の影響を受けにくいため、実施発破数を正確に確認できる。よって、複数回の発破を実施した場合の完爆確認を確実に行うことができる。
【0012】
尚、本発明にいう「1回の発破」には、1つの爆薬による発破の他、複数の爆薬を同時に起爆する発破も含まれる。したがい、かかる1回の発破を、時間をずらして複数回実施するのが本発明にいう「複数回の発破」である。また、本発明にいう「複数回の発破」は、各発破間の時間差の長短に限定されず、各発破間の時間差が各々異なるものも含む。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態について詳述する。
前述のように、本発明のポイントは実録発破音に基づいて完爆の確認を行うところにある。したがって、先ず録音方法について説明する。本発明に好適な発破音の録音方法として、図1に示すように、発破孔1,1…近傍に設置したマイクロホンおよび記録装置よりなる録音装置2により録音する方法が提案される。発破音が小さい時、発破孔の近くに設置できない時は、集音マイクを用いるのが望ましい。また、複数回の発破の発破音を録音する際には、最初の発破音から最後の発破音まで録音する。この録音方法は、後述例の全てにおいて用いることができる。
【0014】
次に、本発明に係る発破の完爆確認方法の具体例について説明する。
図2は、本発明方法の第1具体例を示している。この例では、先ず複数回の発破を実施するとともにその際の発破音を録音することにより実録発破音を得る。そして、その再生音に基づいて実施発破数を確認し、この実施発破数と計画発破数との対比に基づいて複数回の発破の完爆確認を行う。すなわち、実施発破数が計画発破数より少ない場合には完爆していないと判断でき、一方、実施発破数が計画発破数と等しい場合には完爆していると判断できる。再生音に基づく実施発破数の確認は、再生音を波形として表示装置に表示させ、この表示波形のピーク数を視認により数えることによって行う。
【0015】
次に、図3は、本発明方法の第2具体例を示している。本例では、先ず、1回の発破を行うとともにその際の発破音を録音することにより、1回の発破の実録発破音を得て、この1回の発破の実録発破音および複数回の発破における各発破間の計画時間差(または後述の複数回の発破において実測した時間差)とに基づいて複数回の発破の人工発破音を合成する。すなわち、1回の発破の実録発破音を、複数回の発破における各発破間の計画時間差をもって、複数回の発破の計画発破数と同数重ね合わせ、人工発破音をつくる。一方、複数回の発破を実施するとともに、その際の発破音を録音することにより、複数回の発破の実録発破音を得る。
【0016】
そして、これら複数回の発破の人工発破音と複数回の発破の実録発破音との比または差に基づいて、実施発破数等を確認する。より具体的には、人工発破音の波形と実録発破音との波形とにおいて、両波形の最初のピークと最後のピークとが一致するように、一方の波形または両方の波形の時間軸をスライドさせて修正するか、または両方の波形の時間軸の長さを縮小・拡大させて改変する。また、両波形について各々最大値が1となるように正規化する。これら時間軸の修正および正規化は、いずれを先に行っても良い。しかる後、音の大きさ(縦軸)について比または差をとることにより、人工発破音および実録発破音の大きさの比を示す波形、または人工発破音および実録発破音の大きさの差を示す差分波形を得る。比の波形においては、比が1となる回数を数えることにより実施発破数を数え、また差分波形においては、差が0(ゼロ)となる回数を数えることにより実施発破数を数える。
【0017】
その結果得られる実施発破数と計画発破数との対比に基づいて、すなわち、実施発破数が計画発破数より少ない場合には完爆していないと判断し、両発破数が等しい場合には完爆していると判断することにより、複数回の発破の完爆確認を行う。
【0018】
他方、上記第1および第2具体例において、実施発破数の確認とともに、実施発破間の時間差を確認し、実施発破間の時間差と計画時間差との対比に基づいて、不発の発破を特定することができる。すなわち、実施発破間の時間差と計画時間差との対比において、一致していないところに不発の発破の発破予定時刻があると考えられるので、その時刻までの実施発破数を数えれば、不発の発破が何番目に実施予定のものであったかを知ることができ、従って不発の発破を特定できる。
【0019】
また、上記第1および第2具体例において、実録発破音についてピーク音域以外の音域の音については、少なくとも実施発破数等の確認に先立ってカットするのが好ましい。尚、図4には、第1具体例において実録発破音のピーク音域以外の音域の音を実施発破数等の確認に先立ってカットする例を示した。すなわち、複数回の発破に先立って予め1回の発破を行いその際の発破音を録音し、その実録発破音を例えば録音速度よりも遅い速度で再生し、その再生音の波形に基づきピーク音域(波形において発破音のピークが現れる音域)を定める。しかる後、複数回の発破の実施およびその録音を行い、その実録発破音を例えば録音速度よりも遅い速度(1/2倍程度)で再生し、その際に再生音のうちピーク音域以外の音域の音、例えばピーク音域よりも低音域側の音をカットする。このピーク音域以外の音域の音をカットした再生音またはその波形に基づいて発破数を確認し、全発破の完爆確認を行う。図4の例とは異なり、例えば任意の音域をカットしうる音域カット回路を備えたマイクロホンによって、発破音を録音することもできる。
【0020】
上記第2具体例において、1回の発破の実施から人工発破音の合成までの作業と、複数回の発破の実施およびその録音作業とは、各々別個に行うことができる。したがって、例えば複数回の発破実施後に、1回の発破の実施から人工発破音の合成までを行うこともできるし、1回の発破の実施後、人工発破音の合成および複数回の発破の実施を併行して行うこともできる。
【0021】
他方、本発明は、前述のように複数回の発破における各発破間の時間差の長短に限定されないが、人間では各発破による発破音を聞き分けることができないために、あるいは聞き分け辛いために、実施発破数を正確に数えることができない時間差(具体的には、0.1〜0.5秒程度)で、複数回の発破を実施する場合に特に好適である。
【0022】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、軟弱地盤での複数回の発破における完爆の確認を確実に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発破音の録音方法の説明図である。
【図2】 本発明の第1具体例を示すフロー図である。
【図3】 本発明の第2具体例を示すフロー図である。
【図4】 第1具体例において音域カットを行う場合の例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…発破孔、2…録音装置。
Claims (3)
- 複数回の発破を実施するとともに、その際の発破音を録音することにより、前記複数回の発破の実録発破音を得て、
この複数回の発破の実録発破音の再生音を波形として表示装置に表示させ、この表示波形のピーク数を数えることにより実施発破数を確認し、この実施発破数と計画発破数との対比に基づいて前記複数回の発破の完爆確認を行うことを特徴とする複数回の発破における完爆確認方法。 - 複数回の発破を実施するとともに、その際の発破音を録音することにより、前記複数回の発破の実録発破音を得て、
他方で、1回の発破を行うとともにその際の発破音を録音することにより、1回の発破の実録発破音を得て、この1回の発破の実録発破音および前記複数回の発破における各発破間の時間差に基づいて、前記複数回の発破の人工発破音を合成し、
この複数回の発破の人工発破音と前記複数回の発破の実録発破音との比または差をとることにより、人工発破音および実録発破音の大きさの比を示す波形、または人工発破音および実録発破音の大きさの差を示す差分波形を得て、比の波形においては、比が1となる回数を数えることにより実施発破数を数え、差分波形においては、差が0となる回数を数えることにより実施発破数を数え、この実施発破数と計画発破数との対比に基づいて前記複数回の発破の完爆確認を行うことを特徴とする複数回の発破における完爆確認方法。 - 前記実録発破音におけるピーク音域以外の音域の音をカットする請求項1または2記載の複数回の発破における完爆確認方法。
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JP28222097A JP3907802B2 (ja) | 1997-10-15 | 1997-10-15 | 複数回の発破における完爆確認方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH11118400A JPH11118400A (ja) | 1999-04-30 |
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1997
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